1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年二月十六日(木曜日)
午前十時四十九分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 小柳 牧衞君
理事
野本 品吉君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
大野木秀次郎君
木村篤太郎君
木下 源吾君
田畑 金光君
豊田 雅孝君
廣瀬 久忠君
国務大臣
労 働 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
内閣官房長官 根本龍太郎君
内閣総理大臣官
房公務員制度調
査室長 大山 正君
法務政務次官 松原 一彦君
法務省矯正局長 渡部 善信君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
○国家公務員制度及び恩給に関する調
査の件
(公務員の服務基準及び給与問題に
関する件)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/0
-
001・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。
国家公務員制度及び恩給に関する調査として、国家公務員の服務基準に関する件を議題といたします。
本問題につきまして御質疑のおありの方は順次御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/1
-
002・木下源吾
○木下源吾君 長官に一つ。従来官公労のいろいろ陳情、請願、要請の闘争がいろいろの形をとって行われておったのですが、今回春季闘争においてこれらの方式が同じような方式、やり方をしておっても今度政府はあらためてこれを禁止するような、そういう措置をとっておるが、これは従前と今度とはどういう点が一体変っておってそういうような措置をとられるのか、また同じであって特に今回だけそういうような政府の措置をとるということに何か特殊な新しい条件が生まれておるのかどうか、こういうことについて一つ官房長官からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/2
-
003・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 国家公務員の争議はこれは法律によって禁止されておる事項でございます。しかるにもかかわりませず、争議行為に類似した行為が行われまして、国民の全体の奉仕者としての義務が行われていない、あるいはそのために事務が非常に渋滞する、こういうことがあってはならないというので、昨年の暮のそういう傾向がありましたときにも、実は警告をいたしておるのでございます。今回におきましてもスケジュール闘争などというものがありまするので、従来と同じようにあるいはすわり込みとか、あるいは集団的な休暇、あるいはまた懸垂幕などを下げるということは、これは適当ではないということで、そういうことのないように警告を発しているのでございまして、昨年と本年と態度が変ったということはないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/3
-
004・木下源吾
○木下源吾君 従来は、すわり込み、あるいは集団陳情だとか、あるいは懸垂幕、こういうものはずっと……あらためてこれが違法だとか何とかいうようなことはないのです。今回に限ってこれを全面的にいろいろな休暇をとるのはいけないとか、それから定時退庁はいけない、超勤拒否はいけない、こういうようなことを言われておるその従来と違った政府のやり方に対する根拠を承わっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/4
-
005・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 従来もこれを許してはいないのでございます。各官庁の管理責任者がこれに対して撤去を要求し、あるいはまた解散を要求いたしましたが、当時管理者が十分にその趣旨が徹底しないままにずるずるに至ったのは遺憾である、こういう観点からいたしまして、今回は各省とも全部法に基いてそういうことのないように警告を発したという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/5
-
006・木下源吾
○木下源吾君 従来も違法だというように、今も違法の考えで結局取扱っておったというが、従来はやっぱりそれが行われておったという事実だな、これは政府も認めておるのでありましょう。しからば今回も別に新しい条件がない限り、そのことを従来通り認めておって差しつかえないのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/6
-
007・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 先ほど冒頭に申し上げましたように、国家公務員は争議を許されていない、同時にこれは国民全体に対する奉仕者の立場にあるのであります。その意味からいたしまして、従来ややもすればその取締りが不十分であったのを今度は厳格に実施いたしまして、国家公務員が主権者であるところの一般国民に対して迷惑のかからないようにしてもらうということは、これは政府として当然なすべきことと考えておるのであります。従来その取締りが不徹底であった、そのためにこれは黙認されておるというように考えられることは遺憾である、それは黙認しているのではないという点を明らかにした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/7
-
008・木下源吾
○木下源吾君 争議が禁止されておる、これはだがしかし団体交渉の権利は認めているはずだ、ですから団体交渉である以上一方が弱いものだから集団での行動ということは団体交渉の限りにおいては、これは何ら違法でも何でもない、こういうふうに考えるが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/8
-
009・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 陳情、請願等が正常にしてかつ適法に行われた場合には、これは政府としてもそれに応じて交渉にあずかるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/9
-
010・木下源吾
○木下源吾君 その正常にして適法というのがあまり漠然としておるので……今日いろいろ官公労がやっておることが、正常でなしておることではないと考えておるんですか、どういう点があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/10
-
011・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) お答え申し上げます。休暇闘争の問題で申し上げますれば、職員がほしいままに休暇をすることができるという解釈ではなく、管理者の承諾を必要とするというこれは建前になっているのでございます。またどこかの指令によって集団的に休暇をとることによって公務が行われないということは、これは適法ではございません。従いましてそういうことのないようにしたいというのが従来行われておる休暇闘争に対する政府の考え方であります。
その次にビラの問題とか、懸垂幕についても、公けの施設は、これは組合の所有物ではございません。公けのこれは施設でありまするので、これは管理者の許可を得なければ、これはそういうものを勝手にやってはいけないことになっております。従いまして許可なくしてそういうふうな懸垂幕とかビラの貼付は、これは取り締る、こういう態度をとっております。
それからすわり込みでございますが、陳情と称しまして、管理者が正当な退去要求をしましても、それにもかかわらず実力をもってすわり込むということは、これは適法ではない、こう考えております。それからデモとかピケット等でも、これは他の職員が公務につくことを阻止するということは、これは適法でない、これは争議行為、あるいは怠業行為をそそのかしたりすることもこれは適法でない、こういうふうに考えておる次第であります。それから定時退庁とか、超勤拒否というようなことも、これは公務員は適法に発せられましたところの時間外勤務の業務命令に対しては、これは服従すべき義務がある、こう考えております。従いましてそういう管理者からの業務命令を拒否して、そうして行政要務が円満に遂行できないようにするということは適法ではない、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/11
-
012・木下源吾
○木下源吾君 ただいまの何で、ほかからの指令によると何とか言っておるが、やはり団体交渉という面では、団体はだね、一人々々のただ烏合のものでは団体の交渉というものは効果は上げられないということは認められると思う。であるからしてお互いが相談して、お互いの意思によって一人の人が時期あるいは場所というようなものを指令するとか、あるいは形は何であろうがみんなの意思によってきまったことを一人の者にまかして、その命令に服するというようなことは、団体交渉としては当然だと思うんだが、あなたの方の団体というものはただ烏合の衆であり、随時集まるものと、そういうふうに解釈しておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/12
-
013・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 団体交渉をすることはこれは禁止しておりません。相談には応じます。ただし指令によって怠業したり、あるいはまたすわり込みをするということはこれは許されない、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/13
-
014・木下源吾
○木下源吾君 それは団体交渉の場合に相手方が交渉を正常に受け取らないで少くも拒否するような態度に出たときにこれを待っているとかいうようなことは違法ですか。すわり込んでやろうと、あるいは立ってやろうと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/14
-
015・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) これは何も多数の人間が一諸に集団で交渉しなければならないとは考えません。そのために組織がございましてその代表者が数名、あるいは一名でも事足りるだろうと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/15
-
016・木下源吾
○木下源吾君 今国鉄の場合に四十五万の組合員があるんですが、百人や三百人がその代表で来ても何も別に数からいえば多数でも何でもない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/16
-
017・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 国鉄が一つの団体となっておりますればその組合長とか、あるいは適当な、選挙せられたる代表があるんでしょうからその人だけでけっこうじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/17
-
018・木下源吾
○木下源吾君 そうすると選挙せられたる者といえば役員等が集まってくるのはいいということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/18
-
019・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 要はその意思が十分に表現できる代表であるならばいいではないかと思います。必ずしも多数が集まらなければできないというほど現在の官公労の組織がばらばらではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/19
-
020・木下源吾
