1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月八日(火曜日)
午前十一時二十四分開議
出席委員
委員長代理 理事 吉川 久衛君
理事 笹山茂太郎君 理事 白浜 仁吉君
理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君
理事 芳賀 貢君
足立 篤郎君 安藤 覺君
井出一太郎君 石坂 繁君
木村 文男君 楠美 省吾君
小枝 一雄君 鈴木 善幸君
中馬 辰猪君 綱島 正興君
原 捨思君 本名 武君
松浦 東介君 松野 頼三君
赤路 友藏君 淡谷 悠藏君
伊瀬幸太郎君 井谷 正吉君
稲富 稜人君 石田 宥全君
川俣 清音君 神田 大作君
田中幾三郎君 中村 英男君
日野 吉夫君 久保田 豊君
出席国務大臣
国 務 大 臣 一萬田尚登君
出席政府委員
農林政務次官 大石 武一君
農林事務官
(大臣官房長) 谷垣 專一君
農林事務官
(農林経済局
長) 安田善一郎君
農林事務官
(農地局長) 小倉 武一君
農林事務官
(農業改良局
長) 大坪 藤市君
農林事務官
(畜産局長) 渡部 伍良君
農林事務官
(蚕糸局長) 永野 正二君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局統
計調査部長) 野田哲五郎君
農林事務官
(農地局参事
官) 戸嶋 芳雄君
専 門 員 岩隈 博君
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四月三十日
委員白浜仁吉君辞任につき、その補欠として松
岡松平君が議長の指名で委員に選任された。
五月二日
委員井出一太郎君及び松岡松平君辞任につき、
その補欠として松野頼三君及び白浜仁吉君が議
長の指名で委員に選任された。
同月八日
委員加藤常太郎君及び中村時雄君辞任につき、
その補欠として井出一太郎君及び芳賀貢君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
理事白浜仁吉君四月三十日委員辞任につき、そ
の補欠として同君が理事に当選した。
同日
理事芳賀貢君四月二十七日委員辞任につき、そ
の補欠として同君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
四月下旬及び五月上旬における凍霜害による農
業被害調査のための委員
派遣承認申請に関する件
農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第六六号)
四月下旬及び五月上旬における凍霜害による農
業被害対策に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/0
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001・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 ただいまより会議を開きます。
この際お諮りいたします。白浜仁吉君及び芳賀貢君が委員を辞任され、理事が二名欠員となっておりましたが、両君が再び委員に選任されましたので、両君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/1
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002・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、白浜仁吉君及び芳賀貢君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/2
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003・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 この際一萬田国務大臣より農林大臣河野一郎君海外出張不在中、内閣法第十条により臨時に農林大臣の職務を行う国務大臣に指定されましたので、ごあいさつをいたしたいとの申し出があります。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/3
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004・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御承知のように高碕国務大臣がフィリピンに賠償全権として参りました。私ごく短い間と存ずるのでありますが、河野農相の留守中、農林大臣の代理を仰せつかりました。従いましてたとい期間が短くとも、その間は全責任を持って全力をあげて働くつもりでおりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/4
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005・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 この際お諮りいたします。去る四月下旬から五月上旬にかけての東北、関東、中部、中国地方等の凍霜害について調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/5
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006・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認めます。それではまず政府より被害状況について調査報告を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/6
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007・大石武一
○大石(武)政府委員 四月二十九日から五月一日までの凍霜害につきまして、目下農林省におきましては鋭意その被害状況の把握に努めておる次第でございますが、現在まで集まりました報告につきましてお知らせを申し上げます。
大体その被害は三十数府県に及ぶ見込みでございますが、現在まで集まっております報告は十四県でございます。そしてその府県の被害の総額は、約百六億八千万円という額でございます。
なお参考までに申し上げますが、昭和二十八年の凍霜害の被害総額は、農林省統計調査部の調査の結果によりますれば約百億でございまして、各府県の報告は、すでにその半数以下の県において、この数字を上回っておるのでございます。なお農林省の統計調査部におきましてもいろいろと調査を進めておりますが、現在までにわかりましたのは、正確な数字でございますが、七県、まだ十県に及ばない状態でありますが、そのあれを見ますと、被害面積につきましては七五%、被害量におきましては現在七三%という状況でございまして、すでに農林省より調査官を派遣いたしまして鋭意調査中でございますので、結果がわかり次第あらためて御報告申し上げる次第でございます。
今までの経過を簡単に申し上げますと、被害の発生した三十日には蚕糸局長をして群馬、埼玉の実態を調査せしめるとともに、福島、北関東、東海、東山、近畿地区十一府県に対してそれぞれ本省関係官を派遣いたしまして実態を調査いたしております。
次に本年の気象台における長期予報により降霜の被害が予期せられましたので、それぞれ関係各局、ことに改良局と蚕糸局でございますが、各局におきまして都道府県及び関係者に対しまして、その予防方法及び対策について注意を喚起いたしました。すなわち農業改良局においては四月九日の局長通達により、普及組織をあげてその対策を指導いたしました。また蚕糸局におきましては、ラジオ、業界紙及び農林弘報をもって四月一日以降数次にわたり予防法及び善後処置について指導いたしたわけであります。
次に樹勢回復用硫安の緊急譲渡についてでございます。凍霜害発生後の樹勢回復用その他の追肥需要に備えまして、保管の硫安一万トンを五月末日までに放出するよう五月四日全購連に対し緊急譲渡の指令を行なっております。
なお今後の対策といたしましては、十分に調査いたしまして、被害実態の判明次第関係方面と協議して適切な対策をすみやかに講ずる方針でございますが、さしあたり系統金融機関の利用による融資措置を円滑に実施するよう農林中央金庫当局と打ち合せ済みであり、その他諸般の措置について目下準備中でございます。
以上簡単でございますが御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/7
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008・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 ただいま政府より被害状況について調査報告がございましたが、これに関連いたしまして安田農林経済局長を除く関係局長、官房長、全員見えておりますので、質疑がございましたらこれを行います。稲富君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/8
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009・稲富稜人
○稲富委員 ただいま今回の凍霜害に対する被害の状況の今までわかっておる分に対する簡単なる御報告を受けたのでございますが、私たち現地の状態からいいますと、ただいまの御報告よりもさらに被害の実態はまた多くなってくるのではないかというような感じがするのでありまして、これに対しましては、被害者の諸君が非常な憂慮の念にあることは事実でございまして、ことにお茶あるいは桑等の被害のために、まっ黒く焼けているというような実態を見まして、農民は実に自失の感にとらわれているという状態でございます。政府はこれに対してすみやかなる方途をとって、一日も早くこの被害農民に対する不安の感を一掃せしめるということが緊急事であると思うのでございますが、ややもしますとこういうような施策は、調査等のために非常におくれるような感があるのであります。ことにただいまのような農林次官の御説明を承わりますと、これに対する長期資金の融資等に対しましては万全を期したいというようなことを言っていらっしゃいまして、この点われわれも当然そうあるべきと思うのでございますが、これに対しまして、具体的に現在の予備費等の関係からどういうような具体案を持っておられるのであるか、まずこの点をこの機会に承わっておきたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/9
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010・大石武一
○大石(武)政府委員 ただいまのお説のように、でき得る限り調査を完了いたしまして、すみやかに万全の処置を講ずる方針でございます。おっしゃるように、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法という法律が幸いにございますので、できるだけあれを広く適用する所存でございますが、とりあえず被害状況がわかりましたならば、補助金等の関係につきましても十分に努力いたしまして、できるだけの予備金の支出をいたしたいと念願する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/10
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011・稲富稜人
○稲富委員 次に、この樹勢回復等の補助金等の問題でございますが、これは最近の政府の傾向を見ますると、二十八年の災害当時は、相当に樹勢回復のための補助金等も出たようでございますが、二十九年、三十年と見ますと、どうも大蔵省方面で、補助金等の支出に対しましては、非常に出し惜しみをするというような傾向のあることは、農林当局もこれはすでに御承知になっているだろうと思うのであります。こういうことがないように、被害者に対して、この補助金等によりまするすみやかなる救済策をとることは当然必要だと思うのであります。これを出したことが、補助金等の流れ工合に対して、いろいろあるいは会計検査院の指摘があったとか、そういう監督上の不行き届きがあったとするならば、これに対する問題は万全なる監督上の施策をとるべきであって、それがために補助金等を少くする、被害農民に対して補助金を与えないようにするというようなことはもちろん慎むべきことであるのでありまして、すみやかにこの監督を厳重にすると同時に、補助金等に対しましては惜しげなくこれを支出して、農民が次の生産に邁進する方法を講ずることが必要であると思うのであります。これに対して、ただ樹勢回復の補助金等を考えておるということだけでなくて、農林省が考えておるとしても、大蔵省において今まで難色があったようでございますので、本年度の災害に対しましては、農林省はどのような決意を持っていらっしゃるか、この点一つこの機会に念のために伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/11
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012・大石武一
○大石(武)政府委員 全くお説の通りでございますので、われわれといたしましても、全力をあげてこの対策に努力いたす所存でございますが、幸いに大蔵大臣が農林大臣の代理をいたしておりますので、この情勢をよく認識することとわれわれ信じますので、当委員会の皆様のお力もお借りいたしまして、全力をあげてその対策に努力いたしたい、こう決意いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/12
