1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十三日(木曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 佐藤觀次郎君
理事 赤城 宗徳君 理事 高村 坂彦君
理事 坂田 道太君 理事 米田 吉盛君
理事 鈴木 義男君 理事 山崎 始男君
伊東 岩男君 北村徳太郎君
久野 忠治君 田中 久雄君
並木 芳雄君 町村 金五君
山口 好一君 河野 正君
小牧 次生君 高津 正道君
野原 覺君 平田 ヒデ君
山本 幸一君 小林 信一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 清瀬 一郎君
出席政府委員
文部政務次官 竹尾 弌君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 緒方 信一君
文部事務官
(大学学術局
長) 稻田 清助君
文部事務官
(調査局長) 福田 繁君
文部事務官
(管理局長) 小林 行雄君
文部事務官
(日本学術会議
事務局長) 本田 弘人君
委員外の出席者
文部事務官
(大臣官房総務
課長) 斎藤 正君
専 門 員 石井つとむ君
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二月二十二日
委員小牧次生君辞任につき、その補欠として山
花秀雄君が議長の指名で委員に選任された。
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同日
委員山花秀雄君辞任につき、その補欠として小
牧次生君が議長の指名で委員に選任された。
二月二十三日
委員池田勇人君辞任につき、その補欠として三
田村武夫君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
日本学術会議法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七号)
学校給食法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六五号)
高知県繁藤小学校の式典問題に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/0
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001・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
まず日本学術会議法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がございますからこれを許します。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/1
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002・河野正
○河野(正)委員 ただいま上程になりました日本学術会議法の一部を改正する法律案につきまして若干の質問を試みたいと思います。この提案理由を読んで参りますと、「日本学術会議の国際学術団体への加入、会員の選挙権及び被選挙権の停止等について所要の規定を設ける必要がある。」ということでございますが、その前段の国際学術団体への加入ということでございますが、御承知のように日本学術会議法が制定されましたのは昭和二十三年七月十日でございます。しかもその会議法会議録の前文の末項に、日本学術会議は「世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。」というようなことがうたってあるわけでございます。今日いよいよその一部を改正いたしまして、国際団体に加入するわけでありますが、今日まで七、八年間の空白があったのでございます。ところが御承知のようにこの学術会議法の生れました、その前文の中には明らかに「世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」とする、世界の学界と提携するということを前提として、この学術会議というものが生れたということでございますが、今日までその国際団体に対する加入のおくれました原因がどこにあったのか、まずその一点をお尋ね申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/2
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003・本田弘人
○本田政府委員 お答えいたします。今御指摘の通り学術会議法は昭和二十三年に制定されたものであります。その前身であります学術研究会議の中には明瞭に国際団体に加入することがうたってあります。また学士院の中にもそういう規定の中にそのことがうたってあります。そこで学術会議法ができました際に、その法律の第三十一条、付則でありますが、当時残存の事柄は日本学術会議でこれを継承するという規定が出ております。御承知の通り日本が国際学術団体に加入いたしました歴史はかなり古いもので、明治三十九年から始まっております。研究の連絡は大正九年以来続いて行われております。ただ学術会議法ができました当時は、事実上国際関係がほとんど途絶しております。例外的に若干のことでありましたけれども、ほとんど途絶しておりましたために、ただ三十一条の付則と、それから二条、三条によって旧学術研究会議の事務を継承して今日に至ったのであります。提案理由の説明にもあります通りに、最近国際学術会議が非常に頻繁になりましたために、これを付則にうたわないで、明文としてはっきりこれをのせたいということかその趣意であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/3
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004・河野正
○河野(正)委員 そういたしますと、今度この法律案を改正いたしまして国際学術団体へ加入するということでなくして実質的にはすでに加入しておったということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/4
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005・本田弘人
○本田政府委員 お答えいたします。明治三十九年以来、特に研究の問題につきましては大正九年以来、国際団体に加入いたしておりまして、そうして戦時中も除名されるとか脱退したとかいうことでなくてただ事実上途絶していた、従ってそれが復帰したということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/5
