1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月二日(水曜日)
午前十一時三十七分開会
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委員の異動
四月三十日委員川村松助君、佐藤清一
郎君及び横川信夫君辞任につき、その
補欠として高橋衛君、小野義夫君及
び木村守江君を議長において指名し
た。
五月一日委員木村守江君辞任につき、
その補欠として笹森順造君を議長にお
いて指名した。
同日委員豊田雅孝君辞任した。
本日委員竹中勝男君辞任につき、その
補欠として藤田進君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
理事
西川彌平治君
白川 一雄君
河野 謙三君
委員
古池 信三君
高橋 衛君
苫米地義三君
中川 以良君
上條 愛一君
藤田 進君
上林 忠次君
政府委員
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業省企業
局長 徳永 久次君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
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本日の会議に付した案件
○百貨店法案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/0
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001・白川一雄
○理事(白川一雄君) ただいまから委員会を開きます。
まず委員の異動を申し上げます。四月三十日川村松助君、佐藤清一郎君及び横川信夫君が辞任され、その補欠として高橋衛君、小野義夫君及び木村守江君が指名されました。五月一日木村守江君が辞任され、その補欠として笹森順造君が指名されました。なお豊田雅孝君が五月一日に辞任されました。五月二日竹中勝男君が辞任され、その補欠として藤田進君が指名されました。
以上報告いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/1
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002・白川一雄
○理事(白川一雄君) これより百貨店法案を議題といたします。質疑のある方はお願いいたします。
ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/2
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003・白川一雄
○理事(白川一雄君) 速記を初めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/3
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004・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) この百貨店法案は、衆議院におきまして慎重に審議いたしまして、いろいろな角度から御議論がございましたのですが、結局一部の若干の修正と、それから付帯決議がつけられまして、衆議院を通過させていただいたわけでございます。その審議の概要を御参考までに御披露申し上げたいと思います。
一番大きな問題は、御承知のようにこの百貨店法につきましては、政府側の提案のほかに社会党からも提案がなされて、同じ題名の法案の提案がなされておりましたが、内容におきまして若干の違いがあったわけでありますが、それはあとで詳細申し上げますけれども、最終段階におきましては、社会党案が撤回されまして、政府案が一部修正の上可決されたという経過をたどったわけであります。そこで、社会党案との関連もございまして、いろいろ御審議ありました中で、一つは社会党案がそういう骨子になっておったのでございますが、百貨店業者の営業行為につきまして、社会党案では、百貨店に対する納入業者に対する百貨店側の行為というものを二、三の項目をあげまして、具体的に許可制にするというふうに仕組まれましたのですが、その点は政府案におきましては直接は触れておりません。その点はどういうわけだという御議論が出ましたわけであります。これは私どもの考えといたしましては、御承知のように、百貨店の常業活動につきまして、納入業者の関係といいますものは、現在不公正競争の取締り法といたしまして、独禁法によりまして不公正な行為として明らかに禁止され、それにより具体的に独禁法によりまする特殊性が発動されまして取締られておることでございまして、それをたまたま百貨店法ができるから、百貨店に関する問題であるからといって百貨店法の中に織り込むということは、法律の重複でもございまするし、適当ではないのではないかというふうに私ども考えまして、政府案はその点を織り込んでないわけでございます。で、そこのところは結局趣旨は了解はしていただいたわけでございまするけれども、衆議院におきまして、付帯決議におきまして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定による不公正競争の取締りを千分に活用して、この法律と両々相待って遺憾なきようにせよという趣旨の付帯決議ができました。これがまあ一つの大きな問題であるわけでございます。
それからいま一つ、社会党案の中にありまして、修正には織り込まれなかったわけでございまするが、付帯決議の中である程度社会党案の精神が生かされましたものは、百貨店を新増設いたします場合に、国なり地方公共団体、あるいは公共企業体の使用いたしまする土地または施設を利用して百貨店を営むということを、社会党案ではこれを許可制にいたしてございましたわけでございますが、これにつきましては、この付帯決議におきまして、その種のことは原則として許可しないように、ただし地方都市等におきまして、中小商業者に、小売業者に与える影響が少い場合はこの限りではない、こういうことで、政府は慎重にやれという付帯決議がつけられまして、社会党案の骨子の一部が生かされたというような経過をたどったわけでございます。
それから、この修正可決されました修正点でございますが、修正点として出ましたものは実は事項は二つございます。その一つの事項と申しまするのは、本法の第五条の中に百貨店の新設拡張等につきまして許可制になっておりまするが、それの運用につきましては、通産大臣は百貨店の審議会の意見を聞くということになっておりまして、その審議会は意見を定めようとするときには問題の場所を管区にしておりまする商工会議所の意見を聞かなければならないというふうに政府案で規定いたしてございましたわけであります。そこが修正されまして、商工会議所の意見に加えまして、「並びに通商産業省令で定めるところにより申出をした利害関係のある事業者又はその団体及び参考人の意見」というふうに加えられまして、結局商工会議所の意見を聞くばかりでなしに、利害関係人、あるいはその団体、それから参考人というように、広くいろいろな人の意見を聞くというふうに修正されましたわけであります。この点私ども、実際運用上としましては当然聞くつもりでもおりましたわけでありますけれども、法律は義務的に書いてありまするので、聞かなければならぬとしますと、利害関係人とか、団体とか、参考人とかとなりますと、法律で義務づけるとしますと、対象がはっきりいたしておりませんと書きにくいものですから、その点で書き得なかったような事情でございましたが、まあ修正案によりまして、「通商産業省令で定めるところにより申出をした」としておけば、だれでもかれでも聞けというわけではなしに、聞く相手というものは確定するからできるじゃないかというようなわけで、そういう修正がなされましたのであります。省令でどういうふうに定めますか、若干の技術上の問題はあろうかと思いますが、まあ衆議院の修正の御趣旨のあるところは、法文修正によりまして明文上生かされたということになろうかと考えます。まあ私どももこういうことをしないつもりではなかったわけでございまするけれども、法文上は出ていなかった。それが修正案によりまして法文上も出るようになった。その点は確かにプラスであろうかと考えるわけであります。
