1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年五月八日(火曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 山本 粂吉君
理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君
理事 高橋 等君 理事 保科善四郎君
理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君
理事 受田 新吉君
大坪 保雄君 大村 清一君
北 れい吉君 椎名 隆君
薄田 美朝君 高瀬 傳君
辻 政信君 床次 徳二君
眞崎 勝次君 松浦周太郎君
粟山 博君 茜ケ久保重光君
井手 以誠君 片島 港君
下川儀太郎君 西村 力弥君
細田 綱吉君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 吉野 信次君
出席政府委員
運輸政務次官 伊能繁次郎君
運輸事務官
(大臣官房長) 朝田 靜夫君
運 輸 技 官
(中央気象台
長) 和達 清夫君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
—————————————
四月三十日
委員辻政信君辞任につき、その補欠として松村
謙三君が議長の指名で委員に選任された。
五月二日
委員松村謙三君辞任につき、その補欠として辻
政信君が議員の指名で委員に選任された。
同月八日
委員福井順一君、山本正一君及び森島守人君辞
任につき、その補欠として大村清一君、椎名隆
君及び細田綱吉君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
—————————————
四月三十日
内政省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関
する法律案(内閣提出第一七〇号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一四O号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/0
-
001・山本粂吉
○山本委員長 これより会議を開きます。
運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/1
-
002・受田新吉
○受田委員 この法案の目ざすところは気象庁を設置したいという御趣旨でありますが、私は気象の問題については進歩せる文明国として、どうしても観測その他の問題に重点を置いて文明的な措置がとれるようにしなければならぬと、前から思っておったことでありまするし、災害がひんぱんに襲いかかってくる日本の現状として、ことに戦後極度の被害を伴うた日本としては、的確な気象の観測というものと、その予報、そして災害の予防という一貫した運営がなされなければならなかったと思うのでありますが、結果的には気象の観測、予報というところにある程度の欠陥があり、観測を誤まって被害を甚大ならしめたという欠陥も多分に見受けられたのですが、気象の観測、予報、それから各機関との連絡というような問題について、従来中央気象台としてなし来たった反省的な諸問題を一応お伺い申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/2
-
003・和達清夫
○和達政府委員 中央気象台におきましてはその任務の重大なるにかんがみまして、設備を整え、職員の質の向上をはかり、極力その業務を完全に遂行するように努力して参りましたが、一方におきましていまだ学問の発達が十分でないこと、及び戦後におきまして気象台の立ち直りが十分でなかったという点におきまして、ただいまお話のように、時に十分な仕事ができなかったこともありましたことは大へん申しわけなく存じております。しかしわが国の気象業務は世界の気象業務に比べましても決してそれほどの遜色あるものではありません。われわれも日夜努力いたしておりまして、御指摘のようなことの少しでも少くなるように努力いたしております。その点におきましてただいまの御注意をよく肝に銘じまして今後努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/3
-
004・受田新吉
○受田委員 和達博士は世界の持つ至宝であってこれはわれわれ与野党を通じてその実力の高さを評価申し上げているのですが、あなたの御努力をもってしても、なおなし足らなかった過去の気象観測の業務遂行上の大きな欠陥というようなものを御発見にならなかったであろうか、この点地方の気象観測機関あるいは地名との連絡、たとえば文部省の教育上における気象研究、あるいは建設省との水防関係における連絡、その他消防あるいは防衛庁所管の自衛隊、こういうものとの連絡等においてなおかくあるべきだと期待をせられている向きはないか、こういうことをこうしてほしいというような御要望の点はないだろうか、これを私心配しているのでありますが、今あなたの御努力をもってしてなおなし足らぬ欠陥を御指摘願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/4
-
005・和達清夫
○和達政府委員 ただいまのお話のように、気象災害の防止ということは、単に気象台が全力を尽しましても、実際的災害を防止することは非常に困難であります。気象の業務が完全に遂行されるということは、その気象の結果を実際方面が有効適切に活用するという面になるのでございます。この点に関しまして、気象台は関係の諸官庁あるいは関係方面とできるだけの接触をして、この気象の結果が最大限に利用されるように努力して参りましたが、何分にもわが国の防災というものにつきましては、各担当官署の連絡が十分でないといううらみは確かに存するのでありまして、この点は、気象の問題につきましても、今後大いに努力を要する点であると考えております。そのために私どもといたしましては、気象の審議会というものを作りまして、関係の方面とさらに密接なる連携をとり、関係方面の要望をよく聞きまして、気象台の方も、その実際担当されておる部局に最も適切なる気象のサービスが行い得るようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/5
-
006・受田新吉
○受田委員 気象関係の実態を私たちつまびらかにするために、さらに進んでお伺いしておきたいことは、地方の気象観測所との連絡というものに事を欠いている向きはないだろうか、海洋気象台との連絡あるいは地方の管区の観測所との連絡というようなところに事を欠いて、予報がまちまに出されるというきらいも、われわれはしばしばお見受けしておるのでありますが、決定的な予報連絡という点に事を欠いている向きは、どういうところから発生してきておるのであろうかということを、時折心配しておるのでありますが、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/6
-
007・和達清夫
○和達政府委員 ただいまの御指摘のような点は、遺憾ながら新聞あたりにも散見いたしたことがあるように存じますが、私どもとしましては、地方、中央との連絡に少しも事を欠いていないと申し上げたいと思うのであります。そういうような間違いが新聞あたりに見られましたのは、一つには気象現象というものは非常に複雑でありまして、簡単なる一元的の表現でもって言い得ない場合に、同じことを申しておる場合にも、表現の違う場合もあります。一つは気象の複雑さから来た表現の間違いでありまして、これとても世間を迷わすことにもなりますので、今後は十分に注意いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/7
-
008・細田綱吉
○細田委員 関連。定点観測というものは船に限ってやっておるらしいが、私の記憶ではボロ船一隻しかないような気がする。これでいいのか。それから米駐留軍なんかは、高性能な飛行機をよく使用しているように記憶しておるのでありますが、気象台に飛行機はどうなっておるか、その点に関して伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/8
-
