1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月六日(火曜日)
午後二時十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 左藤 義詮君
理事 仁田 竹一君
片岡 文重君
早川 愼一君
委員
有馬 英二君
岡田 信次君
平林 太一君
三浦 義男君
三木與吉郎君
大倉 精一君
国務大臣
運 輸 大 臣 吉野 信次君
政府委員
運輸政務次官 伊能繁次郎君
運輸省船舶局長 山下 正雄君
運輸省船員局長 安西 正道君
運輸省自動車局
長 山内 公猷君
運輸省航空局長 林 坦君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
運輸省自動車局
整備部長 津守 巧君
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本日の会議に付した案件
○臨時船舶建造調整法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○道路運送車両法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○運輸事情等に関する調査の件
(春季闘争に関する件)
○船舶職員法等の一部を改正する法律
案(内閣提出)
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001・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) これより運輸委員会を開会いたします。
まず、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/1
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002・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それでは、提案の理由を御説明申し上げます。
現行の臨時船舶建造調整法は、戦後のわが国商船隊再建のため船舶の建造について調整を行う必要上制定されたものであります。本法の有効期間は昭和三十二年三月三十一日までとなっておりますが、さきに政府が樹立いたしました経済自立五カ年計画に基く計画造船の円滑な遂行をはかるため、現行法の有効期間を昭和三十六年三月三十一日まで延長したいというのがこの法律案を提出いたすゆえんであります。
戦後わが国商船隊の再建につきましては、臨時船舶管理法によりまして建造の許可制度が行われておりましたが、同法は昭和二十八年四月二十八日限りその効力を失いましたので、これにかわるものとして同年八月一日、現行の臨時船舶建造調整法が公布せられ今日に至った次第であります。
翻って本法制定の理由を考えてみまするに、戦争によって崩壊したわが国商船隊の急速なる再建整備は、わが国経済の自立達成のための欠くべからざる要件でありますので、政府といたしましては、船舶の建造のため財政資金の投入、市中資金のあっせん、利子補給及び損失補償制度の確立等の方途を講じているわけでありますが、その船舶の建造につきましては、真に国民経済の要請に適合するよう、種々の観点より検討の上調整し得る権能を留保することが必要と考えられるのであります。これはまた貴重な資金の有効かつ合理的使用という見地から申しましても、日本開発銀行を初め金融機関の建造融資に対する政府の助言と協力の体制として十分有効な機能を発揮しているものと考えられます。
さて、政府が新船の建造につきどのような判断を加えるかと申しますと、緊急に整備を要しまする航路の制定とか、当該航路におきましての適正な船腹量の決定とか、商船隊再建の方向とか、あるいは海運業なり造船業なりに対する一般的な政策面の考慮等でありますが、このような判断による必要な調整によりまして、商船隊の再建整備の円滑な遂行が得られるのであります。
右のごとき本法制定の事情より見まして、本法の有効期間を経済自立五カ年計画の終期でありまする昭和三十六年三月三十一日まで延長することが、最も妥当かつ必要と考えられるのであります。ことに最近の世界的な船舶建造意欲の高揚に伴い、わが国造船所における輸出船受注は飛躍的に増加し、このため国内船舶の建造余力は漸次縮小しつつありまして、このままに推移いたしますると、経済自立五カ年計画による船腹拡充計画の円滑なる遂行に支障を生ずるおそれもなしとしない情勢であります。
このような事情を勘案いたしますと、現行法の有効期間の延長は、わが国際海運のためにぜひとも必要といわなければなりません。
以上をもちまして提案理由の説明を終りたいと存じますが、何とぞ慎重御審議のしすみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/2
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003・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 本法案に対する質疑は次回に譲ります。
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004・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 次に、道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、御質疑を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/4
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005・大倉精一
○大倉精一君 この提案理由の説明を見ますと、二百円を三百円に値上げする理由として、自動車が大型化した、構造装置が複雑化した、だから検査も複雑化した、こういう工合に書いてありますが、これはそれだけ、二百円を三百円にするに値いするようなそういう手数が、実際問題としてかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/5
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006・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) これは御指摘の通りでございまして、型の違いにより液して、原価計算をいたしますと手数がかかりまして、そのために二百円を三百円にいたしたわけでございます。御承知の通り、行政手数料というものは幾らにしなければならないという規則はございませんが、従前の例で申しますと、もちろんこれによって利益を得るということは、政府の行政行為でございますので、そういうことは考えていないわけでございます。その原価を償うに足りる程度のものをもって手数料にするという一応財政的な原則がございますので、そこの間に非常に開きができましたために、原価計算に近い手数料だけを上げたというのが、今度の改正をお願いいたします趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/6
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007・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、特に従前二百円であったために不便であった、あるいは不都合であったという点はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/7
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008・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) これは一般普通予算の関係でございまして、収入に見合っただけの支出をするという建前ではございませんので、収入がなくとも支出をふやすということも可能でございますが、一応手数料的なものは原価に近いというものをやるのが財政上必要であるという見地に立ったためのものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/8
