1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月十三日(火曜日)
午後四時二十分開議
出席委員
委員長 村松 久義君
理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君
理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君
理事 芳賀 貢君
赤澤 正道君 足立 篤郎君
伊東 岩男君 川村善八郎君
木村 文男君 小枝 一雄君
鈴木 善幸君 綱島 正興君
原 捨思君 本名 武君
松野 頼三君 淡谷 悠藏君
伊瀬幸太郎君 井谷 正吉君
稲富 稜人君 川俣 清音君
日野 吉夫君 久保田 豊君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
大蔵事務官
(主計局次長) 原 純夫君
農林政務次官 大石 武一君
農林事務官
(農林経済局
長) 安田善一郎君
農林事務官
(農地局長) 小倉 武一君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房総合
開発課長) 庵原 文二君
専 門 員 岩隈 博君
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三月十三日
委員伊東岩男君辞任につき、その補欠として池
田正之輔君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として
伊東岩男君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十二日
漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出第九
〇号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
同月十日
伝貧研究所設置に関する陳情書
(第三四七号)
積雪寒冷単作地帯臨時措置法の施行に関する陳
情書(第三四八号)
農業施設に対する利子補給に関する陳情書
(第三四九号)
国営森林雪害保険制度確立に関する陳情書
(第三五〇号)
愛知川ダム建設反対に関する陳情書
(第三五八号)
小団地開発整備事業促進に関する陳情書
(第三七三号)
漁業権更新のための経費国庫負担に関する陳情
書(第三七
五号)
沿岸小型漁船近代化のための融資制度確立に関
する陳情書
(第三七六号)
農業災害補償制度改正に関する陳情書
(第三九九号)
新農業団体の設置に関する陳情書
(第四一五号)
新農業団体の設置反対に関する陳情書
(第四一六号)
魚族保護のため水質汚濁防止法制定等に関する
陳情書
(第四
一八号)
農林規格強化合成米生産に関する陳情書
(第四一九号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正す
る法律案(綱島正興君外四十名提山、衆法第九
号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/0
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001・村松久義
○村松委員長 これより会議を開きます。議事に入るに先立って、去る三月九日午前の委員会において、原政府委員の出席を求めておりましたが、午後の会議に出席がなかったのであります。やむを得ず本委員会においては成規の手続を経て、議長を経由して今日の出頭を求めております。この点に関しまして、委員長より原政府委員に対して、二、三お尋ねをして経過を明瞭にいたしたいと思いますが、お答えになりますか。−なおお答えになりますときには委員長を呼んで答えていただきたい。
三月九日の午前の会議は、急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案の審査をいたしておりました。その際委員長より原政府委員に対して、これを本日中に上げたいのであるから出席してくれ、こういう申し出をいたしました。その際原次長においしは、他に委員会あるいは何かの会合かあるというので、できるだけ退席をしたいという申し出を委員長にせられたのであります。そこで私もそれに対してなるべく便宜をはかってやりたいと思うておりましたが、何分にも本日これを上げたいというので、できるだけこの席にとどまるように要求をいたしておりました。それを原政府委員は了承せられて、できるだけさようにいたしますという答えをした。そこで私といたしても質疑中の川俣清音君に対して、大蔵省に対してまだ質疑が残っておりますかということを尋ねました。大蔵省に対しての質疑はまだ残っておる。こういう答えをせられたのでありますが、このことは原主計局次長においてお聞きになっておると思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/1
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002・原純夫
○原政府委員 聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/2
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003・村松久義
○村松委員長 会議の進行がさようなことまで至っておったのでありますが、質疑を午後に延ばして、休憩をせられたいという動議がたしか中村君より提出せられておったと思います。そこで委員長においてその動議を本委員会に諮り、午後本会議散会後において質疑を継続する旨を宣告をいたしましたが、これもお聞きになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/3
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004・原純夫
○原政府委員 聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/4
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005・村松久義
○村松委員長 休憩を宣すると同時にであったと記憶しますが、委員長においては、低声ではありましたが、次長に対して午後も出席をせられるように要求をいたしました。さらに次長が立ち上って本会議場を去らんといたしまする際に、委員長から大声をもって午後も出てもらいたい、こういう要求をいたしましたが、これもお聞きになっておりますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/5
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006・原純夫
○原政府委員 午後も出てくれというお話は聞いております。非常に高声であったかどうか記憶しておりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/6
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007・村松久義
○村松委員長 午後に至って本委員会が再会をせられ、その場合に委員長におては、事務局を通じて主計局次長の所在を確かむるためにあらゆる努力をいたしました。しかるにその際所在不明というので、遂に本委員会に出席をすることができなくなりました。やむを得ず本委員会はその上げる予定を変更をして本日に至ったのであります。その際、午前中に午後も出席せよという委員長の要求があり、休憩の動議のうちに本会議散会後において会議を継続するという、そういう動議の宣告を聞いておられます以上は、もし事情があって本委員会に出席ができないとなるならば、しかるべき方法をもって、委員会に対してかくかくの事情で出席ができないという旨を通知する、あるいは何らかの方法をとるのが妥当と思いますが、さようには思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/7
