1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月九日(金曜日)
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議事日程 第十八号
昭和三十一年三月九日
午後一時開議
一 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(予備審査のため内閣送
付)の趣旨説明
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第一 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 鉄道抵当法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第三 食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案(内閣提出)
第四 漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案(内閣提出)
第五 公有林野官行造林法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
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●本日の会議に付した案件
公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(予備審査のため内閣送付)の趣旨説明及びこれに対する質疑
日程第一 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 鉄道抵当法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第三 食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案(内閣提出)
日程第四 漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案(内閣提出)
日程第五 公有林野官行造林法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後二時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/1
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002・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 内閣から予備審査のため送付されました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。労働大臣倉石忠雄君。
〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/2
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003・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
公共企業体等労働関係法は、公共企業体等の職員の労働関係を規律するために昭和二十三年に制定された法律でありますが、周知のごとく、占領下早急の間に立法されたものであり、その内容はいわゆる翻訳立法の最たるものでありまして、その後若干の改正はありましたが、なおわが国の実情に適しない点が多く、また技術的な不備欠陥が随所に見られ、このため、公共企業体等の労働関係に無用の摩擦、紛争を招いているきらいすらあり、従来とも、本法改正を要望する声が少くなかったのであります。政府におきましても、右のごとき事態に対処するため、各方面の意見をも参酌して、本法改正の要否等につき慎重検討を進めて参つたのでありますが、特に、問題の重要性にかんがみ、本年一月十四日、労使、公益の各側を代表する臨時の委員を委嘱いたし、本法改正の要否等に対する意見を求めましたところ、右委員の構成する臨時公労法審議会は、発足以来約一カ月間に会議を重ねること九回、慎重審議をいたしました結果、去る二月八日、本法の改正に関しかなり具体的な意見を答申するに至つたのであります。政府におきましては、自来この答申を慎重検討いたして参つたのでありますが、労使、公益各側を代表する委員によって構成された審議会の民主的な審議の結果はできる限り尊重すべきであることは申すまでもないところであり、労使、公益各側の意見の一致を見ました点はほとんどこれを入れ、その意見に沿って改正法案を立案することにいたしたのであります。
そもそも、公共企業体等労働関係法に関連する問題の根本的解決には、一面において、三公社、五現業のあり方そのものの検討が必要であり、他面、労働法体系全般との関連において考えられなければならない点のあることはもちろんであります。政府としてはこれらの問題については常時真剣な検討を重ねているのでありますが、しかし、今日これらの基本的問題を直ちに解決するわけには参らぬことは申すまでもありません。さればといって、また今日公労法の不備をそのまま放置することも適当でありませんので、従って、今回の改正案は、現行公労法の基本的建前は一応これを維持することとし、その前提で、現行法上わが国の実情に適しない諸点を改め、関係当事者間における無用な紛争の原因をできる限り除去し、健全な労使慣行の確立を促進するとともに、委員会の機構を整備し、その簡素能率化をはかろうとするものであります。以下、本法案の大綱について御説明申し上げます。今回の改正案の主要点の第一は、団体交渉の手続を改めた点であります。現行公労法におきましては、団体交渉は、労働組合が行うのではなく、米国からの直輸入制度である単位制度を採用して、団体交渉はこの単位を代表する交渉委員によって行うこととされていますが、これは、いわゆる直訳的制度の最たるものであるとともに、きわめて複雑かつ難解で、とうていわが国の実情に適せず、現在はほとんど有名無実化しつつあるのみでなく、また、かえつて関係者間の紛議のもととなる場合さえあるきらいがありますので、改正案におきましては、この単位制度を廃止し、わが国の労使関係における一般的慣行に従い、労働組合が団体交渉の当事者となり、その指名する交渉委員が団体交渉を行うことといたしております。