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009・大倉精一
○大倉精一君 なお臨時運行許可手数料でありまするが、これが五十円を百円に値上げするという理由の中に、許可証の乱用防止の一助としたい、こういうようなことがあるのです。五千円を百円にするということによって許可証の乱用を防止するという、そういう実際の効果が出るものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/9
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010・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 臨時運行手数料五十円というのを百円にしたわけでございますが、一応五十円を百円にいたしましたことは、各市町村から非常に安いために困るという要望がありましたのも一つでございますが、あまり安過ぎると、何といいますか、そういったものを大事に使わないということもございまして、あるいは五十円が百円になったからそれを大事にするということはないかもしれませんが、気持といたしましては、この乱用といいますか、もう少しこれを慎重に取り扱ってもらわなければならないという気持も一部入っております。まあ百円に上げましたのは、実は今言いましたような、手数料と経費が見合わないという点を非常に大きな原因として取り上げましたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/10
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011・大倉精一
○大倉精一君 最近私はこういうことを仄聞しているのですが、たとえば東京都内の単体検査のような場合に、非常に人手が足りないというようなことから、検査実績はきわめて不十分である。ことに小型車あたりはブレーキが完全にきかないのがたくさん表を走っているということを聞いているのですが、そういうような実情はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/11
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012・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 安全の場合に一番われわれ重視いたしておりますことは、車検を厳重にするということが、車両の物的な損害を防止する上におきまして、一番重要だと考えておりますために、この車両検査ということにつきましては、常に自動車行政の非常に中心的な命題といたしまして、努力して参ったわけでございます。御指摘のように、現在車両検査に当っております人員が十分であるというほどは、私の方も自信はないわけでございますが、この点につきましては、昭和二十四年以来数次の行政整理がございました。その際にも、この現場的な車両検査あるいは登録事務という人員は、極力われわれといたしましては減らさないように措置して参ったわけでございますが、それ以上に車両のふえ方が多い、いわゆる仕事の自然増が多いというために、ある程度人手不足は免れないわけでございますが、運輸省当局といたしましては、それは漸次機械化して能率を向上するという意味におきまして、また車両検査というものを科学的にするということを念頭に置きましてやって参ったわけでございますが、やはり絶対的な人手不足は免れませんので、三十年度におきましては三十六名の常勤労務者を増員し、三十一年度におきましてもさらに三十六名の常勤労務者の増員によりまして、今後ともこの面におきましては人手も機械も充実いたしまして、御指摘のようなことのないように、車両検査だけは十分いたしていきたいというふうに努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/12
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013・大倉精一
○大倉精一君 今の御説明によるというと、車体検査に関する人員の面あるいは検査の面からいって、必ずしも十分ではないという現状を御認識のようですが、最近非常に都内においても交通事故が多い。警視庁あたりでも、交通事故の防止に万全を期して努力している。それと同時に、やはり運輸省においてもそれに呼応して、車体検査については万全を期さなければならぬ。これは一つ間違うというと、人命にかかわる重大なことでございますので、特に最近のように、東京都内を走るタクシーなどを見ますと、まことに危険な状態にある。その場合に車体検査が不十分である、そういう現状にあるというようなことから、交通事故が起き、人命をそこなうということになったら、大へんなので、それに対する今の必ずしも十分でないという認識から、今後の対策について、ありましたら一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/13
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014・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) ただいま申し上げましたように、人員の面におきましてもふやしたいと思っておりますし、三十一年度におきましては、いわゆる施設費は、ただいま御説明いたしました上うた市検場の拡張あるいは車検用の機械器具というような各般のいわゆる物件費の面におきましても、今般御解義願っております三十一年度予算が御承認を得ますれば、三十年度に比べて四割程度ふやしてもらう。これは今までのうちでは一番多いふえ方ではないかと思いますが、まず第一に機械化をできるだけ推進いたしまして、人手の少いところを補っていく。三十一年度の予算は一応三十六名ということになっておりますが、ただいま申し上げましたように、われわれはそれで満足しておりませんので、車両数の増加というものは非常に画期的に伸びる傾向がございます、それに対処いたしますためには、今後とも大蔵省当局とも折衝いたしまして、その面の充実をはかりたいというのが、実務的なわれわれの持ち合せておる考え方でございまして、制度的には、安全性というものをさらに確実にいたしますために、まだ御提案申し上げておりませんが、道路運送法の一部改正というものを考えまして、これは主として従業員の方々、あるいはそれを使っておられる方々、あるいはわれわれがどうこの安全の面において安全行政を推進していくかという点につきまして、さらに法的な整備も十分いたしますとともに、もしもまたその法案が御承認を得ますれば、各陸運局及び陸運事務所を通じまして、十分な安全の面における各般の措置を行政的にも組織を整備いたしまして、とっていきたいと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/14
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015・大倉精一
○大倉精一君 今の後段の作については、その法案が出たときあるいはその機会にいろいろ申し上げるとして、なお先回の国会においてもちょっと問題となったのですが、各陸運じ務所ですか、事務所においては民間人が相当人っておる。これは否定的なことを言われておったのですが、その後調査してみると、相当の民間人がやはり陸運事務所の中に入って、事務所の仕事を手伝っている。建物等におきましても、民間の建物を借用しておるような場所も相当ある。だから、現実の面において、肝心の現業の事務所あるいは現場においては人手が足らぬ、事務所は非常に不便で設備がないというようなことで、非常に困っておるようなんですが、そういうような現状はどうなんですか。相当民間人が入っておると思うのですが、お調べになったことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/15
