1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十七日(火曜日)
午後二時七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 岡崎 真一君
理事
山本 米治君
岡 三郎君
前田 久吉君
委員
青木 一男君
青柳 秀夫君
木内 四郎君
菊田 七平君
白井 勇君
藤野 繁雄君
平林 剛君
小林 政夫君
土田國太郎君
政府委員
大蔵政務次官 山手 滿男君
大蔵省主計局次
長 宮川新一郎君
大蔵省主計局法
規課長事務代理 中尾 博之君
大蔵省管財局長 正示啓次郎君
通商産業省通商
局長 板垣 修君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
法制局第三部参
事官 荒井 勇君
大蔵省主計局主
計官 上林 英男君
大蔵省為替局総
務課長 佐々木庸一君
通商産業省通商
局農水産課長 日比野健児君
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本日の会議に付した案件
○物品管理法案(内閣提出)
○国の債権の管理等に関する法律案
(内閣提出)
○税理士法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○接収貴金属等の処理に関する法律案
(内閣送付、予備審査)
○理事の辞任及び補欠互選
○補助金等の臨時特例等に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣送
付、予備審査)
○特定物資納付金処理特別会計法案
(内閣送付、予備審査)
○国際金融公社への加盟に伴う措置に
関する法律案(内閣送付、予備審
査)
○本委員会の運営に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/0
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001・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) これより委員会を開きます。
物品管理法案を議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/1
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002・青木一男
○青木一男君 前回、私がこの用語の法律的解釈について質問したのですが、まず法制局の当局から、本法案における取得及び処分ということの用語の意義について、法制局の見解を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/2
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003・荒井勇
○説明員(荒井勇君) ただいま御質問のございました取得または処分という言葉の概念でございますが、一般の法律用語といたしましては、必ずしも所有権の取得ということに限って用いておるわけではございません。
まず第一に取得につきましては、その言葉の語義といたしましては、単に何らかのものを得ると、その支配下に取り込むということを意味するにとどまるというふうに考えます。たとえば民法の第二編の第二章、占有権に関するような規定で、たとえば百八十条におきまして、「占有権ノ取得」という用語があり、あるいは同法の百九十二条、ここに「動産ノ上ニ行使スル権利ヲ取得」というような用例があり、あるいは同法二百八十三条に、「地役権ハ継続且表現ノモノニ限リ時効ニ因リテ之ヲ取得スルコトヲ得」といったような用例は多々ございまして、これは必ずしも所有権の取得ということを直ちに意味するものでございません。この法律案は、国の内部規律といたしましての物品の管理及び国の内部における会計規定としての性質を持つものでありまして、国の財産としての物品の整理または体系化をはかるという意味を持つものでございます。従いまして、この意味におきましては、この法律案における物品の取得という言葉が何を意味するかということは、この法律案の第二条第一項に掲記されておりますような物品として、国が動産を取り込むこと、手のうちに入れることということ、すなわち国の財産形態としての物品に編入するということを意味するものでございまして、特に物品の所有権を得るということにのみ解する必要はありませんが、占有権を取得する、占有権を得るという場合を含むことはもちろん、さらに不動産の従物、不動産は国有財産となっておりますが、その不動産の従物として国有財産に編入するという措置がされている物品、その物品が取りはずされまして、今度は不動産の従物でない性質を持つに至ったという場合には、これは従来から、所有権は国にありますものの、その物品という形態の財産として取得するということになりますので、これはその所有権の取得という概念から離れまして、財産形態としての物品としてその国の支配領域に入ってくるという意味で、物品の取得であるというふうに解されると思います。このことは、同種の不動産会計法規でありますところの国有財産法におきまして、同法の第一条その他に「取得」という用語がございますが、その定義は特に明示はされておりません。しかしながら、その管理の実際を規定する、その同法の施行に伴う命令等におきまして、増減移動とはどういう事由によって起るんだということを規定しました用語の中の、取得による国有財産の増加要因というものの中には、所有権の取得の場合のほかに、物品からの編入、建物の新築、改築、それは国の内部で持っておりますところの、従来から所有権のある材料あるいは国の内部で調達した役務というものを使って建物を新築、改築したというようなことも、物品の取得要因であり、それから移動のできる、不動産の定着物とはなっていない立木竹というものを新たに植栽して、これは不動産の従物となる、土地に対する定着物となるという場合には、それは国有財産として取得するんだと、こういうふうに定義しております。物品につきましても、取得の概念はそのようなものになるかと考えられますので、これは法案を検討いたします際に、取得という言葉につきましても厳密に定義を書いたらどうかということを私どもも検討したところでございますが、多くの法令の用語例というものを調べまして、これはまあ必ずしも定義を書くという必要といいますか、取得という言葉の概念は一般的にそのような用例として使われておりますので、まず設ける必要はないのではなかろうかと考えた次第でございます。
第二に、処分につきましては、一般的に各種の意味に使われておりますが、行政処分という意味の処分という言葉をさしおきまして、私法上の用語例としての処分というものは、財産権の移転その他財産権について変動を加えるということを一般に処分と言っており、そのほか、さらに財産の原状、性質に事実上の変更を加えるということの処分という用語で尽していっておるケースも多々ございます。そして一般的に単に所有権を喪失するということではありませんで、財産権の移転その他財産権について変更を加える行為を、広く処分という用語例として法令で用いておりますので、その中に、たとえば占有権というものも一つの財産権、物権でございますが、これを喪失するということもやはり処分である。あるいは質権を設定するということは、必ずしも所有権を失うことではございませんが、それは処分行為であるというふうな観念をいたしております、この法律案におきまする物品の処分という言葉も、物品につきましての権利の変動、及びその物品につきまして原状性質に変更を加える事実行為、たとえば廃棄するとか焼棄するとか、減耗するとかいったようなことを、広く含みました意味に解されるのでございまして、物品につきましての所有権を失うことはもちろん、占有権を失うことも含まれるのは、これは当然の解釈として出てくるというふうに考えております。そして物品を不動産の従物として国有財産に編入するという国有財産への編入替として現在も処理しておりますが、こういうようなものも、先ほど申し上げましたような物品の取得という概念と対応いたしまして、物品の処分という概念の中に入るということも、これまた当然導き出されてくることではないかと考えております。そして実際にどういうものが処分の要因となり取得の要因となるかという点は、現在の国有財産法におきまして必ずしも法自身には書いてありませんので、その実際の事項に伴う処理という意味を明確にするための法に基く命令等におきまして、その要因が具体的に規定されておりまして、その国の内部における会計規定としての運用には妨げないという状態になって運用されておりますので、この法律案におきましても、これが制定をみました際は、そのような御趣旨の点を十分考えまして、政令等におきまして範囲がはっきりわかりますように規定を設けまして、その運用に支障のないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/3
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004・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/4
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005・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 速記を始めて下さい。
本案の質疑は一応中止いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/5
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006・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に国の債権の管理等に関する法律案、
税理士法の一部を改正する法律案(予備審査)、
接収貴金属等の処理に関する法律案(予備審査)、
以上三案を便宜一括議題として政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/6
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007・山手滿男
○政府委員(山手滿男君) ただいま議題となりました国の債権の管理等に関する法律案ほか二法律案につきまして、提案の理由並びに概要を御説明申し上げます。
まず国の債権の管理等に関する法律案について申し上げます。
従来、国の債権につきましては、会計法その他個々の法令に部分的な管理規定があっただけで、その一般的な管理法規がなく、管理機構もまた整備されていなかったのであります。しかして、その管理に関する事務の処理につきましては、一方では、官庁内部の連絡が不十分であったことや担当職員の措置が適切を欠いたこと等のため、債権の徴収不足や徴収手続の遅延を来す等、国に損害を与えた事例を見ますとともに、他方では、管理費用に満たない額の債権、債務者の所在が不明の債権等につきましても一律に処理することとなっていたため、事務の能率を損うことも少くなかったのであります。
本法律案は、このような情勢にかんがみまして、国の債権の管理の適正を期するため、その管理の機構及び管理の準則を整備いたしますとともに、履行期限の延長、減免等をすることができる一般的基準を設け、あわせて国の債権の発生の原因となる契約に関し、その内容とすべき基本的事項を定めようとするものであります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、金銭の給付を目的とする国の権利、いわゆる金銭債権を対象といたしておりますが、罰金等にかかる債権、租税債権、国が保有する資金の運用により生ずる債権等につきましては、その性質上、原則として、この法律を適用しないことといたしております。
第二に、国の債権の統一的な管理組織を確立するため、各省各庁における債権の管理事務を担当する機関として債権管理官の制度を設けるとともに、債権管理官が行うべき債権の保全及び取立等に関する事務の処理につき一般的な管理基準を定めて、その適確な処理を図ることといたしております。
第三に、取立費用に満たない少額の債権や債務者の所在が不分明で徴収見込のないような債権につきましては、内部的に徴収停止として整理を行うことができることとするほか、一般に、債務者の資力その他の状況を考慮して、五年又は十年以内の期間において債権の履行期限を延長することができる道を開き、また、一定の場合に減免等の措置を講ずることといたしまして、債権の管理事務の効率的な運営をはかることといたしております。
第四に、債権の発生の原因となる契約の内容につきまして、その基本的事項を定め、発生後における債権の徴収を確保するとともに、特に貸付金債権につきましては、あわせて、貸付の目的を保全するため必要な諸条件を定め、もって、貸付事業の遂行の適正化をはかることといたしております。
次に税理士法の一部を改正する法律案について、提案の理由を説明いたします。
この法律案は、税理士の業務運営の適正化をはかるため、税理士が所得税法人税等の申告書を作成した場合に、税理士が申告書作成に関して計算し、または整理した事項等を記載した書面を添附することができる制度を創設するとともに、今後五年間に限り、一定年数以上実務経験を有する計理士、税務職員等について、一般の税理士試験にかえて特別な税理士試験によって税理士となる資格を与えることとする等のため所要の改正を行おうとするものであります。
以下改正案の内容につきまして簡単に御説明申し上げます。
まず、税理士が所得税、法人税等の申告書を作成した場合に、その申告書作成に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面を添附することができることとする制度を創設しょうとしていろのであります。
税理士が税務書類を作成する場合においては、単に納税者の作成した決算書に基いて申告書の作成のみの依頼を受ける場合もあり、また、税理士が納税者の帳簿書類の内容に立ち入って課税標準となる金額を計算し、これにより税務書類を作成する場合もあり、その形態はいろいろと異なっているのでありますが、この際、税理士が関与した事項の範囲を明確にしてその責任を明らかにするため、税理士が所得税、法人税等の申告書を作成した場合には、申告書作成に関して計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添附することができることとするとともに、その申告書について更正または決定をする場合において、その更正または決定の基因となる事実が、その添附書面により税理士が計算し、整理し、または相談に応じたものとされている事項であるときは、税理士に対して意見を述べる機会を与えることとし、これにより税務行政の円滑化に資するとともに、税理士業務の向上をはかることとしているのであります。
なお、この制度により税理士に意見を述べる機会を与える措置の有無と更正決定の効果との関係につきましては、上述のような趣旨にかえりみ、更正決定の効力に影響を及ぼさないものと考えられるのでありますが、この際、その旨を法文上明らかとすることとしているのであります。
次に、一定年数以上実務経験を有する計理士又は税務職員等について、今後五年間に限り一般の税理士試験にかえて特別な税理士試験を行うことにより税理士となる資格を与えることとしようとしているのであります。
現行の税理士法は昭和二十六年七月一日に施行されたものでありまして、同法の施行により、税理士となる資格は、原則として試験制度によることとなったのであります。ただ、税理士法施行の際において、経過的措置として、同法施行の日から三月間は、なお旧税務代理士法による税務代理士の許可の申請をすることができるものとし、これにより実務経験二年以上になる計理士は、その申請によって税務代理士の許可が与えられ、税務代理士は当然に税理士となる資格が与えられたのであります。また、税理士法施行の際においてもっぱら十五年以上国税に関する行政専務に従事した者及び二十年以上地方税の賦課に関する事務に従事した者については、税理士試験委員の認定により、税理士となる資格が与えられたのであります。
