1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十二日(木曜日)
午前十時三十八分開会
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委員の異動
本日委員遠藤柳作君、長島銀藏君及び
松浦清一君辞任につき、その補欠とし
て木島虎藏君、川村松助君及び亀田得
治君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小柳 牧衞君
理事
野本 品吉君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
井上 知治君
植竹 春彦君
川村 松助君
木島 虎藏君
木村篤太郎君
苫米地義三君
中山 壽彦君
亀田 得治君
菊川 孝夫君
木下 源吾君
田畑 金光君
松浦 清一君
吉田 法晴君
廣瀬 久忠君
堀 眞琴君
国務大臣
国 務 大 臣 船田 中君
政府委員
防衛政務次官 永山 忠則君
防衛庁次長 増原 恵吉君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長 林 一夫君
防衛庁教育局長
事務取扱 都村新次郎君
防衛庁人事局長 加藤 陽三君
防衛庁経理局長 北島 武雄君
防衛庁装備局長 久保 亀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/0
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001・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案並びに自衛隊法の一部を改正する法律案を、一括して議題といたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/1
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002・田畑金光
○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、防衛庁の機構の問題についてまず第一に所見を承わりたいと思います。と申しますことは、防衛庁の職員も今回の法律一部改正によって、定員が二十一万五千人に上り、三十年度の定員に比べますと、二万九千百九十三名の増員ということになるわけであります。防衛庁という非常に複雑な組織、膨大な職員、また国の予算の中でも大きな予算を食う機関が、国家行政組織法の中で総理府の外局という地位にあるということは非常におかしい、実情に即しない感じを持つわけであります。この間の長官の答弁を承わりましたが、昭和三十五年度、すなわち防衛六ヵ年計画等が終る年になりますと、陸海空軍ともさらに大きな勢力に発展してくるわけであります。で、そういうことになって参りますと、総理府の外局という形で防衛庁が存続するということは、名実ともに実情に即しない結果になると考えます。砂田前防衛庁長官の折に国防省に昇格せしめる、こういう話等もあったわけで、政府の行政機構改革の当初の構想の中にもそういう考え方があったわけでありますが、この点について大臣としてはどういう考え方をお持ちであるのか、また今後どうされようとするお考えか、承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/2
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003・船田中
○国務大臣(船田中君) 国防省設置の問題につきましては、砂田前長官のときに一応そういう構想を持っておったのでございますが、また、今御指摘にもありましたように、防衛庁及び自衛隊の現在の規模、組織等から見ますると、優に一省をなし得る、また一省にした方がいいような面が非常に多いのであります。私どもといたしましては、これを省に昇格するということについては強い希望は持っております。しかし行政機構の改革の問題も審議されつつあり、また国策として政府の他の施策とのいろいろ調整をはかり、あるいは軽重をはかっていくというような、いろいろな問題がございますので、この国防省に、あるいは防衛省に昇格する問題につきましては、もう少し政府部内におきまして検討を加えまして、そうしてその上で結論を出すようにして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/3
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004・田畑金光
○田畑金光君 今後防衛六ヵ年計画が、単に防衛庁の試案にとどまらないで、かりに政府の考えておられる通り進むとしますと、国防会議等の役職も正式に実現するような暁には、政府としての防衛計画等が名実ともにできるものと考えるわけであります。そうなって参りますなら、今の自衛軍備態勢というものがさらに強力なものに発展することは必然でありまするが、国防省あるいは防衛省というような考え方は、防衛六ヵ年計画の構想等において当然出てくる問題だと考えますが、この点は大臣として、もう少し私は具体的に立ち入った考え方をお持ちだと思いますので、承わっておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/4
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005・船田中
○国務大臣(船田中君) 省に昇格する問題につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、行政機構一般の改革の問題、また現に防衛庁の持っておりまする規模、機構、組織、運営、そういうような面から考えまして、これは優に一省をなし得るものであり、またそうした方がいいという面も非常に多いのであります。しかしながら、他の施策と十分勘案して参らなければなりませんので、今のところではまだ検討を続けておるということでございまして、政府としての成案を得るまでにはまだ至っておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/5
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006・田畑金光
○田畑金光君 他の施策との関連で検討をなされておると言われるわけでありますが、他の施策というのは、一体何のことを意味しておられるのか。われわれといたしましては、毎年々々防衛関係の予算がふえてきておる。すでに防衛庁の予算は一千億を突破してきておる。すでに政府の六ヵ年一計画は、正規にきまっていないにいたしましても、防衛庁は独自の計画に基いて、ぐんぐん自衛隊の強化を推進されておるわけであります。当然そのように実体が進むならば、これを管理運営する行政機関としての防衛庁等についても、それに応ずる態勢というものを当然われわれは考えておると、こう見るわけであります。でありますので、この際、私は率直に政府の考え方というものを承わっておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/6
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007・船田中
○国務大臣(船田中君) これは繰り返して申し上げますが、われわれ部内の者として、防衛庁の関係者といたしましては、省に昇格するということが適当であり、そういうふうにしたいという希望を持っておることは事実でございます。しかし今直ちにこれを実現することが、果して国政全般から見まして適当であるかどうかということについては、さらに検討を要しますので、目下せっかく検討をいたしておるということでございまして、まだ結論に達しておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/7
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008・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ちょっと関連して一つお聞きしたいのですが、今、防衛庁長官が、切りかえについては口をつぐんでなかなか言われない、答弁せられないのですが、いずれこれはわれわれの見ておるところによると、だんだんと大きくなってやっていこうという意図がうかがわれるようでありますが、そこで私のお尋ねしたいのは、一つだけ尋ねておきたいのですが、陸将であるとか、海将であるとか、上将であるとか、准将であるというような、どうもややこしい名前をつけておるが、いずれはこういう名前も大将、中将、少将と変えようとしてああいう名前にしておるものか、それとも、これはあくまでも軍隊でないというための言いのがれのために、しばらくの間陸将、海将、上将というような名前にしておられるのか、これらの点について一つ伺っておきたい。あれはどういうところからあんな名前をおつけになったか、一ぺん意図をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/8
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009・船田中
○国務大臣(船田中君) これは憲法九条との関係も相当重要な関係があると存じますが、現在におきましては、憲法九条は、ここでもたびたび御論議がありましたように、自衛権を否定いたしておりません。従って自衛のための最小限度の実力部隊を持つということは、これは憲法の禁止しておるところでない、われわれはそういう信念に立って、自衛態勢の整備をはかっておるわけでありまして、国力と国情に相応する自衛態勢をすみやかに整備したいという意図を持って努力しておるわけであります。しかし憲法九条というものは、現行憲法にはああいう規定がありまして、いわゆる陸海空軍その他の戦力を持つことができない、これはもちろんある制限のもとにおいてあることでございますが、そういう規定もございます。また一般の国民感情から申しましても、戦争を放棄いたし、いわゆる旧軍と同じようなものを持つということではない、こういうような国民感情も、これは相当あったと思います。それらのことを勘案いたしましたときに、やはり今ただちに陸海空軍というふうに申さない方が適当ではないか、かように考えますので、そこで、まことに名称としてはあまり適当な名称ではないかもしれませんけれども、陸将、空将、あるいは一等陸佐、二等空佐といったような名前を使っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/9
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010・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それは一つは大将、中将というふうなことにしたら、どうも憲法とまた抵触しそうだというのと、国民感情からいって……、今の御説明だというと、この二点でいっておられるようでありますが、そこで、ああいうどちらかというとさっぱりちょっとわかりにくいような名前をつけてカムフラージュしていると、こういうふうに受け取れるのですが、そういうふうに答弁を解釈してよろしゅうございますか。まあこういう名前はどちらかというと昔の清朝か、あるいは秦の始皇帝当時のような名前ですね、はっきり言うと。そういうころにちょいちょい出てくる名前をつけておられる。なぜかというと、今の田畑君の質問に関連しているのですが、国防省に変えるというのもただいまは適当でない、こう言っておられるので、名前から何とかかんとかごまかしていこうというのだが、どうせ一たん急迫不正の侵略があって行くときには、大将出動といった方が、どうせやるならいいように思うが、一等海佐が出動したというのでは何のことかわからんが、いっそのこと一思いにそういうふうにされた方がいいと思うが、どこかひっかかりがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/10
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011・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほど申し上げましたようなこともございますのと、それから沿革的に申し上げますれば、自衛隊ができますときの三党折衝の結果、いろいろ研究の結果、現在のような名前を使うことになったわけでありまして、最初は非常に耳ざわりが悪かったのでありますが、今日においてはだんだんなれて参りまして、別に大して不思議でもないように考えられておりますので、この名前を急に変えなければならぬという必要もなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/11
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012・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじゃその名前で当分押していこう、こういうことですな。田畑君の今の質問で、陸軍省、海軍省になるまでは陸佐、空佐というところでやっていこう、こういうお考えですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/12
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013・船田中
○国務大臣(船田中君) 今直ちに名称を変更しようというような考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/13
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014・田畑金光
○田畑金光君 先般防衛庁はりっぱな庁舎に移転されて、まあ堂々たる建物にお入りになったので、さぞかしお気持も満足だろうと、こう思うわけですが、お聞きしますると、どうも防衛庁だけではいささか心もとない感じもするので、近く自衛隊も都心近くに持ってきたい、こういう腹がまえのように聞いております。新聞等を見ますると竹橋の方に移駐するとか、こういうような点も構想の中にあるようでありまするし、あるいは今国連軍司令部の使っている旧陸軍士官学校の跡等も考えているようであります。われわれといたしましては、実際において都心の中にアメリカの旗がこう翻っているのを朝夕見るのもいい気持はしないのです。むしろあれよりは自衛隊でも入っていただいた方が、これは独立国の体面も維持されるものと内心考えている一人でありまするが、だんだんと防衛庁の方でも部隊の都心移駐についてお考えのようでありますので、この際一つそういう点等について大臣の忌憚のない考え方を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/14
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015・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛隊の任務が、直接の侵略に対して国土を防衛するというばかりでなく、間接の侵略に対してわが国の独立と平和を維持する、国土を防衛するという建前から申しますと、都心地区に相当な部隊がおるということは、これは望ましいことでありますが、しかしこれはなかなか現状におきましては困難でありますので、われわれといたしましては、今後十分この問題については研究をいたし、実際に即するように部隊の配置を考えて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/15
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016・田畑金光
○田畑金光君 将来条件が許せば、部隊の都心に移駐すること等もあるのだということは、大臣もお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/16
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017・船田中
○国務大臣(船田中君) 都心地区にある程度の部隊がいるということは、これは治安の維持あるいは国土の防衛というような自衛隊の任務遂行の上から考えまして適当であると考えております。しかし、今どこにどういう部隊を設置するかということについては、具体的な案はまだ持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/17
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018・田畑金光
○田畑金光君 今、国連軍の司令部のあるあの旧陸軍士官学校の跡は、あれはいつまでもああいう形で向うの方で使うことになるのか、それともあれもどこか都心でなく、郊外等に持っていくというような、あるいは持っていくように政府としては交渉する腹はないのかどうか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/18
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019・船田中
○国務大臣(船田中君) 今のところ市ヶ谷における極東軍司令部のあの建物が日本側に解除されるというようなことは聞いておりませんし、またそういう折衝をいたしてもおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/19
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020・田畑金光
○田畑金光君 政府としては、極東軍司令部の市ヶ谷に現在位置していることについて、将来あれをどうしようというようなことも毛頭考えていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/20
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021・船田中
○国務大臣(船田中君) もし極東軍司令部が郊外に立ち退くとか、あるいはよその国に移駐するとかいうようなことがございまして、あの建物があくような場合がありますれば、もちろん防衛庁の本庁かあるいは自衛隊関係において使用させてもらいたいという希望は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/21
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022・田畑金光
○田畑金光君 先ほど自衛隊の任務を考えたときに、大臣としても都心近くに置くことが妥当であるというようなお考えのようでありますが、これは大臣としては当然の考え方だろうかと思うわけですが、さらにもう一歩進んで、たとえば昔の近衛連隊とか、こういうふうな皇居を守るというか、そういうような考え方で自衛隊を将来お使いになるような気持はないかどうか、承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/22
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023・船田中
○国務大臣(船田中君) これは天皇主権の戦前と今日とは違っておりますので、戦前における近衛兵といったような考え方は今日はなくなっておるわけでありまして、今後におきましても……、さようなことは今のところ考えておりません。ただこういうことは、御参考に申し上げておきたいと思いますのは、外国では儀仗隊というようなものが相当整備されております。たとえば外国の使臣が国家主席あるいは主権者、元首に対して信任状奉呈というようなときには、いずれの国もかなりりっぱな儀式を、接受方法を講じておるようであります。これはもうアメリカばかりでなく、ヨーロッパ諸国においてもそういうことをやっておる。現にわが方の在外公館が接受を受けるときにおいても、相当儀式的な接受を受けております。そういうことについてもあるいは将来考えなければならぬことがあるかとも思いますけれども、現在におきましてはそういうことについては具体的に何ら計画を持ってはおりません。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/23
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024・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ちょっと委員の変更について御通知いたします。
四月十二日付で長島銀蔵君、遠藤柳作君が辞任せられまして、その補欠に川村松助君、木島虎藏君が選任せられました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/24
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025・田畑金光
○田畑金光君 現在の憲法のもとでは天皇は象徴として、国のシンボルという形で規定されているわけです。厳格な意味での元首でもなければ、また国家の主席でもない、こういう存在であるわけです。で将来元首になり、元首として憲法上の明確な地位が天皇に付与されるということになってきますと、当然儀仗兵云々というような問題が出てこようと考えられるわけですが、今のお話は、憲法を改正して、天皇の地位を新しく規定しなければ、現在の憲法のもとにおいてはこれは許されない問題だと私は考えます。この点大臣はどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/25
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026・船田中
○国務大臣(船田中君) 今申し上げた、ことに後段に申し上げたことは、憲法の改正の問題とは関連はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/26
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027・木下源吾
○木下源吾君 議事進行について。今委員差しかえのことを委員長言われておりましたが、何か新聞で見ると、委員長も差しかえるようなことが出ておるのです。あれはどうなっておるのですか。何か委員長はあまり公平過ぎるから少しきついやつを、ざっくばらんに言えば、青木君をやった方が少し強硬にやりいいから一つ、やるだろうからということが新聞に出ておるのですが、これははなはだけしからんことだ、もし事実だとすれば。その辺の消息はどうなっておるか、ちょっと委員長、あなた御自身に関係あることだから……、たまたま委員の差しかえのことを御報告になっておりましたからお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/27
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028・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 申し上げます。私は一身上の都合で何とかしたいものだという考えは持っておりますけれども、その他のことで何も私は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/28
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029・木下源吾
○木下源吾君 それならば、それは御一身の都合でおやめになる、こういうことがどの程度まで話が進んでおるのか、私どもは個人の、委員長とか青木君という問題よりも、内閣委員会の権威において、あまり内閣委員会をないがしろにする、侮辱するようなことが行われるということになると、私どもはやはり考えを新たにしなければならぬ、こう思っておるのです。その点についてどうですか、委員長のお考えは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/29
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030・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 今申しました通りです。私は自分の一身上の都合から適当なときにやめたいという希望を関係の人には申し述べておりますけれども、それ以上何も私としては知りませんし、考えてもおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/30
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031・木下源吾
○木下源吾君 関係の方というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/31
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032・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 党務を持っておる人です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/32
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033・木下源吾
○木下源吾君 もちろん内容においては党の方の関係でしょうけれども、やはり建前としてはこれは選挙になっておるのです。党の方の御都合もあったならば、一応そういう方面にも皆御相談になってやるのが妥当ではないかと思うのです。何か今のやり方を見ておりますと、まっこうから戦いをいどむような、そういう格好では、今後の委員会運営というものは、今日までのようなたんたんとしていくことが困難ではないかと思う。こう考えるので、そういう点についてはどうですか、お考えは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/33
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034・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 今申しました以上に何もないのですが、将来のことについては十分皆さんの御意見は拝承して、とくと考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/34
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035・田畑金光
○田畑金光君 さっきの私の質問に対してまだ答弁になっていないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/35
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036・船田中
○国務大臣(船田中君) 答弁申し上げましたですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/36
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037・田畑金光
○田畑金光君 先ほどのお話で儀仗兵という、これはおもしろい考え方ですが、それは近くそういうことをまあ天皇の場合等についてやろうという準備を進めておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/37
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038・船田中
○国務大臣(船田中君) そういうこともあるということを、外国の例を申し上げただけでありまして、今具体的にそういうことを考えておるということを申したのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/38