それからもう一点修正がなされました点は、罰則の規定でございますが、百貨店の無免許営業につきまして、政府原案によりますれば、「六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」というふうになっておったわけでありまするが、百貨店法の取締りの本法の内容にかんがみまして、懲役までするのは少しひどいじゃないかと、罰金刑があるだけでたくさんじゃないかというようなことで、原案を「百万円以下の罰金に処する」というふうに修正をされましたわけでございます。この点私どももまあいろいろな罰則のところのバランスも考えて作ったつもりではあったわけでありますが、衆議院の御修正の方が確かに問題の性質から見まして妥当ではなかろうかというふうに私ども考えております次第でございます。
そのほか審議の途中におきまして、百貨店法の制定そのものが憲法違反ではないかというような御議論とか、その他いろいろな角度からの御議論もありましたわけでございますが、結局衆議院におきまして慎重御審議いただきました結果、一部修正、それから二、三項目の付帯決議ということで可決されました。参議院でも早く御審議をお願いして、なるべく早く本法を施行するように今激励を受けております次第でございます。審議の概要を御参考までに申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/4
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005・白川一雄
○理事(白川一雄君) 質議のある方はどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/5
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006・河野謙三
○河野謙三君 ちょっと私伺いたいのですが、この前も申し上げたのですが、百貨店というのがこれだけ繁栄したのは、やはり消費者大衆に愛されたことだと思うのですよ。だから単純に消費者本位にものを考えれば、この法律というものは消費者から必ずしも私は歓迎されないと思う。現在の実情から見ましても、たとえば中小企業者であっても、自分が商売している品物だけは百貨店へは行きませんけれども、たとえば呉服屋さんという中小企業は、呉服以外の自分の日常消費品目に対しては、百貨店に買いに行っているというのが僕は実情だと思うのですよ。だから、しかしさればといって、中小企業が圧迫されるままに百貨店の繁栄というものを手ばなしに見ているというのは一つの大きな社会問題ですから、こういう法案をやるのは私は理由があると思うのですけれどもね。そこで伺いたいのは、今後百貨店をこういうような法律によって規制する結果、今後われわれが考えられるのは、東京駅の名店街のような形で、ああいう形のものが私は非常に各所にできて、これも非常な中小企業の圧迫になりはしないかと思うのですが、そういうことに対しては何か将来お考えになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/6
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007・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) この小売商問題というものは、実はお話のように問題は非常に広いものだと思います。それから確かに百貨店が消費者の便益に非常になっておる面もあるわけでございます。ただこの法律が出ました趣旨といいますのは、今お話がございましたように、百貨店の企業活動というものは、確かに消費者に非常に便宜も与えておるというものの、日本の中小企業者の大きな社会層といいますか——というものの現実と、それから百貨店の最近におきまする急速な新設、拡張、これが全体の国民生活水準等が上るに応じて伸びるならいいが、そうでなしに、いたずらに百貨店相互間の競争というものから出ておるということから、ある程度の規制が必要であろうというようなところから生れたということでございます。しかしお話のように、こういう法律がかりに通り、施行されたといたしましても、これによりまして小売商問題はあるいは解決されないと思います。まだまだ問題は残っておりますし、実はさような問題の性質からかんがみまして、通産省におきましては、昨年の夏から合理化審議会の中に商業部会というものを設けまして、この小売商問題を今後問題点をどこにおくか、それにはどういう対策を考えたらいいかというようなことをいろいろ研究いたしておりまするが、実は今御提案申し上げました百貨居法案も、そこの数カ月かかりました審議の結論のおおむねその線に沿いまして、立案、御提案申し上げたようなわけでございます。ただいまその審議会におきましては、次の問題といたしまして、今審議をいたしておりまするのは、消費生活協同組合という問題、これがやはりいろいろの分野に、消費生活運動というものがそれ自身の合理的な、またいわゆる目的もあるわけでございまするけれども、ところによりましていき過ぎになっておる面もございまするし、それからこの点で小売商と不当な摩擦を生じておるというような面もございまして、そういうものをどう調整したらいいだろうかというような問題を実は議論いたしておりますのですが、そのほか、その次に問題になろうかと考えておりますのは、小売商自身の何と申しまするか、まあ商業組合と言いますか、商業組合法的な小売商自身の合理化のための組織化をどう考えるべきであるかというような問題、これも小売商側からいろいろな実は御注文もございまして、消費生協の問題がある種の結論が出ました場合には、次の問題として御議論をお願いしようかと考えておるようなわけでございます。まだいろいろあるわけでございます。
