1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十九日(木曜日)
午前十時五十八分開会
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委員の異動
四月十七日委員苫米地義三君辞任につ
き、その補欠として西田隆男君を議長
において指名した。
四月十八日委員川村松助君、瀧井治三
郎君及び菊田七平君辞任につき、その
補欠として山本米治君、木内四郎君及
び西郷吉之助君を議長において指名し
た。
本日委員西郷吉之助君辞任につき、そ
の補欠として菊田七平君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岡崎 真一君
理事
大矢半次郎君
前田 久吉君
委員
青柳 秀夫君
井村 徳二君
大野木秀次郎君
木内 四郎君
菊田 七平君
白井 勇君
西川甚五郎君
藤野 繁雄君
天田 勝正君
小林 政夫君
土田國太郎君
政府委員
北海道開発政務
次官 白波瀬米吉君
北海道開発庁次
長 田上 辰雄君
北海道開発庁企
画室主幹 柏原益太郎君
通商産業省企業
局長 徳永 久次君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
北海道開発庁企
画室副主幹 桑原 幸信君
大蔵省銀行局特
殊金融課長 青山 俊君
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本日の会議に付した案件
○北海道開発公庫法案(内閣提出、衆
議院送付)
○政府資金の金利引下げに関する請願
(第四号)
○在外財産処理促進に関する請願(第
三二号)
○旧海軍文官の退職賞与未払金支払促
進に関する請願(第五八号)
○三陸沖暴風浪等の被害漁業者の租税
減免に関する請願(第一二三号)
○補助金等に係る予算の執行の適正化
に関する法律の運用に関する請願
(第一五三号)(第二八五号)
○三級清酒設定反対に関する請願(第
二二八号) (第二二九号)
○宮城県仙台市附近に国立たばこ試験
場設置の請願(第二三〇号)(第五
〇九号)
○ビール税率引下げに関する請願(第
二七三号)(第二八三号)(第二八
四号)(第三〇八号)
○山林所得税の軽減等に関する請願
(第三四二号)
○所得税法第八条の一部改正に関する
請願(第三八九号)(第七一二号)
(第九九〇号)
○果実エッセンスの物品税撤廃に関す
る請願(第四四九号)
○岡山県津山市に国民金融公庫支所設
置の請願(第四七一号)
○積雪寒冷地帯の不利条件打破に関す
る請願(第六九〇号)
○税書士法制定に関する請願(第七〇
五号)
○長野県旧武徳会弓道場払下げに関す
る請願(第七一九号)
○はなび製品の物品税撤廃に関する請
願(第八四五号)
○原油、重油の関税に関する請願(第
九二七号)
○旧豊川海軍工しよう跡地価格引下げ
に関する請願(第九三四号)
○引揚者の在外財産補償に関する請願
(第九五七号)
○手巻蓄音器の物品税免税点設定に関
する請願(第九七八号)
○中小企業関係税制改正に関する請願
(第一〇四三号)(第一〇五六号)
(第一〇五七号)(第一〇七九号)
(第一一一六号)
○山形県新庄市日本専売公社出張所を
総合出張所に昇格するの請願(第一
〇四四号)
○化粧品の物品税軽減に関する請願
(第一一〇五号)
○労働金庫に対する資金運用部資金長
期融資の請願(第一一一〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/0
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001・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) これより委員会を開会いたします。
議事に入ります前に委員の異動について御報告いたします。
四月十七日付をもって苫米地委員が辞任、その補欠として西田隆男君が委員に選任され、十八日付をもって川村委員、滝井委員及び菊田委員が辞任され、山本米治君、木内四郎君及び西郷吉之助君がそれぞれ委員に選任されました。
また、本日付をもって西郷委員が辞任され、菊田七平君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/1
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002・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に、北海道開発公庫法案を議題として、質疑を行います。質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/2
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003・藤野繁雄
○藤野繁雄君 まず最初に資料を要求しておきます。これは第一次五カ年計画のうちの二十七年度から三十年度までは実績が出ているはずであるから、計画と実績との対照の表を出していただきたいと思います。それから実施計画の第一編は配付してあるが、第二編特別会計その他に関する分が配付してないから、これも後刻出していただきたいと思います。出してありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/3
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004・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) ただいま藤野委員から御要求のありました資料につきましては、第一にお話のございました第一次五カ年計画を実施との関連の資料、二十七年度から三十年度までの資料は、即刻お手元に配付いたしたいと思います。しかし、第二の御要求になりました第一次五カ年実施計画の第二編につきましては、実は開発庁の方ではいまだこれを用意しておらないのでございまして、第一編の公共事業費及び産業経済費関係だけの資料しかございませんので、第二編の何につきましては、いずれできましたらば、これは当然提出いたすべきでございますが、現在ございませんのでお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/4
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005・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから資金計画ですね、資金計画の「昭和三十一年度北海道開発公庫法業種別投資資金計画試案」、これによって見まするというと、設備資金が七十億、長期運転資金が十億と、こうなっておる。それから別な資料によって見まするというと、貸付金が七十四億、出資金が五億、こういうふうになって、資金計画が二つの資料では違っておるが、この違っておるところの理由、それから事業では債務保証をやる、こうなっておるが、債務保証はやらないのであるかやるのであるかというふうな点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/5
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006・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) その点御説明申し上げますが、七十億と十億のやつは、昭和三十一年度における公庫が投融資する対象の事業についての資金表でございます。それから七十四億のやつは、これは予算書に載りましてやった計画でございます。そして本年度は債務保証は行いません、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/6
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007・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから業務の一部を委託するところの金融機関ですね、この金融機関はどういうふうな金融機関ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/7
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008・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) その点はまだ目下検討中でございますが、今年は業務委託は行わない予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/8