なお、これにあわせて、従来本法の適用外でありました公社の臨時的職員につきましても、純粋の日雇い労働者以外の者はこれを本法上の職員の中に含めることにいたし、もって労働関係の統一的処理をはかることにいたしております。次に、改正案の第三点は、仲裁制度を整備し、仲裁裁定に関する問題の処理を合理的かつ円滑ならしめる措置を講じている点であります。現行法におきましては、公共企業体等と職員との間の紛争は、最終的には仲裁裁定によって定まることとなっておりますが、当該裁定が公共企業体等の予算上、資金上不可能な資金の支出を内容とするものである場合は、国会の承認を待って初めてその効力を発生することとなっております。この建前は現行法制上当然のことではありますが、この制度の運用面におきまして従来種々紛議のあったことは、御承知の通りであります。改正案は、この点につきまして、後述のごとく、仲裁に関する機構、手続を合理的なものに整備するとともに、政府として仲裁裁定をできる限り尊重する精神を明らかにし、あわせて給与準則、給与総額の制度にも若干の改正を行い、もって仲裁裁定を真に公正妥当にして権威あるものたらしめることにより、裁定実施に関する紛議をできるだけ避け、円満、合理的な労働問題処理の慣行を確立せんとするものであります。改正案の第三点は、委員会の機構を整備し、その簡素能率化をはかった点であります。現行法におきましては公共企業体等の労働関係を取り扱う委員会としましては、公共企業体等仲裁委員会及び中央、地方の公共企業体等調停委員会の合計十一の委員会が並立しておりますが、今回の改正案におきましては、これらの各委員会を統合して一つの公共企業体等労働委員会を設けることとし、この委員会のもとに各種の機関を統合して、簡素にしてしかも能率的な機構を整え、公共企業体等の労働関係の実情に即して機動的に強力な活動をなす態勢を整えるように措置いたしております。この公共企業体等労働委員会は、公益委員五人及び労使委員各三人ずつ、計十一人の委員をもって組織されることとなっておりますが、特に公益委員の任命につきましてはその任務の重要性及び特殊性にかんがみ、労使委員の意見をも聞いた上で、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することといたし、もって公益委員の人選を真に公正かつ権威あるものたらしめんとしております。以上の三点が今回の改正案の主要点でありますが、その他の点につきましても、答申に盛られた意見をできる限り尊重しまして、所要の事務的、技術的改正をいたし、公共企業体等の職員の労働関係の処理の円滑化をはかつております。以上、本法案の提案理由を御説明申し上げたのでありますが、本法案が成立、施行されますならば、公共企業体等における健全にして合理的な労働慣行の確立と公共企業体等の正常な運営の確保に資するところ少くないものと確信いたしております。何とぞ、御審議の上、すみやかに可決せられんことを御願い申し上げます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) ただいまの趣旨の説明に対し、質疑の通告があります。これを許します。栗原俊夫君。
〔栗原俊夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/4
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005・栗原俊夫
○栗原俊夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案理由の説明のありました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案について、鳩山総理大臣ほか関係大臣に対して質疑をいたしたいと考えます。(「総理大臣を呼んでこい」と呼ぶ者あり)総理大臣は見えないようでありますから、後刻この席において答弁をいただきたいと存じます。まず鳩山総理大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、総理も御存じの通り、この法律は、その労働者の従事する事業の内容の社会性、公益性、公共性等を強調して、憲法によって保障されている労働者の生きるための基本的権利である争議権を奪つた世界に類のない悪法であります。(拍手)一体、公共性、社会性を強調するけれども、国鉄と私鉄との間にどこに区別さるべき事業内容の相違があるのでありましょう。私鉄の労働者に許された権利が国鉄の労働者に許されない根拠がどこにあるのでありましょう。(拍手)専売のごときは、その政府機関となった理由は、全くたばこの収益を税金と同じように国家の財政の中に吸収しようとする考えから出されたものであって、これに従事する労働者をその他の労働者と区別する何らの理由も根拠も見出し得ないのであります。(拍手)総理は、この際、こうした観点に立って、この法律を撤廃する意思があるかどうか、明確にしていただきたいと思うのでございます。
かりに、百歩を譲って、公労法を改正する立場をとったといたしましても、いろいろな条文をただ改正するにしても、その大前提となるところは、根本的なものの考え方が問題であるのであります。すなわち、いかに条文を直してみても、政府が今日までとってきたような裁定無視の考え方を続けておるならば、それは全く意味のないことであります。(拍手)先日、倉石労働大臣は、参議院におきまして、裁定は多く実現されておるのだと、ぬけぬけ答弁をしておるのであります。うそも休み休み言ってもらいたい。(拍手)多くの仲裁裁定のうち、重要なべース・アップの裁定が完全に実施されたことはほとんどないのが実情であります。(拍手)本改正案提案に当りまして、総理は、今後仲裁裁定及びこれに類似する本院の勧告あるいは調停案等を、ほんとうに誠心誠意をもって実現しようとするのか、その所信を明白にしてもらいたいと思うのでございます。(拍手)
