1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十七日(火曜日)
午後二時五十分開会
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委員の異動
三月二十四日委員井上清一君及び酒井
利雄君辞任につき、その補欠として長
島銀藏君及び植竹春彦君を議長におい
て指名した。
三月二十六日委員田畑金光君辞任につ
き、その補欠として内村清次君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小柳 牧衞君
理事
野本 品吉君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
井上 知治君
植竹 春彦君
木村篤太郎君
苫米地義三君
長島 銀藏君
中山 壽彦君
内村 清次君
菊川 孝夫君
吉田 法晴君
廣瀬 久忠君
国務大臣
国 務 大 臣 船田 中君
政府委員
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務総局
給与局長 瀧本 忠男君
防衛政務次官 永山 忠則君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長 林 一夫君
防衛庁教育局長
事務取扱 都村新次郎君
防衛庁人事局長 加藤 陽三君
防衛庁経理局長 北島 武雄君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○恩給法の一部を改正する法律の一部
を改正する法律案(野本品吉君外二
名発議)
○国家公務員制度及び恩給に関する調
査の件(公務員の給与問題に関する
件)
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/0
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001・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) それではただいまから開会いたします。
委員変更についてお知らせいたします。三月二十四日井上清一君、酒井利雄君が辞任ぜられまして、その補欠に長島銀藏君、植竹春彦君が選任せられました。三月二十六日田畑金光君が辞任せられまして、その補欠に内村清次君が選任せられました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/1
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002・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する御質疑のおありの方は御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/2
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003・千葉信
○千葉信君 本案については従来の恩給法の建前からいいましても、本年三月三十一日で期限の切れる問題で、当然これは延長を要する内容のものでありますし、恩給法の建前からいいましても、この提案の趣旨は十分尊重されなければならないという条件を持っておりますので、この際、質疑並びに討論を省略して直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/3
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004・内村清次
○内村清次君 ただいまの千葉君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/4
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005・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいまの千葉君の質疑及び討論を省略して採決に入られたいとの動議に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/5
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006・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 全会一致と認めます。
これより採決に入ります。恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/6
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007・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 全員一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願うことにいたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/7
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008・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名菊川 孝夫 植竹 春彦内村 清次 吉田 法晴鹿瀬 久忠 中山 壽彦苫米地義三 島村 軍次野本 品吉 千葉 信
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/8
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009・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 次は、国家公務員制度及び恩給に関する調査として公務員の給与問題に関する件を議題といたします。本件につきまして御質疑のおありの方は御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/9
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010・千葉信
○千葉信君 淺井さんにお尋ね申し上げますが、質問の内容とするところは、従来からしばしばこの委員会で問題となっております公務員の給与に関する問題でございます。特に最近におきまする調停委員会の調停等をめぐって問題の解決が逐次前進しつつあるという現在の段階でございます。その調停案等による問題の解決という条件の中で、やはり一番私どもとしては内閣委員会の所管しているところの国家公務員の給与の関係、もちろん給与改訂もしくは昇格昇給、期末手当の問題それから一時金の支給というような問題も含んでの給与という意味でございますが、これについてはたとえば給与改訂の問題についての人事院のお考え、あるいはまた期末手当の額の改訂の問題についての人事院のお考え、これらの点については大体適時適切にその措置を誤らないで、人事院がこの問題の解決に当るというお考えについては今までの委員会でかなり判明してきておりますから、この機会に特に問題として取り上げたいと思いますのは、調停委員会の調停等に伴って今月の十三日の日に人事院から政府当局に対して、内閣に対して文書が発せられた。その文書の内容なるものは、現業もしくは三公社等に対する調停案の問題に関連して、国家公務員の場合どう措置するかという、そういう問題を含んでいるという立場から、私どもこの内容等が今後の国会における問題の審議の上に大きな関連を持ってくることになりますので、従いましてこの通牒が発せられたか発せられないか、もしくはその具体的な内容等について、今まで委員会としてはできるだけ早い機会にこれを明らかにする必要があると考えて参ったのですが、そこで淺井さんにお尋ねしたいのは、人事院としては果して伝えられる通りに、こういう文書をお出しになっておられるかどうか、この機会に具体的にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/10
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011・淺井清
○政府委員(淺井清君) 人事院といたしましては、給与問題について政府各方面と折衝するのはこれはむしろ日常のできごとだろうと思っておりますので、いつもそのようにいたしておりますが、その文書が発せられたかどうかということは、これは政府内部のことでございますから、この席でいかがとも申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/11
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012・千葉信
○千葉信君 給与の改訂等の問題、公務員の利益を擁護しなければならないという人事院の立場からも、これはまあ総裁のおっしゃる通り、常時そういう折衝が行われる。もしくはまた文書の往復等も通例であろうかと思いますが、しかし今回の場合には、ちょうど一昨年の十二月に人事院から発せられた通牒等が明らかにされて、それによって問題の解決が促進されたという、そういう例もあるわけでございます。平常に府ける政府と人事院との折衝、文書の往復、私はこれは淺井さんのおっしゃるような状態にあろうかと存じますが、しかし今申し上げましたような、前に明らかに人事院が公表するということによって、問題の解決が非常にスムーズになったいう例もありますし、平常の文書の往復というような問題とはおよそ筋違いの重要な内容を含む文書が発せられたかどうかということであって、そんなことについては、いつも政府の方と折衝しているとか、文書の往復をやっているとか、そういう答弁ではすまないような重要な要素がこの文書の往復によって出てくるわけです。そこで私はただいま淺井さんの御答弁のいかんにかかわらず、現在政府の内部、特にそれぞれの行政機関の内部における信ずべき筋の連絡、それからまあ情報という言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、はっきり私の確証を持っております内容からいいましても、私はその文書が発送されたということを信ぜざるを得ない条件のもとにありますし、もしお望みならば、私の方からその内容等についても、ここで私は手荒な方法でお尋ねをしなければならぬかと思いますが、こういう事態になっております際ですから、できるだけ淺井さんの方から積極的にこの点について、もう少し具体的にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/12
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013・淺井清
○政府委員(淺井清君) そこまで仰せられるのでございましたならば、はっきり申し上げますけれども、去る三月八日口頭をもって倉石国務大臣にお話を申し、次いで三月十三日に文書をもって申入れしたことに間違いはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/13
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014・千葉信
○千葉信君 問題がそこまではっきりしました以上、私はここでその文書を国会に提出してもらいたい。出せないとか、そういう問答をここで重ねることは無意味ですから、私はこの機会に憲法第六十二条に基く国会の調査権の発動といいますか、憲法の趣旨に従って国会法第百四条「各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない」、私はこの国会法の規定するところに基いて、人事院に対して、この際、ただいま淺井さんの御答弁にありました人事院から政府当局に対して発せられた三月十三日付の文書提出を求めます。委員長において適切に諮られることを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/14
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015・淺井清
○政府委員(淺井清君) ただいまの千葉さんの御発言は委員会として正式に資料提出をお求めになる御趣旨でございますか。また人事院へ対して御要求になる御趣旨でございますか。一応お確かめを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/15
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016・千葉信
○千葉信君 委員会として、これは委員会の審議のため必要ですから、正式にこれは要求してしかるべきものだと思いますが、委員長の方で適当に諮られて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/16
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017・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいま千葉君より調査上必要な理由によって人事院の文書提出を要求されております。これについてお諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/17