009・和達清夫
○和達政府委員 定点観測につきましては、たびたびお話に出ましたので、ただいま詳しいことを申し上げることを省略させていただきますが、現在は海上保安庁の手におきまして、南方定点が夏季、半年行われております。決してボロ船一隻というわけではございませんが、しかし十分であるとは申しかねます。また飛行機の方でありますが、今日わが国のように海に取り囲まれており、台風の脅威にさらされておる国におきましては、飛行機の観測は非常に重要であります。今日は米国空軍が相当詳しく飛行機観測を行なっておりまして、その結果をわれわれは知ることができるのでありますから、その点においてわれわれ自体の手において飛行機の観測を行わなくても済んでおるという、幸いな条件にあるわけでございます。もちろんわが国といたしましては、自体の手において行うということが理想でありますけれども、飛行機の観測というものは、何分にも天候の悪い日に遠いところに長時間出かけるのでありまして、これは並み大ていのことでできるわけではございませんので、わが国の国情これを許すときが一日も早からんことを、われわれは希望しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/9
-
010・細田綱吉
○細田委員 海上保安庁の船をと、こういうのですが、海上保安庁の船はもちろん何隻もあるかもしれませんが、あなたの方で自由に数隻を使い得る状態に置かれているか。現在南方定点だけの観測がされているようだが、北支定点なんかはかつてあったのだが今ないということであります。その点であなたの方で気象観測の上に支障を来たしていないか。海上保安庁というよそのつながりで利用することは非常にけっこうでありますけれども、あなたの方は、海上保安庁の従来のというか本質的な任務に支障ありとして、その船の利用はおそらく自由じゃないだろう。特に長期定点観測のような場合は、ほとんどあなたの方の専属といってもいいくらいだが、そう自由には使えないのではないか。自由に数隻使えるならそれはけっこうです。私はその船籍がどこにあろうと、そんなことはかまいません。けれどもそれは果してあなたの方が自由に使えておるか。現在は海上保安庁の船を利用しているというから、あなたの方の専属船は一隻もない、こういうようなことで、海上保安庁の船があなたの方の要請に従って常に出動し、長期にわたって出動できる十分な状態であるか。その点が一点。それからあなたの答弁によると、幸いにしてアメリカの飛行機がと、まるで米軍依存の態度でありますが、米軍はなるべく早く引き揚げてもらわなくちゃ困る、またかりに長くおってくれといっても、そう長期の、永久のものではない。そうすると、これは台風の速力の非常に早いようなところを飛び回るので、米軍が引き揚げたからといって、日本の若干の訓練、経験しかない人たちではそうすぐ間に合わない。米軍がやっておってくれるからというのでは、これは日本の中央気象台にはなりません。これはどうですか、日本でその準備をしなくていいのか、重ねて伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/10
-
011・和達清夫
○和達政府委員 現在行なっております定点観測につきましては、海上保安庁と気象台と毎年その観測を行う前に当りまして協約いたします。そしてこれだけの観測をするということを約束いたしまして、海上保安庁が実施しておりました。現在までのところ海上保安庁の御努力によりまして、われわれの希望しておるところは円滑に間違いなくやっていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/11
-
012・細田綱吉
○細田委員 何隻ぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/12
-
013・和達清夫
○和達政府委員 三隻ぐらいはそれに従事しておると思いますが、たくさん船がありましていろいろ回しておりますから、何隻それに専用しておるかはよく存じません。
それから飛行機のことでございますが、仰せのように外国依存ということは、わが国のような気象が大切な国におきまして、非常に心もとない話でございますけれども、事実飛行機で観測するということは、なかなか実行上の困難と経費の面におきまして、今の気象台の世帯におきましては、非常に大きな問題でございます。日本は特別に気象に重要な国でありますから、各国がどうのということと問題なく、わが国独自で立てるべきだとは思いますけれども、一例を引きましても、各国においてもなかなか飛行機の観測というものはむずかしく、これを定期的に行なっているところは非常に少いと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/13
-
014・細田綱吉
○細田委員 政務次官に伺いますが、先ほど幸いにしてアメリカ軍がおって現在はやってくれておる、またただいまは飛行機の観測ということは非常にむずかしいという、これではアメリカ軍が引き上げたら日本の中央気象台は飛行機の利用はできない。そんな幼稚なものですか。自衛隊の方に観測班というものがあって、中央気象台と十分連絡をとってやるならばそれでいい。そういうことが望ましいと思うが、かりに制度の上でできないとするならば、これはあなたの方で飛行機をある程度まで自衛隊の方の経費を削ってもやらないといかぬ。むずかしいからというが、アメリカが十分に利用しておったものをなぜ日本ができないのか。あなたの方の予算が足りないというのはあなたの方がだらしないからだ。それから定点観測の汽船ですが、今和達政府委員の説明を聞いて、数隻自由に使っているというが、新聞によると、ボロ船一隻が南方に行っているだけで、このごろは北方の定点観測も中止している。私はよそから聞いた話だが、どうも予算がとれなくてという話らしい。これは一体どうなのか。特に日本のような台風圏内にあるところは、南方群島を喪失した現在、定点観測なくしては正確な観測はできません。ボロ船一ぱいで南方に行って長期観測に従事している。ただいまの説明を聞くと、数隻自由に使えるというがどうも信用できない。もう一ぺんあなたから説明を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/14
-
015・伊能繁次郎
○伊能政府委員 お尋ねの点については、私ども十分常に心がけておりまして、さいぜん和達気象台長からも御説明を申し上げた通りでありますが、南方の定点観測につきましては、ただいま先生からボロ船一ぱいというお話がありましたが、気象台長の申し上げましたように、年度々々で海上保安庁と緊密な連携並びに拘束をいたしまして、さしあたり仕事に支障のないような形でやっております。北方定点については、御指摘のように、本年度につきましても、私どもの努力が足らなかったと思いますが、国の財政上の事情で、遂に北方定点観測に関する船の建造というところまで参り得なかったことは、まことに申しわけないと存じておるわけでありますが、飛行機の問題につきましては、私どもとしても米軍撤退の後において当然重大な支障を来たすことは御指摘の通りであります。現在の海上自衛隊の航空力と申しますか、あの程度の力では、まだ米軍がやっておりますところの荒天における高空の気象観測というような、遠方にまで行き得る状態でございませんので、将来われわれとしても、国家財政の観点から気象の重要性にかんがみまして、できるだけ努力をいたしまして、定点観測はもちろん、将来の気象観測の点についても、また航空機による気象観測の点についても、何とか予算上の処置をいたしたい、こういう努力をいたしておりますが、現状においては残念ながら御指摘のような状態であることを、私として率直に認めてお答えをしなければならぬという状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/15
-
016・細田綱吉
○細田委員 これは御承知のように、昨年は幸いにして被害が少かった。しかし少かったとはいいながら相当である、一昨年、一昨々年に至っては御承知の通りである。気象観測というものは、日本の置かれている地位の上から
いって非常に必要である。北方観測と
