1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十三日(木曜日)
午前十時三十五分開会
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委員の異動
本日委員吉田法晴君辞任につき、その
補欠として岡田宗司君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小柳 牧衞君
理事
長島 銀藏君
野本 品吉君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
井上 知治君
遠藤 柳作君
大野木秀次郎君
木村篤太郎君
中山 壽彦君
菊川 孝夫君
木下 源吾君
田畑 金光君
廣瀬 久忠君
衆議院議員
山崎 巖君
政府委員
内閣総理大臣官
房審議室長 賀屋 正雄君
法務政務次官 松原 一彦君
法務省矯正局長 渡部 善信君
労働政務次官 武藤 常介君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○労働省設置法等の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○憲法調査会法案(衆議院送付、予備
審査)
○法務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/0
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001・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。
労働省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/1
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002・武藤常介
○政府委員(武藤常介君) 私からかわって御説明申し上げます。
ただいま議題となりました、労働省設置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
今回の改正の要旨は、労働者の福祉の向上をはかる目的をもって、労災補償の事務を整備しその円滑な遂行を期するために、労働省労働基準局に労災補償部を設置し、また、労働衛生に関する専門的調査研究を行うために、労働省の附属機関として労働衛生研究所を設置することでありますが、あわせて特殊技能試験審議会についてはすでにその設置の目的を達成したのでこれを廃止することとし、これらを一括して改正案として提案いたした次第であります。
まず、労災補償部設置の理由について、御説明申し上げます。現在労働省労働基準局においては労災補償課を置き、労働者災害補償保険法の施行及び労働基準法に基く第八章災害補償に関する事務並びに前国会で新たに制定せられましたけい肺及び外傷性脊髓障害に関する特別保護法に基く給付及び負担金その他の徴収金の徴収事務をもあわせ行なっております。しかし、これらの事務は、きわめて複雑多岐である上に最近その事務量は急激に増大し、事務の円滑な遂行を期するためには機構の整備充実を緊急に行う必要がある状態になったのであります。すなわち、労働者災害補償保険におきましては、保険料率は過去の災害実績を基礎として料率を業種ごとに定め、特定事業についていわゆる、メリット制度を採用しており、また給付については、業務上外の認定、障害等級の決定、休業補償費のスライド制等を実施しておりまして、一般社会保険に比し事務内容がきわめて複雑であります。さらに労災病院等の保険施設の設置及び整備並びに運営の事務をあわせ行なっており、またいわゆるけい肺法に関する事務や労働基準法における災害補償に関する事務等を加えますとまことに所掌事務は多種多様であります。しかもその事務量は適用事業場並びに労働者の増加と法律改正による適用範囲の拡大、新規制度の採用等により逐年増加しており、とくに最近においては労災病院等の保険施設の急激な整備拡充が行われているためへ事務量の増加がさらに顕著となっております。
以上、要するに事務の複雑多様性並びに事務量の急激な増加に対処するために労災補償部を設置したいと存ずるのであります。
次に、労働衛生研究所の設置の理由につき御説明申し上げます。労働基準法施行以来労使関係者の理解と相待って、わが国の労働衛生の水準は、相当の向上を示してきたのでありますが、今なお個々の具体的な問題についてみますと、数多くの未解決な問題が残されており、これを解決するため労働衛生に関する科学的研究の促進が強く要望されているのであります。しかして、職業病の診断基準、工場事業場における健康管理基準、労働環境の測定基準、有害作業環境の恕限度、労働衛生保護具、労働環境測定器等に関しまして、労働衛生行政に直結した立場から行政運営の科学的な基礎となる研究を行うことが喫緊の要務とされているのであります。よってこれに対処するため労働衛生に関する研究機関として労働衛生研究所を労働省の附属機関として設置いたしたいと存ずるのであります。
最後に、特殊技能試験審議会の廃止の理由について簡単に御説明申し上げます。労働基準法に基き行われる特殊技能試験につきましては、同法施行当初、その基準及び運営について広く学識経験者の意見を徴する必要がありましたため特殊技能試験審議会が設置され、汽缶士試験部会、起重機運転士試験部会、映写技術者試験部会等六部に分れて、毎年各種試験の基準及び運営について審議を行なって参ったのでありますが、今日の段階におきましては、所期の目的を達成しましたので、行政機構簡素化の線に沿ってこれを廃止したい所存であります。
以上がこの改正案を提案いたしました理由及びその内容の概略であります。何とぞ御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/2
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003・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 本日は提案理由を聴取するにとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/3
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004・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/4
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005・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 次に、憲法調査会法案を議題といたします。
まず発議者から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/5
