1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月二十八日(月曜日)
午前十一時四分開会
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委員の異動
五月二十五日委員成瀬幡治君辞任につ
き、その補欠として安部キミ子君を議
長において指名した。
五月二十六日委員藤野繁雄君及び小松
正雄君辞任につき、その補欠として雨
森常夫君及び栗山良夫君を議長におい
て指名した。
五月二十七日委員雨森常夫君辞任につ
き、その補欠として藤野繁雄君を議長
において指名した。
本日委員西田隆男君、森田豊壽君、小
西英雄君、大矢半次郎君、植竹春彦
君、大野木秀次郎君及び小林政夫君辞
任につき、その補欠として新谷寅三郎
君、井上知治君、石坂豊一君、平林太
一君、石川榮一君、一松定吉君及び後
藤文夫君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岡崎 真一君
理事
菊田 七平君
藤野 繁雄君
前田 久吉君
委員
石川 榮一君
石坂 豊一君
井上 知治君
木内 四郎君
新谷寅三郎君
西川甚五郎君
一松 定吉君
平林 太一君
山本 米治君
平林 剛君
後藤 文夫君
衆議院議員 黒金 泰美君
政府委員
大蔵政務次官 山手 滿男君
日本専売公社監
理官 大月 高君
大蔵省主計局次
長 宮川新一郎君
通商産業省通商
局次長 樋詰 誠明君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 白石 正雄君
大蔵省主税局税
制第二課長 吉国 二郎君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○余剰農産物資金融通特別会計法の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○国際金融公社への加盟に伴う措置に
関する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○特定物資納付金処理特別会計法案
(内閣提出、衆議院送付)
○税理士法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○物品税法の一部を改正する法律の一
部を改正する法律案(内閣送付、予
備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/0
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001・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) これより委員会を開きます。
議事に入るに先立って、委員の異動について御報告いたします。五月二十五日付をもって成瀬委員が辞任され、その補欠として安部キミ子君が委員に選任され、二十六日付をもって小松、藤野両委員が辞任、栗山良夫君及び雨森常夫君が委員に選任、二十七日付をもって雨森委員が辞任、藤野繁雄君が委員に選任、さらに本日付をもって西田、森田、小西、植竹、大野木、大矢及び小林の各委員が辞任、その補欠として新谷寅三郎君、井上知治君、石坂豊一君、石川榮一君、一松定吉君、平林太一君及び後藤文夫君がそれぞれ委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/1
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002・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 理事補欠互選の件についてお諮りいたします。
去る二十三日大矢理事、二十六日藤野理事がそれぞれ一たん委員を辞任されました結果、理事に欠員を生じましたので、この際その補欠を互選いたしたいと存じますが、先例により成規の手続を省略し、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/2
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003・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それでは理事に菊田委員及び藤野委員を御指名申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/3
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004・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) それでは議事に入ります。
余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたして、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/4
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005・平林剛
○平林剛君 余剰農産物に関するこの法律案については、私、若干質疑を残しておるわけで、委員長も御承知の通りであります。特に葉タバコの輸入のことに関して関係責任者からの責任ある答弁を聞きたいと思っておりますが、この件につきましては、皆さんの御了承を得て、のちに関係者に質問をするということを保留をしておきたいと思う。ただし本日はこれをもって採決に入ることには了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/5
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006・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 別に御質疑はございませんか。——別に御質疑はないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/6