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013・稲富稜人
○稲富委員 いま一点お尋ねしたいことは、今回の災害で最も緊急な被害は桑の被害でありまして、ことに掃き立て前でございます。この掃き立ての問題に対しましては、冷蔵庫等によって種の孵化を少しおくらすようなことはやっておるのでございますけれども、これもなかなか芽が出ないと思う。そうすると次の発芽までの期間に、一齢、二齢期における蚕をいかに養うかという、桑のあっせん等は、当然これは必要じゃないかと思う。これは現地においてはそういうことをやっておるようでございますが、近県等被害の少なかった県からこういうような桑の融通のできるような方法を講ずることについて、補助とは別個にそういうあっせん等に農林省みずから積極的に働いて乗り出されることが妥当じゃないかと思いますが、こういう点に対しましてどういうような計画を立てておられるか、その点を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/13
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014・大石武一
○大石(武)政府委員 お説ごもっともでございます。当然これは農林省のなすべき仕事であると思います。これは専門的な仕事でございますので、蚕糸局長よりお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/14
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015・永野正二
○永野政府委員 本年の凍霜害は、ちょうど掃き立て直前の地帯が非常に多いのでございます。そういう地帯におきまして被害が部分的にとどまります場合は、稚蚕用桑も相当手に入れられる可能性があるのでございますが、被害が非常に激甚でございまして、稚蚕用桑もないというような地帯もあるようでございます。大体催青中の蚕種は若干抑制して掃き立てを延ばすということは技術的にも可能でございますけれども、それにも限度がございますし、またあまりに掃き立てを延ばしますと、労力の関係で、麦作その他とかち合うという関係になりますので、その点にも限度がございますので、どうしても催青中の種はなるべく捨てないで、そのまま掃き立てるという方向に指導いたさなければならない地帯がいろいろあると思うのでございます。私の方といたしましては、現地の蚕種担当官といろいろ連絡をとりまして、この善後措置については各県で具体的に相談をいたしておるのでございます。ただいま御指摘のございました稚蚕用桑の入手のあっせんということについても、県によりましてはすでに具体的に手をつけておるような県もあるようでござい捜す。これらの実例をよく参考にいたしまして、そういう地帯におきましては各府県ともできるだけ掃き立てを減らさないで、農家の被害を軽減するという方向に、具体的に私の方も連絡をとりながら指導いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/15
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016・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 綱島正興君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/16
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017・綱島正興
○綱島委員 ただいまの樹勢回復の措置及びその関連地に対する措置でございますが、会計検査院等から指摘された個条等もありまして、ややもすれば大した被害のないという地域に対しては、一切補助金を出さないというようになるおそれがあると思うのでございますけれども、桑の場合は、非常に激甚な被害のところはどうせすぐは芽は出ますまい。そうすると樹勢回復のための追肥をやりまして効果のあるのは、割合に被害の少い、それほどでないというところに肥料を配付しなければ早急に発芽を見るということは困難だと思う。ところが先ほど稲富委員が申された通り、桑を融通いたさなければなりませんので、この点については特に大蔵省の了解を得られ、それほど激甚でないところにもこのたびは肥料を補助するというような措置をされる御意思がございますか。この点はもしお答えができねば、希望として申し上げておきたい。御意見がありますれば伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/17
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018・永野正二
○永野政府委員 今回の被害に対しまして、具体的に融資並びに助成をどの程度施行するかということにつきましては、先ほど政務次官からもお答えがありました通り、各県の被害の実態というものをある程度はっきりつかむ必要があると思うのでございます。その上で被害のどの程度のものについて実施をするかということをきめて参るわけでございます。その場合に、予算の総額その他ともにらみ合せまして、一定の限度以上の被害の地帯に対しまして、そういう施策を施していくということに相なろうかと思っております。この際は、ただいまお述べになりましたような事情もできるだけ加味をいたしまして、その助成の対象となる地帯をきめて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/18
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019・綱島正興
○綱島委員 それから二十八年度災害のときの補助金の負担額でありますが、それは大体府県が三分の一、本省が三分の一、被害者がその残りというようなことでやったようでありましたが、県のうちには御承知の通り、ただいま再建整備にかかっておる県もございまして、この三分の一の府県の負担ということには非常に考慮をしなければならぬと思いますので、あらかじめこのことは大蔵省の了解を得、自治庁の了解を得られて、実際の三分の一の国の補助が効果的に現われるように、府県におい工二分の一を補助し得ないときは、それを何らかの方法で埋め合せていくというようなことがされなければ、ただいまの自治行政の現状から見て、このことは非常に困難になってくると思います。ただし二十八年度災害の通りに事がきまるかどうかわかりませんが、二十八年災害の例にならうとすればという前提で申し上げておるわけでありますが、これについてはどういう御意見がございましょうか。御注意を願えればけっこうですが、このことは簡単なことではなくて、自治庁と大蔵省に関係があることですから、よほど本省では御注意にならないと、これは単に二十八年災害の通りやったのでは、効果を結ばぬ線がありはしないか、こう思いますので、御意見だけ伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/19
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020・大石武一
○大石(武)政府委員 御意見は十分に尊重いたしまして、できる限りの最善を尽す所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/20
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021・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 井谷正吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/21
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022・井谷正吉
○井谷委員 農林省で現在わかっておる被害の府県名と被害の農作物の種類、それから今お手元に来ていねいでも、これから来るだろうと思われる予想の被害府県を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/22
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023・大石武一
○大石(武)政府委員 大体五月七日現在の各県よりの報告は十四でございます。県名を申し上げますと、福島、茨城、群馬、埼玉、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、京都、兵庫、広島、奈良、この十四県だけ報告が届いております。なお被害のありました作物は、桑、茶、バレイショ、苗しろ、麦、雑穀、果樹、菜種、蔬菜、タバコその他がおもなものであります。(「神奈川県は」と呼ぶ者あり)神奈川県は残念ながらまだ報告が届いておりません。なお詳しいことは統計調査部長にお答えいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/23
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024・野田哲五郎
○野田説明員 私の方の調査については、実は今晩までに資料を集めるということになっておりますので、現在まで来ておりますのはきわめて少数の県でございます。被害県は三十六、七県に及ぶかと思いますけれども、現在まで来ておりますのは、桑について十七県、茶について五県、その他の作物について九県でございます。一般的に申し上げますと、桑の被害が非常に大きく、それから次にバレイショというようなものが非常に大きいようでございますが、成育のステージがかなり進んでおりました麦等は、まだはっきりしない事情がありますけれども、これは過ぐる二十八年の凍霜害のときのようには出ないのじゃないかと思っております。全府県のものは大体今晩あたりに資料がまとまることになっておりますので、まとまり次第お届け申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/24
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025・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 足立篤郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/25
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026・足立篤郎
○足立委員 政務次官にお伺いしますが、二十八年の凍霜害の経験にかんがみまして、いろいろ政府で施策を行いますけれども、実際に生産農家にとって一番影響の大きい問題と申しますか、跡始末で一番困る問題は、所管が違う関係で非常にちぐはぐになって困っておる実態が起るのは、実は税金の関係です。減免措置をとるということは、必ずこういう場合の要綱等にもお題目のようにうたわれますが、現地に行きまして税務署がやってるやり方、態度等を見ますると、きわめて事務的なんです。特にお茶などの場合には、その傾向が強いわけですが、たとえば一番茶がやられる。凍霜害を受けるのは一番茶に限ってるわけですが、そうすると勢い需要供給の関係から二番茶あたりで普通の、平年の場合よりもやや値段が上回るというような場合が起る。そうなると税務署の方では、一番茶がやられて、その樹勢回復のために農家は非常な犠牲を払ってるということは勘定に入れないで、二番茶、三番茶がやや値がよかったという理由で、年間所得は変らないじゃないかということで、凍霜害の被害そのものはあまり見ないのです。それでどこでも紛争を起している。これは茶に限らず、果樹その他すべてそういう問題が起ってくるわけですけれども、茶については一年間に三回も収穫されますので、特にあとから値が上ると、それを理由にこじつけて税の減免をなるべく押えつけようとする傾向が、税務署の末端の官吏に見られまして、茶業界としょっちゅう問題を起すということ、これは一つ、二十八年度私どもこりごりした実例がたくさんあるわけですから、農林省とされましても、政府部内の連絡を十分とられて、これに対して農民に不安なからしめる——樹勢挽回のためには、政府から補助金が若干出るでしょうが、これもほんとうに二階から目薬程度であります。そう言ってはいかぬですけれども、実際そうです。農民がどれほど苦労して自分の生活を守るために努力するかわからない。これは精神的にも、肉体的にも、あるいは金銭的にも非常な努力をするわけです。そういう点を税務署あたりは全然考えない。それでは情のある処置とは言えないのであります。この趣旨を徹底するように十分部内で御連絡をとって、今回は二十八年の轍を踏まないように十全の措置をとる御決意があるかどうか、政務次官の御見解を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/26
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027・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。お説のように二十八年度の経験なり実態なりを十分に把握いたしまして、このことをよく大蔵当局に伝えまして、それが末端まで浸透するように一生懸命努力をいたす決意であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/27
