1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十六日(木曜日)
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議事日程 第三十五号
昭和三十一年四月二十六日
午後一時開議
第一 土地収用法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 下請代金支払遅延等防止法案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
重光外務大臣の日本・フィリピン間の賠償交渉に関する経緯報告及びこれに対する質疑
内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出)、国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び内政省設置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
日程第一 土地収用法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 下請代金支払遅延等防止法案(内閣提出)
国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案(内閣提出)
昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案(内閣提出)
午後一時十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/1
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002・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。内閣から、日本電信電話公社経営委員会委員に大橋八郎君及び中山素平君を任命するため、日本電信電話公社法第十二条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/2
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003・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 外務大臣から、日本・フィリピン間の賠償交渉に関する経緯報告のため発言の通告があります。これを許します。外務大臣重光葵君。
〔国務大臣重光葵君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/4
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005・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 日比賠償交渉は、鳩山内閣以前すでに数年にわたって継続いたされておりましたが、双方の熱意にもかかわらず、ついに結実するに至らなかった次第であります。今日ようやくその解決の見通しを得るに至って、ここに交渉の経過の大要を報告申し上げるの機会を得ましたことは、私の最も欣快とするところでございます。(拍手)
フィリピン賠償問題の解決は、これが日比両国の国交正常化の前提として必要であるばかりでなく、これによって通商貿易の増進もまた期待せられる次第でございます。昨年春、第二次鳩山内閣が成立するや、フィリピン大統領マグサイサイ氏は、鳩山総理に、賠償問題を早期に解決し両国国交の正常化を期待する旨の親電を送って参りました。鳩山総理は、直ちにこれに対して同感の意を表するとともに、解決促進のために、まず賠償支払い方法について具体的に検討することしかるべしとの考えのもとに、専門家会議を東京に開催することを提案いたしました。その結果、昨年三月末より六月上旬に及ぶ二カ月半にわたって、日比両国の専門委員の間に詳細な研究討議が行われたのでございます。この間、フィリピン大統領の外交顧問ネリ大使が専門家会議の審議状況視察の目的で来朝し、その機会に、わが政府側と非公式の話し合いをなしたのでございます。
ネリ大使の帰国後に、マグサイサイ大統領は、八月十三日付の書簡をもって鳩山総理にあてて、ネリ大使の試案をもととする案を正式に提案してきたのでございます。この提案は、大要五億五千万ドルの賠償と二億五千万ドルの長期開発借款をワクとするものでございました。
政府は、右の案の内容について、さらに、マニラ駐在のわが代表をして、先方ネリ大使と交渉を続けて、その内容を確かめさした次第でございます。本交渉は約六カ月余にわたって続行され、その結果、本年二月末には、双方にて原則的の意見の一致を見るに至った次第でございます。よって、政府は、フィリピンの提案を基礎として正式に協定をなし得る段階に立ち至りましたので、その趣旨の回答を発することとなって、特に藤山愛一郎氏を、総理の特使として、去る三月十三日マニラに派遣し、わが意向をマグサイサイ大統領に伝達せしめたのであります。
これまでの内交渉においてまとまった賠償協定草案は、わが国が五億五千万ドルに相当する日本人の役務及び日本の生産物をフィリピンに提供することを骨子としており、その支払い方式は、対ビルマ賠償協定及びその実施細目協定の原則に沿って作られております。また、経済開発協定におきましては、二億五千万ドルに相当する日本人の役務及び日本の生産物をもってする民間借款を提供することになっております。
四月十二日、藤山特使が一時帰国して、なお残された、主として技術的諸点に関する問題について政府に報告をいたしました結果、政府は、日比双方の意見の歩み寄りの可能性を認めて、特に藤山氏を政府の代表に任じて、一そう交渉の促進をはからしめた次第でございます。かくて、交渉はきわめて順調に進捗し、現在双方の意見はおもなる問題についてほぼ一致するに至りまして、全面的妥結の時期はきわめて近い将来と認められる状況でございます。
従いまして、近く右賠償協定及び経済開発借款協定が成立の上は、直ちに御承認を得るために国会に上程される運びとなることと思います。さようなわけでありますから、どうぞその節はよろしく御協力を与えられんことを希望いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/5
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006・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) ただいまの報告に対し、質疑の通告があります。これを許します。戸叶里子君。
〔戸叶里子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/6
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007・戸叶里子
○戸叶里子君 私は、日本社会党を代表して、ただいま重光外務大臣によって行われた日本とフィリピンとの間の賠償交渉に関する経緯報告に対し、若干の質疑を試みんとするものであります。(拍手)
外務大臣の御報告を承わって、まことに遺憾にたえないことは、全くおざなりで、問題の核心に触れていないことであります。(拍手)この外務大臣の外交に対する態度が、結局将来において問題を残す原因となるのであることは、過去の幾多の例によって、私たちは経験して参りました。(拍手)従って、私は、大きな問題点を指摘しつつ、首相並びに外相に御答弁を要望する次第であります。
まず、私たちの賠償に対する基本的態度でありますが、戦争の終結とともに、日本国民の念願は、戦争によって東南アジア諸国に与えた損害をすみやかに償い、これら諸国との平和をできるだけ早く回復することでありました。さきにビルマとの賠償協定を結び、国交を回復したのも、この趣旨によるものであって、今フィリピンとの間の同様の協定を結び、これを土台として両国間の国交の正常化を期するのは、この念願を果そうとするからであります。(拍手)従って、私どもは、フィリピンに対して賠償を支払うことに異存はないのでありますが、その内容と額ということについては十分に考慮しなければなりません。(拍手)第一次欧州大戦後のドイツの例を見てもわかるように、その国の支払い能力を無視した過度の賠償の取り立てば、結局うやむやにならざるを得ないのであって、私どもは一たん決定した賠償に対しては十分な責任を持つべきであるとの建前から、わが国経済に応じた賠償の支払いが決定されなければなりません。(拍手)
そもそも、日本とフィリピンとの間の賠償に関しては、一九五二年ごろより、大野・ガルシア案の、総額四億ドル、支払い期間十年という内容で交渉が始まり、すでに村田全権による調印一歩寸前までこぎつけたのでありました。ところが、フィリピン国内の政治情勢の変化等も伴って、この話も頓挫したようでありますが、昨年八月十三日付フィリピンよりの総額八億ドルの書簡に対して、鳩山首相が身動きのできないような返信を与えて以来、今日、その総額並びに内容において批判されているのであります。(拍手)
従って、まず第一に鳩山首相にお尋ねしたいことは、一体、鳩山首相が四億ドル賠償案を無視して、この八億ドルをいとも簡単に引き受けられた理由はどこにあったのでありましょうか。(拍手)安直な楽観ぐせのある鳩山内閣の見通しの誤まりであったのでしょうか。あるいは、また、親米という立場においては、鳩山内閣とフィリピン政府とは同列にありながらも、なおかつ、フィリピンに日本の経済状態を説得できないほどの外交の拙劣さを暴露したものでありましょうか。(拍手)まさか、日本の経済力で、八億ドル払う能力が十分あると認められ、かつまた、この影響が他のアジア諸国に及んでも心配ないという自信のもとに承諾されるほど、日本の経済状態を甘く考えられたのではあるまいとは思われますが、どんなお考えでこの総額八億ドルを承認されたか、この際はっきりお示し願いたいと存じます。(拍手)