この際、当時においてこれらの税理士となる資格についての条件に該当しなかった計理士または税務職員であっても、すでに相当の年令に達し、実務経験により税理士となる資格があると認められる者について、実務を中心とした特別の税理士試験により税理士となる資格を与えることが適当と考えられますので、今後五年間に限り、特別な税理士試験の制度を設けることとしたのであります。特別な税理士試験を受けることができる者は、このような趣旨及び税理士法施行からすでに五年を経過していることにかえりみ、計理士については十年以上実務経験を有する者とし、税務職員については二十年以上でその従事した行政事務の内容により一定の年数以上の実務経験を有する者とすることとしているのであります。
以上のほか、税務官公署の職員が税理士の代理している事項について納税者にその日時場所を通知して調査する場合には、従来青色申告書を提出している事件に限り税理士に対しても通知していたのでありますが、今回その範囲を拡大し、青色申告書以外の申告書を提出している事件についても通知することとする等、税理士法について所要の規定の整備をはかることとしているのであります。
最後に、接収貴金属等の処理に関する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
終戦後、連合国占領軍は、本邦において政府及び民間から金、銀、白金、ダイヤモンド等の貴金属等を接収したのでありますが、平和条約の発効と同時に、これらの貴金属等を日本政府に引き渡したのであります。そこで、政府といたしましては、さきに接収貴金属等の数量等の報告に関する法律によって貴金属等を接収された者から必要な報告を徴し、その内容の調査を進める一方、連合国占領軍から引き渡された貴金属等の調査を実施し、その状況もおおむね明らかになりましたので、今回、これら接収貴金等について返還その他の処理をいたしますため、本法案を提出した次第であります。
以下、本法案の概略を御説明申し上げます。
まず、第一に、貴金属等の被接収者は法律施行の日から五カ月以内に、大蔵大臣に対しその接収された貴金属等の返還を請求することとし、被接収者が右の請求をしない場合には、接収された貴金属等の所有者が、法律施行の日から七カ月以内に、請求を行うことを認める等、返還請求の手続を定めることといたしました。
第二に、この返還の請求に対しまして、大蔵大臣は、当該貴金属等の種類、形状、品位及び個数又は重量を、接収の事実を明らかにする証拠等によって認定することとし、認定された貴金属等につきましては、それが政府の保管している貴金属等のうちで、特定する場合には、そのものを返還し、特定しない場合には、各貴金属等の種類、形状、品位及び重量のそれぞれの明確度と、各貴金属等が溶解されて変形している可能性、あるいは、その代替物がある可能性に応じて、特定するもの以外の残余の保管している貴金属等を、接収された貴金属等の個数又は評価額の割合により按分して返還することといたしました。
第三に、この法律により返還される貴金属等につきましては、国、公共企業体、地方公共団体及び日本銀行の所有にかかるものを除き、連合国占領軍から引き渡しを受けて以来返還されるまでの保管費用等に相当する額として、返還を受けた価額の一割に当る金額を国に納付せしめることとし、なお、これに伴う課税上の必要な調整措置を規定いたしました。
第四に、接収された貴金属等のうちには、交易営団、社団法人中央物資活用協会または社団法人金銀運営会が、戦時中、政府の金、銀、白金またはダイヤモンドの回収方針に基き、政府の委託によって民間から回収したもの、金属配給統制株式会社が政府の指示に基いて、交易営団または中央物資活用協会の回収した貴金属を買い入れたもの、金銀運営会が、戦時中、政府の指示に基き、旧日本占領地域における通貨価値の維持等の目的をもって金製品を輸出するため、旧合資金特別会計から払い下げを受けたもの、及び、軍需品の製造に従事していた者が、軍需品を製造または修理するため、その材料として、戦時中、旧軍または軍需省から買い入れたものがありますが、これらは、すべて国に帰属させるとともに、これらの者に対しては、右貴金属等を取得し、または加工した際の代金及び手数料等に相当するものをそれぞれ交付することといたしました。
第五に、以上の認定、返還その他の重要事項の処理の万全を期するため、大蔵省に接収貴金属等処理審議会を設けることといたしましたほか、認定等に対する不服の申し立て、虚偽の請求に対する罰則等、所要の規定を設けることといたしました。なお、国に帰属または返還された貴金属等で一般会計に所属するものは、無償で、貴金属特別会計の所属に移して管理することといたしました。
以上、国の債権の管理等に関する法律案ほか二法律案について提案の理由を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようにお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/7
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008・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 三案の質疑は後日に譲ります。
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009・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) この際、理事の辞任についてお諮りいたします。
本日土田理事より、一身上の都合により理事を辞任したい旨、書面をもって申し出がありました。申し出の通り上田理事の辞任を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/9
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010・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
つきましては、直ちに、その補欠並びに去る十三日大矢理事の委員辞任に伴い欠員となっております理事の補欠を互選いたしたいと存じますが、先例により成規の手続を省略し、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/10
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011・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 異議ないと認めます。それでは理事に前田久吉君及び大矢半次郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/11
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012・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に物品管理法案を議題として質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/12
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013・青木一男
○青木一男君 先ほど法制局当局から一応説明を伺いました。これが法律案でなければ、そうやかましく詮議する必要はないのでございまするが、やはり法律案でございますから、われわれは責任上、その規定の内容について観念を明確にする必要があるから、質疑したいわけでございますが、説明によってこの用語が非常に広い意味に使われておるということも了解しました。それでありますから、それはそれなりで、今後適用に差しつかえなく、政令の制定等において適当に疑義なく運用されれば、その点においては私は了承するものでございます。しかし前回に質疑した中で、まだ私、了解しない点がありますから、引き続き質疑をいたします。
この第二条の第二項の、「この法律において「供用」とは、国の事務又は事業の目的に従い、用途に応じて、物品を国において使用させ、又は処分することをいう。」という定義があります。それでまず伺いたいのは、国が公務員に使用させる場合に、「国の事務又は事業の目的に従い、用途に応じて、」させるのは、この第二項に入るのでありますが、そういう以外の使用させるということが観念上あるかどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/13
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014・荒井勇
○説明員(荒井勇君) 物品を国の内部で使うということと、それから物品を使うということは、国が何も無意味に物品を持っておるわけではございませんで、何かの「国の事務又は事業の目的」を達成する手段として物品を持っておるということであろうかと思います。その場合に、国で内部的に使うことのほかに、当該物品が、たとえば貸付を目的とする物品である、たとえば各地の農場にトラクターを貸し付けるというために、国がトラクターを持っているという事態があります場合に、その国自身が農場経営をしてトラクターを使うということ、これが物品の本来の用途に応じた使用であることは間違いありませんけれども、国以外のものに貸し付けて使わせるということが、その物品を国において保有しておる理由であるといったような物品につきましては、そういう物品の広義における運用というものを計画的に遂行したい、こういう意味で、この法律案におきましては、供用計画というようなものを立て、あるいは供用の基準といったようなものを考えておるわけでございますけれども、その場合、国の内部において使用する、これだけを「供用」として、それだけを計画化すればよろしいということであるならば、この「供用」という言葉の定義も非常に簡単な、これは現在各省大臣が定めておりますところの物品取扱規程というようなものに、「供用」という言葉は多数使われており、また実務上も熟した、言葉でございますが、それだけの狭義の意味において使うならば、その物品の国家目的全体からするその効率的な、また計画的な使用というものが達成することが十分できるというふうには、まあ言えないのではなかろうか。それが貸付を目的とする物品である、あるいは譲与を目的とする物品である、あるいは売り払いを目的とする物品であるというようなものは、その売り払いあるいは譲与、あるいは貸付ということが、国の行政目的に即応して行われるということを、計画的に保障する必要があるという意味で、この「供用」という言葉の中に、やや通常の観念で国の内部で使うという場合における「供用」というもの以外に含ましたということはございますが、それはそのような立法趣旨から含ましたということになるわけでございますが、その点は一般の用例よりやや広いという意味で、これは定義を用いないままで「供用」という言葉を書いたのではよくわからないだろうという意味で、これにつきましては特にこのような定義を設けまして、今まで観念しておりますところの国の内部における使用というものだけを、「供用」と観念する向きが従来多かったと思いますけれども、この物品の計画的な、そうして効率的な使用をはかるというためには、このような概念構成の中に取り込む、構成するということが必要であると考えました結果、いろいろ考えました表現がこのような第二条の第二項となっておるわけでございます。かような趣旨に御了承下さるようにお願い申し上げたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/14
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015・青木一男
○青木一男君 私も、国自体の用途でなしに、貸付を自的としたものは貸すということは当然予想していいのです。運用していいのです。私が質問の趣旨は、端的に言えば、「国の事務又は事業の目的に従い、用途に応じて、」という形容詞は、要らないのじゃないか、もしこれに反した使用方法をやれば違法であって、官公吏の法律違反または服務規程違反になるので、この肩書きは少くも国自体で使用する場合は、要らないのじゃないかということを私は考えるから質問したのです。どうしてこの肩書きが必要なのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/15
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016・荒井勇
○説明員(荒井勇君) その点、供用ということは文字通りに解釈いたしますと用に供するということであり、その場合における用というのは、国の所有または保管にかかる動産でございますから、国がこういう仕事をやりたいというために持っておる動産であり、物品である。それをことさらに「国の事務又は事業の目的に従い、」 あるいは「用途に応じて、」ということを書かないと、国の内部で使用させるということがどういう……、それ以外の非常に不要な目的のために使うということはそもそも考えられないではないかということでございますけれども、この法律がねらいとしていろところは、やはりその本来の正当な使用ということを目的としておるものでありますし、特に処分に至りましては、国の事務または事業の目的にかかわらないところの処分というものがあるわけでございます。と言いますと、それは廃棄するということは、何も国の事務あるいは事業の目的に従って廃棄をするわけではございませんので、これはいよいよ使えないというために廃棄をする。あるいは亡失決定という一つの処分形態がありますが、これも何も国の事務または事業の目的に従って亡失決定するのではなくて、これは亡失の事実を追認するというための処分行為である。あるいはさらには減耗というのは、何も国の事務または事業の目的に従って減耗するわけではないといったような、国の行政目的にかかわらない処分と行政目的にかかわる処分と二つが考えられますので、この際、国が計画的に物品を使用しようというその対象になるものは、その国の行政目的に即応したところの使用または処分であるという点を特に明らかにする趣旨で、その行政目的にかかわらないような処分である、あるいは使用もあり得るかと思いますが、そういうことはこの法律としては考えないのだということを明確にするためこのような目的を明確にした節を置いたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/16
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017・青木一男
○青木一男君 私が今言った通り処分についてはこの区分があるということは私は認めている。ただ国自体の使用においてこういうことがあるか、そういう意味なんです。観念的にそういうカテゴリーはちょっと想像できないとしても、そういうカテゴリーがあるからこういう肩書きを必要としたのかどうか、この肩書きに該当しない国の使用があるという前提ですか、その点を伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/17
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018・荒井勇
○説明員(荒井勇君) それは物品の管理に関する基本法としましてはあり得べからざるものである。それは物品は何のために国が使うかといえば、国の行政目的を達成するために使うのであるという意味で、その点は青木先生のおっしゃる通りであると思いますが、ただ処分という言葉と両方かかってこれは定義を置かざるを得なかったということと、特にその物品の使用ということは、国の行政目的のために使うものであるということを明確にするという意味でまあ初めの方に肩書きを書いたということであります。しいて説明を求められたらそういうことに相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/18
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019・青木一男
○青木一男君 それでは下に処分があるから前の肩書きが必要になってきた、端的にそう解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/19
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020・荒井勇
