1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年三月十六日(金曜日)
午後五時四十三分開議
出席委員
委員長 佐藤觀次郎君
理事 赤城 宗徳君 理事 加藤 精三君
理事 高村 坂彦君 理事 坂田 道太君
理事 山崎 始男君
逢澤 寛君 有馬 英治君
伊東 岩男君 稻葉 修君
加藤 高藏君 小枝 一雄君
杉浦 武雄君 田中 久雄君
田中伊三次君 中川 俊思君
野依 秀市君 町村 金五君
山口 好一君 河野 正君
小牧 次生君 高津 正道君
辻原 弘市君 野原 覺君
平田 ヒデ君
出席国務大臣
文 部 大 臣 清瀬 一郎君
出席政府委員
文部政務次官 竹尾 弌君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 緒方 信一君
文部事務官
(大学学術局
長) 稲田 清助君
文部事務官
(管理局長) 小林 行雄君
委員外の出席者
専 門 員 石井つとむ君
—————————————
三月十六日
委員池田勇人君、北村徳太郎君、久野忠治君、
塚原俊郎君、並木芳雄君及び八木一郎君辞任に
つき、その補欠として田中伊三次君、中川俊思
君、逢澤寛君、小枝一雄君、加藤高藏君及び有
馬英治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員逢澤寛君、有馬英治君、加藤高藏君、小枝
一雄君、田中伊三次君及び中川俊思君辞任につ
き、その補欠として久野忠治君、八木一郎君、
並木芳雄君、塚原俊郎君、池田勇人君及び北村
徳太郎君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
学校給食法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/0
-
001・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
まず学校給食法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/1
-
002・河野正
○河野(正)委員 ただいま提案されました学校給食法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を行いたいと存じます。
本案の提案の趣旨は、先ごろ大臣も御説明されました通りでございますが、本案によりまして、学校給食法の範囲が中学校に拡大されるということでございます。その法の精神から申し上げますというと、その経費負担につきましては、経済的困難な中学校生徒に対しましても、当然援助を拡大すべきものと考えるわけでございます。ところが御承知のように経費が負担困難と認められます公立学校の児童の保護者のためには、援助措置を講ずるということがございますけれでも、一方本法で拡大されました中学校の経済負担の困難な保護者に対しましては、何ら援助の財源措置が予定せられないということでございますので、その間多少本法の精神から申しますならば、非常に不満な点がないのではないのでございます。そこでその点に対しまして、まず大臣から御所見を承わりまして、さらに質問を続けて参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/2
-
003・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 義務教育の小学校程度にあります親たちにも、中学校も同じ親たちでございます。国家の財政が許しますれば、同様にいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/3
-
004・河野正
○河野(正)委員 御承知のことと思いますが、学校給食法第五条におきましては、国及び地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達をはかるように努めなければならないということでございまするから、ただいま大臣から仰せられましたように、財政上の事情が許すならば当然拡大するということでございまするけれども、しかしながらこの学校給食法という本法の建前からいたしますと、当然義務教育であります中学校におきましても、財源措置を行うということが当然であると思うのでありますが、この学校給食法第五条の法文に関しまする御所見を一つお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/4
-
005・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 学校給食法の五条の趣旨は、義務教育程度の場合に、児童が小学校にあろうと生徒が中学校にあろうと同様でございます。今回の要保護児童の給食についても、やはり中学のことを考えたのでございますが、わが国は敗戦後まだ十分に上っておりませんので、このようなことになりましたが、しかしながら幸いに近年農業もあの通り成功いたしておりますし、国際貿易の事情も改善いたしておりますから、遠からず理想の域に近づくことと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/5
-
006・河野正