いうものは、特に東北の農民諸君は実にその必要を痛感しておる。にもかかわらず、中央の方ですぱっと予算を削ってしまう。そして毎年々々台風による多額な被害を出しておる。もちろん観測したらかといって被害なしとは言わないけれども、ある程度まで予知できるならばこれは防止できる。この内閣委員会あたりに傍聴に来ておってごらんなさい、自衛隊がいかにむだな金を使っているかわかる。きょうも決算委員会では、御承知のように新聞でもたたかれているが、七万五千円の中古エンジンを千二百五十万円で数台買っておる。この前は潜水艦に五十億も出して、まるで十年、十五年前の古くさいものをこしらえておる。これはあなたの方にかかわり合いはないかもしれないが、少くとも予算が取れないならばそれが管轄違いであっても、あなたの方の意見がある程度まで実現できるように、もし予算の転換ができないとするならば、自衛隊の方にそういう組織を持たせることだと思う。金はあるのです。現在の日本の海上自衛隊の力といったって、一千億の予算を使っておるのだから、三台か五台の高能性な観測用のものを整備するのはできる。やらないからやれないのです。あなたたちの方が熱意が少い。北は北海道から南は台湾の人たちが、あれだけ熱心に気象観測の設備の充実をこいねがっておるのに、あなたたちはまるで人ごとのように思っている。——人ごとのように思っていないかもしれないけれども、少くとも定点観測をやめたというのはそうなんです。あなたの方は鉄道さえ動かしておればいいと思っておる。そんなばかなことでは中央気象台の役割は果せません。日本の全農民の切実な要求を来年度は間違いなく一つ予算化してもらいたい、あるいは制度化してもらいたい。あなたの方で予算が取れなかったら、自衛隊の中にそういう制度を設けてもらいたい。運輸省の所管は鉄道だけじゃない。あなたは鉄道だけをやればいいと思っておりますが、鉄道をやるといえば、東京駅の八重州口にとんでもない大丸くらいを持ってくるのがせいぜいです。一つ来年の制度の上において予算の上において聞違いなくお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/16
-
017・伊能繁次郎
○伊能政府委員 御叱正の面については十分私ども戒心いたしまして、最善の努力をするつもりでございますが、御承知のように、気象観測の飛行機はB二九あるいはそれ以上の最高性能の飛行機でございますので、現在の日本の海上自衛隊の力では今後そういうものにつきましても、でき得る限り御指摘のような、国の大きな災害予防という観点から、これが確保に努力をしていかなければならぬと思いますが、これらの点についてはそういった高性能の飛行機を今後できるだけ持ち得るように、海上自衛隊の全般的な技術の向上という面もあろうかと存じますが、御指摘の点につきましては、来年度以降、またさらに現にできますることについては即刻、最善の努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/17
-
018・受田新吉
○受田委員 細田委員から気象観測に関する米軍の協力に対する指摘をされているわけでありますが、私はさらに進んで、この法案をお出しになられた政府としては、運輸省にこの外局を設けられるという形よりは——これは官房長官においでをいただくといいのでありますが、どうもこれはお答えいただくのには困る方々ばかりでありますが、まあ一応政務次官の御見解をお伺いしたいのですが、あなたはセクト主義でお考えにならないで、高い立場から見られて、この気象庁というものはこれは郵政省の通信の方にも関係があり、あるいは農林省の水産関係にも関係があり、また農村にも関係があり、災害等とのつながりあるいは建設とのつながりというような、広い意味の国策の機関にこの気象観測を徹底させるという意味においては、むしろ総理府の外局として気象庁なるものを設けた方が、災害の予防等に対する連絡統制をはかる上にも非常にいいのではないかとお考えではない一でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/18
-
019・伊能繁次郎
○伊能政府委員 本件につきましては、古いお話を申し上げるようでありまするが、この気象業務が運輸省所管になりましたのは、戦争ごく末期でございまして、当時私も運輸通信省におりまして文部省所管から——今受田先生御指摘のように総合的にどういう行政の所管をしたらいいかということは、時の政府において慎重審議をせられたのであります。当時は御承知のよりに、陸海軍もございまして、いろいろ研究処理の結果海上保安その他各般の観点から、運輸省に置くことが一番適当ではないかということで、その後十年余り今日と同じような状態で参っておりまして、私ども御指摘のように、別段割拠主義的な考え方で官庁の行政組織について毛頭考えておりません。ただいまお話のございましたような、総理府において総合的に見ることがいいかどうかという問題もございまするが、今回の本法律案、運輸省設置法の一部改正について、そういった面も十分検討いたしましたが、いわゆる管理行政の行政事務のほかに、気象業務は現業業務がその仕事の大きな根幹をなしておるような関係上、今回運輸省設置法の一部改正によって、従来通り運輸省所管として見る方が現実の仕事の上によろしくはないか、こういう気持で本法案を提案したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/19
-
020・受田新吉
○受田委員 中央気象台がかって文部省の所管であり、またその運営のあり方も研究的であった。気象研究というところに重点を置かれた。ところが現業の仕事が大いに拡大強化せられてくることになると、その試験研究を乗り越えて実績を上げなければならぬということになるならば、ここに気象庁という外局として幅を待たせる必要があるという観点で運輸省の外局にせられた、かように了解はするわけであります。ところが私たちが戦後しばしば襲い来たりました台風による被害を見、またおととしの九月、例の青函連絡船のあの悲劇を見たときに、気象観測なるものはどうも運輸省の所管になったがゆえに、お役所の関係からか他の省との連絡折衝に事を欠き、他の機関との連絡に事を欠いて、ある程度有力な観測されたものが押しつぶされて、末端に伝えられておらぬ。また各町村においてもその予報が徹底していないというところで、いま一歩予報が徹底していたならば、被害を最小限に食いとめ得たであろうという事態が考えられるにかかわらず、甚大な被害を来たしている。人命の上において、物的の上においての被害は容易ならぬ被害で、戦後災害復旧費に組み込む経営費でも、五百億をいつもこえておるというような状態を考えたときに、気象観測にもっと予算を張り込んで、そうして各機関が連絡をもっと密接にやって、各省のセクト主義を排して、もっと大きな気持で総合連絡を徹底せしめて、国際的にも他国とのつながりからの連絡をはかって、精密な予報、警報、これに対する対策、こういうようなやり方をしたならば、われわれはもっと日本の国の再建を迅速ならしめると考えるのです。私はそういう意味から気象庁の設置ということは、戦後の日本の施策の中ではきわめて画期的なものだと思うし、いかに国内的に経済再建をはかろうとしても、一挙に襲いかかった台風によってあえなくついえ去ることを思うならば、一つ思い切った予算をそれに計上して、災害の跡始末よりは、災害の予防に重点を置く国策を進めるという意味からは、国の政策の重点をこの気象の観測、予報、警報というところにおいて、これが対策を立てる必要があると思うのです。従って運輸省の一外局としてこれを取り上げるよりは、もっと大きな立場で総理府の外局としてでも各省ににらみをきかせて、文部省の大学における気象究所あるいは地震研究所というようなものもどんどん拡張し、研究費をどんどん出して優秀な学者に十分研究させる。またあなた方の運輸省所管の従来の気象台の職員にも、しっかり研究させる。また農林省の農林水産関係のそうした実力ある人にも研究させて、国の総力をあげて気象研究を徹底させて、その被害に対する対策の十全を期する、こういう考え方が必要じゃないかと思う。私はその意味で過去に、特に戦後しばしば襲いかかった災害に対する関係から、この気象台の観測及び予報、警報が、しばしば第一線の被害を受けた人々に徹底を欠いている、しかもこれが妥当性を欠いておった、的確を欠いておったということを知り、例の青函連絡船でも、気象の観測と船の運転との間にそごが来たされて、あれだけの被害を受けたというようなことを思うたならば、少し無理してで、もこの際機構を大きくして、人員をふやすというよりも、予算をどんどんふやして実績を上げる。文部省所管の各大学にも大いに気象研究や地震研究をさせたらどうでしょう。そうしてあなた方の方の今まで持ってこられた気象台をして、そうして文部省の研究と相待ち、あるいは他の機関の研究と相待って、その実績を上げるというふうな建前をとられたらいかがでしょう。私、この点いささか戦後の気象の観測のあり方について手落ちがあって、そうして日本の再建に大きな支障を来たした経験にかんがみて、この際勇気を振って思い切った措置をとるべきだと思うので、かように意見を申し上げておるのですが、あなたの御意見をよく伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/20
