1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月六日(火曜日)
午前十時四十三分開会
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委員の異動
三月二日委員高野一夫君辞任につき、
その補欠として遠藤柳作君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小柳 牧衞君
理事
野本 品吉君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
井上 知治君
植竹 春彦君
大野木秀次郎君
木村篤太郎君
中山 壽彦君
木下 源吾君
田畑 金光君
国務大臣
国 務 大 臣 船田 中君
政府委員
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長 林 一夫君
防衛庁教育局長
事務取扱 都村新次郎君
防衛庁人事局長 加藤 陽三君
防衛庁経理局長 北島 武雄君
防衛庁装備局長 久保 龜夫君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。
委員変更について御報告申し上げます。三月二日、高野一夫君が辞任せられまして、その補欠として遠藤柳作君が選任せられました。
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002・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 防衛庁設置法の一部を改正する法律案並びに自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題に供します。
両案に対する御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/2
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003・千葉信
○千葉信君 総理大臣の御出席はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/3
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004・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 総理大臣は本日は都合がつかぬそうでございまして出席できませんが、よろしく願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/4
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005・千葉信
○千葉信君 御出席のお見込みはいつごろ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/5
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006・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 今打ち合せをしておりますので、その結果ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/6
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007・木下源吾
○木下源吾君 長官からだんだんお伺いして行こうと思いますが、この間来いろいろ問題になっております自衛権といいますか、こういうことがよく言われておるが、どうもその自衛権の問題がはっきりしておらぬが、その定義とでもいいますか、そういうことについて長官はどういうようにお考えになっておるか、いわゆる自衛に関する定義でしょうな、それを一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/7
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008・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛権についての御質問でございますが、自衛権ということは、結局国の正当防衛権、個人についても、御承知の通り不当な侵害を受けたという場合におきましては正当防衛ができるわけでありますが、自衛権はその正当防衛権である。かように私は考えるのでありまして、従って急迫不正の侵害に対しましてわが国を防衛するために、ほかに手段がないという場合におきまして、これを防衛するために必要最小限度の実力を行使する、これが私は自衛権であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/8
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009・木下源吾
○木下源吾君 そうしますと、結局自衛権が発動される、そういうときには交戦ということもやっはり前提に考えておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/9
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010・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛権の行使はできますが、しかし、だからといっていわゆる交戦権を行使するということは、これは別であろうと存じます。交戦権ということにつきましては、これにつきまして正確な定義が、どういう定義を下しますか、普通に国の交戦権と理解されておりますものは、国際法上において、戦争が起った場合に、その戦争をしておる当事国が第三者に対して行使する、たとえば中立国の船を拿捕臨検するとか、あるいは海上封鎖をするとかというようなことを含めて交戦権といっておるのが普通のようでございます。従ってそういう意味における交戦権は、憲法の規定におきまして放棄いたしておるわけでありますから、従って自衛権の発動はありますけれども、交戦権をそれによってわが国が主張するということは憲法上は許されておらないのではないか、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/10
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011・木下源吾
○木下源吾君 長官が先ほど言われた個人の場合でも正当防衛と、まあ個人がなぐられた、これに対してそれを守るためにこちらも実力を行使する、こういう面は国と国の場合はやはり戦いになるのじゃないですか、これについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/11
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012・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛権があるからといって直ちに戦争をする権利があるというふうに私は主張はいたしておらないのでありまして、先ほども申し上げましたように、急迫不正の侵害に対しまして他に防衛の手段がないと、こういう場合におきまして実力を行使するということは、これは私は憲法上認められておることだと存じます。また日本の憲法ができた後におきましても、対日平和条約その他のあらゆる条約に、国際条約においてもわが国が自衛権を持っておるということを前提として条約ができておるのでありますから、これは自衛権というものを否認してはおらないと思います。しかし憲法の規定によりまして、それだから直ちに実力を行使したから、わが国が交戦権を主張するということは、これは憲法においては放棄いたしておりますので、それはできないのじゃないか、かようにこれは区別して考えるべきではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/12
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013・木下源吾
○木下源吾君 考えは区別しても、急迫不正の、そういう場合における正当防衛だといって相手方の攻撃を防ぐわけですから、その防ぎ方が、普通ならばそれはまあ戦いになるわけです。ただ腕をこまねいてじっとしておるだけでは防ぐことにならないと思います。その状態がいわゆる戦いではないのかどうか、こういうことをお聞きしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/13
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014・船田中
○国務大臣(船田中君) 現実に武力抗争が行われるということは、これは今お示しの通りになると思います。しかしそれが直ちにいわゆる戦争状態であるかどうかということにつきましては、これは私はなかなか、実情によって判断さるべきことで、そう簡単に武力抗争が起ったから、それがいわゆる国際法上における戦争であるというふうに言い得るかどうか、これはよほど実情に、その場合によって違うことじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/14
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015・木下源吾
○木下源吾君 国際法上の戦争という、まあ国際法の戦争ではないかもしれん、あるいはそういうことは……。ところが事実上において戦いになる。これはもう常識でしょう。しかも急迫不正という観念でこちらがそれを防ぐという場合においては、なおさらこれはもう戦いになる、これは事実である。この事実を、それは正当防衛だから先にかかってきたものはそれは悪いということは言われるけれども、同時に戦いというもののそれを全部否定するわけにいかない、現実の問題をですな。それを明確にしておかぬというと、先般来いろいろ問題になっておるほんとうの防衛やら、あるいは侵略やら、これが明確にならないと思うのであって、交戦と事実上の防衛の行為というものがそこでは一つに重なってしまうのじゃないか。でありますから、私はそういうときの交戦を禁じてあるからどうこうという、そういう概念でお聞きしておるのではなく、実際問題としてその場合は戦争ではないか、あるいは大きい戦争でなくても、小さい戦争ではないか。こういうことをはっきりしておきたいと思っておる一人です。どうですかな、その点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/15
