1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十日(火曜日)
午前十時四十七分開会
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委員氏名
地方行政委員
委員長 松岡 平市君
理事 石村 幸作君
理事 伊能 芳雄君
理事 森下 政一君
理事 小林 武治君
小幡 治和君
笹森 順造君
佐野 廣君
田中 啓一君
堀 末治君
安井 謙君
小笠原二三男君
加瀬 完君
永井純一郎君
松澤 兼人君
若木 勝藏君
岸 良一君
後藤 文夫君
野田 俊作君
鈴木 一君
逓信委員
委員長 松平 勇雄君
理事 島津 忠彦君
理車 宮田 重文君
理事 柏木 庫治君
石坂 豊一君
石原幹市郎君
白波瀬米吉君
新谷寅三郎君
瀧井治三郎君
館 哲二君
津島 壽一君
寺尾 豊君
最上 英子君
久保 等君
永岡 光治君
三木 治朗君
山田 節男君
八木 秀次君
八木 幸吉君
建設委員
委員長 赤木 正雄君
理事 石井 桂君
理事 小沢久太郎君
理事 近藤 信一君
理事 鮎川 義介君
伊能繁次郎君
石川 榮一君
入交 太藏君
斎藤 昇君
酒井 利雄君
西岡 ハル君
平井 太郎君
武藤 常介君
栗山 良夫君
田中 一君
森崎 隆君
北 勝太郎君
村上 義一君
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出席者は左の通り。
地方行政委員
委員長 松岡 平市君
理事
伊能 芳雄君
森下 政一君
小林 武治君
委員
笹森 順造君
堀 末治君
安井 謙君
田中 啓一君
小笠原二三男君
後藤 文夫君
逓信委員
理事
宮田 重文君
柏木 庫治君
委員
石坂 豊一君
新谷寅三郎君
津島 壽一君
寺尾 豊君
最上 英子君
久保 等君
三木 治朗君
山田 節男君
建設委員
委員長 赤木 正雄君
理事
石井 桂君
小沢久太郎君
近藤 信一君
委員
伊能繁次郎君
西岡 ハル君
平井 太郎君
武藤 常介君
村上 義一君
政府委員
自治政務次官 早川 崇君
自治庁税務部長 奧野 誠亮君
事務局側
常任委員会専門
員 福永與一郎君
常任委員会専門
員 勝矢 和三君
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○国有資産等所在市町村交付金及び納
付金に関する法律案(内閣送付、予
備審査)
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〔地方行政委員長松岡平市君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/0
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001・松岡平市
○委員長(松岡平市君) これより、地方行政、逓信、建設委員会連合審査会を開会いたします。前例によりまして、申し込みを受けた方の側である委員会の委員長たる私が会議を主宰いたします。
本日は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案について審査をお願いいたすわけでございますが、大体午前中でこの連合審査会を終え、午後はそれぞれの委員会が開会される予定となっておりますので、この点あらかじめお含みの上、お願いいたしたいと存じます。時間もあまりございませんので、主として逓信、建設両委員会の委員の方々に先に御質疑を願いたいと存じます。政府側からは、実は自治庁長官は他の委員会に出席いたしておるため、出席困難の旨申し出がございましたが、早川次官並びに奧野税務部長、政府委員が出席いたしております。
それでは、これより質疑を行います。質疑のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/1
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002・石井桂
○石井桂君 私は、ただいま議題となりました法律案と公営住宅に関する関係を二、三お聞きしたいと存じます。
御承知のように、公営住宅は、現在第一種、第二種の公営住宅がありまして、第一種は二分の一国庫補助であります。第二種は三分の二の国庫補助でありまして、公共団体は、この家賃をきめるときに、自分の負担する建設費だけの家賃計算によってやっております。それでありますから、交際には、第一種は、民間で建てますときの家賃の半分、第二種は、三分の一の家賃をきめて取っておる、いわゆる低家賃住宅政策をとっておるわけですが、この法律案が出ますと、その結果は、家賃を相当上げられるような結果になると思うのであります。そうすると、同じ内閣で、片方の方では低家賃住宅をやろうとしている反面、また他の方面で、これにブレーキをかけるような政策が出てくるのはどうもおかしいので、その点矛盾があるように思うのですが、自治庁におかれましては、どういうお考えでございますか、その点の御意見を承われればけっこうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/2
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003・早川崇
○政府委員(早川崇君) ただいま御質問の公営住宅につきましての趣旨は、国有資産につきましても、御承知のように、このたび交付金というものをお願いすることになりました。また現在家屋を持っておる人の固定資産税というような、そういった問題をも総合的に考えまして、公営住宅に関しましても、均衡上、特に地方財政の赤字の現状をもにらみ合せましてお願いする、こういうことになった次第であります。ただし普通の固定資産税と違いまして、第一種公営住宅の場合には、固定資産の四割、また第二種の場合には御承知のように二割、特にそういった公営住宅に入っておられる方の生活に響く問題にもなるかと思いますので、特別に配慮を加えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/3
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004・石井桂
○石井桂君 ただいまの御説明で、住宅に対しては、相当に一般の国有資産よりも別の率を考えておるということはよくわかります。よくわかりますが、自治庁におかれましては、現在公営住宅を利用しておる階層が、実際現在の家賃ですら、負担の能力がかなり乏しいのじゃないかという実情をお知りになっているかどうかと、こういうことが私は非常に疑問となってくるのであります。なぜなれば、建設費の二分の一ないし三分の一だけの家賃ですら、各府県では取れないで、それよりも低い家賃を取っている所があるのです。本来ならば、地方公共団体がかけた建設費に基く家賃だけは最小限度取りませんと、赤字になるわけです。それらすらも取れないで、低い家賃をかけている府県もある。また、その低い家賃すら払えない階層がずいぶんある。そうすると、この現在の非常に安い家賃すら払えないのに、さらにこういう今の法律で、家賃が上る結果になるということに対して、私は公営住宅を利用しておる階層がまだ余裕があるのじゃないかというようなお見方をしておる点が、われわれの感覚と少し違っているのじゃないか、こういう点について、自治庁のお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/4
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005・早川崇
○政府委員(早川崇君) お答え申し上げます。この公営住宅の交付金は、必ずしも居住者に転嫁しろという義務規定ではないのでありまして、衆議院の委員会におきましても、大臣が申されたのでありますが、特に第二種の低額所得者の人たちに関しましては、何らか自治体において考えることを期待すると、こういうことも言っておるのでございまして、全体で二億ないし三億程度の交付金でございますので、府県なり自治体におきまして、特に第二種の関係の人たちに対しては、全面的に家賃に転嫁するということをわれわれは義務的に期待しておるわけではないのでございまして、その点は、自治体の自治という本義にのっとりまして、実情に合うように、特に困っておる方には、自治体自体においてお考えになっていただけばけっこうだと思っておるわけでございます。ただし先ほど申し上げましたように、公営住宅だから交付金を全然納めない、納めてもらえないということは、税法の体系から申しましても、このたび三公社その他の税制改革とのバランスから考えまして、われわれといたしましては、こういうような措置をとった次第でございます。その点を御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/5
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006・石井桂
○石井桂君 ただいまの御答弁で、かなり精神はわかっておるように考えますが、この法律案の中にも、生活困窮者を収容する住宅のようなものは、これは今回の家賃引き上げの結果にはならないよう措置ができておるように見受けます。そこで、今の御答弁のごとくに、公営住宅全般として、これを利用する方は、相当に私は勤労者階級で、自力建設ができない階層が利用しておると思うのです。で、非常に困っているのであるし、そのうちでも、特に第二種は、収入が一万数千円以下の人に限られているという現状から見て、どうも一般の固定資産税の十分の二とか、あるいは第一種においては十分の四というような率が少し大き過ぎるのじゃないかというふうに私どもは考えておる。むしろ第二種の十分の二のごときは、これはまあ免除してやってもいいのじゃないかと、こういうふうに考えているのですが、その点は、この法案が出てくる際にお考えになり、あるいは議論にならなかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/6
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007・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 今度の国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関しまする法律は、地方税制調査会なり、あるいは臨時税制調査会なりの答申に基いておるのでございますけれども、その際に国有資産であるからといって課税の対象におかないことは、市町村にとっても迷惑じゃないか、そういう意味においては、国に納付金を出させるか、あるいは使用者に固定資産税を課することにしたらいかがなものかというふうなことになったわけであります。それをいただきまして、全体的に、現在考えておりまするような構想の法律を作成することにしたわけであります。その結果、公営住宅につきましても交付金の対象になるという結果が生じて参ったわけであります。しかしながら、公営住宅につきましては、御指摘のような性格がございますので、政務次官からお話になりましたような、四割ないし二割にとどめると、こういうことにいたしたわけでございます。
その四割ないし二割の額が、それじゃ家賃を払っている者にとってあまりにも過酷過ぎるのかどうか、こういうようなことになってくるのじゃなかろうかと、こう思うわけでございます。そこで御参考に、その実額を申し上げてみますと、第二種の公営住宅でありまして、昭和二十四年ないし二十六年に建設されたものでございますと、東京都の実例でございますが、家賃の月額が七百円であります。これに対しまして交付金相当額が三十七円ということになって参ります。そういたしますと、率で五・三%ということに当ります。まあこの程度のことであるならば、かりに府県が使用者に転嫁するということになったとしても、あえてそのような性格を拒否するにも当らないのじゃないだろうか、こういうような結論を持ったわけでございます。最も高い家賃を例にとりますと、第一種公営住宅でありまして、中層耐火構造、それで三十年以後に建ったものでありますと、家賃の月額が三千七百五十円であります。これに対しまして、交付金相当額が四百八十三円ということになって参るわけでございます。こういうようなところから考えて参りますならば、もとより公営住宅居住者の生活状況というものを十分勘案しなければなりませんが、あまりにも過酷だということでもないのじゃないか、こういうふうに考えたわけでございます。ことに所在の市町村といたしましては、府県が公営住宅をどんどん建てると、教育費がふえてくる、学校も増設しなければならない、あるいは道路とか衛生とかいろいろなところに金がたくさんかかるわけでありますが、何らの財源も入ってこない、これが所在の市町村としては非常に迷惑だということにもなりかねないわけでございまして、そういう意味で、公営住宅の建設を喜ばない町村も出て参ってきたわけでございます。そうしますと、やはり府県から公営住宅所在の市町村に対しまして、固定資産税に準じた何らかの財源を与えるべきじゃないか、それがこの法の精神でございます。その場合に、転嫁しようと思えばできる。もちろん建設費に対しまして、一般財源を持ち出した分もございますので、それは、自分の方で負担するのもけっこうだ、こういうような構想にしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/7
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008・石井桂