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009・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから公庫が政府から借り入れるところの金利と、政府が公庫に貸し付けるところの金利とは差がありますか。二十六条の規定です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/9
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010・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) 二十六条の第一項と第二項は結局同じことを言ったのでございまして、政府から資金を借り入れる場合、それから政府が公庫に対して資金を貸し付ける場合は、一応六分六厘でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/10
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011・藤野繁雄
○藤野繁雄君 公庫の設立の順序になってくるのですが、それは一番先に、第四項によって設立委員を任命されるのですか、あるいは第二項によって設立委員の任命と同時に公庫の理事長及び監事は同時にやられるのであるか、この前後の関係どうされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/11
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012・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) 同時でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/12
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013・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから同じく設立手続の第七項ですが、「前項の引継を受けた日において、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。」、こういうふうなことを書いてある。それでこれは「引継を受けた日において、政令で定めるところにより、」だから、引き継を受けた日に登記ができますか。不可能のことがありゃしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/13
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014・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) その点は御質疑のような点も起るかと思いまして、政府機関でございますから、あらかじめ登記所とも連絡して、そういう事態が起らないようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/14
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015・藤野繁雄
○藤野繁雄君 政府機関であるけれども、その引き継ぎを受けたのが執務時間内であったらばいいけれども、執務時間をこえて引き継ぎがあるようなことがないとも限らぬし、その日というようなことがおかしいと思っているのです。
それから第五条に「公庫は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。」というようなことを書いて、また付則の第七項では「政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。」、こういうふうに二重に書く必要があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/15
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016・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) 第五条の方は、登記全般にわたることを政令で定めておるものであります。それからその付則の方は、政令で引き継ぎを受けた日においてという何がございますから、その日に関する限りのことを政令で定めた、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/16
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017・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今の登記の日ですね、その日でいいのですか。私の過去の経験からすれば、そういうふうなことは不可能なことが往々にしてあるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/17
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018・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) ただいまの点は、すでにできました四公庫も同じような条文でやっておるそうでございます。まあ今までのところ支障ないような状態でございます。御指摘の点のようなことのないように遺憾なきを期したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/18
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019・青柳秀夫
○青柳秀夫君 この北海道開発公庫の基本的の性質についてお伺いしたいんですけれども、この第一条によりますと「北海道における産業の振興開発を促進し、国民経済の発展に寄与するため、長期の資金を供給すること等により、民間の投資及び一般の金融機関が行う金融を補完し、又は奨励する」、こういうふうになっておって、非常にけっこうだと思うのでありますが、今までの各種の金融機関では北海道の開発に不十分だと、こういう御趣旨でこれをお作りになるのでございますか、まずその点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/19
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020・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) 今のお尋ねの点は、基本事業に対しましては、河川であるとか道路であるとか、そういったような点は非常に順調に年々多額の国費を出してやっておるのであります。しかしそれに伴って起ってくる産業というものに対しては、北海道は御承知の通り非常に特殊というか、条件がよくないので、収益の率が非常に低いのです。また収益の上ってくるのが非常に時日を要するというような点から、北海道でなかなか開発をどんどんやっても事業は起ってこないわけです。それでこういう公庫をぜひ作らないと、呼び水的な役割をするものがないとできない、今日までの第一次計画の実績から見ても、どうしてもこういう一つの金融の道を開かなければ、それに関連した産業が起ってこないということが痛感されるので、実はこういう公庫を作るということにしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/20
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021・青柳秀夫
○青柳秀夫君 この資料をちょうだいしましたので、これについて拝見いたしますと、一般の金融機関、銀行、その他のほかに特殊の金融機関として現在あります日本開発銀行、日本長期信用銀行、ずっとございますが、これらの機関では北海道の開発には不十分である、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/21
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022・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) それぞれの、農林漁業金融公庫なり、まあ今のお話の開発銀行なり、それぞれありますが、しかしどうもそれらでまかなわれておる範囲というものはきわめて範囲が狭くて、そうでなしに、北海道の開発に伴って二次産業的の仕事というものが、どうも全国一律の比率によってまかなわれておる程度では開発が促進しないというようなことが痛感されておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/22
