1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月二十四日(木曜日)
午前十一時二十一分開会
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委員の異動
五月二十二日委員斎藤昇君辞件につ
き、その補欠として小野義夫君を議長
において指名した。
五月二十三日委員酒井利雄君辞任につ
き、その補欠として大矢半次郎君を議
長において指名した。
本日委員大矢半次郎君及び小野義夫君
辞任につき、その補欠として酒井利男
君及び斎藤昇君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 赤木 正雄君
理事
石井 桂君
小沢久太郎君
近藤 信一君
委員
石川 榮一君
大谷 贇雄君
斎藤 昇君
酒井 利雄君
西岡 ハル君
武藤 常介君
田中 一君
若木 勝藏君
村上 義一君
国務大臣
建 設 大 臣 馬場 元治君
政府委員
建設政務次官 堀川 恭平君
建設大臣官房長 柴田 達夫君
建設省河川局長 山本 三郎君
建設省道路局長 富樫 凱一君
建設省住宅局長 鎌田 隆男君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○建設業法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○建設事業並びに建設諸計画に関する
調査の件
(砂防に関する件)
(池袋駅前区画整理に関する件)
(有料橋に関する件)
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001・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) ただいまから委員会を開会いたします。
委員変更の件を御報告申し上げます。五月二十二日斎藤男君が辞任され、補欠として小野義夫君が指名され、同月二十三日酒井利雄君が辞任され、補欠として大矢半次郎君が指名され、本日大矢半次郎君、小野義夫君が辞任され、補欠として酒井利雄君、斎藤昇君が指名されました。
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002・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) 建設業法の一部を改正する法律案を議題に供します。
この法案については、大体質疑は済んでいるように考えます。これから討論に入ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/2
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003・田中一
○田中一君 まことに恐縮ですが、私は実はまだ質疑をやっていないので、要点だけ少しやらしていただけませんか。重複している個所があったら、それは一ぺん済んだということを御答弁だけもらえばよろしいんですが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/3
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004・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/4
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005・田中一
○田中一君 紛争処理の審査会を持つということに関しまして、現在までに紛争が起きた事例の一番大きな問題を一つ取り上げて、御説明願いたいのです。それは具体的に何組か、発注官庁がどこであって、それでどういう紛争があって、どう解決したということの具体的な例を一つ、お示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/5
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006・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 紛争事件の中で一番大きな事例をあげよというお話でございますが、二つばかり大きな事件があります。
一つは、これはもう御承知だと思いますが、いわゆる鉄興社の事件、これは発注者が株式会社鉄興社、それから申請者の方は、業者の方は元請業者の鹿島建設の間の紛争でございます。三億五千万の金額でございまして、紛争の対象になりました額が一億三千万ということになっております。これは紛争の焦点は、工事をやっていますうちに、地盤、地質の関係というようなことから、不可抗力のような扇情で設計変更の余儀なきに至った、そういう条件から、思わぬ故障から変更したということに対する、その損害の負担区分についての紛争でございました。工事は二十七年から二年二カ月にわたる工事でございます。まず現在の審議会に対しまするあっせんの規定によりましてあっせんをいたしましたのが十一カ月にわたりましたけれども、ついにあっせんは成功しない。訴訟になりまして継続をいたしているような関係になっております。あっせんの場合におきましても、このあっせんによってそれを解決する発注者側が意思を持たないということで、出頭要求に応じて出席をしても陳述を避けるということで、とうていあっせんは成功しなかったという事例になっておりまして、金額の関係や、非常に長期にまたがっております点から、大きな紛争事件であるかと思います。今までの工事は月ノ沢及び黒瀬発電所建設工事ということになっております。
いま一件は、申請者が下請業者の日本理装工業株式会社、相手方は元請業者の鉄道工業株式会社で、これは発注者と業者の関係ではなくして、元請業者と下請業者の関係の紛争事件でございます。請負金額が一億七千八百万ばかりでございまして、紛争の対象になっております金額は八千五百万でございます。これは紛争の焦点は出来高払いの遅延、それから元請の提示された立てかえ払い金に対する下請側の異議ということから、契約条件の解釈が相違しておる、それから契約条件以外の事由で発生した損害の取扱いについて争われている、こういうことでございまして、工事は米国極東軍司令部手嘉納航空基地及び那覇地区同給水施設工事でございます。これは審議会のあっせんによりまして、結論といたしまして、あっせんが成功いたしまして、下請に対しまして元請から二千万円、これは十二カ月で分割払いをすることになりましたが、支払うことで妥結をいたしました。これも金額その他から、まあ紛争工事としては比較的大きなものでございます。
以上発注者と業者の関係の紛争、それから元請業者と下請業者の関係で、それぞれ一つずつ大きな事例を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/6
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007・田中一
○田中一君 私は金額の大小をもってこの紛争処理の問題を規制すべきものではないと思います。問題は、契約の内容にあると思うのです。御承知のように、今全部の官公署が発注する場合には、がんじがらめの契約によって仕事をやっておる。これが現状です。そこで契約の内容というものが紛争を生むか生まないかが問題だと思うのです。金額の大小だとか設計額云々と、こういうものでなくて、そこで伺いたいのは、政府では発注者、請負人との間における契約約款というものに対して、どのような信念を持って、この紛争がないような形の契約約款というものを現在施行しているかという点にかかると思うのです。そこで今公共事業の中の大きなものを扱っておる建設省では、この二つの事例によって起ったところの紛争というもののポイントであるところの点と、現在政府が各請負業者と契約しておるところの契約約款といいますか、契約書の内容ですかに、どのような食い違いがあったかということを御説明願いたいと思うのです。
たとえば今伺った黒瀬発電所建設の工事は、地盤が悪いために不測の経費がかかるとか、それで紛争が起きたということになります。なりますが、それは現象であって、地盤が悪いという一つの現象であって、少くとも注文を出す者も注文を受ける者も、通念としては、そういうものを全部調査済みであるという点で、すべての契約が締結されたと私は考えておるのです。ことに地盤がいいの悪いのということは、これはもう大きな請負人にとっては恥辱です。当然そういうものは見積りする際には、当然それは調査済みのはずです。同時にまた、発注する万も、何億という仕事を発注するならば、その点をもやはり解決して設計すべきものが正しいのです。そこで今一つの事例として、地盤が悪いとかということだけのことでもって紛争処理の委員会を持たなければならないという理由にならぬのです。事業を計画したところの鉄興社がその地盤に対してどういう調査をしておったかと、その地盤の上に立つところの構造計算というものをどういう点から図面に表わしたか。同時にまた、その図面だけを黙って信じて、そうして積算をして入札するということだけではないのです。やはりそういうことがあってはならないという観念から、鹿島建設といえば大業者です、それぞれの機関をもって十分に現場に対するところの調査をして、そうして契約をしたと私は思うのです。従って、その内容のどこに欠点があるか、相互にあるのか、あるいは一方的に発注者にあるのか。これは民間でありながら、なおかつ紛争の処理あっせん委員会ですか、あっせんをしなければならぬというようなことは、これはおかしなもので、これは感情的なものが多分にあると思うのです。それに、注文する万も、一日でも早く発電することができれば、多少の工事費の高いのなんかはもう経済的に見れば割り切れるのです。従って、その内容はどこに紛争を起した理由があったかということを御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/7
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008・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) お説の通り、請負契約の約款におきまして、約款の内容にまあ紛争の主たる原因があるのではないかという点、まことにごもっともに存じます。今例を申し上げましたような事案につきましても、もちろん事実問題もお説の通りあると思いますけれども、約款の内容が非常に正確に、明確にされているようなものでありますれば、多数ある紛争事件のうちの相当の部分というものが、契約の解釈がおのずら明確になるということによって、紛争に至らずして、まあ自主的に解決するものであるということは、全く同感でございます。そこで建設省といたしましても、中央建設業審議会の重要な仕事の一つといたしまして、建設工事の標準請負契約約款というものを御承知の通り定めておりまして、これは昭和二十五年にきめましたものをその後二回ばかし改正をいたしまして、漸次改善に努めているわけでございますが、これを建設業審議会の決定によりましてできるだけ普及、慫慂いたしまして、これを一つの約款のひな形といたしまして、今まで非常に不明確であったような請負工事の契約関係が合理的に規正せられるように努めているような次第でございます。
今事例をあげました鉄興社の事件について、どういう点が悪いかというようなことを究明せよというお話でございましたが、これもやはり根本の原因の一つは、全部がそうとはまあ申し切れないと思いますが、契約内容が不明確である、図面や仕様書等が十分完備しておらないと、ただいまお話がありましたようなところから問題が発生しているという点は、争えない事実でございます。もちろん事実関係におきまして、どのように約款をきめましても、その約款においても予想し得ないような不可抗力の事情というものが、どの限界から認定すべきかという事実問題というものは、やはり紛争工事の場合にはこれまた必ずついて回るようなものでございまして、従いまして、契約の約款を明確にすること、そうしてできるだけ合理的なわかりやすいものにするということと同時に、今度の紛争審査会を設けますにつきましては、さらに事実問題につきましても専門家が紛争の仲裁、あっせん、調停、こういうものに当りまして、実際の実情に即した解決をはかっていこう。これをあわせまして、繰り返しますならば、お話のように契約約款というものをしっかり明確なものを作って参るという方針をますます強化して普及するようにいたしますと同時に、にもかかわらず、起って参ります紛争処理に対しまして、一つの力強い解決方策を講じて参りたいという考え方でおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/8
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009・田中一