○木下源吾君 よく代表の会議で御承知の通り執行委員会、中央委員会、あるいは全国代表者会議とかいう場合があるわけなんで、代表者会議なら大きい組合であれば少くも数百名集まることにたる。これらはやはり適法に選挙せられた代表である、こういう人たちが集まることを何か無頼の徒でも集まるような考え方はそれは間違っておらぬか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/20
-
021・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 組合が組合の建物や、その他公共の建物にあらざるところで会合を開くことについては何らこれは制限しておらないのでございます。ただ官庁内の施設を勝手に使って、そうしてそこであるいは職場大会とか何かということをやることは管理者が許した場合は別でありますが、そうでない限りにおいては適法ではないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/21
-
022・木下源吾
○木下源吾君 従来管理者が許しておる往々の場面が今回に限ってそれを許されないという理由はどこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/22
-
023・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) それは管理者の見解によって許していい場合と、許して悪いというような場合は管理者の責任において判断することだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/23
-
024・木下源吾
○木下源吾君 ただ今回の管理者のいろいろのやり方に対して政府は統一した見解で命令しておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/24
-
025・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 政府といたしましては、どこまでも行政事務が円滑に行われていくことが適当であると考えまして、職場の人間が官公庁の施設を利用してそういうことが行われるために公務の執行が円滑にいかないというように判断する場合は、管理者はそれを許さないという解釈は統一して持っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/25
-
026・木下源吾
○木下源吾君 次に公務員は争議行為を許さぬということはこれはよろしい……そういう法によってよろしいが、同時に公務員の生活、公務員の身分、そういうものについては基本的に権利は制限されてもそれはやはり政府が一方においてこれを擁護するところの義務があるのではないか、この点に対しての考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/26
-
027・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 人事院の勧告等は、これは尊重すべき義務があります。ただしこれも御承知のように、官公労その他につきましても、資金上、それから予算上許された範囲ということになりまして、それが、勧告の線がそのまま実施できる場合と実施できない場合があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/27
-
028・木下源吾
○木下源吾君 予算上質金上においてできる場合は云々と、言っておるが、私の聞いておるのは、そういうように争議行為は禁止してある。これを禁止してあるということは、少くも基本的権利を押えておる。そうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/28
-
029・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/29
-
030・木下源吾
○木下源吾君 押えておるが、何ゆえに押えておるかというと、あなたが言う通り国民に対する公けの奉仕者である。こういう特殊なケースでそれを押えておる。同時にそれとうらはらになって、一方においては政府はこれらの生活の保障や身分の保障、一切の保障をする義務を負っているのじゃないか、これを聞いておるのです。予算上資金上の問題は、それはまた別の問題ですよ。根本的に私が聞いておるのは、その義務があるのではないかということをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/30
-
031・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) その意味において人事院が勧告権を持っておるのであります。しかしこれはどこまでも勧告でございまして、人事院が決定いたすのではございません。それははっきりと規定されておるように、勧告に基いてそれが予算上質金上でき得るか、できないかということの問題がでましたときに国会の承認を求めてそれが決定される、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/31
-
032・木下源吾
○木下源吾君 そうすると、予算上資金上において勧告が行われないばかりではなく、公務員の生活の保障も政府がすることができないということに対しても政府は何らの責任を感じないのか、どういうことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/32
-
033・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 政府は俸給を支払うことによって生活を保障しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/33
-
034・木下源吾
○木下源吾君 支払うことによってだが、支払いの高が公務員の生活をささえるに足りない場合は、争議権を押えておる一方の義務、そういうものを怠ってもいいということにならぬのではないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/34
-
035・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 政府はその義務を怠るという意思はないのであります。ただそれが要求せられた額が予算上資金上許されるかどうかということが問題でございます。従いまして、予算に余猶のない場合、資金上その運用ができない場合においては、国会の承認なくしてはそれを実施することができないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/35
-
036・木下源吾
○木下源吾君 何べん聞いても同じようなお答えですが、私の聞いておるのは、あなたが争議権は禁止されておる……これは私も認めるのですよ。これは認めるのであるが、一方において政府はこれらの生活の保障、こういう義務を負っているのではないかということを聞いておるのであって、負えない場合のことを聞いておるのではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/36
-
037・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 政府は国家公務員並びに三公社、五現業の人々について、生活を保障する義務があるがゆえに俸給を支払っておるのであります。ただその要求されたことが、直ちにそのまますぐに要求されたままに実行しなければならないという義務は負っていないと考えております。先ほどの答弁中、国家公務員と三公社、五現業を一緒にしているので混同いたしましたが、資金上予算上というのは、これは三公社、五現業についてのことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/37
-
038・木下源吾
○木下源吾君 その点はわかっているのですよ。わかっているのだが、要求せられている額が妥当であるかないかという問題を聞いておるのではないということを、さっきからくれぐれも言っておるのですよ。私は根本的の、あなたが争議を禁じておるのだ、こう言うから、禁じておるからやられないということになるわけです。それに基いてあなたがいろいろな争議は禁止しているからこういうことはいけないという見解をとっておられると言われるわけです。それは、あなたの言うことを一応私は聞くにしても、一方において政府はこれらの争議を禁止しておる代償に、いいですか、公務員の生活の保障というものをする義務を負っておるのではないか、これを聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/38
-
039・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) それについては私ははっきり答えたつもりであります。保障する義務があるから俸給を支払っておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/39
-
040・木下源吾
○木下源吾君 その保障する義務があるということでたくさんなんですよ。そこで問題は、次にこの払っておるところの俸給がこれを保障するに妥当であるかどうか、こういう問題が出てくるわけなんで、これをやらないでおって、一方に請願、陳情を押えるということばかりやっておるから、政府は云々というまた非難も出てくるのではないかと私は思うのであります。あなたは今公務員に対する従来の態度をだんだん、だんだん変えてきて、今すでに従来慣行によって行われておることさえも、あなたの力では否認しておるわけであります。いいですか、それを否認しなければならない一つの契機というものは何で生まれてきたかというと、明らかに政府は生活を保障する義務を履行しないというところから出てきているのではないか、それが大きな今日あなた方がこれをやらなければならぬところの契機となっておる、こう考えるのであります。もしそのほかに契機になっておるものがあれば私はお聞きしたいのであります。先ほど来私が聞いておるのはこの点なんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/40
-
041・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) これは先ほどもはっきり申したつもりでございますが、政府は国家公務員に対して、争議行為を禁止しておると同時に、生活を保障する義務を持っておるということはただいま申した通りであります。しかしながら公務員が要求した賃金、ベース・アップとかそういうものの要求をそのまま受けなければならぬという義務を負っておるわけではございません。なおまた従来慣行として認められておると言いましたが、それは慣行として認めてはいないのですよ、ただそれが十分に徹底していなかった。そのためにあたかも慣行として認められたごとく誤解される向きがありますから、それは慣行として認めていないということを明確にしたということでございます。他国におきましても、国家公務員が現在まで行われたように、すわり込みとか、あるいはその他懸垂幕を張って争議行為に類似した行為をするということは各国にもほとんどその例はないのでございます。善良たる奉仕者としての義務が完全に行われないということは遺憾でありまするので、そういうことのないように注意をし、そうした場合において法に従って取り締るということでございまして、何らそこに政府が官公吏の人々の生活を保障しないという立場において取り締るという言葉は全然ないのでざいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/41
-
042・木下源吾
○木下源吾君 かって請願、陳情については本国会においても国会内にあるいは労働組合の集団的な、あるいはその他の国民の集団的ないろいろの請願、陳情が行われたのだけれども、反動吉田政府が御承知の通りこれらを次々と禁止していった、その政府の時代において……。国会はもちろん国会の権利でやったけれども、その背後にはそういうものがあったのである。しかしながら、その吉田政府であっても今日のような禁止のやり方はやらなかったのである。今あなたが慣行といえども認めていないというのは、あなたのときにおいてはそうであったかもしらぬけれども、吉田政府のときにはそれは認められておった。ところが今回あなたたちの政府はこれを認めない、こういうことなんです。慣行においても認めない。しかしながら、あなたたちの政府でも先には認めておった。それを今回に限って認めない。それは認めないというふうに次々に国民の自由というもの、あるいはこのことを許すから自由とは私は今極言はいたしませんが、次々に自由が圧迫されるようなこういう感じを国民に与えることがこの内閣の一体使命であるのかどうか、こういう点はまあ官房長官から私はお伺いすることは無理かもしらぬけれども、少くとも鳩山大臣も何か重苦しく自由を次々と制限されて、今まさに何か革命でも勃発するかのごとき言辞を弄して、そうして国民に不安を与えておるのである。これは一体この内閣の使命なのかうどか、こういう点を私はお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/42
