1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年三月一日(木曜日)
午前十一時四十三分開議
出席委員
委員長 村松 久義君
理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君
理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君
理事 芳賀 貢君
足立 篤郎君 安藤 覺君
大野 市郎君 大森 玉木君
加藤常太郎君 木村 文男君
楠美 省吾君 鈴木 善幸君
中馬 辰猪君 原 捨思君
本名 武君 松浦 東介君
松野 頼三君 赤路 友藏君
淡谷 悠藏君 伊瀬幸太郎君
井谷 正吉君 稲富 稜人君
石田 宥全君 小川 豊明君
神田 大作君 田中幾三郎君
中村 英男君 日野 吉夫君
久保田 豊君
出席政府委員
農林政務次官 大石 武一君
農林事務官
(畜産局長) 渡部 伍良君
委員外の出席者
農 林 技 官
(畜産局衛生課
長) 斎藤 弘義君
専 門 員 岩隈 博君
—————————————
二月二十九日
新農業団体の設置反対に関する請願(石山權作
君紹介)(第九四七号)
同(石田宥全君紹介)(第九四八号)
同(山本粂吉君紹介)(第九四九号)
同(田口長治郎君外四名紹介)(第九八四号)
同(床次徳二君紹介)(第九八五号)
同(山本粂吉君紹介)(第九八六号)
同(石田宥全君紹介)(第九八七号)
農産物価格安定法の一部改正に関する請願(床
次徳二君紹介)(第九八三号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/0
-
001・村松久義
○村松委員長 これより会議を開きます。
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/1
-
002・芳賀貢
○芳賀委員 畜産局長あるいは政務次官にお尋ねいたしますが、この家畜伝染病予防法の改正の主たる点は、取締りを大幅に緩和するという点にあると思うのです。提案理由の説明にもちょっと触れておられましたが、なぜ病気になっておる家畜の移動等に対して今までよりも制限とか取締りを大幅に緩和しなければならぬかという、そういう事由が明確でない。その点を十分御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/2
-
003・大石武一
○大石(武)政府委員 ただいまの芳賀委員のお尋ねの点は、提案理由に書いてある第一の点かと存じます。これは今までのような、府県から他の府県へ移動する場合にいろいろと手続が必要だったのでございますが、これを緩和いたすことにしたわけでございます。これはただ乳牛と種牛につきましてはブルセラ病及び結核病、馬につきましては馬の伝染性貧血、豚につきましては豚コレラ、これだけが一番問題になっておるわけでありまして、それ以外のものはめんどうな手続をやめようというわけであります。と申しますのは、現在家畜の予防医学も非常に発達して参りまして、そういう余分の手続をしなくても病気の防疫が十分にできるという状態に今相なっておるわけでございます。このような伝染病の発生件数と申しますか、そういうものを最近の例についていろいろと調べますと、ほとんど今申し上げたような病気だけが問題でありまして、ほかのものはごくわずかの例しかないわけでございます。従いましてこれらのものだけを十分に取り締って予防すれば、ほかのものはたといそのような病気が発生しましても、簡単にこれを押え得るというような現在でございますので、むずかしい手続を簡単にしてやろうという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/3
-
004・芳賀貢
○芳賀委員 家畜伝染病予防法によると、家畜、家禽の病気が二十七種指定になっておる。そのうち家禽の分が四つあるから、二十三の家畜伝染病に対しては法律でこれを規定して、病気の予防とか蔓延の防止とかあるいは移動の制限とか、そういうことをやっておるわけです。ところが今度の場合は、たとえば牛のブルセラ病、結核、馬の伝染性貧血、豚コレラ、この四つの病気だけに限って罹病家畜でないという証明があればいいことになってしまったわけですね。そうなると、これは家畜伝染病予防法全体に対しても影響が出てくると私は考えます。そうなりますと、現在法律で指定してあるところの伝染病等に対しても、今の政務次官の説明によると、これらも逐次はずしてもいいということになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/4
-
005・大石武一