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028・足立篤郎
○足立委員 先ほど一萬田さんが臨時農林大臣としてごあいさつになりました。たまたま皮肉なことに凍霜害の大被害が起ったわけですが、私が前申し上げた点も、結局大蔵省の当局がほんとうにその腹をきめれば、あとからそういう紛争は起きないと思います。この機会に一萬田さんに農林行政のむずかしさというものをよく勉強していただいて、こういう点について遺漏ない処置をとっていただくように、政務次官としては女房役、内助の功を一つ積んでいただくように、私はお願いしておきます。
さらに続けまして、農業災害補償法に基く共済金の問題であります。いつもこういう場合には、仮払いとか概算払いとかいうことで行われるわけなのです。ただ私が今憂慮いたしますのは、実は去年から災害補償制度に基く評価の方式を変えたのですね。これは国会でも評価のやり方がいいとか悪いとかいろいろ議論となりましたし、それから農林省で作られた制度改正協議会におきましても、これは問題になりまして、いわば昭和三十年度に一つの試験的なやり方として、統計調査部の数字に教わって郡単位くらいまで評価を確定しようということでやってきておるわけ血のです。その結果は——私どもは最初はこうやれば、郡できまれば非常に早くきまるから、しかも的確に早くきまれば共済金が忘れたころにくるというような非難もなくなるし、まことにけっこうだろうということで、この方針には賛成した一人なのでありますが、実際に昭和三十年度にやってきた実績を振り返ってみますと、これは早くなるどころじゃない、今までは水稲の支払いなど年内にできたものが、年度内じゃできない、三月末になってもできないという県が大多数なんです。実は年度を越している。なぜかというと、これは各県の共済組合連合会あるいは町村の単位組合等はとっくに仕事は終って、統計調査部の資料ができるのを口をあいて待っている状態です。その間何カ月間かむだをしているという実態がもうはっきり出てきている。これは単に水稲だけではない、麦についてもあるいは秋蚕、夏秋蚕等の支払いについても、同じことが言える。最近非常におくれております。それはおくれた原因は、実は早く確定しようと思ってやったこの試験的な制度が逆効果になりまして、これがためにブレーキがかかっておくれるという実態がもうはっきりしてきた。あの当時協議会でも、今御出席の統計調査部長が御出席になっておられて、私どもも果してできるかどうか念を押した。これは予算の関係もあるし、人員の関係もあるし、現状を見てこれを要求することは実は私は無理じゃないかと思っているのです。統計調査部が幾ら真剣にやりましても、郡単位の数字を早く確定するということは無理じゃないか。ところが現実はその無理を押し切って、試験的にそういう制度になっているわけです。その結果非常におくれるということで、末端の農民は非常に迷惑しているし、そうでなくてもいろいろと非難のある共済制度そのものに対して、かなえの軽重を問われるような重大な段階にきているということを農林省は御認識ですか、次官はそれを御承知ですか、それを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/28
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029・大石武一
○大石(武)政府委員 ただいま承わりましたような実態については耳にいたしております。それから共済制度そのものに対するいろいろな不満なり不平なりについても、よく聞いておりまして、何とか善処し血ければならぬというのが農林省のただいまの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/29
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030・足立篤郎
○足立委員 そういう御認識を首脳部はお持ちになっておるならば、私は当面の問題として、凍霜害に際してどういう処置をとらるるかということについてお伺いせざるを得ないわけです。これは統計調査部が今一生懸命にお調べになっておるでしょう。一生懸命にお調べになっておるでしょうが、統計調査部が日ごろ取り扱っておるもの以外のものも今度は入っておるわけです。共済の対象以外のものもずいぶんあるわけです。その方面で相当労力を費されるでございましょうし、いろいろか点を考えますと、これが現在三十年度のやり方で、郡単位の評価が確定するということでいきますと、いつにねってこの共済金がもらえるかわからないのですね。早期支払いなどということは単にお題目にすぎないという結果になってしまうのじゃないかと思うので、この昭和三十年度にやってきた評価のやり方を根本的に御検討になって改められると同時に、とりあえず凍霜害対策について共済金の支払いについてはどういうことをお考えになっているか。これは私が申すまでもなく、樹勢挽回用の肥料の補助金とか、種子代とか、農薬の補助金だとかいろいろお出しになるが、何と申しましてむこの共済の対象になっているものにつきましては、特に桑につきましてはこれが一番大きなものなのです。農家の経営安定のために一番大きなささえになるわけですから、これが本筋なので、これに対する処置を、この際腹をきめてやっていただかなければならぬと考えておるのですが、どういうふうなお考えを持っていらっしゃるか、まずもって承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/30
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031・大石武一
○大石(武)政府委員 おっしゃる通り、この共済金の支払いについては急を要すると思っておりますが、なお詳しいことにつきましては、経済局長よりお答えいたさせることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/31
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032・安田善一郎
○安田(善)政府委員 足立先生よく農業保険のことを御存じでありますので、御意見の通りに私も思っております。その御意見というのは、三十年産におきまする損害評価の改善の仕方と申しますか、迅速処理の仕方として行いましたものがおくれておる結果として、逆に制度そのもの、あるいは制度を運営する方々に御迷惑をかけておる点については至急に解決をしなければなりませんし、また凍霜害にもそれを参考にして保険制度の運用をしなければならぬと思っておる次第であります。凍霜害につきましてはお話の通りに、数字の確定についてさらに検討を加えまして、農業災害補償制度の概算払いあるいは仮払い、この両制度を使いまして、迅速に法の目的が達しますように処理したいと思いますが、三十年産の水稲その他につきまして問題が起きましたことにかんがみまして、目下のところ私はない知恵をしぼりながら、御経験の方々の御意見を求めて想を練っておりまして、第一には、統計調査部の数字を使うことになったのだから、これはやはり今後も使っていきたい。しかしながら統計調査部の数字には、理論上も実施上も相当程度の幅を認むべき誤差率というものがございますから、そこでこれに対しては行政的判断を上手に加えまして、必ずしも統計調査部数字ばかりにとらわれないし、それが迅速にできないときにはそれにかわるべき措置をもやはり考えて、応急措置をとるべきものだと思うのであります。三十年産のものにつきまして、陸稲、水稲等問題がありまして、私は部内には、三月末までに絶対にこれを片づけるべしという方針で、地方からその必要な調書が上ることがおくれておりますものにつきましても、厳重に早くこれを上げて下さるように、また出てこないところは係官を派遣して、監査を兼ねながらその申告書をいただくようにしておるのでありますが、不幸にして水稲で申しましてまだ十数県しか片づいておりませんが、私の心配しながら努力しておるところによりますと、今月中には特別の一、二県を除けば全部片づけるつもりであります。また片づけられない事態がありますれば、時間的なことも考えまして——と申しますのは、今年の田植えが始まって去年の水稲、陸稲の共済金がもらえないということは、制度に対する非常な不信を招くと思いますので、その場合には統計の利用方法と申しますか、損害評価確定の方法について若干の考慮をすべきものと思いますが、すでに話がうまくついておるものに対する影響及び全国的影響、保険の会計というもの等についても十分に考慮いたさねばなりませんので、これを慎重に扱いたいと思うのであります。幸い今回の凍霜害につきましては御指摘のように、試験的に行いました三十年産の農災の損害評価の方法が前年以前に比較いたしまして、一挙に切りかわりましたために、県連等においては非常に御理解を願っておりますが、単位組合等については、いわんや組合員等については理解の度が徹底していない点もあると思いますので、当局側の行政的判断を加えられて、その制度を維持して、理解を願って、敏速にこれを処理できる方法等を両者兼ね備えまして、漫然と本省が申請を待っておるという態度でなしに処理いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/32
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033・足立篤郎
○足立委員 私は本日凍霜害対策として質問をいたしておりますので、今の災害補償制度に基く評価の根本問題につきまして、今ここで経済局長と議論をすると言いますか、論争すると言いますか、そういう気持はありませんが、せっかく今詳しく御答弁がありましたので、そのままに聞き流しにできない点だけを申し上げておきますが、大体私ども国会の小委員会で、あるいは農林省に作られた協議会でもお話があって、これを了承しましたゆえんは、早く支払いをするように、早く確定しようという趣旨であったから了承したわけなんです。しかもそれができるという関係者、責任者の御答弁があったから、それじゃまあやってみるのがよかろうというので、いわば三十年度は試験的にやってみたわけなんです。そのときの考え方は、いつもその最後の段階にきて、大蔵省とすったもんだやりまして、最後にはその腰だめの政治的な折衝で各県の共済金がきまる。これは非常に不明朗だ、同時にまたそれがおくれる原因をなしておる。従ってそれが郡段階程度で統計調査部の数字が出て、それにある程度誤差率はあるにしてもぴたっと押えていけば、大蔵省も文句が言えぬだろうし、それによって早くきまれば、農民もこの制度を信頼するようになるだろう。早期支払いができてまことにけっこうだ、こういう趣旨でわれわれは了解して三十年度やってきたわけです。ところがさっき私が申し上げた通り、また経済局長自身もその実態につい一はお認めの通り、やってみるととうていこれは早期支払いどころではない。どこに欠陥があるかといえば、結局統計調査部の調査の実態が、またその体制がそうなっていないということなんです。言いかえれば県の数字、県の被害率を出す調査技能と言いますか、内容は持っていらっしゃる。それが出て、中央である程度の修正等をいたしまして、それがまた下ってきて郡単位の数字を出すというような、回りくどいやり方に現在なっているのじゃないかと思う。これが末端から積み上げてきて、郡できまる、県できまる、中央できまる。そして郡できまるときに共済もそれに右へならえできめちゃうというふうに、私どもは初め単純に匿えておったわけです。それがそうでないということになりますと、結局今経済局長自身がお認めの通り、これは統計調査部で作る数字そのものが、行政的な考慮をしてという表現をされておりますが、政治的にある程度きめなければならぬことになってくると、一体それは役人のやることは絶対正しいのだ。共済組合が末端で部落の代表、農民の代表たちが全部で作り上げた一筆評価というものは信用できない。統計調査部が、非常に手不足なところで無理して作った数字で、しかも最後は行政的な考慮を払って、政治的にできた数字は絶対正しいのだ。農民の作った数字は信用しないんだ、そういうことで一体民主的な運営ということが言えるかどうかということを考えますと、私はどうも主客転倒のように思うので、やはり根本は、もとへ戻して、下から上ってくる組織的な数字を尊重し、あわせて統計調査部の資料を早く出させて、これを大きな参考資料にして最後の数字を確定するというようなやり方に戻してもらわなければ、これは解決せぬじゃないかというふうに考えておることだけを申し上げておきたいと思うわけであります。
なお今回の凍霜害対策につきまして、この共済金につきましてはどういう対策をおとりになるか、現在概算払いという制度もありますが、これには政令できめられている基準もあるわけですが、あるいはまた仮払いでもってもっと範囲を広げていくか、そのお考えにつきまして御準備があると思いますが、お漏らし願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/33
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034・安田善一郎