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007・平林剛
○平林剛君 私はこの法律案については反対の意見を表明いたします。
理由は、さきの大蔵委員会で述べたのと同様の理由でありまして、この余剰農産物の受入れに関する協定そのものに社会党は反対をいたしておりますので、この特別会計法の一部を改正する法律案についても同様の趣旨で反対を申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/7
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008・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 他に御発言ございませんか。——他に御発言ないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/8
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009・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 多数であります。よって本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は先例により委員長に御一任願います。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
菊田 七平 藤野 繁雄
前田 久吉 石坂 豊一
石川 榮一 井上 知治
木内 四郎 新谷寅三郎
一松 定吉 平林 太一
山本 米治 後藤 文夫
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/9
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010・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案を議題として質疑を行います。別に御質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/10
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011・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 別に御質疑もないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/11
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012・平林剛
○平林剛君 私はこの法律案については反対の態度をとるものであります。
その理由は、大体国際的な金融機関につきましては、さきに世界銀行の設立がありまして、これによっていろいろ目的を達しておったところであります。しかるに、今回またこれとは別に国際金融公社の設置をみるということになっておるのでありますが、私の意見によりますと、国際金融公社に加盟をせられる資格を持っておる国々というのは、同時に世界銀行に加盟をせられておる国々と全く同一であります。こういう意味からいきますと、国際的な金融機関というものが特に新たに分離をされるという理由については、非常に薄弱であると思うのです。世界銀行によってなし得ないことを、特に未開発地域に関する援助をこの機関を通じてやるというのが今回の趣旨のように思われますけれども、しかし同じ加盟国でありますから、相談の上、国際金融公社の仕事のようなものが今までの機関でできないということもないのではないか。こういう疑問が持たれるわけであります。そういう意味で、どうも今回の国際金融公社の加盟についての趣旨というものが薄らいでおる。これが一つの理由であります。
もう一つは、今回の国際金融公社を提唱せられている国、特にアメリカ合衆国でありますが、この提唱の動機、あるいはその他全般的なことを考えますというと、多分に国際的な政策によって行われようとしておる。先回も委員会の質疑でいろいろ明らかになりましたことは、どちらかというと未開発地域に対する援助というものが国際的な紛争の道具に使われているような印象を受けるわけであります。私は本来、この法律案の目的とするようなものにつきましては、国際的にも協力して国際的な紛争の渦に巻き込まれない形で援助をするという態勢が望ましいとかねがね考えております。そういう意味ではどうも賛成しにくい点が含まれておると思うのであります。これが第二の理由です。
もう一つは、国連におきましても、世界の各国において特に未開発地域についての援助政策を検討しようという意見が台頭して、この相談がだんだん問題になっていこうという条件のもとにおきまして、今国際的な政争の形で生まれる、こういうことに、日本が積極的に加盟していくことについての意義という点に、私どもの党の政策と合致しない点が生まれておるわけでありますので、そういう意味におきまして、私たちといたしましては積極的ではありませんが、しかし国際金融公社への加盟の措置に関するこの法律案については反対せざるを得ない。
以上の理由で私はこの法律案に対しては反対をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/12
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013・前田久吉
○前田久吉君 私は緑風会を代表いたしまして、希望を付して賛成をいたします。
この世界銀行が、今日までわが国が百八十億の出資をいたしておるにかかわらず、わずか十九億円ぐらいの借り入れしかしておらない。こういう状態で、わが国に対して世界銀行というものは何らプラスになるようなことを考えることができない。今回の公社が、これに、世界銀行につながるものと見まして、この点、はなはだ不本意でありまするが、未開拓地、特に東南アジアを中心としてこの今度の公社の投資計画でありまするので、世界銀行のこういう状態を一つ克服して、わが国にこの公社を通じてプラスになるように大いに一つ努力をしていただきたいということを希望いたしまして、賛成をする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/13