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016・船田中
○国務大臣(船田中君) 戦争は、やはり戦争する意思が両国になければ戦争ということには言い得ないではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/16
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017・木下源吾
○木下源吾君 意思がないよりも、戦いの実際はどうですか。意思のあるなしにかかわらず、急迫不正の場合におけるトラブル、これは戦いでしょう。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/17
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018・船田中
○国務大臣(船田中君) それはお示しの通り、わが国に対し急迫不正な侵略があったという場合において、他に防衛の手段がないというときには、わが方の実力を行使して戦いをするということも、これは私は自衛権の発動として許されることだと存じます。しかしそれが直ちに両国の戦争であるかどうかという問題になりますと、もちろんわが方としては戦争する意思はないので、かような場合には私はなかろうと思いますから、従ってこれを戦争というふうに規定することはできないのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/18
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019・木下源吾
○木下源吾君 今のお話の戦争ですね。これはこの間のあなたの、つまり敵の基地を爆撃することも防衛の手段としてはよろしい、こういうことと関連があると思うのです。もうすでに敵の基地を爆撃するということは、これは今のあなたの故意の戦争というものともつながる可能性は十分ある。つながる可能性がある。それは意思によって決定するんだから、その部分は戦争ではないかもしらぬ。けれども、それが発展して行けば必ずそういうものになる一部分である。戦争になる一部分である。これは私は言えるんじゃないかと、こう思うのです。それですから防衛ということと侵略戦争、侵略といいますか、そういうものとはもう不可分の関係にあるんじゃないか、こう思うのです。この限界ですね。つまり自衛権の限界というものが一体どこにおかれておるか、これが私は大切だと思うのです。この限界を一つお聞きすれば明らかになる、こういうように思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/19
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020・船田中
○国務大臣(船田中君) 今、木下委員の仰せられることはまことにごもっともでございしまして、自衛権の限界を逸脱するということになれば、これはかつての侵略戦争というような再現を見ないとも限らぬと思います。私が先般来申し上げておりますことは、急迫不正な侵略が行われ、そうして他に防衛の手段がないという場合に、きわめて限局的な意味において敵基地をたたくことも、これは自衛権の範囲内において許されるということを申したのであります。これは法理的に考えまして、さような場合においては、いわゆる正当防衛行為として個人間において許されておるような趣旨におきまして、法理論においてそれは許されるということを申しておるのであります。しかしながら、先般衆議院の予算委員会もしくは内閣委員会において、私がそのことを発言いたしましたときの状況を申し上げますと、質問者の御質問になっている趣旨は、さような局地的のものでなく、もっと大きな侵略あるいは攻撃が行われているというようなことも前提としておられたようであります。それに対しまして私が答弁申し上げたのは、かような侵略が行われたという場合におきましては、行政協定の二十四条の場合でありまして、すなわち日米間において直ちに協議をしなければならないということになっております。おそらくそういうことについて、わが方と米軍とでどういう対抗手段を講ずるかというようなことが協議されると思います。また同時に、ときを移さず国際連合に提訴する、こういうようなことも起ってくると存じます。しかし急迫不正の侵略がきわめて急迫しておりまして、そうしてもう他に千段がない、このまま自滅を待つというような、そういう非常の際におきまして、最小限度に武力を行使する、場合によっては敵地をたたく、もしそれが他に手段がなければこちらが自滅する、こういう場合においては敵地をたたくことも、これは自衛権の範囲だ、こういう趣旨において答弁申し上げたわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/20
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021・木下源吾
○木下源吾君 そうすると、自衛の限界というものはいろいろな場合においていろいろな限界がある、こういう御答弁でありますか。先般の御答弁のときには、ただいま申されたような状況においての限界だと、こう考えられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/21
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022・船田中
○国務大臣(船田中君) ですから先ほど申し上げましたように、急迫不正の侵略があって、そうして他に防衛の手段がないというときにおいては、その不正の侵略を排除するに必要な限度の実力行使をすることが、これがすなわち自衛権の問題である、自衛権とはそういうものであると、すなわち正当防衛権である、かように私は申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/22
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023・木下源吾
○木下源吾君 正当防衛と同じようなものだと……、ちょっと常識的にはわかりやすいのですが、ほんとうは防衛の場合は、あらかじめ防ぐ、抵抗する武器というものを持っておらぬのが建前である、こういうように考えるのです。大体防衛の場合は、直接危害を受けるその者がやる行為、侵略の場合は人を使ってこれを行う、こういうことが大体私は言い得るのじゃないかと思うのです。たとえばストライキをやっておる、労働者はみずからの生活権擁護のためにストライキをやる、そうしてデモンストレーションをやるということは、労働者自身の問題として労働者自身がやっておる。あらかじめ武器も何も持っておらない。ところがこの自衛が、非常に脅迫されるような状態に感じておるという資本家側は、警官隊とか、あるいはその他の雇い人、そういうものをもってこれを防ぐ、そういうことを……。そうして実はそれはいろいろ圧迫をする、弾圧をするというような形になっておる。もともと労働者が自分の生活を寺らんがための行動である。これはまさに防衛ですよ。防衛の場合は武器も何も持っておらない。それは本人直接の問題である。一方は、侵略する側は兵隊を使う、あるいは警官を使う、あるいは人を雇ってやる。これが特徴だと思うのです。で、あらかじめ武器を備えておって、正当防衛であるからといって敵の基地まで行ってやる、こういうことは私は防衛に値しないのじゃないかと、こう考えるのですが、これがやはり防衛の範疇に入るという方が正しいようにお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/23
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024・船田中
○国務大臣(船田中君) これにつきましては、先ほど来申し上げ、またあらゆる機会に私答弁申し上げておることでございますが、どこまでも急迫不正な侵略が前提になりまして、そうして他に防衛の手段がないという場合に、それでは座して自滅を待つかといえば、私は座して自滅を待つということが憲法の趣旨ではなかろうと思います。従ってそういう急迫不正の侵略があり、そうしてどうにも他に手段がない、間に合わない、こういう場合に、敵基地をたたくということは、これは自衛の範囲に許されることではなかろうか、それは自衛権の範囲のことであるということを申したのでありまして、しかし先ほど来御説明申し上げておりますように、多くの場合、そういう急迫不正、ことに急迫した事情がきわめて切迫しておる場合におきましても、他に手段があるという場合において敵基地をたたくというようなことは、これはやるべきではなかろうと思います。多くの場合は、日米間に協定ができておりますあの二十四条の規定によりまして、日米でいかなる措置を講ずるかということを協議をする場合が多いと思いますが、その協議をして自衛隊が何をするかということは、もちろん憲法及び自衛隊法の命ずるところに従って行動をするということになると思います。もちろんそういう場合には、同時に、時を移さず国連に提訴するというようなことも必ず起ってくることであり、そうして国連においていかなる措置を講ずるかということも起ってくる問題ではなかろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/24
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025・木下源吾
