1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十八日(土曜日)
午前十時五十分開会
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委員の異動
本日委員高橋衛君、小野義夫君、寺本
広作君、藤田進君及び宇垣一成君辞任
につき、その補欠として川村松助君、
佐藤清一郎君、横川信夫君、竹中勝男
君及び豊田雅孝君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 三輪 貞治君
理事
西川彌平治君
白川 一雄君
委員
川村 松助君
古池 信三君
佐藤清一郎君
苫米地義三君
中川 以良君
深水 六郎君
横川 信夫君
海野 三朗君
上林 忠次君
豊田 雅孝君
国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
政府委員
総理府原子力局
長 佐々木義武君
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
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本日の会議に付した案件
○日本原子力研究所法案(内閣提出、
衆議院送付)
○原子燃料公社法案(内閣提出、衆議
院送付)
○核原料物質開発促進臨時措置法案
(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○経済自立方策に関する調査の件
(最近における鋳物用銑鉄の状況に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/0
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001・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) ただいまから本日の委員会を開きます。
まず委員の異動について申し上げます。本日高橋衛君、小野義夫君及び寺本広作君が辞任され、その補欠として川村松助君、佐藤清一郎君及び横川信夫君が指名されました。また社会党で、藤田進君が辞任され、その補欠として竹中勝男君が指名されました。さらに緑風会で、宇垣一成君が辞任され、その補欠として豊田雅孝君が指名されました。右御報告します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/1
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002・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 原子力三法について質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/2
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003・海野三朗
○海野三朗君 この法案を一口にいいますならば、原子力に関してはしろうとである政府の役人の作った政策が、専門家である学者の研究を拘束できるように作られておるのであります。第一線で研究に当る科学者の意見が原子力政策の立案に全く反映されないようになっているのであります。国務大臣は、原子力委員のうち三人は学者だとこの間御答弁になりました。しかしながら、原子力委員と研究所の研究員である学者というものは、全く違った立場にあるのでありまして、研究員がその意見を原子力委員会に具申できるような方法は、この法案中にどこにも盛られていないのであります。でそういう点については、国務大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/3
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004・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいまの御趣意は私も賛成しております。努めてそういう学者の意見をくみ取るつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/4
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005・海野三朗
○海野三朗君 そこで私はこの法案中に、研究員の自主性を尊重し、研究の自由を保障する規定がなければならないのじゃないかということと、研究員の委員を原子力政策の企画立案に参画させるような規定を設けることがどうしても必要であると考えられるのでありまするが、大臣の御所見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/5
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006・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいまの御趣意はできる、だけそういうように沿いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/6
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007・海野三朗
○海野三朗君 この法案の中に盛っていなくても、十分ただいま私が申し上げましたことについては、これを実行するように持っていくとおっしゃるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/7
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008・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 努めてそういうふうに持っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/8
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009・海野三朗
○海野三朗君 そこで、この研究については非常に御聰明な御卓見をお持ちになっている正力国務大臣でありまするから、その点は心配ないかと思うのでありまするが、なお重ねて私は申し上げ、御所見をもう一度伺っておきたいのであります。
この武山の問題は昨日御答弁によってはっきりわかりました。また湯川博士は辞意を漏らしておるというようなことも新聞では伝えられておりまするが、この学者の心境というものは、自分がこれをやりたいという考えがありました際に、ほかの方から予算とかあるいはその計画という点からして、自分の研究に沿わない方向に持っていかれた際には気乗りがしなくなってしまうものであって、つまり盛り上る発意がうせてしまうものであります。この点を私は心配するのであります。なぜ私がこの点をこういうふうに突っぱって再三再四国務大臣に御答弁を願っておるかと申し上げますると、過去においてのたくさんの事実があるのでありまして、日本が科学の点についてもこの戦争において及ばなかったという点は、一にこの点にあるのである。学者のほんとうの盛り上るところの知識を活用しなかったから、日本の政治も経済も、三千年の歴史も大地にたたきつけられたのじゃないか。その学者の盛り上るこの気持こそ政治家もこれに従はなければならない。なぜそうであるかと私は申し上げますると、原子爆弾の発見によって政治も経済も一朝にしてつぶれてしまったではありませんか。科学者の研究の世界というものはあらゆるものに優先しなければならないものでありまするのに、しろうとであるところの政治家が学者を人夫とか奴隷のようなつもりで使うような考えであっては、とうていこの目的を達することができないと私は深く信ずるものであります。この点については、あくまでもこの研究的な自主性というものを、つまり研究員、第一線に働いておるその学者の意見を原子力委員会に反映せしめるようにしなければならない。これは法文の上には現われておりませんけれども、ただいま国務大臣はそれは必ずそういうふうに持っていこうというお考えでありますか、ただできるだけそういうふうにしようというお考えであるか。はっきりした、必ずそれを反映せしめる考えであるという御決意を承わらなければ私は安心で巻ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/9