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023・青柳秀夫
○青柳秀夫君 この開発銀行その他の特殊の金融機関のことは別といたしまして、北海道における金融機関のこの表によりますと、第一の銀行においては、預金の方は三十年の九月現在において千百四十一億の預金がある。それに対して貸出の方は八百六十五億、その間二百七十六億貸出が不足しておりますが、せっかく集まった預金を北海道内で消化しないというようなことについてはどうお考えになっておるか。その点は大蔵省の銀行局から御出席になっておれば、そちらの意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/23
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024・青山俊
○説明員(青山俊君) ただいま御指摘のございました点は、預金になりましたものが全部貸出に回るというわけで……。このほかにいろいろ債券を持ちましたり、その債券を通しましてまた北海道の開発事業の方に資金が出ておるということになっておりますので、預金そのもののすべてがすぐ全部貸出になるというわけではないと思います。しかし全般といたしまして、北海道で集まりました預金は極力北海道の産業のために使わるべきものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/24
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025・青柳秀夫
○青柳秀夫君 もちろん預金全部が貸出になるとは思っておりませんけれども、その開きが、内地における金融情況と比べて一体どうなっておるか。むしろ北海道の、投資しなければならない北海道に対して預金を集めた金融機関が、東京とか大阪の方に持ってきてその金を使ってしまうと、こういうことはあまり無理な政策はとれんと思うのでありますけれども、一面に政府が十億円出して、さらにいろいろの点で八十億の金を入れられるということはけっこうだと思いますけれども、現在ある金融機関をいま少し鞭撻されるというか、北海道開発について重点的に資金を出せと奨励されれば、こういう銀行でもいま少し、二百七十六億というのが普通銀行、相互銀行でも三十七億ですか、信用金庫でも四十九億、金が余っておる。そういう点について努力が足りないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、実際今御答弁になったような意味で、全部債券その他で出ておるのかどうか、その点を重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/25
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026・青山俊
○説明員(青山俊君) ただいま御指摘になりました点につきまして具体的なケースをただいま持っておりませんので、詳細なことはお答えいたしかねますけれども、たとえば東京なり、北海道以外のところで銀行、金融機関が融通いたしましたものが、北海道の方にまた事業資金として流れているという点もあるわけでございまして、もちろん御指摘の通り北海道開発につきましては、政府といたしまして極力その土地において活用されるということは従来からも考えておるところでございますけれども、金融機関それ自体、また独自の立場でも融資を判断いたすわけでございますが、これを全面的に強制するということはなかなかむずかしいところでございまするが、御指摘の点につきましては、今後十分考えて参りたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/26
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027・青柳秀夫
○青柳秀夫君 これは数字の点なんでございますが、ちょうだいしたこの資料にちょっと理解できないところがあるので、この機会に確かめておきたいのですが、この表の二枚目の開発銀行の欄に、二十九年度の北海道に対する貸出額は三十二億幾ら、こうなっておりますが、こちらの三枚目の表によりますと二十八億円になっておる。これはどういう違いであるか。
それから農林中央金庫の貸付決定額というものが八百三十八億というのが出ておりますが、一番初めの表によりますと、農林中央金庫のは非常に違ってきておりまして、それは二百四十三億、これは数字の何か間違いじゃないかと思うのですが、農林中央金庫は八百三十八億と出ているのがほんとうか、二百四十三億がほんとうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/27
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028・青山俊
○説明員(青山俊君) 日本開発銀行の方はちょっと今手元に資料がございませんので調べさせていただきたいと思いますが、農中の方は、三枚目の方は貸出残高でございまして、それから二枚目の方は純増額という計数をあげております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/28
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029・青柳秀夫
○青柳秀夫君 なおほかに御質問の方がございますから、私はこの程度で一応自分の質問をやめますが、私はこの公庫のできることは非常にけっこうだと思うのですけれども、ただ新しいもののみに頼って、今まで活用できればできる、あるいは開発銀行とかその他の機関に対する政府の方針というものが十分でないとすれば、もっとそちらもあわせて御鞭撻になる方がいいのじゃないか。新しいものに非常に何というか、期待を置かれても、できたてなんというものはそう働けるものじゃないので、あまり大きな期待をお持ちになると、かえって効果が上らないのじゃないかと思いまして、数字の点等から一応御質問申し上げたわけでございますから、私は、この程度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/29
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030・天田勝正
○天田勝正君 ただいま青柳委員が質問された中に非常に重要なことがございますので、私も実はそれに関連して第一に質問したいと思うことは、昨今総合開発という問題は、単に北海道のみならず、各地において取り上げられておりまするし、国全般としてもこうした方策をもっていたさなければ、わが国のような狭い地域に多くの人間が生きていくということは困難でありまするから、その意味において総合開発はまことにけっこうであり、その裏づけとしての資金を十分回すということもこれまた必要であります。しかしながら、すでにそうした必要のために、先ほど来言われておりまする開発銀行であるとか、長期信用銀行であるとか、もろもろの公庫、こういうものができておるわけでありまして、特に北海道に関してこれらとは別個に開発公庫を作らなければならない、こういうことについての説明はまことに不十分であります。ただこれは既存の開発銀行以下の銀行及び公庫というものは、融資の範囲が狭いということをおっしゃっただけでありまして、さればといってこのいろいろある銀行、公庫によって——長短それぞれあるのでありますけれども、それを相補うならば、既存のものをもってしても、どうもこの北海道総合開発に即応する仕事ができないとは考えられないわけですが、その点を一つ明確に、どうしても北海道に限ってこの公庫を作らなければならないという点を一つお示し願いたいと思う。これは本省関係から一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/30
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031・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) いろいろな機関が全国的にはあるのでありますから、お尋ねの点はごもっともだと思うのでありますが、実際北海道を見ますと、いずれの点から考えても、どうも条件が、非常に立地条件が悪い。さいぜんも申しましたように、かりに事業を始めましても、どうも利益の上ってくることが非常におそい、そうしてすべての条件から言うと、どうもあそこでは事業が成り立ちにくい。従って金融機関の方でも投資するということに対してはよほど大事をふんでやらないといかぬ。そういうようなふうにだんだんなってきて、従来から北海道は非常に膨大な地域であるからあそこへ行って一つ大いにやってみようというて内地から行った人でも、その事業を中途にして引き揚げてくるといったようなふうになって、まるで北海道自体は原料生産といったような立場に置かれているのです。しかしあそこへ相当な人口を移植しよう、あるいはあの開発をどんどんやっていこうというのには、どうしてもあの土地で二次産業、産業というものを相当発達させなければ、人口を一般に考えられているほど北海道に移すこともできぬし、それからまた、たくさんな資源があるというておりますけれども、それを開発することができない、こういった面がもう他に比べましても、特に行ってみましても感じるのです。それでこの際にいわゆる公共事業費に基く開発をどんどんやるにつれて、やはり二次産業、三次産業というものをつちかうていくのには、低利にしてしかも長期の金を貸してやるということにしないと、どうしてもあそこの、つまり一次計画、二次計画を立ててみましても、それに伴って人口もふえないし、それから開発も割方できない。そういうことが痛感されて、これはもう一つ開発を前進する一つの足がかりになるのには一番大きな役割を果すと、われわれは実は考えておるし、審議会などでもそういうふうにこれがもう焦眉の急だというようなふうな見方を実はしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/31