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014・平林太一
○平林太一君 私は本案に賛成をいたします。ただいま緑風会の前田君の御意見を拝聴いたしまして、まことに同感の感じが非常に深い。それにつけても、わが国の経済外交というものを一段と推進するということが、この問題に対しては非常に密接な関係を持つのでありまするから、本日は外務省は見えておりませんが、これらの問題は単に大蔵省当事者の関係問題としてこれは処理されるべき問題ではないので、一にかかってわが国の外交、経済外交というもののきわめて温和な立場において、当然この理由は立つのでありますから、そういうことを大蔵当局は外務当局と十分に打ち合せをいたしまして、この法律の適用が前田君のお説のように具体的に推進することを強く要望いたしまして、賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/14
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015・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 他に御発言はございませんか。——他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/15
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016・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 多数であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は先例により委員長に御一任を願いとう存じます。それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
菊田 七平 藤野 繁雄
前田 久吉 石坂 豊一
石川 榮一 井上 知治
木内 四郎 新谷寅三郎
一松 定吉 平林 太一
山本 米治 後藤 文夫
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/16
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017・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に特定物資納付金処理特別会計法案を議題として質疑を行います。——別に御質疑はないようでありまするから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いとうございます。——御発言はございませんか。御発言もないようでありまするから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
特定物資納付金処理特別会計法案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/17
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018・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は先例により委員長に御一任を願いとうございます。それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
菊田 七平 藤野 繁雄
前田 久吉 石坂 豊一
石川 榮一 井上 知治
木内 四郎 新谷寅三郎
一松 定吉 平林 太一
山本 米治 平林 剛
後藤 文夫発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/18
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019・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/19
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020・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 速記をつけて下さい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/20
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021・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 税理士法の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府原案について事務当局の補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/21
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022・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 税理士法の一部を改正する法律案につきまして、内容の御説明を申し上げます。税理士法の新旧対照表をお手元に配付してあると思いますので、それに基きまして御説明をいたしたいと思います。
前の方は字句の整理でございまして、実質的にはあまり問題はございませんので、実質的な問題のありまする三十三条の二と、それ以降の点につきまして、まず御説明を申し上げたいと思います。
