1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十三日(月曜日)
午前十時四十二分開会
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委員の異動
四月二十一日委員井上清一君辞任につ
き、その補欠として小幡治和君を議長
において指名した。
本日委員小幡治和君辞任につき、その
補欠として藤野繁雄君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 松岡 平市君
理事
伊能 芳雄君
森下 政一君
小林 武治君
委員
石村 幸作君
笹森 順造君
佐野 廣君
田中 啓一君
藤野 繁雄君
堀 末治君
安井 謙君
加瀬 完君
中田 吉雄君
松澤 兼人君
小林 政夫君
後藤 文夫君
野田 俊作君
鈴木 一君
国務大臣
国 務 大 臣 太田 正孝君
事務局側
常任委員会専門
員 福永與一郎君
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本日の会議に付した案件
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○国有資産等所在市町村交付金及び納
付金に関する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/0
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001・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 会議を開きます。
委員の異動がありましたから報告申し上げます。
四月二十一日付委員井上清一君が辞任せられ、新たに小幡治和君が委員に任命せられました。
四月二十三日付委員小幡治和君が辞任せられ、新たに藤野繁雄君が委員に任命せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/1
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002・松岡平市
○委員長(松岡平市君) これより地方税法の一部を改正する法律案及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案、以上二案を便宜一括して議題に供します。両案は、いずれも前回の委員会において質疑を終了いたしておりますので、本日は直ちに討論に入ります。両案につきまして、御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、付帯決議案等がございましたら、討論中にお述べを願います。
ちょっと速記をとめて。
午前十時四十四分速記中止
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午前十一時十九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/2
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003・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/3
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004・松澤兼人
○松澤兼人君 ただいま上程になっております地方税法の改正法律案と、それから国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案、この二案に対しまして、社会党の立場を説明いたしまして、反対の意思を表明いたしたいのであります。
もとより私どもは、地方団体に対しまして、十分なる自主的財源を賦与しなければならないという点につきましては、毎年繰り返して申し上げているところでありまして、この点については、委員すべてのかたがたの意見が一致していると思うのでありますが、ただ多少違うところは、自主財源というものの範囲をどこまで拡大し、逆に国の税として考えられているものをどの限度まで認めるかという、国と地方との財源分担の問題が意見の分れてくるところであろうと思うのでありまして、今回の改正及び新税の創設によりまして、約百二十億の財源を新たに見出すことになっておりまして、この点は、地方団体の財源を豊かにするという意味では、ある程度まで地方財政調査会の答申等を尊重して、措置がとられているように考えられます。なおまた、地方財政計画によりますというと、自然増収が二百九十億というものが見込まれておりますから、合計いたしまして、約四百億程度のものが新たに財源として地方団体の活動に資するという意味を持つのであります。しかし、今回提案せられております新税というものは、いずれもいろいろ自治庁において考えられた税ではありますけれども、新税は悪税という原則もありまするように、いずれの新税をとって考えてみましても、消費者に負担が強制されるという点で非常に心配されるわけであります。特に私たち社会党の立場から申しまして、軽油引取税であるとか、あるいは都市計画目的税というようなものを一つ一つとってみましても、いずれもあるいはバスの料金値上げになりましたり、あるいは地代あるいは家賃の値上げということの要因になるものであります。こういう点を考えてみますというと、一方再建団体に指定されました府県あるいは市町村は、その法律による増徴あるいは増税ということが考えられるわけでありますが、その上に、こういう地方税を起すということによって、消費者である地方住民というものが非常に大きな負担を受けるということになるわけであります。なおまた、いろいろ問題があって、議論をいたしたのでありますが、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案の問題にいたしましても、あるいは国鉄に対しましては、二千五百億の収入のうちの七十二億程度が予定されているわけであります。これはまた、相当の重さが国鉄経理の上にかかってくることは必然であります。それでありますから、国鉄当局者といたしましては、この法律が実施されましても、直ちにそれに応ずる態勢というものはまだできていないということを、はっきり言明しておるのであります。それが経理の改善という形において七十二億というものを消化するのか、あるいは運賃値上げという形で負担するのかという点が明らかにされておりません。この点は、私どもは非常に心配するのでありまして、この七十二億というものがまるまる運賃値上げということになって参りますと、これはインフレ要因にならざるを得ない。