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032・天田勝正
○天田勝正君 その点一応わかるのでありますが、しかしこうした総合開発というのは、何といっても精神文明の方でなくて、物質文明の方面を充実する、こういうことが主眼であろうと思うのですが、その面から見ますると、むしろ内地と北海道の関係を言うならば、東北等から比べれば、はるかにすべての面で、こまかいことを言えば衣食住、こういうような面に現われた点から言いましてもこれは東京に近い、こういうことはだれでも行ってみればわかることなんです。それだけにやはり交通の関係でも案外内地の僻地よりかずっと中央から行く場合も便利であるしいたします。それを立地条件云々ということを今政務次官仰せになったのですが、立地条件と言ってみたところで、それは日本はしょせんアメリカの一州ぐらいしかないところなんですから、こまかく考えれば、おそらく立地条件は、ここと埼玉県の南部でも違うといえば違う、違わないといえば違わない。北海道と内地といったところで、それほどどうもその立地条件があまりにも不利だというふうには、私ども最近行ってみましてもどうも考えられない。そういう点から言うと、やはり既存の開発銀行、あるいは長期信用銀行あるいは農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、こういうそれぞれの特徴を持った機関を内地と同じく活用できないという基本的な要するに理由というものがどうも私どもに発見できないわけです。でありますから、今の説明は説明といたしましても、さらにこれらを私どもが納得し得るような一つ説明を開発庁からでもけっこうですが、もう一ぺんしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/32
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033・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) お話のようにいろいろな特殊金融機関があるのだから、しかしそれらではやはり、北海道に頭で融資分量を相当広い範囲にきめられて、まだ未開発である土地に合うようなふうに非常に融資する分野が大きく取り上げてあるとか何とかということであると、そういう点も考えられますが、それから非常に東京から近ごろ飛行機で近いのだから、内地とそう違わぬじゃないかというふうにお考えになっておりますが、たとえて申しますと、あそこで事業をやろうとして、かりに一つの固定設備にしましても、ああいう非常な零下二十度にも三十度にもなるというところでは設備費としても相当多くかかる。それからあそこに生活する者の上からいっても、内地と同じ条件のもとからいうと非常に高くつく。従って事業をやりましても、ある程度の基礎が固まって、相当な年数を経ないと相当な利益を上げていくということはなかなかできない。そうするとそこにやはり普通の金融機関ではすぐに利益の上らないものはまああと回しじゃというようなふうになってくるし、あの特殊金融機関にしましても、まあ大事をふんでそう北海道に特殊に金融の量をふやすということもなかなか困難であります。そういう点から考えて、どうしてもまあある程度発達するまで、開発されるまでやはりこういうものでないと、二次産業、三次産業というものはどうしてもふえない。現在北海道があれほどやかましく言われても事業がふえていかない。それから計算上は一千万にするとか、一千五百万が適当だとか言われておるけれども、なかなか人口増加というものもいかない。それもやはり二次産業、三次産業というものがふえないとどうしてもいかぬ。そうするとやはり何としましても第一に考えなければならぬのは、長期で、しかも金利の低いものをここにあてごうてやらなければ、呼び水的にあてごうてやらなければ、ほかのものが投資しないというようなことがはっきり現実において現われているのでありますから、これができますれば、相当私は二次産業、三次産業というものがふえてくる。従って人口もふえてくるというようなことになると、そういうふうに実は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/33
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034・天田勝正
○天田勝正君 その点はそれで打ち切ります。説明によりますと、この公庫は一般の金融機関と何らその仕事の内容において競合いたさない、こういうことを強調されております。一方政府といたしましては、今年度の予算編成に当って、御承知のように政府の投融資をば、一般市中銀行が相当預金等も潤沢になったという関係からして、市中銀行の融資に肩がわりをする、こういう方針を明らかにいたしておるわけであります。そういう際にこの公庫を政府資金によって設立する、この関係は一体どう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/34
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035・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 民間資金に政府資金を肩がわりするという事実とそれについての考え方、これは大蔵当局の国全体の支出の考え方から出てくる問題であろうと思いますが、開発公庫に関連いたしましてお答えいたしますと、開発公庫は、今、白波瀬政務次官からお答えいたしましたように、北海道の特殊性、ことに企業につきまして特別な条件下に、不利な条件下に置かれているこの北海道を、いかにして金融面から民間の資金の呼び水的な役割を果させて、北海道の産業開発をやるかという問題でありまして、市中銀行につきましては預金もふえ、それぞれの観点から融資をしていくわけでありますけれども、資金が潤沢であるなしにかかわらず、北海道の企業に対しましてこれが貸付を十分やってもらわないということについては大した変りはないと考えるのでございます。従ってこの際、国策としまして、北海道開発公庫はこの難問題を解決しまして、北海道を国家的な意味において急激に開発していこうというねらいから、特に政府の監督の会計から十億円出し、また預金部資金から三十億を出しまして、その上に民間資金の四十億を加え、北海道の重要なる産業の開発に沿いまして特別な融資をしていこう、また必要によりましては出資もいたし、将来債務保証もしていこうというふうな特殊な金融機関を作る必要があってこの公庫案を提出いたした次第でございまして、北海道の特殊性から開発公庫がきわめて必要であるという観点から、特にこの北海道の金融問題を解決していこうというのが、この公庫のねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/35
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036・天田勝正
○天田勝正君 白波瀬次官の説明と今の説明からいたしまして、何としても低利の資金を潤沢に融資しなければ、北海道のごとき特殊な立地条件における産業は起せない、こういうことであろうと思います。そういたしますと、まず今年度は十億円の資本と、それから資金運用部からの三十億円の借り入れ、民間資金四十億円、こういうことで一応融資計画を立てられるようでありますが、さてそこで、この民間資金を動員するための債券を発行する場合には、結局資料に、ここにありまするように、七分五厘近い利回りになる。しかもこの金が一番多い。さらに法律によれば、資本金の二十倍程度を限度として債券発行ができる。まあ今年のことでありませんけれども、そういたしますると、やはりこの融資可能の資金の利率というものは少くとも七分五厘以上になる。そこで企業者が借り入れるために実質的な金利というものは、いろいろな手数等もかかりまするために、おそらく八分乃至九分、こういうふうなことになるのではないかと予想されますが、そうなりますれば、あまり低金利ということにならぬと私は思うのですが、北海道においては、この程度で、実質的には八分くらいのあるいは九分くらいの金利をもってしても、二次産業をかなり興し得る、こういうお見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/36