-
043・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 政府は御承知のように国民全体の福祉のために奉仕する責務を持っておるのであります。今日まで行われておる官公労の方々の争議類似行為を許すことが国民の福祉になるという判断はとっておりません。やはりそれは管理者の責任において出す命令は守っていただく、それからまた法によって禁止されておることは、これは実施しないようにしていただきたい、こういうふうにはっきりと綱紀を粛正して行くという意味においては、今あなたの言われたことはこれは内閣の使命といっても差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/43
-
044・木下源吾
○木下源吾君 綱紀を粛正することとこのこととは大いに違うのです。この問題についてはもうすでにあなたは腐るほど知っておられる。あなたは生活を保障しておる、要求されるものだけはやられないというが、すでに勧告が行われない、勧告が保留されておる。なおその後においても勧告も行われておらない。こういう長い期間一方においては物価が上っておるし、そうして国民生活は非常に悪くなっておる。官公労の給与というものはあなたは今当然のことと言われておるが、実質賃金の低下はひどいものがあるのです。これは今私は担当労働大臣が来ましたら一つ聞かんならぬと思っておるのだが、あなたも国家公務員に対してはその責任がある。そういうものを禁止し、勧告を単に一片の勧告という文字通りに受け取って、従来のあの勧告には義務を負っておるものを、ただその限りにおいては文字の意味で一本の勧告というものは聞けばいいし聞かなくてもいいのだというふうに受け取って今日までやってきておる、それ自体が一切のこういう問題を政府が今考えねばならぬようなことになっておるのではないかと、こう私は思っておるのだ。また事実そうなんですよ。そうしてここでこれはあなた方は憲法で押えつければいいのだというだけでこれをやっておられるかのごとく見えるので、これは私は鳩山内閣の使命ではなかろう、こういうことを聞いておるわけなんですよ。あなたは当然に適法に行ってきておるのだから、ベースに対する問題などはこれで責任はないと言われるかもしれないけれども、勧告を行わないことそれ自体が適法ではないでしょう。その点を一つお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/44
-
045・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) お答えします。勧告が行われた場合におきましてそれを尊重する義務はございます。しかし勧告のまま実施しなければならないという義務はないと考えております。そのためにその勧告が全体の国民経済の立場からしてこれが妥当なりや否やということは、政府の責任において判断するとともに、そのために必要な、予算の必要がある場合においてはそれは国会の承認も経なければなりませんので、その意味において決して勧告案というものを単に聞き流すというような態度は政府は全然とっていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/45
-
046・木下源吾
○木下源吾君 勧告が政府の責任においてやってもやらなくても政府の勝手だと、あなたはこう言うんだが、しかしながら勧告は一つの法律でありますよ。義務ですよ。勧告をやらにゃならぬ義務を政府は負っておるんです。それならば勧告に基いて予算を組んだからよろしいんです。あとは国会がやることなんです。国会がやるべきだ。しかるにそれをやらないでおっていろいろ資金上予算上なんということを言っておるが、従来のあなたはその責任上の問題を政府のただ一方的の考えで、これが資金上、あるいは予算上何とかいうようなことで、そういう専断を行うためにこういう問題が次々と起きてくるんではないか。予算を組んで出せば国会がやる、こういうことについての見解はどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/46
-
047・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) ベースアップをするべきかどうかということについても、政府の判断が現在昭和二十九年一月以降の物価の推移、経済状況から見まして、これは物価の横ばいの状況から見ましてもベースアップをする必要はないという判断に立って予算を組んでいるのであります。従いまして現在公務員の方々が四月一日から一律に二千円ベースアップを要求しておりまするけれども、政府はそれには応じられないという見解をとっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/47
-
048・木下源吾
○木下源吾君 今も言う通り政府の見解がそうであるということを言われておるが、たとえば公企労法におけるところの裁定に対する結果、予算上資金上の問題と勧告の問題とは一律ではないと思うんだ、私は……。勧告は一応も一応も政府は予算を組んで出して国会においてそれを裁定してもらえばいいんではないか。これがいわゆる公務員法の命じておるところの政府に対する、私は、政府が義務を負わなければならぬ問題だと、こういうふうに書いてある、それはその通りなんです。予算上資金上なんということはあれには書いておらぬ。あれの公務員法の勧告の問題に対しては、あの勧告は御承知の通り、千九百何年だったか、一九四七年かのメモランダムから出ておって、争議権はこういうように押えるけれども、一方においては政府はこれの公務員に対する責任を負ってあれは制定された公務員法だ、その勧告以外には何もない。政府の責任を追及しても問題は勧告だけだ。その勧告を政府の一方的な考えでこれを抑えるということは、私は政府はこれは法律を守らないところの何は政府にあるんではないか。これは重大な問題とかねがね私は思っておるのでありまして、そういうような責任が政府にあるとするならば、同時に官公労の行為に対してもいわゆる弾圧的なそういう措置によってこれと立ち向うんでなく、もっと平和的なやり方によって相手方を納得せしめることができるんではないか、こういうことを私は考えておるゆえに、きょうはあなたにお忙しいのをわざわざ出てきてもらってお尋ねしておるんである。新聞を見ておると、何か政府は権力をもって……弱いんだ、労働者は弱い。弱いからこそ団結権を認めておる。この弱い者をそうして少くともばらばらにして政府は権力で押えつけようとしておる。そこに社会不安が私は起きてきておると思う。現実に起きてきておるのです。結果だけをあなたが言って、こういう点が悪いんだ、こういうことだけではこれはおさまらぬではないか。いわんや鳩山内閣としてはそういう考えは持っておらぬのではないか。従って官房長官としての私は責任は重大だと思う。こういう点でお尋ねしておるのであって、勧告というものは今言う通り公企労法におけるところの仲裁裁定の資金上予算上の問題とは該当しないのであるという私の見解に対してのあなたの所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/48
-
049・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 一般官公労については、公企体等におけるところの従事者とは違うことは当然でございます。ただし現在政府は一般官吏につきましては、定期昇給については資金は確保しておりまするが、ベースアップすることは適当ではない、こういう判断に立って現在予算を提出しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/49
-
050・千葉信
○千葉信君 官房長官にお伺いします。今の木下君との質疑応答を聞いておりますと、官房長官の答弁は全く一方的で、しかも随所に勉強不足からとんでもない答弁を平気でやっておる。私はもう聞いていて実に遺憾にたえないのです。それで今逐次質疑の中でその点を明らかにしていきたいと思います。
まず第一番には、官房長官は今回の官公労の諸君がやろうとしておる行為に対して、違法行為だ、違法行為だ、しかもその違法行為の根拠たるや、争議行為に類似すると官房長官は言うけれども、果してそれが争議行為であるかどうかということの法的な見解についてはまだ疑義がある。それも明らかにしないで、一方的に違法行為に対しては断固として取り締るとか、その点を今回は明白にするんだとか、こういっておられる。私は政府に公務員の諸君が違法行為をやっているとか何とかいって非難する資格なんかないと思うのです。第一総理大臣なんかどうです、平気で憲法の第九十九条にさえ違反するような言動をしているじゃありませんか。取り消したってそんな取り消しなんかだれも認めちゃいないです。しかもこういう公務員諸君が行為をしなければならなくなった原因はどこにあるか。政府の方で、公務員法か公共企業体労働法なりで明らかにされておる、もしくは公共企業体法で明らかにされておる責任をとらないじゃありませんか。政府がみずから法律をじゅうりんしているじゃありませんか。あなたはさっき知ったかぶりして、世界各国でも公務員がこんな行動をとっているところはない……、ないのは適法にその国家がこういう問題を処置しておるからです。たとえばイギリスの場合をごらんなさい。イギリスの場合には仲裁裁定が出た場合に、公務員に対する給与の改訂に対して資金上、予算上なんて言ったことは一回でもありますか。アメリカだってそうじゃありませんか。公務員に対してやはりイギリスと同じようにその争議行為に対して制限を加えた、基本的に権利に対してある程度の制約はある。そのかわりに設けられた仲裁裁定、勧告等に対しては文句を言わずに実施をしておる。だからストライキも起らず、休暇戦術も起らない、ピケラインなんということも引かない。ところが日本の場合はそうじゃなくて、官房長官の答弁を聞いていても、公務員に対してさえ実に認識不足だ、不勉強しごくだ。たとえば今あなたは二十九年一月からの物価の変動を考えて明らかに上らないのだから給与を上げる必要はない、そういう答えでした。あなたは公務員法を知らない。公務員の給与を改訂するための今さしかかっておる状態は、二十九年の一月を基準にして考えること自体が誤まりである。その法律を、最も責任ある立場においてこの法律の施行に当っておる人事院自体も二十九年一月を基準とすべきでないというはっきりした態度をとっておる。いつかというと二十八年の三月じゃありませんか。二十八年の三月が基準でなければならないし、そのときから物価は完全に上って推移しておるじゃありませんか。そうしたらあなたの言っておる、公務員法に明示されておる通りわれわれは、こういうふうに物価は上らぬのだから給与を上げる必要がないんだからなんということはくずれておるじゃありませんか。第一です、あなたはさっき間違って言い直しをされたからその点は了承するけれども、公務員法の場合には勧告だ、その勧告が尊重されなければならない、いいですか、尊重されなければならないけれども、予算の関係、財政の関係等からこれができない場合はいたし方ない、法律の解釈からいけばそういう予算上、資金上これは不可能だからというようなことをいえないような法律の建前なんです。どうしてですか、公務員に対しては争議権を制限していろんな制約を加えている、だからそういう制限を加えたかわりに公務員法の第二十八条によって仲介機関が勧告を行なって、そうして制約した権利をその機関の勧告によって保障するという体制をとってるわけです。ですからそういう条文は明らかにこれは単に勧告などという解釈で、言葉通りの解釈で、勧告なんだからあくまでもそうやれといって進められたという解釈をすべきじゃなくて、これは当然それに従って予算上、資金上これをどうまかなうかということを政府としては、もしくは国会としてはやるべきであって、予算上、資金上の理由に籍口してやらなくてもいいなどという解釈など出てこないのです。