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008・原純夫
○原政府委員 実は当日午後の会議は、たしか本会議か何かの関係でだいぶおそくなってお開きになったと思います。出なければならぬというつもりでおったわけでございますが、ちょうど開くから出ろと言われましたときには、私どもの方もいろいろ部内の会議の都合がございまして、部内で私がどうしてもおらなければならぬ会議をやり出しておったところでございました。従いましてその節お話がございましたが、これは時間が急ぐので、この会議を終り次第参るからということを申し上げて、それでは終り次第来てくれというお話でございましたので、早く終って参るつもりで会議を進めておりました(「所在不明じゃないか」と呼ぶ者あり)しばらくたちまして散会になったという御通知があったので参れなかったのでありますが、その間の事情はそういうことで、実は来るつもりであったのですが、よんどころない会議、しかも時間に追われた会議で、終り次第来ると申して、早く終るのに努力しておる間に、何と申しますか、こちらはお待ちになり切れずに散会になったという次第でありますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/8
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009・村松久義
○村松委員長 委員のうちからも所在不明はいかぬという発言もございますが、さような場合においては、午前の宣告を聞いた以上、そして委員長より出席の要求をせられた以上は、何らかの方法で本委員会に事情を通達をするのが妥当なる処置と思いますが、われわれはそれに対して、あなたの処置は妥当でなかった、かように認められるのであります。ほかに御釈明はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/9
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010・原純夫
○原政府委員 当日の時間的な経緯をあまりはっきり記憶いたしませんが、今忙しいものでございますから、非常に御迷惑をかけたという点はまことに遺憾だと思います。委員会にお呼び出しがあれば、ぜひ上ろうという気持ではおるのでございますが、いろいろな都合でさようなことになりましたのは大へん遺憾だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/10
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011・村松久義
○村松委員長 以上釈明を聞きましたが、どなたか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 ただいまの原政府委員の釈明ですが、委員長が先ほど重ねて言われたことは、昨日の午後の当委員会において、原政府委員の出席を求めたけれども所在が不明ですね。あらゆる手を委員長は尽したけれども、原政府委員の所在全く不明ということで、委員会はやむを得ず散会せざるを得なくなった。ですから今原次長のお話を聞いていると、委員会に出席の意思があって大蔵当局において会議を開いておった。出席しようとする意思があったとするならば、所在を明らかにしておかれるのが当然だと思う。なぜそういう場合に所在をことさら不明にしたか、その理由をこの席で明らかにしておく必要がある。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/12
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013・原純夫
○原政府委員 私は所在をくらますようなつもりは毛頭ございません。また当日も毛頭ございませんでした。事実会議をやっておりましたところに連絡が参りましたから、これは急ぐんだから、これを終ってから行きたいということを政府委員室の方に連絡をいたしました。従いまして所在が不明であるかのように委員会の方で感じられたとすると、何かの行き違いではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/13
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014・芳賀貢
○芳賀委員 この点は今後も非常に重要な点だと思うのです。特に指摘したい点は、急傾斜法案は、これは議員立法なんです。大体政府というよりもむしろ大蔵当局の議員立法に対する態度というものは、われわれとして相当見のがすことのできない諸点がある。もしもあの法律が政府提案の法律案であった場合には、おそらく原政府委員においても昨日のごとき態度はとられなかったというふうにわれわれは考えておる。これが議員立法であるか、あるいは政府並びに大蔵当局において好ましくない法律案であるからという意識が働いて、昨日のような不誠意な態度をとられたのではないかとわれわれは即断しておるのです。委員長におかれても、当委員会において正式発言として、あらゆる努力を尽したけれども原政府委員の所在が全く不明であるので、遺憾ながら本日は散会するということを宣言された。そういうことになると今あなたが言われたように、会議をやっておって、これが終れば出席するという意思を政府委員室から伝えたということに対しては、なかなか信を置くことはできないのです。それで委員長を通じて申し上げたい点は、そういう善意を尽した報告とか連絡を果してやったかどうかという点と、特にこの議員立法に対する政府委員の態度なるものは、どのような態度の上に立って今後これに接しようとしておるか、こういうことは今後の国会の審議の上においても非常に重要なる点であると思いますので、この二点を委員長を通じてさらに明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/14
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015・村松久義
○村松委員長 原主計局次長に対してこれを明確にすることは、この際妥当でないと思いますが、委員長よりお答えいたすことのできますことは、事務局をして数回にわたってその所在を捜索と言ってはどうかと思いますが、捜索をさせました。しかるにそのつどむなしく帰って参りまして、どうしてもその所在をつかむことができませんという答えでありましたので、それを信じてそのままに委員会に御報告を申し上げたのでございます。なお時あたかも急傾斜地帯の法律案において、議員提出の法律案を政府において軽視する傾向があるのではないかという議論を盛んに繰り返しておられ、それを原主計局次長は直接聞いておられたはずでありますので、この点はあらためて証明も要らぬことだと思いますので、以上お答えを申し上げまして、この件の処置については委員長に一つおまかせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/15
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016・中村時雄
○中村(時)委員 私は一点お尋ねしたい。事務局というものは、国会におけるところの問題があって、あなた方はものを考えていかれるのだろう、私はこう思っておるのです。あなた方は、そうでなくして、あなた方自身が国会を云々すると考えていらっしゃるのか。私は少くとも法案なり予算の審議というものは国会にその権限があると思っておる。従って実際に法律化されていった場合でも、国会においてきめられたことをあなた方は履行する立場にあるのだろうと思う。私はそう思っておるのです。あなた自身はどういう考え方を持っておられるのか、これは基本的な重要な問題です。その点に関してあなたはどういうお考えを持っていらっしゃるか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/16
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017・原純夫
