1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月六日(金曜日)
午後三時三分開会
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委員の異動
四月三日委員永岡光治君辞任につき、
その補欠として相馬助治君を議長にお
いて指名した。
四月五日委員寺本広作君辞任につき、
その補欠として植竹春彦君を議長にお
いて指名した。
本日委員植竹春彦君、山本經勝君及び
亀田得治君辞任につき、その補欠とし
て寺本広作君、久保等君及び藤原道子
君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
理事
谷口弥三郎君
山下 義信君
委員
加藤 武徳君
榊原 亨君
寺本 広作君
久保 等君
相馬 助治君
竹中 勝男君
田村 文吉君
森田 義衞君
国務大臣
労 働 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
労働大臣官房総
務課長 村上 茂利君
労働省労政局長 中西 實君
事務局側
常任委員会専門
員 多田 仁己君
説明員
労働省労政局労
働法規課長 石黒 拓爾君
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本日の会議に付した案件
○公共企業体等労働関係法の一部を改
正する法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/0
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001・山下義信
○理事(山下義信君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
委員の異動報告をいたします。四月三日付永岡光治君辞任、相馬助治君選任、四月五日付寺本広作君辞任、植竹春彦君補欠選任、四月六日付山本經勝君辞任、久保等君選任、同日付植竹春彦君辞任、寺本広作君選任、同日付亀田得治君辞任、藤原道子君選任。以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/1
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002・山下義信
○理事(山下義信君) 御報告いたします。
先般の理事会におきまして、医療、公衆衛生等に関する不正行為の実情調査をいたしたいということになりまして、近時、不法な医療類似行為や、公衆衛生上の不正行為、または不正薬物等のために国民が被害をこうむっている事件が随所に起っておりますので、公衆衛生ないしは国民生活の見地からいたしまして、黙過しがたいことでありますので、その実態を調査して、これら不正行為の絶滅を期したい、こういうことでございます。たとえば無免許医師、あん摩、はり、きゅう、柔道整復師等の無免許業者、療術行為者、堕胎業者、祈祷療治者、不正医薬品、栄養強壮剤、不正化粧品等、ただいま申し上げましたような点につきまして調査をいたしたい、こういうことでございますので、御了承を願いたいと存じますが、御異議ございませんですね。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/2
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003・山下義信
○理事(山下義信君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/3
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004・山下義信
○理事(山下義信君) 次に、日程に入りまして、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/4
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005・久保等
○久保等君 私ただいま議題になっております公共企業体等労働関係法の改正法律案ですが、この問題については、先般の本会議で、大臣からいろいろ本法律案の提案せられました政府のお考え方、まあこういった点についても一応お聞きをしておるわけなんですが、しかしなおかつ、どうもその御説明を伺ってみましても、本法律案の出されて参ったその原因といいますか、政府のお考え方について十分に理解できない面がありますので、若干お考えを承わりたいと思うのですが、その第一点は、この法律案の出される前に、十分に関係当事者ないしは第三者といいますか、公益委員等の御意見等も聞かれて、いわゆる答申案というものを政府は一応もとにして本法律案を出されたというのですが、しかもこの法律案は何といっても戦後の、政府がよく言われる占領下にできた公企労法、このものを新しい今日の事態から再検討したいというお考え方で、おそらくこの法律の改正法律案を出されたんだと思うのですが、そういたしますると、相当根本的に各方面についての検討が当然なされて改正案は出て参るのが至当だと存ずるのですが、本年の一月十四日にこの公企労審議会が持たれて、そして二月の八日の日に早くも結論が一応そのときにおいて出された。しかもそれに基いて改正案を出されたということで、審議会における審議も、私はこれだけの重要な法律案を扱うのに十分の期間をかけたとは考えられないわけなんです。にもかかわらず、ここに改正法律案を出されて参ったんですが、根本的な各般にわたっての検討の上に立って、改正案をまあ出そうというお考え方でいろいろ検討を加えたんだが、結論としてここに出されて参ったのが結論ということなのか、それともさしあたってこれだけの改正案を出しておるが、引き続いて近い将来において、根本的な改正をさらに政府としては考えておるんだというようなお考え方で、第一次的な意味で、ここにこの改正案が出されて参ったのか、そこらのお考え方を大臣からお承わりいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/5
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006・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 本案の改正案につきましては、非常に短時間のようでございますけれども、長く期間をかけても、その間の会合が非業に短いようなものもあるかもしれませんが、この審議会は非常に熱心に夜おそくまでやっていただきまして、その間の日数はなるほどそう長くはありませんが、審議会をやりました時間は非常に長うございました。非常に熱心にやっていただきました。そこで政府は、この公共企業体というものについて、現在の公共企業体というようなあの形態をそのままにするとすれば、やはりその労働関係法は今回の改正でまずまず大体よろしいではないかと、そういう考え方でありまして、これが一時的なものであって、さらに根本的に全部考え直すと、こういうことはただいま考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/6
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007・久保等
○久保等君 そうしますと、戦時中のいろいろ諸法規あるいはまた諸制度等についての検討を現内閣はあらゆる方面にわたって考えておられるわけなんですが、根本的には憲法の改正といったような問題も考えなければならぬというような、それこそ根本的な点についての検討も考えておられる内閣の立場で私はこの公企労法を考えた場合に、問題の根本的な改正を要する点がこれは非常に多いと思います。また、公企労法そのものが果して妥当なものであるかどうかという問題にまで私は議論があるだろうと思うのです。まあ具体的にどこをどうという問題になると、これはそれぞれむずかしい問題もありまするから私は避けたいと思いまするが、しかし、今回出されて参った改正程度が、少くとも今の内閣としての考えられる集約された結論であるというふうにはどうも私理解ができないんだけれども、今の労働大臣のお考え方からいくと、今内閣として考えておる公企労法についての改正の点というものは、今回出された法律案のすべてに尽きておるのだというお考えのようなんですけれども、どうも重大な問題がむしろ私はたな上げにされたような形で、三者の比較的意見のまとまった点を中心として、さらにまたそれも重要な点についての問題がむしろ伏せられたような形で、いわばどちらかといえば、末梢的といっては問題があるかもしれませんが、まあわれわれから見ると根本的な問題がたな上げにされて、それに次ぐ問題がここに出されてきたような感じを受けるのですけれども、大臣の今の御答弁からいくと、具体的にいえば、これがとにかく今の内閣としての公企労法に対する考え方の改正をしなければならぬという考え方の結論だということなんでしょうか、もう一ぺんその点はっきり承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/7
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008・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、公共企業体というものは、そもそもああいう形でできました歴史が歴史でございますからして、若干翻釈立法的な形体が、公共企業体それ自身がああいう歴史で成り立っておるものですから、幾らかあるかもしれませんけれども、この公共企業体というものに即しての労働関係を律するならば、私は今度の改正でいいではないか、私どもがこの法律の改正に当って一番着眼いたしましたことは、私どもこの立法に、当初現行法の立法に携わりましたときから考えておりましたし、またこれを運営してみて非常に気のつきましたことは、仲裁裁定というものがいやしくも最終判決であるにもかかわらず、これにいつもその紛争がしわ寄せされておる。そこで仲裁裁定は、これは政府がもう不可能なことはやむを得ないとしても、あらゆる努力を払って仲裁裁定を実施すべき方向を見出そうではないか、こういうような考え方からこの公企労法の改正案に思い至ったわけでありまして、私は現在の公共企業体としては、本法の改正で足りる、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/8
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009・久保等