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037・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) お話の通りのようにわれわれも感じておりまして、実は一番最初計画しておったのは、この公庫は金融ということだけでなしに、もっと投資もやり、そうしてそれに金融もはかっていくといったような性格のものにしたいという考えでおったのでありますし、またそうすれば、結局その金利の問題も、他の特殊機関とにらみ合せた程度の金融、つまり金利におし進めていくことができると考えておったのですが、いろいろの財政上の都合で、いわゆる政府資金が、資本金が非常に少くて、その点はまだ十分ではないと考えておりますけれどもも、しかし一定の据置期間があり長期であるというために、この公庫というものが北海道に二次産業、三次産業のもくろみを相当促進しておる実情に現在でもあるので、大体まあ金利はあまり安いとは言いかねるけれども、しかしこれによって北海道の二次産業、三次産業というものが相当期待されるということは、私は確かに言い得ると考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/37
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038・天田勝正
○天田勝正君 これは結局金融公庫のような小口貸出をする例と比較するのは当らないかもしれませんけれども、金融公庫等ではどうしても一割一分の金利をとらなければ成り立っていかない、こういう実例がございます。この場合は政府の十億円の資本金、それから特別会計からの借入金、民間資金の動員、それぞれまず借り入れる場合の金利というものが違うわけですけれども、さて貸し出す場合の、これらをトータルした実質的な金利においては幾らで貸し出せるということでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/38
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039・青山俊
○説明員(青山俊君) 貸し出しの金利につきましてはいろいろ現在検討いたしておりますが、大体開発銀行の基準金利というものを勘案いたしましてきめて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/39
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040・天田勝正
○天田勝正君 なんぼになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/40
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041・青山俊
○説明員(青山俊君) 開発銀行の基準金利は現在九分でございます。大体九分のところを一つの目標といたしまして、貸出金利を実際にきめて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/41
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042・天田勝正
○天田勝正君 提出されました資料によりますと、何か高度の産業を興そう、それに融資しよう、こういうことが明らかでありますけれども、さて、その日本の産業構造は何といっても中小企業が圧倒的に多いわけでありますけれども、この中小企業という資金の至って乏しい産業、これらを一体育成するについては、この高度の——ここに業種別投融資計画試案、これに盛られたような高度の産業を結びつけるということはなかなか困難であろうと思いますけれども、中小企業に対する融資についてはどういう構想を持っておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/42
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043・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 御指摘の中小企業に対する金融はきわめて重要な問題であり、ことに北海道におきましても中小企業の発達ということを大いに期待をいたさなければならないと存じます。しかしながら、この北海道開発公庫といたしましては第一条の目的にありますように、北海道における産業の振興開発を促進して国民経済の発達に寄与するという大きな目的を持っているのでありまして、要するにこれが第一の目的でありますがゆえに、今後樹立されまする北海道の第二次五ヵ年計画等の線によりまして、産業の開発を促進していかなければならないのでございます。従ってこの北海道開発公庫がねらいまするのは、ただいまお話のありましたような相当高度の工業、高度の産業を助長していくところに重点をおかなければならないと考えておるのであります。中小企業につきましては、中小企業金融公庫を初めといたしまして、あるいは商工組合の中央金庫だとか、農林関係におきましても農林中央金庫やら農林漁業金融公庫がこれが当然扱っていくべきものでありまして、同時に特にこの北海道開発公庫が今後運営されていきます際に、これらの中小企業を対象といたしておりまする政府関係の特殊金融機関の活動を妨げるというようなことがあってはなりませんし、同時にまたこれらの特殊金融機関が、公庫ができたために貸し出しを手控えするというふうなことがありましては重大問題でありまして、その点につきまして、むしろ非常に心配をいたしておるような次第でございます。これらにつきましては関係各省とも十分協議をいたしまして、これらの公庫が十分従来通り北海道における金融上の活動をしていただくことを約束いたしておるのでありまして、北海道開発公庫は、これらの金融公庫の手が及ばない仕事であって、しかも北海道開発上重要なる産業に主点をおくということでありまするので、やはり一定の資金の制限といったようなものを置いて進んで行く必要があろうかと考えております。しかしながら、同時にまた中小企業にしましても、北海道産業開発上重要なる事業を行なっていくものにつきましては、それらにつきまして具体的な事例に徴しまして、これが金融上救済をはかっていくという必要もあろうかと思います。これらにつきましては、いずれも北海道開発金融公庫ができまして具体的な業務方法書を決定いたします際に、十分考慮していかなければならない事項であると思います。ただ全体的には北海道開発公庫は相当大きな事業、高度な事業を対象としていかざるを得ないということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/43
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044・天田勝正
○天田勝正君 私の質問に一つ端的にお答え願いたいと思うのですが、私はこう思う。中小企業の形態というものが私はおよそ二通りあると思う。一つはドイツ型であり、一つはアメリカ型だと思うのです。質問ですからあまり詳しい説明はやめますけれども、日本の中小企業はアメリカ型と言い得るし、また若干違う。というのは日本の中小企業は下請産業としての性格を持つとともに、さらに小さいながらも大企業と同じことをやっている、こういう性格なんです。こういう形である限りはいつまでたっても、中小企業というものは自立はできない運命に置かれている。いかように政府が御答弁になって、それをやろうとしても実際はやられていない。そしてケース・バイ・ケースで、具体的な事例が上ってきたならば、一つそれについては十分考慮したいという、こういう今の御答弁です。しかし事実はいつも、ほかの面においても、質問した場合に答弁が同じくなされるなら、さて実際には中小企業の育成ということは企業面においては少くともはかられない、これが事実なんです。そこで何としたらいいかと言えば、いわゆるドイツ型に、小さいのは小さいなりに完成品を作る。小さい工場なら、ドイツは精密な計器なり、これをやはりちゃんと商品になるまで仕上げていく、その一部をやるのではない、こういう形をとっている。日本のごとく中小企業が圧倒的に多い国においては、従来の下請産業から、今言った小は小なりに完成品を作っていくという中小企業の形に切りかえていかない限りは、私は中小企業の救いはあり得ない、こう思っているんです。幸いこうした公庫ができれば、北海道のような特殊なところでテスト・ケースとしてでも、そうした育成がなされるならば私はきわめて幸いだと、こういう考えを実は持っているので、その意味から中小企業の育成についてどう考えるかという実は質問をしたわけであります。でありますから、北海道開発庁においては、単に今まで内地において中小企業育成等について本院の議決やいろんなことがございます。それらに対する当りさわりのない答弁ということでなしに、ほんとうに高度の産業と中小企業というものを動員するについての、やはり育成指導というものがきわめて懇切丁寧に行われなければならないと信じておる次第でありますが、そういう点について何か構想がおありでしょうか。ないならないで、あとでそういう研究するならするで答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/44