今御指摘ございましたこの名店街的なものにつきましては、実は審議会ではまだ議論の対象にはされておらないわけであります。ただいろいろな関連した小売商問題の議論の中に、小売商の繁栄の方式として、何と申しまするか、一つの専門店化運動と言いますか——というようなものがあります。これがやはり小売商の消費者に愛せられるあり方の非常に有力な方式として、むしろそういう角度から議論が出ておりますが、ただ東京駅等におきまする名店街と言いますのは、その線とは若干ニュアンスが違っておりまして、小売商が専門店化して、そしてそれが専門店的な、連鎖店と言いますか、ある地域にそれぞれ専門店がより集まっているという形、と言うよりも東京駅の名店街と言いますのは、まあ大メーカーの小売部分という面の要素を持っておりまするし、専門店的な要素と実は混じたような形になっておりますので、そこにいわゆる小売商側が今後の運動方針として考えておりまする専門店化運動と、少しニュアンスの違った現実の姿を出していようかとは思いますが、しかしああいう営業のあり方というものが、専門店化運動をある意味ではますます刺激すると覆いますか、激励すると言いますか、あの中に多少大メーカーの小売店も入っておりますものの、専門店が集合した形でお客を誘引し、お客から好まれ、むしろ百貨店よりも専門店でありますだけに、サービスもいき届く、それから品物の選定もいき届くと言いますか——というような点もございまして、まあ要するに名店街的の形を一がいに悪いとも言えない。あの種のことが小売商の力によってできれば、むしろ望ましいというふうに考えるべきではなかろうかというような気もいたしておりますが、もう先ほども申し上げましたように、小売商問題は非常にむずかしい問題でございまして、私どもも審議会にいろいろな学識経験者、それから関係業者等もお集まり願って、熱心に御討議願っておりまするので、その成果によりまして、省全体の次々の具体的な施策というものを、審議会の御結論も参照しながら、少しづつ一歩々々前進した手を打っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/7
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008・河野謙三
○河野謙三君 私は商売感覚がないのですが、ただ、今お尋ねしたようなことを深く考えましたことは、具体的に徳永さん御承知かもしらぬけれども、横浜の裏駅に相模鉄道が、最近まだ開業して一カ月ですけれども、数億の金をかけて名店街を作ったのですよ。そうすると 莫大な権利金が要りますから、結局名店街に進出するといったところで、相模鉄道自体は、地元の横浜並びに神奈川県下の有力な商人にそこに店を出させるつもりであったところが、権利金が非常に高いし、地元の狭い神楽川県の名店と称せられる程度の人ではとても進出ができないので、結果的にはいわゆる東京駅にあるような東京一流の商人がそこへ進出して、要するに東京駅の名店街の出店みたいな形のものが横浜にできたわけです。これがまた、われわれが想像もしなかったように非常な大繁盛をしておるわけなんです。こういうことが静岡にもでき名古屋にもでき、各県各地に、府県の中枢な個所にそういうものができてきますと、これはまた新しい一つの中小企業の圧迫の問題になってくると私は思うのです。こういうことは、一体今後その傾向に対しては放任されるのか、それともこういうものがやはり百貨店の規制と同じように、大きく中小企業を圧迫するのであるから、これについても今から備えておこうとおっしゃるのか、私は実は横浜の名店街の問題から非常に意外に思っておるのですが、こういう問題どうなんです。名店街といっても、それは地方の名店街ならいいけれども、結局東京、横浜の名店街が全国的に根を張るというようなことが、どうも横浜の場合と思い合せて将来考えられるのですが、これなどはむしろ百貨店より以上に、考えようによっては中小企業の圧迫になると思うのですが、こういう御議論はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/8
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009・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 実は先ほど申しましたように、商業部会でまだそういう問題全然問題になっておりませんわけでありまして、ただ私の感じだけで申し上げて恐縮でございますけれども、小売商問題というのは、ある意味では非常に最も自由な世界であろうかと思うわけであります。小売商を分析してみますと、今お話しのように、小売商といえども百貨店的ではないが、専門店で非常に大きな店があることは御承知の通りでございますけれども、しかし、同時に、小売商問題はやはりある程度の地方的色彩といいますか、というものがやはり地域的なものであるという要素が相当強うございます。東京でノリといえば山本といいましても、日本じゅうノリは山本というようなことにはならないというような性格、これも今後の交通なり文化なりの発達の状況で、多少の変化は出るかと思いますが、この意味では国民経済全体的にみました場合に、やはり局部的だということは言い得るのじゃないかというような気もするのであります。確かにお話のように、今横浜の名店街の現実はよく存じませんけれども、今先生のおっしゃったような事情かと思いまするが、横浜もあの駅周辺の小売店が出なかったという点はあろうかと思いまするけれども、しかし、横浜というものをもうちょっとゆとりをもって考えますれば、横浜という場所全体も、これを法律が出ておりますように、首都圏といいますか、首都圏的な範囲の中の一部といいますか、というようなものでございまして、その中の業者が百貨店ほど大きくはないが、しかし、専門店としては大きな、有力な業者がますます伸びるということになっておる現象、従いまして、その反射的にみますれば、いわゆる零細な小売商というものは依然として取り残されておるということは、お話しのように言えようかと思うわけでございますけれども、さりとて、その影響からみまして、全国民経済的に法律の規制対象にするというふうに考えるべきものなりやいなやとなりますると、もとより小売商活動の地域的性格の限界といいますか、というような点から、そこまで考えるのは少し行き過ぎではなかろうか、商業問題というものは、ある意味ではそういうところの自由というものはあってもいいというふうに言えるのではなかろうかというふうに、実は私はそんな感じがいたしますわけであります。しかし、確かにそれが小売商内部におきまする小売商間の巨大な専門店といいますか、というものがますます伸びる一つの問題を示唆したことになっておりますわけであります。私ども先生のサゼスチョンというものを次の商業部会の、先ほどいいますように、商業部会はいろいろな問題をかかえておりまするけれども、目ぼしい問題の片づきましたあとででもその問題を、委員さん方私どもより商業問題に詳しい専門のいろいろな人がお集まりでございますので、そういうところを専門家がどう判断なさいますか、一度ディスカッションをしていただきたい、それに値する問題ではなかろうかというような気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/9
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010・河野謙三