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039・田畑金光
○田畑金光君 先ほどの私の質問の中で、行政組織としての防衛庁の問題について触れましたが、一般の行政機関の、機構とか権限というものはそれぞれ各省庁の設置法に基いてきめられているわけです。またそれぞれの行政機関の職員の定員というものも行政機関職員定員法によってきめられる。定員については行政管理庁等が十分その権限を行使して、適正な配置を行政機関全体について考えておるわけですが、この防衛庁に関する限りは防衛庁設置法によって――行政管理庁なり他の行政機関の関与等は何一つなくて定員がきめられている。本年度も、先ほど申し上げたように、防衛庁設置法の一部改正によって二十一万名を突破するようになってきた。こうなって参りますと、防衛庁に関する限りは他の行政官庁とは別格官幣社的な地位においてぐんぐん推進されていくと、こういうことになるわけであります。で、この際お尋ねしたいことは、同じ行政機関でありまするが、これは他の行政機関との関係は何ら顧慮されないで、防衛庁独自の立場においてこれは今後ともぐんぐん推進されていくのかどうかですね、この点、今日の国家行政組織法等の精神からいって矛盾していると思うんだが、大臣はどういうふうに考えておられるか、一つ見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/39
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040・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛庁関係の職員は、御承知の通り特別職になっております。しかし防衛庁設置法あるいは自衛隊法等におきまして、防衛庁関係の職員だけが他の公務員と全く違った特権を持っているというような今お話がございましたが、そういうことではなくして、常に行政管理庁と協議をいたしまして、その公務員と一般公務員との関係も十分考慮しつつ、この防衛庁設置法あるいはその他の行政組織に関する法律制定につきましても、協議をして作成をし、また立案をいたしておるわけでありまして、何ら防衛庁関係だけが独走するというようなことはやっておりませんし、また今後もそういうことはやらぬつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/40
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041・田畑金光
○田畑金光君 行政管理庁とも十分協議しておるというお話でありまするが、それは形式だけの協議はあるかもしれぬけれども、防衛庁の職員に関する限りは、別の面から独自の形において進められておるというのが現実の実態だと考えておるわけです。一般公務員に関する限り、確かに行政管理庁は当然その立場において総合的な調整等もはかるか知れぬが、防衛庁に関する限りは、現実にそのようなことはないわけであって、具体的に行政管理庁が関係するとするなら、どういうような点に今日まで関与して参られたのか、あるいは行政管理庁等の話し合いによってどの程度防衛庁の考え方というものが、定員等の面において調整されてきたのか、実績を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/41
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042・船田中
○国務大臣(船田中君) 具体的の事実についての問題が多いようでありますから、人事局長から御説明申し上げることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/42
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043・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 防衛庁設置法の規定にもございまする通り、国家行政組織法に基くこれは機構でございますが、ただ防衛庁の任務の特殊性等からいたしまして、必要な点の特別の規定を設けておるというのが前提としての考え方でございます。それで定員及び機構につきましてもそういうことがございまするので、一般の他の官庁との均衡等も、大蔵省の予算等の関係においてはもちろんでございますが、機構の形につきましても、行政管理庁の方で審査をなさるのでありますから、現にこの間の各地方官庁の各二割削減というようなことにつきましては、防衛庁の方もそれに準じて承わっておるわけであります。予算の面につきましてなかなかむずかしい、たとえば機構につきましてもむずかしい査定がございまするが、その上にさらに行政管理庁におきまして、機構の設置等につきまして、他の官庁との均衡の面からいたしましていろいろな御意見が出ることは多々あるのでございます。われわれの方でも事情をとくと御説明いたしまして、そのつど御了解を得て、機構の設置、変更をして参っておるというのが実情でございまして、この点につきましては、他の官庁と全然特別の取扱いを行政管理庁において防衛庁についてなさっておるということはないということができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/43
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044・田畑金光
○田畑金光君 この点についてはまた後日行政管理庁当局と同席の上お尋ねしなければならぬと思いまするが、次に私が大臣にお尋ねしたいことは、この文民優位の原則の確立についての問題でありますが、今日政治が軍事に優先しなきゃならぬということ、またあくまでも文民優位の原則が保持されなけりゃならぬ、これは当然のことだと考えるわけであります。しかし今日承わりますと、自衛隊の中には幹部クラスが、ことに海軍、あるいは航空自衛隊関係等においては、旧陸海軍、空軍関係の将校が相当多数入っておるわけであります。だんだん機構がこう大きくなってきまするし、また自衛隊の作戦、用兵というような、こういう任務がだんだん重く、あるいは問題が切迫してきますると、どうしても文民優位の原則というものがくずれやすくなることが明らかだと考えるわけなんです。
まず第一にお尋ねしたいことは、一体現在の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の中に、旧陸軍あるいは海軍、あるいは空軍将校がどの程度入ってきて、その比率はどの程度に上っているのか、この点を第一に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/44
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045・船田中
○国務大臣(船田中君) 人事局長から答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/45
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046・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) お答え申し上げます。今、田畑委員もおっしゃいましたが、海上自衛隊、航空自衛隊等につきましては、新たに幹部を募集いたします際には、給源についてはおのずから制限があるわけであります。たとえば海上自衛隊の方について申しますと、船の経験ある者といえば、海軍におった者とか、商船学校の出身者以外にはないわけであります。航空自衛隊の方につきましては、飛行機の操縦、整備等の経験があります者はおのずから限られておるのでありまして、私どもといたしましては、特に旧軍人の方を特別に採用するということじゃないのでありまするが、一般に広く経験のある方を探しましても、そういう、ふうな経歴のあった方々がやはり比較的多くなるということは、免れがたい事実なんでございます。現在は陸上自衛隊について申し上げますと、これは幹部以外の者も若干いるかもわかりませんが、今手元に持っております資料は、幹部について調べたものでございまして、しかも私どものとっておりまする基準は、短期現役を除いて、現役である准士官以上の者であって、技術、主計、衛生等の各部将校及び陸軍士官学校六十期生、海軍兵学校七十五期生以上の者を旧軍人として調査したものがございますが、これによりますると、昨年の十二月初めの調べで、陸上自衛官幹部中、以上申し上げました旧軍人が三三%であります。それから海上自衛官の方は、これも十二月現在でございますが、今申し上げました意味での旧軍人というものは六〇%であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/46
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047・吉田法晴
○吉田法晴君 実数を言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/47
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048・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 実数は、陸上の方から申しますと、調査した者が二万二千四百三十五名のうちで、旧軍人が四千百七十四名であります。海上自衛隊の方で申し上げますると、二千七百五十名のうちで、以上申しました意味の旧軍人が千六百五十名、航空自衛隊の方は、これも調査の日付は同様でございますが、航空自衛隊の方は千七百八十三名中千百七十名、六六%と相なっております。今後も幹部を採用いたしまするけれども、大体におきまして、こういうふうな経歴を持った方で採用可能な者が採用になっておると思うのでありまして、今後募集につきましては、今までの若い諸君は十年の間隔があるのでございますから、新らしくとりまする幹部というものは以前のこういうふうな意味での旧軍人でない方々がどんどん入ってくる傾向にありまするので、そのパーセンテージは漸次低くなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/48
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049・田畑金光
○田畑金光君 関連してお尋ねいたしまするが、防衛庁設置法の十九条によると、内部部局における自衛官の勤務についても、長官が必要と認めるときには、自衛官を内部部局に勤務せしめる、こういうことになっておるわけであります。制服職員が、制服の自衛官が内部部局に席を占めてくるというようなこと等も、これは非常に重大な問題に発展する性質のものでありまするが、一体どの程度内部部局に制服の自衛官が入っておるのか、それはどういうポストにどういう仕事を担当せしめているのか、この点御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/49
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050・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) ただいま御質問がございました第十九条に言っております内部部局に自衛官を勤務させるということは、今日のところ一人もございません。内部部局に自衛官を勤務さしておる例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/50
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051・田畑金光
○田畑金光君 一人もいないということは、そのような必要性が生まれてないのか、あるいは将来とも内部部局に自衛官を勤務させるというようなことはあり得ないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/51
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052・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) 現在その必要を認めておらないからであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/52
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053・田畑金光
○田畑金光君 将来は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/53
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054・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) 将来の点につきましては、そのとき考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/54
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055・田畑金光
○田畑金光君 その答弁は少し頼りないのですが、内部部局に将来自衛官等を使うというようなことも当然考えられると思うのですが、どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/55
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056・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) 自衛官であるから内部部局に勤務させることを法律の規定によって排除しない、こういう趣旨に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/56
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057・田畑金光
○田畑金光君 現在は内部部局に一名も自衛官が入っていないとすればけっこうなことですが、そうしますと、この十九条は必要でないとするならば、当然将来いろいろ問題をかもしやすい、あるいは文民優位の原則等においてひびの入る危険な条文でありますので、十九条は削除することが望ましいと思うのだが、大臣どうですか、この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/57
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058・船田中
○国務大臣(船田中君) 将来絶対に自衛官を内部部局に入れないとしてしまうことは、人材登用の上から申しまして、これは必ずしも適当でないと存じますので、この十九条のあることは差しつかえもなし、また置いておく方がよかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/58
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059・田畑金光
○田畑金光君 この法律ができてから何年になるか知りませんが、自衛隊がこれだけ膨大になって、なおかつ内部部兄に一名も入れる必要がないとするなら、何を好んでこういうあいまいな条文を残しておくのか不可解です。人材登用というが、人材登用といっても、盗用するについても、自衛官である限りは、当然それは内部部局で働いてもらうよりそれ以外で働いてもらう方が人材登用の趣旨だと考えるので、そういうような点から見ても現実必要がないとするなら、削除することが望ましいと、こう思うのだが、長官の考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/59
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060・船田中
○国務大臣(船田中君) 私はこの規定があっても、いわゆる政治の軍事に対する優先ということは何ら妨げられるものでないと信じておりますので、この規定を今直ちに廃止しなければならぬという必要を感じておりません。ただこの十九条の立法の趣旨につきましては、人事局長から御説明申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/60
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061・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) この十九条の規定は前の保安庁法のときにもあったのでございますが、この趣旨といたしまするところは、内部部局は基本的な方針等の決定について長官を補佐するのが任務でございます。そこで部隊の実情なり専門的な知識なりということにつきまして必ずしも十分でない場合があり得るではなかろうか、ことにある程度の問題につきまして、人が変ったというような場合には、実情についても、専門的な知識についても、必ずしも決定するについて万全を期するためには、さらにそういうふうな専門的知識を持っておる、あるいは事情に通じておる者の意見を聞く方がより適切な補佐ができるのではないか、そういうような万一の場合のことを予想いたしまして、こうされたというように了承しております。ただいまのところでは内部部同に、今申し上げたような意味におきまして内部部局に自衛官を勤務させる必要を認めないので置いていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/61
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062・田畑金光
○田畑金光君 現在まではその必要がないということになりますると、私はこの幕僚の監部というこの存在、幕僚監部にはそれぞれ幕僚長があるわけですが、その幕僚監部は、たとえば防衛及び警備に関する計画の立案、あるいは教育訓練、行動、編成、装備、こういう計画の立案、非常に重要ないわば昔の作戦用兵に該当する問題を取り扱っておるのです。こういうような問題はです、きのうまで野にあった、野にあったというか、一国会議員にすぎなかった船田さんが、防衛庁担当の長官になられたと言っても、こういう純然たる軍事知識の面等については、これはずぶのしろうとであって、おそらく一つの識見や見解を持っておるとはわれわれも期待していないし、またそうも考えておりませんが、こういうような幕僚監部の統率というか、指揮監督について、長官としてはどういう形でどういうような補佐を受けて、指導されておるのですか、これを承わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/62
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063・船田中
○国務大臣(船田中君) 長官の補佐機関としては御承知の通り内部部局に次長初め局長、その他の者がおります。またこの第二十条の規定によりまして、それぞれ各幕僚から、それぞれ所管のことにつきまして、長官は補佐をしてもらっておる、こういう事情になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/63
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064・田畑金光
○田畑金光君 先ほど私がお尋ねしたことに対しまして、局長から答弁がありましたが、海上においては六〇%、陸上三三%、航空においても六六%すでに旧軍隊の高級幹部が現在の自衛隊の高級幹部として新しい軍隊の指揮に当っているわけです。これがだんだん多くなって参りますると、今私が指摘いたしましたように、当然政治が軍事に優先するといっても、なかなかこれは一応言葉としては、あるいは現在の憲法やこの防衛三法案の建前からいうと、そういう形式はとられておるかもしれぬが、実際問題として下の方から非常な力を充実してきますると、長官等はこれは浮き上らせられる危険性が出てくると思うわけですが、幕僚監部の所管事項等について大臣としても十分これは見識をもって押えがきく大臣であるならとにかくだが、どうも抑えなくちゃならぬその幕僚の補佐を受けて仕事をやらなくちゃならぬというところに、なお一そう矛盾が生まれてくる、こうわれわれは考えるわけで、なかなかこの問題は大へん重大な問題だというように感ずるわけですが、大臣としては私が先ほど来お尋ねしておる文民優位の原則はあくまでも実質的にも貫き、堅持する、このことに対しまして、どういう方策を、あるいは平素どんな心がまえで指導されておるのか承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/64
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065・船田中
○国務大臣(船田中君) 政治優先ということは田畑委員も御承知の通り、今日の国家機構、政治組織、それらを通覧されたときにすべて政府優先という原則を貫いております。この自衛隊のだんだん成長していくに従って、いわゆる制服がシビリアンを指導するようなことになりゃせぬかというような御懸念のようでございますが、私は今日の機構また今日の民主主義の政治のもとにおいて、そういうことには絶対にならぬと言じます。戦争前に軍事優先が行われたということは、何と申しましても天皇主権と、それからそれにつながる統帥権の独立というようなことがあったればこそ、ああいうことが行われたんでありまして、そういうことのない今日の憲法及びこれにつながる現在の組織、各行政組織に関する法制のもとにおいては、いわゆる軍事優先ということが行われる。またそういう危険が起ってくることはなかろうと私は信じます。またそういうことにはさせないつもりで極力しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/65
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066・吉田法晴
○吉田法晴君 ちょっと時期がおくれましたが、先ほど人事局長から御説明がありました自衛隊の中での旧軍人の数と、これはいわゆる自衛隊の中でのあれだと思うのですが、もう少し詳細に――幹部とおっしゃいましたけれども、その幹部のいろいろ階級もあるようですが、表にしてお出しを願いたいと思います。それを一つお願いをしておきます。出せるかどうか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/66
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067・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 今、手元に階級別の数字を持っておりますから申し上げましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/67
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068・吉田法晴
○吉田法晴君 関連ですし、あとで出して下さい。
それから先ほど、これも人中局長でしたが、行政管理庁の監督といいますか、これは形は多少違うけれども受けている。先般の縮小についても自衛隊としても、防衛庁としても同じような歩調を合せてやったというお話でしたが、新聞紙で拝見をしますと、たとえば課長とかあるいは係長というのですか、そういうあれがないので、実質的には十分行われなかったといった新聞記事を拝見したのです。防衛庁の中の特殊性から考えて、たとえば他の分野については課長とかあるいは係長とかいうものが防衛庁の中にない。あるいは自衛隊の関係についてはなおさらです。従って同様の、何と申しますか、基準で行われなかったのかどうか。それからさらに自衛隊の制服についても、同様の、他の官庁において整理あるいは縮小が行われた場合に、自衛隊の中でも同様のことが行われておるのかどうか、その意一つ補足的に御説明を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/68
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069・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) お答えを申し上げます。これは最初の方のお尋ねでございますが、新聞等で出ておりましたことと申すのは、実はこういうことでございます。防衛庁におられる職員は、参事官、課長、部員、事務官、技官、教官といろいろございます。そこでその課長について、課を減らしますると課がなくなるわけでございますけれども、しかし仕事の実質からいたしまして、それに相当するような重要性を持っておる仕事につきましては、ある程度権限と責任のある仕事をし得るような体制にしたい、こういうふうに実は考えておるわけでございます。そこで今問われわれの方といたしましては、課長というのを書記官という官名に変えたいということを考えまして、今度の行政機構の組織法の改正案に加えて出しておるのでございます。それが新聞等で伝えられたのであります。それから課の整理につきましては、閣議できめられました基準に従いましてやりましたのでございまして、特別に防衛庁について例外を認められたということはないように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/69
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070・吉田法晴
○吉田法晴君 答弁が落ちておりますが、それは内部部局について十分行われたかどうか、内部部局についても多少事情が違っておるのじゃないかという質問をしたのですが、それについては今一応御答弁がありましたが、ところが自衛隊の制服については同じようなあれが行われたか、これについては何ら御答弁がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/70
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071・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) この政府できめられた基準は、内部部局ということでございまして、私どもの方といたしましては、内部部局についての課の整理を行なったということになっておるのでございます。これは他の官庁と同じような基準でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/71
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072・吉田法晴
○吉田法晴君 ところが政府で話をしたのは、あるいは国会で定員法とかいろいろなものを論議しましたときには、内部部局とか――制服とかいうものはあなたのところ以外にはないのですから、それは閣議で相談をされようとも、あるいは国会で論議をしようとも、それはあなたの方の特殊性を考えないで、一般的な論議がなされる。それを持って帰った場合には、あの話は人員の問題にしても、あるいは拡張の場合はどんどん定員については特別法でふやしていく。それは縮小の場合にも、あるいは整理の場合にも、あれは内部部局の話であって、制服については別問題だ、こういうことでその一般原則が除かれた。それが先ほど田畑君が言う行政管理庁の相談なしに定員がどんどんきめられていく、あるいはふえていくじゃないか、こういう質問なんです。それに関連してこの質問をしたんですから、あなたの方で勝手に、あるいは閣議の申し合せで内部部局なら内部部局についてのことであって、それは制服についてはないということは、先ほどの田畑君の何と言いますか、質問を肯定されたことなんですが、そうなんですか。もう少しはっきり御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/72