○原政府委員 国会できめられました法律を守るか守らぬかということは非常に明白なことだと思います。当然守ってやっていくべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/17
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018・中村時雄
○中村(時)委員 それではお尋ねしますけれども、今言ったように、あなたはその当日は出てきていらっしゃった。その内容も知っていらっしゃった。ちょうどあの日の会議の席上では、それから継続することも御存じの上です。しかるにあなた自身が——今言ったように委員長が八方手をして、流会になっている。口では私の不徳でございますと言えるかもしれない。しかし品で言うことはどうでも言えるのです。自分が腹を下しておっても、腹は下しておりませんとも言えるのです。てこであなたは今後どういうふうに処置をとるか、その責任としての腹がまえ、お考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/18
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019・原純夫
○原政府委員 私、実は当日行方をくらましたり、わざと出ないというような気持は全然ありませんでした。九日、金曜日午後は、たしか私の方は二時くらいまで主計官会議を部内でやっおったと思います。そのあと、ただいま申しました会議までどこに行っておったか、ちょっと思い出せませんが、逃げたり、所在をくらましたりというような気持は毛頭なかったのであります。私が今記憶しております最初の連絡は、その会議を始めてからあったのであります。そのときは大分おそうございまして四時ごろであったと思いますが、会議が終ってから行くから少し待ってくれと言って、早く終ろうという努力をしておったわけであります。そうしたら間もなく散会してしまったというお話なんで、決してそういうつもりでやったのではございませんので、その辺一つおわかり願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/19
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020・中村時雄
○中村(時)委員 それでは百歩を譲って、あなたのおっしゃることを了といたしましても、しかし、その間におけるところの当委員会は、二時間以上にわたってじっとしておったわけです。そうするとあなたは、今言ったようにそういうことを聞いておきながら、帰ってその後自分がどういうことをしておったかちょっと記憶がないというようなあいまいなことでは、すなわちそれは、それほど重要な問題ではなかったということである。もしもそれがそれほど重要であるならば、その間の二時間くらいのことは、少くともあなた自身がどういう行為をしたかということが的確にわかるはずです。その行為がわからないというような発言をしておいてそれでその責任がとれるかどうか、これは大きな問題になってくる。私は過去のことは申しませんが、しかし今後において一あなたは少くとも次長でしょう。次長であるならば係も持っておられるはずです。自分の出処進退について、いつどこにどうしておるかということはわかっておるはずである。またわからせるようにするのがあなたのお立場である。それをあなたがないがしろにしておるということはあなたの怠慢以外の何ものでもない、私は少くともそう思う。しかもこの重要な審議の過程において、今言ったように、議員提案のものがないがしろにされやすいという疑義さえ持っておる最中です。当然そのことは委員からも追及されておる。そういう疑義を持っていろいろな問題がここにかもし出されておるときに、あなたはそういうふうでなくて、善意に解釈しておっても、結果において現われてくる行為がそういうふうな行動になった場合には、結局あなた自身の責任を追及されるのは当然のことです。何ぼあなたにどんな要件があっても、実際にあなたがそれだけの責任を果しておらないということにおいて、これはどんな言いわけをしようとも言いわけにはならないと私は思います。あなた自身の今後の態度について、少くとも自分の出処進退は常に明確にしておくということの約束ができるかどうか、この一点をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/20
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021・原純夫
○原政府委員 おっしゃる通り、どこにおるかということは当然明らかにしておかなければならぬと思います。そういうふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/21
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022・中村時雄
○中村(時)委員 ということは、言いかえれば議員立法に対するところの責任なり、その問題の観点を十分に認識され、今後十分にそういう認識の上に立ったところの取扱いをするということを意味するものだと私は思っております。そういう意味においての発言をしておるわけです。もうこれ以上今までのことは追及いたしませんが、今後は十分に気をつけられるように願いたい。まあそれほどあなたは重要な人物であるとも言える。だからその点は非常にお喜びになってもけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/22
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023・村松久義
○村松委員長 本件に関する処置は委員長に御一任を願います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/23
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024・村松久義
○村松委員長 この際原主計局次長に申し上げます。政府委員が国会に出席するのは義務であります。この間のあなたの処置は妥当を欠いておると認められますので、この際今後さようなことのないように厳重に注意をいたしておきます。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/24
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025・村松久義
○村松委員長 急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。質疑を続けます。川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/25
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026・川俣清音
○川俣委員 昨日に引き続いて質疑を続行いたしたいと思いますが、これは大蔵当局にお尋ねいたします。本来であれば大蔵大臣の出席を要求いたしておるのでありますが、原政府委員が見えておりますので、大臣にかわって御答弁を願いたいと思います。原政府委員で答弁できない点は、あらためて大蔵大臣と相談の上で御答弁願いたいと思います。
原政府委員は、急傾斜地帯農業振興臨時措置法の延長に賛成だという御意見でございましたが、それはもちろん昭和二十七年五月七日、法律第百三十五号、これに賛成だということだと思いますが、あわせてこれが延長になることも賛成だ、こういうふうに理解してよろしいかどうか、この点をお尋ねいたします。それが第一点。
第二点は、本法の目的は「すみやかに且つ総合的に整備して農業生産力を高め、もって農業経営の安定と農民生活の改善とを図り」、とこうある。法律の中にすみやかにこれを実行しなければならないというような規定をしたことは少いのです。これをどう解釈されますか、この二点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/26