○木下源吾君 このようないろいろお尋ねすることは、非常に大切な問題と考えておるから究明しておるのですが、それは国民の側の問題でもあるし、また自衛隊の隊長の士気の問題にも関連すると思うから……。どうも不明確でまだはっきりしない。これはしかし今のようなことをお尋ねしておっても堂々めぐりをするだけです。しからば、日本が防衛をしなければならないという根本的な理由はどこにある。防衛をしなければならない、言いかえれば、古い昔は宗教の違いによって戦争が起ることがある。だんだん進んで、最近であると、いわゆる経済戦が熱戦の先駆をなしておる、そうしてそれは戦争になる。こういういろいろの要因があると思うのであります。そこで日本は今非常に防衛力を増強する、そういうことをやっておられる、その防衛力増強に対する基本的な理由は一体どこにあるか、ただ単に隣の国は共産国であるからというようなことではなかろうと思う。この点について一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/25
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026・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま御質問になられました点は、主としてこれは外務大臣からお答え申し上げた方が正確かと思いますが、私、防衛の責任者として考えておりまする点を率直に申し上げますと、やはり今日の国際情勢が、まあ原水爆をもってするような第三次世界大戦というようなものが近い将来に起るというふうには、まず考えられないだろうとは思います。しかしさればといって、国際紛争、ことに実力を行使する国際紛争が絶対に起らないというふうにも断定はできないと存じます。すなわち部分戦争なり、冷戦というものが今直ちに終息してしまったというふうには見られぬと存じます。で、われわれの過去の経験なり、また諸外国の歴史を見ましたときにおいて、一国の独立と平和を維持するということは、やはりある程度の武力、実力を備えておらなければ、その国の独立と平和を守ることがむずかしい、かように感ずるのであります。いろいろな事態、また国際情勢を見て参りました場合において、やはりわが国の今日置かれておりまする立場を考えたときにおいて、国力と国情に相応する最小限度の防衛態勢を整備しておくということは、これは戦争をするのでなくて、むしろ戦争を避ける手段である、大きな戦争に、大事に至らないための用心のために必要である。私はたださような考え方において、この防衛態勢を国力に相応する程度において整備して参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/26
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027・木下源吾
○木下源吾君 国際情勢が日本の防衛を必要とする、こういうふうにお考えになっているんだが、もう少し具体的に一つ情勢を御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/27
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028・船田中
○国務大臣(船田中君) 国際情勢の問題になりますというと、これはむしろ木下委員の方が詳しいだろうと存じますが、何といっても諸外国の過去の歴史というものを私は見て行く必要があるのじゃないかと思うのです。なるほどキリストが理想を説き、あるいはインドにおいてネールが中立論を唱えておりますけれども、また最近共産党の大会等においても非常に世界平和ということが強調されております。まことに私はけっこうなことであり、私も平和を念願する点におきましては人後に落ちないつもりでありますが、しかし、だからといって国際情勢は全く今後においても平和が維持されて行くのであり、そして何ら国際紛争なり、あるいは実力を行使するようなことが起らないと何人が保障し得るかと申しますれば、これは私は絶対にさような保障はないと存じます。言葉によって平和は確立するものでなくして、やはり平和はこれを熱心に求め、そしてその平和を確立する一つの態勢ができて初めて平和が確立されるのでありまして、その国際情勢に対処いたしましたときにおいて、私はやはり日本は日本の平和と独立を守るために、国力及び国情に相応する最小限度の防衛態勢を整備すべきである、こういうように結論せざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/28
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029・木下源吾
○木下源吾君 ちょっと私のお尋ねしているのとそれておるようでして、私がお尋ねしておるのは、国際情勢が、日本が侵略されるというような……、侵略されるからして防衛態勢を整えて強化せにゃならぬというような具体的な情勢をお聞きしたのです。インドの中立あるいはソビエトの共産党大会、そういうものの中から、日本が防衛態勢を強化せにゃならないんだというようなことを、かりにお考えになっておるならば、どの点が、どういう具体的な点が防衛強化をせにゃならぬか、こういうことをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/29
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030・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛態勢を整備するにつきまして、われわれといたしましては、いわゆる仮想敵国というようなものを持ってはおりません。しかし全般的に国際情勢を見、また特に極東の情勢を考えて参りました場合におきまして、先ほど来申し上げておりまするように、全然日本が無防備でおってよろしいという結論には私はならぬと存じます。どの点が心配であるかということは、先ほど申しますように、仮想敵国を今考えておりませんので申し上げかねますけれども、しかし全般的に見ました場合において、また過去のわれわれの体験と諸外国の歴史から見まして、どうしてもやはり将来の判断をし、またそれに基いて政策を立てて行く上においては、架空の議論あるいはただ理想にのみ走って行く議論に立脚して国策を立てて行くわけには参りませんので、そこで全般的に国際情勢及び極東の情勢を総合判断いたして参りましたときに、わが国が独立と平和を維持するためには、国力に相応した防衛態勢を整備することが必要である、こういうように判断を下し、またその判断の上に国策を立てて、着々これを実行しつつあるというのが私どもの考えであり、また現在やっているところなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/30
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031・木下源吾
○木下源吾君 どうも長官の御説明を承わっておるというと、実態を明らかにしないで、何か影だけを求めておって、そこから結論を出しておるらしい、それならば、平和と独立を求めておって、その国策の上に立って今防衛態勢を強化しなければならぬ、こういう結論のようでありますが、平和と独立のその二つだけでも……。もう少しお尋ねしますが、いろいろの人間のトラブルというものは不均衡なところから生ずるであろうと思うのです。これは間違いないのです。でありますから、均衡というものを政策の上に具体的に現わして行くのが一番私はトラブルがなくなり、いわゆる平和になって行くんだと、こう考えておる。そこで今世界情勢のことを、国際情勢をお話しになりましたが、平和のためにはどうしても、日本の憲法にもありますように、互いに信頼し合わなければいかぬ、尊敬し合わなければいかぬ、人格の尊厳から始まって、互いに信頼し合うということが中心になっていると思うのです。そして互いに尊敬し合うということは、同時に互いに平等の立場に立たなければならぬ、これが平和の基本だと思っております。思っているのではない、憲法にもそう書いてあります。そういたしますというと、最近言われておる平和の原則といいますか、バンドン会議の十原則といいますか、これらが一つでも守られて行く過程において平和は保たれると思う、この原則には、御承知の通り互いに主権を尊重する。領土を尊重する。内政にはお互いに干渉しないことにしよう。また侵略をしないようにしよう。また平等互恵の経済交流をやろう。そして互いに話合いで紛争その他を解決しよう。これが世界の今人類の大半を占めておる国々によって提唱され、少くも実行に着々移されつつあるところであるわけです。これは私はあなたが言われる平和ではないかと、こう考えておる。この点はどうですか、御異論ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/31
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032・船田中
○国務大臣(船田中君) 今、木下委員の仰せられたような理想平和が確立されるということは、私はまことに希望するところであると存じます。ただそれが言葉の上の平和ということは、これはいいやすいことでありますけれども、それが果して実現し得るかどうか。先ほど木下委員も仰せられたように、相互信頼というものがそこまで進んでおるかどうかということを考えてみた場合におきまして、私は今の国際間において、手放しで楽観するほどの平和、また相互信頼が実現しておるとは考えられないのであります。そこに私ども防衛の責任者としては、やはりわが国の独立を守り、平和を維持して行くために、どうしてもある程度の実力を備えて行かなければならぬということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/32
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033・木下源吾