○安田(善)政府委員 今回の凍霜害対策としての農業共済制度の運用は、概算払いと仮払いと両方であります。先ほど一言だけでございますが、行政的判断と申しましたのは私の言い方が悪かったのでございまして、統一的で最大可能限度、科学的に考えなければならぬと思いますが、調査は統計調査部事務所の調査といえども、行政利用をするときにはどういうふうに利用したらいいか。それを誤差率その他で考えれば、ぎすぎすした数字が一本で出る場合でも、行政上の問題、言いかえれば農業保険制度の運用面では出てこないということに幅を持たせまして、統計調査部の統計を使うことは三十年度から使いながら、その方法を改善しまして、たとえば同じ統計調査部の数字を使いましても、末端の方から、今申しました使い方をきめれば、逐次下の方からきまってくる方法も考え得ると思います。そういうことなども考えてやりたい、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/34
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035・足立篤郎
○足立委員 経済局長に申し上げますが、その問題に入ってくると私も意見がある。というのは現在統計調査部が郡単位に数字を確定するというような機能になっていない。県単位にはある程度なっておる。従ってその誤差率が七%とか八%というならば話はわかる。また一割や二割ならばわかる。私の今までの不勉強か、聞き間違いかしれませんが、現在の統計調査部の機能で郡単位の数字を出そうとすれば、その誤差率というものは驚くべき幅になるということなんです。これは極端にいえば何分の一あるいは何倍、それでは全然当てにも何にもなるものじゃない。そこで行政的判断をなさって押えていこうとしても、これは全然意味のない雲をつかむような話になってくる。行政的判断でというのは結局役人がきめるということなんです。役人がきめたものは絶対正しいのだ、農民が下から積み上げてきた、まじめに調査したものは一顧だに値いしないという考え方で評価の問題を取り扱われてはだめだということを、私は申し上げた。これはなお研究を要しますし、私どもも今後この問題を大きく取り上げて、昭和三十一年度からはどうしても直してもらわなければならぬと考えておるわけなんです。農林省においてせっかく作った協議会等も、その後運営されておりません。この点は非常に遺憾に思っておりますので、この根本問題は後日に譲りたいと思います。
なお凍霜害に対する恒久対策でありますが、どうも私は見るべきものがないと思う。これに対しまして重油等を使ってやる方法も今回試験的に行われたようです。先だって群馬県の実例を聞きました。ごくわずかな面積ですが効果をあげております。しかしこれは農家の経営採算という点を考えますと、果して経営採算が合うかどうかという問題にもかかってくるわけですが、少くとも相当な経済的な収入のある果樹等につきましては、こういう恒久対策が十分今後考えられてしかるべきじゃないかと思う。農林省においてもそういう方面の研究と、今後の心がまえ、考え方が必要だと思う。今度の凍霜害が二十八年に引き続いてまた数年足らずして出てきたということから考えてみても、これはないがしろにはできない、ゆるがせにできない問題だと思いますので、これに対するお考え方を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/35
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036・大石武一
○大石(武)政府委員 私より申し上げます。これは概念的になるかもしれませんが、その点お許しをいただきたいと思います。
今まではこの凍霜害にかかわらず、いろいろな災害というものはしょっちゅう繰り返し、繰り返し起るようでございます。この凍霜害を例にとりましても、御承知のように、しょっちゅう繰り返し、繰り返し起っておるわけでございます。それにもかかわらず、現在までこれに対する広範な、非常に的確な予防策というものは今まであまりないと私は見ておるのでございます。実際先ほど仰せられましたように、重油をたくとか、いろいろな局部的な対策はありましょうけれども、これも局部的であり、また費用の点におきましても、必ずしも非常に有利であるとは考えられないと思う次第でございます。従いまして、私どもは何としましてもこのような天候に左右されることでありますから、非常に対策がむずかしいと思いますけれども、もっと具体的な、この天候に対処し得るような基本的な方策がないものか、あるいはまた品種をもっと改善するとか、あるいは養蚕の時期をおくらすとか、何かもっと具体的な方策を根本的に研究しなければならぬじゃないかと思うのでございます。このようなことは前から行われたのであろうと思いますけれども、これにもう少し力を入れて、時期をずらすとか品種を変えるとか何かしてもう少し根本的に変えなければ、今後もこのような災害はしょっちゅう繰り返して起ることだと思うのでありまして、ぜひともかような方面に力を入れたいと私は考えております。
なお具体的なことにつきましては改良局長にお答えいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/36
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037・足立篤郎
○足立委員 最後に一点政務次官にお伺いしておきますが、今度の凍霜害対策につきましては、補助金等の支出が当然必要になってくると思うのでありまして、このような問題は特別立法でなければ解決しないと思いますが、調査のまとまり次第早急に法案を国会へ提出なさる御用意があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/37
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038・大石武一
○大石(武)政府委員 十分に考慮いたしまして、皆さんの御意見も十分にさんしゃくいたしまして、できるだけ提出いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/38
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039・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/39
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040・川俣清音
○川俣委員 私はこの際二、三点お尋ねいたしたいと思います。まことに毎年起る凍霜害とはいいながら、今年の災害は見るにたえないという深刻な影響を農家に与えておるようでございます。従いまして第一に取り上げる態度は応急対策でなければならないと思いまするし、また毎年起ることでございますから、根本対策もこの際気を新たにいたしまして、真剣に取り組まなければならないであろうと思われます。特にその前提となるものは、先ほどから農林省はいろいろな答弁をいたしておりますけれども、みなおざなりの答弁ですよ。政務次官を初め経済局長みなおざなりです。こういうおざなりをやっておるから根本対策も立たないし、応急対策も十分でないということになると思うのです。そこですみやかに調査を完了してと言うのですけれども、すみやかに調査を完了するように準備ができておるのですか。できていないと思うのです。たとえば調査をするところの統計調査部の予算などもずいぶん削っておるでしょう。削っておいてすみやかに調査をするのだといったって、予算の裏づけのない、旅費の裏づけのない、機動力のある裏づけのないものをもってすみやかにやりますなんていうのは、これは全くおざなりなんです。まず第一に、調査をすみやかに正確に完了させるには、それだけの手当をしなければならない。手当をされましたかどうか、これが一点。
それからいろいろ中央で考えておることよりも、現実に天候がだんだん暖かになって農作物がだんだん伸びてくる。従って成長してくるのであるから、これを一体どうして指導していくかということが考えられなければならぬ。そうすると産業のいわゆる普及員、技術指導員、こういうものにすみやかに的確な処置をとらせるような行動をしてもらわなければならぬ。ところが府県の財政は、御存じのような微弱な財政である。これにどうしてこれらの指導員を、今まで持っている知識を活用して指導させるかということになるので、させますと言うけれども、一体この予算はどうするのだ、このことを考えてやらないのでは、指導員にいくら動けといったって動くものではない。幸いにして林業指導員なるものが今までの経験を積んでおるのですが、これを活用させるという予算的措置を考えておられるのかどうか。さらにまた改良普及員がございます。これらの改良普及員が実態を常に把握いたしておりますから、これらの人々を活用することによって、曲りなりにも応急的な指導ができるはずなんです。これらの人の動きに対しましても予算をしてやるのかやらないのか、これは裏づけしてやるということを早く打ち出せばもっと活用の道があると思う。この三点について政務次官並びに担当局長から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/40
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041・大石武一
○大石(武)政府委員 仰せのようにどうも予算の面につきましては、非常に十分とってあるとは申し得ない状態でございます。私ども三十一年度予算につきましては十分に努力いたしたつもりでございますけれども、なおわれわれの期待には多少は沿わない点があることははっきり認めまして、できるだけ今後ともそのようにいたしたいと思う次第でございます。なお今までの予算においてでき得る限り能力を発揮してもらいまして、農家とも十分協力してこの対策を講じさせるようにあらゆる手段を尽す所存でございます。なお具体的なことに関しましては所管の局長にお答えいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/41
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042・大坪藤市
○大坪政府委員 改良普及員の問題でございますが、ただいま御指摘ありました通り、改良普及員は現在年々多少とも冷害がありますとか凍霜害がありますので、御意見の通り最近におきましては相当の経験を積んでおるわけでございます。ただお説の通り非常に旅費は少い状況でございます。二十八年の場合におきましては、その事情にかんがみまして別に補助金で旅費を組んだわけでございます。今年におきましても、今年度の被害の状況にかんがみまして、予算を折衝いたしまする場合には、旅費の補助金をぜひとも組みたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/42
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043・安田善一郎
○安田(善)政府委員 統計調査部の調査に関しまする予算は必ずしも十分ではございませんが、既定予算の範囲内におきましては、随時被害に応じて繰り上げて経費を使っておるし、また今回は、昨日から統計事務所長会議を開きましてその指示もすると同時に、統計部長が申し上げましたように今晩中には相当程度まとまった資料ができるように手配をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/43
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044・川俣清音
○川俣委員 今後の予算の獲得についてはまた別にいたしまして、すみやかにあなた方は調査を完了さしたい、正確なものを把握いたしたい、それでなければ対策は立たないというのでしょう。すみやかに調査を完了させたいというならば、臨時的にも、応急的にも予算の裏づけをしてやるのかどうか、これが明確になれば、現地の担当官はそれに即応したような行動ができると思うのです。やれやれと言っても行動するような裏づけをしてやらないでやれやれと言ったってやれませんよ。特に今までは霜の害が多かった。今度のやつは霧と、いわゆる霜と凍とが加わっておる。霜の害は割合に早く現われてくる。凍の場合は現われ方がおそいのですよ。だから一回見ただけで正確な把握なんていうことは、農業の知識の全くないものなのです。しかしながら予算がないということは一回きりで終るということなのです。二度の調査が終らないということ。そうすると正確なものは出てこない。そうすると甘く見たとか辛く見たとかいう問題が出てきて対策が立たない結果になる。対策がくずれてくることになる。一番前提になるところの調査を完備するということにもっと力を入れなければ、あなた方の説明はみなうそなのですよ。みなくずれていくのです。そこでお尋ねしているのです。だから普及員の旅費、超勤そういうものについては、別個に今年度は見るということが言明できるかできないか。あるいは統計調査部の部員に対しまして、これだけは臨時に別に見るんだ、繰り上げ支給じゃなくて現に見るんだというふうにならないと、十分なものを把握してこいといってもこれはうそですよ。途中で作ってこいということですよ。そうなるんじゃないですか。旅費もやらないで、超勤もやらないでおって見てこいといっても、これはうそですよ。途中で書いて作ってこいということです。そうなるのじゃないですか。政務次官どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/44
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045・大石武一
○大石(武)政府委員 全くおっしゃる通りでございます。これにつきましては、十分な調査なり研究なりができますように、普及員なり指導員には十分活用させる。そのためにはできるだけ冗費は省きますけれども、十分な費用は流したいと思いまして、ただいま局長よりお答え申し上げましたような対策をとることにいたします。そのあとのことについては、そのときにおいて十分考慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/45