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010・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 先ほども申し上げました通りに、その意思は反映せしめたいと思っております。またそれが正しいことと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/10
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011・海野三朗
○海野三朗君 大臣の御所見は、反映せしめたいという御希望だけでありまして、それでは私は非常に心細いのでありまして、学者の立場から私は申し上げるのであって、この点をはっきりしていただかなければ、国が莫大なる国費を投じてやりましても、その効果が十分期待できないと私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/11
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012・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) 学者の意見が反映するように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/12
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013・海野三朗
○海野三朗君 国務大臣はこの科学については非常な御卓見をお持ちになっていらっしゃる方であると考えておりまするから、私は非常なる期待を持って今伺っておるわけでありますが、できるだけその趣意に沿うようにするというお考えでは、私はちょっと困るのでありますが、研究者の自治性を生かしてやろうという点については、自信をお持ちになって大臣はおっしゃっておるのでございますか。ただおざなりの御答弁ではないのでございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/13
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014・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) もちろんおざなりでは申し上げません。そういうふうに真から努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/14
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015・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/15
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016・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 速記をつけて下さい。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/16
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017・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認めます。
これより日本原子力研究所法案、原子燃料公社法案、及び核原料物質開発促進臨時措置法案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/17
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018・海野三朗
○海野三朗君 この三法案はまことに時宜に適した、むしろおそいぐらいに考えられまする重要なる法案であると思います。この法案を読んで見ますると、原子力に関してしろうとである政府の役人の作った政策が、専門家である学者の研究を拘束できるように作られておるのであります。これでは第一線で研究に当る科学者の意見が原子力政策の立案に全く反映されないようになっておりまするから、この法案通りに参りますというと効果が上らないのであります。
で、この点について私はここに付帯決議を付して、そうしてこの三法案に賛成の意を表したいと思います。この付帯決議案をただいま読んでみます。
付帯決議
政府は、日本原子力研究所の運営に当っては、原子力基本法の精神に基づき、民主的運営がなされるよう指導監督し、特に研究者の自治性と研究の自由がそこなわれないよう留意するとともに、その研究が十分原子力委員会に反映するよう万全を期すること。
以上付帯決議であります。この付帯決議を付して本法案に賛成の意を表するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/18
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019・白川一雄
○白川一雄君 私は自由民主党を代表いたしまして、三点を述べて賛成の討論といたしたいと思います。
高度の科学を基礎にいたした革命的なものでありまして、これを発展さすためには多額の国費を要するものでありまするので、お祭り騒ぎに時間のむだと経費のむだをするということは、この進歩を非常におくらし、ある場合には阻止するというようなことになるおそれがあると思いますので、その点につきましては十分慎重なる御指導を願いたいと思います。
次には、研究の自由を尊重するとともに、この運営に当りましては、一たん発足したもの、すなわち国会で計画を立て組織を立てて発足したものの運営につきましては、極力政治力の支配下から離して、政治の渦中にこの原子力というものを入れないようにという点を十分御考慮を願わなければならぬということは、今日までの現状を見ましても非常に強く痛感する次第でございますが、同時にまたこの研究の結果を応用するということとの間の調整につきましては、格段の御考慮を願いたいと思うのでございます。
次の一点は、この法案の内容を見ますと、民間の出資というものはほとんど寄付行為同様でありますにかかわらず、その出資の限度を設けてこれを制限するとか、あるいはまた発言権、議決権も与えないというように、民間の参加というものに対してきわめて消極的であるように見えるのでございますが、乏しい国の資本で新しい原子力の目的を達成せしめるためには、挙国一致の連帯責任体制をもっていかなければ、この目的をよく達成することはできないのではないか、こういうように考えます。つきましては、虚心たんかいに積極的に民間に強く呼びかけて、衆知を集めていく、いたずらに財界等の参加に疑心暗鬼を持ってその参加を阻止するというようなことは、日本の経済力の実力から見ましても、この進歩をおくらすことであるというように思いますので、この点につきましては、積極的な御処置が今後望ましいということを申し上げたいのでございます。
以上申し上げまして、海野議員の提案の付帯決議にも賛成申し上げて、本法案に賛成する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/19