○石井桂君 今の御説明は、わからないことは私どもないので、よくわかるのです。しかし、何かこの法案のいいところだけの御議論のように承われたわけで、たとえば一番高い中層耐火アパートが五百円近くも上るというようなことは、これは勤労階級、なかなか今の賃金ベースでは苦しいのじゃないかというふうに考える。それらを奧野さんの御答弁によると、事もなげに葬り去るようにも聞えるわけです。その辺が感覚がわれわれと違っておるのじゃないかと私は思いますが、しかし、その点をあまりこだわっておると進みませんから、別の方に参りますが、この法案が知事会や何かで、いろいろ政府から御説明があったように承わっております。そのときに、これはあまり簡単であって、国有資産等と書いてある、等の中に住宅問題なんかは入ってしまっておって、あまりよく議論が戦わされなかったように聞いておりますが、そうしてしかも、この法文をひもどくと、私などにも、これを皆判読するのにはむずかしいような、いわゆる法文のテクニックによる書きおろし方であるのですから、十分わからないままに過ぎ張った。それが近ごろになってようやく各都道府県の議員団とか、あるいはその担当の職員等が心配してかけつけて参っておるわけです。私どもなども、けさ朝早くからえらくつるし上げられて、ようやくここへおくれて来たような状況なんで、そういう法文の内容を十分各方面の御意見を聞かないで、これをまとめ上げて出したようなふうに私どもは今日考えておりますが、そんなふうなことはなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/8
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009・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 特に住宅に限定して申しますと、この法案の過程におきまして、第一には国家公務員の利用しております宿舎もずいぶん数が多いわけであります。これを管理しておりますのが大蔵省の管財局でありまして、そちらの方からも強い反対意見がございました。しかし、国家公務員が居住しておるからといって、所在の市町村に一文の財源も与えないということは、適当ではないのじゃないか、こういうような考え方のもとに、いろいろ話し合いをいたしました。しかし、住宅の問題でもございますので、若干負担は軽減したい、こういう議論をかわしております。また建設省の住宅局との間におきまして、公営住宅の家賃の問題については、たとえば現に不均衡是正の問題がある。昔建った家屋でありますと、現在よりは公営住宅の家賃そのものが非常に低い、従って若干不均衡是正をしたい。しかし、不均衡是正自身が非常に問題なんだ。にもかかわらず、交付金制度を設けられると、なかなか転嫁しようと思ってもできないのじゃないか、また転嫁すること自体が問題があるのじゃないか、こういうことで、ずいぶん議論がございました。そういうことも考えまして、第一種と第二種との間に差等を設けて、交付金の額をきめよう、こういうことにいたしたわけでございます。また、知事会議におきましても、この結果、府県から金を持ち出すことになりますので、必ずしも頭からぜひやってくれというわけではございませんでした。いろいろ考え方もございました。しかし、このように非課税規定を整理しながら増収を期待してゆく、これは、現存の地方税制の状態からみたら、やむを得ないのじゃないか、ことに負担の、同種の固定資産について、固定資産税の均衡を確保するという問題もあることだろうから、ぜひやってくれということじゃないが、そういうこともやむを得ない、こういうような話し合いの経緯があります。その間に、私としては、十分協議を遂げて参ったつもりでございます。あるいはまた、中には全然相談も受けなかったじゃないかという御不満の向きもあるかもしれませんけれども、私たちとしては、それぞれの関係の部局には十分連絡をとって、法律案を作成したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/9
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010・石井桂
○石井桂君 大体経過はわかりましたが、私が今質問しました内容は、各府県の知事会議に自治庁から御説明があったそうです。そのときには説明が非常に簡単で、住宅なんというようなことは、公営住宅の家賃が上るなんという説明は一言も出なかったのだそうです。そうして、よく法文を見ればわかるのですけれども、非常に忙しい方ばかりですから、まあ差しつかえなかろうと言って片づけて帰った。ところが研究してみたら、一ぱいはめられたという感じで、今はてんやわんやしておるわけです。それで、実際承わりますと、この法律による公営住宅からの収入は、わずか三億円を切れる額だそうです。全体は数十億に上る。何も税の体制、体系を乱さないとか、格好をつけるとかいうことで、大きな税のうちの一部分を無理に上げて、そうして非常に住宅に困っておる低収入者を困らせるという政策が、あまり私は形のみ整えてゆく政策としか思えない節もないではないと思うのです。そこで、私はあまり法律のことをよく勉強しておりませんので、わかりませんが、私どもは長年公営住宅を建てる側にあって、そうして家賃の徴収なども長年やってきた人間なんです。それで、ふだんでも家賃の未払いというのは数多くあって苦しんできた。中には一年半も二年も家賃が払えない階層もあったわけです。そういうような階層相手の法律ですから、だから、税の体裁上これを抜くのは非常に不自然であっても、数十億のうちのまあ三億円に満たない税を上げて、それで、この法律を作る側からいえば、体裁がつくろえていい気持だという気持は、何だかひとりよがりのような気がするので、この点は、私の独断かもしれませんけれども、そういうあたたかい点をお考えになったのでしょうか、どうでしょうかというような、疑問なものですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/10
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011・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公営住宅の居住者の負担をできる限り増額したくないという気持におきましては、石井さんのおっしゃいますと同じように、私たちも考えておるわけでございます。従いまして、この交付金制度の建前から考えて参りますと、国なり府県なりと市町村との関係だから、交付金という名前を使っておるだけのことでありまして、実態は固定資産税に準ずるものであります。固定資産税に準ずるものであるにもかかわりませず、その交付金額を固定資産税の二割ないし四割にとどめておるわけでございます。しかも、二割ないし四割にとどめた額を使用者負担にいたしませんで、公営住宅の所有者、すなわち府県の負担にしておるわけであります。考え方といたしましては、臨時税制調査会の答申にも現われておりまするように、公営住宅の使用者に固定資産税そのものを課する制度が考えられるのじゃないかと、こうまで言われておりますけれども、あえて府県の負担になります交付金にしておるわけであります。従いましてまた、まず転嫁されるものではございませんで、転嫁しようと思えば転嫁できる、こういう建前にいたしておるわけであります。府県が、どの程度住宅政策に対しまして、一般財源をさいてゆくかという問題にも関連してゆくわけであります。その辺は、府県のとろうとする政策にゆだねておる。しかしながら、国が住宅政策といたしまして、二分の一ないし三分の二を補助しておる。その部分以上の部分については交付金の対象にしない、こういうような線をはっきり出しておるわけであります。これも、おっしゃいますような精神によっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/11
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012・石井桂
○石井桂君 私は、住宅の家賃の問題にもからむのですが、現在でも、東京あたりでは、ピース一個よりも安い家賃の住宅があるという話なんです。それで、最近できる鉄筋では、三千数百円ですか、四十円くらいの家賃もある、その家賃のバランスをとることすら非常に困難で、じんぜんと日が送られておるわけです。それにもかかわらず、東京都などでいえば、五万数千からの住宅の家賃を一斉に上げるということが、これはなまやさしいことではないと思うのですね。法律を出すことはやさしいのだけれども、非常にむずかしいことだと、私は家賃を徴収した経験もありますので、むずかしいと思うのです。その点はお考えになって、この法文をお作りになったでしょうか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/12
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013・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) お話のような意見が、この法律案を作っておりまする当時に、建設省の住宅局からもいろいろ教えていただきました。しかしながら、公営住宅は今後建たないわけじゃございませんので、将来にわたる問題でございます。そうしますと、将来公営住宅を新築されて、そこで家賃をきめる。その場合には、原価の構成要素でありますこの交付金制度ができていますならば、それは当然算入されるのじゃなかろうか、原則的には算入されるのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。むしろ将来公営住宅というものは、どんどん発展していくのじゃないだろうか、発展さしていかなきゃならないのじゃないか、そういうことを考えると、やはり今この制度を設けておいた方がいいのじゃないかと思います。現在において、公営住宅に対しまして、私たちは、家賃に転嫁しなければならぬというような考えは持っておりませんで、むしろ将来にわたる制度として、こういうことを今考えることは、むしろ妥当じゃないのだろうか、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/13
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014・石井桂
○石井桂君 私ひとり長く聞いていることもどうかと思いますので、最後に一点だけお伺いしたいと思います。この公営住宅が上るということは、この法律の対象になっていない、たとえば住宅公団だとかの作る住宅でありますとか、あるいは金融公庫から七割五分借りて、そして都道府県から二割五分、あるいは他の金融機関から二割五分借りて住宅協会等が作る家賃にも一斉に私は響くと思うのです。つまり公営住宅が、一番安い、政府の一番力を入れている住宅すら家賃が事実上上るのですから、だから金融を仰いでいるところの公団住宅とか、あるいは協会住宅というものは、この法律の対象にはなっていないけれども、上るでしょうと思うのです。と同時に、公営住宅すら上るのだからというので、これは地代家賃統制令の適用を受ける一般の昔の家賃、あるいは昭和二十五年から地代家賃統制令の適用を受けない一般の住宅の家賃が一斉に上るだろうと思うのですが、その点は、自治庁はいかにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/14
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015・早川崇
○政府委員(早川崇君) 少し私の方で誤解を与えているように思いますが、公団住宅は、その他住宅金融公庫その他の住宅は、全部固定資産税がかかっておりまして、こちらはその四割ないし二割ということでございます。従って、そういう面におきまして非常にアンバランスがあるわけでありまするが、私はこの公営住宅の交付金というものができることによって、知事会その他が騒ぐというのは非常におかしいと私は思っておるのでありまして、これを居住者に、全部家賃に転嫁しろというのではもちろんございませんが、当然市町村に納めなきゃならぬ交付金というものを納めた上で、一つの自治というものを行なってゆけということで、ここに私は自治の妙味があると思います。これは、ただ一律に、義務的に居住者に家賃を上げて転嫁さすというのであれば、これは有能な知事でもないし、有能な自治体の長でもないのでありまして、その点においては、今、石井先生から御指摘のように、必ず家賃を上げるのだというようには私は考えておりませんので、その点は、どうか一つ誤解のないようにしていただきたい。また、公団その他は、御承知のように、固定資産税においては、はるかに住宅金融公庫並びに公団住宅は高い固定資産税を払っておるのであります。われわれは、逆にこういうものとのつり合いという観点から、その四割ないし二割というものを考えておる、こういう方向に私は考えておりますので、その点は一つ御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/15
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016・石井桂
○石井桂君 公団住宅の方は私の思い違いですがね。協会住宅は、七割五分を金融公庫から借りて、それから他の頭金を都道府県あるいは他の金融機関から出して、そして今、建てて貸し付けているのです。それは、各府県で固定資産税を免除しているのですよ。そうすると、その家賃が鉄筋で四千五百円くらいのものです。家賃がですね。だから公営住宅に入れない者が非常に苦労して、収入から計算するとどうしても入れないのだけれども、何かたとえば親戚と一緒に入るとかなんとかして、苦労して入っている。それが政府の住宅政策にマッチして、そうして各府県は取りたい固定資産税を取らないでいるわけです。こういう住宅すら建てているやつだから、そんなものはお茶の子さいさいで取ってしまうだろうと私は思う。同時に、昭和二十五年から地代家賃統制令で、取れないでおっ放している一般の地代家賃が上りはしないかと、こういう質問なんで、早川次官のお話でわからないことはないけれども、私どもは一生懸命で住宅を建てて、安い家賃のものを供給しよう、こういう側から見ると、あまり血も涙もない政策じゃないかという気持を持っているものだから、大へん失礼なことを言うようだけれども、それを一つ納得のいくように説明をして下されば、これで私は質問を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/16