-
021・伊能繁次郎
○伊能政府委員 受田先生の御意見のむきにつきましては、われわれも御趣旨のような気持ちで鋭意努力いたして参ったわけでありますが、残念ながら国家財政その他私どもの力の及ばぬ点もあったかと存じますが、所期のご期待に沿うような程度にまで至っていないということを、私率直に認めざるを得ないと思いますが、今後の問題といたしまして、今御指摘のような気象業務に関する国内の総合的な施策を確立していくことについては、さいぜん和達気象台長からも気象審議会その他国内の衆知を集める具体的な方途も考えておるというお話もございましたし、関係各省間における連絡もでき得る限り緊密にいたしまして、さいぜん御指摘のような、気象業務の末端に対する浸透がいろいろな事情で行き届かないために、不党の災害を招いた例もあるのではないかというようなお話も、私ども肝に銘じまして、今後さようなことのないように、日本の国際水準に達しているりっぱな技術の利用が、十分国内に徹底しないというようなことがあっては申しわけない次第でありますから、そういう面についても十分戒心をいたしますとともに、御指摘のような気象業務の総合的な施策の確立については、今後あらゆる努力を傾注して御期待にこたえたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/21
-
022・床次徳二
○床次委員 関連して。気象観測の結果というものが国民生活に非常に影響のあることはただいまお話のあった通りですが、現に脅威を受けつつあるところ、たとえば桜島のごとき現在噴火中でありますが、しかし噴火の被害というものが日常の県民の生活に非常に影響がある。これに対して、ある程度まで抜本的に安心し得られる、あるいは被害がありまする場合、これに対する予報をするということは、これは現に差し迫った問題であります。いろいろ気象台の方にも注文しておりますが、なかなかこれに対して十分な予算がとれないというふうに聞いておる。仕事もうまくできないというようなことも聞いておるのであります。現に感ぜられておる危険に対しましては、やはりこれを優先的に考慮いたしまして、対策を講ずべきだと思っております。この点気象台といたしましても十分な措置をとっていただきたい。また運輸省といたしましても、予算の運営について適当なやりくりをしまして、かかる地元民の不安の解消と申しますか、あるいは今後の予報対策に対する遺憾なきを期してもらいたいと思いますが、この点に対する政府の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/22
-
023・和達清夫
○和達政府委員 ただいまの桜島の件でございますが、わが国におきまして火山の観測所の完備しておるのは浅間山一つと申していいかと思うのであります。今日の火山学から申しますと、適当なる施設が火山の近傍にありますと、ある程度火山活動の消長の見当はつくということになっております。しかしただいま申し上げましたように、わが国には火山がたくさんありますが、浅間山がほぼそれに近くなっておるだけでありまして、たくさんの火山が手をつけられずして残されておる状態であります。しかし桜島は世界にも珍しい多数の人口がこの火山の近傍にあるのでありまして、わが国としましては、相当重点を置いてこの桜島の火山活動の消長を監視をし、またできるならば予測をして、この災害を未然に防ぐことに努力しなければいけないと存じております。三十年度におきましても、ある程度の計画を立ちまして要求いたしたのでありますが、ほんの少し調査費が出ましただけで、十分出ませんでした。来年度は想を改めまして、桜島の火山観測と火山の活動の予測というものについて最善を尽したいとわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/23
-
024・大平正芳
○大平委員 私どもしろうと考えに考えまして、気象の観測につきまして、大陸方面、特に北鮮とか中共とかソ連、そういう国々との間の気象の情報の交換が十全でないといろいろな点で支障が起るのではないかということが感ぜられますので、目下連絡関係がどうなっているかという点について伺いたいと思います。最近科学者とか文化人などの交流を積極的にやっておられるようでございますが、気象情報なんかは、大体民生に非常に関係のあるいわゆるノンポリティカルな問題でございますから、政治の問題としてでなく、科学者という立場から中共その他の気象台関係の方々との連絡が積極的にとられますと、ある程度効果が上るのじゃないかというようにも考えますが、そういった点についての計画とか御決意がおありでございましたら、お開かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/24
-
025・和達清夫
○和達政府委員 ただいま中華人民共和国の気象の情報が、世界中どこの国も得られないということは非常に不幸なことであります。特に日本は御指摘のように、その東側にありまして、最も気象情報の欠陥に悩んでおる次第であります。これにつきましては、昨年の同慶節の場合に、文化使節としましてわが国から若干人間が呼ばれました折に、私も個人の資格におきまして入れていただきまして、先方へ参りましてそのことを訴えました。そのときは、原則として、中国はよくわかるからそれは承知したが、細部については担当者と話し合うということになりました。実際担当者と話し合いました結果、どうしても現在の国際情勢ではまだ中国は送ることはできないという話で、非常に残念でありましたが、そのときは帰って参りました。その後も機会あるごとに、私はその機会をとらえまして、そういう中国としての事情もさりながら、かまわないところで日本に役に立つところをできるだけ送ってもらいたい、あるいはこちらが一番大事なときに何とかならないかとかいうような話もいたしたのでありますけれども、現在のところは、中国の国家的の機微に関することであるからという点しか伺っておりません。私はこの件に関してはできるだけの努力を今後も払いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/25
-
026・大村清一
○大村委員 簡単にお尋ねをしておきたいと思います。これは全国の各所にあるということでありますが、局地暴風はきわめて小範囲でございますが、一たび暴風が吹きますと、非常な被害が起るというところが全国に数カ所あるように聞いております。私は岡山県でありますが、岡山県の東北部に広戸風というのがあるのです。そうして過去の経験におきまして、この暴風を避けるためには、おのおの住家の北側に大きな土手を築きまして、被害を防止するという施設を行なっておるという状態であります。ところがこの暴風は局地的でありまして、広い場合におきましてもまず十カ町村ぐらい、町村合併も済みました今日におきましては、およそ二カ町村ぐらいしか被害区域が及んでおりません。他の基風でありますと、広汎にわたって大被害を受けますと、国家なり府県、市町村等の救済施設も相当に行われるのでありますが、被害がきわめて小範囲でありまして、そこには多くの場合において救済の手が伸びにくいというような事情がある、その地方はまことに気の毒な状態にあるのであります。これにつきましては局地暴風を防止するというようことはなかなかむずかしいのでございますが、気象台におきまして十分研究調査をされまして、前もって予知することができるということによって、被害を最小限度にとどめるというようなことは確かに可能であるのであります。局地的とはいえ、この広戸風等に対して気象台等におきましていま少し同情をもって研究を進めてもらいたい。岡山県におきましても、この広戸風対策について数カ年間研究はいたしましたが、県の力におきましては、財政上また技術上におきまして十分に参りません。ほとんど成果をおさめていないのでありますが、こういう局地暴風につきまして、これは広戸風のみならず、全国に相当多数あるということでありますから、この辺の研究を進めていただきたい。ことに気象台が外局として独立をされるというような機会におきましては、これらの点にも手を伸ばしていただきたいと思うのでありますが、この際当局のこれに対する御所見を伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/26