○大石(武)政府委員 ちょっとお手元に差し上げました厚い本の一部を改正する法律案参考資料のうちの十六ページをごらんいただきますと、十六ページの中に表がございますが、この中で見ますると、昭和二十五年から二十九年までの数字が出てございます。このうちでまん中ごろにあります牛の結核と、それから下から三つ目のワクの中にある馬伝染性貧血、それから下から二つ目のところにある豚コレラ、この三つだけが大きな発生頻度の数字を示しております。あとはそう大したことはないのでございます。そうなると発生する——もちろん話は半分でございますが、こういう病気にかかった場合には十分手当をして他に伝染しないように。あるいはその馬については相当の処分をしなければなりませんけれども、それほど大きな手数をしなくても、発生頻度も少いし、そうしてあまり蔓延するおそれもありませんし、出ても心配ないという状態でありますので、むしろそのことによっていろいろと証明書や何か発行するめんどうな手数をしなくても大して心配はなかろう。ただし、今申し上げました大きな頻度の三つだけはどうしても厳重に防止しなければならぬ、こういう考えからやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/5
-
006・芳賀貢
○芳賀委員 ですから、先ほどお尋ねした通り、あとの病気は大したことがないということであれば、この予防法から次々にその大したことのない病気をはずすお考えかどうかということなんです。それはいかがですか。これは局長でもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/6
-
007・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 病気が起る心配がないとは言えないのであります。ただ、先ほど次官が申し上げましたように、ブルセラと結核、伝染性貧血、豚コレラ、これは蔓延性が非常にひどいと同時に、手当のしようがないわけです。ほかのものは幸いに獣医学の進歩で薬もでき、それから予防も、あとの手当もできる、こういうふうになっております。その結果病気が減ってきておるのであります。そういうふうに、獣医学の方からも処置ができる、それに対する飼養者の方の感覚も進歩してきている。従ってこれについてはしちめんどくさい手続を緩和してもいいが、どうしても今あげております四つの種類については、早くなくして広がらないようにしなければならない。手当のしようがないものでありますから、どうしてもこれだけは厳重に従来通りやっていかなければならぬ、従って、伝染病の指定もやめていいというところまでは行かないのであります。やはり病気は病気として、いつ起るかわからぬのでありますから、危険の病気ということにはしばらくしておかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/7
-
008・芳賀貢
○芳賀委員 そこで局長が言われたように、結核とかあるいはブルセラ特に馬の伝貧、これらは罹病しておるかどうかという発見が非常に困難なんです。これは急激に来るのではないんですからね。ですから健康体であるかどうかということの発見が困難な病気だけをこれに罹病しておらぬということの証明がいるということは、これは非常に診断とかあるいは健康体であるということを確認するのが困難なものだけをあえて残したのではないか。そう思うのです。そういたしますと、それは該当する全部の牛やあるいは馬を定期的に診断しておかないと、あす移動するからすぐ診察して病気にかかっておらぬという証明をくれといっても、これはなかなかそういう証明は出せないわけです。そういう点が一つあるんですね。
もう一つは診断した結果は、ブルセラとか伝貧とかコレラにかかっておらぬということはわかっても、それ以外の病気にかかっておるということが明らかになった場合においても、これは移動させるのですか。この四つの病気以外ならどんな伝染病にかかっておっても移動の許可を出すわけですね。この改正によるとそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/8
-
009・大石武一
○大石(武)政府委員 これは非常に技術的な問題もございますので、私からお答えできることだけお答え申し上げまして、あとは専門家から申し上げます。
それはこういうわけなんです。今までは全部の動物にこれらの二十七の病気にかかっていないという証明がなければ移動できなかったのです。それではあまりめんどうなものですから、そういう手当のできる、予防のできるものはこの際無理せぬでもよかろうというようなわけで、この四つだけを厳重にしまして、あとのものはそこまでしなくてもよろしいということにしまして、できるだけ手続を簡単にして扱いやすいようにしたのが骨子でございまして、今までなかったものをこれだけ制限したというのではなくて、制限をゆるめてこれだけ残したということでございます。それからどうも、私も医者は医者ですが、人間の方の医者でございますので、果してブルセラや結核、伝染貧血がすぐ診断がつくかどうかというお尋ねですと、これは何ともお答え申し上げられませんが、われわれ人間の方の医学から想像してみましても、おそらくある程度調べれば、医学も進んでいますので、調べればそれで見当がつくのではなかろうかと思われるのでございます。それからこの四つ以外の病気にかかっておれば、当然私は移動できなかろうと思うのですが、これはなおはっきりと政府委員から説明させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/9