それを解釈しているのはあなたたちだけなんです。だから、あなたたちだけだから、そういう解釈が不当だといって公務員諸君が絶えず自分の権利を守ろうとして合法すれすれのところまで自分たちの団体交渉をする権利を主張している。自分の要求をどうしても通してもらわなければならぬという立場からこういう行為が出てくる。公共企業体の関係もそうです。政府の方では十六条の解釈について予算上、資金上不可能な場合には国会の承認を求めるというあの条文は、これはできないということを承認を求めるのじゃなくて、予算上、資金上自分たちの責任ではできないから、だから政府はそれに対する適当な予算として組んでこれの国会の承認を求めるというのが十六条のほんとうの解釈じゃありませんか。今度の公労法関係の審議に当っても、審議会の審議に当ってもその点に問題が集中して、これをもっと明確にしなければ従来のような一方的な解釈が行われて混乱を起す、こういう点に公労法の改正の問題が今集約されているのです。そういうことになってきますと、一体法律を守らないのはどっちだ、しかもこの休暇の問題、すわり込みの問題、ピケラインの問題、懸華幕の問題、これらも冒頭には申し上げましたが、これが果して違法であるかどうか、これは法的にもこういう明確な根拠によって違法行為であるということについては今その点が論議になっておる。あなたの方じゃ簡単に争議行為に類似する行為だと、こう言っておる。そして、しかもその根拠として、たとえば休暇の問題、とんでもない太政官令や何かを引っぱり出して、そうして休暇に対してあなた方は違法呼ばわりしている、これも太政官令が出た当時の休暇の与え方と、それから大正十一年に閣令に出てきている休暇の与え方と、それから昭和二十四年に休暇を二十日間与える、それから勤務時間は四十八時間にするとか、こういう勤務時間との関係と、実際の今の休暇の与え方に、古くさい太政官令なんかをもってくること自体が笑止千万な話だ。そんな太政官令を引っぱり出してきて、そしてそんなに閣令で変り、人事院規則で変り、変り変ってきている休暇の与え方に対して太政官令なんかを引っぱり出してきて、あなた方は今違法呼ばわりしている。懸垂幕だってそうじゃありませんか。懸垂幕だって今までこれが違法行為であるとかないとか、これは職場の秩序に関する問題です。すわり込みしかり。職場の秩序に関する問題で今管理者が団体交渉に際してこの程度の行為で何も職場の秩序を守る上から言って、職場が乱れないという考え方から今までそのままになっているじゃありませんか。私は認めたとは言わない。しかししいてそれに対してどうこういう必要がない程度であるから今日までそのことが行われてきている。そういうことになると私は政府の態度というものはあまりに一方的で、新聞の論調なんか見ましても今回の争議の問題については政府の方がむしろ政治的な意図に基いて弾圧を加えつつあるという……朝日新聞なんかをごらんなさい。笑いごとじゃない。笑いごとだと思っているから間違うのだ。答えてみたまえ、今の質問に対して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/50
-
051・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 国会議員として敬意を表して聞いておりますが、あなたもお言葉をつつしんでいただきたい。
まず最初に総理が憲法違反をしていると言われましたが、そういうことはございません。(「九十九条違反だ」と呼ぶ者あり)九十九条違反はいたしません。(「はっきり言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)それは自分の言葉が不足しているために、これは自分の真意が伝わっていないことについては遺憾の意を表し、九十九条違反をしたと認めたことはございません。この点は明らかに九十九条違反はいたしておりません。それから現在政府が一方的に弾圧していると言いますが、それはあなたの判断はあなたの判断としていいのでありますが、政府は決して弾圧しようとはいたしておりません。それからいろいろの争議類似行為に関する取締りについて私が独断をもってやっているような印象でありますが、そうではございません。これは全部関係当局合議の上到達した解釈でございます。従いまして、政府はこのために政治的な圧力を特にかけるという意図のないことを明らかにしておきます。それから新聞論調でございますが、これは全体として政府が行き過ぎであるというような論調をしたものは一、二あるかもしれませんが、おおむねわれわれの見ているところではそうとは解釈いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/51
-
052・千葉信
○千葉信君 僕は直接の責任者として労働大臣が来てからやって、官房長官にやってみたところで決してそのポイントじゃないから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/52
-
053・田畑金光
○田畑金光君 二、三官房長官にお尋ねしますが、二月八日に自民党が異例の声明書を発表したわけであります。当日自民党としては治安対策について緊急総務会を開き、政府側から倉石労相、牧野法相、清瀬文相、大麻国家公安委員長、船田防衛庁長官、根本官房長官ら関係閣僚の出席を求め、政府側の対策を聞き、具体的な対策については政府に一任するという態度をきめたようでありますが、とにかく自民党として声明書が出されているわけであります。政党内閣の建前上この声明書の趣旨は政府としても十分意思疎通をはかってなされたものと考えますが、政府としては自民党の声明に基いて今回の労働組合の春季闘争に対し対処されようとする御方針であるか、この点をまず承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/53
-
054・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 自民党が声明を出されたということはその通りであります。しかし政府は今回のいわゆるスケジュール・ストライキについては万全を期しまして、違法や不当なことのないように、そうして特に民間の争議行為については両者の話し合いいで円満にいくことを望んでおる、こうう態度でございます。与党の方からいろいろ御意見もあり、また社会党の方からもいろいろ御意見のあることはわれわれは十分その点を勘案いたしまして、政府として適当なる対策をもってこういうような争議行為、社会不安の起らないように善処したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/54
-
055・田畑金光
○田畑金光君 官房長官、私のお尋ねしていることは、この声明書について政府は与党の出した声明書でもあるし、しかもこの声明というものは非常に重大な内容を持つものと考えるわけです。同時にまた議院内閣制の建前からいっても、またたびたび官房長官は私たちの質問に対して与党の意向あるいは政策というものは政党内閣の建前上尊重するのは当然である、こういう答弁を再々議場で、この委員会等で聞いているわけであります。でありますので、そういう意味において八日の与党の声明に対しまして、政府はどういう態度でおられるのか、これを承わっているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/55
-
056・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 与党の要請については十分にこれは尊重いたします。同時にまた野党についても妥当であるところの要請については、われわれはこれは尊重して政府の責任において政治を担当しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/56
-
057・田畑金光
○田畑金光君 さらに進んでお尋ねしますが、政府は与党の声明にある内容、言わんとすること、あるいは情勢の判断等についてこれは妥当であり適当であると考えておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/57
-
058・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 政府は与党の申されたことをそのまま政府として承認しておるということではありません。政府は与党の声明は声明として尊重しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/58
-
059・田畑金光
○田畑金光君 具体的に申し上げますが、この声明というものは非常に強い言葉を使っているわけです。たとえば前段を申しますると、要するに予測される今度の春季闘争というものは二・一ゼネストを思わしめるようなものであって、もしこれが行われるとすれば日本の経済、社会を混乱に陥れ、国民生活を犠牲にする、そうしてその意図たるや政治的な野心と革命的闘争の野望を満たそうとする暴挙である、こういうように断定されておるわけです。この点について今のお話によりますと、声明は尊重するが必ずしも声明そのものの通りやるとは限らない、こういうようなお話でありますが、具体的に申しますと、たとえば今言ったような点はどう政府としては判断されておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/59
-
060・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 与党の声明は政治的判断でございますが、政府はただいま今回行われようとしておるところのスト行為がそこまで発展するとは断定いたしておりません。これは推移を見なければなりません。しかし与党の方がそういうふうな非常に深刻に考えておるということはそこに何かの重大なる危惧をやはり感じておるがゆえでありましょうから、そういう危惧があるならばあるほどそういう事態にならないようにわれわれが善処すべきであると考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/60
-
061・田畑金光
○田畑金光君 今の御答弁によりますと、与党の政治的な判断は深刻な判断であるが政府としてはそこまでは考えていない、このような御答弁であると承わりますが、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/61
-
062・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) ただいま申し上げた通りそれは判断においては非常に深刻に考えて善処すべきであるという与党側の意見は非常にわれわれは傾聴に値すると思っております。われわれはむしろそういうふうにならないことを祈念し、またそういうふうにならないように善処すべきであると、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/62
-
063・田畑金光
○田畑金光君 続いて伺いますが、政府としては与党と同じような考え方のもとに今回の春季闘争を見ておられるような発言がしばしば繰り返されて参ったわけです。そちらに労働大臣も見えておられますが、労働大臣の旅先の発言等もしばしばそういうように承わっておるわけです。ところが今の官房長官のお話は少し違っておるようにお聞きいたしますが、政府は今回の春季闘争というものが総評の政治的な野心と革命的闘争の野望を満たそうとする手段と考えておられるか、この点を率直に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/63
-
064・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) これはまだどの程度までこの問題が進展するかによって判断しなければなりませんので、あらかじめ予測してそういうふうに政府として断定することはまだその段階にきていないと思っております。ただしそういうふうな危惧があるということについてはわれわれも不安を持っておる次第でありまして、そういうことのないようにいたすためにわれわれは官公労の方々の自重をお願いするとともに、また経営者においてもできるだけ円満に話し合いすることを期待しておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/64
-
065・田畑金光
