1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年六月二日(土曜日)
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議事日程 第五十六号
昭和三十一年六月二日
午後一時開議
第一 沖繩及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案(岸信介君外十六名提出)(委員会審査省略要求案件)
第二 町村合併促進法の一部を改正する法律案(北山愛郎君外十名提出)
第三 新市町村建設促進法案(内閣提出、参議院送付)
第四 議院運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告
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〔請願日程は本号追録に掲載〕
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●本日の会議に付した案件
行政監察特別委員会を明六月三日限り廃止するの件(議長発議)
裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
日程第二 町村合併促進法の一部を改正する法律案(北山愛郎君外十名提出)
日程第三 新市町村建設促進法案(内閣提出、参議院送付)
日程第四 議院運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告
夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案(参議院提出)
公立養護学校整備特別措置法案(参議院提出)
盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出)
内閣委員会外十二常任委員会並びに海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会、公職選挙法改正に関する調査特別委員会、科学技術振興対策特別委員会及び国土総合開発特別委員会における閉会中審査の件(議長発議)
請願日程 旧海軍特務士官等の恩給不合理是正に関する請願外千五請願
太平洋地域の原水爆実験禁止等に関する請願外百七十七請願
日程第一 沖繩及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案(岸信介君外十六名提出)
午後三時二十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/1
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002・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。行政監察特別委員会、昨年十二月二十三日、院議をもって設置したのでありますが、明日を限り、本特別委員会を廃止したいと存じます。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/2
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003・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 次に、裁判官弾劾裁判所裁判員吉田賢一君から、裁判員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/4
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005・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/5
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006・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) つきましては、この際裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/6
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007・長谷川四郎
○長谷川四郎君 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙は、その手続を省略して議長において指名せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/7
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008・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/8
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009・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。
議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に田中幾三郎君を指名いたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/9
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010・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。日程第一は、これをあと回しとするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/10
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011・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程第一はあと回しといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第二、町村合併促進法の一部を改正する法律案、日程第三、新市町村建設促進法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長大矢省三君。
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〔大矢省三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/12
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013・大矢省三
○大矢省三君 ただいま議題となりました町村合併促進法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案の趣旨は、町村合併促進法の施行以来、町村合併が表面上の順調な成果にもかかわらず、法の目的とする町村規模の適正化、行政能率の向上、住民福祉の増進に寄与しているか疑いなきを得ないものがありますが、これは、第一に、拙速主義の指導者合併のためであり、第二に、合併の合理的基準を欠き、第三に、国の財政措置が適切でなく、第四に、地方行財政政策の不当であったためであります。よって、この際、さらに町村合併の実態を検討し、市町村規模の合理的な尺度や事務配分の関係等を慎重に審査し、市町村の行くべき正しい道を発見することが必要と認められるので、今回政府の提出された新市町村建設促進法案にかえて、暫定的に現行の町村合併促進法の有効期間を一カ年延期するとともに、地方交付税法の特例措置の延長、国有林野払い下げ代金の償還年限の延長等の改正を加え、さらに、合併の実績を検討する機関として町村合併中央審議会を設置しようとするものであります。
本法案は五月二十五日提出、翌二十六日本委員会に付託せられ、同三十一日、提案者を代表して北山愛郎君より提案理由の説明があり、政府提出の新市町村建設促進法案とあわせて審議を行い、六月一日同案と一括して討論に付しましたところ、本法案に対しては、丹羽委員は自由民主党を代表して反対、中井委員は日本社会党を代表して賛成の意見を述べられ、採決の結果、賛成少数をもって否決すべきものと決しました。
次に、新市町村建設促進法案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知の通り、町村合併促進法の制定以来二年数ヵ月、これに基く町村合併はすでに計画の八割五分を達成し、二千に近い新市町村の誕生を見たのでありますが、同法は本年九月末日をもって失効いたしますので、政府は、同法にかえて合併新市町村の建設計画の実施を促進するとともに、さらに未合併町村の合併を推進するために本法案を提案いたしたのであります。
法案の内容は、第一に、新市町村の建設と経営の基本となる事項でありまして、その建設計画に検討を加え、これが計画的、効果的に実施されるよう必要な調整を行い、特に支所、出張所並びに小、中学校等の統合、その他新市町村の一体性確立の措置を講じ、津設の推進力として新市町村建設審議会を設置し得ること等を規定してあります。
第二は、これがための国、都道府県その他の協力援助に関する措置でありまして、すなわち、国の補助金のほか財政上の援助、起債の許可、その他国の行政の処分について新市町村に対し優先的に考慮すべきものとし、都道府県も国に準じて必要の措置を講じ、郵便局等国の地方機関、日本電信電話公社等も必要の措置を行い、住民の便益をすみやかに確保しようとするものであり、なお、内閣総理大臣及び都道府県知事は、建設計画の調整または実施に関して基準を設定し、または助言、勧告ができることとし、そのため、及び未合併町村の合併推進に関する諮問機関を置き得るようにしたのであります。
第三は、建設計画の実施を促進するための諸法律の特例についてでありまして、地方債の許可、不均一課税、地方交付税の算定、国有林野の払い下げの条件等、おおむね現行町村合併促進法と同様の特例規定を設けてあります。
第四は、町村合併に伴う争論の処理及び未合併町村の合併促進に関するものでありまして、紛争解決のために、都道府県の段階におけるあっせん、調停または裁定の制度を設け、いわゆる分村問題についても、あっせん、調停のほか、現行の住民投票の手続規定を整備して、その解決の合理化をはかろうとしているのであります。