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006・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) ただいま議題と触りました憲法調査会法案につきまして提案の理由及び法律案の概要について御説明申し上げたいと存じます。
現行憲法が民主主義と平和主義並びに基本的人権の尊重にその基本的原則を貫く点においては何人もこれを不可とするものはないと信じます。しかしながら、現行憲法が昭和二十一年占領の初期において、連合国最高司令官の要請に基ききわめて短期間に立案制定せられたものであり、真に国民の自由意思によるものにあらざることは否定しがたき事実であります。さらにまた過去約九カ年におけるこれが実施の経験にかんがみまして、わが国情に照らし種々検討を要すべき点の存することも、これを認めなければならないことと存ずるのであります。
ここにおきまして、この際新たなる国民的立場に立って、現行日本国憲法に全面的検討を加えますことは、わが国独立の完成のためにも、はたまた再建日本将来の繁栄と国民福祉の向上のためにもきわめて緊要なことであり、そのためにはすみやかに有力なる憲法の調査審議機関を設けることが必要であると考えまして、ここに本法律案を提出いたしました次第であります。
本法律案は、右の趣旨に基き、日本国憲法に検討を加え、関係諸問題を調査審議するための機関として憲法調査会を設けんとするものでありますが、その構成につきましては、憲法問題の重大性にかんがみまして、広く衆知を集め、公正なる世論を反映せしむるため、国会議員三十名及び学識経験あるもの二十名、合計五十名以内の委員をもって組織することといたしておるのであります。また調査会には会長一名副会長二名を置くことになっておりますが。いずれも委員の互選によることといたしております。右のほか、調査会には専門委員及び幹事を置くとともに事務局を設くることとし、事務局長以下の職員をして事務を処理することといたしておるのであります。この調査会は、これを内閣に置くのでありますが内閣を通じて国会に報告することといたしておるのであります。
以上が本法律案提出の理由並びに法律案の要旨であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決せられんことを切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/6
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007・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 本日は提案理由の聴取をするにとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/7
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008・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/8
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009・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) この際、内閣委員の変更の通知を受けまして、吉田法清君が辞任されまして岡田宗司君が補欠選任されました。以上御報告いたします。
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010・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法案に対する御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/10
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011・野本品吉
○野本品吉君 少年院に関係する法案でありますので、その少年院に関連を持っておると思いますから、この際私は内閣の青少年問題協議会のことにつきましてちょっとお伺いしたいと思います。
その第一は、協議会でその後協議研究調査等を行なっておると思いますが、青少年問題協議会のその後の運営、研究協議調査等の内容等につきまして、概要の御説明を願いたいと思いけられましたのは、昭和二十八年の法律によって設けられたのでございます。これには国会議員の先生方にも委員をお願いいたしまして、非常に活発な審議活動を続けて参ったのでございまして、実際の運用を見てみますと、毎月最小限度一度は必ず開催するといったような、通例の審議会よりもさらに一そう努力を続けておるのでございます。御承知かと思いますが、この法律が通ります前は政令に基く審議会といたしまして、同じような問題につきまして審議を続けて参りましたが、昭和二十七年以後におきまして、この審議会におきまして研究、調査、審議をいたしました結果、いろいろな青少年問題につきまして答申を行なって参ったのでございますが、そのおもなるものを申し上げますと、昭和二十七年の二月にいわゆる人身売買対策要綱というものを決定いたしております。それから二十八年の十一月には精神薄弱児対策基本要綱を決定いたしております。それから二十九年の三月には、青少年覚醒剤問題対策要綱というものを決定いたしております。それから昨年昭和三十年の五月には青少年に有害な出版物、映画等対策要綱というものを決定いたしました。それから今年に入りまして一月にはこれは従来の問題と多少性質を異にした問題でございますが、いわゆる働らきながら学ぶ青少年の問題を取り上げまして、定時制高等学校に学ぶ働らく青少年の教育福祉保護対策、これらに関しまする対策の四年以来十一回に及びまして全国的に春秋の二季にわたりまして、いわゆる月間運動を展開いたしまして、毎年それぞれ適当な題目を選びましてこれを掲げまして、青少年の保護育成運動というものを実施して参っております。またこれも恒例によりまして、毎年一回青少年自身の声を直接聞くという意味におきまして、全国各地から青少年の代表者を選出していただきまして、これを東京に集めまして、大体二日間くらいにわたりましていわゆる代表者会議というものを催しまして、青少年自身がどういう考えを持っておるかということを聞きまして、政府の施策の直接参考にいたすというような行事を行なっておる次第でございます。大体この法律になります以前からこの協議会といたしまして活動をして参りました状況は、以上申し上げました通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/11
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012・野本品吉
○野本品吉君 終戦後青少年の不良化というようなことが朝野をあげての深い、また大きい心配のされた問題であったわけですが、その後社会情勢の安定とともに、この傾向も逐次緩和されて偏るように見て贈りますが、青少年不良化問題の動向と申しますか、それについてどういうような見方をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/12