総額八億ドルは、五億五千万ドルの賠償協定と、二億五千万ドルの経済開発協定とに分けてありますが、このような分け方をした根拠は一体どこにあるのでありましょうか。聞くところによれば、八億ドルという額は、日本にとって多額であるゆえに、国民の納得を得ることもむずかしく、五億五千万ドルの賠償と二億五千万ドルの借款ということにして、これを民間借款にするならば、先方の顔も立ち、国民も納得しようと、鳩山首相はいとも簡単に考えていたのではないかと思うのであります。ところが、フィリピン側は、どんな形をとってもよいから、あくまでも総額八億ドルの賠償を望んでいるのであって、これを日本国に強く印象づけようとしております。このように、借款二億五千万ドルの規定のいかんでは、総額八億ドル賠償とも、あるいは五億五千万ドルともとれるのであります。すなわち、フィリピン側が総額八億ドル主張するのと、日本側が八億ドルというのとでは、内容が異なっているのであって、日本は純賠償五億五千万ドルとし、二億五千万ドルは政府の責任を負わぬ民間同士の借款にしようと考えていたのでありましょう。このように、両国間には総額において根本的な考え方の相違のあることを鳩山首相が認識して交渉しなかったところに、種々の行き詰まりを生じた一大原因があるのであります。(拍手)このような、ずさんな、ひとりよがりの考え方のために、今日まで日比賠償を長引かせてきた責任は重かつ大と思うのでありますが、首相はその責任をいかがお考えになりますか、伺いたいのであります。(拍手)
五億五千万ドルの賠償は、五億ドルの資本財と、三千万ドルの役務と、二千万ドルの現金とに分けられております。もっとも、この二千万ドルは、現金という名前を避けて、加工による賠償ということにしたようであります。すなわち、製品原価の一割を加工賃と見立てて、政府がこの一割分を業者に支払うかわりに一割引きで輸出し、フィリピンの業者が右一割増しの原価で国内の販売を行い、右一割分相当のペソ貨を、毎年四百万ドルずつ五年間にわたって政府に納入するのであります。ここで問題が二つあります。その一つは、この一割分の加工賃が年間四百万ドルとすると、この数字を保つためには、少くとも年間四千万ドルの貿易から、日本の負担する一割分、すなわち四百万ドルを差し引いた三千六百万ドル分の対比輸出を行わなくてはなりません。現在の日比貿易額は、輸出が四千三百二十五万五千ドル、輸入が六千百六十五万五千ドルで、二千万ドルに近い日本側の入超であります。表面上やりくりはつけられるかもしれませんが、貿易拡大の保証がないと、日比両方とも全く行き詰まるでありましょう。ところが、ここで懸念されることは賠償の支払いによって通常の貿易取引が減るのではないかということと、対比輸出商品のうち一割に相当する額の外貨の受け取り分が減るわけであって、従来の正常輸出分の商品にこれが適用されるならば、それだけ保有外貨の減少を来たすことになるのでありますが、これに外務大臣はいかが対処されるでありましょうか。(拍手)
また、一九四六年七月、米国とフィリピンとの間にはベル・トレード・アクトが締結され、一九五四年六月末まで相互無税で輸出入が行われておりましたが、それ以後二十年間で漸次課税するということで、毎年五%ずつ課税し、一九七三年一月をもって一〇〇%に達することに取りきめております。そして、このような特恵待遇は、対米関係以外には存在しないのであります。従って、他に比してのこの低い税率は、品物を売る国にとっての最も有利な条件であることは申すまでもありません。同じ品物を買うならば、税金の高い品を買うより、安い品物の方へ飛びつくのが当然であることは、アメリカのフィリピンに占める貿易の割合が八割であることを見ても明らかであります。この意味からも、現在のところ、貿易の拡大は望めそうもありません。にもかかわらず、貿易の拡大は必ずできるとする政府の自信のほどはどこから出てくるのか、具体的にお答えを願いたいのであります。(拍手)
聞くところによりますと、貿易拡大の共同コミュニケによってその実をあげんとしているようでありますが、これによって道義的制約はあっても、このコミュニケによって貿易拡大の具体的内容の制約まで果して望めるかどうか、不安にたえません。のみならず、過去の例を見ても、声明書の保証のみで、その声明書に盛られた内容が現実化されたためしはないのであります。むしろ、今後の両国間と民間の協力によるところ多いと思うのでありますが、何らかの構想をお持ちになっていられたら外務大臣から伺いたいのであります。(拍手)
第二の問題は、二千万ドルは、なるほど、加工賠償と言えるかもしれません。しかし、本質においては、フィリピン政府に支払うはずの現金を日本の業者に支払うのであって、日本国民の負担する税から出ることは間違いないのであります。従って、これに対して、フィリピン政府は、資本財及び役務によらざる賠償という表現をもって臨んできましょうが、政府はいかなる表現をされんとするのでありましょうか。条文の中に現われる言葉なり表現はどうあろうとも、間接的現金賠償であるということは政府も認めざるを得ないであろうと思いますが、この点、総理大臣並びに外務大臣の見解をはっきりしておいていただきたいのであります。
次に、問題の経済協定による借款であります。日本側は、これを純粋に日本の民間から向うの民間に供与する借款と考え、利率、返還期間、借款の条件などは個々の契約にまかせて、協定に規定すべき必要はないと考えていたようであります。ところが、フィリピンでは、これは政府間の協定であるから、政府として何か責任を持ってほしいという考えであります。おそらく、フィリピンは、必ずしも国家の保証を必要とするということを条文にうたうことまでは主張しないでありましょう。しかし、借款の利率は国際水準並みといわれるようでありますが、国際水準並みの利率ということは、平均四分五厘以下のことであり、民間の借款の場合よりずっと安くなっております。また、期間を考えても、先方の希望しているような長期のものが、民間の場合ないのが普通であります。この国際水準並みの利率、長期の借款という意味からいっても、ある程度の国の保証を意味すると思うのでありますが、この点に対する外務大臣の御見解を承わりたいのであります。(拍手)
さらに、日本が低利で長期の資金を貸したとしても、フィリピンはこれに見合う資金を出すわけでもなく、また、フィリピン憲法十三条で、フィリピンの天然資源を処分、採掘、開発、利用する会社はその資本の六〇%がフィリピン国籍人の所有であると規定されているため、日本人はその会社の経営に参加もできず、株の取得にも制限があるのであります。これでは、先方にただ金を借りられるだけで、それがどう使われるか、はなはだ不安であり、東南アジア諸国と協力して、その発展をはかろうとする目的にもかないません。外務大臣は、この辺のことをどう調整されるでありましょうか。一歩譲って、投資のみするとしても、その場合、とうてい政府の保証なしに民間の銀行が投資することは考えられず、結局輸出入銀行の融資によるものであるから、政府資金の使用にほかならないでありましょう。このことは旧自由党の方々も合同前までは指摘されていたところでありまして、責任ある政治家であるならば、合同したからといって、この信念が変ったとは考えられません。(拍手)
すでに藤山氏が先方に交渉された案は、経済協定は民間借款を認める、ただし、日本政府は民間借款の実施に便宜を与え、これを促進すると、フィリピン側の意向も十分取り入れた表現や、借款の返済方法、利子など、原則論を協定に織り込むという先方側の要求を認めて、妥協がついたようであります。そこで、政府がどんなに口をすっぱくして、二億五千万ドルは政府の責任を持たない民間借款であるとおっしゃってみても、あるいは、日本側がそのつもりでいてみても、内容がすっかり変らない限り、民間借款とは言えないと思いますが、これでも、なおかつ純粋の民間借款と言われるとするならば、その理由を明確にお示し願いたいと思います。(拍手)
私が政府にこの点ではっきりとした考え方をただす理由は、昨三十年七月に、日本国とタイ国との間に締結された特別円についての協定を考えるからであります。当時、日本政府は、九十六億円を経済協力としての借款と、はっきり条約に記しているのに対して、先方は、日本に返す性質のものでないと主張しているのでありましてこの辺に何か黙示的なトリックがあったのか、あるいは、政府の軽率な、ひとりよがりの解釈によってこのような問題を起したのではないかと憂うるのは、私一人ではありません。再びこのような食い違いのないためにも、日本とフィリピンとの間の考え方をこの際明確にしておく必要があると思うのであります。(拍手)
さらに重大なことは、フィリピンとの間の賠償が他の国へ及ぼす影響についてであります。ビルマとの間に締結した協定には、日本と他の国との間に締結された賠償額によっては、日本とビルマとの間の賠償も再び検討するという条項があり、インドネシアは、フィリピンより少くない額において日本との賠償問題を解決すると言ってきております。最近では、またヴェトナムからも賠償の請求がありました。これらを勘案したときに、今回のフィリピンとの間に締結されんとしている賠償は、日本とフィリピンとの間だけの賠償に終らず、その波及するところ大きいのでありまして、首相及び外相は、そこまで用意周到に考えて取りきめんとされているのか、念のために伺っておきたいと思うのであります。(拍手)