○説明員(荒井勇君) その点は、物品を国の内部において使用するということも、このような目的に従いました使用ということは、この法律上の供用であるという点はやはり明確にする必要があるのではないか、こう考えます。それ以外の使用ということは、この法律としても観念しないという意味が若干あろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/20
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021・青木一男
○青木一男君 それは法律観念ですけれども、こういう国の使用において、こういうような「事業の目的に従い、用途に応じて、」というふうに該当しない使用があるかないかということが一つの問題なんです。私は処分については認めるのです、その二つがあることを。その前者についてそういう観念があるのかないのかということを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/21
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022・荒井勇
○説明員(荒井勇君) その点はあとに、第四章におきまして責任が規定しておりますけれども、その責任というものが規定してあるというのは、この法律が期待するような使用、管理等をしないという行為があるからこそ責任という章を設けて、その場合の国としての立場を明らかにしているということでありますので、その使用というのは事実行為でございますから、国の行政目的に従わない使用というものも観念的にはあり得ないことはないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/22
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023・青木一男
○青木一男君 それはおそらく違法とか職務違反というような、乱用した場合になりましょう。それで私は観念としては使用については二つない。なぜないかと言えば、もしあれば、第一条のどこかに供用でない使用がなくちゃならないのに、第一条にそういう分類がないからない、こういうふうに判断しているわけです。ただ処分という言葉のカテゴリィに入ったからこういう立法の必要があった、こういうふうに解釈して、その点の質問を終ります。
それからこれは私は前回にも質問をしたのですが、第二条の第二項の「物品を国において使用させ、又は処分することをいう。」という二つの形態の差異ですけれども、あなた方の研究されて書いたものをいただきましたので読みましたのですが、処分についても法律行為でありますれば、なるほどその効果が直ちに国に及びますからして、国家機関としてなしたたという趣旨が非常に明瞭でございますけれども、たとえばさっきお話があった廃棄処分というような事実行為について考えると、これも私がたとえば、この机を焼いたというような事実行為を考えると、国が焼いたという観念は常識上出てこないと思う、事実行為については。その点は使用と同じじゃないか、やはり国家機関として国のために使い、国のためにそういう処分をするということと同じじゃないかというふうに事実行為については考える。それをどうしてこういうふうに使い分けするのかどうか、その点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/23
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024・荒井勇
○説明員(荒井勇君) 「国において使用させ、」という言葉は、国が主体となって当該職員に、行政目的を遂行するところの当該職員に使用させるということが考えられる。その場合の国においてといいましても、国は抽象的な人格者でありますから、具体的にはこの法律案の第二章に規定しておりますところの「物品の管理の機関」というものが、その行政目的を遂行する職員に対して使用させるということに相なろうかと思います。
その次の「処分する」ということが自動詞になっているということでございますが、自動詞といいますか、させるという表現で書いていないということでありますが、その場合に「国において」というのは、先ほども申し上げましたような、物品の管理機関というものが主体となって処分するということでありまして、国の物品の管理機関といたしましては、その物品が不用になったというふうな、その不用決定したような物品を売り払いあるいは廃棄をするといったようなことは、物品管理機関が主体となってやることでございます。そして物品管理機関の責任にかかわらないような、あるいは手元に関係のないようなおのずからなる減耗であるとかあるいは亡失であるとかいうものは、亡失自体がその処分ではございませんで、亡失をしたといいましても、その物品が世界中のどこかにあるという以上は、国家へその所有権なり占有権を回復するという処置を国の管理機関としてはしなければならぬ。それがいよいよできないのだという状態になったときに、国の内部における意思決定としての亡失決定ということをする。その亡失決定するということが処分である、こういうふうに考えておりますので、その点をやはり国の物品管理機関というものが処分をするということになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/24
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025・青木一男
○青木一男君 そうするとこの第二項の処分には事実行為は入らないのですか、廃棄処分の方は、事実行為は入らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/25
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026・荒井勇
○説明員(荒井勇君) この点は、先ほども申し上げましたような、国の事務、または事業の目的に従う処分というものが供用になるのである。それは国の行政目的を達成するための処分である。すなわち物品についての財産権の変動を来たすような行為であるということでありますから、その物品の管理主体、帰属としては国でありますが、その手足として働きますのは物品の管理機関である。その管理機関が行政目的のために処分するということは、たとえば貸付を目的とする物品にありましては貸し付けをする、売り払いを目的とする物品については売り払いをする、譲与を目的とする物品については譲与する、こういうことをいたしますので、その行政目的のためにする処分という中には、先ほどちょっと触れて申し上げましたような廃棄をするとかあるいは亡失決定をするというようなことはまあ入らないことに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/26
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027・青木一男
○青木一男君 第二条に「この法律において「物品」とは、国が所有する動産のうち次に掲げるもの以外のもの及び国が供用のために保管する動産をいう。」、それで「国が供用のために保管する動産をいう。」というのは、主として借り入れ物品のことを言うんだという前に大蔵当局からお話がありましたが、その通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/27
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028・荒井勇
○説明員(荒井勇君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/28
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029・青木一男
○青木一男君 その場合にも第二項の処分も入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/29
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030・荒井勇
○説明員(荒井勇君) その場合に借り入れ物品を借り入れることは取得という概念に入るということは、一番最初に御説明申し上げました通りでございますが、その借り入れ物品を返すということは、国の事務または事業の目的に従う処分ではないかと、それはもう国の行政事務が達成されたという暁におきまして、それを国の占有からはずすという行為でありますので、その借りた物品を返すということ自体が国の事務または事業の目的に従う処分であるというふうには考えにくいのではないかと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/30
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031・青木一男
○青木一男君 非常にむずかしいのですね。その前半の、借りる方のときは第二条へ入るし、返すときは入らない、こういうことになるのですか。やはり一番初めの御説明の取得、処分という言葉にちょうど該当するのは、物を借りる、返すということが、これは相対する言葉であるが、第二条の場合は返す方は入らない、借りる方のことだけのことになるというのは、どこからその区別がくるのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/31
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032・荒井勇
○説明員(荒井勇君) ただいまの説明のところはやや不完全でございまして、今、青木先生がおっしゃいましたように考えるのが正しいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/32
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033・青木一男
○青木一男君 それはそういうふうに考えざるを得ないの。だが、そうするとまたもう一つ観念の混淆が出てくるのは、返すことが処分である、借りたものならば返すことが処分になるわけですが、そうすると返すために保管する動産というような観念が今度また出てくるわけですね。供用、返すこと、つまり処分、すなわち返すことを意味するとすれば、返すことのために保管する動産というようなことにまたなる、観念の混淆が出てくるのですがね。そこでやはり処分は第二項で入れたことが、第一項を規定する際にはやはり必ずしも予想していないということを意味するんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/33
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034・荒井勇
○説明員(荒井勇君) 国が供用のために保管する動産につきましては、その当初の借り入れから最終の返すという段階までがその供用のための保管であるということで、その返す目的で持っているものではないのではないか、それはやはり借りてその用に供し、そのまた貸しをするということもあり、また借りた物品を国の内部で使うということもある。そのまた貸しをするなんということは、二条二項でいう処分の中にもちろん入ると思いますが、返すために保管するというのは、少し行き過ぎといいますか、解釈といたしましては、国の内部で借りて使うと、あるいは国で一応借りまして、それをさらに国以外のものに貸し付けて使うということが国の行政目的であるといったような物品を、そのような目的のために保管するということです。まあ返すということが直接に保管の契機になるというふうには必ずしも考えなくていいんではないかと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/34
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035・青木一男
○青木一男君 それから第十条を見て下さい。「物品管理官は、必要があるときは、政令で定めるところにより、その所属する各省各庁所属の職員に、物品の供用(処分に係る供用を除く。以下第二十条及び第二十一条において同じ。)に関する事務を委任することができる。」、それでこの職員を供用官ということが第二項にある。そうすると第二条の定義では、供用というのは、「使用させ、又は処分する」、二つを供用というのを、第十条の一項、二項による供用官の任務からは、処分にかかわる供用は除いている。半分しか供用官の任務として認められていないのですが、これはどうしてそういうことにはるのですか。それじゃせっかく第二条で定義したものが、その半分しかしないのが供用官であるというのは、どうしてそういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/35
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036・荒井勇
○説明員(荒井勇君) その点は法令の一般用語といたしまして、一つの定義があったという場合には、その定義で初めから終りまで常に一貫しなければならないかといいますると、その場合における実体規定のいかんによりまして、その全部を適用するものとして用いなければならない場合と、特定の場合にはその一部を限定して使わなければならないという場合といろいろあり得るわけでございます。この法律案におきましては、その物品管理官というものは、従来の、これは大蔵省の方から説明があったかと思いますが、物品取扱い主任というものを明確な物品の管理機関として法定化するというねらいを持っておりますが、その場合に、国の内部において使用させるという事務は比較的簡単である。ところが行政目的のために国が所有しまたは保管する動産というものを、国以外のものに対して譲与をするとかあるいは売り払いをする、あるいは貸付をするということは、相当複雑な行政事務である。その複雑な行政事務、ある程度高い行政上の判断というものを必要とするという事務は、物品管理官からその特定の事務の委任を受けた、この場合における物品供用官というものにまかせるべきではなくて、物品管理官みずからがそれを判断して行うべきである。そのような比較的高度の判断を要する管理行為の一種であるという意味におきまして、その第十条の物品の供用に関する事務を委任するという規定の中には、処分にかかわる供用というものは、その実情から判断いたしまして、供用官に委任することは妥当ではなかろう、それは管理官のみずからする判断で行う方が妥当であろうということを提案の際に考えましたので、そのようにいたしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/36
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037・青木一男
○青木一男君 そうすると、この担当官が違うということも今聞きました。それから第十条の立法の方としても、一体供用という言葉は普通使用させるとかするとかいう観念であって、処分するということを供用という言葉で網羅するのは、常識からいえば非常な行き過ぎの観念である。しかるにもかかわらず、第二条の第二項でその使用と処分とを一緒にして供用という観念を作らなければいけないという積極的理由はどの辺にあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/37
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038・荒井勇