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013・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) お答えいたします。お説の通り最近経済界が安定して参りますにつれまして、一般国民の生活も落ちつきを見せて参っておりまして、その国民生活の動きはこういった青少年問題にも直接影響して参っておると思われるのでありますが、ただ一つ注意すべき点は、この青少年がいわゆる法に触れます場合におきまして、その実態を統計的に見て参りますと、数におきましてはなるほど減少の傾向にあるのでございますが、実際はいわゆる凶悪犯がふえて参っておるという状況になっておるのでございます。統計が昨年中の分がまだそろいませんので、やや古くてまことに恐縮でございますが一、二申し上げてみますと、少年の刑法犯でございますが、これを第二次世界大戦の始まりました昭和十六年を基準といたしまして、この年の検挙人員を百といたしますと、その指数は戦後におきまして最高を示しましたのが昭和二十六年でございまして、三百十五という指数に上っております。しかしながらその後漸減の傾向を示しておりまして、昭和二十九年におきましては二百二十八という数字まで下っておるのであります。しかしながら先ほど申しましたように、内容的にこれを見てみますと、昭和二十八年と二十九年とにおきまして、少年刑法犯の検挙人員を比較いたしてみますと、いわゆる殺人、強盗、放火、強姦といったよう凶悪犯の数字は合計昭和二十八年が三千九百十でありましたのが、昭和二十九年におきましては四千六百二十五というふうに七百十五件の増加、パーセンテージにいたしまして一八・三%の増加という状況になっております。それからいわゆる脅迫、恐喝、傷害とか暴行といったような粗暴犯も、件数におきましては千三百六十三件の増加ということになっておりまして、こういったいわゆる凶悪犯がふえておりまして、その他の窃盗でありますとか、知能犯、あるいは風俗犯といったようなものは若干ながらかえって減少の傾向を示しておりまして、数においては減少の傾向にあるとは申しながら、その性質が悪くなっておるということが一般に申し上げられるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/13
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014・野本品吉
○野本品吉君 そこで先ほど各年度にわたりまして人身売買の問題、あるいは精神薄弱児の問題、それから覚醒剤の問題等を取り上げられてこられておりますが、このような傾向に対処するための具体的な対策として特にただいまの凶悪犯の増加ということは、これはおそるべきことでありますから、そういうような傾向に対処するための具体的な意見がございますか。それからなおもう一つはこの青少年の育成善導に関する世論の喚起へそれから運動の推進、そういうようなことをどういう組織、どういう方法でおやりになっておりますか、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/14
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015・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) お答えいたします。先ほど申し上げましたように、いろいろな観点からこの要綱を決定して参っておりますが、この要綱を決定いたし達して、それを実行に移す段階と申しますか、実際に実施いたしますのはこれはやはりそれぞれの権限を持っております、あるいは厚生省でありますとか、あるいは文部省、労働省といったところの行政活動になるかと思うわけでありますが、またそういったいわゆる行政官庁の働きのみにとどまらず、たとえば不良文化財の追放といったような事柄につきましては、民間の団体、これは業者の団体もございますし、あるいは青少年活動を本来の使命としておるいろいろな団体があるわけでございますが、そういったところに積極的な協力を求める必要があろうかと思われるわけでございます。役所の施策といたしましては、私どもといたしましては始終会合のつどその適正な実施を促しておるわけでございますが、この民間の諸団体に対しましても適時協議会といったような会合を催しまして、この青少年協議会におきまして決定いたしました要綱の効果が上りますようにそのつど要請をいたして参っておるわけでございます。で、これは結局民間自身の考え方がそちらに向いてくるということが必要であろうかと思うわけでございまして、結局家庭生活を健全にする、あるいは環境を浄化するといったようなことから国民全体がそういう気持になっていただくということが必要ではなかろうかというふうにも考えておるわけでございまして、過般、御承知かと思いますが、いわゆる新生活運動に関連いたしまして、民間の機関といたしまして新生活運動協会といったものが設立せられたのでございますが、そういったところを中心といたしました活動にも、私どもはこういうような期待をかけておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/15
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016・野本品吉
○野本品吉君 今民間の団体に期待をかけるというお話ですが、現在あります青年組織、それらと、この運動とはどういう関係になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/16
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017・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) この青少年問題協議会の委員に実は青少年自身の代表を入れたらどうかというような議論もたびたび耳にいたすのでございますが、ただいまのところではそこまで参りませんで、いわゆる学識経験者という中から選出いたします委員の中に、いろいろそういった方面に御理解の深い方々を入れまして、この民間の諸団体の意向を反映させておるのでございますが、先ほど申しましたいわゆる新生活運動協会の方にはやはりこの青少年自身の代表というような形で理事者を入れておるというような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/17
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018・野本品吉