-
010・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 まず最初に、非常にこまかい問題でこの四つの種類以外に病気にかかっている場合には移動を許すか許さぬかというのでありますが、それは発見されれば許しません。けれどもただ証明書を発行した後にそういうのが出てくれば、わからずに行く場合も起り得ると思います。その場合は症状が出ればそれに対して処置をするということになると思います。
それから第二点、もちろん伝貧であろうが、ブルセラであろうが、結核であろうが、全部定期検査をやります。それが現制度上の非常に大きな仕事をなしているのではないかと思います。それから豚コレラについても予防注射をやるのであります。予防注射を怠るとぱっと出る、びっくりして予防注射をやるというような関係が年々歳々繰り返されてきましたので、この予防注射を普及してきているのであります。そういう資料は、お配りしている中に累年の表が出ております。
なおこの改正で、移出証明書は四つの場合に限っておりますけれども、現行法の三十二条に、ある特定の地域に病気の蔓延のきざしがあるという場合は、地方長官が特別に措置をすることができる、こういう規定がありまして、都道府県の区域内での移動あるいは都道府県外への移出を禁止制限するということがこの三十二条によってできることになっておりますので、異例の場合はそれで措置する、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/10
-
011・芳賀貢
○芳賀委員 手続の簡素化ということは、先ほど指摘したように、今までの健康証明書というのが単に今度証明書ということに改めて、先ほど言われた四つの病気にかかっておらぬということの証明さえあればあとは移動できるということが改正の本旨なんですね。しかも局長の言われたように、ブルセラにしても伝貧にしても、これはもうすぐに検診をしておいて、そうしてこれは罹病しておらぬということがわかれば、移動のつどに診断する必要がないと思いますね、こういう病気の場合は、発見がちょっとできないのですから。そうすると、それ以外の病気にかかっている家畜の場合は、無理にかかっているかどうかを立証しなくても、自由に移動できるのではないですか。特にこれを取り扱うのは、主として牛馬商ですから、なるだけ煩瑣な手続を省いて合法的に移動できて、それが処分できればいいという考え方の上に主としてその人たちは立っているわけです。だからこの法律の改正によってそれが悪用されるおそれが非常にあると思う。しかも家畜伝染病の中には家畜間における伝染よりも、人間に伝染する場合もあるのですね。ですからそういうような病馬とか、病気の牛を自由に移動できる、あるいは市場等に係留できるということになれば、それは医学的な技術等が進歩しておったとしても、やはり家畜伝染予防法というものは、未然に病気を防ぐとか、蔓延を予見してそれを防止するところにねらいがあるのですから、わざわざ病原体をあっちこっち伝播さして、そうして病気になったのはすぐなおるんだというような考え方は、この法律の趣旨にもとるのではないですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/11
-
012・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、今までは二十七の病気全部に証明書が必要だったのですが、これではあまりに繁雑だったので、四つだけを注意してやればあとは大して心配もなかろうというので、四つにつづめて簡単にしたというのが改正の骨子でございます。この四つも定期的に検診をいたしておりますので、大体どの馬が病気になったか——もっとも病気になった馬は全部殺すわけでありますから、生きているのは大てい、健康なわけでございます。これを移動させます場合にも、専門家に聞いてみますと、そのとき的確に診断がつく場合が多いそうでございます。獣医学が進歩しましたので診断がつくそうでございますから、健康である、病気にかかってないという診断書があることはこういうと遂に必要だと思います。ことにだれもがそうだというわけではありませんが、一部不心得な売買をする商人がある場合には、証明書がない場合は、しろうとをだまして、自分らが病気だと判定したものでも売る場合もあります。その場合証明書があればものを言うわけでありますから、そういう点も未然に防げると思うわけであります。なおブルセラなんかは人間にうつり得る可能性があるものでございますから、念には念を入れて、移動をさせる場合にもできるだけ病気にかかってない、健康のままで移動させるという処置が必要であろうと思いますので、これだけは証明書があった方がよろしいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/12
-
013・芳賀貢