○説明員(荒井勇君) この点は、この法律がねらいとしておりますことの一点として、国が所有し、または保管する動産というもの全般につきまして計画的に、各物品の調達官あるいは物品の取扱官、主任といったものが個々ばらばらにその場その場でものを見、ものを処理するということではなくて、もう少し計画性を付与しようということがこの法律案のねらいの一つでございます。その場合に国の内部において使用することだけを計画すれば、その国の外部に対して貸付、あるいは売り払いということは、全然従来通りで放任しておいてよいだろうかといいますと、これは会計検査院で実地検査をされました結果、いろいろなところで現われておりますように、その売り払いであるとか、あるいは貸付というものもやはり適正化し、そしてそれを計画的に効率的に使わしめるという必要性があるのではないか。まあそういう実情から、従来の各省大臣が定めております物品取扱い規定というようなもので観念いたしておりますような供用という狭い意味の言葉では、この法律で言いますと、第十四条に定めておりますような供用計画、あるいは第十九条に定めておりますような供用の原則といったような点につきましては、従来の狭い概念では不十分である。計画を立てるという場合には、貸付を目的とする物品であるならば、その貸付が適正に行われるかどうかということを担保すべき計画というものがやはり国としては必要である。あるいはその物品を貸し付ける場合においても、予算上の目的というものを離れない、すなわち国会できまりました予算の執行ということが最も適正に行われるようにという、分類の目的に従うということと、その十四条で規定しておりますところの供用計画にきちんとのっとってやるという点は、国の内部において使用するものであろうと、また国の外部において貸付その他によりまして使用させるものであろうと、その軌を分つ理由はない。むしろそれは同じ供用計画なりあるいは供用の原則というものの中に取り込んで観念をするということが、物品の全体的な効率的使用ということに資するのではないかということを考えました結果、その通常の観念よりも若干ふくらんでおりますけれども、それは定義というものはその法律における約束でございまして、まあそのような約束をしてこの法律では使うのだということで使っておる用例は多数あるわけでございます。そういうような実質的な目的が妥当であるかどうかということでこの規定は判断をすべきではないかと私どもは考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/38
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039・青木一男
○青木一男君 私も多分第十四条との関係であるということは想像しておったのです。それでこれはまあ別に修正案じゃないが、この十四条で、「物品の取得及び供用に関する事項についての計画」、ここに統一性がなければいけないからという御趣旨の説明だつた、私もそうだと思った。ところが「物品の取得、供用及び処分に関する事一項についての計画」、こう直せばけっこういくのであって、むりやりに供用という新しい観念で処分まで含ませる必要はないんじゃないか。「取得、供用及び処分に関する事項についての計画」、それを総合して供用計画と言うことは差しつかえありませんが、十四条に現に「取得及び供用に関する事項についての計画」とある。それならば「取得、供用及び処分に関する事項についての計画」と、こうやられれば、もう一条、二条、今まで私が指摘した法律上の疑いは全部これはなくなる。しいてその観念を違った観念と一緒にしないから、全部私は疑いはなくなると思う。この点はどういうふうにお考えですか。
ことに私が申し上げたいのは、米のごときはこの処分を目的としたおもなる代表的の品物ですが、米の売却計画なんというものは、私は一番早くできておると思うのですよ、こういう今度の管理法を作らなくても。それでございまするから、そういうものを総合的に見ればいいのであるから、「取得、供用及び処分に関する事項についての計画」とすれば、すらすらといって、私が先日来質問した全部の問題が消えてしまうと私は思うのだが、どうしてそれができないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/39
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040・荒井勇
○説明員(荒井勇君) 先ほど十四条と十九条とを説明いたしましたが、ちょっと不十分でありますので、なお補足いたしますと、三条の分類の規定でありますが、その第一項におきまして、「各省各庁の長は、その所管に属する物品について、物品の適正な供用を図るため、供用の目的に従い、分類を設けるものとする。」これは貸付を目的とする物品である、あるいは国の内部において使用する物品であるということも、その物品の分類のワクの中に入るわけでございます。その他条文の各所にこの供用という言葉は使っておりますので、単に十四条に処分というものを加えれば足りるということではございません。それと、十四条につきましては、単に「取得、供用及び処分に関する事項についての計画」と言いますと、その処分の中には亡失決定であるとか廃棄であるとか、およそ国の行政目的で、それを計画的に亡失しようというようなことは考えられませんし、そういうようなものは、やはり国の行政目的に則する使い方というものが供用であると観念をしなければならないのじゃないか。それから従来国の内部において使うということを供用と考えておる向きが多かったけれども、その点は供用という言葉を文字通りに読みまするならば、用に供することである、用に供するということは、何も国の内部において用に供するということではございませんで、国以外において使わせるということもやはり用に供するということで、これはむしろ言葉のすなおな解釈として、供用という言葉の中に入ってきて決しておかしくはないのではないかと、こういうことを基本的には考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/40
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041・青木一男
○青木一男君 今さらおかしいとかおかしくないとか、これは見解の相違でありましょう。今の、行政目的のためにやる処分だけを入れなければならぬということは、それはその通りでしょう。しかしそれはその規定にはっきりそのことを、第何条についてはそういう一定の処分に限ると書けば問題はない。それから第三条についても、必ずしも供用という一つの観念、供用というのは使用のことを言うのだから、「供用及び処分のために」という言葉にすれば、もう一つも私は矛盾がないのじゃないか。どうも私はしいて使用と処分を一緒にしたために、先日来質問したような立法上の矛盾があるのではないか、こういうように考えて質問をしておるわけです。そうすると供用という言葉は広い方が自然だというお話がありましたが、供用という観念は処分まで入れるのがむしろ自然であるという私は印象を持って質問しておるわけだ。そういう点について私の考えは一貫して質問しておるわけですが、その点を立案者の方でももう一度再検討してもらいたいということを希望して私の質問をこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/41
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042・青柳秀夫
○青柳秀夫君 第二条に第三として、国有財産法云々とありますね、これはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/42
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043・上林英男
○説明員(上林英男君) 第三号に、「国有財産法第二条第一項第二号」と、こうございますのは、御存じのように、国有財産は不動産、あるいは動産の中に、船舶、浮標、浮ドック、浮桟橋というようなものを国有財産にいたしておりますが、それが第二号の国有財産でございます。それから第三号は、不動産あるいは今申しましたような船舶、浮標、浮ドック、浮桟橋とその付属物、これが一体として国有財産として入りますので、それが国有財産でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/43
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044・青柳秀夫
○青柳秀夫君 たとえばお米ですね、あるいは森林の材木ですか、ああいうものはこの規則との関係はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/44
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045・上林英男
○説明員(上林英男君) 食管の扱っております米とかそれから木材、林野庁が扱っております切りました木材は、これは物品に相なるわけでございます。ただ土地に定着物として植わっております木は、これは国有財産になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/45
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046・青柳秀夫
○青柳秀夫君 そうしますと、やはりこの提案になっている管理法が適用されると、こういうわけになるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/46
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047・上林英男
○説明員(上林英男君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/47
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048・青柳秀夫
○青柳秀夫君 そこで私お伺いしたいのは、先ほど青木さんからも御質問ございましたが、十四条ですね、「供用計画」とあるのですけれども、どうも供用という字句が、第二条第二項ですか、「国において使用させ、又は処分することをいう。」と説明がついていて、それと別に第一条では、一番のこれが中心の規定ですけれども、「物品の取得、保管、供用及び処分」と、この「処分」という言葉がどうも私にははっきり観念ができないので、ただいまお尋ねしましたように、たとえば木材というものを国がこの法で管理するなら、物品が木材ですから、木材の取得、保管、供用及び処分と、こうとらわれない感じでいけば、処分というのは売り払いだと、こういうふうに私は思うのです。ですから取得といえば、山を林野庁なりが切って、木材にする、その次に、保管もいいし供用もいいでしょう。しかし処分というのがこれは大事なんで、これが売り払いだ。こうなるときに、こっちの十四条を見ますと、その計画というものがただ取得と供用の計画だけを立てるというので、処分計画というものがない。これじゃいかにも、国有財産でも木材なんというのは重要な資源であって、相当計画的に、まあここでいう前に需給計画というのがありますけれども、やはり私はこういうふうに規定するなら、取得と処分というものを対等に見て立てなければならないのじゃないか、こう思います。しかしこのあいまいになっています供用というところで、使用または処分、この処分の方に入るのだから、供用計画ができていれば、もうこっちの第一条にいう処分なんというものは軽いから、そんなものは廃棄処分とか、臨時に不用なものを、何かあまり価値のないものを処理するのだというふうにどうも初めからの御説明がなっておるのですけれども、まあしかし木材なんかでいえば、やっぱり処分というのが売り払いになる。これは大事なことなんで、何かその間法文の書き方がすっきりしないのじゃないかという気がするのですが、その点についての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/48
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049・上林英男
○説明員(上林英男君) この第一条の規定の書き方につきましては、先般も御指摘がございましたような点があるかと存じしまするが、今の御質問の点、国有財産の材木を売り払うという場合は、国有財産の物品になりました材木を売り払うことが、それを国民経済の役に立てることが、行政目的を実現するというゆえんでございまするので、その場合には第二条の二項に申しまする供用の概念に入るわけでございます。従いまして、材木を売ります場合には、供用計画に従いまして、従って計画的に効率的に売られる、こういうことに相なるわけでございます。ただその場合、その材木が、本来の材木としての何といいますか、材木として売り払うというものに適当でない、腐ってしまって使えないというような場合に、あるいは廃棄をするというような場合が、供用にかかる処分以外の概念である処分ということに相なるわけでございます。この一条のところで、この前も御指摘のございましたように、処分というのは、しからば供用にかかる処分を除く概念であるかという御質問がございましたけれども、確かに非常に正確にいいますと、そういうようなことに相なるかとも思いまするけれども、第一条は本法律の基本的な目的を書きましたものでございまして、従いまして、具体的に物品管理の実態について規定するものではございませんので、物品管理の行為の大要といたしましては、取得、保管、供用、処分というこの四概念で満たされて余すところがなければ、しいて厳格に概念の区分をしなくてもいいのではなかろうか、こう考えまして、この第一条の取得、保管、供用、処分というものを書き並べている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/49
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050・青柳秀夫
○青柳秀夫君 そうしますとあれでございますか、今の木材でいえば、供用というのは、国が民間なり方々に売却させるということを供用という言葉で、何といいますか、規定をしておる、こういうふうに解釈するわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/50
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051・上林英男
○説明員(上林英男君) さようでございます。従いまして、何といいますか、先ほどから御疑問がございますように、言葉の通常の語感と、それからここに使っております言葉が多少ズレがあるというところは、確かに御指摘の通りかとも存じますけれども、国の財政法、会計法と同じように、これは国の内部規律と申しますか、会計的な規定を定めておるわけでございまして、あるいは制定当時におきましては、多少の言葉の感覚のズレというものがまあありますことは、たとえば財政法の中に予算の繰り越しというような言葉を使っておりますが、これも初めて制定されたときは、あるいは今われわれが通常使ってその通りだと思っておりますような歳出権の繰り越しというふうに読まなかったであろうと思いますけれども、徐々にこの法律が施行されて参りまして、その場合には先ほど申し上げましたように、施行令あるいは施行規則におきまして実際の取扱い例を明確にいたしていくつもりでおりますので、それとあわせまして、法律の施行に伴いまして徐々にこういう概念がこれを取り扱いまする者の中に、何といいますか、耳なれた言葉になっていく、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/51
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052・青柳秀夫
○青柳秀夫君 私もまあ法律の用語なんというものは、だんだん時に従って変ってきますから、そういう場合もあると思います。また今回の管理法も十分御審議になってお作りになったから、別に私どもがいろんな事を荒立てる気はないのでございますけれども、しかしせっかくの質疑のときでありますからお尋ねするわけであります。
そこでそうしますと、供用の中に「物品を国において使用させ、又は処分する」という「処分」の方じゃなくて、木材を売るのは、前段の言葉でいうと、上の、物品を国において使用させるということが、今お答えになったような意味を表わしているわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/52
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053・上林英男
○説明員(上林英男君) 国有林野の木材を売り払いますことが、国の行政目的を達成するゆえんであるという意味におきまして、この二条の二項におきまする国の事務または事業の目的に従い、用途に応じて処分する、こういう意味におきまして、供用という概念に含まれるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/53
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054・青柳秀夫