対照表の六ページでございますが、三十三条の二には、税理士が確定申告書等の作成をいたしましたときにおきましては、その申告書の作成に関し計算し、整理し、または相談に応じた事項を大蔵省令で定めるところにより記載した書面を、申告書に添付することができると、かような規定を今回設けようとしておるわけでございますが、これは、税理士が申告書等を作成いたしました場合におきましては、その作成につきまして、どの程度内容に関与したかということが、各国の事例におきましていろいろございますので、その関与いたしました内容をはっきりさせることによりまして、税理士としての仕事の責任をいわば持たしめるということを考えると同時に、また三十五条に関連するわけでございまするが、その関与した限りにおきましては、税理士の意見を尊重するという意味におきまして、更正、決定等をやる場合におきましては、その意見を一応あらかじめ聴取しよう、かような規定を設けようとしておるわけでございます。
従いまして三十五条の方に相関連するわけでございますが、三十五条におきましては、今申し上げました添付書面に記載されたところによってその更正または決定の基因となる事実について税理士が計算し、整理し、または相談に応じていると認められるというような場合におきましては、税務署長——一定の場合におきましては国税庁長官または国税局長——は、その税理士に対して一応意見を述べる機会を与えなければならないと、かようにしておるわけでございます。ただこれは税法に関する専門家たる税理士の意見をあらかじめ聴取することによりまして、更正、決定の適正を期すると同時に、また税理士としての責任をも明らかにせしめるというようなことを予定しておるわけでございまするので、特別に意見を聞くほどのこともない誤まりが明瞭であるというような特別の場合におきましては、意見を聞かなくてもよろしいという意味で、ただし書きにおきまして、その計算が法令に従っていないことが明かであるとか、あるいは計算の誤謬が明らかである、かような場合におきましては、特別にこのような手続を省略するということを考えておるわけでございます。さらに、このような手続を経ずして、更正、決定をやったらどうなるかということは、法律的には問題になるわけでございますが、これは手続の欠缺がその行政行為の効力にどのような影響をおよぼすかという解釈論になるかと思いますが、手続が非常に重要な手続であるというような場合におきましては、その欠缺は行政行為の効力を無効ならしめるというような考え方があるわけでございますけれども、この場合におきましては、この手続はそれほど行政行為の効力に影響を及ぼすほどのことでもない、かように考えまして、その効力には影響を及ぼさないという解釈論も成り立つかとも思うわけでございますけれども、これはいささか疑いもあるところでございますから、法文上その旨を明らかにすることが適当であろう、かような考え方で、第三項におきまして、前二項の規定による措置の有無は、これらの更生、決定の効力に影響を及ぼすものと解してはならない、かようなことを明らかにしたわけでございます。前二項と書いておりまするのは、現在におきましても、協議団の協議官に関しまして、審査の請求に関して、一定の場合におきましては、協議官は税理士に対しまして意見を述べる機会を与えなければならない、かような今回改正しようとしておりますることとほぼ同様の規定がございますので、これにつきましても、この際その効力に影響を及ぼさないということを明らかにしようとしておるわけでございます。
次に本文の改正といたしましては、前に返りますが、三十四条におきまして、税務官公署の職員が青色申告につきまして調査をするという場合におきましては、本人にあらかじめ調査をするということを通知するような場合におきましては、これを代理しておる税理士につきましても通知をするという規定があるわけでございますが、それは必ずしも青色に限る必要もなかろうという意味におきまして、今回青色以外におきましても同じように通知をするという規定を設けようとしておるわけでございます。
次は付則でございますが、付則におきまして、今回税理士試験につきまして特例を開こうとしておるわけでございます。付則の三十項におきまして「昭和三十一年七月一日から五年間に限り、第六条の規定による税理士試験のほか、特別な税理士試験を行う。」税理士になるためには、一般の税理士試験というものを設けまして、それの合格者をもって税理士となる資格を有するものとしておるわけでございますが、今回一般の税理士試験のほかに、特別な税理士試験を設けようとしておるわけでございます。かように特別な税理士試験を設けようとしておる趣旨は、実はこの税理士法が昭和二十六年に制定になりましたときに、経過的な規定といたしまして、一定の国税、地方税の事務に長い間従事した職員におきましては、認定によりまして税理士となる資格を与えるという経過的な措置を講じたわけでございます。
以上こういう措置を講じましたゆえんのものは、試験によって合格した者に資格を与えるということが、二十六年の税理士法制定の趣旨であったわけでございますけれども、その時におきまして、もう相当長い年数税務職員として勤務しておった、こういう人につきましては、特別な認定によって税理士となる資格を与えたわけでございまするので、その趣旨をも勘案いたしまして、すでに当時におきまして、ある程度の年齢に達し、一般的な、理論的な試験を課するということが、必ずしも合理的でもないと考えられる特別の者につきましては、その実務経歴というものを重視いたしまして、これによって税理士となる資格を与えるということが適当ではないかという考え方に基きまして、そのような一定の人につきましては、この際、特別の試験によって税理士となる資格を与えよう、かような制度を設けようとしておるわけでございます。従いまして、この特別な税理士試験を受ける資格のある者は、もっぱら国税または地方税に関する行政事務に従事した期間が、通算して二十年以上になる者で政令に定める一定の基準に該当する者、また計理士または会計士補でこれらの者の業務に従事した期間が通算しまして十年以上になる者と、かような資格を設けておるわけでございます。先ほど申し上げました昭和二十六年の際の認定によって資格を得ました者は、当時におきまして、税務職員におきましては十五年であったわけでございますので、二十六年から今日まで、すでに五ヵ年を経過いたしておりまするので、二十年以上ということを、一応税務職員に対しまする基準の職歴の年数だと考えまして、二十年以上経過しました者につきまして特別な税理士試験を受ける資格を与える。しかもこれを今後五年間実施をする、かような措置を講じようとしておるわけでございます。税務職員を二十年と決定いたしました関連上、計理士等については、十年が適当ではないかということで、十年ということにしておるわけでございます。
