1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十一日(火曜日)
午後一時五十一分開会
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委員の異動
二月十三日委員上條愛一君辞任につ
き、その補欠として藤原道子君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 三輪 貞治君
理事 河野 謙三君
委員
西川彌平治君
白川 一雄君
中川 以良君
西田 隆男君
深水 六郎君
海野 三朗君
藤岡 進君
上林 忠次君
政府委員
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業省軽工
業局長 吉岡千代三君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
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本日の会議に付した案件
○中小企業信用保険法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○中小企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○特定物資輸入臨時措置法案(内閣送
付、予備審査)
○高圧ガス取締法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/0
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001・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) ただいまより本日の委員会を開きます。
公報をもつて御通知いたしましたように、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、並びに特定物資輸入臨時措置法案の提案理由の説明を求められておりますのでこれを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/1
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002・川野芳滿
○政府委員(川野芳満君) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、中小企業者に対する貸付及び中小企業者の債務の保証につき政府が保険を行いまして、中小企業者の信用を補完することを各的とするものでありますが、昭和二十五年十二月発足以来すでに四回にわたる改正を経まして、法規及び運用の両面におきまして相当の実績をおさめているのでございます。すなわち、発足以来この一月末までに保険に付せられたものは、件数で十五万四千六百七十一件、金額で八百四十七億九千万円に上り、中小企業者に対する信用の補完上大きな貢献をして参ったのでございます。しかしながら、中小企業金融の現状は、一般金融の緩慢化にもかかわらず、容易に楽観を許さないものがあるので、ありまして、特に小規模企業者の金融難は今なお深刻な様相を呈しているのごでざいます。この際、小企業者に対する信用補完を一層強化する必要が認められますので、この観点に立ちまして、今回中小企業信用保険法を改正いたしたいと存ずる次第でございます。
次に本法案の概要を御説明申し上げます。
第一点は、信用保証協会を相手方とする小口保証保険において、小企業者一人に対する保証限度を現行の十万円から二十万円に、その小企業者が中小企業等協同組合であるときは現行の三十万円から五十万円にそれぞれ引き上げることであります。
第二点は、信用保証協会を相手方とする保証保険の一種として、新たに包括保証保険制度を創設することであります。すなわち、個々の小企業者の場合は二十万円以下の債務について、中小企業協同組合の場合は五十万円以下の債務について、信用保証協会が行う保証につき、あらかじめ契約した金額の限度まで自動的に保険関係が成立する制度でございます。この場合のてん補率は九〇%、保険料率は年一分四厘六毛といたしております。
以上の改正は、いづれも信用保証協会の機能の発揮を強力に援護することにより、小企業者に対する小口金融の円滑化をはかろうとするものであります。以上が本法案の概言要であります。
何とぞ十分御審議の上、御賛同賜わりますようお願いいたす次第でございます。
次にただいま提案になりました中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
昨今金融状勢は、ようやく緩慢化の傾向を示しつつありますが、中小企業金融の分野におきましては、この傾向はいまだ必ずしも十分滲透しているとは言えない状況にあります。従って政府といたしましては、昭和三十一年度において、中小企業金融公庫及び国民金融公庫等の政府関係金融機関の資金源を拡充し、一そう中小企業金融の疎通をはかることといたしておるのであります。