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027・原純夫
○原政府委員 延長法案には賛成でございます。
基本の臨時措置法につきましては、当初御提案になりましたときにも申し上げたと思いますが、必ずしも百パーセント賛成だとは率直に申して申し切れません。と申しますのは、やはり先般もお話のありました土地改良法、一般法に対する特殊法が、どんな形でできるか、各局部のバランスがどうなるかということにつきましては、もちろん御提案の方々も十分お考えのこととは思いますけれども、特にただいまお話の「すみやかに」とか、あるいはもっと強い拘束になりますると、特定の額をというような、そういう立法はまだないのでありますが、非常に強い拘束があるようになりますると、財政全般の可能性ではおさまらないというような問題になって参ります。その辺非常に苦心を要する点ですので、特殊な地域立法については、全体の財政の見地を考えますと、何か全体としての調整が要るんじゃなかろうかというような感じを実は持っておるわけでございます。従いまして、第二段の「すみやかに且つ総合的に整備して」というこの法律の第一条の目的の解釈としては、もちろんその通りすみやかに、かつ総合的に農業生産の基礎条件を整備するんだというふうに読んで参らなければいかぬと思うのでございますが、それを実際にたとえば予算なら予算に移して参るといいます場合には、もろもろの他の要求と競合いたしますので、その辺の調節が実際問題として必要になるということであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/27
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028・川俣清音
○川俣委員 原政府委員としてこれは重大な発言ですよ。できた法律を、これには反対だというような意向があることは、重大なことですよ。今後できる法律についてあなたの意見を述べることは、これは自由でありましょう。そこに法律の根本がある。いやしくも間違っているであろうけれども、あるいは反対であろうけれども、一度法律で通った以上は、それに従わなければならないはずです。どろぼうが、おれはどろぼうを取り締るような法律には反対だといっても、できた法律には従わなければならない。これは大蔵省も認めておる法律なんですよ。だから、あなたに反対か、賛成かと聞いているのです。あなたは賛成だ、こう言われる。賛成だからには過失にできた二十七年から実施されておる法律に対して、今さら不服を言うのはおかしいんですよ。将来こういう法律がない方がよろしいという意見なら別ですよ。政治家なら別です。あなたは行政官です。行政官は憲法に基いて、あるいは服務規律に基いても法律に従って行政を行わなければならない義務が負わされておる。これに反対だなんていう意見はとんでもないことです。これは大蔵大臣に所見を聞かなければならぬ。主計局の次長が法律に反対だなんていうことになりますと大へんなことですよ。反対だからこれから延長には反対だという意味ならば別問題です。いや賛成だ、しかし過去にできたのには反対だ、これは矛盾もはなはだしい。反対だからこんなものは延長されないことがよろしいというのなら話はわかります。やむなく賛成したけれども、これは廃止した方がよろしい、これなら一つの意見です。成立しておる法律、従わなければならぬ法律に対して反対だ、いや延長は賛成だ、そんな矛盾したことがありますか、あなたみずから矛盾を感じませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/28
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029・原純夫
○原政府委員 成立いたしました法律に従うのはもちろんであります。ただただいま延長法及び基本の臨時措置法に分けて意見をお聞きになりましたので、百パーセント賛成ではないと申し上げたのは、何も法律に従わぬというような意味じゃなくて、できた法律には従います。ただ意見があるかという御質問と思って、それは前回いたしました意見はやはり持っております、ただ延長されます場合に、最初に基本法を御提案になったときの意見はあるけれども、それをまた申し上げて、ここで延長をいかぬというのもいかがかと思うので、それは意見を持ちながら延長には賛成申すということなのでございますから、一つあしからず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/29
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030・川俣清音
○川俣委員 私の聞いておるのは、延長についての意見を聞いたので、できた法律についての意見なんか聞いておりません。延長についてはどうかと意見を聞いておる。これは賛成だ、こういうことでしょう。延長についてはいろいろ前に不服があったからこのままでは困る、修正されて、あるいは改正して再提出を願いたいというのなら、これは別問題です。これはあなたの見解は見解としてお聞きしてもよろしいのです。そういう意味で聞いたところが、それは延長は賛成だ。そこで基本法についてはもちろん賛成でなければならないはずだと思ってお聞きした。延長に無条件に賛成だからには基本法はそのままおそらくお認めになっているのであろうと思って確かめただけです。どうもあなたは、とかくこれについて不服だからなるべく予算をつけないのではないかという疑惑があるから、念のためにお聞きしただけのことです。もう一度御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/30
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031・原純夫
○原政府委員 先ほど延長に賛成か、それとあわせて臨時措置法にも賛成かというような御質問であったように思いましたので、ただいまその両者について考えを申し上げたわけなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/31
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032・川俣清音
○川俣委員 そこでこの法律を忠実に守られるならば、すみやかにかつ総合的に整備しなければならないとなっておる。これは法律用語として異例な言葉を使っておる。このすみやかにということについて、あなた方は制限を受ける意思があるのかどうか、受けないでもいいと考えられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/32
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033・原純夫
○原政府委員 もちろん成立いたしました法律には忠実にやらなければいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/33
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034・川俣清音
○川俣委員 すみやかにというからには制約がある、こう見てよろしいのではないか。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/34
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035・原純夫
○原政府委員 もちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/35
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036・川俣清音
○川俣委員 そういたしますと、五年の期限付立法でありましたから、すみやかにというと、大体五年間で完了するという計画が達成できなければならなかったはずだと思うのです。わざわざすみやかにといったからには、期限を五年で終らせたいというのが法律の趣旨であったと理解していませんかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/36