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006・河野正
○河野(正)委員 そういたしますと、この提案理由の文章がきわめて私どもとしては理解しにくいということになるわけでございます。一応そのような事情でございますならば、了承するにやぶさかではありません。次に私ども若干疑義を持っております点は、この法案の第六条の二の中に「日本学術会議は、第三条第二号の職務を達成するため、学術に関する国際団体に加入することができる。」、それに続きまして二項に「前項の規定により学術に関する国際団体に加入する場合において、政府があらたに義務を負担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。」とありますが、その中で私どもが元ほど申し上げますように若干疑問を持ちます点は、「政府があらたに義務を負担することとなるときは」という、その一節の義務で問題でございますが、いかなる義務を負わなければならないのか、いかなる義務を負うようなことが予想されるのか、その義務の性格を一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/6
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007・本田弘人
○本田政府委員 お答えいたします。国際学術団体との交渉にはいろいろな形がございまして、ただ学会に出席するということもございますし、団体に加入してその総会に出席するということもございます。それからまた文献を交換するということもございます。そういう場合には特に義務を負担しませんが、団体によりましてはその国際団体の運用のために分担金を出すこともあります。その分担金を出します際に、国庫から分担金が出るわけでありますから、それは当然所轄大臣の承認を経て政府の承認を得る必要がある、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/7
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008・河野正
○河野(正)委員 ただいま御答弁になりましたように、経済的な負担の義務が生ずるということにつきましては、これは学術の発展のためでございますから、私ども全く同感でございます。ただ私どもの心配いたしますのは、今後原子力兵器その他そういった学術方面のいろいろな研究がだんだん行われて参るものと考えますが、御存じのように日本の憲法のもとでは教育の基調というものはやはり平和的な教育、あるいは平和的な学術でなければならぬのであって、これは今日の憲法の厳然と示すところでございます。そういった日本の憲法のもとで、私どもおそれますのは、今後原子力兵器というような学問がだんだん発展いたしました場合に、そういった原子力兵器等の学術に関して、日本がその責任の一端をいろいろ負わなければならぬという問題でありまして、これは今日の憲法の建前から申しましても、まことに私どもは心配をいたすわけでございますが、そういった危険性があるかないか、一つその点を明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/8
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009・本田弘人
○本田政府委員 この規定は加入する場合において新たに義務を負担する、つまり加入について分担金を負担するような義務を負うかどうかという場合についての承認でありまして、国際団体に加入する場合そういう必要もない場合もありますし、その必要ある場合にあらかじめ政府の承認を得るということでございまして、今御指摘のようなことは、学術団体加入の問題とは別の問題だと私了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/9
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010・河野正
○河野(正)委員 もちろん加入する場合のことがうたわれておるのでございますけれども、いよいよ加入するということになりますれば、そういった問題が派生的に起ってくるということは事実でございます。そういった場合を予想して、私はそういった危険性がないのかどうかということをお尋ねしておるわけでございますから、仮定の上での問題でございますけれども、私どもそういったことを一番心配いたしておりますので、その点を一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/10
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011・本田弘人
○本田政府委員 お答えいたします。学術会議が国際学術団体に加入いたしますのは、全く学術上の交流のことでございますので、今御指摘のような御心配はないものと私は了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/11
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012・坂田道太
○坂田委員 関連して。国際学術団体と日本学術会議が現在どういう活動をやっておられるか、はなはだ何ですけれどもよく了承しておりませんので、その実態についてこの際一つ事務局長から明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/12
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013・本田弘人
○本田政府委員 お答えいたします。先ほど申しましたように、日本が世界の学界に正式に仲間入りしましたのは明治三十九年以来のことでありまして、研究上の連絡協力をするようになりましたのは大正九年学術研究会が設置されて以来のことであります。その前に国際的な申し合せによりましてインタナショナル・リサーチ・カウンシルというものができまして、それに対応してナショナル・リサーチ・カウンシルというものが各国にできました。それが日本の学術会議であります。それは内外における研究の連絡をし、科学の向上発達をはかるということが主たる目的になっております。インタナショナル・リサーチ・カウンシルというのは一九一九年、大正八年にできまして、わが国では一九二〇年、大正九年に国内に学術研究会ができて、それに対応してやっております。そのインタナショナル・リサーチ・カウンシルの中にいろいろの分科ができまして、当時はそれぞれの専門の八つの団体でありましたのがだんだん多くなりまして、今日専門が分科しますので約二十くらいあります。これは主として自然科学の方面であります。