○河野謙三君 私も将来の中小企業をどうしていいかということについてはわからぬのですが、ただ、今の横浜の問題を繰り返し具体的に申し上げますと、横浜に相模鉄道の名店街ができたことによって、これはいずれも東京の商人です。これはより具体的に申しますと、横浜の伊勢佐木町の商人が東京の商人に食われたということなんです。こういうことがはっきり言えるわけなんです。これが単に横浜だけの問題ではなくて、こういう傾向が今後ますます激しくなりますと、特にデパートの規制等がされますと、デパート等が別動隊でそういうふうなものを一つのビルを建てて、そこへ今度はいろいろな一流の商人を入れる、そうして内容的にはデパートと同じような経営をやるというようなことになるような私は気がするのです。これは私はもう消費者がそういうものを好むのですから、その場合に、一方においては消費組合の方から圧力を受ける、一方においてはデパートもしくは名店街から圧力を受ける。その間に入った中小企業というものは一体どうなるのだということを考えますと、私は対策なしだと思うのですけれども、しかし、政治家として対策なしなんというそういう無責任なことは言えないのですけれども、しかしわれわれの経験なり知識では、どうしていいかわからないのですが、そこらのところをこの法案の審議の過程において、何かこの次の段階は中小企業にはこういう手を打つという、最終的には中小企業をここまでもってゆくのだという、おぼろげながらでも何かお話しが願えると、大へんけっこうだと思っておるのですがね。もう亡びゆくものの姿だと思うのです、この中小企業というものは。大衆をそんなに極度に犠牲にしてまで中小企業を守るということも限度がありますので、一体どうしたらいいのです。どういうことをお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/10
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011・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 中小企業の長官もきておりませんのでございますけれども、実は衆議院でも委員会の問題に出まして、うちの大臣からもいろいろと申し上げておりましたけれども、今、先ほどもちょっと商業部会での審議のテーマをかいつまんで申し上げましたが、結局小売商問題につきまして、百貨店活動のような外からのあおりをある程度防ぐということばかりでは解決しないわけなのです。小売商それ自身が消費者に好まれるようなあり方にどうやって持っていくかということが最終的なまあ解決ということになろうと思うのですが、それを役所の政策のラインに乗せ得るものと乗せ得ないものといろいろありますわけで、小売商それ自身がいろいろな合理化していく、あるいは店舗を改造していくとか、サービスをよくしていくとかいうようなこと、これは政府が考えればそういう店舗の改造のような資金を幾らかめんどうをみるというようなことしか政策の点では考えられません。それ以上のことになりますと、政策のテーマに乗りそうなのは共同施設といいますか、内部でやりますことの世話、共同仕入れをどうやってやるかとか、それから過当な競争をどうやってやめるか、こういう問題になりますれば、組織化の問題として片づくといいますか、片づく道があるのではなかろうかというような気がいたしております。現在協同組合法がございますのですが、それだけでは不十分なところがあるのじゃなかろうか、この問題をもう一歩強い組織化を考えるとしたらどういうことを考えたらいいかということ、これはまあ政府のお手伝いする政策のテーマになり得るのではないかというような気がいたしております。
それからこの専門店化運動となりますと、この問題になりますれば、たしかに小売商の消費者に喜ばれ、また小売商のほんとうの実力を出していく、場合によっては百貨店も及ばないだけの力を出していく道ではなかろうかと思うわけでありますけれども、この点になりますると、なかなか政策には乗りにくい、小売商内部のまあ努力といいますか、というような気がいたすわけですが、もっともこれは小売商側でも専門店化運動を推進する実は団体もできてきまして、この種のいろいろなテーマの宣伝の機関ということは、努力というものは相当なされておりますわけでありますが、ただこの点は政府の政策としてはなかなか乗りにくいところの一つの悩みがある。ただこの中央官庁ではなかなか手が届きませんが、地方官庁ではある程度、まあことに戦災復興、戦災都市の復興の際におきましては、地方都市あるいは県の世話、市の世話等である地域を専門店に——先ほどお話がありました横浜の例は、電鉄会社が施設を提供した形でございますけれども、ある地方では似たような商店向きの家を建ててやって、それで二階が店の小売商側の住居として、一階の方が商店街的になるごときものを作りまして、そこに各人それぞれ専門店化もいたしてというような形でやりまして、それが集合した場所になっておりますものですから、この百貨店の持つ以上のいい持ち味を出して、あれしているというところもあるようでございますけれども、そういう点になりますと、これはまあ中央官庁ではなかなかそういうしゃれた手は打ちにくいわけでございますけれども、地方の県とかあるいは市の仕事、商工会議所等の世話、こういう形でしか解決がないことになると思います。私ども中央官庁の法律制度とか、金融制度とか、いろいろな施設を創立以来援助的な、しかもまた、それは全国を対象にするということになりますと、やりますことがおのずから限界があって、何もかもできないという悩みは私ども実は感じておりますわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/11
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012・白川一雄
○理事(白川一雄君) 河野委員の質問に関連してお尋ねいたしますが、われわれもいつもこの中小企業者に対するのが、果してどういう方法が適格なものであるというようなことはわからないのでございますが、同時にまた政府のいろいろ中小の業者に対する保護的施策の跡を見ましても、全く系統が立たないで、そのつどそのつど思わせぶりのような、宣伝の具にするのじゃないかとさえ思われるようなことを繰り返しておるようにさえ思うことが多いのでございますが、まあ、金融の面から見ましても、また百貨店等との関係等から見ましても、総合的に中小企業をどういうように持っていくのだ、また大企業との関係をどうするのだという一応の見通しを立てた基本的なものを示されませんと、もうわれわれもそのつど判断に苦しむことが多いのでございますが、同時にまた中小企業者にしましても、中小企業者ばかりを考えて、日本の国の経済全体のオルガニゼーションをこわすわけにはいかないのでありますけれども、はっきりした方針というものが見えれば、中小企業者自身みずから方向転換もしましょうし、いろいろ自分の将来というものを考えて施策をすると思うのでございますが、現在の中小企業者に対する政府の諸施策を見ておりますと、中小企業者自体もどうしていいのか迷うて、その日その日をぬるま湯に入ったような格好で過しておるというのが現在の実情ではないかというように常に考えさせられるのでございますが、もっと当局において根本的な、陳情政治によるのじゃなく、もう基本的な確乎たる方針というものが一日も早く出てほしいというようなことを平素考えているので、今河野委員の申されたことと私大体同一に考えておるわけなんでございます。
まあ、それにつきまして、この法案で一、二の点お伺いいたしたいと思うのでございますが、九条でございますが、大体法律というものを作れば、迷わずにはっきりするような、出た限りは必ず守るというようなことでなければいかぬと思いますが、私どもこの九条を見て、出張販売とか顧客の送迎というような「中小商業の事業活動に影響を及ぼすおそれがある場合」、これはおそれのあるのはわかっているので、いなかの方で、あるいは三越だとか大丸だとかいうようなのが出張して販売すれば、その辺の購買力をかっさらって行ってしまって、わずかなかすを地方の中小企業者がつかむということになるので、なぜこの法律は許さぬというような格好にならないものか、ただ影響を及ぼすおそれのある場合というような、非常に実施困難というような法律の書き方になるのかがわからぬのでございますが、この点を一点お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/12