○久保等君 そうしますと、この公企労法そのものが成り立った経緯は、今大臣の言われる通りの経緯があったと思うのです。そうしますと、労働法そのもの、それからこの公企労法それからさらには国家公務員法という広い意味での労働関係法規といえば、基本的な法律そのものでも、今言った大体三つくらいの係累に分けられるような今状態にあると思うのです。従って本質的な問題を再検討しなければならぬということになれば、当然労働法そのものとの関係において、公企労法とそれから国家公務員法といったようなものも比較検討しながら、検討されなければならぬ問題が本質的にあるんじゃないかというように思うわけです。ところがまあその問題については、従来からの大臣あるいは政府委員の御答弁等も私速記録等でも拝見いたしましても、そういう関係についてはこの際触れておらないのだ、それで従来の公企労法の中において、今大臣の言われたように、たとえば仲裁裁定の問題について、もう少し何とか円滑にならぬものだろうかということは衆目の一致する問題だろうと思います。どういうふうにするかは別問題として、問題点の一つであることには相違ないと思います。しかしながら根本的に再検討するという立場に立つならば、今言ったような他の労働関係法規等の問題もありますし、まあわれわれ根本的に考えますならば、こういう公企労法というものそのものがいわば中途半端な存在じゃないかという考え方も持っておるのですが、そうなると、公企労法だけの問題ではなくして、いわゆる広い意味での労働関係法規を考えてみなければならないし、少くとも労働者そのものの基本的な基本権と言われておりまする罷業権を中心にしたそういう行為との問題についても、これは非常に私は今のところ中途半端な形に公企労法が規定せられており、しかも片や今言われた仲裁裁定の問題はそれとの関連性において、より非常に問題を困難ならしめておるというように私ども了解するわけなんです。しかし、そういう他法規との関係における根本問題は、大臣の今の御答弁で、今考えてはおらないのだ、再検討すべき必要があるといった判断はいたしておらないということの私は御答弁だと思うのですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/9
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010・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) あなたのおっしゃったような考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/10
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011・久保等
○久保等君 そうしますと、ただいま言われたことで大臣のお考え方はわかったのですが、従来からやはり問題になっておりますのは、ただいまもちょっと触れましたやはり争議行為の禁止という問題、これが非常に最重要な問題の一つではないかと私は思っているのです。それからまた、政治活動の制限が、これは特に国家公務員の場合等においては、公企労法そのものの中にも、五現業の場合においては、争議権が明確に制限せられております関係もあり、非常に大きな問題ではないかと思うのです。そういう問題については、これは従来通りだということになって参ると思うのです。その場合に、たとえば政治活動の問題等についても、同じ公企労法の中で三公社と五現業とこれは差別があるわけです。そのことについて他との関連をいろいろ言えば際限がないのですが、この場合問題を区切って、その公企労法関係だけに区切って考えたならば、三公社には政治活動の自由が一応許されている。しかし片や五現業の場合には、これが全然制限せられているというような問題についても、従来非常に大きな問題になって、今日未解決のままになっておると思うのです。他との問題もいろいろ言えば際限はありませんが、その問題は伏せておいて、五現業の場合は、私は少くとも公企労法の中においても何とか同一の扱い方をしていくべきではないかという気がいたすのですし、これについてはひとりわれわれだけでなくて、一般の学識者あるいは有識者等の強い意見等もあるわけなんです。そういう問題を考えた場合に、今回この公企労法の問題をせっかく政府が手をつけて、やはり何とか少しでもよくしようというお考えを大臣初め政府が持っておるとするならば、たとえば私は長い間の懸案である政治活動の問題については、これは別に全部を上げるというのでなくて、せめて三公社並みにでも五現業の場合には引き上げていかれることが、さしあたっての問題としても、私は当然お考えになってもいい問題ではないかというように思うわけです。それはなぜかと申しますと、一つには今度出されました改正案の中を見ますと、できるだけ同じような扱い方を、公企労法関係の中において、同じような扱い方をしたいのだというお気持の一端が、たとえばあの二カ月以内の期間で雇われた人間、人、これらの問題についても同じ企業の中で二カ月というようなことで差別をしないで、何とかできるだけ一つ同じような扱い方をしていけるようにというお考え方で改正せられたように見受けるわけです。そういう一つの事例をとって考えてみましても、できるだけそういうアンバランスと申しますか、そういったような問題についても、この際調整していきたいというお考え方があるように私見ておるのですが、そういたしました場合に、根本的に今申し上げた、これは一例でございますが、政治活動の問題等は、これは何とか範囲はまた考えるとしても、全面的に禁止してしまうのだ、しかもそれは一小使さんであろうと、それからまた極端に言えば、馬車引きの、林野関係の馬車を引かれる、これは純然たる筋肉労働者、これらの人も、国家から給与をもらっている限りはこれは国家公務員だという考え方で、政治活動を制限しておられるような問題等も考えた場合に、これらは当然私は何とか総体的にあらゆる方面を考慮に入れての改正という問題は別としても、この際、やはり公企労法の改正の一つの重要な焦点として私はぜひ取り上げらるべきではなかったかと思うのですが、その点はどういうふうな事情だったのでしょうか。
〔理事山下義信君退席、理事谷口弥三郎君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/11
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012・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) この間もそういうお話がございましたが、私どもの考え方は、今お話の五現業の方々はもとよりこれは国家公務員でありまして、国家が経営をいたしておる五現業に従事しておられるわけであります。従って前にはこの公労法をこれらの人々に適用はされなかった。ところが、私どもはこういう現業的な立場に立っておられる方々に対しては、やはり労働関係においては公労法を適用する方がこれらの方々に対してはいいではないかと、まあ何と申しますか、範囲を広げて、団体交渉権も待っていただくように、企業体であるから、した方がいいのではないかということで五現業に広げたわけであります。そこで、しかしながらやはりその身分関係においては、公けに奉仕する義務を持つ国家公務員であるということには変りはないわけでありますから、この公企労法を適用するという程度にして、やはり公けに奉仕する義務を持っておる国家公務員である以上は、その点においては国家公務員と、一般公務員と同じ取扱いをすべきではないかと、こういう考え方でありまして、今度この法の改正にもその点には触れなかった、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/12
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013・久保等
○久保等君 大臣の今言われる公けに奉仕するという問題なんですがね、現行法の実態を説明する説明の仕方としては、私はまあ大臣の今言われる公けに奉仕する立場にある者は、争議行為にしてもあるいは政治活動にしてもこれは認められないのだ、また認めるべきではないのだというのが現制度の建前なんだということでは、私はやっぱりちょっと理解がいきにくいと思う。もうはっきりわかりやすくいえば、とにかく給与を政府からもらっておる者については、その携わっておる仕事そのものが重要であるとかないとか、あるいは公けに奉仕するとか何とかいう問題とは別にこれはもう当然争議行為を禁止し、それから政治活動も禁止するのだという建前なんだという御説明は、これは現行法なり現制度を私は説明する仕方として一番的確だと思うのですがね、公けに奉仕するとか、あるいはまた公共性があるから非常に国民に対して迷惑がかかるから、一般の大衆に迷惑がかかるから、だから政治活動の自由についてもこれは制限しなければならないし、争議行為も禁止しなければならぬのだという、実はお話では、どうも残念ながら、今の日本の実態というものは理解しにくいと私は思うのですよ。だから本質的に問題を究明して参りますると、何といっても、私は現制度というものには非常に大きな矛盾があると思います。今の大臣の公けに奉仕するという立場からいけば、それは企業が公企業であろうと、私企業であろうと、公けに奉仕するというその事業の本質は、私は何も経営者が形式的に変ったからといって変ってくるものではないと思います。従って今大臣の言われる公けに奉仕するということになれば、これはやはり事業の本質に携わっておりまする事業の性格、それから国民に及ぼす影響、そういったようなことを主として考えた方が、公けというほんとうの意味を的確に判断するなら、その方がむしろ私はぴったりするのじゃないか、そういうことになってくると、必ずしも日本の場合に、私企業であるからこれは必ずしも公けに奉仕する事業にはならぬのだというふうには割り切れない実情にあるのじゃないか、従って私は大臣の今言われるお考え方には、言葉そのものを厳格に解釈するなら、それにむしろ賛成する、公けに奉仕するという立場から割り切るなら……。さらに一般の国民に重大なる影響を及ぼすという、そういう事業の性格なり、使命という立場からものを考えていくなら、またこれは話はある程度わかるけれども、しかし現制度はそういうふうにはなっておらないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/13
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014・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) その点は、事業の公共性ということを今御指摘になったようでありますが、なるほどその公共性については、私企業も同じ性格を持っているものがありましょう。しかし一方は私法人であるし、片方は公法人でありますから、その国家に奉仕している公務員が、国すなわち公けに対して罷業をするということは考えられない、すなわち公務員法で、公務員法制定のときにもちろんこの争議権などをやめたという考え方はそういうことでありますが、今のお話の、公共企業体関係の従業員の身分のことにつきましては、御承知のように、この政府では、公務員制度審議会に公務員制度の根本的な考え方を一つきめようということで答申を求めまして、その答申案が出されて、この答申案に基いて、私どもは公務員に対して根本的なこの法の改正をすべきではないかということで目下検討中であります。そういうようなときに、この今御指摘のような五現業の人たちの公務員の立場もやはり一緒に研究する必要があるではないかということも考えられているわけであります。従って御承知のように、このたびのこの答申案にも、従ってそういうときに根本的に検討すべきではないか、こういうことでありまして、答申案もその点には触れなかった、こういう事情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/14
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015・久保等
