1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月十四日(火曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 村松 久義君
理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君
理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君
理事 芳賀 貢君
足立 篤郎君 赤澤 正道君
大野 市郎君 石坂 繁君
木村 文男君 大森 玉木君
小枝 一雄君 楠美 省吾君
中馬 辰猪君 鈴木 善幸君
原 捨思君 綱島 正興君
松浦 東介君 本名 武君
赤路 友藏君 杉野 頼三君
伊瀬幸太郎君 淡谷 悠藏君
石田 宥全君 井谷 正吉君
田中幾三郎君 神田 大作君
日野 吉夫君
出席政府委員
農林政務次官 大石 武一君
農林事務官
(農林経済局
長) 安田善一郎君
農林事務官
(農地局長) 小倉 武一君
農林事務官
(畜産局長) 渡部 伍良君
食糧庁長官 清井 正君
委員外の出席者
農林事務官
(農地局管理部
長) 立川 宗保君
専 門 員 岩隈 博君
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二月十日
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三〇号)
同月十一日
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三三号)
同月十三日
飼料需給安定法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三六号)
同月十日
国立伝貧研究所設置の請願外一件(助川良平君
紹介)(第四六五号)
農産物価格安定の一部改正に関する請願(中馬
辰猪君紹介)(第四六六号)
同(池田清志君紹介)(第四九七号)
耕土培養事業費国庫補助に関する請願(加藤常
太郎君紹介)(第四六七号)
中部上北開田事業促進に関する請願(小笠原八
十美君外一名紹介)(第四六八号)
治山事業促進に関する請願(藤枝泉介君紹介)
(第四七八号)
新農業団体の設置反対に関する請願(永田亮一
君紹介)(第四九八号)
同(五島虎雄君紹介)(第五二八号)
同(中村寅太君紹介)(第五二九号)
同(大西正道君紹介)(第五三〇号)
農地改革の行過ぎ是正に関する請願(椎名悦三
郎君紹介)(第五三一号)
林道開設費国庫補助増額に関する請願(本名武
君紹介)(第五三二号)
森林組合の育成強化に関する請願(前田正男君
紹介)(第五三三号)
林業技術研究費国庫補助増額等に関する請願(
前田正男君紹介)(第五三四号)
林産物の価格安定に関する請願(前田正男君紹
介)(第五三五号)
開拓不適地の返還措置に関する請願(前田正男
君紹介)(第五三六号)
林業災害補償制度確立に関する請願(前田正男
君紹介)(第五三七号)
造林事業対策確立に関する請願(前田正男君紹
介)(第五三八号)
林業の金融対策確立に関する請願(前田正男君
紹介)(第五三九号)
貝守深山国有林野払下げに関する請願(三浦一
雄君紹介)(第五六三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
開拓融資保証法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一一号)
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二号)
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三〇号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三三号)
飼料需給安定法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三六号)
食糧集荷方式に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/0
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001・村松久義
○村松委員長 これより会議を開きます。
去る十日付託になりました。内閣提出、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案、十一日付託になりました、内閣提出、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、及び昨十三日付託になりました、内閣提出、飼料需給安定法の一部を改正する法律案、以上三案を順次議題といたし、審査に入ります。これより各案の趣旨について逐次政府の説明を求めます。大石農林政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/1
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002・大石武一
○大石(武)政府委員 ただいま議題になりました開拓者資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の概要を御説明申し上げます。
今回の改正の第一点は、昭和三十一年度から新たに農地開発機械公団が保有いたします機械を使用して行われますところの、いわゆる機械開墾事業地区の開拓者に対し貸し付けられます資金の範囲、償還条件等を定めた点であります。
御承知の通り機械開墾は、ごく短時日の間に開墾が完了いたしますので、その営農もまたこれに伴い速度を合せて参らなければならないわけであります。従って機械開墾地区に入植いたします開拓者は、一般の開拓者に比べ開墾営農を通じて当初から相当多額の資金を必要といたしますし、また従来とは異なった新しい種類の資金も必要となる次第であります。
そこで政府といたしましては、機械開墾地区の特殊性にかんがみ、この地区の入植者に対して新たに必要な資金並びに飲料水供給施設その他政令で定める施設を設置するのに必要な資金を貸し付けることができるようにいたい所存であります。しかし、これら資金の償還条件は、開墾、営農を通じてごく基礎的な資金については従来の一般入植者に対する営農資金についての条件と同様年二分六厘五毛、据置五年、償還期間二十カ年とし、その外の資金については年五分、据置期間中は無利子といたしたいのであります。
改正の第二点は、従来既入植の開拓者に対して、家畜資金等の貸付を行い、その経営の確立に努めて参りましたが、これは現在五分五厘で二年据置、五年据置の条件でありまして、営農確立途上の開拓者にとっては、その生産を拡大する上において多少重荷となっている点もありますので、より有効に拡大再生産に役立たせるためには、もう少し償還条件を緩和する必要があるかと存じます。そこで償還期間を若干延長いたしまして、三年据置、八年償還の条件といたしたいのであります。
最後に、改正の第三点といたしましては、昭和二十八、二十九年の両年にわたりまして、凍霜害、風水害等でかなりの被害をこうむった開拓者が相当あるわけでありますが、これらの者をこのまま放置いたしますと、受けた痛手のために、遂にはせっかく今まで築き上げてきた成果がくずれ、生産の縮小を余儀なくされるものも出て参るかと思われます。よって政府といたしましては、これら連年被害を受けた開拓者に対し、農機具、畜舎サイロ、堆肥舎等生産の基盤となる設備を整えるに必要な資金を貸し付けることによって窮状を打開し、営農の基盤を確立させて経営の安定をはかろうと考え、新たに五分五厘で三年据置、十二年償還の資金を設けたいと存するものであります。
以上が、この法案の趣旨と内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
次に農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
農林漁業金融公庫は、その設立以来三年、その前身である農林漁業資金融通特別会計時代をも通算いたしますとすでに五年間にわたり農林漁業者とその組織する農林水産業団体、土地改良区等に対し、農林漁業の生産力を維持増進ずるために必要な資金を、長期かつ低利で、融通して参りましたことは、皆様のよく御承知の通りであります。
この両に同公庫が貸し付けしました資金の総額は、千百六十六億円に上っており、昭和三十年度末現在の融資残高は、九百五十億円以上に達する見込みであります。また、同公庫は、昭和三十年度から新たに自作農維持創設資金の貸付をも始めておりますが、すでに当初計画額のうち相当額の貸付を完了いたしております。
昭和三十一年度におきましては、前年度に引き続き、食糧増産等重要農林漁業施策に呼応して、土地改良事業、漁船の建造等に要する農林漁業の生産施設資金の融通を行うほか、新たに農山漁村建総合施設等に要する資金の融通を行うことといたしております。三十一年度における同公庫の融資総額は、全体として、二百九十億円でありまして、前年度に比較いたしますと三十億円の増加になっております。この二百九十億円の貸付を行うための原資は、産業投資特別会計からの出資金十億円、回収金八十億円、資金運用部からの借入金百四十五億円と簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金五十五億円となっております。
従いまして、政府の産業投資特別会計から十億円の出資をするため、農林漁業金融公庫法の一部を改正する必要がありますのでこの法律案を提出いたした次第であります。すなわち同法の現行規定の第四条中政府からの出資金が四百六十六億七百万円となつておりますのを、十億円増額して、四百七十六億七百万円に改めるものであります。
