1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月八日(水曜日)
午前十一時七分開議
出席委員
委員長 高橋 禎一君
理事 高瀬 傳君 理事 福井 盛太君
理事 佐竹 晴記君
小林かなえ君 世耕 弘一君
林 博君 古島 義英君
松永 東君 宮澤 胤勇君
横井 太郎君 横川 重次君
神近 市子君 武藤運十郎君
志賀 義雄君
出席政府委員
法務政務次官 松原 一彦君
検 事
(民事局長) 村上 朝一君
委員外の出席者
判 事
(最高裁判所事
務総局家庭局
長) 宇田川潤四郎君
専 門 員 小木 貞一君
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二月七日
進駐軍による被害者遺家族の補償に関する法律
制定の請願(宇都宮徳馬君紹介)(第三六八
号)
鹿児島地方裁判所川内支部庁舎等改築の請願(
小牧次生君紹介)(第三九〇号)
鹿児島地方裁判所加治木支部庁舎建設の請願(
小牧次生君紹介)(第三九一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員及び小委員長の補欠選任
家事審判法の一部を改正する法律案内閣提出第
二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/0
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001・高橋禎一
○高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。
この際小委員及び小委員長の補欠選任についてお諮りいたします。すなわち、最高裁判所機構改革に関する小委員四名、外国人の出入国に関する小委員四名、交通犯罪防止に関する調査小委員三名及び司小委員長がそれぞれ欠員となっております。これらの小委員及び小委員長の補欠選任については委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/1
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002・高橋禎一
○高橋委員長 御異議なければ、最高裁判所機構改革に関する小委員に、池田清志君、菊地養之輔君、佐竹晴記君、武藤運十郎君、外国人の出入国に関する小委員に、池田清志君、佐竹晴記君、菊地養之輔君、武藤運十郎君。交通犯罪防止に関する調査小委員に、池田清志君、菊地養之輔君、佐竹晴記君、交通犯罪防止に関する調査小委員長に池田清志君、以上をそれぞれ御指名申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/2
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003・高橋禎一
○高橋委員長 これより家事審判法の一部を改正する法律案を議題といたします。
なお、本案について最高裁判所当局より出席説明いたしたき旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/3
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004・高橋禎一
○高橋委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。
それでは、これより質疑に移ります。佐竹晴一記君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/4
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005・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 それでは質問いたします。
本法案は法務省提出でありますが、その内容は裁判所の職務権限に関するものでありますから、最高裁判所ともよくお打ち合せをなさって協議の上に出されたものと思いますが、さようでございますか。従って、最高裁判所の宇田川家庭局長の提出されました資料も法務省とよく相談の上にその内容を互いに検討の結果お出しになったものと思われますが、いかがでありますか。まずこれを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/5
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006・村上朝一
○村上政府委員 この法律案は、最高裁判所当局からむしろこういう内容の法律案を提案してもらいたいがどうであろうかという申し出がございまして、私どもの方と十分協議いたしましてかような案を確定いたしたのでございます。従いまして、この案の内容につきましては、裁判所当局と法務省との間には十分打ち合せができております。また、資料につきましても、家庭裁判所の運用の実情に関する資料が中心でございますために、最高裁判所事務総局家庭局の方にお願いいたしまして資料を準備していただいたのでありますが、もとより、この資料につきましては、法務省といたしましても全幅の信頼を置いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/6
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007・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 今回の改正についての説明によれば、家庭裁判所において審判がなされ、あるいは調停が成立いたしましても、これらの審判または調停で定められたる義務の履行が十分保障されないとするならば、家庭裁判所に救助を求める当事者の紛争が終局的に解決せられたとは言えないのはもとよりで、家庭裁判所法制定の趣旨の完全な実施にはまだほど遠いものがあると言わねばならぬとお述べになって、これが基本的理由となり、かつ家庭裁判所の実情にかんがみて、強制執行だけでは十分な効果をあげ得ないから、審判または調停で定められた家事債務の任意履行を促進することを確保するため本改正をしようとするものであるかようにお述べになりまして、しこうして、その改正の骨子は、履行の勧告と、履行命令に従わない者に対する制裁、それから金銭の寄託である旨を御説明になったのであります。これによれば、本改正の基本的理由は、裁判のやりっぱなし、調停のやりっぱなしということでは究極の目的が達せられない、従って、裁判、調停の結果を実現するように、裁判所自身がそこまで努力をすべきであるという見地に立っておられるのであります。ところが、これは果して裁判制度の本則を乱るおそれはないであろうか。旧来裁判と執行とを截然区別いたしましたのは、そこには根本的理由がございます。裁判官は裁判をすることをもって使命とし、その結果を得るための努力に容喙せしめなかったのであります。これを家庭裁判所に許すことになれば、一般裁判制度の上に重大な影響を与え、裁判制度の本則を乱るようなおそれを招来することはないでありましょうか。この危惧に対して御説明をいただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/7
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008・村上朝一
○村上政府委員 一般的に申しますと、佐竹委員の仰せの通り、裁判機関と執行機関とは別の国家機関がこれに当ることは、それぞれの作用の完璧を期するために望ましいことなのでありますが、家庭裁判所の審判あるいは調停によって定められます、いわゆる家事債務につきましては、その家事債務の内容から申しまして、裁判所は審判または調停をしてあとのことは知らない、あとは執行吏その他の執行機関に執行の申請をすればよろしいということでは、十分に当事者の保護が全うされないという実情から見まして、言いかえますれば、この家庭裁判所の性格及び家事債務の性質から申しまして、のる程度、審判または調停だけでなく、その跡始末と申しますか、いわゆるアフター・ケアと申しますか、審判または調停のあとの世話も焼いてやることが適当ではないかということで、この家事債務に限りまして、かような制度を初めて法律の上に認めることを考えたわけでございます。ただ、前回家庭局長からの御説明がありましたように、実際上今までも審判官あるいは調査官によりまして、ある程度履行の勧告等をやってきたのでございますが、裁判所という職務権限が法律によって厳格に定められておるところにおきまして、事実上やるということは好ましくないと考えられますので、ここに法律ではっきりとそのことを認めていただくことにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/8
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009・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 家庭裁判所の職責は、審判及び調停では事足れりとせずに、その裁判及び調停の結果をおさめるまでめんどうをみよう、いわゆるアフター・ケアをやろうというのが根本的理由と承わりますが、それならば、これはひとり家庭裁判所に限られたことではないと私は思います。一般普通裁判所でありましても、判決や調停をしっぱなしにしておいて事足れりと言うことはできません。その判決や調停の効果を十分おさめるまで、めんどうを見てやるべきでありまして、これを区別すべき理由はごうもないと存じます。何ゆえに普通裁判所の判決や調停と区別せられるのか。すなわち、普通裁判所の判決や調停は、やりっぱなしにしておいても、どうなってもよろしいと言われるのでありますか。あるいは強制執行だけで十分にその目的を達する、かようにおっしゃるのでありましょうか。普通裁判所の判決及び調停についてアフター・ケアをやる必要はごうまつもないとおっしゃる、さような区別をなされる根本的理由をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/9
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010・村上朝一
○村上政府委員 一般の民事債務につきましても、国家といたしましては、裁判のしっぱなしというわけではないのでありまして、ただ、裁判をする機関とその裁判の内容を実現するいわゆる執行に当る機関と、それぞれ別の機関がこれに当ることが政策的に妥当であろうというようなことで、ただいまのような制度になっておると考えるのでございますが、ただ、裁判の制度につきましても、とかく裁判がおくれるというように批判がございますと同様に、執行の面におきましても、執行が必ずしも適正迅速に行われないという批判もございまして、ただいまの執行制度では債権者の権利の実行は容易でないという非難はかなりあるわけでございます。私どもの方でも、執行制度の改善につきましては別途研究はいたしておりますが、ただ、家庭裁判所の家事債務につきましては、もとより審判機関と審判の内容の実現に当る執行機関とが別個の機関であるという建前をくずすわけではございませんけれども、前回家庭局長から御説明いたしましたように、家事債務なり、あるいは家庭裁判所に来る当事者の特色と申しますか、家庭事件の性格から申しまして、一般の民事債務に比べまして、特に審判または調停だけを裁判所がやり、あとは執行機関にまかせるということでなく、ある程度のアフター・ケアも家庭裁判所がやることが政策的に適当であろうということで、かような例外的な措置を立案いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/10