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073・船田中
○国務大臣(船田中君) これは閣議で決定した方針がただいま人事局長の説明申し上げたようなことでありまして、防衛庁だけが特別の扱いを受けたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/73
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074・吉田法晴
○吉田法晴君 初めから内部部局だけで、制服については入っていない、含まない、こういう了解ですか。それは他の省庁についても同様ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/74
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075・船田中
○国務大臣(船田中君) その通りでございます。そしてこの課を二割減らすということにつきましては、行政管理庁と十分協議をいたしまして、現に御審議願っておる法案が立案されたわけでありまして、防衛庁だけが特別な扱いは受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/75
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076・田畑金光
○田畑金光君 防衛力の増強計画に伴いまして、当然艦艇とか飛行機、武器等の装備の充実ということが考えられるわけですが、いずれ政府としては防衛力六ヵ年計画を正式にきめられて、軍備の体制をぐんぐん進められるものとわれわれは見ておるわけです。そこで先般来質問もありましたが、この防衛六ヵ年計画と防衛生産との関係について、政府は今後兵器産業をどう日本においては培養していくのか、いつまでもアメリカのMSA援助兵器に頼っておるわけでもありますまい。また承わりますると、アメリカから来る援助の兵器、ことに航空機等について、予定の数が入ってこないので、防衛庁としても防衛六ヵ年計画を練り直さなくちゃならぬ、こういう事態にもなっておるとわれわれは聞いておるわけですが、政府といたしましてはこの防衛生産についてどういう計画をもって進めていかれようとする御方針なのか、少し一つ詳細に大臣から承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/76
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077・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛生産の問題につきましては、今、田畑委員の御指摘になりましたように、日本の防衛生産は終戦後長い間の空白がございましたので、現状におきましては防衛生産態勢というものはまだ整っておりません。ただそのうちで艦船の建造及び通信機材の製造につきましては、ややこれが回復をいたしておりまして、現に海上自衛隊の使います艦船については着々建造ができつつあります。通信機材につきましてもある程度進んでおります。しかしその他の防衛出産について、たとえば重砲弾薬といったようなものにつきましては、これは御承知の通り昭和二十五年のあの朝鮮戦争のときに、これが域外買付を受けましたので、その方は現状においてある程度の施設を持っております。しかしこれに対して今、現状において防衛庁が多量の弾薬の注文をするというようなことはいたしておりませんので、この弾薬の製造施設につきましては、まだ十分これを育成するということにはなっておりません。その他の防衛生産につきましては十分整っておりませんので、この防衛生産をどういうふうにするかということにつきましては、関係の各省との間に協議を進め、検討を加えつつあるのでございますが、まだ具体的にどういうふうにしたらいいということの成案を得るまでに至っておらないのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/77
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078・田畑金光
○田畑金光君 艦船あるいは通信機材については日本でも相当のものが作られるようになった。これは戦前からの日本の造船技術等から判断しますと、当然のことだと思うわけですが、今日本の造船所で作っておられる船は、かつての駆逐艦程度の船のようでありますが、こういう日本で艦船等を作るについても、たとえば大型の船は日本では作ってはならぬとか、この程度以上はアメリカに発注するのだとか、アメリカの了解を、あるいはアメリカと協議をして作らなければならぬとか、こういうようなとりきめがあるのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/78
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079・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま御質問のようなことは、日米間に何らとりきめをしておることはございません。わが方で今まで注文いたしておりまする、日本の造船所に作らしておりまする船は、御承知の通り一番大きいのでも千七、八百トンというのでございますが、これは別に制限をされておるわけではございませんので、今のところ海上自衛隊として必要な艦船は、まずその程度で間に合うというようなことから、千トンあるいは千七、八百トンというものを、作っておるのでありまして、別にこれはアメリカとのとりきめによってそういう制限をもっておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/79
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080・田畑金光
○田畑金光君 将来かりに日本がアメリカの要請に応ずるだけの陸上兵力だけでなく、あるいは海軍でも航空でも持つようになってくるとすれば、当然千八百トン級の船だけではなく、大型の船も作るようになってくると、こう考えるのですが、この点はどうなんですか。ただわれわれの見たところ陸軍は日本で担当し、海軍、空軍はわが方でお世話してあげましょう、これがアメリカの率直な態度のようですが、後ほど御質問いたそうと思いますけれども、そうしますと、いつまでもアメリカの軍隊というものは海軍、空軍が日本にとどまるということになってきますが、その辺の事情はどういうことになっていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/80
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081・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛庁の試案として持っておりまする防衛庁計画の内容がたびたび御説明申し上げましたように、陸上十八万ということで、陸の方に相当重点がかかっております。ということは、これはたびたび御説明申し上げたことでございますが、米駐留軍の陸上戦闘部隊がまず最初に引く、こういうことでございますので、それらのことを考えあわせまして、陸上自衛隊の整備を先にはかっておるということになっております。海上及び航空につきましては、出発がおくれておりますが、海上については四年、航空についてはまだ二年にならないのでございますから、勢いその点におきましてはおくれております。陸上自衛隊の成長に対しまして海、空の方はおくれております。しかしこれは必ずしもアメリカの要請がどうであるからということではなくして、わが国の防衛体制として自主的にわが方できめまして、そしてアメリカの供与艦船、兵器、飛行機等をも考慮しつつ、わが国の国力と国情に沿うところの自衛体制を整備するという一貫した考えを持って進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/81
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082・田畑金光
○田畑金光君 結局アメリカが一つの戦略的な立場から、日本の方に空軍も海軍も自力で一つやってみてくれ、こういうようなことになってきますと、当然日本としては今陸上兵力の増強に努力を払っておると同じ程度に、空軍や海軍の増強に努力を払うようになるのが当然のことになってくると思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/82
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083・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛庁の責任者といたしましては、昭和三十五年度の最終年度におきまして、陸上十八万、海上艦艇十二万四千トン、航空自衛隊において千三百機というような目標を立てまして、その目標をまず達成するということに努力をいたしております。もちろんこれは今後の具体的な検討によりまして、多少の変更はあるかと思いますが、その目標を達成するということに最善の努力をいたして参っており、また今後もいたして参るつもりでございまして、それからさきのことは、現在においては何とも申し上げかねる次第でございます。計画を持っておらないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/83
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084・田畑金光
○田畑金光君 防衛庁といたしましては、本年度以降、無線誘導弾の試作研究を開始するということで、防衛技術研究所の機構の充実、あるいは予算面の増額等もはかっているわけです。すでに無線誘導弾の試作の必要から、スイスの会社から購入計画も立てておるようでありまするが、そういうような御計画をお持ちなのかどうか。当然持っておられることでありますので、その計画の内容等について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/84
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085・船田中
○国務大臣(船田中君) 無線誘導弾は、これは防衛兵器としてきわめて適当なものであると考えます。そこでこのGMの研究は、今までは書類によって調査研究しておりましたが、実物について具体的にこれを研究するということが必要であると存じまして、昭和三十一年度の予算においてはある程度の予算の計上を認めていただいたわけでございます。なお、具体的のことにつきましては装備局長なり、あるいは防衛局長から御説明をいたした方がいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/85
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086・久保亀夫
○政府委員(久保亀夫君) お答え申し上げます。ただいま長官の印されたごとく、調査につきましては昨年度七、八百万程度、前々年度は五百万程度の金額で実施いたしましたが、もっぱら机の上の調査をいたしまして、相当基礎資料は集めたわけでございますが、その重要性を考えまして、三十一年度から試作の一部を開始することといたしたのであります。その具体的内容といたしましては、何といっても現場を一つ手に入れたいということで、現在世界中で商業ベースで手に入るものはエリコンの誘導弾一つでございまして、この対空誘導弾を地上設備ワン・セットと、それから誘導弾体十発を購入したいということで、その予算額の合計は三億六千万余りでありまして、そのうち本年度分が一億六千万、それから来年度分が二億弱ということで、予算外契約でございますが、三億六千万強となっております。そのほかに購入いたしました誘導弾を勉強いたすためにも、またそのうちに含まれていない部分を研究するためにも、約四千七百万ばかり、たとえばロケットの関係でありますとか、ホーミングの関係でありますとか、若干の項目をあわせて上計したいということで、合計四千七百万ばかりの予算を購入費のほかに計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/86
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087・田畑金光
○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、これは商業ベースの関係からスイスのエリコン会社から購入するという方針をとられたのは、アメリカの方からはこれはどういうわけで入れてもらえないのか、軍事機密その他の関係、あるいはこういうようなことまでは日本はやらなくてもいいというアメリカの気持があってアメリカの方からは入ってこないのか、昭和三十一年度から重要な情勢にあるので防衛無線誘導弾の試作を始める、こういうような方針がきめられたというのは、どういう情勢判断の下に、こういう兵器の生産に着手されたのか、一つその辺の事情をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/87
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088・船田中
○国務大臣(船田中君) 誘導弾というものは、防衛兵器としては非常にこれは適切なものであると存じますが、何とか日本でも研究をし試作をしてみたいと従来から考えておったわけでありますが、アメリカ側からこれに当るような適当な誘導弾が供与ができますれば、早い機会に供与を受けられますれば、これは大へんいいのでありますが、しかし今のところちょっとそういう見込みが十分立ちませんので、スイスのエリコン社から誘導弾を買い入れて、そうして具体的な検討を加えて、わが方においてもこれを自作するようにしたい、こういうようなことで予算を計上した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/88
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089・田畑金光
○田畑金光君 これは無線誘導弾というのは防衛兵器とおっしゃいますが、防衛兵器なのか、それとも攻撃兵器なのか、今の世界の軍事常識からいった場合、これはどっちに見るべきものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/89
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090・船田中
○国務大臣(船田中君) これはむしろ防衛兵器として見るべきものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/90
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091・田畑金光
○田畑金光君 そう独断されては非常に困るので、大して大臣も軍事兵器の知識があるお方とも見受けられないので、そう独断されたんじゃ非常に迷惑であるので、一つだれかこういうような問題について専門の人がおありでしょうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/91
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092・林一夫
○政府委員(林一夫君) エリコンにつきましては、その性能から申しますと、最大射程が二十キロメートルということになっております。きわめて短距離の射程を持っております。当方でこれを試作研究すると申しますのは、もちろん地対空の誘導弾として防空用のものであります。このような性能からしても、これが攻撃用としては考えられない。地対空、防空用として考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/92
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093・田畑金光
○田畑金光君 先般からいろいろ問題になっております例の急迫不正の侵害で座して自滅を待つよりもというような場合に使うというのが、この無線誘導弾になるわけですか、どうですか、大臣に一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/93
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094・船田中
○国務大臣(船田中君) この席からもたびたびその問題については答弁申し上げ、御説明申し上げたのでございますが、もし不幸にして日本の区域に侵略が起ったと、こういうような場合には、もちろん行政協定二十四条の規定によりまして、日米間においてどういう共同措置をとるかということを協議をいたしますし、またそのときにはおそらくいち早く国連に提訴するというようなことが行われると存じます。もちろん防衛出動するようなことにつきましては国会の御承認を得て防衛出動をすると、こういうことでございます。この敵基地をたたく云々の答弁を申し上げたのは、きわめてまれなことと思いますが、そういうまれな場合に急迫不正な侵略があって、そしてそれを防ぐのに他に何ら方法がないというときに、全く自滅を待つというのは、いかに平和憲法においても、それを認めるというわけではあるまい。だからそういう場合には自衛権の発動はあり得るんだという、理論的の御質問に対して理論的のお答えを申し上げたわけでありまして、現実にどういう場合になったら敵基地をたたくんだということを現実に考えて、そしてその用意をしておるということではありません。もちろんただいま防衛局長が御説明申し上げましたようなエリコン社から誘導弾を買い入れて、これを研究すると申しましても、それによってただちに敵基地をたたくかというようなことを考えておるもの、では毛頭ございません。で、この誘導弾は、地上から侵入してくる敵の飛行機を撃つ、地対空の攻撃をする、あるいは敵の侵略に対して反撃をすると、こういうのでありますから、それはいわゆる大陸を横断していく大きなICBMといったような攻撃兵器ではありませんで、これはどこまでも防御兵器であるというふうにわれわれは考えておるわけでありまして、そういう防御火器はぜひ研究をし、そしてできるだけこの科学技術を動員いたしまして、経済的な防衛体制を整備したいという考え方からエリコンの研究もしていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/94
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095・田畑金光
○田畑金光君 この無線誘導弾は憲法のいわゆる陸海空軍その他の戦力、その他の戦力の中に入りますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/95
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096・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま申し上げたような趣旨において誘導弾を持つということは、憲法九条の禁止しておる戦力ではないと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/96
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097・田畑金光
○田畑金光君 憲法の禁止するしないという問題じゃなくして、いわゆる常識的な意味の戦力の中に、これは入るかどうかと、こういうことをお尋ねしてるわけで、日本の憲法を前提する論議じゃないのです。これは戦力の中に入るのかどうか、一般軍事常識の面からいった場合に、これは何に該当するものか、この点について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/97
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098・船田中
○国務大臣(船田中君) 何に該当するかとおっしゃられれば、憲法第九条に禁止している戦力の中には、その範疇には入らないと、こう申し上げるより仕方がありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/98
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099・田畑金光
○田畑金光君 戦力では間違いないですね。ただ憲法の禁止する戦力ではないんだが、戦力には間違いないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/99
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100・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛権の範囲内にあるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/100
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101・田畑金光
○田畑金光君 いや、私は自衛権という権利を言っておるのではなくて、この無線誘導弾というものを言っておるのです。物理的な存在について、これは何かという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/101
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102・船田中
○国務大臣(船田中君) それでは田畑委員の御質問になる戦力というのはどういう定義をなさるのですか。それによってお答えを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/102
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103・田畑金光
○田畑金光君 それは何ですね、大臣、私が質問しているのですから、質問に答えてもらわんと。私に反問されるというのはおかしい。要するにですね、この戦力というものの中には、一般兵器等も入ると思うのですよ、私はね。だからそういう意味における陸海空軍その他の戦力と、こうなってきますと、単に頭数だけではない、当然に、頭数を実質的に戦力として仕上げるところのその他の兵器等も当然これは戦力の中に入るものであり、また憲法のあの条文からすると、それも当然予測しておるはずなんです。でありますから、二十キロの射程があると、海を渡って向うまで行くだけのこれは射程距離もないから防御兵器だと、こうおっしゃいますが、とにかく無線誘導弾というものは、われわれの聞いておる限りにおいては、現在の兵器の先端を行くものです。そういう意味におきまして、陸海空軍その他の一切の戦力は、これは保有せぬという、この戦力の中に該当するかしないか、これをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/103
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104・船田中
○国務大臣(船田中君) ですから憲法九条の禁止しておる戦力の中には入りませんということを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/104
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105・田畑金光
○田畑金光君 あなたの答弁を聞いていると、私はさっぱりわかりませんですがね。これはですね、どうですか、普通の一般的な常識で私たちは答弁をし、また解釈をしていかないと、質問者自身が混迷するわけです。一般兵器とかあるいはタンクとか飛行機も同様でしょう、無線誘導弾、こういうものは戦力というものの範疇に当然入るとお考えになりませんか、どうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/105
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106・船田中
○国務大臣(船田中君) 攻撃的の兵器という意味において戦力という意味にはならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/106
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107・田畑金光
○田畑金光君 飛行機や、そうすると、無線誘導弾というものは、攻撃の場合には絶対に使用されないということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/107
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108・船田中
○国務大臣(船田中君) これは一挺のピストルでも、これは戦う力という単純な素朴な意味においては、これは戦力とも言えるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/108
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109・田畑金光
○田畑金光君 ピストルと誘導弾とは違うですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/109
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110・船田中
○国務大臣(船田中君) しかしその憲法九条の禁止しておる戦力の中に誘導は入らないと私は信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/110
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111・田畑金光
○田畑金光君 たとえばもう少し、では、誘導弾が長距離の射程を持って、ある敵の基地までとどくような場合は、これはどうなんですか、これはどういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/111
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112・船田中
○国務大臣(船田中君) このごろ米ソあたりで問題になっておりまするいわゆるICBMといったような長距離を飛んでいく地対地の誘導弾といったようなものなら、これは攻撃的の兵器でございます。しかしエリコン社から購入して研究しようというのは、地対空の誘導弾であって、その程度のものを研究し試作をするということは、これは私は自衛権の範囲内において憲法九条も禁止しておるものではない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/112
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113・田畑金光
○田畑金光君 この問題でまた論議されても詭弁学をまた勉強することだけになりますので、また後ほどさらに別の機会に承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/113
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114・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/114
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115・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/115