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016・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) この点につきましては、そういう話も聞かないわけではないのでありますが、私就任いたしましてまだ日が浅いので、具体的にどういう状態になっておるかということはきわめておりません。私としてはそういうことはないということを望んでおるわけでございますし、また今後も行政措置においてそういうことのはないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/16
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017・大倉精一
○大倉精一君 行政措置によってないようにしたいと言われるのですが、実際今の現状において、民間人の協力を急に一ぺんに廃止してしまうということになると、現実の面において現場の運営ができないという状況にあると私は思うのですが、そういう心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/17
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018・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 陸運局、あるいは事務所も、いわゆる行政の仕事をやっておりますので、もしもそういうことがあるといたしましても、行政の面において民間の方々にお手伝い願っているということはないのではないかと考えております。ただ行政の補助的な面におきまして、たとえば登記役場といいますか、そういうところで代書というような仕事がよくありますが、そういった面の書類の進達の場合に、あるいは業界の便宜のために、業界の代表の方々がここに来て業界の方々を指導する、書類を作るというようなことも、あるいはあるかと考えておりますが、その点に関しましてはまだ十分調査しておりませんので、実情を十分取り調べた上善処さしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/18
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019・大倉精一
○大倉精一君 これはこの前の国会で問題になって、そういう陸運事務所が自分でやらなければならぬ仕事を民間人にやらせるのはけしからぬじゃないか、さっそく調査して善処するというような御発言があったと思いますが、その後何ら手をつけておられぬように思う。これはさっそく調べていただいて、その実情を一つ報告してもらうとともに、これに対してどういう工合に指導をしていくか、これは至急一つこの委員会に報告をしてもらいたいと思います。
これは登録的な仕事だというふうにおっしゃるのですが、私は四谷の事務所へ一回見に行ったことがあるのですが、相当混雑をきわめて、そうして当然これは事務所でやらなければならぬことを、ここに民間人を雇っている。そういうような人件費その他の費用は、全部業者が負担する。まことにどうも権威がないと私は思っている。そういうことについて一つぜひ早急に善処をして、これは結論としては、やはり必要な人員をそこへ入れるほかないと思いますから、そういうように一つお願いをしておきます。その点について、大臣、どうです、これはだいぶ前からの問題ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/19
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020・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) お話の通りでございます。そうしなければならぬと思いまして、私も研究しておる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/20
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021・平林太一
○平林太一君 これらの手数料の引き上げによる三十年度の国の予算と増収ですね、そういう差はどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/21
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022・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 総額約八千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/22
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023・平林太一
○平林太一君 それは二百円を三百円にし、五十円を百円にする、それによる増額が八千万と、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/23
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024・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 全体で、ただいまお話のありました総額が八千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/24
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025・平林太一
○平林太一君 そうすると、三十年度の既存の検査料ですと、どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/25
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026・津守巧
○説明員(津守巧君) 三十年度におきましては、件数が少いために、約三億八千万円、検査登録関係全部の手数料で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/26
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027・平林太一
○平林太一君 そうすると、その計数は三億八千万円であり、さらに八千万というと、四億六千万円、これが三十一年度で予定されると、こう解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/27
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028・津守巧
○説明員(津守巧君) 三十一年度におきましては、自動車の両数増加に伴いまして件数も少しふえますので、その件数とそれから手数料植上げを両方考えますれば、もう少し上ると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/28
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029・平林太一
○平林太一君 そうすると、その概算はどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/29
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030・津守巧
○説明員(津守巧君) その両方勘案いたしまして、約五億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/30
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031・平林太一
○平林太一君 これらの手数料値上げに対しては、この法案の提出前に、当該業者である組合、協会というようなものは、これはあるいは承知しておりますか。それらに対しまして説明及びこの意見を徴したような経路があるかどうか、そこのところ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/31