また、町村合併促進法の失効後における未合併町村に対しては、明年三月末日までの間において、都道府県知事または内閣総理大臣がその合併を勧告し、またはこれを住民投票に付せしめることができる旨の規定を置いたのであります。
以上がおもな内容でありますが、本法案は、参議院において、地方交付税の算定に関する特例期間の適用を町村合併促進法施行前の合併町村にも及ぼす等の修正を加えられて、去る四月二十三日本院に送付、本委員会に付託となりましたので、翌二十四日太田自治庁長官より提案理由の説明を聴取し、現行町村合併促進法並びにその実施状況とも関連して慎重な審議を行なったのであります。
六月一日質疑を終了、北山愛郎君外十名提出にかかる町村合併促進法の一部を改正する法律案と一括討論に付し、本案に対しては、丹羽委員は自由民主党を代表して賛成、中井委員は日本社会党を代表して反対の意見を述べられ、採決の結果、賛成多数をもって原案通り可決すべきものと決しました。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 討論の通告があります。順次これを許します。西村彰一君。
〔西村彰一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/14
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015・西村彰一
○西村彰一君 私は、ただいま議題となっております新市町村建設促進法案には反対し、日本社会党提出の町村合併促進法の一部を改正する法律案に賛成の討論を、日本社会党を代表していたしたいと存じます。(拍手)
以下、きわめて簡単に、反対の理由を二点について申し上げたいと存じます。
その一つは、市町村合併を、今さら、さらに促進する必要がないではないかということであります。政府の発表によりますれば、町村合併促進法施行以来、九千五百の町村が三分の一に減少し、合併未済の町村は千九百六十でありまして、その成績がきわめて顕著であるというのであります。なるほど、従来の町村は規模もきわめて小さいものがあり、今日の時勢に合わないものが相当ございます。これを人口八千から一万二千程度の適正規模に改めて、その運営を合理的かつ能率的にして住民の真の福祉をはかることが必要なことは申すまでもございません。しかしながら、従来、何でも合併々々ということで、一種の流行のようになりまして、中央、地方の役人が机の上で勝手に統合したところの案を勧誘いたしましたり、また、近郊の農村が争って市に合併をして市制をしいたので、自分らの村の格が一格上ったような工合に思って、その辺に非常な無理があったことは、認めないわけにはいかないのであります。(拍手)これは自治庁の世論調査の結果について見ましても正確に現われており、負担の軽減、道路の改修、役場庁舎の新築等、はなはだしく住民の期待にはずれたものが多いのであります。なかんずく、ほとんどの町村は、合併後税金がかえって増加いたしております。政府委員の答弁によれば、それは固定資産税が増加したためである、こう言っておるのでありまするが、一体だれが固定資産税を増加したのでありましょうか。また、何ゆえ合併後固定資産税が増加しないように特別の猶予を講じなかったかということを私どもはなじるのであります。(拍手)
現在残っております未合併町村の中には、村民感情の対立のために、合併すべくして合併しないものもある。しかしながら、何も合併しなくても、人口がたとい少くても、地理的、産業的条件でりっぱにやっていけるものが相当あるのでありまして、これを合併しなければ、いかにも罪悪のような工合に言いふらして、特に法案第二十九条の第二項には、内閣総理大臣は町村の合併を勧告して、その勧告に従わないときには国の財政的援助を行わないことがあり得るというような威嚇をしておることは、まことに言語道断といわなければならないのであります。(拍手)村八分ということがございますが、これはまことに国八分といわなければならないのであります。町村財政の健全化はまことに望ましいことでありまするけれども、国家が地方財政健全化の根本方策を講ずることなくして、ただいたずらに市町村合併をしいて、これに対してスズメの涙ほどの助成金を与えるがごときは、私どもの断じて賛成のできないことであります。(拍手)
政府は、昭和三十一年度の重要新政策の一つとして、中央、地方の抜本的税制改革を掲げておりまするが、委員会において幾たびかのわれわれ同僚議員の質問に対して、太田自治庁長官は、何らその考えの片鱗をも示しておらないのであります。私は、地方財政の赤字が国の責任であるとか、あるいは府県の責任であるとかいうようなことは申しません。しかしながら、国家財政については、予算委員会等においても重要な論議が行われておるのでありまするけれども、地方財政については、何らかようなことがございません。地方財政も現在は一兆百九十三億の巨額に上っておるにもかかわらず、自治庁は、ただ単に財政規模の一覧表というものを参考として提出しておるにすぎないのでありまして、昭和三十一年度において三千六百億円に上るところの地方税の収入をさらに三百九十六億も増加して、一割以上の負担をさらに加重しておるのであります。これらの地方税は特に地方農山村の中小産者の負担するものでありまして、地方民の生活安定には至大の関係があるものであります。しかも、政府の財政的援助は、再建整備法にいたしましても、また起債の条件にいたしましても、いわゆる自主財源、すなわち相当増税を行わなければ、これを許可しないというようなことになっております。これを要するに、政府の施策は、根本を離れて枝葉末節に走り、いたずらに新しい法律を設けて行政事務を繁雑にしておるのでありまして、これが反対理由の第一点であります。(拍手)
これに対して、社会党の改正案は、現在の町村合併促進法をさらに一ヵ年間延長して、過去の実績に冷静なる反省を加えんとするものであります。今さらいろいろな規定を設けずとも、親身になって無理のない地方の指導を行うならば、十分に町村合併の目的を達し得るものと考えるのであります。(拍手)過去の実績を考えず、みだりに先回りをいたしまして、新しい法律ばかりを設けて先へ進もうとするところの政府の案とは、根本的にその考え方が違うのであります。(拍手)
第二の反対点は、いたずらなる機構改革は断じてこの際行うべきではないということであります。政府は、これも新年度の重要政策の一つとして掲げておりまするが、行政機構の改革、機構いじりということであります。私は、いろいろな人から、行政機構の改革はどうすればよいか、官庁事務能率の増進の具体的方法はどうすればよいか、こういうことをよく聞かれるのでありまするが、それは、今後一定の期間、たとえば五ヵ年間は絶対に行政機構の改革を行わない、機構いじりをしないということが、とりもなおさず、ほんとうの行政機構の改革であると、私は常に答えておるのであります。(拍手)このたびの法律は、新市町村建設促進法などといって、新しいという字をいたずらに使っておりまするが、決してこれは新しいものではなくして、市町村を合併するということだけであります。(拍手)何らの建設も含まれておりません。まさに頭を掲げて狗肉を売るというのはこのことでございます。いたずらに新しい字を使うことが、このごろはやります。あるいは再編成とか、再々編成というようなことは、まことに愚の骨頂であります。それでありまするから、このごろは流行歌などにも新炭坑節とか新々炭坑節というようなものがあるのでありまして、これは歌ではかまいませんけれども、真剣なる町村自治の問題については、いたずらに新しがってその真実が伴わないということは、吾人の賛成のできないことでございます。(拍手)農林省所管の新農村建設助成法のごときも、また何ら新しいものではなくして、かつての経済更生の指定村であるとか、モデル町村の助成というようなことと何ら変らないのであります。すなわち、新市町村建設促進法は、その制定の理由が全く乏しく、われわれは、遺憾ながら、官僚諸君の机の上の遊戯や、保守政党の人たちの新しい党勢拡張などに加担することは断じてできないのであります。(拍手)新市町村の建設は、真にその立地条件に基く産業の振興、道路の改修、港湾の造築、農道、林道等の開発を行いまして、その地方の生産収入の増加をはかることが根本でございます。一面においては、すでに飽和点に達しておるところの地方の負担を軽減することでなければなりません。すなわち、国民生活の安定を離れて何の新市町村の建設があるかということを申し上げたいのであります。
鳩山内閣は、いたずらに口に友愛精神を説いておられまするが、組閣早々、役人のマージャンをやめたり、あるいは官邸などを廃止したからといって、決して友愛精神が盛り上るものではございません。総理みずから各閣僚及び官僚に模範を示して、きわめて親切に地方農山漁村民の生活及び台所に触れて、ほんとうの心のこもったところの指導を行うことこそ、私は、友愛精神であり、真にわが国の国民生活の安定に触れると考えるのであります。
以上、反対討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 丹羽兵助君。
〔丹羽兵助君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/16
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017・丹羽兵助
○丹羽兵助君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました新市町村建設促進法案に賛成し、社会党の提案にかかる町村合併促進法の一部を改正する法律案に反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)
御承知の通り、議員立法として昭和二十八年九月制定された町村合併促進法は、町村再編成に偉大な役割を果し、この九月末日、三ヵ年の有効期間を終えんといたしております。その成果については一部の批判もありまするが、わずか二年半にして全国町村数を三分の一に減じようとする大計画がすでに八七%を達成し、今や全国は約四千三百町村となり、そのうち二千に近い新市町村が誕生したのであります。これは全く驚異に値することで、その成果はわが国地方自治制度の画期的事実であり、この間に促進法の果した使命と意義は実に重大なものがあります。かくして、今や大勢は町村合併の促進より新市町村建設の段階に入ったのであります。政府は、この段階に応じ、来たる九月その有効期間を終えんとする町村合併促進法にかわり、本法案を成立せしめんとするものであります。これこそ、町村合併の歴史的大事業の成果を全うし、町村合併促進法の有終の美を飾るもので、真に時宜を得た措置と考えられるのであります。(拍手)今や全力をあげて町作り、村作りに懸命の努力をしつつある二千の新市町村は申すに及ばず、関係地方団体は、鶴首してこの法案の成立の一日も早からんことを熱望しておるのでありまして、これが私の本法案に対し賛成する根本的理由であります。