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116・吉田法晴
○吉田法晴君 この問題は憲法九条の解釈じゃなくて、誘導弾が原子弾頭をつけ得るかどうか、そして憲法九条にいう戦力になるかならぬか、こういう質問であったと思うのですが、この間これはエリコン社のGMに限ったわけではございませんでしたが、オネスト・ジョンあるいはエリコン社のGMあるいは供与を期待されるというナイキ、そういうものをこれは一括してありましたが、誘導弾に原子弾頭をつけ得ると、こういう点は防衛庁御否定にならなかったわけです。そこでその点をもう一ぺんお尋ねをいたしますが、これはその当時オネスト・ジョンを持ち込みます際に、ハル元国連軍司令官がAP通信の記者に会見して話をされたところでは、原子弾頭をつけて発射できるロケット砲、オネスト・ジョンを日本に持ち込む問題は、今春私の東京出発前に取りきめられたもので――このロケット砲がというのですから、原子弾頭をつけて発射できるロケット砲を日本の防衛に特に必要だと考えて、日本に送るように要求したのである。しかもそのあれについては、日本の当局者は米国の原子兵器を日本に持ち込むことに対しては反対はしないであろう、こういうことが言われておりまして、少くともオネスト・ジョンについては原子兵器であるということが、ハル元国連軍司令官なりあるいは向う側から言われておる。こういう点をどういう工合にお考えになりますか、御否定になるのですか、明確に誘導弾とそれから原子弾頭との関係をもう一ぺんはっきり願いたいと思います。
それからもう一つ、私どもが聞いたところでは、今日本に原子弾頭があるかどうかはしりませんが、原子兵器の貯蔵庫として小笠原に原子弾頭その他原子兵器が貯蔵せられておるという話でございます。昨年オネスト・ジョンが持ち込れます際に、外国の報道によると、グアムというニュースもございました。これは事実ですから質実を長官に聞いてもしょうがないと思うのであります。防衛局長か次長か、一つ専門家から、そういう事実について御存じのところをお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/116
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117・林一夫
○政府委員(林一夫君) 最初の御質問でございますが、先日申し上げましたのは、オネスト・ジョン、ナイキというようなことについて一般的に原子弾頭を装置することができるものであるということを申し上げたのであります。日本に原子弾頭をつけたものを持ってくるとかいうようなことを申し上げたのではなく、原子兵器、原子兵器といいましょうか、原子弾頭が非常に小型になってきている、だからオネスト・ジョンとかナイキというようなものにもそういうものをくっつけるということができるということを聞いておるということを申し上げたのであります。あとの方の小笠原島とか、グアム島にそのような貯蔵倉庫があるかどうかということについては現在全然聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/117
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118・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 今臨時閣議の招集がありますから長官はもうよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/118
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119・吉田法晴
○吉田法晴君 どうぞ。今のちょっと念を押すだけでございます。申し上げたのは、大体全般のものについては原子弾頭をつけ得るという点をお認めになりましたが、少くとも日本に持ってこられるときには、原子兵器として、オネスト・ジョンなりの原子兵器を日本に持ち込むということで、向うからは持ち込まれたものである、そう言われておる、それをどういう工合に……、われわれの方は原子兵器としてもらったのではない、こう言われるのか、あるいは向うでハル元国連軍司令官なりはそういうことを言っておられるという点も御否定になる。それからグアムあるいは小笠原については、これはそういうニュースがありますことは間違いがございません。私はそれがグアムであるのか、小笠原であるのかしりませんけれども、これは局長でないかもしれませんけれども、日本の防衛庁で原子兵器であるオネスト・ジョンあるいはナイキが入ってくるのに、あるいは原子兵器がアジアに来ているのに、それについて知らぬというはずはない、あるいは知らぬじゃ済まされません、これは。局長が知らなければ、ほかの責任者でもけっこうですが、事実を知っているかどうかについては明確に一つ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/119
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120・林一夫
○政府委員(林一夫君) AP電報のことについては存じておりませんが、当時オネスト・ジョンが在日米軍に持ち込まれるときに、これを原子兵器として持ち込んだかどうかということについては、その後米軍がわが国においては原子弾頭を用いないということを伺っておるのです。次のグアム、小笠原のことにつきましては、何らそのようなことについては聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/120
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121・千葉信
○千葉信君 議事進行について。長官も退席されたのですから、そろそろ休憩したら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/121
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122・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) じゃ暫時休憩いたします。大体の予定は一時半とします。
午後零時十九分休憩
―――――・―――――
午後一時四十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/122
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123・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから再開いたします。
委員変更について御通知申し上げます。
本日松浦清一君が辞任せられまして、その補欠に亀田得治君が選任せられました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/123
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124・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 防衛庁設置法の一部を改正する法律案並びに自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。午前中に引き続いて御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/124
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125・田畑金光
○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、先般来米国駐留軍の撤退についていろいろ新聞で報道されているわけであります。政府の発表、あるいは大臣の答弁にもあったかと思いますが、現在アメリカの駐留軍は地上部隊にして四万一千名いるが、本年六月末までには約一万一千名の撤退を完了するので、地上の兵力が従って三万一千名になるようであります。で、この地上兵力は撤退して一部本国に引揚げるとか、あるいは沖繩に移駐するとかいうような話等がありますが、これはどういうことになっておるのか。日本政府等については何らこういう問題について具体的な話し合い等は事前にないのかどうか、あるのかどうか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/125
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126・船田中
○国務大臣(船田中君) 米駐留軍の撤退計画につきましては、前に日本側に通告がなされておりまして、それはこの前ここでも申し上げたことと存じますが、大体本年のうちに一万一千名ほど撤退する。ただいまお話しがありましたが、六月までにということではなくして、その一部は、空梯団のごときは六月上旬より撤退を開始するということでございますから、おそらく今年末までかかるのではないかと思いますが、とにかく今まで日本側に通告されておりました約一万一千名のものが撤退するということは、予定通りに撤退をいたすことになっておりまして、最近AP電か、UP電に出ておりました予定の計画が違ってきたという情報は、これは間違いであったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/126
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127・田畑金光
○田畑金光君 撤退したアメリカの軍隊は大体どこに移駐することになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/127
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128・林一夫
○政府委員(林一夫君) 騎兵師団の一部は本国に、海兵師団の一部は沖繩、空梯団も本田の方に引き上げる、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/128
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129・田畑金光
○田畑金光君 陸上兵力は一万一千名撤退して、なおかつ三万一千名前後残るわけです。ところが海軍部隊あるいは空軍部隊、これはまだ相当の兵力あるいは装備を備えているわけですが、この海軍や空軍については別に漸減するというようなこと等はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/129
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130・船田中
○国務大臣(船田中君) 今のところ米海軍、米空軍が撤退するという計画は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/130
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131・田畑金光
○田畑金光君 漸減するというようなこと等も現実は何らないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/131
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132・船田中
○国務大臣(船田中君) 現在のところ何も聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/132
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133・田畑金光
○田畑金光君 そういたしますと、この防衛支出金でありますが、たとえば本年度四百五億、昨年度、昭和三十年度は四百五十九億、こういうことになっているわけです。昭和三十一年度の防衛支出金の折衝に伴って、来年度以降の一般的な漸減方式が日米共同声明の中にうたわれているわけですが、この防衛分担金については政府としては今後ともあの声明の趣旨にのっとって処理していかれる、こういう御方針でありますか。ことに今のお話のように、空軍、海軍は何ら漸減する方針も聞いていなければ、政府としてもそのような様子を見ないということになって参りますると、防衛分担金というものは半永久的に日本は負担することになるわけですが、そういうふうに解釈していいかどうか、大臣の見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/133
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134・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛分担金につきましては、先般日米共同声明で申しておりますような一般方式というものが両者の間に協定されまして、その方針に従って米側では防衛分担金の削減に応じてくれることになっておりますので、日本側といたしましてはこの共同声明にありますような方向で進んで参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/134
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135・田畑金光
○田畑金光君 結局理論的にはアメリカの海空軍というものがずっと日本にとどまる限りにおいて、防衛分担金というものは漸減方式はとられたにしても、いつまでも日本はこれを負担しなければならぬということになるわけですが、そういうように理解していいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/135
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136・船田中
○国務大臣(船田中君) これは御承知かと思いますが、行政協定の二十五条軍費の負担というところの第二項の(b)に書いてあるわけでありまして、先般日米共同声明をいたしましたものは、これの扱いについての一般方式をきめたわけでありまして、その方式によりましてわが方の防衛庁費あるいは施設等提供費が漸増して参りますれば、防衛分担金はだんだん減っていく、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/136
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137・田畑金光
○田畑金光君 日本の防衛努力がだんだん進んで参ります。そうしますと、当然防衛庁の経費がふえていく、ふえた半分だけは減らしてくれる、これが一般方式でありますが、その際、私のお尋ねしているのはアメリカの空軍や海上の部隊はずっととどまっておるといたしました場合に、このお話の行政協定二十五条の第二項の建前から申しまして、漸減方式はとられるにしても、向うの海上、空軍部隊がとどまる限りにおいては、この行政協定を根本的に廃止するとか、改訂しなければ負担金が免除されるということはないのかどうか、この点をお尋ねしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/137
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138・船田中
○国務大臣(船田中君) 日米共同声明にあります一般方式に従って、わが方の防衛関係費用がだんだん増して参りまして、防衛分担金が零になるということもあり得るわけでありまして、防衛分担金が零になったら、そのときは米駐留軍がいなくなるのかということとこの問題とは別箇に、防衛分担金を漸減していくということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/138
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139・田畑金光
○田畑金光君 四月七日の日本経済新聞によりますと、西独政府が米英仏三国に対する防衛分担金の支払いを拒否することにきめて、六日にボン駐在の三国大使館にこの旨を通告した。従来西独は米英仏三国軍の駐留費として年間三十二億マルクを支払っていたが、今回長い間、懸案となっていたこの問題について分担金の負担打ち切りを通告しているわけであります。この結果、米国は三億ないし三億五千万ドルの支出増、英国は年間約一億九千六百万ドルの支出増、フランスも相当額の支出増となって来るので、ことに英仏の経済状態は、これがために相当影響を受けるであろう、こういうような新聞報道がなされておるわけです。考えて見ますと、アメリカの軍隊が日本に駐留するということは、日米共同防衛という条約の建前もさることながら、突き詰めていきますと、結局アメリカの極東戦略の一環として日本にとどまっておるわけであって、もうこの時期になれば当然日本としても防御分担金等については打ち切りをやってもいい時期じゃなかろうか、あるいは漸減方式、一般方式なんというようなことでなくして、この際、西独等のこの措置にならうべき問題ではなかろうか、こう考えるわけですが、政府として、あるいは防衛担当の大臣としてそれだけの考えはありませんかどうかお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/139
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140・船田中
○国務大臣(船田中君) 西ドイツ政府が防衛分担金を英仏米三国政府に対して、拒否したというような記事につきましては、新聞記事は読みましたけれども、その真相ははっきりいたしておりません。これはよく研究いたしてみますけれども、どうも納得のいかない記事ではないかと考えるのでございます。
なお、あとにお尋ねになりました日本については今日の現状におきまして米駐留軍が日本防衛のために駐留しておるということは必要でございまして、従ってその経費の分担を日本政府がやるということは、これはやむを得ないことであり、これを今直ちに拒否するというような考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/140
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141・田畑金光
○田畑金光君 こういう重要な新聞の報道等について防衛庁として真偽のほどを確かめてない、調査されていない、私は重大な失態だとこう思うのです。この点に関しまして今の防衛庁は海外の情報等についてどういうような形、どんな機関を通じ情報等を収集されておるのか、いろいろ膨大な機構等を持っており、毎年使いきれない予算をかかえて不当な支出だけやって、国民の怨嗟を買っておるのが、今の防衛庁の実態ですが、こういう大君な問題等についてなぜもう少し西独等の行き方についての調査をなさっていないのか、なさろうとする努力を払う意思があるのかどうか。もし調査してなければ、すみやかに調査の上大臣から直接私は御答弁を願いたいと思いまするが、もし西独等においてそういうような措置がとられておるとするなら、日本政府としても、こういう行き方に大いに一つ学んで努力を払う意思が出てくるかどうか、大臣の見解を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/141
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142・船田中
○国務大臣(船田中君) 海外の情報等につきましては、わが政府の在外公館の手を通じて情報を得るという以外に、現在のところは防衛庁が直接その手段を持っておりません。西独のただいま御指摘のようなことが果して事実であるかどうかということについては調べてはおりますけれども、まだその真相ははっきりいたしておりません。しかし新聞の報道が常に必ず正確であるかどうかということについては、先ほどお尋ねのありました米駐留軍の撤退の計画が変更されたというようなAP電につきましても確かめてみるというと違っておるという場合もございますから、その新聞記事だけをもとにして、私がここに政府の見解を申し上げるというわけには参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/142
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143・田畑金光
○田畑金光君 私は単に新聞の記事だけをよりどころにして質問しておるわけじゃない、と申しますのは、日本の政府が歴代とつてきた態度をみますると、あまりにイエス・マン式過ぎるということです。アメリカに対して何一つの自主的な立場で話し合いを進めるだけの勇気もなければ抱負もない。その自立と自尊心のない従来の政府の態度をみたとき、われわれとしては遺憾きわまる感じを持つわけです。しかし西独の行き方等をわれわれがみた場合に、確かに西欧陣営の中にあるということはわれわれもよく承知をいたしておりますが、しかしそれではあるが、なお主張すべき点は堂々と主張しておる。独立国家としての体面を常に維持し、西欧諸国に対しましてもアデナウアー政権の態度をみても、われわれはドイツの民族のほんとうに新らしい立ち上り方を感ずるわけです。そういうような今日までの両国政府のとってきた態度を比較検討した場合に、この四月七日の新聞記事等は西独においてはさもありなんという感じを私は持ったから、この新聞記事をもってあなたに質問したわけです。それで調査の結果、かりにこういう事実が西独等に発生をしたとするならば、日本政府としても同様にこれにならうだけの勇気があるかどうか、この点を承わるとともに、いつごろまでに調査して本委員会において大臣から御報告が伺えるか、その点もあわせてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/143
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144・船田中
○国務大臣(船田中君) 西独の事情については十分事情を調査して、これをわが国の施策を行う上においての参考に供していくことはよろしいと思いますから、われわれも今後も十分研究、調査をして参りたいと存じます。しかし、西独側でどういう措置をとったかということが、その真相が判明したからといって、それによって必ず日本がこの西独側のやったことにならわなければならぬということはございません。従いまして日本といたしましては、従来米安保条約によってわが国土の防衛を共同で責任を持って担当しておる、こういうことであり、そして今後におきましても、この状態をにわかに変更するという考えは持っておらないのであります。しかし、その間におきまして、わが方において自衛態勢を整備するにつきましては、もとより日本の自主性をもって国力、国情に相応する最小限度の自衛態勢を荒々整備するということに努力をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/144
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145・田畑金光
○田畑金光君 今の私の質問の最後の点、すなわち西独の実情を調査の上、本委員会において大臣から直接私は事情を承わりたいと思いますが、いつごろまでに一つ返事してもらえるか、調査が願えるか、この点もあわせて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/145
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146・船田中
○国務大臣(船田中君) 今の御質問の点ですが、ここに日を限っていつその結果を申し上げるというわけには参りませんが、私どもといたしましては、できるだけその真相をはっきりさせるようにいたしたいと思います。事実がわかりさえすれば、いつでも御報告を申し上げることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/146
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147・田畑金光
○田畑金光君 現在アメリカ国の軍隊が撤退をして一部本国に帰り、一部は沖繩に移駐しておる、こういうことを聞いておるわけであります。最近の情報によりますると、今年の秋沖繩においては百二十七億に上る大規模な海兵基地等の建設計画が進められておるようであります。永久の要塞地帯化に発展しているのが沖繩の実情でありまするが、しかも沖繩においては復帰運動がますます熾烈化してきておるという状況であります。復帰運動が熾烈化するに応じて、アメリカ軍隊の現地住民に対する圧力、圧迫というものが加わってきておることは、これも真相であります。先般の選挙等においても復帰派の野党に対して圧力が加わったということも伝えられておりまするが、これも事実であることをわれわれは承知いたしております。ことにきょうの朝日新聞にも出ておりましたが、この海兵基地の建設計画等においても、非常に日本の業者に対して不当な契約条件、不当な要求をアメリカ軍当局はやっておる。こういうような問題が現実に進行しておるわけであります。サンフランシスコ条約によって、沖繩等については、日本の潜在主権が認められておるということでありますが、日本から撤退する軍隊がますます沖繩に集結して、永久の軍半基地化しよう、要塞化しよう、東洋の最大のアメリカの侵略基地に作り上げよう、こういうような態勢にあるわけです。この点に関しまして、こういうような問題等については、日本政府としては何らの発言権もないのか。一体現地住民の復帰運動に対しても、これはもちろん外交交渉の問題でありまするが、そういう声を政府もよく承知しておるはずです。また先ほど申し上げましたように、現実に基地建設の事業において、日本の業者が不当な圧迫を加えられておる、こういうような問題について、日本政府は口を閉ざして何も言えないのか、言って、何か話を進めて実は今日までやってきたのかどうか、この点、一つ大臣から政府の考え方というものを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/147
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148・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま御質問のことにつきましては、外務大臣から御答弁申し上げることが適当だと存じます。私としては直接その徳に当っておりませんので、ここに責任をもって申し上げるわけには参りませんが、ただ私は一日本人としては、どこまでも沖繩がなるべく早い機会に日本に復帰するということを希望いたしております。その希望は政府も万々承知いたしているのでありますから、外務大臣から、すでにアメリカ政府に対しては、その希望が強く主張せられておることと信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/148
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149・田畑金光
○田畑金光君 あなたに外務大臣の答弁を要求しているわけではなくして、撤退軍が、いや日本を撤収する軍隊が沖繩に移っていって、大いに向うでアメリカの基地の強化のために努力をしているという、この点に関して、日米共同防衛という立場から言って、日本の防衛問題の最高責任者である船田さんは、この問題等について何か考えがあってしかるべきだと思うわけであります。あなたの所管する防衛の観点から言って、さっき言ったような点についてはどう考えられるか、これをお尋ねしておるわけで、もう一度一つ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/149
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150・船田中
○国務大臣(船田中君) 私としては沖繩が日本の完全な領土としてすみやかに返還されることを希望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/150