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013・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) これは第九条を確かにすらっとお読み下さいますと、そういう印象を持たれますのはごもっともだと思うのでございます。ただこういう実態的な背景があるということをお考えいただきたいのであります。と申しますのは、百貨店の活動につきましては、御承知のように戦前からこれは問題でございまして、戦前におきまして百貨店法というものがございました。その際にやはり戦前におきましても対小売商との、中小の小売商との摩擦の問題がございまして、それは現行と多少骨組みも違っておりましたけれども、百貨店組合みたいなものができておりまして、そこがほどほどにして、していいこととして悪いことというものを整理し、協定をいたしておりました。そのなごりがずっと残っておりまして、戦前には百貨店の出張販売も一部ございましたし、それから顧客の送迎も実はありましたのですが、それがそういうことがなくなりまして、戦後におきましては、こういうことは実はなされておりませんわけであります。しかしそれが変なことが起りましたら困るという、ある程度百貨店業者、日本の中小小売商問題の社会的なめんどうさ、また日本における重要さ、百貨店は百貨店として小売商を追いつめない形でほどほどに商売の仕組も考えなきゃならぬということは、百貨店もある程度承知いたしておりますようなわけでございますので、そこら辺のところで戦前にもあったケースであり、今後もあれば問題になるということはありますが、今現にやっておるこういうこと、それは行き過ぎになることであるというふうにあげるものは、すぐには実はないといいますか、というような状況でございますので、しかし法律ができて禁止することと禁止しない事項ということが、新設拡張は許可制になったというようなことになりますると、今度は法律がまた逆の作用をもちまして、今までは自由な世界——何もないが、ほどほどに良識をもって措置しておった。ところが法律が何かできたと、法律に書いてないものは勝手だというふうな印象も出るおそれがあります。さようなところで、現実にはございませんけれども、あり得る。あり得ることにつきまして、ある程度の押えるという余地、それも現実にしようとしていないものですから禁止事項と書くのは少し行き過ぎであろうというようなこと、さような状況の中でこういう割合ある意味ではゆるい書き方になっております。変なことがありましたら通産大臣に勧告をして取り上げなさいということにしますよ、またどんな勧告をしたかということは天下に公表しますよという、そういうかまえがあるだけで、あとは大部分のケースは百貨店側の良識をもって自制されるんじゃなかろうかというふうに考えまして、このようにある意味では今委員長からお話のありました、法律としては物足らぬじゃないかというような印象を持つかと思いますけれども、問題の性質自体がそういう背景でございますので、こういうあり方の方が最も適当ではなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/13
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014・白川一雄
○理事(白川一雄君) 局長の言われることはよくわかるんでございますけれども、今回のこの百貨店法を実施しようというのは、百貨店の非常な膨張していくのをある程度制約を加えようという御趣旨であり、また増築等もこれを押えていこうという精神もこの法案の中に入っておるといたしますれば、地方まで百貨店が出て行って販売するというようなことを押えることは一向私差しつかえないことで、まずおのおのの本拠で営業する範囲でとどめさすのが適正じゃないかという点から考えますと、そういうようないろいろな顧慮の点はありましょうけれども、この法文の書き方というものは、何だかわれわれにはわからぬというような感じを受ける点があるということを申し上げておきたいと思うのでございます。
それから次にお尋ねいたしたいのは、現在増設建築中の途中にこの法律の効果が発揮するということになりましたときには、その建物の処置というものはどういうような取扱いになるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/14
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015・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 経過措置をどうするかといいます問題、非常にむずかしい問題でございますが、この法律では経過規定の第三条の中に、非常に先ほどの委員長のお叱りを受けました点から見ますると、あいまいじゃないかというお叱りを受けるかと思いますが、第三条にこういう書き方をいたしております。現に建築している人は三週間以内に許可申請をして、その際それがありました場合に、通産大臣としてはその工事中のものにつきましては、中小商業者の事業活動に及ぼす影響と、それから法律施行の際の工事の施行の程度を考慮してみて、許可するか許可しないかということをきめるという、まあ非常に抽象的な書き方をいたしておりますが、これも法律に書きます際にいろいろのことを考えてみましたわけでございます。具体的にここまではよろしい、ここまではいかぬということがなかなか実は書き得なかったわけであります。二、三の例を申し上げますると、戦前では戦後のようにいわゆる百貨店向きになりそうなビル建築もそうなかったわけでございますので、問題は簡単であろうかと思うのですが、具体的の例を申し上げますると、ある種の大きなビル、それをまあ今米軍が使用しておるというような建物がございますが、それが空いたらすぐそれを自分に使わしてもらいたいというような契約をしております人も実はございます。こういうのを法律に書くというときにどう書きますかいう問題もございます。それからある場所に百貨店としてではなしに、普通のビル建築をするということで建築が実はなされておりまして、そのビル建築を百貨店に模様変えするとしますると、これもまあそうむずかしくなくできる面もございまするし、さようなことで非常にこう鉄骨が組んであれば、当然許可するといいますか、社会常識的には鉄骨まで組み上げたもの、これは百貨店と認めないというふうにはいかぬと思いますし、問題がそれだけならそういうふうに書けるわけでありますが、そうも書き得ないいろいろなケースもございますものですから、非常に漠然とございまするが、普通の新設拡張の許可は中小商業者に悪影響があったら認めませんということなんですけれども、経過途中の問題については、工事中のものは工事の程度を見ていわゆる常識的にきめるよりほかに仕方がありませんと、その程度のことを考慮するのですということが、考慮しなければならぬということが法律条件に入れてあるということで実は済ましているので、あまりに事態が複雑なものですから、さようなことに相なっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/15