そうほか哲学、人文科学の面におきましては、一九四九年にインタナショナル・カウンシル・フォア・フィロソフィ・アンド・ヒューマニスティック・スタディスというのができまして、哲学、人文科学のいろいろの分野に国際的な組織ができて参りましたし、社会科学の分野におきましては一九五四年にインタナショナル・ソーシャル・サイエンス・カウンシルというのができまして、また医学の面において、法学の面においてそれぞれ国際的な組織ができております。その中で分担金を納めておりますのは約十九でありますが、そういう団体に加入いたしまして、また重要な学術上の会議がありますときには代表を送ってそれに出席させております。また不断にいろいろ文献を交換するとか、あるいは研究上の連絡をはかっております。同時に、たとえば一昨々年わが国で国際理論物理学会を国際学術団体と共同して開催いたしました、昨年は数学の国際会議を開催いたしました、そういうような協力をやっておりますし、文献の交換、学会出席等を不断にやっております。文献の交換のごときは約五十カ国、千五百種の学術文献を不断に交換いたしておるような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/13
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014・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ほかに御質疑はありませんか。——ほかに御質疑もないようですから、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。
それではこれより日本学術会議法の一部を改正する法律案について討論に入ります。別に討論の通告もないようでございますので、討論を省略し、ただちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/14
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015・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
これより採決いたします。本案を原案通り可決するに御賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/15
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016・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 起立総員。よって本案は原案通り可決するに決しました。
なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/16
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017・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/17
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018・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次に学校給食法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を求めます。竹尾政務次官
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/18
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019・竹尾弌
○竹尾政府委員 このたび政府から提案いたしました学校給食法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその改正の内容の概略を御説明申し上げます。
まず本法提案の理由の第一は、学校給食法の適用を中学校等義務教育諸学校に及ぼすことであります。すなわち現在小学校等において行われている学校給食は、昭和二十九年第十九回国会において成立いたしました学校給食法に基き実施されているのであります。この法律が、施行されて以来、小学校等におきまする学校給食は、教育の一環といたしまして実施されるべきであるという教育的な認識が深まり、これが普及の状況もきわめて順調な進展を示しているのでございます。しかしながら、この現行法の適用は、ただいまのところ小学校等に限定されておりますので、小学校におきまする教育に引き続くべき中学校等の生徒に対しましては現行法を適用することができないことになっております。本法の適用をすみやかに中学校等の生徒にも及ぼし、広く義務教育諸学校におきまして、学校給食の実施を容易ならしめることは、強い世論でございまして、かつまた現行法成立の際の付帯決議の御趣旨にも沿うゆえんと存ずる次第であります。
提案の理由の第二は、準要保護児童の学校給食に要する経費の一部を国において補助しようとすることでございます。すなわち現行の学校給食の実施上、一つの支障となっているものに、いわゆる準要保護児童の給食費の問題があるのであります。これら準要保護児童の給食費について教育的見地から何らかの援助の方途を講ずべきことが、かねがね強く要望されていたのであります。申すまでもなく学校給食を実施する学校におきましては、その学校に在学する全児童の参加のもとに実施することを建前といたしているのでありますが、児童のうちで、その家庭が経済的に困窮いたしているために、給食を受ける児童の保護者が負担すべき学校給食費を、学校に持参することができない児童が若干認められるのであります。従いましてこれらの児童のために何らかの措置を講じない限り、学校給食に全児童が参加するという建前はくずさざるを得ないことになるのでございます。
学校給食の実施上、このような事態が生ずることはまことに遺憾であると申さなければなりません。もとより国といたしましては、このような困窮家庭の児童に対しましては、その貧困度に応じ生活保護法による教育扶助の制度を通じて、学校給食費を給与しておるのでありますが、この教育扶助の対象となる児童のほかに、なおその家庭の貧困度が生活保護法の適用を受ける者と同等またはこれに準ずるものと認められるいわゆる準要保護児童が、その学校給食費の負担に耐えかねている実情であります。国といたしましては、さしあたり公立小学校におけるこれら準要保護児童の学校給食費の一部を補助するため必要な経費を昭和三十一年度の予算に計上いたし、この法律案に基き、補助制度を発足させようとするものであります。
次にこの法律案の内容の概要を御説明申し上げます。この法律案の内容といたしますところは、まず第一は、現行法の適用を義務教育諸学校に及ぼすための改正であります。すなわち現行法各条中におきまして「小学校」もしくは「小学校等」と規定されているものを、すべて「義務教育諸学校」に改め、第三条に新たに一項を加えまして、この法律でいう「義務教育諸学校」の範囲を定義し、また現行法各条中に「児童」と規定されているのを、それぞれ「児童及び生徒」または「児童又は生徒」のいずれかに改めたのであります。