-
027・和達清夫
○和達政府委員 ただいまお話の広戸風につきましては、よく存じております。地方の測候所はそういうような地方的な特殊の現象についてできるだけの調査をし、適切なる予報を出し、災害を防止することが任務ございまして、広戸風につきましても、同地方の測候所は全力をあげておりますし、また近隣の近畿各地方気象官署はこれに協力いたしまして、できるだけその性質をきわめ、適切なる予報を出せるように努力をいたしております。気象業務といたしましては、局地現象に対しては最大の努力をして、その災害防止に寄与したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/27
-
028・眞崎勝次
○眞崎委員 二、三簡単に伺いますが、この気象教育というものは昔からあまり行われていなくて、船乗りか飛行家でなければ、国民はあまりこれに関心を持たなかったのであります。当局の観測自身も必要でありますけれども、気象に関して国民一般が深い知識を持っているということが、災難をよける重要なファクターになるんですが、これについてどういう手段を講じておられるか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/28
-
029・和達清夫
○和達政府委員 まことに仰せのように、気象の業務というものは、一般に周知徹底しておらなければ、その効果を発揮いたさないのでありまして、われわれの気象台におきましても、広報活動とか、あるいはあらゆる場合に一般に気象知識が浸透するように周知宣伝をいたしております。特にこの気象に関係の深い仕事をしている者にはそれに努めております。また教育方町にもできるだけわれわれの力の及ぶ限りいたしておりますが、今後ともこの点に努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/29
-
030・眞崎勝次
○眞崎委員 それは非常に限られておりはせぬかと思う。これは私の中学時代に教わった歌でありますが、風を背に、北なら左、南なら右を差し出せ、それが中心。北半球では暴風を背中に受けて左の手を出せば、暴風の中心は大体ちょっと前になる。南半球ではこっちになる。これを知っているだけで、船乗りや飛行家は非常に災難をよけることが多いのでありますが、そういうふうな簡単なことでも多少教えてあるかどうかと思うわけです。
それから次に、低気圧の針路が、これは私の直観で、統計はとっておりませんが、飛行機が非常に飛ぶので、変っているような感じがする。昔は、南洋から吹いてくる。ことに二百十日の風というものは、マリアナ群島がなければ日本に来ないと言ったもんです。ちょうど二百十日の日の太陽がマリアナ群島をトランシットするので、海陸の気圧差が起る。それが地球の自転によって台風が起る。それが大てい九州の西を通ってだんだん朝鮮、能登半島に行って、金華山に抜けるのが、秋の暴風の態勢です。それがどうも内に来る、中国に来るから、さっき言われた岡山県の被害が非常に多いように思うんです。それから十月以前は南洋諸島から直接本土へ吹いてくる暴風は少かった。ところが近ごろ五月、六月に強いのが来る。こういう点は、私の直観では、飛行機がえらい馬力で南に縦横無尽に飛ぶために、何かそこに変化が……。(笑声)笑い事でなく、これは起っている。実際あれだけの馬力で始終飛んでいると低気圧が起る。これを逆に利用すると、私は、将来低気圧の方向をある程度変え得やせぬかと感じられるわけでございますが、そういう点に対する研究が多少進んでいるかどうか、ちょっと伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/30
-
031・和達清夫
○和達政府委員 教育の方は、近来は地学というものが教育に取り入れられまして、小学校、中学校、高等学校で相当によく気象のことを教えておりまして、近ごろは若い人は相当徹底しているように存じておりますが、われわれの方でもできるだけ努力いたしたいと思います。
それからただいまの、低気圧、台風の針路の変りでございますが、確かに近年前とは多少違った針路を示しております。これは大きく見れば、地球上の大気の大きな流れの問題でありまして、そういう流れが、年とともに少しずつ変ってくるというような問題で、これは気象学的にもまだいろいろ議論のあるところでございまして、私どもでもはっきりどういうわけと今日申し上げることができがたいのでございます。
なお飛行機が縦横無尽に飛びますと、空気を乱しますし、放出するものがいろいろの気象学上に影響を及ぼすということも考えられますが、私個人の考えでございますけれども、そういう大きな気象現象に及ぼすほどには立ち至っていないのじゃないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/31
-
032・眞崎勝次
○眞崎委員 雪は高層気流の状況を示すメッセンジャー・ボーイだと学者間に今から二十年も前から言われておったのですが、この雪を気象に利用することについて何か手を打たれておるかどうか、これも伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/32
-
033・和達清夫
○和達政府委員 近代の気象学は立体的になっておりまして、地上観測だけでなく、非常に高い……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/33
-
034・眞崎勝次
○眞崎委員 雪についての何かそれを利用することを行なっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/34
-
035・和達清夫
○和達政府委員 高層観測というものがむしろ土台になって、それが中心になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/35
-
036・眞崎勝次
○眞崎委員 次に、私が多少専門的に研究しておった時分の結論として、自分の現在おる土地の気象を知るためには、大きい計画としては、東京に中央気象台を置き、そして仙台、あるいは北海道、あるいは大阪あるいは広島、あるいは九州に置いて、そしてそれを中心として千五百マイルの半径を持ってのそのときそのときの風向、風力、高層気流を知れば、大ていの気象は正確に知り得るという自信を私は持っております。また統計においても東京と各地と同時に天候の悪いことはない。同時に天候のいいことはある。低気圧の配合から統計的に得た結論であるけれども、低気圧の配合を知るとそういう結果になるようにできておるですから、ただそういうふうな中央の気象台だけができても、各地の気象を正確に知ることができないのであります。それから同時に中央からくる情報、そして各地に住んでおる国民がそういうさっき申し上げた常識を持っておると——あなたの方からくる気象の情報を見ると、私自身が判断した方が、こっちへくるなということが当るのです。あなたの方は自分の言ったことに訳まりがないようにするために、用心深く範囲を広く言っておられるだろうと思うが、私自身判断しておると、こっちにいくなと思うと大てい当る。そこでもとへ戻りますが、国民に天候の知識を普及させることについて——全部これに支配されておりますから、それを一つ研究していただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/36
-
037・高瀬傳
○高瀬委員 政府側に伺いますが、一体この気象関係の予算というものは幾らくらいでやられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/37