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018・千葉信
○千葉信君 ちょっと速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/18
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019・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/19
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020・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて。
ただいま千葉君請求の書類は、人事院においてなるべく早い機会において、これを配付することを了承されましたから、さよう御承知を願います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/20
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021・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) それでは防衛庁設置法の一部を改正する法律案並びに自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/21
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022・吉田法晴
○吉田法晴君 船田長官に御尋ねをいたします。この前に防衛庁長官自身どっから引かれましたが、鳩山総理が、これは千葉委員もここで三月十五日、日本の航空自衛隊による海外出動は起らないと確認してよいかと、こういう質問をいたしましたのに対して、海外出動ということは考えたことはない、こう答弁をしておられます。同じような答弁がほかにもございました。そこでこの前から尋ねておりましたのは、自衛の範囲内に、外国の領室あるいは領土の、これはまあ領土の上ですから領空ですが、領空に達して外国の基地を攻撃することができると考えておられるかどうか、こういう点について明答を願いたいのです。長官は受田君の質問に答えて、飛行機に乗って敵地を襲う場合、これは海外派兵かどうかという、こういう質問に答えて、海外派兵という場合は、何らかの武力行使を行う目的をもって外国に上陸することを含む観念であると考える。こう答弁しておられる。海外派兵というのを、外国に上陸をすると、こういう具合に解釈をされておるようであります。私は申し上げるまでもなく、参議院で禁止を決議いたしましたものは、海外派兵ではなくて、海外出動禁止に関する決議であります。で、それに抵触するかどうかということのぜんさくの前に、どういう事態まで自衛権の範囲として認められておるか、こういうことをお尋ねをするんですが、それに対して抽象的な、用意をした答弁を読み上げられるだけで、問題にしました点について答弁がございませんので、冷静に一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/22
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023・船田中
○国務大臣(船田中君) 海外派兵というようなことは、これはもちろんやらないということは前たから申し上げておるところであります。ただ海外派兵ということがどういう観念かということにつきましては、これはまあ確たる定義を下すことは困難だと思います。また海外派兵と海外出動とどこが違うかということもたびたび議論がありましたが、やや観念としては海外出動ということは広い観念ではないかと思います。しかしこれにつきましては、御承知の通り参議院において海外出動はしないという決議ができております。またそれに対して当時の防衛責任者からも、その趣旨に従って今後海外出動しない、こういうことを申しております。ですから私もその点におきましては、前任者と同じ考えを持ちまして、海外出動というようなことはやらないということを申し上げて差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/23
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024・吉田法晴
○吉田法晴君 海外派兵あるいは海外出動はやらないと、こういう御答弁ですが、その辺については答弁がはっきりしません。で、具体的な、もちろんこれは法上の問題ですが、今まで現実にそういう事態が起ったというわけではありません。しかしたとえば木村禧八郎君の質問に答えて、日米共同防衛の立場から海外派兵の要請があった場合にどうするかと、こう聞いたら、船田長官は憲法、国内法の命ずるところに従ってやる、そこで憲法、国内法の、自衛隊法の解釈が問題になるわけです。で、その憲法、あるいは国内法を解釈する場合に、自衛権あるいは自衛ということで、これは仮定の問題だと長官は言われますけれども、こういうことはできるはずだ、急迫不正の侵害があった場合には、最小限度でその攻撃の基地をたたくことができる、その基地をたたく中に、日本から飛行機で飛んでいって爆撃することができるかどうかと、こういうことをお尋ねをしておるわけです。憲法、国内法の解釈の問題なんです。これは私がお尋ねをいたしました場合に、鳩山総理は法理上仮定の問題として、ほかにこれを防ぐ方法がない場合、その基地をたたくことができる、こう言った。ですが、私が申し上げましたような飛行機で飛んでいって爆弾を落す、こういうことはできるかどうかという、こういう点については明らかに解釈が述べられておりませんので、もう一度お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/24
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025・船田中
○国務大臣(船田中君) 急迫不正の侵害があって、そしてこのままではわが方は自滅してしまう、そして他に何らこれを防衛する手段がないというときに、敵基地をたたくことができるということは、自衛権の範囲であるということは申しておりまするし、また総理大臣もその趣旨においては答弁をいたしておるのであります。しかし飛行機で行く場合はどうかというような場合は、これは具体的の問題として、自衛権の範囲に入るかどうかということを個々の具体的の問題として解釈をしていかなければなりませんが、しかし多くの場合は、飛行機で攻めてこられたという場合においては誘導弾で防ぐとか、あるいは高射砲で防ぐとかいうような方法があり、すなわち他に方法があるという場合が多かろうと存じます。従いましてそういう場合において飛行機に乗って行って敵基地をたたくというようなことはなかろうと存じますし、またそういうことをやらないということは、これは総理大臣も私もその点においては申し述べておることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/25
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026・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると、あるいはロケットが飛んでくる場合に、ロケットで、何と申しますか、応戦すると申しますか、あるいは飛行機の侵入に対して飛行機でこれを落そうとする、こういうことはあり得ると思うけれども、飛行機で飛んで行って外国の領空に達して外国の基地を爆撃するということは、これはない、こういう御答弁と解釈してよろしゅうございますか。大体そういう答弁のようでございますが、そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/26
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027・船田中
○国務大臣(船田中君) 敵基地に先制攻撃を加えるとか、あるいは向うから攻撃されたときに報復的に敵基地に飛行機でもって爆撃に行くとかいうことは、まず私はなかろうと存じます。しかしてことにそれが多くの場合はいわゆる海外出動ということになるかと存じますから、そういう海外出動をやるということを今まで申したことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/27
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028・吉田法晴
○吉田法晴君 それではその点については、これは前の政府のときですし、だいぶ古い話ですけれども、自由党内閣、吉田内閣の初めと終りの方では、戦力の解釈についてだいぶ違って参りましたけれども、防衛については、これは大橋国務大臣のときですが、少くとも国外に出て活動することはないという点だけは明瞭であると存じます。こう答弁されております。大体同様の趣旨と考えて差しつかえございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/28
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029・船田中
○国務大臣(船田中君) 警察予備隊時代と今日の自衛隊とは法律上に規定されておる任務が非常に違っておると思います。すなわち自衛隊は直接の侵略または間接の侵略に対して独立と平和を守るためにわが国土の防衛に当る、こういう任務があります。ですから自衛隊といたしましては自衛権の行動は、自衛権として許される行動はできる、こういうことになるのでありまして、警察予備隊の場合とはこの点において違っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/29
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030・吉田法晴
○吉田法晴君 警察予備隊と自衛隊とが違っておるということは私も知っています。それは前の政府の説明によると、初めは予備隊というのは警察だ、特殊の警察で、国内治安維持の目的を持っておる、こういう説明、それがだんだん大きくなって参りますと、直接侵略に対してもこれは対処をする。しかしその直接侵略もそれによって国内の治安が撹乱されるから、国内の治安を守るという予備隊の任務が直接侵略によって起る撹乱に対処する、こういう説明で、それが自衛隊となって直接侵略にも対応するということになりましたから、その点について性格が変って参ったということは、これは法上の問題としては、賛成をするかどうかということは別問題として、その法の移り方、あるいは説明の移り方は、これは了承をいたしております。わかっております。了承をしておるというか、わかっております。ところが防衛あるいは自衛の態様について、お話のような急迫不正の侵害があった場合に、これをどうするか、あるいは自衛権としてどういうことができるか、こういう問題について、国外に出て活動するかどうか、少くとも国内に限定をするのだ、こういう従来の答弁が変ったようでしたから質問をいたしました。そうすると、先ほどのような答弁がございましたから、その点については国外に出て活動をする、出動をする、こういうことはございませんというお話ですから、その点について従来の説明と変りはございませんねと、こう申し上げたのであります。何と申しますか、予備隊あるいは保安隊、自衛隊の性格、任務、そういうものでなくて、自衛権の発動として考えられておる地域的な限界についてば国内にとどまるのが原則である、国内にとどまる、こういう工合に防衛庁長官も――船田長官もこうおっしゃられるのだと解釈しましたから、念を押したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/30
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031・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほど来申したように海外派兵とか、あるいは海外出動ということはやらないということにおいては変りはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/31
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032・吉田法晴
○吉田法晴君 その点は一応わかりました。それからもう一つこれは総理の衆議院における発言でありましたが、自衛のためならば戦争をすることはできる、こういう答弁をしておられますが、この点はどうなんでしょう。これは従来保安隊の場合にも応戦をすることは許されない、こういう説明がなされて参ったのでありますが、今の内閣で、あるいは防衛庁長官としてどういう場合にお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/32
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033・船田中
○国務大臣(船田中君) この点につきましては総理大臣も憲法九条の規定によって自衛権はわが国に認められておるけれども、しかしだからといって戦争をするということを申したのではないと存じます。事実上自衛権の発動として実力の行使、戦争するということを申しておるのでありまして、いわゆる交戦権の行使ということを前提とした戦争をやり、戦争を正当化するという意味で申しているのではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/33