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046・川俣清音
○川俣委員 政務次官の誠意はわかるのだけれども、あるいは予備費からでも出すということをきめたのですか。金額はわからないにしても、予備費から出して充当するという方針が立っていれば、これはいいのですよ。やります、やりますとあなたの誠意はそういうことでありますけれども、あなただって別にどこから持ってくるといっても、これは予備費から持ってくるほかはないでしょう。予備費から必ずこれを充当いたします、こういう答弁があればいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/46
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047・安田善一郎
○安田(善)政府委員 調査上のことについて申しました限りにおきましては、定期調査の予算は当然組んでございますが、被害については、いつ被害が起きるかわかりませんので、過去の例から見ました概算が組んであるわけでありますが、臨時調査がひんぱんに出てくるわけであります。合せまして、年度内には夏作、冬作大体わかれておりますが、被害がその想定よりも少い場合がございますので、ひどく人員を動員する場合におきましては、その都度において対策を講ずる。今回でいえば、予備費でありましょうが、要求することになりますが、目下のところは御審議可決を願いました予算の中でやりまして、どうしても足りない年内の臨時応急調査の増加に応ずる費用が必要なときに、その措置を講じて、その場合に予備費または追加予算になると思われるのでありますが、その都度予備費に要求するかは、もう少したってから考えてけっこうでありますので十分に働いてもらいたい、年度内の臨時調査費の中で必ず今回分は支給するからということでやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/47
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048・川俣清音
○川俣委員 私はそんなことで満足できないのです。というのは、統計調査部で持っている予備費というのは、ごくわずかなんです。これは従来わずか起ったときの処置としてはできるのです。深刻の度合い、被害の度合いは別にして、広範な面積に起っているというこの現実だけは、何人も否定できないのです。この広範な地域に人を動員するのであるから、従来のような観念だけの予備費では足りないことは明瞭なんです。どういう被害が出てくるかは別にして、とにかくこれだけの広範な地域なんだから、被害があるかないかにしろ、調べなければならぬということになると、多くの人を動員しなければならないだけの予算は持っていない。削減を受けて持っておらないのですよ。そこで一般の予備費からでも充当するという方針をとらなければ、十分な活動を願うことができないのじゃないかと憂慮をしているのです。当然、私たちよりも責任者であるところのあなた方が先に憂慮しなければならぬ問題なんです。委員会で指摘されるよりも、もっと進んでやらなければならぬ問題じゃないか。予算を組んでいるのはあなた方じゃないか。不足であるか不足でないかということをよく知ってないのはあなた方の恥なんです。行政官としての任務が果せるだけの予算であるかどうか。不満足ながらこれを容認しなければならなかったと言っている。満足な予算であったというのなら別です。いずれも不満足であると言っている。みずから知っている限度があると思う。だから政務次官に、一般の予備費から充当するという考え方があるのかないのかということを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/48
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049・大石武一
○大石(武)政府委員 非常にありがたい御忠告でございまして、恐縮に存じます。私どももそのように一生懸命に考える次第でございます。それで先ほど両局長からお答え申し上げましたように、ただいまのような繰り上げなりその他の手当によって一応効果を発揮できると私たちは考えておりまして、そのような措置をいたしましてもなお不足の場合には、十分大蔵省と折衝するなり、予備費を請求するなり、当然しなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/49
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050・石田宥全
○石田(宥)委員 関連して。今の川俣委員の質問に対して何とか善処しますというお話ですが、ところが昨年の被害のときにも地方にあったのですが、被害が起るとすぐ調査をしなければならないのです。ところが改良普及事務所の職員も統計事務所の職員も同様にほとんど満足な自転車にのれない。満足な自転車を持たない者が末端は多いのですそういう状況でありますから、特別な旅費の手当をされなければ、今現に動こうにも動けない実情にあるのです。それをこれから考えるということでは、霜害などはもう少したつとその状況はわからなくなります。これは植物を抑制したような状況で、一ぺんにぱっと出て、見たところは非常にりっぱになるのです。しかしその結果はやはり非常に大きな被害が後に起ってくるのです。見たところではわからなくなる。ところが今これからということではだめなんです。何か今まで措置をされておりますかおりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/50
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051・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。三十一年度の予算を請求いたします場合にも、ただいまのような細かいことでありますけれども、普及員の自転車だとか何とかいろいろな問題も出て参りまして、いろいろ要求のあったことを私は記憶いたしております。おそらく必ずしも十分とは申されないと思いますけれども、しかし相当のいろいろな行政の成績を上げ得るだけの準備は、やはり農林省としていたしていると私は信ずるものでございます。でございますから今までの準備なりあるいは繰り上げ支給できるものなり費用なりを使いまして、そうして早急に調査をいたしていると私は確信いたしておりますし、当然そうしなければならぬと思うのでございますが、その足りないところはいずれあらためて善処しなければならぬと考えている次第でございますが、なお具体的なそのような準備に関しましては、改良局長よりお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/51
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052・石田宥全
○石田(宥)委員 まあわかりました。とにかく現地はそうなんですよ。それは常時平時の場合のことで、やっとやっとというようなことであったわけです。そうするとこういう被害が起ったときにはどうにもならないということなんです、結論から言うと。だからしてこれからやるということでなしに、実は今までもそういう臨時の被害に対する措置というものは当然講ぜられていなければならなかったのです。これは当局怠慢ですよ。
それから根本的な問題で一つ伺っておきたいのですが、新聞の伝うるところによりますと、二十八年度の災害に対する補助金などについては、会計検査院等からも指摘されたようないろいろな欠陥もあったということにかんがみて、政府は昨年の二十二特別国会に成立した農林水産業に対する災害融資の臨時措置法ですか、そういう法律ができたので、そういう法律に基いて融資でこの対策をやりたいという意向のようで、その意向に基いて本日の閣議で基本的な方針が決定されると報ぜられております。本日閣議は終ったようでございますが、果して補助の方針をとるのか、あるいは融資でいくのか、補助と融資と両方でいくのか。その基本的な方針について、閣議の決定を見ておりましたならば、その決定を承わりたい。もし見ておらないとすれば、今までの政府の考え方の基本的な方針を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/52
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053・大石武一
○大石(武)政府委員 きょうの閣議の結果につきましては、まだ大臣と話しておりませんので、今お答えできませんが、一応先ほどからこの委員会で御報告申し上げましたあの被害状況並びに対策については、これだけ閣議で報告いたしているはずでございますから、おそらくはそう具体的な対策はできたのではなかろうかと思う次第でございますが、これは大臣に聞いてみなければわかりませんので、いずれ後刻御報告申し上げたいと思います。なおその他の、昨年の二十二国会でありましたか、あのときのことにつきましては詳しく存じませんので、これは関係局長よりお答えいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/53
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054・稲富稜人
○稲富委員 関連して。この凍霜害の問題につきまして、われわれはもっと具体的に知りたいし、具体的に要望したいこともあります。しかしながら政府として十分統計ができてないということでございます。本委員会といたしましても、現地の実情等をもっとつぶさに承知する必要があると思いますので、これに対しましても、早急に本委員会としても現地視察の方法を一つお考え願いまして、さらにその後にこれが具体的な対策を審議していただきたい、かように考えるわけでございます。この点一つ委員長に希望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/54
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055・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 稲富委員の御発言ごもっともだと思いますので、本日の委員会の終了後に理事会においてお話し合いをいたす予定でございます。
凍霜害に関する自余の質疑は後日に譲ります。
それでは暫時休憩いたします。
午後零時三十一分休憩
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午後四時十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/55
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056・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際お諮りいたします。ただいま調査を進めております四月下旬から五月上旬にかけての北関東、中部、近畿、中国、九州、四国地方等の凍霜害の被害状況につきまして、その現地調査及び対策樹立に資するため、現地に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/56
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057・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお派遣地、派遣委員及び人数、期間につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/57
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058・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、議長に承認申請の手続をとることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/58
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059・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題といたし、審議を進めます。質疑を続行いたします。稲富稜人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/59
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060・稲富稜人
○稲富委員 ただいま議題となりました農地開発機械公団の問題につきまして、農地局長にお尋ねいたしたいと思います。先般来私たちは機械公団の機構、運営等に対しまして、その理事者よりつぶさに実情等を承わったのでございますが、その参考人の陳述、意見等を聞きますると、現在の機械公団と旧いうものが十分機能が発揮されていないような感を抱くのでございます。しかも今度のこのジャージー種の輸入等に対しましては、機械公団はあまり積極的ではないような感をわれわれ深くしたのでありまして、これはあたかも農林当局がそういうような強力な指導をされたようにわれわれ承わるのでございますが、農林当局がジャージー種の輸入を急に、しかも昨年、この法律案が通過いたしまして以来、今申し上げましたような十分な機能も発揮しない公団に、そういうようなジャージー種の輸入をせられるという点につきまして、農林省といたしましての確信及びそういうような事情になった点を承わりたいと思うのであります。ことに私は、今日の公団がそういう機能を十分持っておるかどうか、力があるかどうか、この点もあわせて農林省の見解を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/60