○久保等君 今、公務員制度調査会の問題がちょっと出ましたからお伺いしたいと思うんですが、これはやはり今国会等には私は出て参らないのじゃないかと、まあ自分で個人的に判断しているんですが、当然これは労働省に関係した、今言ったような問題に関連ありますだけに関係があると思います。従って、直接、法を提案する所管ではないにいたしましても、これは関連があると思います。従って、十分にその面についての連絡調整等も行われたと思いますが、しかし今国会にその公務員制度調査会の何らかの結論が出されて、それに基いて、さらに政府が公務員法の改正等についての案を提出されるというようなことは考えられないのじゃないかと思うんですけれども、念のためにちょっとお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/15
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016・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 今国会には間に合わないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/16
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017・久保等
○久保等君 それから、まあ今五現業と三公社の問題についてちょっとお伺いしたんですが、さらに、三公社の内容で今度出されております改正案の中に、これは一番初めの方になるようでありますが、「第二条第二項第一号を次のように改める。」というところで、「前項第一号の公共企業体に雇用される者であって、役員及び日日雇い入れられる者以外のもの」というふうに新しくこれを改正せられているんですが、これも従来から問題になっておった、従来は「二箇月以内」のまあ「もの」というふうになっておったところを「日日雇い入れられる者」というふうに改正せられているんですが、問題は、やはり私はこの公企労法そのものの扱い方についての問題があると同時に、本質的にこれらの人に対しては、やはり二カ月以内の期間を定めて雇い入れられる場合の人についても、何とか一般公社の職員と同じような扱い方をしていくべきではないだろうかという意見が非常に従来からあったと思うんです。ところが、この今度の改正案を見ますと、ただ公労法関係の方の扱い方としては若干そういう声にこたえたような形の改正になっているんですが、しかし根本的なその身分の保障の問題その他についての本来の職員としての扱い方については、これは全くたな上げしたような形になって出て参っている、これなんかも私はこの問題一つを解決するなら、また解決するための改正案をお出しになるならば、そういう根本的というか、この問題についての問題になっておりまする点をやはりすっきりした形で私は結論を出されて、この改正案が出されてくるべきじゃなかったかと思うのですが、これも何かとってつけたような形になって、職員の解釈の仕方には公労法上の職員と、それからその母法といいますか、普通法の公社法の方の職員の解釈とは全然違った解釈になるような、職員というのが今度二つできることになるわけなんですがね。これらについても、一体先ほどの大臣の劈頭の御説明から考えられる公企労法の改正案であるならば、この程度のことを、私はむしろこういう問題が今まであったとしても、この際整理をしてすっきりさせるのが至当じゃないかと思うのですが、今度は逆に、ここに新しく何か職員といっても二種類ございますという形の職員をここで作ろうとしておるのですが、一体それはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/17
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018・中西實
○政府委員(中西實君) 私からお答えいたしますが、実はこの点の改正につきましては、答申案におきましても、公社側委員には相当な反対があったのでございまして、しかしながらわれわれとしましては、少くとも職員である限りは、労使関係においては同一に扱った方がよかろうということで原案のような改正案を出したわけでございます。しかしながら、その二カ月以内の期間を定めて雇用される者を公社法上いわゆる一般の職員と扱うかどうか、これにつきましては、実は先ほど申しましたように、公社側にも異論がございました。それを直ちに一般と同じように扱うということには同意がどうしても得られないししますので、この点につきましては、さらに実際の取扱いにつきまして御検討の上、公社法の方でさらに考えたらどうか、とりあえずはやはり公社内の身分におきましては、一応従来通りにしておくということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/18
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019・久保等
○久保等君 その審議会の模様は、事情としては私もわかるわけなんですよ。しかしやはりその点をただ事務的に公社側ではこういう意見だったし、それから職員側の委員の意向はこうだったと言われる形で御説明を願っても、やはり問題の解決には私はならぬと思います。だからやはり政府がどう腹をきめて、一体どうすべきかという点についての認識なり御決意のほどは、私やはり欠除してるんじゃないかと思う。しかし二カ月以内の期間を定めて雇い入れた者といっても、実際の運用面を見てみると、私は実はそれは名目だけであって、二カ月ごとに切りかえられて、実際はもう三年も四年も、ひどいのになると五年も六年も実際は雇っているんです。しかもこれは相変らずここにいう二カ月以内の期間を定めてという中に入るという解釈で運用せられておる実情があるのです。これはしかも、たとえば公企体の場合についていえば、単に百人や二百人という程度じゃなくて、やはり数千人という非常に膨大な、大勢の人員を擁しておる問題があるわけなんです。しかもこれが一年、二年じゃなくて、ずっと沿革的にいえば公企労法の制定せられた当時からずっと引き続いて今日存在しているわけなんです。これがいわゆる労使間における紛争の一つの種にもなって、今日まで問題が解決せられないままにきているわけなんです。従って、私はそういう実情等から考えますならば、この改正案を今回お出しになる場合には、せっかくここで取り上げられたのならば、なぜその問題を一つ解決してすっきりした形で法律案を出してこられなかったか、ただ現状を、文書だけ整理するんだということだったら、私は改正案そのものは大して意義がないと思います。何とか一つ、一つでも整理して、その現状というものが紛争の若干の種にでもならないようにという御配慮があってしかるべきだと思うのですが、法律の体裁の面からいきますと、こういう今度の規定によって、私はしかし非常に厄介な規定になってきたと思うのです。しかもこの最後の付則のところで、法律も、若干公社法の方もいじったようになっておりますが、ただいまのこの問題自体についても、従来は公社法の内容を見ますと、公企労法でいわれる職員を職員とするのだという規定の仕方をしておった。ところが今度は、公企労法の中は公企労法の中で、一つの職員の定義を下して、それからまた、公社法は公社法の中で、また一つの定義を下す、その定義を下すのを今度は改正法律案の付則のところで、規定の仕方をして出してきておる。これは私は体裁からいっても実際におかしな形だと思う。しかもその問題の本質は、今申し上げたようなところに問題があるのであって、しかもそれが非常に実情に即さないような形に現在の制度そのものがなっておるので、私は公企労法のところでせっかくこうした改正をされるのならば、問題の根本をなぜ改正してお出しにならないのか。またそのお出しになることについての反対の根拠は実は私はわからないわけです。どうも公社側で反対しておると言われますけれども、その反対するそのものについての理解がどうも私はできがたいわけです。そういうものについては、公労法でせっかく一般の、一般というか、とにかく公労法を全面的にこの際適用しようというふうに持って参ったならば、身分関係についても当然これは一般の職員という形で扱っていってこそ、私は公社法と公企労法というものがあたかもたての両面になってうまい運営ができると思う。ところが、公労法のところでは職員に扱っておるけれども、しかし肝心かなめの方の普通法の方で職員という扱いがされておらないということになると、私はこれは単に中途半端な改正というよりも、本質的に掘り下げてみたならば、むしろ今度の場合は改悪になっておるんではないかという解釈が成り立つと思う。それはなぜかと申しますと、私が申し上げるまでもなく、身分の方は従来と変らないし、公労法の扱い方だけは一人前に扱われたがゆえに、これは争議行為も禁止せられるということになって参ると、従来であれば、労働組合を作って労働組合法の適用を受けてだれはばかることなく労働組合の、労働法上の権利を主張できるのが、今度の公労法の適用を受けるがゆえにそうはいかないと、争議行為もできないのだという形になって参ると、むしろ本質的には改悪になっておるのじゃないか。かりに、公労法の職員になって、かりに争議行為の禁止という問題があっても、しかし身分関係のところが保障されるから、まあまあ公労法の全面的な適用を受けてもがまんができるというところは、それは悪いところだけはむしろ公労法の適用を受けられるようになった。しかし、身分関係は従来と変らないのだというようなことになったのは、本質的にみたらむしろ改悪ではないかと思う。政府の提案されております趣旨は、公企体関係の従業員の、公企体関係の職員の中におけるアンバランスをなくするところに、労働法規の面から見たアンバランスをなくするのだというところに、提案の御趣旨があるようですけれども、それでは私はむしろそういう人たちにとってみるならば、改悪になるのではないかというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/19
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020・中西實
○政府委員(中西實君) この点は、実は公社側の反対もございましたが、答申案の線に沿ったわけでございまして、二カ月以内の期間を定めて雇用される者、このうちの二カ月がいいか、あるいはどの程度の期間がいいか、とにかく臨時に雇われるもので、公社によりましては、たとえば専売公社あたりは二カ月では困るのだ、四カ月以内くらいにしてもらわないと、季節的な臨時の労務者あたりがやはり公労法の中に入ってきては困るというような話もあったくらいであります。そこでいろいろ論議もございましたので、結局二カ月というのが従来通りまあ規定にもあるからそれを踏襲いたしまして、そして身分保障、分限等の規定というものは、これは公社法上の職員の範囲の問題として別個に研究すべきであるということで、実は原案のように一応提案したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/20
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021・久保等