○芳賀委員 私の指摘しているのはコレラは別ですけれども、今掲げているあとの三つの病気は非常に発見が容易じゃないんです。これに罹病しているかどうかということを診断する過程において、ブラセルとか伝貧とかがどうであるかという結論を出すまでに、ほかの伝染病にかかっていることの方がわかりやすいと思うんです。そういう場合でも、あえてそれ以外の病気であっても、合法的にやれば、四つの病気にさえかかってないという証明さえもらえばいいんです。それ以外の伝染病にかかっているという証明書をわざわざもらう必要はないんですね。そうじゃないですか、そういう証明が要らなければ、移動させる気であれば自由に移動できるじゃないですか。そこに盲点があると思う。なぜそういうようにわざわざ伝染病の家畜を移動しやすいようにしななればならぬのかということです。世間に迷惑をかけたりするようにわざわざ改正をするということは、むしろ法の改悪じゃないですか、その重大な理由というものがわからぬ。家畜商とかそういう業界から依頼を受けてこういうように直すというんなら別ですよ。社会の秩序維持とか病気の防止とか、そういうことを慎重にやらなければならぬという場合においては、家畜が法定伝染病にかかっていることが診断の結果わかった場合には、従来通りそういう家畜を移動させぬ方が安心じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/13
-
014・大石武一
○大石(武)政府委員 四つ以外の二十三の場合の御質問だと思うのですけれども、その場合にもちろん定期的に検診をいたしまして、病気にかかっている間はそれが直るまであるいは処分ができるまで移動できないことになっておるわけでございます。ですから移動し得る場合には健康状態にあるのが普通でございます。これはことさら移動させるのじゃなくて、家畜を大きく育てるためとか何とかいうわけで移動させるわけでありますから、病気であるとか何とかいうよりも健康であるということが一般の状態になっている。病気のものは処分することになっております。そういう場合に万が一病気の診断がつかなくて、病気にかかっておる家畜があったといたしましても、予防もできますし手当もできる、むしろそういう小さな危険を考えてめんどうな証明書の発行をやらなくてもいいという考え方で改正したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/14
-
015・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 移動をする際に、伝貧の例をとりますが、定期検査で伝貧が出ない、それで証明書が出てくるわけですね。あるいは伝貧検査は済んでない、もう一ぺん検査してくれというので、獣医師に検査を頼んだ、そのときに伝貧以外の伝染病が発見されたという場合には、これは法律の十四条の規定に従って届出をしあるいは隔離しなければならない、こういう規定がありますので、そっちの規定が当然動いてくることになりまして、御心配のようなことは起らないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/15
-
016・芳賀貢
○芳賀委員 善意にそういうことを発見して届出等をすればよいが、ただ移動するという場合は、ほとんど処分をするために飼育地からよそへ動かすというのが移動の目的です。その村から出してしまえば、あとは厄払いになって何もさしつかえはない。そういうところに問題があると思います。この改正された法律を悪用する気であれば非常にやりやすい。そうじゃありませんか。この法律の改正の趣旨も今までは家畜の伝染性疾病にかかっていない旨の健康証明書が必要であった。今度はそれを改めて、牛にあってはブルセラ病、結核病、馬にあっては伝染性貧血、豚にあってはコレラにかかっていない旨の証明書だけ持っておれば移動できる。それ以外の病気にかかっておる証明書をくれというものは一人もいない。その証明書だけあればどんな重患馬でも動かせる。汽車や船に乗せてから一々健康診断はたれもしない。そういうものではかえって法の悪用を認めるような改正にならぬか、これを私は指摘しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/16
-
017・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 それは非常に法律の裏をやるとすれば、理屈上はそういうことは出ないとは言えないと思います。法律の建前からいえば、先ほども申しましたように、そういうことを発見すれば獣医なり、家畜防疫員が当然一般の迷惑にならないように措置しなければいかぬ。前提になるのはそういうケースが非常にたくさん起り得る、すなわちここに掲げておるもの以外の病気が非常に多いというのであれば、抜けられるケースが想像されるのでありますが、先ほど政務次官から御説明もありましたように、その他の病気については一般の知識も普及し、それに対する処置も容易にできるということになっておりますので、その裏をくぐるということまできつく法律でやかましいしばり方をせぬでもいいのじゃないか、こういうのがわれわれのねらいであります。すなわちつずめて申しますと、一般の人の知識、それから衛生状態が普及上、もしそういう病気が発見されても手当がすぐできる、家畜商ともなれば、牛の状態を見て、これはどういうわけだから医者に相談しなければいかぬとか、あるいはどういう薬でやればよいということくらいは当然わかるものだという前提に立っていい段階に現在は来ておるということで、この改正法律案を出しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/17