この試験は、租税または会計に関する実務について行う。一般の税理士試験は税法及び会計学につきまして行うわけでございますが、これは理論的な試験も包含しておるわけでございまするが、今回行おうといたしておりまする特別税理士試験は、その実務経験ということを重視する意味におきまして、実務について試験を行うというように考えられておるわけでございます。なお、これらの試験を行うにつきまして、合格者を定める場合におきましては、その経験年数というものを重視いたしまして、一定の合格点数に加算を設けることができるという規定を設けておるわけでございます。
その自余の規定は、実質的には大して意味のない問題でございますので、以上におきまして一応今回改正の大要を御説明申し上げたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/22
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023・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に、本案は衆議院において修正されておりまするので、修正点につきまして説明を聴取いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/23
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024・黒金泰美
○衆議院議員(黒金泰美君) ただいま問題になっておりまする税理士法の一部改正法律案に対する修正案でございますが、この修正の趣旨を御説明いたしたいと存じます。
修正の案文は、お手元に配付しておると存じますので、朗読は省略させていただきます。
この内容は大体三つに分れております。
第一は、国または地方の団体におきまして税務に従事しておった職員、これが退職後に税理士になりました場合に、とかくの批判、弊害を起すおそれがありますので、これについて業務の制限を強化いたしたいのであります。現行の第四十二条におきましてもこれに当る規定がございますが、この規定よりも、もっと広範にいたしまして、そうして実質的に弊害を除去して参りたい、かような考えでございます。すなわち、その職を離れます前一年の間に占めておりました地位、この職がつかさどっておるべき事件につきましては、税理士業務を開業いたしましても、離職後一ヵ年間はこの業務を行なってはいけない、かような規定をいたした次第でありますが、ただ実際問題といたしまして、現在、いなかあたりでは税理士のいない税務署の所在地すらございます。こういう場合で、その土地で退職したものでありましても、非常に適当な人であり、弊害のない人なら、これは税理士業務をさしてもいいじゃないか、かような考え方から、個々の実情を調査しまして、何ら弊害を生ずるおそれのない場合には、特に国税庁長官の承認を受けたものについて例外を認めたような次第であります。
修正の第二点は、税理士法の施行状況にかんがみまして、税理士業務の執行をより適正にいたしますために、通常強制加入と称しておりまするが、間接的に税理士会に入会しない者は税理士業務を行なってはいけない、かようにいたしまして、税理士会を強化し、これに入って、監督官庁の十分な監督、自主的な向上というものをはかって参りたい、かような考え方を持ちまして、このいわば間接強制的な規定を設けますと同時に、これに伴って税理士会等に関する規定を整理することにいたしたのであります。現行法におきまする税理士会は、民法第三十四条の規定に従って設立された公益法人であります。従って任意加入の団体であります。ただ税理士の使命及び職責から見ますると、税理士会が、税理士の義務の順守、あるいは税理士業務の改善進歩、こういういったことに資するために、会員の指導及び連絡に関する事務を強度に遂行することができることが必要だろうと思います。そこで今度は税理士会をこの法律上での特別法人にいたしまして、そうして税理士会に関する規定を整備することにいたしたのであります。ただし今度の税理士会におきましては、弁護士会等とは異なって、表向きの直接的な強制加入制度はとっておりませんが、税理士会に入会しない者は税理士業務を行うことができない、かようにいたしまして、いわば間接的に強制加入制をとることにしたのであります。
なお今回の修正によりまする新しい税理士会は、国税局の管轄区域ごとに一個設立しなければならないことといたしました。ただし現在同一国税局の管内に二個以上現存しております場合には、なおこの二個以上の新税理士会を設立存続することも認めることといたし、ただこれらの新税理士会が将来合併または解散して、一個の新税理士会になる場合を予想いたしまして、この合併解散に関する措置規定を設けた次第であります。
次に、現行法における税理士会連合会も、税理士会と同じく、民法上の公法人でございますが、以上のような税理士会の解組いたします関係に伴いまして、税理士会連合会に税理士会が当然会員となる特別法人にいたしたのでございます。
最後に修正の第三点でありまするが、公認会計士たる税理士につきましては、本来の公認会計士の職務を主といたしまして、ごくまれに税理士の仕事を行う者がございます。かような者につきましては、税理士会に加入していない場合におきましても、国税局長に、その依頼者の住所、氏名、称号等を通知することによりまして、依頼された事件に限って税理士業務を行うことができる、かような特例を設けることにいたした次第であります。
以上がこの修正案の趣旨と内容の概略でありまするが、何とぞ満場一致の御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/24
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025・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) ただいま黒金君から衆議院における修正案について説明がございましたが、これについて質疑がございましたら、この機会にしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/25