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011・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 家庭裁判所の調停並びに審判について、履行の勧告をしたり、あるいは履行命令を出したり、従わぬ者に対して制裁を与えたり、あるいは金銭寄託を受けるなど、いわゆるアフター・ケアをすることが家庭裁判所の審判及び調停についてきき目があると言われるのでありましたならば、普通裁判所の判決や調停の場合でもそれがきき目のないわけはございません。普通裁判所でも、訴訟になりまして判決になりますと、原告と被告との感情というものが非常に対立をいたしまして、もうほうっておけ、こちらから頭を下げて履行する必要がないという空気になるのが通例であります。そのときに勧告や履行命令がありますと、裁判所への義理合いもございましょうし、よい潮どきだというので履行する気になることが多かろうと思います。また、普通の貸借でも、感情がとがって、顔を見るのもいやだといったようなことはよくあることでありまして、そういった場合に、任意に持参して支払いをしようなどということはなかなかできませんが、裁判所を通じて寄託をするということならば、やすやすとできます。また、一般不法行為の損害賠償などでは、原告も被告も互いに敵になりまして、とても相手方へ任意に支払いをするなどということは考えられないことが往々にしてあります。こういった際に、裁判所へ寄託してもよろしいということであれば、そのような気まずい感情的衝突を避けることができまして、任意の履行ができるでありましょう。よって、この履行の勧告や履行命令や寄託などは、一般の普通裁判所の判決や調停の場合でも、家庭裁判所の事件とほとんど変りのない実情にあるものが大部分であると言わなければなりませんが、かような場合でも一切放任してよろしいものと言われるのか、あるいはそれへまで実は手が及ばないと言われるのであるか、手が及ばないということになれば、それは経費の関係からくるものか、何かそこに特殊の理由がございますか。ある種の権利は優遇し、ある種の権利はほうりっぱなしにしようという理由は、とうてい考え得られません。この点、いま少しく掘り下げて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/11
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012・村上朝一
○村上政府委員 ただいまの佐竹委員の御意見、まことにごもっともだと拝承いたしたのでありますが、家事債務以外の一般の債務につきましても、先ほど申し上げましたように、執行制度の改善の方策として、今後とも研究して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/12
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013・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 私は、単なる執行制度の改革などという問題でなしに、裁判をする者が裁判の結果に容喙をする努力をする、その結果の実現をはかることを裁判所の職責とすることそれ自体が、裁判の制度の本則を乱るではないか、もし家庭裁判所にこれを許すとなれば、普通裁判所の場合でもすべて同様になるおそれがありはしないか、こう言うのであります。いま一度これを聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/13
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014・村上朝一
○村上政府委員 裁判と執行と、それぞれ別の国家機関がこれに当ることが本則でありまして、その本則をくずすいう意味ではございません。ただ、家庭裁判所の事件の特殊性から申しまして、裁判所自身がある程度例外的に記裁判の実現についての力添えをすることが妥当であるという考えから、かような措置を立案したのでございますが、本則といたしましては、裁判をする国家機関と裁判の内容の実現すなわち執行に当る機関とが別個の機関であるという建前を維持することが当然である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/14
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015・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 家庭裁判所の特殊性に基きというお話でありますが、それならば、その点に触れていま少しくお尋ねをいたしてみましょう。
今度の提安理由の説明の中にも、強制執行が近親者またはかつて近親の関係にあった者相互間における権利の実現の方法としては少しく強力に過ぎるため、当事者は感情上強制執行の手段に訴えることを回避する傾向があるとおっしゃっております。しかし、昔から、かわいさ余って憎さ百倍ということわざがあります通り、近親者またはその関係にありました者相互の間における争訟というものは、普通のそれに比して感情上著しく強烈である場合がむしろ通例でありましょう。たとえば、離婚における慰謝料の請求や、冷酷にされた近親者に対する扶助料の請求や、遺産をめぐる骨肉の争いなどは、普通の貸金返還などよりも感情上での対立がはるかに深刻であると言ってさしつかえないでありましょう。普通の案件などよりも遠慮がちに強制執行を回避する傾向にあるなどということは、全く実相に合わない見方であると考えます。執行しても相手方に物がないとか、執行する手段と費用にたえないとかいうので、涙をのんでそのままにする場合は多々ありましょうが、こういう強烈なる感情を持っている場合に、強制執行という手段がどぎついので回避する傾向になるのだということは、とうてい私どもは承服することはできません。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/15
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016・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 家庭裁判所の実情を御説明申し上げて、お答えいたしたいと思います。
感情上強制執行の手段に訴えることを回避するということは、実際問題として、昨日もちょっと御説明申し上げました通り、離婚いたしましても、子供がある場合に、親権者が夫になっておる場合がしばしばあるのでありまして、さような場合に、妻たる家事裁判の債権者は強制執行をすることができないということをしばしば訴えるのであります。また、家事裁判は、この前申し上げました通り、一般的に月賦支払いの場合が多いのでありましてそれは一カ月二千円、三千円というような少額でございます。従いまして、この点からも、強制執行を実行することが不可能だという場合が多いのでございます。この点は、昨日御説明申し上げました参考資料の第七表にありますように、現に家事裁判については強制執行が行われていないということから推しても、大体明らかじゃないかと存じます。佐竹委員のお話のように、確かに、視族間の争いは、単なる金銭の貸借の争い、その他金銭上の争いよりも熾烈であることはもちろんでございまするが、先ほど申したような事柄から、家事債務は強制執行に親しまないという結論が出る次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/16
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017・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 ただいま宇田川局長の御説明によりますと、特別な執行の不可能な場合、事実上困難な場合等をおあげになりましたが、過般政務次官の御説明によると、強制執行が近親者またはかつて近親の関係にあった者相互の間における権利の実現の方法としては少しく強力に過ぎるため、当事者は感情上強制執行の手段に訴えることを回避する傾向があるとおっしゃる。ただいま局長のおっしゃる不可能な場合を私は聞いておるのではないのであります。可能ではあるが、近親の間にあった者ではこの強制執行というような方法によることがどぎついからそれを避けるのだ、だから件数が減っておるのだという御説明でありますので、それは違うじゃないか、むしろ家庭審判事件は普通の貸借よりももっと深刻な場合が多いではないか、こう私は聞いておるのであります。その不可能であるとか事実上困難である特殊の例でなしに、かような一般の説明をなさっておるのに対し、感情上強制執行の手段に訴えることを回避する傾向にあるという根拠が私にはわからないのであります。いま一度これを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/17
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018・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 先ほど私が申し上げましたように、離婚いたしましても、やはり日本人はかねての夫であるというような感情などもございまして、強制執行することが非常にむずかしいという場合もございましょうし、また非常に憎らしいというようなことで強力に権利を主張したいという場合も非常に多いかと存じますが、そういうような場合には、金額が非常に少額なるために強制執行があえてできないというようなことになっておるのじゃないかと思います。一般的に申しまして、ただ単に感情上強制執行の手段に訴えることを回避したいというばかりではない、そういう場合もある、また金額が僅少なるために強制執行ができないという場合があるので、その辺御了承願いたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/18
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019・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 御説明ではどうも納得しかねますが、先ほど第七表のお話が出ましたし、過日第七表を資料といたしまして御説明になっておられますので、それならば、これを基本といたしまして一つ具体的にお尋ねいたしてみましょう。
第七表に基いて宇田川局長は過日御説明なさいました。これによると、昭和二十八年九月より十二月までの不動産、船舶及び自動車に対する強制執行件数は千百八十七件であるが、そのうち家事審判を債務名義とするものは一件もなく、家事調停によるものがわずかに十七件であった、次いで、債権及び他の財産権に対する強制執行事件は千五百四十六件である、ところが、このうち家事審判を債務名義とするものは七件、家事調停によるものは四十六件である、次いで、動産に対する強制執行二万七百九十九件中、家事審判を債務名義とするものがわずかに九件、家事調停によるものが百三十六件である、家事審判並びに家事調停はほとんど強制執行をしていない証拠である旨を説明なさいました。しかし、この差し押え受理総件数は普通裁判所と家庭裁判所とを合計したものでありまして、普通裁判所の判決及び調停の総数というものは非常に多いのでありますから、そのうちに含まれる家庭裁判所の審判及び調停の数が少いからといって、普通裁判所の判決及び調停に対しては強制執行申し立ての割合が多くて、家庭裁判所の方が少いと即断することはできません。一体第七表(2)の強制執行受理総件数は普通裁判所の判決及び調停の何ほどの割合に当るのでありますか。すなわち、当時における普通裁判所の判決及び調停の総数は何件であるのか。それがわからなければ比較になりません。その件数を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/19