○久保等君 まあそういう本質的な問題の解決をやはり私ははからないで、こういう形で出されたということは、むしろ非常にすっきりしないものをそのあとへ残してくるんじゃないかと思うのです。それで、それをここへお出しになっておりまする法律案について見ましても、公社法すなわち私のまあ見た公社法は専売公社法と、それから電電公社法の二つをば見たのですが、それの中に専売の場合には二十六条、それから電電公社法の場合には三十六条のところにまあ規定が実はあると思うのです。その法律をちょっと見た場合に、一体私はその条文はこのままにしておいてもよろしいとお考えになっておるのかどうかですね、ちょっとその点お伺いしたいと思う。それはどういうことかと申しますると、私ちょっと手元に法文がないのですが……、これはまあ電電公社法も専売の公社法も同じなんですが、「公社の職員の労働関係に関しては、公共企業体等労働関係法の定めるところによる。」という規定があるわけなんです。ところが、ここでいう公社の職員というのはこれは明らかに専売公社法なり、それから電電公社法の中でいう公社の職員であることにはこれは間違いないと思うのですが、これはまあ私が御質問するまでもなくそうだと思うのです。そうだとすると、この公社の職員というものは、この法律案が通過すると今度はやはり二カ月以内の期間を定める者はこれはもう職員の中に入らないわけですね。これは職員の中に入らないと思うのです、公社法でいう公社の職員というものは。従ってこの三十六条は、それらの人については公共企業体等労働関係法の適用は受けないんだということに当然私はこの三十六条から反面解釈が成り立ってくるのじゃないかと思うのです。ところが片や公共企業体等労働関係法が今度改正せられますと、実はそこでいう公社の職員というものは、二カ月以内でも日日雇われるという形でない人であるならば、二カ月以内の期間の人でも労働関係法の適用を受けるということに私はなるんじゃないかと思うのです。そうすると、これは一体公社法の中でいう、専売公社法の二十六条、それから電電公社法の第三十六条、ここでいう公社の職員、それからまたそれらの人に対しては公労法の適用を受けるのだということになると、それと一体公企労法の職員との関係は一体どういうことになるのか、まあその点を一つ御説明を願いたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/21
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022・石黒拓爾
○説明員(石黒拓爾君) 御説明申し上げます。
電電公社法で申しますと、第三十六条……各公社法にございます「職員の労働関係に関しては、公共企業体等労働関係法の定めるところによる。」と書いてございますが、これは全くの念のための規定であることは申すまでもございません。職員の労働関係が公労法の定めるところによるということにつきましては、その職員以外の者が公労法にいくことを排除しておるものでないことはもちろんでございまして、御指摘の公社における二カ月以内の期間を定めて雇用される者のほかの五現業の職員につきましては、これをどの法律でも、五現業職員の労働関係は公労法の定めるところによるという指摘はどこにもございませんのですが、公労法の第二条の職員の範囲に入っている限りは問題なく公労法の適用を受ける。従って三十六条の規定はまあ念のために書いただけで、なくても、公労法二条さえあれば十分なものでございます。そういった念のための規定であるのでございますので、かりにこれが総説的な規定でありますれば、御指摘のごとき反対解釈の余地も生ずるとも考えられますが、念のための規定であるということでありますれば、そのような反対解釈の余地もございませんので、御懸念のごとき事態はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/22
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023・久保等
○久保等君 まあそれはそういう法律家に言わせればそういう理屈も私は成り立つかと思うのですよ。しかしそういう理屈じゃなくて、一体そういう三十六条でいう条文を正しく私は解釈すれば、あの三十六条で規定せられた職員が公企労法の適用を受けて、その以外の人が公企労法のやはり私は適用が受けられるという反面解釈にはこの条文そのものから言えば私はならぬと思うのです。従って今言われるように、一体じゃ公企労法でいう職員が公社法でいう職員に優先するのだということには私はこれはならぬと思うのですがね。特に職員という問題になればこれは身分関係の問題だと思うのです。身分関係の問題はやはり普通法で規定せられるところの解釈の方がむしろ私は正確でなければならぬ、どちらかと言えば……。ところが今言われるようにそれはまああってもなくてもいいのだ、どっちかといえばウエートの軽いような御説明ですけれども、こちらの方が重くてこちらの方が軽いのだということは、二つの法律を並べても私はちょっとそういう区別はつきかねると思うし、むしろ私は今の御説明について、率直に私どもの理解されるような御説明をされるなら、三十六条について何とかその余地があるのだけれども、まあまあそこまで実は考え及ばなかったのだという御説明ならまたそれは事情として理解できるのですが、一体その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/23
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024・石黒拓爾
○説明員(石黒拓爾君) 言葉が足りませんで大へん失礼いたしましたが、補足して申し上げさしていただきますと、決して公労法と公社法とどっちが軽いとか重いとか申したつもりではございませんので、公社法上の職員は御指摘のごとく二カ月以内のものを除いておる。公社法上は職員のものについては、二カ月以内のものは公社法では書けない建前にこの規定ではなっておるので、三十六条で職員の二カ月以内の期間の者を除くものなんだと、こうわざわざ書くほどの必要はない。それによって誤解を生ずるといけないからこれはこのままでよろしいというようにとっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/24
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025・久保等
○久保等君 特に三十六条なり二十六条の公社法の規定というものは、これは公労法関係の問題を規定した私は条文だと思うのですね。それならそれらしく、私はやはり公労法関係の問題についての問題は、やはりこの条文一つ見ることによってはっきり理解されるように規定すべきだと思うのですがね。三十六条なり二十六条というものは公労法の適用ということで特に一条を設けて規定しておるのですから、ところがいざ公労法の内容を見てみると、おっとどっこい二十六条ないし三十六条における職員とこっちの職員は実は違うのだ、従って適用の範囲も違うのだというような形になっておるというような規定の仕方はこれは当を得ないと思うのですね。それこそ法体制なり法規というものを整備しようという考え方からゆけば、私はもう少しすっきりさせるべきではなかったか。あなたのようなそれは専門家がいろいろ法律案全部をひねくり回せば、あっちこっちとつなぎ合せて、別にそうあっても有害ではありませんというような説明をせられて、ああそうか、そういう解釈も成り立つかという程度の見方しかできないような法律案だったら、私はもう少しすっきりするような形にすべきではなかったかと思うのです。こういうところも今言った、先ほど言われる問題の本質的な問題がはっきりしておらないところにでき上った今度の法律であるから、これは非常にわかりにくい法律に私はなっておると思うのです。ここに問題は、一体こまかい問題は別として、私はやはり労働大臣にお伺いしたいと思うのですが、今大臣お聞きになって御納得がいったかどうか知りませんけれども、私は少くともこういうところを従来からもし問題があったとするならば改正するということじゃなかったかと思うのです。ところが、こういう問題が新しく今度の改正案で出てくるのです。今までは公社の中に規定せられておった職員も、これはもう公労法でいう職員を公社でも職員というんだという考え方ではっきりしておる、この一本で……。ところが今度は、今言ったように、職員の扱いについても二通りあるわけですね。違ってくるわけなんです。それでしかも、うっかり公社法の中で条文を見て、この職員がなるほど公労法の適用を受けるのだと思ったら、また少し、公労法の方に使う範囲が広がっているというふうになっておるんです。これらは、私は別に条文の冗長にわたるとか、特に技術的な問題を取り上げてとやかく申そうとは思わない。しかし問題は、大事なところ、基本的な問題は、この際改正案として出されるなら、なぜ解決しなかったか、それからまた、ぜひ、そのことをやるならば、これは改正にも十分に値するけれども、逆に変な形でいくと、今言ったような形で、結果的には法の体裁からいっても不体裁な形になって、しかもうっかりすると誤解を招き、しかも私は、三十六条、二十六条というものは、もう少し規定のしようがあると思うのです。公社法を見ても、それから公労法を見ても、すっきりした一致した形の条文になっていなければ、これはおかしいと思うのですよ。毒にも薬にもならぬけれども——私は毒になる方が多いのじゃないかと思うのです。それが、まあ法律的に明るいとか明るくないとかは別にしても、そういう疑いをはさむような条文というものは、これはやはりすっきりすべきだと思うのです。そういう問題は、たまたま今度のこういったこの一つの問題をとらえても出てきているのですが、そういう点から考えても、何とか職員という問題について、せっかく労働省の労を私は多として賛成するという立場に立つならば、なぜもう一歩進めて、その身分的な問題についての点を同時に解決しなかったか。このことを解決することが実は本盗的な問題であり、根本的な問題であって、大事なのであって、それで、公労法の適用を受けるか受けないかという形にすることは第二義的な問題じゃないか、ものの順序からいえば、私はそういうように考えられる。というのは、従来労働組合法が適用せられておったのが、公労法の適用を受けるというふうになるだけのものなんですよ。それで身分の点は、相変らずこれはきわめて不安定だ。何らの保障のない職員には、私は、公社法では職員になれないような身分のままに存置しておるというところに実は非常に大きな問題を残しておると思うのです。まあ、局長の先ほどの御説明でも、公社側の反対があって意見がまとまらなかったという実情はお伺いしたのですが、私はぜひ労相が、それこそ条文を十分に御判断をせられてですよ、かりに公社側がそういったことに反対されても、政府として一体どう考えるか、労相という立場から考えて、一体これをどう考えるべきかということについては、やはり私は、はっきりした考え方、特に労働省が労働者のこれはサービス機関だという考え方に立つならば、できる限り問題の、企業の本質とか何とかいうことをまげて云々ということならば、これは大へんだと思うのです。しかし見方によってどっちにもとれるのじゃないかという程度の両者の反対であるならば、私は労働省そのものが、政府当局そのものがこれに対してはっきりした見解を示し、少くとも私の主張するような形で、これは当然すっきりした形の職員という形で、普通法の方の公社法も私は改正すべきじゃないか、また改正して、今回の改正案にも出すべきじゃなかったかと思うのですが、この改正案そのものの話とは若干それるかもしれませんけれども、私のただいま主張していることに対して、労働省としては一体、公社側が反対しておったという程度の説明なのか、それとも私の主張そのものが十分まあ、傾聴するに値すると御判断になるのかどうか、そのあたりの問題をちょっとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/25