○野本品吉君 私は先ほどお話のございましたように、青少年問題に対する月間運動等を全国的に展開されておる事実はよく承知しております。しかし遺憾ながらこの運動があるいは役所の、あるいは警察の前の立て看板運動に終ってしまって、実際のところ家庭、それから青年団、青年組織自体の中に自分たちの問題として、深く根を下しておるとも思えないのです。また世間も特殊数人はこの問題についての深い関心、熱意を示しておりますけれども、一般的に見ますというと、この問題について比較的冷淡である、こういう私は判断をいたしておるわけであります。従ってこの適切な運動題目をとらえることもむろんでありますが、これが実際現実に直接した各組織あるいは家庭一般にもっと重大な問題としての関心を持たせるように、また青少年問題について、青少年の将来についてほんとうに親切にあたたかく考えてやるというような雰囲気をかもし出すことにもっと熟慮を入れなければならぬ、こう考えておるわけです。で、青少年問題協議会が熱心に御検討になっておるというただいまのお話でございますから、それはけっこうでございますけれども、どうしたらもっと効果的にこの運動が推進されるかということについて、もうちょっと具体的にお考えになっていただきたいという希望を申し上げるわけです。
なおもう一つお伺いしたいのは、先ほどのお話、私非常に関心を持ったんですが、協議会で取り上げられた問題の一つに、定時制の学生の保護、育成の問題が取り上げられた。これはまことにけっこうなことだと思っておりますが、最近における定時制高等学校に現われております一つの現象としては、働きながら勉強しようとする青年を事業主その他が雇用することを好まない傾向がある。それから現在学校に通っておるこれらの青年のための就学の便宜を与えるということについて積極的な気持を持たない事業主が相当多くなってきておる。これは私は定時制高等学校の卒業式の生徒の答辞を二、三の学校について調べたことがある。はっきりとそう言っておるのです。従って勤労青年の教育の問題について取り上げられたことは非常にけっこう並んでありますが、そういう好ましからざる傾向が現われつつあるというこの事実を十分御認識になって、また事実の御調査も、研究も進められて、せっかく働きながら勉強しようとするまじめな青年たちのために、そういう暗い陰を感じさせないようにすることがやはりこの運動の重大な項目として取り上げられてほしい。特に定時制高等学校の創立当時からこの問題に多少の関係を持っておりました私といたしましては、この点を特に政府当局に要望するわけです。
以上希望を申し上げまして質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/18
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019・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) まことに適切な御意見でございまして、一々ごもっともに拝承して貼るのでございますが、確かにこの運動はいかなるりっぱな対策をこしらえましてもそれが徹底して行われなければ意味がないわけでございますが、私どもといたしましては、地方にも地方青少年問題協議会というのがございまして、毎年、年度末に近くなりました際に、全国からそういった運動に関係しております方々を東京に集めまして、この全国会というのを開きまして、一年間の反省をいたすというようなこともやっておりまして、これも近く今年度につきましては開催をいたしたいと考えておりまして、そういった際におきまして、いろいろ話し合いをいたしまして、さらに一そう適切な実施が行われるように努力をいたして参りたいと考えております。
それから、定時制高等学校に学ぶ青少年の保護対策につきましては、いろいろな事項を網羅しておりますが、特に広報活動の点につきまして、雇用主の理解を深めるという点を一つの重要な項目として掲げておりまして、この実施と申しますか、実施の手段といたしましては、この答申がありましてから、官房長官が総理大臣の依命通牒という形をとりまして、こういった働きながら学ぶ青少年を、先ほど申されましたような差別待遇をしないというようなことの要請を、経団連でありますとか、その他の経済団体の方に通牒と申しますか、そういった依頼状のようなものを出して、この趣旨が徹底するような努力を払っておりますので、そのことをつけ加えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/19
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020・千葉信
○千葉信君 この法律案に関連して、直接には岡山少年院の増築の関係で二千二十一万幾らの予算が計上されておりますが、そうしてまた同時にその職員に対する手配——増員と申しますか、あるいは処遇と申しますか、そういう関係については何ら考慮されていないのですが、法務省としては一体この少年院の名称の変更とかそれから片一方の宇都宮の方はやめて、岡山の方へ設置するということはまあいいとしても、その少年院の現在の運営の状態等について、私はやはり相当改善する必要があろうかと思う。そういう点についての予算上の折衝とか、あるいはまたその職員、特に優秀な職員を当然必要とすると思うのですが、そういう点についての折衝なり考慮をされたかどうか、その点々二つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/20
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021・松原一彦
○政府委員(松原一彦君) 後段のところをちょっと聞き落しましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/21
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022・千葉信
○千葉信君 つまりですね。岡山の方を増築するだめに予算上の措置はとられて陥るようですが、せっかくこうして少年院の整備をはかるという時期に、法務省としてはその少年院におけるいろいろな問題があるわけですから、従ってそのいろいろな問題を解決するためには、やはり優秀な職員を少年院に配置するという方法も考えなければならぬでしょうし、同時にまたその少年たちの、たとえば寮舎の問題、それから食事の問題、その他いろいろな関係が同時に考慮される必要があると思うのですが、そういう点について、あなたの方では予算上の検討なり折衝なりを行われたか。もし行われたとすれば、どの程度のものを一体必要と考えるか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/22
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023・松原一彦