あるいは電電公社の場合につきましても、この問題と直接関係があるかどうかわかりませんけれども、すでに電報料金の値上げの問題が日程に上ってきておるのであります。あるいはこれは、やはり電電公社が地方団体に払わなければならない税金のために、そうせざるを得ないという弁解もまた成り立つのではないかというふうに考えられます。電電公社の場合においては、電話、電報等にその影響があるだろうし、あるいは専売公社の場合には、たばこの値段に影響があるでしょう。いずれのものをとってみましても、そういう最も消費者に転嫁しやすいという形の税が選ばれているということは、まことに残念であります。特に公営住宅の問題について、直ちにこれが家賃の値上げという形になって現われてくるであろうということは、その公営住宅に居住している人ばかりでなくて、すべての人々がそういう形の転嫁が行われるであろうということを心配し、特に住宅居住者は、そのために毎日ここに傍聴に来られているという状態であります。すでに東京都におきましては、そういう家賃の値上げ等の動きがあったようであります。この点につきましては、同僚小笠川原委員から国務大臣に対しまして、自治庁長官に対しまして質問いたしました質問に対して、はっきりと答弁をされ、行政上の指導及び財政上の措置をとることによって、地方団体の固定資産の負担が直接居住者に転嫁されない言明をなさいましたので、この点は、われわれは安堵をしているわけであります。しかし、そのこと自体が決していい税であるというふうに考えるわけにはいきませんし、これは、政府自身もやはりそういうふうに考えられているのであろうというふうに思うのであります。われわれとしましては、まだ地方税法の中におきましては、検討しなければならない問題を多数持っております。そのために、衆議院におきましては、地方税法の改正の社会党案というものを出し、詳しくこれについて、委員会あるいは本会議等において説明をいたしまして、われわれの立場はこうであるということを申し上げたのであります。繰り返して申し上げませんけれども、立場はそういう立場でありますので、政府提案の地方税法の一部改正案及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案に対して、反対せざるを得ないのであります。
以上申し上げまして、社会党の立場から、二法案に対する反対の意思を表明する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/4
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005・小林武治
○小林武治君 私は、この地方税法の改正案並びに国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案に賛成するものでありまするが、その内容につきましては、必ずしも私ども賛意を表しがたい点があるのであります。特に軽油の引取税等の新税は、いわば悪税の一つとして、強くこれに反対したいのであります。すなわち、これが目的税としたために、消費税のような性質を有する軽油についての差別課税ということは、これは徴税上種々な混乱を来たし、またわざわざ犯罪を作るというふうな結果にまで相なっておるのでありまして、かような税の仕方については、必ずしも賛成し得ないものがあるのであります。すなわち、われわれの希望としては、これらはむしろ差別を撤廃して、全面課税をすることによって国税になおす。これによって、譲与税としてその目的を達することが税の混乱を防ぐ道である、かような強い希望を持っておるのであります七なお、最近におきましては、自動車関係につきましては、いろいろの税の負担が過重になってきておるのでありまして、今回の軽油引取税が一キロリットル六千円というふうな率はきわめて過大である、こういうふうに考えておるのであります。しかも、この税率を定める過程におきましては、あるいは三千円といい、あるいは四千円といい、いろいろの経過をたどってきておるのでありまして、このきめ方自体についても、政府がいかにはっきりした考えがなかったかということを証しておるものでありまするし、また、この税の取扱いのための特別徴収義務者になりまする軽油販売業者等におきましても、これらのために、みずからそのいわば危地に臨まざるを得ない、こういうふうな状態にあることを聞きまして、きわめて遺憾に存ずるのであります。従いまして私どもは、本案につきましては、この税率を大幅に引き下げるというふうな点についての修正の意見を強く持ってきておったのでありまするし、また、遊興飲食税の税率等につきましても、前回のいきさつからいって、これらの据え置きには必ずしも賛成ではない。さらに、いわば本人の労力を中心とする低額所得者の事業税が非常に権衡を欠いておる、これらにつきましても、この際私どもは、何らかの処置をとるべきである、こういう意見を堅持して参ったのでありまするが、今日においては、税法の成立がすでに一ヵ月を経過しておるような状態でありまして、地方団体においては、これの早期成立を非常に希望しておる、こういうふうな地方の事情、その地の政治情勢等も勘案をいたしまして、この際やむを得ず、われわれの修正はこれをとりやめて、そして形の上で政府原案に賛成する、こういうことにいたしておるのでありまするが、この点につきましては、今私の述べたことを政府当局においても十分一つ、ごしんしゃくを下さいまして、次の機会においては、われわれの期待に沿えるようなものに改正をしていただきたい、またそういうようなことが政府みずからなされない場合には、われわれ自身もこれをあえてすることを考えざるを得ないということを申し上げておきたいのであります。
以上の事情によりまして、私はこの際本案に賛成いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/5
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006・伊能芳雄
○伊能芳雄君 私は、この法案が政府の地方団体に財源を賦与する一連の問題の重要な一環として、特に自主的財源を与える措置として、全体としては賛成いたすものでございます。ことに、ただいま小林委員からも述べられましたようないろいろな点はございますが、私どもも、そういうような点につきまして、相当満足し得ない面もございますが、何と申しましても、非常に成立がおくれて参りまして、当院の方の責任ではございませんのですが、非常におくれておりますので、地方団体側では、何としても早くこの法案の成立を待っております。ただいまの立場といたしましては、巧遅よりもむしろ拙速を尊ぶという見地から、この法案に賛成するものでございますが、ここにこの二法案に対しまして、それぞれ付帯決議を付したいということをつけ加えたいのであります。付帯決議を、少し冗長になりますが、一応読みますが、