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026・中西實
○政府委員(中西實君) 本来職員の定義につきまして、公労法のものを公社が引用しておったというのが、実は本来転倒の妙な法律休系であったわけでございます。そこでこれはまあ、沿革からそういうことに実はなったのでございますけれども、今回実はこの二ヵ月域内の期間を定めて雇用される者について、これを公労法に入れるかどうか、この問題は現業官庁との関係のアンバランスを直すという意味でやり、それからさらに組合側からの御要望があったので、実はしたのでございますが、ざっくばらんに申しまして、この問題はやはり公務員制度の根本的な改正、つまり、公務員の範囲をどういうふうにするかということを、今根本的に検討しておりますが、そのときの検討をあわせて、今回はこの点を見送ろうということも実は論議があったわけでございますが、しかし労働側の審議会の委員の方の御要望もございまして、こうしたわけでございます。そこでこれを公社法上一般の職員にするかどうか、身分保障その他分限等同じようにするかどうか、これは実は直ちにそういうふうにするがいいかということにつきましては、非常にやはり疑問があると思います。と申しますのは、やはり臨時の雇用者というようなものにつきまして、一般の雇用者と同じ地位を与えていいかどうか、これは民間企業におきましてもございまして、民間企業におきましても、臨時に雇用される者につきましては、やはり身分関係が違っている。それが一カ月のところもあります。二ヵ月のところもある。長いところでは場合によると、半年というような期間のところもあるかと思います。それから公社、五現業につきましても、これは企業の性格によりまして一律にはなかなかむずかしいと思うのであります。二カ月でいいところもございましょうし、先ほどもちょっと触れましたが、専売公社は四カ月ぐらいどうしても必要だというところもございます。従って本来なれば公社法の方で、それぞれの特性に応じてこの点をどう規律するか、それぞれやはり検討をして規定さるべきだと思うのであります。しかしながら、今回は一応従来二カ月ということに区切っておりましたから、それを公社法の方に移した、こういうことでございます。
なお先ほどの専売公社法二十六条、それから電電公社法でいえば三十六条、この問題は気づかないでもございませんでしたが、かえって規定が見にくくなるのじゃないかというようなことで、実は内容的に大したことでないということで、そのままにしたのでありますが、御指摘のように、正確に表現すれば、おっしゃる通りかと思いますので、この点は、もしもそういう誤解があるということなれば、訂正してもいいのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/26
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027・久保等
○久保等君 まあ、今の条文の二十六条、三十六条の問題は、まあ私その問題そのものをとり上げていろいろ申し上げようと思っているわけじゃないのでして、あくまでも今度の改正の要点が、根本的な問題のいろいろ従来から懸案になっておる点の改正がねらいであるとするならば、ただいま言われております職員の範囲の問題についての取り上げ方も、当然そういう従来からの懸案についての問題を、ぜひ解決した形で、改正案として出されるべきだし、それからまた今申し上げた二カ月以内の期間を定めて雇い入れる者の問題については、これは現在の運用状況を見ていただくとよくわかるのですが、私先ほども申し上げたように、単に二カ月といっても、これは形式的に二カ月の期間を定めているだけで、すぐまた次に二カ月、二カ月という形でやっておるものもあるわけなんです。だからそういうことで現実に四年も五年も継続して勤務しているという人の場合もあるのですが、それらの問題をどう一体公労法は取り上げていくか、解決していくかという問題も、私は当然考えていかなければならぬと思っておりますし、そういう立場から申し上げているのであります。だから現実に十日なら十日、一週間なら一週間でほんとうにぽっきりそれっきりで、臨時でもう期間が切れてしまうのだというような場合には私はむしろ大した現実の問題にはならぬと思う。ところが期間が二カ月、三カ月、四カ月になっておっても、それをそのままころがしていって二年も三年にもなるという問題はきわめてまれなことではなくて、相当広範に通常行われておる問題があるのです。だからこれらをどう労働関係法規がとらえていくのか、またどうこれを律していったらいいのかというような問題が非常に大きな問題としてあるわけですから、私はそういうような立場から申し上げておるのです。だからほんとうにその日その日で雇用関係が切れてしまう、また一週間なら一週間、十日なら十日で雇用関係が切れてしまうというほんとうの意味の技術的な問題になれば問題ないのですね。問題ないというか、そう大した問題になってこないと思うのですが、形だけ二カ月、三カ月といってみても、ころがしていっているような調子の、まあ労働者、これらをぜひ今度の公企労法の改正案は、少しでもそういう面を公企労法の適用という形で取り上げていくという気持があったと私は思うのです。しかし、問題の根本的なものを解決されないから、この問題だけを見ると改悪になっているのではないかと思っている。本質的に見るとこれは労働組合を作って罷業権もあった。これはまあ本質的な問題として私は申し上げておるのですが、そういう立場に置かれておったのが、今度は公企労法の立場で制約を受けるということになってきているのだが、しりの方は従来と全く変らないのだということになると、まあ頭の方だけちょっと公企労の網をかぶせたが、うしろの方の問題は、これはちょっと労働省としては、また公企労としてはわれ関せずの問題だからというので放置されたなら、これは私は片手落ちではないか。せっかくこういう公企労をこういう形で改正されて、付則のところで新しく定義を設けようとするならば、所管が労働省であるとか、労働省でないとかいうことは別としても、これは労働省として私は一元的な職員という者のやはり解釈の成り立つものにすべきではなかったか。まあそれで、今の労政局長のお話だと、どうもそういったことについての必要も認められないのじゃないかというような話だ、だから、というようなことで言われておるのですが、私はそういう形式的な話ではなくて、現在の日本の実情等を考えた場合に、これはぜひそういう身分関係の問題については、せっかくここで公企労法の職員ということで扱うならば、公社法の中においても職員として被うように私はすべきではなかったか。また今後もそういうことについて、かりに今度の改正案でそこまで行き得なかったとしても、今後はそういう考え方の上に立って、私は十分に一つ努力をせられる必要があるのではないかと思う。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/27
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028・中西實
○政府委員(中西實君) 先ほども申し上げましたように、臨時雇用の者につきまして若干の差別的な労使関係になるということは、これは、一般民間にもあることで、その点は、各公社、五現業の特性に応じてさらに検討さるべきだと思います。ただ答申におきましても、組合側の代表者の方が賛成されましたのは、おそらくは今まで一つの職員組合の中に入れなかったという者が入りまして、やはり寄らば大樹の陰で、その大きな組合組織によって公社側あるいは理事者側といろいろ交渉されて、そしてそういった二カ月未満の者につきましても、何かと労働条件あるいは義務というようなものがまたこれは別にはっきりと話し合いによってきまっていくということを期待されて賛成されたのじゃなかろうかと思いますので、私どももそういう行き方について実は賛成をいたしまして、今度提案いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/28
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029・久保等
○久保等君 次に、やはりこの改正の中で重要な点はまあやはり仲裁裁定が従来とかくそのまま実施せられないというようなことで、非常に紛糾をさらに加えるといったような結果になっておったと思うのですが、先ほど大臣も取り上げた項目の一つの点として例示をせられておったのですが、私もその点については全く同感で、非常に仲裁裁定というものが法の制定の建前からいけば、従来といえども、この仲裁裁定の結論というのは労使双方が拘束をせられるものだということで、非常に厳重な規定になっておったと思うのですが、それがただ抜け道ができておるものですから、それの解釈をめぐっていろいろと紛糾を重ねるということであったので、これはぜひ公企労法をかりに現在のまま持っていくとしても、ぜひ仲裁裁定の問題は何とかもう少し厳格にこれが実施せられていくような建前にならぬと、いつになってもこの問題は解決しない、しかも労働組合の立場に立っていけば、公企労法そのものが本来争議行為を禁止しておるという立場にあるだけに、争議行為の問題と、それからこの仲裁裁定の問題とを私はてんびんにかけられた二つの問題だといってもいいくらい非常に比重の大きな問題じゃないかと思います。ところが、争議行為の方は抜け道も何もないので、ぴしゃり禁止をせられたままになっておって、片や仲裁裁定の方だけには予算上、資金上というようなことで、解釈のしようによっては、これまた非常にゆるい解釈の成り立つような問題で放置されておるというようなことは、何としても改正をしなければならぬ問題で私もあるとかねがね思っておったのです。で、今度出されましたのを見ますと、実はまあ若干その点について給与総額の問題のところでゆるくした、そのようにはなっておりますけれども、しかし私はこれはもう一体どの程度の実行が期待できるのか、非常に怪しいのじゃないかと実は思うのですが、この問題について、一応このお考え方を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/29
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030・中西實
○政府委員(中西實君) これはもうよく御承知と思いますけれども、従来は給与総額ということが予算上に規定してあるのでございまして、少しでも給与総額をこえるというような仲裁裁定の場合は、もう形式的に予算上不可能ということになりまして、ことごとくこれが国会の問題になる。そこで今度は、仲裁制度につきましても改正いたしまして、十分に権威ある仲裁裁定が出るということの前提のもとに出ました仲裁裁定はこれをできるだけ尊重するということで、そのことを公労法に精神規定ではございますけれども、しかしはっきりと尊重すべきことを規定すると同時に、公社法の各それぞれの該当条文におきまして、仲裁裁定が出た場合には、給与総額にかかわらず、流用等によって実施可能な場合にはそれをなし得る。しかしながら、これは結局流用その他は一般会計の手続がございまして、その手続にはよらなければなりませんが、一応給与総額ということについてはワクをはずしまして、一般の会計原則によって処理をしていく、できるだけ国会にはこないようにするというのが一応の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/30