次に、さきに説明いたしました準要保護児童にかかる学校給食費に関する国の補助につきましては、第七条に新たに一項を設けまして、これを規定いたしました。すなわち、公立の小学校の設置者が、給食を受ける準要保護児童の保護者の負担すべき学校給食費の全部または一部を補助する場合におきましては、国はその設置者に対しまして当分の間政令で定めるところにより、予算の範囲内におきましてこれに要する経費の一部を補助することができることといたしたのでございます。
以上この法律案を提案いたしました理由及びその改正の内容の概略を御説明申し上げました。何とぞ十分御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/19
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020・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 本案に関する質疑は次会よりこれを行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/20
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021・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次に文教行政に関し清瀬文部大臣に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。野原覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/21
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022・野原覺
○野原委員 私は先般の文教委員会におきまして、高知県の小学校で二月十一日に行われたという祝日としての式典の問題についてお尋ねをいたしたのでございますが、その際文部大臣の御答弁は、教育委員会が許可をしたのだから問題はない。ただ授業を休んだということは問題であるけれども、教育委員会が許可をしておるから問題は何ら存在しない、こういう御答弁であったのであります。私はこの答弁は非常に重大でもございますので、文部大臣に対してその委員会におきましてもお考え直しなされてはいかがでございますかとお聞きしたのでありますけれども、大臣は断じて自分の考えに間違いはないとお取り消しになっていないのであります。従ってこの点について私ども非常に重要に考えますから、私は重ねて率直にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、大臣も御承知のように、国民の祝日というものは、昭和二十三年七月二十日、法律第百七十八号によって法律が制定されておるのであります。この制定されておる国民の祝日に関する法律以外に、学校が全校生徒を集め、父兄を集めていわゆる祝日としての行事と思われるような式典をあげることは差しつかえないものでございましょうか。もう一度私は大臣の御所信を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/22
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023・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 当日繁藤小学校の校長が、祝日としてこれをやっておったとは私は認めておりません。当日は祝日ではございません。しかしながら、児童を集めて日本国の建国の日の説明をいたしておるのでございます。それゆえに法規的に違反しておるとは私は考えておりません。あのとき申し上げた通り、やはり平生の授業もあわせ進むべきであったと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/23
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024・野原覺
○野原委員 祝日としてやったものとは認めないと言われますけれども、それはどういう根拠に基いてあなたは祝日としてやったものではない、こう断定をされますか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/24
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025・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 国の祝日は、あなたの御指摘の法律に書いてございます。それから他の法律では、祝日は期間のうちに算入せぬというようなこともあるので、溝渕校長は祝日としてこれをやったのじゃないのであります。あの人の説明によれば、やはり学校の訓育の一部としてやったと言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/25
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026・野原覺
○野原委員 国の祝日は法律に書いた通り、これは間違いがございませんけれども、授業を休んでおるのであります。しかも大臣御承知のように、開式の辞から始まりまして、ただ異なるところは教育勅語の朗読をしていない。教育勅語にかわるに、新年の陛下の詔書でございますか、それを読んだ。雲にそびゆるという紀元節の昔の歌も歌っておりまするし、お祝いの言葉も出されておる。その行事一切を通して考えてみたときに、国の祝日としてではないけれども、その校長としては、本日はお祝いすべき日だという考えによって子供を集め、父兄を集めてこのような式典をあげたものではないか、私どもはこう考えるのでございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/26
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027・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 私はあなたと見解を異にしております。当日は祝日ではございません。祝日としてやろうと思っても、やり方はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/27
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028・野原覺
○野原委員 では大臣に伺いますが、何のために授業を休んだのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/28