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032・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) その点につきましては、各協会に改正案を提示いたしまして、了解を得ております。ただ了解を得ておりましても、上ることでございますから、積極的に賛成の御意見がございませんが、やむを得ないとわれわれの説明を了承してもらっていると、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/32
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033・平林太一
○平林太一君 これらについては、なお施行に当っては、金額としては業者の持っておる、いわゆる誇大にいうと経済、そういう意味からいいましても、非常に何かそれは経常の上に支障を来たす、常識論でありますが。しかし施行の正確を期するために、またいわゆる業者の方の気分を害しないことが非常に大切だと思います。この法につきまして、成立して施行後に当って、協会等を代表する人も十分そのことを重視するように措置をせられることが必要だと、かように思っておりますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/33
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034・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) ただいま御指摘の点は、ありがたく感謝し御礼を申し上げる次第でございますが、われわれ当初からこういうことにつきましては、現在自動車業界というものが相当経済的にもそう豊かでないという実情を知っておりますので、業界に、私どもといたしましては、懇切に十分御説明をいたしましたし、その結果、業界の方も十分御納得のいった上で、国会の御審議を願っておる次第でございます。ただ具体的にどう実施するかということは、ただいまの御指示にありましたように、実施する面におきましても十分御理解を願った上で、ただいまの御指示に従いまして行いたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/34
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035・平林太一
○平林太一君 その点は了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/35
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036・大倉精一
○大倉精一君 この件は大体御説明でわかりましたが、私どももやっと事情を一応調査してみたいと思いますので、その結果再質問をするかもしれませんので、お許しを願いたいと思います。
それから大臣がおいでになる間にお伺いしたいのは、いわゆる寿幸闘争の問題についてお伺いしてみたいと思います。先般大臣はこの委員会におきまして、調停案は早期に出ると、来週早々に出るだろうという言明がありましたが、その後ずっと調停案が出るのがずれて参りました。これはいろいろ事情があるにいたしましても、ともかく調停案が出た。そこで国鉄の方はこの調停案を受講して円満な交渉に入りたい、こういう意向でいるようですが、政府はこの調停案を拒否するという態度に出てきた。こういうことで、せっかく調停委員会が苦労したことが水泡に帰するような事態が起きぬとも限らない、こう憂慮されるのですが、この調停案に対する政府の考え方ですれ、拒否される理由等について、この際御説明が願えればけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/36
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037・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) まだ、政府は正式に拒否するとも何とも、態度はきめておりません。今の段階は、国鉄の方は御承知の通り、調停案が示されまして、このうち、国鉄の組合の一部はこれを拒否する、一部は、新聞の伝うるところによれば、これに応ずるやに伝えられております。それから政府は、まあ私は運輸省ですが、政府全体としては、そのほかに郵政の問題も残っているわけです。ただ運輸省の責任者として、ともかくこれはやはり双方の間の、経営者と労組の間の団体交渉というもので、今せっかく調停の段階に入っておるものですから、まだこれをのむかのまぬかということは、国鉄側のまだ正式の意思表示というものに、報告に接しておりません。
私としては、これは調停というものの性質から申して、あまり早く、政府というものはそれに対して私は介入すべきものでないと思います。やはり組合というものの力で経営者との間にもみ合うのが一つの調停の段階でございますから、もうしばらくその経緯を見た上で、必要があれば、政府は政府の意見というものをもって、国鉄側に伝えるという段取りだろうと思います。まだ何とも、それをのむとものまぬと毛、私どもとしては決定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/37
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038・大倉精一
○大倉精一君 特に今度の春季闘争において国民の心配しておることは、運輸関係、ことに国鉄の関係の事態がどういうふうに進展をするかということについて、非常に大きな関心を持っておると思う。そこに調停案が出まして、国鉄の方では、新聞の報道によれば、すでに態度もはっきりと明確に表明をして、新聞に発表をしておる。国鉄の委員長がみずから新聞に発表をしておる。とするならば、政府としても、もう国鉄労働組合の調停案に対する態度というものはあるはずだと思う。ですから、経緯を見ておるといいますが、大体調停案というものが出たならば、調停委員会の努力なりあるいは権威というものは、尊重しなければならないと考える。従って、ここで政府としてもこの調停案に基いて自後の事態収拾をはかるという態度をおきめになるのが、私は至当ではないか。国民の方では望んでおるのではないか。それで今運輸大臣が経緯を見てとおっしゃったんですが、その経緯というのはどういうような意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/38
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039・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) その点に対しては、少し私、大倉さんと意見が違うかもしれません。ともかく調停があり仲裁があるのですから、最後の段階が、仲裁がきまれば、これは政府としても尊重しなければならないのは当然です。まだ両当事者の間のもみ合いの最中でありますから、その途中において政府がこれにみだりに出ない方がいいというのが、これが私の見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/39
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040・大倉精一
○大倉精一君 これは見解の相違は、私はここで議論をしても始まりませんが、もみ合いの段階だとおっしゃるのですが、もみ合いの足場というものが調停案というものによってできたわけです。それで調停案を拒否するなら、もうもみ合いもへちまもないわけです、拒否するなら。今まで申し上げた、今までのままでずっと行くということになるでしょう、もう調停案を無視することになるのですから。ですから、もみ合いということになると、政府としても調停案を尊重しておられる。やむを得ない場合に仲裁裁定委員会にかけるという格好になるのだと思うのですが、そうするならば、やはり調停案というものに対して政府の態度をきめてもらわなければならぬと思うのですが、政府は大体仲裁裁定によって決定しよう、こういうようなお考えがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/40
