1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月十四日(月曜日)
午前十一時四十六分開会
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委員の異動
五月十一日委員常岡一郎君辞任につ
き、その補欠として早川愼一君を議長
において指名した。
五月十二日委員早川愼一君辞任につ
き、その補欠として常岡一郎君を議長
において指名した。
本日委員加藤武徳君、寺本広作君及び
中川以良君辞任につき、その補欠とし
て最上英子君、井村徳二君及び西岡ハ
ル君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
理事
高野 一夫君
山下 義信君
委員
井村 徳二君
草葉 隆圓君
紅露 みつ君
榊原 亨君
西岡 ハル君
深川タマヱ君
最上 英子君
横山 フク君
田村 文吉君
森田 義衞君
常岡 一郎君
政府委員
厚生政務次官 山下 春江君
厚生大臣官房総
務課長 小山進次郎君
厚生省公衆衛生
局環境衛生部長 楠本 正康君
厚生省薬務局長 森本 潔君
事務局側
常任委員会専門
員 多田 仁己君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○へい獣処理場等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出)
○採血及び供血あつせん業取締法案
(内閣提出)
○食品衛生法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/0
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001・山下義信
○理事(山下義信君) これより社会労働委員会を開会いたします。
委員の異動を報告いたします。五月十一日付常岡一郎君辞任早川愼一君選任、五月十二日付早川愼一君辞任、常岡一郎君選任、五月十四日付加藤武徳君辞任、最上英子君選任、同日付寺本広作君辞任、井村徳二君選任。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/1
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002・山下義信
○理事(山下義信君) 参考人の出席要求に関する件をお諮りいたします。健康保険法等の一部を改正する法律案の審査の便宜のため設置した保険経済に関する小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取したいとの申し出がございます。保険経済に関する事項の調査のため、参考人の出席を求め、保険経済に関する小委員会において意見を聴取することとし、日時、人選その他の手続等は委員長及び小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/2
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003・山下義信
○理事(山下義信君) 御異議ないと認めます。よって参考人の出席を要求することに決定いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/3
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004・山下義信
○理事(山下義信君) へい獣処理場等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/4
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005・高野一夫
○高野一夫君 政府側の方に、事務当局でけっこうですが、伺いますが、この法案はきわめて簡単だと思いますので、大体様子はわかっているのですが、一、二の点について簡単に伺いますから、御答弁はきわめて簡潔にお願いしたいと思います。
この第一条で、へい獣という文字が変っているのは、これはどういうわけですか。点々がなくなったのは、何か最近のこれが流行か、あるいは文部省の規定がこういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/5
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006・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 現在制限漢字を使います場合には、かなで書くことになっております。その場合に、現在は点をつけない仕組になっております。従いまして、制限漢字の例にならいまして、点を削除したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/6
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007・高野一夫
○高野一夫君 わかりました。このへい獣の取扱場また化製場というものは、これは第三条によれば、都道府県知事の許可ということになっておりますが、省令の定めるところによりというただし書きがついているのだけれども、これはどういうような省令の定めるところによって、都道府県知事の許可ということになりますか。そうすると、この許可を受けなければ、取扱場また化製場というものは勝手には設置はできないということにもちろんなるわけですか、その点簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/7
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008・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) この省令の内容は、事務的な許可申請の手続等を主としてうたってございます。従ってその場合に、その構造、設備その他につきましては、すでに政令で他に定めがございますので、この省令はきわめて事務的な手続等をうたうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/8
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009・高野一夫
○高野一夫君 この許可制度をとったのは、非常に悪臭を放つとかいうようなことが原因だろうと思います。へい獣取扱場、化製場にほとんどひとしいような悪臭を放つ場合が別の場合にもあると思うのですが、たとえば豚を飼う場合、鶏を飼うような場合、そういうような場合にはどういうふうになりますか。これによって規定があるわけでもないだろうと思いますが、関連して伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/9
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010・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 御指摘の通り、豚その他の畜舎につきましては、場所によりましては、へい獣処理場あるいは化製場同様不衛生な事態を発生いたす場合もございます。しかしながら、この畜舎の場合につきましては、特にこれが非常に数が多いこと等を考えまして、一応届出制といたしたわけでございます。しかしながら、実際の構造設備の基準あるいはいろいろ取扱い上の注意等は以上のへい獣処理場と全く同様に扱うわけでございます。従いまして、届出をして施設を設けた結果 かりにも非常に不衛生な施設になります場合には、当然これは政令の違反等になろうかと存じますので、かような場合には、
〔理事山下義信君退席、理事高野一夫君着席〕
まず第一義的には改造命令等を出しまして、なお十分に衛生上の注意が守られない場合には、あらためて閉鎖命令等をいたすことに相なっておりますので、事実上は届出であっても、多数の人の住んでいるような場所におきまして、不衛生な施設は事実上設けられないことに相なると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/10
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011・高野一夫
○理事(高野一夫君) 今の問題でもう一つこの席から伺いますが、それはこのへい獣処理に関する法律で、そういう家畜のことが取り締れるのですか。それでまたどこか、何条かにそういうことが出ておりますか、その点だけ一点伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/11