他方商工組合中央金庫は、組合系統金融機関として中小企業金融の分野において独特の役割を果しておりますが、組合金融の一層の円滑化、中小企業の組織化を推進するためには、その貸出金利の引き下げは当面重要な問題の一つとなっております。そのためにはもとより商工組合中央金庫自身の経営の合理化並びに所属組合の協力に期待することが大きいのでありますが、政府といたしましても、極力これを援助するため、さしあたり昭和三十一年度において二十億円の低利資金を同金庫に供給することといたしたのであります。このうち十億円は中小企業金融公庫から貸し付けるものとし、今回ここに中小企業金融公庫法の一部について所要の改正を行わんとするものであります。
以上本法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。
次に、特定物資輸入臨時措置法案につきまして御説明申し上げます。
昭和三十年度の国際収支は、輸出の著しい増大に伴い非常に改善を見ましたので、今後は必要原材料等の輸入はできるだけ自由化の線に沿って進めて参りたいと考えておりますが、一方輸出、特需等の受取りの見透しは長期的に見れば必ずしも楽観を許さないものがあります。従いまして不要不急物資につきましては、今後もその輸入を制限することによって外貨使用の節約に努め、国際収支の改善に努力いたさねばならないと存ずるのであります。従いまして、これら不要不急物資につきましては、当分の間その輸入数量はかなり制限されることになると思うのでありまして、そのためこれら物資の国内における需給の不均衡が生じ、これら物資を輸入すれば通常の利益以上の利益が生じてくるのはやむを得ないと考えられます。しかしながら、このような異常な利益は、外貨資金の割当によって反射的に生ずるものでありまして、この全部を関係業者に帰属させることは適当でないと考えられますので、政府としてはこの利益の一部を国庫に納付させてこれが有効な活用をはかることとし本法案を提案いたした次第であります。
本一法案の内容につきましては概要を申し述べますならば、この法律において「特定物資」とは、輸入数量が著しく制限されているために、その輸入によって通常生ずる利益を越えて異常な利益を生ずる物資というのでありまして、さしあたりは、バナナ、パイナップルカン詰、時計、筋子を予定しております。
特定物資の輸入について外貨資金の割当を受けた者は、一定額を国庫に納付しなければならないことにしております。
なお、本措置はあくまでも異常な利益に対する臨時措置でありますので、有効期間を三年に限定した次第であります。
本法案により国庫に納付されました特別輸入利益は、別途国会の御審議を仰いでおります特定物資納付金処理特別会計の歳入となり、これを産業投資特別会計に繰り入れる所存であります。特定物資納付金処理特別会計の歳入に予定されておりますのは、約十六億円でありまして、これより予備費必要経費等を差し引いた十五億円を産業投資特別会計に繰り入れる予定でおります。
以上が本法案の提案理由及びその概要でありますが、何とぞ愼重御審議の上、可決せられるようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/2
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003・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 以上三案の審議は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/3
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004・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) それではさよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/4
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005・河野謙三
○河野謙三君 資料の要求がございますが、輸入物資別に、輸入価格と末端価格との差額、この調査ができておると思いますから、この資料をちょうだいしたいんですが、いただけますか。私は資料を要求いたしました私の気持を一応申し上げますと、今特定物資として予定されておるバナナとか、パイナップルとか、増益を非常に大きく出しておるものは、そういう二、三のものにとどまらぬだろうと思います。極端に言えば油でも私はそうだと思うのです。砂糖はもちろんのこと、そういうものを私は物資別に一応検討さしていただきたいと思いますので、資料が膨大になって、はなはだ恐縮ですが、物資別に輸入価格と末端価格の差額というものを出していただきたい。同時に、できればそれに参考資料として、その物資の国際価格、これも一つ備考に入れていただければ非常に参考になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/5
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006・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) できる範囲でいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/6
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007・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 一つなるたけ早い時期に願います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/7