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017・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように、公営住宅の家賃は、法律に限度額が定められているだけでありまして、その限度額以下で、それぞれの地方団体が多少そこに自己負担をするところもございますし、そうでなしに、法に定めております限度一ばい取るところもあるわけでございます。こういうような地方団体の住宅政策の結果が、御指摘になりました東京都におきましては、協会住宅というのが一般財源を持ち出しております。東京都の二十三区つきましては、市町村税であります固定資産税を都税といたしまする結果、その住宅政策の一連のものとして固定資産税を課していないだろうと思います。東京都の問題でございますが、二十三区の中にあります都営の公営住宅につきましては、これは都が都に交付金を交付するということになるわけであります。そういうことは原則として考えていないわけであります。しいてやろうと思えば・特別会計を作って、やれないことはないということにはなっているわけでございます。従いまして、今までも地方団体が国の住宅政策にプラスして、いろいろと一般財源を持ち出しておる。それを禁止しているわけでもございませんで、それは、それぞれの団体が今後住宅政策を、この交付金制度との関連においてどう推進していくかということに帰着するだけのことではなかろうかと思っておるわけでございます。なお、この制度の結果、地代家賃統制令の適用を受けている住宅の家賃が上るのじゃないかというお話でございます。そちらの家賃は、別な方からの影響を今日においては強く受けているものだと思っております。かりにこの交付金制度ができたにしましても、これらの公営住宅の家賃というものは、二分の一なり三分の二の国庫補助相当部分は家賃の計算の基礎に入っていないわけでございますので、非常に安いのじゃないか。ことに今度の交付金の額も、固定資産税相当額としないで、それ以下に制限をしているのじゃないか。そうしますと、そこからそちらの方に影響を及ぼしていくということは、私たちとしては考えられないのじゃないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/17
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018・近藤信一
○近藤信一君 先ほどの御答弁の中に、上げたって二割か四割じゃないか、大したことない、こういうような御意見ですけれども、これは、政府が公務員の給料に対しては何ら物価が上っていないのだから、これは上げることはないといって、ベース・アップに対しては、政府がこれを認めない。そのあとで、今になってこういう公営住宅が二割なり三割上ることは、私は、大したことないどころか、非常に大きな影響があると思う。そして国のこういうような、また、公営住宅が値上りするということになれば、従ってその他の物価の値上りの一つの口実にもなろうかと私は思うのですが、この点どのようにお考えになっておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/18
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019・早川崇
○政府委員(早川崇君) 先ほどの奧野部長のお話は、二割ないし三割上るとは申しておりません。家賃のたとえば七百円納めている第二種の人たちの場合には約三十七円、五%、五分であります。それから三万円以上の高額給料者が入る第一種の場合には、たとえば四千円近い家賃ということになりますと、その人は四百円ないし五百円というわけでございまして、二割ないし四割とか、二割ないし三割ということは申しておらないのでございますから、誤解のないように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/19
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020・近藤信一
○近藤信一君 いや、その公営住宅が、三十七円、四百八十三円、こういう額を先ほどお示しになったのですが、こういうふうに公営——国の住宅が値上りしてくる、そうすると従って、その他の諸物価に対しても、国がこう上げるのだから上げるのは当然じゃないかという、こういうよそに影響のある、この影響に対してどう考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/20
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021・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 今回、この交付金制度を設けましたのは、同じような性質の固定資産でありますと、全体的に固定資産税の対象になってくるにもかかわらず、国が持っている、あるいは府県が持っているということだけで、固定資産税の対象からはずれているということは、均衡を欠いているのじゃないだろうか、そういうような例外的なものにつきまして、一般的な負担の対象にしていきたい、こういうところにあるわけでございますので、それが一般的なものに、また逆に物価を引き上げさせるというような影響を持っているということは少し言えないのじゃないだろうかというふうに思っておるわけでございます。非常に例外的なものにつきまして、特に低いものを若干固定資産税に準ずるものを負担させるようにもっていきたい。それも使用者課税でございませんで、一応建前は、地方団体が市町村に交付金を交付していくのだと、こういうふうにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/21
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022・近藤信一
○近藤信一君 それから、この法律が実施されますれば、先ほどのお話では、何か特別の配慮をすると、こういうお話もあったようですが、その特別の配慮とは、一体どのようなお考えを持っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/22
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023・早川崇
○政府委員(早川崇君) 特別の配慮という意味は、先ほど申し上げましたように、府県が市町村に当然払わなければならない性質の交付金を払うと、こういうわけでございまするので、これを非常に困っておる第二種の人たちに全部この表にあるように家賃として転嫁するかどうか、転嫁すべしということでございませんので、全国で大体一兆以上の地方財政全体から見ますると、約三億円の交付金はむろん少いのでありますが、若干そこに、実情に応じた自治体自体の性格から申しまして、そこにいろいろな住宅政策、たとえば福岡県の場合には五百万、そのために交付金を市町村に与えなければならない。この五百万円を住宅居住者に全部転嫁するのがいいか、あるいはほかの、若干土木事業その他で不要不急なものをやめて、住宅を上げないで、この交付金を納めるような政策がいいか。これは、自治体の長に与えられました自由裁量の問題でございます。そういう意味から申し上げたので、法律の建前は、固定資産税のように義務的なものではないという点を申し上げたのでありまして、この表は、全部転嫁するとこのようになるのだ、こういう意味でございますので、そこに若干の配慮ができるのじゃないかと、かように申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/23
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024・小笠原二三男
○小笠原二三男君 関連して……、早川さんがさっきから言っておること、私、まことに不満なんです。この政府は、低家賃住宅政策なんです。いいですか。それが、あんたが言うのでは、今、法律で義務づけてないのだ。従って地方の都道府県知事が自由裁量でやるのだ。そうしてまた、早川さんのおっしゃる方は、あまり転嫁される方は望まないのだと、それば自治体の方で妙を得た運用をしてもらいたいという意味の意向を言った。奧野君は、既設の住宅についてはもうかけないようにしても、今後どしどし公営住宅等が出てくる場合には、こういうものをきめておいた方がいい。きめておくことによって、初めから家賃にこの部分が含まれて家賃決定ができれば文句は起きないだろう、こういうことを言っておる。で、私はどっちがほんとうなのかということのために一つ聞きますが、もしも家賃に転嫁しないということであれば、都道府県の財政需要の中に、財政計画の中に、三億なら三億というものの支出を認めなけりゃならぬのです。個人から取れぬとなれば。ところが、そんなものは自治庁の財政計画の中にどこにも出てないのです。そうすれば、その分だけは、財政計画なりあるいは都道府県の財政需要というものはやはり困ってくるのです。困ってくるのですから、計算上からいえば、結局家賃に転嫁していくことを方針として示していると言ってもいいことなんです。この点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/24
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025・早川崇
○政府委員(早川崇君) この交付金は、この住宅の原価計算の償却の基礎になると、まあはっきり具体的に申せばですね。従ってこれを家賃で取るか、あるいは県の住宅政策として、まるまるこの低額所得者に転嫁するか自体は、私は、その自治体を、特に府県の住宅政策の問題だと思います。従って、従来庁県というものは、完全自治体で現在ございますので、そこに裁量の幅を持たしたという意味でございまして、原価計算という立場から申しますと、その住宅自体の償却その他からいえば、これはおそらく居住者に全面転嫁するということになりましょう。しかし、われわれは、そういうことを強制しようとは思っておらないので、そういう意味から、先ほど来部長も申し上げたと思うのでございまして、この点は府県という自治体をわれわれできるだけ尊重していこうと、これは重大問題ですから。この住宅の家賃を政治的に眺めますと、政治的センスから申しますと、確かに問題があると思います。そこで、こういうようなまあ中途半端なですね。ややあいまいなような感じを与えるのじゃないか。しかし、真意は今申し上げましてたような真意でございますので、御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/25
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026・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私は、国の住宅政策という方針からいえば、あなたがかりに、これは国の方針としては転嫁させることはいかぬとお考えになるならば、法律上転嫁できないようにすることもできるのです。ところが、この法案に限っては、自治庁側は、地方自治体を完全自治体だの何だのってあがめ奉って、そうして地方の責任に転嫁しておる。専売公社やその他の鉄道や、電信電話公社あるいは他の現業官庁、これらのものはこれら自身が金を出すからいい。しかし公営住宅分は、家賃に転嫁しない限りは、都道府県が一般財源から市町村に渡すのです。直接国がその分を、市町村に三億なら三億渡してしまってもそれで事足りるのです。ところが自治体であるから、それぞれ独立した運用を法律上やるとすれば、少くとも都道府県の方に三億なら三億という財政需要を国の財政計画としては認めなけりゃならぬ。それを認めないでおいて、この法律が出ていけば、結局都道府県は、それぞれ財政上困難な事態になっていますから、家賃に転嫁していく。しかも、奥野さんの言われるように、今言った五分程度、三十七円なり四百八十三円程度かかるのだ、この部分は、今日の公営住宅に入っている人は、一般家賃から言えば低家賃なんだから、負担してもらったって大したことでないだろうということが、ちょろちょろ言われていれば言われているほど、都道府県は、これはもう当然のこととして、この方法をとってくると思う。それをさっき石井さんは、それは、住宅建設の場合に、国の負担分が幾ら幾らであるからということを言っておりましたが、それらは一般の国民にはわからぬことなんです。公営住宅部分が幾ばくでも上ったとなれば、公団なり協会住宅の方もそれにつられて上るばかりでなくして、さっき言った統制令の方にかかっておる一般家屋の方も、公営住宅でさえも上げているんだ、だからわれわれ個人負担でやっているものは上げたっていいじゃないかということで、やみ家賃の増高という連鎖反応が起ってくる。起らないという保証はどこにもないと思う。そういう点から、この住宅政策というものが一部くずれてくるのではないか。こういう御質問だったわけです。そういう点についても、しっかりした見通しと申しますか、お答えがない。第一点に聞いておることは、転嫁させまいということが国の建前なのか、それは自由裁量なんだから、転嫁されたってわずかの金なんだから、かまわないというのが本心なのか、この点をはっきりしてもらいたいということと、一般家賃の増高という連鎖反応が起きないかという点に対しての見通しをお伺いしたいということ、もう一つは、政府部内で協議した場合に、現業官庁あるいは専売、国鉄、電々公社、これらの官舎と申しますか、俗に申しております、これらの住宅については、公社の経理の中でこの交付金、納付金というものを出すことにするのか、やはり準公務員の家賃の方にこれを転嫁させるような運用をやっていこうとしているのか、この点は、公社の方からどう聞いているかということをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/26
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027・早川崇