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012・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) これは準用規定によりまして、これらの取締り事項を特別な地域の畜舎等にも適用いたすことによりまして、取締りをしていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/12
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013・榊原亨
○榊原亨君 この規定を準用いたします動物の数をいろいろ制限しておられるようでありますが、その科学的論拠はどういうところにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/13
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014・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 科学的な根拠というほどのことでもございませんが、この鶏、アヒル等につきましては、現在まで八千件ほどすでにいろいろ各地から苦情が出ております。これらの苦情の出ました施設を調べてみますと、おおむね大量にアヒルあるいは鶏等を飼っておるものでございまして、かような実情から考えまして、大体鶏の場合は百羽、アヒルの場合は五十羽くらいを、ただいま申し上げました苦情の実績から、考えたわけでございます。なお犬等につきましては、これは夫婦の犬を、つがいの犬を飼いまして、つまり子供等が生まれる場合には、子供の数も非常に多うございますので、十頭くらいを適当と認めたわけでございます。なお綿羊やヤギ等につきましては、大動物ほどは被害が多くない実情でございます。のみならず、かようなものは子供を二頭程度生むというようなことから四頭程度といたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/14
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015・榊原亨
○榊原亨君 大体御経験とか陳情からそういうことになったというお話でございますが、鶏が百羽とか、アヒルが五十羽ということは、まあアヒルは水の中に一日おるというようなことからでしまうが、あまりに懸隔がひどくはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/15
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016・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) アヒルはどうしても水を必要といたします関係で、鶏以上に不潔になりがちなのは当然でございまして、先ほどこれもお答え申し上げましたように、現在までいろいろ苦情の出ております実情を調べましても、その数に、アヒルと鶏との場合には相当な開きがあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/16
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017・榊原亨
○榊原亨君 最近畑を犬、ネコ等の家畜が荒しますということから、畑にいろいろ農薬を塗りましたえさをまいておる。これをまいて、食べました場合には、数分後に犬なりネコが死ぬということに相なっておりますが、畑においてはこれは当然なことかもしれません。最近それがだんだん進みまして、道ばたにこれをまき散らすということが現に行われておるのであります。部長はお調べになればすぐわかりますが、各獣医師が取り扱っております。これらの農薬に対する被害というものは相当な数に上ると思うのでありますが、さらにこれは家畜でなしに、子供その他がこれを拾うというようなことになった場合には、その害毒というものは非常なことになると思うのでありますが、それらのことについてはお取締りはどんなふうに行われておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/17
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018・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 農薬として動物、獣類を斃殺いたします場合には、主として殺鼠剤系統が使われておるように思われます。この場合、御指摘のように、畜犬あるいはネコ等に相当な被害が出ておることは事実でございまして、この点もかねて注意をいたしております。それからなお殺鼠剤につきましても、フラトールの場合にはこれは人体にも慢性的な影響を与えますので、フラトールの使用に関しましては、特に地域をあらかじめ指定する等の方法を講じて取り締っておりますが、一般殺鼠剤につきましては、その致死量と申しますか、人体に及ぼす量と小動物を毒殺いたします量との間にきわめて大きな開きがありますので、人体に対して心配ないという観点から、一応現在のところは特に殺鼠剤の使用について取り締るということはいたしておりません。しかし、今後よく事態を見きわめまして、必要がありますれば、相当の規制を研究いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/18
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019・榊原亨
○榊原亨君 その実態を見きわめるのではないのでありまして、これはもう各獣医師をお調べになればすぐわかる。すでに被害は相当に上っておりますから、早急に具体的にこれをお取締りをはっきりされることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/19
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020・森田義衞
○森田義衞君 現在の規定で、第八条に「左の各号の一に該当する者は、これを六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。」こういった規定があり、あるいは第九条の罰金とかあるいはその他の罰則規定があるのですが、この罰則規定が今後強化されておりますが、私こういった経済的な法規に対して特に刑罰をもって威嚇しなければ行政指導ができないといった点について非常に遺憾を感ずるのですが、どうして懲役六月を一年に直さなければならないかといった点につきまして御意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/20
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021・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) この根本的な考え方といたしましては御指摘の通りだと存じますが、あくまで指導によりまして、できるだけものを解決し、刑罰にたよってものを解決しようということについては好ましくないことは申すまでもございません。しかしながら、この今回御審議いただいておりますへい獣処理場、家畜場等につきましては、なるほどこれは一つの経済行為には違いありませんが、この実態がきわめて社会に対する影響も大きく、のみならず、注意すれば、当然この被害を与えずに済むものを、注意を怠るというようなところが十分に認められますので、従来ともいろいろ注意をして参っておりますが、しかしながら、現在各地におきまして特にこの市街地等におきましては、この問題はきわめて深刻な問題にもなっております。私どもかねていろいろ注意し、また監督をいたして参っておりますが、なかなか効果が上らぬのが現状でございまして、この点は今後も一そう指導徹底いたしまして、同時に一方、この法律を整備いたしまして、特に最近の他の法令との関係を考慮いたしまして、罰則の調整をはかるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/21
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022・森田義衞
○森田義衞君 それでは第八条、第九条に違反して実際にこういった何というか刑罰法規を適用した事例はどれくらいあるかお聞きしたい。行政指導力じゃどうにもならぬ、しかも一般の公衆なりその他に迷惑をかけてどうにもならぬといった面で、果してかつて刑罰法規を適用した例があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/22
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023・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 実際問題としては、この刑罰を適用した例はいまだございません。しかしこの点につきましては、他の法令との関係も考慮いたしまして、調整をいたしわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/23