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061・小倉武一
○小倉政府委員 ただいまの機械公団発足に当りまして、必ずしもまだ十分事業の遂行につきまして確信がある段取りがついていないうちから、新しく乳牛導入といったようなことを始めるについて、いかような確信を持っておるかというお尋ねでございますが、御承知の通り機械公団の仕事が新しく始められた仕事でございまするし、しかも外資の導入ということに関連いたしておりますので、いろいろ思わざる問題も生じてくるようなことがございまして、御指摘を受けるようなことになっておるのは、はなはだ遺憾でございますけれども、借款の方につきましてもだんだんと話が詰まって参りまして、今月中くらいには世界銀行から具体的な借款の契約につきまして草案が送付されて参りまして、こちらで検討いたしました上で意見が合致いたしますれば、代表者が渡米いたしまして調印するという運びになる大体の見通しを得ました。契約の実質的な内容等につきましても、大体の意見の一致を見ているのでございまして、遠からず借款が成立するものと、かように存じます。三十年度は御承知の通り、まだ機械開墾には着手はいたしませんので、これは当初の計画の通りでございまして、見返り資金の五億五千万円をもちまして国からの委託事業をやるということになっております。これも積雪といったような関係の問題がございまして、引き続き三十一年度に繰り越しましていたす仕事が相当ございますが、だんだん仕事の成果を上げていると確信いたしております。
乳牛をこの公団に取り扱わせるようになりましたいきさつでございますが、ジャージー種の導入につきましては、先般畜産局長からもお話がございましたように、だんだんと確信を得て参りまして、一応試験期は過ぎたようなことになって参りましたので、恒久的にジャージー種を導入するにつきましては、これまでの制度を改め、世銀の借款による貸付制度でやっていくといったことが、より安定した長期の導入計画が立てられるのではあるまいかという構想になったものでございますので、その関係から受け入れの機構が必要になって参るのであります。必ずしも機械公団でなければ絶対いけないという論理上の関係はございませんけれども、たまたま機械開発につきまして機械公団がございましたので、外資の導入を受けてやるという機構ができましたし、それからまた機械開墾地区は主として酪農をやるか、あるいは酪農を加味してやるところでございますので、まんざらジャージー種の導入と縁のないことでもないということで、便宜的に取り扱わしてはどうか、この事業もそう当初の間は膨大な事業量ではございませんで、一年二千五百頭でございましたかの数でございますので、付随的ではございませんけれども、仕事の性質といたしましては機械開発と並んだ二つの仕事に今後なるわけでございますから、乳牛の導入だけを独立して別に取り扱わせるというほどの事業分量ではありませんので、それに取り扱わした方が、諸経費の点その他においてむしろ節約ができはしないか、こういった意味において、発足当初でございますけれども、公団が兼ねて行うということで十分やっていけはしないかということで始めることにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/61
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062・稲富稜人
○稲富委員 機械公団はこの乳牛を導入することによる仕事を負担せられるので十名の人員をふやすと、先日の参考人の話によりますと言っている。これは局長も聞かれたと思うのでありますが、そういうふうに機械公団が現在やっている能力が十分ないところに、十人も人をふやして、そうしてこれに携わらなければならないというような事情にあるから、現在の機械公団の機構において十分その所期の目的を達しられるかどうか、そういうところに疑念がある、これに対する確信のほどを私は伺っているわけです。機械公団の将来の運営の問題等に対しては、どういう方法をとってこれが所期の目的を達成されるような機構の拡充をやるつもりであるか、この点を承わっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/62
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063・小倉武一
○小倉政府委員 ただいまやっております機械公団の人員の計画は、乳牛を取り扱うことも考えました上での人員になっております。従いまして今後なおこの長期の乳牛導入計画がはっきり成立をいたしまして、その上で年間に導入する頭数をにらみ合せまして、必要な人員が足りないということでございますれば増員をしなければならぬかとも思いますが、ただいまの計画におきましては必要人員は確保いたしておりますので、現在の計画は十分やっていける、かようなつもりでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/63
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064・稲富稜人
○稲富委員 さらに次にお尋ねしたいと思いますことは、機械公団が発足いたしまして、ただいま申し上げましたような状態に置かれておるときに、急にこのジャージー種の輸入を計画されたということは、もちろん先刻からもお聞きになっておりますように、機械公団の自主的な気持からきておるのじゃない、農林省が強くそういうことを要望されたからということをはっきり言っております。農林省が急にまた機械公団に、この開拓の一面を助長するために乳牛を輸入しよう、しかもジャージー種を輸入しようというような考えを持たれたということが、あるいはこの世界銀行の借款等の条件に何か関連があるんじゃないかというようなわれわれは疑惑があるわけなんです。その借款の条件等に、ぜひジャージー種を輸入しなければならないというようなことを向うの方から要望されたような点があるのじゃないか、こういう点さえうかがわれるのであります。なぜならば、あまりにも農林省の計画というものが、昨年機械公団を設置いたしまして、日ならずして本年度はさらにまたジャージー種の多量の輸入をしなくちゃいけないというような要望をなされるに至った点について、その疑惑を私たちは持つわけでありまして、この点に対する、もしもそういうような何か条件か、その他の世界銀行等の要望の点でもあったとするならば、この点一つ率直に伺いたい、こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/64
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065・小倉武一
○小倉政府委員 お話のような、世界銀行からの乳牛導入につきまして借款と関連いたしまして特別の要望といったようなものはないのであります。私どもが世界銀行の借款によりまして乳牛の導入をはかろうといたしましたゆえんは、ただいまのところは外貨事情非常によろしゅうございますけれども、長期的な計画をいたしまするには、むしろ借款によって導入するということが安定した計画でもって導入ができる、こういうこと。それからまた機械化もだんだんやって参りますということになりますと、どうしても一般のホルスタインよりはジャージー種の導入が必要である、こういうことから世銀との話し合いがまとまって参ったような次第でございまして、そういう意味で両者がむしろ意見が一致したのであります。特に向うからの慫慂だよって、こちらは好まないのだけれども借款によってやる、そういったような事情はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/65
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066・稲富稜人
○稲富委員 私たちが灰関するところによりますと、世界銀行からかどっからか知らぬけれども、やはりこのジャージー種を日本に輸入するということが非常に要望されたということがあるように聞いておりますけれども、それはない、こうおっしゃいますので、その点をここでいろいろ追及しても仕方がないと思うのでありますが、さらに私お尋ねしたいと思いますのは、ジャージー種の乳とホルスタインの乳との間には違いがあると思うのであります。ジャージー種の乳というものは当然加工に使うのが非常に必要じゃないか、こう思うのでありますが、その点は十分考慮に入れてあるかどうか、その点承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/66
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067・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 御指摘の通りジャージーは原料乳として、市乳用の牛乳があり得ない地方を対象としております。その地方に合うものと考えてやっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/67
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068・稲富稜人
○稲富委員 そうすると、ジャージー種の乳を開墾地に行って入植者で生産いたしますと、当然これに伴ってあるいはバター、チーズ等の加工というものが考えられると思います。ところがその加工に要する加工場その他の費用というものを負担するほどの経済力は、この入植者はないと思うのであります。こういうような加工費あるいはこういう施設等に対して何らかの具体的な方策が立っているかどうか、この点承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/68
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069・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 もちろんその考えは持っておるのでありまして、たとえば八ケ岳のジャージー地区では雪印の技術を導入しまして、八ケ岳酪農協同株式会社と称する工場を建てました。それに対しましては農林漁業金融公庫から別の金を出すというふうにやっております。これから入る地域につきましても、全然新しい地域では同様な方針でやらなければならないと思います。もうすでにホルスタインも相当入っておるし、ある程度の工場はできておる。これは御承知のように集乳の合戦といいますか、集乳の各社の競争が非常に熾烈でありまして、ある拠点をもとにして、その地域について乳牛が導入されればそれを拡大していく、こういう運動が非常に激しいのであります。それらもしかしその地域月々に応じまして、従来雪印なり森永なり明治なり、いろいろな人が工場を建てておりますので、それを拡大したらいい場合はそうするし、あるいは酪農協でやったらいい場合は酪農協にやらす、その地域々々に応じて方策を考えております。しかし一定の、たとえば百五十石なら百五十石あるいは二百石という経済単位がありますから、その単位になるまでは不当の競争がないようにする。その反面は独占というものの弊害が出てきますから、それができないように、私どもの方では協同組合組織の統制体制を強化しまして、それに場合によれば行政庁から相当のあっせんあるいは調整を加えまして、独占の弊に陥らないというふうに処置してきております。これは酪農振興法で一応やれることになっておりますが、酪農振興法の規定ではまだ不十分な点等もありますし、だんだん乳が三十一年度では六十万石うんと越すだろう、この調子でいけば毎年五十万なり百万石ふえていくだろうと思いますので、酪農振興法の所要の改正等も考えなければいかぬというので考慮いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/69
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070・稲富稜人
○稲富委員 そうすると乳牛のバター生産その他の加工品等の負担というものは、これは一切金融公庫あるいは中金等を通してやるのであって、公団そのものは何もタッチしない、こういうことになるのでございますか、その点承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/70
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071・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 集荷、加工については公団は直接の関係は持たせません。公団の機械開墾地区の運営上必要な注意なり示唆は受けることはあるかもしれませんが、集荷、加工、販売については全然公団とは関係ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/71
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072・稲富稜人