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041・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) いや、政府は別にそうだということじゃないのですけれども、今申し上げましたような、調停というものは、一つの段階なんですから、それだけでもってこれを万事終局的に終るというような手続にはなっておらぬわけです。その上でもって、私は経過を見ておると、こう申し上げた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/41
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042・大倉精一
○大倉精一君 どうもわからぬところがあるのですが、経過を見た上でというのは、どうも私はわからない。それで、調停案というものは出た。それを政府として、別に運輸省としてこれを拒否して、その仲裁裁定に持っていこう、というような方針なのかどうか、あるいは国鉄労働組合がああいう態度をきめておるから、それに即応して、この調停案に基いて一つ団体行動できめ合っていこう、その方針がおありになると思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/42
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043・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それは国鉄側の出方なんです。運輸省は運輸省の、責任ある監督官庁としては、今の段階では、これに乗り出して、仲裁裁定に持っていったらいい、持っていかない力がいいということを言う段階ではない、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/43
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044・大倉精一
○大倉精一君 監督官庁としたら、国民の生活に、経済に非常に大きな影響を及ぼすこういう問題ですから、当然これは運輸省としても監督官庁としての責任があると思います。これは国鉄の問題である、そういう意味合いで私はお伺いしておるのですから、これ以上お伺いしても、おそらく大臣としてはお答えはできないだろうと思いますから、とにかく春季闘争の国鉄に関する限り、あるいは運輸省に関する限り、調停案というものができまして、一つの段階がここで来たのですから、この段階によってこの事態をすみやかに一つ解決する、こういうような方向に運輸省として進んでいただきたい、この点御了承願いたいと思います。そういうお考えがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/44
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045・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私も、ここでできるだけ早く一つおさめたいということは、大倉さんと同じことであります、その点に関しましては。ただ、それから先は今申し上げない方がいいと思いますが、新聞だけのことですから……。国鉄の組合の方では、これはこれである、闘争はさらに輪をかけてとは言いませんけれども、さらに闘争は闘争として継続するのだ、こういうような、公式の声明であるかどうかしりません、新聞だけのことですから……、そういうこともありますものですから、そこで私は急速に一時妥結をして、国民に迷惑のかからぬようにするという心持においては、少しも大倉さんと変りはない。ただ、今の段階において、そういう情勢のもとにおいて、私ども実はそういう点について悩んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/45
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046・大倉精一
○大倉精一君 ちょっとつけ加えられたのですが、つけ加えられたことについて私少し意見を申し上げたいのですが、私は国鉄の組合諸君と直接話したのではないので、旅先であの新聞を見たのでありますから、真意はわかりませんけれども、新聞を見ますというと、大体政府はこういう態度で来るだろう、仲裁裁定へ持ち込んで来るのだ、だから、われわれは内容について不明確なところがあって不満であるが、ここで受諾したいのだが、政府はそういう仲裁裁定に持ち込んで来るという態度であれば、春の態勢は持続しなければならない、こういうふうに言っておると私は思うのですが、そうすると、国鉄の態度というものは政府のあいまいなる態度によって、さらにそういうふうな方向に向わせておるように私は思う。そこで、ここでやはり繰り返すようですけれども、政府があの調停案に従って解決をはかるという態度をとるようにすれば、さらに闘争を激化するということは、常識からいっても、あり得ない。この辺がちょっと食い違っておるようなんですが、そういうふうにお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/46
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047・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) そこを申し上げますと、さっき申し上げました通り、これ以上申し上げない方がいいと申し上げたのですが、なかなかいろいろ、情報でございますから、大倉さんには大倉さんの情報があり、私には私の率直に申せば情報がございますので、大倉さんがそういうことを前提とされておっしゃるのも、またそこに一つの考え方があろうと思います。また違った情報というものがあるわけでございまして、そこらが、今こういう席でこれ以上のことは私として申し上げない方が、私もよかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/47
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048・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 道路運送車両法につきまして、なお御質疑ございませんか。
大倉委員、なお調査の上でということですが、次回の委員会まで一つ考えて、なるべく質疑を終りたいと思いますから、これは保留しておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/48
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049・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 次に、船舶職員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/49
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050・片岡文重
○片岡文重君 この船舶職員法の一部を改正する法律案ですが、前回これを延期するときには、たしか秀麗院の、つまりここの運輸委員会で、二度と延期をしなくてもいいように政府において十分な措置を講ずべきであるということを、たしかここにおられる岡田委員からの御提案でなされておったと思うのですが、これをそれにもかかわらず再び延期をしなければならないということは、どういうところから来るのですか、その点を一つ御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/50
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051・安西正道