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020・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/20
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021・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。日本原子力研究所法案、原子燃料公社法案、及び核原料物質開発促進臨時措置法案を一括して問題に供します。
右三法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/21
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022・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 全会一致でございます。よって右三法案は全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/22
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023・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、三法案を可とされた方は、順次御署名を願います。
多数意見者署名
西川彌平治 白川 一雄
佐藤清一郎 古池 信三
川村 松助 中川 以良
深水 六郎 横川 信夫
苫米地義三 海野 三朗
上林 忠次 豊田 雅孝発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/23
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024・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 次に、討論中に述べられました海野三朗君提出の付帯決議案を議題といたします。
海野三朗君提出の、日本原子力研究所法案に対する付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/24
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025・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 全会一致であります。よって海野三朗君提出の日本原子力研究所法案に対する付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
この際、正力国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。正力国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/25
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026・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいま原子力に関する三法案とも全会一致をもって御賛成下さいましたことを心から御礼申し上げます。なお海野委員からの付帯決議についてもできるだけ尊重いたします。ありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/26
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027・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) お諮りいたします。百貨店法案について参考人の出席を求め、意見を聞くことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/27
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028・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお参考人の人選及び出席を求める日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/28
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029・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/29
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030・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/30
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031・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/31
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032・海野三朗
○海野三朗君 私は政務次官並びに政府当局にお伺いしたいことは、昨今鋳物の問題、鋳物銑が非常に少いのです。需要者の二割ないし三割、多いところで四割しか与えてありませんから、みな手をあげています。その需要先は何であるかと申しますと、非常に需要先が多いのです。この鋳物は急ピッチでもってこのごろ研究が上昇しておりますので、何でもかんでも皆鋳物を使うようになってきております。それだのに、国内の鋳物は約三割程度きり業者に与えられませんので、業者はみな手をあげている。大きい業者も小さい業者も注文があるけれども仕事ができない、こういう状態になっておりますし、外国から購入できるかというと、容易はことでは外国から購入できない。こういう状態は通産行政としては私ははなはだ不手ぎわなことでありまして、鋳物銑の上昇する状況というものは、世界各国の現状をみればすぐわかる。日本が必ずこういうときがくるということはわかっていそうなものでありますのに、通産省としましては、そういう方面について今現在即刻どういう手を打たんとしているのか、また将来の日本としての鋳物銑についての需要供給をどういうふうにやっていかれるというのか、これを一つお伺いしたい。どうかこの御答弁については、いろいろ当局の専門家の御調査がなければならないと思いますから、御答弁は次回にお願いをいたしまして、私はこの御質問を申し上げておきたい。今非常に困っているのです。現況が、業界が。もう青菜に塩ですよ。どうぞお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/32
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033・川野芳滿
○政府委員(川野芳滿君) よく調査いたしまして、後日御答弁させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/33
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034・三輪貞治
○委員長(三輪貞治君) 本日の委員会は、これをもって散会いたします。
午前十一時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02719560428/34
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