○田畑金光君 今後あるいは事態の発展に応じてはそのようなことになるかもしれないが、こういう予測も持っておられるわけです。そこで私は承わりたいのでありますが、革命的闘争とか、あるいは政治的野心の達成をする手段としてこの労働争議が考えられる、その場合の革命的闘争とか政治的野心、これはどういう客観的な基準の上に立って考えられるのか、判断されるのか、その点を一つ承わってみたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/65
-
066・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 革命的野心、あるいはその手段として使っておるかどうかについて、まだわれわれは、少くとも私はそこまでの具体的な条件が具備しているかどうかについては資料が不十分であります。従いまして今後の推移を見なければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/66
-
067・田畑金光
○田畑金光君 昨日参議院の本会議において永岡君から質問があり、これに対し鳩山総理の見解が答弁されたわけであります。そこで私はお尋ねしたいわけでありまするが、少くとも今日まで総評の春季闘争に対しまして、政府側からあるいは日経連を中心とする経営者側からしばしばそれぞれの立場に立つ見解が発表されて参ったわけであります。ただしかしながら相互の見解、あるいは立場、解釈は違うにいたしましても、少くとも今日までの事態の発展というものは労働運動をめぐるそれぞれの批判であり、あるいは判断の、あるいは認識の違いであろうと、こう見ておるわけであります。しかしながら最近われわれの耳に入るところによると、とにかくいわゆる右翼陣営あるいは暴力主義的な団体等が労働運動に介入して来ようとする危険性があると聞いているわけです。このことは、要するに政府や日経連の一方的な世論を作っていこうとするこの動きというものがこういう右翼的な勢力を挑発しているようにわれわれは見るわけであります。昨日、これはまた夕刊で読んだわけでありまするが、官房長官はわが党の山木君の質問に対しまして、治安出動というものが考えられる、あるいは府県知事から要請があった場合には自衛隊の出動ということも考えられる、こういうようなことを答弁しておるようであります。そうしますと、あたかも政府自身も今回の労働争議というものが単なる労働争議でなくて、あるいは労働運動から派生してきた問題ではなくて治安の問題であり、従ってこれを警察権力やあるいは自衛隊の力によって取締りをしよう、こういう考え方をお持ちのようであります。そのような政府の考え方というものは、要するにいわゆる旧右翼の暴力主義的な団体の再び復活助長を促すように私たちは判断せざるを得ないわけであります。そこでお尋ねしたいわけでありまするが、政府はこういう右翼的な暴力団体というものが労働運動に介入して来ようという情勢に対処してどういう対策を持たれておるのか、あるいは今後どういう対策を樹立されようとしておられるのか、まず最初にこの点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/67
-
068・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 政府は正当なる労使の交渉についてはこれは当然行われることでありまして、それが円満裏に行われ、それが円満に解決することを期待しております。政府はたとえいかなる形式であろうとも暴力をもってそういうふうな紛争を起すことは期待しておりませんし、そういう場合においては取り締る態度をとっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/68
-
069・田畑金光
○田畑金光君 私はこの点は非常に重要な点だと思いまするが、もし政府が現在の展開されようとする賃上げ闘争に対処して、あるいは大衆行動、デモとか、すわり込みとか、あるいはピケとか、今後いろいろな事態が予測されるかもしれません、まあ、そういう予測される事態に対処して、政府はみずからの指揮監督権のもとにある警察権力、あるいは自衛隊を出動させるということも考えましょうが、さらに私は一歩前進して悪質な町の暴力を動員して組合の争議に介入させる危険があるように私は見受けるわけであります。この点に対しまして倉石労働大臣はどう考えられているか、この際一つ関連いたしますのでお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/69
-
070・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) しばしば私が申しておりますように、政府は国家公務員につきましては公務員法できめてあるような態度をやってもらいたい、違法なことをやらないようにということで注意をいたして、違法なことがあれば政府はこれを取り締らなければならない、民間産業については、個々の争議には政府は介入しようと思っておらないのであります。御承知のように民間産業の争議でも、あるいは逸脱して騒擾を起すようなおそれがないこともありませんから、そういう場合についてはこれは法を守る建前で取り締ることがあるかもしれない、しかし初めから争議に介入しようなんということは政府は毛頭考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/70
-
071・田畑金光
○田畑金光君 私のお尋ねしているのとはどうも答弁が外れているようですが、お尋ねしていることは、ちまたに再び左翼的な暴力団体が復活し、あるいは結成され、助長されようとする事態にあるわけです。これはむしろ今日の、極端に言うと今の内閣政府の、あるいは与党の復古主義的な傾向というものがそれを助長している、こういうことが言えると思うのです。ことにおそれられることは、少くとも行き過ぎであるとか、行き過ぎでないとかいっても、これは労働関係を中心とする労使の問題であり、労働運動の派生的な問題だと、こう見るのです。こういう労働運動に対しまして右翼的な団体等がもし今後介入してくる——暴力をもってスト破りをやるとか、労働組合の争議に入ってくる、こういうようなことがあるとするならばこれは大きな問題に発展してくるだろうと、こう考えるわけです。こういう点について根本官房長官に私はお尋ねするわけですが、政府はどういう配慮を持っておられるか、これを承わるわけてす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/71
-
072・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 先ほども申し上げましたように、政府はそうした暴力行為はいかなる形であろうともこれは不当のものとして取り締るという態度を明らかにしている次第であります。断じて政府はこの争議行為に関連して、右翼団体を助長するとか、あるいはまたそれを使嗾するようなことは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/72
-
073・田畑金光
○田畑金光君 先ほど私は少し触れましたが、官房長官は昨日も山本君の質問に対しまして府県知事の要請があったような場合には自衛隊の出動をも考えられるというようなことを答弁されておるようでありまするが、労働争議に対しまして自衛隊の出動を求める、こうなって参りますると、これはまさに先ほどの与党の声明に見られますように、革命的闘争の段階に入った場面を前提としなければあり得ないと、こう考えまするが、一体わが国の自衛隊というものは今日の労働運動において、あるいは今後の労働運動の中において出動を求めなければならぬような事態が発生し得ると政府は考えておられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/73
-
074・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 昨日の予算委員会における私の答弁は労働運動弾圧のために治安隊を出すということは毛頭考えてないと明言しております。ただし一般的議論といたしましてこれから不測の状態になりまして非常な危険な状況になった場合、地方長官から要請された場合にはその個々のケースによって判断して、あるいは出動する場合も考えなければなりますまい、こういうような意味のことを申しております。それからまた治安隊の出動は昨日の山本氏の質問はいかなることがあっても国内においては発動すべきではないと明言せいと、こう言われたが、そうはいきますまいと私は答弁しております。それは火災の場合においても、あるいは水害の場合においても、やはりこれは人命救助、あるいはまた社会の安寧のために出動している例もあるということを申したのでございまして、この争議行為に関連してこれか弾圧のために自衛隊を出動せしむるという考えはないということを明らかにしておいた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/74
-
075・田畑金光
○田畑金光君 それでまあ御答弁になっておると思いますが、私のお尋ねしておることは火災とか水害とか、いわゆる災害派遣等の場合をさしておるのではなくして、労働運動に関連して、あるいは労働争議に関連して自衛隊が出動するというようなことは、これはもうおしまいだと思うのです。また日本の現状において、あるいは議会制度をとっている日本の今後の政治的な状況のもとにおいて、それを予測するということがあり得ないと考えるわけであります。私が明確にしていただきたいことは、自衛隊というようなものは断じて労働運動の面において治安出動というような形において、あるいはいかなる名目を持ちましょうともこれが出動を求めるべきものではないと考えますが、またそのような事態は断じてないと考えまするが、あらためてこの点明確に政府の所信を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/75
-
076・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 先ほども幾たびも申し上げておりますように、政府は労働運動弾圧のためにそういう出動を考えていないということはもう何回も言っております。また治安出動ということは非常に異常の場合のことでございまして、その意味においてあなたがそういう労働運動のためにこういうことが起らないということを確信しておるという状況で、私も非常に意を強くしておる次第であります。そういうような治安出動がないように政府も大いに期待しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/76
-
077・田畑金光
○田畑金光君 倉石労働大臣には後ほどまた関連してお尋ねしますが、政府の中に今治安閣僚懇談会とか、あるいはまた政府部内の各官庁の官房長とか人事官を集めて連絡会議を持っておられるようでありますが、この二つの機関はどんな性格の機関であり、何を目的とされ、どういう運営をなされようとする機関であるのかお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/77
-
078・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 治安閣僚懇談会は国家の一般治安に関しまして万全を期するために随時開いております。それから各官庁の官房長その他の会同は、これは現実にスケジュール闘争なるものが計画されておりまするので、その争議並びに争議類似行為において違法並びに不当のことが行われないように十分に管理者の責任を全うすることができるように連絡協議をしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/78
-
079・田畑金光
○田畑金光君 十三日に政府は官公労の代表に対しまして内容証明で警告文書を発せられておるわけです。どうも民間の小さな町工場の労使の紛争を思わしめるものがあるわけです。政府の権威というものを疑いたくなるわけですが、こういうようなことはどうもいやしくも一国の政府のとるべき方法手段としてはまことに愚策であると考えるわけです。ことに当面の責任者である官房長官としては官房長官の器を小さくしたような感じ、印象を与えるわけですが、この点はどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/79
-