ここ数日間、政府は、仮調印と全権派遣というように、ばたばたとあわてているようでありますが、今国会にでも提出されんとして、急に急ぎ出したのでありましょうか。子々孫々にまで影響のある賠償については、十分慎重な態度をもって臨まれることが必要でありまして、政府、与党の中においてさえ意見の食い違いがあったり、あるいはまた、これを押えて、押しつけるような態度をもって協定の締結に当られることは、結局そのしわ寄せが国民にくるということを認識していただきたいと思うのであります。
以上をもちまして私の質問を終りますが、賠償は日本民族にとって重大な問題でありますので、おざなりの答弁でなく、誠意を持ってはっきりとお答え下さらんことを要望いたす次第であります。(拍手)
〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/7
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008・鳩山一郎
○国務大臣(鳩山一郎君) 賠償問題は、国民経済に重大なる負担であることは、政府もよく存じております。その金額も、できるだけ少くするようにすることについて、政府はできるだけの努力をしたつもりであります。五億五千万ドルの賠償は、役務と生産品で支払うものであります。その原則はくずれておりません。二億五千万ドルは経済開発に対する総額でございまして、これは純然たる民間借款であります。決してそこに偽わりはないのであります。
その他の御質問については外務大臣から答弁することにいたします。(拍手)
〔国務大臣重光葵君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/8
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009・重光葵
○国務大臣(重光葵君) お答えいたします。
賠償協定と経済協力の借款協定との二つに分けたのはどういう理由かというお尋ねがございました。これは先方の希望を入れたものでございます。それから、賠償支払いは役務及び生産品をもって支払うものでございます。その他の方法によって支払うものではございません。
民間借款について、むろん、政府としても、その借款のできるように助力はいたしたい考えでございます。しかし、これは民間借款でございます。その場合に、合弁の形式などはできぬじゃないかということのお話がございました。これはフィリピン側においてもいろいろな法規がございますから、それによらなければならぬとも思いますが、将来、この借款をいたしますときに、十分先方との間に協議をして、協定をしてきめべきことでございますから、それに譲ってしかるべきものと思います。
さらに、また、貿易の増進でございます。貿易の増進ということは、すなわち、経済関係を密接にするということに帰着するのでございます。元来、日比賠償の解決も、日比の間に経済関係を密接にしていきたいという双方の希望からできておるのでございます。そこで、最近におきまして、日比貿易は飛躍的に増加しております。これが現状であります。そこで、賠償協定を結ぶことができますれば、将来も貿易の増進があるということ、これは当然常識的の判断でございます。しかして、どういうことで貿易を増進するか、こういうことでございますが、それは、むろん、将来は貿易協定を結ばなければなりません。貿易協定を結ぶのも、賠償の取りきめができた上でなければできません。そこで、貿易協定を今後結んで、貿易の拡大に努力をいたしたい、こういうことに相なるのでございます。米国との関係もございましたが、しかし、それにもかかわらず、貿易は増進する、こういう見地に立って将来はやっていきたい、こう思っておるわけであります。
以上。(拍手)
〔「答弁漏れあり」「よその国との関係はどうするんだ」と呼ぶ者あり〕
〔国務大臣重光葵君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/9
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010・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 答弁漏れの点を一点補充いたします。この協定が他国にどういう影響を及ぼすかという点を質問されました。私はそれを落しました。
他国に及ぶ影響、御心配の点は、ビルマ協定に悪影響を及ぼしはしないかという点であろうと思います。ビルマに対する賠償協定は、お話の通りに、他国の賠償協定と見合うということに、あとから規定がございます。しかしながら、このフィリピン賠償の協定が、ビルマ賠償にいうところの、協定を再検討するということにはならぬと私は考えております。(「なぜだ、理由を言え」と呼ぶ者あり)それは、賠償協定の内容を検討して、先方にもしそういう希望があるならば、これに対して十分な説明の材料を持っておるつもりでございます。その他、フィリピン賠償が解決すれば、ビルマ以外の賠償をも解決する機運がだんだんと熟してくるように思います。この点は、むしろ、いいことじゃないかと考えておるのであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/10
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011・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) この際、国会法第五十六条の二の規定により、内閣法等の一部を改正する法律案、国家行政組織法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び内政省設置法案の趣旨の説明を順次求めます。
内閣官房長官根本龍太郎君。
〔政府委員根本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/12
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013・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 内閣法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、かねて政府の企図しておりました行政制度改革の第一次実施の一環として、内閣官房及び総理府の機構の改正を行おうとするものでありまして、まず、内閣法における内閣官房長官と内閣官房副長官の制に改正を加えて、これを強化し、一方、総理府設置法において新たに総務長官及び総務次長を置き、従来の総理府の長たる内閣総理大臣の補佐者としての内閣官房長官及び内閣官房副長官の制を廃止し、内閣官房長官と内閣官房副長官は、もっぱら内閣制度の運営についてその政務と事務を見ることといたしまして、総理府の総務長官及び総務次長は、もっぱら総理府の政務と事務を見ることといたしまして、内閣と総理府におけるこれらの管理機構を整備強化するとともに、これに伴って、従来の内閣官房の事務を総理府の大臣官房において行うこととされている、いわば便宜の現在の制度を改めまして、内閣にかかわる事務は内閣官房において行い、総理府の大臣官房においては、総理府にかかわる事務のみを行うこととし、内閣官房と総理府大臣官房との機構の関係を整理して行政運営の体制を明確にいたし、もってその運営の改善をはかろうとするものでございます。
なお、総理府所管の各種附属機関のうちには、現状から見まして、これを他の省庁に移すことを適当とするものがございますので、この際所要の改正を行わんとするものであります。
次に、本案の内容でございますが、第一は、内閣法の改正でございます。
まず、内閣官房長官の内閣関係の事務の統括者としての機能は内閣制度の運営と直結するものでありまして、その責務の重要性にかんがみ、その地位を強化し、国務大臣をもって充てることといたしたのでございます。
次に、主として予算閣僚会議の事務を助けさせるため、内閣官房副長官一名を増員することといたしております。
次に、内閣官房の所掌事務を総理府の大臣官房の所掌事務から分離いたしまして、内閣にかかわる事務は内閣官房において行うこととする機会に、閣議にかかわる重要事項に関する総合調整に関する事務及び内閣の重要政策に関する情報の収集調査に関する事務を内閣官房の所掌事務として明定いたしておるのでございます。この分離に伴いまして、内閣官房に内閣参事官、内閣審議官、内閣調査官、内閣事務官その他所要の職員を置くこととし、また、内閣総理大臣秘書官は従来総理府におかれておりますが、その性質上、内閣官房に置くを適当と考え、そのように改正いたしておるのでございます。なお、これらの職員の属する内閣官房の内部組織等は政令をもって定めることといたしてあります。
第二は、総理府設置法の改正であります。
まず、総理府に総務長官及び総務次長を置く規定を加えました。総務長官は総理府の長たる内閣総理大臣を助けて、府務を整理し、所管の事項について政策及び企画に参画し、政務を処理し、所管の各部局、機関を監督することとしております。なお、国務大臣をもってその長と定められている外局の所管の事項についての政務及びその部局の監督に関する事項は、その長の実質的性格に即して、総務長官の職務の中から除くこととしてあります。なおまた、総務長官は、総理府の機構が各省庁に属さない一般的、かつ特殊な行政を総括主掌する行政機関であり、また、その長が内閣総理大臣である等の性格にかんがみ、これを国務大臣をもって充てることといたしてあるのでございます。
次に、総務次長は、総務長官の職務を助けることとしておるのでございます。
前述の内閣官房と総理府の大臣官房の事務の分離に伴いまして、総理府大臣官房の事務の中から、閣議事項の整理その他内閣の庶務を削除しております。
次に、総理府の附属機関中、ふ虜情報局及び引揚同胞対策審議会は、現在においては厚生省に移管するを適当とし、これらの附属機関の規定を削除し、同省に移しかえることといたしております。