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020・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 佐竹委員の、普通裁判所におけるところの判決、調停の数が出ませんと、家事審判、家事調停における債務名義の数との比較ができませんので、従って家事債務に関する強制執行が少いということは結論されないということは、ごもっともで、私ども、この点につきましては、その普通裁判所の判決、調停の債務名義の数をここにあげておりません。また現在その資料をここに持っておりませんので、はなはだ残念でありますが、また取り調べて後に正確な御報告を申し上げたいと思います。ただ、この受理件数二万七百九十九件のうち百三十六件しかないという動産に対する強制執行事件、もう常識で考えてあまりにも少いということから御推断できるのじゃなかろうかということで、かようなことになったわけであります。いずれにいたしましても、昭和二十八年九月から十二月までの間には、調停、審判二千四十件あるのにかかわらず、動産について百三十六件、債権及びその他財産権に対する強制執行は四十六件、不動産、船舶及び自動車に対する強制執行は十七件というのは、あまりにも少いのじゃないかということで、この前強制執行が少いということを御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/20
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021・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 私は、この表を拝見 して、こまかしだと思った。ずいぶん大ざっぱな、こんなずさんなことで法律を作られるということは危険だ、そういう感じを持ちました。資料として御提出になるならば、もう少し正確なものをお出しにならなければなりません。普通裁判所の裁決や調停が非常に多くて家庭裁判所の審判及び調停はごく少いことはわかっております。だから、全部の普通裁判所の事件と一緒にしておいて、そのうちに家庭裁判所の事件がちょっぴりで少いからといって、そういった対照表を持ってきて、それで家庭裁判所の強制執行は感情上遠慮して回避しているのだなどという根拠になさいますことはごまかしだ、私はこう思ったのです。もしほんとうにそれが事実だといたしますならば、もっと具体的な資料をお示しいただきませんければ、私はまだ納得いたしません。
もう一つ承わって起きましょう。その第七表の説明によれば、「(1)表は、全国の家庭裁判所で取り扱った件数のうち、扶養料や慰藉料等金銭の支払を命した事件の総数を明らかにし、(2)表は、これに対してかかる家事債務の履行を求めるため、強制執行の手段に訴えたものの件数および期間中に申し立られた強制執行事件の総件数との比較を明らかにしたものである。」と説明ぜられて、そして、七表の(1)において、九月中審判三件、調停五百四十四件、十月中審判五件、調停五百十三件、十一月中審判二件、調停四百五十八件、十二月中審判九件、調停五百八件、総件数二千四十件もあるのに、七衣の(2)の審判を債務名義とするものはわずかに十六件、調停を債務名義とするものは百九十九件、合計二百十五件にすぎないと表示しておられるし、ただいまも大よそこういう状態なんだからそう信じていいのだという御説明であります。ところが、第一に、七表(1)の審判及び調停は二十八年の九月から十二一月までにあった審判と調停の計数を示すだけであって、その履行期は一切お示しになっておりません。履行期が到達しないのに強制執行のあり得よう道理はありません。さらにまた、任意の履行があった以上執行の申し立てのあるはずはございません。右九円から十二円までの二千四十件に対し、一体何ほどがその期間中に履行期に達し、しこうして何ほどが不履行になったのか、その不履行に対し何ほどの執行申し立てがあったかということを明らかにしないでは、強制執行に訴える率がわかるはずはございません。よって、その表中、履行期に達した件数、任意履行済みの件数、残っている不履行が幾らあって、その不履行中強制執行を申し立てたものが幾らか、これをお示しにならなければ、これは資料の価値はございません。これを明示されたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/21
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022・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 佐竹委員の御意見、まことに。ごもっともと存じます。確かに、二十八年九月から十二月の間に履行期の来ているものの数を第七俵の(1)で示すべきだということはその通りでございます。しかしながら、その統計が非常に困難であったために、やむなくかような件数のみをここにあげたのでありまして、正確に申すならば、佐竹委員のおっしゃるように、履行期の来ている債務名義の数をここにあげる方が理論上正しい。ただ、これはごまかしのためにかような数字をあげたのではございませんので、統計が取れなかったためにやむなくかような統計をあげたということだけ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/22
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023・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 これは不十分であるが、やむなくほんの参考資料であると、この間おっしゃられれば、私どもも正直にそう聞きます。ところが、説明書に付箋をつけて書いてあるのには、先ほど読み上げました通りに、七俵の(1)は「全国の家庭裁判所で取り扱った事件のうち、扶養料や慰藉料等金銭の支払を命じた事件の総数を明らかにし」、七俵の(1)は、この(1)に対して、「かかる家事債務の履行を求めるため、強制執行の手段に訴えたものの件数およびこの期間中に申し立てられた強制執行事件の総件数との比較」ということで、それがこれこれである、だから強制執行を申し立てる者は少いじゃないか、二千件もあるうちにわずかに二百十五件ではないか、こういったように明らかに結論づけられておりますために、それはこの資料によって結論が生まれないではないか、私はさように言うのであります。あなた方の方の説明があまりに明確でありますために、それは明確ではないではないかと言うのであります。
私は、さらに進んで、あなたの資料を拝借いたしましょう。第四表の(1)によれば、審判並びに調停の履行状況は、一時払いについて、履行済み六三・九%、一部履行二六・六%、履行せず八・一%でございます。履行せずがわずかに八%強にすぎません。分割払いの方でも、任意履行が多く、履行せずは一六・四%にすぎません。かように任意履行が絶対多数でありますから、強制執行の要はなかったのであって、感情上差押えを回避する者が多いとの根拠にはならないと私は思いますが、いかがでありましょう。また、少くとも家庭裁判所の審判及び調停が執行を回避する率が多いと言う以上は、一般普通裁判所の判決及び調停に対する任意履行の率と強制執行の割合をあげなければ、これは結論が生まれません。その一般裁判所の判決及び調停に対する任意履行並びに強制執行の割合及び家庭裁判所の審判及び調停との比率を、この際御説明をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/23
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024・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 ただいまの四表につきまして、一時払いの履行せずが八・一%にすぎないじゃないか、また分割払いの方が履行せずが一六・四%でないか、従って大した不履行の事実はないのじゃなかろうかというような御説明でございますが、履行せずは、これは全く履行しない場合でございまして、一部履行しない場合も勘定に入れて考えなくちゃいけないので、一時払いの場合には二六・六%の一部履行がございますし、また分割払いにつきましては一部履行が四〇・六%ございます。従いまして、これを総計いたしますと約二割二分ほどの不履行の事実があるのでございます。これは、計の三六・七%、一四・一%、そういうことから、さような結果になるのでございます。
なお、一般の債権につき債務不履行の比率がどのくらいあるかというようなことにつきましては、残念ながらその資料をとることができませんので、かような家事債務と一般債務との債務不履行の比較はできません。しかしながら、これとても家庭裁判所が援助したからかような債務不履行が比較的少くなっておるのでございまして、援助をしないとするならばもっと不履行の事実が多くなるというような実情もおくみ取り下さいまして、現在の家事債務の不履行の状況を何とか家事審判法の改正によってお救い願いたいと思うのであります。ことに、家事債務の債権者は、債権者とは申せ、それによって糊口をつないでおる者が多いのでございますから、一般の債務の債権者と多少事情を異にしております関係もございますので、この際かりに佐竹委員のように大した不履行の事実はないじゃないかというような御議論がございましても、不履行の者が相当ございますので、ぜひともこれをこのたびの家事審判法の改正において何とかお救い願いたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/24
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025・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 ただいまの御説明を聞きましただけでも、今の御説明によってお認めになる分でも、一時払いの分が、履行済み七八%——一部不履行の場合を加えて二二%ですから、七八%というとほとんど八〇%近いです。十のものなら八つまで、百のものなら八十まで履行が済んでいて、強制執行の必要はないのです。そこで、当初御説明になりますように、こうした事件が強制執行の規定があっても目的が達せられないようなふうに頭からおっかぶせて、そしてそれは近親者もしくは近親の関係にあった者の相互の間における強制執行としては少しどぎついので、感情上強制執行の申し立てを回避する傾向があるがためだという御説明の資料となさいますためには、これはあまりにふさわしくない、逆の議論さえも生まれるではないかということを私はお尋ねをいたしておるのであります。政府の提案理由の骨子は、家庭裁判所の審判及び調停は強制執行だけでは十分な目的を達し得ないから、別の方法を考えるというにあって、しかもそれは金銭債務を中心としてお考えになっておらるるのでありますが、そうだとすれば、私がすでに冒頭に述べましたように、普通裁判所の判決や調停と区別すべき大した根拠はないではないか、こういった疑問は解消するわけには参りません。しかし、観点をかえて、家庭裁判の審判及び調停には、たとえば夫婦の同居その他夫婦間の協力扶助に関する事件とか、あるいは子の監護に関する事件であるとか、財産の管理、共有財産の分割の事件であるとか、それから、先ほど宇田川局長が特に例示いたしておりました特別の場合等は、普通裁判所の判決や調停の場合と全く趣きを異にするものがあって、また一般金銭債務の強制執行によって目的を達し得ないものがあるから、これらについて特に普通裁判所の判決や調停と異なった特別な方法がほしいのだ、こうおっしゃるならば、私は理解ができます。しかし、説明の冒頭に持っていって、裁判のやりっぱなしはいかぬのだ、あとのめんどうを見ろ、強制執行は非常に感情上対立して家庭裁判所のときには向かぬのだ、こういったようなことをおっしゃるから、この提案理由ではちょっと承服しかねる、だが納得するだけの根拠があるならばお示しを願いたいと、先ほど私は質問をいたしたわけであります。ところが、これに対しましては十分納得を得るものがございません。と同時に、その根拠に至っては実に私の発しました質問に対しまして御答弁もないと言わなければならぬ状態であります。お示しの資料は、今の一般的御説明をなさいました本法案の根拠としての資料としては、とても私は承服いたしかねます。先ほどちらっと申しました別途の見地に立っての資料とするならば、これはまたそれなりの見方がございますが、当初政務次官が説明をし、宇田川局長がるる御説明を加えて、そうしてその数字を示されたことについては、少くとも私が先ほど質問いたしましたその基本たる数字をお示しいただきません限り、私といたしましてはこれは納得いたしかねます。この数字を近い機会に一つお示し願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/25