-
038・和達清夫
○和達政府委員 三十一年度は約二十六億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/38
-
039・高瀬傳
○高瀬委員 実は私は、最近気象関係の方が非常に努力されてよく天候が当るようになったということについては敬意を表します。背、きょうは天気、あしたは雨と育っても半分くらいは当る、こういうふうに言われておった時代から見ると、隔世の感があると思う。ただ私の当局に希望するところは、単にきょうは天気だ、あしたは雨だ、あしたは暴風が吹くということだけでなく、特にわれわれ農村出身の議員としては、絶えず非常に凍霜害に悩まされ、雪害に悩まされておるわけですが、そういうような面で地方の農業気象といいますか、特にこれをいろいろな雪害とか、あるいは風害とか、あるいは凍霜害を予防するような意味でのいわゆる気象観測と、実際的の利用厚生の面における気象関係の適切なる指導と活動、こういうことについて特に私はこの際御考慮いただきたい。単にきょうは天気、あしたは雨というだけでなく、どうも非常に気温が冷えてきたからあしたは霜が降るかもしれぬから、たとえばタバコの上おおいをしろとか、そういうようなしさいにわたった指導を、私は気象関係を通してやっていただきたい。そうすれば非常に農村の産業の振興にもなる。だからそういう点についての御配慮はどんなものをお持ちになっておるのか。それからもしそれについて予算が少ければわれわれはどんどんと予算をふやした方がいいと思う。そういう点についての見解を一つ承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/39
-
040・和達清夫
○和達政府委員 農業に対する気象のサービスは重要なものとして終始努カいたしておるつもりでありますが、特に農林省とも密接に連絡をとりまして、農業災害の防止については今後ともに努力いたしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/40
-
041・受田新吉
○受田委員 運輸大臣がおいでになられたので、私最後にあなたにお導ねを申し上げたいのでありますが、幸いにしてこの気象観測を的確にし、予報、警報を充実するという意味で、気象庁として外局たらしめるというこの法案が出ているわけですけれども、しかしちょうど今各委員が質問されたように、この気象の予報、警報に事を欠いて、末端は非常に被害を多く受ける結果が戦後特にひんぱんに現われておる。ちょうど小選挙区法案が流れて、台風のあとのさわやかな薫風が窓から入っておるが、こういうような平和な空気の中である場合は、これは別に問題はないわけなんです。しかし実際に気象の観測を十分なし得ないで、末端機関との連絡に事を欠く。それから今のように農村部面においてはタバコのおおいをどうするかというこまかい心づかいもどうだという質問も出るくらいにまで、心を配っているこの気象の業務というものは、どうしても運輸省のようなただ単なる役所の中へ外局として置くということにとどめないで、文部省の所管の国立大学においても、地震研究とそして気象研究とあわせて専門の学者に十分研究せしめ、また建設省においても水防のあるいは消防の関係から十分研究させ、あるいは電気通信の関係からも、また外務省と連絡して外国との気象交換というような立場からも、国の総合計画として気象庁というものは非常に高いウエートが必要だと思う。かように考えますならば、あなたは国務大臣であって、単に運輸大臣として汽車を動かすだけでなくて、田の総合政策の立場から気象関係を非常に重く見るという意味からは、この際総理府の外局くらいに一つこれを引き上げて一かつて文部省の所管であった中央気象台、それが運輸省にかわったというようなこういういきさつなどを考えてみても、各省にまたがる問題を一括して、まれに見る災害国である日本としては、国の総合計画の立場からら、一つこの気象庁を総理府外局として一貫した対策を立てるというようにお考えを変更される必要はないか、あなたの国務大臣としての立場から御所見を伺いたいのです。さっき伊能政務次官は、私の今の意見のごく一部を申し上げたばかりであったにかかわらず、非常に共鳴された言辞も出たわけなんです。大臣としては御興研なしと考えますか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/41
-
042・吉野信次
○吉野国務大臣 私も全く同じような考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/42
-
043・受田新吉
○受田委員 大臣として全く賛成だという御意見が出たのですが、総理府の外局にこれを引き上げるように修正案を……。(「それはこの次だ」と呼ぶ者あり)今異議なしと大臣もそう言われた。これはこの際たまたま大臣の御所見が異議なしということであった以上は、われわれの方で修正案として総理府の外局として気象庁を置きたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/43
-
044・吉野信次
○吉野国務大臣 ちょっと私簡単に申し上げたのですが、お話のつまり総合的にやるということについては賛成なんです。実は私もこれを一まだ今予算は少いのですが、これを外局にしますときに、一体運輸省の外局だけでは目が届かぬじゃないか、もう少し独立にへったらいいじゃないかという考えも起しまして、いろいろどうしてやったらいいかということについても考慮を払ったのです。ただ諸外国の例、といっても乏しいのですが、やはり交通関係に非常に利用する面が多いというので、運輸省関係にこういうものを置いておる例が外国にもあるようです。しかしそうなりますと、今お話の通り、運輸省の所管では総合的にやる面において欠けるところがございます。といってすぐ総理府に置いたらどうか、これも現在もそう申しちゃなんですが、総理府にいろいろ役所がございますけれども、どうも総理府に置くという形式だけでは、今申しましたような、総合的なものは必ずしも徹底していくというふうにも参らぬような事情もございますので、私は総合的にやるということについては全然あなたと考えは同じなんですけれども、ただ行政の機構として今運輸省の外局にしたがいいか、総理府に持っていったらいいかということは、もう少し研究したい、こういうことを補足して申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/44
-
045・受田新吉
○受田委員 非常に大臣としては率直な御答弁があったので、私が提案したことに御共鳴いただいたと私は了解しておったわけです。ちょうど大臣は憲法調査会の法案の担当者であって、各省を越えた問題に取り組んでおられる関係上、感覚が非常に高い。従って単に運輸省の外局として置くのみでなくて、国の総合業務の立場からこれは考えなければならぬという結論をお出しになっておられることは、深く敬意を表します。従ってきょうは大臣も御苦労のことのようでありますから、あまり質問を続けませんが、われわれはこの気象観測の誤まられた結果が、いかに甚大な被害を国民生活の上に与えておるかということを如実に体験しておるのです。現に洞爺丸事件で海難審判庁が最初の判決を下されておるわけでありますが、この事件も運輸省の外局である海難審判庁と海上保安庁あるいは青函連絡船という、直接あなたの部下の機関、全部運輸省関係だけでやっておるので、そこにやはり大きな弊害があるのです。従ってこれからはもっと眼を開いて、他の各省との総合的な観点から問題の処理をはかるようにしなければならぬと思うのです。従って私は大臣の今の御見解は、その点において私と全く意見が一致するというあなたのはっきりした信念を伺いましたので、この信念は必ず何らかの形で、特に災害対策という立場から早急に樹立すべき案であるという、責任ある発育をもう一度いただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/45
-
046・吉野信次
○吉野国務大臣 先ほども申し上げました通り、すぐ行政機構として総理府に置いてよいかどうかということについては、私はやはり多少研究する余地があると思います。いずれにしても今申しました通り、運輸省という狭い中だけでなく、総合的にこれをやる、それにはどうしたらよいかということは、真剣に考慮しなければならぬ問題だということは、全然お話しの通りと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/46