○田中一君 紛争処理委員会を作るよりも先に、契約約款というものが完備しておれば、紛争は起らないのです。たとえば、今あなたがおっしゃったように、不可抗力というものに対する認定というものは、野丁場におけるところの土建工事においてどの辺まで認めるのか認めないのか。民間の場合には、経済効果を早期に求めるためには、佐久間ダムの例もあるのです。相当工事費が高くなっても、発電が一日早くできれば何千万の利益があるということになれば、これはいいのです。従って、私が心配するのは、政府自身がお手本を示して、契約約款、いわゆる双務契約ですかな、片務のものではないのですから、契約約款というものの完全なものがあれば、それをまた納得するならばこれは、紛争は起きないのです。私は紛争ができてからどうするかという問題よりも、紛争を起きなくするためにはどうするかということを、少くとも政府は考えるべきである。現に昭和二十五年に出したところの、何といいますか、あれは官房長、当時の管理局長でしたかな、管理局長名か次官名でもって流したところの通牒、標準契約約款というものがありました。ありましたけれども、事実においてこれをそのままやっておるところはないのです。やはり一方的に、国家機関にしても、地方公共団体にいたしましても、予算というものを持ちながら入札をするのであって、ダンピングさして金を余すことは知っておりますけれども、あとから余分に追加するということは、国会なり県議会なりの大きくなれば決定を見なければならない。そこに片務的な押しつけの契約約款を持つんではなかろうかということを懸念するのです。数千億の公共事業費を出しておるところの国が、紛争を起さないというような施策を忘れて、こういうものだけにしぼってくるということはあり得ないのです。
くどく申しますけれども、民間の場合には、早期に経済効果をあげるためには、多少の金銭的な問題はがまんし得る場合は多いと言うのです。たとえばデパートにいたしましても、ちょうど賞与の出るような時期に駄目工事が残っておったって、完成してから開店するならば、売り上げですぐカバーしてしまうのです。しかし公共事業はそうは参りません。従って、政府はこの法律案を提案するに当って双務、両方の利益というものを守る、納得ずくでもってお互いに契約を結ぶというほんとうの考え方が生まれていない、現在まだそれを実施されておらないというところに難点があると思うのです。従って、これに対しては、少くとも大幅な公共事業費の予算を持っておるところの建設大臣としては、どれが是としてやっておるかということに問題がしほられてくるのです。われわれは紛争のないことを望むのです。紛争が起きてから、それをどうする、こうするという問題は、これは別に、別の法律がございます。何もここであっせんとかなんとかするよりも、法律がございます、訴訟を起すならば。このほんとうの大幅な公共事業費の予算を持っておる建設大臣が、どういう心がまえを持っておるかということを明確にしなければ、起った紛争だけを処理すれば事足りるということでは、国民は安心できないわけですね。その気持を……気持というか、考え方を一つ明確にしてほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/9
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010・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 建設工事の紛争は、起ってからこれを解決するというよりも、まず起らないようにすべきであるとの田中委員の御意見につきましては、全く仰せの通りであると思います。建設省といたしましても、先ほどお答えいたしましたが、まず紛争自体が起らないようにするということが第一であると考えておりまして、請負契約の標準約款を漸次改正してりっぱなものにして、これを極力普及慫慂することにまず努めることが第一のなすべき仕事であると考えております。その内容といたしましては、先ほども申し上げましたように、契約の内容を明確化する。そうして標準仕様書の作成というようなことについても、これを完備せしめる方向に向うということを、重ねてお話がございましたように、大体請負関係は片務契約になりやすいという歴史的な事情から、これをりっぱな双務契約にしていくということがお話の通り必要であります。その点にも努めること。それから先ほど申し落しましたけれども、ダンピング等のお話も出ましたけれども、工事の粗悪といったような問題もございますので、中央建設業審議会におきましても、標準諸経費についても研究いたしております。標準諸経費、それから歩がかりの適正化、こういうようなことにもあわせて努めまして、これを十分普及徹底さすことにまず努めまして、紛争工事が起らないようにすることが第一のなすべき仕事であると考える次第でございます。その点はまことに御意見の通りであると考えます。
そしてもちろん、なおかつ第二段といたしまして、やはりまだ契約の解釈に食い違いがあるとか、あるいは非常な事実問題で意見が食い違うということで、理想は、紛争がそれだけで解決すればまことに理想通りでございますが、やはり紛争はなお跡を断たないものと思いますので、これについては紛争処理の方策を考えまして、今回のような改正案を御提案申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/10
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011・田中一
○田中一君 次に残る問題は、不可抗力の認定の問題なんです。これは現在では建設省が指導するというより、建設省が出しておるところの仕事というものに対しては、不可抗力に対してどういう認定をしておりますか。もう少しはっきり言えば、不可抗力によるところの損害というものですね。この負担は現在実際においてどういう扱いをしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/11
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012・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 不可抗力の場合の解釈が残る問題になるわけでございますが、これはやはり災害でございますとか、天災と申しますか、そういったような天候、自然現象のようなことから来る異常の変化、そういうところからいたしまして、重大な変化が起るような場合に、これも約款の、標準約款の条文を申しますれば標準約款の中に非常に重大な——現在の約款をちょっと申し上げますと、第二十二条に、天災その他不可抗力によって工事の既済部分または工事現場に搬入した検査済み工事材料に関して損害を生じたときは、通知しなければならぬ。そうして前項の損害で重大と認められる場合において、請負業者の万が善良な管理者の注意をなしたと認められるときは、その損害額を発注者の方が負担するというような規定があるわけでございます。大外そういう考え方でございまして、善良管理者としての注意問題というものがございますと同時に、その事項自体が非常に重大であってそうして天災その他不可抗力によると認められる場合においては、値増しを認めるという考え方を、そういう例外的にだけ値増しを認めるという考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/12
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013・田中一
○田中一君 そういう、今日まで、たとえば工事中に災害があって、根こそぎ現場が流れてしまった。これははっきりしています。堤防築造中、再度の災害があって流れてしまったこれも認められと思います。一応水がふえれば、新しい——新しいというか、前回にこわれた所が、修理しながらいく所を、簡単にこわれたと認められると思うのです。しかし認めた例が事例が、あったら一つお示し願いたい。これは河川局長もいますから、河川局長が具体的にお示し下さってもかまいませんけれども、事実において、不可抗力として値増しをした例があるかどうかを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/13
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014・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 具体的にどこそこでということは、ちょっと、今承知をいたしており度せんけれども、一般的な事例といたしましては、例外的に、不可抗力ということによりまして、今のような約款の趣旨によりまして、発注着側が値増しの負担をするという事例はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/14
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015・田中一
○田中一君 私はね、ないと思うのです。なかったと思うのです。二十五年に、その約款を通牒の形で各府県に流しました。今言う通り、築造中の堤防が切れる場合がある。その場合には、手直しをするようなことが直営工事であったと思うが、請負をいたしましたものに対しましては、私はないと思うのです。あるならば、お示し願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/15
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016・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 実例におきまして、あまり多くはないということについては、間違いないと思いますが、関東地建におきましては、鹿島建設のやりました堤防工事について、雨期の増水によって材料が流出をしてしまったという件につきまして、国が負担をした事例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/16
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017・田中一
○田中一君 これはいつで、値増し金額はどのくらいになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/17
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018・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) さっそく今調査をいたしまして、できるだけ早い時間中にお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/18
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019・田中一
○田中一君 そうしてどういう台風とか——増水というのは、その不可抗力というものは、台風とかなんとかいうものなのか。そういうものならば、おそらく鹿島建設だけの問題ではないと思う。ほかにもそういう事例があると思うのです。従って、この場合ですね、どういう状況であって、そうなったということをお示し願わないと、困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/19
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020・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) わかる限り取り調べまして、お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/20
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021・田中一
○田中一君 そうしてこの鹿島の事例があるならば、なおさらけっこうですから、この場合にはどういう状況判断というか、認定のもとに値増しをしたかということを、明確に御答弁願わないと困るなと思うのですがね、その点は。そうしてどういう人が立ち会い、それをだれがそういうような認定をしたかということは、これはむろんそう簡単にはあなた方しないと思うのですね。相当な人に来てもらって、十分検討して——国が値増しの金なんか出すということは例外中の例外であって、大ていのものは泣き寝入りなんですよ。幸い大きな業者であって、相当に政治力もあるとなると、こういう事例もあると思いますから、これは将来紛争処理という問題も、ただ政治力があればものが解決するのだだけじゃ困るのですからね。この事例というものを、はっきりした認定の基準というものでもってお示し願いたいと思う。その際に、ただ御答弁だけじゃ困るのです。たとえばそれに立ち合ったとか裁定したという裁定書、それに対してだれが判を押しているかということが一番大事なのです。多くは泣き寝入なりのです。多くはそうなのですね。そうして今伺うと鹿島と鉄興社の問題、鉄道工業と下請との問題、これは米軍の発注工事らしいのですが、この二つの事例をお示しになったのですが、国がやった場合のそういう事例がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/21