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026・松原一彦
○松原政府委員 私は法理論にはうといものでございますから、法理的には申し上げかねますが、私の今日まで聞いておりますところでは、実は、この法律案を提出いたします以前から裁判所の方では家庭裁判につきましては努めて親切に勧告等の手段をとってやっておる、またあるいは金を預けて帰る者に対しては預かってやっておる、ここにあげましたのは、それを新たに法律にして、あらためて法律の面で認めていただきたいというので出すのだというふうに聞いておる。その結果としてこういう数字が現われておる。もしこれを従来のような親切な手心をしないで、できないものは法の命ずるところによって執行機関によってやらせるということになれば、こういう結果は出ないのであります。実は今日まで長い間家庭裁判の方ではこういうことをばやっておる。私は、これは非常に人情に即し、社会の事実にかなったところの親切なやり方だと常識上見ておりますが、そういうところからこの結果が現われましたので、これをごらん下さいますと、第四表の「履行状況と、家庭裁判所の職員の援助との関係」というところの注には、「援助とは、主として家庭裁判所調査官が、債務者に履行の勧告をしたり金銭の授受に立会ったりして、履行を容易にするためにとった措置」、こうあるのであります。援助してようやくこの成績に参っておるのでありまして、この成績を上げるまでの裁判所の苦労を私は知ったのであります。そういう意味で、法律論としては、しろうとでございますからよくわかりませんけれども、まことに適当な措置であって、家庭裁判所としては常識的にも社会的にもこのくらいな親切があってほしい、その親切をないしょにやるのではなくして、どうか公けに認めていただきたいという苦衷から出たものだというふうに聞いておりますので、先般あのような説明をいたした次第でございます。佐竹委員の法理論的の御質問に対しましては私はお答えを避けますが、事実は、この結果は非常にいいじゃないかとおっしゃるのは、そういうことをやったからこういう結果が出たということをばどうぞ御了解いただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/26
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027・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 それでは次官にお尋ねしますが、こういう規定を設けなくとも、いいことだから、やってよろしい。別にそれは法律違反でも何でもないから、いいということになればそれでもいい。どうもそれでは工合が悪いんだからやはり改正をしなければならぬというので改正案をここへお出しになる以上は、何か都合が悪いところがあるのじゃないかと思うのです。そうすれば、法律改正をしなければできぬことを、いいことだから何をやってもかまわぬということをあなたはお認めになりますか。それは、しろうとだから何を言ってもかまわぬというのではありません。私はそれならさらにお尋ねをいたしたいのでありますが、そういう親切心があってほしい、そうしてみんなが協力したからそれだけの成績をおさめたとおっしゃる。それならば、普通裁判所の場合でもちっとも変りがないから、普通裁判所の場合でも判決のしっぱなしや調停のしっぱなしはいかぬ、もっと普通裁判所でもなぜ親切にしないか、それをやらしたらどうかということを、先ほどから口をすっぱくして聞いておる。政務次官としては、普通裁判所の場合でも家庭裁判所と同様におやりになる腹でございますか、これを承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/27
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028・松原一彦
○松原政府委員 私は、今回のこの法案を出すまでに、予算が伴っておりますので、どういう予算かと思いますと、今までは金などは預かるべき性質のものじゃないが、便宜上金を預かるという場合もあった、従って、それでははなはだあいまいでもあり、問題も起るおそれがあるからして、今度は公けにしてもらって、小さい金庫でも各家庭裁判所の調停のところに置いて金も預かるようにしよう、そうして、家庭裁判というものの特殊性にかんがみて、この部分だけでもせめて親切に、双方の間の調停の目的を達するようにしようという説明でございましたから、私は常識上いかにも親切な、そうあってほしいと信じまして同意いたしたようなわけでございまして、さらにそのほかの一般の民事等の方面にまでこれを及ぼしてやっていくかどうかということにつきましては、私はまだ実は考えておりません。まあそれはやはり執行機関は別にした方がよかろうが、家庭裁判の特色は近親間のことであるからして、なるべくそこで目的が懇切に達せられるようにしてやろうという親心があるということを、むしろ私は多とした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/28
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029・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 その点については、私の方ではさらにお尋ねをいたしたいのでありますが、次官もしろうとであると極力最初から逃げを打っておられるから、この程度にしておきましょう。しかし、少くとも宇田川局長といたしましてはこういう資料をお出しになっておるのですから、こういう資料じゃとてもお話にならぬじゃないか、これはちっとも法案の説明の根拠にならぬじゃないかということを私は訴えておるのでありますから、納得できるものを一つお示しを願わなければなりません。それと、今の次官の御説明による一般裁判所の調停及び判決に対してアフター・ケアをやるべきかどうかという、そういった根本問題については、問題をあとに残しておきましょう。専門家であります法務大臣でもお出になりましたときに、さらに私は御質問をする機会を留保いたしておきます。
進んでお尋ねをいたしますが、審判、調停の金銭債権は、審判及び調停後これを譲渡することができると御解釈でございますかどうか、法務省の御見解を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/29
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030・村上朝一
○村上政府委員 審判または調停で定められます債権債務の中には、一身専属的なものもございますけれども、一般的に申しますれば譲渡は可能だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/30
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031・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 一身専属のものが、金銭債務の場合でもありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/31
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032・村上朝一
○村上政府委員 扶養請求権等につきましては、一身専属的なものが考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/32
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033・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 履行期に到達した後における扶養料の請求は、これは別途考えるべきじゃないか、一身専属のものと言い得ないと私は解釈いたしておりますが、これをここで論じようとは思いません。ともかく、村上局長は一身専属以外のものは譲渡できることを認めになりました。そういたしますと、感情院強制執行が工合が悪いといったようなものは、債権を譲渡して、承継執行文を受けて第三者から執行したらいいのであって、別に、近親もしくは近親の間にあった者の強制執行を憂えてここに法案を提出するといったような、そこまでいきませずとも、こういう自然の方法もあるのではないかと思いますが、これでは工合が悪いものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/33
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034・村上朝一
○村上政府委員 家庭裁判所の審判または調停で定められまする金銭債権について考えますと、多くは近親者の間の扶養関係、あるいは離婚の場合の財産分与等であろうと思うのであります。扶養につきましては譲渡ということは普通は考えられないことでございますし、いわゆる離婚の場合の財産分与にいたしましても、その実質は離婚後の扶養に当る実質を持ったものが多いのではないかと考えるのでありまり。従いまして、かりに譲渡が可能だといたしましても、これを債権のまま金にかえて、それで生活を維持していくということは、実情きわめて困難で仏ないかと考えますので、やはり審判または調停の相手方から履行を受けるということがどうしても必要な場合が大多数ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/34
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035・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 今回の提案の理由の重要なる一つに、家事審判及び調停の場合においては少額債権が非常に多いということであります。自然、強制執行の方法によることがふさわしくない、強制執行を回避する事例となるとの趣旨が述べられております。こういったときに執行費用の救助の問題はどうなりましょうか。執行費の救助は訴訟費用の救助と同じようにできないものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/35
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036・村上朝一
○村上政府委員 執行につきましても訴訟上の救助の適用はあると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/36
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037・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 それならば、その執行費用救助の方法を教えるなり適当な方策によって少額債権の執行を全からしむる道と選ぶことができるのであって、裁判制度に影響のあるほどのことを、少額債権のために特に法律改正をしようとするほどの理由があるのかどうか、これを承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/37