○青柳秀夫君 いま一つだけお尋ねしますが、そうしますと、この十条で「物品の供用」という次に、「処分に係る供用を除く。」と書いてありますが、これはあれですか、今のだと、たとえば木材でいえば、処分するというのは、売却の方は十条では除かれておる、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/54
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055・上林英男
○説明員(上林英男君) 十条では処分にかかる供用は除いております。と申しますのは、先ほど御説明いたしましたように、供用の概念のうち、処分にかかわりますものは、事柄の性質上相当重要な事項でございまするし、それから場合によりましては、従来物品取扱主任がこの供用官の役目をいたしておりましたような経緯、それからあるいは物を売り払いまする場合にはこの供用官のもう一つ上の段階でございます管理官というものが出納官に直接命令をして売り払うということになればいいわけでございまするので、そういう観点からここにおきます供用というのは、処分という処分行為を除きました、国の内部において使うということをつかさどる役目といたしまして供用官というものを置いたという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/55
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056・青柳秀夫
○青柳秀夫君 最後に希望を述べておきますが、この第一条の四つあげてある「処分」という言葉がどうも供用とこんがらがりまして、私の頭が悪いのか、非常に明確を欠くのでございます。そこで今のような意味ならば、「供用」に二重まるぐらいおつけになって、「処分」という方はきわめて弱いので、過去においてもごくつまらないもの、もう何ともしようのないものを処分するような場合だけに限定されておるようでありますから、何かもしいい言葉があれば、処分というこの言葉はいま少し何か別の言葉にでもしていただければ、観念がはっきりしてくると思いますので、その点だけ希望を申し上げまして、私は質問をやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/56
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057・青木一男
○青木一男君 もう一点私は聞き落しました。第三十五条を読んでみると、「この法律の規定は、物品以外の動産で国が保管するもののうち政令で定めるものについて準用する。」とあるが、これはまあ第二条で物品の定義をしたからこうなるのだが、いかにも「物品以外の動産」ということは、非常に変な感覚を与える言葉であるし、それからさっき第二条の「国が供用のために保管する動産」ということについて、この処分の点について非常に観念の混淆していることは私の指摘した通りだ。こういうものを一掃するために、こういうことにしてどこか故障がありますか。第二条の「国が供用するために保管する動産」ということを削除してですな……。
それから第三十五条の「物品以外の動産」ということにかえるに「国有以外の動産で国が保管するもの」と、こういうふうに二点修正して差しつかえあるのですか、どうですか。私はただ若干広くなるだけで、むしろかえて使うというやつは準用でやった方がいいと思う。第二条の定義に入れたのは間違いだと思う。むしろ準用でやるべきだと思う。あんな「物品以外」という、ような形になってくると、さっきの第二条の動産に対する混淆もなくなってくるわけです。それではどうもいけませんか、その点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/57
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058・上林英男
○説明員(上林英男君) この法律の適用を受けます物品の範囲の中にありまする「供用のために保管する動産」というものを加えましたのは、物品の特色を国の行政目的に使うというところにつかまえましたので、従って供用として国の行政目的を実現するために借りるということは、この法律の全面的な活用をしていくというつもりでやったわけでございます。従いまして先ほど申しました分類の点あるいはそのほか供用計画その他の規定が全部適用になって参るわけでございます。ところが第三十五条の規定は、この供用のために保管する物品以外の物品、従いましてたとえば遺失物とか収監者の領置物というようなものを考えておるわけでございまするので、ここの準用条文というもの自体は、ここにございまするように、主として出納保管に関係のある条文だけを持ってきてあるわけでございまするので、その適用なり準用なりいたしまする範囲というものが違ってくるわけでございます。従いましてこういうふうに書き分けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/58
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059・青木一男
○青木一男君 一応その点わかりましたが、ただ準用の範囲が違うだけであって、どうも私は準用の条文を違えれば動くことは動くと思うのです。ただ私は「物品以外の動産」なんという観念が法律に出ておるのは実に変な定義の仕方であって、そう定義したのであるから、できれば直していただきたい、こういう私は希望を持っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/59
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060・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 本日の質疑は一応この程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/60
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061・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/61
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062・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) ただいまから提案理由の説明のありました補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして補足説明を申し上げます。
本法律案は補助金等に関する昭和三十年度間での特別措置を昭和三十一年度におきましても引き続き講ずるため、補助金等の臨時特例等に関する法律の有効期限をさらに一年間延ばしていただきたいという内容のものでございます。
この特例法によりまして、昭和二十九年度から特別措置の講ぜられておりまする補助金等に関する法律は、現在文部省関係六、厚生省関係五、農林省関係四、運輸省関係二、建設省関係一で、合計十八法律にわたるのでありまして、今回の延長措置によりまして、昭和三十年度において節約される歳出額は約二十二億円程度であります。
次にこの特例法をその内容に応じて分類してみますると、第一に地方公共団体の職員の設置費等をできるだけ地方財源計算に織り込むこととして整理したものでありまして、たとえば公立高等学校の定時制職員の設置補助、公民館の職員の補助、母子相談員の補助等がこれに属するのであります。
第二は奨励的の意味の補助金で、漸次その制度の普及に伴いまして補助率の低下を妥当と思われまするもの、あるいはその事務または事業の内容が漸次地方的な、地方の受益者負担的色彩が強くなってきたため、補助率を少くしても、低下してもよいと思われる結果補助率を低減したものでありまして、たとえば精神衛生相談所の補助金等がこれに属するのであります。
第三には地方公共団体に対する補助金につきまして、その必要不可欠の分を除きまして、漸次整理するのが妥当ではないかとする意味合いから補助等を停止し、または補助率を低減したものでありまして、たとえば理科関係の教科書に関する補助金、地方鉄道軌道整備法等に関する法律による新線建設または老朽線の補助、日本開発銀行の外航船舶建造に対する利子補給がこれに属するのであります。
以上の意味から、昭和二十九年度から昭和三十年度におきまして補助金等を整理したのでありますが、昭和三十一年度におきましても引き続きこの措置を講じて参りたいということで本法律案を提出したわけでございます。
なお特例法第六条の規定につきましては、同条の規定によりましてその施行を停止されております「新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律」が、別途本国会に提案の「就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律案」の成立に伴いまして廃止される場合におきましては、無期限停止規定は削除いたしまして、また特例法第九条の規定につきましては、昭和三十一年度から本格的実施の予定されます売春問題対策協議会等に伴いまして、性病診療所の国庫負担率を引き上げることとしまして、別途性病予防法等の一部を改正する法律案が本国会に提案されておりますので、同法案が成立いたしますときはこれまた削除されることとなりますので、これらの法律が成立いたしますれば、本法の対象法律は十六件となるわけであります。
以上、簡単でございますが、補足説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/62
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063・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/63
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064・青柳秀夫
○青柳秀夫君 この法律ができるとき、補助があまり多いから減らす、また非常にこまかい補助は地方でも受け入れがめんどうだというような御説明がありまして、それで根本には地方が困るようにはしないのだ。だから表向きこの補助金としては出なくても、交付金の方をそれだけ見て、地方でそれを処理するのに困るようにしないというような御趣旨があったんでありますが、その点はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/64
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065・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 御指摘の通り、補助金を廃止するにつきましては、必ずしも国がひもつきで補助金を出さなくも、地方がもうすでにこの事業をやるべきである。地方財源を持ち出してもやるべきであるという式のものに限りまして特例措置を講じております。従いまして補助金を廃止いたします場合には、その年度の地方財政計画を作成いたしまする際に、地方の財政事情といたしまして、この分の事業でこれだけの金が要るということは、地方の全体の財政計画を通して見まして、これに対しまして地方税その他の歳入と見合いましてその不足分を国からの交付税でみるということにいたしております。で、一部、たとえば今回、先ほど補足説明いたしました性病予防法等につきましては若干地方の負担率が、経費の支出が減って参っておるようなものもございますが、たとえば精神衛生関係とか、その他この補助金をやめましたことによりまして、地方の財源支出と申しますか、地方の財政支出が乏しいために事業が縮小したというような例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/65
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066・青柳秀夫
○青柳秀夫君 今の御答弁でわかったんでありますが、私設鉄道のようなものは別として、これは補助がなくなれば当然どこからも出ないと思うのでありますけれども、ほかの、県から町村にいって、それがまあいろんな施設に出ているようなものは、その施設そのものをやめさせるのじゃないのだ。また補助というものがあまりばらばらいくと統一できない。今御答弁にありましたような趣旨でこれが成立しておったと思いまするので、この項目を、先ほど二十二億だけが節約になったというのでは、私は観念が違うので、この補助金としては出なくても、国からは裏の方の、交付金の方で、しかるべく地方の方でめんどうみていただいていると、こういうふうに解釈しないと、どうも法律で説明だけ聞いて、あと実際何もいかなかったというとどうも困るわけなんでございますが、重ねてその点をお答え願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/66
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067・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 御指摘の通りでございまして、直接ひもつきの金で、国庫の歳出の節減になるのが二十二億ばかりでございますけれども、別途その裏側におきまして、先ほど御説明いたしましたような関係で、地方の財政需要額と財政収入額との差額は国でめんどうをみるということにいたしておりまするので、交付税という形でその財源措置を講じたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/67
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068・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/68
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069・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) それでは速記をつけて下さい。
他に御質疑もなければ、本案の質疑は一応この程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/69
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070・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に特定物資納付金処理特別会計法案を議題として、事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/70
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071・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 特定物資約付金処理特別会計法案の提案理由の説明につきまして、補足して御説明申し上げます。
提案理由の説明におきまして申し上げました通り、別途提出して御審議を願っております特定物資輸入臨時措置法案によりまして、バナナ、パイナップルのカン詰等、その輸入によりまして異常なる利益を生ぜしめられると認められる特定物資につきましては、その輸入のために外貨資金の割当を受けた者は、その輸入によって得た利益を国に納付する義務を負うことになりますので、政府におきましてはその納付金を徴収し、これを産業投資特別会計に繰り入れて、その投資の財源とすることにするための受け入れを行うために特定物資の納付金処理特別会計を設けようとするものであります。
この特別会計は、通商産業大臣が管理することになっておりますほか、おおむね他の特別会計法の理念にならっております。また外貨資金の割当を受けた者から国が寄付金を受ける場合は、その寄付金はその特別会計に受け入れ、予算科目上は納付金として処理することにいたしております。なお昭和三十一年度におきましてこの特別会計炉受け入れる納付金の予定額は約十六億円でありまして、その対象となります物資の輸入数量は、年間バナナが六十万かご、パイナップルカン詰十一万八千ケース、時計約百二十万ドルとなっております。そのうち産業投資特別会計へ十五億を繰り入れることを予定しております。残り一億円は予備費に使用する考えであります。