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024・森田義衞
○森田義衞君 しかし、ほかのやはり経済法規でも、これは運輸省関係に入るのじゃないかと思いますが、旅行あっせん業も刑罰法規の改正をやっておる。他の法令との振り合い、振り合いとおっしゃるが、お互いに刑の上げっこをしているような気がする。どこにも基準がある感じがしない。どういった基準が正しいか、六カ月以下の懲役だけでも十分過ぎるほど十分で、実際迷惑するわけなのですが、それを一年に上げることによってどれだけの取締り効果があるか、その限界点を御説明願わないと承知できないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/24
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025・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 私どもが、実際にこの取締りその他の行政措置をいたしていきます場合に、御指摘のように、単に刑罰にたよって仕事をするというようなことが適当でないことは申すまでもございません。従いまして、私どもといたしましては、たとえ規定は規定といたしましても、常時よく取締り指導いたしまして、それによって問題の解決をはかっていくことが適当かと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/25
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026・森田義衞
○森田義衞君 私申し上げるのは、ですからやはりこの経済法規的に、経済力その他に応じて、この施設の改善命令でも何でも出さなければ、実態に無理があるということを言った。こういうことをやったら無理が生じてくるのだ。そこらをやはり自信を持って行政指導をやってもらって、刑罰法規にたよらないとおっしゃるのですから、今後においても、こういったような法規にたよらないやり方をやはり何といいますか、行政当局ではしてもらいたい。このこと自体に対しては、掲げることを特に修正しろとは申しませんが、そういったことにたよらないやり方をやってもらうように、政務次官から一つ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/26
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027・山下春江
○政府委員(山下春江君) 森田委員のおっしゃることは非常にごもっともな御意見でございますが、私どもも、今後こういったような刑罰にたよらないで指導をやっていきたいと考えますけれども、実際にはいろいろな指導をいたしましても、被害を及ぼしておる点がございますので、将来こういう文字を削除してもやっていけるように努力をいたしますけれども、ただいまのところは、こういうものをおきますことによって、あやまちなさようにいたしたいと思います。御趣旨の点は十分尊重いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/27
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028・森田義衞
○森田義衞君 それから第二点の改正の趣旨説明の中で、へい獣処理場、いわゆる畜舎の構造設備の基準を政令で明確に定めるということですが、どういった基準をおいてお定めになるのか。こういったことがあまり経済的に無理な点があれば、こういった規定をおきましても効果が少いのではないか。そういった点、どういう点を考慮してこういった政令でおきめになるのか、一つ基準を政令で定めるというその要領をお示し願いたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/28
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029・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) これらの施設につきましては、たとえますれば、床をコンクリートにして水が流せるようにするとか、あるいは臭気の排気孔を設けるとか、あるいは給水設備を実施するとか、きわめて具体的な問題について実施をしていきたいと思っております。
なおこれらの点に関しましては、一応こうした施設は、都会地等に主として限られたものでございます。特に畜舎の場合には、都会地を中心に考えておりますので、この程度のことはむしろ当然なことではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/29
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030・高野一夫
○理事(高野一夫君) ほかに御発言ございませんか。――御発言なければ、この機会に御報告申し上げます。五月十四日付中川以良君辞任、西岡ハル君が選任せられました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/30
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031・高野一夫
○理事(高野一夫君) 他に御発言もございませんければ、質疑は尽きたものと認めてお異議ございますまいか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/31
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032・高野一夫
○理事(高野一夫君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。(「討論省略」と呼ぶ者あり)それでは討論はこれで終局したものと認めて差しつかえございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/32
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033・高野一夫
○理事(高野一夫君) 御異議ないものと認めます。それではへい獣処理場等に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/33
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034・高野一夫
○理事(高野一夫君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における口願報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/34
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035・高野一夫
○理事(高野一夫君) 御異議ないものと認めます。
それから報告書には賛成者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた各委員は順次御署名を願います。
多数意見者署名
常岡 一郎 深川タマヱ
西岡 ハル 最上 英子
森田 義衞 草葉 隆圓
横山 フク 榊原 亨
井村 徳二 紅露 みつ
田村 文吉
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/35
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036・高野一夫
○理事(高野一夫君) 次に、採血及び供血あっせん業取締法案を議題といたします。御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/36
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037・榊原亨
○榊原亨君 この法律におきまして、なま血を輸血する場合に、もしもその給血者にいろいろ毒があるような場合には、これを調べなかった医療担当者が責任をとるというようなことが規定されておるのでありますが、多くの場合、なま血を輸血いたします場合には緊急な場合が多いのでありまして、その場合に、たとえて申しますと、梅毒の反応を調べるといたしましても、簡単な梅毒の反応は調べることができますが、正式な梅毒の反応を調べて結果を判定いたしますには長時間を要すると思うのでありますが、そういういとまがないときに、そういう措置をしてそこに被害が起った場合には、その医師なら医師が処罰をされるというようなことになると思うのでありますが、この点についての当局のお考えをただしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/37