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038・村上朝一
○村上政府委員 少額の債権について一般の執行の手続によりますことが費用倒れになる、あるいは長い期間かかって能率的でないということは、かねて言われておることでありまして、少額債権についての簡易な取り立ての方法を考える必要があると思うのであります。しかしながら、この法案で考えております家事債務についての特殊な履行確保の方法というのは、少額債務であるというだけの理由ではないのでありまして、この少額債務が多いということも一つの理由になって、一般に強制城行に訴えることは少いという一つの理由として申し上げたにすぎないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/38
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039・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 時間がだいぶたちましたから、まだ四、五点ありますが、項目的にごく簡潔に承わっておきまして、あと許されるならば適当な機会にさらに掘り下げて伺うことにいたします。
今回のいわゆる寄託の問題について承わります。十五条の四を加えておる。「金銭の寄託を受けることができる。」と規定いたしました寄託の効力を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/39
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040・村上朝一
○村上政府委員 この寄託の手続等につきましては、最高裁判所の規則にゆだねることになっておりますが、この寄託の性質は第三者のためにする寄託契約ということになろうかと考えます。従いまして、権利者が家庭裁判所からこの金銭を受け取ったときに弁済の効果が生ずる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/40
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041・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 そうすると、第三者のためにする寄託契約だとすると、債権者が受益者の意思表示をしない限り効力を生じないと考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/41
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042・村上朝一
○村上政府委員 最高裁判所規則でいかように定められますか、おそらく、寄託を受けますと、裁判所から権利者の方にその旨通知いたしまして、一定の期間内に取りに来れば渡してやる、あるいは郵便で送ってくれという申し出があれば郵便で送ってやることになるかと思います。一定の期間内に権利者の方で取りに来ない場合、あるいは請求しない場合、すなわち受益の意思表示に当るものがない場合には、これは寄託者に返還するほかないということになるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/42
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043・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 しからば、この寄託は弁済の効力を生じない。そうして受益の意思表示を受領すべき債権者がしない限り、これをまた返還しなければならぬ。こういったような制度のできますことは、せっかく供託という制度がありますのに、これと非常に撞着するのではないか。これを提供する側も、寄託することによって、もうこれで一切責任が済んだ、裁判所へ預けたのだから、おれはもう責任を免れたと本人はおそらく考えるでしょう。供託とほとんど同一の効力を生ずるようなことにしなければ、これはその寄託する者の意思に反するのではないかと思うと同時に、むしろ、裁判所が、いわゆるアフター・ケアとして、寄託を受けたものは直ちに供託をする、その供託手続の取次をしてあげるといったようなことにすべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/43
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044・村上朝一
○村上政府委員 かような審判または調停で定められました債務を履行する方法として供託の制度が利用できることは申すまでもないのでありまして、家庭裁判所のアフター・ケアとしては、供託の手続を教えてやるという程度で十分ではないかということも、私どもも一応考えたのでございますが、供託となりますと、いろいろ手続が複 雑になって参りまして、家庭裁判所に来る当事者にとっては、供託手続を利用せよということが、事実上期待できない場合が多いという家庭裁判所側の 御説明でありますので、今まで事実上 裁判官なり調査官が個人として預かって渡しておるというようなことを、個人でなく裁判所として預かって渡してやれるという、きわめて簡易な手続でやれるようにということで、かような供託によらない寄託の規定を設けた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/44
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045・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 この点についてもなお私は少々意見がありますが、留保いたしまして、さらにこの際承わっておきたいのは、外国人との関係であります。外国人が日本に来て、日本で外国人との間に生まれた子供があるとする。その子供と外国人との間に家庭裁判所のごやっかいになる、あるいは夫婦であったものの一人が外国へ行ってしまって外国の国籍を持った、あるいは外国へ居住するようになった、こういったような場合に、審判及び調停の効力を発揮せしめるために、本改正案にあるところの、たとえば履行の勧告をするとか、履行命令を出す、あるいは寄託を受けるとか、寄託を扱ってやるとかいったようなことは、その外国人との間における関係においてもできるものであるかどうか、また、それが困難である場合においては、国際的にどのような救済手続があるものであるか、この点を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/45
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046・村上朝一
○村上政府委員 外国人が家事債務の債務者に当る場合には、この改正案による履行確保の方法が外国人についてもとれるかどうかという御質問だと思いますが、もとより外国人についてもとれると考えます。ただ、外国人が日本国内におります間は日本人と同様でありますが、本国へ帰ってしまいますと、日本国内に財産を残しているというような特殊の場合を除きましては、事実上実現が困難であろうということは考えられるのであります。国外にある配偶者なり親等に対しまして扶養などの請求をするというためには、これは国際間の協力がなくては実際上実現困難でありまして、これは各国ともそういう悩みがあるわけであります。国際連合におきまして、この点に関する国際協力の必要を認めまして、国際連合の経済社会理事会におきまして、扶養請求の国外における実現に関する条約草案というものを起草いたしまして、本年五月国連本部において条約の起草等のための国際会議が招集されることになっております。私どもといたしましては日本政府としてもこの会議に参加することが望ましいと考えておりますが、この条約草案によりますと、国外にある扶養義務者に対して扶養の請求をする場合には、扶養権利者が国内に設けられた機関に対して扶養の申し立てをいたしますと、この機関は事件を扶養義務者の居住する外国に設けられた機関に送りまして、その機関において訴えの強制執行等、扶養料の取り立てに必要な手続をかわってとる建前になっております。もしこういりような条約ができまして、関係各国かこれに加盟するということになりますと、国外における配偶者あるいは国外にある直系卑属等の扶養請求につきまして、現在見られるよりも実際上の障害が相当程度除かれることになるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/46
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047・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 最後にお尋ねいたしたいのは、二十八条に「第十五条の三又は第二十五条の二の規定により義務の履行を命ぜられた当事者又は参加入が正当な事由がなくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、これを五千円以下の過料に処する。」とありますが、これは一回きりですか。それとも、一回通告をしたが履行しなかったから五千円以下の過料、それから次にまた催促したが返事がない、そこでまた五千円、こう繰り返して幾度もできるものでありますか、これを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/47
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048・村上朝一
○村上政府委員 過料の裁判がありましてもなお正当な事由がなく命令に従わない場合には、さらにまた過料の裁判をすることができる、かように解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/48
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049・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 結局、何回でもできるというのでございますか。つまり、履行命令というのを何回も発することができるか、そうして、これに従わぬときには、その金額五千円が五十万円になろうと五百万円になろうと、どこまでもやれるか、これを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/49
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050・村上朝一
○村上政府委員 正当な事由がなく命令に従わないという事実があります限り、何回でもやれると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/50
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051・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 それはおよそ過料の性質に反することになりはしないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/51
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052・村上朝一
○村上政府委員 過料はいわゆる秩序罰と称せられるものでありますが、私どもの理解しておりますところでは、秩序罰というものは何回でも繰り返してやれるという性質のものだというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/52