○政府委員(早川崇君) 国の住宅政策は、御承知のように、あくまで低家賃政策にありまして、すでに公営住宅も、御承知のように、大幅な国庫補助というものをやっておりまして、公団住宅なんかの家賃よりは、はるかに安いというゆえんのものは、国の補助金という、英国では補助でなくて融資しておりまするが、こちらは補助金ということを思い切ってやった点に、国策としては公営住宅の低家賃政策というものは一貫しておると思うのでございます。その補助しないあとの部面というものが、これは自治体という問題になりまするが、先ほど申し上げましたように、府県の自治体で、一般会計で住宅政策の補助をしようということによって、まるまる家賃にこれをかけないようにするか、またまるまる家賃に転嫁するか、これは私は、自由裁量ということでいいと思うのであります。われわれといたしましては、どちらが政府の意見かというお話でありますが、私は政府といたしましては、御承知のように、特に低額居住者の家賃負担を軽くしたいという趣旨に沿いまして、固定資産よりも四割または二種は二割というように、その面で大幅な軽減をして、これも税法からいえば、理届はほんとうは立たないのであります。ところが、特に低家賃政策という立場からやったのであります。それ以外の分は、さきほど申し上げましたように、自治体の自由裁量という点でございまして、その点をわれわれはとやかく申したくないというのが現状でございます。
なお、後段の御質問は、税務部長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/27
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028・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 三公社の持っております一般住宅につきましては、昭和二十九年来固定資産税を課しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/28
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029・小笠原二三男
○小笠原二三男君 今の早川さんのお話ですが、もっとつきつめてお聞きしたい。固定資産の再評価は、税法上二割、四割なんというようなふうに、税制の建前から言えば、特殊な割合を考えるということはおかしいが、しかし、この種の交付金、納付金の本体を考えれば、政府はあえてやったんだ、そういうふうにしたんだ。これはだれのためであるのですか。都道府県がその負担をしなければならぬという意味から、一般財源から持ち出さなければならぬ部分が多いということから、そういうふうに軽減したのですか、それとも低家賃政策として、家賃に転嫁される個人の負担を軽減したいということで、これは下げたのですか、その点をはっきりしてもらいたい。どっちですか。それによって、今後の自治庁の行政指導が出てくると思う。もやもやと、完全自治体を振り回して、この際公共団体の責任にだけ転嫁していることは私はおかしいと思う。どっちのことのために、その二割、四割という考え方を持ったのか、はっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/29
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030・早川崇
○政府委員(早川崇君) さきほどもお答え申し上げましたように、理屈から言えば、四割、二割ということは、税法上は必要はないのでありまするが、居住者の生活、家賃というものを考慮いたしまして、住宅問題は、そういう低家賃政策という大きい国策の線から四割ないし二割と、こういうようにいたしたのでございまして、国といたしましては補助金を出すということと、今度の法律でそういうように特に課税率を低く下げたということで、あとは、これは自治体の自由裁量にまかせよう、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/30
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031・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私は、その話を聞いてみて、非常にこれはおかしい。どっちにでもなっていいんだというようなことで、こういう評価額の、何と申しますか、特例というものが出てくるというのはおかしい。家賃に転嫁される分が少くてもいい、あるいは転嫁されない場合においては、県の負担は一般の固定資産税よりは低い、どっちでもいいんだというようなことはおかしいと思う。税制上不合理なことをあえてこういうふうにやったんだと言うからには、やらなければならない理由があるわけなんです。それは、家賃分の増高を来たさないということでやろうとしたのか、都道府県財政の負担を重くしたくないということでやったのか、どっちかはっきりした方向があると思うのです。どっちになっても、大した負担でないんだという意味から、税制上の重要なこの不合理なことをあえてやったんだということでは、私は理由にならんと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/31
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032・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 小笠原さんのおっしゃいますように、国は、住宅政策といたしまして、公営住宅に対しまして二分の一ないし三分の二の建設費を補助いたしております。また、家賃の限度額をきめるに当りましても、この部分は、家賃の原価の中に入れてはいけないという政策をとっておるわけでございます。したがいまして、この国の住宅政策というものは、地方団体におきましても十分尊重して参らなきゃなりませんので、交付金の算定に当りましても、この部分は交付金の対象に入れない、むしろプラルスアルファを入れない、こういうような考え方のもとに、第一種公営住宅につきましては固定資産税相当額の四割、第二種公営住宅につきましては固定資産税相当額の二割と、こういうふうにいたしたわけであります。そういたしまして、かりに家賃として転嫁されて行く場合に当りましても、国の住宅政策として積極的にとっておりまする政策に抵触しないようにして行きたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/32
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033・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで今も話が出たが、国から出した部分については何ら転嫁していないのだ、それはみてないのだから、だから従来の住宅政策には背反する点はないのだ、あとの都道府県の負担の分についてだけ、その意味で言えば普通の固定資産税をかけるということと同じだ、こういうことになるわけです。それで、それが個人の負担になってもいい、それから都道府県自体が払ってもいいという建前だというのですが、奧野さんはさっきからいうと、かりに個人の負担になってもいいということを言って、従って都道府県の財政上困るのだということになれば、個人の負担で取りなさいという指導をするのだろうと思うのです。やむないときにはそうしない、自治庁全体として財政上の指導援助をしておるところとしてはそう言うてくると思うのです。そうでなく、これはもう安いものなんですから、都道府県で大した金額にならぬのだから一般財源でめんどうみなさい、こう言いますか、実際の指導上はどうするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/33
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034・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように、現在の公営住宅の家賃につきましては最高限度額を定めているだけでございます。住宅に対しまして府県が自己財源を持ち出しまして、さらに低い家賃政策をとっているところもあるわけでございます。今度の交付金相当額はこの限度額に算入されて参るわけであります。その限度額の中できめられまする限りは、先ほど来次官のお話になっておりまするように府県の住宅政策にゆだねて行きたい。しかしながら、この交付金相当額が限度額の中に算入されまするように原価を構成するものには違いない、そういうふうに考えているわけであります。それ以上自己負担しなければならないとか、転嫁しなければならないとかいう問題につきましては、この法律に関しまする限り、現在の家賃について限度額を定めているだけだという場合と同じように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/34
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035・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私非常にくどいようですが、法律はわかっているのです。実際の運用の上に都道府県の財政上からはどうなるか、あるいは入居している個人の家賃の問題はどうなるかという見通しについて心配して質問しているわけなんです。法律上は確かにあなたのおっしゃる通りですが、しかしその家賃の限度額というものの中に、今度新たにこういうものまで算定して入れるのだということになれば、家賃で取っていいということなんですから、そうして都道府県は非常に苦しいのですから、どういう結果をみるか、見通しとしてはどうなってくるかといえば、転嫁される方が多いということなんです。それを、それは都道府県知事の自由裁量なんだということで政府に責任がないような話をしている。政府が三億なら三億というものを財政計画でみてさえおけば何も家賃に転嫁する必要はない。政府においてそういう積極性がどこにも見られない。しかもこの家賃の限度額というものに算入されている、こういうことなら転嫁されるのじゃないかと質問されたら、自治庁は、それは都道府県知事にまかせているのだから算入される場合もありましょう、しかし、そうじゃない場合もありましょうなどと言って、そうでない場合も多くあるようなことを言うことば錯覚ですよ、それは。どこにそういう都道府県があるように思いますか、東京などでさえも大騒ぎしているのですから……。見通しはどっちなんです。転嫁される方が多いのですか、少いのですか。またなぜ財政計画の中に三億なら三億というものをみなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/35
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036・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 政府委員の答弁の前に申し上げておきます。
先ほどお諮りいたしましたように、小笠原君はあとで地方行政委員会におきまして政府と十分質疑応答をしていただく余裕がございますので、連合審査会の性質上、ほかの委員の方に質疑を譲っていただきたいと思いますが、その関係から、政府はただいままでの小笠原君の質問に対して明確に御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/36
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037・早川崇
○政府委員(早川崇君) 見通しを言えと、こういうことでございまするが、先ほど来申し上げましたように、全部転嫁いたしましても四割、二割という特別措置ということで、第一種の場合には七百円の場合は三十五円ですか、その程度より家賃は上らない。しかしその最大の限度というものにおいて、すでにほかの家賃その他と比べまして必ずしもひどいものではないと考えるのでありまするが、たびたび申し上げましたように、それをどうするか、まるまる転嫁しないで、むしろほかの財源から、住宅政策として府県が交付金に納める分だけを持ってくるか、そういうことは自由裁量にまかせたいと、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/37
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038・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私の答弁じゃない、私は見通しを聞いているのです。また都道府県知事が、困った、家賃に転嫁して取りたいと思うが、自治庁の御意見を伺いたいというふうに指導を仰がれたときには、特に財政再建団体等に指定されたところに対してはどういうふうに指導しますか、明確に答えていただきたい。転嫁して取れと指導せざるを得ないでしょう、はっきりおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/38
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039・早川崇
○政府委員(早川崇君) 少し私は小笠原先生と自治体に対する考え方が違うのですが、自治庁は旧内務省のように、指導とか、命令とかいう考えは毛頭持っておりませんが、もし問われればですよ、これは第二種の非常に困っている人のようなものに対してはできるだけ転嫁をしないで行ったらいいんじゃないかと、こういう気持を私も大臣も持っているということを表明しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/39
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040・小笠原二三男
○小笠原二三男君 どうも私質問していることにぴったりこないのですが、財政再建団体に対して命令はする必要はないけれども、法によってそれぞれ予算の作成や財政運用については指導するのです。明らかにするのです。そういう場合に、どう指導するかはっきりとおっしゃっていただきたい。気持でないですよ、どういう行政指導をするか、はっきりおっしゃっていただきたい。それは奧野さんの方がいい、どうせあなた税の方の指導をするのだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/40