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026・西川甚五郎
○西川甚五郎君 これについて大蔵省の意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/26
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027・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これにつきまして別に異議はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/27
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028・西川甚五郎
○西川甚五郎君 賛成ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/28
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029・白石正雄
○説明員(白石正雄君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/29
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030・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) それではただいま議題となりました税理士法の一部を改正する法律案につきましては、質疑はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/30
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031・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 次に物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、事務当局より趣旨説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/31
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032・吉国二郎
○説明員(吉国二郎君) 物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の概要を御説明申し上げます。
本法律案は、昭和二十九年法律第四十六号の付則におきまして、従来テレビジョン受像機に十四インチ以下のブラウン管を使用しておりますものにつきましては、昭和二十九年にテレビジョンにつきまして三〇%の税率が規定されたのでございますが、それについて十四インチ以下のブラウン管を使用するものにつきましては、経過的に、第一次には昭和三十年六月三十日までの間は一二%、その後改正をいたしまして、昭和三十一年六月三十日までの間に製造場から移出され、また保税地域から引き取られるものにつきまして一五%の暫定税率の適用をいたして参ったわけでございますが、この六月三十日で、その期間が満了いたしますので、このまま放っておきますと、本来の三〇%の税率が十四インチ以下の小型のテレビジョンについても適用に相なることになるわけでございます。当初十四インチ以下のブラウン管を使用いたしますテレビジョンに軽減税率を用いましたのは、課税いたしました当初におきましては、テレビジョンの製造台数もきわめて少く、そのために間接費が多くかかりまして、非常に価格が割高でございました。テレビジョンを早急に普及するためには、物品税をある程度軽減しなければ普及がはかれない。普及がはかれなければ価格も下らないといった意味におきまして、物品税を軽減することによって早急にテレビジョンの普及をはかろうとした意味があったわけであります。最近におきましては、テレビジョンの製造台数も非常に増加して参りまして、すでに月産二万台をこえる状況に達しておりますので、この三十一年六月三十日で特別税率の適用期限が切れましても、一応さして普及上大きな支障があると考えられないという意見もございますけれども、テレビジョンは御承知のように電子工業の中核をなしておりまして、わが国の電子工業発達のためにも、なおテレビジョンを早急に普及する必要があるという強い要請がございます関係で、とりあえず一応は現在の一五%という軽減税率を二〇%に引き上げまして、その代り適用期間を限定いたしませんで、当分のうちといたしまして、その間テレビジョン普及の状態をながめて新しい措置をとるという改正をいたすわけでございますが、同時になお現在といたしまして、直ちに百分の十五から百分の二十に急激に税率が上るということは、価格その他に及ぼす影響も大きいという意味におきまして、当分の間百分の二十とはいたしますけれども、なおその間昭和三十三年六月三十日までに限り百分の十七ということにいたしたものでございます。法律の内容はそれだけでございまして、きわめて簡単でございます。
なお付則では、未納税移出でございますとか、あるいは原材料免税あるいは輸出免税、特殊用途輸出免税の制度によって免税を受けて蔵出しをいたしておりますものが、その後、指定期限内に指定倉庫に入らないといったような場合にあらためて税を課します場合の取り扱いといたしまして、その税額を追徴する理由が発生した時期が新法適用後であれば、その税率は新法によるということを規定したのが第三項でございます。
はなはだ簡単でございますが、御説明を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/32
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033・岡崎真一
○委員長(岡崎真一君) 本案の質疑は次回に譲りまして、本日はこれをもって散会いたします。
午前十一時四十七分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414629X02919560528/33
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