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045・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) ただいまの貴重な御意見をつつしんで拝聴いたすのでございますが、中小企業について、ただいま基本的にお答えする準備をいたしておりません。ただ開発金融公庫につきましては、先ほど申しましたような本質を持っておりますので、そういうことで運営をいたすほかないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/45
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046・天田勝正
○天田勝正君 次は、生産性の問題ですが、第二次産業第三次産業を興すことによって雇用の増大をはかる、こういうことは何としても必要なことでありますけれども、単に雇用を増大するというだけでは国際競争場裏には臨めない。そこで生産性の向上ということが問題になるわけですが、ここに並べられておりまする高度の産業、こうしたものの融資に当って生産性をいかに向上して参るかという、やはりこれまた指導もなければならないし、そういう心がまえにもしなければならないと存じますけれども、それらの点についてはどうお考えになっておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/46
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047・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) その点は、北海道の産業は、現在のところわれわれの考えといたしましては、大企業でかつ機械化型の鉱工業でなければ、労働費その他が非常に高いので非常に不利になるわけです。それでわれわれといたしましては、あくまで北海道における産業は当分の間は大企業で、かつ労力費の少い産業を伸長していかなければならない。そうなれば生産性の面では非常に高い産業でなければならぬということになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/47
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048・天田勝正
○天田勝正君 それならばさっきの中小企業の育成——当面の仕事としては中小企業の育成などはやらないのだ、大産業に偏重といってもいい融資を行うのだ、こういうことになると思いますが、さようですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/48
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049・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) その点はわれわれはその大企業を中心として下請の中小企業を振興していきたい。中小企業を対象にして北海道の産業を振興開発するのはなかなかむずかしいのではないかというように考えております。それから既存の中小企業に対しては、中小企業金融公庫等の一そうの活躍によって十分な根をはやしていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/49
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050・天田勝正
○天田勝正君 それで次は、融資対象として航空事業というのがある。この航空事業というのは、どこの国といえども、これは中央部に興る産業なんです。その産業の性質自体がそうなんです。しかも必ず各国ともに直接間接に多くのやはり政府の資金が投入されて、初めてこれは発展していく産業の性質を持っている。ところがここに北海道開発公庫の融資計画に航空事業、こういうのがあるのですけれども、これは北海道において別個の航空事業を興こすということですか。そうでなく、結局これは中央の航空事業に融資して、それによって離島航路の整備——これはもっとも船の場合もあるでありましょうが、そういう交通運輸の発達を期するために、結局これは中央に融資するのだ、こういうことなんですか、どっちなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/50
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051・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) ただいまの御質問の航空事業は、北海道のみの地方航空事業でございます。離島航路についても同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/51
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052・天田勝正
○天田勝正君 一体二億円ばかりの融資をやって北海道だけの航空事業というものが成り立つのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/52
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053・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) 現在北日本航空という航空会社がございまして、すでに事業は開始しておるのでございます。それで本年度はさしあたり二億円の範囲内において融資をする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/53
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054・天田勝正
○天田勝正君 日本航空といえどもかなりの資金を与えていて、これは私、商工委員会で議論したことなんですけれども、依然として赤字続きなんです。そうしてその原因として各国の航空事業の比較を私ども調べたことがあるのですが、その結果が先ほど申し上げましたように、何といっても航空事業は非常に政府が力を入れて育成した結果成り立っておる、これは事実です。そこで私が心配するのは、今現在そうした北海道の独立した航空産業がありましょうけれども、将来性は一体あるのかどうかということになると、全く危惧せざるを私は得ないのですが、そういう実績はどうなんですか、将来保証ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/54
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055・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) 現在北日本航空は御指摘の通り、黒字を上げている会社ではございませんが、稚内あるいは釧路、いくいくは函館という区域を結ぶことによって十分採算が合う、特に北海道におきまする、たとえば札幌から稚内に参りますのにも十時間以上を要しますし、それから札幌から釧路に参りますのにも十時間を要します。そこでもし航空事業というものが完全に発達するならば、相当北海道の関係の交通は便益になりますので、必ずこの成果は上る。特にこれは御参考まででございますが、ただいまの札幌−東京間が、日本航空でも黒字の線だということを聞いております。北海道におきましても同様に、道内航空につきましても相当の収益が上るだろうというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/55
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056・天田勝正
○天田勝正君 次に観点を変えますが、この開発公庫の融資の形といいますか、つまりその貸す具体的な方法といたしましては、単に市中銀行が事業者に貸すような形で行うのですか。それとも、融資した相手の会社の株を取得する、こういうような形で貸すのですか、どういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/56