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038・森本潔
○政府委員(森本潔君) なま血を輸血いたします場合には、現在医師法に基きまして、輸血に際し、医師または歯科医師の準拠すべき基準というものがございます。それにつきまして、医療行為の内容として、血液の無害なことを確認してから使用することになっております。ところがただいまお話のように、緊急の場合におきまして全部の検査ができない、こういうような場合があると思うのであります。さような場合におきましては、一応さしあたりできるだけの検査を願いまして、ことにこの梅毒のごときものになりますと、精密な検査をするには数日を要するのであります。従いましてその場合に、自後におきまして検査をする、そうしてかりにさような有害なものでありますならば、それに応ずるところの治療方法を自後において講じていただく、かような措置ができれば足るのでありまして、使用する際において完全なものでなければならないということは、緊急の場合においてはやむを得ないことである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/38
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039・榊原亨
○榊原亨君 在来、昔の、前の規定と申しますか、前の規定によりますというと、これらの給血者それ自身がやはりふだんから梅毒反応なりそういうものの反応検査を受けている、そういうことを証明する証明書を持っているということが規定されたときもあったと私は思うのでありますが、そういうことが全然ない。そういうことを規定いたしましても、実際の上におきましてはどうも無効である、そういうようにお考えになってそういうことを全然やらないというふうに御規定になったと思うのでありますが、ないよりはあった方がましであるというふうに私ども考えるのですが、この点についてどういうふうなお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/39
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040・森本潔
○政府委員(森本潔君) 過去におきまして輸血取締規則という省令がございますが、その規定におきましては、給血者は血液型とかあるいは血液の有毒でないという証明書を持っているというような規定があったようでございます。ところがただいまお話のように、この証明を全部信ずることができない、人によりましては正しくない証明を持ってくる、それによって医師が使用する、かような点がございます。従いまして、全面的にそれに依頼するということは適当でないという結論でございます。しかしながら今お話のように、使用される医師がこの者の証明であれば間違いないと信用をされるとき、信用されてその証明書によって検査をせずに使用された、こういうこともこれは差しつかえないことであります。ただし、その際におきましても、使用される医師が医師の責任において無毒であるということを保証されて使用される、こういうことになると思います。従いまして、そういうものがあることはけっこうでございますが、しかし、それの支障があるかないかということは、やはり使用されますところの医師の御判断に待つと、かようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/40
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041・榊原亨
○榊原亨君 ほかの者の証明書を偽わって使用するとかなんとか、そういうような違反行為はどの法律においてもあるわけであります。従いまして、そういうことを法律で規定いたしましてそういう違反者がある、またそういうことだけに医師の方においてたよりまして、これをたよって輸血をするというようなことはこれはとんでもないことでありますが、給血者の立場から必ず自分は健康診断を一応受けておくということを規定すべきであって、給血者はあってもなくてもいいのだ、医師が輸血をするときだけそういうことを規定するということでは、これは少しおかしいのじゃないかと思うのでありますが、その点を重ねてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/41
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042・森本潔
○政府委員(森本潔君) 今申しましたように、さような証明書を持って参ることはこれはよろしいのでございますが、また供血あっせん業者等がさような証明書を発行しまして、そうしてそれが偽わった証明書を発行した場合には、それに対する取締りはございますが、それはそれといたしまして、最後にと申しますか、使用に際してこれが間違いないという保証なり、確認は、やはりこれを使用される医師においてやらなければ完全を期せないだろう、こういうふうな考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/42
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043・榊原亨
○榊原亨君 たびたび申しますように、後段はそれでいいのであります。医師が責任を持つということはいいのであります。しかしながら、給血者は給血者の責任において健康診断を受けなければならないという規定をしなければならないのでありますが、この法律のどこにそれがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/43
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044・森本潔
○政府委員(森本潔君) 供血者が健康診断を受け、その証明書を持っていかなければならぬという規定はございません。ただしこの第八条におきまして、供血あっせん業者等はさようなことをしてはならぬというように規定をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/44
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045・榊原亨
○榊原亨君 どうもこの点がはっきりしないのでありますが、これはあとから政令等によりましてもはっきりと、この給血者それ自身がやはりふだんから健康診断を受けて、一定の証明書を持参しておるということをはっきりさせませんと、それを乱用するものがあるといって、それを医師側は責任を持って、それを信用してはいけないのでありますが、その点をはっきりされることを私は希望いたします。いかがですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/45
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046・森本潔
○政府委員(森本潔君) その点はなお研究いたしたいと思いますが、ただいまちょっと申し上げておきたいと思いますのは、その証明書を、ことに梅毒のごときは、感染いたしましてから検査においてその反応が出ますのが若干余裕があるようであります。時日を要するようでございまして、かりに極端な例を申しますれば、前々日に感染した、ところが翌日に証明書をとりにいく、ところがその証明書はパスをいたしまして、さらにその翌日供血をするという場合におきましては、これは事実問題といたしまして、証明書がありましても、しかもそれがごく最近の証明書であるという場合におきましても、なおそれに信用できないというような場合もございますので、まあそういう事実上の問題がございますので、なお検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/46
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047・榊原亨
○榊原亨君 先ほどからたびたび私が申しますように、そういう証明書を信用するというのじゃないのです。そういう証明書を信用して輸血をせよというのじゃないのです。それはあくまでも医師の責任においてやらなければならぬのですから、そういう証明書を信用しろというのじゃないのですが、給血者の義務としては、当然そういうふうにすべきであるという規定をしなければならない、従ってそういう検査を受けてから梅毒がうつるかもしらぬけれども、そういうことを規定しないよりも規定した方が害毒が少いということははっきりわかると思う。その点においてもう少し、私の言う意味をはっきりあなたはおわかりにならぬ、何かその証明書を信用して医者がおやりになるというふうにおとりになっているようですが、そういうことを私は申し上げているのじゃないのです。給血者の責任において健康診断を受けなければならぬということを政令で規定しなければならぬ、こういうことを申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/47