右のような資金構成によりますと、公庫の資金調達原価は、二十九年度までに比べ、やや高くなつおりますが、公庫の経費を節約するほか滞貸償却引当金の積立率を調整して貸付金利の引き上げ等は行わないことといたしておる次第であります。
以上がこの法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
最後に飼料需給安定法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
すでに御承知のごとく飼料需給安定法は、政府が輸入飼料の買い入れ保管及び売り渡しを行うことによりまして、飼料の需給及び価格の安定をはかり、もって畜産の振興に寄与することを目的として、昭和二十八年三月より施行せられた法律でありまして、その運用につきましては、制定の当初は財政上の制約もございまして、遺憾ながらその機能を十分に発揮し得なかつた事例もございましたが、本年度は、政府の輸入飼料の売買差損を食糧管理特別会計中に織り込むことといたしましたため、輸入ふすまをはじめ相当量の輸入飼料の買い入れ及び保管を行うことができ、また一方には、昨年秋の大豊作の影響も加わりまして、最近の飼料事情は比較的安定した状況を示し、おおむね本法所期の効果をあげ得たと存ずる次第でございます。
明年度におきましても引き続き政府の輸入飼料の売買差損につきましては、食糧管理特別会計中に織り込むこととし、この法律に規定されております飼料需給計画に従って輸入飼料の買い入れ、保管、売り渡しをいたす次第でありますが、保管中の輸入肥料、特にふすま等におきましては、梅雨期などに際し、高温多湿等主として気象上の影響によりまして品質が低下し、ために国庫に損失を与える場合も予想されるわけであります。
従いまして、本改正案では、保管する輸入飼料の品質が低下し、国庫に著しい損失を生ずるおそれがある場合に、現行法におきましては、買い入れ、保管及び売り渡しの対象外となっております国内産飼料も含めまして、同一品目、同一数量の飼料と保管操作上必要な買いかえまたは交換を行い得る規定を新てに設けまして、損失を未然に防止するとともに、保管飼料を良好な状態において保持し、もって本法の所期の目的達成に資するごとといたしたいのであります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/2
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003・村松久義
○村松委員長 ただいまの政府説明法案に対する資料の御要永があれば承ります。——ただいまのところなければ次の日程に入ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/3
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004・村松久義
○村松委員長 開拓融資保証法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑があればこれを許します。——御質疑がなければ次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/4
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005・村松久義
○村松委員長 引き続いて家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。御質疑があればこれを許します。——御質疑がなければ本案の審査は後日にこれを延期いたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中正〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/5
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006・村松久義
○村松委員長 速記を始めて。引き続きこれより、食糧の集荷方式の問題について調査を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/6
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007・村松久義
○村松委員長 御異議なしと認めます。御質疑があれば発言を許します。中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/7
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008・中村時雄
○中村(時)委員 いずれ詳しい内容や方法に対しましては、農林大臣の出席のもとにいろいろ質疑をしてみたいと考えておりますが、き上うち上うど農林大臣の御出席がないので、一応政務次官に概念的な問題を一、二お尋ねしておきたいと思うのです。
去る九日に、河野農林大臣は清井食糧庁長官に対して、今まで懸案になっておりました三十年産米の余剰米対策に対して、臨時特別集荷制度を設けて、一応集荷をはかりたい、こういうふうな意見の発表をいたしているわけなんでありますが、政府当局として、特別集荷へ踏み切って、あくまでもこれを行うというお考え方を持っていらっしゃるかどうか、まず第一点政務次官にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/8
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009・大石武一
○大石(武)政府委員 前にたびたび大臣に対する御質疑の答弁のうちにも申し上げておりますように、本年度は相当の米が政府に集まる見当でございます。ところが、残念ながら、今までいろいろと農協その他の方面の協力にもかかわらず、所期の目的を達しない状態でございます。従ってもっと国民の食生活を安定させるために所期の目的というのは一応目的まで達しておりますけれども、でき得る限り農家に余っております米を政府に売っていただきたいのでございます。その目的を達しますためには、ぜひともいろいろと皆様の御協力を得なければなりませんので、どの方法がいいかということを目下研究しておりますことは事実でございます。今その研究中でございまして、その後の情勢によりまして判断して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/9
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010・中村時雄
○中村(時)委員 大臣がたびたび発言をされたとおっしゃいますが、当委員会の大臣の発言はたった一回なんで、たびたびでもなんでもないので、まだ内容もほんとうにわかってない状況なんです、そこで、せりかく研究中だとおっしゃるのですが、その大体の構想はどの程度の研究過程までいっているか、御発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/10
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011・大石武一
○大石(武)政府委員 それは食管長官のもとで今研究さしておりますので、いずれ参りましたならば御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/11
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012・中村時雄
○中村(時)委員 私は食糧庁長官に個個にわたった規定的な問題に対する話し合いはしたいと思いますが、概念的な問題に対して、たとえば新聞紙上の伝えるところで、内容は別といたしまして、責任があるかないかも別といたしまして、一応三十年の余剰米対策といたしまして臨時特別集荷制度を実施するということ。それから第二点の中心は、集荷業者は従来の指定集荷業者のほかに新たに一定の資格のある業者を追加指定するということ、だから新しい業者がここへ入ってくるわけであります。それからもう一点は、集荷業者の区域です。今までは市町村を単位にいたしまして集荷をはかっておったのですが、それを全県一般に広げるという、この集荷に対する区域の問題、これが第三点。第四点が集荷業者は生産者の売り渡し委託を受けて米穀を政府に売り渡す、こういう構想を打ち出されていらっしゃる。この構想はやはり研究の過程において一応討議をされ、大体この方式が進められるお考えを持っていらっしゃるかどうか。今の四点の問題についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/12
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013・大石武一
○大石(武)政府委員 私もそれは新聞に書いてあることを読みましたが、そのようないろいろな研究もいたしておることと思います。そのうちのどれを採用するかということはまだ決定いたしておりませんので今お答えするわけに参りませんが、少くとも大臣が予算委員会その他で答弁されております通り、いわゆる買い取り制度というものはいたさない方針でございます。ただ私どもはどのような方策をとるかというのは、もしその集荷を実施する場合にどのような方策をとれば米が多く集まるか、将来どのような影響を与えるかというような問題は十分勘案して、一番いい方法をとりたいと今考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/13
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014・中村時雄