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022・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 建設業審議会のあっせんを申請してくる、あの対象になる事件につきましては、国が当事者になっている事件はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/22
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023・田中一
○田中一君 ないと思うのですよ。なかなか大ていのことは、現場で処理しちゃうものですよ。それはしかし今後、こうしてはっきりと御説明のように、双務契約をどこまでもはっきりさせる、契約約款というものに対してはその内容というものを全く契約の相手方にも十分周知納得させる。そうしてきますと、起きる問題は、民間の問題よりも、国との契約の問題にいろいろな大きな問題が起ると思うのです。これを一番心配するわけなのです。知らないのはお前が悪いのじゃ、済まないと思うのです。
そこでもう一点伺いたいのは、発注者側の過失によって設計変更しなければならぬというような事態があった事例はございますか。これは営繕局長でも来ていると、今まで営繕関係でもあったかと思うのですがね。私は数数の設計変更の事例を知っておるのです。そういう問題はどう処理されておるのかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/23
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024・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 発注者側において設計を変更するという事例はもちろんあるかと思いますが、それが紛争解決を、先ほど来の審議会に来ている事件として現われている事例というものはあまり聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/24
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025・田中一
○田中一君 公式に紛争処理の審議会ができますと、おそらく持ち込まれると思うのです。けれども、持ち込まれないかもわからぬということは、そんなものを持ち込もうものなら、今度はお前の方は指名しないぞと言ったら、引っ込めるのです。けしからぬ、審議会に持ち込んだら指名しないぞと言ったら、大ていの業者は引っ込んじゃうんですよ。泣き寝入りするのです。たとえば発注者側の方の設計の間違いとかあるいは指導の間違い、それから発注者側の万の監督員の欠点によって、間違いによって起ったところの損害というようなものは、持ち出せないのですよ、大てい。そういうことをするならばもう指名停止だ、こう言ったら、大てい参ってしまう。それは持ち込まないのです。これはここに酒井さんもいらっしゃるし、武藤さんもいらっしゃるから、おそらくいろいろなことを知っていると思うのです。もう少しそういう方々の実態についての御質問があれば一番いいと思うのですが、大ていそうなのです。権力に屈服しちゃうんです。そういう点は一つ将来、こういうものができた場合どう扱うか。これは大臣から伺いたいのですが、大臣から、この法律を制定するに当っての信念として、紛争処理委員会の方にこれを持ち出した場合、その人間はむろん、持ち出す以上自分の方にも三分でも五分でも理があると思って、言い分があると思って持ち出すのでしょうから、それを再び指名しないとかなんとかということがあれば、こんなものを作つても何にもならなくなってしまうのですよ。こういう点について、大臣の信念を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/25
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026・馬場元治
○国務大臣(馬場元治君) 紛争の問題につきましては、先ほど御説のありました通りに、紛争をしてなからしめるということが一番大切なことであると思います。それにつきましては、先ほど来政府委員から申し上げた通りの方法をもって進みたいと、かように考えておるのでありますが、ただいま具体的に御指摘のある、すなわち国との間に紛争が起りました場合に、しかも紛争に相手方である者が紛争処理の方法をとるとこういった場合に、国がこれに圧迫を加えるとか、後日に不利益をもたらすような言辞を弄してこれに威圧を加えるといったようなことは、厳に慎しむべきでありまして、さようなことのないように十分注意いたして参る所存であります。異議のありまする者は、それ相当の理由があっての異議の申請に違いありませんので、虚心坦懐にこれらの意見も聞き、そうして国の主張も尽して参りたい。いやしくも威圧を加えるとか後日の不利益を暗示することによってこれを服せしめるというような態度は、十分慎しむべきであると、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/26
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027・田中一
○田中一君 私はこういう事例を知っているのです。昨年の四月の選挙で、革新系の候補者を——知事選挙で、革新系の候補者を自分が推した。そうすると、これが負けまして、とうとうその地元の建設業協会の会長、これは自来相当な実績をあげて、その県では一番の実績があったにかかわらず、とうとう一年半というものは何一つも御指名にあずからずして、没落した会社を知っているのです。従って、これは国じゃございません。地方公共団体でございますけれども、これなんか実に悪例だと思うのですよ。ましてやその責任が監督員の責任があるというような、施工する方では、契約の相手方の方では不可抗力という認定をする。けれども事実においてあとの仕事をもらうという機会を与えられなければ、業者は原因がなくてもつぶれてしまう。つぶれてしまった事例を知っております。こういう点にまでも、いわゆる発注者に刃向ったら自分のからだの破滅だというようなことにならないような措置を私はとるべきだと思うのです。能力を持ち誠必誠意やっているから、十年、二十年の長い間仕事を完全に遂行していながらですね、おそらくこういう機関ができてこの機関に提訴すれば、もうなくなってしまうというような、受注するという機会がなくなってしまうというようなことがあっちゃならぬと思うのです。私はたくさん事例を知っております。
それは先般も、今官房長が御指摘の契約約款の中にも、十分の八程度のもので値段はきめろと書いてあるのです。建設省はそういう指令を全国へ流しているのです。にかかわらず、社会党並びに自民党が提案しているところの法案を、これに反対されるということも不可思議なものです。ちゃんと今お示しになった約款に書いてあるのです。十分の八程度のものでやるようにと書いてあるのです。そこにやはり発注者側と申しますか、これはむろん事業を行う者は、これはむろん私権を持っておりますから、だれに注文しようと自由です。少くとも国でやるものはですね、いい仕事をさすためには、ダンピングを防止する。同時に、国民全部に機会均等、憲法できめておりますところの職業選択の自由があるのです。また同時に、能力のある者は十分に同じような機会を与えることが今日の憲法の精神なんです。なるほど作文においては、昭和二十五年に地方へ流したところの通牒には書いてありますけれども、この運営というものがどうなるかといいますと、過去五カ年間を振り返ってみますと、まことに慨歎にたえぬものがあるのです。そういう作文をして、通牒を流しておって、何ら実績がないということが現状なんです。
私はこの紛争処理の問題に対して、このできることを望んでおったのです、長いこと。しかし、それをするならば、その前に国がすべきことがある。何かというと、紛争を生まないような標準約款を完全実施することなんです。そしてすべての国民に対して、この機会を均等に与えることです。発注者は許された予算の中でもって完全な工事を、完全な仕事を完成することが望みであって、不完全なものを望んでいないのです。従って、一〇〇の予算というものは、一〇〇を使って一二〇分の効果をあげるような創意工夫というものを国民の中から生み出しまして完成するのが、発注者の精神のはずなんです。ところが、先般も言っているように、予算決算会計令とか、あるいは会計法でもって、安ければいいのだという、品物の出来高よりも金さえ安ければいいのだという観念でやるのでは、これは発注官庁であるところの、公共事業費をたくさん持っているところの建設大臣の心がまえとしては、これは反対のはずなんです。それが通例行われている末端に行けば。末端に行くほど、行われている。ダンピングをやってみなつぶれておる。なおかつ、でき上る国の財産というものは価値のないものを作っておるという現状を考えますときに、このあっせん紛争処理の問題よりも、事前にほんとうの強い心がまえをもって対処するということにならなければ、これはならぬと思う。
今資料が来るでしょうし、委員長もだいぶ採決をお急ぎのようですから、もうこの辺で私はやめますけれども、私は真剣に申し上げます。こういう点、政府があずかっている事業というものは、これは国民の事業なんです。決して営利会社が、企業者が自分の利潤を生むためにやる事業と違うのです。従って、どこまでも力のある者には受注の機会を均等に与えて、一〇〇の予算は十分、一〇〇使って一二〇、一五〇の効果を上げるような心がまえこそ、公共事業費を持っているところの所管大臣としては、この心がまえこそ大事だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/27
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028・馬場元治
○国務大臣(馬場元治君) 工事が完全に行われるようにしなければならぬという御意見、まことにその通りであります。一面、実力ある者が均等の機会を得て仕事ができるように、この御意見につきましても全くその通りであると存じます。真剣な御意見、よく拝聴をいたしました。工事を国がやる場合におきましても、それらの点は十二分に注意をいたし、戒心をいたさなければならぬ重大な点であると心得ております。
で、先ほど来お話もあり、かつお答えもいたしたつもりでありますが、紛争の起らないように処理をいたすことが、第一の問題。不幸にして、注意をいたし努力をいたしたにかかわらず、なおかつ紛争が起りました万一の場合を考慮いたしまして、現在御審議を願っておるかような提案をいたしておるのでありまして、それらの点につきましては十二分に注意をいたし、督励をいたして、御趣旨に沿って参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/28
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029・若木勝藏
○若木勝藏君 私はあとから入ってきたので、あるいは前の方が質問しておられるかとも思うのでありますが、もし前の方が質問されておられるのでしたら、簡単にお答えを願いたいと思います。質問していなかったならば、詳しくお答え願いたいと思います。
これはまあ紛争の処理の方法ということで、審議会から審査会というようなものに移っておるようでありますけれども、しかし紛争が起るというその原因ですね、これについて一つ伺いたいと思います。紛争の例などもありましたらあわせて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/29
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030・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 紛争の中には、発注者側から申し出があるものと、それから請負業者側から申し出る事例と、両方ございます。それから先ほど田中委員からお話のありました大きな事例の関連でありましたが、元請業者と下請業者の紛争があるという事例もございます。しかし一番根本は、いろいろの原因がありますけれども、やはり工事がおくれるということについての問題が、工事遅延という例が多いようでございます。それからいま一つは、工事の内容が粗雑である、そういう工事をやってもらうつもりではなかったというふうな事例が多いのでございます。これらは、工事がおくれる、粗雑であるというのは、主としてこれは発注者側から起る場合が多いようでございます。そのほかにやはり支払いの関係で、金を払ってくれないというようなことから、資力の問題で起っておるケースがその第三の部分を占めております。その多い順に申し上げております。それから先ほども出ましたような値増し要求のケースがその次にございます。それから設計変更というようになっておりまして、このような工事遅延、工事粗雑、あるいは資力の支払いの関係、あるいは増額の要求、設計変更というようなことが事例になっておりまして、現在のところは、従来は発注者側からの方の紛争処理の要求が多かったのでございますが、漸次請負業者側からの処理の要求が今までの審議会のケースにおいてはふえて参っておりまして、発注者側の六割に対して業者の要求が四割であったと思います。それくららいの率を示しているのが現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/30