○河野(正)委員 学校給食法の第二条第三項におきましては、御承知のように食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進をはかることというふうな、学校給食の目標と申しますか、目的と申しますか、そういったものが明記せられているわけでございます。この合理化あるいは改善というようなことにつきましては、いろいろな方法があると思いますが、これは後ほどの質問の点もございますので、一応今日までこの学校給食法第二条第三項がどのように具体的に措置せられて参ったか。わかりやすく申し上げますならば、食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進ということに対して、具体的にいかなる措置が行われてきたか。これは事務当局でもけっこうだと思いますが、答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/6
-
007・小林行雄
○小林(行)政府委員 御承知のように現在実施されておりますところの学校給食は、ただいま御質問の中にございましたように、栄養の改善ということと食生活の合理化、粉食の奨励ということを主眼としていると思うのでございます。この実施に当りましては、この実施基準を文部省の方で定めて、その基準になるべく乗せるようにいたしているわけであります。そうして現在の実施基準によりますと、粉食の奨励、栄養の改善ということにつきまして、とにかく主食としては小麦粉を主体とするパンを主にする。そのパンも大体小学校の学童にありましては、一食一回平均百グラムのものを食わせる。大体六百カロリーでございますが、そういったものをとらせる。それから蛋白質源といたしましては、脱脂粉乳を使うように奨励をいたしております。もっともこれは学校のあります地域によりましては、脱脂乳あるいは生乳を使ってもけっこうでありますけれども、いずれにしても蛋白質源として乳製品を使うということで、その量も、小学校の場合には大体一回基準としては二十二グラムをとる。それになおかつ主食といたしましては、できるだけ栄養価のあるものをとるように指導をいたしておりまして、そういった主旨から、食生活の改善あるいは栄養改善、栄養の合理化ということに、できるだけ注意をさせておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/7
-
008・河野正
○河野(正)委員 ただいま若干の答弁がなされたわけでございますが、御承知のように食生活の合理化、栄養の改善、あるいは健康の増進をはかるということは、いろいろ私は意味があると思います。すなわち科学的に見て合理化という場合もございましょうし、また嗜好の上から見て合理化というような面もございましょうし、あるいはまたやり方によりましては、心理上の問題から見て参って合理化というような、いろんな面があると思うわけでございます。そこでこれは考えようによりましては小さいことのようでございますけれども、実際学校給食を運営して参ります場合には、これはきわめて重要な問題となるものと確信いたしますが、たとえばわれわれがこの学校給食の合理化をはかっていく、あるいは改善をしていくという意味におきましては、先ほどから申し上げますように、心理上の問題、嗜好上の問題、あるいは科学的な問題、こういったいろいろな問題がございますけれども、そういった問題を完全に解決していくためには、どうしてもこの給食業務に従事いたします——これは給食婦、雑仕婦、栄養士、いろいろあると思いますが、いずれにいたしましても、そういった給食に従事いたしますすべての職員というものが渾然と一体になって、その所期の実を上げるように努力していかなければならぬというふうに考えるわけでございます。そこでこれは現実の問題といたしまして、いろいろ現地において聞くことでございますが、今日までたとえば嗜好の上から果して子供たちの嗜好に適しておるかどうか、あるいはまた外観上、心理的に子供連の食欲をそそるようなものであるかどうかというような面を、実際にタッチしていくと申しますか、そういった場合には、やはり学校給食に従事いたします給食婦あるいは栄養士、あるいはまた子供たちの教育を担任いたします教職員、こういった人々がこの給食に対して子供たちと同様な処置を受けていかなければならぬ。言葉をわかりやすく申し上げますならば、一緒になって同じものを食べて、ほんとうに子供たちがこの給食に満足しておるか、あるいはまた子供たちの食欲をそそるような状態であるかというようなことを、実際に体験していかなければならぬと思うのでございますが、その場合に、今日まで各地区の運営状態を見て参りますと、そういった経費の負担というものが、それぞれ教職員なり給食婦なりあるいはまた栄養士の自己の負担となっておるというようなことで、いろいろと希望される点があるのでございますが、こういった実情というものは、やはり先ほども申し上げますように、学校給食法の第二条第三項の実をあげていく意味におきましても、当然その財源措置ということにつきましては、公共団体あるいはまた国がめんどうを見るべき筋合いのものではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、その点に対しまする御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/8
-
009・小林行雄