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057・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) それは出資の場合には、相手の会社の株を取得いたします。それから融資の場合は、公庫が直接に事業会社に対して融資いたします。ただし公庫は市中金融機関と協調融資で融資を行うことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/57
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058・天田勝正
○天田勝正君 そうすると、前段の出資の場合を伺いますが、かなり多くの会社に出資をすることも可能でありますから、従ってこれは持株会社の性質を帯びてくる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/58
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059・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/59
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060・天田勝正
○天田勝正君 そうすると、持株会社の性質を帯びるならば、当然にこの開発公庫が、だんだん二十倍の債券発行ということになり、その基礎である資本金がだんだんふえていくということになるというと、かりに五十億くらいにふえるならば、一千億の資金を調達するということは簡単になってくるわけですが、そういたしますと、その資金を動員して持株会社になるならば、ほとんど北海道の全産業といっては言い過ぎかもしれませんが、大部分の有力産業の死命を制することも可能である、こういうことになると思いますが、その点どうです、政務次官、大へんな問題ですよ、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/60
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061・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) それはまあ非常に資本金がどんどんふえていったら、そういうこともまあ想像はされるかもしらぬが、そういうところまでを考えておるわけじゃないのです。それから北海道の鉱工業などは、まあ開発銀行が出しておる石炭のごときは、相当な金額が出ております。おそらくそんなところまでこの公庫がやることがいいか悪いかは別問題として、かりにいけるとしましても、そういうことはとても不可能である、ただ、もうほんとうに他の金融機関あるいは民間資本でおい立ちがしにくい分に対して、そういう呼び水的の役割を果すということが公庫の使命である、そういうふうに考えるべきであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/61
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062・天田勝正
○天田勝正君 これは何か法律的な規制をしておきませんと、白波瀬次官が個人としていかようにお考えになろうとも、これは資本主義の発達史なんですから、金融機関が何というたって産業を握り、その人事権を左右して参るということは、ここに一々どの会社はどうなったという理由をあげる必要のないことで、皆さんよく承知のところなんです。必ず金融機関というものは持株会社になり、その結果は、やはり重役を送るとか、みなそういうことになっているんですよ。これはきわめて危険だと思いますがね。その点は何か今そうでないならば、法律的な規制を用意されなければいかぬと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/62
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063・桑原幸信
○説明員(桑原幸信君) その点は資本金で第二十一条に「公庫は、第十九条の規定による出資の額の総額と同条の規定による保証に係る債務の現在額の合計額が第四条に規定する資本金の額をこえることとなる場合には、新たに出資又は債務保証をしてはならない」という規定で、一応出資の限度が押えられてございます。たとえば本年度におきましては、公庫の資本金は十億円でございますから、その中の五億円を出資に充てることが最高限度になるのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/63
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064・前田久吉
○前田久吉君 青柳委員、天田委員の関連質問のようなことになるのですが、第一次総合開発計画、第二次と並行しての公庫というような御説明がありましたが、第一次計画ごろの金融情勢と非常に違って、現在は開発銀行、長興銀というものは非常に金が余ってきておる。特別に公庫をこさえなくても、情勢が非常に違った金融の情勢にあることを、そういう点をお考えになったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/64
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065・青山俊
○説明員(青山俊君) ただいまの御質問でございますが、現在御承知の通り、長興銀は相当資金的な余裕がございますけれども、これはいつもそういう状態であるというわけでもございませんし、今後の金融情勢の推移というようなこととにらみ合せて、その資金運用は考えていかなければならぬわけでございますが、先ほどいろいろ御質疑に対しましてお答えを申し上げましたように、北海道の特殊性という点から、やはりこういう公庫を設けまして、その産業開発に資金を動員するというのが、この際、一番適当であるというふうに考えまして、この公庫案が出されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/65
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066・前田久吉
○前田久吉君 先ほど答弁を伺って非常に疑問に思うのですが、市中銀行がまかないにくいようなものを公庫でまかなうという御答弁もありましたが、市中銀行がまかないにくいような事業に、先ほどから伺っておると、九分以上の金利を取って、それで貸し出しの金が将来完全に回収するというようなお考えが出て参るでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/66
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067・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) その点は市中銀行が貸し出しがしにくいものという点は、大体において北海道の収益が上ってくるのに一定時日を要するという点が、非常にこれはもう北海道の特殊性として考えられておる点であります。それでこの公庫の方では一定期間を据え置いて、そうして長期に貸してやるということで、公庫が金融をつけますと、そうすると市中銀行の方でもそれと協調融資をするといったような方向に進みつつあるので、とにかく直ちに利益が上らない。その利益があると見込まれても、一定期間はどうも収益が上らんということが、北海道で事業の興らない大きな原因をなしておる。それでまあ一定期間据え置いて、しかもその金は長期なんだ、公庫がそれに対してある程度の金融をはかるということ、そうしてそれを市中銀行が協調融資に乗ってくれるという点が非常に大きな役割を果すと思う点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/67
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068・前田久吉
○前田久吉君 今のようなお話でありますと、事業そのものが、非常な北海道の困難な事業なんですが、それに即せない。まあわれわれは九分以上というものが非常に高い金利と見ておるのですが、九分も出してその金は回収できませんでしょう。北海道では、何とおっしゃっても……。何とかほかの、かりに電源開発では三分の金を使っておるというようなことも最近はあるわけなんですが、何かほかの点でお考えになるようなことはできないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/68