次に、改正案の内容についてお尋ねいたしたいのでございますが、第一は、政府は、このたびの改正に関して、一応民主的にカムフラージュするために、労使、中立なる委員を選定いたしまして、数カ月の検討を経てその答申を得たのでありますが、一体、何ゆえに、答申中の政府に御都合のよいようなもののみを取り上げて、都合の悪いものはこれを採用しなかったのか、答申そのものの取扱いについてどのような基本的態度をとっているのか、お尋ねいたしたいのでございます。(拍手)
第三は、答申の内容を採用しなかった第四条第三項の問題についてであります。すなわち、組合員は職員でなければならないという規定でありますが、一体、民間労働組合に対しては、政府はどのような指導をしてきたか。昭和二十四年、労働協約締結の問題点というパンフレットを労働省労政局から発行させて、協約の指導を行なったのでありますが、その中に、組合員は従業員でなくてはならない、こういう協約を条文として挿入することを、もしも経営者が強要するならば、それは、組合法第七条にいうところの組合内部の支配介入であり、不当労働行為になるぞと言っているではありませんか。(拍手)何ゆえ公共企業体の組合員のみが職員でなくてはならないと強制するのか、答申においても、改正すべきであるとはっきり言っているのに、なぜこれを取り上げなかったのか、明確にしていただきたいのでございます。
第三に、公益委員の任命の手続についてであります。本法が、政府は労働者側の実質的な相手方になるという見地から、公益委員の任命にも政府の意思が入らないようにとの配慮から現行制度ができているのでありますが、しかるに、今次の改正案を見ますと、公益委員の任命は、政府が一方的に選択して、委員を完全に自己の息のかかった者を任命することになって、労働委員会を政府の隷属的機関たらしめようとしていることが歴然としているのでございます。(拍手)政府は、自己に有利な調停、裁定を出させようと意図しているのではないか。もしそうだとするならば、これこそ調停、仲裁制度というものを根本的に破壊するものであります。仄聞するところによりますと、この点が今次改正の最も大きなねらいであるといわれているのでありますが、(拍手)これに対するところの労働大臣の所見を伺いたいのでございます。
次に、ただいまこの法律によって行われている調停、特に国鉄労働組合関係の調停についてお伺いいたしたいのでございます。倉石労働大臣は、一昨日の参議院本会議において、わが党永岡議員の質問に答えて、調停はただいま進行中である、全く静観の態度をとつて、政府は何ら圧力を加えるなどということはしていないのだ、このように述べております。そこで、お伺いいたしたいことは、国鉄労使に対して調停案が発表されたとたんに、一萬田大蔵大臣は、反対である、実施ができないのだ、こういう談話を朝日新聞に発表したことであります。一体、大蔵大臣は、どのような資格でかかる談話を発表したのであるか。閣議でもきまらず、他の所管大臣にも相談もせず、国鉄公社すら態度がきまっていないのに、大蔵大臣がかかる談話を発表したことは言語道断といわなければなりません。(拍手)政府は、かねてから労使の自主性を強調し、一方では警告や弾圧を労働者に加えながら、調停に対しては全くその自主性を尊重すると広言してきたのであります。しかるに、調停案が出るや、直ちにかかる発表をして、国鉄公社を牽制し、他の調停案等を牽制したことは、いかなる考えであるか。大蔵大臣はこの朝日新聞の談話に責任を持たれるか、また、いかなる資格で発表したのか、また、公労法の精神をじゅうりんする談話を取り消す気持があるかどうか、この点を明白にしていただきたいのでございます。(拍手)
次に、労働大臣にお伺いいたします。大臣は、大蔵大臣から、右の談話の内容について御相談を受けたか受けなかったか、受けなかったとするならば、これに対してどういう措置をとったか、お伺いいたしたいのでございます。なぜならば、労使の紛争を、できる限り早く、しかも労使が自主的に解決することこそが望ましいことは、労働問題の大原則でございます。労働大臣は、かねてから、春季闘争に対ししばしば警告を発し、不当にも労働者、労働組合役員を処分し、常に強硬な態度を示してきたのであります。本来、労働大臣たるものは、労使の円滑なる調整をはかるのが役目であつて、しかも、今日は給与の担当大臣であるはずであります。その労働大臣が、近ごろ、戦々きょうきょうとして弾圧にのみ走つていることは、本末転倒もはなはだしいといわなければなりません。(拍手)倉石労働大臣にお伺いしますが、あなたは、一体、この紛争を熱意を傾けて解決されるために努力を払う誠意があるのかどうか。もしもその誠意があるならば、調停委員会が非常な努力を払つて発表した調停案であり、しかも、組合側も、調停案に書いてある、忍びがたきを忍んで、異常な決心で受諾したのであります。しかも、さらに、新聞が筆をそろえて、この際政府はこの調停をのむべきであると言っておるのに対して、あなたは全力をあげて調停成立に努力をすることが所管大臣として当然であると思うのでありますが、これに対する所信を伺わしていただきたいのでございます。
次に、吉野運輸大臣にお尋ねいたします。大臣は国鉄争議に対する所管大臣でありますが、調停案が出ましてから、一体何をしておったのでございましょうか。紛争解決のために、あなたのなすべき役割はきわめて重大であります。大臣はこの調停を承認する用意があるかどうかを、この際明確にしていただきたいと思うのでございます。
最後に、私は、警告をしつつ、政府に所信を伺いたいのであります。すなわち、鳩山総理は、先般も、本会議において、労働者に対し慎重なれと訴え、そして、法に違反する者は処罰すると言い、仲裁や勧告は尊重すると約束し、労使は団交をすべきだと言われております。今や、春季闘争は、第三波を前にして、労組は調停に服しまして、当初労働者に向けられがちであった新聞等の世論は、一斉に労働者の態度を了として、政府、公社に対し調停受諾を求めております。もしも、このような天下の大勢に逆行して、政府が直接間接に公社を牽制して拒否に向わしめるならば、紛争はますます拡大し、春季闘争は解決のめどを失うでありましょう。その責任は、今や、政治的に、あけて政府が負わなければなりません。鳩山総理、あなたはこの責任を負われる決意がございますか。度々失言を繰り返しておる総理でございます。ゆつくり考えて、明快なる答弁をされることをこの際求めまして、私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/5