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016・白川一雄
○理事(白川一雄君) 御承知の通り、百貨店が増築、建築し始めたのは、超スピードでやりかけたのは最近のことでございまして、前々国会に百貨店法というものが審議未了になったという事柄等から考えまして、大体こういう内容の百貨店法が早晩出るだろうということを予想さしたわけで、考えようによったら百貨店法が出るぞ出るぞということは、百貨店の増築、建築促進法の格好といった傾向が多分にあると思うのでございますが、こういう法律をやるのだということになれば、まずもって百貨店の増築、建築というのは差しとめておいてからこういう法律を作るべきじゃないか、増築、建築をどんどん野ばなしに今のように進めて、それでこの法律が出ても、すでに百貨店法を作るところの精神というものがある程度殺されてしまっておるというのが現実じゃないかというようにわれわれ考えさせられますが、特にこの増築、建築のその影響及び工事進捗状況を考慮して許可を決定する、実際建てておるのを影響及び工事進捗状況を見て阻止できるかどうかというと、実際問題になったらおそらく例外なく私は皆許可になるという結果がくるだろうとこういうように思うのですが、この辺にやはり法律の作り方というものに非常に権威のない行き方になっていやせんかということを、この法案を見て考えるのでございますが、局長その点においてはどういうようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/16
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017・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 委員長御指摘のように、この法律がむしろ百貨店の店舗新設、拡張を押える法律よりも、百貨店の拡張促進法になっているのじゃないかというお話でございますが、実は私らも結果としまして、さような面もあるような気もいたしておりますが、実はこれは繊維設備の制限の法律がこの国会に出ておりますが、あれにつきましては、御承知のようにあれが出るのだというので昼夜兼行で紡績設備等の新増設が行われておるようなことがあるのでありますが、これは確かにその瞬間々々を考えてみますと、法のねらいと逆になったような社会現象が起っておるわけであります。しかしまあ法律というのはそこまで力がないといいますか、ということでもあり、また同時に法律なしでそういうことを全部押えるということもできませんし、同時にまたわれわれそういうことになって、非常におかしな目的と反したような事態になるとはいういうものの、それは目先的でございまして、少し長い目で見ればやはりそれ相当の大きな利益があるのじゃなかろうか、このことは百貨店法の場合でも同じことであり、紡績設備の制限の場合でも同じであるというようなふうに私たち考え慰めておるというようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/17
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018・上林忠次
○上林忠次君 先ほど河野さんの言い出されたあの問題、これはもうだれしも考えておる問題であると思いますが、自由経済社会の国の百貨店あるいは生活協同組合、こういうような状況はどういう工合になっているのか。まあ日本の小売業者が少し多過ぎるのじゃないか、あるいは小売の利益という方面から考えて、各国の状況と比べて、日本の小売利益がどうなっているかというような点、そういうような各国の状況はどういうことになっているのか。このままでいくのなら、あれよあれよと言っているうちに名店街のようなものが大きくなる。今のデパート以上に名店街みたいなああいう組織がふくらんでくるのじゃないかという感じがするのですが、諸外国の状況ですね。われわれはしろうとで、この小売商をどうしていくのかという問題は全然見当がつきませんけれども、諸外国の状況はどうなっておりますか、百貨店の行き方にしましても、諸外国の例をみますと、通信販売というものを盛んにやっておりまして、日本じゃやっているのか知りませんけれども、さようなところを押えているような規定があるのかないのか知りませんが、まあ自由主義国家の現状というようなものをお調べになっているのなら一応お話し願いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/18
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019・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 諸外国の、いわゆる御配付申し上げるほど組織だった資料がないのでございますが、ただ諸外国におきましても、若干百貨店活動の規制がなされておるということは事実のようであります。同時にまたその背景が非常に違っておりまして、日本の小売商の場合は、まあ極端な表現で申し上げまするならば、日本の人口問題の反映的な社会現象でして、諸外国の場合には小売商間の競争というものが少い、背景というようなものは結局人口問題からくるわけですが、同時にそれほど零細なものが少いというような事情のように聞いておるわけであります。それからもう一つ今お話ししました百貨店の活動については、アメリカ等でも通信販売があります。これは百貨店活動は人件費が非常に商いものですから、百貨店活動が必ずしも伸びないという面をもっております。小売商マージンから申し上げますれば、日本の小売商マージンはアメリカ等に比べればそれほど高くないということだろうと思います。物により一割、二割、三割というふうなマージンがあるとしましても、これは生活程度の高いのは人件費が高いということになるのですから、この面からみまして、日本よりも生活程度の高い各国におきましては、人件費が非常に割高であるというのが百貨店活動の障害になっておりまして、それが反面に通信販売の方がより有利だというような、人件費が節減できるというメリットを持っておりまして、そういう要素はあると思います。それにしましても、これは非常に楽天的な話になって恐縮でございますけれども、よく海外へ戦前旅行され、また戦後旅行された人が、昔自分のおった場所、風景が全然変っていない、店の主人も店員もただ年をとっているだけの違いだということをよく戦前旅行せられたり、また戦後行かれた人からそんな話を聞くわけですが、というのは小売商の分野において社会的に全然変化がない。ということは新しい競争にさらされていないということの証明であろうかと思いますが、その点は日本の人口過剰の背景からきておりまする問題とだいぶ趣きを異にしておるのじゃなかろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/19
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020・上林忠次