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069・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) そういう点もありますから、それでここに今度さしあたり融資するには利用度の非常に高い工業にやる、こういうようなふうに考えておるのですが、しかし一定の期間据え置きにして、そして九分の利子も払えぬという事業だったら、おそらく成り立たないんじゃないかと思うのですね。それでとにかく問題は新しく事業を始めても、それが一つちゃんと整備がついたら、そこで利益が上ってくるので、その一定期間の整備するまでの間という問題が非常に北海道では問題なんです。それがために金融もなかなかつかない。また事業ももくろまれないといったような面が非常に多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/69
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070・土田國太郎
○土田國太郎君 ただいまの前田委員のお話の金利の問題ですね、これが金利コストは非常に高いと言わざるを得ないと思います。六分五厘、あるいは八分、従って貸付が一割見当ということで、今政務次官の御説明によれば、そのくらいのものの支払いができないような会社はいかんじゃないか、投資する必要はないじゃないかということは、私は根本問題に入って、北海道は非常に人口も希薄であるというような面から考えて、これは一つの植民地政策じゃないか、こう考えるのが妥当ではないかと私は思うのですが、その点は次官はどうお考えであるかということと、はたしてこれが植民地政策であり、また長期の金を融資するということでありますれば、なかなか一割というような高利、今日は高利です、もう一割は……。大がいあれでしょう、債券の発行は、これはコストが八分になっていますがね。発行者の利回りが今大がい七分程度でしよう。われわれがかりに買うとすれば、その発行するものは六分くらい、六分二、三厘ですか、ほとんど定期預金とそう変りない債券が現状でありますがね。そういう面からいっても、今、前田委員のおっしゃったように、何らか適当な方法を講じて、かりに六分で、六分二厘で発行されても、それを何らかの適当な方途を考慮されて、そして融資先で、九分とか一割というものでなくて、何らか私はお智恵があるのではないかと思いますが、どうです。ただ八分だとか九分で貸すのだというようなことでなく、どうです、もう少しお智恵をおしぼり下さっては。そういうお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/70
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071・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) 今前段にお話の点は私もその通り感じるのです。それだから北海道を急速に、これの人口を増加せしめる。それから事業もされていくということには、もっと大事な問題は、あなたの今お話になったような開拓地とかなんとかということに指定して、そうしてある程度の特別の一つの法律での、税金ではなしにある程度、あるいは石炭の問題なども免税にしてやるとか、そういったような措置を講じて、そうして内地で仕事をするのもあそこで事業をやるもの、そういった面では大体見合った政策がとられるということになることが一番望ましいと思います。だから前段のことは、私は実にその通りだと思っています。石炭免税の問題は何とかしてものにしたいと思って今努力しております。
それから後段の問題は、私もあなたのお話に同感で、どうしても政府のいわゆる出資を、いわゆる利子のない金をもっとふやして、そうしていわゆる平均してせめて農林漁業金融公庫の金利よりも高くならぬということにしたいということで、ずい分折衝もしたのですが、本年のところは、そういう程度より現在のところはいかないのですが、しかし商工中金の金は相当高いですね。これは今度二厘も下げられたけれども、やはり三銭三厘かですね。まあしかし一定期間据え置かれるということと、長期であるということに、現在の状態ではある程度魅力を持っているのですけれども、しかしそれだけに考えずに、あなたのお話の通りに、何とか一つ政府資金を出してもらって、もっと金利を下げねばいかぬということには考えておりますけれども、今のところはそういう程度で仕方がないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/71
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072・土田國太郎
○土田國太郎君 次官のおっしゃるただいまの中小企業の金利が高いということはそれはお説の通りです。であるから中小企業が育たないという原因はそとにあるのですよ。税金の高いということ、金利が高いということ、これが中小企業の育たない最大の原因であるということは私は申し上げるまでもないので、これは一つ政府においても相当考えなければならぬ問題だと思うのでありまするが、もう一つお伺いしたいことは、この運営について、これは相当膨大な金も貸し付けるとかあるいは保証するとかいうことになりましょうが、衆議院においてああいう決議が出たのでありまするが、この運営につきまして学識経験とかいうような方々を集めて諮問機関というようなものをお設けになるお考えですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/72
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073・白波瀬米吉
○政府委員(白波瀬米吉君) その点は衆議院でもいろいろ御意見が出た点ですが、実は最初の計画は相当ないわゆる政府資金を出してもらって、投資の分も相当量の投資をやりたい、相当の範囲の投資をやりたいというようなことを考えておったときには、そういうことも考えられたのですが、今日の状態はほとんど金融機関のようなものになってしまったということと、こうしたものに対して今お話のようないわゆる委員会とか何とかというようなものが作られてないということ。その理由は、まあ責任の所在がどうも明らかにならぬというような考え方もあって、今日ではそういうものは作らないという考え方で進んでおるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/73
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074・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
ちょっと速記をとめて下さい。
午後零時二十一分速記中止
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午後一時七分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/74
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075・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 速記をつけて下さい。
それじゃ休憩をいたします。二時から再開をして、請願を議題といたします。
午後一時八分休憩
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午後二時十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/75
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076・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 休憩前に引続き委員会を再開いたします。請願第四号政府資金の金利引下げに関する請願外三十五件の請願を議題といたします。ちょっと速記を止めて。
午後二時二十分速記中止
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午後三時五十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/76
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077・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 速記を始めて。
本日はこの程度で散会いたします。
午後三五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X01919560419/77
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