-
018・芳賀貢
○芳賀委員 政務次官や局長は、家畜商等を非常に信用した考えの上に立って説明されておるのですが、私はまだ百パーセントその人たちに信用を置けないという現実の認識の上に立っておるから、あえて心配して申し上げておるのです。あなた方がこの改正をしても絶対に間違いがないのだということであれば別ですが、もしこの改正が行われた場合においては、この弊害が必ず一年足らずで現われてくるということを、今から指摘しても差しつかえないと私は思います。
そこでもう一点お尋ねしたい点は、牛の場合は「(省令で定めるものを除く。)」ということになっておるのですが、どういうものを除くのですか。これによるとこの四つの病気にかかっていないという証明書さえ要らない牛があるわけですね。どういう牛がどんな病気になっても移動できるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/18
-
019・大石武一
○大石(武)政府委員 これは牛の場合でも乳牛と種牡牛だけに限ってのお尋ねだと思いますが、さようでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/19
-
020・芳賀貢
○芳賀委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/20
-
021・大石武一
○大石(武)政府委員 それは和牛はこれらの病気、ブルセラ病なんかにはかからないのであります。ですから和牛は要らないのであります。ブルセラにかかるのは最近入っておるジャージー種に多いわけであります。だかうこれだけにやればいいということで、牛はこれだけに制限したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/21
-
022・芳賀貢
○芳賀委員 そうすると、牛の場合は乳牛と種牡牛だけは証明書が要る、あとは全然要らないのですね。和牛とか小牛も要らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/22
-
023・大石武一
○大石(武)政府委員 和牛はこの病気にはかからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/23
-
024・芳賀貢
○芳賀委員 結核にも全然かからないのですか。絶対かからぬということはないと思いますが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/24
-
025・大石武一
○大石(武)政府委員 私、獣医師でありませんけれども、結核にもいろいろな菌がある、型がある。ですから乳牛にかかる菌は和牛にはかからない。和牛には今までないのであります。全然ないのか九九%ないのかわかりませんが、そういうことになっておりますので、和牛の方はあまり心配いらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/25
-
026・芳賀貢
○芳賀委員 次に、殺処分の場合、今度は国の手当金を引き上げたわけですね。特にブルセラ病にかかった牛に対して、従来の評価額の三分の一を今度は五分の四に引き上げたわけです。これは今政務次官が言われさしたが、ジャージー種等に多いとなると、外国から輸入してくる牛に多いということになる。ですから今度は、ジャージー種にこういうブルセラ病の発生が多いということになると、外国から買い付けてくる場合にも相当慎重を要するということになる。せっかく高い金で買い付けても、国内において今度は国がその牛に対して殺処分して、その補償をするという事態が、これを改正すると傾向としてだんだんふえてくると思うのです。こういうのは買付する原産地において十分防止するという措置が大事だと思うのですが、それらの措置は今までどういうようにやっておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/26
-
027・大石武一
○大石(武)政府委員 芳賀委員の御説はごもっともと思います。これにつきましては専門家から詳しくお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/27
-