○木下源吾君 ただいまお聞きしたことがみな理想のように言われている。これはもちろん一つの目標ではあるけれども、現実の問題もやっぱりつながらなければならぬ。この点は単なる理想ではないと思う。ならば、平等互恵の経済交流一つとってみても、中国が今いかに日本との間における貿易を希望しておるか、これを一体やらないようにしておる人為的な障害はどこにあるか、これはあなた賢明ですから、私から申さぬでもよくおわかりだと思います。平等互恵の経済交流が平和に最も必要な重大な要素であるといったならば、この政策が行われなければならない。この行う上においては、ただいま申し上げるように、中国との貿易というものを無視するわけにいかない。これを人為的に阻止しておる、これは一体どっちの側か、だれが一体阻止しておるか、どうしてこの政策が行われないのか、この政策をやらないで平和をやって、そうして軍備だけ拡張して行って、いわゆる防衛体制だけ強化して行って平和を求められるか、これは三才の子供でもわかる。私はそう思うのであります。それでこのような平和の問題が理想だとか、抽象だとかいうて片づけられる問題じゃない。むしろ領土の侵略と、私はそうまでは申しませんが、国内における軍事基地をごらんになればわかるように、この軍事基地は、日本の主権が及ばぬところがどういう状況になっておるかはおわかりでありましょう。このような状況が果して平和をなす条件になっておるかどうかということですね。これはもちろんこうしなければ平和にならないのだ、こうおっしゃれば、これは別でありますけれども、ただいま申すように、主権というもの、領土というものを尊重するということが平和の理想であるならば、現実の問題は非常に私はこれとは離れておるのじゃないか、こう考えるのです。ですから平和を求めておる日本とするならば、このような防衛力を増強しなければ平和は維持できないという根拠を明かにしなければ国民が納得しないのです。相互信頼の問題も今お話になりました。今の国際情勢では互に信頼し合うというようなことはできない状態である、こういうように今おっしゃったのです。ほんとうですか。どの方の側が、一体だれが信頼しないでおるか。先般中国に国会議員団が参りました、その前の国会議員団、山口喜久一郎さんが団長ですか、何かで参りまして本を書いております。保守党の見た中国とか、中共とか、何かの本を書いております。私も一部をこの間送っていただきました。それでながめてみますと、その中に書いてある。周恩来総理の何をずっと書いてあります。これは非常に参考になるし、非常にこれはりっぱな説だということを前置きしてそこに付けてある。痛みつけられた中国が言うのですが、痛みつけられておるが、それは日本の軍国主義者がやったことで日本人民のやったことではないと、こう言っておる。その証拠には人民と人民は非常に信頼しておる。あの戦争のときには、終戦までは戦かって刃向って来た人たちは、兵隊は、人民は、終戦過ぎてしまったとたんから、向うの傷病兵、向うの軍隊の中に入ってそうしていろいろ病気をなおしてくれた。負傷をしたものを手当をしてくれた。そうしてまた中国の方でも何の不安もなく日本の医者にかかる。また医者ばかりではない。技術者はいろいろなことを、日本の技術を信頼し合っておるためにやっておる。これがほんとうの相互信頼なんだ、こういうようにはっきり言っておるのであります。それが山口さんの本に書いてある。これは私は今言い方が非常にへたでありますが、あれをごらんになればわかります。一体信頼していないのはどういう方の側であるかということは明かに出ておるのですよ。私は今防衛強化をするということは、相手方に信頼されぬものが世界のすみずみに、方々にあるからこれをやるのだ、こういうようにおっしゃるならば、およそ日本が侵略されるであろうと諸君が考えておられる状況においては、ただいま申したような人民の意思として、決して侵略はしないということをはっきり求めておるのであります。でありますから、私があなたに当初にお尋ねしたことは、日本が今防衛、こういうことを増強、強化しなければならない現実の条件というものは、どういうようになっておるかということをお尋ねしておるのであって、国際情勢がこうであるからばかりではなく、なお日本が平和と独立のためには、遺憾ながら現在互いに不信であるという状態であるからして、だからしてこうだということは私は言われないのであります。こういうように私は断言し得るのです。でありますから、それでないというならば、あなたから、全く防衛力を増強して行かなければ平和というものはかちとれないのだという具体的なものを、インドの場合でも、あるいはソビエト共産党の場合でも、あるいはインドネシアでもよろしいし、あるいは何でもいいから、その具体的なものを私はお聞きしたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/33
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034・船田中
○国務大臣(船田中君) これは先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、現在仮想敵国いうようなものを想定はいたしておりません。しかし、ただいま木下委員員が仰せられたような中共の状況あるいはソ連の考え方、これはもう私は今お話のようであるといたしますればけっこうなことだと存じます。それならば私はお伺いしたいのですが、これはまあ政府の立場から、お伺いするというよりも、私はこういう機会にそういう国際情勢をお互いにまじめに検討するという上においてお聞きしたいのは、なぜそれじゃソ連や中共があれだけ膨大な世界第一の陸軍なり、あるいは空軍というものを持っておるのでしょうか。むしろ平和を唱えられるソ連なり、中共なりというものが、そういう武力放棄をなさることの方が世界の信頼をかち得る一番早い道ではないかと私は思いますが、これはどんなものでございましょうか。私どもはどうも国際情勢というものはなかなかそう、理想はもちろん平和であり、そうして平和に向って皆も努力はしておるであろうとは存じますけれども、しかし、だからといって手放しの楽観は許さない、従ってまあわれわれといたしましては、万一ということを考えまして、つねにある程度の備えをおかなければならないと、こういう考え方になるわけであります。この点は一つむしろ木下委員から教えを受けたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/34
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035・木下源吾
○木下源吾君 いいことをお聞きになり、機会を得たのですが、大体この国には、御承知の通り本質的に労働者は平和主義です。労働者は発生以来搾取され、掠奪されてきておるのです。ですから発生以来これは防衛に立っておるのです。労働者の主義であり、そうして掠奪される側のものはいつでも防衛であり、そうして基本的に平和です。婦人もその通りであります。でありますから、この平和憲法をごらんになればわかりますように、以前の憲法とどこが達っておるかというと、戦争をしない、させないためには労働者の団結権とストライキ権までも認めて、婦人の地位を対等のところに向上する、こういうことをきめてあることは、いわゆるこれは平和の基本的な問題でありますが、先ほどもちょっと私が触れたように、日本国全部が侵略国ではないのです。そこに軍国主義者、侵略主義者というものがある、何が侵略主義者であるかというと、それは資本主義というものは、もともと不労所得を搾取する、そうしてその上に構成されておるものであって、それが国内の市場が足りなくなって、国内では自分でまかなわなければならぬものは、死んでいってもかまわないくらいの低賃金に押えつけてしまって、なおここでは搾取することはできないから、植民地を探して、植民地のそういうところから利益をあげよう、そういうところを搾取しようという方向に行くものですから、お互いに資本主義国が、そういう市場争奪の戦争が平生の経済戦において激しく戦われ、日本が輸出しようとすればアメリカとイギリスの植民地はそこに関税の障壁を立てて、日本から行くものは入れない、自分の方のものを入れて儲けようとする、こういうようなことは私が説明しなくても過去において御承知の通り、このような状況を打破するために、背後に武力をもってお互いに威嚇し合って、そうしていわゆる独占資本の利益を擁護していく、この独占資本と結びついておるいわゆる軍国主義、侵略主義、こういう一連の一握りのものが要するに戦争を挑発するのであります。でありますから、そういうもののない、搾取もそうして掠奪も、そういう基本に立っておらない、これらの国々の持っておる武力というものは、明らかにそれは防衛のためであるということは、これはもう天下周知である。これを知らないのが侵略主義者、軍国主義者どもであります。こういうことが言われておるのであります。私はこういうような基本的な理論の上に立って、歴史の発展の上に立って今お考えを願えるならば、わが国の今立っておる立場というものはいずれの側に立っておるか。日本の人民は決して侵略を、あるいは今日でいう防衛しなければならぬほどの不正なものを持っておる人民ではない。だがしかしながら、そういうものをもって防がなければならぬものの実力をになうからして、こういうことをやらなければならぬというふうに私は結論づけられるのではないか、あなたのおっしゃるソ連であるとか、あるいは中国であるとか、軍隊はあります。なければこれはたたきつけられて、もとのようにやはり奴隷になってしまわなければならぬから……。国内においては労働者も農民も、いかなる搾取にあっても徐々にただ道を開いてきただけに過ぎないが、もう政権を持ったそれらの国々は、当然これを守るために努力する、決して侵略をする、あるいはその行動がそういうように見えても、本質的にこれを侵略するものではない、過去の戦争のような宗教戦争というものと違って、近代的な資本主義になった世界は、資本主義それ自体は搾取、侵略の上に立っていっているということは、数次の戦争においてこれは明らかになっておるのでありまして、そういう観点から日本が今こういう防衛の実体を何するのは、いわゆる侵略に自分がみずからが常に立つような状況で言っておるのか、あるいはそういう素質を持って、本質を持たないでも、よそのそういう勢力と結びついて、そういうものになろうとしてやっておるのか、一たび帝国主義まで行って、そうして敗北した日本が再びその道を繰り返そうとしておるのかということが、今国民の間で非常に重大な問題であるのであって、これをお聞きしておるわけなんでありまして、決して私はここで賢明なあなたに長々と御説明を申し上げて御納得をかち取ろうとしておるのではありません。これは非常に重大な問題でありまして、だから私は議論をするのではなく、具体的にこういう防衛力増強の必要であるところの客観的事実を示してもらいたい、こういうふうに申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/35