○政府委員(安西正道君) この二年ばかり前の本委員会におきまして、遠洋かつお・まぐろの特例法の適用の二年延長に関しまして、御審議を願いました際に、二年後には、すなわち本年の三月二十二日以降におきましては完全実施をするということな、実はお約束申し上げたわけでございます。そのために、政府といたしましても、職員の教育その他いろいろと手を施して参りましたけれども、何分にもカツオ、マグロ漁業の漁業区域が遠くインド洋や豪州方面にまで拡張いたしまして、その間漁船の数もふえて参りましたし、また漁船も漸次大型化いたして参りまして、最近の情勢におきましては、とうていこの完全な実施をいたしましては職員の充足ができない。従いまして、もしこの機会におきまして完全実施をいたしますと、カツオ、マグロ漁業の一部がとまってしまうというような陳情もございますので、延期することにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/51
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052・片岡文重
○片岡文重君 今おっしゃられたような理由でこの前は延期されたのでしょうから、その延期をされて、今年の三月二十二日までの間に、再びそういう事態を起さしめないように、政府としては具体的な措置を講じて、既得権者が不当にその既得権を失うことがあったり、あるいは遠洋漁業に従事する船が出られたくなるというようなことのないように措置をすべきである、こういう意味の本委員会の決議がなされておったのですから、その決議の趣旨に沿うて具体的な措置がなされておったとするならば、今お話しのような事態はすでに解消されておったと思うのですけれども、それがさらに延期をしてほしいということになると、その措置がなされておらなかったのじゃないかというふうに考えられるのですが、具体的な措置としてはどういうことをされておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/52
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053・安西正道
○政府委員(安西正道君) 二年前に本委員会におきまして完全実施の決議がなされましたので、政府当局といたしましても、直接船員の方々及び関係の業界の方々に呼びかけまして、できるだけ多数の方々に国家試験を受けるように、そうして資格をとるための教育を行うように、いろいろお願いして参ったわけでございます。また政府といたしましても、昭和二十九年より船舶の職員養成の講習会に対しまして約二千六百二十万円、このうち運輸省関係は機帆船であるとか、そういった小型の船舶でございますが、五百七十万円、また当面問題になっておりますカツオ、マグロ漁船を対象といたしまして、水産庁関係が二千五十万円ばかりの国庫補助を行いまして、延べ六百七回の講習会を開催して参ったわけでございます。また船舶職員法の運用におきましても、試験の場所と回数を増加いたしまして、できるだけたくさんの方々に多くの機会に試験を、受け得るチャンスを、門戸を開くように努力をいたして参っております。また漁船につきましても、これは内燃機関の機関長及び機関士の免状につきましては、内燃機関という限定された免状を認めまして、従来は乙種機関長以下の者についてしか内燃機関の特殊免状を認めておりませんのを、甲種一等機関士にまで増加いたしまして、内燃機関を有する船舶の上級機関士の充足を容易ならしむるように努力して参ったわけでございます。
また試験の実施方法につきましても、実力がありながら筆記が下手であったり、あるいはまた口述が下手であるというような方々のために、できるだけいろいろの角度から実力をテストして、そうしてできるだけ合格させるようにというので、努力して参ったわけでございます。
以上諸般の措置をとって参ったわけでございまするが、先ほど申しましたように、何分にもカツオ、マグロ漁業の発展が著しいために、その情勢に追いつけなかったということ、それからもう一つは、これは地方の水産学校やあるいはまた水産講習所等について、主として航海につきましてはすべて教育部門がございまするが、中にはエンジンの部門のないものもございますので、できるだけそういった部門を設けるように勧奨して参ったのでありまするが、なかなか思うように参りませんで、今日に乗ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/53
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054・片岡文重
○片岡文重君 前回の改正前のままの諸君が、今まあ船に乗っておられるわけですが、それらの諸君が試験も受けずに、従ってまた特殊な講習も受けたいで乗っておって、そのために事故を起した、つまり船舶職員法の正規の資格を持たないで、この経過措置による資格だけで乗っておったために、事故を起した、こういうようなことが実際に今まであるのですか。もしあるとすれば、一体何件くらいそういうのがあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/54
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055・安西正道
○政府委員(安西正道君) 丙免状のままに漁船に乗り組みまして、事故がどのくらいあったかという点につきましては、実ははっきり内訳を調査することはできないわけでございまするが、しかしながら特にそれによって海難の状況が多くなったというようなケースはないことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/55
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056・片岡文重
○片岡文重君 丙免状で乗っておったために事故を起したということがないということになれば、少くともこの法の改正前の資格で現に乗っておる者について、なお特別な措置を講じてまで、しかも相当年齢も進んで、筆記等あるいは法規の勉強等に相当な困難を覚えるような諸君が、長年の経験をもととして、まあ非科学的かもしれませんが、六感的な技術によって、事故もなく困難な海洋業務に従事することができるのだということが実証されておるとすれば、そう政府が委員会の決議をすら無視しなければならないほど講習困難な事態を押してまで、この法律をさらに改正していくということは必要ないのじゃないか、こう思うのですけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/56
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057・安西正道
○政府委員(安西正道君) 政府の考え方からいたしますと、船舶は何分にも貴重な人命を預かっております。従いまして、できるならば高い種数の免状受有者を船舶に乗せまして、一そう船舶の海難の防止をするという必要があることは、言うまでもないと考えるのであります。ことに先ほど申し上げましたように、遠洋カツオ、マグロの漁船が遠くインド洋や豪州近海にまで出漁しておるというような状況でございますので、でき得れば高い程度の免状を与える必要があると考えるのでありまするが、しかしながら現在の船舶職員法の本規定と申しまするか、暫定でないほんとうの規定は、また現作のカツオ、マグロ漁業の現状から考えますと、あまりに理想が高くきめ過ぎたきらいがあるというように考えております。従いまして、その以外の問題もございまするが、私どもといたしましては、現在の臨時特例法を一年半ばかり延期さしていただきまして、その間に現状に即するような資格定員表を作りたいというように考えて、この法案を提出することにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/57
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058・片岡文重
○片岡文重君 船も大型だし、航法も高度になってくる。それからカツオ、マグロ漁船等についても、そういう面ではやはり高度になってくる。ですから、これに対して高度の海技免状を有する船員を必要とするということは、異論のないところでありますけれども、現に従事しておる諸君をどう扱うかということがこの法案の骨子になると思うんですが、その場合に、すでに前回経過措置も定められ、そして最初の決定期間では措置がとれなかったからということで、二年半でしたか三年間でしたか延期しておる。しかもその延期の間に、なおこのすでに乗っておる諸君を法定基準にまで引き上げることができなかった、しかもそれで事故は起らなかったということであるならば、その人たちのためになおこの法律を改正してまで、そういう資格をとるために苦労をさせなくともいいのではないか。むしろこれから新たに乗り組む者についての制限をするということならわかるけれども、現に豊富な経験と、豊富な経験から生まれる六感的な操法によって従事しておって、しかもそれで事なく行っているということであるなら、こう不体裁といいますか、権威のないような措置を再々繰り返す必要はないでははないか。