○上林忠次君 私前にちょっと外へ出ましたときに、日本の商品と小売商の価格をちょっと比べてみると、相当に向うが高い。このくらいの小売値段の差があるなら、日本の商品は何でも出るのじゃないか、たとえ日本が原料を外国から輸入しながら加工しても、あんな値段で小売が売っているからには何でも出るぞということを、一応小売商の店を見て考えたのですが、原価を調べますと、やはり原価が安い。小売のマージンがそれだけ高いわけです。なぜそう高くとらなければならぬかというと、これは生活程度が違うからということになりますけれども、また反面小売商の数が多いのじゃないかというような気もした。少しを売って食っていかなければならぬ、生活程度が高いというので、ああいうふうに相当ひどいマージンをとらなければいかぬのじゃないか。それなれば日本は小売商の数が人口の割合に少いのかというと、今のお話のように、これは過剰人口を消化するために小売商が多いのだということになってくる。その辺、今御回答を得ましたけれども、このままでいくなら小売店はだんだんなくなっていく、立つ瀬がない、何とか考えなくちゃいかぬ。それには外国の例があるなら、なるべく小売商を発展させるような手を使うておるなら、十分調査をしなくちゃいかぬ。その点を考えていかなければいかぬのじゃないか。日本が特に小売商が多くて、こういうようなデパートあるいは消費組合がどんどん発展しつつある。このままでいくならば、もう小売商は破綻の時代がくるのじゃないか。先ほどそういうようなつもりで諸外国の状況ということをお聞きしたのですが、もっとこまかい御調査はないですか、何とかしなくちゃいかぬといっても、まず諸外国の例を見て、そいつを参考にしたらいい。手がない手がないといってそのままで流されていくというような状態じゃ、通産省もこれではどうも施策がなさすぎるじゃないか。もっと各国の状況ということをすっかり調査してもらい、日本の状況に合うような施策を講じなくちゃいかぬと考えるのですが、先ほどもお聞きしましたような、その程度しか通産省としてはまだ施策の方針についてのいい案もないという状況ですか。もう少しこまかい各国の状況、適用できるなら日本にはこのようなこともできるのじゃないかというような点がありますれば、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/20
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021・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 金持のアメリカにおきましても、御承知のように中小企業の特別な法律もございまして、ある程度いろいろなことはしております。しかし、そのしております中身を具体的に考えてみますると、まあ現在の日本の中小企業庁がいろいろなことをやっております道具立てからみましたら、日本の方がしておるというようなふうに思われるかと思うのであります。ただ道具立ては、よそがやっていそうなことはいろいろとまねてはおりますけれども、これだけで問題が解決しないというところに日本のむずかしさがあるわけであります。私どもはよその道具立ては、まねてよさそうなものは、まねるだけまねるつもりではございますが、日本はやっぱり日本独自の実態に合うたものを考えていかなきゃ、それでも全面的に解決しないかもしれませんが、何か役に立ちそうなものはしなければならぬ、さような段階ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/21
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022・河野謙三
○河野謙三君 今の上林さんの質問に関連するのですが、外国で中小企業の営業許可というか、企業許可等をやっている所ありますか。たとえば、日本で申しますと、ふろ屋の場合は、何町以内には新設は許可しないとかということをやっていますね。要するに需要に応じて企業の許可をしておりますね。こういうようなことをやっている所ありますか、外国で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/22
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023・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 私の承知いたしております限りでは、自由諸国で小売関係に許可制をとっている所はないようであります。ただ、それでありますけれども、所によりまして小売商相互間の組合といいますか、組合によりまする第三者新規加入の抑制といいますか——というようなことがある程度なされておる。これも、法律が背景であるわけではございません。そういうことは若干あるようでございますが、法制的に国家の力で許可制というようなことはないように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/23
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024・河野謙三
○河野謙三君 外国でないとしても、日本ではそういう必要が刻々と迫って来ておるのじゃないですかね。たとえば、私は百貨店の規制を今回の法律においてやりましても、これによって利益を受けるのは中小企業全般じゃなくて、中小企業の中のいわゆるいなかの一流の商店が利益を受けるのであって、いわゆる一番下積みになっておるむしろあなた方が救済しなきゃならぬという対象に考えている業者には、この法律をもってしてもそう大して好影響はないのじゃないかと思うのですよ。
私は具体的に伺いたいのですが、あなたの方でいわゆる中小企業と称されるものは、対象は何十万あるのです、何百万あるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/24
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025・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) いわゆる小売商と言っておりますのは、事業体の数、店舗の数にしますと百六十万、それから従業員の数といたしますと四百万くらいあります。
今河野先生おっしゃった日本の小売商を許可制にというようなこと、これは実は小売商側から許可制にしてくれというような意見もありますわけです。ただ、これもまだ審議会では十分審議を尽しておりませんけれども、日本の小売の実態というものは、御承知のようにいわゆる小売専業者といいますかも相当でございますけれども、同時に家庭の副業といいまするか的に、主人がどこか働きに出る、家庭の主婦がちょっとしたものを店に並べて小づかい銭かせぎにというような、そういう実態も相当ございますわけなんで、既存の小売商の地位の安定確保という意味では許可制は非常の武器として役に立つということは言えようかとも思いまするけれども、日本の社会全体の立場から見て相当慎重考慮を要する深刻な問題じゃないだろうかということで、私どもは小売商の許可制というところには、にわかに賛成しがたいというふうな考えでおりますわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/25
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026・河野謙三