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036・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま木下委員からいろいろお教えを受けまして、まことにありがとう存じますが、その御意見に全面的に賛成するわけには参らないのであります。先ほども申し上げましたように、われわれが防衛計画を立てるにつきまして、現在仮想敵国というようなものは持っておりません。しかし、たびたび申し上げますように、国際情勢、ことに極東情勢を勘案し、またわれわれの過去の経験を持ち、また歴史をみました場合において、これはどうしてもやはり最小限度の防衛態勢を整備しなければならぬという結論にならざるを得ないのでありまして、ただいま木下委員が、資本主義と帝国主義、侵略主義というようなものに一連の関連を持たして国際情勢についてのお話がございましたが、それもまことに一つの見方としてはあることと存じます。しかしながら、私をして率直に言うことをお許しいただけるならば、第二次世界大戦において、戦勝国も戦敗国もみな非常な損をしておる、領土も失っておる、人命を失い、資材を失っておる。そういうときに、ソ連邦だけは領土を広げ、人口もふやし、またドイツや日本あるいはその他の交戦国から非常なぶんどりを、略奪をして行ったという事実も、これも事実としてあるのであります。これは私はだからといって現在われわれがソ連をどうするかというようなことについてここに申し上げようというのではありませんが、そういう事実もございます。それからまた隣の中共と仲をよくして行かなければならぬということもよくわかります。しかしながら、一九五〇年六月二十五日のあの朝鮮における事件というものは、これまた歴史上の事実として、われわれになまなましい一つの示唆を与えておるのでありまして、それらの経験も、また歴史上の事実も、これは私は無視できないことじゃないかと存じます。もちろんわれわれといたしましても、そういう国際情勢が何とか緩和されまして、そうして木下委員の仰せのごとく、お互いの領土を尊重し、自由と人格を尊重するような国際情勢、平和な情勢が生まれるということを期待をいたし、またそのために努力はいたして参りますけれども、しかし同時にまた過去におけるいろいろな事実、また国際情勢を勘案いたしましたときに、やはり最小限度の防衛体制はどこまでも整備して行くことがわが国の平和と独立を守る手段である、かように考えまして、その判断の上に防衛体制を、国力に相応する最小限度の防衛体制を整備して行きたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/36
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037・木下源吾
○木下源吾君 まあ今のお話の中からは、日本政府の独自の見解から、しかも科学的な事実の中から防衛力を今増強しようという御答弁は一つも認められなかった。そうして防衛の兵備についても不明確である。そしてその限界もまた明らかになっておらない。私は御質問申し上げておるが、決して何もこれは詰問をしておるのではなくて、究明をするためにお聞きしておるのですが、長官からの御答弁ではどうも不明瞭だ。この点はまた別の角度からあらためて具体的な問題でお尋ねすることにいたしまして、次に、交戦権の問題についてお尋ねしようと思います。
日本国憲法において交戦権を認めない、こう規定しておる、この点は御異存ないでありましょうな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/37
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038・船田中
○国務大臣(船田中君) これは私も憲法第九条の規定をよく存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/38
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039・木下源吾
○木下源吾君 そこでです。しかるに行政協定の二十四条によって、アメリカと一朝有事の際には共同のつまり作戦、そういうことをやることを取りきめておることも事実でありますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/39
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040・船田中
○国務大臣(船田中君) これは行政協定の二十四条に非常時の共同防衛及び協議のことが規定してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/40
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041・田畑金光
○田畑金光君 関連して。今の質問の中で憲法第九条の問題、すなわち交戦権の問題について質問がなされたわけでありまするが、長官の答弁は憲法第九条を私も承知しております、了解しておりますと、これでは答弁にならぬと思うのです。質問者は交戦権を認めるのか、認めないのかという質問であったわけですが、長官の答弁は私も憲法第九条は理解しております。一体何を理解しておるのか、それはさっぱり答弁になっておりませんが、どのように理解しておるのか。交戦権というものはないとお認めなさっておるのか、あるいは交戦権はあると認めておられるのか、具体的に説明願わぬと、まことにどうも不得要領な答弁だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/41
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042・船田中
○国務大臣(船田中君) 交戦権につきましては、これは先ほど木下委員の御質問がございまして、それに対しまして私の見解は申し上げたのでございますが、ここに繰り返えして申し上げますれば、これはまあ学説がいろいろございましょうが、われわれは交戦権というものは、戦争状態に基いて交戦国の持つ国際法上の権利、たとえば中立国の船舶を拿捕する権利とか、あるいは占領地行政の権利といったようなものを考えるのでございますが、わが自衛隊はかかる権利の行使を主張することは憲法上許されておらないのであります。そのことを理解しておると申したのであります。しかし、だからといって、自衛隊が自衛のために武力抗争をするということを憲法は否認をしておらないということを先ほど来答弁申し上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/42
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043・木下源吾
○木下源吾君 そのいろいろの解釈はともかくも、ここの憲法第九条に書いておる通りに理解しておるとあなたおっしゃったわけなんですが、この書いている通りにこう理解している、そうすると、あなたの解釈は交戦権を認めないということについて、国際法上の云々と言いますが、憲法全体を通じて交戦権をここに認めないということの条文になっていることをお認めになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/43
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044・船田中
○国務大臣(船田中君) その通りでございまして、ただいま、先ほど御説明申し上げたように、国の交戦権は認めないとなっておりますから、自衛隊がもし武力抗争をしなければならぬ、すなわち急迫不正の侵略があって、これに対抗する他に手段がないという場合には、武力抗争をいたしますが、しかしその場合においても交戦権は行使しない、主張しない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/44
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045・田畑金光
○田畑金光君 ちょっとそこで関連してお尋ねしたいのですが、先ほど来、大臣の答弁を聞いておりますと、急迫不正の侵害に対して他に防衛の手段がないとき、こういうような言葉が使われて、要するにそのような場合には、過般来問題となっております敵基地に対する攻撃等もでき得るのだといようなことに御解釈はなると思うのでありますが、急迫不正の侵害があって他に防衛の手段がないときというのは、具体的にどのような場合が想定をされるのか、一つわかりやすく御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/45
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046・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいまの御質問については、たとえば突如として外国がわが領土に侵略をして来た、こういうような場合があげられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/46
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047・田畑金光
○田畑金光君 突如として外国が侵略をして来た、その侵略の態様にもいろいろあると思うのです。陸軍兵力が突然上陸して来たということも考えられましょうし、あるいは海軍艦艇が押し寄せて来たということも考えられましょうし、航空機による爆撃ということも考えられましょうが、突如として敵が侵略して来た、それだけでは回答にならぬと思うのです。突如として敵が侵略して来たが、他に防衛の手段がないかどうか、こういう問題が起きてこようと思うわけであります。突如として敵が侵略して来たからというようなことでは、先ほどの私の質問である急迫不正の侵害に対し、他に防衛の手段がないとき、要するに敵基地を攻撃する。敵基地を攻撃するというところに私は重点をおいて質問をしているわけでありまするが、今の答弁は答弁にならぬと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/47