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048・森本潔
○政府委員(森本潔君) その点につきましては、私たち指導によってやって参ろうと思っておりましたが、ただいま御意見も出ましたので、なお検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/48
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049・榊原亨
○榊原亨君 次に、保存血の場合でありますが、保存血の規格に合わないものを化粧品に回すということはまあお認めになっておられるようでありますが、そういたしますると、血液をとりましても規格に合わないものでもまた化粧品に回すということは、おかしいのではないかというふうに私は心配いたしておるのでありまするが、そういう点のお取締りができるのでありましょうか、どういう具体的な方法によってお取締りをされようと思っておられるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/49
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050・森本潔
○政府委員(森本潔君) まず第一に採血いたします場合に、一定の健康診断をいたすことになっております。それによりまして、おおむね大部分の不適格な血液の採血ということは除去されると思います。それからかりにそのふるいから外れまして採血されるというものが出て参ると思います。これは血液製剤の、製造の基準に合わないものが出てくるかと思うのでございますが、その場合におきましては、これはただいまのところやむを得ないことであろうかと考えております。しかしながら、そういう事例が若干、百例の中で一例、二例あるという程度であれば差しつかえないと思うのでございますが、実際におきまして、ただいま採血業者が非常に多くの不適格な血液を採取しておる、かような事実が出て参りますというときには、この第五条によりまして、指導によるところの指示を与えて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/50
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051・榊原亨
○榊原亨君 私の申しますのは、不適格なる血液をどうこういうのじゃなしに、業者が故意に正常なる血液を採取いたしまして、これは不適格であるということで化粧品の方へ回すというものができやしないか、そういうものをどうしてお取締りになるのか、こういうことを私聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/51
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052・森本潔
○政府委員(森本潔君) これは第一にさような事実がございますれば、第五条によりまして採取する血液の量でございますとか・その他のことについて指示ができるのであります。従いまして、そういう事実があれば、さようなことをしないように指導いたす。それから必要がございますれば、これに対して業務停止あるいは許可の取り消しをする、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/52
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053・榊原亨
○榊原亨君 どうも時間がないので、はっきり私の申すことを聞いて御答弁願いたいと思うのであります。そういう不正が行われたら、どういう処分をするとか何とかいうことを聞いておるのじゃない。そういう正常な血液をわざわざとって、そしてこれは不適格でございますといって、偽わって化粧品の方へ回すようなことをどうして発見されるか、こういうことを私聞いておるのであります。それを簡単に一点ぱっと言って下さいよ、時間がありませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/53
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054・森本潔
○政府委員(森本潔君) その点につきましては、これは採血業者よりの採血量、それからそれを、血液を製剤した量、その他の提示をとるようにいたしております。それからなお必要があれば、立ち入り検査その他について、実情を調べてその使用状況を確認する方法がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/54
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055・榊原亨
○榊原亨君 こういう人命に関するような血液を扱いますことを民間の業者にまかせるということが、すでに根本的に私間違いであると思うのでありまして、これはどうしても国家がこれをしなければならぬ。従いまして、先ほどから私申し上げることも、理屈の上では、そうして調べるのだというお話でありますが、実際上は、これはなかなかそういうことを調べることができないと私は思うのでありまして、これはどうしても国が、国立病院その他においてやるということでなければ、もうこれは、その取締りはできぬと私は思うのであります。重大な人血を化粧品に使うがごときことは言語道断である。従いまして、これは今後どうしても国がやるという御方針のもとに、今後いろいろ、法改正についても御研究にならなければなりませんし、また一面において、現在におきましても、これがいろいろにらみ合せまして許可制度になっておるようでありますからして、その点を十分考慮されまして、そしてそういう弊害が起らぬように、許可その他において十分御注意を願いたいと思うのでありますが、その点についての厚生次官の御見解いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/55
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056・山下春江
○政府委員(山下春江君) 榊原委員のただいまの御忠告、御要望は全く私同感でございまして、輸血を受けます病人も重病人であり、血を供給いたします者も誤まれば人命にかかわる重大な仕事を営利的な業者にまかせる。町を歩きまして私が最もきらいなポスターは血を買うというあのポスターでありまして、私は厚生省の係に、あれを東京都から全部はがしてもらいたいと言ったぐらい、私はこの仕事に対しましては重大な責任を国が感じなければならぬということは、これは同感でございまして、将来はそのようにいたしたいと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/56
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057・深川タマヱ
○深川タマヱ君 血液を採取する方の側の人の規定はこまごまとここに掲げられておりますけれども、血を提供する方の側の規定が少いように思うのですけれども、たとえば、一日に一人の人体から幾らまでは取ってもいいとか、あるいは一カ月に幾らとか、あるいはその人の血圧の程度を調査するとか、何か採取される方の側の健康状態の規定とか何とかいうことはここでは必要ないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/57
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058・森本潔
○政府委員(森本潔君) その点につきましては、この被採血者の健康保護ということが非常に大事な問題でございまして、この立法されましたところの一つの理由もそこにあるのでございます。ただこれを表現といたしましては、十三条におきまして、採血者の義務という条項がございますが、その際にその条項におきまして、第一項において書いてございますように、採血する場合に厚生省令で定める方法によって健康診断をしていただく。それからその結果、貧血者でありますとか、年少者でありますとか、妊娠中の者でありますとか、その他採血が健康上有害であるとされる者、こまかい点につきましてただいまお話しのように、血液の一日の採取量その他につきましては省令で規定するつもりでおりますので、その省令によってこまかい点を規定して、健康保護に遺憾のないようにしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/58
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059・深川タマヱ
○深川タマヱ君 そうしてその省令の中に、この採取するときに一回々々健康診断をなさるように規定なさいますのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/59