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053・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 繰り返してできるにいたしましても、およそその金額に限度があって、この過料など、幾ら幾ら以下の過料に処することができるとなっているのです。それを履行しないということは、一つのことであって、終始一貫おれは履行しないという腹をきめて履行しないのです。事実は一つです。ところが、それを向うさんの行為によって五十回も百回も不履行だと言う。債務者の方では、一回しか不履行していない、終始一貫おれは履行しないと言う。それを、向うさんが百回も不履行だといって五十万も百万も過料が取れるものだろうか。そういうことがもしできるということになると、この規定はアフター・ケアではありません。罰金以上です。刑罰以上になりましょう。その財産の一切を引き揚げてしまうぞという威嚇になります。これは過料の性質を乱る結果になりはしないかと言うのでありますが、そういうことを家庭裁判所がやれることになると、これはもう親切の度をこえて家庭裁判所が自分のやった調停及び審判に従わなければどこまでもやっつけるぞということになる。これは恐るべきことであります。今局長のおっしやるごとくだといたしますならば、服従しなければ全財産を取られてしまいます。それも強行する御趣旨でありましょうか、それをよく承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/53
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054・村上朝一
○村上政府委員 私が申しましたのは法理論を申し上げたのでありまして、実際上何百回まで過料を取るということが起り得るとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/54
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055・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 局長は考えておられぬでしょうが、熱心なる家庭裁判所は、政務次官のおっしゃる親切心があって、これくらいなことはあってよろしいと次官もおほめになっているんですから、一生懸命おやりになるかもわかりません。これはある程度の限度を定めておかなければ危険じゃないかと思うのでございます。次から次と繰り返して取ってもかまわないということになると相当問題だと思うのですが、その限度についても考える必要はないでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/55
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056・村上朝一
○村上政府委員 過料の規定はほかにもたくさんございますが、その規定が非常識な運用をされて非難をされておるような例も聞いたことはございませんし、この程度で別段差しつかえないんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/56
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057・佐竹晴記
○佐竹(晴)委員 たとえば、戸籍なら戸籍を届出しない。それは一回きりです。そして、いやおうなしにさせて、そのときに処理する。一回督促状を出して、届けに来ない、過料をやる、またやる、また来ないなどということはほとんどありません。ところが、履行の催告の問題は、一回やって目的を達しなかったからもうそれっきりほうっておくといったようなことでは目的を達しないと思います。ほんとうに目的を達しようとするなれば、一回やっても返事がない、二回やっても三回やっても返事がない、しかし、これはどこまでも気長に取り立てるのでなければ、アフター・ケアになりません。どうせ感情上対立しているんです。何を持ってきても相手にせぬと考えておるものを何とかして取ろうというんですから、しかも強制履行の方法でも困難な場合を可能ならしめようとするんですから、この場合においてはよほど繰り返されることを考えなければならぬ。だから、そういった場合過料を繰返すことについては考慮をする必要があるではないかと私は考えるのであります。
本日はだいぶ時間を食いましたから、私はこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/57
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058・高橋禎一
○高橋委員長 ちょっと私からこの機会に二、三お尋ねしておきたいのですが、この法案は先ほど佐竹委員からもいろいろ質問があって明らかになったように、非常に重大な問題を含んでおるわけであると思います。そこで、法務省としては、こういう重大な法案を提案しようとされる場合に法制審議会の議を経らるべきだと思っておるのですが、この法案についてはどうだったのですか。法制審議会の議を経られて慎重に検討されたのかどうか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/58
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059・村上朝一
○村上政府委員 この法案については 特に法務大臣も法制審議会に諮問して答申を求めたという事実はございません。ただ、こういう法律案を提案してもらいたいという裁判所側の希望は数年前からございまして、いろいろ重要な問題を含んでおりますので、法制審議会の民法部会で身分法の再検討に着手した後に、その身分法の委員会で技術上各委員の御意見を伺ってからにしたいということで、立案を延ばして参りまして一昨年の九月から法制審議会民法部会に身分法の小委員会が発短いたしましたので、この小委員会には家庭裁判所側の案を原案といたしまして数回にわたりまして各委員の御意見を伺ったのであります。むしろ、この案につきまして法律技術的にいろいろ疑問を出しましたのは法務省側委員、裁判所側の委員でございまして、学者側その他一般の委員の方はぜひこういう制度は作るべきだという意見が大多数でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/59
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060・高橋禎一
○高橋委員長 次に、家事審判法そのものが、専門家等に言わせても、相当欠点のある、わかりにくい、運用上不便があるというような批評を聞くのですが、法務省においてはもっと根本的に家事審判法全体を改正しようとか、そういうような御意思があるかどうか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/60
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061・村上朝一
○村上政府委員 家事審判法につきましては、委員長のおっしゃる通り、いろいろ問題があるのでございます。特に家庭事件に関する家庭裁判所の職務権限というものをどの程度まで認めることが適当かということが非常に問題なのでございます。たとえば、今未成年の子を養子にいたします場合には必ず家庭裁判所の許可を受けなければならないということになっております。また、夫婦が離婚いたしまして、夫婦の間の子供を妻の方の氏に変えようとする場合には、やはり家庭裁判所の許可が要るということになっております。そのほか、家庭裁判所の職務権限として、果してこういうものを一々家庭裁判所に持っていかなければならないかどうかという意味で問題になる点もございますし、また、家庭裁判所としてもう少し積極的に、家事審判法の第一条にうたってあります「家庭の平和と健全な親族共同生活の維持」のた/に働く面があるのではないか。ここにあげました履行確保の法案、アフター・ケアもその一つでありますが、はかに家庭裁判所のもっと積極的に動く面があるのではないかという点でも検討を要する問題が多々あると思います。これらの点はいずれも実体法として民法の親族法、相続法にきわめて緊密な関係を持っておりますので、先ほど申し上げました法制審議会民法部会の身分法小委員会におきまして、問題が起きますつど家庭裁判所の権限というものとにらみ合せて検討を続けております。その結果、法制審議会の方の結論が出ましたならば、民法の親族法、相続法と同時に、家事審判法についても大幅な改正が必要になってくるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/61
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062・高橋禎一
○高橋委員長 次に、これは佐竹委員からも御質問のあった点で、佐竹委員が留保されておられるところですが、いわゆる裁判というものと執行というものを区別して、別の機関に取り扱わせるというこの原則との関係、あるいは本法案に盛られている勧告、調査の制度、あるいは履行命令、それからその命令に従わない場合に過料を課するという制度、こういうところは非常な重大な点だと思うのですが、こういうことについて外国の立法例はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/62
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063・村上朝一
○村上政府委員 英米法系の国は法律の体系が全く違いますために、裁判と執行とを同一機関がやるという、例としては当らないかもしれませんが、国の法制におきましても、家事債務、特に扶養料、これは離婚後の扶養と申しますか、いわゆるアリモニーと称せられるものを含むわけでございますが、これの支払いにつきましては、一般の民事債務において認められております執行法以外に特別の手続を定められておるものがあるようであります。たとえば英米などは裁判所の扶養命令に従わない場合には制裁を課することになっておりますが、特にアメリカではいわゆる裁判所侮辱罪に当るものとして拘禁または罰金の制裁を課するという規定があるようであります。イギリスにおきましても、一定の場合、裁判所の扶養命令に従わないというときにこれを拘禁するという制度があるようであります。また、扶養料の支払いが裁判所を通じてなされる例といたしましては、アメリカでは家庭裁判所に扶養局と申しますか、サポート・ビューローというものがありまして、この扶養局が義務者から扶養料を取り立てて、これを権利者に交付するということになっておる州もあるようであります。また、わが国の家庭裁判所調査官に当りますいわゆるプロベーション・オフィサーというものが、扶養料についてその支払い状況を調査したり、あるいは任意の履行を勧告する等のことを行なっている州もあるようであります。また、英国でも、扶養料の取り立てを円滑にするために、裁判所にコレクティング・オフィサーというものが置かれて、裁判所の扶養命令による金銭の給付はこのコレクティング・オフィサーを通じて行われるというような制度があるようであります。そのほか、ドイツ、フランス等には特別な制度はないようでありますけれども、フランスなどでは、たとえば婚姻継続中に夫が妻の扶養をしないというようなときに、裁判所の許可を得て妻が夫の持っておる債権を行使する、たとえば会社に行って夫の給料を妻がもらってくるというような権能を与えられておる制度もあるように聞いております。大体外国における制度で聞いておりますのはその程度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/63
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064・高橋禎一