○河野謙三君 私が非常に不可解なことは、百貨店がこれだけ進出して、これを押えなきゃならぬという機会にまで来ておるのですが、一方小売商の業者の数というのは百貨店が進出したそれに逆比例して減って行っておるならいいのですよ。あなたの方の調査でたしか見たと思うのですが、百貨店が進出して逆比例して減って行っておるならいいのですが、小売商が同時にふえておるのですよ。この矛盾を矛盾としてそのままおくということは、これは私は政府としても無責任だと思うのですよ。だからこの百貨店が進出してこれを押える、同時に現在百六十万というものはこれは不当に営業者の数が多い、これもまた同時に何かの一つ規制をして両方立つようにしなければならぬということでなければいかぬと思うのです。小売商の数がふえているでしょう。小売店もふえているでしょう。それから小売商の販売金額、これは非常に統計上出しにくいでしょうけれども、一応まあ無理にでも作った統計によると、小売店の販売金額はふえているでしょう。百貨店が進出しても小売商の販売金額が減っていないですよ。小売商の店舗の数も減っていないですよ。これは一体どういうことか。まあその数字はあとでまたいただけばいいですが、私は問題は百貨店の規制をして、その規制の恩恵というものは小売商に行って、小売商がここで救われるという見通しがこの法律のねらいであるし、そうでなくちゃならぬと思うのですよ。ところが百貨店の規制をしたはいいけれども、小売商は依然としてどんどん軒数がふえて営業者の数がふえて、そうして小売商同士の競争は依然として続く、そして小売商の救済というものは実が上らぬ、何のための百貨店の規制をしたかわからぬ。これは確かに一般消費者から見れば、愛されている百貨店の規制というのは必ずしも歓迎するとはいえませんよ。だけれども国の秩序の点からいって、社会問題として百貨店の規制をして小売商の安定の道をはかる、それがためには消費者も大いに協力するというならいいけれども、同じことを申しますが、今後相変らず百貨店の規制後においても小売商の数がどんどんふえていって、今度は小売商同士の競争というものがだんだん激化して、小売商が相変らず現在のような苦しい状態を繰り返していくのだったら、何のための規制だかわからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/26
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027・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) お話のようにこの対策だけで小売商問題全体は解決しないわけでありますが、ただこの法律では国民の消費購買力と申しますか、国民生活の向上によりまして消費購買力が伸びて参ります。伸びて参りまするが、百貨店がその中である地位を、分野というものを担当しておりますわけで、私どものねらいにいたしておりまするのは、百貨店は一切伸びるなというところまで実はねらいにいたしていないつもりでございます。この日本全体の消費購買力が上っていく、そこにそのテンポとそう狂わない程度でまあやって下さいというぐらいのところにするのがほどほどじゃなかろうかと実は考えております。と申しますのは、現実の許可制にします趣旨は、この数年の状況では国民の消費購買力もある程度伸びることは伸びますけれども、百貨店がやたらにむちゃくちゃな拡張ということでは、結局小売商の分野というものを食い荒していくというのはひどすぎるでしょう、まあそこをほどほどにして下さいと、その効果だけはこの法律によってあり得るのじゃなかろうかということを考えております。ただ、それにしても河野先生の仰せのように、小売店問題を考えて百貨店からの食い荒しの面はある程度防げたとしても、小売店内部の食い荒しといいますか、共食いの事態というものがどうなるのかという点は何ら手を打ってないじゃないかという点は、実はお話の通りに相なりますわけであります。そこが私ども先ほどから申しまする、共食いを防ぐということで許可制なら許可制ということも一つの有力な手段としては考え得ようかとも思いますけれども、日本の人口問題、社会問題から見まして、小売商だけを考えて策をとるということはどうであろうかというようなことなり、消費者全体のことなりというふうなことから、百貨店と小売商間の激しい摩擦の問題、そこに国が乗り出してある程度の線を引くと申しますか、調節をするということは当面必要かもしれないが、それ以上の問題は法制的に許可制にするとかしないとか、そういう形でやるのはもっと深刻な重大な影響のある問題で、にわかにきめがたいというような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/27
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028・河野謙三
○河野謙三君 最後に、これは農村の次三男対策と同じで、農村の次三男対策と中小企業対策というものは、これは私はだれでもないというのが正直のところほんとうだろと思う。しかしないからといってほっておくわけにいかないので、いろいろあれだこれだと意見が出るのだが、農村だって長男以外は次男にも三男にも八反歩の地所を平均に相続させるということになったら、今のただでさえ零細な農業はつぶれるよりほかない。そこで実質上は長男相続にして次三男については町に出てもらうとか、移民に行ってもらうとかいうことでやっておるわけです。政府としては内面指導をしておるわけです。そういうわけで、中小企業だって百六十万の対象中小企業は現に多いのだから、これが百二十万がいいか百万がいいか、まずそこのところを適正な中小企業の数を抑えていただいて、そこからはずれておる数を一体どういうふうにするかということを考えなければならぬ段階だと思う。それが百七十万になっても百八十万になっても成り行きまかせで、これは法制上なかなかむずかしいからほっておくよりしようがないということだったら、私は百貨店の規制というものは大して意義はないと思う。ほんとうに中小企業の救済対策をやるなら、百貨店の規制から始まってその次には中小企業同士の、中小企業内部の何か規制を作らなければ、農村の次三男対策と同じだと思う。これらについては私自身初めから申し上げておるようにわからないのです。あまりむずかしいからわからないのですけれども、そこはわれわれと違ってあなた方の方が専門家だし、しかも頭はいいのだから、一つわれわれにちっと糸口くらいは示してもらわなければ、この法律が通過したってあとどうなるか、中小企業はちっとも明るくならないと思う。さっきちょっとお尋ねした一応あなたの方のお調べがあると思うのですが、過去五年なら五年、もっと詳しくいえば終戦後十年の間に中小企業は建設戸数にしてどのくらいふえている、中小企業の扱い方がどのくらいふえている、百貨店は一体どのくらいふえているというようなことを、ちょっと中小企業と百貨店の営業金額並びに店舗の戸数、これらの進度率を比較対象にして、われわれにわかるように簡単なものでけっこうですからお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/28
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029・白川一雄
○理事(白川一雄君) 速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414461X02819560502/29
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030・白川一雄
○理事(白川一雄君) 速記をお願いします。
本日の委員会はこれで終了いたします。
午後一時二分散会
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