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037・原純夫
○原政府委員 五年間という期間ではっきりやり切るという自信は、実は持っておらなかったのであります。努力はいたしたつもりでおります。その辺は先ほど一条につきまして申しましたことになるわけでございますが、他との調整もあるので、六条の三項に「毎年度、国の財政の許す範囲内において、」というような規定も入れた以上、もちろんそれを表に立てて、できないから何もやらないというような気持ではございません。農林省も私どももできるだけの努力はいたしたつもりでございますが、全体の財政の間の需要等を考えて、可能な限りしかできなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/37
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038・川俣清音
○川俣委員 それは弁解にならないです。少くともすみやかにかつ総合的にという法律の制約を受けて、行政官がその予算の裏づけをなさなければならない。国会で予算が削減されたということになると、主計局の責任ではないとなるでありましょうが、少くとも行政官はこの法律を認めざるを得ない立場にある以上は、この法律に従って忠実でなければならないと思う。ところが特に経営改善事業なんというものは、長期計画事業費の九億九千三百万円に対して、実績がわずかに四年間で六百万円もでき上っていない。九億九千万円に対して、四年間で六百万円、これだけの実績しか上っていないで、すみやかにかつ総合的に行わねばならないと規定された法律に対して、いかに予算の範囲内といえども、忠実であったとはいえない。予算に忠実であったかもしれないけれども、法律には忠実でなかったことになる。五年間の計画、しかも九億九千三百万円に対して六百万円しかでき上っていないということは、少くとも忠実でなかったというふうに一般の農民は考えますけれども、この考えは無理なんでしょうか。この点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/38
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039・原純夫
○原政府委員 ごもっともなお考えだと思いますが、何分非常に財政要求がございますので、われわれの努力の足りない点は、そういう点もあるということでごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/39
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040・川俣清音
○川俣委員 次に時間を節約してお尋ねいたしますが、第六条に「農林大臣は、前条の農業振興計画を参しゃくし、」「前項の規定により農業振興計画を定めたときは、これを当該都道府県知事に通知するとともにその要旨を公表しなければならない。」ということになっております。また六条の三項には、「政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、」1ここです、初めて国の財政が出てきておるのは−「範囲内において、第一項の農業振興計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。」となっておる。これは予算上に計上しておりますか。この計画の中に入れておりますか。この法律の趣旨によりますと、少くともこれは項なり目を立ててやらなければならないという理解に立つであろうと思うのです。「第一項の農業振興計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。」しかもその計画は公けに公表しなければならないという義務を負っておる。公表したからには、それを予算に裏づけしなければならないとなっておる。公表ですよ。だれが見てもわかるように周知せしめるということが目的なんです。従って予算上におきましても、この公表と相待って予算措置を講じなければならないと理解すべきじゃないかと思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/40
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041・原純夫
○原政府委員 その点は先日も申しましたように、土地改良を例にとりますと、土地改良全般の事業費を対象地域によって分けて計上するか、あるいは一括して計上して、その年その年あるいはその時その時の時期に応じてやりくりして参るか、これは財政の技術として非常に問題であり、いろいろ議論の分れるところでございます。おっしゃるような御意見もあると思います。が同時にあまりに仕切りを多くいたしますと、その間に融通性というか、弾力性がなくなって総体の効率を落すというようなことにもなります。ただいまのところあとの方の観点を考えまして、総体の中で実行上やって参る。もちろんその金額は予算の中に含めて計上してあって、そうして予算の際にも急傾斜地帯にはどれだけということはもちろんきめておるのでございますが、実行上やりくりができるような形で計上しておるというふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/41
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042・川俣清音
○川俣委員 やりくりができるようにしてあるということを——そういうような予算の組み方も私はないとは言わない、あると思うのです。ところが法律があって予算を組む場合と、なくて組む場合と、おのずから違わなければならない性質のものだと思う。わざわざ第六条の四項に至っては「政府は、毎年度、第一項の農業振興計画を実施するために必要な資金の融通又はそのあっ旋につき計画を定め、その要旨を公表しなければならない。」という義務を負っておるのですよ。融通性のあるものじゃない。財政計画としては融通性があってもいいが、この法律によって公表しなければならぬ義務を負っておるならば、これは明らかに款を立ててする、これかこの法律のねらいでなければならぬと思う。この法律の解釈でなければならぬと思う。きょう法制局に意見をただしましたけれども、法制局の見解は、この法律を解釈するにはかく解釈すべきだという見解です。時間がないから、ここに法制局長官を呼びません。また衆議院の法制局にも同様尋ねてみましたが、法律の解釈はかくあるべきだという解釈です。やるかやらないかは別です。公表しなければならないということは一つの款項目を立てなければならない、それをねらっておるものであるということだけは明らかであります。法律の表面解釈は、法律の文字通りの解釈は、その通りだという見解であります。そうするとあなたが、行政官は法律を忠実に履行しなければならないとお認めになったのはおかしいじゃないですか。忠実じゃないじゃないですか。六条の四項には「必要な資金の融通又はそのあつ旋につき計画を定め、その要旨を公表しなければならない。」と、単に予算に必要な資金の融通その他あっせんについてまでも公表しなければならないとなっている。その前の三項には「国の財政の許す範囲内において、第一項の農業振興計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。」なぜそれをやらないのですか。財政状況から見てそういう組み方のあることは、私は否定しませんけれども、法律があるんだから、なぜこれに対して忠実な組み方をしないかとお尋ねしておる、どういう理由か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/42
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043・原純夫