○政府委員(松原一彦君) 今の千葉さんの御質問に対して数字上の的確なことを私申し上げる用意はありませんが、実は少年院は非常に苦になっている重大なる問題の一つでありまして、ややむすれば世間からあれを刑務所のように見られてやっかいがられるのでございますが、御承知の通りに、これは純然たる教育機関でございます。法務省は刑罰に付する幅を少くして、刑罰以前に十二分の行政的手段を尽したいという熱心な希望があります。最も重大な少年院のことでございますから、今年も精一ぱい手を尽したいというのでいろいろ調べてみますというと、教育機関でありながら机もろくにない、教科書もろくにない、一人当り二冊ぐらいな古いものがあるというような実情がわかりまして、私どもも今さらのごとくその不備に驚いたのでございます。従って今回はぜひ処遇の上におきましても、設備の上におきましても改善いたしたいと希望いたしまして、若干——数字は今はっきり記憶いたしませんが、若干の増額は得たのでございますけれども、法務省は全体から見て予算は少いのでございます。ことにむずかしいのが少年院における指導に当る人間のことでございまして、これは刑務所等から来た者はなるべく使わない。教育的に指導のできる者をというので極力選んでおりますが、ただいまのところでは決して満足というところまで参っておりません。近いうちに私も精一ぱい少年院を対象として現地を見て改善に当りたいということを決心いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/23
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024・千葉信
○千葉信君 政務次官が問題の重要性にかんがみて御努力を約束されることは大いにけっこうですが、しかし御承知の通り最近は新聞にあまり出ませんけれども、災害と同じように忘れたころにぽかっぽかっと大量集団脱走などという事件がしょっちゅう起っております。おそらくまたそろそろ忘れたころですが、近々にそういう事態が多分起ると思う。これは少年院の内容等について十分御存じの方々からすれば、いろいろな集団脱走などという事件が起る原因というものがおわかりだろうと思うのです。どうしてそういう事態が起るか。今少々改善のためにある程度の予算も獲得したというお話ですが、その数字が政務次官の頭に入っていない程度のちょっぴりした、話にならないような予算の増額では私はまかない切れない問題だろうと思う。一体ああいう事態が起る原因としては、法務省としてはどういう点にその欠陥があるとお考えになっておられるか、その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/24
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025・松原一彦
○政府委員(松原一彦君) 少年院というものの性格が実はいかにも消極的に扱われておりまして、進んでこれを教育し、その指導を全うするということに対しての心の用意も率直に申して私は今まで足らなかったと思うのです。現に今日までの情勢を見ますというと、四人に一つの机しかないというような事実を訴えてきております。また教科書などほとんどない。あっても古いものにすぎない。従って何とかして逃げ出そうというような実情にあることは御承知の通りです。相当むずかしい連中であります。これに臨むに、ややもすれば懲戒をもって臨む。あたたかい指導というものが足らぬ。それから食物の上においても非常に思いやりが足らないというので、そういうようなところからずいぶんむずかしい問題がわだかまっておると思いますが、おしかりを受ける通りに、私は実はまだ現地をあまり見ておりません。これから精一ぱい見まして、これと刑余の人に対する処分、刑罰以前と刑罰以後に最も力を入れたいと思いますから、かすにもう少し時間をもっていたしていただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/25
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026・千葉信
○千葉信君 もう少し待てと言われれば、待つわけにいかぬとは言えぬと思うのですが、しかしかなり問題ははっきりしていると思うのです。たとえば寮舎の問題、脱走当時の新聞に掲載された写真なんかを見ても、はめ板のないような寮舎に収容しているんですね。ここから飛び出したといって白い点線を引いている。見るとそのとき破れたはめ板じゃなくて破れていたところをちょっぴり広げたにすぎない。こういう格好になっている。これじゃ教育する場所などといわれるけれども、教育する場所じゃなくて、やっとここへ押し込んで、みじめな格好の暮しをさしているところだと私は思う。
それから青少年ですからやはり青少年の気持としてはいろいろ教護に手を尽すとか、あたたかい気持で処遇するとはいっても、何といっても第一番には寮舎の問題、建物ですね、少しひどすぎる。今その点について触れたのですが……。それからその次は気持の問題、これはもうよくわかります。あたたかい気持で、なるべく懲戒という意味を含めないで、あたたかい気持で教護する。それはわかるけれども、しかしそれが一体どういうことになっているかというと、今度の機会にもほとんどその職員の関係については考慮しておらない。職員の定員に増減はない。片一方のなくなった方から連れていくのだからいい。それはその通りだと思う。しかし一体あたたかい気持で教導するのだという職員が十分かどうかという問題、それからもう一つは一体その優秀な人材を据えておくような状態にあるかどうか、おそらくこれも正直に答弁願えれば全くそうなっておりませんと言わざるを得ないだろうと思う。それから食事の問題、何といっても青少年の場合にはあたたかい気持や、言葉だけでは腹はふくれませんから、成長盛りですから食事の問題が非常に大きな影響を与えるだろうと思う。それまでの不規則な生活、自由を通り越したような生活から見れば、窮屈だからという理由も脱走の一つにあげられたりしておりますが、私はその時には食物の問題なんか相当大きな理由を占めているだろうと思う。ざっと考えてみても、こういう問題に対してさつき政務次官が言われたように、この少年教護の問題は実に重要な問題だと言われておりながら、将来に向っての努力はわかりますが、今回なんかでも私は相当に腹をきめて少年院の充実をはからなくちゃならぬと思うのです。おそらく若干のものは増額されたというけれども、私はあなたの方で常時考えておられる対策上、相当程度の予算の増額等についても計画をされ、同時にまた折衝されたと思う。頭にない程度のちょっぴりした増額の問題じゃなくて、一体どれくらい法務省としてはこの少年院関係について、鑑別所等も含んで、今申し上げたような問題の解決のため、だれが考えても必要と思われるような点について、どれくらいの予算を一体必要と考えておられるか。国会に提案されている予算でなくて、あなたの方でお考えになっておられる予算、これはどの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/26