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008・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 速記をつけて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/8
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009・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。本件につきましては前回におきまして提案理由の趣旨説明を聴取したのでありますが、本日は本案の内容につきましてまず政府委員から説明を聞き、質疑は終日にいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/9
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010・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案の提案理由につきましては、先般政務次官から御説明を申し上げたわけでございますが、何ぶん非常に技術的の内容を含んでおる法律でございますので、今回の改正のねらいとするところのおもなる点につきまして、なるべく実体的な点を中心に御説明を申し上げたいと思います。なお、お手元に「高圧ガスおよび高圧ガスの取締について」とそれから「プロパンガスについて」という参考資料をお配りしておりますので、これと法律案の要綱を中心に御説明を申し上げたいと思います。要綱の順序によって申し上げたいと思います。
今回の改正の第一点は、液化酸素の消費に関する規定の強化でございます。酸素ガスの消費量につきましては、お手元の資料の、「高圧ガスおよび高圧ガスの取締について」という資料の十一ページにグラフを掲げてございますので、これを御参照願いますと、ここに表われておりますように、戦後一時減退しておりますが、逐年非常に急激なカーブでもって増加を見ておるわけでございます。それで従来酸素ガスは、御承知のように、気体としてボンベに充填いたしまして、これを消費するところに運んでおったわけでございます。しかしながら最近におきまして、一昨年すなわち昭和三十九年から液体の形においてこれを消費者のところまで運ぶという液化酸素というものが出て参ったわけであります。それで御承知のようにボンベは非常な重量物でございますので、これを輸送するために非常な費用を要するという関係もございます。また製品の品質から申しまして、液化酸素の形のものの方がより純粋な製品ができるというような関係から、一昨年からこの生産が開始せられたのでありますが、現状におきましては酸素ガス全体の約一五%をこの液化酸素が占めております。液化酸素の形にいたしますと、一トンでもって大体ボンベ百本分、あの五十キロ程度の大きなボンベでございますが、この百本分の容量が輸送できる。しかしこの消費については消費者としても相当の施設を必要とするというような関係で、現在この液化酸素を消費しておりますのは、酸素製鋼をやっております製鉄工場、これが六社ございます。それから溶接関係で使っておりますのが、造船関係において六社、造機関係において三社、こういうわけでございまして、消費者と申しましても、現状におきましては全部で十五社、事業所にいたしまして約二十程度でございます。もちろん今後逐次増加して参ると思いますけれども、非常に大規模な消費者でなければ使えない。従ってこれは消費者と申しましても、その実質においては、他の一般のものと非常に異りまして、規模も大きく、また、この消費については相当の施設を必要とする、こういうような関係からこの液化酸素につきましては、一般の酸素ガス以上に今回消費の施設並びに消費の方法等に関する技術上の基準を定めまして、これを守らせるということにいたしたわけでございます。
それから次に第二点といたしましては、従来高圧ガスにつきましては、生産の段階におきましては、いろいろの技術上の責任者等の制度があったわけでございますが、販売の段階並びに消費の段階におきましては、法律上の規則がございますけれども、その技術上の責任者というような制度がなかったわけでございますが、この点につきましても逐次高圧ガスの消費がふえて参るというような関係から、今回販売業者の段階におきましても一定の学歴なり、作業経験を持った者を作業主任者、取扱い主任者という制度を定めまして、これを指導をすると同時に、保安上の間違いのないようにというような仕組みを設けることにいたしております。
なお、先ほど申し上げました液化酸素につきましてはこれは販売業者のみならず消費段階につきましても、この消費についての保安上の主任者を選任いたしまして、これに十分の教育なり、指導をいたしまして、危険のないようにいたすということにしているわけでございます。
次に、手数料の点でございますが、現行法の料率は、昭和二十六年に定めたわけでございますが、その後の物価の変動等もあり、またこの法律の施行は、その相当部分を地方庁において実施いたしております。従いまして現状におきましては、この法律の施行に必要とする経費に対しまして、手数料の収入が相当不足をしているという関係で、各地方庁並びに地方自治庁等の御要望がございまして、前回に定めました以降、物価の変動に応ずる程度、大体二、三割程度の手数料の引き上げを行いたいというのが第三点でございます。