028・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 ブルセラにつきましては、この資料の三十七ページ以下に出ておりますが、病気としては、もしこれが蔓延いたしますならばおそろしい病気でありますが、それに対する措置もできないわけであります。従ってこれが日本内地に入らないようにしなければジャージー種を入れる価値がないのでありますから、御説のように、買います場合には現地におけるブルセラの検定には非常に注意をしております。それからこれは生後四、五カ月でワクチンを注射するのでありますが、その成果はやはり十カ月内外たたないとはっきり出てこないので、私の方ではその買い方については、今後はそういうブルセラに全然関係のないもの、注射の効果が実際どうなっておるかわかります時期すなわち十八カ月以上を経過したものを買う。従来はまだ数が少なかったし、ブルセラに対するいろいろな研究が十分でなかったので、もう少し若いものも買っておりましたが、それらが二週間以上船の上でゆられてくると、からだに変調を来たして、普通ならばおさまっておったものが出てくる。これは全然注射もしていないでブルセラのけのないやつを選ぶのが一番よいのでありますが、これがあまりたくさんない。しかしそういうものを買ってから後に感染したというような場合もあるのであります。横浜に着いて検疫所に入れますと、ブルセラの疑似のものが初めは相当あるわけであります。そういうのをはっきりブルセラのけがなくなるまで検疫所に置きまして、そうして少しでもけの残っておるものは地方に出さないことにしておるのでありまして、相当長くなる場合には仕方がないから殺処分してしまう、こういうふうにしております。しかしそうやりましても、今までの状態から見るとそれを百パーセント防ぐことはできない。また一頭出ましてもそれがもとで蔓延をして困りますので、早く発見して、病気ならば家で養ってもなおるかもしれないというような希望を持たせないで、即座に殺処分にして、そのかわりによけい払ってやるというふうな万全の措置を考えております。今までのところでは、二十八年、二十九年に入れた数字で購買頭数二千二百九十一頭のうち十二頭を殺処分にした程度であります。三十年度の方はまだ年度の途中でありますが、今のところまだブルセラはないのであります。ブルセラをこの法律に入れたのは、ブルセラに対する観念をはっきりさせると同時に、絶対に蔓延しないように早く処理をしたいという趣旨からであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/28
-
029・芳賀貢
○芳賀委員 最近は、今までの高度集約地区に対するジャージー種の導入のほかに、今度は機械開墾地区に対しても、世銀の借款等によりジャージー種を大量に入れることになる。だから、こういうブルセラにかかった牛の導入というものに対しては、買付地における健康牛の買付とか、こちらに持ってきてからの防疫の確認とか、そういうものは今まで以上に厳重にやる必要があると思います。なお、最近ジャージー種の価格が農家に対して相当高いものにつくような傾向になってきている、これは、こういう殺処分したような国の方で支出するのも、危険分散の意味で牛の価格に加算して売りつけるという方針をとっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/29
-
030・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 大体を申し上げますと、三十一年度のジャージーの価格の構成は、オーストラリアのFOB価格が五万三千円、それに船運賃と検疫費用、それから今のお話に出ておりますようなロス、そういうものを入れまして約十一万円になります。それでは現在のホルスタインの価格と比べてあまり高過ぎますので、従来持っておった検疫費そのほかのものの上に運賃の一部を国で負担することにいたしまして、一応予算価格としては八万八千円で売り渡す、こういうことになっています。しかしこれも実際の買い方でもっと節約したいと思ってありますが、予算上は約八万八千円になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/30
-
031・中村時雄
○中村(時)委員 議事進行について。実は私たちの方で至急に代議士会の招集があるので、はなはだ恐縮でございますけれども、一時休憩をいたしまして、二時から続行していだたくようにお取り計らいを願いたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/31
-
032・村松久義
○村松委員長 休憩の動議が出ておりますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/32
-
033・村松久義
○村松委員長 それでは二時開会として、休憩いたします。
午後零時二十四分休憩発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01419560301/33
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。