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151・田畑金光
○田畑金光君 アメリカの兵隊が沖繩に移駐する、こういうような問題等については、日米共同防衛という建前から、日本政府には何らの相談もないのですか、それは向うの方で日本政府、あるいは具体的にはあなたならあなたと何らの話し合い等もなくて、アメリカ政府自身の、あるいはアメリカ極東軍の随意の考え方で処理されておるのかどうか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/151
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152・船田中
○国務大臣(船田中君) 米駐留軍が日本を撤退するということについては通告を受けております。しかしそれが沖繩に行くということについて、その行き先について明瞭に通告を受けておるかどうかということについては、私自身は現在承知いたしておりませんから、その点は事務当局の方ら御答弁申し上げることが適当かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/152
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153・田畑金光
○田畑金光君 いや、私は事務当局からこんなことを聞こうと思って尋ねていないのです。こんな重大な問題が、これは大きな、国と国との話し合いでしょうから、事務当局の話し合いじゃなくして、大臣としてこの問題についてどのように関与されてきておるのか。大臣なんか素通りにして、事務当局と話し合いを進めておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/153
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154・船田中
○国務大臣(船田中君) 日本区域から米駐留用がいつどれくらい撤退するかということの通告は受けておりますけれどもそれ以上は、その駐留軍がどこにいくかということについては、通告を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/154
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155・田畑金光
○田畑金光君 あなた方は質問すると、すぐ、日米共同防衛の建前からと前置きして、これだけの負担をするのはやむを得ない、これだけの基地を提供するのはやむを得ないと、いつもわれわれ国民には言われておりまするけれども、共同防衛の立場であるならば、なぜもう少しアメリカの軍隊の移駐等についても、しかもそれが現実に日本の領土である沖繩等において、ああいう形で現地住民が痛めつけられる、土地を取り上げられる、自由が拘束され、あるいは民主主義は全く抹殺されておる、こういうような事態に対して、なぜあなた方は国民に対して怒りを感じて、独立国家なら独立国家の防衛庁長官のような態度でもって、話し合いくらいはする元気がないのですか。ただ向うから、ごむりごもっともと向うから報告があれば承わっておく、その通り従ってやる、それだけでよろしいのかどうか。日米共同防衛というものはそういう一方的なものであっていいのかどうか、あるいはもしそういうようなことが許されるとするならば、当然条約の改訂、その他日本政府として取るべき手があると思うのだが、この点大臣はどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/155
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156・船田中
○国務大臣(船田中君) 日本の国土の防衛につきましては、日米共同責任でもって防衛に当っておるのであります。従いまして日本の国土の防衛については十分アメリカ側と話し合っていくわけでありまして、わが方において主張すべきものは主張をし、また供与を受くべきものはできるだけ供与を受けてそして日本の自衛体制を整備するというところに努力をいたしておるわけであります。しかし今お話のような沖繩の問題になりますというと、これは日本は潜在主権は持っておりますけれども、現実にはアメリカが信託統治をいたしておるのでありまして、これは日本の領土と全く同じに見るというわけには参りません。従って米駐留軍が、現在主権を行使しておりまする日本の区域から撤退するということについては通告を受けますけれども、それが沖繩に入っていくということについて、わが方として一々これに干渉をするというわけには参らぬのでありまして、従ってそういうふうな問題については話し合いをいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/156
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157・田畑金光
○田畑金光君 防衛庁の予算の問題について若干お尋ねしますが、これはますますふえていくだけで、もうすでに本年一千億を突破いたしておるわけです。昭和二十九年度から三十年度に繰り越した額がたしか二百二十二億でありましたか、二百億を突破いたしておるわけであります。ところが大蔵省でこのほどまとめた三十年度の予算執行状況を見ますると、国の総予算の中で二月末の現在、歳入は補正後の予算でありますが、七五・六%、歳出は八〇・三%の支出の実情を示しておるわけであります。ところが一番その予算の面と、現在の支出の状況とがアンバランスになっておるのが防衛庁であるといわれているわけです。二月末でありますが、防衛庁関係支出割合は前年同期とほぼ同じく四六%で依然として使い残りが多く、三十一年度への繰り越し額は前年度から三十年度への繰り越し実績に似たようなものである、二百億台に上っておる、こういわれております。これはどういうわけでこういうことになるのか、まずその理由を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/157
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158・船田中
○国務大臣(船田中君) これは予算委員会等におきましてもたびたび御説明申し上げたことでございますが、防衛庁関係の経費の中に器材費のようなものがございます。あるいは施設費、こういうようなものは御承知の通り終戦後長い間防衛生産というものが空白になっておりましたので、そこで艦船、あるいは兵器類等を注文いたすにつきましても、その注文について仕様書を作り、設計をするということには相当時間と技術を要するのであります。また施設関係の費用については、たとえば演習場を獲得するというようなことに相当長い間時間を要するというようなことがおもな原因となりまして、従来繰り越しが非常に多いということになっておるのであります。もちろんその間に機構の上において多少至らないところもあったかと存じます。そこで一昨年自衛隊、防衛庁が新たに発足するにつきまして調達実施本部というようなものもでき、まして、その点についてはだんだん機構の整うに従って、ただいま申し上げたような隘路が開拓されつつある、こういうことでございます。ただ三十年度の予算につきましては、御承知の通り三カ月間遅れて国会において予算が成立したというような関係からいたしまして、だいぶその消化が遅れておるということは事実でございます。しかしただいまおあげになったその数字は一月末か、あるいは二月初めのことでございまして、その後勉強した結果、年度末においてはその金額を遙かに下回っておるはずでございますが、それらの詳細なことについては私ここに記憶いたしておりませんので、経理局長から御説明申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/158
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159・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 三十年度の予算執行状況でございますが、二月末におきまして防衛庁の予算の執行済みとなりました、支出済みとなりました金額は、割合で申しますと五九・二%、新聞には四〇%と出ておったと思いますが、実際は五九・二%、その後の状況はまだ三月末ははっきりわかりません。なお三月末、さらに四月一ぱいの出納整理期間をおきませんと、確実な推算がつかないわけでございます。ただいろいろな資料から一応推定いたしますと、昭和三十一年度へ繰り越されるであろうと思われる金額が、ただいまのところ約二百十三億円というふうに見込んでおります。過去の面におきまする繰り越し金額は、昭和二十七年度が二百九十億、昭和二十八年度が二百五十七億円、昭和二十九年度は二百三十五億円でございまして、年々減少はいたしております。三十年度の繰り越し金額も前年度に比べましては減少することと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/159
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160・田畑金光
○田畑金光君 だいぶ無理して使っておるので繰り越しの額も少くなっていくようですが、とにかく毎年々々二百億以上の金が余って使い途に困っておるわけです。その他の予算において、特に社会保障関係の予算等においては、今の政府の予算というものは、まことにこれは雀の涙みたいな予算で、であるからして健康保険の改正等でああいう国民的な反対運動が巻き起っておるわけです。大臣としては先ほど来のお話のように国政全般、国のその他の施策全般との関連において防衛庁の機構あるいは定員等も検討されておるのだというようなお話でありましたが、予算等についても、支出が遅れるという理由もよくわかるが、もう少し節減して国家財政全般の立場において検討する余地があると思うのだが、この点は大臣はどう考えられるか。ことに一番不当な支出が多いというのは、防衛庁であるということはもう定評です。会計検査院の検査結果を見ましても、行政管理庁の検査の報告を見ましても、一番多いのは防衛庁であります。国の防衛をあずけるところが一番国費をむだ使いし、不当支出が多い、はなはだこれは残念なことだと思うのです。聞くところによりますと、今後機構の両等にもメスを入れる、あるいは自体監査についても検討されておるという話でありますが、どういう構想をもって今後このむだ使い等をなくして、あるいは不当な、不正な支出をなくしていこうとするのか、あるいはこういう事態に対しましては大臣は責任をちっとも感じていないのかどうか、大臣の答弁を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/160
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161・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛庁費の経理の上におきまして、会計検査院から批難事項が出ておりますことは、私承知いたしております。その批難一項のうちにはまことにごもっともな批難であって、防衛庁の支出担当官が間違っておったというようなものもございます。しかし批難事項令部が当っておるわけではございませんので、これに対しましては防衛庁として釈明すべきものは十分釈明をいたしまして、そうして現に昭和二十九年度の決算につきましては御審議を願っておるわけでございます。しかしただいまもお話がありましたように、防衛庁の経費だけが特にルーズに行われておるというような事実は全くございません。これは私は防衛庁及び自衛隊の名誉のためにはっきり申し上げておきます。批難事項のうちにも、当らない批難事項がかなりございます。それらの点はわれわれも十分説明を申し上げて、そうして会計検査院の批難とわれわれの説明することとのどちらが正しいかということは、十分皆様方の御判断によりまして、防衛庁側が間違っておる、長官が責任を負うべきであるという御判断でありますれば、私は決して責任を回避するものではないのでございます。今後の問題につきましては、十分これは注意をし、部内に戒飭を加えて、間違いのないようにしていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/161
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162・田畑金光
○田畑金光君 私は後段の、具体的などういう方法でむだづかいや不正等の支出をなくしていくか。だんだん防衛庁の予算というものはふえていくのです。おそらく防衛庁費だけで今一千億ですが、やがては一千四百億、一千五百値、こうなっていくでしょう。国の予算の、その他広範な意味の軍事関係費を入れますると、二割以上の予算になるわけです。そういう膨大な予算を預かる防衛庁の長官として、国民の安心のできるような具体的な施策というものが準備されていてしかるべきだと思うのです。この意について具体的にどんなことを考えているのか、その点をお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/162
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163・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛庁費を支出する最も大きな部分は器材費あるいは施設費というようなところでありまして、それにつきましては、先ほど申し上げたように、機構の上において調達実施本部、建設本部というものを設けまして、その機構の拡充をいたし、そしてまた責任をそれぞれが分担をいたしまして、間違いのないようにしていくという方法をとっております。なお、部内の事務の監査を厳重にいたしまして、間違いのないように努めて参り、また各幕僚及び自衛隊におきましても、警務隊というような監察機構を置きまして、そうして支出について間違いのない支出ができるように十分部内においての監察制限を拡充して間違いのないことを期していきたい、現にこれらはやっておることでありますが、今後におきましてもその点を十分強化して参りたい、そうして間違いのないようにして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/163
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164・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この防衛庁設置法の一部を改正する法律案と自衛隊法の一部を改正する法律案は、戦前の観念からもってみますと、陸上自衛隊すなわち陸軍につきましては一万名の増員でありますから、約一個師団の増設に相当するものであると思うのでありますが、それからこれに伴って海上自衛隊、航空自衛隊を若干ふやすことになるのでありますが、そこでこのようにして年々自衛隊の増強をやられるに当りまして、長官としてこれは国際情勢に即応してやられるものであるか、そういう世界情勢とは全然切り離して、独立したのであるから自衛力を持つのだ、漸増するんだ、こういう工合である程度の目標まではやっていこう、こういう考えでやっておられるか、どちらであるか、一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/164
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165・船田中
○国務大臣(船田中君) 国際情勢を十分勘案いたしまして、わが国の国力、国情に相応する自衛態勢を整備するという方針のもとに努力しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/165
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166・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは今の国際情勢は、自衛隊をこのように一個師団増設を行なわなければならないような情勢にあると判断されるわけですが、どういうふうに国際情勢をとらえられておるかということについて、これは大事な問題だと思うので、一つ長官から見解を明かにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/166
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167・船田中
○国務大臣(船田中君) 国際情勢につきましては、外務大臣が外交報告をいたしておりまするその中に、国際情勢の分析をいたしまして、これについての政府の見解を述べております。私は大体においてその見解に従っておるわけでありまして、すなわち一般的情勢といたしまして、今直ちに原水爆をもってする第三次世界大戦が起るとは考え、ておりません。しかしながら、さればといって部分戦争あるいは冷戦というものが全く終息したと断言することもできてないし、また最近の歴史しの事実、われわれのまのあたりに見ておる事実等を見ましたときに、この国際情勢に対処する独立日本といたしましては、どうしても国力、国情に相応するところの自衛態勢を整備して参らなければならん、かように考えまして、また政府もその方針のもとに最小限度の自衛態勢を整備するために年々ある程度の増強をいたしておると、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/167
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168・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、今後国際情勢の変化に伴いましては、今俗に言われております防衛六カ年計画といったようなものは、場合によってはあなた方の言われる急迫不正の侵害があるかもしれぬということになれば、これはピッチを上げなきゃならん、それからそれが遠のきそうだということになれば六カ年計画したのを十年計画ということにもなることだと思うのでありますが、そういうように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/168
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169・船田中
○国務大臣(船田中君) 今後の国際情勢がいかに変化するかということは、今予測はできません。非常に大きな変化があれば、それを考慮してわが自衛態勢を整備するということはもちろんでありますけれども、しかし今防衛庁で試案として持っておりまする三十五年度において掲げておりまするその数字を達成するということは、今後数年、近い将来を見通した国際情勢から見ましても、この程度の防衛力を持つということは適当である、これは日本の現状においては必要最小限度のものである、かように考えておりまして、これをにわかに変更する考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/169
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170・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは、急迫不正の侵害ということが盛んにあなたの答弁以来言われているのでありますが、大体考えられる急迫不正の侵害の最も危い地点、日本地域においてどの辺を特に強化しなきゃならぬか、日本全土平均するというと要衝はどの辺だと重点的に考えておられるか、その点がありましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/170
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171・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛態勢を整備するということから考えました場合において、やはり辺陬の北海道、九州というものに重点を置いておることは事実でございます。これはあらゆる場合を想定いたしまして、現に今までもそれをやっておりますが、今後におきましてもここ数年の間においてその方針が大きく変化することはなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/171
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172・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そこで次にお尋ねしたいのは、急迫不正の侵害という書案を使われたのですが、一体急迫不正であるか急迫不正でないかということの判断は一体これは総理大臣がやられるのであるか。だれが急迫不正、特に急迫は別として不正であるかどうか、これはどこでも不正とか正しいということはなかなか――主観の問題だと思うのですが、一体だれが不正であるかないかということを判断されるのか、一つお伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/172
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173・船田中
○国務大臣(船田中君) もしそれ今御質問のことが防衛出動ということにかかって参りまするならば、その最後の判断は国会においてなされるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/173
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174・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは他に適当な方法があるかないかということについても国会が判断をすると、こういうふうに解釈してよろしいのですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/174
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175・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛出動についてそれが適当であるかどうかということにつきましては、もちろん総理大臣が原案を出すわけでございますが、その内閣総理大臣の出された防衛出動の可否が最終的に決定せられるのは国会の判断によるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/175
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176・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それではお尋ねしておきたいのは、まあ急迫不正というようなときには、大体国会の承認を得るいとまなしに出動されて、そして事後に承認手続をとられることになる、これはやむを得んことと思うのです、大体において。そういうふうなことになりがらになるのですが、そこで部隊が総理大臣の出動命令によって出動をしている、そのときに国会においてこれは急迫不正であるかどうか、適当な方法があるかないかと言って論議をして、行ったことが悪い、いいというので、盛んに論議をしているというときに、一体前線に影響することはどうだろう。防衛出動によってとにかく弾の降るところに、第一線に同じ日本人が出ている。そのときに国会内において行ったのが惑いのいいのと言っておって、これは防衛できますかどうか。この点について防衛長官いかに教育しておられるか、すなわちこういうことはやっておっても、お前たちとにかくきまるまで行っているのだ、国会の承認を得られないときには撤退しなければならないから、承認が得られないときには撤退命令が出て帰ってくるのだが、果して急にそういうことが一体軍事行動としてやられるものかどうか、そういうようなことについて、この法律に矛盾を感じておられぬかどうか。法制局長官としてこれを見たときにはなるほど法律としての形をととのえておるが、少くとも防衛を担当する防衛庁長官としてこういうことがやれるものかどうか、一ぺん一つ所信を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/176
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177・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいまの菊川委員の御質問のようなことは、侵略戦争をやるというような場合においてはなるほどそういうこともあり得るかと思いますが、現在政府で考えており、また自衛隊法等において考えておりますことは全くそういうことを予想せずに、不正の侵略が起った場合にどうするかということを前提として、それに対する法制をととのえ、また自衛体制を整備いたしつつあるのでありまして、これは日本民族全体が不正と考え、また侵略を受けたと感ずるようなときでなければ、実際の防衛出動というようなことは起らないと私は考えております。従いまして国会においてそういうような論議が、つまり出動に対して反対のような論議が起って、そうしてそれが士気に影響して自衛隊が活動ができなくなるというような心配は私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/177
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178・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それはまあ直接侵略という場合には一応あなたの言うようなことを肯定しておきましょう。そこで間接侵略と言われる、いわゆるよく言われておる反乱ですな、反乱事件というか、暴動事件というようなものが起きて出動した、これもやはり出動しますが、これらのときにこの反乱は警察だけでいいじゃないかという議論、自衛隊まで出る必要はないじゃないかという議論は、これは当然起り得ることはと思う。これは情勢判断によっていろいろ違う判断がなされると思う。ところが総理大臣が国内で出動を命令してしまった。行ったところが、そんなことをやってけしからぬじゃないかということで、えらいけんけん諤々の議論が一月も続けられているといったようなときに、一体出動しているところの自衛官の諸君が果して任務にたえられるかどうか、自信をもってやれるだろうかどうかということを一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/178
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179・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいまの御質問のような非常に疑わしいときに治安出動をするというようなことは政府は考えておりません。従いまして国会の論議によって自衛隊の治安出動が左右される、そうして士気に関係して働けなくなってしまうというような事態はまず起らないのではないかと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/179