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034・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは戦争という言葉を使ったけれども、それは戦争ではない。法上言われる、あるいは憲法の上から言いましても、あるいは国際法上から言っても、法上言われる戦争というものではなくて、自衛の戦闘行為をやり得るという意味の発言であったろう、政府としては少くともそう考えておる、こういう御答弁ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/34
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035・船田中
○国務大臣(船田中君) 今大体吉田委員のおっしゃられる通り、自衛権の発動としての実力の行使でありまして、それがすなわち戦争ということを意味するものではないと存じます。そういう意味において発言をされていることと存じます。私自身もさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/35
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036・吉田法晴
○吉田法晴君 そうしますと、大体まあ重要な点で総理の答弁はいわばこれは失言であったというか、舌足らずであって、鳩山内閣の正式な発言を正確にいたしたものでなかった、こういうことになるわけでありますが、もう一つそれでは戦力という点についてお尋ねをいたします。従来予備隊あるいは保安隊、今の自衛隊というように変化はございました。あるいはその実力の発展はございましたけれども、しかし憲法にいう戦力には達していないのである。その戦力は近代戦争を遂行するに耐える程度のものが戦力であって、予備隊もあるいは保安隊も、もし自由党政府がそのまま続いておりますならば、おそらく自衛隊といえども戦力に達していない、こう説明をされたでしょう。ところが鳩山内閣は、これは改進党の従来からの解釈であるかもしらんと思うのですが、第九条は国際紛争を解決する手段としては戦力を用いることを禁じておるけれども、自衛のための戦力はこれを用いることを禁じていないのだ、こういう答弁であるいは説明を押してこられたと思うのです。ところがこれは改進党なら改進党としての説明ならいいのですよ。しかし政府の説明あるいは予備隊、保安隊あるいは自衛隊というものは国が持っている。あるいは法律を出して参って審議を求められるのはこれは行政権として持ってこられる。で、性格が変ったということになりますならば、これはやはり私どもとして条文の中には書いてございませんけれども、重要なこれは審議の対象だと思うのです。これは日本国憲法は最初から自衛のための戦力を持ち得るのだ、少くとも今の解釈はこういう解釈です。しかしそうでないことはこれは間違いないと思うのです。あの憲法審議当時の速記録を引っぱり出すまでもないと思う。たまたま私は当時の法制局長官でありました入江俊郎さんの、二十七年であると思いますが「人事行政」を読んでおりますと、さすがにやはり当時の法制局長官であっただけに、二十七年のあの戦力問答についてでさえこのように言っておられます。結論は、政府の言うような解釈をすることは少くとも私は賛成し得ない、憲法九条の精神でない、こういっておられるのですが、ちょっと読んでみます。「政府にとっては、警察予備隊を軍備といいたくはないであろうが、その為の説明が戦力論争を上下しているうちに、何のために説明をしているのかという本体をはなれて、たづなを切った馬のように、戦力という文字論にこだわってしまい、そもそも憲法第九条がどんな根本精神から出来上っているかということからも遊離して、かなり不必要にゆきすぎた説明になってしまった感がある」、「政府の説明のごとく、原子爆弾も軍艦も、大砲も、それ自体では戦力でないというなら、国家は、原子爆弾を製造し所持し、軍艦を建造し大砲をちゅう造し、これをたくわえておくことは、憲法上可能になるではないか。戦力は人的物的の総合観念であるというなら戦闘要員たる部隊を常時たくわえて、訓練していても、相当程度の武器と結合さえしなければ差支えないということになる。そうしておいて一朝事に臨んで、ひらりと体をかわしてこれらの物的人的要素を総合的にまとめ上げたとき、はじめて戦力となるのであるというのであってみれば、何のために憲法第九条が出来たのか判らない。単なる武器であればとも角、それ自体の性格として戦力を構成することの明らかなもの、例えば、爆弾や軍艦や又は戦闘要員たる部隊は、それらが総合的に組織立てられない以前においても、これを戦力と見て禁止しようというのが、憲法第九条の精神ではないのか。憲法第九条が実状に適さないから改正するというのなら判るが、そのままにしておいて、しかも政府のいうように解釈することは、すくなくともわたくしは賛成し得ない」、こういうことをはっきり言っておられます。そこでこの一党あるいは在野の党としての憲法の解釈をされるならとにかくでありますが、あるいは自衛権論というものから、憲法と関係のない自衛権論から導き出して自衛力論争をなさる、あるいは自衛のための戦力を持ち得るということは、それは責任のない人ならば別問題であります。しかしこれは日本の国というものは前から一体制がございましょう。さらに憲法というものはちゃんとこれは現存している。そして従来においても憲法違反であったものが鳩山内閣のときになったからといって、憲法に合うようになるということは考えられません。憲法解釈というものは、そういう意味においても私は前内閣の責任といえども、これは法制局聞いておられるかどうかしりませんが、法制局は少くとも前の解釈というものについて責任を持たれるだろうと思うのですが、また一つ船田長官もその点一緒に御答弁願いたいと思う。自衛のためなら戦力を持ち得るということを政府としてはこれは言えないのではないか、こう考えるのですが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/36
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037・船田中
○国務大臣(船田中君) 戦力という言葉をあるいは近代戦争遂行能力とか、あるいは単純に戦い得る力、いずれに解釈するにいたしましても、憲法第二章の「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という中に自衛のために必要な最小限度の実力を持つということは、これはこの憲法第九条二項に禁止している戦力には私は入らない。すなわち今日わが自衛隊の持っている程度の力、これは決して憲法九条の二項に禁止しているものには入らない、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/37
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038・吉田法晴
○吉田法晴君 「前項の目的を達するため」というのは、長官は今「国際紛争を解決する手段としては」云々、そういう意味にとって、国際紛争を解決する手段としての戦力でなければ持ってもよろしい、こういう解釈を今述べられた。しかし従来政府はそういうことを説明して参りませんでした。それからそれは条文の文字だけから解釈するのじゃなくて、憲法の条文ができるときのいきさつも考えなければならぬでしょうが、「前項の目的を達するため」あるいは第一項の「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」ということは初めはなくて、原案になくて、国会で挿入された。従って「前項の目的を達するため」というのは、国際紛争を解決する手段云々というのじゃなくて、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する、こういうために、この目的を達するために云々ということであって、国際紛争の解決の手段でない戦力ならば持ち得る、こういうことにはならんということは制定当時のいきさつから、その後の解釈からこれは一貫しておった解釈です。そういう従来の政府の解釈、あるいは憲法制定当時の事情というものを無視することはできないのじゃないか。突如として、まあ何と申しますか、鳩山内閣になった、あるいはこれは自由党も一緒になられましたけれども、そういう点で改進党なら改進党の解釈を持ってくるということは、これは国の何と申しますか、統一性ということから言うならば、できんじゃないかということを申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/38
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039・船田中
○国務大臣(船田中君) 憲法九条は自衛権を否認いたしておりません。また国連憲章を初め日米安保条約あるいは対日平和条約、いずれの条約においても、自衛権というものは否認いたしておりません。従いまして政府としては従来憲法第九条の戦争放棄の理想はありましても、他国に脅威を与えるような戦力を持つことは許されておりませんけれども、しかし自衛のために必要なる最小限度の戦力は持ち得るという解釈を従来持ち続けきておるのでありまして、今日においてもこの解釈は間違っておらないと私は信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/39
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040・吉田法晴
○吉田法晴君 一応まあ今他国に脅威を与えないという限定は述べられました。しかし私が申し上げておるのは、憲法の解釈として今のような説明をしてきたのは従来なかった、これはお認めになりますね。その「前項の目的を達するため」というのを読み違える、「国際紛争を解決する手段としては」云々ということに読み違える。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という意味じゃなくて、「国際紛争を解決する手段としては」という工合に、そういう意味だという工合に読み違える。あるいは戦力は持ってないのだと、こういうことを憲法制定以来、前の吉田内閣の最後まで言ってきたそれを、その事実を御否定になりますか、あるいはこれをお認めになりますか、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/40
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041・船田中
○国務大臣(船田中君) 憲法第九条は、たびたび申し上げることでありますけれども、私は自衛権を否定はしておらぬと思います。また従来この点において政府の解釈は何ら変更をしておらないと信じます。今日もなおその点においては従来憲法第九条について政府が下しておる解釈を支持しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/41
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042・吉田法晴
○吉田法晴君 それは自衛権の話でしょう。自衛権について、これは国内的にも国際的にも自衛権は、急迫不正の侵略があった場合には最小限度に自分を守るために、自分の生存を守るために、何と申しますか、措置をするといいますか、身を守る最小限度の行為をすることは認められる、これはだれも認めております。これを否定する者はありません。しかしその自衛権がどういう形をとってくるか、ここにも問題がある。憲法と離れた、あるいは国内法でいいますならば、刑法なら刑法を離れて自衛権があるかないかという問題を自由にすることは、これは実際問題としてできない。自衛権はあるけれども、しかしその自衛権の発動をする場合に、それが日本の刑法に抵触するかどうか、これを越しておるかどうか、こういうことが問題になって参ります。国の自衛権の場合には、これはよその国の自衛権でない、頭の中にある自衛権じゃなくて、日本の自衛権である。その日本の自衛権を発動する場合には、憲法第九条という制限がある。その制限のこれは解釈です。これは私が言うまでもございませんけれ、ども、そういう制約をみずからきめたならば、それは好むと好まざるとにかかわらず、守らなければならない。その制限が第一項と第二項とにあるわけですが、その第二項の戦力の限定について解釈を今までして参りましたが、憲法制定当時以来今まで、自衛のためならば戦力を待つという解釈をやったことはない。国際紛争を解決する手段でなければ戦力を持てるということはだれも言うておらなかった。憲法の精神はそうであるという解釈をだれもしておらないのじゃないか、少くとも政府においてはそうじゃないか、そういう事実をお認めになるかどうか、こういうお尋ねであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/42
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043・船田中
○国務大臣(船田中君) 吉田委員のおっしゃられる点が今まで私の御説明申し上げておる答弁とどういう点が違うのか、御質問の要旨が私にはっきりわかりませんが、憲法九条の二項は自衛のために必要な最小限度の戦力を持つことができる、その戦力という解釈が近代戦争を遂行する能力とかあるいは単純に外敵と戦い得る力というように解釈が二、三あると思います。しかしながら自衛のために必要なる最小限度の実力を持つことは憲法第九条は禁止しておるんでないという、こういう解釈は従来の政府もそういう解釈をとっており、現政府もその解釈を支持しておるわけでありまして、その間に何ら変更したことはないと私は存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/43