080・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 伝えられるところによりますれば、十三日からスケジュール闘争の第一歩に入るというふうに聞いております。ところで従来すわり込みとか、あるいはピケとか、あるいはその他いろいろの行為が行われておりまして、これが十分に管理者の意思が徹底していないために同じようにそういうふうな不測のことが起ってはいけませんので、それであらかじめ私は数日前から官公労の代表の方々に会見を求めておったのでありまするが、当日になりましてどうしてもおいでになれない、そこで政府が官公労の組合の皆さん方が政府はこういうふうに解釈し、またこういうふうに今後取締りもするし、協力も願いたいということを伝達しておくことがその後における公務員の方々が法律を守って奉仕者としての義務を全うするために必要であろうということでこれはなした手配であります。当日おいでにならないから政府が何も意思表示をしなかったから今まで通りだと思ってやったんだというようなことで誤まりを犯してはお気の毒でもあるし、また政府としても遺憾であるから丁寧にその点を示達するために内容証明で出したわけです。なおまたさらに各官庁の管理者からは組合に同様な警告あるいは御注意を申し上げておるということでありまして、これは全然政府の権威とか何とかでなくて、政府が親心を持ってやったというふうに解釈していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/80
-
081・田畑金光
○田畑金光君 昨年の十二月の二日に政府は、これは官房長会議においてですか、国家公務員等の年末労働運動に対し当面とるべき措置ということでほぼ同様内容をきめられ、また官公労の代表に対し文書を渡されているわけです。今回の内容も大同小異であると私は見受けるわけであります。少くとも政府の見解というものは今日まで大よそ新聞を通じ、文書を通じ明らかになっておると考えられます。そういうような事態の発展であるにかかわらず、今お話のように親心からかもしれぬが、町工場の労働争議を思わせるような態度をとるということ自体が、いかに政府の労働施策というものが貧困であるかということのよき現われじゃないかと、こう考えるわけです。労働行政というものを私は権力行政じゃないと考えるのです。少くとも暴力行為が起きた、それを取り締れというのはこれは警察行政であり、治安行政だと思います。なぜ暴力行為が起きた、なぜデモをやった、なぜストライキをやらなければならぬか、その原因を探求して、その原因の探求の上に立って配慮していく、そこに納得的に事を運んでいく労働行政というものの本質があろうと考えるわけです。これが納得行政だと思うのです。一片の内容証明で政府の意思を伝達しなくちゃならぬというようなことは、これはまことにお粗末過ぎる政府の労働政策の現われであると考えますが、その当面の責任者は倉石労働大臣です。そういう労働政策を許しているのが今の内閣です。こんな点について根本官房長官は、どうも労働政策は貧困である、何とかしなくちゃならぬ、こういう考えは起きられませんかどうか。それから今後こういう内容証明書をまた繰り返すようなこういうちっぽけな考え方に立っておるのかどうか、少しは反省なさっておるのかどうか、これを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/81
-
082・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) われわれは内容証明などというものを出したくない。でありますからいつでもわれわれに会見を要求のたびごとに参られる官公労の代表の方々にわれわれが会見を申し入れいたしたのだが、率直においで願ってお話し合いすることを私は期待いたします。そういうことになりますれば、われわれはわざわざああいう文書で、しかも内容証明などでは出したくないと思っております。労働行政についてはいろいろ御批判があるようでございます。特に社会党の立場としてはいろいろの御意見がございましょう。しかしこれは政府といたしましても、でき得るだけ労働行政については改善をし、また必要な予算を計上して参りたいのでございまするが、現在の国家全体の経済状況を考えますれば、現状のところが精一ぱいでございまして、要は日本の経済の現状にかんがみてお互いに信頼感と、それから理解を持って話し合うようにして改善をして参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/82
-
083・田畑金光
○田畑金光君 官房長官にこまかいところまで質問しようとは思っておりませんが、ただこれは二月の十三日でありますか、政府は今回の春季闘争に対処して国家公務員法、あるいは公共企業体等労働関係法、こういうような法規の解釈をやられて、そうしてこれが公式の見解であるということを次官会議等できめられているわけです。この内容を私は新聞で見ましたが、本日ですか、十六日の朝刊によりますと、先般官公労が解釈を下したのに対しまして政府もまたこれを反駁する解釈を出しておられるわけです。次官会議において公式見解としてとられたこの解釈と、本日の政府の解釈とを見ますると、相当に内容において違ってきておるのです。違ってきておるということは非常に解釈が厳格になってきたということなんです。十三日の解釈ではある程度ゆとりがあったが、本日の新聞発表による政府の解釈は非常に窮屈になってきておるというそのことなんです。これはどうも法規の解釈として正しい態度ではないように見受けられます。先ほどの質疑応答を通じまして、官房長官の見解が明らかになりましたが、政府のその解釈というものもあるいは官公労の解釈というものも突き詰めていうと、これはだれが判断するかというと、裁判の結果でも待たねばならぬことになってきょうと思うのです。そこで私は少くともこの際言い得ることは、戦後十年間の官公労の争議において、一つの慣行というものができているのです。この慣行というものは、少くとも政府は現在の闘争においても尊重されてしかるべきでないかと私は考えまするが、従来の慣行が無視されて、一方的に政府の権力解釈が強行されるということでは、事態の解決には何ら役立たない、かように私は考えます。少くとも政府は、従来の慣行というものは尊重すべきであると考えますが、しかもまた従来の慣行の上に立って今回の労働争議等に対しまして政府は、それぞれの対策を打たるべきであると考えますが、この点どういうふうにお考になられるか。ことに私はただ一言申し上げますが、懸垂幕が悪いとか、ポスター、ビラを張るとかいうことは、管理権を侵害するといっておりますが、官庁の中を歩いておりますと、いろいろ洋服屋の宣伝とか、料理屋の宣伝とか、あるいはいろいろな商売上の宣伝ビラが堂々と張られているのです。あの宣伝ビラは一体管理権を侵害しないのか、美観を害しないのか、組合のポスター、ビラだけが管理権を侵害し、料理屋や洋服屋や待合の宣伝ビラは管理権を侵害しないというのもこれはどうもおかしいと思うのですが、この点はどうお考えになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/83
-
084・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) ただいま、昨日私が談話として発表したことと、その前に政府の統一解釈として発表したことと、非常な幅があるということでありますが、これは全然解釈の変更はいたしておりません。わざわざ昨日ああいうようなものを出したゆえんのものは、官公労の解釈が新聞に出まして、それをそのままにしておきますれば、あたかもこれが是認されたというふうに考えられて、そのために官公労の個々の方々が迷いを来たしてはいけないということで、念のために、そういう解釈はとっていないということを明らかにいたしたのでございます。それから慣行と申しまするけれども、これはよき慣行とは思っておりません。そうしてまた政府は、これを慣行として黙認していないのであります。そのために慣行として認められておるからということで、善意に今までのことはこれはやってもいいと思ってやったことが、今度は取締りの対象になっては大へん御迷惑だと思いまするので、そこで政府は、明らかにこれはしかも単に各管理者の個々の考えではなく、政府全体として統一した解釈をお示しした、こういうことでございます。従いまして政府といたしましては、どこまでも今度のストライキなるものが衝突なく、事前にそういう不当あるいは不法な行為が無意識のうちにでも、意識的にはもちろんのことでありますが、無意識のうちにも行われないことをこいねがうために、こういうような手配をいたした、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/84
-
085・田畑金光
○田畑金光君 管理権の問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/85
-
086・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 今ストップして待っているそうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/86
-
087・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) ポスターについては、これは言うまでもなく、御承知のように、これは管理者の許可によってやられた場合には、官公労の場合においてもこれは許しているわけでございます。問題は、管理者の許可なくしてみだりにやることは、これは不当であり違法であるから取り締る、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/87
-
088・木下源吾
○木下源吾君 ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/88
-
089・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 官房長官にですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/89
-
090・木下源吾
○木下源吾君 官房長官はいかれるから、倉石労働大臣はさっきから来て退屈そうにしているから一つ……。ほんとうに忙しいのにすみません。ただあまり政府が能がない、ただああいうものを声明したりして。端的に言って労働者は弱い。そういうものでもっておどかしさえすれば問題が解決をする、こういうのではあまり芸がないと思うのですよ。今とうとうと長官が言われておるのだが、長官としてはそのくらいでも何だろうが、そういうことはいわゆる声明だとか、警告の必要のないことをやるのが政府の何なんですね。しかしやってしまっておるから、やったことはこれはやむを得ないが、労働大臣としては政府の閣僚であると同時に、やっぱり労働行政の責任者である。労働省としては、やはり労働者に対してある種の、特殊的な一片のそのお考えがなければならぬと思うのです。今度の政府のいろいろな春季闘争に対する態度というものに対しては、あなたはどういうふうに根本的に考えておられるか、そうしてこれが収拾を今言われるように、肝前に成果を上げて問題の起きないようにするためにはどうしたらいいかというようなことのお考えはあるだろうと思いますが、それをちょっとお伺いしたいと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/90
-
091・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 木下さんのお話は非常に大事なところをついておられると思うのです。実はその率直な話が、今の閣内で、私は労働大臣が本業でございまして、労働大臣という立場からはどこまでも労働組合法にうたっておるように健全なる正当なる労働運動はこれは保護し育成していく立場にある。従って、いわゆる春季闘争というようなものにつきましては間違いのないようにうまくやってもらいたい、こういうわけなのです。一方、この公務員制度及び給与担当閣僚というのを抑せつかっておりますが、その方は公務員の給与のことなどについて予算を要求したりいろいろなことをする立場。不幸にして今度は春季闘争で国家公務員諸君もいわゆるその闘争に参加して、ベースアップの要求をされておるということをまともに受けるのは、ベースアップの問題は私がお相手をしなければならない、こういうので、ほんとうはまあ実際から言うと非常にそういう立場はむずかしい立場になっておるのでして、しかしまあ国のために仰せつかった仕事でありますから、公務員制度担当という立場では、実は去年の暮の〇・二五も、人事院の勧告があるのだからぜひやれということを率先して希望いたしまして、そういうように実施をした。そこで今度のベースアップについては、実は予算の編成のときもいろいろ相談をいたしてみましたけれども、これは無理だと、これはできない相談だ。そこでまあ定期昇給はぜひやっていくようにしたいものだと、こういうことでその予算の要求をいたした。そこでいわゆる二千円ベースアップは政府としてはとうていできない、定期昇給はやっていく、こういうことでありますから、そのことをよく理解してもらうように今日までも話しておりますし、せんだっても官公労の代表に会いまして話をいたしましたが、まあまだ今のところ了解を得たという段階ではありません。