○原政府委員 第六条第二項及び第四項についての公表は、政府としていたしておるわけであります。それで、第三項の予算計上については、公表といいますかそれがはっきり書いてないようでございますが、三項の読み方として、ただいまの計上の仕方がいかぬのだとまではおっしゃり切らないでよろしいのではなかろうかと思うのでありますが、最近において法制局の意見を聞いておりませんので、なおよく聞いてみたいと思いますが、三項の規定からいいますれば、ただいまの計上の仕方で御了承願えるのじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/43
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044・川俣清音
○川俣委員 あまりくどくは言いませんが、三項、四項、またこの法律全体から見て、すべて計画は公表しなければならないという趣旨をとっておるのでありまして、従って三項以外のいわゆる必要な資金の融通またはそのあっせんについてまで計画を公表しなければならないというふうに、さらにくだいて公表を迫っておるものであります。この趣旨からいって、私は款項を立てるのが法律に対する忠実な考え方だ、予算編成の方針としては別でありますが、本法の予算の立て方としてはこうあるべきではないか、そういう制約を受けておるのじゃないかという解釈を持っておるのでございます。これは議員立法ということで、原さんは不服があるといったような、ほんとうはどこかに予算をほかの方よりも削減していこうという腹があるのじゃないか。あったら、これは期間を延長しても無意味なんです。また、延長しても予算がつかないとなると、延長は全く無意味になり、国会の議決というものは無責任になる。あなたがいなければこれは採決できないというのは、そこにあるのです。ほんとうの腹は、こんなものできたってあまり制約を受けないのだから、通るなら通ったっていいというのであるならば、私どもはよほど考えなければならないと思う。私はできた限りにおいては、忠実に守らせなければならない、いいかげんにすべきじゃないという見解なんです。その点もう一度承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/44
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045・原純夫
○原政府委員 できました法律をいいかげんにするというような気持は、毛頭ございません。また議員立法であるから特に普通よりも削るというような気じゃないかとおっしゃいましたが、全然そういうことはありません。やはり国民の要望をこういう法律に集結されるわけでありますから、われわれもできる限りそれについて参るつもりでやっておるのでありますが、何分各般の財政需要が非常に込んでおるために、やはり入ることは入っておると思いますが、しかしその入り方がおっしゃるほど十分ではないということでございますので、大へん不十分で恐縮でありますが、決して逆の方向にするなんということは考えておりませんから、一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/45
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046・川俣清音
○川俣委員 先ほど申し上げたように、急傾斜地帯というものは、最も恵まれない農業をやっておるのです。だからこの農業は一つの社会政策的な農業なんです。しかも一般の社会学者に言わせますと、日本の農村のうちで、一番健全な国民生活をいたしておるのは、この山間僻地だと言われておる、また最も勤労意欲の旺盛な者が山間僻地に今なお残っておる、こう言われておる。こうした条件が恵まれない所において過剰労働をいたして、なお日本の国土を守りつつあるのです。ほんとうに日本の国土を守っておる者は自衛隊でなくて、むしろこうした山間僻地に祖先伝来の土地を守っておる者が、日本の国土をほんとうに守っておる勇士であるという感慨さえわいてくる。ほんとうに恵まれない条件、あらゆる条件が悪い場所で、とても現在の生活条件からいけば、あんなところにおられるものではないのにかかわらず、なおしし営々として農業をやっておる者に対する一つの社会政策的な施策であると見なければならないと思うのです。私はそういう意味において賛成なんです。普通の農業政策から見れば、こんな採算の合わないところはない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/46
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047・村松久義
○村松委員長 川俣君に御注意申し上げますが、重複を避けて、問題を法案に限定して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/47
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048・川俣清音
○川俣委員 もうすぐ結論に入ります。
そういう点から、特にこの法案が必要だと認められる限りにおいては、あなたが賛成されるならば、従来のような予算の裏づけだけではこの法律に対して忠実じゃないということになる。だからもしつけないならば、今から反対されておった方がいいのではないか。あなたが賛成だと言われるからには、この恵まれない地帯における社会政策的なものとして取り上げられるという観点で、予算の裏づけをなさらなければならないであろうということを申し上げて、あなたの見解を聞いて、あなたに対する質問はこれで打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/48
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049・原純夫
○原政府委員 たびたび申し上げますように、御要望におこたえいたしたいというつもりでやっておりますし、将来もいたすつもりでおります。現に三十一年度も、先般ちょっと申し上げましたように、わずかではありますが、一割あまり増加させておるということで、御要望はほかに多いので、大へん恐縮でありますが、できる限り御要望に沿うような方向になお努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/49
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050・川俣清音
○川俣委員 大蔵省に対する質問はそれだけにいたしまして、自治庁に対してお伺いいたしたい。
この振興計画は町村長の定める農業振興計画、都道府県知事の定める農業振興計画並びに農林大臣の定める農業振興計画がございますが、いずれも審議会の意見を聞いたりあるいは公聴会の意見を聞いて、そうして振興計画を立てることになっておる。そしてその実施体はあなたの所管の自治体なんです。そこで自治体以外の有力な農業団体から意見が出た場合は、どういうふうにして採用させることが妥当だというふうにお考えになりますか、または採用さるべきだとお考えになりますか。またどうこの法律を解釈しておられますか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/50
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051・後藤博
○後藤政府委員 私は財政部長でございますが、地方団体の負担関係を中心に、つまり財政的に見まして計画の内容、計画の実施の手続、それから計画の策定等につきましては、実は私ども別にこれにタッチしていないのでありまして、農林省が直接ないしは地方の機関を通じていろいろ御指導になりまして、そのでき上ったものの財政的な負担関係をどうするか、それに対して一般財源をどういうふうに向けるか、交付税の計算のときにどうするか、こういうふうなことだけを私どもやっておりまして、もちろん起債の問題も含んで参りますが、そういう計画をめぐるところの問題につきましてはわれわれ直接タッチいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/51
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052・川俣清音