○中村(時)委員 買い取りはいたさないという御発言がありましたが、在来において一体買い取りをしておったのでし上うか。あるいは買い取りをしないとするなれば一体どういう考え方で進められようとするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/14
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015・大石武一
○大石(武)政府委員 生産者が直接政府に売る、今農協を通じて売っているような形、行うとすればそのような形式で行うのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/15
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016・中村時雄
○中村(時)委員 それではちょっとお尋ねしますが、今の制度はどうなっておるのですかあなたは生産者たる農民が委託をして農協に売って、それから農協の商品を買い取る、こうおっしゃったでしよう。そうすると、買い取りはいたしません、それでは一体どうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/16
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017・大石武一
○大石(武)政府委員 私はこう申し上げたと思いますが、農民が農協に委託して政府に売っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/17
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018・中村時雄
○中村(時)委員 それはその通りなのです。それなら今の機構と何ら変りはしない。今の集荷制度というものはそうやっているのです。あらためて買い取りはいたしませんと見えを切ったって今の通りなのですそうなのでし上う。そうしたら買い取りはいたしませんというその特殊集荷というものは一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/18
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019・大石武一
○大石(武)政府委員 つまりもう一ぺん申し上げますと、集荷団体のうちに新しいものをもし加えましたならば、どのような影響を与えるか、どのような効果があるかということは考究いたしていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/19
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020・中村時雄
○中村(時)委員 いや私の言うのは、今あなたのおっしゃったのは買い取りと問題をおっしゃったのですよ。集荷の新しい業者を加えて云々という問題は第三点の問題なんです。今当初質問しているのは、買い取りはいたしませんとおっしゃったから、それじゃ今までの集荷はどういう形態でやっておったのか。たとえば今までの特集米の集荷に対して買い取りなら買い取り、委託なら——おそらくあなたのお考えは委託ということを言いたいのだと思うのですが、委託なら委託という一つの考え方になってくる。買い取りをしなくちゃ委託だろうと思うのです。そこで、それじゃ在来買い取りをやっておったのか、委託をやりておったのか、一体どういうお考えをもって今まではやっておったのかということをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/20
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021・大石武一
○大石(武)政府委員 中村さんのそれぞれの御議論は非常に恐縮ですが、なおこまかい技術的な問題につきましては食糧庁長官が参りますので、それより答弁いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/21
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022・中村時雄
○中村(時)委員 こまかい問題よりも大きな問題を言っておるのです。ただ二つだけです。買い取りをやりませんというから、買い取りをやらなければ何をやるのですかと聞いておるわけです。あなたのおっしゃるのは、生産者である農民が農協に委託をして売ります、こう言う。それならけりこう、それだったら現行通りで、何も特別にこんなことをせぬでもよろしいじゃないかと私は言うのです。そうするとあなたは買い取りをいたしませんというふうにまたむずかしい問題を持ち出す。買い取りをいたしませんというと、それじゃ何をやるのですかと言うのです。それじゃ以前においてはどういう形態で何をやったかと聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/22
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023・村松久義
○村松委員長 中村君に申し上げますが、研究は食糧庁長官にやらしておる、こう言うのです。その詳細のことは、本人が参りますので、一つ暫時このままご休憩を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/23
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024・中村時雄
○中村(時)委員 それでは食糧庁長官の出席を求めまして、一応来るまで休憩の動議を提出いたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/24
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025・村松久義
○村松委員長 それではそのままで休憩をいたしております。
午前十一時二十九分休憩
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午前十一時三十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/25
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026・村松久義
○村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
引き続いて質疑を継続いたします。中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/26
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027・中村時雄
○中村(時)委員 食糧庁長官にお尋ねしたいのですが、去る九日の日に、博別集荷の問題に関しまして、余剰米の吸い上げという課題で、農林大臣が清井長官に対して、一つの指示、方向を与えたということを新聞紙上に見たわけなんですが、これに対してどういう構想をもって集荷に関する考え方をしていらっしゃるか。せっかく研究中というお考え方があるかもしれませんが、研究中であるなれば、大体どういう程度の方向を確立しようとする研究をなさっていらっしゃるのか、その問題についてまず概念的な問題をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/27
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028・清井正
○清井政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、その前に、私ちよっと所用がございまして大へんおくれまして、恐縮でございます。
大臣からいわゆる能率集荷と申しますか、集荷の問題につきまして検討をしろというお話がありましたことは事実でございます。それに基きまして、ただいまお尋ねのところをいろいろ事務的に、集荷の問題につきまして検討いたしておる最中でございます。まだ最終的な結論には達していないのでございますが、私ども事務当局において考えております構想を端的に申し上げてみたいと思うのであります。昭和二十七年産米につきまして、世間で特集といわれております特集制度をしいたことがあるのでございます。その場合の制度は、申すまでもなく、商人系統のものが新しく集荷業者として入りまして、その人たちと、従来の集荷業者の方々、いわゆる農協系を中心とする集荷団体等を含めまして、全部毛産者から米を買い取りいたしまして、買ったものを政府に売る、こういう制度をい失したのであります。その点が前回の特集制度のいわゆる特質だったわけであります。ところが、今般研北いたしていることにつきまして一番考慮いたさなければならない問題は、かりに買い取りにいたすということにいたしますと、そこに所有権が移ることになります。そこでいろいろ問題をかえって惹起するおそれがないか、あるいは生産者が買いたたきをされる問題もありますし、あるいは極端に申しますと、政府に売らずに横に売るというようなことも考えられるのではないかというようなこともありましたので、私どもといたしましては、昭和二十七年産米につきまして行なったいわゆる特集制度はとらないという考え方でおるのであります。しからばどうするかということでございますが、この方法の一つの問題、いはわゆる代表者提出、匿名の問題がございます。もう一つは、新しい集荷団体と申しますか、集荷業者を入れるという二つの問題があるのでございます。