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031・若木勝藏
○若木勝藏君 それが漸次近年になってふえてきたということについて、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/31
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032・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) これは資料でも、建設業審議会が取り扱っております件数がやや増加した傾向にあるということの資料を御提出申し上げておりますが、近年紛争関係の取扱い件数が、審議会のあっせんについてふえておりますのみならず、訴訟事項が非常にふえて参っております。これはやはり原因が深刻になってきておるということでございまして、なかなか話し合いというような自主的な解決でものが片づかないという傾向を顕著に示しているようでございます。そこで非常に裁判沙汰になるものが多いということで、当事者が両方困るというようなことが、この紛争解決について裁判によらない、もっと金のかからない、そうして早い解決方法がないかということが、この法律案を御提出した有力な理由になっているようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/32
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033・若木勝藏
○若木勝藏君 そこですね、今裁判にかけないでもって審議会で解決していきたいというのが法案の要旨であるというようなことですが、その見通しはおつきになっているのですか。かえってこれを設けたことによって迅速に解決のつかないというような場合も考えられるのですが、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/33
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034・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 今回御提案いたしておりまする改正案の中の紛争の解決手段でございますが、これにあっせん、調停、仲裁と三いろあるのでありまして、今までの法規では、今の審議会があっせんだけやれる。これが裁判以外の唯一の建設業法上の処理手段であったと思いますが、そのほかに調停と仲裁をふやしておるのであります。そこで、あっせんと調停の二つは、当事者が話し合いを、まあ間に入る人があって話し合いをして納得ずくめでやるということでございますので、非常に強力なものではございませんけれども、これは裁判を並行してやれるわけでございますから、これだけの部分でございますというと、もちろんそういうあっせんよりは強い調停方法を講ずることによりまして、自主的に、これはまあ三人の委員がちゃんとして調停案を作ることでございますので、今までのただ一人の人が間に入ってあっせんをするという、審議会が間に入ってあっせんをするということよりは強くなりますので、自主的な解決でものがかたづく場合が多くなるだろうということを申しますが、一方裁判を並行してやるということによけい事態がなって参りますれば、お話のような御懸念もないわけでもないと思います。
最後の、この仲裁という手段を設けましたのは、今のお話の点で、まあ裁判に行かないで済むということをもっぱら意図したものでございます。と申しますのは、仲裁によりますと、これは民事訴訟法の規定が適用されまして、確定判決と同じ効力を持つ、仲裁判断が下りますれば。そうすると、もう裁判に持っていけない。裁判にかわる判決になりますので、裁判に持っていくか、仲裁に持っていくかで、両方並行してやるということができなくなるわけであります。その前提としては、仲裁の場合には、約款なり、あるいは仲裁に持ってこようという場合に両者の合意がなければ、最後は判決と同じことでございますから、前提として合意がなければならないようにはなっておりますが、合意があることを前提といたしまして、仲裁判断が下れば確定判決と同じ効力を持ちますので、もう裁判に持っていかれない。そうしますと、裁判とこの仲裁の手続を比較いたしますれば、この仲裁の手続の万がまあはるかに簡単に、しかも実情に即するような方法で、もののわかった専門の方々が解決をしていただく。要するに、この万々が信頼されるに値する適正な解決をしてくれれば、金がかからなくて早く解決をするという点では、裁判にまさることはこれはもう数等であると考えておるのであります。
そこで、あっせん、調停、仲裁の三つの手段を設けることによりまして、まあ深刻の度合いがそれほどでないという、できるだけ話し合いで解決するに適するような場合は、あっせん、調停で解決をして、そしてもう当然裁判になるようなものについては、むしろこの仲裁を大いに活用していただくということによって、よけい手間がかかるということはなしに済むのではなかろうかという工合に考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/34
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035・若木勝藏
○若木勝藏君 この審議会を設けることができるというようになっておりますが、そういう場合に、この審議会と審査会との関係はどういうふうな形になるか、全然関係ないようになるものかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/35
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036・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 審議会の万は建設業のこれは改善、発達をはかるという趣旨の機関でございまして、中央には建設業審議会と、それから今度の紛争専門に、もうもっぱら紛争処理に専従する機関であるところの建設工事紛争審査会というものを設けるわけでございまして、機能の上におきまして截然と区別されることになります。今までは、建設業の発達をはかることを主たる目的とする審議会は、先ほど来出ましたような契約約款でございますとか、経費の合理化でありますとか、そういうようなことをやるのが主でございまして、あわせて紛争があればあっせんをするということに、まあ副業のような形になっておりまして、紛争の処理だけから見ますと、完全な、公正な、中立的な、しかも専門的な機関と申すのにはいささか不十分な点があったと思います。審査会の方はもっぱら中立的に、しかも専門の知識を持った人たちが信頼を得てこれに当るということでございますので、その両方の職務関係においては全然まあ関係はございません。
一方、府県の方は、紛争審査会を置きまして、今までの建設業審議会の方は条例によるところの設置機関ということに今度は変えてある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/36
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037・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/37
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038・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/38
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039・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 大へん田中先生のお答えおそくなりまして、申しわけございません。今大体のことか調べましたので、お答え申し上げます。
先ほど、あまり事例はないのだけれども、全然ないかということで、関東地建であったということを申し上げました内容でございますが、二十八年九月二十五日の十三号台風による五十里堰堤の築造工事、それで、先ほど申し上げましたように、鹿島建設でございまして、結局これで材料が、ここにこまかい数字がございますが、流されたということで、最終的に五十万二千円を増額して補償をしたということでございます。これは災害報告に基きまして鹿島建設の方から申請、損害補てんの申請が出まして、関東地方建設局の本局におきまして認定をいたしまして、損害補てんをはかったという事例でございまして、こういう事例がないというわけではございませんけれども、事実関係はこれだけしかわかりませんので、不十分でございますが、お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/39
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040・田中一
○田中一君 十三号台風で鹿島だけで災害を受けるはずがないのです。五十里ダムだけに災害があったんじゃないのです。私はこれじゃ、先ほど言ったような御答弁にならないと思うのですよ。特別に五十里ダムだけに起ったところの災害というものならばわかります。十三号台風によるところの災害となりますと、このようなケースはたくさんあります。なぜこれだけがそうなったかということですね。そこで今言う通りに、なぜこれが値増しになったかということの内容をやはり資料でお示しにならなければ、判断がつきかねるわけですよ。こうしたケースは、十三号台風におけるところの工事中の現場における不可抗力というものは、どこにもあったのです。あったはずなんです。それが全然眠っておる。そうしてこれだけのことがあっただけのことがあったということになりますと、これは問題なんです。ことに紛争処理の問題は、金額は一万円でも差しつかえないでしょう。一億でもさしつかえないでしょう。紛争処理というものは金額の限定はないでしょう。私は前回にはこの質疑をしなかったのでわからぬのですが、一体幾らの金額をもって、紛争処理委員会といいますか、これに提訴できるのかどうかというのです。幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/40
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041・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 金額に制限はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/41
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042・田中一
○田中一君 ございませんね。そうしますと、十三号台風によるところのものは、値増しというものがたった一つあるということは考えられません。今の御答弁じゃ不満足なんです。そうしてどういう経緯を経てこういう値増しの裁定が下ったかということをお示しにならなければ、当然判断がつかぬと思うのです。これは一つお出し願いたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/42