以上のほか、関係法律について所要の条項の整理を行なっております。
以上が、この法律案の提案の理由及び概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 国務大臣倉石忠雄君。
〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/14
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015・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 国家行政組織法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
今回提案いたしました国家行政組織法の一部を改正する法律案は、現内閣が実施しようとしている行政制度の改革の一環として、議院内閣制のもとにおける行政の責任体制を明確にし、行政事務の管理を強化し、かつ、その能率を向上させるために必要な改正を行うとともに、行政の実情に即応する国家行政組織を定めるための基準法としての機能を十分発揮することができるよう、所要の改正を加えんとするものであります。
次に、法律案の内容について概要を申し上げます。
第一に、トップ・マネージメントの機構を強化する見地から、特に必要がある省には政務次官二人を置けることといたしましたほか、その権限を強化して、あらかじめ大臣の命を受けて、大臣不在の場合にはその職務が代行できることといたしました。なお、政務次官二人が置かれた省においては、各政務次官の行う職務の範囲及び職務代行の順序については大臣が定めることといたしております。
次に、特に必要がある省には、別に法律の定めるところにより、事務次官補一人を置いて、事務次官を助けて省務の一部を総括整理させることといたしました。
第二に、国務大臣を長官とする庁については、その重要性にかんがみ、その他の各庁と区別して、特別の取扱いをすることといたしました。すなわち、これらの庁には、特に必要がある場合には、その所轄のもとに委員会または庁を置くことができることといたしました。次に、国務大臣を長官とする庁には、特に必要がある場合には、その内部部局として、部にかえて局を置くことができることといたしました。また、これらの庁に置かれる次長の権限を明確にして、長官を助けて庁務を整理するほか、各部局及び機関の事務を監督させることといたしました。
第三は、行政機関の内部部局についてでありますが、現在暫定的に置かれている官房または局中の部を、特に必要がある場合には、恒久的にも置けるように改めることといたしました。
第四は、審議会または協議会等についてでありますが、そのうち臨時的なものについては、政令で設置することができることといたしました。
第五は、職の設置についてでありますが、官房、局、部または委員会の事務局に、特に必要がある場合においては、課とは別に、その所掌事務の一部を総括整理する職または課の所掌に属しない事務を所掌する職を政令で設けることができることといたしました。
以上が、この改正法律案の主要な内容であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
続いて、国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この改正案は、行政機構改革の一環として、現在の人事院を廃止し、総理府の内局として人事局を、外局として国家人事委員会を設けるために、所要の改正を行おうとするものであります。
人事院は、昭和二十三年、当時の占領行政下において設置されました中央人事行政機関でありまして、内閣に対してきわめて強い独立性を有しているのであります。もとより、人事行政の公正を確保し、職員の利益を保護するためには、独立性を有する人事行政機関の存在を適当とするのでありますが、現行制度に見られるように、独立機関が一般職の国家公務員の人事行政をほとんど全面的に所掌していることは、内閣の責任を不明確ならしめているきらいがあるばかりでなく、行政組織上の観点からいたしましても、現在の人事院は、国家行政組織法等の適用を受けない特別の機関でありまして、わが国行政組織の現状に適合しないものがあると考えられるのであります。従いまして、この際、人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護に遺憾のないように配慮の上、以上の点を是正する目的をもって、中央人事行政機構を改革整備することといたしたのであります。
すなわち、第一に、国家公務員法中人事院の権限となっている事項のうち、独立性を有する国家人事委員会の権限とすることを適当とする事項以外の事項は、内閣総理大臣の権限とするように改め、その事務を担当する部局として総理府に人事局を設置し、これに職員、給与の二部を置くこととしたのであります。なお、人事局においては、国家公務員法に基く一般職に関する事項のみならず、現在大蔵省主計局で所掌しております特別職の職員の給与に関する事項、共済組合に関する事項、退職手当に関する事項等をもあわせ所掌させることといたしたのであります。
次に、国家公務員法中職員の給与の改善、その他人事行政の改善に関する勧告、試験、研修、分限、懲戒、苦情の処理等、人事行政の公正を確保し、職員の利益を保護するために必要な事項については、内閣総理大臣の所轄のもとに、国家人事委員会を設置し、これを所掌させることとしたのであります。国家人事委員会の構成及び国家人事委員の任免、分限等につきましては、大体現行の人事院及び人事官のそれに準じた制度をとることとし、なお職権の行使に当っては独立して行う旨を明記しましたが、国家人事委員会にはいわゆる二重予算制度を設けず、国家行政組織法及び行政機関職員定員法を適用することとし、国家人事委員については特別な宣誓制度、給与保障制度、退職後の任用制限等は、これを設けないことといたしました。国家人事委員会の事務局には、官房のほか、任用試験、給与調査及び公平審査の三部を置くとともに、地方支分部局として所要の地方の事務所を置くことができることといたしました。
さらに、現行制度におきましては人事院の行う職員の給与の改善に関する勧告等は、国会及び内閣に対して同時に行うこととなっておりますが、国家人事委員会のこれらの勧告等につきましては、これを改めて、内閣に対してのみ行うこととし、内閣は、これを国会に報告しなければならないことといたしたのであります。
この法律案は、以上の趣旨に基きまして、国家公務員法及びその他の関係法律の改正を行うとともに、必要な経過措置を規定いたしたものであります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 国務大臣馬場元治君。
〔国務大臣馬場元治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/16
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017・馬場元治
○国務大臣(馬場元治君) 内政省設置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
戦後すでに十年を経過し、わが国の内政も漸次整って参ったのでありますが、内政全般の円滑な処理を期するには、なお改善を要するものがあるのであります。
まず、狭隘な国土に約九千万人に及ぶ人口を擁しているわが国において、産業を振興し、社会福祉を増進し、もって国民生活の安定をはかるためには、その基盤をなす治山治水、道路の整備、住宅の建設、国土計画、都市計画等、国土の保全及び開発に関する施策を統一的かつ総合的に推進することが必要であります。なお、これらの国土の保全及び開発に関する事業の大半は、地方公共団体によって行われておりますので、これを積極的に推進し、その実効性を確保するためには、地方公共団体の行財政の運営と、これらの事業に関する計画及び実施とを、可及的に一元的に処理する機構を設ける必要があると存ずる次第であります。
次に、地方公共団体の事務の多くは法令によって規制され、他面、中央各省の行政の大半は地方公共団体を通じ、またはこれと密接な関連のもとにおいて行われているのが現状でありますので、地方財政を再建し、地方自治の健全な発達をはかるためにも、また、内政全般の総合的かつ能率的な運営を期するためにも、国政全般と地方自治との間の連絡調整を適正かつ円滑に行う必要が痛感されるのであります。しかしながら、このような機能は、総理府の一外局たる自治庁では十分に果すことができないのであります。従いまして、地方公共団体の行財政の運営に関する企画指導と、その経営上密接な関係にあります国土の保全及び開発に関する計画、事業を所管する一省を設けまして、これらの事務を総合的に処理させることが適当であると存ずるのであります。
以上申し上げましたような観点から、行政機構改革の一環として、国土の総合的な保全及び開発並びに地方自治の健全な発達をはかるとともに、国と地方公共団体との間及び地方公共団体相互間の連絡調整を行い、もって内政の総合的かつ能率的な運営の確保に寄与いたしますため、自治庁、建設省、首都圏整備委員会及び南方連絡事務局を統合して、内政省を設置しようとするものであります。
以上がこの法律案の提案理由でございますが、次に本法案の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、内政省の任務及び権限につきましては、従来の自治庁、建設省、首都圏整備委員会及び南方連絡事務局の有しておりますもののほか、従来経済企画庁の所掌となっております国土総合開発に関する事務の一部及び国土調査に関するものを加えることにいたしました。