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048・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま御質問の御趣旨がよくわからないところがございますが、先ほど来私が申し上げておりますのは、急迫不正な侵略があって、そしてもうほかに方法がない。このままでは自滅を待つのみというような場合において敵基地をたたくということも、これも自衛権の範囲であるということを申しておるのでありまして、ただいま田畑委員の御質問になりましたときに掲げられた仮想の事実は、そういうような場合が起る場合においては、先ほど木下委員も御質問になっておりましたが、大体行政協定二十四条の発動を見る場合が多いと思います。すなわちいかなる措置を講ずるかということについて日米間において協議をしなければならないという規定がございます。その規定に基いて協議をすることになりますが、その場合において、わが自衛隊はわが国の憲法及び国内法規に従って行動をするというのが常態でございす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/48
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049・田畑金光
○田畑金光君 行政協定第二十四条に基いて、事態が発生したような場合において自衛隊が憲法、国内法の建前によって行動するということになって参りますると、先ほど長官の御答弁になった敵の基地を攻撃するというようなことは、そのようなことが自衛権の発動としても、それから日米安保条約とか、日米行政協定の趣旨から言っても許されないことだと、こう考えまするが、そういう解釈をとられるということは一つの飛躍だと、こう思いまするが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/49
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050・船田中
○国務大臣(船田中君) 私の申し上げておることは、従来政府が答弁しておることから何ら飛躍はいたしておりません。ただ、今御質問のような場合におきましては、行政協定二十四条の発動によりまして、実際問題としては日米間においていかなる措置をとるべきかということの協議をすることになりまして、そしてアメリカ軍が大部分の防衛の仕事を担当するようになると思います。わが自衛隊といたしましては、憲法及び自衛隊法の命ずるところに従って、その範囲内において行動をするということになることと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/50
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051・田畑金光
○田畑金光君 そこで私はお尋ねするわけですが、お話のように、そのような急迫した事態が発生した場合には、日米行政協定第二十四条によって日米相互間に話合いをする。またそのような外敵の侵略、あるいはいろんな近代的な兵器をもって日本に対する攻撃が加えられた場合が仮にあるとするならば、日米安保条約の建前から申しましても、当然これはアメリカの軍隊がその任に当るというのが安保条約、行政協定の建前からして当然なことだと、こう考えるわけであります。安全保障条約、日米行政協定そのものが締結された趣旨が、現実に日本には自衛権は持っているけれども、自衛権を行使する具体的な力を備えていない、こういう前提のもとに安保条約と行政協定というものができているわけであります。お話のように、もし日本に対しましてそのような侵略があるとするならば、それは当然アメリカがそれを担当すると、こういうことになるのが現在の日米関係の条約関係だと、こう考えております。同時にまた国内法の建前から、憲法の建前からいっても、たとえそのような事態が発生しても、日本の軍隊が、あるいは航空機が敵の基地を侵略するというようなことは憲法の建前からも許されていない。安保条約、行政協定の締結の趣旨からいっても、それは想定をされていない、こう私は考えるわけでありまするが、にもかかわらず、先般来政府が、自衛のためには敵地をも攻撃することを許されるというようなことは、そういう解釈は出てこないと、こう考えまするが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/51
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052・船田中
○国務大臣(船田中君) 普通の場合においては、ただいまお示しのようなことであります。先般衆議院の内閣委員会におきまして、総理大臣の御答弁を私がかわって申し上げましたことは、すでに御承知のことと思いますが、こういうことでございます。「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」云々と申したのでございまして、決して従来の解釈を逸脱して、飛躍して、自衛権の範囲を拡張したというようなことを申しているのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/52
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053・田畑金光
○田畑金光君 私はその点が重大な点だろうと思うわけであります。仮に無線誘導弾で日本に攻撃が加えられてきたような場合を想定しますならば、そういう緊急な非常事態においてこそ、日米安保条約、行政協定というものが当然生きてくるものだと、こう考えるわけであります。明確に安保条約の前文にこう書いてあるではありませんか。「平和条約は、日本国が主権国として集団的安全保障取極を締結する権利を有することを承認し、さらに、国際連合憲章は、すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有することを承認している。」、さらに「これらの権利の行使として、日本国は、その防衛のため暫定措置として、日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。」と明確に規定しているわけであります。たとえば、また非常に問題となっております日米相互防衛援助協定を見ましても、その第九条でありましたが、第九条の第二項には、「この協定は、各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定に従って実施するものとする。」と明確にうたわれているわけであります。こういうような急迫不正の事態が発生した場合、日本の自衛権の行使というものは当然国内法によって大きな制約があるということを前提として行動をすべきであろうと考えるわけであります。あなたのお話は、政府の答弁は日米行政協定、日米安保条約というものは、そのような場合に何ら実効のあるものと認めていない立場においての考え方であろうと思います。あるいは具体的にいうと、アメリカの軍隊が完全に撤退しておる、そのような急迫不正の侵略を受けた場合に、アメリカの軍隊が日本を救援するためくるのに相当の時間を必要とする、従って日本にはアメリカの軍隊もいないという想定のもとにおいてでなければ、少くとも今の条約関係を考え、憲法の建前から申しましたときに解釈は成り立たぬと、こう考えるわけです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/53
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054・船田中
○国務大臣(船田中君) 今、田畑委員のおっしゃっておるようなことを私は申し上げておるのですよ。決して先ほど読み上げましたことが原則だといって申し上げておるのではございません。急迫不正の侵略があって、そうしてどうにもこうにもならぬ、このままおれば自滅してしまう、アメリカとの協議もなかなか間に合わないという、もうごくきわどい非常な例外的の場合について先般の御質問がありまして、それに対しては、政府としてその程度のことはできるということを申したのでありまして、これはきわめて例外的の場合である、座して自滅を待つというようなところに追い込まれて、そうして誘導弾等の攻撃を受けて、他にこれを防衛する手段がない、敵基地をたたかなければならぬというときにはたたき得るということを申したのでありまして、もし普通によその国から侵略をされたというような場合におきましては、行政協定二十四条によりまして日米協議をして、いかなる措置を講ずべきかということを協議をしなければならぬということになっております。それはもちろん今御指摘の通りでございます。そうしてその協議の結果、わが自衛隊がどういう行動をするかといえば、それは具体的のその場合によってきまることでありますが、憲法の規定及び自衛隊法等の規定によりまして、その許される範囲内においての武力抗争をすることができる、こういうことでありまして、ただいま田畑委員のおっしゃっておることと違った意味を私は答弁しておるのではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/54
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055・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、何ですか、政府の解釈は、現在の憲法のもとにおいては、国内法の建前からいうと、急迫不正の侵害を受けたような場合であっても敵基地を攻撃するようなことは許されないのだ、こういう解釈をとられておると解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/55
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056・船田中
○国務大臣(船田中君) これは先ほど来、木下委員にも私がたびたび申し上げておりますように、先ほど政府の意見として、総理と協議をした上で、衆議院の内閣委員会において答弁申し上げた通りでございまして、もう一度ここにはっきり申し上げれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/56
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057・田畑金光