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006・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 栗原君にお答えをいたします。
公労法によって従業員が争議権を停止されておるのはよくないではないかというお話でございますが、私設鉄道などと違うのは、御承知のように、株式会社と申しましても、全株は国家の所有でございます。こういうようなパブリック・コーポレーションの争議行為を停止いたしておる例は世界じゅうにたくさんあることでございましてもしこれを廃止いたすということになれば、前のように、やはり国家公務員というようなことに逆戻りすることになれば、団体交渉権もなくなり、労働三法の適用も受けないということになるのでありまして、それは従業員のためにかえつて不利益ではなかろうかと存じます。(拍手)
第二に、本法を廃止する意思はないかというお尋ねでございまするが、本法を廃止する意思はございません。
第三に、裁定無視であるということを仰せられました。政府の言っておることは間違つておるというお話でございますが、それはもう少しお調べを願えば御理解がいくと思います。大体、御承知のように、仲裁裁定は今日まで二十件出ておりますが、そのうち仲裁裁定の金額の動かされたものは一件であります。そのまま履行せられたものが八件でありまして、国会が中に入つたりなどして、時期がずれて実施いたしましたのが十一件であります。御承知のように、公労法の三十五条によれば、仲裁裁定が下つたときには当事者双方を拘束する、しかしながら、当該企業の予算上資金上支出不可能であるという認定を政府がしたときには、十六条二項にはね返つて、国会の議決を要するということでございますから、仲裁裁定をそのまま実施するかしないかは、これは、政府が責任を怠つておるのではなくして、その当時の歴代の政府が法に従って正しい手続をとつたということになっておるのであります。
第四に、答申案につきまして申し上げます。先ほど申し上げましたように、答申案につきましては、専門家にお集まりを願つて慎重に検討いたしていただきまして、おもなところは取り入れましたが、答申案の中で本案に盛ることのできませんでしたことについてのお尋ねの点の第一は、調停及び仲裁を請求する主務大臣を労働大臣にしたらどうかという御意見でありますが、これは、研究の結果、そうでない方がよかろうということでございます。
第二の点は、ただいま御指摘になりました四条三項の点でございまして、これは、組合員でなければ交渉委員になれないという条件をつけて、本法削除に賛成であるということを公益側は御主張なさいました。しかし、従業員側はこれに反対をされました。そこで、三者の御意見が一致しないので、やむを得ずこれは現行通りにいたした、こういう結果でございますから、どうぞ御了解をお願いいたしたいのであります。
それから、公益委員の任命制についてのお尋ねでございました。私どもも、この点につきましては、十分この答申された方々とも研究をいたしたのでありますが、この公益委員五人の人々は、国家最高の機関である国会にその候補者の名前を提出いたしまして、事前にもちろん労使双方にお示しをいたすのでありますが、そうして最終的に皆様方の御協賛を経て総理大臣が任命するということでありますから、現在の仲裁委員の選任方法よりもはるかに権威あるものたらしめて、公正なる判断を下していただくことがよかろうということで、公益委員の任命制度をそのようにいたした次第でございます。
その次のお尋ねでございますが、国鉄労組の調停についてどうかというお話でございましたが、これは、国鉄は国鉄総裁がございますし、専売、電電公社、みなそれぞれ経営の担当者がございます。そこで、ただいまようやく三公社の調停案が出たところでございまして、なお五現業の調停は残つております。そういう最中に、こういうことに対して、一審裁判である調停案に対して政府がとやかく申すということは、あとで出される五現業の調停案に対して誤解を生ずるようなおそれがあつてはいけませんし、調停委員の方々に精神的なる圧力が加えられないように、慎重に静観しておるというのが今日の態度でございます。
次に、大蔵大臣が新聞に何か発表されましたそうでありますが、そういうことについて私は承わつておりませんし、また、何にもこういうことについて御相談をいたしたことはありません。政府は、先ほど申し上げましたように、全部出そろうまで静観をいたしておるということでございます。
それから、本法には直接関係がないのでございますが、春季闘争について彈圧をいたしておるようなお話がございましたが、政府は毛頭彈圧をいたした覚えはございません。公務員及び公労協の従業員が、御承知のように、スケジュール闘争の中で発表せられた行為は、どうもこれは違法的な行為を示唆いたしておられるようでありますから、政府の立場といたしましては、自分の子供が間違つたことをしようとする、だれかにそそのかされておるようなことであったならば、そういうことをおやりになることはよくないことであるということを事前に警告するのが、親切な親心であろうと存じております。
なお、その次のお話の、紛争解決に努力いたしておるかということでございますが、これは、栗原さんの御承知のように、労働大臣の立場といたしましては、労使関係の円満なる運営を期待いたして努力することは当然でございます。微力ではございますが、どうぞ私を助けていただいて、紛争解決をすみやかにしていただくことを重ねてお願いをいたしておきます。(拍手)
〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/6
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007・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 国鉄等に対します調停案につきましては、ただいま公社自体において慎重に御検討中と思われるのであります。なお、他の公共体に対しまする調停案も出そろっておりませんので、その間におきまして私が反対するいわれもありませんし、また、反対もいたしておりません。私も静観すべきだと考えております。