第二に、内政省に、その所掌事務の円滑な処理をはかるため、事務次官補一人を置き、また、従来建設省に置かれました技監等の特別の職を置くことといたしました。
第三に、本省の組織につきましては、内部部局といたしまして、大臣官房及び行政局、選挙局、財政局、税務局、管理局、開発局、「計画局、住宅局、河川局、道路局、営繕局を設けることといたしましたが、これらの内部部局の所掌事務につきましては、行政、選挙、財政、税務、計画、住宅、河川、道路、営繕の各局の所掌事務は、おおむね従来の自治庁または建設省におけるそれぞれの該当部局と同様であります。管理局におきましては、従来の建設省の大臣官房の所掌事務のうち、建設業、建設機械、建設関係の調査統計等に関する事務と計画局の所掌事務のうち、土地収用、公共物の管理等に関する事務を所掌させることといたしました。開発局におきましては、経済企画庁から内政省に移管することにいたしております国土総合開発、国土調査等に関する事務と、従来建設省計画局において所掌しております国土計画、地方計画等に関する事務を所掌させることにいたしました。
第四に、附属機関につきましては、おおむね従来の自治庁関係の附属機関並びに従来の建設省関係の附属機関をそのまま内政省の附属機関といたしますほか、地方自治会議、南方連絡事務局、建設研修所及び河川審議会を附属機関として置くことといたしました。
第五に、地方建設局をそのまま内政省の地方支分部局として置くことといたしました。
第六に、従来の自治庁の附属機関たる中央選挙管理会を中央選挙管理委員会とし、これと首都圏整備法に基く総理府の外局たる首都圏整備委員会を内政省の外局として置くことといたしました。
第七に、附則におきまして、内政省の設置に伴い所要の特例等を設けることといたしました。
以上が内政省設置法案の提案理由及びその要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) ただいまの趣旨の説明に対し、質疑の通告があります。これを許します。片島港君。
〔片島港君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/18
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019・片島港
○片島港君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま政府から提案説明のありました内政省設置法案外三案件につきまして、鳩山総理外関係閣僚に対して、二、三重要な点について簡単に質問をいたしたいと存じます。(拍手)
行政機構改革は鳩山内閣の二大公約の一つでありまして、河野長官が食糧省、貿易省、予算局等々の構想を次々と発表いたしますので、一般に相当の期待と衝撃を与えていたのでありますが、その結果は、今次提案せられましたるごとく、竜頭蛇尾というよりも、むしろ鳩山内閣の反動的な中央集権化政策の一端を示すに足る改革と、河野長官の面子を立てるための形だけの改革のみが提案せられましたことは、われわれのまことに遺憾とするところであります。(拍手)
今回の行政機構改革案は、内閣に設けられました行政審議会の答申をもとにせられたようでありまするが、私は、これらの審議会、調査会等は非常に問題があると思うのであります。内閣及び各省を通じて現在数百に及び、委員の数は実に一万数千人に上っておりまするが、そのほとんどが、全部といっていいくらい、政府の都合のよい委員を網羅して、民意を尊重するという名目のために悪用せられていることは、御承知の通りであります。(拍手)ところが、いかに御用委員を網羅しても、百発百中、政府与党のお気に召す答申が行われないということは、このたびの選挙制度調査会などの実例がまた示す通りであります。(拍手)そこで、このたびの行政審議会に対しては、実行可能という表現をもって、審議会の答申そのままが政府案となるような工作が行われたのであります。しからば、河野長官の累次の大ぶろしきの跡始末のために行政審議会を利用しただけにすぎないことになるのでありまするが、この点、倉石長官の御説明を承わりたいと思います。
政府の都合のよい顔ぶれをそろえて審議会を作り、それでも都合の悪い答申や勧告はことごとくこれを圧殺し、たとえば、人事院勧告や社会保障制度審議会の勧告、中央教育審議会の答申、原子力委員会の武山等々、みなそうであります。(拍手)そうして、あげくの果てには、前もって実行可能なる案を耳打ちして答申せしむるに至っては、審議会の権威は完全に失われて、百パーセント党利党略の機関となるにすぎません。党利党略のために多額の国費を使い、また、数百の審議会をかかえておくということは、国民としてまことに迷惑千万であります。(拍手)この際、これらの御用審議会は、調査会を大幅に整理して、もっと権威あらしむる必要があると思うのでありますが、鳩山総理の御見解を承わりたいのであります。(拍手)
さきに、社会保障制度審議会が、社会保障省または社会福祉省を設置し、労働、建設等各省にまたがる社会福祉行政を一本化することを勧告いたしましたのに対し、政府は、昨年四月一日の閣議において、総理府に社会保障庁を設けることを了承しておるのであります。しかるに、このたびの行政機構改革の成案の過程におきまして、その片りんをも見出せないのは 一体どうしたことでありまするか、鳩山総理の御答弁をお願いいたしたい。さて、問題の内政省の設置についてであります。内政省については、政府及び与党において、自治庁そのままの昇格説と、自治庁、建設省をあわせて内政省にするという両論があったために、審議会は、その空気を忠実に反映いたしまして、映画館のように二本建案を答申いたしております。(拍手)内政省が旧内務省の復活であるということは、衆目の一致して認めておるところであります。地方自治体に対する監督権を強化し、知事の官選、道州制を含みとした地方行財政支配の陰謀を内包するものであることも、また万人の疑いをいれないところであります。(拍手)これだけでも憲法に定める地方自治の本旨に反するものであると思うが、鳩山総理の御見解いかがでありましょう。この際、道州制、知事官選の問題につきましても、鳩山総理から御見解を承わりたいのであります。
自治庁は地方自治体に対する監督官庁であり、建設省は事業官庁であります。内政省内部において、現自治庁を中心とする地方自治体監督命令の立場に立つ部局がその中核的地位を占め、現建設省は省内の土木大局的な立場に転落することは明白である。言うまでもなく、わが国の自立経済を促進するためには、何ものにも先んじて国土の総合開発が急務であります。そのためには、現在の建設省を中心として、農林、運輸等の各省の建設関係の計画、各種の建設部門、総理府の土地調整委員会、北海道開発庁あるいは厚生省の国立公園部等々をもあわせて、国土資源の調査、開発実施の統括機関として国土開発省を設置すべきものであります。国家権力の中央集権化を急ぐ余り、建設省を内政省の一部局に転落せしむることは、国土開発を百歩後退せしめ、わが国の経済自立の基礎を危うくするものと思うのでありますが、鳩山総理並びに馬場建設大臣の御答弁を承わりたいのであります。(拍手)
次に、政府が非常に力こぶを入れまして、また、行政審議会でもこれを第一順位に取り上げました、また与党もこれに対して文句のないという、本改革案中の白眉は、先ほど御説明のありましたトップ・マネージメントであります。御承知のように、政府は、当初、副大臣という制度を考えておりました。今でも考えておるでありましょうが、ところが、非常に世論の猛反撃によりまして、しぶしぶとこれを引っ込めたのであります。しかしながら、執念というものはなかなかおそろしいものでありまして、このたびまた形を変えて現われてきたのが、すなわちこれであります。(拍手)政務次官や特別職を増員するということは、不平不満組を救済することには非常に便利であり、また、場合によっては、落選議員を収容するためにも非常にけっこうな制度であります。そして、これら新しい官職についた、しろうとの方々がたくさんふえまして、選挙民の陳情係を各省によって勤めるということになりますならば、公正なるべき行政事務が選挙の事前運動によってゆがめられるという結果をも招くおそれがあると思うのでありますが、総理の御見解を承わりたい。(拍手)
行政機構の改革は、各省庁の部局の整備統廃合、行政事務の再配分による行政能率の向上と簡素化を中心とするものでなければならないのでありますが、政務次官をふやし、官房副長官をふやし、総務次長を新設し、さらに御丁寧にも事務次官補を設けるということは、行政機構の簡素化と責任化に逆行し、いたずらに判この数をふやして事務の渋滞を招くおそれがあると思うが、倉石長官の御見解を承わりたい。(拍手)
特に、事務次官補は、大蔵、文部、法務の三省では、その必要がないといって、辞退をいたしたそうであります。ところが、大蔵省あたり、必要がないはずはないではないかといって、これを押し売りをしたという裏話もあるのであります。(拍手)非常にポストのほしい役人までが遠慮する制度でありますから、これはよほど悪い制度に違いはない。どうも本格的なる行政改革が公約通りにいかぬので、そのてれ隠しに、つまらぬことまでをも数でこなそうという傾向があると、新聞では批判しております。
もう一つ、ここで、てれ隠しを御披露いたしたいのでありますが、これも今次の行政改革における先走りとして実施せられました、各省庁の課の一律二割の削減であります。なるほど、課の名称は二割削減しておりますが、行政事務の配分は従来の人間がそのまま従来の事務を分担して課長という職名を失った事務官または技官を救済するために、たとえば、統計局においては統計調査官、宮内庁においては式部官、大蔵省においては調査官、首席監察官、管理官、防衛庁は書記官、文部省は参事官、広報主任官などと、わざわざ新しい官名を設けて、官庁の職階制をいたずらに複雑怪奇ならしめただけでありますが、一体、この二割一律削減というものは、いかなる意図をもってやられたのであるか、倉石長官にお尋ねいたしたい。(拍手)特に、今回の——本日の議案にはなっておりませんけれども、私の聞くところによりますれば、経済企画庁あたりでは、今度のこの二割削減によって削られた、いわゆる廃止せられた課が——部が局に昇格をするにつれて、廃止せられた課が部に今度は昇格をするということまで、私は承わっておるのであります。(拍手)