○田畑金光君 いや長官、そんなものを読んだって同じことです。こういうことが考えられると思うのですが、とにかくあなたのお話を聞いておりますると、国際法上の交戦権はないのですね。ところが実際に敵から急迫不正の侵害を受けて他に防衛の手段がない、こういうような場合は、自衛隊が敵基地を攻撃できるのだ、こういうことになって参りますると、国際法上の交戦権というものはないにしても、事実上、戦争状態が起きて、広い意味の交戦権というものを行使する、こういうようなことになってきようと思うわけであります。ことに先ほど例示されました無線誘導弾、こういうものが使われてくる。日本の防衛庁でも現在試作研究を始められておるようであるが、同様にやがて防衛庁もそういうようなものを、自衛隊もそのようなものを持つようになるでありましょう。そうなって参りますると、兵器が発達すればするほど、原子兵器というものが発達すればするほど、先制攻撃とか、奇襲攻撃とかいう言葉が使われておるように、攻撃と防衛というものの区別はほとんど瞬時にしてきまる問題になってきようとわれわれは見るわけであります。自衛のために敵基地を攻撃できるのだ、こうなってきますると、そういう高度に発達した兵器の時代においては、攻撃も防衛も紙一重だということになって参りますると、国際法上の意味の、いわゆる交戦権といっても、憲法の規定する交戦権というものは、今、政府の解釈しておられるような、そんなものではないとわれわれは考えておるわけであります。そういうようなことになって参りますると、あなた方の今言っておられる敵基地を攻撃できるのだというようなことは、まことにわれわれとしては理解に苦しむ。今日の憲法の精神から申しましても許されない違反行為を認める結果になろうと考えるわけであります。私が先ほど指摘いたしましたのは、憲法の建前からいっても、そういうような攻撃、あるいは敵基地を攻撃するというようなことは許されない。この国内法の制約がある。それからもう一つ、日本の場合は安保条約、行政協定の建前からいっても、そのような場合は当然アメリカの軍隊が担当すべき筋合いのものであるという建前になっておるのであります。その面からいっても、政府のとっておる解釈は出てこないと、私はこう考えるわけであります。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/57
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058・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいまお話のように、普通の侵略が行われたというような場合においては、行政協定の二十四条の規定によりまして、いかなる措置を講ずるかということについて、日米間に協議を進め、また同時に、そういう場合には、おそらく国連にも提訴いたしまして、国連の適当なる措置を待つということになりましょう。しかし私のさっき申し上げたのは、急迫不正の侵略があって、そうして、しかも非常に限られた場合でございますけれども、誘導弾等の攻撃があって、このままおれば自滅する、そうして今申し上げたような、いろいろな手段を講ずるひまもない、そういうときに、ただ自滅を待つことが日本の憲法の建前であるかといえば、私はそうは考えない。そうしてまた、自衛隊といたしましては、その場合においてその急迫不正な侵略に対しまして、これを反撃するということは許されることでありまして、それは自衛の範囲内のことであるということを申しておる。決して私は先ほど申し上げた答弁の中に矛盾しておることはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/58
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059・田畑金光
○田畑金光君 具体的にお尋ねしますが、たとえばあなた方の想定しておる国から無線誘導弾を日本に打ち込んできた、攻撃をしてきた、その場合に、日本は無線誘導弾をかりに持っていない、そういうような場合には、日本の飛行機が向うの基地に行って攻撃できることも自衛権の範囲であるのか。それからさらに、今日の兵器はだんだん発達してきて、われわれの想像以上の力を持っておる。敵の基地についても、あるいは敵の後方奥深くにあるかもしらん。まあそういうようなところから、かりに誘導弾を打ち込んできた、誘導弾によって攻撃をしてきた、そのような場合には、敵の奥地に対しても飛行機をもって攻撃できるのか。それも急迫不正の侵害として、自衛権の範囲内における行動として認められるのかどうか、どうでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/59
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060・船田中
○国務大臣(船田中君) 私が先ほど来御答弁申し上げておることは、そういう現実の問題というよりも、むしろ法理的にはそういうことも含まれる、自衛権の範囲内において含まれるということを申しておるのでありまして、現実の問題といたしましては、おそらくそういう場合には行政協定の二十四条によりまして、アメリカ側と作戦あるいはその他の措置につきまして協議をいたし、多くの場合、アメリカ軍が当るということになるだろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/60
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061・木下源吾
○木下源吾君 さっきから私はお尋ねしておるやつをもう少し続けていたしたいと思うのですが、行政協定二十四条による共同作戦の場合、ただいまお話のように、交戦権、日本の交戦権は一体どうなるのか、この点を明確にお聞きすればいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/61
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062・船田中
○国務大臣(船田中君) わが方としては、交戦権の主張はしないということが憲法の建前であろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/62
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063・木下源吾
○木下源吾君 だが、お話の中からは、この交戦権が非常に乱用されるような危険がくみ取られるのですね。単に交戦権を出張しないというだけではなく、現実には、これを進んでやるような今の御答弁のように聞こえるのですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/63
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064・船田中
○国務大臣(船田中君) これは先ほど来田畑委員に答弁申し上げておることは、きわめて例外的な限られた場合の法理論的なことを申し上げておるのでありまして、現実の問題といたしましては、日米間においていかなる措置を講ずるかということの協議をすることになっておりまして、そうして従って自衛隊の行動は憲法及び国内法の命ずるところに従って、その範囲は実力行動をするということになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/64
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065・木下源吾
○木下源吾君 そうすると、そういう場合にはアメリカが主として戦争する、交戦に当る、こういうように了解していいわけですか。それからもう一つお尋ねをしておきたいのは、そういう場合に、日本の場合は端的にいえば陸軍、この陸軍の作戦用兵は単独にはやらぬだろうと思います。共同作戦だから……、そうすると、主たる作戦はアメリカがやるのであるから、アメリカ軍司令官といいますかが、いわゆる統帥権を持って、そうして日本車がこれに従属して戦う、こういうようなことになろうと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/65
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066・船田中
○国務大臣(船田中君) 行政協定二十四条の発動によりまして、日来間においていかなる措置を講ずるかということについて協議をすることになっておりますので、その協議の結果、ただいま御質問のような点は決定されることと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/66
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067・木下源吾
○木下源吾君 そうすると、ただいまお尋ねしたようなこともあり得るのですな。アメリカのつまり指揮権に入って日本の軍隊が作戦行動をやるということもあり得ると解釈してよいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/67
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068・船田中
○国務大臣(船田中君) 日米間においていかなる措置を講ずるかということは、そのときの具体的事実に即して協議をし、決定されることと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/68
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069・木下源吾
○木下源吾君 その協議決定が、先ほどの話では主としてアメリカ軍が作戦の柱になる、日本は日本の憲法その他の規定の範囲で動くのだ、こういうような御答弁になっておりますが、これは非同作戦であって、主たるものはアメリカであり、そうして日本の憲法その他の規定の範囲内で行動すると言いますけれども、共同作戦でありますから、アメリカのつまり指揮権の中に協議の結果入ってやるということも当然あろうと思うのであります。これはそれを考えないで、ただ協議をする、そのときの条件なんだと言っておったってこれは答弁にはならない。私のお尋ねするのは、アメリカの司令官の作戦本部、そうして司令官の指揮下に入って日本の陸上の地上兵が戦争、いわゆる作戦行動に従うということもあり得ると思う。こういうように解釈してよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/69