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031・久保等
○久保等君 関係公社法の方も若干改正がなされておるようでありますが、そういう点は真新しくここで目にとまるのは、公共企業体等仲裁委員会の裁定があった場合において、その裁定を実施するために必要な金額を予算の定めるところにより、関係大臣の認可を得て、給与として支給するときは適用しない。給与総額の適用をしないという意味になっておりますが、今局長の御説明で、予算の総額、これは物件費も人件費も入れての総額ですが、総額はいじれないにしても、その範囲内なら物件費も人件費も移流用、こういったようなこともできる。関係大臣の認可を受けていけばできるという意味だろうと私思うのです。ただここに「予算の定めるところにより」というふうになっておるのは、これは特別の意味があるのでしょうか。私は「予算の定めるところにより」というと、これまた物件費と人件費はそれぞれ区分けされておることだし、何か特別の……「予算の定めるところにより」と言わなくても、まあ関係大臣の認可を得ないというわけにもこれはいかないかもしれぬのですが、予算の給与総額をこえてもいいという規定ならば、何も「予算の定めるところにより」と、ことさらにうたわなくてもいいんじゃないかという気がするのです。何かちょっと気にかかる字句のような気がするのでお尋ねするのですが、どういう意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/31
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032・石黒拓爾
○説明員(石黒拓爾君) 御説明申し上げます。これは私ども実は専門でないのではっきりしない点もございますが、内閣、政府部内で打ち合せましたときの結果、法律でもって予算のワク、予算の物件費と人件費のワクをこえて出してもよろしいと法律に書きましても、予算でもってそのワクをこえられるような予算が出ていなければ、これは支出の方法がないとすると、どうしても予算に定めなきゃいけないんだと、「予算の定めるところにより」というのは、どうしても必要なんだ。またその予算の中でもちろん流用の手続なんかを書かれる、そういうのはどうしても技術的に必要になるんだと、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/32
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033・久保等
○久保等君 ですから、技術的だといえば、まあその意味は理解できないこともないのですが、考え方としては、あくまでも所管大臣の認可を受けて給与として支給するときには、給与総額をこえて給与をすることができるのだと、従って当初定められた予算の金額内容についていえば、物件費であろうとも、人件費であろうとも、そういったようなものについてもあれこれ流用することもできるのだ、移流用することができるのだという考え方の上でこの新しい条文が制定せられたのだと私は思うのですが、その通りでしょうか。簡単に一つ、まあイエスかノー程度の結論でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/33
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034・中西實
○政府委員(中西實君) 大体その通りでございますが、この給与総額は予算総則でうたいまして、それはやはり保つと、従ってこの予算総則のあとへ持ってきて、仲裁裁定の出た場合にはこうするのだということをまあ繰り適してやはりうたわないと、予算上やはり出せない。私らは法律によればいいんじゃないかという気がしておったのですが、大蔵省はやはり予算にも繰り返してそういうことをうたう必要があると、こう言いますので、それならそうしようと、こういうことでお願いしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/34
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035・久保等
○久保等君 ちょっとお尋ねしますが、毎年、出す予算の中の予算総則というものがありますが、その予算総則には必ずそれじゃ、これからもうきまり文句として必ず、仲裁裁定が出た際においてという文句を常に入れて予算を制定するということになるのでしょうか。どうですか。その点承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/35
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036・中西實
○政府委員(中西實君) そういうふうに考えております。業績手当については毎年成文みたいに入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/36
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037・久保等
○久保等君 それでは今の点はわかりました。従ってそういうことになれば、常にもうきまり文句として、予算の総則の中に、給与総額がうたわれると同時に、まあその下のところに、この仲裁裁定の出た場合ということで、仲裁裁定が出ることが予想される、されないは別として、常に予算総則の中には、仲裁裁定が出た場合に云々ということで文言が入ると、従って仲裁裁定が出たから、また予算総則を直ちにいじらなければどうにもならぬという事態は出てこないんだということで、理解をいたしたいと思うのですが、ただ私、なお個々の、先ほど上げられました委員会の裁定というところの第三十五条でございますが、ここのところで「委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。ただし、公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる。」ということになっているのですが、これは言いかえれば従来の制度なり、条文というものが、まとめられて書かれたという程度を出ないんですが、ただ先ほどの御説明にもありましたように、当該裁定が実施されるように、できる限り政府は努力をしなければならないんだというところが今度の改正案の私は骨子だと思うんです。非常に、この条文そのものには何ら反対すべきものでもありませんし、きわめてけっこうだと思うのですが、問題は、ただし書きという問題が、従来通りにやはりあるところが、私どもも非常に不満でもありますし、何とかこの点がもう少し考慮せられなかったのかどうか。まあ先ほどもちょっと申し上げたように、公労法で一番一つの大きなねらいは、労働組合法の適用を排除して、非常に重要な公共事業、あるいは政府事業に携わっているのだから、争議行為を禁止するという建前でこの法案ができているとするならば、またそういう立場を是認する立場に立つ人においても、私はそうすれば当然仲裁裁定というきわめてまれな場合の、しかもとどのつまりまでいって、給与問題が仲裁裁定という形で出された。その場合についてなおかつこういう抜け穴が設けられているというようなことは、もう非常にこれは画龍点睛を欠くという言葉がそのままにあてはまるような気がするのですが、争議行為を禁止して、しかもすったもんだをやって、調停委員会を通じ、さらにまた仲裁裁定を経たというような、慎重の上にも慎重な態度をとって出された結論は、かりに労働組合も不満であっても、これはもう当然服従しなければならないのだというように、法律が権威づけ、規定をするならば、これはやはり予算上、資金上の問題についても、これは当然特別措置を何らかこれは講じても、その仲裁裁定だけはとにかく厳重に、両者ともえこひいきのないようにこれが実現されるという建前に立って行かなければ意味がないんじゃないかと思うんですが、まあその点が従来のものをそのままここへ移しかえたという程度にしかなっておらないのです。これはまあ非常に私は、大きな納得のできない不満の一つでありますが、一体せっかくこの改正案をお出しになった趣旨が、現行法の中において、いろいろな不都合な点、特に労使関係の問題についての、従来からの懸案問題を解決されようという熱意で出されたとすれば、この問題こそが一番私はポイントじゃなかったのかと思うのですが、それがそのままになっておりますことは、一体どういう事情なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/37
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038・中西實
○政府委員(中西實君) この公社現業の経理につきまして、予算を立てて、それが国会によって決定されるという建前をとっている限りは、どうもこのただし書きというものはやむを得ない。一昨年実は公社合理化審議会、あの審議会におきましても、一体公社の予算というものをああいうふうにきちっと国会によって決定されることがいいかどうかということが、非常に大きな問題として論議されました。しかしやはりいろんな論議の末、やむを得なかろうという結論で現在に至っているわけでございまして、従って政府の経営しまする公社五現業、これの予算を国会できめるという建前をとっております限りは、この国会の予算審議権というものを否定するわけにはゆかない。従ってどうしても予算上あるいは資金上不可能な場合には、一応やはり国会の承認を要する、これは建前上やむを得ないかと存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/38
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039・久保等