最初の代表者供出並びに匿名と申しますのは、申すまでもなく、生産者個人が自分の名前を出さずに、代表者の名前で政府に売却いたすということでございまして、その制度は現にしかれておるのでありすまして、二十八年産米につきましても実施いたしましたし、二十九年産米につきましてもその制度を実施いたしたのであります。従って今回におきましても、この匿名、代表者供出制度はぜひ残しておかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えておりますのが一点であります。
それからその代表者、匿名の問題以外に、新しい業者をこの際入れるという問題があるのであります。これは御承知の通り、現在農協系統で集荷団体としてやっておりますものが一万二千ございます。そのほかに、いわゆる業者として集荷に当っておりますものが二千百ばかりあります。そのほかに、一定の資格を持っているものを県の申請に基きまして県知事を経て大臣が認定いたしましたものを、新たに今回集荷に加えようという構想と二点の問題があるわけであります。そこで今申し上げたような二つの点を中心といたしまして今度の新しい集荷制度を実施いたしたらいいんじゃないか、こういうような考え方で検討いたしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/28
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029・中村時雄
○中村(時)委員 もう一点、ちょっと概念的な問題としてのお尋ねは、今の匿名、代表の問題と、新しい業者の問題と、もう一つ地域性の問題がおそらく御構想の中にあると思うのです。今まで市町村でやっておったものを全県一地域にするという考え方があるかどうか、この点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/29
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030・清井正
○清井政府委員 その点申し落しました。構想があるのであります。と申しますのは、その代表者でやる、あるいは匿名でやる場合におきましては、これは市町村の中の一応だれでもいいということになるわけであります。従つて市町村の中のワクをはずすわけであります。今までAならAという生産者が、Bという人とつながっておりましても、今回それをはずしていくというところに能率的な意味があるわけであります。それから今度の新しい集荷制度でやる場合におきましては、府県単位でワクをはずすということにいたしていきたいという考え方で、ただいま私どもにおいて構想を練っている最中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/30
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031・中村時雄
○中村(時)委員 もとに返りまして、今までのは農民より買い取りをして政府に移すと、そういうことの権利を買い取った者が権利を持つからいろいろな問題が起るのでこれを取りやめる、こういうお考えのようですが、それでは、今までの特集制度における集荷という問題は買い取りということであったのかどうか、またその買い取りであるということが一体どこに表わされておるか、この点をお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/31
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032・清井正
○清井政府委員 昭和二十七年に特集制度をしきましたときには、これは買い取りを実施いたすことにいたしておるわけでありまして、買い取りということは、現在の食糧管理法の施行令にも、施行規則にも、その趣旨が出ておるのであります。特別集荷制度、特別集荷業者という名前におきまして、施行令、施行規則に買い取りの趣旨が表われておるわけでありまして、現在の食糧管理法施行規則をそのまま執行いたしますならば、当然特集がしかれるということになるわけであります。そこでただいま申し上げました通り、買い取りということは諸般の事情からかんがみてこの際とらないということで、買い取りによらない制度によってやっていこう、こういうことであったのであります。買い取りにした趣旨は、政府に売る価格は一般のときと同じでございますから、手数料の範囲内において競争させたものと考えております。従って手数料の範囲内において競争したということが、おそらく二十七年産米の特集制度の趣旨ではなかったかというふうに実は考えておるのであります。しかし今回はこういうことはとらずにいこうという考えでやっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/32
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033・中村時雄
○中村(時)委員 一体施行令のどこに買い取りという問題を取り上げているか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/33
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034・清井正
○清井政府委員 施行令の趣旨としては、五条に一つまず根本的な制度が載っておりまして、さらにこれが規則の方に参りますと、食糧管理法施行規則の十五条の三から十五条の十一までが特集の規定になっておるのであります。そこで私の方で特段の意思表示をしなければ、当然食糧管理法の規則上特集制度がしかれる、こういう制度になっておるわけであります。なおそのほかに、米穀の生産者は政府以外に売ってはならないという規定がございます。その例外として、特別集荷業者に売る場合はこの限りでないという意味の規定がございまして、特に特別集荷業者には生産者が米を売れるという規定が施行規則の中にあるわけでございます。それらが現在の買い取り制の根拠となっている規定かと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/34
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035・中村時雄
○中村(時)委員 私の不勉強かもしれませんが、その施行令の中から見た感じでは、買い取りという一つの限定は私には見受けられない。ただその概念的な、一つの常識的な判断の上からくれば、これは買い取りでもあり、また委託も含んだ広範囲なものであろう、こういうふうに推察ができるのであります。そこであなたのおっしゃっている買い取りという定義が一体どこにはっきりと書いてあるかということをお尋ねしておるわけです。果してだれに政府の権利が移行されて、どこに買い取りとしての条文がはりきりうたわれているかどうかをお聞きしておる。私の不勉強かもしれませんから、それがどこに書いてあるかということを懇切丁寧にお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/35
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036・清井正
○清井政府委員 規則の十五条の三と五条の四十をお読み下さいますと、十五条の四の中に「特別指定集荷業者に売り渡す場合は、前条の生産者が、同条の農林大臣の指定する期日以後において売り渡す場合とする。」というふうに書いてございまして、特別指定業者には売り渡しし得るという根拠があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/36
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037・中村時雄
○中村(時)委員 それでは、売り渡しをすることができるということと、あなたの言うようにちっとも買い取りをやらないんだというその買い取りの問題とは別個の問題なんです。今でも生産者が農協に直接売り渡しをすることはできるのです。ただあなたは買い取りという表現を使ったが、その買い取りをやらないという定義は一体どこにあるか、またどういう理由で買い取りをやらぬのか、この二つを私は聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/37
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038・清井正
○清井政府委員 生産者は今政府のほかには売れないことになっておるということは御承知の通りでありまして、全部農協の委託であります 従って代理人として政府に売っておるわけであります。ただいまの売り渡し制度は全販連が生産者の代理人として、生産者の名において政府に売っておるわけであります。従って政府以外には売れないという規定が現在あるのでありまして、それによりまして、ただいま申し上げた通り、生産者は政府以外に売れないけれども、特別指定集荷業者に売れるということになっておるのでありまして、この制度の運用としては、生産者は特別集荷業者に対して売る、特別集荷業者は政府以外に売れないのでありますから政府に売る、こういうようなただいまの構成になっているわけであります。そこで売買の形をとるということになりますと、ただいま申し上げた通り生産者が非常に買いたたかれるという問題も起りますし、所有権の移転もございますから、そこに政府以外に売れないという実際上の問題も起り得るのでありまして、政府が全部集めるという本来の使命から考えたならば、やはり買い取り制度にしないので、売り渡し制度にした方が農業上の制度としてはよろしい、こういう考え方から今回は売り渡しをやった方がいいだろう、こういうように判断したようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/38