そこで一方、この民間産業については、国民経済全体としてのただいまのベースアップについてどうかということについては、それぞれの見解があるとは思いますが、政府としては現在のところはなるべくそのベースアップということでなくて、企業の底力をつけるようにやってもらいたい。ことに大企業だけがベースアップをやって、賃金格差が増長されることも困ることだし、それからまたなるほど去年は外国の好景気などの影響もありまして、輸出貿易のバランスが黒字になった。産業によっては相当な利潤を得ているのもあるけれども、やはりまだまだそれだからといって、そこですぐに大いにそれを分配してしまうということについてはどうだろうかということについての見解はそれぞれ私ども持っておりますが、そこで今の木下さん御指摘のようにもう始まっちまった、そこで労働大臣としては何とかこううまい幕を引くようにならぬものだろうかということについては苦慮いたしております。で、こういう席であまりそういうことを申していいかどうかわかりませんが、そういうことは御遠慮いたすとして、私は木下さん方のような方のお立場、そういう立場におられる方々の御店見も参考にして、何とかこの幕を引くことを考えなきゃなるまい。今まあその手を振り上げたばかりのところですから、もうしばらくというような考えでありますが、とにかく話をしたい。話をつけて、何とか妥結点を見出したいということは、私は常に考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/91
-
092・木下源吾
○木下源吾君 さすがに倉石労働大臣、けっこうなお考えで、私も賛成です。だが、その今のようなお話を承わると、やはり多少お互い政党を異にしているし、思想を異にしているから、見解も申し上げて、どうこうというようなことでなく、一ついろいろお考えを願わなければならない。で、まあ官公労については御承知の通りあなたもやっておられるが、委員長をやっておられる時からもよくおわかりの通りであるが、どうも吉田政府以来今できておる機関を無視して、人事院の勧告というようなことに対しても非常に軽く取り扱っておる。口では尊重しておると言うが、これはやはり予算を出して国会できめてやるべきだと私は思うのです、あの経過から見て。ただ予算上できぬ、こう言われるのですが、今も官房長官もそう言われておるのだが、これは正しい見解ではない。これはもう良心的に見ても、調査すればわかる。しかしそういうことを一歩譲って、そういう見解に対してみても、この二カ年の間物価の値上り、それから据置き、いろいろ理由をつけておるが、実際は正しくない。現実に政府自体が一兆円予算を組んでおるが、今度の補正でごらんのように一兆円を突破して、こういうように財政規模がふくれ上っておる。これはだれも否定することはできないでしょう。この一点を見ても、ベースアップというものに対しての何らの反省を加えないということは無理です。その無理から要するに今日の問題ができてきておる。だからこれは二千円要求今しているということは、あるいは一律要求はどうかという何もありましょう。けれども私は要求する側の方の言い分を十分政府は聞く態度をとらなければ、問題はなかなか解決がつかない。必ずしも労働者は要求をするだけが能ではないということは、先般も中国私は見て歩いて、中国の諸君が現実の賃金というものは非常に安いということを知っている。また政府も現に安いのだということを言っているのです。しかも労働者の取り分が安いんだということを言い、また労働者もそう考えておっても、なおかつあの積極的な建設意欲をみんながぶち込んで、魂までぶち込んでやっておる。もちろん向うとこちらは違いますけれども、何らかの対策は、僕はそれまでならなくてもあるべきだと思う。ただ単に片一方はよこせ、片一方はやらないというようなことだけで、そういう雰囲気の中で問題を解決するということだけでは、私はこれは何ぼあなたが聡明にやられても、うまくいかんじゃないか、こう考えるのです。そこにまた国全体の、閣僚としての十分な責任、そういう点があるのではないかと、こう思うのです。また民間産業でも今輸出貿易のことをお話しになった。なるほど輸出は十六億から二十億突破したということは、これは好景気に違いありません。それで在外正貨の保有量も十三億を突破しているということも事実であります。しかしこれはこの政府の政策が、そういう面だけを見ると、非常に輸出入貿易の好調を来たしたと、こう見るであろうけれども、実質的な内容を見ますると、必ずしもそうではない、いわゆるチープ・レーバーによる、あるいはまたこの政府の政策としてに、勢いそういかざるを得ないのであるが、しかし大きい資本に対しての集中的な政策です。そうして中小企業の労働者、農民、漁民、こういうものに対して非常な、現実的にですよ、これは……。みんながこうむっているところのしわ寄せといいますか、ほんとうにある一面においては無慈悲的にと思われるほどこれを抑えている。そうして一方は独占資本、大産業——これは一つの北洋漁業の問題を見てもおわかりでしょう。北洋漁業の今度の資本系列に見る配慮、北海道あたりでも零細な漁業協同組合の組合員から集めて、そうして母船式を一つやった。ところが今度はその資本金を半分に減額されて、そうしてあとは大洋という漁業の大資本の系列の中に、いやおうなしに政府の方針でみな入れられてしまっておるわけです。私は今一つの例をとるのですが、あらゆる政策が、この政府が意識的にやっておるか、無意識的にやっておるかは知りませんが、あるいはそういう政策をとるのはよくないと思ってやっておるのかしらんが、現実はいかんせん、そういうふうにいっておる。従ってその現われというものは、大産業というものは非常な高率の利潤を上げている。あなたは賃金格差が起きるから、大産業の賃金も阻止せにゃならぬというような口吻を漏らしておるが、それは阻止するとしないにかかわらず、大産業というものは、これは非常な高率なつまり利潤を上げておるわけです。にもかかわらず、中小その他は没落し、あるいは、破産し、工場を閉鎖する、そしてそれに来ておる労働者、これはこういうふうな実態は私が言うまでもなく、あなたの統計、あなたの労働省の統計でも明らかだと思う。私は全面的に現われておるのは失業者の増大である。潜在失業者の増大である。こういう面で現われておるのは具体的なものでできてきておると私は思う。こういうときに黙っておっていいのか、困るのはやはり困ると言わなければならないのではないか、民主政治はやはり。困るものは困ると……。またいいものでも、就職しておる者でも、失業者の大群が産業予備軍としてちまたに充満しておるときには、就業労働者といえども直接の損害をこうむる。これはもう当然であります。従って自分の地位を安泰にし、自分の収入を確実にしようとする場合には、先頭に立って、やはり戦い得る者は先頭に立っていかなければならぬ。これは集団の一つの常識です。こういうようなことを考えるときに、私はここではあまりに政治的な論議をしようとは思いませんが、あまりにもあなたは内閣における重要なポストを占められておるし、地位にあられるから申し上げるのですが、こういうことのその現実の前に立って、そしてまあ労働組合法の、一片のそういう法律によって、それだけでこのことを処理されていくことが、とうていこれでは私はこのことは解決していかんのではないか、こういうように考えるのです。できるならば大局に立って、私は政府の閣僚諸君を、あなたの力によって説いて、かかる政策を緩和するような、そしてよそと日本の労働者との、アメリカの十分の一、イギリスのあるいは六分の一とか、八分の一とか、こういうものの格差を縮めるように、そして生活の向上にいくように変じていくならば、もっとこの生活が安定するように、こういうように一つできないものか。私は必ずしもそれはできないのではない、できると、こう思うのです。ですが、このように正しく条理をわけて、しかも聡明なあなたが、賢明な閣僚諸君が、これが行い得ないとするなら、私は何らかの障害があると、こういうように思わざるを得ない。そこで日本の今日の占領下と同じような、隷属的な立場にある日本が、アメリカその他から何らかのこういうところの内政に対する干渉的示唆が何かあるのではないか。私はそういうように思わざるを得ないのです。思わざるを得ない。高い原料をどうしても買わなきゃならぬようにさせられておるし、隣国との貿易をやれば、問題は十分に解決できる道はたんたんと開かれておるにもかかわらず、それが閉されておるというような、こういう現実を見て、何か私は外国の干渉を受けておるのではないか。こういう点を強く感ずるのですよ。私は何も故意にこのことを強調しようというのじゃない。こういう点について国民に信義をもって政治をやっていくのならば、倉石労働大臣、一つ率直に、私はここでお述べを願いたいと、こう思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/92
-
093・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 非常に重要なお話で、私どもも参考になりました。十分そういう御意見を体して善処していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/93
-
094・千葉信
○千葉信君 この間の委員会に、倉石労働大臣、来ておられましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/94
-
095・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/95
-
096・千葉信
○千葉信君 昨日私と主計局次長との質疑につきましても、たしか労働大臣はすべてお聞きになっておられたと思いますが、そのときの質疑応答で明らかになっている事実と、それから公務員制度を担当しておられる立場から、今あなたが木下議員に対して答えられたお答えとは食い違っておる。まあ今あなたは、どうも今回の予算編成に当っては、何とかしようということを考えてやられたそうだが、それはとうとう最終的には不可能であった、しかし定期昇給という問題については間違いなくやっていくという考えで、官公吏の諸君にもその点を納得してもらうつもりだ、こうおっしゃったのであります。これは実はこの間の質疑からいたしますと、大臣の答弁は少し間違いがある、この間も大蔵省側の答弁によりますと、今回組まれた定員定額制による調整額からいうと、今の給与法できめられておる通りの外船はできない。いいですか、できないので、大蔵省としては、そういう組み方をしたことについて不当じゃないかという私の質問に対して、大蔵省としては、今のような昇給の基準、昇給の全額、それから昇給の期間計算、これはあまり早過ぎるし、多過ぎる。そういう点を何とかしなきゃならないという考えで大蔵省はこういう予算を組み、そうしてそういう法令の改廃を大蔵省は希望しております、こういう答弁だったのであります。これは大臣も聞いておられる。そうすると、その予算の組み方そのものにも問題はありますが、大臣がさっき答弁されたように、せめて定期昇給だけでも何とかしよう、御承知のように、従来いろいろその昇給がストップされて、当然資格を持っておる者が昇給がストップされた事実は、これはもう従来大きな紛争の種であったわけです。これは大臣も御承知だろうと思う。今度もまたそういう事態がこの三十一年度で経過するわけです。そうなると、大臣が今言われた答弁とも食い違いもし、そんなことはもちろんやっちゃいけないし、従ってそういうふうな、今置かれておる給与担当大臣としての立場から、こういう法律通りの昇給もしないという現実をかかえておる大臣として、一体それによって不利益をこうむる諸君に対するあなたの立場というものは、あなたはさっき、おれは一方では労働大臣としての立場、それと少し食い違ってくる公務員制度担当大臣としての立場から、二様の立場でちょっとお困りのような立場にあるという御答弁でしたが、私は問題はそう食い違った問題じゃないと思う。立場も食い達っちゃいないと思う。