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041・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、交付金相当額は家賃の原価を構成するものというふうに考えております。従いまして、将来公営住宅が建設されまする場合には、原則として家賃の額に算入してくるものと考えております。しかしながら、現在でも家賃の限度額が定められているだけでございまして、これ以下の家賃を定めている団体もございますので、そういう団体におきましては、これを一般財源で負担するという場合が出てくると思います。それから現在の既存の公営住宅につきましては、今、政務次官からお話になりましたように、第二種公営住宅につきましては、さしあたり家賃の転嫁を避けさしたい、こういうふうに大臣が衆議院において御答弁になっております。従いまして、この財政的な措置につきましては、別途政府において考慮すべきものだというふうに存ずるわけでございまして、特別交付税の配分につきまして考えなければならないのじゃないかというふうに思うわけでございます。第一種公営住宅につきましては、これは今も申し上げますように、原価を構成するものでありますから、そういう意味では税相当額は家賃に転嫁されるわけであります。ただ、従来も家賃につきまして一般財源を相当に出している団体におきましては、当然こういうものも自己負担でまかなって行くことになるだろう、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/41
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042・久保等
○久保等君 私は特に今度のこの法律案の中で、公社関係の問題について質問をいたしたいのです。特にきょう自治庁長官が見えておらない点を私遺憾に存じますが、十分この問題について、今まで質疑をいたす機会もなかったので、特にこの法案のかかっておりまする地方行政の委員会との連合審査のこの機会にお聞きいたしたいのですが、今度のこの法律の施行によって、従来からいろいろその賛否の問題のありました三公社に対する交付金という形で、実質はしかし固定資産税的なものが新しく課税せられることになるわけですが、専売、国鉄、電電という三つの公社のうち、若干専売の場合には違ったような事情もあるかと思いますが、国鉄、それから電通の場合においては、今日の財政状況等との関連性も考えました場合に、ここに新しくこういった制度が作られるということについては非常に重要な私問題だと存じます。しかも公社の場合には、本来の公共事業そのものに供せられる資産全般について、今回納付金制度というものが作られようとしておるわけなんですが、私はこの法案を出された直接的な動機、あるいは間接的な動機、いろいろあると思うのですが、三公社の場合について今回こういう制度がとられようとしておりまする理由というものは、大臣からの提案趣旨の説明でも、説明としては一応わかるのです。しかし何を好んでこの機においてこういうものが出されて参ったのか、その点については課税をする立場、取り立てる立場からいけば非常に理由は私はあると思うのですが、しかし従来非課税になっておったものが、今度は固定資産税という名称を使う使わないは別として、新しくこういう課税がなされようとするわけなんですが、その点を、どういう点について特に従来と違った事情の変更等があったのか、提案趣旨の説明を特に三公社の問題について的確な、よくわかりやすいような一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/42
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043・早川崇
○政府委員(早川崇君) 提案理由の説明にありますように、根本的には所在前町村に施設を三公社が持つ、電電その他が持つということによって、市町村の消防、衛生その他いろいろな利益関係を持ちまするので、ほかの固定資産と同じような意味で固定資産相当の交付金をお願いする、こういうことになったのでございまするが、あわせて、御承知のように地方財政というものが非常に逼迫して参りましたので、そういう面をもあわせ考慮いたしまして、このたび多年の懸案でございました、今直ちに起った問題ではないのでありまして、シャウプ使節団以来のこの問題を三十一年度からお願いする、こういうことになった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/43
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044・久保等
○久保等君 私は今の御答弁でわかりかねるのは、電電公社、あるいは国鉄、これらが公社に経営形態が切りかえられた。従ってこれは純然たる国営事業とは違うのだ。従ってこれに対する課税ということを考えていってもいいんじゃないかというような、きわめて形式的な面からそういう考え方を持っておられるとすると、これは非常に問題だと思うのです。本来の事業が国営事業であろうと、あるいは経営形態が若干変って公社経営になろうと、その本質の公共事業そのものの内容については何らの私は変化がないと思うのです。一体課税をされる基本的な考え方が、これがもし政府事業であった場合にはどういう考え方を持つのか。政府聖業であっても固定費税的な、固定資産税という形をとるか、とらないかは別として、公共事業に供せられているいわゆる公用の国有資産というものに対して、やはり課税をすべきだという議論をお持ちなのかどうなのか、この面についてのお答えを一つ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/44
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045・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 従来からも国有のものでありましても、企業的な資産につきましては積極的に課税すべきだという意見がずいぶん多かったわけでございます。それが公社組織をとりましてから、国有国営という形はなくなったわけでございますので、一そうその考え方が強くなって参ったと思うのであります。それで今お話になりましたように、昭和二十九年から、本来の事業の用に供するものでない資産にだけは、すでに国会修正の形におきまして固定資産税が課されるようになったわけであります。自来、なお地方制度調査会、あるいは臨時税制調査会においてこの問題が論議されました結果、積極的に課税をすべきだという答申がなされたわけであります。しかしながら、公社の沿革なり、現在の性格なりから考え合せまして、今回納付金制度ということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/45
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046・久保等
○久保等君 今の答申案の内容を全面的に尊重したということ、このことについては私は別に触れませんが、一体自治庁として、こういう新しく課税をするという決意をされた私はやはり根本的な理念というものは、自治庁そのものがやはり明確に持っておられなければならない問題だと思うのですが、少くとも公社ということになったから、従来の懸案が一挙にこの際こういった税制を創設しようという考え方になったというのは、私は非常に表面的な物の考え方じゃないかと思うのですが、もちろん地方財政の再建策の一環として、地方財政の逼迫からくるという意味で、こういった問題についての踏み切りをつけたということならば、これまた一つの理由として、そのことは正しいかどうかは別としても、一応わかるのですが、ただ公社経営に、電電の場合であれば昭和二十八年からなったという、そういう面だけをとらえて、こういう税制を創設したという考え方は、私は非常に税の本質から考えた場合におかしいじゃないか、特にこれが公用に供せられる資産全体に対して、新しくこういう課税を、納付金という形はとっておっても本質的にはこれは課税です。政府が課税をしようということ自体が私は本質的問題として問題が一つある。それからもう一つは、今日の実情等をどの程度自治庁が把握されておるかどうかしりませんが、少くとも最近全国的に市町村合併という問題がつい一、二年前から出て参っているわけですが、そのことと電気通信事業との関連性をどの程度私は把握されているのか、最近特にわれわれも全国の市町村から、町村合併に伴う通信の整備強化という陳情、請願等を非常にひんぱんに受けておるわけなんですが、これらの一体問題が今度のこういう納付金制度というものが新しく作られることによって、どういう影響を受けるのかということも、私は当然こういう問題を立案され、新しく作ろうとされるからには十分に検討せられておるのじゃないかと思う。従ってそういう二つの面から、少くともこういう新しく制度を設けられるという問題については、よほど慎重に考慮せなければならぬ問題じゃないかと思うのですが、そういう点についてどういうふうな判断をされたのか、その気持を、あるいは考え方をお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/46
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047・早川崇
○政府委員(早川崇君) 先ほど申し上げましたように、本来税自体として考えましても、御承知のようにアメリカのコーポレーション、英国の国有鉄道なんかは、すでに課税をされておるわけでありまして、そういう基本的な考え方、先ほど申し上げましたように、所在市町村に受益関係を得ておるという立場から、これは当然納めるべきものだと、こういう考え方が根本でございます。しかしむろんそれだけではないのであります。それならば、もう二、三年前にできておったわけでありますが、同時に、御承知のように、地方財政が非常に逼迫して参りまして、その自主財源を作る一環といたしまして三公社にお願いをする、こういう基本的な考え方でございます。もちろんそれによって、交付金というものを持ち出さなければなりませんから、いろいろ、鉄道であれば新線建設とか、あるいはまた電信電話の充実とかいう面に若干の影響を持つということは、これはまあ当然でございまするが、しかし御承知のように、国鉄にいたしましても、私鉄の二分の一の交付金、まあ所得税をすべて納める必要はないというような特典は別といたしましても、最小限度こういった納付金を納めた上で、いろいろな事業計画を立てるべきではないか、かような税の本質からわれわれはお願いすることにいたした点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/47
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048・久保等
○久保等君 後段の方、第二点の方は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/48
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049・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) お話しのように、市町村合併に伴いまして電話局の統合等を強く電電公社に期待をいたしておるわけでございます。また無電話部落の解消でありますとか、電電公社が単なる利潤追求の企業じゃございませんので、そういう性格をも考え合せまして、普通の固定資産税相当額じゃなしに、昭和三十一年度は固定資産税相当額の四分の一、三十二年度以降は固定資産税相当額の二分の一ということに、この法律案は定めようとしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/49
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050・久保等
○久保等君 私は今の御答弁は、二つともまあ私の質問に対して的確な答弁がされておらないと思うのですが、最初の、特に政務次官の言われた所在市町村において公社財産が非常な受益をしておる。従ってそういうものに対して課税をするのはむしろ当然なんだというようなことを言われておるのですが、住宅、まあその他の問題はこの際私は抜きにしておいて、たとえば電話局とか、あるいは電報局、これらのものが所在市町村で消防その他のいろいろお世話になっておると言われるけれども、実は何のためにそういう局舎を作り、施設を作っておるかということになると、これは実はそこの所在市町村そのものの私は通信という公共事業のために作られた局舎であり、施設であるのじゃないか。ところが局舎そのものが所在市町村で非常ないろんな恩恵にあずかっておる。いろいろお世話になっておる。従ってこれに対して課税することは当然なんだという考え方は、むしろものの本末を全く転倒してしまった、まあきわめて微生的な派生的な問題を取り上げて課税の対象にする。何かそれを本質的な理由にしておられると思うのですが、そういう考え方は、私は先ほども申し上げておるように、公共に供せられておる、公共事業そのものに供せられておる財産そのものに対する課税の考え方というものは、私はそういう考え方じゃこれは何らの理由にならぬじゃないか、こう思うのです。この点をもう少し、そういう所在市町村に厄介をかけているじゃないか、そこから利益を受けているのじゃないかと言うけれども、これはむしろ逆であって、その市町村そのものがそういう公共事業の施設があることによって恩恵を実は受けておるのだし、そういう私は実情にあるのじゃないか、だから今の問題は、非常に政務次官の答弁は私はこれは本末転倒したものの考え方じゃないか。あなたはもしそうい考え方で今度の課税という問題についての割り切り方をしていられると、これは非常に大きな問題じゃないか。それから第二の奧野部長の答弁は、なるほど市町村合併に伴って非常にこれらの通信施設の整備という問題が当面大きな問題となっておる。もちろんそれに対しては、相当な資金が必要であるという現状にあることは一応了解されておるようですが、そういう問題があるだけに、それとの関連性において、できるだけ納付金額そのものを率を下げて納付させるという方向をとったという御答弁なんですが、しかしそれなら一体、私のお聞きしたいのは、今日町村合併に伴ってのそういう通信施設の整備統合に要する所要経費といいますか、どのくらい一体経費が必要かということを少くとも把握せられた上に立って、やはり今取り立てようとしている金額が、かりに七億なら七億の金額は、そういった数字をにらみ合せた上で計算がなされて出て参ったのか、それともあなたの言われるのは、抽象的な言葉でもってそういう実情であるけれども、そういう実情であるからこそ、むしろ取り上げる、納付させる金額の面で非常に情状酌量したということを抽象的な意味で言っておられるのか、数字的な根拠に基いて出して言っておられるのか、そのあたりをもう少し数字的な面からはっきりしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/50