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027・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 少年院の現状につきまして、非常に突き進んだ御質問を受けまして、まことに恐縮いたしておるような次第でございます。ただいま政務次官の方から御答弁のありましたように、現在の少年院の姿は仰せのごとくまことに貧弱でございます。これは私率直に認めます。実は少年院は御承知のように昭和二十四年に少年院法の改正がございまして、年令が十八才から二十才までに引き上げられたのでございます。で、そのために少年院に入って参ります子供たちが非常に数がふえて参りますと同時に、二十才前後の者が入りますると、年令的な面から申しましても非常に扱いにくい、また犯罪の面から申しましても、非常に進んだ悪質な少年たちが収容せられるように相なったわけでございます。そこでちょうどその時期におきまして、一度にこれらの収容施設を充実いたしますのは、財政的な面から非常な制約を受けまして、非常な苦労をいたしまして、実は現在にまでこぎつけて参ったのが現在の状況なんでございます。従いましてとりあえずの措置といたしまして、あるいは兵舎を譲り受けましてこれを改造いたしましたり、あるいは当時私設の保護団体として子供たちを収容いたしておりました施設を買収いたしましてそれを改造いたしましたり、あらゆる手を尽して実は今日に至ったわけでございます。中には刑務所を作りかえまして、それを少年院に充てた施設も現在ございます。そういうふうな状況でございまして、非常に設備から申しましても、緊急に実は間に合せましたので、これからが整備をいたしていかなければならない段階に立ち至っているわけでございます。今度出しました宇都宮の少年院でございますが、これも実は軍の施設をこちらの方で転用いたしまして、それに若干修理を加えましたとりあえずの施設なんでございますが、これが結局二十八年に少年院たちの放火によって烏有に帰したというような状況なんでございます。従いましてわれわれといたしましては、今後少年院の設備の充実ということには十二分に一つ努力いたし、現在も努力いたしているわけでございまして、本年度の予算におきましても、要求額は建物につきまして約七億ばかりの要求を出しましたけれども、これが六千万に査定されてしまっておるというような実は現状でございます。
それからなお職員の点でございまするが、職員も設備と同様にそれに伴って増加して参ったのでございますが、これもいっときにさような適格者を得るわけには、なかなかむずかしいわけでございまして、とりあえずの措置といたしまして少年刑務所の職員、あるいは刑務所の職員の中で非常に少年問題に理解のある者等を選択いたしまして、それらを少年院の職員に充てたものもございます。それからさらにほかから、教育者その他の分野からおいでを願って充実いたしたような状況でございまして、さような点で職員の点も質的にわれわれも十二分に改善していきたいというところで、現在中央には中央研修所というところがございます。ここで、採用いたしました者の再訓練、再講習をいたしまして質的な向上をはかっております。
大体少年院の職員は、ただいま政務次官のおっしゃいましたように、教育が主体でございますので、主として教職員の免状を持った方を採用するという建前をとっております。従いまして採用資格も最低が今の新制高等学校卒業程度を目標といたしておりますので、現在の職員の状況から見ましても、その六割は中等教育以上を受けた者で占められております。こういう分野はほかの矯正施設でございます刑務所等の教育程度と比較いたしますと、非常に高度に相なっております。これもただいま申し上げました教育というところを主眼といたしましたところから、質的な面からも十二分にわれわれとしても考慮いたしますし、今後もさらにこの点を強調いたしていきたいと、かように存じております。
なおこの職員の点につきましては、非常に手不足でございまして、集団逃走のお話が出ましたのでございますが、非常に少年院の職員の勤務状況は過重でございます。おそらく他の公務員の勤務状況から見ますと、これはお話にならないほどの過重な勤務をいたしまして、四六時、二十四時間勤務、昼夜勤務をいたしましたものは、大体翌日は交替で休むことに相なるわけでございますが、少年院の現状は、前夜一睡もせずに勤務いたしたものが翌日の五時まで勤務いたして、ようやくうちへ帰るというような勤務状況を、実はやらざるを得ないような状況になっております。そんな関係から、本年度におきましては、全般的に少年院の職員の千六百名増員を実は願い出た、要求いたしたのでございますが、結局増員はまかりならないということで、一人も認められず、常勤職員を認められた程度に終ったのでございます。しかしながら私はこの点につきましては、幾ら削られましても、何べんでも出して、この職員の獲得に今後とも努力いたしていきたいということを考えておるような次第でございます。
なお、食費の点でございますが、食費も仰せのごとく、少年院の食費は非常に少いのでございます。少年院は、主食全部で合計六十五円十九銭ということに相なっておるのでざいまして、主食の方を分けますと、四十五円六十九銭、副食が、二十一円五十銭ということに相なっております。これは働き盛り、成長盛りの少年たちにとりましては、不足でございまして、この点の値上げの点につきましても、毎年努力いたしておりますが、一円上げるのも非常なこれは大へんなことでございまして、何年がかりで、ようやく一円上げてもらうというような状況なんでございます。従いまして、われわれといたしましては、与えられた範囲内で最も栄養価のあるものをという観点からいろいろ工夫いたしまして、中央市場等から仕入れるとかというふうなことをいろいろと考慮いたして、努力いたしております。なお、参考までに申し上げますと、刑務所の方の食糧費は、五十九円九十三銭ということに相なっております。主食費が四十一円四十三銭、副食費が十八円五十銭という内訳に相なっております。なお、これは十四才未満の厚生省の施設の教護院でございますが、この食糧の費用を申し上げますと、これは十四歳未満でございますが、五十八円五十三銭、そのうち主食が三十円六十七銭、副食が二十七円八十六銭、合計五十八円五十三銭ということに相なっております。少しいいようでありますが、これは主食の点で値段が上っておりますので、かような差が出ておるような次第でございます。今後ともこの点につきましては、努力いたしたい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/27
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028・千葉信
○千葉信君 食費の関係なんかだと、まあ話にならぬ数学だと思いますねっこれは一体だれの責任かわからぬけれども、政府の方で発表している市場価格から、十八歳なら十八歳の少年が必要とするカロリーを対象としての、マーケット・バスケットといいますか、通常われわれが市場で買い求めることのできる価格からいうと、普通の人間の生活ができないカロリーしか与えられていないことになるのですね。これは一体どういうふうにして解決すればいいのか、ここでにわかに私もその知恵が浮かんできません。法務大臣を追及すればいいのか、大蔵大臣を追及すればいいのか。が、しかし何といってもその責任は法務大臣にあると思うのです。そんな格好でもってほったらかしておく、しかもその一円上げるのに、やっと一年かかってたった一円ということでは、そんなことでは私は話にならぬと思うのです。それから政務次官の言われるように、われわれは、少年院は刑罰を与える場所だと思っていないのだ。教育する場所だと思っている。全くその通りだと思います。しかし今お話を聞いておりますと、御答弁の中に出ておりますように、集団脱走などという事態の起る原因として、職員の過重労働、手が回らない。従って千六百人も増員の要求をしたが認められなかった。昼夜勤務をやって、その次の日にまた午後五時まで勤務しなければならぬ。一体こんなことで、政務次官がおっしゃっておられるような教育なんということが可能かどうかということです。監視というと言葉が悪いかもしれませんが、集団脱走などという事態が起らないように見回るだけがやっとという格好じゃありませんか。それで教育するなんておこがましいです。できやしないじゃありませんか。しかも千六百人要求して一人の増員も認められない。これじゃ私はせっかく少年院法に基いて国が責任をもって教育するといって引っ張ってきながら、完全なやり方をしないから逃げ出すということも言えると思うのです、そういうことじゃ。これは一つもっと腹を据えて、われわれの尊敬する政務次官の在任中に、この問題についてはもっと腹を据えて解決のために努力してもらわなければならない。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/28