○小林(行)政府委員 お尋ねの中にございましたように、学校給食はできるだけただいまの給食法の精神に沿いまして、栄養改善あるいは食事の合理化ということに主眼を置かなければならないわけでございまするが、しかし食事でございまするので、やはりこの食事を食べますところの子供の嗜好、あるいは子供の心理ということも十分考えて実施をしていただかなければならないのは当然でございます。これに関連いたしまして、この給食の業務の関係者といたしましては、もちろん学校の教職員があるわけでありますが、それ以外にも、たとえば栄養士等の栄養関係者、あるいは調理士、あるいは学校の炊事をします炊事婦というようなものも出て参るわけでございますが、現在のところでは、この学校給食を行なっておりますすべての学校で、こういった栄養関係の職員あるいは調理士というものを置いているわけではございませんで、いわば父兄の応援を得てこういうことをやっているところが相当あるわけでございます。もちろん理想的な形から申せば、栄養職員あるいは調理上等も置かれるのが理想でございまするけれども、現在の地方財政の状況から申しますと、これは市町村負担になっておるわけでございまして、なかなか市町村の財政状況が窮迫しておりますので、置かれないという実情でございます。文部省といたしましては、これらの点につきまして、まず第一に学校の先生方ができるだけこういった栄養関係の専門的な知識を持ってもらう。そうしてただいまお話の中にございましたように、心理的な面あるいは嗜好的な面についても十分な知識を持ってもらうように、栄養指導の講習会等を毎年、各府県あるいはブロック等で開催して指導をいたしておるのでございますが、それと同時に、府県あるいは大きい市等に、できるだけこの栄養関係の職員を付置してもらいまして、この栄養士に分担してそれぞれ所管の学校に行って指導してもらうような方策を講じておるわけでございます。もちろん将来市町村の財政が許すようになりまして、こういった職員を市町村が負担できるようになれば非常にいいことでありますし、文部省としても、できるだけそれらの面については応援をして参りたい、また指導もして参りたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/9
-
010・河野正
○河野(正)委員 ただいまの御答弁を承わって参りますると、まことに残念でございまするけれども、当然その精神から申し上げますると、負担せらるべきものであるけれど、市町村財政が非常に困難であるので、現状の段階におきましては困難だということでありますけれども、学校給食法第六条では、もちろん政令で定めるものというただし書きがついておりますが、「学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち」云々という言葉があるわけでございます。こういった精神から申し上げましても、もちろん地方財政が困難である、あるいは政令等の制約がございますけれども、こういった学校給食そのものは、学校給食法の第二条にも示されておりますように、きわめて大きな使命を持っておるわけでございます。そういった使命を達成する意味におきましても、法の精神から申し上げましても、やはり私は当然これは地方団体が負担すべきものであり、またそれに対しましては、当然政府が考慮すべきものであるという考え方を強く持つわけでございます。そこで重ねてでございますけれども、まあ現状におきましては市町村財政は非常に困難であるから、困難であるということでございましょうけれども、そういった市町村財政が困難であるということで非常に大きな障害を受けておるわけでございますから、その点に対しまして、文部省当局が何らかの御善処をなさる意思があるかないか、その点を重ねて承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/10
-
011・小林行雄
○小林(行)政府委員 ただいまお話のございましたように、現在では、国といたしましては、施設設備についてかなり多くの額を三十一年度の予算には計上して、この学校給食の普及あるいは充実に努力しておるわけでございます。これは法律の条項に基礎がございまして、それに基いてやっておるわけでございますが、それ以外の経費すなわち第六条の第二項にありますような経費は原則として児童の保護者の負担ということになっておるわけでございます。ただ給食関係の栄養指導のための職員については、これは法律の定めるところによりまして、市町村の負担になっておるのでございますけれども、先ほど申しましたように、現状ではなかなか困難だ、将来この学校給食法を改正するというようなことがありますれば別でございますけれども、現在ではできるだけこの法律の趣旨に基いて、しかもできるだけその栄養改善あるいは食事の合理化というようなことがうまく学校給食を通じて行われますように、政府としては市町村に対して応援をしていく、指導をしていくということが、まあやり得るところでございまして、それ以上現在直ちに栄養士なら栄養士あるいは炊事婦について、これを国から国費をもって支弁すると、いうことは困難ではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/11
-
012・河野正
○河野(正)委員 まことに残念でございますけれども、今日まで当局がそのような措置をとって参られましたがために、地方ではいろいろな問題を起しておるのでございます。