もとより、町村合併の目的は、いたずらに町村数を減少するのでなく、これによって町村の規模を適正にして、その基礎を強化し、町村が時世の進運に応じて、基礎的地方公共団体としての機能を十分に発揮し、住民の福祉を増進するにあることは、申し上げるまでもないことであります。要するに、本案は、政府が、合併によって誕生した新市町村の建設並びに経営の基本方針として、まず第一は、総合性と実行性のある新市町村建設計画の策定と実施、行財政運営の合理化及び一体性の確保の三方針を示し、第二に、新市町村建設計画の実施の促進に関する国、都道府県及び公共企業体の協力援助に関する措置を定めておるのであります。そうして、第三番目に、新市町村建設計画を実施するために必要な諸法律の特例を設け、さらに第四、最後には、町村合併に伴う争論の処理及び未合併町村の合併の推進に関し解決の道を講ぜんとしておるものであります。以上はいずれも新市町村達設のためまことに適切妥当なる措置でありまして、かくして町村合併の主旨を貫徹し、その最終目的を達成するために、本法案を提出されたものであります。真に意義深いものであり、時宜に適したものと、双手をあけて賛成するものであります。
ときに、社会党はこの政府案に反対せられ、みずから批判している町村合併促進法の有効期間を一ヵ年延長せんとするのでありますが、町村合併促進法が三年間に達成すべく期待した合併計画は順調に達成されつつあり、何らこの期間を延長すべき理由を見出し得ないのであります。もちろん、本期間に合併の実施を見ない町村が、若干ありますることは予期せられますが、本来、これら町村は、地理的、経済的あるいは政治的特殊事情により合併を困難にいたしたものであります。かすに時をもってすることによって何ら解決し得るものではないのであります。むしろ、本案に規定するごとく、別な観点に立ってその処理をはかることこそ、合併を促進し、また、さらにこれに伴う争論を解決すべき方途を見出し得るものと私は信ずるのであります。
なお、町村合併促進法と新市町村建設促進法の規定する内容には、多くの点において同一のもののあることを見出します。しかしながら、本来、町村合併促進法は町村合併の促進を目的とするものであり、この法案は合併せる新市町村の建設促進を目的とするものであって、根本的にその本質を異にしておるのであります。前述の通り、町村合併はその計画の八割七分を達成し、今や大勢は町村合併の促進から新市町村建設の段階にありまするとき、社会党案のごとく単に町村合併促進法の延長のみをして足れりとするのでなく、本案のごとく、その建設を強力に推進すべきことこそ、私は急務なりと信ずるものであります。(拍手)社会党は、この事態を無視して、あえて町村合併促進法の期間の延長をなそうとされておるのでありますが、さきに参議院において本案に同調せられ、また、本院においては反対せられんとしておられるのであります。もとより、両院それぞれの自主性は尊重されねばならぬことは当然であります。しかしながら、細部の事項についてならいざ知らず、かような本質的に意見を異にされることは、明らかに党内の不統一を暴露されたもので、本問題に関し社会党は何らの定見を有することなく、全く支離滅裂と断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)
以上申し述べて、今や、全国関係地方公共団体、特に合併による新市町村は、この新市町村建設促進法の成立を一日千秋の思いで待望しておるのでありまするから、私は、この国民の熱望にこたえて本案を成立せしめ、新市町村建設を促進し、一日も早く堅実なる軌道に乗せ、民主政治の基盤である地方自治の根基をつちかい、もって新日本興隆のいしずえを築かんことを念願しつつ、社会党案に反対し、政府案に賛成して、討論を終るものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
まず、日程第二につき採決いたします。本案の委員長の報告は否決であります。本案を委員長報告の通り否決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り否決いたしました。
次に、日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/19
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020・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/20
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021・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第四、議院運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告を求めます。議院運営委員荻野豊平君。
〔荻野豊平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/21
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022・荻野豊平
○荻野豊平君 ただいま議題となりました、国立国会図書館法第十一条第二項の規定による議院運営委員会における審査の結果を、簡単に御報告申し上げます。
まず、図書館の活動状況でありますが、その第一は、国会に対する奉仕の強化のための専門調査員の増強であります。国会からの調査依頼は年々その内容の重要性と複雑性とを増し、各分野の専門的な知識が必要となってきております実情にかんがみまして、昨年八月より専門調査員を増員いたしましたが、これによりまして一そう国会奉仕の実をあげ得ることと存じます。
第二に、各国憲法の和訳刊行であります。現下の憲法問題の重要性にかんがみまして、調査及び立法考査局では、衆参両院法制局及び内閣法制局の三者と相はかって、諸外国の現行憲法の全訳の刊行を計画し、すでに三十四ヵ国中二十五ヵ国の分は和訳刊行いたしております。
第三は、科学技術関係の資料整備であります。すなわち、アメリカ原子力委員会より寄贈を受けた原子力関係資料の一般公開を行い、また、PBレポートの地方センターを設けたのであります。
次に、本庁舎の建築につきましては、問題となっておりました懸賞設計の一等当選者の設計参加の問題もすでに解決を見まして、現在基礎工事を実施中でありますが、間もなく本格的に木工事に着手する運びとなっておりますので、この本工事については、国立国会図書館建築協議会の了承を得、さらに両院の議院運営委員会の了承を得ましたので、建設省をしてその工事を実施せしむることといたしました。
最後に、考査業務の改善につきまして一言申し上げます。従来、支部上野図書館と赤坂の本館とは、それぞれ別個に考査業務を行なっておりましたが、四月一日よりこれを改めて一本にし、業務の一そうの迅速と適切とをはかることといたしました。
以上、昭和三十年度における若干の主要な事柄につき御報告いたしました。なお、国立国会図書館が設立の趣旨に沿ってその任務を十分に果すことのできますよう、今後とも議員各位の理解ある御協力を要望して報告を終ります。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/22
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023・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、参議院提出、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案、公立養護学校整備特別措置法案、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/23
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024・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/24
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025・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案、公立養護学校整備特別措置法案、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。文教委員会理事山崎始男君。
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〔山崎始男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/25
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026・山崎始男
○山崎始男君 ただいま議題となりました、参議院提出にかかる、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案、公立養護学校整備特別措置法案、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審議の経過及びその結果を申し上げます。
まず最初に、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案について申し上げます。
本法律案の主要点は、一、本法による学校給食は勤労青年のからだの健全な発達に資するためのものであること、二、夜間課程を置く高等学校の設置者は、夜間学校給食が実施できるように努めるとともに、国及び地方公共団体も夜間学校給食の普及と健全な発達をはかるように努めること、三、国は、公私立を問わず、その設置者に対し、予算の範囲内で夜間学校給食の開設に必要な施設、設備に要する経費の一部を補助することができるとともに、夜間学校給食用の小麦は、国が食糧管理特別会計の負担において価格を低廉にしたものを使用させることができることなどについて規定したことであります。なお、附則において、本法律案は公布の日から施行すると規定しておりますが、食糧管理特別会計に関する規定と、施設、設備に関する国庫補助の規定については、昭和三十二年四月一日から施行することにし、給食用の乾燥ミルクについては、小、中学校と同様に関税を免除することとし、関税定率法の一部を改正するなど、所要の規定を設けております。
次に、公立養護学校整備特別措置法案について申し上げます。