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051・早川崇
○政府委員(早川崇君) 前段の久保委員の御質問は、一つの点で私は誤解されておるのじゃないか、すなわち公経済からいいますと、電話料その他料金を払っておる、それによって各家なり役場なりに電話がつくという利益を与えておるので、むしろそれはこの利益を与えた側にある。料金を取らなければいいのですが、そういう点においては、普通の会社でも、工場ができますと、それによって雇ってもらう人が出てくる、いろいろな利益が出てくるということでありまして、われわれが言うのは公経済でありまして、その施設ができることによって、火事の場合には消防車が出動するし、その他公けの経済の面において利益を受ける、こういう立場から固定資産税というものが出てくるわけであります。従ってこれは大きい工場その他の場合にも、程度の差こそあれ当てはまることでありまして、こういう観点から、諸外国においてもコーポレーションというようなもの、または国鉄とかいうものに課税されておる根拠であるのであります。特にしかもそういう料金を取っている上に、一般の私企業に比べて公け性というものがむろんございますから、普通の各企業と違いまして、その固定資産の二分の一という課税をする。むろん所得税その他一切ない、最小限度、その施設があることによっていろいろな市町村に対する公けの利益という面のみをとらえまして、ここに納付金をお願いする、こういう根拠に立っているわけでありまして、どうかそういう点は一つ御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/51
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052・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 市町村合併に伴いまする電話施設の整備に要する費用として、電電公社の予算には、三十年度分の五億円に、さらに五億円を増加いたしまして十億円計上せられておると聞いておるのです。もとよりそれだけじゃとうてい足りないのであって、なお数十億円の経費を必要とするというふうに承わっております。今度の法律案で二分の一とか、あるいは四分の一とかいうふうな計上の措置をとりましたのは、こういうような電電公社の性格、言いかえれば、利潤を伴わない地域につきましても積極的に電話施設を拡張していく、そういうようなことにかんがみましてとった経費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/52
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053・久保等
○久保等君 政務次官の御答弁の方は、そういう考え方で参るとすると、一般の政府企業についても、これは全くその通り当てはまると思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/53
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054・早川崇
○政府委員(早川崇君) 大体政府公社その他、たとえば林野とか、いわゆる一つの事業的な性質を持っておる国有資産というものに対しては、むろん交付金あるいは何らかの意味で課税するということになっておるのであります。ただ、たとえば官庁の税務署とか、こういったものは純然たる企業的な性質と違いまして、むろんこれは固定資産の対象になっておらないことは御承知の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/54
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055・久保等
○久保等君 もう少しはっきりお答え願いたいと思うのですが、税務署あたりの問題は今私はお尋ねしておらないのです。政府のやっております企業の場合であれば、これが公社であろうと、それからそうでない官庁という形であろうと、あなたの今の考え方、特に固定資産税ないしはこれにかわるべきどういう形をとろうとも、今回出されたような交付金、納付金の問題、納付金の制度というものは、やはり適用していいんじゃないかという理屈になると思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/55
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056・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) お話のように、納付金制度をどの範囲まで拡張して行くかということにつきましては問題があるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/56
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057・久保等
○久保等君 本質的な問題だけでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/57
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058・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) そのような考え方としましては、企業的なもの、使用料を徴収しておるような場合には、たとえば国鉄でありますと運賃であります。電電公社でありますと電話の料金であります。こういうような原価の中には固定資産税相当額も当然入るのじゃないだろうか。もし固定資産税を課税していませんと、それだけ原価が低くなって参ります。そういう形において料金が比較されても、たとえば企業が健全な経営が行われているかどうか、必ずしも正確な判断ができないのじゃないかと思いますので、そういう面につきましては、いろいろな考慮を払いながら、あえて納付金制度をとることにしたのであります。これを企業的なものの範囲にまで広げて行くかどうかということにつきましては、昭和二十九年度から、先ほど申し上げましたように、一部についてすでに固定資産税を課されております三公社、それから五現業のうちでは国有林野、こういうようにいたしたわけであります。あとの四現業に広げていきますることは、一般の公用財産との関係もございまして、なお慎重な配慮を要するものと、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/58
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059・久保等
○久保等君 私のお聞きしておるのは、いろいろこういう税制の問題に関しての問題は慎重に考えられなければならぬと思いますし、またいろいろな条件を加味して考えた場合に、一つだけの問題で一挙にこれに課税すべきであるか、あるいは課税すべきでないかという結論は出しにくいと思う。しかし私は先ほど政務次官からお伺いして、政務次官の御答弁があったわけですが、少くともそういう政務次官の考え方から見た場合には、私はその面からだけ考えるならば、少くとも公社事業であろうと、それから国営事業であろうと、その点についての甲乙の差別はないんじゃないか、その面についてだけ言えばないんじゃないかということをお聞きしたわけです。それについて、そうなのか、そうでないのが、簡潔にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/59
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060・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 一応その事業から収益をあげていく、利潤追求の意味の収益ではなく、企業会計における収益をあげて行くような資産につきましては、ことに利用者から対価を徴収する、こういうものについては納付金の対象にいたしたい、かように考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/60
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061・久保等
○久保等君 今の御答弁でちょっと問題は、あまりそう広げてもらわないでけっこうなのですが、今の御答弁だと、対価を求めておるというような企業、そういうものについては納付金ということで納付さしたいということにしたのだという御答弁であったと思うのですが、そう言われると、たとえば郵便事業等の場合は、これは明らかに対価を取って信書を運搬しているわけなのですが、こういった場合についても同じように法律の適用をしなければならぬということになるのですが、私はそういうところまではお考えになっておらないと思う。私のお伺いしておるのは、この法律案そのものの根底をなしております課税をするという基本的な理念をお伺いしているわけなのです。その場合に、先ほど政務次官のたまたま御答弁があったことに関連して、その考え方は、単に三公社というものの考え方だけでは限定できない問題じゃないかということを質問したわけですが、そこから問題が発展したのですけれども、今のまた部長の御答弁によると、そういうものを、全般について納付金制度というものを創設する意味で何か法律案を出したのだという御説明をされたのですが、そうなるとますます問題が何か広がって行ったような御答弁になるので、その点はもし言葉の行き過ぎ、言い過ぎであれば若干御修正を願いたいと思うのですが、あくまでも私の質問の真意は、そういう意味でお伺いしているのじゃないのでして、先ほどの政務次官の御答弁そのものに対しての一体お考え方は、それが公社経営であろうと、なかろうと、そういう考え方は国営の場合にも適用せられるべきではないのですかという点をお伺いしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/61
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062・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 先ほど私は、三公社五現業のうちで三公社、五現業のうちでは国有林野だけを対象にします、かようにお答えを申し上げたわけであります。どの範囲まで納付金制度を拡張して行くかということにつきましては、いろいろ問題がございます。しかし国と府県と市町村とは、それぞれ政治団体といたしまして、住民の公共の福祉をはかって行く、相互に、お互いに協力をし合って行く、どこの経費に属するのだということにつきましても、一応の筋道を与えておりますけれども、相対的に協力をし合っているわけであります。従いまして、個々の物品をとらえまして総合課税の形はとっておりません。しかしながら、国の持っておるものの中にも企業的なものがいろいろあるわけでありまして、たまたまそれが国有、国営でなくなりました場合には、今申し上げまするような点からは、あえて非課税にしなくても、課税してもいいものがあれば課税すればいい、こういう考え方に立つわけであります。そういう意味で、公社組織になりましてから、自来、固定資産税を国鉄、電電公社に課すべきだという御意見が強くなってきております。その後昭和二十九年になりまして、国会におきまして、まず本来の事業の用に供するものでない固定資産に限定して固定資産税を課せられるように定められたゆえんだと思っているわけでございます。ただ御指摘になりましたように、五現業のうちのあとの四つ、すなわち郵政と、それから造幣、印刷、アルコール、こういうものについて広げるべきであるか、広げるべきでないか、まさに議論のあるところでございますが、従ってこれにまで広げようという考えは持っていないわけでございます。ただいまも申し上げましたように、三公社に限定しております。それと国有林野につきましては、従来から所在の市町村に対して交付金を出しておったような沿革もございますので、これも交付金の対象に入れるということになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/62
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063・久保等