○稲富委員 そうすると公団は乳牛のあっせんでございますか、乳牛の関係、牛の関係だけであって、その加工した、生産された品物、こういうものは全然関係はない、こういうことになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/72
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073・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/73
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074・稲富稜人
○稲富委員 それではさらにお尋ねしたいと思いますのは、やはり先刻申し上げましたように、たくさんの乳牛が導入されることによって直ちに牛乳の生産過剰になる、こういう点も考えられる。しかも今申しましたように、これが直ちに乳だけで処分されるのではなくて、加工を要する、ここに非常に不安があると思うのであります。これに対しては今局長のお話によりますと、いわゆる公団その他によっての金融面は考えておるようでありますけれども、あわせてやはり入植者が安心して乳牛の飼育をし、乳の生産に不安のないような方途を講じてやることが必要であると思うのであります。これと同時に具体的な目標というものを示してやることが、入植者が安心して生業に携わることができると思うのでありますが、これに対して安心のいくような具体的な方策があるかどうか、あるならばその点もっとつまびらかに、入植者が安心し得るような方策の御説明を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/74
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075・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 これは現在集約酪農地域の指定をいたす場合にも、生産される年度別の乳の生産量が出てきます。それをどういうふうに処理するかということが一つのポイントになっておるわけであります。それを処理する場合に既存の工場を利用し、あるいは新しい工場を作る。その主体をどうするかということは、先ほど申し上げましたように、その地方々々の特性に応じたところで話し合いが出てから集約酪農地域の指定をやっておるわけであります。この機械開墾地区についても同様でありまして、そのめどをつけないでいたずらに乳を導入するということはやりません。現にたとえば青森なら青森につきましても、従来は全販が工場をやっておりましたが、うまくいきませんので、雪印と提携して、近代的な設備で行う、そういうようなことを考えております。それから北海道の方は当然雪印が主体になってくると思います。しかし御承知のように、乳の生産と需要の相関関係から、相場の変動というものが今まで非常に大きく出てきておるわけです。それからもう一つは冬場と夏場で——夏場は需要が多いにかかわらず生産が暑さの関係で減ってくる、そういう関係がありますので、冬場の乳を粉乳とバターに加工して、夏の需要の旺盛なときに還元牛乳をするという制度を確立しなければ、どうしても価格の変動というものが出てきますから、そういう方針で今せっかく施策を進めております。これも従来のように還元牛乳の規格というものをまちまちにやっておけば、いろいろな非難が出まして、ごまかしをやるとかなんとかいうことになりますから、還元牛乳の規格というものをはっきりきめまして、そうして還元牛乳だからまやかしはないのだというようにはっきりやりたいと思います。さらに今度は加工して夏まで持つのですから、夏場と冬場の価格にある程度の価格差が出てくる。ほおっておけば、非常な差になるわけですから、それを団体協約をいたしまして、一定の基準価格をきめるように指導したいと思います。これをやるためにはどうしても牛乳生産者の方の共販体制が確立しないと、夏場の不足のときはべらぼうな——もうだいぶ上ってきておる、五十円を越しておる。そのかわり冬はどかっと三十円に下げられることもありますので、生産者の団結と組織の強化ということもどうしてもやらなければならぬ。そういう指導を生産者の団体の方で、これは御承知のように、農協中央会の方面と全国酪農協同組合連合会と二つの線になっておったのでうまくいかなかったと思うのですが、最近二つが寄りまして一本になって、全国的な基準、全国的な団体協約をやる、こういうふうに進んできておりますから、これも強力に政府の方で行政措置でやるようにすれば、だんだん軌道に乗ってくるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/75
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076・稲富稜人
○稲富委員 私の最も心配いたしますのはその点でありまして、これらジャージー種による乳の生産等によって、一部の雪印その他の大きな業者が利得をするようなことになって、実際に飼育しておる入植者が犠牲になるというような結果が往々あり得るのです。そういうことのないように万全を期してこの計画を進めると同時に、農林省としては、やはりこれと並行してそういう憂いのないよう、指導なりあるいは金融面に対する裏づけなり、あるいは加工業の施設費等を積極的に援助してやるというような、並行した計画がなければできないと思うのでありまして、その並行した計画の具体的なものを私ども承わっておるわけです。着々その方策を立てておられるというのですが、これに対しては一つそういうことのないよう、万全な措置をとっていただくように考えなければならないと思いますので、この点に対しては、特に農林当局として、入植者に少しも不安のないような方途を講ぜられることを計画されることが必要ではないかと思います。この点特に要望いたしておくわけでありますから、どうぞこれに対するあなたの責仕ある腹がまえを承わり、農林省としてのこれに対する対策をとっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/76
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077・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 仰せの通りでありまして、結局生産者がその気になるということが——これは言葉が悪いのですが、抜けがけをやって目先の利益に追われるということが、今まで乳価の異常な高低、酪農業の混乱の大きな理由だと思います。今度機械開墾地区に入植する人たちは相当人員も制限されておりますし、粒よりの人が入りますので、おそらく意識統一ができると思いますが、なお十分な指導をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/77
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078・稲富稜人
○稲富委員 最後に特に、今申しましたように公団は乳牛のあっせんをする、生産されたものは公団は知らない、そういうことになりますと、結局は公団は離れてくることになる。だからその点公団に責任を持たせないものであれば、農林省が責任を持たなければならない、国が責任を持たなければならないということを私は強く主張しておるわけですから、これに対して一つ十分なお考えをしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/78
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079・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 これは少し私の説明が足りませんでしたが、国が責任を持つだけでなしに、県においても一その地区に特別な営農指指導所を作っていただくことになっております。特別に念を入れる仕組みになっております。しかし私の方としては、ここだけの問題として解決できる問題ではなく、全体を考えなければいかぬというので、その点少し強調し過ぎたうらみはありますが、その地区におきましては、国、県、公団三位一体となって、実際の営農指導については——公団では何といいますか、まだ日本ではそこまでいい人がすぐ公団に右から左に得られない場合がありますから、だんだんそこに移すことはあるかもしれませんけれども、現在スタートするときは県が営農指導所を設け、国と一緒になってやるというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/79
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080・稲富稜人
○稲富委員 その営農指導の問題で県が中心になるようなことをおっしゃいますが、先般来、私、ジャージー種の輸入の問題を聞いておりますと、公団はどうも国の方から非常に積極的に勧められたから受けて立っておるというような感じを受けております。おそらく県としてもそうだと思うのです。ジャージー種を輸入するという計画をされたのは国だと思うのです。どこまでも国が責任を持って、その中心になって万全を期するということを考えなければ、これを導入する場合は国が積極的に働いて、そうして植えつけてしまったら、あとは県がこれに対する方法を考えなければならない、こういう責任を転嫁するような考え方ではいけないと思う。やはり国が導入し、国が指導する以上は、国がやはり積極的な責任を持って、入植者が不安のないようにするということが、私は国としての責任だと思う。この点は一つあなた方が十分責任を持ってやらなければならない。ほかに転嫁するような考え方は非常にけしからぬと思うのでありますが、そういうことのないように考えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/80
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081・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 県に転嫁するという気持は全然ありません。しかしやはりあくまでも県の協力がなくてはいけないという点を申し上げておるのであります。とにかくこれはお言葉を賜わるまでもなく、私の方ではジャージーを入れまして、その結果これはどうしても日本の一定地区には入れなければならぬ。また新しいもの、肉食兼用種、いろいろな牛がありますが、今までの日本の畜産が伸びなかった一つの理由は、ある種に一辺倒になっているところだと思います。これは指導力が足りないという点もありますけれども、あまりに片寄り過ぎているところが一つ伸びない面ではないかと思います。どこの国だってこんな片寄っているところはないのでありますから、その従来の方針を変えて、ジャージを、目標十万頭なら十万頭、あるいは五万頭なら五万頭というようなものは、相当な決心をしておるわけであります。その点は一つ見ておっていただいて、絶えず御鞭撻をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/81
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082・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 神田大作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/82
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083・神田大作
○神田(大)委員 簡単に二、三御質問申し上げますが、私たちがこの機械公団でもってジャージー種を入れるということについて、どうしても今もって納得ができないのは、農地開発機械公団という公団の性格でもって乳牛を取り扱うというようなことが果して妥当であるかどうか、基本的にこの問題を明快に御説明願っておかないと、今後どういうことでもできる。公団で乳牛も入れることができる、あるいは場合によると農薬も入れることができる、いろいろと拡大解釈をして、何でもできるということになったなら、これはゆゆしい問題になると思うので、どういう理由で乳牛を入れなくちゃならぬか、また乳牛を入れるためには、今度は基本的に公団の法律を改正するのではなしに、新しい一つの公団を作ってそれをやらせるようにすることが話の筋としては通るわけなんですが、この筋を通さないで、そういう変則的なことをやる基本的な態度につい出て、納得のいくように御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/83
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084・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。先ほどほかの局長からもるる申し上げたのでございますが、神田委員の御意見はごもっともでございます。確かに機械公団においてジャージー種を取り扱わせるということは、必ずしも、切り離すことのできない必要な、絶対的な条件ではないと私ども考えております。ただ先ほど申し上げましたように、ジャージー種の乳牛を借款によって入れるということが、今後の行き方として一番やりやすい長期的ないい計画であるという考えを持っておりますので、ちょうど幸いここに機械公団ができましたし、これは将来酪農を主として開墾をいたすわけでございますから、これを結び合せてやることが一番やりやすいという点でこのような法律の改正が生まれてきたわけであります。おっしゃる通りに、確かにこのジャージー種を導入しますには、別な公団を作ってそれを専門にして扱わせることは確かに筋が通ることでありますけれども、そうしますと、いろいろなむだな費用もかかりますし、それほどの大きな事業でもございませんので、間に合せと言ってはおかしいのですけれども、もようとこれに合わせることが好都合であると考えましたので、このような法律の改正をいたすことになりましたので、その点は十分御了承いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/84