〔国務大臣吉野信次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/7
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008・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) ただいまお話のありました調停案につきましては、御承知の通り、組合の一部はこれを拒絶しておりますし、一部はこれを受け入れております。肝心の国鉄はまだ意思表示をいたしておりませんので、ただいまの段階においては、私が出る幕でないと思っております。しかし、その成り行きにつきましては注意深く見守つておりまして、もしその時期が参りますれば、私もその解決に必要があれば努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/8
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009・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 総理大臣はただいま参議院の予算委員会に出席中でありますので、その答弁は他日適当の機会に願うことといたします。
これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/9
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010・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第一、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案、日程第二、鉄道抵当法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長松山義雄君。
〔松山義雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/10
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011・松山義雄
○松山義雄君 ただいま議題となりました臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案及び鉄道抵当法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法案の趣旨を簡単に御説明いたしますと、現行法は、戦後のわが国商船隊の再建をはかるために、総トン数五百トン以上または長さ五十メートル以上の鋼船であつて、遠洋区域または近海区域に就航できる船舶の建造について調整を行うことを目的として制定されたものでありますが、法律の有効期間は昭和三十二年三月三十一日までと規定されているのであります。しかるに、さきに政府が立てました経済自立五ヵ年計画に基く計画造船の円滑な遂行を確保するためには、今後なお船舶の建造について調整をはかる必要がありますので、現行法の有効期間を経済自立五ヵ年計画の終期である昭和三十六年三月三十一日まで延長いたそうとするものであります。
本法案は、去る三月一日本委員会に付託され、同月六日政府より提案理由の説明を聽取し、同月八日質疑、討論を省略し直ちに採決の結果、全会一致をもって政府原案通り可決いたした次第であります。
次に、鉄道抵当法の一部を改正する法律案について申し上げます。
鉄道抵当法は、明治三十八年施行以来、他の法律の改正に伴い、応急的な改正が行われたのみでありますが、同法が利用するものが逐年増加いたしておりますので、時代の推移による運用上の欠陥を除き、地方鉄道に対する金融の円滑化を一そうはかろうというのが改正の趣旨であります。
まず、おもな改正点を申し上げますと、第一は、鉄道財団を抵当権消滅後六ヵ月間存続することといたした点であります。現行法では、抵当権が消滅すれば、財団もまた同時に消滅することとなっております。従って、抵当権消滅後、その財団を他の抵当権の目的にするには、あらためて財団を組成する必要があり、これがためには複雑な手続と相当な日時と費用とを要しますので、六ヵ月間存続の制度を設けることといたしたのであります。
第二は、鉄道財団の拡張制度を設けることといたした点であります。現行法では、鉄道が延長された場合、その部分について財団を組成し、もとの債権の追加担保といたすこととなっておりますが、延長部分が短区間の場合には、それのみでは独立性を有しないこともありますので、延長部分に財団を拡張することができるようにいたしたのであります。
第三は、鉄道財団の分割及び合併の制度を設けることといたした点であります。現行法ではこの制度が認められておりませんので、償還により余剰担保価値を生じましても、財団の一部を抵当権の目的から除外することができず、また、共同担保によって合併制度のない不備を補つておりますが、登録手続が繁雑でありますので、この分割及び合併の制度を設けることといたしたのであります。
さて、本法案は二月六日予備審査のため本委員会に付託され、同八日政府より提案理由の説明を聽取し、三月五日本付託となり、同八日、質疑、討論を省略、採決の結果、全会一致をもって本法案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。右、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/12
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013・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第三、食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案、日程第四、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事春日一幸君。
〔春日一幸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/14