○久保等君 それから、なお先ほど奧野部長の答弁の中で、現在の市町村における町村合併が最近急速に進展しているわけでございますが、これに関連した通信施設との関係をお尋ねしたのに対しての御答弁中に、町村合併関係に伴う通信施設関係の建設資金が数十億と聞いておるという御答弁だったのですが、もしそういうようにお考えだとすると、これは非常に私は認識不足もはなはだしいと思うのです。少くとも数百億というふうに、まあそこのところは私は二百億か三百億か、あるいは五百億か六百億かという点をこまかく言おうとは思わないのですが、少くとも五百億前後というふうにわれわれは従来から理解をしておるし、また把握をしておるのですが、あなたの数十億という程度の金額では、これはもうけたが違うわけなんです。従って、なるほど三十年度の予算で町村合併関係の問題が予算として五百億円計上せられ、三十一年度で十億円計上せられておることはその通りなんですけれども、これは全く焼石に水というよりは、全然お話にならない金額なんです、実は。だから、これらの金額で何年かやっているうちに問題が解決するんじゃないかというふうにもし考えるとするならば、これは非常に私は認識不足じゃないかと思うのです。そういう現状から考えた場合には、かりに七億にしろ、これは今直ちに町村関係に必要な、少くとも建設資金が数百億と言われている中の七億という金額は、そういう面から見ても微々たる金額だと思うのです。従って、それだけ取り上げると言いますか、納付金で納めさせるという形をとれば、片方においては、そういう町村自体の問題が解決しなくて困るという今の実情から考えると、私は一体市町村のそういう通信施設関係に対する認識をどの程度持たれて、こういう法律案が新らしく作られようとしておるのか非常に疑問を持たざるを得ないと思うのです。まあ五億だという昭和三十年度の予算等は、これは全然問題にならぬということで、あらゆる方面から強い批判を受けておる問題でして、当時政府はほとんど全額削ろうかというような状況もあったんですが、やかましい全国の各市町村等の要望もあって、これは名目的な程度の予算が三十年度では組まれ、それから三十一年度ではさらにこれが十億になったのですが、しかし、これは全然問題にならない微々たる予算にしかなっておらないと思うのですが、私は問題は市町村の、特に町村のそういう現状を考えた場合には、財政はなるほど逼迫しておるということも事実です。しかし片方において、市町村としては若干の自己負担をしてもいいから、何とか一つ町村合併関係の通信施設だけはまず最優先的に解決をしてもらいたいという非常に御意向が強く出て参っておると思うのです。だからそういう問題として考えた場合には、私はそういう現状との関連性において、こういう問題は当然考えられるべきじゃないか。そういう問題は直接自治庁の関係じゃないんだというお考え方があったり、ないしは今言ったような全国の市町村で一体町村合併関係の建設資金がどの程度通信施設の面では必要なんだということについて、数十億という程度の認識では、これはけた違いじゃないかと思う。あなたの理解はやはりその程度の御理解なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/63
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064・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 町村合併に伴う電話局の統合と、こういうことについて考えていたわけでございまして、なお施設の改善なり、あるいは無電話部落でありませんでも、電話施設の充実とか、いろいろな点がございますが、こういう点について私はあまり詳しく存じませんのでお答えしかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/64
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065・久保等
○久保等君 まあ今の御答弁では電話局というお話ですが、あなたは先ほど無電話部落の解消の問題というようなことも言っておられたと思うのです。それから局舎の問題といっても、これは従来二つある局を一つに統合するという問題もあるでしょうし、それから新らしく市町村ができたがために、非常にすみっこの方にある局を中間あたりに持って来て新らしく局を作り、従来の局は要らなくなるというような問題もあるでしょうし、またそれに伴う当然線路関係の施設等もあるわけですから、そういう総体的なすべての問題も考えた場合に、少くとも昨年の五月ごろのデータで、まあ私ども直接提出を願って見ている限りにおいても五百億、それからその後さらに昨年の夏ごろでは六百億程度になるんじゃないかという資料も実はもらっておるんです。そういう状況等を考え合せて、焦眉の急の問題が今日の市町村に通信施設の面で存在するとするならば、私はそれに対してブレーキをかけたり、それからまた水をぶっかけるような形のこういう新らしい税制を作り上げるということは、これは非常に当を得ていない。先ほど本質的な課税の理念等について私はお伺いしたのですが、これはいわば、公社になったというのが一つのいいあなた方の立場に立てば機会だと思って、今回こういうものを作ることにしたんだということを、まあ答弁として言われておると思うのですが、かりにその問題を私は抜きにして、それならば、いつからこの問題を取り上げて現実に納付さして参るかという問題になってくると、私のただいま申し上げたような問題は、これまた十分に大きな考慮が払わなければならない問題ではないかと、このように考えるわけなんですが、あなたの少くとも現状把握の仕方、認識の仕方というものは、私は非常にこれは甘いというか、現状という問題を十分に把握しておられないと、今の御答弁からお伺いするわけなんです。あなたあまりそういう町村合併関係の通信施設の問題については今までお聞きいたしませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/65
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066・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) おっしゃいますような電話施設の充実の問題がございますので、数年前の電話料金の改訂によりまして、毎年度相当の益金を出すというふうにされて参っておると承知いたしております。三十一年度におきましても、損益勘定から百三十億余を資本勘定に入れる、しかし将来その結果は非常に苦しくなってくるということも聞いておるわけでございます。そういうような意味から、先ほど申しましたように、二分の一、四分の
一というような軽減措置を講じておるわけでもございます。ただ電電施設の充実という点だけから考えて行きますと、一切の負担がない方がよろしいのかもしれません。しかし地方財政なり、地方税制なりの面を中心にして考えて行きますと、ここで積極的に電電施設の充実のためにいろいろと金を出してもらいたい。しかし将来市町村に対しては、やはり消防施設とか、あるいは教育施設とか、いろいろ金がかかりますので、財源をもらいたい。これをどういうような形で交付して参るかというようなことになりますと、一応企業会計から直接市町村としては受け取りたい。なお企業会計がさらに金が要るという場合に、国の政策の面から、国がその企業会計に対していろいろと助成金を交付して行くと、そういう形の方が経理の内容がはっきりして
よいのではないかと、こういうような考え方を私たちとしては持っておるわけでございます。どういう角度からものを見て行くかということから、いろいろな考え方が出てくるのではないかというふうに存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/66
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067・久保等
○久保等君 まあ今の御答弁もどうもあまりピンとこないのですが、私のあくまでもここで申し上げておることは、一般的な通信事業の当面しております建設計画、これを充実するために、今回のこういった法の措置は不当であるというようなことを私申し上げておるのではなくて、市町村そのものが、実は町村合併という最近のああいう新らしい一つの問題によって出て参っております問題が通信施設の問題についてあるわけなんです。なるほど各市町村とも財政的には非常に逼迫しておる現状にありまするが、しかし、なおかつ町村合併等が行われた場合に、何といっても必要な問題は、第一義的に解決しなければならない問題は、通信施設を少くとも同一の行政区域内に迅速に、かつ円滑に連絡がとれるようにしなければならぬというような問題は、これはもうだれが常識的に考えてもおわかりになることだと思うのです。特に専門的な知識を要するまでもなく、従来から、甲乙の村が一つの村になってしまったという場合には、その新らしくできた村の内部は、従来のように隣合っておった村ではないので、同じ村ですから、教育の面にいたしましても、それからまた行政の問題にいたしましても、これは全くいろいろな意味での有機的な連絡がとれなければならぬと思うのですが、その場合にやはりその手段としては、私は通信施設がいの一番に重要な一つの手段であり、方法ではないかと思う。そういう点から、町村合併に伴ってぜひ一つ通信施設の問題だけは直ちに解決をしてもらいたい、またしなければならぬという強い要望が、これは例外的にあるのじゃなくて、全国ほとんど普遍的にある重大な問題だろうと思います。従ってそういう村では逆に五十万円実費がかかるのであれば、苦しい財政ではあるがとにかく五十万円出してもいいから、何とか一つ部落電話をつけてもらいたいとか、あるいはそういう局の問題等についても、局を一つぜひ同じ市内通話として扱えるようにしてもらいたいというような問題があるのです。そこらの当該市町村にとっては、自分のところのなけなしの財政ではあっても、財布をはたいて、ないしはどこかから金を借りてきても、その問題を解決してもらいたいという問題があると私は認識しておるのです。だからそういう問題をとらえて私は申し上げておるわけなんです。従ってここで七億にしろ、それからさらに十四億にしろ、そういう金額を取り上げられる、納付させるということは、そういう問題の解決に私は水をかける結果になるのじゃないか、水をかけるまで行かないにしても、ブレーキをかける結果になるのじゃないか、従ってそういう問題に対しての一体認識の仕方、どういうふうに考えておったかということを申し上げておるのです。ですから、ただ単に通信施設は重要なんだ、しかもそれに対して全国的に全般的に拡充しなければならぬから、それに対しては相当建設資金が必要なんだというような一般論を申し上げておるのじゃなくて、この交付金を交付する当該市町村そのものが、逆にいえば、通信の面では、逆に出して一日も早くそういう問題を解決してもらいたいという要望を強く私は表明しておることを知っておるものですから、そういう面において一体適当であるかどうか、時期を今日に選んだことが適当であるかどうかという点については、私は多大の疑問なきを得ないということを申し上げておるわけなんです。ですから、その点についての御答弁をお願いすることもあまり意味がないと思いますが、少くともそういう現状にあることを十分に考えて、こういう問題については結論を出さるべきじゃないかというふうに思うわけです。
それから、さらにこの納付金の事務的な問題になるのですが、自治庁としては、どういうお考え方でこの納付させる手続的なことを考えておられるのか、出先の、出先といっては語弊がありますが、地方の自治体と、それから公社の出先との間においての納付手続をどうとらせるのか、それとも中央において一本化してこれを事務的に扱って行くことを考えておるのか、この点について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/67
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068・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 前段のお話よくわかりました。またそういうように熱望しておる話も聞いておるわけでございます。ただ地方財政が非常に窮乏しておりますので、年来の問題を今回解決をしたということになっておるわけでございます。しいて理屈を申し上げて恐縮でありますけれども、市町村はたとえば工場を誘致してきたい、発展をはかりたい、工場誘致のためにずいぶん金をつぎ込んでおる。しかしその工場から固定資産税一切とれないということになってしまっても困るのでありまして、電話施設を充実してもらいたい、工場を誘致したいという問題と、固定資産税を課する問題とはやはり別個の問題、制度上の問題というふうに考えて行きたい、こう存じておるわけでございます。しかし電話施設を充実してもらいますために、地元の市町村が積極的に協力して行くことも、これは望ましいことだというふうに考えております。
第二の問題につきましては、電電公社の資産を一括して自治庁で評価をいたします。これを施設所在の市町村に対しまして評価額を通知して行くわけでございます。これを受け取りました市町村は、これに率を乗じまして納付金額を算出いたします。そうして納付金納額告知書を電電公社の出先に送付して、そこから金を受け取る、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/68
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069・久保等
○久保等君 そうすると、全国それぞれ所在地でそういう現実に納金事務はやらせるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/69
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070・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 評価事務は所在の市町村ではございません。ただ金銭の受け取り事務は所在の市町村と郵政省の出先との間でやらしたいというふうに考えております。しかしこういう手続的な問題につきましては、郵政省なりどこかでいろいろ御意見がございましたら、どこから払うかということは郷政省なり電電公社の方の関係でございますので、その御希望のところへ納額告知書を送ったらいいものだろう、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/70