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039・中村時雄
○中村(時)委員 委託という制度にしていきたいということをはっきりおっしゃったわけでありますが、そうすると今言った売り渡しをするということが委託であるか買い取りであるかという問題の限界をどこに置いて調査をされるか、どこにおいてこれが委託であり買い取りであるかということの見込みをつけられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/39
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040・清井正
○清井政府委員 これは申すまでもないことでありますが、あるいは御質問の趣旨と通うかもわかりませんけれども、これは販売いたす場合は、普通の場合でありますれば、当然政府以外には売れないのでありますから、むろん全販連は全敗連の名をもって売っておりますけれども、それは生産者の代理人といたしまして生産者の委託を受けて政府に売るという制度になっておるのであります。それで生産者は政府以外に売れないということが当然起りてくる法律的な考え方からきているのでございまして、少くとも私どもは代理人としての扱いを農協にはいたしておるのであります。それが買い取りの場合は全然表面に現われてきませんで、これは売買でありますから、従って仲介の農業団体あるいは指定集荷団体から買うということにならざるを得ないのであります。その規定が現在の食管法の施行規則できめられておりますので、その場合はそれでよいということになるかもしれないのでありますけれども、表面的には代理人という形で現われてくるか、本人の名前でそのままそれが売買の形で現われてくるか、そこに問題が法律上の問題としてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/40
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041・中村時雄
○中村(時)委員 たとえば食管法施行令の第五条の五には、「米穀の生産者は、その生産した米を政府以外の者に売り渡してはならない」と基本的にははっきりしているから、中間的ないろいろの操作の上において買い取りをするか委託をするかという問題であって、問題は、その場合には枝葉末節の問題だろうと思う。
そこで問題としてお聞きしたいのは、その買い取りを行わないということの原因が、今言ったように権利を譲渡してやったためにいろいろの問題が起ってきたとおっしゃったが、権利を譲渡したときの、問題が起ったということは、一体どういう問題が起ったのか、それを一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/41
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042・清井正
○清井政府委員 これは何も今起っているということを言うのではなくて、起りゃしないかという心配からでございまして、昔は特集をやりましたときには、百万石ばかり特集制度で集まったのであります。これは生産者系統が五十万石で、それからいわゆる商人系が五十万石で、百万石集まった例があるのでありますが、そのときにはもっともっと集まるだろうと思っておったところが、案外集まり方が少かったという批判が行われたのであります。どこに原因があるかという点でございますが、この点は、やはり一度買い取って売るわけでありますから、むろん法規上は政府に売らなければならぬのですけれども、そこに若干問題が起らないかという、過去の昭和二十七年産米のときにそういう問題があったから、今回もそういう問題が起る可能性はないかという心配があるのでありますが、起るということを申し上げているのではないのであります。起る可能性があるのではないかということが一点。買い取りをやるときはそこで仕切るわけでありますから、あるいは生産者が非常に買いたたきをされるということが起り、そこにマージンで受け取るということも考えられる可能性があるのではないか。従ってそこで全部委託ということでやった方が生産者にもいいし、政府にもその方がいいのじゃないかと思うのです。少くとも二十七年度の経験にかんがみて、買い取り制度をやらない方が政府において集まるし、生産者にも正当な価格が保証されるのではないか、そういうような考え方から、今回は買い取り制をやらない、こういうような考え方にいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/42
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043・中村時雄
○中村(時)委員 そこで私がもっと現実的に入ってお尋ねしたいのは、たとえば昭和二十七年度における産米、特殊米集荷の、そのときの実績というものをどういうふうに取り上げていらっしゃるか。私の方では当時において六十二万七千石余り集荷されて、商人系が三十一万六千石、農協側が三十一万、大体こういうふうに取り上げられておる。その集荷の価格は当時一万五百円、これはもちろん超過供出奨励金、早場米奨励金等を含めて一万四百円の上に手数料を百円プラスをいたしまして一万五百円として、その当時集荷をはかったはずであります。そうして買い取りを行なった、すなわち権利の譲渡をやったという建前から、遂にこれが非常に問題になりまして、当時におきましては、集めたものは六十二万石ぐらいであったのが、実際のやみに流れたのが、百万石以上だろうという推定さえ立ったわけであります。そこにこういう制度が問題になってきた、私はこのように記憶しておる。
そこで問題として考えられることは、そのような買い取り制の方法をとった責任は政府にあるのであって、一般にあるのではないのです。みんなは政府がそういう手落ちをしておきながら、推定をするから、将来こういうことが行われたらいけないからというので私は考え方を直したいと思います、こういうことを言つていらっしやいますが、その責任は一体だれがとるのです。少くとも私は今申し上げましたように、以前において実績の上からこの買い取り制に対しては、こういう大きな間違いがあったということが、はっきり実証されておる。そこでこの買い取り制というものがいけないんだというなれば話がわかる。ところが将来を推察して、もしもそういうことになったら困りますからというようなことでは、私はちょっと納得ができないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/43
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044・清井正
○清井政府委員 実は私は中村委員のおっしゃることを是認いたしておるのであります。というのは、過去にこういう実績があったから、今後こういうことをやりて問題が起ったら困るからやりませんということを申し上げた。それは二十七年産米について、中村委員がおりしゃった通り——私の方の数字では百一万九千石、農協系が五十一万九千、商人系が五十万を扱ったことになりますが、数別の問題は別といたしまして、そのときにやはり非常な問題が起りたという過去の実績があるわけです。その実績に照らして、今度の制度につきましては売り渡し制はとらない方が政府の趣旨に合うのだというふうに考えましたからやらなかったのであります。今度やったときにそういう問題が起るかという心配もあるわけでありますけれども、主として申し上げた点は、中村委員のおっしゃった通り、二十七年産米の集荷制の弊害があったから、買い取りをやらないんだということが今度買い取り制をやらなかった主原因になるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/44
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045・中村時雄
○中村(時)委員 問題はそういうふうに買い取りということで、そういうことになったというならば話はわかりますが、その当時においてそういうふうな権利の譲渡をしたけれども、たとえば今は生産者から直接に代行機構としての農協なり、商人のところに行く。それを今度は政府が委託をするとなると、行政機構としての権利を委託することになる。そうすると、これらの業者というものは二重人格になる。一つは生産者の代行をし、一つは政府の代行をする、こういう二つの姿が、その機構の中に出てきはせぬかと思うのですが、これに対して、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/45
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046・清井正
○清井政府委員 これは法理的に申しますと、政府の代行ではないのであります。今までのような委託であります。代行と申しますのは、御指摘の通り、政府が集めたいからお前集めろというのが代行でありますけれども、今度私どもが考えておりますのは決して代行ではないのであります。今までの委託をする業者に新しい資格の者を入れまして、その者に生産者が売り渡しを委託することができるというので、強制をしているわけではない。新しく有資格者を少しふやしまして、今まで農協に委託したと同じように委託して政府に売ることができるということでありまして、強制したりまた目標を作るわけではないのであります。法律的に代行という考え方はとっていない。今まで通りのやり方でやる、こういう考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/46