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180・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それはあなた理屈はそうだけれども、過去においてシベリア出兵につきましても、あのくらい軍の威力を発掘しているときでさえ、出兵是か非かというのでえらい大議論があったわけです。またたとえば日露戦争のときにあのくらい国をあげて戦争をやったのだと言っていたけれども、中にはやれという議論もあれば、これはけしからぬという反戦論もあったわけです。だからましてやこういうほんとうの最小限度、それから政府が思うのだから国会もそう思うのだというようにあなたは――それはもういわゆる戦争中の政府のやり方なら、それもいいかもしれんけれども、今はなかなか政府がそうやったからといっても、野党の方でこれはけしからぬと言うこともあり得ると思う。そういう議論が当然許されて差しつかえない。あなたのようなお考えだったら、政府がいいと判断して出動さしたのだから、国会においてもそんなものは起らんと思うと、こういうのです。こういうことは国会の言論を政府の思う通り持っていこうという意図も含まれていると思う。それは戦争中の国会だったら、そういうこともあり得るかもしれん。今平時において、しかも外国の兵隊が日本国土に来たという場合はあるいは別といたしましても、国内で暴動と政府が判断する場合もあるかもしれないが、いや、これは暴動ではないというふうに考える場合も当然起きてくるだろう。そういうようなときに一体国会で相当議論も戦わされることになるし、やかましい問題になると思うが、そんなときに自衛官が前線において果してどっちがいいかということに迷うことが起ると思うのですが、そういう点は今教育方針として、一体国会がどういう議論をしておろうとも、その結論が出るまではやるのだというふうな教育をしておられるのかどうか、その点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/180
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181・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛隊員の教育につきましては、自衛隊法の規定に従いまして、自衛隊員の任務を十分自覚せしめまして人格の陶冶あるいは身体の健全、思想の堅実、そういう点について十分訓練をいたしております。
なお先ほど私が答弁申し上げた中に、何か私が国会における論議を抑圧するようなふうにお取りになったようでございますが、それはそんなことを私は考えているのではございません。防衛出動にしても治安出動にいたしましても、国会で論議が起るような疑わしい場合に出動をするというようなことはなかろう、従って結果的にみれば、国会においてほとんど全員一致で承認されるような場合でなければ、防衛出動なり治安出動というものはやらないのだ、こういう意味において申し上げたのでありまして、国会における論議の自由なることは私も十分承知いたしておりますし、またそれを圧迫するなどという意味において申し上げたのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/181
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182・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういうことを防衛庁長官は言われますが、法律の七十六条ですか、ここで承認を得られないときには直ちに撤退しなければならぬ、帰ってこなければならぬというふうに書いてある。あなたの言うようでは、政府はそんなことはないのだというなら、こんな法律をきめておく必要はない。これは事実なんですから万一あったときには撤退しなければならぬ。一体そんなときにはどうして帰ってくるのかと私は思うのです。これは法律としてあるのです。防衛庁法の一部改正に当って、こういうことも考慮して改正されなければならないと思うから私は言うので、国会が不承認になったときのこともちゃんとこの法律にあるのですから、撤退しなければならぬ場合も当然考えなければならぬ。そのときに一体どうして帰ってくるのか伺っておきたい。昔のように豊臣秀吉が高松攻めをやったときのように近代戦においてはやり得ないと思うのですが、こういう法律の矛盾がある。一体そんなときにはどういうふうにして撤退手続をやるのか、降参して帰ってくるのか、一ぺんちょっと伺っておきたい。これは法律にあるのだから、防衛庁長官としてはやはりそういうことを考えておられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/182
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183・船田中
○国務大臣(船田中君) もちろん今菊川委員言われるような万一の場合ということもありますから、法律の規定としてはこれはあることが当然であると思います。しかし実際に防衛出動をし、あるいは治安出動をするというときには、おそらく国会でそう御論議になることのないような明白な場合において行われるものと考えます。すなわち政略戦華とか何とかいうことであれば、それは非常に国会においていい悪いの論議がなされるということもありましょうけれども、しかしほんとうの自衛の最小限度において自衛権の発動をするという場合におきましては、おそらく国会においてそんな反対論議が行われるということはなかろうと私は思います。しかしいずれにいたしましても、実態に即応してやらなければならぬことでございますから、その方法等についてはそのときの状況によってきまることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/183
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184・千葉信
○千葉信君 関連質問ですが、少くとも防衛庁の長官ともあろうものが、自衛隊法を知らないで現に答弁しておることは不届きだ。いいですか、今菊川君の言っている質問は防衛出動、それから第七十八条による治安出動、この場合と両方を含んで御質問申し上げておるのです。そうしてそういう出動をするような場合には、長官はよもや国会の中で意見が二つに分れるとか、その出動はいかぬなどという、そういう論議は起らないだろうという想定のもとにあなたは答弁されておる。いいですか、自衛隊法をごらんなさい。たとえば国会の開かれているときでも、緊急なりと認めたときは国会の承認を得ないで出動をする、その場合にはあとから承認を求める。もし国会がこれを承認しなかったときには第七十六条の二項、三項によりましても、不承認という議決があったときには撤退を命じなければならないという規定があるのです。この法律はそういう事態が予測されるから、こういう法律が必要だということになっておる。それをあなたはそういう事態はよもや起りっこはないであろう、そういう国会において不承認という事態を全然予想しないで、あなたはこのことを考えておられる。これでは防衛庁長官として私は勤まらないと思います。
それからこの問題に関連して、あなたは今まで国会においてすこぶる不明確な答弁をやっておる。たとえば国会附会中の場合に緊急出動を、要するとき、国会に諮らないで出動するということは、これは自衛隊法によってできる。しかしそれでは困るじゃないか、国民の大多数は国会の承認もなしにどんどん出ていって、しかしこれは不承認になったからといって、戻るようなことがあってはいかぬという不安を国民は持っておる。予算委員会において八木幸吉君がこの点をあなたにお尋ねした。そのときに、一体国会の議長とか、あるいは委員長とか、あるいは常任委員会等に連絡して、まずそういう事前の連絡をして出動するということになるのか、そういう手続きをとるつもりはないか、そういって質問したところが、あなたはやはり今のような答弁をやっておる、二月二十九日の予算委員会において「防衛出動を内閣総理大臣が命じ得ることにはなっておりますけれども、おそらくそういう場合は起り得ないだろうと存じます」と答弁しておる。それからもう一回、この問題についてあなたは同じ質問を受けた三月十二日に、あなたはそういう国会の承認なしに出動する場合には、両院議長であるとか、委員長であるとか、あるいは常任委員会に連絡するかどうか、そういう点については「十分これは研究いたしますが、政府としては遺憾ないようにしたいと存じます」、このときの答弁と前の答弁ではニュアンスが変っておる。私はあなたが全然法律を知らないで答弁しておる、それはまあいいとしまして、こういう予算委員会の審議のあと、もう一カ月近くもたっておるのに、あなたは一体こういう国会の承認を得ないで国会開会中に出動させる場合に、どういうふうにその後御研究になり、どういう方法をおとりになるというふうに、その後態度をおきめになったか。それともそのままでこの問題を放置しておるのか、そのいずれであるか、この際お尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/184
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185・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛出動をする場合におきましては、御承知の通り七十六条に明記してありますから、その明記された条件に従って防衛出動はなされるのでありまして、私が答弁しておりますことは、何ら法律を無視して答弁しておるわけでも何でもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/185
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186・千葉信
○千葉信君 私の聞いておることをあなたは勘違いしております。私はこのことについての論議はあとに譲りますが、そうじゃなくて、こういう法律の中身をあなたは勘違いしておられるようだが、私はそれからさらに発展して具体的の問題についてお尋ねしておる。その具体的の問題というのは、前に予算委員会等で答弁していたように、国会の承認のない状態のまま緊急出動をしなければならぬ、その場合、国民はそうどんどん出て行って、そしてあとで不承認となってまた戻るというような格好の出動が行われるようなことになるといかぬと思って不安を感じておる。そういう場合には両院の議長であるとか、常任委員一長であるとか、常任委員会等に対して、こういう出動をしますよと肝前に連絡をおとりになったりするのかどうか。あるいはその他、何らかの具体的な措置を国会において一応おとりになって出かけられるつもりか。それともそういうことに対しては法律に規定されておるのだから、そんな連絡なんかやらなくてもいいという格好で出ていくのか。そういう後者の方では困るから、防衛庁としてはその点については十分対策を考える必要があるだろうで、あなたは、前にはそういう問題については、政府としては起りっこないと答弁している。あとからもう一回追及されてから、あなたは、十分これは研究しますが、政府としては遺憾のないようにいたしたいと存じます、遺憾のないようにいたします、十分研究いたしますと言っていた。その研究が今日どういう形で結果がなっているか、それをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/186
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187・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛出動をする場合においては、もちろん事前に国会の承認を得ることになっております。ただいま千葉委員の仰せのように勝手に出動して行って、あとからすぐ帰ってこなければならないというような場合には、いかなる場合においても防衛出動を命ずるというようなことはなかろうと、そういう意味におい答弁を申し上げておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/187
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188・千葉信
○千葉信君 だから、あなたは法律を知らないと言うのだ。ここにちゃんとそういう国会の承認を得ないで出ていくことができるという規定があるのですよ。やろうと思えばちゃんと法律で保障されておる。いいですか。しかし私はこの点についてはあとからまたあなたとじっくりやるつもりだから、これを聞いておるわけじゃない。この法律、条項に関連して、あなたは速記録がなければこれを貸してもいいが、参議院の予算委員会で、あなたを八木幸吉君が追及されておる。国会が開かれて、承認を得ないで出動して、しかしこれは国会で最後には不承認ということになったので、戻らなければならないような事態もある、そういうことになると、国民は国会の承認を得ないでどんどん出動できるのだということで、防衛出動、治安出動が行われる、そういうことでは困るから、だからこの場合には、政府としては、防衛庁長官としては、あらかじめやっぱりその国会の両院議長なり、あるいは常任委員長なり、あるいは常任委員会等に事前に連絡をするというような方法なんかをとる必要があるのじゃないか、あなたは、こう言ったら、その時は、いや、私はそういうことは起らないと思う、そういう国会の不承認という格好で、国会からまだ承認を受けないで出るなんていうことはないだろうと思う、こうあなたは答弁しておる。それからその次、あとになってもう一度この問題について、同じ八木君から追及されておる。そうしたらあなたは、この時は「これについてただいま直ちに八木委員の御指摘のようなことをやるということは申し上げかねます。十分これは研究いたしますが、政府としては遺憾ないようにいたしたいと存じます」、重ねて八木幸吉君から、今すぐでなくともいいから、こういう緊急出動の場合には、政府としては先ほど申し上げたような国民の不安を、できるだけその不安を除去するために何らかの措置をとる必要があると思うから、きょう返事をもらわなくともいいから、この問題については十分研究をして適当な機会に発表を願いたい、こういうことなんです、その時の質疑は。だからこの問題に関連して、その後あなた方ではどういうようにこの問題を研究され、どういうような措置をとったらいいという結論を持たれたのか、それとも国会ではこういう御答弁をしたけれども、今でも全然ほったらかしになっているのかどうか、これをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/188
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189・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛出動をやって、しかもそれを緊急防衛出動をやって、そうしてすぐ国会で反対の議決をされて、のこのこ自衛隊員が引き下ってくるというような事態は起らぬだろうと、そういう意味を申し上げておるのでありまして、今日においても、その意見においては変っておりません。国会が開かれておるときに防衛出動を命じなければならぬという場合には、もちろん最善を尽して国会の御承認を得て、それから防衛出動が行われる、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/189
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190・千葉信
○千葉信君 それだからあなたは法律を知らぬ。それだから、もちろんそれはあなたはそういう事態は起らぬように、なるべく国会に承認づくで、それから国会の閉会中は直ちにあとから国会に承認してもらうということもあるでしょう。しかし問題は二つあるんですよ。一つは国会の開会中、一つは国会の閉会中、どちらも承認を受けないで、あなた方の方では防衛出動を命ずることができる、内閣総理大臣が。いいですか。その場合、あなた方はおれのやっている限りはそういy緊急な事態が起っても、必ず国会の承認をとるのだと言ってみても、国会の閉会中ということも含まれているのです。そのときにはやはり国会の承認なしに出なければいかぬ。それから国会が開かれておるときでも、国会の承認を受けないで、緊急な事態に対処して出動できるのだという法律の規定がある。そういう事態が起らぬだろうと言っても、起ったら一体どうするか、起こったら、あなた方はやはり希望的な観測、あなたの主観はどうあろうとも、そういうことが行われてもいいという法律の規定なんです。日本の防衛庁長官である限り、この法律の条文を無視できない。そういう出動をするということが予想されるのです、はっきり。あなたはないないと強弁されても、いいですか、そういう規定があるのだから。しかしこれは、だから何回も言っているように、この点を私はあなたに聞いているのじゃない。これからさらに発展して、前の参議院の予算委員会で議論されたその論議に従って、あなたは十二分にこれを研究すると、こう言っている。国会に対して事前にどういう連絡をするか、そのやり方、やるとすればだれに連絡するか、これをあなたは研究しますと、こう言っているのです。その研究をしたのかどうかということです。その結論は得たのかどうか。それに対してあなたは、とんでもない、自分としてはそんなことは起りっこないなんて、そんなあなたの主観を言っている。あなたの希望的観測を言っている。そんなことじゃこれは了承できませんよ。研究しなかったらしなかったと正直におっしゃい。研究したならば、その成果をあなたあとで答弁すると言っているのだから、あとで十二分に研究すると言っているのだから、それをおっしゃい。勘違いしないで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/190
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191・船田中
○国務大臣(船田中君) 法律はそれはもちろん万一の場合も規定いたしております。ただその万一の場合についてどういう措置を講ずるかということについては十分研究して参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/191
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192・千葉信
○千葉信君 そういうただいまのような似たり寄ったりの御答弁をなすってからもう一カ月たった。最初は二月の二十九日、その次は三月の十二日、今は四月の十二日、一カ月たった。あなたはこれに対して何らその後研究されないのですか。その時と全く同じ状態なんですが、それじゃあなた国会を非常に軽く見ているということになりますよ。国会でそういう答弁をしながら今日までほったらかしておいた、それじゃいかぬでしょうが。どうなんです。
委員長、防衛庁長官答弁できなければ総理を呼んで下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/192
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193・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は答弁いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/193
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194・千葉信
○千葉信君 それじゃ早くしなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/194
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195・船田中
○国務大臣(船田中君) この万一の場合についてどういう連絡をとるかということについては研究をして参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/195
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196・千葉信
○千葉信君 だから、そういう答弁を国会で行なってから一カ月もたっているんだ。一カ月もたつ間あなたはどういうふうに研究の結果、結論を出されたか、これを聞いている。これから研究するということを聞いているのじゃないのだ。あなたは研究しなかったらしなかったと一言いなさい、それじゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/196
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197・船田中
○国務大臣(船田中君) 研究しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/197
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198・千葉信
○千葉信君 依然として研究一点張りですか。そんなこっちゃ防衛庁長官、勤まらぬ。笑いごとじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/198
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199・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これは防衛庁長官、万一の場合と言われたが、すべて万一の場合ですよ。その急迫不正の侵害があるというようなことも万一の場合で、まあほとんどないと考えていいときだ。だからすべてきょう議論しているのは万一の場合に備えているのですからね。いろいろ万一の場合に対処する方法を考えておかなければならぬと思う。これはあなたが……、僕は万一の場合は絶対起らないと思うが……、万一の場合だと、この急迫不正の後書もそうだと思う。ましてや今度の出動する場合も万一の場合、それから出動したところが国会で不承認になる場合も万一の場合だ。万一の場合はどうするか、撤退するというけれども。だから私は防衛庁設置法、自衛隊法の改正に当っては、撤退なんかの場合をもう少し考慮して、これはここで撤退しなければならないと、撤収を命令しなければならないというのだが、撤収を命令したって、それじゃ敵対しているのに、命令がきたからといって逃げて帰ってくるのか、それとも降服して帰ってくるのか、話し合いをつけて帰ってくるのか、そういうことをはっきりきめておかなければ、撤収を命じてしまっても、前線でやっておる場合には何ともならん。また万一の場合を今度の法律できめてあるのだし、それから今度は出動すること自体がもう万一の場合なんです。だから万一のもう一つ万一かも知れないが、答弁してもらわなければ。……しかしそれは答弁できんというなら、あとであれしなければ。……そのときは降服して帰ってくるなら降服する、あるいは話をつけてなら話をうける、それのどちらかをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/199
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200・船田中
○国務大臣(船田中君) 私が先ほど来申し上げていることは、そういう疑わしい場合に防衛出動をするというようなことは、政府としては考えておらないという趣旨において申し上げておるのです。先ほど来千葉委員も言われているのは、非常に国民が不安を持っているということを前提としてのお話でございますから、しかしそれは勝手に防衛出動をする、国会の承認を経ずに緊急事態だといって勝手に防衛出動をするというようなことをやるならば、これは国民は不安を持つでございましょうが、しかし現在政府としては、さような疑わしい場合に防衛出動を命ずるというようなことは、絶対に考えておりません。こういう趣旨において申し上げたのであります。しかし万々が一にも防衛出動をして、あとで国会において不承認になって、自衛隊員が帰ってこなければならん、そういう事態に対処してどうするか、こういう菊川委員の御質問でございますが、そういう場合については、万々一の場合を考慮いたしまして十分研究をし、検討を加えまして、そうして国民に不安のないように善処して参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/200
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201・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それではやはりこの自衛隊法なんかの七十六条あたりは、そういう角度から改正の根本を検討されなければならぬと思う。今度の改正が出ておるから、ついでにこういう点も検討する必要はないかと思うのです、万々一の場合を。それはそういうことがなければ、今度は撤退しなければならないという、こういう法律は大体要らんのです。あなたの言うように、政府のやったことは間違いないのだから、国会の承認なんていうものは安らないということになってしまって、もう承認は得られないということがわかっていることをやるのだから、あらためてもうそんなことなら承認を求める必要もないということになって、まことに理論の飛躍になっちまうのですよ。事実はあるのですからね、こういう規定が……。規定がある以上は万々一の場合にも円滑に運用されるようにしておかなければならないと思うから、私は今防衛庁長官になったようなつもりであなたに質問をしているのですがね。あなたは法制局長官までやられた人ですから、こういう点まで考えておかなければいかんと思うのです、こういう点まで改正になるなら。だからお聞きしているのです。だから撤収をする場合に、撤収の命令をしなければならんというのだが、これはくどく言うようだが、撤収命令がきたからと言って、前線で対決しているときに、それで帰ってくるというのじゃ話にならん。追い打ちをかけられてえらい被害をこうむってしまう。やはりある程度話をつけて帰ってこなければ……。戦国時代には、例の豊臣秀吉が毛利との講和をやって、明智光秀を討ったという手もあったのだが、少くともこの手だけはやっておかないと、あとからどんどん追い打ちをかけられて損害を受ける、これを一体どうするかということを考えなければならん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/201
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202・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛出動ということについて、ただし書きがあるということは、結局こういう点にもいわゆる政治優先ということが考えられますし、またそれによってますますこの原則の問題はきわめて慎重にやられなきゃならんということにもなると思うのでありまして、このただし書きを取ってしまって、勝手に出動ができるという原則だけになったならば、今菊川委員が御心配になるようなことがかえって起ってくると思う。従ってむしろただし書のようなものがあって、それによって、ますますこの防衛出動は、慎慎重の上にも慎重を期していかなきゃならん、そうして国民に不安のないようにしていかなきゃならんという規定の意味がはっきりしてくると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/202
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203・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その点はよくわかるのです。よくわかるが、万々一の場合にも対処するように、やはりそういう深謀遠慮から、そういうふうに法律がきめられておりますのならば、さらに画竜点睛で、万々一の場合にも損害のないように撤収ができるように、やはり規定も考慮されなきゃならんと思うので、お尋ねしたわけです。
じゃその次の問題についてお伺いしますが、そういうような防衛出動なんかで、かりに国会で多数でもって承認されたといたしましても、ある程度の反対意見の出ることは一応予想している。満場全会一致という――すべて全会一致ということも考えられないと思います。で、そういったときに、また院外で――国会はなるほど多数でもって承認されたが、院外における、まあ反戦デモと言ってはちょっと大げさかもしれないが、大衆行動も起り得ると思う、今の情勢から考えましてね。その防衛庁が出動させてしまったというようなときに、東京においては自衛官の出勤はけしからんというような行動も起り得ることも想定しておかなきゃなりません。またあるいはそういったことをやめよという演説会等の開かれることも想定しておかなきゃならん。これらについては別に自由に開いてもよろしいのでしょようね。船田防衛庁長官は、言論の自由を鳩山総理大臣が大いにおやりなさいと、この防衛二法案審議に当って言われたので、かりに国会で承認になっても、少数意見で反対者があったというようなことで、当然国民の中には反対意見が相当あると見なきゃならん。そういう反対意見の者がやったことはけしからんのか、すみやかに帰れというような国民運動を展開するということについては、何ら差しつかえないのでしょうか。一つお聞きしておきたい。これも念のためにお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/203