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043・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 契約約款のお話が出まして、それから国がそういう不可抗力の場合についてはちゃんと守っておるかどうかというお話でございまして、その話に対しましては、先ほど来大臣からお話がありましたように、厳格な意味で国がこれを全部守って、そうして処理されていると、残念ながら申し上げるわけにいかない点があると思います。ただ全然絶無でございませんので、例はないかというお尋ねでございましたので、例をあげれば、こういうふうにちゃんとそれを災害報告をして、損害補てん申請等の手続をとって参って、認定をしてやっておるものもあるということを申し上げているのでありまして、これはもう数少い一例をもちろん申し上げただけで、これを例として、すべてこういうふうにやっておるから、国の方は完全に励行しておって無欠であるということを申し上げているわけでは毛頭ございません。大臣からもお話がございましたように、こういう例もあることでございますけれども、お話のように、契約約款を明確にいたします処置を講じますと同時に、今度の紛争処理の精神も、一そう中正公平な専門の機関を作って、国であろうが民間の業者であろうが、同じように、紛争が起った場合にはまず契約を明確にして、起らないようにすべきことはもちろんでございますが、遺憾にして起った場合には、公正な立場で、同じ平等の立場で紛争処理して、合理的にものを解決していくという精神を少しでもはっきりさせようということでございます。この一例で、国が今までやってきていることを決して弁解しようとか逃げようという気持は毛頭ございません。例として申し上げているのでございますので、お話の点は重々今後いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/43
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044・田中一
○田中一君 官房長はこれをちょっと心配して考えているのですよ。私はそういうことを言っているのではないのです。前段の、どこまでも紛争を起すまいことにしようじゃないかということなのですね。今あなたが申しているのは、紛争を起すまいという、これによって紛争が起きなかったということを説明しているわけですね。これは賛成なんです。こういう事例が、鹿島の五十里ダムの事例があっても、この場合には紛争処理委員会というものに持ち込まずにして、お互いに解決したという例なんです。これを望むと言っているのですよ。
そこで内容というのは二つになるわけです。一つは、紛争処理委員会というのに持ち込まれない場合には、どういう形でこの五十万二千円というものの裁定をしたか、どういう機関、どういう経緯を経てしたかという問題が一つと、もう一つの問題は、十三号台風によるところのこのような災害のケースというものは、至る所にあったろうと言うのです。しかしながら、それが弱い業者は、契約の相手方は泣き寝入りをしている事例があるのではないかということの、この二つの問題を申し上げているのです。従って、紛争処理をこの調停委員会の方へ出さないということを望ましいというならば、実際起ったこの問題の内容というのは、どういう形でこの五十万二千円という裁定を下したかということを一つ明確にしてもらわぬと困るのです。結論だけじゃ困るのですよ。どうしてこうなったかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/44
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045・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) ただいま申し上げました事例の、手続の点を申し上げますというと、請負業者の万から損害補てんの申請が出まして、関東地建局長あてに出まして、そして五十里工事事務所長の副申をつけてもらいまして、この副申によりまして、関東地建の内部におきまして局長の決裁によりまして認定をいたして、出すという決定をいたしておるのでございます。これまでは取調べでわかっております。ただ、お話がございますように、十三号台風はここだけの被害ではなかろうから、ほかにもあったはずだ、ほかの方の処理はどうなっているかという点につきましては、ただいま資料を持ち合せてございませんが、先ほど私がお答え申し上げましたのは非常に一般的なことでございまして、こういうこの事例そのものについては、こういうふうになすべきことをする、それがはっきりしている場合には、私もまた損害補てんの措置を講ずるということはいい事例だと思いますけれども、全部が全部、完全無欠にこのように処理てしいるかということにつきましては、具体的な事例を離れまして、建設省といたしましても今後留意しなければならない点があると思いまして、お答を申し上げたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/45
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046・田中一
○田中一君 だいぶ採決を急いでいるようですけれども、これはもう大事な問題ですから伺うのです。処理委員会にかかる前にもう解決することが望ましいと、私先ほど申し上げた通りなんです。なるべくかからぬ方がいいんです。そこでかからぬ場合——これはかかりません、今のような五十里の場合は。この認定でもって五十万二千円でも支出できるというならば、これはどの場合でも、国が建設省関係の仕事を契約する場合に、どれでもこのようなケースの場合には今後とも増加支払いをするということは、ここではっきり言明できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/46
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047・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 直轄工事につきまして、地建の契約約款で先ほど来お話がありましたようなものが具体的にきまっておりまして、その約款でこのような不可抗力の災害の場合にどうするかということがきまっておりますれば、この約款を守つて処置すべきことは国の当然の義務でございまして、そのように該当するしないの事実問題の認定はございましょうけれども、そこは若干ケースによりましては争われる余地はあると思いますけれども、該当するものといたしますれば、これと同じような扱いをすべきものであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/47
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048・田中一
○田中一君 そうすると、現在工事事務所の所長には、所長が申請、何というか、契約の相手方が申請をして、それを副申をつけて本省に来れば、大体それは認められるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/48
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049・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) そのようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/49
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050・田中一
○田中一君 そうすると、そういう増加の面は、こういう金はどこから出しておったんです、今まで、五十万二千円という金は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/50
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051・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 事業費のワクの中からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/51
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052・田中一
○田中一君 これに対する実際の傍証といいますか、間違いないというような判定は処理できたから、事務所長が副申をつけて寄越したから認むべきであって、それに対するそれが正しいか正しくないかということはお調べになったんですか、この場合に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/52
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053・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 地建の本局が最終的に認定をするわけでございますから、その認定のために必要があると、疑わしいということがありますれば、実地にもちろん取調べをすべきことでございます。しかし事務所長の副申によりまして、またそれが災害によって起ったケースであるということが事理明瞭であるような場合におきまして、実際の現地の調査をいたさないという場合もあるかと思いますけれども、調査するしないは事柄を丁寧にするかしないかということでございまして、結局は本局の認定のいかんであると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/53
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054・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) これにて質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/54
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055・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。——別に討論はありません。
つきましてはこれから採決を行います。建設業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/55
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056・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他爾後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/56
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057・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
石井 桂 小沢久太郎
近藤 信一 石川 栄一
大谷 贇雄 斎藤 昇
酒井 利雄 西岡 ハル
武藤 常介 田中 一
若木 勝藏 村上 義一
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/57
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058・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
〔委員長退席、理事近藤信一君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/58
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059・近藤信一
○理事(近藤信一君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/59
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060・赤木正雄
○赤木正雄君 私は大臣その他建設省関係に少し質問したいと思いますから、しばらく委員長の位置をかわって、いたします。
大臣に少しくお尋ねしたいと思います。昭和二十八年の九州その他の水害に関しまして、ちょうど吉田内閣のときの副総理の緒方さんが加わり、建設大臣、農林大臣、大蔵大臣、自治庁長官、それにわれわれ二、三が関連いたしまして、治山治水基本対策要綱というものを作られまして、それが昭和二十八年十月十六日に公表されました。これを作る際に、いろいろと建設省なり農林省なりの資料に基いてやったのでありますが、その結果、林野関係、これは一般会計が五千四百五十億、治山事業が千九百九十六億、保安林整備が十五億、造林事業が千二百九十七億、林道事業が二千百四十二億、国有林特別会計、これが千五百九億、その他ありまして、向う、つまり農林関係が全体六千九百五十九億、河川及び砂防関係といたしまして、直轄河川が三千二百七十三億、特殊河川が六十億、中小河川が二千三百十九億、局部改良が五百四十一億、直轄堰堤が千百四十四億、補助堰堤が九百二十九億、直轄砂防が三百億、補助砂防が三千五百二十九億、この合計が一兆一千六百九十一億、こうなっております。私のお尋ねしたいのは、これは吉田内閣のときでありました。その次の内閣に対して、竹山大臣に対して、これは前内閣のときに決定したのであるが、この方針を守られるかどうかと聞きました。ところが、竹山大臣は、こういう重大な問題は政党のいかんによって左右されることはない、どうしてもこの方針でいく、こういうりっぱな御答弁を願ったのです。