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047・中村時雄
○中村(時)委員 それからもう一点は、商人系統に以前の特集米のときには代理人制度というものを設けておった。そうして甲、乙に分けて代行の権利を委譲しておった。この制度は依然として続けられるかどうか、今度の場合にはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/47
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048・清井正
○清井政府委員 私どもはそごをやった方がいいんじゃないかと考えておるのであります。代理人と申しますか、これは資格を持もつのは個人じゃございません。御承知のように事業協同組合が資格を持つのでありまして、個々の商人が有資格者になるわけじゃないのであります。一定の資格を持ちました事業協同組合が新しく入ってこられるのであります。従って、組合が資格を持つけれども、実際農家に行って集荷し得る者は、それに従う従事員である、こういうような者が当然行かざるを得ないことになりますので、やはりそこに甲なり乙なりの区別をつけまして、今度入り得る有資格者と実際に集荷に当る者というように分けて取り扱わざるを得ないことは当然なことになって参ります。従って私どもも大体そういうふうにいかなくちゃならぬじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/48
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049・中村時雄
○中村(時)委員 その場合在来乙票は二十枚ぐらい出しておったが、今度も大体二十枚ぐらい出すつもりか、新規加入させる商社は大体何枚ぐらい考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/49
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050・清井正
○清井政府委員 これは前回は確か二百人出したのであります。今回もおそらく、数もふえておりませんし、大体そのくらい出るのではないかと推定いたします。御承知の通り前に集荷した経験のある者とか、新しく集荷をやる者が三分の一以上でなければならないとか、集荷委託業者を限定しております。しかも事業協同組合でなければならないという資格を限定いたしております。その後申込みがそんなにふえておりませんから、せいぜい見込みましても、前回特集をやりました二十人程度のものが入ってきやしないかと考えております。
それから、この前二十人ということでございましたが、私どももその程度で、大体前回の例を踏襲してやるべきじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/50
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051・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると、大体二百名をやって、代行二十人といたしますと、新しい者は四千人ふえる、このように了解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/51
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052・清井正
○清井政府委員 四千人と理解いたしますか、資格のある者は二百人でありますけれども、その下に働く者が二十人、私どもはそういうふうに考えております。ただその下で働く者が二十人ということでございますから、これはどういうように考えますか、経済的右資格者というものは二百人であります。これはどういうように理解いたしますか、その点は理解の問題であります。私どもは二百人が有資格者だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/52
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053・中村時雄
○中村(時)委員 それは言葉のあやの違いで、実際に動く者は、二十人下につくから四千人ということになると思うのです。そこで一点お聞きしたいのは、今まで、たとえば商人側として二千百名と言っていらっしゃいましたが二千百名プラス大体二百名、その下に働く者が三十人として四千人。実際は今までの商人系統といたしましては、大半はその町村に住んでおりた人たちが行なっておった。ところが地域制をこうやって拡大いたしまして、全県一円ということにいたしますと、新しく現われてくる業者というものは、少くとも県内に住んでおるところの卸売業者が主体になるのではないかと思いますが、その点はどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/53
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054・清井正
○清井政府委員 これは事業区域は当然限られておりまして、たとえばAならAの県に卸売をやってお、る者あるいは団体がありまして、それが今度新しく区域になります当該県内に事務所を出すということになりますれば、当然その当該県が事業範囲になるわけであります。市町村範囲でなくて、県に広がることに問題がありますけれども、やはり事業区域というものは、普通の営業所と同様でありまして、地域的に事務所のある場所に限る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/54
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055・中村時雄
○中村(時)委員 だから、もっとわかりやすく言いましよう。たとえば県に卸売業者がいる。ところが町村にそれに対する小売業者がいる。それを代理として一応認めていくことになる。そこで実際に新しく出てくるものは、現実に動いているところの市町村内に住んでいる商人ではなくて、あなたの構想からいくと、県内に住んでおる卸売業者、すなわち今まで予約集荷に直接関係ない人たちがその中に登場してくるんじゃないかということをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/55
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056・清井正
○清井政府委員 そういうことはあり得ると思います。今までの市町村にだけやったものではなしに、県区域に広がる関係上、そういうことは実際問題としてあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/56
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057・中村時雄
○中村(時)委員 もう一点。参考のために今は聞いているわけなんですが、たとえばあなた方が省令を作られるときに、大臣に申請をされていろいろ省令を出されるわけなんだが、その省令に対しての責任は常に持っていらっしゃるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/57
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058・清井正
○清井政府委員 省令の責任は事務当局にございますから、当然責任を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/58
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059・中村時雄
○中村(時)委員 それでは一点お尋ねいたしますが、二十七年産米を集荷される場合に、買い取り制に非常に不備な点があったために、いろいろなやみ取引、やみ米が地方に流れていったということは、先ほどお認めになられました。その結果、食糧第四千九百九号をもって次官通達でまず当初これを行なって差しとめる、延期をする。さらに続いて十日十二日に農林省令第六十五号をもって、昭和二十九年八月三十一日までは行わない、こういう公布をされた。さらにそれから昭和三十年八月三十一日に、これをまた農林省令第五十四号をもって改めたわけです。その後再び、河野さんがたしか渡米をしている最中だりたと思いますが、省令をもつてこの予約集荷制度は特集米に関する限りは八月三十一日までは行わないという出し方をされたと思うのですが、されましたかどうかということを再確認したいと思いますけれども、その点についてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/59
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060・清井正
○清井政府委員 お話の通りであります。昨年のたしか夏でございましたが、特集の規定を一年間眠らしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/60
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061・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると、非常におかしな格好になる。たとえば、現在この特集米制度の考え方を改めてこうしたいという考え方をされるならば、一体この省令はどういう考え方をもって処理されようとされているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/61