次に、重要な点は、国家公務員法の改正による人事院の廃止であります。昭和二十九年三月、内閣に公務員制度調査会が設けられ、本調査会は、一年八カ月の長期にわたって調査を進め、昨年十一月、公務員制度全般にわたって答申をしております。この答申については、われわれも全幅的に賛意を表するわけではありませんけれども、十三項目に及ぶところの個々の内容については、当然政府として取り上げるべきものが多いのであります。この答申を全面的に無視して、本質的に性格を異にする行政審議会案にすりかえ、単に中央人事行政機関の独立性を弱体化する制度だけをここに持ち出そうとしたのは、われわれまことに不可解千万といわなければなりません。(拍手)人事機構よりも、むしろ具体的なる公務員制度の改善について検討を進めることが先決であると思うのでありますが、倉石担当大臣の御所見を承わりたいのであります。
人事院が時の政府の権力に押されてその職責を全うすることができなかったこと、きわめて消極的なる人事院勧告をさえ政府は常にこれを圧殺して顧みなかったこと等々に思いをいたしますならば、われわれといえども、現在の人事院に対して期待を大きく持っておらぬのであります。しかしながら、公務員の罷業権、団体交渉権を剥奪した代償として人事院の機構が設けられたという経緯を顧みるときに、むしろ、人事院に猛省を促して、その職責を完全に果さしむることこそが肝要であります。(拍手)さらに、また、地方公務員についても、調停委員会を設けて、地方人事委員会の上部機関として、苦情処理及び紛争の調停に当らしむることが緊要であります。政府は、占領政策是正に名をかりて、国家公務員の唯一のたよりである人事院を廃止せんとしておるのでありますが、こういうことをやりますならば、今後政府と公務員との間に起るところの紛争の責任は、あげて政府にあるといわなければなりません。(拍手)特に、今後、公務員についての労働条件、苦情処理等について、いかなる措置をとられんとしておるのでありますか。さらに、人事院から政府に対して勧告をされておる地域給の是正について、この機会に、このまま、ほおかむりで逃げようとせられるのでありますか。倉石国務大臣の明確なる御所見を承わりたいのであります
以上、簡単でありますが、私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/19
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020・鳩山一郎
○国務大臣(鳩山一郎君) 審議会について第一に御質問がありました。政府は、昨年の末、行政事務の簡素化及び国費の節減の見地から、約四十の審議会等の整理統合を実施いたしましたが、御指摘の御趣旨を尊重いたしまして、今後とも善処いたしたいと思います。
次に、社会保障関係について御質問がありました。社会保障に関する行政機構をいかに定めるかはきわめて重要な問題でありますので、政府としては、第二次行政機構改革の一環として、引き続きこの問題について行政審議会において審議を願うことになっておりますので、その答申を得たる上、政府としての成案をまとめたい所存であります。
次に、内政省設置についての御質問がございました。内政省設置は、道州制、知事官選による地方行政の支配とは全く無関係であります。内政省の地方公共団体に対する関係は地方自治法の規定に従うものでありまして、従来と何ら異なるところはありません。憲法の地方自治の精神に反するものでは絶対にございません。
第四に、内政省の設置について御質問があったのでありますが、現在建設省が担当しております国土の保全及び開発に関する事業の大半は地方公共団体によって行われておりまして、これらの事業に関する計画及び実施等を一元的に処理する機構として内政省が設置せられましたならば、国土の保全及び開発に関する事業は従来よりもさらに積極的に推進せらるることとなるものと私は考えております。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/20
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021・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。
第一に、行政審議会委員が政府の意のままに駆使せられる御用委員であるかのごときお話がございましたが、社会党を代表して質疑せられる片島君が、大胆に、全部の委員が政府の意のままに駆使せられる委員であると言うことは、私はまことに遺憾に存じまするし、それらの委員の諸君も、その社会党の方のお言葉を承わったならば、非常に心外に存ぜられることと思うのであります。(拍手)このたびの行政審議会の委員は、皆さんも御承知りように、社会各界のトップ・レベルの人たち、学者、言論界、財界の第一流の人々をお願いいたしまして答申をしていただいたのでございまして、私どもは、このたびの行政審議会の委員の構成はきわめて適正妥当なるものであると確信をいたしております。(拍手)
第二に、トップ・マネージメントのことについてお話がございました。この制度は、御承知のように、鳩山内閣だけが考え出したことではございませんで、アメリカ、イギリス、その他諸外国の行政機構を行政審議会において十分検討されました結果、およそ、現在の日本のように議院内閣制でやっておる以上は、そのときの政府の行政上における責任の所在を明確にしなければならないというのが、このたびの行政機構のトップ・マネージメントの考え方であります。そういう建前から見ますと、現在の日本の官庁組織は、御承知のように、上の方が小さくて下の方が非常に広がっておって、政府の政策を浸透させるには十分であるとは申せませんので、こういうふうにやることが適切妥当であると存ずるので、私どもはいたしました。
課の統廃合のことについてお尋ねがございました。御承知のように、各省において課を二割ずつ整理を命じまして実行いたしましたが、このことは、だんだん公務員が古くなりまして、そのために御承知のように新しく課を設けたというふうなのもありますし、いろいろな人事の都合で、だんだんに課がふえて参りました。しかし、せっかく官庁に勤めておられる有能なる人材を、だんだん仕事をやっていくうちに、ややウエートの軽くなったような課を置いて、そういうところに遊ばしておくよりは、これに機動的に動いていただく方がいいではないか、こういう考え方であります。いろいろ各省における例をお話しになりましたが、たとえば労働省でも二割を廃止いたしましたが、それらの有能なる人材は、御承知のように、賃金審議室というようなものを設けまして、労働組合側からも御熱心な要求がございますので、この賃金を特に勉強させるという審議室の方へ人材を登用いたしたような次第であります。
その次には、人事院制度のことについてお話がございましたが、人事院は、このたびは制度には触れないで、機構の改革だけなぜいたしたかというお話でございますが、制度のことにつきましては、公務員制度調査会の答申が政府に出されておりますので、制度については、公務員制度調査会の答申に基いて、鋭意政府が検討中でございます。近く成案を得ましたならば国会の御審議を願いたいと思っておるのでございますが、このたびは機構の改革にとどめたというわけでございます。その機構の改革につきまして片島さんの御心配下さる点は、私どもも全く同感でございまして、この国家公務員を保護するという建前から設けられましたる人事院の制度の着想は、私はこれは尊重すべきものであると思いますが、この人事院という機構は、御承知のように、全く独立機関でございまして、国家行政組織法や職員定員法の適用外になっております。現在の日本の行政組織のもとにおいて、そういう必要はないではないか。そこで、人事院を設けましたる主たる目的が国家公務員の保護にあるのでございますから、独立機関としてこの保護を全うさせるためには、給与の勧告、あるいは試験、研修、公平審査というふうなことは外局に設けましたる国家人事委員会に残しまして、そうして、政府の行政責任を明確にするために、総理府に人事局を置いて人事行政を担当させる、むしろ今度の改正案の方がより合理的であると存ずる次第であります。(拍手)
次いで、地域給をどうするかというお話でございましたが、先ほど申しました国家公務員法の改正案に基いて、この答申に基いて、私どもは給与体系を根本的に改革する考えでおりますので、地域給等をその場合に一切整理して、一本の給与体系を立てたいと思っておりますので、それまでそのままにいたしておきたい、このように考えております。(拍手)
〔国務大臣馬場元治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/21
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022・馬場元治