以上の通り、この法律案につきまして御説明申し上げました次第であります。簡単でございますが、これをもって終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/71
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072・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に同法案の概要につまして、通産当局より説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/72
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073・板垣修
○政府委員(板垣修君) 通産省よりこの実体法になります特定物資輸入臨時措置法案の大要について御説明申し上げます。
ただいま御説明がありました通り、この法律におきましては、特定物資といたしまして、特に不急不要と認められますけれども、通商協定その他の理由によりまして、ある程度は入れなければならぬ。しかし数量が制限されておりますために、どうしても需給に不均衡が生じて、その結果異常に利益が出るというようなものを特定物資といたしまして、これから政令の定める方法によって超過利潤を徴収しようという法律案にねっております。この特定物資としてただいま予定いたしておりますものは、バナナ、パイナップルカン詰、スジコ、腕時計、この四つをただいま予定いたしております。この特別輸入利益の納付及び納付の方法といたしましては、特定物資の輸入につきましては、外貨資金の割当を受けた者は、特別輸入利益を一定の期日までに国庫に納付しなければならぬということになっております。それから特定物資の輸入につきましては、外貨資金の割当を受ける者は、特別輸入利益の納付の保証といたしまして担保を提供するということになっております。それから通商産業大臣は、特定物質の輸入につきましては、外貨資金の割り当てを行う等、特別輸入利益を適正かつ確実に納付させることができるようにその割当を行わなければならないというふうに規定をいたしております。
それから次に規定されておりますのは、特定物資輸入利益の納付義務の免除の規定でございまして、やや技術的な問題でございますが、通商産業大臣は、特定物資の輸入について外貨資金の割当を受けた者が、「外国の輸出の制限又禁止」あるいは「外国の戦乱又は革命」のような不可抗力の事故によりまして、特別輸入利益の納付期限までに当該特定物資を輸入することができないと認めるときは、その特別輸入利益の納付義務を免除する規定を置いてあります。
それからその次は「担保の返還等」の規定でございますが、省略をいたします。
それから「特別輸入利益の返還」につきましての規定でございまして、通商産業大臣は、特定物資の輸入について外貨資金の割当を受けた者が、特別輸入利益の納付をした後において、不可抗力の事故によりまして、輸入の承認の有効期間内に当該特定物資を輸入することができないと認めるときは、その納付した特別輸入利益を返還することができるということが規定してあります。
最後には、この有効期間は施行の日から三カ年という時限法になっております。
以上、簡単でございますが、御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/73
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074・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/74
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075・土田國太郎
○土田國太郎君 ただいま特定物資を聞きそこなったのでございますが、バナナ、パイナップル、時計に何とかがありましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/75
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076・板垣修
○政府委員(板垣修君) 俗称スジコでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/76
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077・土田國太郎
○土田國太郎君 スジコって何です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/77
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078・板垣修
○政府委員(板垣修君) サケ、マスの卵でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/78
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079・土田國太郎
○土田國太郎君 あれは輸入ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/79
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080・板垣修
○政府委員(板垣修君) これはごく少量入っているのですが、利潤が出ますので入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/80
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081・土田國太郎
○土田國太郎君 それからこの四種類の輸入金額並びに各種類ごとの大体の利益金はわかりますか。参考資料に出ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/81
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082・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 輸入量は先ほど御説明申し上げましたように、バナナは六十万かごでございますが、一かご当り納付金の予定は千八百十七円七十銭でございまして、総額十億九千六十二万円、と見込んでおります。次にパイナップルカン詰は年間輸入量は十一万八千七百六十四ケースと見込んでおりまして、一ケース当り納付金を千五百三十九円九十七銭と見込みまして、この関係で一億八千二百八十九万三千円を納付金として見込んでおります。次に時計でありますが、時計の輸入量は百二十万ドルでございますが、これに対しまして三五%の納付金をとることを予定いたしておりまして、この関係で一億五千百二十万円の納付があるものと見込んでおります。次にスジコにつきましては、年間輸入量十万ドルでございまして、納付金をこの四〇%とるものと見込みまして千四百四十万円でございまして、総額十四億三千九百十余万円になっておりますが、それに対しまして輸入時期のズレがございまして、四分の三を見込みまして、約十億八千万円を予定しております。さらに三十年度割当をいたしたもので、三十一年度に繰り入れられるものといたしまして、バナナが二十五万八千かごで、一かご当りの納付金千七百円で、その金額四億三千六百六十万円、パイナッブルカン詰が納付金の単価千四百六十二円に対しまして約六万ケースで、その金額八千六百八十一万六千円、合計五億二千三百四十一万六千円を繰り入れることと見込みまして、先ほど申しましたように前の十億八千余万円と合せた数字が十六億二百七十五万一千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/82
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083・藤野繁雄
○藤野繁雄君 昭和三十一年度のは、今御説明を聞いたのでありますが、第二十二国会に提出された資料によって見まするというと、バナナとパイナップルカン詰で大体七億七千万円くらいの予定であったのが、本年の計画ではその計画の倍以上の収入があるように今説明を聞いたのであります。よけいにとれることは幸いでありますが、どういうふうな理由で前年度と三十一年度の予算とこういうふうな急激の差があるのか、その差がある理由を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/83
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084・板垣修
○政府委員(板垣修君) 差ができました原因は、昨年はいわゆる神戸にバナナを揚げまする浜相場の見方を非常に保守的に見まして、四千五百円と見たのでありまするが、今回の算定におきましてはこれを五千三百円という値段にしたのが、差が出た原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/84
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085・藤野繁雄
○藤野繁雄君 これは新聞の記事であるから正確のことはわかりませんが、新聞の記事によって見まするというと、三十年度の下期の外貨予算による台湾産のバナナの三十万かごの輸入権の入札によって見まするというと、バナナの輸入で政府に納入されたところの差益の金額が約十二億円で、政府が当初予定されておるのとだいぶ違っているというような話であるのでありますが、今お話しのようなことでこの差ができたのであるか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/85
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086・板垣修
○政府委員(板垣修君) 今までバナナの行政措置によう差益徴収は、二十九年度に一回やったわけでございますが、その際は納入価額をきめまして、いわゆる定額徴収をやったわけでございます。従って千七百円、ところがその後昨年の、三十年度にやりましたのは、定額徴葉をやらずに、入札制度をとりましたために、実はただいま御指摘の通り、政府が予想したよりは非常に大きな金額が出ることになったわけでございます。結局十二億という大きな数字になりました。しかしながら、この入札制度は当時やむを得ざる事情のもとに臨時的にやった措置でございまするが。輸入秩序に多少混乱を与えるような傾向がございますので、今後はこの入札制度はできる限りやめまして、やはり定額徴収に移っていきたいと思っております。
ただいま申し上げましたように、三十年度は実は予想以上の収入がございましたので、先ほど主計局次長が御説明しました数字は、一応この法案を提出するときの予想数字でございましたが、この行政措置による数字が多少収入が多くねっておりますので、あるいは若干先ほどの説明よりは本年度の納入金額はふえるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/86
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087・藤野繁雄
○藤野繁雄君 さっきの、今回の入札の三十万かごですが、三十万かごのうちの日本側の業者に割り当てられたのが七七%であるというのでありますが、残りの二三%はどうされる考えであるか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/87
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088・板垣修
○政府委員(板垣修君) 残りの二三%は華商側に割り当てることになっております。中国大使館との協定になっておりまして、この二三%分につきましては、日本側の方でやりました入札価額の平均をとりまして割り当てるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/88
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089・藤野繁雄
○藤野繁雄君 次にはパイナップルのカン詰のその後の状況をお伺いしたいと思うのですが、バナナと同様であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/89
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090・板垣修
○政府委員(板垣修君) パイナップルカン詰につきましては、バナナの入札制度と違いまして、定額制で徴収をしておりまして、CIFの四八%をここでは徴収しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/90
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091・藤野繁雄
○藤野繁雄君 特定物資輸入臨時措置法の第二条によって見れば、特別輸入利益金の算定の方法が書いてあるのでありますが、この算定に、「輸入価額に適正な利潤及び諸掛の額を加えた額と国内販売価額との差額」と、こういうふうなことになっておるのでありますが、「適正な利潤」というのと「諸掛の額」というものと、国内販売の価額というのは、どういうふうにして定められるのであるか、大体の構想を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/91
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092・板垣修
○政府委員(板垣修君) 係官より……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/92
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093・日比野健児
○説明員(日比野健児君) ただいま御質問の適正利潤、それから諸掛りというのと、国内販売価額はどういうふうな構想かという御質問でありまするが、この法案の建前におきましては、外貨を申請する者からその見積りを自分の方で立てまして、これだけ納めますという申請に基きまして額をきめる、こういう構想になっておりまして、今何%が適正か、また諸掛りが幾らになるかという見当は、正確なものは持っておりませんが、大体バナナの出荷価額につきましては七ドル五十セントというのが大体向うの今のきまった価額になっております。それに輸入税が二〇%、それから輸入関係諸掛りとしまして百四十五円八十五銭、それから口銭を三%としますと、輸入総原価が三千四百八円三十銭これは一応予算の算定の基礎でありまして、実際の場合にこういうことでいくかどうかはそのときの情勢に応じましてきまってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/93
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094・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それに国内販売価額というのは、寡少物資だから自由にきめられるような気がするのです。それで国内販売価額をどうやってきめるか、この点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/94
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095・日比野健児
○説明員(日比野健児君) 御指摘のように、バナナの国内販売価額というものは統制しておりませんので、自然の需給関係その他できまってくるわけでありまして、大体の目安といたしましては、神戸の浜に船が若輩ますたびに浜相場というものが立ちますので、それをとりまして——その平均をとるか、また安いものをとるか、高いのをとるかとでこれは違いますが、そのときの情勢に応じまして、浜価格を基準にして国内価額がきまる、こういうわけであります。そのあと卸・小売の段階になりますれば、それぞれ自由な関係で価額がきまる、こういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/95