-
047・山本粂吉
○山本委員長 茜ケ久保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/47
-
048・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 あるいはだれか聞いたかもしれませんが、今度の凍霜害であります。群馬県は非常にひどいのであります。桑が全滅でありますし、麦が非常にやられた。麦の被害が非常に大きいのであります。群馬県では麦と桑がやられますと、農家は現金収入の大宗を断たれるわけなんです。毎年なんです。毎年大体同じ道と申しますか、幅であるのです。これは何か根本的な対策を立てませんと、毎年の例になりまして——戦争前はまあお百姓は黙ってがまんをしておったわけですね。終戦後は意見が出ますから政府に補償を要求することができた。当然でありますが、こうなりますと本年度の被害が大体全国では二百数十億か三百億と聞いております。群馬県でも概算五十億に近いといっております。これが毎年起りまして、これを補償するとなったならば政府も大変です。一面農業経営の形態を変えるということも考えられますが、これは容易ではありません。そこで凍霜害を未然に防ぐ方法を考えなければなりませんが、その場合あなた方の立場から気象等の観測において、こういうことが起る前に一その晩にはできませんでも、二、三日前に予測ができればこれに対して相当の予防策を講ずることができると思うのであります。そうなりますと、あなたの方に相当予算を差し上げても、なお毎年の二、三百億に達する農産被害を食い止め得れば非常にいいと私は思うのであります。そういった点について今ここで今度の災害に対する的確な御答弁ができませんでも、こういうものを今日の発達した科学の力で、何とか未然に防ぐことのできる対策を、一つ今度の気象台が気象庁に昇格する契機に、こういうものに対する御研究をぜひ願いたい。できれば今度の災害に対する何か当面のことができればけっこうですが、それは私は無理だと思う。そこでこの際は希望としてこういうことのないように——これは国家財政の非常に負担であります。また農村にとっては死に値する苦痛であります。昨年の少しくらいの豊作ではとても追いつきません。そこで気象庁に昇格されるのは一つの契機でありますから、ぜひ全力をあげて御研究願いたい。そのために予算が必要であるならば、野党としても協力して、予算の獲得には努力はします。この点について希望を申しますが、何かそれに対して台長の御意見がありましたならば承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/48
-
049・和達清夫
○和達政府委員 凍霜害は四月の末から、五月の上旬にかけて、一年におきましてもそう長い期間ではございません。従って農家におかれましても相当の用意ができる問題であります。気象台といたしましては、凍霜害の起るような天気になるときには、先だってもそうでありますが、ラジオでもって申しております。ところが凍霜害というのは非常に地域的の問題でありまして、一つの丘、一つの谷で非常に違うことは今お話しがあった通りでございます。従って全体的な大勢は気象台で申しますが、こまかい一つ一つの地域になりますと、これは各農家においても相当の知識を持ち、ある場合におきましては農家におきましても審議計を備え、その温度を見守るというようなこともやっていただきたい。そういうような態勢が整いますれば、いよいよ凍霜害の危険となれば、そのまぎわに燻煙法とか、水をまくとか、外国においてもそういうような手段がとられておるのでありまして、わが国においても各所において相当とられておるのであります。この点は、実際的防御の方法は、農林省ともよく打ち合せをいたしまして、できるだけ非常な大きな災害を防止軽減いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/49
-
050・井手以誠
○井手委員 受田委員に関連して、一点だけ大臣にお尋ねいたしたいと思います。ただいま受田委員の質問に対して、大臣は外局に昇格するには内容が伴わなければならぬとおっしゃいました。またこの説明によりましても、今、後予算措置と相待って、技術、制度その他所要の改善を行うということを言われておるのであります。そこでお尋ねいたしたいのは、先刻来各委員から指摘されておりますように、災害予防その他について、相当大臣や関係者の間には御抱負、経輪があることと信じておるのであります。また私どもも、そういう方面についての腹案をお開きしなくては、簡単に賛意を表するわけにも参らないのでありまして、明年度以降どういうふうな、災害予防などについての施設その他の御用意を持っておられるのか、その点をこの際承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/50
-
051・吉野信次
○吉野国務大臣 具体的なことは、一つ政府委員の方からお話を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/51
-
052・和達清夫
○和達政府委員 気象台が気象庁になりまして、実際上の責任を持ち、それだけの仕事をいたしたいと存じております。それにはお話のように、できるだけ整備をいたしたいのでございますが、今回はまあ現状のままで気象庁にしていただいて、そうしてその基盤のもとに整備をいたしたいと考えておるわけであります。気象台の整備には、いろいろの終戦以後の立ちおくれその他がございますが、何と申しましても、災害防止ということに重点を置きたいと私ども考えております。
災害防止につきましては、この正確なる観測を得るところから、正確な予報を出し、これを伝達する、この三つの道程におきまして、それぞれ先ほどもお話しのような観測綱を広げる、そうしてそれには正確な予報を出すための手段、たとえば近時諸外国で採用されている数価予報というような予報のやり方を客観的にした方法にしていこうとか、またこの周知宣伝については通信綱を完備する、通信綱はもちろん自体内の観測資料の収集にももちろん重要でありますが、これを外部に流すこともまた必要である、またそういうような各方面との災害防止に対する連絡を密にするというような全般的のことがございますが、特にこの災害防止に対するところの観測、予報、そして通信というものに、全面的の整備強化をはかりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/52
-
053・井手以誠
○井手委員 あまりに抽象的で、それだけでは納得しかねるのであります。これは災害予防については、各地から切実な訴えが来ておるのであります。全面的にでございますが、特に台風の進路である南九州地帯では、おそらくあなたの方にも、各県知事から、町村長からも、いろいろな訴え、陳情があったことと思います。私の方にも来ておるのであります。去る国会におきまする災害防止の特別措置法の起案に当っても、気象問題が非常に大きく取り上げられたのであります。そこで、ただ各方面と連絡を緊密にするとか、あるいは災害防止についていろいろ研究を進めていくというような御答弁ではなくして、もっと測候所なり、観測所、気象台を一ふやしてもらいたいなどの要望があるはずでございますから、どういうふうな予算措置をなされるか、おそらく気象台ではいろいろな計画があるだろうと思う。この際ぜひ伺いたいと存じます。ないことはないはずでございます。私どもは大臣をお呼びしたのは、この際外局にするならば、それだけの内容を伴わなければならぬ、その方法を聞くためにお呼びしたのであります。どうぞこの際特に災害防止についての御計画を、率直に具体的にお示しを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/53
-
054・吉野信次