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029・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 こちらから出した照会に対する答えは、高知県教育委員会は、当日は土曜日で半ドンのときでもあり、時間がきたから生徒を帰した、こう言うております。しかしながら初めから言う通り、この式典に半日ずっとかかるはずもなかろうから、やはり授業はやった方がいい、その点については行き過ぎがあると私は初めから申し上げておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/29
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030・野原覺
○野原委員 国民の祝日ではないけれども、この校長としては祝日としてこれを取り上げておる。授業を休んだというところから判断されるのであります。それからなおそこでお祝いの言葉を述べ、式典のあいさつをされておるというところからも考えられるのであります。従って、法律で定めた祝日ではないのに、祝日としてこのような式典をあげたことが問題ではないかということを私は尋ねておるのでありますが、あなたとしてはなお、この校長が単に生徒、父兄を集めて話をしただけだ、このようにお突っぱりになられますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/30
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031・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 当日は祝日でございませんから、生徒はやはり本を持って登校しているのです。ただ校長は、ちょうど二月十一日であったから、昔から言い伝える日本建国の日に相当すると思って全校生徒を集めてわが国の建国の様子を話をし、また人間が生まれた日を誕生日といって祝うのだから、こういう日はめでたい日であるという説明をいたしている。学校長は祝日をきめる権利は持っておりません。当日は祝日でございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/31
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032・野原覺
○野原委員 生徒に話した内容、それから何のために一体この日に限って父兄を集めたのであるか、この点をあなたはどうお考えであるか。この日に限って父兄を集めて、そうして授業を休んで生徒に話をしている。しかも話をしている事柄は、きょうはおめでたい日である。こういうこと全体を総合して考えた場合、一体この校長の頭の中は、やはりおめでたい日だ、お祝いしなければならぬ日だ、法律は祝日としてはきめてないけれども、きょうはそういう日であるから、授業を休んでこのような式をあげるのだというのでやったのじゃございませんか。私の考え方の間違いがあれば御指摘願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/32
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033・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 あなたが私にお尋ねですから、あなたの考えのよしあしを私が批評すべきものでないと存じます。私自身としては、日本の国が始まった日は、やはりめでたい日だと思っております。少しあなたと前提が違っているようであります。批評はいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/33
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034・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 関連して高津正道君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/34
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035・高津正道
○高津委員 紀元節を国の祝日ともきめてないのに、小学校の校長がそういうような六百六十年も年代が違う、そういう伝説は間違いであるということが学界で確定しておるものを、これに反してそういう祝日をやるということは、文部大臣が科学教育の振興ということを非常に重視されて、予算も昨年度よりもある程度増額してあるのに、こういうようなことをやるものが現われれば、科学精神、科学教育の振興というようなことは台なしになってしまうと私は考えるが、文部大臣はそのようなことはない、いよいよ科学精神に役立つくらいに考えているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/35
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036・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 伝説は伝説として認めることもまた一つの科学でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/36
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037・高津正道
○高津委員 六百六十年のズレがあることは、大陸に整備しているところの文書、歴史書に照らして確かに間違いであるということは、学界で内外ともに認めているのであります。それに二千六百十六年前に高千穂の宮で云々というような話をして、きょうは国の始まりの日であるということは、非科学的であって終戦後とり来たった文部省の態度をぶちこわしてしまうものだと私は考えるのでありますが、六百六十年は食い違うのだという話をそのときやったわけではないのだし、それは科学精神、科学教育のぶちこわしにはならぬという。そういう大臣の答弁はなっていないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/37
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038・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 あなたのおっしやるくらいのことはみな知っておるのであります。二千六百年か二千八百年か知りませんけれども、わが国で勅編された日本書紀の「辛酉年春正月庚辰朔天皇橿原宮に即帝位。」という伝説を長い間奉持し来っておるのであります。それ自身日本書紀を日本書紀として認めるというところに科学性がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/38