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204・船田中
○国務大臣(船田中君) 言論の自由はどこまでも尊重していかなきゃなりませんから、言論が公正に行われておる間においては、それは何ら政府が干渉することじゃないと思います。ただそれで治安の紊乱というような事態が起れば、これはまた別問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/204
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205・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、それですぐ治安関係に影響してくると思うのですが、たとえば静粛なるデモ行進というようなことくらいでやられる場合には、もちろん治安の紊乱というふうに引っかけてこられるような心配はないのですね。引っかけられるようなことはないのでしょうね。その点について伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/205
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206・船田中
○国務大臣(船田中君) 政府としては、どこまでも言論の自由は尊重して参りたいと存じます。今菊川委員の仮説の御質問のような御心配はないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/206
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207・菊川孝夫
○菊川孝夫君 やらして差しつかえないということですね。そういうことが起っても、政府としてはそれを弾圧するとか、取り締るという意図は、今のこの法律ではできないし、またやる意図もない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/207
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208・船田中
○国務大臣(船田中君) 治安の問題になってきますというと、これは問題は別だと思います。ただどういう事態が治安を乱すものであるかということについては、全部仮空の議論としてここにそれの御説明を申し上げるというわけには参りません。しかし抽象的に申し上げれば、治安を乱る行為を政府が放置するというわけには参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/208
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209・菊川孝夫
○菊川孝夫君 よくわかりました。その通りであります。あなたの答弁が正しいと思います。それには、治安を乱る、そういうときにはある程度の基準とか――ここには教唆扇動の原則規定があるのです。教唆扇動があるのだが、そういったことについての教唆扇動の罰則規定がないのであります。自衛隊法の一部改正に当って、たとえば自衛隊が出動しようとしているというようなときにも、反対者が、大いに激励して送るというのと違って、いや、そんなばかなところへいくなと言う奴は、これは教唆扇動にはならんと思うのですが、この教唆扇動の一部はあるのですが、何条ですかな、罰則規定の。こういうのをそそのかしたり、扇動したりしてはいけないということはあるのですが……。この自衛官の出動に際しまして、昔ならばみんなそろって、行って来いという激励ののぼりを持っていくのですが、ばかな所へ行くなというようなのぼりを持って行くやつは別に処罰されないのですな、この自衛隊法によっては。この点どうでしょう。改正に当っては、どうせ改正するならば、そういうまぎらわしいものもやはりきめておかぬと、どんどんふえていくのですから。重要な問題だと思うので御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/209
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210・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 罰則の規定につきましては、百十八条でございますが、百十八条におきましては、第一号に掲げる行為を教唆、幇助、それから第一号というのは五十九条の規定違反でございまして、五十九条は秘密を守る義務でございます。これは関係ございません。第百十九条は、第二項におきまして、「前項第二号若しくは第四号から第六号までに規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第三号、第七号若しくは第八号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者」となっておりまして、第二号はこれは第六十四条、団体の結成等の禁止の規定であります。その次項、第三号が、怠業的行為同盟罷業または争議行為をし、または政府の活動能率を低下させる怠業的行為を禁止している規定でございます。それから第四号は、「予備自衛官で、正当な理由がなくて指定された日から三日を過ぎてなお指定された場所に出頭しないもの」第五号が、「出動待機命令を受けた者で、正当な理由がなくて職務の場所を離れ七日を過ぎたもの又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて七日を過ぎてなお職務の場所につかないもの」の教唆、扇動を罰する。第六号が「治安出動命令を受けた者で、上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しないもの」に対する罰則の規定であります。それから第七号は「上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者」の教唆、扇動、第八号は「正当な権限がなくて」……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/210
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211・菊川孝夫
○菊川孝夫君 わかっています、ここにありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/211
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212・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/212
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213・菊川孝夫
○菊川孝夫君 わかりました。それでここに関係して私のもう少し政治論としてお尋ねしたいが、あまり言うとわれわれはそれをやる意図をもって聞くように思われるので、決してそういう意味ではないので、自衛隊法を改正するに当っては、そういうものも考えておかなければならないということを心配してお尋ねしているのです。誤解せぬように。そうすると、出動命令があったが、そんなばかなことを、鳩山さんでも野にあるときはこれは自衛隊は憲法違反だと言っていた。総理大臣になってからこれは合憲だと言い出したんだから、ましてや鳩山さんがそういう考えでは、そんな憲法違反なものは行けと言っても行くことはならぬぞ、こういうようなことを言ったら、憲法違反になるわけだな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/213
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214・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 今申し上げましたような規定に該当するかどうかという、その要件によって適用があるかないかがきまるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/214
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215・菊川孝夫
○菊川孝夫君 結局私が言ったようなことをかりにやったら適用になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/215
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216・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 大体において本文の規定は隊員に対する、隊員の行為の違反に対する……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/216
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217・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ほかのものはいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/217
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218・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 隊員に対する教唆扇動につきまして、先ほど申し上げましたような条件に該当すれば、このようになるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/218
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219・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、外部からのそういう働きかけについては何ら処罰規定はないというわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/219
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220・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) それは外部から隊員に対してやった場合のことを規定している、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/220
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221・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、非常にむずかしい問題になってくると思いまして、現在の総理でさえも野にあるときと、それから朝にあるときとによってその考え方が変るようなむずかしい問題であります。従いましてこれは国民の中にもいろいろ意見を持っていると思う。だから憲法問題にからんで、憲法でこうだから、君、憲法違反なことをやるなよ、こういってやることも起り得ると思うのです。この間鳩山さんがああいうような答弁をされているのですから、そういったようなときに、それは教唆扇動だというので、これは処罰を受けなければならぬことになるということになると大へんだと思うのですが、これらも改正しておかなければならぬと思うが、防衛庁長官、これについての御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/221
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222・船田中
○国務大臣(船田中君) この罰則規定を今改正しなきゃならぬという必要はなかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/222
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223・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは政府の方で今憲法調査会等を、今度法案を出しておられまして、考えておられるのは、私はこういう点もあるんじゃないかと思うのですが、この罰則規定を全部読んで見ますると、これは懲役または禁錮ということになっております。懲役禁固ということだと一々これは地方裁判所から高裁、最高裁まで行って最終審がきまることになるのです。従いましてこれらの規定に違反したって、いやおれは憲法に違っていることを、鳩山さんもあんなことを言ったんだから、憲法違反の自衛隊におったんだから、おれはちょっとああいう所へ出動して行かなきゃならぬということは、日本地域というので、国内でできた場合は別です、日本地域という解釈についてごまかしておられる、はっきりしておらないので、日本地域へ出動ということになったときに、おれはそんな所まで行くつもりで来たのじゃないからごめんこうむるというので銃を置いて帰った人がたくさんおったら、一々弁護士をつけて最高裁まで行ったら、選挙違反でも三年も五年もかかるんですから、鳩山さんの憲法解釈から掘り下げて議論するということになったら、とても間に合わんと思う。こういう点を一つ何とか直さなきゃならぬという矛盾に今ぶつかったところに憲法改正の意図があるんじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、防衛庁長官、一つその点について、そういう矛盾がないだろうかどうか一ぺんお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/223
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224・船田中
○国務大臣(船田中君) この自衛隊法についております罰則の規定の改正問題と、憲法調査会の関係は別に直接の関係は何にもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/224
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225・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは確認いたしておきますが、現職の総理でさえこういう、くどいようですが、ああいう答弁をされているくらいむずかしい、まあ憲法解釈までからむ自衛隊法、防衛庁設置法なのでございますから、ましてやそれぞれ国民も裁判官も学者もめいめいいろいろな解釈を持っていることは、これは否定できないと思います。これはあって当然だと思います。鳩山さんも言論の自由はあくまで尊重すると言っているのですから、そこで第九条の解釈とからんでこれはちょっといき過ぎであると思った場台に、銃を返して帰ってくる、出動に応じないというようなことが起り得る。特にこれは六年以下とか八年以下の懲役に処せられるのだが、そのときに処せられるのはあくまでも最終判決を得るまでは処せられる心配はないのでありますから、何らほかに処罰をされないのでありますから、当然そういう裁判を受けてからこれが適用されるものであるというふうに解釈していいと思うので、防衛庁長官もそういうことを前提として隊員の訓練に当っておられると思うのでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/225
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226・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほど申し上げましたように、この罰則規定と憲法調査会というものは関係がないのでありまして、今お示しの点はどういうところを御質問になっているか、その本意を解しかねますが、どういう御趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/226
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227・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それではもう一ぺん質問します。これは防衛出動の命令を受けた場合に、具体的に申し上げるのですが、日本本土へなるほど急迫不正の侵害があったというので、まあ東京都へ来たとか千葉県に来たとかいう、日本本土へ上陸したので、それ行けということになった場合には、それは自衛隊の諸君もその任務の性質上から考えて当然行くだろう。しかし、日本地域というのでありますから、ちょっと離れた所へ出動命令がかりに下るかもしれない。下った場合に、これはどうも憲法に違反するのであるからというので銃を捨てて帰っても、これは最高裁判所までいって判決を受けるまでは処罰をされないものであると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/227
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228・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま御質問のような問題は、個々の具体的の案件、刑事事件として取り扱われることになりますから、判決の最終決定は結局最高裁の判決に待たなければならぬということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/228
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229・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういうことではほんとうに軍事行動というものは、実際上は結局はできないということですな、そうすると自衛隊というものは。軍としての行動なんということはできないものだ、従来の解釈からいくならば。だから、金は使うけれども、飾りものにはなるけれども、究極してみますと、さあとなったときには、おれは憲法解釈は間違っておった、鳩山さんもああ言っておったが、えらい所へ来てしまったわい、危い所へ来た場合に、憲法解釈におっかぶせて、銃を捨ててごめんこうむりましょうといって逃げようと思えば逃げられる。それは最高裁までいかなければならぬ。これはこういうことになりますと、今までの日本の軍隊がよく戦ったというのは、敵前逃亡ということでやられた、軍法会議に処せられた、それがおそろしさに逃げなかった者が相当あるのです。これは否定できない。まして今度のように憲法解釈まで発展して、これは平時はいいけれども、どうもそのときになったら、憲法の解釈は変っても差しつかえない、鳩山さんでさえ変るのだから、憲法解釈が変っちゃったというので銃を捨てて逃げ帰ろうと思えば帰られる。それは懲役には処せられるが、最高裁までいける、弁護士をつけて。三万も五万も起った場合ということもあり得ると思うのですが、そういう事態も一応想定しなければならぬと思う。当然そういうことも万一の場合あり得ることだろうと解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/229
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230・船田中
○国務大臣(船田中君) 現在の自衛隊は、先ほど教育の方針を申し上げましたように、隊員に十分自衛隊員としての任務を自覚せしめまして、そうして自衛隊員の愛国心によって国土の防衛のために挺身するという教育をいたしておりますから、ただいまお話のようなことは起らぬと存じます。なお、自衛隊の教育につきましては、罰則でおどして自衛隊員を訓練しておるというようなことをいたしおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/230
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231・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、もっぱら精神教育でおやりになっているものであって、青年の愛国心に訴えて訓練されておるものである、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/231
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232・船田中
○国務大臣(船田中君) 大体さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/232
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233・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その次に防衛庁の設置法の第四十二条によりますと、防衛出動をするときには「国防会議にはからなければならない」と書いてあるのです。ところが、自衛隊法の七十六条によりますると、別にこれは国防会議に諮らなければならないということは書いてない。だから、一体防衛出動するときには、まず自衛隊法によって総理大臣が命令を下すのか、その前に一ぺん防衛庁設置法によって、国防会議に諮って、その上で自衛隊法によって出動を命令するのか、どっちか、これを伺っておきたい。一つ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/233
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234・船田中
○国務大臣(船田中君) 御承知の通り、国防会議は防衛庁設置法の四十二条に掲げてあるようなことでございますが、現在まだ国防会議ができておりませんので、もし万一この四十二条に掲げるような事項が起った場合におきましては、国防会議というものができておりませんから、国防会議に諮りようがないのでありまして、国防会議には諮りません。それで内閣の決定によって総理大臣が命令を下すということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/234
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235・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、防衛庁設置法という法律があってちゃんと諮らなければならないとなっておりながら、まだ国防会議はない以上は、ないのだから諮るわけにいかんからというので、自衛隊法で内閣だけで相談して七十六条で出動できるのですか。(千葉信君「関連質問」と述ぶ)それは改正等も考えているというのですから、国防会議がまだ設置されていないときには諮らなくてもやれるんだとでもここへ改正でも出しておかんと、動けんということになるのですが、そうじゃないですか。(「千葉信君「関連質問」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/235
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236・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ちょっと待って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/236
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237・船田中
○国務大臣(船田中君) それは必要はないと思います。つまり国防会議がまだ設けられておりませんから、その場合にもし万一防衛出動を命じなきゃならんという場合においては、閣議の決定によりまして防衛出動ができることになるわけでありまして、国防会議がないから防衛出動は絶対にできないということにはならんと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/237
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238・千葉信
○千葉信君 船田さんにお尋ねしますが、国防会議は二十二国会でとうとう成立しませんでした。しかし国防会議にかわるものとして防衛閣僚懇談会というものが閣議の決定によって設置されたのじゃないですか。防衛閣僚懇談会が国防会議にかわる機関として。閣議の決定じゃありませんか。そうすると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/238
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239・船田中
○国務大臣(船田中君) どういう意味なんですか。閣僚懇談会をやっておるのが悪いという意味なんですか、どういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/239
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240・千葉信
○千葉信君 そうじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/240
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241・船田中
○国務大臣(船田中君) あなたのは非常にいたけだかになってすぐぼうっとやるから、わからないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/241
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242・千葉信
○千葉信君 あなたの答弁がおかしいから聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/242
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243・船田中
○国務大臣(船田中君) だけれども、もう少しどうですか、紳士的におやり下さいませんか。私は決して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/243
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244・千葉信
○千葉信君 やるつもりだけれども、君の答弁があまりとんちんかんすぎて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/244
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245・船田中
○国務大臣(船田中君) 聞く方だけはどんな言葉を使ってもいいということはないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/245
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246・千葉信