その他の点におきまして、特に液化ガスと同時に申し上げたい点はプロパンガスの関係でございます。これも御承知のように昭和三十八年度までは帝石の秋田におきまして天然ガスを原料とするものがただ一社あったのみでございますが、その後二十九年度には昭和石油の川崎精油所、それから三十年度におきましてはそのほかに八社の生産が始りまして、現在十社でこの生産をいたしております。それでこのように最近一両年来急激に生産が増加いたしましたのは、石油精製の関係で新しい接触分解改質装置というようなハイ・オクタンのガソリンを精製する装置ができました関係で、その結果多量の廃ガスが発生する。その一部は御承知のように石油化学の原料として取り上げているわけでございますが、各国の例を見ましても、大半はやはり燃料として工場において消費し、あるいは一般に市販するというような形でございまして、このような関係から、最近プロパンガスの供給と、従ってこの消費というものが急激に増加しております。で数量でちょっと申し上げますと、昭和二十八年におきましては帝国石油一社でありまして、年間の生産量が二千トン、二十九年度には六千トン、三十年度には二万トン、この二ケ年間に十倍に増加いたしております。今後の見通しといたしましては、これは将来のことでございますけれどもなお相当急激に増加の趨勢をたどるであろうと思われますことは、お手元のプロパスガスの関係資料の三ページ、四ページに、大体の予想の数字を書いてございます。このプロパンガスは大体石炭ガス都市ガスの補充と申しますか、主として現存そのうち八割程度は、一般家庭用に消費せられております。大体熱重にいたしまして、一般の石炭ガスとの比較は「高圧ガスおよび高圧ガスの取締について」という資料の十三ページに「プロパンガスの燃料としての経済価値」という表に掲げてございますが、ほぼ都市ガスと同じ程度に、熱量換算いたしますと、その程度の料金で現在市販されております。それで先ほど申し上げましたこの販売業者に関する取締規定を強化するという点は、この点も一つのねらいがあるわけでございまして、多数の消費者、現在推定いたしまして、大体約三十万世帯がこれを使っておると考えられますが、これらの一般消費者に対して一々この保安上の指導をするということは、きわめて困難でございますので、これらの点につきましても、販売業者の段階に十分の教育をし、また一般消費者に対しましては啓蒙宣伝の方法をとりまして、事故の発生を防止して参りたいと考えております。高圧ガスによる災害の状況につきましては、高圧ガスの資料の十五ページに、最近の事故件数等を記載しております。先ほど申し上げましたような生産数最の急激な上昇に比較いたしますと、事故件数はほぼ横ばいの状況でございますが、三十年度の五十一件といううちには、先ほど申し上げましたプロパンガス関係の事故が二十件を占めておるということは、今後大いに注意しなければならぬ状況であろうと考えております。
以上のような最近の液化酸素、プロパンガス来の発展にかんがみ、またその他、法律実施上の経験に徴しまして、今回、必要と思われる改正案について御審議を願っておるわけでございますが、この資料の十四ページにございますように、この高圧ガス取締法の運用につきましては、高圧ガス保安審議会という制度がございまして、そこに掲げてございますような、それぞれ学界、官界並びに民間業界の専門の技術者の皆様方に常時お諮りをいたしまして、法律の運用をいたしておるわけでございます。従いまして今回の改正法案につきましても、この審議会で相当期間、愼重に御審議を願いまして、その結論を中心として御提案を申し上げておるわけでございます。
大体以上が、今回の改正の要点として御説明申し上げる諸点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/10
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011・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 本案に対する質疑は、ただいま説明を聴取いたしました。なお資料もいただきましたが、これらを検討し、さらに明後日、実地に視察をいたしましたあとにおいて行うことにしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X00619560221/11
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012・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認めます。
それでは、先ほど懇会の中におきましておきめをいただきました高圧ガス関係の工場視察については、日本酸素株式会社及び日本石油瓦斯株式会社の液体酸素及びプロパンガスの生産の状況等を、二十三日の午後一時玄関出発で行いたいと思いまするので、多数の委員諸君の御参加をお願い申し上げます。
本日の委員会はこれで散会いたします。
午後二時二十六分散会
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