しかも、今までにこれが十分になされなかった実情等をしさいに検討してみれば、今ここで二年や三年延ばしてみたところで、この古い、特に相当な年齢に達しておるような人たちは、果してこの法定通りの救済ができるかどうかということになると、これははなはだ疑問だと私は思うんです。そうすると、そのときになってまた同じような手続をして延期をせざるを得ないであろうということになるんじゃなかろうか。そういうことをされるのならば、むしろこの際、そういう延期々々で先へ延ばして苦しめなくともいい人達に——まあ苦しめるという言葉が妥当かどうかわかりませんけれども、少くとも、そのしなくともいい苦労をさせて、法律だけを守っていくというやり方でなくともいいのではないかと、こう思うのですけれども、政府としてはやはりどうしても、もう一ぺん延期をしてもらえば、その期間には必ずこの法定の水準にまで資格がとれるように、講習し得るという確信がおありになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/58
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059・安西正道
○政府委員(安西正道君) 御趣旨きわめて同感でございます。職員法はまあ航行安全の確保という目的がございますが、同時に、また船に乗り込む人たちの失業問題であるとか、あるいは既得権の問題とかいうようなことを十分尊重していかなければならないと考えております。で、本法提案の理由も、実は大臣から提案理由の説明のときに御説明申し上げましたように、この一年かけまして一つ実情に適する資格定員表を作りたいと。そのために、現在の臨時特例法を一年延ばしていただきまして、一年猶予期間を設けさしていただいて、現状に即する資格定員に変えていきたいということでございまして、現在の本表をそのまま適用していくというようには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/59
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060・片岡文重
○片岡文重君 改正前近海と言われておった所が、この改正後には遠洋並みに取り扱われて、結局甲種の高度な免状を必要とするようになったわけですね。そういうように、すべてが、今までの水準から見ると、飛躍的に高度になってきておるわけです。ですから、そういう飛躍的な高度に追い着くためには、今までの船員諸君は相当な努力をしなければならぬ状態です。政府もそれを合格させるために相当具体的に努力をされたと、先ほど御説明があったのですけれども、それでなおかつ救済することはできないのだから、今後二年や三年延ばしてみたところで、とてもそれはできるとおそらく断言されることは困難ではなかろうかと思う。従って、この定員表をそのまま延ばすのでなしに、実際の状況に合うようにその内容を改正する、その改正するための準備期間としてとりあえず一年間を延ばしてほしいと、こういう御説明のようですが、そうだとすると、将来一年なら一年半延びる間に、このまま延ばすことでなしに、これから新たに船に乗り組まれる人たちは、この経過措置によって認められておる程度の低い方の海技免状でなしに、少くとも将来——というよりも、この法に定められておる程度の資格を持たなければ、もうこれからは乗れないのだと、こういう措置はとりあえずとってもよいのではなかろうか。よいのではなかろうかじゃない、むしろそうすべきであって、問題は、現に乗っておる既得権者にだけ問題を限らず、そうしてこれから再び同じような問題を起さないような措置をこの際とっておくべきではないか、この改正をするときに。そのことならば、別にそう準備の必要はなかろうと思う、これからの制限をするだけですから。そういう点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/60
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061・安西正道
○政府委員(安西正道君) 御趣旨はきわめてごもっともだと考えておりまするが、実は漁船の船員の充足というものは、なかなか私ども困難だと考えております。正規の教育機関も多数ございまするけれども、しかしああいった形態の漁船に乗り込むためには、なかなかこれは教育を受けたというだけでは乗り組み得ないと考えられるのであります。若いころから漁村の近くに住んでおる人たちであるとか、そういう方々がそういう教育機関を卒業して初めて漁船に乗り込み得るというように考えておりまするが、そういった面におきましては、商船等の場合とはだいぶ事情が違うと考えております。従いまして、実はこの一年半の猶予期間をいただきました理由といたしましても、現在の遠洋かつお・まぐろの特例法の程度よりは、この二年の期間にずいぶん漁業界の船員の素質も向上して参ったと考えておりまするが、他面、また現在の本規定を適用するまでにはまだ到達していないというふうに考えられますので、できるならば、現在の本規定と臨時特例法の資格定員とを彼此勘案いたしまして、漁業界の各方面の方々、あるいは船員の代表の方々、そういった方々と十分話し合って、一つ新しい定員表に切りかえてゆきたい、そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/61
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062・片岡文重
○片岡文重君 高度になってきて、その高度に進んでゆく程度と、現在の諸君がそれに追いつく速度とは、比例してないので、船員の進む方がおくれておるから、こういう問題が起ってくると思うのですね。そうすると、法律を一年伸ばしてみても、この一年間にこの経過措置で認められておる程度の諸君をどんどん乗せてゆくということになると、一年たったときにまた実情に即するように改正するということで、この本法に定められてある程度をぐっと下げてきめられるということならばこれは別ですけれども、おそらくそう、せっかく程度を高く定めたものを一ぺんの実施もしないで、思い切った低い程度に直すということは、おそらくでき得ない。そういうことになると、この再延長によって認められた期間に、新たにその船に乗り組んでゆく諸君が、この一年間の延期期間が切れたときに再び困難な事態にぶつかってくる。しかも今度はそれらの諸君をまた再教育しなければならない。その再教育というものは、今まで困難であったように、やはり困難になってくるであろう。そういうことを考えるならば、少くともこの際延期をするついでといっては何だが、とにかくこの法を一部改正するのだから、この際乗り組む者については、将来そういう問題を起さないようた程度の海技免状を持っておる者でたければ乗り組むことはできないのだ、こういうふうに規定をしておいたらいいんではなかろうかと思うのだけれども、その点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/62
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063・安西正道
○政府委員(安西正道君) 非常にごもっともだお話でございます。しかしながら、現在の本規定では、なかなかこれは現在の本規定の資格程度まで到達するのは容易なことではないと私は考えております。またこの一年半の猶予期間をいただきまして、あるいは現在の臨時特例法程度の資格定員表でいいんじゃないかということで、漁業界の方々が安心して現在の程度の船員をもって船に乗せるというようになる傾向があるのではないかというお話でございますが、これは実は漁業界の代表者の方々、それに政府の内部におきましても水産庁等と十分に打ち合せて、実はいろいろと現在、案もお互いにつぎ合せて検討中でございます。従いまして、漁業界の方々もそういったような現在の臨時特例法そのままが、次の国会に政府が提出する資格定員表になるとは考えていない、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/63