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096・藤野繁雄
○藤野繁雄君 バナナですね、バナナは中央卸売市場を経由して取り扱うのであるか、あるいはそういうふうなところは経由せずして取り扱うのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/96
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097・日比野健児
○説明員(日比野健児君) バナナの中央卸売市場所在地と申しますか、中央卸売市場に搬入して取引する場合には、中央卸売市場の取引方法によりまして、卸売仲買、小売の段階を通じて取引するようにということは、農林省の方からそれぞれの中央卸売市場長に通達が行っておりまして、必ずそういう段階を通すように指導することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/97
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098・岡三郎
○岡三郎君 この特殊物資についての外貨割当をする基準、そういったものがあると思うのですが、それについてちょっとお話を承わりたいと思います。バナナ、パイ・カンその他二種目の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/98
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099・板垣修
○政府委員(板垣修君) バナナにつきましては、御承知のように国民政府との協定によりまして、年間四百五十万ドルを入れることになっておりますが、この輸入発表をやります際に、われわれといたしましては、この関係業者としまして邦人側と華商側がございますので、この問題につきまして中国大使館側と協定がございまして、二三%を華商側、七七%を日本側ということになっております。これに対しまして従来は輸入実績を主としてこれに割り当てることになっております。それからパイナップルのカン詰につきましては、九五%を輸入実績者、残りの五%をアウト・サイダーに割り当てることになっております。それから腕時計につきましては輸入実績、それからスジコにつきましても輸入実績というような割当方針になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/99
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100・岡三郎
○岡三郎君 そうすると一つ資料をもらいたいのですが、三年程度でいいのですが、いつから始めておるか私、今わからぬのですが、最近における輸入実績という話があったわけですから、外貨の割当を受けた団体ですね、その数量というのですか、金額ですね、それを一つ一覧表にして出してもらいたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/100
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101・板垣修
○政府委員(板垣修君) 輸入業者の割当ごとにですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/101
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102・岡三郎
○岡三郎君 輸入業者、それからそれの数量ですね、それを最近三カ年ぐらいを一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/102
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103・日比野健児
○説明員(日比野健児君) 二十九年の上期まではバナナ、パイ・カンの場合はリンクに使っておりましたが、それ以後は外貨をジェトロに割り当てまして、スジコとか時計は違いますが、一括割り当てまして、そこから実務代行者にジェトロがそれについて割り振りをする、今度のようなバナナについてはいろいろな方式が違っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/103
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104・岡三郎
○岡三郎君 ですからその実務代行者というものですね。結局ジェトロが受けて、そのジェトロが実務代行者にそれを割り振りをしておると思うのですから、その割り振りの状態を、二十九年度以降でいいのですがね、それを一つ資料にして出してもらいたい。
それからここに大体資料が提出されておるわけですが、大体政府の方で今回吸い上げるいわゆる利潤ですね。利潤の一部分を別の法案で吸い上げたものを特別会計に入れるという、こういう法案ですから、実際問題として、大体六十万かごを輸入した場合に、千八百七十七円七十銭ですか、一かごについて。これはどういう基準でこれを出したのかね。いわゆるその差益金を出した計算基準といいますか、それを一つ資料としてお出し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/104
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105・板垣修
○政府委員(板垣修君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/105
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106・岡三郎
○岡三郎君 私は大体それが出たならば、これについて御質問申し上げたいと思うわけですが、その前に一応台湾政権との関係で協定ができて、まあ一定金額を輸入するということになっておるそうですが、実際問題として、日本は有名なくだものの生産国であるところに、バナナを特に入れなければならないという理由がないのだが、台湾に相当のものを売らなければならぬという理由からこういったものを入れておると思うのですが、将来バナナにかわるほかのものがないですか、台湾から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/106
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107・板垣修
○政府委員(板垣修君) 御指摘の通り、バナナはどちらかといいますと、不急不要物資というふうに考えられますが、国民政府との貿易規模が漸次大きくなって参りまして、できる限り米であるとかあるいは砂糖であるとか、こういう必需物資を入れたいわけでありますが、それでも十分でなく、たまたま国民政府側においても、バナナは重要な特産物でありますので、ぜひ買ってほしいという要請が年来ありまして、従って日本側としましても、四百五十万ドルという金額に限り、そのかわりその見返りに台湾側は日本の雑貨、農産物を買うという協定になって進んできておるわけでございます。私どもとしては、もちろんバナナ以外のもっと重要な物資をできる限り今後も入れていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/107
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108・岡三郎
○岡三郎君 それで今年この五種類にしたいわけはどういうことなんですか、これはどこで検討されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/108
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109・板垣修
○政府委員(板垣修君) いわゆる超過利潤を生ずるような物資で、現在いろいろな通商協定等で外国から入れております品物はいろいろあるわけでございますが、そういったそれぞれみな特殊利益をとるには不適当だというものもございまするし、それは現行輸入制度で・特別外貨資金制度で入力ておりますものは、それですでに超過利潤を吸収しておるものがございますので、それ以外の物資のうちで、現在の段階でこういうような措置で超過利潤をとるに適する物資というのが四つになったわけでございます。それを通産省で検討した結果そういうようになったのであります。しかしながら、今後も、もしそれに該当するような物資が出て参りましたならば、それに入れていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/109
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110・岡三郎
○岡三郎君 最後ですが、ジェトロに外貨を一括割り当てるということは、どういうふうな理由からですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/110
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111・板垣修
○政府委員(板垣修君) これは実は昨年、御承知のように、この法律を国会に御提案したわけでありますが、それは審議未了になりましたが、それ以前にやはりこの法律案の趣旨で差益を徴収するということも考えておりましたが、まだ法律も成立はしておりませんですが、しかしながら、一方特殊利潤を放置することは社会事情からおもしろくないというので、法律ができます前の臨時的な措置として、やむを得ず、業界とも話し合いをいたしまして、行政措置としてこの差益徴収をするということになった次第であります。その際便宜上の措置といたしまして、最も政府の監督しやすいジェトロで一括割当をして、ジェトロから実際輸入業者に実務を委託して徴収するという、一種の便宜的制度を考えたのであります。今後はこういうことはありません。政府が直接差益を徴収することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/111
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112・岡三郎
○岡三郎君 今後は直接差益を徴収すると、このジェトロに対して割り当てろということから、どの程度の利益が入るのですか、ジェトロに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/112
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113・板垣修
○政府委員(板垣修君) ジェトロには全然利益がございません。手数料だけは払っておりますが、利益は全然ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/113
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114・岡三郎
○岡三郎君 手数料はどこから払うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/114
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115・板垣修
○政府委員(板垣修君) 差益徴収の中から政府が払うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/115
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116・岡三郎
○岡三郎君 ジェトロの機構といいますか、ジェトロに関してこの前たしか官房長に決算委員会でお願いしたことがあるのですが、その後出てこないのです。官房長に聞いてもらえばわかると思いますが、ジェトロの機構並びに今までの手数料といいますか、その手数料の使用した内訳といいますか、そういったものについて一つの資料をお出し願いたいと思います。それだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/116
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117・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) ほかに御質疑がなければ、本案の質疑は一応この程度にとどめます。
ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/117
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118・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 速記つけて下さい。次に国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案を議題といたします。
まず国際金融公社の協定の概要について説明を聴取いたします。
ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/118
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119・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 速記を始めて。説明を聴取します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/119
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120・佐々木庸一
○説明員(佐々木庸一君) 御審議願いますこの法案は二条の非常に簡単なものでございまして、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案となっております。
一条は、この出資金を出資額に応じまするために九億九千六百八十四万円に相当する二百七十六万ドルを出資することができるという規定になっております。第二条では、この国際金融公社が保有することあるべき円というものは、日本銀行の中に勘定を開きまして、そこに置くのだ、こういう規定を書いたのでございます。
この規定は非常に簡単でございますけれども、この裏づけになります協定がございます。それは国際金融公社協定となっております。この協定は、お手元にすでに差し上げてあると思いますけれども、目下衆議院の外務委員会で御審議願っておる次第でございます。この協定を御説明申し上げなければ、公社の実体はちょっとわかりにくいことになっておりますから、これを御説明いたしたいと思います。なお、この公社に入りますにつきまして要しまする出資額につきましては、先ごろ三十年度予算の補正の際にお認め願いまして、予算上の措置はとれておるわけでございます。
国際金融公社というものに入るにつきましては、ここで御審議願う法律を御協賛願いますとともに、この協定を御協賛願い、すでに御承認を得ました予算を使って入る、こういう次第でございます。