本法律案の主要点は、養護学校の教育の充実をはかるために、一、公立養護学校の新、増築に要する経費の二分の一を国が負担することとし、危険校舎の改築費については三分の一以内を国が補助すること、二、教職員給与費については都道府県の負担とし、小、中学校の教職員の給与はその実支出額の二分の一を国庫負担とし、教材費についてもその一部を国の負担としたこと、三、教職員の給与の種類及び額を、当分の間各都道府県の条例により、盲、ろう学校の教職員の給与の種類及び額を基準として定めること、四、危険校舎等の改築費、国庫補助、市町村立学校教職員給与の都道府県負担、教材費及び教職員給与費等の国庫負担等の規定については、昭和三十二年四月一日から施行することなどについて規定いたしております。
次に、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案の主要点は、一、昭和三十二年以降養護学校の児童生徒も、盲、ろう学校の児童生徒と同じく、教科書代、給食費、通学費、宿舎費等の恩典が受けられるように改めたこと、二、就学奨励費の支給方法について、現行法令に見られる現物支給の建前を廃して、現金支給を主とし、特別の場合のみ現物を支給し得るようにしたこと、三、盲、ろう学校及び養護学校の高等部生徒の教科書代については、昭和三十二年度以降はその二分の一を国が負担することとし、昭和三十一年度に限っては、盲、ろう学校高等部生徒の教科書代は、その三分の一以内を国が負担することなどについて規定いたしております。
以上申し上げました三つの法律案は、去る四月二十三日に本委員会に付託され、以来、慎重に審議されたのでございます。本委員会の審議に当りましては、平野三郎君、小松幹君、平田ヒデ君等から次のような質疑がなされたのであります。
すなわち、一、養護学校に対する施設ははなはだしくおくれている。当局はいかに対策を考えておるか。二、養護学校は各都道府県に少くとも一校くらいは必要と思うが、当局はいかに考えておるか。三、養護学校を設置するには寮の施設を考える必要があるが、これに対する当局の考慮について伺いたい。四、養護学校の教員の養成について当局はいかに考慮を払っているか。五、各地の養護学校を視察してみて、その施設の不備を特に痛感するが、当局はこの点に対してどう考えているか。六、この教育の振興に対して文部当局の積極的な推進を希望する。このように細部にわたり熱心に検討が加えられたのであります。
さらに、以上の三法案につきまして政府の意見をただしましたところ、竹尾文部政務次官から、国会法第五十七条の三の規定に基く意見として、次のように述べられました。
すなわち、一、夜間課程を置く高等学校の生徒に対し学校給食を実施することについては、慎重に検討を要する問題でもあり、かつ、今後の財政負担の問題もあることであるから、本法律案に対しては直ちに賛成することはできない。二、公立養護学校の整備充実をはかることについては、政府としても従来努力してきており、今後とも努力を行う所存であるが、本法律案については、今後の財政負担の問題もあるので、直ちに賛成することはできない。三、盲学校、ろう学校等への就学奨励に関する制度を拡充することについては、政府としても従来努力してきており、今後とも努力を行う所存であるが、本法律案については、今後の財政負担の問題もあるので、直ちに賛成することはできない。
かくて、六月二日に至りまして、以上の三法律案に対する質疑を終了したのであります。
次いで、平野三郎君より、公立養護学校整備特別措置法案に対する附帯決議案が提出せられたのであります。すなわち、
精神薄弱、肢体不自由及び身体虚弱等の児童・生徒は、その数きわめて多く、しかもその障害の程度は多種多様である実状に鑑み、政府は本法による養護学校の整備をはかると共に、小学校及び中学校における特殊学級の設置促進についても、速かに必要な措置を講ずべきである。
右決議する。
かくて、採決の結果、公立養護学校整備特別措置法案は附帯決議を付して、夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律案及び盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案は、それぞれ起立総員をもって原案の通り議決せられたのであります。
右、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/26
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027・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 三案を一括して採決いたします。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/27
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028・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/28
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029・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 内閣委員会外十二常任委員会並びに海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会、公職選挙法改正に関する調査特別委員会、科学技術振興対策特別委員会及び国土総合開発特別委員会から、ただいま朗読いたします各案件につき閉会中審査いたしたいとの申し出があります。参事をして案件を朗読いたさせます。
〔参事朗読〕
内閣委員会
一、国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五六号)
二、大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五七号)
三、栄典法案(内閣提出第一六〇号)
四、内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六一号)
五、国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六二号)
六、事務次官補を設置するための外務省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六四号)
七、内政省設置法案(内閣提出第一六六号)
八、内政省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出第一七〇号)
九、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六七号)
一〇、国務大臣の私企業等への関与の制限に関する法律案(参議院提出、参法第一号)
一一、行政機構並びにその運営に関する件
一二、恩給及び法制一般に関する件
一三、自衛隊に関する件
一四、調達庁に関する件
一五、南方連絡事務局に関する件
一六、公務員の制度及び給与に関する件
法務委員会
一、裁判所の司法行政に関する件
二、法務行政及び検察行政に関する件
三、国内治安及び人権擁護に関する件
四、上訴制度(最高裁判所機構改革を含む)に関する件
五、外国人の出入国に関する件
六、交通輸送犯罪に関する件
七、売春防止法の施行に関する件
八、戦犯服役者に関する件
外務委員会
一、国際情勢に関する件
二、国交回復に関する件
三、国際経済に関する件
四、賠償に関する件
大蔵委員会
一、接収貴金属等の処理に関する法律案(内閣提出第一四八号)
二、財政法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五八号)
三、国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五九号)
四、会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六九号)(参議院送付)
五、物品税法を廃止する法律案(春日一幸君外十二名提出、衆法第一五号)
六、酒税法の一部を改正する法律案(春日一幸君外十二名提出、衆法第一六号)
七、外資に関する法律の一部を改正する法律案(春日一幸君外十二名提出、衆法第一七号)
八、銀行法の一部を改正する法律案(春日一幸君外十二名提出、衆法第一八号)
九、昭和三十一年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案(石田宥全君外二十六名提出、衆法第五六号)
一〇、北海道における国有の魚田開発施設等の譲与等に関する法律案(佐々木秀世君外一名提出、衆法第五九号)
一一、税制に関する件
一二、金融に関する件
一三、外国為替に関する件
一四、国有財産に関する件
一五、専売事業に関する件
一六、印刷事業に関する件
一七、造幣事業に関する件
一八、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する件
文教委員会
一、国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案(山崎始男君外六名提出、衆法第八号)
二、教育公務員特例法及び教育公務員特例法第三十二条の規定の適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律の一部を改正する法律案(坂田道太君外四名提出、衆法第五二号)
三、教育委員会制度に関する件
四、学校教育及び社会教育に関する件
五、文化財に関する件
六、宗教に関する件
社会労働委員会
一、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案(八木一男君外十二名提出、衆法第四号)
二、国民健康保険法の一部を改正する法律案(岡良一君外二十五名提出、衆法第二六号)
三、美容師法案(長谷川保君外一名提出、衆法第五三号)
四、最低賃金法案(伊藤好道君外四名提出、衆法第三七号)
五、労働者福祉施設資金の運用に関する法律案(岡良一君外十三名提出、衆法第五八号)
六、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案(藤本捨助君外二十五名提出、衆法第六〇号)
七、衛生検査技師法案(福田昌子君外一名提出、衆法第六六号)
八、港湾労働者の雇用安定に関する法律案(多賀谷真稔君外十五名提出、衆法第六八号)
九、母子年金法案(長谷川保君外十六名提出、衆法第七〇号)
一〇、社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人、児童福祉及び人口問題に関する件
一一、労使関係、労働基準及び失業対策に関する件
商工委員会
一、中小企業安定法の一部を改正する法律案(中村高一君外三名提出、衆法第六九号)