そこで私が第一にお尋ねしたいのは、やはり現在の内閣におきましても、一たんきまりましたこの治山治水基本対策要綱、この要綱に準拠しまして、今後の治山治水政策を守っていかれるかどうか、これを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/60
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061・馬場元治
○国務大臣(馬場元治君) 治山治水の根本的な方針として、昭和二十八年にただいま御指摘の治山治水対策協議会というものが設置せられました。御審議の結果、対策が樹立せられたことは、御指摘の通りであります。この対策はどこまでも推進をいたし、これをできるだけすみやかなる機会に実行に移したいというのが、私の信念でございます。ただ、残念ながら、御承知の通りの国の財政状態でございますので、その対策要綱に盛られてありまする通りの実行が、事実において行われ得ない状態でありますることは、いかにも遺憾千万でありますが、その要綱にうたわれておりまする趣旨並びに具体策につきましては、どこまでもこれを推進いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/61
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062・赤木正雄
○赤木正雄君 なお、重ねてお伺いいたしますが、今申しましたこの金額におきまして、砂防の占めるべき金額は相当大きな金額であります。しかし実際予算化された結果を見ますと、三十一年度の砂防事業に対しても、大臣が格別御努力下すったことはよく存じています。それにもかかわらず、十分な予算が計上されていなかったということは非常に遺憾と思います。しかし、今大臣の御答弁によりまして、この方針を堅持するということでありますから、どうか今の御答弁の方針によって、いかに砂防事業費が実際において少いかということを十分御認識の上、来たる予算についてはこの上とも御尽力下さるように、切にお願いする次第です。
それからお伺いしたいのは、農林省の治山関係、なおありていに申しますと、農林省で今日荒廃林地復旧工事という名前で実際砂防工事をやっております。この問題は、建設省の前身の内務省時代の砂防工事と関連いたしまして、非常に大きな問題であって、各省の行政を改める場合に、これを一本にしなければいけないというのは長年の問題であったのであります。実際困るのは地元の人ばかりであります。これが一向十分されていないという点でありますから、もし行政機構、そういう問題の起った場合には、昔から一番問題になっておる、この農林関係、内務関係のこの治山治水を一つ一本にしていただきたい。これに対して大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/62
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063・馬場元治
○国務大臣(馬場元治君) 砂防の予算につきましては、これが十分でないことを十分承知をいたし、その予算の増額に向って努力をいたしておるつもりでありますが、遺憾ながら満足に増額を獲得することができないような実情でございます。ただ、昨年よりは本年多少ながら砂防関係において増額しておりますことは、御同慶に存ずる次第であります。なお、この上ともに砂防関係においても十分の努力を払いたい、かように考えておるのであります。
なお、農林省関係の治山治水の関係、これも今年度は三十年度よりも予算が多少減額せられておるようでありまして、御指摘の通りに、建設省でやっておりまする砂防とは非常に関連の深い問題であります。この方面の予算の減額になっておりますことを遺憾に感じておる次第でございます。
なお、この二つは切っても切れない関係にありまするので、これを一つに取りまとめるという方向に向って、御指摘の通りに、努力を続けてゆきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/63
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064・赤木正雄
○赤木正雄君 次にお伺いしたいのは、この林野庁治山課で出しています治山工種写真図譜というのがあります。実際私どもが方々の府県を見ます場合に、農林省でやるべきこの荒廃林地復旧工事と建設省ですべき砂防事業というものは、昭和四年の閣議の決定事項に基きまして、渓流に施す堰堤護岸、水制、そういう仕事は主として建設省、またこれに関連する山腹工事も建設省、農林省としてははげた山に造林の目的をもって木を植える。これが主として向うの仕事、これに関連する渓流工事も向うの仕事。要するのに、渓流工事は建設省の所管で、山腹工事は農林省の所管と、大体こういうふうに閣議の決定で分っております。現にこのことは会計検査院も、この委員会でこの前の国会で申しました。ところが、実際方々を見ますと、この写真でもあるように、はっきり建設省でやるべき仕事を農林省で至る所でやっております。しかもその上流に、私の一番憂えるのは、大きなはげ山がありましても、それには全然手をつけない。そうしてこういう渓流工事ばかり今日は農林省でやっておる。こういう実態が全国至る所にあります。これでは一体、建設省の仕事と農林省の仕事はどういうふうになるか。
しかも、この予算の面を申しますと、戦前におきましては、私どもが内務省にいましたときには、砂防事業と農林省の荒廃林地復旧事業の比は、向うの一に対して内務省の三くらいの割合でありました。今日の比は、終戦後の安本のありましたときには、向うの方の事業の方が建設省の事業よりもずっと大きいのです。これでは均一に治山治水事業のできるはずがないのです。安本がなくなりまして、講和ができまして、それからよほどその点は改まっておりますが、しかし今もって向うの仕事の方がややもすると建設省の仕事より多い、こういうことでありますから、現地の者に、なぜこの仕事を建設省がやらないで向うがやるのか、こう聞きますと、建設省は予算はないのだ、そうすると向うの方は予算があるからやります、至る所でこう言っているのです。こういうふうな非常に乱れたことになっていますから、これでは昭和四年に決定した閣議の決定事項も実際に乱れております。会計検査院第三部長をここに呼びまして、その問題に言及した場合に、やはり会計検査といたしましても、山腹工事は農林省、渓流工事は建設省、こう言いました。実際そうやっていますが、われわれこれに反した事実を至る所に見ていると申しましたら、とうとう部長はもう何とも言葉がなかったのです。それで委員会が済んだあとに私らのところへ部長が来て、一体どうしたのかと言いましたら、実際だれでも山の奥に入って仕事をするのはいやで、これを農林省がやってくれないでは何百年たっても治水はできないから、だからしてやはりおのずから、農林省、建設省と分れていますが、その分野に応じて、向うのすべき範囲は向うにしてもらう、こういうふうにやっていくのが国家のためにいいだろうと思います。特にこの点について、予算の折衝に対しては大臣に格別の御関必の上で、これをやっていただきたい。
それからもう一つ、砂防工事というのはどんなものか、これはちょうど河川局長もおりますから、これは私どもが内務省にいましたときに問題になりました。あれは昭和十三年に技監のもとに、それは当時最も河川で有名な宮本博士その他みんな寄りまして決定したのが、砂防工事という、これは土木局で出た本であります。これには砂防工事というものはどういうものかがはっきりあるのであります。しかし今日私どもがこれを見まして、今この砂防工事によりますと、ややもするとだいぶこれに反しているといいますか、たとえて申しますと、地すべり地帯、これも砂防工事という規定がはっきりあります。これに対して、地すべり地帯には小さい堰堤一つ設けて、そのために上流一町歩も二町歩も全然安定さした例がたくさんあります。しかし仕事が簡易であるからという観点から、そういう仕事はややもすると認めない。こういう事実を私は方々で知っております。この間も私は新潟に行きまして、方々の地すべり地帯を見まして、なせこれを修理せぬかと聞いてみましても、どうもこの仕事は建設省に行ってもなかなか認めてくれない。それでは困る。これは局長も御承知の通り、終戦直後の安定本部のあったときには、砂防工事は大きな堰堤を作って土砂をとめるんだ、これが第一歩、と申しますと、この砂防工事の効果はどうかというときに、すぐ堰堤を作って、土砂は何ぼたまるのだ、これを効果にあげてきます。これは砂防ということを全然知らない人の言うことで、むろんたまる土砂もありますが、堰堤を作って山全体の崩壊を防ぐ、これが大きな効果だと思います。そういうふうな間違った仕事を今日ややもするとしておりますから、これは特に大臣の御答弁は要りませんけれども、河川局長に十分御検討願いたいと私は思うのであります。
もう一つお伺いしたいのは、ダムと土砂の埋没の問題でございます。これはわかりいいために、図面を作らしてみたのでありますが、図面によって私の考えを申し上げます。かりにこれが洪水調節の大きなダムとします。そうして洪水調節のダムの中には、土砂ばきの大きな穴があいています。私はこれは岩手県のある大きなダムに対しても現場で質問したのです。ところが、現在のこれが地盤でありまして、上から土砂がたまってくる。そうすると、この土砂ばきの上にこういうふうに土砂がたまりますから、今後上から土砂が流れてきても、これからみな流れていきます、こういう答弁です。これは土砂の流れを全然知らないまことにしろうとの答弁であります。土砂の威力はそんなものじゃない。必ず上流からいきますと、まずこういうふうにたまります。それからこういうふうにたまりまして、こうたまってきます。従いまして、最後にダムのここまでたまる。そしてこれが全部たまってしまう。でありますからして、やはり上流に砂防の仕事を行わない以上は、こういう大きな堰堤を作りましても、つまり水をためる機能はなくなってしまう。これに非常に先ほど申しましたように間違いがありまして、こういうふうに流れてしまうから、上から土砂が来ても何ともないというふうな考えは、とんでもない間違いだ。現に鬼怒川のあそこのダムを作る場合に、私どもが貴族院時代に非常に問題になったのです。鬼怒川のダムを作る以上は、あの上流に砂防をやらないではこれはその効果がなくなる、だから砂防工事をやろうというので、鬼怒川の上流の砂防を予算に計上されたのです。ところが、会計検査は二十九年に参りました。あそこの砂防をやっている人に、これはなぜ砂防をやるのだと聞いたところが、これはあそこの下流の五十里のダムが埋まっては困りますから、砂防をやる。ところが、五十里のダムのところにも聞いたら、これは砂防をやってくれと言ったそうです。しかし会計検査は、砂防をやらなくても相当大きな堰堤でその生命があるのに、特にここに砂防をやって五十年の生命を百年までしなくていいじゃないかというふうなことを言ったのが原因になって、現在上流の砂防堰堤は仕事をやっていない。こういう非常に間違ったことがあります。でありますから、そういうふうな考えでは日本の治水はできようはずはありませんから、この点も特に——私はこの前に発送電関係の法案を審議した場合に、どうしても堰堤を作って発電するという場合には、その上流にはその観点からも作らなければいかぬということが付帯決議になっている。この点を大臣は特に御勘案していただきたい。
私の質問はそれだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/64
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065・馬場元治
○国務大臣(馬場元治君) 長い御体験に基いたきわめて熱心な御意見でありまして、つつしんで拝聴をいたし、できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたして参りたいと考えております。
〔理事近藤信一君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/65
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066・近藤信一
○近藤信一君 大臣は若干の質問をいたしますが、池袋の駅に関した問題であります。昭和二十三年の初めごろに運輸百の施設局から東京都に対しまして、地表の駅が近い将来上信越が延びることになっておるから、池袋の地区の発展のためにこれは計画すべきだ。そこで駅前の広場をゆったりとして理想的な駅を作る必要があるので、従来運輸省が所有していた土地に接続した土地を七百七十六坪ぐらい必要だから、これを一つぜひとも運輸省の方に分けてもらいたい、こういうことで区画整理委員の方に割当を申請したそうでございますが、そのような事実ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/66