地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
国、地方を通じ税制は累次の部分的修正によって不均衡の面を生じている。政府は、これらの不均衡の是正を含め根本的な租税体系を樹立すべきであるが、就中次の各項については最近の機会においてこれを措置すべきである。
右決議する。
記
事業税の種別について一層の均衡を図ること。
例えば、大工、左官、板金工又は植木職として行う事業、公衆浴場業、写真業、注文洋服仕立業等に従事する小額所得者の所得は勤労所得に近いものがあり、軽減の措置を講ずること。
二 私鉄に対する事業税の課税標準を是正すること。
三 昭和三十年度以降新たに建設に着手した水力発電所の大規模償却資産の課税限度額については激変緩和の経過的措置を講ずること。
四 軽油引取税については、税率の軽減その他適切な措置を講ずること。
五 遊興飲食税については、税率、徴収方法その他につき根本的な検討を加え適切な措置を講ずること。
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案に対する附帯決議案
政府は本法施行に際して左の点に特別の配慮を加うべきである。
一、米国及び国際連合の軍隊が使用する固定資産所在市町村並びに旧軍港市等に対しては、特別交付金交付等適切なる方途を講ずること。
二、公営住宅については、交付金が家賃に転嫁されないように努力すること。
右決議する。
以上の付帯決議案を付しまして賛成の意を要します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/6
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007・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 他に御発言ございませんか……。御発言がございませんから、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ります。
まず、地方税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/7
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008・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案通り可決すべきことに決定いたしました。
次に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/8
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009・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中、伊能君から提出されました地方税法の一部を改正する法律案に対する付帯決議案を問題に供します。本付帯決議案を委員会の付帯決議とすることに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/9
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010・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 多数と認めます。よって伊能君提出の付帯決議案は、多数をもって委員会の付帯決議とすることに決定いたしました。
次に、同じく討論中に伊能君より提出されました国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案に対する付帯決議案を問題に供します。本付帯決議案を委員会の付帯決議とすることに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/10
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011・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 多数と認めます。よって伊能君提出の付帯決議案は、多数をもって委員会の付帯決議とすることに決定いたしました。
次に、ただいま決定されました両付帯決議案に対して、この際政府の所見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/11
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012・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 本委員会における皆様方のお説及び今付帯決議に出されました点は、とくと尊重いたしまして、善処するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/12
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013・松岡平市
○委員長(松岡平市君) なお、ただいま可決されました両案につきまして、本院規則第百四条により、委員長の本会議における口頭報告の内容及び第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/13
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014・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、両案をそれぞれ可とされた方は、順次御署名を願います。
多数意見者署名
小林 武治 小林 政夫
藤野 繁雄 安井 謙
田中 啓一 野田 俊作
後藤 文夫 佐野 廣
堀 末治 石村 幸作
伊能 芳雄 笹森 順造発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X02619560423/14
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015・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れはないと認めます。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十一分散会
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