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044・吉田法晴
○吉田法晴君 それではその最小限度なら最小限度は、前の内閣当時のように近代戦を遂行する能力があるかないか、こういうことでその限度を見ると、そういう点について意見は変っておらぬと、こういうお話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/44
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045・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛のために必要な最小限度の実力を持つというこは、これは何ら憲法九条に禁止しておるところではないという解釈においては、従来と今日と何ら変ったるところはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/45
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046・吉田法晴
○吉田法晴君 その点ですね、もう少し御答弁を願わなければなりませんけれども、従来の、従来と申しますか、最初は第一項の「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」従って「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と、それは自衛のためといえども戦力に達するものは、これを持つことができないんだと、こういうように説明をいたしました。ところがその戦力の中身が、これは物理的にと申しますか、人的、物的な構成があるだろうが、戦力に達しない、言いかえるならは、近代戦争を行うに足る程度に至らないならば、これは戦力ではないんだと、こういう説明をいたしましたが、この内閣になってから、そういう戦力というものについてはこれは限度とか何とかいうものはなくなって、国際紛争を解決する手段としてでなければ戦力を持つことができる、こういう説明をしてきた。その戦力については限度がないのではないか、近代戦争を遂行できょうと何であろうと、ジェット機を持とうとあるいは原子爆弾を持とうと、その限度はないじゃないか、政府の考えておる限度はこう考えられましたけれども、それは間違いであって、従来のような戦力なら戦力について限度があると、最小限度の実力というようなお話ですが、その最小限度の実力というのは従来の政府が説明をして参りました限度と同じように考えられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/46
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047・船田中
○国務大臣(船田中君) その点は先ほど来申し上げておりますように、憲法九条は自衛権を否認しておりません。従って自衛のために必要な最小限度の実力を持つことを否定はしておらない、こういう点におきまして、従来政府の下しておりました解釈と何ら逢ってはおらない、すなわち言いかえれば、他国に脅威を与えるような戦力を持つということは、これは禁止いたしておりますけれども、しかし自衛のために必要な最小限度の、自分の国を自分の手で守るという自衛のために必要な最小限度の実力を持つということを禁止しておるのではない、この解釈においては従来といえども今日もなお同じ解釈をとっておるわけでありまして、その間において前の政府の下した解釈と何ら内容的に違っておることを申し上げておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/47
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048・吉田法晴
○吉田法晴君 それじゃ具体的に、他国に脅威を与えない程度の戦力といいますか、最小限度の実力というのは、具体的にはどういうことを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/48
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049・船田中
○国務大臣(船田中君) 現在自衛隊として備えております陸海空のこの自衛隊の力、こういうものは憲法九条の禁止しておる戦力ではない、また将来これが増強されまして、現在防衛庁試案として持っております三十五年度において陸上十八万云々というこの程度のものを持つということは、これは何ら憲法九条に抵触するものではない、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/49
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050・吉田法晴
○吉田法晴君 それじゃ憲法が禁止しておる戦力の限度というのはどういうところだという工合にお考えになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/50
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051・船田中
○国務大臣(船田中君) これはもう仮定の話でございますが、たとえば原水爆を持つというようなことは、これは他国に脅威を与える戦力ですから、従ってわが国としてはそういう他国に脅威を与えるような大きな戦力は持つことはできないと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/51
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052・吉田法晴
○吉田法晴君 それじゃ一つ、原水爆だけですか、ここに木村さんおられるのですが、まあ前の政府では原水爆が一つあっても近代戦争に使えない、これを運ぶ飛行機がなければならんというお話でしたが、原水爆というのが出ましたから、その当時のこれは比喩ですが、たとえば航空機の発達をいたしました爆撃機、大型爆撃機等も、これはあるいは同じ程度と考えられておったかのようでありますが、当時は。そういう点はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/52
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053・船田中
○国務大臣(船田中君) 渡洋爆撃機といったような大きな攻撃的な飛行機あるいは兵器を持つということは、これは現在考えておりませんし、またそういうものを持たない、現在の戦闘機あるいは練習機等を自衛隊が持っておるということによって、それは憲法九条の禁止するものではなかろうと私は信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/53
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054・吉田法晴
○吉田法晴君 一番最初の憲法を制定いたしました当時の、これが憲法の真精神あるいは解釈だと思うのですが、自衛のためにも戦力は持てない。軍隊あるいは戦力を持つならば、それは実際に使われるようになる。その危険性を持っている。あるいは自衛戦争をし得るという解釈をとるならば、今までかつて侵略のために戦争をやるということを言って戦争をやったものはない。従って、自衛戦争もやり得るという解釈をするならば、いわゆる侵略戦争が再び繰り返される。こういうことで自衛戦争をし得るという解釈はとるべきではない。九条はこれを否定している。あるいはその手段としての戦力、陸海空軍その他の戦力の点についてもそうでありますが、先ほど入江さんの文章を、考え方を読み上げましたが、それは原水爆とそれからそれを運ぶ航空機がくっつかなければ戦力にならないのだ、こういうまあ三百代言的な議論に対して、そういうことをいっておれば、これは憲法九条を作った意味はなくなるではないか。憲法第九条の精神ではないじゃないか。憲法第九条が実情に適しないなら適しないからといって改正論議をするというならわかるけれども、少くとも今の憲法のもとにおいてはそういう解釈はとることができない、こういう工合に言っておられますが、今の装備あるいは人員編成等をもって、これは常識では戦力と考える、あるいは陸海空軍と考えますが、そういう工合にはこれは長官はお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/54
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055・船田中
○国務大臣(船田中君) 現在わが自衛隊の持っておりますこの実力というのは、これは憲法第九条の禁止している範囲内には入らないように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/55
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056・吉田法晴
○吉田法晴君 まあ憲法に違反しない、するということは、これは争いでございますし、それからその点についてはこれは議論になりますから、いくら繰り返しても同じことですから、その点はまた別にいたします。
もう一つ、今まで論議をしてこられまして、今度の国会なりこの内閣になって論議せられました問題で明らかにせられなければならんと考えますのは、行政協定二十四条とそれから防衛出動云々という点でありますが、その前に、原水爆はこれは戦力であろう、こういう工合にさっき答弁をされましたが、あのオネスト・ジョン、それからナイキ、それからマタドールという話も出ましたけれども、これは船田長官は、今日本にその弾頭が来ておらんことは私も認めますけれども、やはりあれは原子兵器ではない、こういう工合にあくまで言われるのですかどうか。その点をもう一ぺん念を押して聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/56
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057・船田中
○国務大臣(船田中君) これは原子兵器という定義の如何にもよりましょうが、このこともたびたび申し上げたことですが、わが国に原水爆弾を持ち込むということについては、必ずわが方の同意がなければできないということになっておりまして、また将来わが方としては持ち込んでもらいたくないという方針を続けてゆくことになっております。今日本に来ておりますオネスト・ジョン、あるいは将来来るかもしれないナイキ、マタドールというようなものについては、私はそれだけをもって政撃的の兵器、従って憲法第九条に禁止している戦力であるというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/57
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058・吉田法晴
○吉田法晴君 それではナイキについては防衛庁長官も持ちたい、あるいは提供を受けたいと、こういう意向を持っておる、あるいは申し込まれたかのように新聞は報じておられますが、あれはどういう工合にお使いになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/58
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059・船田中
○国務大臣(船田中君) これは外国から敵機の襲来がありました場合において、国土を防衛するのにきわめて有効な兵器であるというふうに私は聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/59
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060・吉田法晴
○吉田法晴君 オネスト・ジョンの実験は私は見に参りませんでしたが、オネスト・ジョンのあれは地上から地上に地対地にと言われますが、地対地に使われるのでなくて、飛んで来る飛行機に使う武器ですか。防衛川長かだれかおられたら一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/60
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061・林一夫
○政府委員(林一夫君) オネスト.ジョンのお話しでございますが、オネスト・ジョンは地上作戦に協力する装備でございます。その射程はおおむね二十キロくらいだと言われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/61
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062・吉田法晴
○吉田法晴君 地上作戦というのは今防衛庁長官は敵の飛行機が来た場合に、これを撃ち落す役割、こういうお話しでありますが、地上作戦というのはそういう作戦でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/62
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063・林一夫