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067・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) 大臣わかりませんので、私の方から……。それは事実あったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/67
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068・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますると、その申請書は正式な書面で出されたのかどうか。もし書類が出されたとするならば、その書類の内容は一体どのようになっているか。その点、一つ明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/68
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069・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) その書類はちょっと今わかりかねますが、申請されたのが事実でございますが、それが今手元にありませんが、調査いたしまして御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/69
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070・近藤信一
○近藤信一君 内容は今すぐはわからないとおっしゃるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/70
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071・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) 実はそれだけの土地がほしいということを申し出たのでございますが、その書類がいかなる書類が出たかということは、今ちょっとここではわかりかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/71
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072・近藤信一
○近藤信一君 書類が現在あるかどうかということはわからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/72
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073・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) 東京都の方に出たのじゃなかろうかと思うのですが、私の方にあるかないかは、帰って調べてみぬとわからぬのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/73
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074・近藤信一
○近藤信一君 そういう書類ができまして、同じく二十三年の八月だったと思いますが、建設大臣の指令二八七号これは駅前の七百七十六坪の割当をやれという決定がなされて、建設大臣の指令としても出されておるそうでありますが、これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/74
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075・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) 土地の換地処分になっておりますので、都知事がやることで、建設省は関係ないそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/75
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076・近藤信一
○近藤信一君 建設大臣の指令が出されたということは、これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/76
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077・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) 指令というのは方針のことじゃないかと思いますが、その指令はちょっと読み上げてみますると、昭和二十一年の八月二十日戦災復興院告示第一〇〇号によって当初の駅前広場約一万九千二百八十平方メートルが決定されておったのであります。それが昭和二十四年の五月十日に建設省といたしまして四二二号の告示をもって当初の計画を変更いたしまして、一万三千二百九十平方メートルの広場が決定されたのであります。これが現在の広場になっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/77
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078・近藤信一
○近藤信一君 そうすると、そのときの申請は、駅前の広場を作るということで申請がされておると聞いておるのですが、その駅前の広場にするということで申請しておるのは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/78
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079・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/79
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080・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますると、その後駅前の広場ということでなくて、これは建設大臣の方じゃないかもしれませんが、その七百七十六坪の土地に今度は今、駅舎を工事しておる。こういうことになりますと、駅前の広場を作るといって申請したにもかかわらず、現在そこに駅舎を作るその上にビルを作る、こういうことになっておりまするから、これははなはだ欺瞞して七百七十六坪という土地を申請した、こういうことになると思うのですが、その点どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/80
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081・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) 初めの広場の予定地は今申し上げた通りであります。その次にできたのが、西口の方へ西武線が出てきて、西武線の万の予定地にまっすぐに並べて土地を換地したということになっておるのが七百七十六坪とお覚えております。西口と言ったのは東口でした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/81
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082・近藤信一
○近藤信一君 最初の申請のときには、上信越線が入ってくる、そういう計画で、将来駅前をりっぱにしなければならぬということで駅前を広場にする、こういう申請でこの土地の割当をもらった。ところが、だんだんと日にちがたちして、その駅前の広場にするのではなくして、そこに今度は駅舎を作り、ピルが建つ、こういうことになってきておるわけでございますが、そうすると、申請と現在の進行状態とまるっきり違っているわけなんです。その点を建設省はどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/82
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083・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) その点につきましてのいきさつを申し上げますと、昭和二十一年当初決定の際は、極内配線等についてコンクリートな案ができておらなかったのであります。戦後復興都市計画を早急に決定する必要に迫られまして、これに上越線の乗り入れを考え、また西武線、東上線、両線は西口のターミナルに入ることに決定されておったのであります。それがその後国鉄におきまして、関係各機関と協議の上いわゆる構内計画を決定したが、昭和二十一年の当初の計画であったのを、それを支障を来たすので、昭和二十四年の変更になって、いわゆる今お尋ねのところに変更されたような次第になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/83
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084・近藤信一
○近藤信一君 その変更したとかしないとかじゃなくて、最初の申請と現在とは違ってきておる、構想が。そうすると、最初の申請というものは、いわゆる虚偽の申請をしたということに私は解釈するのですが、その点をどう考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/84
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085・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) それは構内の線路が非常に多くなりまして、初めのはコンクリートされておった決定案ではなかったものでして、その後に線路が非常にふえまして、そのために東口の方に幅が広がってきたわけであります。そういう関係で西武線が入って来いたしまして、それと並行してやるような格好になったので、そこに換地処分にした、いわゆるそれは駅舎を作るのだということで換地処分をしたことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/85
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086・近藤信一
○近藤信一君 最初の申請のときは、将来の発展も考えて、理想的な駅にしたい。それにはどうしても駅前の広場をたくさんとらなければならぬ。ところが、現在では御承知のようなあの狭い駅前になってしまった。トロリー・バスも入ってきておるというようなことで、非常に混雑を来たしておる。こういうようなことでいきますると、最初の理想的な駅前を作るこの計画から、ずい分ずれて変ってきていると思うのです。そこで非常に迷惑するのは国民が迷惑している。こういうような結果に相なるかと思うのでありますが、その後の計画が変ったということになったそれは、国鉄の内部の問題だと言われればそれまでかもしれませんが、最初の申請の私は理由というものが、いわゆる国民のために理想的な駅にし、そうして理想的な広場を持ちたい、こういう申請がなされている以上は、やはりそういうような結果にならなければならないと私は考える。ところが、現在あのような結果になっておるから、この点は建設省が、建設大臣の指令によって駅前の割当を決定したということに対しては、私責任があるのじゃないかと思うのですが、この点いかように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/86
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087・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) お尋ねの点につきましても申し上げてみたいと思いまするが、結局国鉄の土地が二、三カ所に分れておったのであります。その二、三カ所に分れておった土地を、駅舎にするのだからというここで、それを一まとめにして換地処分したということになっておることは事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/87
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088・近藤信一