○高橋委員長 家庭局長はおわかりだと思うのですが、家事調停の場合に、いわゆる請求権といいますか、実質的な訴権のないようなものでも、調停に継続して調停が成立していく、そういうような例があるかないか、お伺いいたしたい。たとえば、法律的に言えば支払いの義務はないのだけれども、人情ずくで、法律というものから離れて、調停で一定の支払いをするといったような結果になる事例ですね。そういう点は調査していらっしゃるかどうか、そういうことがあるかないかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/64
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065・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 さような点につきまして今日正確な答弁の資料を持っておりませんが、いずれそれにつきましても東京の家庭裁判所あたりの裁判官にお聞きをして後日お答えいたしたいとおもいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/65
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066・高橋禎一
○高橋委員長 次に、本法案の第十五条の二、これは権利者の申し立てを必要とするというふうにはなっておらないようですが、権利者の申し立てがないのに調査をしたり、あるいは義務の履行を勧告したりするということの可否について、どのようにお考えなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/66
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067・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 この問題につきましては、実務上から申しますと、当事者が泣きついて来るというような形でございまして、女性が多いわけでありますが、そういうような女性の来た場合に、申し立てというよう手続をとりますと、あるいは書類を作らせるとか、いろいろと手続が煩=になりますし、また、およそ裁判所におきましては、申し立てというようなことになりますと、手数料なども徴することに原則としてなりますので、さような煩を避けたいということからして、かように申し立てによるということを省いたのでございます。しかしながら、運用といたしましては、さような申し立てがないのに義務者に対して義務履行上調査するとか、あるいは勧告するというようなことはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/67
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068・高橋禎一
○高橋委員長 先ほど佐竹委員も指摘された第四表の家事調停事件の履行状況について、(1)の表の中に、援助ないというのが相当ありますね。履行しないもので、しかも援助しないという、この援助しないというのは、申し出がないから援助しないのであるかどうかということと、それから、制度として認められておらないことであるから、裁判所に対して遠慮したりなどによって申し出をしないのであるか、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/68
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069・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 ここにある援助しないというものには、援助するというようなことは家庭裁判所でやっていないと思いまして全く申し立ててないものが大部分だろうと思います。もっとも、申し立てたけれども、ある家庭裁判所におきましては、そういうものについては裁判所の性格から援助すべきでないというような考えを持っていることもありますので、援助の申し出を拒否して援助しないものも含まれておるのではなかろうか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/69
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070・高橋禎一
○高橋委員長 それから、先ほど佐竹委員の質問された過料のところですが、最高裁判所が大体ルールをお考えになっておると思うのですが、この点についてはどうなんでしょう。過料に関する部分についてどのように考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/70
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071・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 この過料の制裁は履行命令違反に課せられるわけでございますので、履行命令は、十五条の三にもございますように、「審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立により、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をなすべきことを命ずることができる。」、こう書いてありまして、「相当と認めるときは」というようなことに相なっておりますので、相当と認めないときはこの履行命令を発しません。従って、この履行命令も、相当と認められないものもあると思いますので、そう数は多くないのではなかろうかと思います。そしてこの命令に正当の事由なくして従わないときに五千円以下の過料に処せられることになっておりますので、この過料の制裁というものを発動することは非常に少いのではなかろうかと思うのであります。ちなみに、この二十八条の二項には、「調停委員会又は家庭裁判所により調停前の措置として必要な事項を命ぜられた当事者又は参加人が正当な事由がなくその措置に従わないときも、前項と同様である。」、従いまして五千円以下の過料に処せられることになっておりますが、この調停前の処置も非常に数は少いものでございますけれども、これによって過料に処せられたものは二十七年度に一件、二十八年度にはないというような調査もございますので、この過料の制裁というものは実際にはあまり行われないのではないかと思います。けれども、この過料の制裁があるために履行の勧告がやはり力強く働くのではないか。不出頭の当事右に対して制裁の過料に処せられることになっておるから、現在、家庭裁判所におきましても、あるいはまた一般の裁判所におきましても、比較的当事者、証人その他の出頭の義務が履行されておるものと考えるのであります。従って、さようなことでありますので、ルールの方では過料の制裁につきましては今のところ別段の考慮は払っておりません、しかしながら、ルールの制定は、三月五日の家庭規則制定諮問委員会にかまて、それから制定することになっておりますので、今のところ、どうなるか、はっきりは申し上げかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/71
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072・高橋禎一
○高橋委員長 それから、政務次官はおわかりと思いますが、この予算の点はどういうふうになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/72
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073・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 政務次官にお尋ねでございますが、予算は大蔵省から内示があって、現在予算案に計上されておるものと私は承知しておりますので、私から便宜お答えさせていただきます。
総額として二百十五万一千円、それに金庫の購入費として七十三万九千円、それから、かような制度をしくのには判事あるいは調査官等の事務打ち合わせがぜひ必要でございますので、それが百四十一万二千円ほど入っております。なお、これに関する裁判費が多少かかると存じますが、それは大蔵省の方では実績を見て配慮するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/73
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074・高橋禎一
○高橋委員長 最後に、政府当局に対して、先ほど佐竹委員の質問中に資料の要求をされた点については、できるだけ早く御提出をされるよう要望いたしておきます。
神近市子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/74
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075・神近市子
○神近委員 私、ちょっと遅刻して、佐竹委員の論点が最初の部分ははっきりわからなかったのでありますが、私も、常識的に考えまして、婦人の立場から考えて、こういう制度は必要であるということと、それから、何とかこれがならないものかというように考えておりましたので、御趣旨はよくわかるのです。それで、ぜひ合理的な成立が望ましいということは考えておりますけれども、今日だけしかこれの審議がないということで、用意の不足の点もございますが、今ちょっと一番おしまいのところから御質問を申し上げていけば、五千円の過料というところですが、これが一万円の支払額もあるし、二百万円の支払額もある。そういう場合に、非常に結果が違ってくると思います。非常に少額の収入しかない人ならば、過料に処せられると契約の履行ができない状態に陥りますし、非常に高額の人であれば、金利の面から考えても、五千円ずつ払っていけば何年間かそれで済むというような状態になる。そこのところを、契約あるいは徴収されるもののパーセンテージか何かでおきめになったら非常に合理的じゃないかと私は思いますが、そういうことが考えられないかどうかということを一つ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/75
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076・村上朝一
○村上政府委員 先ほど家庭局長からも御説明申し上げました通り、二十八条による制裁が実際に課せられるという例はきわめて少いと思うのでありますが、特に債権額が非常に大きい場合は、この改正案で考えられておりますような履行確保の方法によらなくとも、一般の執行の手続で目的を達する場合が多いと考えられますし、また、パーセンテージで過料を定めますと、こういう民事上の裁判所の命令に従わなかったときの制裁としてあまりに額が大きくなり過ぎるきらいもありますので、一般の例にならいまして五千円以下ということにいたしたのでありますが、その範囲内で、事情によりまして千円の場合もあり、二千円の場合もあり、あるいは五千円の場合もあるというふうに、運用上適当な区別をつけられるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/76
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077・神近市子
○神近委員 よく百万とか二百万あるいは三百万とかいうような係争の場合には、私どもの見て知っている範囲内では、非常に感情的になってしまって、そして婦人などの場合にはなかなか履行してもらえない場合がとても多いんです。それは今までずいぶん見聞きしてきて、それで、何か取り立て庁というものがほしいということは、婦人たちの間でしばしば考えられたのであります。それで、零細な人に対しては私は過料はごく低く命ずべきだと思うんですけれども、高額者に対して、は、感情的になって、そして、もうてんで履行しないという形になって、五千円程度では、ただ一日の小づかいを取り上げられる程度にしか痛痒を感じない。これをそんなに発動することはないだろうという想定のもとでお答えになっているんですけれども、私どもは、高額者に限っては相当執拗にやるべき必要があると思うんです。それでちょっと伺ってみたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/77