そこで具体的な例でございますけれども、一、二の例を取り上げまして当局の御所感を承わりたいと思うのでございます。それは最近いろいろな問題が起って参りました中で、たとえば学校用務員、小使あるいはまた給仕、あるいはまた整備員、直接給食は関係のございます給食婦、こういった直接間接に給食に関係いたします人々の給与というものが、市町村財政が圧迫を受けて困難だというようなところから、そういう職員の給与が学校給食費の中から若干回されておるというふうな事実が各所にあるわけでございます。そういたしますると、これは雇用関係から申し上げましても非常に問題がございますし、だれが一体雇っているのか、給食費から俸給の三分の一とかあるいは若干が渡されるわけでございまするから、そういった雇用関係、責任の所在ということも非常に不明朗でございます。こういった点も、やはり先ほどから私がいろいろ申し上げておりますような財政上の問題から起って参っておるわけでございますので、そういった事実があるということを御指摘申し上げますとともに、そういった点に対する御善処をしていただける御意思があるのかどうか。その点は具体的事実でございまするから、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/12
-
013・小林行雄
○小林(行)政府委員 学校給食の関係の職員、たとえば給食の炊事婦等の経費が学校によってはPTA会費の中に盛られたり、あるいは給食費の中に盛られるというようなことがあることは事実だと思います。PTA負担ということならば別でございますが、給食費の中に盛られるということはあまり好ましいことではないと思っております。これは先ほどのお尋ねにお答え申し上げましたように、市町村が一切負担すべきものでございますので、給食費として学童から取る、いわゆる給食費の中に職員費を含めることは必ずしも妥当でないと思っております。ただ御承知のように学校給食は、現在では義務給食ということになっておりませんので、従って学校の一般の先生方の給与の負担法にこれが盛られるということにはなかなかならぬ、非常に困難なところがあると思います。もし将来こういう点が検討されて、一面学校給食が非常に普及されると同時に義務的給食になるというようなことがありますれば、そういった点も将来は解決されることだろうと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/13
-
014・河野正
○河野(正)委員 主として今日のいろいろ不合理なり隘路は、すべて町村財政の困難によって起ってくるという御答弁でございまするけれども、しかしながら学校給食に関しまするいろいろな法令を見て参りますると、やはりそういった問題につきましては当然地方団体、あるいは国がめんどうを見なければならない。これは明記しておられるわけではありません。学校教育法第二十八条を見てみましても、別に給食等の明記はございませんけれども、いろいろ職員を置かなければならないという精神からいたしますならば、当然やはり学校給食に関係いたします給食婦あるいは栄養士あるいは雑役夫、いわゆる用務員と申しますか、そういったものにつきましても法の精神から申し上げますならば——別に学校教育法の二十八条に明記しておるわけではありませんけれども、二十八号の法の精神からいきますならば、当然やはり地方団体あるいはまた国がめんどうを見なければならないものと私どもしょっちゅう考えて疑わないものであります。そこでこういった学校教育法の精神につきましてもさようでございまするから、この点につきましては十分なる御善処をお願い申し上げたいと考えるわけであります。
それからさらに文部省の調査によりましても、学校給食を運営いたします人件費に対しましては設備者が八〇%程度経費の負担をしておるということでございますが、学校給食法の第六条を見てみますと、学校給食の実施に必要な施設及び設備に要しまする経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち、政令で定めるものは小学校——今度の場合中学も含むわけでありますが、この設置者が負担するということが、明記されておるわけであります。ところが実際の経費の負担は今日まで八〇%ということでございます。そこで政令以外のものが大体二〇%ということでございましょうが、その二〇%というものは大体児童保護者の負担となっておるものかどうか、その点を一つお伺い申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/14
-
015・小林行雄
○小林(行)政府委員 学校給食法の施行令でこの点については現在はっきり明定しておるのでございまして、この第六条の第一項の経費のうちに、小学校等において学校給食に従事する職員の人件費は市町村の負担だというふうにはっきり規定をいたしております。それからまた施設及び設備の修繕費はこれは市町村の負担である、保護者が負担しますのは直接食事の材料費、そういったものが保護者の負担ということになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/15
-
016・河野正
○河野(正)委員 ただいま局長の答弁を伺って参りましても、児童保護者というものが今日まで相当の負担を背負って参っておるわけであります。もちろん文部省の発表を見て参りますと、完全給食の場合は小学校で二百三十六円、中学の場合は二百十円、ミルク給食の場合はそれぞれ四十七円、六十円そういったただいま申し上げましたような多大の負担を父兄が背負わされておるわけでございます。そこでもちろん給食のことでございますから、先ほど申し上げますように給食法二条の目的に沿うように、その熱量なりカロリーの問題というような問題も考慮いたさなければなりませんから、簡単に経費を軽減するというようなことでは割り切れぬと思います。しかしただいま申し上げますように、小学校におきましても相当の負担を父兄が負わされておるわけでございます。