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062・清井正
○清井政府委員 先ほど申し上げました通り、現在の食糧管理法施行規則は特殊制度も入っておりまして、黙っておりますと、特集制度が実施されてしまうのであります。それではいけないということで、今まで過去二年間にわたってその規定を眠らしておったわけであります。本来の制度はやっておったわけでございますが、その制度をやりながら、同様に特集制度をやることはおかしいということで、昨年の八月に今後一年間にわたり特集制度はやらないというふうこいたしましたのが、昨年出しました規則でございます。過去の例にならってそれを継続いたしまして、特集制度をやらないという規定を出したわけであります。と申しますのは、現在の食糧管理法施行規則は特集制度も入っておりますので、黙っておれば特集制度は施行されてしまう。それをとめる必要があるというのでやりましたのが臨時の制度であります。ところが、ただいま申し上げました通り、特集制度は売買ということが一つの大きな特徴になっております。それで今回、売買についていろいろな弊害を認めて、今度の豊作に伴うところの臨時集荷制度ということで実施いたすわけであります。ただいまの集荷制度は現場則はそのままにしておりますけれども、新たに規則を出して、臨時の集荷制度を実施いたしたいということで、ただいま規則をせっかく事務当局において練っておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/62
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063・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると問題は、買い取り制度にしておった権利の移譲だけが問題になっているのですから、政令で直していけばいいのであって、何も膨大な、そんな大がかりな、機構まで錯綜する方法は必要ではないのではないかという考え方を持つ。買い取りをする、あるいは委託をするにつきましても、その内部操作の判定をする場合に、判定が非常に困難性を持つだろうと思う。そういうようなことを勘案いたしますと、何を好んでこのような問題を出すかという、次の問題に入ってくるわけでありますが、河野農林大臣は大みえを切って、買い取りはせぬのだといばってみたところで、こんなことは枝葉末節の問題です。そこで問題になってくるのは、そういう制度の運用をどうするかということにしかすぎないのじゃないかと私は思う。そこで私は制度の運用をどうするかということに関してのみ、一点お聞きしたい。ということは、今までの政令を直して、機構をそのように大幅に混乱させるような必要はないのではないかという考え方を持っているのですが、あなたはどういうお考え方を持っているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/63
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064・清井正
○清井政府委員 お説の通り、かりに食糧管理法施行規則を直していくという方法も法令的にはなくもないと私は思います。ただ毎年々々本来の制度を実施いたすわけであります。今度の制度は豊作という特殊事情による臨時の制度でありますがゆえに、食糧管理法施行規則を直さずに臨時のことしの特別の場合の集荷制度という考え方でいくためには、やはり本則をいじらずに新らしい規則を出した方がいいのじゃないか、こういう考え方でやっているわけであります。申すまでもなく特集制度自体が食糧管理法施行規則に入っていることが問題でありますから、私はこれは臨時の制度ということで出していきたい。本質が申すまでもなく違つているのですから、新らしい制度でもって食管法の規定に基いて臨時の集荷をやるということで行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/64
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065・中村時雄
○中村(時)委員 ただいまは質疑応答という問題よりもいろいろなことをお聞きしているわけなんですが、そこでもう一点だけお聞きしたいのは、そのような状態で、あなたは本年度は豊作であったからという状態に基いて臨時にこれを取り上げたいとおっしゃいますが、特集制度というのは二十七年度からできている。何も豊作であったからそのとき作ったものでも何でもない。依然としてこうあるのです。ただそれを期間をすっと延期しているだけの話です。だから元の問題にかえりまして、その問題を解決さした方がすみやかでもあるし混乱を招かないのじゃないかとお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/65
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066・清井正
○清井政府委員 私はそう考えないのでありまして、これは特集という規定を眠らしているわけであります。今度のは特集ではないのでありまして、いわゆる御指摘のありますように買い取りを全然やめているわけで、いわゆる特集の本来の性格でない、ほんとうの新らしい集荷の制度を入れるという臨時の利度であります。そこで臨時の規則ということで食管法の規定ををいじらない方がいいというように私は実は考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/66
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067・中村時雄
○中村(時)委員 私はこれをもって、一応終りますが、あとでこれを集計いたしまして、最後にもう一度食管の長官にお話をしてみたいと思っております。その間まで保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/67
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068・村松久義
○村松委員長 神田大作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/68
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069・神田大作
○神田(大)委員 簡単に集荷制度の政府の考え方を、ちょっとわからない点がたくさんあるものですから、お聞きしたいのですが、昭和二十七年度に買い取り制でやったから非常に成績が悪く、しかも混乱するから、買い取り制はやらぬ、今度の場合は買い取り制でないからやるというようなことを言われているように聞くのです。一体私は今度の特集制度をやって二十七年と同じよう液結果がやはり起ると常識的に考えるのですが、そういう場合にあなたたちは買い取りでないから二十七年のような混乱は起きないという、そういう見通しについて、お聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/69
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070・清井正
○清井政府委員 それは先ほども御説明申し上げましたけれども、所有権移転ということをいたしますために、一つの問題といたしましては、農家が買いたたきをされるのじゃないかという問題が一つ。もう一つは、せっかく政府に売るために集めたものをよそへ売るという危険性がある、過去においてそういう危険性があったわけですが、そういう二つの問題がありますために、農家には正常な価格を保障し、政府に集荷するために買い取りの制度はやらないということにいたしております。今回の制度は全部売り渡しの委託でございます。所有権の移転ではない。生産者の代理人となって政府に売り渡す仲介をいたすという考え方でいたしているのでありまして、御指摘のような弊害はないかと私は確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/70
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071・神田大作
○神田(大)委員 実際問題として、末端の今の特集の指定業者を作って集荷をさした場合に、委託でやるとおっしゃいますけれども、かりに百石集荷をして五十石正規のルートに乗せたが、あとの五十石はやみに流したというようなことがあったとしますね、そういう場合にあなたたちはこれを押えて摘発する自信が一体ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/71
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072・清井正
○清井政府委員 これは一般に食糧管理法違反の問題でありまして、特に今度だけの制度の問題ではないのでありますが、かりに現在でもそういうことがありますれば、当然食管法の違反の対象になるわけであります。私どもといたしましても、この制度につきまして心配いたしました点は、その御心配の点を心配いたしているのであります。そこでそういうことを避けるために、今のように委託と申しますか主産者の委託を受けて政府に売るという制度にいたしたのであります。かりにおっしゃるような事態が起るといたしますれば、この問題のこととは関連なしに、一般に食糧管理法の違反ということで、当然これはその方面の法律の問題になるというふうに実は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/72