○政府委員(林一夫君) ナイキのお話し、ナイキの方につきましてはこれは地対空でございまして、航空機を攻撃する誘導弾でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/63
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064・吉田法晴
○吉田法晴君 それは航空機を攻撃する誘導弾、それはわかりました。有力な航空機攻撃のロケット弾というのですが、それはまさかこのオネスト・ジョンのように頭にコンクリートを付けて、それで非常に有効な武器としての役割を果す、こういう工合に言われないだろうと思うのですが、どういう場合にどういう役割を来すということでそのナイキの供与を希望しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/64
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065・林一夫
○政府委員(林一夫君) ナイキは弾頭に、これはもちろん炸薬を装着して航空機を撃つということになっておるのであります。この供与を期待するということにつきましては、これはもちろんこれを将来装備するということじゃなくて、さしあたり研究用として期待しておるという方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/65
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066・吉田法晴
○吉田法晴君 研究用はわかりますけれども、じゃそのナイキが飛んで行って飛行機を攻撃する場合にまさか防衛庁長官のように頭にコンクリートを付けてやるわけじゃありませんでし、一う。今まあ爆弾を付けて云々という話しですが、しかし、アメリカで使っております場合に、私どもの理解するところでは、それは爆弾も付きましょうけれども、原子兵器の普遍化と関連をいたしまして原子弾頭を付けて使うもの、あるいは演習の場合にそういうものとして演習をされている、かように理解していいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/66
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067・林一夫
○政府委員(林一夫君) 現在アメリカではこれの弾頭に原子爆弾を付けているかどうかということは実ははっきり存じておりません。もちろんナイキの性能といたしまして弾頭に炸薬を付けるということは本来の性能だと思いまするが、御承知のように、最近原子爆弾と申しましょうか、原子兵器というものが非常に小さくなってきましたものですから、ナイキの弾頭にこのような、原子性のものを装着し得るということは伺っております。その程度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/67
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068・吉田法晴
○吉田法晴君 これは防衛局長に関連してお尋ねをいたしますが、ネバダの演習にいたしましても、それからこの間のSEATOの演習にいたしましても、最近の、少くともアメリカの戦略、戦術の中で原子兵器というものを切り離して考えることはできないと、SEATOの演習に日本からの飛行機あるいはオネスト・ジョン等も参加したという新聞記事を見ましたが、それはとにかくとして、最近の演習、あるいは想像せられる戦争については原子兵器が必ずくっつくものだと、こういうように聞いておりますが、違いますか。たとえば、これはまあ外交上の常識でもあるようですが、あの大陳島をめぐって緊張がござい永した際にも、もしあの大陳島の何と申しますか攻防、こういう場合にアメリカ軍、あるいは極東第七艦隊かもしれませんが、そういうものが関与するとすれば、当然原子兵器が使われる。従って昔のように制限戦争というものは考えられぬ。朝鮮事変と申しますか、朝鮮戦争というか、とにかく一つの局地戦でしょう。この朝鮮あるい仏印のように局地戦争の場合にも原子兵器を使わないで済ますということはできない。従って制限戦争でなくって絶対戦争というか、大規模の戦術、兵器にとどまらないで、戦略的だといわれて、原子兵器の使用までも入る、これが今日の何と即しますか、原子事情の真相だという工合に私ども聞いておりますが、防衛局長どういう工合に考えられるか一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/68
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069・林一夫
○政府委員(林一夫君) 私が今までいろいろの資料から知り得た知識によりますると、今後の戦争の態様が、どうなるかということを判断するのは非常にむずかしいと思うのでございまするが、もちろん在来兵器のみで行われる戦争が多いのではないかと、こう考えておりますが、また軍事専門家も今後原子兵器というようなものがたくさん持たれるというようなことになると、むしろ原子戦争というものは行われないのではないかというふうにも言われております。まあその他の点につきましても今からはっきり断定を下すわけにはいかんが、現在のようにあるいは今後原子兵器がたくさん持たれるということになると、原子戦争は起らないだろうという見方が相当有力に言われておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/69
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070・吉田法晴
○吉田法晴君 ですから小型化して、しかもその小型化したいわゆる戦術兵器と申しますか、戦術的原子兵器が普遍化して、あるいはネバダで行われた大演習においてもあるいはSEATOの先般の演習においても、原子兵器が使われるものとして演習はなざれた、こういう点はこれは否定するわけにはいかぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/70
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071・林一夫
○政府委員(林一夫君) 今度のSEATOにはオネスト・ジョンが参加したということは聞いておりまするが、これが原子兵器として演習に参加したのであるかどうかということについては存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/71
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072・吉田法晴
○吉田法晴君 オネスト・ジョンが参加したことは聞いておる、しかしそのオネスト・ジョンが原子兵器として参加したかどうかわからぬというお話ですが、私は昨年のネバダでの演習なり先ほどあなたにも原子兵器の小型化ということは言われたが、その小型化した原子兵器が現在行われている演習に加えられて演習が行われておる、こういうふうに私は聞いておるが、防衛局長としてはどういう工合に聞いておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/72
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073・林一夫
○政府委員(林一夫君) ただいま申し上げましたように、今度のSEATOの演習におきますオネスト・ジョンがどういう演習にどういう、ふうに用いられたかということにつきましては存じておりません。察するに今度のSEATOの演習にはあの方、面にいかにしてSEATO参加国の兵力をすみやかに集め得るかということが目的であったと聞いておりますから、そのような意味におきましては、むしろこれはオネスト・ジョンが実際にどういうそのような射撃兵器として演習に参加したかどうかについては疑問があるのであります。いずれにしましても、はっきりしたことはわかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/73
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074・吉田法晴
○吉田法晴君 ですがね、原子兵器であるかもしらぬ、あるいは原子兵器としても使えるということを言いたくないからわからぬとこうおっしゃるのでしょうけれども、原子兵器の小型化、それからその小型原子兵器の中にロケット弾が入っておることはこれも間違いないことでしょう。あるいは原子兵器が日本にきますときに、アジアにくるときに、これはUP電報でしたか、がこの前防衛庁防衛関係二法案が流れたときの話ですが、原子砲を沖縄に送る、それから日本にオネスト・ジョンを送る、その二つの兵器は原子兵器だと考えられておったことは、こちらからじゃなくて向うから、向うの当時の陸軍であったか、参謀本部であったか、たしか陸軍であったと思いますが、UPには少くとも書いてある。従ってUPなり、あるいはアメリカ側からの常識からしまするならば、オネスト・ジョンが原子兵器だということは、これは間違いない。向うでどういう工合に考えられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/74
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075・林一夫
○政府委員(林一夫君) オネスト・ジョンは御承知のように炸薬弾弾頭を用いることにおいて最初考えられたのでありまするが、先ほど申しましたように原子兵器というものが小型になってきた、従ってオネスト・ジョンの弾頭にも原子爆弾を装着し得るということを伺っておるのであります。これが原子兵器かどうかということはいかようにも考えられるのであります。原子弾頭をつけて発射するということになれば、これは原子兵器とも申せられましょうし、また炸薬弾頭を用う場合においては原子兵器ではないと申せられましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/75
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076・吉田法晴
○吉田法晴君 まあオネスト・、ションが原子兵器としても使われ得る、弾頭に原子兵器をつけるならば原子兵器だという点は御否定にならなかったわけですが、そうすると、ナイキはそういう同じような性質を持っておるものではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/76
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077・林一夫
○政府委員(林一夫君) ナイキの性能につきましては、はっきりしたことは存じていないのでありまするが、今までいろいろの資料によって知り得るところによりますると、やはりその弾頭に原子爆弾を装着し得るということは聞いておるのであります。これが原子兵器であるかどうか、まあ本来の建前からは原子兵器ではないと思うのでありまするが、装着し得るという点から考えますと、見方によればあるいは原子兵器、こういうふうにいわれるのではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/77
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078・吉田法晴
○吉田法晴君 原子兵器たり得るということで、まあ答弁はぜいぜいでしょう。そうしますと、そのナイキの供与を受けて使うということですが、そうすると、これは私は仮想敵国を考えることは憲法の精神から間違いだと思う。仮想敵国を考えないで――仮想敵国が現実に考えられるかもしれませんが、もしそういう対立があるならば、それを外交交渉によって片づけるのだ、これが憲法の世界平和を誠実に希求する態度だと思うのですが、かりに今あなたたちは仮想敵国がある、あるいは急迫せる侵害があるかもしらぬ、こう思って用意しておられるんですから、そのナイキならナイキが役に立つというときは、そのときは外国の飛行機が飛んでくるというときでしょう。飛んでくる外国の飛行機はあるいは音速を越える飛行機でしょう。現在から言うならば。そうすると、そのナイキをどういう工合にお使いになろうというのか、これは訓練研究のためというんですけども、その訓練、研究というのは、あなたたちは仮想敵国を持っておられる、その用途というものもそれに即応した、いわゆる想定をこしらえてお使いになるんでしょう。とにかくどいう使い方をしようということなのか、一つあわせて承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/78
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079・林一夫
○政府委員(林一夫君) ナイキを期待いたしておりまするのは、研究用としてこれを用いたということを現在考えております。これをどういうように、どういうようなことで使うかということは現在考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/79
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080・吉田法晴