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029・松原一彦
○政府委員(松原一彦君) 全くお叱りを甘受いたします。ほんとうに私ども苦になりますが、実際ただいまの政府の方針は予算編成の際にも定員増というものを一切認めないのでございます。というのは、行政改革というものが目の前に控えておるから、(千葉信君「うそだ」と述ぶ)そういうて今日まで実は定員増ができませんために、御承知のように補助金の適正なる使用を監査するためのあの法律ができながら、それの増員もできません。全然できません。ただいま矯正局長からは切々たる訴えが実は出ている、今の過労に対してですね。ところがこの予算がとれませんので、ようやく常勤労務者を事務に回し、事務の方に回っている刑務所の職員を刑務所の方に回して、本年度は何とか緩和しようというような苦労をいたしておりますので、ぜひ御同情いただいて、これは与党とか野党という意味でなく、御同情いただいて、人間の補充、充実もいたしたいが、どうも刑務所あるいは少年院といったような所には希望者が少いのです。就職難、就職難と言いながら、これも一つぜひ聞いておいていただきたいのは、せっかく四級職なり六級職の試験に通った者でも、刑務所にやるというと、いやだ、行かないというのです。私はこのうち説得したのです。大学出たから刑務所の役人はいかぬ。副監視長というのが振り出しですが、行こうと言わない。それから少年院というとどうしてもあの少年鑑別所とか刑務所と間違えるのです。少年刑務所と少年院は全然違うのでありますけれどもが、世間にはまだその区別がわかりませんし、少年院にも三通りもある、この区別もわかりません。従って少年院の職員になることに対しては決して喜ばないというのが現実でございますので、刑務所で低いから塀を高くするわけにはいかない、堀を深くするわけにはいきません。なるべく開放して、ひがまないように扱おうとすれば逃げ出すという問題が起るし、今お話の食糧の問題が五十九円から六十五円までの間でまかなわれているのは、両三日前矯正局長と私懇談して、その主食の割合もいろいろ研究もいたしております。もっと白いものを食わせろ、麦が六割ですから。外米が二割、日本米が辛うじて二割、もっと白いものを食わせんかというので、苦労をいたしておるようなわけで、お叱りを受けることは甘んじて受けますが、もう少しこれから私も精一杯回ってきて、主食改善に努めますから、しばらく御猶予願いとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/29
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030・千葉信
○千葉信君 どうも質疑応答をやっていると、ますます問題がたくさんどんどんどんどんとイモづる式に出てくるようですね。大へんな所ですね。今政務次官は、政府の方針で定員増は一切認めぬということのワク内で、今回のあなたの方の千六百人の増員についても、びた一文、人一人認め広いということになっておりますが、これは少し達っておりますよ。今政府の方から僕の聞いておるのはそんなことじゃない。僕の聞いておるのは、政府の方じゃ一人もふやさないというのではない、今度は三千人の定員増を認められた所もあるのです。定員法の改正が出るじゃありませんか。あの中で、法務省のこういう重要な問題について一人も認めなかったということになると、これは私はやはり政府部内のやり方ですから、どういうやり方をしたのかわからないけれども、努力不足だということはおおい得ないと思うのです。努力が足りなかったということはおおい得ない事実だと思います。
それから政務次官、その少年院の問題については、一般があまりよく知らぬものだから、だから少年院を何か刑務所なんかと同じように考えて、非常に就職したがらないというのは、実際そういうことがあるかもしれないけれども、これもあなた方の努力不足だと思う。なぜそういう点を理解させるように努力しないのですか。それからせっかく口説いても、うんと言わせることができなかった。そんなことも私は努力が十分であったとは言えないと思う。こういう点今後十分がんばってもらうことを期待して、私はどんどん問題が出てきて審議が進まぬようですから、大体このくらいで打切りますから、政務次官の方で腹を据えて一つ善処してもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/30
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031・松原一彦
○政府委員(松原一彦君) いや、お説の通りで、大いにへこまされます。甘んじて私はへこみますが、実は定員増はなかなかむずかしゅうございます。法務省となりますと、人間よりほか費用があまりありません。あとは営繕費でございますから、なかなか人員増ができませんが、本年は非常勤労務者ということにして、あなたの御承知の通り、非常勤労務者ということにして、定員外に二百人だけまあ辛うじて獲得いたしておりますので、これでしばらく補いをつけたいと思っております。少年院その他、少年院ばかりじゃないのです。ひとり少年院ばかりじゃない。私の方にはどういう施設が中心になっておりますので、刑務所の方はだんだん改善ができております。御承知でしょうけれども、現に私は刑務所は幾つか見ましたが、これが新しくできるものほど明るくなって、労務も刑務所の人たちがやりますために、ブロック建築等で明るいものができておりますが、まだそこまでは手が伸びないというのが現状でございます。登記所なんかもなかなか手が伸びないので、営繕の方では泣いておるようね状態でございます。せいぜい努力しますから、お許し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/31
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032・千葉信