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060・森本潔
○政府委員(森本潔君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/60
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061・深川タマヱ
○深川タマヱ君 それじゃ万事医師の診察の結果ですから信用できるというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/61
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062・高野一夫
○理事(高野一夫君) ほかに御発言ございませんか――ほかに御発言もございませんければ、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/62
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063・高野一夫
○理事(高野一夫君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。(「討論省略」と呼ぶ者あり)討論は終局したものと認めて差しつかえはございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/63
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064・高野一夫
○理事(高野一夫君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより採血及び供血あっせん業取締法案について採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/64
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065・高野一夫
○理事(高野一夫君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございますまいか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/65
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066・高野一夫
○理事(高野一夫君) 御異議ないものと認めます。
それから報告書には賛成者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次ご署名を願います。
多数意見者署名
常岡 一郎 深川タマヱ
西岡 ハル 最上 英子
森田 義衞 草葉 隆圓
横山 フク 榊原 亨
井村 徳二 紅露 みつ
田村 文吉
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/66
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067・高野一夫
○理事(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/67
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068・高野一夫
○理事(高野一夫君) 速記を始めて。次に、食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。
では私から政府側に、事務当局に伺いますが、先般来この問題について私がお尋ねして、いまだにこの食品衛生の根本の問題について理解しがたい点が多々あるわけであります。特にこの添加物の取締りが非常にむずかしいと思いますが、この添加物なり原料なりについての解釈がまだはっきりしないわけであります。そこで私は考えますが、こまごましたことを伺うのはもうやめますけれども、この規定の中になぜ原料という規定をお置きにならなかったか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/68
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069・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 食品衛生法におきましては、特に原料という規定はございませんが、ただ原料的な考え方といたしましては、食品あるいは添加物中にこれを含めておる次第でございます。従ってこの使用目的から考えますと、もちろんこの原料的なものをも食品ないしは添加物に含めてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/69
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070・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私から伺いますが、添加物と原料と食品の区別がただいまの御答弁のようにあいまい模糊としておるところに、この食品衛生法の根本の欠陥があると私は考える。たとえばコンニャクを作るのにコンニャク・イモだけではコンニャクはできない。コンニャク・イモに石灰をまぜて練って、そしてコンニャクができるわけであります。そのときに、原料がコンニャク・イモであるか、石灰は添加物であるか、原料であるか、こういうこともはっきり区別しなければ、コンニャクの取締りはできないと私は思うのです。これはどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/70
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071・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) ただいまもお答え申し上げました通りに、食品というものを広く解釈いたしまして、この中に原料的なものをも含めております。添加物についても同様でございます。従いまして、実際の取締りという段階になりますと、さように広く解釈した食品の定義及び広く解釈いたしました添加物の定義によりまして、実際の取締りというものの決定は十分に期し得られるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/71
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072・高野一夫
○理事(高野一夫君) 伺いますが、私は別な考えを持っているので、あえてあなたと討論はしません。そこで、われわれがビールを飲みに行くと、よくグリンピースというやつが出る。これはエンドウが原料である。それに緑色の色をつけて、いかにも新鮮なるエンドウであるかのごとき色彩を与えて、われわれはそれを食べているわけである。そのエンドウにあの色をつけるのには、私は学者から聞くと、硫酸銅ですか、を使っておると思いますが、これは添加物になりますか、原料になりますか、グリンピースというものを考えて添加物になりますか、原料になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/72
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073・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) この法律において取り締る対象といたしましては、着色剤は添加物として取締りをいたします。しかしながら、これが原料的なものであることについては、これは申すまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/73
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074・高野一夫
○理事(高野一夫君) 伺いますが、アズキを材料にしまして、あんこの、いわゆるさらしあんを作る、なおいろいろなまんじゅうなんかに、しるこに、さらしあんのまんじゅうをたくさん作って食べるわけでありますが、そのあんこをさらすのには、ハイドロ・サルファイトを使うそうでありますが、これはさらしあんというものを考えた場合、添加物になりますか、原料になりますか。そしてまたそれはおそらくあなたの答弁は添加物であるということでございましょうが、これは洗たく屋なんかでも、洗たく物の色をさらすためにこれを使っておるそうでありますが、これはどういうふうな考え方でこれを許可されているか、どういう基準で許可されているか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/74