○吉田法晴君 エリコン社の誘導弾についても研究用ということですが、それじゃエリコンにしてもナイキにしても分解してみたり、組み立ててみたり、いじくってみたりして、そのナイキにしてもエリコン社のあれにしても、そういう誘導弾は、それを使う、あるいは訓練をする、こういうことじゃなくて、自衛隊に置いてというか、分解したり、組み立てをしたり、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/80
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081・林一夫
○政府委員(林一夫君) これを分解してその構造がどういうふうにできておるかという点が主になると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/81
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082・吉田法晴
○吉田法晴君 長官に伺いますが、その何億するものを――このエリコン社の分については今手元にありませんけれども、億をもろて数えるものを買い入れて、そうして今のように解いてみたり組み立ててみたり研究する。それなら何億という金をかけなくたって木でいいでしょう、木で。(笑声)それから一つ買って日本でとにかく作っみたらいい。組み立てたり分解してみたりというのなら、さっきの木村さんの話じゃないけれども、金が足らぬ、仕事のない人、それから困っている人、たくさんあるのに、完全雇用という政策も立てられているのですから、そう思いませんか。予算は通りましれけれども、これは長官に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/82
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083・船田中
○国務大臣(船田中君) 私はやはり独立国である以上は、自分の力で自分の国を、祖国を守るという防御態勢を整備することが必要である。もちろん一方において社会保障を拡充しまして、貧乏人あるいは医療を要するような人を、できるだけそれに対する待遇をよくしてやるということも必要でございますが、それらのことについては、その間の調整を十分考えて、そうして予算も作っていかなければならぬし、また政策としてもそれを実行していかなければならぬと思うのでございまして、幸いに本日予算が通過いたしましたから、その予算によりまして最も有効な防衛兵器を研究し、できれば日本においてそういうものを作って、日本の力で防衛態勢を整備していくということに進んでいくことが必要であると、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/83
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084・吉田法晴
○吉田法晴君 今聞いておられましたように、そういう一般的な防御費とそれから国民生活に必要な予算、こういう予算論議をしておるのじゃないのです。あなたが聞いておられたように、今防衛局長がナイキの供与を受ける、それからエリコン社の誘導弾を買い入れる、こういうことは、それを使うことを前提にして訓練をするのじゃなくて、分解してみたり組み立ててみたり、そういう研究をするのだ、こういうお話だ。あなたは先ほどナイキというのは、これは航空機の侵入に対してこれを守る兵器と聞いている、こういうお話でしたけれども、そういう使うことについての演習をするのじゃなくて、解いてみたり組み立ててみたり、いじくるのだというのだから、それならそんなにたくさんの金をかけないで木でいいじゃないか、こういうことを考えるのです。それなら金がかからぬでよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/84
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085・船田中
○国務大臣(船田中君) それは現物を実際に当ってみなければその性能、それからその使い方、訓練の方法等もできない、立て得られないのでありますから、やはりナイキならナイキの供与が受けられれば、まことにけっこうでありますが、しかし今のところではなかなかアメリカ自体がナイキの製作には非常にまだ手が描いておらないということでありますから、従って予算に計上しておりますように、エリコン社の誘導弾を輸入して、そうしてこれについて、実物について十分研究をいたし、わが方の防衛態勢にこれを役立たせるようにいたして参りたい。しかしそれはただ試験室の中だけで研究はできませんから、やはり現物を輸入して、そうしてまじめに研究をしていくということが必要であります。そのためにはどうしてもある程度の金をかけて、現物を輸入するということがこれは絶対に必要であると私は信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/85
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086・吉田法晴
○吉田法晴君 そればまあ木でいいと申し上げるのは、それば皆笑うでしょうが、実際解いてみたり組み立ててみたり、子供が遊ぶように使うのじゃないことはわかる。ですからとにかくむちゃな笑い話のような説明じゃなくて、もう少しまじめに説明をしてもらいたいと思うのだ。このエリコン社から買うことも私も反対いたしましたが、今度予算が通ったから買うでしょう。そのほかにナイキも供与を受けたいと、これはそう言っておられる、あるいはそれが供与を受けられるかどうかわかりません。わかりませんけれども、受けたいと言う、そういうナイキとかエリコン社の誘導弾だとかあるいはオネスト・ジョンというものは、それをいじくり回して解いてみたり組み立てたりするものじゃないでしょう。そうすると、そういうものを日本としてはどういう工合に使うのか。演習云云というお話しですが、どういう使命を待つものとして、役割を果たすものとしてお使いになるつもりか、こういうことをお尋ねしている。防衛局長の答弁について質問したのですから、防衛局長のまじめな答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/86
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087・林一夫
○政府委員(林一夫君) エリコンを購入するのは、もちろんこれはただこれを解体し組み立てをするという目的だけでなく、さしあたりは研究素材としてこれを分解したり組み立てたり、あるいはその性能を研究するという段階にあるのでありますが、その目的はやはり将来このような誘導弾というものが自衛態勢上必要であるという考えのもとにその技術的な水準を上げるといいまし、一うか、将来の装備ということを考えまして、もちろん研究することになると思う。その目的と申しますか、これは性能でわかります通り、エリコンの最大射程は二十キロということになっておる地対案の誘導弾でございまして、地上から、来攻する航空機を射撃する、攻撃する、こういうのがその性能になっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/87
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088・吉田法晴
○吉田法晴君 まあ解いたり組み立てたりするだけじゃなくて、この訓練と申しますか、その使途について研究をもするのだ、これは当然だろうと思うのです。二十キロというお話しですが、そういたしますと、これは二十キロというのは言われるように航空機に対してというならば直上の射程距離ですか、二十キロというのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/88
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089・林一夫
○政府委員(林一夫君) この性能はこういうことになっております。最大射程が約二十キロであります。最大射高が十五キロということになっております。高さは大体有効高度が十五キロ・メートル、距離が二十キロ・メートル、こういうふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/89
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090・吉田法晴
○吉田法晴君 対空武器だと言われるから距離二十キロというのでしょう、今のお話は。そうすると、直上的な、私の質問に答えるとすれば、十五キロというのは何といいますか、高さですね、今の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/90
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091・林一夫
○政府委員(林一夫君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/91
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092・吉田法晴
○吉田法晴君 十五キロ以上のところを飛んでいるものについては、これは影響はないね、そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/92
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093・林一夫
○政府委員(林一夫君) この性能は高さ十五キロ・メートルということになっておりますから、もちろんそれより高く行くとは思いまするが、この最大射高というのは有効射高と考えられますから、大体この程度の距離しか効果がない、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/93
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094・吉田法晴
○吉田法晴君 それから、その十五キロ……千五百メートルというと大した高さでもございませんが、それに速力が音速以上のものに対して有効ということになりますと、おそらくこの幾つということじゃなくて、たくさんあるいは百をもって数えるか千をもって数えるか知りませんが、かりに爆弾を弾頭につける云々ということになれば効力が薄い。従って小型原子兵器云々ということになるのだろうと私は思うのですが、それをあなたは原子弾頭をつける、こういうことを言われましたが、それは日本で日本の防空用に使うときに、かりに原子弾頭をつけたとするならば、それは被害を受けるのは、あとの後遺疾と申しますか、あるいは日本人が受けるということになりますが、その辺のこの用途といいますか、使用についてはどういうふうに考えられておるのか。従ってオネスト・ジョンにいたしましても、私はそれを日本の内部で使うということは考えられないのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/94
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095・林一夫
○政府委員(林一夫君) ただいま高さが十五キロと申し上げたのでございまして、千五百メートルではない、十五キロでございます。この早さは、時速は約二・二マッハといわれておりますから、音速の二・二倍、こういうことになります。これに原子弾頭をつけるというようなことは、もちろん全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/95
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096・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると、今オネスト・ジョンの場合などに、まあSEATOの演習に参加をしたというのですが、そういう原子弾頭をつけて使われる場合がある、こう考えると、私どもそれがたとえ想像せられるような、防衛庁長官やあなたたちが想像されるような場合にいたしましても、それが日本で、あるいは日本の近くで使われるということについては、これは非常な恐怖をもって見なければなりませんが、あるいは上陸演習をやったり、あるいは落下傘部隊をこしらえて落下傘の訓練をしたり、こういうことと考え合せるならば誘導弾、にいたしましても、それが日本の外で使われるという危険性を、論理的な危険性を考えるのですが、その点はどういう工合にお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/96
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097・林一夫
○政府委員(林一夫君) 性能は先ほどちょっと申し上げましたところでございます。これがどういうふうに米軍によって使われるかということについては、詳しいことは存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/97
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098・吉田法晴
○吉田法晴君 どういう工合に使われるか存じておりません――そのエリコン社の誘導弾にしてもナイキにしても、先ほど分解をしたり、あるいは組み立てたりするのじゃなくて、それを使う訓練をされるというのですから、その戦術的なと申しますか、戦略的な用途はそれが国内で使われるかあるいは国外で使われるか、上陸用訓練あるは落下傘部隊等を考えますならば、それが日本の外で使われるということも考えられるが、誘導弾の戦術的な用途はどういう工合に考えたらよいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/98