○久保等君 まあここで言われておりますことは、公共企業体についての問題ですから、今局長の言われますように、公共企業体の予算そのもののあり方自体についても、これはまあ問題があることはすでに広く知られておるところですが、そういう問題はかりに抜きにしても、私はやはり国会の予算審議権を侵犯するとか何とかと言っておりまするが、これはいわば私は一つの動かすべからざる事実が発生したという考え方に立つべきじゃないか、仲裁裁定というものは非常にこれは権威のある、しかも今度裁定は国会のいわば承認を——仲裁委員は、公益委員の場合ですが、これは国会の承認を得てこれを任命するというような形にもしようという建前をとっておるようですが、そうだとすれば、私は従来は多少そういう形式論的に今まで問題があったとしても、今度は国会が任命する形をとるならば、そういう諸君があらゆる段階を経て、しかも最終最後に出た問題については、これはまあちょうど裁判がなされた問題と同じような考えで、私はこれに対して国会が資金的に必要があると認めて裁定がなされた場合には、国会がこれをうのみにしたところで、それが国会の予算の審議権が侵犯せられたということにはならぬのじゃないか、またそういうことを言うならば、これはいろいろな場合が私はあるのじゃないかと思うのです。たとえば支出行為によって支出をしたということになれば、これは予算の審議権が侵犯せられたと言って、一体支出をしないことができるかといえば、私は今具体的にちょっと思いつきませんが、そういう場合は幾つかあるのじゃないかと思うのです。従って仲裁裁定というものがほんとうに権威のあるものだという立場の上に立つならば、また権威をぜひつけさせなければならぬのだ、権威あらしめなければならぬのだという考え方から出るならば、当然これは国会においても、ただ手続的に国会の審議を経なければならぬのですから、そういう手続はとるとしても、それはもう予算上資金上といったようなことで逃げられないような形にすることが、これはほんとうに私は根本的に紛争問題を解決する道だと思います。この抜け穴があるからこそ、私は従来とも公共企業体等における紛争問題がなかなか解決しない、しかも国会そのものでも内部でいろいろ解釈の仕方によってどうもすっきりした結論は一向に出しておらないのです。あの仲裁裁定の扱い方というものは、これは従来からだってすっきりした私は形の結論が出ておるとは思えないのです。政府の提案の仕方にしても非常に問題があったと思うのです。とにかくそういう問題は一にかかって、こういう問題そのものをあまり国会そのものが扱うことは私はいかがかと思うのですが、仲裁委員会というものを作ったならば、しかも今度の法律でせっかく国会が任命するという形をとる公企体労働委員会というものを作るなら、ぜひ一つそういう点はむしろ国会が委任したのだ、この予算の関連性において言うならば、委任したのだという解釈も成り立つと思うし、まあそういう点からこのただし書きのところはぜひなくすべきじゃなかったか。そうすると労働大臣の言われるこの改正案がねらっている最大の眼目は、そのことによって、私はいかなる論議よりももう端的に、問題解決をはかることになったんじゃないかと思うのですが、惜しいことに、この問題が従来のままに存置せられておることは、これはもう非常に残念だと思うのです。今私が申し上げたように、公益委員の任命の問題も今度改正しようということを考えておられるならば、それとの関連性において、このただし書きは私はつけなくてもそう不都合な問題はないのじゃないか、予算の国会における審議権を侵害するというようなことは私はないのじゃないか、またそういう解釈は成り立たぬのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/39
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040・中西實
○政府委員(中西實君) この審議会の答申にもこの問題について申しておりますように、問題は、政府関係者の十分な良識さえあれば、現行規定のもとでも可能であり、これを欠けば、いかなる規定をしても不可能であるということを申しております。今度は政府といたしましても極力尊重するということでございまするので、大体の取扱いにおきましては、ただし書きというものの働く場合というものは非常に少いのじゃないか。現に昨年あたりから、仲裁裁定は必ず実行するという方向で処理をしておる次第でございます。ただ建前といたしまして、やはり予算を国会で審議するということになっております限りは、ここの規定を置いておかざるを得ない。いかなる場合でも、予算の編成権あるいは予算の審議権を制約するというような立法は、例もないのでございまして、やはり国会に予算がかかるという建前になっておる限りは、このただし書きは置いておく必要がある、実際問題として、できるだけわれわれとしても、このただし書きの運用される場合の少いことを期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/40
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041・久保等
○久保等君 こういうただし書きの適用せられないことを期待しておるというけれども、これは期待するのじゃなくて、私は政府のむしろ考え方そのものが、どういう結果になるかの分れ道だと思うのです。これは特に労働大臣は、わけても政府の特に私は当面の責任者ではないかと思うのですが、従ってまあ当事者双方の問題は、若干関係が違いますけれども、政府という問題については、「政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」という字句が入っただけは、従来より以上に何か積極性があり、政府当局も熱意を持っておられると解釈をいたしたいのですが、しかし従来の経過から見てみて、労働大臣は、従来仲裁裁定が出た二十のうち、これは全部、時と場合によると、多少不満足があっても全部実施しておると言っておりますけれども、それなら一つ一つのケースをとってその当時のことを考えてみますと、これは労働大臣が言われるほど、私はすっきりと政府が仲裁裁定に服せられたということは、これはないのです。しかし、時期を若干ずらした程度で実施しておると言われるけれども、時期をずらすということになると、これは厳格な意味では私は服従したということにはならない。これは六分か五分服従したということにはなるかもしれないが、少くとも全面的にそれに従ったということには私はならぬと思う。特に一番問題になるのは、やはり予算上資金上という問題で逃げて、その年度を少しずらしたということで実施された場合が非常に多いのであります。これは半分以上そうだったのじゃないかと思います。とにかくそういう点を考えてみますると、良識さえ持ってこれが実現せられるならばという答申の内容はその通りだと思います。そうなれば法律がなくてもうまくいくだろうと思いますが、そうもいかないし、今までの経過も、必ずしも労働大臣が数字をあげられて答弁せられるように円滑に、争議行為が禁止されておるけれども、労働組合の特に立場等に立って納得されるような形で問題が解決されておらないことは、過去の事実が私は示しておると思います。だからそれだけに、この最後のただし書きが発動せられないことをもちろん望むのでありますが、しかしここに最後の抜け穴が私はやはりあるのじゃないか、あるのじゃないかというよりも、あるわけでありますが、だから、せっかく熱意を持って仲裁裁定の問題についての解決をはかるために、ここで数歩を進めるという政府のお考えがあるなら、このただし書きはやはり削除して私は出されるべきじゃなかったかと考えるのですが、しかしここで、あまり押し問答的な議論をしようとは存じませんけれども、しかし私はやはりこの公企労法のできた経過から考え、また公企労法のねらっておるねらい方からすると、せめて片手落ちでない公企労法を確立するという考え方からするならば、このただし書きはやはり私は取るべきじゃないかというふうに考えます。ただ、国会の審議権を侵害してはいけないからという理由からだけならば私はまた方法があるのじゃないかと思うのですが、ただ単に国会の審議権を侵害しては申しわけないからというだけならば、私はまだ方法はあると思うのです。しかしそうではなくて、やはり予算上資金上というようなところに何とか逃げ道を作っておかなければ、そのものずばりで、両当事者のみならず、政府がそれに、拘束されるのだという形になったのでは、やはりちょっと困るのじゃないかという気持が、私はこのただし書きを存置しておる政府特に労働大臣の気持の中にもあるのじゃないかと思うのですが、労働大臣は何ですか、今局長の言われたと同じような問題は、国会の審議権を侵しちゃならぬというところにだけこれを存置した理由があるというようにお考えになるのでしょうか。これは大臣から一つ中心的な問題であるので、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/41
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042・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) この法を実施いたしましてから、しばしばただいまのような論争が行われました。それでこの法律、当初実行いたします現行法の立法当時は、先ほど申し上げましたようにまだ占領中でありましたが、私どもが立法に当ってその当局者といろいろその点について話したのでありますが、私はこの点はやむを得ないのではないかと考えておるのであります。これは今度の私どもの改正案によりまして、予算総則及びまた当該予算の中でやりくりのできるものについては、三十五条で政府に努力義務を与えました。そこで努力義務はあるにもかかわらず、予算上不可能な支出の裁定が下ったというときには、やはりこれは政府がこの仲裁裁定をそのまま実施いたしたいとかりに考えた場合には、やはり予算案を組んで国会に提出して、国会の賛成を得なければ実施できないことは御存じの通りでございます。従って、ただいま労政局長からこの審議権という言葉が出ましたですけれども、やはり予算上不可能な支出を内容とする裁定が下りましたときには、政府が全部その通りにやろうというときでも、国会に予算案を提出して国会で賛成してもらわなきゃならない、こういうことでございますから、結局国会において最終的なこの予算上の判決をしてもらう。従ってただいま久保さんのお話のように、仲裁裁定というものは公益委員が今度のような権威ある方法で組織された仲裁裁定委員会において決定したものであるから、その通りまるのみにしてもいいのではないか、こういう考えを国会全体が持てば、その予算はまるのみにして、国会もまるのみにされればそれでけっこうなのでありまして、一応やはり国会の審議を経なければ予算は決定することができないのでございますから、やはりその点はどういうふうにこれを考えましても、新しく予算を組んで仲裁裁定を実施しなければならないというときには、国会の賛成を得なければならぬ、こういうことでございますから、ただその審議権云々の問題が出ましたのは、それがさらに突き進んで考えまして、必ずそうしなければならないという法律を作るのは審議権を侵害するおそれがあるのではないか、こういう意味であると私は解釈いたします。そういう法律は、いかがでございましょうか、久保さん、率直に申して、お互いが国民を代表する国会議員として、こういう法律で、全部国会の権限を国民代表として予算の審議権を持っておる権限をこの一つの法律に移譲してしまうということについては、必ずこれは議論のあるところだと思うのでして、これはいろいろ検討いたしましたけれども、やはりそういう場合の予算上資金上支出不可能という場合には、新しい予算を編成しなければならないのでありますから、やはりこれは国会の協賛を経なければならない、こういうことになるのはやむを得ないことだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/42
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043・久保等