○国務大臣(馬場元治君) 国土の保全及び開発を任務といたしております建設行政は、国の直轄事業にいたしましても、あるいは国が助成をいたしております事業にいたしましても、地方公共団体の行政並びに財政に影響するところがきわめて多いのであります。地方公共団体の財政の基盤が確立せられまして、その確立せられたる基盤の上にこそ初めて建設行政の完璧を期することができると思うのであります。しかるに、現在は、国の施策と地方の行財政計画との統一的な運営というものが必ずしも完全にはかられておりません。一面、地方財政逼迫の事情等もございまして、建設行政の進捗が思うにまかせぬ点が多々あるのであります。今回の内政省の設置によりまして、地方公共団体の行財政と、国土の総合的な保全並びに開発、その行政とが密接に関連を保つことができるようになりまして、その関連を保持しながら運営せられるところに、これに加えて国土総合開発計画関係事務の一部が内政省に移管されることになりまする結果、国土の保全及び開発に関する事業がより計画的に推進せられることになるはずであります。内政省の設置によりまして、初めて建設行政が健全な地方公共団体の財政基盤の上に合理的にその実行性を確保することができるわけでありまして、むしろ、これによって建設行政は積極的に推進されるものであると存じます。御心配のようなことは万万ないことを確信いたしておる次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/22
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023・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。
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日程第一 土地収用法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/23
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024・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第一、土地収用法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事荻野豊平君。
〔荻野豊平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/24
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025・荻野豊平
○荻野豊平君 ただいま議題となりました土地収用法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
近時、ダム、道路、河川事業等、公共の利益となる事業に必要な土地の取得につきましては、土地収用法の手続によるものが相当数に上っておるのであります。従って、土地収用法の適用について一そう公正かつ迅速な運用をはかる必要がありますので、この際収用または使用の手続をさらに合理化し、かつ収用委員会の審理を円滑にするため、所要の改正をせんとするのが、本法案の要旨であります。
本法案は、去る三月二十一日本委員会に付託されて以来、法務委員会並びに農林水産委員会とそれぞれ連合審査会を開くなど、慎重に審査をいたして参りましたが、その質疑の内容につきましては速記録を御参照願いたいと存じます。
本法案に対しましては、自由民主党瀬戸山三男君、日本社会党三鍋義三君の両君より、収用手続における当事者間の協議の重要性にかんがみ、あっせんがととのわない場合においても協議を省略することは妥当でないので、第四十条の改正規定を削除すること、及び、第六十四条の改正規定は、現行法第六十四条第二項中の「その他相当でない」場合として処理することができるので、特に改正の必要なく、これを削除すること等についての修正案が提出されました。よって、修正案及び原案を一指して討論に付しましたところ、日本社会党を代表して中島巖君より、本改正案による電源開発関係事業の認定について、知事の権限を建設大臣に移すことになっているが、その執行に当っては、知事の権限を圧迫することなく、地方の意見を尊重して地方自治の原則を乱さぬよう政府に勧告する旨の討論があり、修正案及び修正部分を除く原案について賛成の意見が述べられました。
かくて、修正案及び修正部分を除く原案についてそれぞれ採決いたしました結果、本法案は全会一致をもって修正可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/25
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026・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/26
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027・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
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日程第二 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/27
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028・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第二、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長松山義雄君。
〔松山義雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/28
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029・松山義雄
○松山義雄君 ただいまより、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、改正案の趣旨を簡単に申し上げますと、日本国有鉄道法は、施行以来、管理組織の変更等について幾度か改正が行われましたが、今回、国鉄を国民のためにより能率的に運営せしめ、もって公共の福祉に資するよう、組織、財産管理等について、現行法に所要の改正を加えようとするものであります。
次に、改正の要点を申し上げますと、第一に、経営委員会を廃止いたしまして、新たに国鉄の意思決定機関として理事会を置き、会長、副会長並びに理事をもってこれを組織することとし、会長には総裁を、副会長には副総裁をもってこれに充てることといたしております。
第三に、国鉄の業務執行機関として総裁、副総裁及び技師長並びに常務理事若干人を置き、総裁は、国鉄を代表し、理事会の決定に従って業務を執行するものといたしております。
第三に、国鉄の業務を監査する機関として新たに監査委員会を置き、監査の結果業務の改善を必要と認める事項については、運輸大臣に意見を提出し、または理事会に意見を述べることができることとし、運輸大臣は、監督上特に必要と認める事項については、監査委員会に監査及びその結果を報告すべきことを命ずることができることといたしております。
第四に、国鉄の役員は総裁、副総裁、理事及び監査委員会の委員とし、総裁は内閣が、副総裁及び理事は運輸大臣の認可を受けて総裁が、監査委員会の委員は運輸大臣が、それぞれ任命することと定め、技師長及び常務理事は、理事のうちから総裁が任命することとなっております。
第五に、国鉄が車両その他の重要財産を貸付等の処分を行おうとするときには運輸大臣の許可を受けなければなつらないこととし、また、不動産を貸し付けた場合、貸付期間中でも、事業の用に供するため必要を生じたるときは、契約を解除することができることといたしております。
第六に、運輸大臣の許可、認可事項として、新たに鉄道の電化その他運輸省令で定める重要工事を追加したことであります。
さて、本法案は、去る三月十日本委員会に付託され、十四日政府より提案理由の説明を聴取し、自来、慎重審議いたしましたが、本月二十日質疑を終了、二十四日討論を省略、採決の結果、全会一致をもってこれを可決いたしました。
次いで、日本社会党下平正一君より総裁の諮問機関設置及び国鉄財政に関する附帯決議が提出せられ、これについて採決の結果、異議なく可決、よって本法案は附帯決議を付しまして原案の通り可決すべきものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/29
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030・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/30
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031・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/31
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032・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第三、下請代金支払遅延等防止法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事笹本一雄君。
〔笹本一雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/32
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033・笹本一雄