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073・神田大作
○神田(大)委員 委託というような名前を借りて特別指定業者を使ってやつた場合にかえってやみを助長するのではなかろうか、かえって集荷機構を混乱に陥れる危険を多分に持っておると私は思う。現在そういうことは食糧管理の違反でやるとおっしゃっているけれども、そんなことは実際問題として不可能なことであります。そういう制度をすることによって正しい看板をもらって、そうしてやみ売りを正当化する道具にされる以外に劾果がない制度ではないですか、その点、正直に長官の考えを言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/73
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074・清井正
○清井政府委員 実は今回こういう制度を考えましたゆえんは、申すまでもなく今度の生産数量が約八千万石近いのでありますが、申し込みが集まりましたのが三千百万石であります。そして自家保有米の計算をいたしましても、やはり一千万石近いものがとにかくなお政府に売る余裕があるという計算が一応出るわけであります。そういうようなことからいたしまして、私どもなお政府に集荷する必要があるのではないかというふうに実は考えておったのであります。一月末現在の政府に対する売り渡し数量が三千百二十七万石、もうすでて目標は達しておりますけれども、なお十何万石程度しか目標をこえていないという状況でありまして、さらに、二月、三月につきましてもこれはなお能率的な集荷制度をしく必要があるのではないか、実はこういうような考え方からいたしておるのであります。申すまでもなく、この制度をしきます場合におきましても、県単位でもりて予約の完遂をいたさなければならないことを条件といたすのであります。また個人といたしましても、予約を完遂しなければならぬのでありまして、すべての条件を全部完遂したあとで、なおかつお米が残っているということでこの制度をしく、こういう考え方で実はやっておるわけであります。従ってかりにこの制度をしくにいたしましても、なお未完遂の県が相当ございますので、そういう県は完遂をいたさなければこの制度はしかないのであります。かりにしたといたしましても、個人々々で完遂いたさなければこの制度をしかないのでありまして、県で全部完遂し、個人で完遂しまして、なおかつ余剰米があるというところについてこの制度をしく、こういうふうに実は考えております。私どもとしては、この制度によって相当程度集荷ができるのではないか、こういうふうに実は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/74
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075・神田大作
○神田(大)委員 ことしの米を収獲するときに、農業協同組合あるいはその他の集荷業者に対して、いかなる方法によっても別な方法でもって集荷はしないというようなことを話して、そうして今度の三千何百万石というものの集荷に協力させたと私は思うのです。農民の人たちも集荷業者も、あなたたちの言うことを信用して、できるだけの努力をして今度の政府の集荷に協力した。そうして集荷目標を達した。ところが今度は前の言明に反して、米が余っておるようであるから、ほかの業者にも頼んで米を集荷するのだというようなことであっては、これは前に政府に協力したそういう団体、そういう農民に対してあなたたちの行為は違反しておるのじゃなかろうかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/75
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076・清井正
○清井政府委員 確かに私ども新集荷制度をしきます場合には、この制度を実施するということを申した記憶がございます。これは確かに申したのであります。ただ申しましたけれども、その後ただいま申し上げたように、非常に生産がふえましたし、それから集荷の売り渡し数量は三十百万石で、なお相当の政府に売り渡し得る数量が計算上出てくることがあるという実態であり、それから一月末の集荷が三千百二十七万石でありまして、案外伸びていないという実態であります。これらの実態を勘案いたしまして、やはりここで能率的な集荷制度をしくということがいいのじゃないか、その場合におきましても、ただいま申しました通り、県別、個人別が全部完遂いたしまして、集荷が済んでからやるのであります。予約を宗遂することを条件としてやるわけでありますから、いわゆる余剰米の対策といたしまして、この制度をとるということはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに私どもは考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/76
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077・神田大作
○神田(大)委員 あなた方はみんなに、これはほかの方法でやらぬからみんな一生懸命に集めろと気合いをかけておいて、そうして今度終ったならば、終ったけれども今度はほかの方法でやるのだというようなことを責任ある立場の人が言って、そういうことを軽々に翻すべきではないと思うのです。ことに食糧制度のような重大な制度、しかも統制撤廃をするのだという危惧の念を持っておるときに、統制撤廃をする一つの足がかりとするような今度の特別集荷制度に対して、これは非常に考えなくちゃならぬと思うのです。特別集荷制度を作ってやると、手数料が百十円か幾らあります。そこで政府の売り渡し価格と手数料を入れると今の予約金を払ったよりも十円か二十円価格がよくなってくる。そうすると今度は、特別集荷業者が実績を上げるために手数料を投げ出して集荷するというようなことができるのじゃなかろうかと思う。そうすると、米の集荷制度というものは混乱させられる、そういう危険も包蔵しておる。こういうように考えるのです。もしもほんとうに米が豊作で余っておるとすれば、現在の制度をくずさないで集荷する努力をするべきだと思う。一体あなたたちは、もっと余っておるとすれば、新たな観点に立って現在の制度を生かして、これを乱さないで集荷する努力を今までしたかどうか。それをやるべきが私は筋だと思う。ところが何かここに正式な農林省というようなりっぱな官庁が、前に言ったことをくつがえして、そうしてその辺のあやふやな団体と同じようにはったりをかげながら、今度はまた別な方法でやると言うことは、これは国家の信頼を失うことになるのであって、私は現在の制度でもって、特にまたこれを集荷する工夫を、今の制度を乱さないでやるという努力をすべきだと思う。あなたたちは一体そういうような努力をしたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/77
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078・清井正
○清井政府委員 これは御承知の通り、初めの予約申し込みの期限が八月末日であったのでありますが、そのときには二千七百万石あったのであります。当初の私どもの目標は二千三百万石であったのでありますが、二千七百万石集まったのであります。しかしその後非常に豊作の実況が出て参りましたので、さらに申し込み期限を延長いたしまして、さらに政府に集荷をお願いいたしまして、それが三千百十一万石になったのであります、これは申し込でありまして、申し込みの案施はまたこれとは別であります。その後この申し込みに従いまして政府に売り渡しがずっと来ておるのであります。そこでただいま申し上げました通り、一月末で三千百二十七万石ということで、全体の数量からいたしますと、申し込みを本数万石超過をいたしておる状況であります。なおかつ全販連系統におきましては、三百万石に近いものをさらに政府に売り渡しをし上うという運動をなさっておることは事実であります。私どももぜひそうやってもらいたいと考えておるわけであります。ただいま申し上げたようなことで、計算上なおかつ政府に売り渡す数量が出ることになりますので、農協系統の運動ももっとやってもらいたいと思いますけれども、さらに能率的な集荷制度をそれにつけ加えたいと考えておるのでありまして、私どもも政府に対する売り渡しをさらに促進することは非常にけっこうであります、ぜひそうしていただきたいというので、従来たびたび努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/78
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079・神田大作
○神田(大)委員 その特集制度は、農林大臣もそういう腹でいるらしいのですから、長官に何回質問してもしょうないので、これはよく大臣の意向を——最高責任者としての大臣が、そういう前に言ったこととあとでなすことと違っておるようなことをしていいかどうかというようなことを、私はまた大臣にお聞きしたいと思うのです。この問題はあとで質問することにして保留いたしまして、私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/79
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080・村松久義
○村松委員長 本日はこれに散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X00719560214/80
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