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070・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいまの指揮権がどういうことになるかという問題は、これは二十四条の協議によって決定されることでございます。もちろんその場合におきましても、わが方においては憲法及びその他の国内法の制約を受けることはもちろんであると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/70
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071・木下源吾
○木下源吾君 わが方は受けるが、全体として作戦、戦争行動、これはアメリカの指導によって行われるということは、あなたの先ほどからの御答弁によって間違いない。そうすると、日本の地上兵だけが独自の行動でやるということは、これはあり得ないのです、共同作戦ですから……。従ってこういうような一朝有事の際においては、その協議の結果が、アメリカの司令官のもとに日本軍隊が指揮を受けて入るということもあり得るかどうかということを聞いておるのです。ないならないで、それをはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/71
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072・船田中
○国務大臣(船田中君) その指揮の問題は、その場合によって決定されることでありまして、あらかじめここでどういうふうになるかということを申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/72
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073・木下源吾
○木下源吾君 私はかつて岡崎・ラスクの会談で、そのことが明確に、アメリカの共同作戦の場合はアメリカの指揮下に入り得ることがはっきりしておるように私は聞いておりますが、こういう点についてはどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/73
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074・船田中
○国務大臣(船田中君) 岡崎・ラスク会談においては、さようなことは何もきまったものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/74
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075・木下源吾
○木下源吾君 そうすると、協議によってきまったことは、いかなることでも日本が、国内法あるいは憲法以内のことなら、これに従う義務を持っておると解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/75
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076・船田中
○国務大臣(船田中君) もちろん協議の場合におきましても、わが方においては、わが憲法及び国内法の制約のあるということは当然でございまして、その憲法及び国内法の命ずるところに従って自衛隊は行動をするということになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/76
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077・木下源吾
○木下源吾君 そこで日本の場合、交戦権はない、日本の軍隊は、日本の自衛隊はないと、こういう場合にアメリカは当然の戦争に応戦しておると言いますか、あるいは戦っておる、戦争をやっておる、このときにつまり日本の国内、区域内に敵が入ってきた場合は、それは当然独自の行動は日本の自衛隊がやるのではなくて、アメリカそれ自体の全体の作戦の中に入るのである、こういうことは当然私は起る問題だと考えますが、こういう点については別に取りきめも何もありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/77
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078・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほども申し上げましたように、従来何らそういうことについて取りきめをいたしておりません。指揮権の問題につきましては、協議の結果決定せられるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/78
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079・木下源吾
○木下源吾君 でありますから、協議の結果、日本では国内法、憲法によっての、み動くのであって、アメリカの実際の、それ以外のつまり国内法、憲法に抵触するようないろいろの申し入れというものに対しては、この協議にどういうことが申し入れられても、日本は応じないということができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/79
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080・船田中
○国務大臣(船田中君) 日本は、もちろん日本の自衛隊は憲法及び国内法規のもとにおいて行動するということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/80
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081・木下源吾
○木下源吾君 そこで私は、だれが見てもこの前後の関係から行けばアメリカとの共同謀議、共同作戦ということは、これは否定することはできない。アメリカが交戦しておる場合に、日本は日本の憲法及び日本の法規によってのみ動くということだけは、そういうことはできない、こういうふうに考えるのでありますが、そこでこういうような場合をわれわれは考えたときに、どうしてもこの行政協定二十四条というもの、これが非常に交戦権乱用の疑いが生じてくるし、従って国民が非常にこれは不安である、であるから、この行政協定二十四条を政府が進んで、ただいま私が言うように、日本が憲法及び日本国内法規によって、法令によってのみ動くのであるから、こういうような協定は非常にまぎらわしい、交戦権乱用を生ずるおそれがある。だからしてこれを改訂する、改訂しなければならぬ、こういうように政府はお考えになって、そういうことを実行に移すような考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/81
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082・船田中
○国務大臣(船田中君) この問題につきましては、総理大臣及び外務大臣もあらゆる機会に答弁申し上げておりますように、現状におきましては、安保条約及び行政協定の改訂ということを政府としては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/82
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083・木下源吾
○木下源吾君 全体でなくて、二十四条についてだけでも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/83
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084・船田中
○国務大臣(船田中君) 行政協定二十四条を今改訂するというような考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/84
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085・千葉信
○千葉信君 議事進行について。私どもかねての申し合せを尊重して、きょう内閣委員会を開会し、開会する条件としては、たとえばごらんの通り委員の出席の状態から言いましても、それから答弁される政府側の出席状況についても、私どもこれ以上審議を続けてはいかぬ。御承知の通り、私は申し合せを尊重して委員会をずっと進めて参りたいと思いました理由は、問題がたくさんある。たとえば防衛庁における予算の乱費という問題、あるいは毎年繰り返される繰越金の問題、それから防衛計画の伴わない無計画な増強計画、この点は十分問題としては究明されなければならないと思うのですが、しかし遺憾ながら委員会の審議はいきなり重大問題に突入した。しかもこの自衛権の拡張解釈に関する限りは、首相が二十二国会で行なった飛行機で外国の基地を攻撃することができないという答弁と食い違った答弁がこの国会で問題になった。ここに問題が突入した以上、やはりわれわれとしては、これ以上委員会を継続するためには首相の出席を要求しなければならない。ところが首相はきょうはどうしても出られないということですから、従ってきょうはここで委員会を打ち切って、改めて首相の出席可能な日に内閣委員会の開会をしたいという動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/85
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086・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) お諮りいたします。ただいま千葉君からの御発言もございましたが、本日の質疑はこのくらいにとどめておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01119560306/86
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087・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めてさよう決定いたしました。本日はこれをもって散会いたします。
午後零時二十七分散会
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