○笹本一雄君 ただいま議題となりました下請代金支払遅延等防止法案について、商工委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、本法案の概要を申し上げます。親事業者の下請事業者に対する下請代金支払い遅延などの不公正行為は、従来、独占禁止法等の措置によって、これが防止に努力して参ったのでありますが、経済情勢が好転して参りました今日においても、遺憾ながら、改善されたとは必ずしも言い得ないのでありまして、わが国経済において重要な役割をになっている中小下請事業者の事業経営を圧迫し、ひいては、わが国経済の健全な発達を阻害している現状であります。従って、下請事業者の利益を保護するためには、下請代金支払い遅延などの防止に関して、独占禁止法と相並んで、別個の法制を整え、親事業者の順守事項及び帳簿書類の整備義務、公正取引委員会の勧告及び公表、及び、主務官庁の報告徴集、立ち入り検査など、必要な規定を設けて、積極的な改善措置を講ずる必要があるのであります。
本法案は、さきに本会議に上程され、石橋国務大臣より趣旨説明が行われ、すでに御承知のことと存じますので、内容の詳細は説明を省略いたします。
本法案は、三月十六日本委員会に付託され、二十日政府委員より提案理由の説明を聴取いたし、越えて四月二十日以降三日間にわたり慎重な審議を行いました。また、審議の完璧を期するため、親事業者、下請事業者及び労働者代表を招致いたしまして、参考意見を聴取し、質疑を行なったのであります。
四月二十五日質疑を終了し、討論に付しましたところ、自由民主党を代表して小平久雄君、日本社会党を代表して田中武夫君より、それぞれ賛成の意見が表明されたのであります。引き続き採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと議決されたのであります。
なお、自由民主党並びに日本社会党を代表いたしまして、小平久雄君より本法案に対する附帯決議案が発議され、これまた全会一致をもって可決されたのであります。附帯決議案は会議録に付加することといたしまして、その朗読は省略いたします。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/33
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034・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/34
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035・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/35
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036・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/36
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037・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/37
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038・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長松原喜之次君。
〔松原喜之次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/38
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039・松原喜之次
○松原喜之次君 ただいま議題となりました二法案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果について御報告申し上げます。
まず、国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、国家公務員共済組合法及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定により現に支給されている年金のうち、公務による傷病を給付事由としている障害年金の最低保障額が、同じ公務傷病を給付事由とする戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定による障害年金の額に比較して低額でありますので、この際これを援護法の線まで一律に七千円引き上げることといたそうとするものであります。また、従来最低保障の定めがなかった殉職年金及び障害遺族年金につきましても、今回新たに戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定によるこれらに相当する年金の額をもってその最低保障額とすることといたしております。なお、以上の措置により増加する費用につきましては、国庫及び地方公共団体または公社が按分して負担することといたそうとするものであります。
本案につきましては、各派共同の修正案が提出されております。修正の趣旨は、今回障害年金の最低保障額を引き上げることによりその恩恵に浴することとなりますのは、障害等級が四級以上の者であり、五級及び六級の大部分を占める受給者には、事実上何ら実益をもたらさないのであります。また、三級と四級との間の格差が著しく、さらにまた、四級の最低保障額も三級と比較しはなはだ低きに失し、全体としての権衡を欠いていることを指摘することができるのであります。そこで、障害の程度が四級、五級または六級に該当する者のうち、それぞれ恩給法に規定された第三項症、第四項症または第五項症以上に相当する者については、大蔵大臣の定めるところにより、五級または六級に該当する者は、それぞれ一級上位の等級に該当するものとみなし、また四級に該当する者については、最低保障額を四万八千円から六万五千円に引き上げまして、真に実益のある最低保障額を設けることに修正を加えることといたしたのであります。
なお、本案の施行に要する経費は約二百八十八万円であります。右の修正案につきましては、国会法第五十七条の三の規定により内閣の意見を聴取いたしましたが、諸般の事情からこの程度の修正はやむを得ない旨の意見が述べられました。
本案並びに修正案につきましては、審議の結果、本二十六日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決に入りましたところ、いずれも全会一致をもって可決され、よって本案は修正議決いたされました。
次に、昭和二十三年六月二十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、国家公務員共済組合法及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定による年金のうち、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じたものにつきましては、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の特別措置に関する法律の規定により、恩給の例に準じて、昭和二十八年一月分から、その年金額を改定して支給して参ったのでありますが、このたび別途今国会に提出されました、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案により、再び恩給の不均衡是正措置が行われることとなりましたので、右の共済組合年金につきましても、前回同様、恩給の線にならって増額改定を行うことといたそうとするものであります。すなわち、今回の年金額改定の措置は、年金額算定の基準となった仮定俸給が二万九千五百円以下のものを対象として、恩給の場合と全く同様、一号俸ないし五号俸につき一割ないし二割見当の引き上げを行うことといたしておるのであります。なお、この措置により増加する費用は、一般的原則に従いまして、国庫と地方公共団体または公社が按分して負担することといたしております。
本案につきましては、審議の結果、本二十六日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/39
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040・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案の委員長の報告は修正、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案の委員長の報告は可決であります。両案を委員長報告の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/40
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041・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/41
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042・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。
午後三時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X03819560426/42
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