○千葉信君 また問題が出てさましたり非常勤職員二百人の獲得、大いにけっこうですが、非常勤という問題は、これからあと二カ月くらいの雇用期間をきめた職員で、それでいいなら、あとは使わないのだということなのですか。ずっとその二百人は必要なんですか。それの二百人の非常勤の定員がとれたということは、一応御努力を多としますけれども、こういう問題の起るような非常勤職員でごまかしていくというやり方は、やはり慎しんでもらわなければならない、こういうやり方は。まあしかし、大体私は次の質問にそろそろ入った方がいいと思うから、あまり同じことを深追いたしませんが……。
その次の問題は、出ていった青少年諸君がまたしょっちゅう舞い戻るような事態がたくさんありますね。せっかく十分に教育したつもりで出してやっても、また舞い戻ってくるものが相当いる。舞い戻らなくても、舞い戻らない青少年諸君が、それでは社会人としてどうにかこうにかやっておるかというと、私はそうじゃない場合の方が多いと思う。やはりいろいろな環境の悪いという点も言えるでしょう。環境が少年を迎えない点もあるでしょうが、やはりあなた方の方としてはせっかく教育して社会に出してやった青少年に対して、何らかの保護の方法を講じてやらぬことには、私は青少年保護事業、青少年を十分に教育して社会人としてやるというこの少年院の建前からいうと、その点まで私は手が伸びなければならぬと思うのです。そういう点に対しては今、現状はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/32
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033・渡部善信
○政府委員(渡部善信君) 少年院における教育の結果、仰せのごとく舞い戻ってくるものもございます。ないとは申しません、ございますが、この舞い戻って参ります者をなるべく少なくすることにつきまして、施設内での教育も十分にやってはおりまするが、何と申しましても、これは施設の内部における教育でございまして、社会に出てからの教育ではございません。従いまして社会に出てからの保護の面は、原則といたしましては保護司さんにお願いいたしまして、これは各地方にございます保護観察所が中心となりまして、主として民間の方々の御協力を得まして、補導いたしておるのでございます。少年たちはどういたしましても、やはり感覚のズレなんかもございますので、そういう意味から、ただ、お年を召した保護司さんだけではやはりうまく参らない面がございます。さようなところから、保護司の方々の保護に援助をされる年令の若い人たちをもって外郭組織を作っております。これはビッグ・ブラザース・アンド・シスタース・ムーブメントと申しております。大兄姉運動でございます。これらを目下非常に育成しております。この方面の御協力を得まして、再び悪の道に入らないように手当をいたしておるのでございます。
再犯率につきましてまとまった数字がちょっと見当りませんが、だんだん向上はいたしております。その点……現在少年院へ再び入って参りますものは二三%ということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/33
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034・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/34
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035・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/35
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036・千葉信
○千葉信君 私はこの法律案に賛成いたします。しかし、今の委員会における質疑の経過から見ましても、少年院の改善の急務であることは明らかでありますし、いろいろ問題を含んでおるようですから、この点については至急、法務当局としては腹を据えて改善を行うということを要望して賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/36
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037・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/37
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038・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
法務省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/38
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039・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 総員挙手。全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願うことにいたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/39
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040・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
島村 軍次 廣瀬 久忠
中山 壽彦 田畑 金光
千葉 信 大野木秀次郎
長島 銀藏 菊川 孝夫
木村篤太郎 井上 知治発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/40
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041・千葉信
○千葉信君 きょうの委員会の運営について、当初のお話し合いから若干変更があった。変更されました一つの理由というのは、公共企業体の共済組合法、それから駐留軍労組の諸君の退職手当の法律案、それから二十二国会で通過しました薪炭手当の立法化をどうするかということ、この点についてお話し合いをするという条件がついておりましたが、自由民主党の方の理事をやっておられて、その問題についてお話を持ってこられました野本さんがおられないようですが、委員長の方で一つお手配願って、あまり長い時間をかけないで進めてもらいたい。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/41
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042・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 承知いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X00819560223/42
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