○久保等君 もちろんここで言われております予算上または資金上というのは、予算総額そのものをいじらなければならぬという場合の、相当予算をいじる場合にしても大きないじり方だと私は思うのです。予算の総額の範囲内での操作は先ほどの条文でやられるのですから、ここで言われた予算というのは従来より以上に、非常に性格からいけば大きな金額といいますか、予算の総額にはみ出る金額になる問題だと思うのです。従ってこれが国会に全然何らかけられないで出せという問題じゃないと私も思います。当然これは国会で何らかの形で審議しなければならぬと思うのですが、その場合に今の十六条なんかの規定の仕方は、一切をあげてとにかく国会で考えてもらいましょうという考え方で、従って政府には何らの拘束力がない。政府はそれに拘束されるのじゃないという規定の仕方なのです。だからそうじゃなくて、私の言うのは、完全に国会の予算を出さなくてもいいのだ、勝手にやるという性格のものじゃないと思う。国会にどうしても出さなければならぬ問題だ。予算をさらにはみ出る場合だけだと私は思うのですが、従って予算について追加予算をそれこそ組まなければ解決のしない場合のようですから、これは国会に何らかの形でかけて承認を経なければならぬと思いますが、しかし、その程度が従来と同じ程度ではなくて、何かもう少しそこに方法があるのじゃないかと思いますが、そういう場合はとにかく国会にまかせてしまって、政府は拘束されないというような規定に十六条はなっておりますが、それではどうも非常に、せっかく両当事者を拘束するとまで言い、政府は最善の努力をしなければならない、誠意をもって努力しなければならぬということになっておりますが、最後は国会という最高機関というところに政府の立場からいえば何か逃げ込んだという形になる危険性があるのではないか。予算だってこれは、これを政府が実際に運用していくときには、やはり予算等の場合には、政府が具体案を作られて国会に持ってこない限り、政府が向うへ向いたという形の中で国会がただ単に追加予算を組むといってもなかなか実行不可能だと思う。だからそれだけに、政府がせっかくここまできてせられたならば、この十六条も、ここの熱意とこの十六条と比べると、だいぶ熱意のほどが違うのですが、何か政府は責任がないのだ、「公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。」こういう従来規定になっておったと思うが、そうだとすると、私はまあ政府を拘束するもんじゃないということで逃げてしまったのでは、これはもうやはり問題は解決しないと思う。だからここらの問題が私は、ほんとうに政府がその場合にも予算を組んで国会に出す。だから私の先ほど来言っておることをもう少し具体的に言えば、その場合に政府は予算を組んで国会に出すのだ、それで国会で審議して、否決しようが、何しようが、それは一切国会の審議にまかされるから、政府は予算を組んで国会に出さなければならぬというところまで、これは私はっきりできるのじゃないか。そうすれば、私の危惧するところは十中八、九、いや十中十まで解決するのじゃないかと思いますが、そこまで持っていけないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/43
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044・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 久保さんの御意見のようなお話もしばしば今まででもわれわれは労働委員会でやりました。そこで、政府は拘束されるものではないというあの書き方が、妙な反射的な気持を読者にとらせると思うのですが、ああいう書き方をするからいけないので、政府はやりようがないということなんですな、実際は。そこで今、久保さんのおっしゃったように、政府がほんとうに出す意思があるならば予算を組んでよこせと、こういうことはあり得るでしょう。しかし政府は予算を組んで議会に出したところが、われわれ国会が、これはいかぬ、とこういうときには、いかんともしようがないことは御存じの通りです。そこで、従来の取扱い、私が衆議院の労働委員長を長くしておりまして、しばしば政府と組合の仲立ちをいたしまして、そうしてこの辺が一番適当ではないかということをだいぶ長い間やって、そうしてそれじゃまあその程度のことは流用はやらせましょうというようなことで妥結してやって参りました。従ってこの取扱いというものは、やはり最終的には国会で議決をしてもらわなければだめなことはもう現行法ではおわかりの通りであります。そこでやはり今は、お話のように政府は必ず予算を組んで出せと、こういうことをこの法律にきめるということについては、なかなかこれも異論の多いところでありまして、結局御承知のように、仲裁裁定の方には、給与の問題のほかにいろいろ待遇上の問題などがございますが、それらの問題をあげて当事者双方を仲裁裁定のときには拘束しておるのでありますから、われわれの国会で取り扱うべきものは予算上資金上の問題だけでございますからして、そこでやはり現在の政治機構の中では私は最終的に国会の判決を求める、これ以外にはどうにもやりようはないではないか、一つ何か名案があったら教えていただきたいのでありますが、どうもこれがやはり最終的に国民の最高機関である国会で予算に関することは最終的判決を下す、これよりしようがないのじゃないかと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/44
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045・久保等
○久保等君 名案があればというお話ですけれども、私今申し上げたように、ここへせっかく三十五条のところで新しくまあ政府の努力義務といいますか、そういったようなことがうたわれておるのですがね、これは私どもからいえば、こんなことはもう書かなくても当然やらなければならぬ問題だし、また政府からいえば、なくても、従来からやっておったのだということになりましょうけれども、しかしここで特にここへ特筆したという気持は、私どもも非常に高く評価したいと思う。だからそれであれば、従来のようなありきたりでなくて、十六条のところの協定……最後のところで逃げを打たれておるということを私は惜しむのですが、さらに百尺竿頭一歩を進めて、十六条そのものを私はやはり若干改正をして、今言った国会そのものの最終的な審議というものはこれは尊重していかなければならぬし、最終的にここでどういう結論が出ようと、これはやはり国会に私はまかすべき問題だと思うのですが、政府が誠意を持って努力するならば、私は裁定が出た場合には、予算上資金上困難な場合に、一応政府としては、やはりしかしなおかつ一つの方法として、こういうまあ予算の組み方があるのだ、予算的な措置もあるのだということを、まあ確信あるないはこれは私は別の問題として、政府の少くとも誠意のあることを具体的に示す意味においても、国会に予算をつけてとにかく出す、出さなければならぬのだ、それでこれに対して果してそれこそ国家的な立場に立って国会がどういう判断をしようとも、これは国会にまかせる、しかし政府としては少くとも今言ったような手続はとらなければならぬのだということは、表現の仕方はどういう表現になるかもしれませんが、別問題としても、私はそのことをうたえば、まあ政府が努力をしなければならないのだ、できるだけ努力をしなければならないのだということが十六条に関連しての場合においても非常に明確になってくるのじゃないかと思う。それから従来の問題なり経験から徴しても、そのことによって、私はおそらく十六条に関連した今までのトラブルというか、不明朗さというものはほとんど僕はなくなってしまうのじゃないかと思うのですがね。そうすると、国会によって最終的な判定という問題は問題として残るにしても、実際問題としては私は解決できるのじゃないかという気がするのですが、今までのは、政府がそのまま国会でいかようにもやっていただきます、私の方では全然拘束されませんし、関係がないのですからと言わんばかりの形で、予算上も一体どういう措置をとっていくのか、こういう措置をとっていくのか、全然触れない、予算も出さないでおいて、国会にいきなりぽんと出されてくるような形をとっているところに、これは非常に問題が解決しなかったと私は思うんですが、政府がほんとうに誠心誠意やっているのだという形で、予算措置まで一応講じて、国会に出して、それで最終的な判定は国会の方でやってくれという形にするならば、私は非常に今までの経験から言ってうまくいくと思いますし、そういうことに改正されれば、この改正はまあほんとうに私は画龍点睛を取り戻すのじゃないか、そういう意味で、そこまで労働大臣はお考えになれないかどうか、まあかりにここでそこまでは結論が出ないとしても、今後は一つそういう点についての十分検討に値する問題であり、考慮をされるというお気持も政府にあられるかどうか、これじゃ私はもうそういう点についての御理解がないとすると、せっかくここにうたわれたことは、ただ単に従来のことを文章に書いたということだけで、その効果というものはそう期待できないのじゃないか、私は別に将来の見通しについて悲観的な見方をするわけじゃございませんけれども、五十歩百歩じゃないかという、先ほどの問題は若干違いますが、この十六条関係に関係した問題としては五十歩百歩じゃないかという気持もするのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/45
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046・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) これはまあそういう見方もできるかもしれませんが、私どもとしては、三十五条に政府の努力義務を強調している、こういうことは相当まあ進歩性を持っているものだと思います。しかし御承知のように、従来の仲裁裁定でも流用で大ていは解決してしまっているのでありまして、新しくこの大きな予算を組まなければならないような仲裁裁定というものはほとんでありません。従って私はこの三十五条の改正で、大体もうこの仲裁裁定に持っていくような紛争というものは解決がだいぶできるのではないか、従ってこれは大いに久保さんからもほめていただけることだと思っておるわけでして、なお今の予算提出云々のことは、従来もしばしば考えられていたところでありました。論議もありました。私どももまじめにそういうことについて相談もしたこともございますが、ともかくとして、私ども政府は公労法の改正に当りましては、そのいろいろよい労働慣行を作るために、なるべく今度のような改正に当っても、仲裁裁定というようなものを原則としてはもう尊重しなくちゃならない、こういうふうにやって参って、いい労働慣行を作っていこうじゃないか、こういう建前でございますからして、なお今のような点についても、継続してわれわれは考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/46
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047・谷口弥三郎
○理事(谷口弥三郎君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X02119560406/47
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048・谷口弥三郎
○理事(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。
それでは本日はこれで散会いたします。
午後四時五十九分散会
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