二、日本経済の総合的基本施策に関する件
三、国土の総合的利用並びに開発等の基本施策に関する件
四、電気及びガスに関する件
五、鉱業、鉄鋼業、繊維工業、化学工業、機械工業その他一般鉱工業及び特許に関する件
六、通商に関する件
七、中小企業に関する件
八、私的独占禁止及び公正取引に関する件
運輸委員会
一、陸運、海運及び空運に関する件
二、観光に関する件
逓信委員会
一、郵政事業に関する件
二、郵政監察に関する件
三、電気通信に関する件
四、電波監理及び放送に関する件
建設委員会
一、国土開発縦貫自動車道建設法案(第二十二回国会衆法第二六号、参議院継続審査)
二、国土計画に関する件
三、都市計画に関する件
四、道路に関する件
五、河川に関する件
六、住宅に関する件
予算委員会
一、予算の実施状況に関する件
決算委員会
一、
昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算
昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算
昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書
昭和二十九年度政府関係機関決算書
二、昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書
三、昭和二十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
四、歳入歳出の実況に関する件
五、国有財産に関する件
六、政府関係機関の収支に関する件
議院運営委員会
一、議長よりの諮問事項
二、その他議院運営委員会の所管に属する事項
海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会
一、海外同胞引揚及び遺家族援護に関する件
公職選挙法改正に関する調査特別委員会
一、政治資金規正法の一部を改正する法律案(中村高一君外三名提出、衆法第二一号)
二、公職選挙法改正に関する件
三、政党法に関する件
科学技術振興対策特別委員会
一、科学技術振興対策に閲する件
国土総合開発特別委員会
一、北海道開発庁設置法案(内閣提出第一六八号)
二、北海道開発庁設置法施行法案(内閣提出第一七二号)
三、北海道に在勤する者に支給される石炭手当等に対する所得税の特例に関する法律案(横路節雄君外九名提出、衆法第五四号)
四、国土総合開発に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/29
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030・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 各委員会において、ただいまの案件につき閉会中審査するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/30
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031・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/31
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032・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 本日の請願日程、地方行政委員会第九九号及び第一〇四号は、審査未了のものを誤まって掲載いたしましたので、日程よりこれを削除いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/32
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033・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、請願日程千六件とともに、本日委員会の審査を終了した太平洋地域の原水爆実験禁止等に関する請願外百七十七件を追加し、一括議題となし、その審議を進められんことを望みます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/33
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034・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/34
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035・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
旧海軍特務士官等の恩給不合理是正に関する請願外千百八十三請願を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/35
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036・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 各請願は委員長の報告を省略して採択することとし、同種の議案議決の結果採択とみなすものの整理については議長に一任するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/36
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037・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/37
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038・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) この際、先ほどあと回しいたしました日程第一に入ります。日程第一は、提出者より委員会の審査省略の申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/38
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039・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。
日程第一、沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。門司亮君。
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〔門司亮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/39
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040・門司亮
○門司亮君 私は、ただいま議題となりました沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案につき、提案者を代表いたしまして、その趣旨並びに理由を説明せんとするものでございます。
まず、案文の朗読をいたします。
沖縄及び小原笠諸島における施政権回復に関する決議案
政府は、速やかに沖縄及び小笠原諸島の施政権が一日も早くわが国に復帰するよう最善の努力を払い、沖縄及び小笠原諸島の住民の期待にそうとともに国民の総意にこたえるべきである。
右決議する。
〔拍手〕
これが本文でございます。
さらに、理由といたしまして、
戦争終結後十年、平和条約発効後四年二箇月に及び、その間本院はすでに三回にわたり本問題に関する決議を行い国民の総意を披瀝して政府の善処方を要望したが、いまだなおその実現を見ないことは国民のひとしく遺憾にたえないところである。
ことに沖縄の実情はわれわれ日本民族として看過するに忍びない幾多の問題がある。よつて政府は、速やかに沖縄及び小笠原諸島に対するわが国の施政権が一日も早く回復されるよう至急最善の努力をなし、沖縄及び小笠原諸島の住民はもとよりわが国民の総意にこたえるべきである。これが、本決議案を提出する理由である。
〔拍手〕
私は、以下、理由の補足といたしまして、現在における沖縄の情勢を申し上げまして、皆さんの御賛同を得たいと思うものでございます。従いまして、まず冒頭に、沖縄をめぐる国際的立場をこの際明らかにする必要があるかと存するのでございます。このことは、往々にして、沖縄がすでにわが国の領土圏から離れ、沖縄住民がわが国の国民であるかないかというようなことまでも疑うに至る多くの人があるということでございまするので、これらをこの際明確にいたしておきたいと思うのでございます。
沖縄の国際的地位、立場と申しまするものは、すなわち、サンフランシスコにおける平和条約の第三条にその源を発しておりまして、これによりますると、日本の沖縄県といわれておりました沖縄の地位は、条文のごく概略を申し上げますならば、沖縄は合衆国を唯一の施政権者とする信託統治下に置くこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する、このような提案が行われて、可決されておるのでございます。従って、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して行政、立法並びに司法の権力の全部及び一部を行使する権利を所有すると相なっておるのでございます。
しかしながら、この条文が決定いたしまする際におけるサンフランシスコ平和会議の席上、アメリカ合衆国の首席全権でありましたダレス氏は、日本国は沖縄に対する最終的な統治権を持つものであるということを言明いたしておるのでございます。さらに、同時に、日本の首席全権の吉田氏が、かかる諸島は、でき得るだけ早く日本の行政管理に返却すべきであることの希望を表明した事実は、このサンフランシスコの平和会議における沖縄の地位を決定づけるものであるといわなければなりません。われわれは、かくのごとき国際的地位を持っておりまするこの沖縄につきましては、少くとも日本は沖縄に対する最終的統治権を所有するものであるということを明確にいたしますると同時に、今日行われておりまするものの、諸君も御承知のように、日本では沖縄人は日本国民として扱われ、日本に居住しておる沖縄人は法律的にも実際的にも日本国民として承認されておりますることは事実であるといわなければなりません。