そこでわれわれといたしましては、いろいろ合理化という点から見て参りましても、増進という点から見て参りましても、簡単に経費を軽減するということでは割り切りませんけれども、しかしながらでき得べくんば、できるだけ子供たちの父兄の負担が軽くなるということは当然望むところでございます。そこでこれは少し旧聞に失しますけれども、そういった建前から御質問するわけでございますが、たとえば昭和二十六年ごろまでは、御承知だと思いますが無償ミルクの配給があったわけであります。その後そういったストックとその後の有償ミルク等を混合いたしまして、そして無償ミルクと有償ミルクを混合したわけでございますから、給食会といたしましても相当利潤を得ておるわけであります。言葉をかえますと、相当膨大な利潤を得たという事実までも私どもは聞いておるわけでございますが、こういった点は、私どもが子供たちの父兄に過重な負担をかけない、なるたけ合理的なものは尊重するけれども、なるたけ経費は安く済ましていかなければならないという点に、私ははなはだしく矛盾した行為が今日まで行われておるというふうに思うわけでございます。今日までそういった事実があったということを私どもは聞いておったわけでございますが、文部当局はそういった事実を御存じであったかなかったか。あるとしたならばどういう実情であったか、その辺の実情をお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/16
-
017・小林行雄
○小林(行)政府委員 学校給食の食事の内容と父兄の負担との関係は非常にデリケートなものでございまして、給食としてはできるならば内容の豊かなものをやりたいわけでございますが、そうなりますと値段が高くなって負担額が多くなる。そうしてその負担にたえられない保護者が出てくるということでございますので、その辺のバランスをとることが非常にむずかしいわけでございます。経過的なことを申しますと、給食を始めた当時はミルクは無償であったわけでございますが、それが有償になりました。有償の最初からの値段と比べますと、最近では非常に輸入の値段が下っておりますので、給食の父兄負担の額も下ってきておるわけでございます。学校給食の、ことにミルクでございますが、ミルクの値段の決定については一応これは父兄の負担額に影響のあるものでございますから、多少の変動に応じて一々改訂するということはしておりません。多少の変動を見越して年度当初に決定しておりますが、大幅に下った場合には価格を改訂して、剰余金が生ずるような場合には各府県にお戻しをしております。このお戻しをする際には、学童の利益に還元されるようにという注意を付して各府県にお戻しをしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/17
-
018・河野正
○河野(正)委員 ただいまの局長の答弁を承わっておりますと、私どもの考えている通りで、私どももさようあってしかるべきだと考えるわけでございます。ところがまことに不幸ではございますが、現実の問題としては非常に膨大な利潤を得て、各地において豪壮な給食会の建物が立っているという事実を私どもは見て参っております。そういった点について、私ども先ほどからいろいろとお尋ね申し上げているわけでございますが、これもひいてはこれを子供たちのいろいろな教育施設に還元するということでございますけれども、少くとも児童の保護者の負担を軽減していくという意味において、私は当然膨大な利潤を追求するということはやめなければならない問題だと考えております。私は局長の御答弁は了承いたしますが、残念ながら地方においては、私がここに御指摘申し上げるような事実が次々と生まれて参っております。この点は父兄の負担を軽減する意味において私はまことに遺憾ではなかろうかと考えておりますが、今後そういった事態に対して、文部省はどのような処置、御指導をやられようと考えておりますか、その点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/18
-
019・小林行雄
○小林(行)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、価格の決定については、年間一々変動するというようなことは必ずしも望ましくないと思っておりますけれども、しかしそのために非常に大きな利潤を生ずるというようなことは、必ずして給食の事業上望ましいわけではございません。従ってもし利潤が給食会の方に生ずるという場合には、これを各府県を通じて父兄にお戻しするか、あのあとの値段を下げるということに努力をすべきであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/19
-
020・河野正
○河野(正)委員 さらに私はそういったことに関連して御質問申し上げるわけですが、御承知のように、そういった膨大な利潤を得ることによって、各地の教育委員や関係職員が、給食関係事務などの出張その他に流用しているというまことに残念なことを私ども今日までちょいちょい耳にするわけでございますが、そのような事実があったのか、それが事実であったとしたならば、今日どのような処置をとって参られたか、その点をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/20
-
021・小林行雄