それで国際金融公社協定でございますが、この協定は、お手元に資料をお持ちだと存じますが、各国に対しまして世界銀行が回して参りました案というものを訳してお回ししてございます。全条九条ということになっているのでございますが、この協定の成立の経緯をまず申し上げなければならないかと思うのでございますが、この国際金融公社というふうな国際金融機関が必要であるというふうに考えられましたのは、昭和二十六年でございます。すでに国際的な投資のための機関といたしましては、御承知の、略称しまして世界銀行と申しております国際復興開発銀行がございますが、この国際復興開発銀行と申しますのは、協定の規定上から申しまして、その活動に制約が課せられておるということになっております。その制約と申しますのは、融資します際には、加盟国の政府に融資するか、政府の保証を求めて後融資するというふうな条件がつけられております。それではどうも手の届きかねるところがある。従って政府の保証なしに投融資をし得る機関が必要であろうということから、国際金融公社というものの検討を始められたわけでございます。この検討は昭和二十六年ごろから国際機関でいろいろ行われて参ったのでございますが、まず第一には、そのころ、アメリカにおきまして国際開発諮問委員会というのがございますが、これが取り上げまして、この設置を考える必要ありという結論を出しまして、世界銀行にその研究を要請いたしました。世界銀行はその後三回ぐらい報告書を作りまして、国際連合に対しましてこれを提出しておったわけでございます。昭和二十九年になりまして機が熟して参りまして、アメリカが公社に出資をするという態度を正式に表明いたしましてから案は非常に具体化して参りました。国連の第九回総会というのが二十九年にございましたときに、決議が行われまして、翌三十年の四月に正式に協定案というものが採択になりまして、関係の国にこれが回されたということになっております。この協定案に関係いたしますのは、世界銀行に加盟している国でなければならないという制約がありますので、これは五十六カ国ということになっております。日本もそれに入っておるのでございますから、協定案が回付されましてから承諾を求められるということになっております。この協定は、五十六カ国のうちの少くとも三十ヵ国が加盟いたしまして、株式の引き受け総額が七千九百万ドル以上に達したときに効力を生ずるということになっておるわけでございます。三月一日現在のころでは、十四ヵ国が加盟に必要な手続を完了いたしまして、五千七百万ドルのところまで引き受け額がきまっておるという状態になっておるのでございます。わが国は、世界銀行の加盟国でありますので、公社の原加盟国となる資格を持っておるわけでございますが、その引き受けます資本の額は、世界銀行に対する出資の額で比例的にきめられまして、総額一億ドルの二百七十六万九千ドル、約十億円ということになっておる次第であります。世界銀行におきます総務及び理事というのは公社の総務及び理事を兼任することができることになっておりまして、わが国の総務は大蔵大臣であります。理事は湯本理事がやっておりますが、それらの人が兼務で参画されることになっておる次第であります。
公社の仕事といたしましては、先ほど申し上げました通りに、大体加盟国に対して融資をするということが原則でございますけれども、特に重点を置いておりますのは、低開発国の民間企業への投資でございます。加盟国の民間企業へ政府の保証なしに投資することによりまして、この公社の活動を通じて先進国の資本というもの、技術というものが後進国に導入されるということを期待しておるわけでございますが、わが国の場合においても、またわが国の資本では足りない部分について相手国の資本も、また相手国における民間資本もまた入るでありましょうけれども、それでもまだ足りない分につきまして、このような公社の参加を求めることによりまして資本進出ができ、貿易もまた拡大し得るという利益が考えられるわけでございます。
公社の協定は九条ございますが、第一条は、ごらんいただきますように、目的を掲げておるわけでございまして、今申し上げましたように、加盟国、特に低開発地域における生産的民間企業の成長を助長し、その経済開発の促進を目的としておるわけでございます。この投資がまず第一の目的でございますが、さらにその第二号に書いてございますように、投資の機会、国内及び外国の民間資本、それと経験ある経営者とを結び合せるように努力する、こういうことになっておりまして、従来世銀がいろいろ各国の事情を調査いたしまして、どういうふうな事業がどこの国では投資に最も適するかというよう資料を持っておりますが、こういうものを公社に付して活用しようということのほか、この投資に適する事業があるということをその国並びにそれ以外の民間資本家に知らせまして、これによって資本の導入をはかり、さらに経営ないしは生産の技術を持っておる人をこれに結び合わすことによって、低開発地域の産業を興そう、こういう情報交換の機関にもしたいというのがねらいの第二でございます。さらにこういうことによりまして、生産的投資へ民間の資本の導入が促進されるようになるいろんな条件を設定するというのが目的でございます。
それから第二条は、加盟国となる資格、それから資本構成というものをきめておるわけでございまするが、この公社は世界銀行の加盟国がこれに参加することができるということになっておりまして、世界銀行のいわば姉妹銀行というような関係に立つものと考えられているわけでございます。当初の資本金額は、第二項に書いてありますように一億ドルということになっておりまして、これを干ドルずつの十万株に分けろということにしてあるわけでございます。そうして各加盟国は世界銀行への出資の比例によって公社への出資を行うということになっておるわけでございます。
それから恐縮でございますが、少し飛ばしまして、第三条は業務を規定しておるわけでございまするが、この規定の仕方の特徴と申しますのは、生産的な民間企業に対し資本を投下するということがまず原則になっております。世銀が政府ないしは政府の保証によって投資をするというところが違うわけでございます。この第三条第一項の後半にこの原則をモデファイいたしまして、「その企業に政府その他の公の利権が存在していることは、その企業への公社の投資を必ずしも妨げるものではない。」という項目がつけ加えられておりますが、これは原則が生産的民間企業ということになっておりますところが、東南アジア諸国を見ますというと、社会主義的な計画を立てられておる国が大部分でございまして、民間企業のみということにしますというと、公社の東南アジアにおける活動範囲はせばまろうと思われます。そこで民間企業のみという原則を修正いたしまして、国がたとえば株の何割かを持っておるという形、国と民間との合弁公社の形で生産企業が興されますときに、国が出資をしているからといって公社は出資や融資を行なってはいけないということにはしないということにしておるわけでございます。特に東南アジア地域の特殊事情を考慮して入れた規定になっておると解しております。
業務のうちの特色の第二は、公社が投融資を行います際に、株式資本への投資の形をとってはならないとしていることでございます。これは後進国におきましては民族意識がかなりはっきりした形をとりつつあるというところを考慮に入れまして、外国資本が後進国の——この公社の投資先になる国の企業を支配するというふうな印象を与えるのは避けなければならないというところから、経営の支配を生ずるような株式資本への投資の形をとらないという原則が誉められているわけでございます。従いましてこの公社の業務を考えますときには、社債、貸付金その他の形によって融資が行われると考えている次第でございます。原則はそのように株式資本への投資の形をとらないことになっておりますけれども、公社はまた一方におきまして、自分の出資金を採算のめどが立ったから民間の方で肩がわりしたいという要求がありましたときには、これに肩がわりしてもいい、そのことによって公社の資金の回転率を増そう、こういうふうに考えておりますので、そういう肩がわりをした際には、経営に参加できない形をそのまま引き継がせるということは必ずしも得策ではないと思われますので、転換社債というふうなものに公社としては投資をしておる、公社から民間企業家にかわりましたときに、これが株式になるというようなことをやろうと考えておりますので、それが第二項の融資の形式のうちに入れられておるわけでございます。
業務の第三項のところには、公社の業務上の原則をうたっておるわけでございますが、民間資本が十分に入りそうだという場合には、あえてそれと競争して入っていくことによって民間事業をディスカレジしてはならない、こういうことになっております。
なお二号のところでは、公社は、その加盟国がその領域内のある企業への融資に政府として反対します場合には、公社はその企業に融資をしてはならない。政府と紛糾を起すようなことを避けることを原則としておるわけでございます。さらに第三号におきましては、公社が融資しました資金が、特定の国の領域内で使われなければならぬというようなひもつきであってはならないということを規定いたしております。第四号では公社が投資した企業の経営の責任を負うことを否定しております。これは先ほど申し上げました後進諸国における民族意識を考慮したものであります。その他第六号では、資金の回転をはかるということを規定しております。第七号では危険の分散をはかるということを規定しております。
それから第四項におきましては、公社は経営に参加しない形になっておるものでございますから、投資先の会社の経営がうまくいかない場合に、公社の債権というものが保全されない事態に陥るおそれがありますので、そのような場合には必要な措置をとることができるという規定を特にうたいまして、これは経営に参加しないのだという原則を強く打ち出したことの裏側の規定でございます。
それから第五項におきまして、これは国際機関なるがゆえに公社の投融資その他の活動につきまして為替管理法の適用を排除されるものであろうかという問題が起きますので、これは投資を受ける国の意向に逆らわないために為替管理法上の例外を求めるものではないという規定を置いております。例外を求めない意味におきまして、投資先の国の経済状態をだんだんよくすることによって、為替管理状態が一般に緩和されることを期待しておるわけでございます。
第六項以下は省略させていただきまして、第九項に「政治活動の禁止」の条項を置いております。「公社及びその役員は、加盟国の政治問題に干渉してはならず、また、決定をするに当っては、関係加盟国の政治的性格によって影響されてはならない。その決定は、経済上の考慮のみに基くことが適切であり、これらの経済上の考慮は、この協定に掲げる目的を達成するため、公平に比較衡量を加えられなければならない。」ということになっております。これは国連関係の機関に貫く原則でございます。
第四条には組織及び運営が規定されております。総務会が重要問題を審議するということ、これは各国の大蔵大臣ないしは中央銀行の総裁が当られる、それから理事会がその下にございます。これは業務を運営することになっております。それから付属のいろいろ職員、議長、総裁及び職員の規定でございます。なお世界銀行との関係につきましては、これは世界銀行とは別個のものであるということを規定しておりますのは第四条の六項でございます。それ以下技術的な規定になります。九項以下省略させていただきまして、十二項に配当の規定があります。
第五条以下脱退、資格停止及び業務停止の規定でございますので、省略させていただきます。
第六条は、この公社の地位及び公社に働いております者の特権等を書いてございます。国際的な機関におきますところの通例に大部分従っておりますので、省略させていただきます。
第七条は改正の規定で、「総務の五分の三の多数であってその行使する投票権数が総投票権数の五分の四であるものによる表決をもって改正する」という改正の原則を定めております。
あとは解釈、効力発生の規定でございます。
はなはだ簡単でございますが、大略……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/120
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121・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 本案の質疑は後日に譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/121
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122・平林剛
○平林剛君 きょう私は専売事業に関しての緊急質問を行おうといたしまして、大蔵大臣と売公社当局の責任者を本委員会に出席するように要望したわけであります。委員長からいろいろ御手配をいただきましたけれども、いまだにおいでにならぬ。大臣は三時に来られるという話ですが、一時間半待ちました。私もほかにも質問がありましたが、なるべく遠慮して待機しておった。結局、これは私の見解でありますけれども、当事者が本委員会に対する出席を渋っておると私は思うのであります。
今度の専売事業の中における職員の賃金問題に関して紛争が起きておる。せっかく調停案が出されたが、それがなかなか解決できない。このために紛争が長引いておるわけでありまして、これは大蔵委員会としても収益専売の建前から非常に重要な関心事であるはずであります。こういう意味で私は理非を明らかにさせたかったのであります。ところがここへ出て参りますというと、今起きている紛争の原因は明らかに政府の方の筋が違っており、また専売公社当局も非常に無気力なために紛争を起させているということが明らかになるので、私は察するに、このためいろいろな理由をつけて出席を回避されていると思うのであります。これはまことに私としても遺憾なことでありまして、大した理由もなく出席がおくれていることに対しては、一つ委員長からも遺憾の意を表していただきたいということを要望するわけであります。特に私がそう言いますのは、今電話をかけてみますというと、組合と公社との間における団体交渉は六時から始まるということになっております。出席できないという理由はないんです。こういうことから見て、委員長からも一つそのことについての注意を与えるようにお願いをしたい。
それからなおこの問題については、二、三日当局の態度がこのままでありますというと長引きますから、次回にはぜひ当面の責任者である大蔵大臣と、今日お話をした専売公社の当局の責任者をこの委員会に出席されるように御配慮を願いたい、この点を一つお願いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/122
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123・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) ただいまの平林委員からの御意見はごもっともでございますので、当委員会といたしましても、また私といたしましても、大蔵大臣並びに専売公社の最高責任者に対して、当委員会に適当に出席を促すようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/123
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124・岡三郎
○岡三郎君 大体専売公社の方にいろいろと原因があろうけれども、出て来れんならば出て来れんとなぜ早々と言えないのかということを、私はやはり一言言っておきたいと思う。結局何のためにわれわれがあらかじめ通告して、本日のこの委員会において質疑をしようとしているか、その趣旨はわかっていると思う。ですから本日急に出席してくれと言ったのではないのでね、これは。だからそういったようなことで、一つ次回からはあらかじめ何時何分に出るというふうなことを言って、できないときにはそのつどこういう事情でということを言ってもらわぬと、審議の方としても時間の都合で非常に困るわけだ。委員長の言葉を信じて、来るまでに一つ国際金融公社のやつをやろうと、ずいぶんだらだらした——失礼だが説明があって、要をあまり得ていないと思うのも無理して聞いているわけだ。しかるにそれが終ってもまだ来ぬというわけで、まことに残念でありますが、いろいろな事情があろうと、やはり委員会を尊重して、来れないときにはなお丁重に、ここに専売公社の方の方も来ておりますが、丁重に取り扱ってもらわなければ、これはやはり遺憾の意を表する程度じゃなくして、少し怒らざるを得ないと思う。だから次回は確実に出席するようにこれはお願いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/124
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125・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 本日はこれをもって散会いたします。
午後四時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01319560327/125
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