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075・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 漂白剤につきましては、いろいろな漂白剤もございます。また危険も伴いやすいものでございますので、このハイドロ・サルファイトを、漂白剤の場合には規格、基準を定めて、それに合うもののみを使わすことといたして、現に認めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/75
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076・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私から伺いますが、終戦後サッカリンとズルチンは許可しておる。サッカリンは劇物、ズルチンは猛毒を持った毒物である。砂糖がないためにズルチン、サッカリンを許可するときには、学界から猛烈な反対があったはずである。特にズルチンなどは当然使用を許可すべきでないという反対があったにもかかわらず、当時厚生省は砂糖がないということで、しかも国民が甘味に飢えているということで、当分の間というような条件付で許可されたと思っておる。今砂糖が非常にふんだんに出回ったにもかかわらず、なおズルチンの無制限許可をされていることはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/76
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077・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) このズルチンにつきましては、使用の当初におきましては、ただいま先生も御指摘の通りでございますが、なるほどその後砂糖も出回って参っておりますので、目下国立衛生試験所におきまして、試験研究をいたしておりまして、遠からずその結論を待って、適当な処置を研究いたしたいと、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/77
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078・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私から伺いますが、それは私は非常に不可解なる御答弁を伺うので、すでに外国においてもズルチンの猛毒性、それから日本の医学界においては、臨床的に見て、ズルチンがいかに猛毒で、人体に障害を与えるかということについては、すでに学説で定説があると考える。それを、今ごろ厚生省の衛生試験所で試験しなければ、結論が出ないというようなことで、これで国民に対して、あなたそれで済むと思いますか。私が医学者から聞いているところによりますというと、最近二十才前後の、特に若い女の方に非常に肝臓疾患が多いということを聞いている。それは医学者の言うところによれば、推察でありまするが、おそらくズルチンの入ったいろいろなしるこ、そのほかあんみつ、いろいろなものを食べ過ぎた結果、しかも終戦前後のころを考えて、ちょうどそれが二十才前後の若い女性に肝臓疾患として現われたのだということは、これは学界において常識になっている。これから調査研究しなければならぬということになるならば、とうてい私どもは、そんなのんべんだらりした結論を待っているわけにいかないと思いますが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/78
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079・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) なるほど学界の一部にはさような御意見もあることを承知いたしておりますが、しかしこれとても、いまだ確証というものを得ておりません。従いまして、私どもとしては、かなり前からこの問題をいろいろ研究をいたしております。従って間もなく研究も完了いたしますので、それによって最後的な決定を定めたい、かように考えて、慎重な態度をとって進んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/79
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080・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私から伺いますが、一歩あなたに譲るといたしましても、確証のないものを、なぜズルチンは毒物に指定になっているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/80
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081・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) この毒物の指定になっておりましても、使用の量というものから勘案いたしまして許されるものもございますので、使用の量から考えることと、もう一つは、その程度というようなものから判断していくべきものだと、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/81
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082・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私から伺いますが、あなたの御説明はきわめて非学問的、かつ厚生省が毒物指定をしたその解釈、定義に全く相反していると思うのです。現在その点について、あなたと論争をあえていたしませんが、現在しからば、ズルチンをなぜ無制限に許可しておられるのか。それと同時に、現在われわれの子供、それから学童、われわれが口にする日常の飲食物の中に、ズルチンの入ったようなものはどういうものがあるか、厚生省ではすでに十分なデータがあるはずだと考えますので、どういう品物が、つくだ煮か、はんぺんか何か知らぬけれども、そういうデータを御発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/82
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083・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 今ズルチンが使われておりますのは、菓子の類に使われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/83
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084・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私から伺いますが、私の調査したところによりますると、一流品のキャラメルにも使っている、ピーナッツ・クリームにも使っている、しるこ屋のしるこ、それからつくだ煮、はんぺん、かまぼこ、恐るべきは、学童用の甘味をもったパンにはほとんどがズルチンが入っておる。こういうような事態を放置しておいて、野放しにしておいて、そうしてこの猛毒な作用をもった、厚生省が、政府が毒物の指定をしたズルチンを、砂糖のあり余っておる今日、なお許可して顧みないということで、食品衛生法を幾ら改正したところで、制定したところで何もならないと私は思うのです。この点についてはどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/84
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085・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) 御指摘の点ごもっともでございまして、私どもも先ほどお答え申し上げましたように、現在すでに砂糖も広く出回っております現状におきまして、あえてズルチンの問題を必ずしも従来通りの考え方でいく必要がないのじゃないかということから出発しまして、慎重に研究を重ねておる次第でございまして、遠からずその結論が出ましたら、適当な考慮をいたしたいというのが私どもの気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/85