○川俣委員 それでは非常に無責任ですよ。これは町村制の中心課題です。従ってこれから生ずる財政計画も出て参りましょうし、町全体の計画もこれによっていろんな影響を受けることは事実なんです。農業計画というから農林省と、こう言いますけれども、町村、ことに日本の町村はほとんど農村を持っている。五千カ町村のうちで農村に関係の深いのはおそらく九〇%あるでしょう。その振興計画を立てることによって、その内容の是非は別にいたしまして、結局これは町村財政に影響してくることでしょう。従ってあなたがこれに無関心だということだったら何のために財政計画を——財政計画を見てみると、無条件で受け入れられる、あるいは起債の問題になってくる。これは無関心でいるというようなことにならないでしょう。町村長の立てる農業計画は、あらゆる町村における計画のうちの中心課題です。従って無関心だなんということは、あなた、どういうところから出てくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/52
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053・後藤博
○後藤政府委員 無関心とは言わなかったのであります。実は私どもは計画自体の財政的に影響のある面について、起債なり交付税なり税制なりそういう面でタッチしておりますので、計画自体にはタッチしていない、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/53
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054・川俣清音
○川俣委員 今の町村財政から見て、こういう計画を立てる能力がないというふうにお考えになっておりますか、能力があるというふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/54
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055・後藤博
○後藤政府委員 経費の使い方の問題、財源の配分の問題でありまして、私は必ずしもできないというふうには考えておりません。ただ問題は、その補助事業だけをお考えになっておりまするかどうかわかりませんが、私は単独事業と補助事業と二つ形があると思います。単独事業の能力は現在財政的に考えましてそうあるとは思っておりませんが、補助事業がやれないということはないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/55
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056・川俣清音
○川俣委員 この計画自体はできると思う。実施の面においてあなたのような憂慮が出てくると考えられるのです。このくらいな計画が、町村ができないというふうには私は考えない。あなたもお考えにならないと思う。おそらく実施の面で可能か不可能かあなたが議論になっていると思う。そこで問題は、実施じゃなくて実施計画です。実施計画を町村及び府県でこうやっているのです。そのほかに、もしも農業団体からいろいろな意見が出た場合においては、その意見をどう受け入れることが妥当だというふうに自治庁はお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/56
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057・後藤博
○後藤政府委員 私どものところは、市町村のやるところの事業を中心に考えております。農業団体が直接やります事業についてはわれわれは一応タッチしないことになっております。農業団体がやります事業のうちで、市町村から負担金とか補助金とかいうふうな格好で出て参るものがございますれば、それは寄付、負担金の問題として総括的に財政需要額の一定率以上出してはいけない、こういう意味で関与しておるのでありまして、個々の問題には関与しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/57
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058・村松久義
○村松委員長 川俣君、一つ問題を近寄せて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/58
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059・川俣清音
○川俣委員 そうすると、あなたの方はこの法律で自治体を中心に計画させ、自治体の運営をはかっていこう、こういう考え方ですか。これには賛成なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/59
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060・後藤博
○後藤政府委員 この法律自体にはもちろん賛成でありますし、延長されるということは特殊的事情があると私ども考えておりますので、もちろん賛成であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/60
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061・川俣清音
○川俣委員 そうしますと、他に農業団体ができて、同じような計画ができた場合に、競合するような場合には、あなたはどのような見解をおとりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/61
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062・後藤博
○後藤政府委員 一つの団体の中で、農業団体と地方団体との間で調整すべき問題と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/62
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063・川俣清音
○川俣委員 これは調整するのですか。民間団体と地方団体との調整というのはあるのですか。自治団体と自治団体との間の調整ということはあるかもしれません。民間団体ですよ。民間団体の意見は尊重するとかなんとかいうことは別問題です。調整するというのはどういうふうな考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/63
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064・後藤博
○後藤政府委員 市町村の農業関係の補助事業というものは、多くの場合に団体の方の補助の形をとって流れております。しかし同じようなことを市町村でやる場合もございます。その場合に、団体を中心としてやるか、市町村の財政の中でやるかという問題はあるのであります。その場合には市町村とその団体との間で適当に調整をして、いずれか主体になってやるように私どもは指導いたしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/64
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065・川俣清音
○川俣委員 私はこの際自治庁にお尋ねしておきたいのだが、民間団体が総合計画を立て、また自治団体も総合計画を立てる。一方は公聴会を開いて義務を負わせる。また議決を要しなければならない。振興計画を農林大臣にこれを要請しなければならないいろいろな義務を負っている……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/65
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066・村松久義