しかしながら、一九五二年四月以後における琉球政府が、合衆国の琉球諸島民政府布令第十三号に基きまして樹立されたことは、御承知の通りでございます。これによりまするならば、琉球政府は、琉球諸島における政府の権限の全部を行使し得ると書いてあるのでございます。しかしながら、同令第十二号、第十三号二条によりまするならば、さらに、公共の福祉を障害しない範囲において、同諸島の住民は、非合法なる捜査、逮捕及び法的手続を踏まないような生命、自由あるいは財産の剥奪などを受けることはないということによって、安全の保障はもちろん、宗教、言論、集会、訴願及び出版の自由を含む民主的な国民の基本的自由が保障されておるのでございます。これは同布令の第六条に明確にされておるものでございます。しかしながら、同布令のもとでは、琉球政府はアメリカ民政府の必要とする諸法令、布告令及び指令に従うということが強く要求されておるのでございます。この布令第二条のただし書き、さらに、合衆国の現役軍人である民政府副長官は、琉球政府執行機関あるいはその代表者機関が設定する法律、政令または附則の施行を、必要とあるならば、拒否、あるいは禁止、あるいは停止する権利を保有し、かつ、アメリカ民政府長官は、琉球で適当となす法律、政令または附則の公布を指令する権利を保有すると、第七条に規定しておるのでございます。その結果といたしまして、当然琉球政府の持つ権威は有名無実に近いものと今日相なっておるのでございます。この民政府副長官は、立法、執行及び司法の三権を最終的に自分の掌中におさめておる。その結果は、単に自分一個人の意のままに立法機関を解散したり、あるいは立法機関が制定された法律の施行を拒否して参ったのでございます。このために、沖縄住民の基本的人権は、合衆国の軍事的必要性の美名のもとに、独断的に抑圧され、あるいは侵害されつつあるというのが、今日の国際的地位から参りまする沖縄の総括的現状であると、われわれは知らなければならないのでございます。(拍手)
私どもは、かくのごときことを考えて参りまして、今日の沖縄におきまする行政上の問題をまず考えて参りまするならば、すなわち、沖縄における行政の一部分でありまする市町村に対しましては、御承知のように、市町村長並びに町村会議員はことごとく公選であり、日本の市町村行政と何ら変りのない地方自治法のもとに、その運営が行われておるのでございます。日本の国会に匹敵する立法院は、これも選挙によって二十九名の議員を選出し、ここにおいてすべての法律を制定いたしておるのでございます。しかしながら、一方翻って執行機関におきましては、先ほど申し上げました民政府の指令に基く、いわゆる民政府副長官の任命に基く主席を中心といたしまする琉球政府が存立いたしておるのでございます。
この民政府副長官の任命した琉球政府主席と立法院との関係を、ごく簡単に申し上げまするならば、立法院が制定、決定いたしました法律の施行に当りましては、この琉球政府の主席は、拒否権を持つと同時に、責任を負わないのでございます。これは、ちょうどアメリカの大統領と同じように、もし立法院において必要があるならば、あるいは立法院の議会が開会されまするならば、アメリカの大統領と同じように、たとえば、ことしは一九五六年の施政演説はいたしまするが、その後は立法院に出席をしないのであります。そうして、立法院で決定いたされました法律の拒否権を持っておる。これが琉球政府の実態である。さらに、この琉球政府の上に、先ほど申し上げましたアメリカの軍人である民政府副長官が一切の権限を掌握いたしております。従って、琉球における今日の行政は、立法院を中心といたしまする、さらに琉球政府を中心といたしまする一つの機関、同時に、すべての権限を握っておりまする、いわゆる米国軍人によって作られておりまする民政府副長官を中心とする行政機関との、明らかに二元的行政になっておりまするところに、今日の沖縄の行政のきわめて困難さがあるということを知っていただきたいと思うのでございます。
しかも、民意を反映してすべての問題を決定いたしておりまする立法院の法律よりも、あるいは、施行令、規則等を出す琉球政府の規則その他よりも、この民政府副長官の単独による布告並びに法律の停止、禁止が優先するということが事実でございまして、沖縄における民政の最も重要でありまする法律の施行等も、あげてこの米国民政府副長官の掌中は握られておるということが、はなはだ遺憾ではございまするが、沖縄における今日の行政上の現状であるといわなければならないのでございます。従いまして、沖縄における住民の意思というものは、政治上に何らの反映をしないのでございます。これが今日の沖縄の行政上における地位でございます。
従って これらの問題を中心といたしまして、以下、沖縄の経済並びに諸般の情勢を申し上げて参りまするならば、沖縄の経済状態をまず見て参りまするときに、今日沖縄の経済状態はきわめて豊かに復興しておるやのように伝えられる向きもございまするが、事実はこれと大いに反しておるのでございます。するほど、沖縄には、きわめて大規模な、きわめて優秀な道路ができておることは事実であります、さらに、今日鉄筋コンクリートの多くのビルディングが建設されているということも事実であります。しかしながら、この事実は、決して沖縄住民のための道路でもなければ、沖縄住民の経済力の現われであるビルディングの建設ではないということを知らなければならないのでございます。(拍手)すなわち、今日沖縄における完成された道路は、あげてアメリカ軍隊が使用するいわゆる基地に通ずる軍用道路であり、基地の完成の一部分であり、軍の施設の一部分であるということをよく知らなければならないのでございます。さらに、建ち並んでおりまするビルディングが、数万の軍隊と、これに従っておりまする多くの施設を行うことのために参っておりまするアメリカ人の経済行為を行いまするためのものであり、すでに、沖縄におきましては、アメリカ人による米国の商工会議所等ができており、アメリカで作られておりまする品物をここに輸入することによって彼らの需要供給を満たしておるということを考えて参りまするならば、このビルディングも、沖縄住民のためのビルディングでなくして、アメリカ軍隊の駐屯に付随したアメリカ経済の現われであるということを、はっきりと知らなければならないのでございます。(拍手)かくのごとき状態は、表面いかにも沖縄が復興したような錯覚を多くの人士に与えておるということを、よく皆さんに私は知っていただきたいと思うのでございます。
今日、沖縄の単独の経済の状態を見て参りまするならば、沖縄の産物としては、わずかに黒砂糖があるだけであります。しかも、輸出されておりまするものは、この農村で作る黒砂糖と、次に輸出されるものの最も大きなものは何であるかと申し上げますならば、あの激烈なる戦争をいたしました結果、多くのスクラップを生じておることは、御承知の通りであります。今日、沖縄経済の輸出品目の第二位を占めておりまするものは、このスクラップであるということが、よく沖縄の経済を実証するものでございます。これらの経済は、決してあとから生まれるものでもなければ、また生産されるものでもございません。あけて、沖縄の今日の経済が、こういう貧弱なる沖縄全島における生産の上に、もしありとするならば、それはアメリカの基地拡張のために使う多くの資材の輸入と、これを消化することのためにアメリカの軍隊が使う大きな金でなければなりません。従って、今日の沖縄経済は、表面は、この軍事目的のために、いわゆる軍事的に投資されるものが、誤まって沖縄の経済を援助するかのごとき錯覚を起しておるということも、また言い得るかと存するのでございます。(拍手)
さらに、沖縄における金融の状態は一体どうなっておるか。沖縄の今日の金融の状態は、すでにこれも御承知のように、ちょうど日本における日本銀行と同じような立場にある琉球銀行が、唯一の沖縄における金融機関でございまするが、これの株式の五一%はアメリカ政府によって握られておるという事実であります。従って、沖縄における金融の実権は、アメリカ軍によって、アメリカ政府によって完全に握られておると申し上げましても、決して過言ではないのでございます。従って、琉球における金融の状態は、アメリカ軍隊に阿諛迎合し、アメリカ政府におべっかを使うことによってのみその金融が円滑にいくというのが、率直に申し上げて今日の現状ではないかと、私はかたく信ずるものでございます。従いまして、沖縄における金融は、決して独立性を持ち、自主性を持つものでなく、従って、経済、金融ともに自主性を持たないということになって参りますならば、今日の沖縄の状態は、これからして、いかなる状態にあるかということを、さらに検討しなければならないかと思うのでございます。
まず、沖縄における八十万住民の中に、今日労働者として働いておりまするものは約十一万を数えておるのでございまするが、この十一万の労働者に対して、今日労働組合法が制定されておりまする沖縄において、いまだ、その組織率は、わずかに四単産、五百八十九名という、六百名に満たざる労働組合の組織人員であるということを知らなければなりません。この労働組合の後進性は一体どこにあるかというと、先ほど申し上げましたように、いわゆる二元的行政が大きな災いをいたしておるのであります。たとえば、立法院はわが国の労働三法と全く同じような法律を制定して、労働者の基本的権利と自由を守ることは法定をされておるのであります。しかしながら、民政副長官の出したいわゆる布告第百十六号によって、この労働三法はことごとく抹殺されておるというところに、今日の沖縄における労働者の最も悲惨なる状況が生まれて参っておるのでございます。しかも、労働組合を設定しようとするならば、少くとも、琉球政府にあらずして、アメリカの民政府の許可を得なければ、労働組合の設置はできないという、きわめて非民主的な状態にあることを、私どもは知らなければならないと思うのでございます。(拍手)しかも、民政府は、その労働組合の幹部の中に、もし彼らの意に満たないもの、いわゆる好ましからざるものがあるとするならば、その労働組合の認可をしないのである。もし労働組合の認可がされないということになって参りまするならば、先ほど申し上げましたように、金融の関係から、大きくアメリカの息、アメリカの意見をうかがわなければならない産業上の今日の状態は、直ちにそれらの労働組合の幹部を解雇するであろうことは必然であります。こういう形において、いまだ見るべき労働運動もなされておらない。しかも、労働者に対しまする最も大きな社会的生活保障でありまする健康保険も、いまだ制定されておりません。いわんや、失業保険、あるいは労災保険、さらに退職金制度等は、いまだ沖縄十一万の労働者には制定を見ていないのであります。沖縄の労働者が、いかに不幸にして、いかにみじめな目にあっているかということは、この二元行政の結果であり、軍政府の一般的の処置がかくあらしめたものであるということを知らなければなりません。