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086・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私から伺いますが、ズルチンの問題については、あと一点伺いますが、しからば、もしも国会が決議をもって、ズルチンの使用を禁止すべきであるという決議をいたしまして、厚生省に突きつけた場合に、その結論が出なければ決議に従いませんか。その結論が出なくても、もしもわれわれがズルチン使用禁止を決議しました場合はどうされるか、それを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/86
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087・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) はなはだお言葉を返すようで何でございますが、ズルチンにつきましては、それがずばり毒物、劇物であるかどうか今ちょっと調べておりますので、はなはだ失礼でございますが後ほど……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/87
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088・高野一夫
○理事(高野一夫君) 政府側からだれか専門家、一つ答弁して下さい。そんなことはきまりきっておる。そのために法律にも出ておる、あいまい模糊たるものでは絶対にありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/88
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089・森本潔
○政府委員(森本潔君) 私の方の所管でございますが、ズルチンそのものとしては毒物、劇物には入っておりませんが、ちょっと私まだ勉強不十分でございまして、何かの化学名でこれに載っておるかもしれません。ちょっと
その点調べておりますので、しばらく御猶予いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/89
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090・高野一夫
○理事(高野一夫君) それじゃそのお調べになっておる間、あと五、六分伺いますが、これは先般も私は伺った。こういうことを禁止される意思がないかどうかということを私は伺いたい。それはあなた方がこの法律で、添加物と称せられるその添加物のまがいものがあるわけである。いわゆる添加物は色を漂白したり、防腐の目的でやったり、味をつけたりするのが添加物なんだが、そのものの実体でなくして実体であるかのごとく見せかける、いわゆる偽わった製造をやる。これをいわゆる偽和物と昔は称しておったそうでありますが、先般私は例をあげてお尋ねをしたジャムの不良なるものに合成のノリ、CMC、ノリを入れて、一流品のジャムのごとくみせかける。最近私も喫茶店を回って調べてみましたが、最近アイスクリームで粘りっこいものがあって、なかなかさじで切れないものがある。これも非常に多いのでありますが、これもまたノリが入っておる。濃いソースもそれである。そういうことになって、CMCのごときは全く栄養価値がなく、そのまま排泄されるものであって、ただ製品をまともな製品のごとくにみせかけるための、いわゆる偽って混ぜるものである。これをある量を限って許可しておられるのでありますが、こういうものに対してもっと厳重に取り締る、あるいは禁止するという御意思がありませんか。いつかも聞いたビスケットの炭酸カルシウムにおいてもしかり、そのほかこういう例は幾らもありますが、こういうような一般民衆を誤まらして、ほんとうのジャムだと思って食うが、それは大半はほんとうのジャムではない、アイスクリームだと思って食うが大半はアイスクリームでない、こういうようなことであっては、まことに食品界野放しで、われわれすべての国民は金を払って本物だと思って食べ、飲むわけです。それに対して厚生省はさらに厳重な規格を設け、基準を設け、そしてある物についてはどしどし禁止するという御意思はありませんかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/90
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091・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) これはむずかしい問題でございまして、御指摘のように、CMC等がもっぱら形をごまかすものに使われたがるという点については御指摘の通りでございます。従って先般もお答えを申し上げましたように、これが著しく使用目的を逸脱して使用されるというような傾向であるならば、この問題は考えなくちゃならないということを申し上げたわけでございますが、ただかように栄養価値もなく、ただ単に必ずしも毒でないというだけでいろいろなごまかし剤が出ております。かようなものを一括禁止をするということになりますと、たとえば寒天の類というようなものもそれに含まれます。ずいぶんいろいろ多くかようなものもございますので、目下私どもの方におきましては、これらのものにつきまして一括慎重に研究をいたしておりますが、ただ、従来の食生活の実態等から考えまして、なかなか困難な点があると、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/91
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092・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私から伺いますが、寒天とCMCと同一に論ぜられることはおかしいと思う。ことにCMCはここであなた方が規定しておられるように、化学合成品になるわけで、特別に厚生省の許可を要するようになっておる種類のものである。しかもあなた方は、ここで私は厚生省に対してまことに遺憾の意を表したいのは、常に調べて結論が出たらとおっしゃるが、このCMCが不当に悪用されている事例は幾らもあるじゃありませんか。私どもしろうとがすっかりわかっている。それを厚生省のこの食品衛生の取締りに当っておるあなた方が、これから調べてみて、非常に逸脱した使い方があるならば取り締るということはどうかと思う。それならば食品衛生法なんという法律を作っても何にもなりませんよ。私はあえて厚生省を、あなたをいじめるわけではないけれども、おかしいと思う。現実の姿なのです。こんなものは至るところみんな金を払って食っている。それを調査して実態がわかったらば適当な処置をとるなんというようななまぬるいことを言っておって、それでどうなるかと私は思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/92
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093・楠本正康
○政府委員(楠本正康君) この点に関しましては、現在ジャム等に使用目的を逸脱して使われていることも承知いたしております。従って先日もお答え申し上げましたように、この点をもう少しく固めまして、その結果適当な処置をとりたいということをお答えしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/93
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094・高野一夫
○理事(高野一夫君) 私からもう一ぺん伺いますが、あるいは希望になるかもしれませんが、食品衛生法をお出しになるについて、厚生省の調査はきわめて疎漏、ほとんどデータがない。そして従来この食品衛生法をもとにしていかなる取締りをされておるやらてんで私には見当がつかない。これをもとにして従来仕事をおやりになったはずだと思ってその結果をお伺いしても、ほとんどわれわれの満足するような御答弁を得られないというのが現在の厚生省のやっている食品衛生取締りの実態であるということが、二、三回のこの委員会においてはっきりして参った。そこでこの法案については、いずれ他の委員の方方からも詳細な御質疑がありましょうが、私もこれについて質疑すれば幾らでも材料を持っておりますけれども、きょうは先ほどお約束したすでに一時十分前の時間になりましたから、私の質疑はきょうはこれでとどめておきます。
ほかに御発言ございませんか――本案に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/94
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095・高野一夫
○理事(高野一夫君) 御異議ないものと認めます。それでは本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414410X03419560514/95
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