○吉野国務大臣 私は具体的のことはあまり何ですが、お話の通り、地方の測候所自体をちょっと私見ましても、まず寝ずの番でやらなければならぬのですが、非常に旧式で設備が悪い。そういうことについても、どうしてこんなことを今までやっておるのかと聞いてみると、やはり営繕費というものは全般的に運輸省がとるものでございますから、測候所だけではいかぬというような従来の点もあったし、それから無線の設備というものがどことどこにあるかと附きましても、これも非常に乏しい。それからあとは少し私のしろうと論で、とっぴですが、たとえば外国の測候所などには電子計算器ですか、ああいうものがないと予報が正確にできないということを、向うの雑誌に書いてあるのです。それをこっちは手でやるものですから、あらゆるデータがあしたの予報には間に合わない。ああいうものが一台あれば、あらゆる利用し得るデータというものを計算に出して、正確な予報ができるというのが、これが外国の例のようです。ですからそういうしろうとの一和半解の知識を気象台に聞いたら、それはあれであるに越したことはないと言いますけれども、その機械は御承知の通り一台が千万円も二千万円もするというようなわけで、そういうような点も一度にはできないのでしょうけれども、少くとも近代的の予報というものに関する設備を、実は持っていないと言うてよろしいだろうと私は思うのです。それですから私もしろうとはしろうとながら、どうしてもこういうものの設備を充実することをやったらいいし、また部分的にあそこにもう一つ測候所があったらというようなところがあるのです。そういうところは何もそう大した人員は要らないのであって、三人でも三人でもおればいいというようなところも全国的に数あるようです。そういうものを漸次来年−度以降の予算において考えていきたい。それから議会でも問題になっております定点観測の問題でも、正直に申し上げますと、毎年毎年大蔵省の方には実は予算を要求するのですけれども、いつでも金がない、金がないで、実現ができないというような点もございますし、そういうことで、やはりこういうふうに衣を新しくいたしました機会に、十分その内容の充実をはかりたいと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/54
-
055・井手以誠
○井手委員 大臣はしろうととおっしゃいましたが、なかなか海外の知識まで詳しいようです。そういう必要を痛感なさっていらっしゃるならば、何カ年計画とは申しませんけれども、やはりこれだけはなくては災害予防の施設はできない、こういう何がなくてはならぬと私は考えております。またそういうことをお示しになってこそ、国会もあなた方に協力ができるのであります。これだけはぜひ災害予防に必要だとおっしゃるならば、私どもも政府に協力して予算の獲得に尽力を惜しまないつもりであります。この点はほかのところも必要でございますが、九州地帯は特に必要だと感じております。今のままではだめです。だから気象台の方ではどこに測候所を置きたいという希望があるはずです。これをこの際お示し願いたいと存じます。それなくしては私は外局にする必要はないと思う。それをもう少し政府委員に具体的に一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/55
-
056・和達清夫
○和達政府委員 もう少し具体的に申し上げますと、第一に気象通信系を整備したいと存じます。気象通信は、気象専用線を気象台が持っておりますが、これが暴風のときにときどき切れたりしますので、近来非常に改善はされましたが、なお有線通信のほかに無線の組織を十分持ちたい、また重要なる気象官署の間は高速度の通信にかえたい、また現在各国でも使われてきました天気図の電送あるいは資料の電送という、無線模写放送というものを実施したいというような、通信糸の整備を考えております。
次に水害の対策でありますが、これももう三、四年越しに整備をいたしてきましたが、まだ全国に三分の一近く残っておりますのを早急に整備いたしたいと思います。これは山地の雨量を自動的に速報するとか、あるいはレーダーを使いまして、山の中の雨量を推定するとかいうような問題であります。
その次は数個予報式の採用でありまして、これはただいま大臣が仰せになりました電子計算機のようなものを得まして、これをもって急速に計算をし、そして予報を出したいという問題であります。
その次は、気象台が長年使っておりまする機械や建物など、非常に老朽いたしておるのが多いので、これを更新いたしたい。
最後に、海上の気象業務というものは、現在海に測候所の足りない折柄、非常に重要でありますし、また海上の遭難も近年非常に多いのでありますから、海上の船舶からできるだけいい観測資料を得、そのかわり海上の者には適切なる海上気象予報、警報を出すというようなことに努力していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/56
-
057・山本粂吉
○山本委員長 これにて質疑は終了をいたしました。——大平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/57
-
058・大平正芳
○大平委員 ただいま議題になっております運輸省設置法の一部を改正する法律案に対し、一部修正の動議を提出いたしたいと思います。
修正案の案文は、お手元に差し上げてございますので、朗読を省略させていただきます。
理由を簡単に申しますと、修正は三点ございまして、一点は、長官を補佐する次長を気象庁に置くということでございます。気象庁におきましては、従来人事行政の上から技術者をもってその長に充てておりましたが、今後も気象業務を行う上から申しまして、長官は技術者をもって充てることが適当と思いますので、行政面から長官を補佐する次長を置く必要があるというのが第一点であります。
第二点は、本法律案におきましては、施行期日が六月一日になっておりますが、準備の都合もございますので、一ヵ月延長いたしまして、七月一日に改めたいということでございます。
第三点は、定員法の関係でございまして、さきに成立いたしました首都圏整備法に基きまして、運輸省から二名の定員を割、愛いたしております関係上、附則におきまして運輸省の定員を二名割愛したことに改めたいというのが修正の第三点でございます。
御賛成を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/58
-
059・山本粂吉
○山本委員長 受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/59
-
060・受田新吉
○受田委員 私からこの法案に対する附帯決議を提案したいと思います。
附帯決議
気象業務の運営は、各省に亙る関係機関との連絡を密にし、災害の防止、産業交通その他の社会活動に対する対策の万全を期する必要がある。従って、機構上、予算上速かに適切な措置を講ずべきである。
右決議する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/60
-
061・山本粂吉
○山本委員長 これより本案並びに修正案を一括して討論に入りますが、別に通告もありませんので、これを省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/61
-
062・山本粂吉
○山本委員長 なければさよう決します。
これより採決いたします。
まず大平君提出の修正案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/62
-
063・山本粂吉
○山本委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/63
-
064・山本粂吉
○山本委員長 起立総員。よって修正部分を除く原案は可決いたしました。
よって本案は修正議決いたしました。
次に受田君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/64
-
065・山本粂吉
○山本委員長 起立総員。よって受田君の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/65
-
066・山本粂吉
○山本委員長 なければさよう決します。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X04219560508/66
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。