あなたは公務員制度担当大臣として公務員の給与を抑えたり、公務員を弾圧しようとするから、だからあなたは困る。そうじゃなくて、労働大臣としての、まあいわばサービスを提供するという仕事と同じように、公務員制度を担当して、公務員法によるところのサービスをし、その法律を順守するという立場をとるならば、決して食い違ったものにはならない。それをあなたは、口ではうまいことを言って、定期昇給は何とかすると言うけれども、それができないという事実はもうはっきりしておる。いいですか、それから問題は、定期昇給の問題自体がそういう格好に置かれておるし、まあ去年の人事院の勧告、年末手当の〇・二五の支給については、これはもう私は御努力を大いに多とします。しかし残念ながら、あれは実施されたけれども、政府が当然の責務として実施しなければならない勧告がそのほかに三つたなざらしになっておる。いずれも予算を要するものである。たとえば退職年金法の勧告しかり、地域給の勧告しかり、職階制に関する給与準則の勧告しかり、いずれもこれは予算がかかる。予算がかかるということは、これによって公務員諸君はかなりの受益をすることである。それがおまけに、定期昇給が大臣が言うことと違って、実際上今度の編成されておる予算からすれば、これは不可能です。はっきり大蔵省が答弁しておるのですから……。そこで問題は、労働大臣に私はこういうことを聞きたい。今回政府の方では、まあ御承知のような声明を出された。しかしその声明を出された意図は別としても、その含む内容をみると、少くともいろいろな点から疑義を持たざるを得ない問題に対して、一方的に政府の方は、これは争議類似行為であるといって、いかぬということを政府の態度として宣明されておる。それにそむいたら断固とした態度をとる、これでは自分たちがやらなければならぬことをほったらかして、無責任しごくにも、法律に違反という言葉さえも使えるようなやわ方をしております。片っ方では疑義のある問題をはっきり、これは休暇はいかぬ、集団休暇はいかぬ、ピケラインはどうの、これはちょっと労働大臣の立場からいうと、当然一考を要しなければいかぬ問題を、片っ方だけを考えてはいかぬ。そうしてそういう争議が起っておるか、かりに二千坪程度の要求、この要求額も二年間にわたる物価との較差からくる現実にこうむった不利益、それからまた人事院の勧告が、従来給与改訂については政府が物価を下げるような政策をとり、それが成功することを期待して今回は見合せるという態度をとってきております。しかしそのために実際上公務員は甚大な不利益をこうむっておる。そうすると、今の二千円の要求なら要求の額というものも、今までこうむってきた不利益を考えたら、私はこれは決して不当だという結論は出ないと思います。だからそういうふうな問題を解決するという態度が一方にとられて、政府の責任としての三つの勧告の実施、それから定期昇給の完全な実施、法律通りの実施、そういう代償が一方にあってこそ、政府がそれでもなおかつ解釈上擬義があるにしても、職場の規律がどうのこうのという立場から取り締らなければならぬというなら私は話はわかる、この関係、一体労働大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/96
-
097・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほどのお話の中で、私の申し上げたことが言葉が足りなくて誤解があったかもしれませんが、私は来年度予算編成にベースアップをすることを努力をしたように私が申したようにおとりになったようですが、ベースアップというものは、できるかどうかということについていろいろ検討をしたということでありまして、それは私の申し上げた意味はそういう意味であります。定期昇給のことについては、御承知のように私ども戦後公務員法を作りますときにいろいろ論議がありましたが、たしか私は、条文はどこであるか忘れましたが、定期昇給については一定の期間をおいて政府はまじめに努力し、何か努めておる者については昇給をすることができると、こういうふうに書いたと覚えておりますが、そういう意味で、来年度の予算案には大体政府の所期するところのいわゆる定期昇給の原資は確保できると、こういうふうに私どもは見当をつけて予算を編成いたしたのであります。
それから今の人事院の勧告のことでございますが、私ども国会におりまして、やはり人事院勧告があって後、政府がそれを実施するのに非常に時間がずれたりなどしたこともよく承知いたしておりますが、勧告があって、すぐにそれの実行に着手するには相当な時間もあることは千葉さんもよく御存じの通りであります。ことに地域給の問題などは、御承知のように、地域給というものはお互いに国会議員が自分の選挙区の関係で、ある地域を上げれば必ずその違う地域から同じような運動が起きてきて、これはもう結局一番上まで行かなければ承知できないようなもので、これは党派を問わず、こういう地域給制度というものはまずいじゃないか、これは一つ給与体系を何とか改善しようではないかという論が衆参両院に起きており、私どもの政府は、昨年来公務員制度調査会にいろいろな検討を願いまして、その答申がありました。その答申の中にも、公務員の給与体系についての勧告がございますので、これの改正のときに一挙にこういう問題も処理して行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。それで今最後にお話のありました公務員の団体行動の違法性のことにつきましては、私どもは官房長官名で出しましたあれが正当なる法の解釈である、こういうふうに固く信じておりますから、それの違法のないように公務員の諸君に注意をいたしておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/97
-
098・千葉信
○千葉信君 まあ今いろいろな勧告の問題の考え方、それをどう扱うか、扱わないかということは、これは別問題であります。かりに少々、いろいろな事情から政府の方としてまあすぐには実施できないから延びているということですが、これはあなたの内閣だけの責任ではないけれども、しかし少くとももう両三年たなざらしになっている勧告もあるわけです。そのためにこうむっている公務員の不利益ということを、政府は十分考えなきゃならぬというのが私の申し上げている一つの眼目です。それを考えないで、今回政府が一方的な、極端な言葉で言えば、これはもうはっきり弾圧的な方策をおとりになっているということが言えるから、それじゃあまりに一方的だ。この点私はあなたに聞いておるのであって、決してその個々の問題のケースについて、これがどうあるべきか、こうあるべきかということは今日の議題ではないと思うのであります。それからその定期昇給の問題についても、あなたは今回の官公労に対する御答弁の中でも常にこの問題を取り上げている、定期昇給はやるのだ。で、あなたは今答弁の中で可能なようなことを言われましたが、これはもう公務員に幻想を与えてだまそうというあなたの態度だと思う。どうしてかというと、この間あなたもそこにおられ、大蔵省もそこにおって、その大蔵省がはっきり今も法律通りの昇給はできませんと言っておるじゃありませんか、あなたも聞かれた。そしてさらに僕の方から、そんな法律をじゅうりんするような予算の組み方ってないじゃないか、こう言ったところが、大蔵省の方では苦しまぎれに、いや、私の方では今のような給与法の期間の計算、昇給額等については賛成できません。その法令の改廃を私どもは期待する、こう言っておる。それならなお、悪いじゃないかと僕は言ったのです。大蔵省のその答弁はあなたはそばで聞いておられた。しかもあなたは、その今の予算でその昇給が完全にできるなんと言う。これはちょっと責任あるものの立場としての答弁として私はいただけないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/98
-
099・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) まあざっくばらんに申し上げますとね、大臣が、たとえば労働省に何人おって、それで幾らの給料だから、どれだけ上げれば幾らになるというようなのは実際は知りませんよね、各行のそれぞれの関係課長なり、何なりから大体その計数を出してきます。これがこういう基準で、これだけの定期昇給をすれば労働省は幾らになる、国税は幾らになるというものの総括したものが出てきまして、それでそれならばこれでいわゆる定期昇給というのが行けるだろう、これで前年通りに行けますと、こういうことでやるから、これでよかろう、こういうことで決裁をしているのでありますから、もしそういうことについて細かなあれがあるなら、私でなくて、政府委員で一つ専門的なものと御検討下さる方が早いと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/99
-
100・千葉信
○千葉信君 私は専門的なことを聞いておるのじゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/100
-
101・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 千葉君、一時に緊急質問の答弁に立たなければならぬから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/101
-
102・千葉信
○千葉信君 大臣は個々の昇給が可能かどうかということについては一々わからないというあなたの御答弁です。しかしですよ、知らなきゃ教えてあげますがね、今の予算の組み方が悪いのです。前の予算の組み方は、その現員に対する現給制度という格好で予算を組んで、そのほかにその調整費を組む、ところが大蔵省の方から、今度は方針が変って、今年始始まったわけじゃありませんけれども、定員定額という格好で非常に窮屈な予算の組み方をして、そうしてしかも調整費の額も、前のには五分組んでいたのを、去年は四分以下に落した、今年はやっと四分ぐらいは確保された。その四分じゃできないということは、この間の質疑応答でもはっきりしている。こういう問題がある以上、私は給与も担当し、公務員制度も担当している大臣が、個々のケースを知らなくても、そういう点について知らぬということは言わせられぬと思う。大事な問題じゃないか。あなたはその問題についてやはり明確な態度をとって、解決の責任をあなたは背負っているのです。その問題は今度の昇給にやはり関係しているのですよ、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/102
-
103・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 政府の方としては、昭和三十一年度予算においても、前年度程度の定期昇給ができるという原資を来年度予算に確保しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/103
-
104・千葉信
○千葉信君 できる、できるというけれども、できないということを実際予算を組んだ課長が、言っているのに、それでは大臣の答弁として通らぬな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/104
-
105・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) それは各省の役人に聞いてごらんなさい、できるのだもの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/105
-
106・千葉信
○千葉信君 だめだ、これじゃ給与担当大臣の資格がない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/106
-
107・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/107
-
108・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて下さい。
本件に対する調査はこの程度にとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/108
-
109・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00619560216/109
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。