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085・神田大作
○神田(大)委員 農地開発機械公団を作るときに、いろいろと委員との間に質疑応答がなされた答弁の中に、将来農地開発をして、そこへ乳牛を入れて、そうして日本の農業経営を多角化していくというようなことを言われている。農地開発機械公団を作るときに、もうすでに初めから乳牛を入れるということを計算に入れてこの機械公団を作ったのではなかろうかと私は考える。これは前の速記録をずっと見ますと、そういうことがちゃんと出ているんです。だから計画的にこの機械公団を作った。そうしてアメリカから機械を買ってそれでもってやるということでならしたあと、いわゆるそういう何らかのひもつきに牛を入れてやっていこう、そういうことを公団を作るときに、最初からあなたたちは計画的にやっていたのではなかろうかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/85
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086・大石武一
○大石(武)政府委員 お答えいたします。そのようなことは毛頭ございません。やはりこれは私どもの申し上げるように、率直にお聞き取り願いたいと思うのでございます。この牛もニュージーランド、豪州から入れるのでございまして、アメリカのひもつきでは決してありませんし、どうぞわれわれの言う通り、率直に御了解いただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/86
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087・小倉武一
○小倉政府委員 もちろん機械公団設立のときに当りまして、この公団法の御審議をわずらわす際には、機械開墾地に乳牛を導入するということを前提にいたしております。そういう御説明をいたしたと思うのでありますが、またそのための乳牛の導入の仕方につきましては、当時はまだ公団で世銀の借款によって導入するということは議がまとまっていなかったのでございます。従いまして乳牛を入れるということはございましたけれども、世銀の借款によって公団でやるということになりましたのはその後のことでございますから、今回その点について改正をお願いするということでございまして、当初から現在御審議をお願いしているような改正のもくろみがあったということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/87
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088・神田大作
○神田(大)委員 私は乳牛を入れることについては必ずしも反対ではないけれども、しかし今度のようなジャージー種の高い乳牛を入れて、これはほかの委員からもだいぶ質疑されたのでありますが、果して農業経営の採算が合うものであるか。これは非常に疑問があると思うのです。また機械公団でジャージー種を入れなくては入らないというようなことはないと思う。りっぱな営利事業としてやっている人でも、私はここらの値段ならば優に入ると思う。世界銀行から金を借りなくては乳牛が入らないというようなことでは必ずしもないのです。これは機械公団がやってみたけれども、なかなか採算が合わぬ、どうも赤字である。だからそういうものを救済する意味合いにおいて、こういう法律にない専心来を改正してやっていこう。そういうようなねらいがあなたたちにはあるのではなかろうかと思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/88
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089・小倉武一
○小倉政府委員 機械公団の経営あるいは収支の状況から見て、何か新しい仕事をプラスする必要があるということで、こういうことをやるといったようなことに関連いたしました御質問と拝聴いたしたのでございますが、機械公団の経営の状況から見まして、何か新しい仕事をつけ加える必要がある、そういうようなことからその仕事を機械公団に営ませるということにいたしたのじゃございません。先ほど申し上げました通りの実情でございまして、公団の経営、公団の収支というものとは何ら関係がございません。そういうことを考慮しての措置では全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/89
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090・神田大作
○神田(大)委員 農地開発機械公団は、農地の開発に対してもっと熱意を入れて——日本の未開墾の農地がたくさんあり、しかも日本の人口がどんどんふえて、これらの職のない農民、次三男の人たち、あるいはその他の人たちが土地を求めてやまない、農地を求めてやまない現在において、私は農地開発機械公団の果す役割というものは非常に重大であると思うのです。ゆえに私は、せっかく作った農地開発機械公団を有益に、しかも日本の経済開発に役立たせるためには、もっと本来の農地開発という仕事に熱中し、もっとそういう事業面において拡大強化さるべきだと思う。それにもかかわらず、いまだ設立して日なお浅いのによけいなところに手を出して、そしてそういう本来の農地開発の使命がおろそかになる、あるいはそういう農地開発に対して熱意を疑われるというような、そういうように世間から見られるということは非常に私は残念であると思うのです。特に最近開拓の問題につきましては、増反する農民あるいは次三男の増加から、土地を求めるために開拓を申請しておるにもかかわらず、これを現在の国あるいは県において積極的にやろうとする意欲がないようにわれわれには見受けられるのでありますけれども、こういうことは打破いたしまして、機械公団こそこれらの問題に対して啓蒙宣伝し、しかも実際的な事業に突入すべきだと思うのですが、今度の乳牛を入れることによってそういう意欲が減殺されるというようにわれわれ考えられるのであります。この点をどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/90
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091・大石武一
○大石(武)政府委員 ただいまの神田委員の御発言のうち、前半の方につきましては全く同感でございます。ぜひともこのような新しい開発方式を採用いたしまして、でき得る限り日本のまだ開墾されておらない土地を切り開きまして、いい酪農地帯を作り上げて、農家の次三男に希望を与えるということは絶対必要であろうと思いますので、ぜひともこの新しくできました公団をもっともっと発展させて、それらの趣旨に沿うていきたいと考えておる次第でございます。
その次の段になりまして、このようなでき上って日浅い公団によけいな仕事をさせ、また農地の開発を十分に行なっておらない公団に、さらに乳牛の導入というような違った仕事をさせるということは、これは確かにおっしゃる通りのような感じがないわけではございません。しかし先ほどから申し上げました事情によりまして、関連のある事業でもありますし、そうすることが借款による乳牛の導入ということに非常に都合がいいということでくっつけたまででございまして、そしてまたこのことによって本来の仕事の目的が阻害されないように、たとえば向うで牛を買う場合にも農林省が特に手伝って牛を選んでやる、あるいは売る場合にも県に頼むというように、ほかの仕事はなるたけ公団から省かせるようにしているような次第でございます。御趣旨に沿うように、法律を改正することによって本来の目的が阻害されないように、十分にこれを監督指導する方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/91
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092・神田大作
○神田(大)委員 いま一つお尋ねしたいと思いますが、開墾機械の使用範囲を拡大すると言われておりますけれども、開墾機械の使用範囲をどのように拡大するのであるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/92
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093・小倉武一
○小倉政府委員 お尋ねの点は法案の改正点の一つでございますが、これは特別大きなことを考えておるわけではございませんで、御承知の通り開墾あるいは建設作業は、積雪地帯のものでございますので時期がございます。従いましてそういう時期以外につきましては機械の遊休しているという期間が相当あろうかと思います。そういう期間を有効に活用いたしますために、現在の法律では付帯事業ということでございますればできないこともないが、付帯事業としてやれるという点ははなはだ少いように思いますので、機械を有効に活用さすために、たとえば道路の補修をやるとか除雪の作業をやるとか、そういったことに使いまして、保有しておる機械の効率的な活用をはかる、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/93
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094・神田大作
○神田(大)委員 そうすると、この農地開発機械公団は行政機関的な性格を持っておるのですが、道路の修理をやったり除雪作業をするというようなことになると営利事業をやることになるのですね、こういうことが公団の性格からして一体正しいものであるかどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/94
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095・小倉武一
○小倉政府委員 営利事業と申しますとちょっと語弊があると思いますが、やはり一種の企業的な事業には違いがございません。金を借りて機械を買い、そしてこれを使って使用料をもらって、あるいは委託費を徴して機械の借入金の返還に充てていくということでございますので、採算がどうしてもあるわけでございます。建設作業あるいは開墾作業に使います機械の使用代をできるだけ安く、また効率的に行うということのためにも、持っている機械を全般的にできるだけ効率的に使うということがより望ましいことは申すまでもございませんので、先ほど申しましたようなことに機械を利用することができますれば、公団の経営から申しましても、また本来の機械開墾の上から見ましても、より有効であり、また適切ではないか、こういうふうに考えております。従いましてそちらの方が有利だからといって、本来の仕事に支障がある程度にまでやることは考えておりません。その点は法律にも、本来一の仕事にあくまで支障がない範囲で付随的にやるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/95
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096・神田大作
○神田(大)委員 何のことでもわれわれが質問すると、政府当局はそういうふうな答弁をするわけです。これは機械公団のみならず、すべて政府委員の答弁は、その目的を貫徹するのに支障のないように、ひまのときにそういうよけいな仕事はやる、迷惑はかけないというような答弁をします。けれどもしょっちゅう迷惑をかけていることは事実であります。これはもう幾多の事実がこれを証明している。これは道路の修理をした方が採算が合う、あるいは木材の搬出をやった方がちょっと派手な仕事になってどうも見ばがいいということになりますと、何かの理由をつけて必ず本来の目的を阻害することによってこれらのよけいな仕事に熱を入れるということは間々あることであります。あなたはきょうはそういうことがないだろう、ないとあなたが説明しても、私たちは今までの幾多のそういう事例に徴して、それを信用することに対しまして非常な勇気が要るのでございます。これ以上あなたに言ってもしょうがないけれども、もしこういう仕事をやる上において機械公団が本来の目的を阻害されるようなことが一あったとしたならば、これは重大な問題でありますので、この点十分に留意されることを要望いたしまして、一応私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/96
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097・吉川久衛
○吉川委員長代理 自余の質疑は明日に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。
午後五時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405007X03619560508/97
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