○近藤信一君 区画整理からいいますると、やはり国民の土地の減り分が出てくるわけですね。それで国民の私有物の土地を減らして、そうしてこれは公共の事業だからといって、国鉄の方に七百七十六坪の割当をされた。これは国鉄は公共の事業だということで片づけてしまっておられるが、私はどう考えても、最初の理想的な駅にして理想的な広場を作りたい、こういう申請でございまするから、国民の方々も減り方を認めて、そうしてこれについて異議がなかったと思うのですが、それが今日になると最初の意図と違うから、これは問題になってきておるわけだと私は思うわけです。そういう点から考えますれば、私は建設省に一つの大きな責任があるのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/88
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089・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) 一般の民衆の土地を減らして、国鉄の土地を減らしておらぬということはないのでありまして、東口の方にいたしましても、従前国鉄は二千百四十九坪四合というものを持っておった。それを換地処分いたしまして、減坪いたしましたところが二五、六%いたしております。そして千五百九十九坪になっておるのであります。こういう格好でありまた西口の万にいたしましても、千二百三十八坪のものに対しまして四一%の減坪をいたしまして、七百六十五坪渡しておるというような、減坪に対しましても公平にやっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/89
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090・近藤信一
○近藤信一君 建設省の関係としてはこの土地の問題だけでございますが、私は、現在池袋の駅舎というものが上の方にビルができて、あの付近の商店街等も非常に困っておる、こういう関係からいきまして、その土地の七百七十六坪の問題が問題になってきておる。そこで私は、こういうような建設省令として出された建設大臣の指令として出されるような場合には、そういう点を十分考えて土地の割当をすべきではなかろうか、こういうふうに考えます。やはりこれは将来も問題があると思うから、今後はこういう点なども十分に検討して、そうして国民から非難を受けるようなことのないように一つ善処してもらいたい、私はそう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/90
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091・堀川恭平
○政府委員(堀川恭平君) 御説の通りでありまして、もともと建設省といたしましては、都市計画におきましてあそこに駅が建つという予定であり、また今切符売りをやっておるのであります。千五百何坪のうち七百坪は切符売りをやり、七百坪ほどのものに対しましては何か建築いたしておるようなことも聞くのでありますが、そういう意味ではなしに、私の方といたしましては公平にやって、そうして都市計画を完備し、駅前を充実さすつもりで換地いたしたのであります。今後ともこういう場合におきましては、そこらの住民に疑惑の与えられぬように、できるだけ善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/91
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092・近藤信一
○近藤信一君 次は、もう一つ大臣にお尋ねしたいと思うのですが、これは大臣も御承知のように、この春地元の人たちに非常に歓迎されて愛知県の知多郡の衣浦橋、これは有料橋ですが、これが完成された。大臣も、また土木局長も、これに御出席されたわけです。もう一つは濃尾大橋、この二つが有料橋として竣工を見たわけであります。そうして地元は夢のかけ橋だということで、あの竣工に対して期待を持ち喜んでおったわけです。ところが、完成いたしますると、料金が高い、こういう点で、現在では非常にあの橋を渡る人、いわゆる自動車、貨物、自転車、こういうような料金が高いので、なかなか橋を渡るという人が予定よりは少い、こういうように聞いておるのですが、一体あの橋は政府からどれだけの金を貸し与えて、そうしてそれは何年計画でこれが償還されることに契約にはなっておるか、この点を一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/92
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093・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 衣浦橋の、これは有料道路でございますが、料金が高いので成績が上っておらないというお話でございます。これはかねて計画いたしました計画の数字までには、料金が上っておりません。たしか六〇%程度だったと思っておりますが、これは料金が高いために上らないのか、どうかその辺はこれから十分調査してみたいと考えますが、この衣浦橋につきましては大体約四億ほどの建設費がかかったと思います。この建設費は県に貸付されたものでございまして、これは十五年で償還するということで貸付されたのでございますが、それから割り出しまして自動車その他の料金がきまっておるわけでございます。ただいま衣浦橋につきましては、トラックが二百五十円、普通の乗用車が二百円とることにいたしておりますが、この料金のきまりましたのは、前申し上げましたような条件からきまっておるわけでございます。お話のように、もう少し料金を安くすればもっとよけい自動車も通り、計画も所期されたように進められるのではないかというお話につきましては、十分これから検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/93
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094・近藤信一
○近藤信一君 そこでお尋ねしたいことは最初の計画通りに料金が上っていないということになると、十五年の償還ということは困難になってくるであろう、こういうふうに私は考えるのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/94
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095・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) これはお話のように、十五年償還は困難になって参ります。この表浦橋も今度道路公団が引き継ぐことになるわけでございますが、道路公団が引き継ぎますと、この料金の徴収期間は、建設費を償還するまで料金が徴収されることになりますので、衣浦橋につきましては十五年以上料金を徴収しなければならぬ結果になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/95
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096・近藤信一
○近藤信一君 ただいま道路局長が、料金が高いのかどちらかわからぬが、所期の予定通りにいかないこういうお話ですが、先日も地元の新聞に出ているところによりますと非常にこれは料金が高い。そこでタクシーなどは橋の向う側に一台呼んでさておいて、こちらの半田の方から行った人は手前でおりて、橋だけ歩いて行って、また向うの自動車に乗りかえる。自転車などは、うば車は無料でございますからうば車に自転車を積んで通る。またその関所の所だけかついで行って、途中から自転車に乗る、こういうような状態だと新聞に出ておるのです。そうすると非常にこれは料金が高いから予定通りの事が通らない。また貨物の自動車などは、往復の料金を払うより、向うの方へ以前のように回った方が、ガソリン代が安いから、その方が得だということで、大回りをして行く。こういうことで、三河と知多の産業を結ぶ線としてあの橋がかけられたわけでございますが、そういう状態でいくと、これは結局何にもならぬ。そこで私はもっと料金を安くして、そうして車の数をもっとたくさん通すようにすれば、所期の計画通りいくんじゃなかろうか、こういうふうに考えるのですが、その点どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/96
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097・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) この有料道路の料金をわれわれの方できめるわけでございますが、きめる際には、運輸大臣の意見も聞き、また大蔵大臣と協議してきめておるわけでございます。このきまり方は、先ほど申し上げましたような、建設費を償還するというような条件からきまってくるわけでございますが、料金を安くして、かえって通るものがよけいになり、総額が上るというようなことでありますれば、料金を低くした方が賢明な策でございますので、その点につきましては十分調査いたしまして、また公団とも相談いたしまして、料金を再検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/97
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098・近藤信一
○近藤信一君 静岡県の掛塚の大橋、あれも有料橋なんですね。あれと比較いたしますると、トラックが衣浦橋の場合には二百五十円、掛塚の大橋は百円、それから普通の乗用車が、衣浦は二百円、それから掛塚の方は八十円、小型自動車は、衣浦の方が百五十円、それから掛塚の方が五十円、それから自転車は衣浦の方が十円で、掛塚の方がなし、荷馬車が衣浦橋の方が四十円で、掛塚がなしということで、こういうことで静岡県の掛塚の橋と比較いたしますと、非常に高い、約倍の料金のように考えられるんです。そういう点から考えましても、私はもっと検討して、そうしてこれを大幅に値下げをする必要があるのじゃなかろうかというふうに考えるのですが、建設省の方は大蔵省の方と相談して何かこれに対して、善処するようなお考えがございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/98
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099・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 掛塚橋と衣浦橋と料金が違いますが、これは建設費が違うからそうなってきているわけでございます。しかし、いろいろなお話の点につきましては、十分大蔵省とも協議いたしまして、料金の点は再建討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/99
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100・近藤信一
○近藤信一君 先ほども申しましたように、やはりこれは償還期間というものが十五年ということにまあ押えられている、こういう関係から見ますれば、やはり料金がもっと上るようにしなければならぬのじゃないかというふうに思うんです。ただ数字的に、この橋が幾らかかったから十五年で償還しなければならぬ、で、トラックは幾ら、それから乗用車は幾らということで、機械的にきめられたから、結局こういう結果に私はなったと思うんで、そういう点は私はもっと十分に検討して、そうして実際に人がよけい通れば、車がよけい通れば、それだけ私は料金が上ってくるのじゃなかろうか、こういうように考えまするので、その点一つ十分に御検討をされて、一日も早く私は値下げをして、そうしてたくさん車を通す、こういう方向に一つ努力をしていただきたい。このように私は希望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/100
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101・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) ちょっと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/101
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102・赤木正雄
○委員長(赤木正雄君) 速記をつけて下さい。
本日の委員会はこれをもって散会いたします。
午後一時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414149X03419560524/102
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