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015・春日一幸
○春日一幸君 ただいま議題となりました二法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、食糧管理特別会計の昭和三十年度当初予算におきましては、この会計の昭和三十年度末における損失を、昭和二十九年度からの繰り越し損失を含め約百億円と見込んでいたのでありますが、豊作と集荷の好調により、三十年度産米の政府買い入れ数量が当初の予定を大幅に上回つたため、これに伴う早場米格差の支払いが当初よりも増加したこと等により、三十年度末におきましては約百六十七億円の損失が生ずるものと予想されるのであります。この百六十七億円の損失のうち百億円は、昭和二十六年度において一般会計から繰り入れたインべントリー・ファイナンス百億円に見合いますので、今回この百億円に相当する金額につきましては一般会計に繰り戻さなくてもよいこととするとともに、残額の六十七億円につきましては、これを一般会計からこの会計に繰り入れることとして、その損失を補てんすることといたそうとするものであります。
本案につきましては、審議の結果、昨八日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、起立多数をもって原案の通り可決いたしました。
次に、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、漁船乗組員給与保険法の規定により、漁船の乗組員の抑留を保険事故とする給与保険につきまして、昭和二十九年度において保険事故が異常に発生いたしましたため、さきに、とりあえず一般会計からこの会計の給与保険勘定に繰入金をいたしたのでありますが、なお約二百万円の損失が残り、また、昭和三十年度におきましても、引き続き保険事故が異常に発生し、本年二月末日までの間に、さらに約六千百五十万円の損失を生ずることとなりましたので、今回これらの損失を埋めるため、昭和三十年度におきまして、一般会計から六千三百五十万円をこの勘定に繰り入れることができることといたそうとするものであります。
本案につきましては、審議の結果、昨八日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
右、御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより採決に入ります。
まず、日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/16
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017・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に、日程第四につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第五、公有林野官行造林法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事吉川入衛君。
〔吉川久衛君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/19
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020・吉川久衛
○吉川久衛君 ただいま議題となりました、内閣提出、公有林野宮行造林法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
〔議長退席、副議長着席〕
公有林野官行造林法は大正九年に制定せられたものでありますが、自来、国と地方公共団体との契約により造林を行い、その育成をはかつて参つたのであります。このような公有林野官行造林事業は、明三十一年度をもって当初の植栽目標である約三十万町歩の造林を完了する予定と相なっております。しかしながら、公有林野におきましては、なお造林を要すべき土地が相当面積あり、今後もこの事業を継続する必要が認められているのでありまするが、さらに、この際、従来契約の対象外とされていた私有名義で共同利用に供されているいわゆる部落有林野についても、官行造林の対象として造林ができるようにしたいというのが第一点、さらに、公有林野及び部落有林野の官行造林地とあわせて造林をなすことが必要であると思われる一部私有林野についても、水源涵養のための造林ができるように範囲を拡大実施したいというのが第二点、主として以上二つの理由によりましてこの改正法案を提出せられ、この改正に伴つて、題名をも公有林野等官行造林法と改めようというのであります。
本案は、二月十七日参議院送付をもって委員会に付託され、昨八日の委員会において審査をいたし、質疑を終了し、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/20
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021・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/21
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022・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————
住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/22
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023・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/23
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024・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/24