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078・村上朝一
○村上政府委員 数百万というような非常に高額な債務を負担した当事者が、支払う能力があるにかかわらず払わないという場合もまれにはあると存じますが、ただいま神近委員の仰せのように、もし、その当事者が、五千円ばかりの過料では一日分の日当にすぎないからというようなことで、これを無視するというようなことでありますれば、先ほど佐竹委員からいろいろ御質問があったのでありますが、一回に限らないのでありまして、履行するまで過料に処するということも考えられるのであります。また、一方、数百万というような債権額でございますならば、執行吏に委任をして、一般の強制執行の方法で取り立てるということも十分可能かと考えますので、その方法とあわせ用いることによりまして、現在よりは権利の実行が容易になるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/78
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079・神近市子
○神近委員 もう時間も大へん来ておりますから、私はもう少し研究の日を与えてほしいと思ったんですけれども、ごく断片的なことを伺います。この寄託は、権利者と義務者と両方でできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/79
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080・村上朝一
○村上政府委員 これは、義務者、すなわち金を払わなければならない立場にある人だけが寄託するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/80
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081・神近市子
○神近委員 私、そういう意味じゃなかったんです。受け取る方の側からそういうふうに寄託をさせてくれという申請ができますかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/81
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082・村上朝一
○村上政府委員 権利者の側で裁判所に取りに来るようにしてもらいたいという希望でありますれば、調停の場合ですと、調停条項の中にいつ幾日金幾らを家庭裁判所に持ってくるということを書いてもらえば、その規定によりまして、義務者が家庭裁判所に金銭を寄託するという義務を負うことになりますので、それで目的を達するんじゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/82
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083・神近市子
○神近委員 調停ができるときにそれを一つの条件として入れておかなければできないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/83
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084・村上朝一
○村上政府委員 さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/84
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085・神近市子
○神近委員 その寄託も、取りに来なかったら寄託者に返してしまうとさっきおっしゃったようですけれども、私、それではちょっと不親切だと思うのです。その寄託されたものを預かっておく期間は大体何年ぐらいとお考えになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/85
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086・村上朝一
○村上政府委員 これは、いつまでも預かっておくわけにも参りませんので、権利者の方で受け取る気がなければ寄託した義務者の方に返さなければならぬという趣旨で申し上げたのでありますが、その期間をどれくらいにするのが適当かというようなことは、これは最高裁判所の規則で定められることになっておりますので、あるいは家庭局長の方で何か腹案があるかもしれませんから、家庭局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/86
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087・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 寄託の期間につきましては、目下ルールの制定を準備中でありますが、いろいろ議論が出ておりまして、まだ結論に達しておりませんので、ここでどうともお答えできないのでありますが、しかしながら、寄託を受けた場合には、必ず債権者の方に通知いたしまして、早く取りに来るようにというようなことをいたしますから、その点につきましてはそう御心配ないのじゃなかろうか、——寄託を受けて取りに来る間相当期間置いておけば、その間に場合によっては一回でなく二回ぐらいまで実情は通知するようになるのではなかろうかと思いますので、そう御心配いらないのじゃなかろうかと思います。しかしながら、せっかくそういう神近委員の御心配もございますので、寄託期間については十分考慮いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/87
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088・神近市子
○神近委員 それから、調停あるいは審判などで実際に決定する額が請求者の申し立てよりも非常に低いということは、これはもうみんな言っていることなんで、大体十分の一というように考えられているようですけれども、その点どういうふうでございますか。それから、もう一つ、その査定をなさるときの御協議があるはずです。そのときに、これは最近もございましたけれども、夫の方が財産を隠して、実質的にはもっと負担ができるのに、負担ができないということを言い立てて、とうとう非常な——非常なじゃございませんでしたけれども、大体調停に立ち会った者が異議を申し出た額、それは私が考えていたものの半額だったのですが、またその半額というとこころに落ちついて、あとで支払い能力はうんと持っておるということが問題になったのですけれども、大体十分の一ぐらいで平均はきまっているんでしょうか。そして、その財産の申し立てについての御調査というようなものが行われてから査定されるものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/88
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089・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 先般お渡しいたしました法律案の参考資料にもございますように、慰謝料、財産分与の額等は、お説のようにきわめて低いものが多いようでございます。これは、日本の経済事情が悪いために、債務者の方、多くの場合夫が多いのでございますが、夫に支払い能力がないということからかように低くなっておるのではないかと存じますが、最近何と申しまして一般的な国民生活が非常に高まって参りまして、ベース・アップなども相当ございますので、慰謝料あるいは財産分与の額についてもこれを上昇せしめなければいけないという考え方が、裁判官の中にも調停員の中にも圧倒的に多いので、額の上昇につきせっかく努力しておるわけであります。しかしながら、従来は、実際債務者が財産を持っておるにもかかわらず、先ほど神近委員のお話のように財産を隠してしまうために、裁判所にも調停委員会にもどのくらい債務者側が財産を持っておるかわからないために、慰謝料、財産分与の額が低かったということは事実でございますが、最近家底裁判所に家庭裁判所調査官という制度ができまして、財産の状態などをいろいろの面から調査するというようなことをいたしておりますので、以前よりは、財産を隠したために財産がわからない、従って慰謝料の額、財産分与額が適当にきまらなかったというようなことは少くなりつつあるのが実情でございます。各地の家庭裁判所におきましても、この点につきましては、調査官の適切な活用によりまして適正な慰謝料あるいは財産分与の決定をいたすように、せっかく努力を払うように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/89
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090・神近市子
○神近委員 それでは、その場合、請求者から、こういうような隠し方をしておるというようなことは、調査官に申し出られますか。
それから、第一表に内縁関係の事件が非常に多いのです。日本の民法の内縁関係というものに私ども今いろいろの疑いを持っております。これは早く正式の結婚の届出をさせなければこういうトラブルがしょっちゅう起って参りますから、その点で内縁関係とこの調停事件との関係についてちょっと御感想を伺わさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/90
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091・宇田川潤四郎
○宇田川最高裁判所説明員 財産の額等に関する調査官の調査というのは、家庭裁判所の裁判官の命令によって行うことになっております。従いまして、家庭裁判所の裁判官なりあるいは調停委員会におきまして、調査をしてくれというような申し出がございますと、裁判官から調査官の方に調査命令というのがおりまして、それで調査官が調べることになっております。直接調査官に調査を申請するという道は今のところ開かれておりません。
なお、内縁関係の問題、これは非常にむずかしい問題でございますが、日本の婚姻法が法律婚の制度をとっておりますために、実際上は夫婦として法律上の夫婦とあまり変りないような生活をしているにかかわらず、婚姻の届出がないために内縁関係になっておるというものが非常に多い。これについては立法的に大いにいろいろ考えなければならないものがあると存じます。家庭裁判所の実務におきましては、その内縁関係が、ただ届出ができないというだけ、あるいは怠っているというような場合もありましょうし、そういうような事案につきましては、普通の夫婦間と同じように、慰謝料の額等について相当考慮が払われていることと私存じております。この統計によりましても、一般よりもたしかに低いのでございますけれども、相当考慮が払われておると考えられるのじゃないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/91
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092・高橋禎一
○高橋委員長 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405206X00419560208/92
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