さらに、賃金あるいは人種的差別等に考えを及ぼして参りまするならば、私は、沖縄労働者の今日の現状に対して、きわめて大きな同情と、これに力を添えなければならないということを痛感するものであります。すわなち、沖縄におきましては、琉球人、いわゆる沖縄本土の住民と、内地から参りました日本の技術者、フィリピン人、アメリカ人との間には、基本的賃金にそれぞれ差別をつけておるのでございます。同一の職種、同一の仕事をいたしておりまする者に対しましても、かりに沖縄住民が一であれば、日本人技術者は二であり、フィリピン人は四であり、アメリカの技術者は一〇というように、人種によって賃金の差別が行われておるということは、同じ日本人といたしまして、われわれ痛憤にたえないのでございます。(拍手)しかも、その賃金は、物価の高い沖縄におきましてはきわめて低賃金に置かれ、今日われわれが知り得た範囲におきましては、一時間にわずか三十三円という、きわめて安い賃金に置かれておるという事実もまた見のがし得ないものであります。
さらに、勤労者に対しまするいわゆる所得税その他の処置に対しましても、沖縄人に対しましては純所得一万四千円を基礎控除とし、アメリカ人に対しましては七万二千円を基礎控除といたしておるのでございます。扶養控除にいたしましても、沖縄人は一人五千円を扶養控除とするが、アメリカ人に対しましては、同じく七万二千円が扶養控除として今日決定されておる。低賃金のもとに呻吟いたしておりまする沖縄の労働者に対して、この税の不公平なる取扱い等は、われわれの見るに忍びざるものがあるといわなければならないのでございます。(拍手)
さらに、私どもは、今日最も大きな問題として展開されておりまする農地問題を一たび見て参りまするならば、いかなる状態にあるでございましょう。すなわち、一九五三年四月、アメリカ民政府布令第百九号土地接収布令というものがあるのでございまするが、この土地接収布令には、命令を発してから三十日以内にその土地を立ち去らない者には強制的に接収をすることができるという、おそろしい布令があるのでございます。従って、これの実施がいかなる状態において行われておるでございましょうか。新聞、雑誌等で諸君も御承知のように、たとえば、伊佐浜における土地の立ちのき、あるいは伊江島における土地の立ちのき等のごときは、いかなる状態でございましょうか。民政府に言わしめまするならば、一カ月の余裕の期間があり、しかも、手続等も十分に考慮しておるから、何ら民政府に落度はないと申しておりまするが、しかし、農民が土地を取り上げられるということは、すなわち生活のもとを断たれることである。従って、一カ月以内にそこを立ちのいて他の土地に転居せよと命ぜられても、このことは断じてできないのであります。しかるに、一カ月たちまするならば、直ちに軍はブルドーザーを持って参って、家を土台から持ち起して、これをトラックに積んで運んでいき、あるいは火を放って焼き払うというのが、今日の現状でございます。しかも、こうして屋外に追い出されて参りました住民は、あそこにテントを張ってあるから、そこに行って生活をせよ、あるいは、向うに学校があるから、ここに避難せよ、というようなことで、土地を失った農民は、さながら避難民と同様に、何らの生活の根底をなす補償もなされずして追い出されておるというのが、今日の現状でございます。(拍手)
しかも、このことによって、沖縄における土地を失ったものは一体どれだけあるか。時間の関係もございまするので、私は多くを申し上げませんが、今日こういう形において米軍の基地拡張のために土地を取り上げられて参りました面積は四万二千四百二十四エーカー、この数字は五千百九十三万三千百三坪に相当するのでございまして、沖縄の総面積の一二・七%であり、農地の四四%が今日アメリカ軍隊に接収されておるのでございます。さらに、これを戦前に比較いたして参りまするならば、戦前の昭和十一年の農家一戸当りの平均の耕作面積は、一・三九エーカーであり、千七百四坪であったものが、現在では、わずかに〇・八エーカー、九百七十九・二坪という、先ほど申し上げました約半分の農地に減っておるということは、明らかに数字が示しておるのでございます。さらに、今予定されておりまする接収地は三十八万三千四百三十五坪であり、これにすでに強制測量が行われておるのでございます。さらに、予定されております土地の接収の農耕地をこれに合算いたして参りますならば、完全に農家としてその土地を喪失いたしましたものは約五万戸であり、二十四万人の人間が現在耕すに土地のない沖縄農民の姿であり、これに新たに接収されるであろうと予定されたものを入れて参りますならば約三千八百戸が加わり、その人口は一万三千人が加わっていくということになって参りますならば、沖縄の八十万の人口の中で二十五万数千というものが全く生業の道を断たれた農民であるといわなければならないのでございます。
これらは、単に八十万の沖縄農民の窮状と現状だけではございません。私は、この機会に、国会における皆様によく知っていただきたいのは、この現状でなければなりません。もし、今日、この軍の計画が実施されて参りますならば、沖縄全島の二三%は軍の用地として接収されるでございましょう。従いまして、今日沖縄における農民諸君の実態は一体どうであるか。土地を失った農民は、耕すに土地なくして、軍が接収したその演習地の中に、焼夷弾が降り、模擬爆弾が落ちて参ります下に旗を立てて、この下には人がいるから爆弾、焼夷弾を落さないでくれというしるしをして、なお彼らは、みずからの身を危険にさらして農耕に従事しなければ、沖縄農民は生活ができないのである。(拍手)
これを、今問題になっておりますインノミ部落等について言えば、二十戸の部落全体の耕地が、接収されない前の一戸の耕地にも値するだけの耕地を持っておらない。従って、耕作をすることができないから、二十戸全体がまとまって共同耕作をするというみじめな状態である。与えられた土地も、軍のかつての宿舎の跡であって、いわゆる畑の表土の上に二尺近い砂れきが積まれているのであるが、この砂利まじりの土地を掘り返して、この表土を上に出すことによって、初めて農地として使えるという状態である。全く農民の生活は断たれております。
われわれは、こういう窮状を見るときに、ただ沖縄の状態に通り一ぺんの同情をするということだけでは済まないのである。しかも、沖縄の住民は、御承知のように、大東亜戦争という、かつての戦争で、日本の国民の中で、敵の軍靴に荒され、十万の住民を含む死者を出した、最も戦争の被害を受けた住民であることは、御承知の通りである。この戦争の一切の犠牲であるこれらの諸君に対して、われわれ同胞はいかにしてこれに報いなければならないでございましょうか。(拍手)
土地取り上げに対する土地補償等のごときは、ごく簡単に申し上げますならば、米軍が決定したその地価の、わずかに百分の六が支給されているだけでございます。しかも、平和条約前において彼らが接収いたして参りました土地の補償は、いまだに行われておらない。アメリカ軍当局は、この平和条約前における軍の接収した土地の補償は、日本政府がこれを行うべきであるということを、アメリカ議会において明らかに証言している。日本政府はいまだにこれに対して何らの処置をとっておらないでございましょう。私は、これらの問題を考えて参りますときに、一日もすみやかにこの問題が解決せられますことのために努力をしなければならないと思います。
さらに、これだけではない。沖縄における人権の侵害は、新聞その他で御承知のように、いとけない子供が凌辱を受け、ついに死に至らしめ、あるいは生活困窮のために、演習地にまっ暗な夜入って、彼らの放った砲弾の破片を拾うことによって生活をしようとする婦女子に対して発砲し、これを殺害していることは、御承知の通りであります。(拍手)生きることのために、ほんとうに身を危険にさらす彼らの生活状態を見て参りまするときに、われわれはこれをいかにして救い出すことができるか。
さらに、沖縄という特殊な状態の中に閉じ込められ、外交の手段を持たざる、あの八十万の同胞は、たとえば第三清徳丸事件のごとき、昨年の二月二十七日に那覇を出港いたしまして、三月二日に清天白日旗を掲げた二隻のジャンクに襲撃されて、船長金城次郎氏以下三名が拉致された事件がある。この事件に対して、彼らはどこに訴え、どこにこの問題の解決を求めるところがあるでございましょうか。沖縄の八十万の住民は、その苦境と今日のみじめな状態を天に訴え、地に叫ぶといえども、これの取り上げられる場所は全くないのであります。従って、沖縄八十万住民のたよりにするものは、本土日本の政府、さらに八千万の同胞でなければなりません。従って、われわれは、まず主権がわが国にあり、国籍を同じゅうするこの沖縄島民を、一日もすみやかに救い出すということが、日本政府並びに国会、国民全体の喫緊の問題でなければならないと考えるものでございます。(拍手)もし、このことが実現されないならば、何の面目あって沖縄八十万の日本の同胞に報いることができ得るでございましょう。
これが、この決議案を提出いたしました趣旨の概略でございます。(拍手)政府のこれに対する善処を要望いたしますと同時に、どうか、国会の皆さんにおかせられましても、ぜひこの問題の解決のために最大の努力をしていただきたいことを心からお願いを申し上げまして、私の趣旨弁明を終らしていただきたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/40
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041・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 討論の通告があります。これを許します。高岡大輔君。
〔高岡大輔君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/41
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042・高岡大輔
○高岡大輔君 ただいま議題となりました決議案に対し、各派を代表して賛成の意を表したいと存じます。(拍手)
提案者の御説明にもありました通り、沖縄及び小笠原諸島の主権がわが国にありますことは明白な事実でありますが、ただ、平和条約第三条によりまして、沖縄や小笠原諸島には、アメリカを唯一の施政権者とする行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部が行使されているのであります。もっとも、昭和二十七年四月以来、立法、司法及び行政の各機関を備える琉球政府なるものが沖縄同胞によって作られておりますが、それはただ単なる名ばかりのものでありまして、一切はアメリカ軍の管理下にあると申してよろしいのであります。アメリカは、民主主義をモットーとし、人権の尊重を金看板としておりますが、これら諸島における現状につきましては、去る五月十八日、外務委員会において、桑江朝幸、比嘉秀盛、真栄城守行の三君を参考人として詳細にわたる状況を聴取したのでありますが、遺憾ながら、アメリカの管理の模様には、われわれはいささかも満足すべきものがなかったのであります。すなわち、沖縄におけるわが同胞の人権は、はなはだしく軽視されておるのであります。