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071・久保等
○久保等君 この問題は、国鉄あるいは専売、電電公社とも全国的にみれば非常に多数の施設があると思うのですが、それらの問題が中央で一括して少くともやられるということになれば、事務的な問題ではありまするが、非常に私は簡素化されると思うのですが、それがもしそれぞれの所在市町村でそういう手続がなされるということになると、これは特に国鉄、電電等の場合においては、私は人員その他の面においても重要な影響があると思いますし、納税事務といいますか、納付金に関する事務そのものについて非常に煩瑣な手続がそれぞれこれは出先の方でやられるということになると、大へんな私は事務量の増大を来たすのじゃないかということを考えるのですが、そういったような問題については、これは法律の内容そのものとは別に、自治庁と郵政省の問での話し合いで解決できる問題なのかどうなのか、そのあたりも明確にしておいてもらいたいと思います。あまりこまかくどうこう立ち入って私はとやかく申そうとは思わないのですが、ただ自治庁そのものがあくまでも固定資産税的な考え方なんだ、それからまた固定資産税的な形で事務も扱って行くのだということになれば、おのずからどうせ、非常に煩瑣ではあっても、出先の方でもってやられて参ると思いますが、そうなると非常な問題をあとに残して参る可能性もありますし、そのあたりを一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/71
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072・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) この法律の中で、市町村が納額告知書を送付するということは明確になっております。だれに送付するかということは日本電信電話公社と書いてございます。日本電信電話公社から金を受け取るわけであります。しかし通例そういう場合にいろいろ出先がございますが、その出先で支払事務をやってもらうということが普通でございますので、そう申し上げたわけでございます。日本電信電話公社がどこで支払わせようと考えておられるか、よく承知しておりませんので、これはよく郵政省とも話し合いをしてきめればいい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/72
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073・山田節男
○山田節男君 ちょっと最後に。さっきから政務次官や草野政府委員からの話を聞いて、この電電公社の問題ですが、三公社の問題の中で電電公社は最後に、昭和二十七年の国会で私たちは立法に携わったわけですが、その前に私たちアメリカに行って、パブリック・コーポレーション、いわゆる公社ですね。コーポレーションでなく、パブリック・コーポレーション、それからパブリック・ユーティリティということ、これを私はカリフォルニアの公社法、カリフォルニア州の公社法をモデルにとったのです。そこでこの電電公社法を作る場合に、原案は納付金制度があったわけです。国鉄にもあるわけです。それで公社の本質、経営の本質からいって、そういう納付金制度というものはこれは思わしくないというので、衆議院と合同委員会を開いて、協議会を開いて、廃止したわけです。それは本院としてはやはり今後の公社、すなわちパブリック・ユーティリティとして行くものに対して、利益があってもこれは納付金として国庫に納むべき金、国鉄の場合は考えられるかもしれない、なぜ公社にするかということは、やはりこのサービスを普及発達せしむる、しかも経営は自主的でなくちゃいかぬ、独立採算でなくちゃいかぬ、こういったような任務を持たすからには、従来日本でやっていた納付金制度というものを廃止しよう、この電電公社法では、特に本院としては納付金制度を廃止したのです。しかるに今、奧野部長の話を聞くと、公社の経営として、経理上から考えてもそういう一つの納付金というか、あるいは固定資産税のようなものを入れてある方が体裁が整うというようなお話が先ほどあったと思います。それは本法、少くとも電電公社法を作る限りにおいては、私は参与しておるのですから、衆議院ともその点について論議をして、国会としては納付金制度を廃止した。それを自治庁が今度は納付金制度を、一種の課税ですね、課税をするということは、誇りあるべき国会の電電公社法の立法の趣旨から言えば非常におかしいのですね。なぜこういうことをするかということについては、これはこの法案全体が、地方財政が非常に困っておるから何とか財源を探そうというところに、こういう私は無理を生じたのじゃないかと思うのですが、しかし今、奧野部長が言われるように、経理上からいって体裁が整うのだというようなことは、これは電電公社法を作る場合に論議を尽した問題だと思うのです。これを今度ひっくり返すということになる。この点は私は非常に遺憾に思うのですが、これは私の意見ですが、そうしますと、こういう電電公社あるいは他の公社も、国鉄も専売公社も同じですが、業務施設に対しての固定資産税的なものをかけるならば、たとえば例をもって言えば・電電公社の場合でも、電報、電話施設、こういう業務施設が特定郵便局の中にあって、いなかへ行けば相当そういうものがある。こういったようなものを課税対象としてどういう工合にこれを考えられるか、これは非常に数多い問題だと思うのです。これに対しては具体的にどういうような案を持っておられるか、この点をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/73
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074・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公社法成立の経緯をお教え願ったわけでありますが、それの場合の納付金というものと今度の場合の納付金とは性格が全く違っているのだと、こう考えているわけでございます。利潤が出た場合にその利潤を納付金として納付する、そういう制度がすっきりするのだということは一つも申し上げていないつもりでございます。税を分けまして、納付のうちから支払われる税金、もう一つは経費のうちから支払われる税金、こう分けてみました場合に、経費のうちから支払われる税金、言い換えれば原価を構成するもの、こういうものは一般的に負担するものなら例外なしに企業的なものは負担してもらった方が、その経理の内容というものを正確に判断できるのじゃないだろうか、かように考えるということを申し上げたわけでございます。納付のうちから支払われる税金まで負担する方がすっきりするのだと、こういう意図は毛頭持っておりませんので、誤解のないようにしていただきたいと思います。
それから第二の特定郵便局なんかに併設されております電話施設の問題でございますが、原則として、国会に財産目録を提出されておりますので、これを基礎にして評価をしたらいいだろうというふうに思っております。大体併設されておりまする場合には償却資産だろうと思うのでございまして、土地や家屋は所在の市町村の財源にすべきだと考えておるのでございますけれども、償却資産についてはそういう区分はできませんので、一体として評価をいたしました。これを何らかによって関係市町村に分割して行きたい。何によるかということにつきましては、なお郵政省とも話し合いをしておるところでございまして、一案として出ておりまするのは、加入電話の数によって按分したらどうだろうか、そうしますと、もっぱら大都市に集中してしまいますので、私たちとしてはなるべく弱小の町村にも配分をして行きたい。そういう意味においては電話線の支柱、電柱ですか、そういうものがいいんじゃないだろうかというふうに思っておるのでございますが、この点につきましては、市町村別の区分が困難だという御意見がございます。そこで何によって分割するかということは現在郵政省となお相談中でございまして、できるだけ簡便な方式によりながら、しかも弱小の町村に相当多額の財源が交付されるような仕組みを考えたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/74
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075・山田節男
○山田節男君 まあこれは郵政省と今いろいろ協議しておられるというが、かりに二百くらいの電話を扱っておる局、それからまあその程度の、人口で言えば一万四、五千、一万前後の町で、電話の加入がまあ二百、二百じゃ多いかもしれんが、たとえば百くらいに見て、相当なものが今度のこの課税によってどのくらいな金をもらえることになるでしょうか、具体的にいって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/75
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076・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 今も申し上げましたように、償却資産一体として評価をいたしまして、これを何に按分するかということになるわけでございまして、加入電話の数で按分いたしますならば今すぐに計算ができると思います。しかし、そうしますと、どうしても都市に片寄ってしまうのじゃないかという心配を持っておりまして、そういう意味じゃ、まあ支柱か何かほかのものがいいんじゃないだろうかというふうに思うわけであります。なお今計算をしろということでございますならば、別途御連絡申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/76
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077・山田節男
○山田節男君 それからもう一つ。NHKに固定資産税を課税することになっておるのですが、民間放送、御承知のように、これはまあ全国で四十五ばかりあるのです。これが固定資産税、業務施設に対して、あるいは民間放送会社のまあ所得といいますか、こういったようないろいろな税金が入っていると思うのですが、民間放送は一体年間にどのくらい納めているか、大体の金額がそこでわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/77
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078・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 放送協会が納めております租税負担の金額は今……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/78
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079・山田節男
○山田節男君 民間放送です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/79
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080・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 民間放送は固定資産税を実は普通に納めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/80
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081・山田節男
○山田節男君 その額はどのくらいになりますか、そこでわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/81
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082・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) ちょっと今持っておりませんのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/82
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083・山田節男
○山田節男君 これは地方行政委員会の方でもよろしいし、また逓信委員会の方でも、その資料を、比較したものを一つお出し願いたいと思います。
それからさっきお尋ねした電信電話の業務施設に対しての課税ですね。大体こっちから目安の金が出ております。全国平均というとおかしいですけれども、そういったような、たとえば特定郵便局で電報電話の施設をやっておるようなものが一体どのくらい入ってくるのか、そういう何か目安のつくようなものがあれば、一つ資料として地方行政委員会あるいは逓信委員会に御提出を願うようにして、委員長から一つ御請求願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/83
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084・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 了承いたしました。
それでは開会に当りまして申し上げましたように、大体連合審査は本日午前中で終了したいと、各委員の御了承を得ておりますので、この程度で本連合審査会は散会いたしたいと思います。
それでは連合審査会を散会いたします。
午後零時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414710X00119560410/84
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