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099・船田中
○国務大臣(船田中君) これは誘導弾は十分研究しなければなりませんが、誘導弾を研究するということは、これはもう言うまでもなく、わが国の防御のために研究するのでありまして、海外派兵とか海外出動とかいう手段として、そのための手段としてこれを研究するものでは絶対にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/99
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100・吉田法晴
○吉田法晴君 それではたとえばナイキの場合にいたしましても、日本の領土内等で使うのであって、それに原子兵器がくっつくということ、あるいはそれを外地へ持っていって使うということは絶対にないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/100
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101・船田中
○国務大臣(船田中君) さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/101
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102・吉田法晴
○吉田法晴君 それではもう一つ伺いますが、先ほど聞きましたように、これは船田長官だと思うのですが、アメリカから行政協定等に慕いて、出動が要請された場合はどうするかという質問に答えて、憲法及び国内法の範囲内でこれに対処する、これは木村君の質問、日米共同防衛の立場から海外派兵の要請があった場合にはどうか、憲法と国内法の命ずるところに従ってやる、こういう御答弁をされておる。海外派兵はしない。こういうことですか。これは今のままでは要請は起って参りますまい。しかしアジアの平和に寄与する云々という点が安保条約なりあるいは行政協定の精神にあるわけであります。SEATOならSEATOへの参加が求められる、こういうことになりますならば、二十四条なら二十四条についての要請というものと、それから海外に出るということとがこれは結びつき得る可能性は、だれもこれは危険としてではありますが、考えておるのでありますが、これについてはどういう工合に考えておられますか。そういうことになりますと、共同防衛あるいはSEATOへの参加というものは、日本としてはあり得ぬのだ、そういうSEATOへの参加等が要請されても、海外派兵はできないのだから、船田長官としては、これは閣内で絶対に反対を唱える……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/102
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103・船田中
○国務大臣(船田中君) 行政協定二十四条は、御承知の通りに、「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合」のことでございまして、その場合におきまして、いかなる共同措置をとるかということにつきましては、日本政府とアメリカ政府と協議をいたし、そして日本といたしましては、たびたび申し上げておりますように、憲法及び国内法規の命ずるところに従って、その範囲内において自衛隊が最善の有効手段を、わが国防衛のための最善の有効手段を講ずる、こういうことになるわけでありまして、従ってSEATOに参加するというような要請はもちろんなかろうと思いますし、また要請がありましても、わが方としてはそれに入る意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/103
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104・吉田法晴
○吉田法晴君 SEATOに入る意思はない、こういう言明をいただきましたから、その点は安心をいたします。初めは国際連合に加盟を求められても、日本は軍隊を持たないのだから、戦力を持たないのだから、従ってそれを前提にして、国際連合に加盟の条件として、軍隊を持つことはないだろう、こういうことは言われました。しかし多少変って参りましたから心配をいたしましたが、SEATOへの参加は、これを拒否する、こういうことですから、その点は安心をいたしました。ところが今の二十四条の「日本区域」ということを言われましたが、日本区域というのは日本の領土内には限定をしないのであります。日本の領土、領海、領空を出るのだと私は従来了解をしておりましたが、日本の領土、領空、領海に限定をするという意味で今御答弁になったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/104
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105・船田中
○国務大臣(船田中君) 日本の区域というのは、日本の領域はもちろん、及び日本の近接した公海というものは、これは含まれるわけであります。もちろんその上空をも含むわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/105
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106・吉田法晴
○吉田法晴君 その点はこれは必ずしもはっきりしていない、今のように近くの、隣接をする公海、こういう工合に限定をされましたけれども、それじゃそれから先、まあ例は悪いのですが、竹島がどっちに入るかという点もありますけれども、公海のほかあるいはたとえば沖縄のごときは当然これは入るでしょう、日本の潜在主権があると言われておるから。あるいは台湾についてはどうか、あるいは金門、馬祖についてはどうかと、こういうことになりますと、これは必ずしもはっきりしておらない。そういうこれは例でありますが、アジアのそうした点についても、これは二十四条について共同措置をとることを要請されたとしても、断固としてそういう申し出については断わると、こういうことなんですか、これは範囲についてもう少し明確に承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/106
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107・船田中
○国務大臣(船田中君) 日本区域というのは、先ほど申し上げましたように、日本の領域及びこれに近接する公海ということでありまして、台湾や馬祖、金門島などがこれに入ることは絶対にございません。従ってそういう馬祖、金門島の防衛のために、アメリカが日本に共同措置をとろうじゃないかというような要請もないと信じますし、またわが方としてはこれに応ずる意思もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/107
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108・吉田法晴
○吉田法晴君 それからもう一つお尋ねをいたしますが、二十七年当時は戦力については、当時の予備隊だったと思いますが、戦力に達していない云々ということでしたが、この二十四条なり、行政協定が結ばれたときは予備隊でなく保安隊であったと思いますが、それは戦力ではない、しかし共同をする場合には戦力になるかどうか、こういう話がありました。その点については現状をどういう工合に考えておられますか。これは何といいますか、顧問団の関係もございますが、二十四条の共同措置がとられる場合に、アメリカの装備といいますか、戦力と、それから日本の戦力とがだんだん接近をして参りましたが、しかも共同措置をとる場合の指押棒はどちらがとるか、それはそのときに相談するんだと、こういうことですけれども、実力について近接があり、あるいは共同防衛という場合には、渾然一体となって、ここにそれが憲法に違反するかどうか、こういう問題が起って参ると考えられますが、二十七年当時の政府の説明と、今日とはその他の説明もだいぶ違っておりますから違うのじゃないかと思うのですが、どういう工合に考えておられますか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/108
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109・船田中
○国務大臣(船田中君) 二十七年当時はおそらく警察予備隊であったと思いますが、その当時と今日と憲法九条の解釈の書案の上においては多少ニュアンスの違いがあるかもしれませんけれども、先ほど来答弁申し上げておるように憲法九条は自衛権を否認しておらない、従って自衛のために必要最小限度の実力を持つということは、これまた憲法九条の禁止するところじゃないという解釈においては一貫しておると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/109
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110・吉田法晴
○吉田法晴君 その場合に共同防衛と申しますか、共同行動をとる場合に、その日本の自衛隊については、これは日本の憲法あるいはその他の法規に従うわけでありますが、共同防衛ということで、戦術的にと申しますか、軍事行動として一体になるわけであります。そうすると、その場合に憲法あるいは国内法との関連が起って参りますが、日本の自衛隊の場合については憲法違反があり得るのだ云々というお話ですけれども、共同防衛云々という場合には、これはその城を逸脱する危険があるのではないかと考えられるのですけれども、実体について、あるいは実体と申しますか、日本の自衛隊の一通りの点については従来お答えがございましたが、その一体となった後の行動と申しますか、動向についても、これは憲法、国内法以上のあれはあり得ないのだ、あるいはかりに指揮等がございましても、それは日本の憲法、国内法以上のことは、これは拒否されなければならぬ、こういう工合に言われますのか、その辺を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/110
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111・船田中
○国務大臣(船田中君) 行政協定二十四条の発動の場合におきまして、いかなる共同措置を講ずるかということは、そのときになってみなければわかりません。従って指揮権をどちらがとるかということも、そのときにきまることと存じます。しかし、いかなる場合におきましても、わが自衛隊といたしましては、従来政府がたびたび答弁申し上げておりますように、圏内法規に従って行動をするということでございまして、それを逸脱した行動をとるということはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/111
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112・吉田法晴
○吉田法晴君 この指揮はどちらがするかということはそのときの協議と、こういうことですけれども、今までの実態を見てみると顧問団、今平生においてさえ顧問団によって教育その他を受けておるし、指揮権は日本側でなくてアメリカ側ではないか、こういうのはこれは単なる心配ではない。そうすると、基地内の労務問題ですら、日本の労働法がこれは守られるのだ、こう言いながら、平素の日本の中において、領土の中――それは施設及び区域として完全に日本の主権は及ばない。多少制限をされておるかもしれませんけれども、しかしそれでも日本の法律は施行されるのだ、生きておるのだ、こう言われながら、実際にはそれを何と申しますか、施行をする、確保する方法がなくて困っておる。まして二十四条のような事態を考えると、日本の憲法あるいは法律というものが施行されるかどうかということについては、きわめて不安を持つのは、これは実際当然だと思うのですが、それじゃそれをどういう工合に確保するかという方針なのか、まず承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/112
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113・船田中
○国務大臣(船田中君) 現在米軍の顧問団というものは日本の自衛の訓練の指揮をしておるのではないのでありまして、たくさんの供与兵器あるいは艦船、飛行機がありますから、そういうものの操縦等につきまして教育を受けるというときの顧問団であります。何ら自衛隊を指揮しておるのではないのであります。行政協定二十四条の発動によりましていかなる共同措置を講ずるかということは、具体的にその場合になってみなければわかりませんが、必ず一本の指揮系統になってしまうということも、これは私は断言はできないと思います。別々の指揮系統によってやる場合もあり得ると思います。いかなる場合におきましても、わが方としては自衛隊は憲法及び国内法規に従って行動をするということでございまして、憲法及び国内法規を逸脱して、自衛隊がアメリカ軍の指揮の下に法規に違反した行動をとるということはないと考えます。またしないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/113