その一例を申しますれば、去る四月八日未明、美里村で起きた事件でありますが、渡名喜千代さん、比嘉信子さんの二人とともに、与那嶺悦子さんが軍用地内でくず鉄を拾っておりましたところ、アメリカ軍のMPが、待てと一言誰何すると同時に発砲し、悦子さんは下腹部から背部貫通の銃丸で即死したのであります。この悦子さんは九才、五才、三才の三人の母親でありますが、五才の子供さんが肋膜を病んでおりましたので、主人の与那嶺成光さんの月三千円の収入ではどうにもならず、何がしか家計の足しにしようと、くず鉄拾いを思い立ったその最初の日に、この惨事となったのであります。もちろん、悦子さんの死に対しては何ら補償されますどころか、アメリカ軍によって罪名が着せられたままであります。沖縄におきましては、尊い人の命が、このように虫けら同様の取扱いを受けておるのであります。(拍手)このほか、ユミ子さんという六才の幼女が強姦致死、遺骸はそのまま投げ捨てられたという、鬼畜のしわざのごとき事件もあったのであります。(拍手)アメリカ軍部隊を初め、外人による沖縄住民への発砲事件その他の殺傷事件は、最近五ヵ年間で、殺人三件、殺人未遂三件、強姦致死一件、強姦二百九件、強姦未遂十七件、強盗百十八件、強盗未遂八件、放火十一件、放火未遂五件、住宅侵入七十八件、器物投棄二百九十五件となっており、軽犯罪の数はとうてい数え切れないのであります。その他、アメリカ軍部隊や外人の交通事故による沖縄住民の被害も相当数となっておりますが、こうした被害に対しても、すべて何ら補償されていないのであります。
さらに、また、沖縄におきましては、あまりにも人種的差別がなされておるのであります。すなわち、最近沖縄を視察しました国際自由労連沖縄調査団長G・ウェバー氏の報告によっても明らかでありますが、今、数字的に労働賃金を比較してみますると、アメリカ人の時給の最高が二千二百五十六円六十銭、最低が三百七十五円六十銭、フィリピン人の最高が五百九十円四十銭、最低が百四十四円であり、沖縄人は、これらに対して、最高がただの七十五円、最低が二十八円五十銭であります。換言すれば、沖縄人はアメリカ人の三十分の一ないし十三分の一であります。ここでお断わりいたしておきますが、物価は内地の倍以上もしておるのであります。このように、奴隷のごとく駆使されております沖縄人の数は六万三千八百人に上るのでありますが、これらの人々は、軍用地のために耕地の四四%を失った住民の八〇%に当る人たちであります。
次に、軍用地問題につき一言言及したいと存じます。その一例として、宮城盛蒲さんという今年六十四才の人について申し上げますと、この老人は、戦前には五千坪余りも持っておりました、沖縄では裕福な農家でありました。ところが、敗戦と同時に、千四百坪がアメリカ軍の兵舎用地として接収され、昭和二十七年には残りの三千六百坪が全部接収されてしまったのであります。幸いと申しますか、そのうち兵舎の用地とされておりました箇所は二十六年十月に宮城老人の手に戻りましたが、ただいま提案者のお話にもありました通り、兵舎の跡だけに、三尺のコンクリートが敷き詰められていたのであります。この宮城老人は、このコンクリートの土地を、その後三年間の歳月を要して、九百坪近くをようやく掘り起して、わずかに生計を立てておりますが、もちろん、土地の接収に際しては、離作料も移転料も何一つ補償がなされておりません。宮城老人は、今なお涙と汗の開墾の手を休めず、毎日つるはしをふるっているのであります。こうした軍用地に接収されました土地に対する補償のうち、平和条約第四条並びに第十九条によりまして、講和前のものにはアメリカは補償いたしませんが、これはもちろん政府において当然補償すべきものであろうと思います。平和条約発効前の米軍の使用による土地等の損失補償額は相当多額のものでありますが、この平和条約発効前の補償につきましては、政府は、一日も早く実情調査の上、必要な国内的措置を至急講ずべきものであろうと思います。(拍手)現在沖縄における軍用地は一万六千三百町歩で、耕地総面積の一二・七四%に相当するのでありますが、今また、さらに一万二千町歩が新規に接収されるとのアメリカ軍当局からの発表を見ておるのでありまして、沖縄の人たちは戦々きょうきょうたるものがあります。
この接収につきましては、土地収用告知管とか、土地所有者との合議によってなどとアメリカ側では申しておりますし、不服の際には訴願をなさいなどと、親切な言葉を申しておりますが、実際は、平和条約発効後接収された土地が相当ありますけれども、いまだ訴願に対する一回の審理もやったためしがないのであります。しかも、これらの接収土地に対しましては、坪当り平均年わずか六円九銭であります。沖縄では、メロン等の高級くだものを栽培すれば年間の収益は五百円もあり、大根やカボチャ等の普通野菜を作りましても年間百円の収入があるのであります。ところで、国有、県有の土地をアメリカ軍が管理しておりますが、それらの土地を沖縄の同胞に貸し付ける場合には、一坪当りの賃貸料は百八十円でございます。自分が借りる場合には六円九銭、貸す場合には百八十円という数字でございます。さればこそ、沖縄の住民は草ぶきの掘立小屋に家畜も同然な生活を送らざるを得ないのであります。しかも、人口稠密の度は日本内地の二倍以上でありまして、一平方キロ四百四十三人という驚くべきものであります。そのため、内南洋に移住を希望する沖縄同胞の数は二万数千人といわれ、これらの人たちは以前内南洋に居住していた人の九四%でありますが、この問題に対しても、政府は、アメリカ政府に折衝し、あっせんの労をとるべきであると私は考えるのであります。(拍手)
アメリカにおける最も権威ある雑誌フォーリン・アフェアーズ誌の編集局長アーム・ストロング氏は、同誌の本年一月号に、現在アメリカの管理下にある沖縄、小笠原諸島の行政権を日本に返還すべしと主張し、鳩山内閣は、防衛政策に対する国内の批判を緩和する方法として、安保条約による権利義務の観念をアメリカと対等とするのみならず、アメリカが目下保有している諸島についても譲歩することを要求するかもしれない、ソ連との交渉をうまくやっていくためには、これら諸島の行政権を日本政府当局に返還すべきである、と述べているのであります。(拍手)また、本年四月十五日付ニューヨーク・タイムス紙は、その社説において、アメリカの沖縄管理について日本の完全かつ明白なる了解のもとに沖縄に駐留することの必要性を強調し、それらの地域に対し、さらに弾力性のある政策をとるよう主張して、次のように論じております。すなわち、沖縄人と日本人の大半は、沖縄を含む琉球諸島に関する主権は日本に返されるべきだという、深く根をおろした感情を抱いている、われわれは、おそかれ早かれ、この問題と取り組まねばならないであろう、それゆえ、今からこの問題について考えておくのが賢明であろうと説き、もしわれわれが日本の完全かつ明白な了解のもとに沖縄に駐留すれば、われわれは、日本だけでなく、アジア全域にわたっての政治的立場を強化することになるであろう、われわれがこの地域に対して弾力性のある政策を持っていることが示されるならば、国際情勢の面でも、われわれは有利となり、日本との間に将来起きるかもしれない摩擦も避けられるのであろう、と述べているのであります。
沖縄は、かつて大戦末期には全島が古今の戦史にまれに見る激戦地となり、この世の修羅場と化し、住民は、老いも若きも、ほこをとって戦ったのであります。かの「ひめゆり」部隊や、中学生や師範学校の生徒が鉄血勤王隊を作り、日本の必勝を念じ、日本万歳を叫んで死んでいった沖縄であることを、われわれは忘れてはなりません。(拍手)
この沖縄に当面する重要問題として、軍用地問題、人権擁護問題、教育問題等々、急速に解決を要する案件が山積しているのでありますが、これらの諸問題は、沖縄住民のみの力だけではどうにもならないところに追い詰められてしまったのであります。(拍手)
次に、小笠原諸島につきまして一言いたしますが、全住民の七千七百余人は、昭和十九年、旧日本軍の強制分散疎開命令を受けまして、日本内地に移住を余儀なくせられ、今日に至っているのでありまして、これらの同胞は、アメリカのために、いまだに島に帰ることさえ許されず、今ではなつかしい故郷を失い、その生業たる農業も漁業も、その営む道を奪われているのであります。しかし、これらの難問題も、施政権が日本に返還されることによって、その大部分が一挙に解決でき得るものと信じます。さらに、また、この問題解決の成否は北海にある島々の帰趨にも重大なる意義を持つものであることを知らねばなりません。(拍手)
政府は、一面、国内的措置を一日も早く講ずるとともに、アメリカ政府に対し、すみやかに施政権回復に関し外交折衝を推し進め、沖縄や小笠原諸島八十万同胞のため心血を注いでこたえるべきであります。
以上をもちまして私の賛成討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/42
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043・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/43
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044・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
この際外務政務次官から発言を求められております。これを許します。外務政務次官森下國雄君。
〔政府委員森下國雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/44
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045・森下國雄
○政府委員(森下國雄君) 沖縄及び小笠原両諸島の施政権については、政府はかねてからその返還について鋭意折衝を行なってきたところでありますが、今後も、この決議の趣旨に沿いまして、そうの努力をいたす所存でございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/45
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046・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) この際暫時休憩いたします。
午後五時十七分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102405254X06119560602/46
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