○村松委員長 川俣君、期間延長とはだいぶ離れているようですが、その点を率直に一つおやりを願いたいと思います。時間も経過いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/66
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067・川俣清音
○川俣委員 そこでこのままこの期間を延長するということになりますと、新しく農業団体が出てきて、同じような計画をするのと衝突するのです。衝突することが目の前に来ている。そこであなたは延長に賛成だということになりますと、原さんも賛成だということになっているのだし、提案者も賛成だとあって提案されたんだが、そこで新しく競合するようなものが出てくるとすれば、それは待った方がいいとお考えになるのか、あるいはこれはこれとして認めて、これと背馳的なものは反対だという御意見なのか、その点をお尋ねしておく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/67
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068・後藤博
○後藤政府委員 どうも私ども実際の計画の内容はわからないのでありまして、団体が立てたものと地方団体が立てたものとが競合する場合にどちらを中心に自治庁は考えていくかという御質問ではないかと思いますが、私どもはやはり一応団体と地方団体との間で調整をして、どちらがやるかということを相談をしてきめるべき問題ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/68
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069・川俣清音
○川俣委員 そのときに予算がこちらからこちらへ回るということになるとどうなるか。今までつけられたその予算が減らされて別の方の予算になる。これは協議とかあれとかいう問題ではありませんよ。今まで持っている権限が縮小されるわけですよ。計画が立っても予算の裏づけがないということになる。今までずいぶん計画を立てられた。自治体の経費としては過分の経費をかけて計画を立てたが、今度は予算は別の方にもっていくというようなことになったら、あなたは何とおっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/69
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070・後藤博
○後藤政府委員 たとえば地方団体、市町村の方の系統へ流れておりました補助金が農業団体の方に流れる、こういう場合があり、逆な場合もございます。その場合にどちらでやるかということはやはり市町村の中の問題でありますから、これは地方団体と農業団体の間で話し合いをしてきめるべきだということを先ほどから申し上げているわけであります。従ってどちらでやっても私どもはいいのじゃないかと思いますが、ただ補助事業でございますればやはり負担関係がはっきりして参る。そのはっきりしたものは当然に上級官庁からの指導によってやらなければならぬということでありまして、二つに流れないで一本に流していくのがほんとうの姿ではないかと思うのであります。しかし実際問題として二つ流れて参りますれば、両方でやるということになると思う。その場合にはやはり重複しないようにやらざるを得ない。経費の効率を上げる意味で、両方相談してやりなさい、こう言わざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/70
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071・村松久義
○村松委員長 予定時間が経過しますから、もう一問だけに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/71
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072・川俣清音
○川俣委員 もう一点、提案者にお尋ねいたしますが、せっかく提案者が熱意を持ってこの法律案の延長を期待されて提案されておるのですが、今までの実績を見ますと、特に経営改善事業の方は成績が上っていないのです。これではただ延長いたしましても、提案者が無責任であるというそしりを受けるおそれがあると思うのですが、提案者は新たなる心構えでもって、おそらく与、野党で提案されたからには与党の人々の協力も得るでありましょうし、もし得られなかった場合には重大な決意を持ってこの法律案の裏づけをなす用意があるかどうか、この点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/72
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073・井谷正吉
○井谷委員 ただいまお話のように、この法律案は与野党一緒にやりました共同提案であります。農林委員は全部御賛成であるし、関係二十一県の方はこれまた全部御賛成でありますし、二十一県以外の人も賛成していただいているのです。予算の面等においてはずいぶん遺憾な点がありますが、これはこれからお互いに御協力を願って、この延長の意味が完全になし遂げられるように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/73
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074・村松久義
○村松委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、本案は予算を伴う法律案でありますので、国会法第五十七条の三の規定によりまして、内閣に意見を述べる機会を与えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/74
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075・大石武一
○大石(武)政府委員 この法案の延長につきましては賛成であります。目下閣議の了解を得るように手続中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/75
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076・村松久義
○村松委員長 ただいまの御意見に対し、御発言はございませんか。——なければ討論に入りますが、討論の通告もございませんので、これを省略して、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/76
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077・村松久義
○村松委員長 御異議なしと認め、採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/77
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078・村松久義
○村松委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なおお諮りいたします。本案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/78
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079・村松久義
○村松委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十三分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X01919560313/79
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