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039・高津正道
○高津委員 日本書紀にはこういう間違いがあるということを認めるのは科学的であるけれども、すでに十年間それは誤りであるということにきまっておるものを溝渕校長だけが取り出して、昔を今になすよしもがなという郷愁からあなたの統率しておられる小学校の校長がやったのであってこれを弁護する理由はないと思うのです。これは行き過ぎであった、その日授業をやめたことばかりでなしに、そういうことをやることが間違いであるということがなぜ言えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/39
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040・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 間違いであるという言葉の意味をあなたと私と取り違えておるか存じませんが、しかしながら長い間のわが国の伝統を尊重いたしまして、この日を祝うことは決して悪いこととは私は思っておりません。私自身も当日国旗を出しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/40
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041・野原覺
○野原委員 お尋ねいたしますが、大臣はこの校長としては国民の祝日というような考え方でやったのではないと言われますが、もし教育委員会が許可しなかった場合にこういうような式典が行われたとするならば、これは問題がございますか、ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/41
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042・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 平生行われておりました時間割を変更して、ただこの一つのことをして学生をして帰らしめるということはよくないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/42
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043・野原覺
○野原委員 教育委員会が許可しない場合には、このような式典はあげるべきでない、こういうお考えですね。二月十一日であろうと何日であろうと国民の祝日以外の日に式典をあげる場合は教育委員会の許可ということが条件なんだ、こういうことですか、明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/43
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044・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 ちょうど教育委員会の許可を受けないで当日運動会をやったというのと似たような関係にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/44
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045・野原覺
○野原委員 許可ということが条件になってくるのではないかと大臣もお考えだろうと思うのであります。そこでお伺いしたいことは、それでは教育委員会が許可をすれば校長としてはきょうはおめでたい日だといって全校生徒を集め、父兄を集めて何らかの話をすることは可能だ、こういう考え方が校長にもあり、教育委員会も許した場合には、どのような行事をやっても差しつかえないということになろうかと思うのでございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/45
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046・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 すべてのことに常識的限界というものがございます。しかしながら常識の限界を離れない以上は、年中午前三時間、午後二時間算数、国語などをやっておるのに、教育委員会等の了解のもとに運動会をやろうが、遠足をやろうが、また当日珍しい人が来ておるからして休んで特殊のお話を聞こうが、それはいいと思います。
もう一つ私は申し上げますが、教育委員会から校長にそういうことを委任されておる場合があり得ます。もし委任のもとにやっておればこれも同様に扱うべきものと、かように考えております。世の中のことは千差万別でありますから、すべて常識の限度内においてお考えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/46
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047・野原覺
○野原委員 共産党革命の日を記念日として、勤労無産者大衆解放の日である、こう考えた校長が教育委員会の了承を得て、無産者解放のための日であるから実は子供を集め、親を集めてそのような行事をあげても何ら差しつかえないということになろうかと思うのでございますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/47
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048・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 それがちょうど私が今申し上げた常識の限度内ということで御了解を願いたいのであります。日本の国は自由主義国家でありますから、共産主義で人民解放したことを祝うというのは、紀元節の場合とはだいぶ離れておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/48
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049・野原覺