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114・吉田法晴
○吉田法晴君 もう少し九条の解釈について変化の経緯をただしたいと思いますけれども、時間も過ぎましたし、それから千葉委員の質問もあるようでございますから、きょうは私の質問はこの程度にして、あとの機会に回したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/114
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115・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 別に御発言もなければ、本日はこの程度でこの質疑をとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/115
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116・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/116
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117・千葉信
○千葉信君 資料の御提出を願いましたから、人事院の方にその資料の問題で簡単にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/117
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118・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) それでは引き続きまして人事院の方から先刻の資料について御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/118
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119・千葉信
○千葉信君 瀧本さん、まあ人事院としては適当な時期に公表してもよろしいという、前に御答弁をいただいておったのですが、その意味から言うと、少し時期を失した格好で、もう少し早くお出し願うと、もっとこの問題解決については条件がよかったのじゃないかと思うのです。しかしまた一面から言うと、人事院としてはよくぞ踏み切ってお出しいただきましたので、この点は帰ったら瀧本さんから淺井総裁によろしくお伝えを願いたいと思います。
私の質問申し上げたいことは簡単ですが、この資料の五ページによりますと、既往のことはよろしゅうございますが、三十年度の関係ですが、この資料によりますと、一般職の職員の場合には二・二五、これは人事院の勧告に基いて〇・二五増額されて支給されましたから二・二五、これはよろしい。五現業、三公社の支給割合の場合には、たとえば郵政は二・四一、それにプラスXとなるわけですが、おもなものを一取り上げてみましても、林野が二・三八プラスX、国鉄が二・四プラスX以上の支給割合の関係から言いますと、私の計算によりますと、たとえば郵政等の場合には一般職の職員に対して上回るこの〇・四一ヵ月分、それからプラス今度の調停案に基いて五千円なら五千円という格好になるのじゃないか、同様な計算は林野の場合にも〇・三八ヵ月分プラス今度の調停案の一時金、国鉄またしかり、この中にたとえば奨励手当、あるいは業績賞与等の特別の給与を加えてあるという注釈がついておりますが、少くともその俸給以外の――俸給に伴うたとえは家族手当、たとえば地域給というような条件を別にして、通例平均給の中に算入せられているもの以外の支給された額ということになりますと、私が今申し上げたような計策の仕方をするのが至当じゃないかと思う。ところが一般職公務員との支給差という別ワクが設けられておりまして、この郵政の職員の場合にも支給差というのはO・一六ヵ月分プラスX、林野はO・二二ヵ月プラスXである、国鉄がO・一五プラスXである。この別ワクで設けられた支給差というのは、いたずらに混迷させる要素になりはしないかということをおそれる。瀧本さんも御承知の通りに、昭和二十九年度の期末手当の支給の問題をめぐって、二十九年十二月に紛争が巻き起りました。その当時の期末手当の支給割合というのは、国家公務員は一・二五ヵ月分、それから現業職、三公社の場合には一ヵ月分、これが基準内支給額であった。これに対していわゆる年末闘争と名付けられる闘争を通じて、〇・二五ヵ月分増額しろという現業もしくは三公社の職員からの要求が巻き起って、国会でこの問題が論議された当時に、人事院の方からこういう通牒が出た。もしも五現業三公社等に対して〇・二五ヵ月分増額の措置がとられて一・二五ヵ月分支給されることになるならば、その場合には国家公務員は現行の一・二五ヵ月分の支給でとどめるということは不均衡を来たすものである。従ってその場合には国家公務員に対しても応分の適正な増額を行うべきであるという通牒が人事院の方から出ております。そういう事実から言いましても、私はたとえばここにある一般職の職員が、二・二五の場合には郵政は二ヵ月分プラス五十円なら五千円、調停案なら調停案ということになると、増額された分は調停案を含む内容だけということになるわけですが、今までのことはつつくつもりはないのですが、しかし比較ということになりますと、当然そうならなくちゃならない。そうすると、この支給割合の方でも判断を容易ならしめる資料をいただいておりながら、一般職公務員との支給差という別ワクのこの比較のために非常に判断があいまいになったり、誤解を招くおそれが出てきそうに思うのですが、この点一体どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/119
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120・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 先ほど人事院総裁から申し上げましたように、本年の三月十三日付で出しました書簡の御要求がございまして、ただいま提出をした次第でございます。一番上のページは書簡の本文の写しでございます。そのあとにつけてありますものが「追って書き」によりまする資料でございます。今千葉委員からいろいろ御指摘のございました点も資料に関する問題でございまするが、この資料は当初われわれはこれを公表して、そうしていたすというほどの用意で作ったものではございません。ただ参考までに現在の状況を政府側に認識してもらうという程度のつもりでございましたので、今御指摘の五ページの第四表のところにございますが、支給割合を一般職と三公社五現業について番きまして、そのあとでその差額ということを帯いたのも十分な考慮があったとは言いがたいのでありまして、ただ一般職は二・二五出ておる、これは期末手当、勤勉手当でございます。片方は業績手当というものがありますので、これを含めて考えるのが適当であるかどうかという問題はございますが、ただ単に形式的に三公社五現業から二・二五を差っ引いてみたらどれだけになるかというただ参考までは書いたものですので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/120
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121・千葉信
○千葉信君 わかりました。そうすると私が解釈をしておりますように、その奨励手当とか業績手当による給与も含まれているにはいるけれども、しかし実際上は今津本さんがお認めになったように、一般職の職員の場合には二・二五年度内に支給されている。この一般職の二・二五と同率であるためには、五現業、三公社等の場合には二ヵ月分ということが均衡を得ている給与であって、既往にさかのぼってほじくるわけではありませんけれども、実際上支給されている状態から見ますと、一般職の職員に対して本来二ヵ月分支給されるべき郵政が二・四一ヵ月分支給されている、これは少くとも〇・四一ヵ月分一般職の職員よりも有利に支給されている。それからたくさんありますが、おもなるものを拾ってみましても、林野の場合にも本来一般職の二・二五ヵ月分に対して二ヵ月分支給されることが均衡を得た措置であるのに、実際上は二・三八ヵ月分支給されている。国鉄の場合には同様に一丁四〇ヵ月分つまり〇・四〇ヵ月分有利に支給をされている、そうしてさらに今度の調停がもしも実行されれば幾らになるかわからない、これはXですが、大体おおむね五千円くらいというところに押えるようになるかもしれませんが、いずれにしても、そのX幾らという金額のほかに、今私が申し上げましたような有利な条件が実際には存在しているのだから、そうするとこれはやっぱり一般職の職員の場合にも単に五千円だけの、五千円という数字は左だ確定した数字ではおりませんが、おおむね五千円という一時金のほかに今まですでに〇・四一ヵ月分であるとか〇・三八ヵ月分であるとか〇・四〇ヵ日分有利に支給を受けているのだ、ですからそういう意味では非常に私は今度の人事院のこの公表された文書というものは、そういう極端な不均衡を何とかして均衡を得しめるという条件に対して非常に有効な資料になるし、この意味では今のように私は確認することが正しければ、ぜひとも国会として何とかしなければならぬ。まあお出し願った御労苦に対して大いにわれわれとしてはその御労苦を多といたします。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/121
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122・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま千葉先生の方からお話がございましたが、ただ予算上従来一般職公務員が五現業三公社に比べて〇・二五だけ多いという状況にはなっております。これはおそらくは従前大蔵省の政府委員あるいは当時関係のございました労働省の政府委員等が国会等で答弁されておりますところを見ましても、当時の解釈といたしましては、三公社五現業には業績手当の制度というものがありますから、従って業績が上った場合においては、予算上一般職より〇・二五低いのでありますけれども、それを上回ることがあるかもしれないし、また業績が上らなかった、あるいは予算の節約等が行われなかったときには引っ込むことがあるかもしれないというので、やはり業績手当というものを考えまして、そうしてそれでその均衡ということが考えられておるであろうと思いますので、その点は一言だけつけ加えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/122
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123・千葉信
○千葉信君 これは瀧木さんの御答弁とも受け取れないと思う。公社とか現業に出ている業績手当であるとか、奨励手当はこれは全く別ワクなんです。どうしてかというと、こういう年間五%以内の業績手当を支給することができるとか、もしくは奨励手当を支給することができるというのは、これはもう全く一般職の職員等にはない。国会の職員なんかもそうですが、そういう職員にはない有利な条件がこの現業職の職員には与えられている弾力条項といえます。私はその法律案を審議したんだから詳しく知っております。その弾力条項による有利な条件は一般職と比べて全く特殊な条件であって、そういう条件を除外して給与の計算の中に〇・二五ヵ月分だけ、期末手当の分、勤勉手当の分を減らしても、ちっとも不利にならないという条件で、本俸計算が行われておる、家族手当の計算が行われておる、勤務地手当の計算が行われておる。そういう計算の上に立っているんですからね。今瀧本さんは政府の方の答弁はこうなっておるという答弁をされておるようですから、私はこの点はあながちあなたを追及する必要もないかもしれないけれども、今あなたが言われたことを、はい、そうですがと言って黙って私が引っ込むと非常に間違った印象を残すと思う。それですから今瀧本さんの御意見として、御調査の結果として弾力条項によるこれらの給与はこれを含んで初めて一般職の職員と均衡を得ているというんじゃなくて――政府の答弁はそういう答弁を今まで大蔵省でも労働省でもやっているんだという、そういう答弁だと、そのワク内での今のあなたの御答弁だと了解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/123
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124・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 私は今御説明申し上げましたが、なおこの表につきましてここに書いてあります数字は三公社五現業につきましては業績手当も含んでおる、こういうことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/124
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125・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 本日はこれで散会いたします。
午後五時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X01919560327/125
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