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064・片岡文重
○片岡文重君 そうすると、今度再延長の期間が切れて、本法がそのまま適用されるということでなしに、ここで再延長される期間が切れるまでには、実情に即するように資格定員表を直す。その直すということは、本法の程度ではあまりに高度になり過ぎておるからということであれば、イコール本法よりも相当しんしゃくされたものに定員表はなってくる、こういうことが言い狩るおけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/64
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065・安西正道
○政府委員(安西正道君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/65
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066・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 海上航行安全審議会というものはどういうような今事情になっておるのか、これが一向どうも結論を見ないのですが、どういう見通しをうけておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/66
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067・安西正道
○政府委員(安西正道君) 海上航行安全審議会は二十九年の七月にできまして、実はこの海上航行安全審議会は船舶職員法の施行に伴って必要な問題を審議するために、中に職員部会というものを設けております。その職員部会は、実は昨年の夏ごろから、漁業界あるいは海運界、各方面からいろいろな陳情がございまして、現行の船舶職員法は現存の海運界乃び漁業界の事情には非常に即さない面があるので、いろいろと改正してもらいたいというような陳情も出ております。従いまして、航行安全審議会は昨年の夏以来、実は最近まで、こういったような陳情をどう扱うかということについていろいろ検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/67
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068・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 昨年から今日まで、陳情の検討だけであって、これに対して積極に結論をみない。私どもから見れば、非常に緩慢な、先ほどの提案理由の説明にも、海運界並びに漁業界が非常に著しい情勢の変化を来たして、予想しなかったような状況になっておるというにもかかわらず、さようななまぬるいことで果して間に合うかどうか。その責任を果しておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/68
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069・安西正道
○政府委員(安西正道君) 航行安全審議会は昨年の夏以来いろいろと、十数回にわたりまして委員会々開きましたが、資格定員表その他につきましてもいろいろな意見がございまして、実は意見の調整に今日まで手間取ってきたわけでございます。最近におきましてようやくその結論を得まして、政府に対してこういう点を改正してもらいたいというふうな建議をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/69
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070・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) いつごろその建議をされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/70
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071・安西正道
○政府委員(安西正道君) 実は私間違えましたが、正式に建議という形でございませんで、委員長から船員局宛、いろいろと研究した事項の結論につきまして連絡がございましたのが、昨年の十二月でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/71
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072・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 昨年の十二月に結論が報告されて、それに対する政府としての方針が、いまだに処置はおとりになっていない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/72
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073・安西正道
○政府委員(安西正道君) 政府といたしましても、この委員会に出席いたしまして、いろいろと質疑応答がございましたので、その内容は十分存じております。しかしながら、船舶職員法の資格定員表その他の問題は、いろいろと慎重に研究すべき事項がございます。現行の船舶職員法ができ上りますときにも、約二年以上の期間をかけまして、各方面の学識経験者の意見を聞いて、現行のような職員法を作ったわけでございますので、政府といたしましては、今後この種の委員会にできるだけすみやかに改正法案の審議を委託するというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/73
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074・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 先ほど片岡委員から、実情に適しない、また延ばしても非常に必要以上に現場の人に苦労をかけることになるのじゃないかと。それだったら、もう少しスピード・アップせられて、この改正案をお出しになるのに、そういうような航行安全審議会で結論を得たことに対して、何らかの見通しをつけてこの中に盛り込まれるべきだと思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/74
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075・安西正道
○政府委員(安西正道君) これはなかなか資格定員表の問題は非常にむずかしい問題でございまして、船会社に、商船につきましても大船主あるいは小船主、あるいはまた航路別に、いろいろとデータを作りまして、審議する必要があるかと考えております。従いまして、急速には間に合わなかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/75
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076・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/76
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077・左藤義詮
○委員長(左藤義詮君) 速記を始めて。
次回は金曜日午後一時から開会したいと思います。
本日は、これをもって散会いたします。
午後三時四十五分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102413830X00819560306/77
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