○野原委員 常識の限度内といいますけれども、それはあなたの常識の限度内なんです。客観的に一体どういうような限度を引くのかという点が問題になってくるのだろうと思います。たとえば二月十一日という日を肇国の日とすることは差しつかえないとしまして、二月十一日の日を直ちに建国の日として取り上げていこうというこの行き方は、今日の日本の教育なり、あるいは今までの敗戦の上に立った日本のあり方からも問題があるという考え方も一方に常識として存在するわけです。あなたは、二月十一日はめでたいといって日の丸の旗を建てて校長が式典をあげても問題はないと大目に見られますけれども、片一方の常識は、これは大へんなことになった、また明らかな逆コース、復古調、こういうようなやり方へ日本の教育を持っていかれたのでは、憲法あるいは教育基本法の精神からいって問題がある、こういうことも片一方の常識として存在する。大臣の言う常識の限界とは、具体的にどういうことですか。それは文部大臣清瀬一郎の常識の限界でいこうというのでございますか。いかがでございますか、はっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/49
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050・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 常識というのが主観的なものではありませんで、日本国民に普遍的に、また妥当に通用する標準がございます。そしてその標準に合したものを常識というのでございます。占領後憲法は変ったといえども、わが国は決して共産主義の国ではありませんから、共産革命の日を紀元節にするというのでは、これは常識ではございません。しかしながら二月十一日が紀元節であるということは——現に明治以後五十年間はこれを公然と祝日として扱った。あなたも御参列になったと思います。それがゆえに別の日がはっきりわかればいい、一月一日であったとか三月三日であったとか別の日が証明されればいいけれども、それが証明されない限りにおいては——建国があったに相違ない。あの当時日本国はあったに違いない。ですから、言い来たった二月十一日を選んで昔の通り紀元の日とすることは常識であります。あなたのような御議論は、一種の考えを持っておられる方々がするだけであって、大多数の日本人は、紀元節をおめでたいと思っておる。そしてそれを校長が祝ったからといって——現に村中の人が来て喜んでおります。だれも村内で反対をした人はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/50
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051・野原覺
○野原委員 国民の祝日に関する法律は元日から始まって成人の日、春分の日等々これは国会が法律できめたのでありますが、なぜ一体二月十一日の紀元節がこの国民の祝日に関する法律の中に取り上げられなかったのか、この点をあなたはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/51
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052・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 その当時は私は日本を占領しておる官憲に追放されまして国会におりませなんだから、私は具体的には承知しておりません。しかしながら、わが憲法の成立とともに、これも当時わが国が占領下にあったということが直接、間接に影響しておるのじゃあるまいかと想像いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/52
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053・野原覺
○野原委員 私はこの辺で大臣の見解が明確になりましたから、あなたに対する質問は打ち切りたいと思うのでございますが、紀元節はあなたはあくまでも差しつかえない、国民の祝日に関する法律としては取り上げられていないけれども、二月十一日に校長が教育委員会の許可を得るならば、このような式典をあげて何ら差しつかえない、こういう考えのようであります。これは終始一貫しております。従ってこの考え方というものは、私どもは明らかにやはり問題があると思う。国民の祝日として取り上げられない限り、勝手に教育委員会なり校長が一つの式典らしい行事をあげていくということは非常に問題がある。私が先ほど申し上げましたように、校長が、たとえば二・一ストライキというものは、労働者が終戦後ほんとうにその生活権を確立するために戦った記念すべき日だというので、講堂に集めて、きょうは二月一日である、ちょうど今から何年前の二月一日には、こういう戦いを皆さん方のお父さんたちがやったのだ、私どもの生活を守るために、権利を守るためにというようなお話をしても、これは差しつかえないのだということになろうかと思うのであります。従って、その辺の明確な見解というものを私は鳩山内閣の見解として承わりたい。そういう意味において委員長に要請いたしますが、内閣総理大臣の出席をお願いしたいと思うのであります。鳩山総理は、清瀬文相のこのような見解に対して、一体どういうお考を持っておるのか、これは清瀬一郎文部大臣個人の考えなのか、鳩山内閣の考えなのか、祝日としてあげられていないにもかかわらず、教育委員会さえ許せば、勝手にその式典があげられるというようなことを鳩山内閣は認めるのかどうか。私は直ちに鳩山総理がここに出席されるようその取り計らいを委員長にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/53
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054・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 鳩山総理の出席を要求されておりますので、この際休憩して、理事会を開きます。
午前十一時四十四分休憩
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午後零時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/54
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055・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 再開いたします。
先ほど野原委員より要求がありました鳩山総理大臣の出席についてでございますが、本日は内閣委員会に出席いたし、本委員会には出席いたしかねるとのことでございます。総理の出席要求につきましては理事会の決定に沿うて委員長において善処いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X00919560223/55
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