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025・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事荻野豊平君。
〔荻野豊平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/25
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026・荻野豊平
○荻野豊平君 ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
住宅金融公庫は、設立以来すでに五年を経過し、その業務は現業的性格を有しているのにもかかわらず、業務に従事している役職員の地位は、現在国家公務員となっております。よって、本法案は……。この際、役職員の地位を国家公務員でないものとし、これに伴い、これらの者の恩給及び退職手当等に関し所要の措置を講じ、あわせて、住宅金融公庫の貸付対象となる簡易耐火構造を合理化するため必要な改正を行わんとするものであります。
本法案は、去る三月一日本委員会に付託されて以来、慎重に審議いたしました。質疑の内容は速記録を御参照願いたいと存じます。
かくて、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決定した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/26
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027・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/27
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028・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/28
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029・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/29
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030・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/30
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031・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事笹本一雄君。
〔笹本一雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/31
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032・笹本一雄
○笹本一雄君 ただいま議題となりました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、中小企業者に対する貸付及び中小企業者の債務の保証につき政府が保険を行いまして、中小企業者の信用を補完することを目的として昭和二十五年十二月制定せられ、自来今日まで、その付保件数は十五万四千六百七十一件、金額にして八百四十七億九千万円に上り、中小企業者に対する信用補完作用として、いささか貢献して参つたのであります。しかしながら、中小企業金融の現状は、一般金融の緩慢化にもかかわらず、容易に楽観を許さない状態でありまして、特に小規模の企業者の金融難は、今なお解決のめどもつきかねる事例も多々ありまするので、この際小企業者に対する信用補完を一そう強化することが必要と認められるのであります。
本法案の内容は、第一に、信用保証協会を相手方とする小口保証保険におきまして、小金業者一人に対する保証限度金額を現行の十万円から二十万円に、中小企業等協同組合であるときは現行の三十万円から五十万円に、それぞれ引き上げることであります。
第二といたしまして、信用保証協会を相手方とする保証保険の一種といたしまして包括保証保険制度を創設することであります。すなわち、零細企業者の付保金額が二十万円以下、並びに、中小企業等協同組合の場合は五十万円以下の債務について信用保証協会が行う保証につき、あらかじめ政府と信用保証協会との間に契約した金額の限度まで自動的に保険関係が成立する制度であります。この場合の填補率は九〇%、保険料率はやや低く、年一分四厘六毛といたしております。
以上が本法案の提案の趣旨及び内容の概要であります。
本法案は、二月十七日本委員会に付託せられ、同月二十一日政府委員より提案の理由及び要点を聽取いたしました。三月六日質疑に入り、七日、八日と三日間にわたり熱心に質疑応答が行われ、八日質疑が終了いたしました。その内容の詳細については会議録を御参照願います。
同月九日、討論を省略し採決いたしましたるところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/32
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033・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/33
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034・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/34
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035・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X02019560309/35
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