○小林(行)政府委員 この給食費を通じて中央に残りました金を府県に戻しました際に、これが必ずしも出張費あるいは指導費に戻されたということを聞いておりません。もしそういうことがありますれば、今後はそういうことのないようにできるだけ府県を指導したいと思っております。しかし実際給食事業上やむを得ないような指導関係あるいは普及関係に、常識の許す範囲内で利用されることにつきましては、必ずしもとがむべきものではないと思っております。しかしこういった指導関係の経費は、できるだけ県の予算で組んでもらうのが妥当とは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/21
-
022・河野正
○河野(正)委員 時間がありませんので、いろいろと御質問申し上げたいのでありますけれども、最後に一点申し上げましてはあとは次会に譲りたいと思います。今までるると申しましたように、まことに残念でありますけれども、今日までこのような学校給食をめぐりましていろいろな疑惑、いろいろなスキャンダルをたびたび耳にいたしております。このことはひいては子供たちの父兄の大きな負担にもなりますし、またそういったことが子供たちの教育に非常に悪影響を及ぼしますから、そういう立場から申し上げましても、このような事実は断じて認めるわけには参らぬのであります。そこで私どもはそういう子供たちの保護者の負担を軽減する、あるいはまた学校教育に及ぼす影響を考えましても、この学校給食の運営につきましては、非常に慎重な態度をもって臨まなければならぬものと確信するわけであります。その他いろいろありますが、本会議も迫りましたのでこれで終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/22
-
023・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 本案に対する質疑はこの程度にとどめることに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/23
-
024・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑はこの程度といたします。
これより本案を討論に付します。別に討論の通告もないようでありますので、討論を省略し直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/24
-
025・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/25
-
026・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決するに決しました。
この際本案に対し、坂田委員より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。その趣旨説明をもとめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/26
-
027・坂田道太
○坂田(道)委員 ただいま議決されました学校給食法の一部を改正する法律につきまして、附帯決議を付するの動議を提出いたします。まずその附帯決議の案文を朗読いたします。
附帯決議
学校給食法にかかる学校給食の範囲を、夜間の定時制高等学校の生徒に対しても可及的すみやかに拡大して適用するよう、政府において措置せられんことを望む。
ただいま朗読いたしました附帯決議を付したいと存じますので、皆さん方の御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/27
-
028・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ただいま趣旨説明のありました本動議に関し、何か御発言があればこれを許します。——なければこれより採決いたします。坂田君提出の動議の通りに決するに賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/28
-
029・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 起立総員。よって坂田君提出の動議のごとく学校給食法の一部を改正する法律案に附帯決議を付することに決しました。
次に本議決に伴う委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔異議なし〕と呼ぶ者あり発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/29
-
030・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。さよう取り計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/30
-
031・清瀬一郎
○清瀬国務大臣 今の動議はごもっともでございますから、政府においてもなるべくすみやかに実現するように努力をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/31
-
032・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後六時二十分散会
————◇—————
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405077X01619560316/32
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。