○千葉信君 あなたは、国防会議にかわるものとして、ないから閣議にかける。それが私はほかの人ならいいと思うのです、そういう答弁で。しかしあなたは防衛問題を担当しておる防衛庁の長官として、二十二国会で国防会議が審議未了になった。そこで政府は国防会議にかわるものとして防衛閣僚懇談会というものを設置したじゃありませんか。そうすれば今の答弁は閣議にかけるという答弁で、防衛閣僚懇談会を設置してそこで国防会議にかわる機関としていろいろな議を相談しておる、そういう従来の政府のやってきた事実からすると、私は今の答弁はちょっとおかしいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/246
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247・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は質問されることがおかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/247
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248・千葉信
○千葉信君 どうして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/248
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249・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛関係閣僚懇談会というものは、法律に基いておるものでも何でもございません。閣内において防衛関係の問題について協議をいたしまして、閣議に出す前に十分防衛関係に関係の深い閣僚の間で議を練って、そうして閣議に提出すると、こういうことでございまして、これを設けるということは、何も法律違反でも何でもないので、ちっとも差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/249
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250・千葉信
○千葉信君 私は法律違反とか何とかいうことを聞いておるのではないのです。もちろん閣僚懇談会というのは、国防会議構成法案が審議未了になってそれにかわる措置として法律にはよらないけれども、閣議でこれをきめる、閣議というのは御承知の通り行政権の発動の主体として法律に次ぐ政令等もあそこできめることができるのですから、そこのところで正式にきめて防衛閣僚懇談会を設けて、従って国防会議にかわる現在の閣議におけるいろいろな問題の最終決定は当然でしょうけれども、その場合に防衛閣僚懇談会等で今菊川君から質問のあった事項については御相談をいたします、もしくはそこで話をいたします、こういう答弁でないと筋が通らないことになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/250
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251・船田中
○国務大臣(船田中君) 御質問の趣旨が実は私にはよくわかりませんが、もちろん防衛関係の問題につきましては防衛関係閣僚の懇談会におきまして十分審議をいたしまして、それから閣議にかけるというのが普通やっておることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/251
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252・千葉信
○千葉信君 初めからそういう答弁がなされてしかるべきだと思うのです。閣議の決定というのは、法律に基く事項ではないにしても、これはやはり行政権の発動としては閣議が実際きめるのですから、従ってその閣議できめて設けられた閣僚懇談会、その閣僚懇談会の審議する内容というのは国防会議にかわるものとして、当分の間政府がこの機関へ相談するということになっておるのですから、私は今のような答弁が最初からあれば何もかど目を立ててあなたに質問をする必要はなかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/252
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253・堀眞琴
○堀眞琴君 その点に関連して御答弁願いたいのですが、今の長官の説明では、防衛出動の場合においては閣議に諮ってその上で国会の承認を得ると、こういうことになるのだと思いますが、これはあくまでも便宜的な方法であって、法律上からはこの防衛庁設置法第四十二条によって「左の事項については、国防会議にはからなければならない」、その第四号に「防衛出動の可否」、こう出ておるわけです。従って閣議に諮ってということをもって、これにかわらせるということは一応は便宜的な手段としては考えられますけれども、しかし法律上からはあくまでもそれは違法である、こう見なければならないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/253
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254・船田中
○国務大臣(船田中君) 国防会議が設けられまして、そうしてこの第二項の「内閣総理大臣は、左の事項については、国防会議にはからなければならない」として一から五まで掲げてありますが、そういうことを国防会議に諮らずに閣議にいきなりかける、こういうことになりましたら、この法律違反ということにはなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/254
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255・堀眞琴
○堀眞琴君 今日の田畑君の質問に対して防衛計画に関する御答弁があった。そのときに陸上は十八万、海上は幾ら、航空は幾らという一応防衛庁の案というものはできている、しかし国防会議ができておらんので、それに諮ることができないから正式の防衛計画ではないのだ、あくまでも防衛庁の試案である、こういう御答弁が午前中にあったのです。この防衛出動の可否の問題も同様だと思うのです。やはり国防会議に諮らなければその出動の可否を閣議だけで決定するということはいかんと思う。ただ現在の状態ではあなたのおっしゃる通り国防会議ができておりませんから、便宜的な措置としてはそうやられていいのかもしらんけれども、しかしそれは法律の上からは違法ではないか、こういうことをお尋ねしているのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/255
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256・船田中
○国務大臣(船田中君) 国防会議が設けられて、しかもこの四十二条第二項に掲げる事項を国防会議に諮らなかったならば、この法律に違反するということにはなると存じます。しかし現在国防会議がまだ設置されておりませんので、従って今御質問のようなことを閣議において決定いたしましても、それは法律違反ということにはならんと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/256
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257・堀眞琴
○堀眞琴君 もう一度その点。どうも納得できないのですが、もしあなたのおっしゃるような方法で防衛出動の可否を決定されるということならば、たとえば防衛庁設置法の経過規定の中にそういうことを設けられていれば別です。ところが防衛庁設置法の経過規定にも、あるいは付則にも何にもそういう規定がない。そうなれば第四十二条に基いてあくまでも防衛出動ということは行われなければならんと思うのです。従ってあなたの御答弁は、国防会議ができている場合に、これにかけなかった場合は違法かもしれんが、現在はできていないから閣議によってこれを決定してもいいんだ、こういう答弁では私は違法だと思う、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/257
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258・船田中
○国務大臣(船田中君) それは先ほど来申し上げておりますように、もともとこの国防会議というものは内閣総理大臣の諮問機関でございます。しかし四十二条によってこれを設けました場合において国防会議に諮らないということは、この法律の規定には違反するということになると存じますけれども、国防会議自体が今ないのでございますから、その国防会議のないときに、これらの事項を閣議に諮って、そうして決定するということは、何ら法律に違反するものではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/258
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259・堀眞琴
○堀眞琴君 どうも納得できないのです。もしおっしゃるようなことだとすれば、防衛庁設置法の付則なりあるいはその他の法律でそういうことをきめればいいと思います。国防会議ができないうちは閣議に諮って防衛出動の可否をきめる、あなたは国防会議は諮問機関であるので決定機関ではないから、この会議ができない間は閣議できめても違法ではない、こうおっしゃるのですが、四十二条はこう厳然として規律されている。もし何だったら政府としては防衛庁設置法と同時に国防会議法を出すべきだったと思うのです。それを出さんで昨年になって出して来た。これは私は防衛庁設置法の四十二条の違反だということはお認めになるのが当然だと思う。今便宜的な方法としておやりになっている、しかしそれは法律上は決して認められることではない、こう思うのですが、もう一度くどいようですが、それをお認めになりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/259
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260・船田中
○国務大臣(船田中君) それはどうも認めるわけにはいきません。これは防衛庁設置法の四十二条、四十三条をお読み下されば明瞭だと思いますが、四十三条には一「国防会議の構成その他国防会議に関し必要な事項は、別に法律で定める」、こういうことでありまして、この規定によりまして現に国防会議の構成等に関する法律案を提出して御審議を願っているわけであります。ですから国防会議が設けられて、そうしてしかもこの国防会議があるにかかわらず、この第四十二条第二項の一号から五号に掲げましたことをこれにかけなかった、そうして閣議決定をしたという場合には、それはこの法律に違反すると言うことはできましょうけれども、しかし国防会議という実体がまだないのですから、その国防会議にかけずに閣議がこれらの問題について決定をしたからといって、それは決して違法ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/260
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261・堀眞琴
○堀眞琴君 もう一点。おっしゃるような趣旨でおやりになるというのは私は便宜的な手段方法だと思うのです。もっと合法的な方法でおやりになるのだったら経過規定なり、付則なりにそのことを規定しておれば別なのです。おっしゃる通りでちっとも違反ではない。ところがそういうような経過規定も付則も何もないのです。本来ならば国防会議設置法をこの防衛庁設置法と同時にお出しになるべきだったと思う。お出しにならなかった。ところが、四十二条によって国防会議に諮らなければならないとこうなっておりますが、あなたの解釈はあくまでも便宜的なものではないか。それはお認めにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/261
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262・船田中
○国務大臣(船田中君) この自衛隊法の七十六条以下の防衛出動あるいはその他の問題につきまして、これは内閣総理大臣が決定をすることになっておるのでありまして、それはこの国防会議というものが設けられたときにおいては国防会議に諮らなければならぬ、これこれの事項は諮らなければならぬと、こうありますから、従って国防会議に諮らぬでやった場合においては、法律違反ということはいわれると思います。しかしその国防会議という実体がないので、もともと内閣総理大臣が決定すべき事項なんでありますから、そうしてしかも閣議は何も国防会議にかわるものではないのでありまして、いわば軽重からいえば閣議の方が重いものなのです。従ってこれらの四十二条の二項に掲げてありまする事項を国防会議のないときに閣議において決定をするということは、何ら違法ではないと信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/262
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263・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その点私もどうも腑に落ちぬので、もう一ぺんくどいようですがはっきり私がお尋ねしようと思っておるところですが、これはこの国防会議の第三章の規定というものは自衛隊法では内閣総理大臣の権限が非常に強い。だから一人で判断して、先ほども申したように、また帰って来いなどというばかなことがあってはいけないから、できる限りいろいろの人に相談してから、こういう重要な命令を下そうというので国防会議を設けられたというのも、国防会議設置の第三章の意義が一つあると思うのです。諮らなければならないのですよ。これはもう絶対に諮らなければならないという義務規定になっておる。その諮らなければならないところの国防会議がいまだに設けられていない事情は、これは防衛出動はできないということになる。諮るところがないのだから防衛出動の命令を下すわけにはいかぬ。だからすみやかにあわてて国防会議を設けなければならないというので、前長官の杉原さんも政治生命をかけて通過に当られたのだが、審議未了に終った。これではいかん、せっかく持っておる自衛隊も使いものにならぬということから責任を持って辞職されたのだとわれわれは解釈する、そういう見方も成り立つ。ましてやそういう情勢ですから、今もまだできてない。だからこの四十三条は四十二条が現存しておる限りは、国防会議が設けられるまで閣議に諮って、四十二条に規定することは閣議に諮らなければならないと、こうしておかぬと、内閣総理大臣の独断でやるということになる。今の内閣の鳩山さんのときは大丈夫だろうけれども、まだまだ国防会議ができてないのですから、そうなればだれが総理大臣になるか知らぬ、だれが出てくるかわからぬ、そういうときに諮らなければならないという規定があるのですから、これは国防会議ができるまでは暫定的に付則の中へ経過規定を当然入れなければならぬ。今度の改正に当っても経過規定だけは入れておくのが正しいのだと思う。これはまだ出てきておらぬから僕はお尋ねしようとしているわけです。どうですか、法律というものはそういうふうに解釈をすべきものではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/263
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264・船田中
○国務大臣(船田中君) 今お話のような法律解釈の方がおかしいのじゃないでしょうか。それはこの国防会議というものはもともと諮問機関として設けたいということになっておるのです。しかし諮問機関でありますけれども、国防会議が設けられたときに、その国防会議にはこれこれの事項をかけるのだ、こういう規定でございますから、もしその諮問機関である国防会議に、たとえば国防の基本方針とか、その他云々ということをかけなかったといえば、手続上違反しておるわけですから、この法律には違反しておるということがいえましょう。しかしながら現状におきましては、国防会議というものの実体がまだないのですから、従って原則である七十六条、その他の規定によって内閣総理大臣が閣議に諮って閣議で決定をする。閣議は言うまでもなく最高の行政機関の合議体として決定する、こういうことになるのでありまして、国防会議が設けられたときは、その国防会議に諮らなければ、それは手続上違反でございましょうけれども、しかしその国防会議という実体がないときには諮りようがないから、従ってこれは原則の規定に帰って閣議において決定するということは何ら違法ではない、かように私は解釈します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/264
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265・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それは僕は単なる諮問機関というよりも、内閣総理大臣の権限が非常に重く、重大である。だからして独断でそういう出動命令を下されたりしては困るから、あくまでも慎重を期するという意味からということも、この国防会議を設ける理由に含くまれておる。単なる諮問機関とはどうも考えられない。この前の国防会議設置法案についての説明に当ってもそうだったわけです。あなたの言うような単なる相談機関、諮問機関ではない、総理大臣が行き過ぎをやることを一つ牽制するという意味も含まれておるというふうに解釈したのですが、そういうようなものができてない以上は、危険な総理大臣が出て……。それなら反対に言ってみましょう。船田さん、こういうことも言えます。総理大臣が在職中に国防会議みたいなものを作ると、何だかんだといわれてうるさいからというので、そういうものを作らないでおく、そうすれば閣議だけで勝手にやれる。国防会議がないのだから諮りようがないといってやっていける。今はそうじゃないけれども、東条さんのような人が総理大臣になると、国防会議を作ると、そこに相談しなければならぬから、めんどうくさいといって、そういうものを作らぬということもやれるわけです。そうして閣議だけで相談してやっていく、これは一年や二年はそのままやっていこうとすれば、やれることになるわけであります。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/265
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266・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま菊川委員のいわれたように国防に関する事項はきわめて重要なことでありますから、大所高所から慎重一に審議するという趣旨において国防会議を設けるということは、その通りで、そういう趣旨において設けられるものでありますが、しかし国防会議はどこまでも内閣総理大臣の諮問機関でございます。ですから、その諮問機関である国防会議が現在設けられていないときに、国防の基本方針あるいは防衛出動というようなものを万一決定しなければならぬという場合におきましては、国防会議という実体がありませんから諮りようがありません。すなわちそこに手続違反とか、何とかということは起らないわけでありまして、これは原則によって閣議において決定をして差しつかえない、かように解釈するのが私は法律の常識だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/266
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267・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これは諮問機関だとあなたはいっておるけれども、四十二条には「国防に関する重要事項を審議する機関として」と書いてあります。諮問機関じゃない、普通だったら諮問機関なら、諮問として何々委員会を置くと書いてある。これはそんなことは書いてない、重要なる事項を審議する機関としてと書いてある。単なる諮問機関じゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/267
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268・船田中
○国務大臣(船田中君) これは国防に関する重要事項を審議する機関といいましても、これは議決機関ではございません。国会の衆議院とか参一議院というような決議機関ではございません。どこまでも国防会議は内閣総理大臣の諮問機関であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/268
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269・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/269
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270・船田中
○国務大臣(船田中君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/270
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271・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この重要なる事項を審議する機関と書いてあるけれども、これは諮問機関という意味ですな。そういうふうに読みかえてよろしいわけですな。俗にいわれる諮問機関と。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/271
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272・船田中
○国務大臣(船田中君) 諮問機関でございます。国隣会議は内閣総理大臣の諮問機関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/272
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273・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ではちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/273
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274・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて。
休憩いたします。
午後四時十一分休憩
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午後四時三十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/274
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275・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) これより再開いたします。休憩前に引き続いて御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/275
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276・堀眞琴
○堀眞琴君 今日の午前中の田畑君の質問に対しまして、防衛庁長官から戦力に関してこのような答弁があった。たとえば、誘導弾のごときは攻撃的な武器ではない、従ってそれは戦力ではない、こういう御答弁がありました。私はそこで、あなたに、戦力というのはどういうのか、それから攻撃的武器と防御的武器というのはどういうのか、ということを御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/276
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277・船田中
○国務大臣(船田中君) これは単純に、戦力もしくは攻撃的兵器、防御的兵器というものを分けて御説明申し上げるということは、これは私はほとんど不可能に近いと思います。先ほど問題になっておりましたGMの問題にいたしましても、これは非常に長距離に飛ぶもので、たとえば、このごろ米ソ間において問題になっておりますICBMというようなものでございましたらば、これは明らかに攻撃的兵器ということが言えると思います。しかし、エリコン社の持っております、今防衛庁で輸入したいと考えておりますようなものは、地上から空に対して侵略飛行機を防衛する、侵略してくるものに対して、地対空において防衛する、こういうものが主でありますから、従ってこれは防御兵器である、というふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/277
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278・堀眞琴
○堀眞琴君 今の御説明ですと、たとえば、射程距離が非常に遠いとか、誘導弾のようにですね、長距離飛ぶものであるとかいうものは、大体において攻撃的な兵器だ、こう見ていいというお答えのように思いますが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/278
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279・船田中
○国務大臣(船田中君) 大体今お話のように地上から何千マイルか何千キロか離れた他の大陸にまで飛ぶといったようなものでございますれば、これは攻撃的兵器ということが言えると思います。しかし、そうでない、諸外国に脅威を与えるものでないという程度の自衛隊、及びその自衛隊が持っておりまして、わが国土の防衛に直接必要であるというような兵器におきましては、攻撃的の戦力というようなものではないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/279
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280・堀眞琴
○堀眞琴君 そうなりますと、その何千キロか飛ぶような兵器は、現在の世界の国々では、ソビエトやアメリカ以外にはほとんど持っていない。イギリスに若干あるかもしれませんが、その他の国々では、おそらくそういう兵器を持っている国は一つもないと言って差しつかえないと思います。そうなると、その他の国々は、いずれも第九条に言う戦力を持たない国である、こういう工合に考えられることになると思いますが、そう考えていいので、しょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/280
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281・船田中
○国務大臣(船田中君) これは、その戦力という言葉の解釈でございますが、私の今まで申し上げておりますことは、憲法九条の禁止しておる戦力ではないということを申し上げておるのでありまして、これはやはり相対的にきめるもので、このものは戦力である、このものは戦力でないということを抽象的にはっきり区別して御説明申し上げるということはほとんど不可能に近いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/281
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282・堀眞琴
○堀眞琴君 確かに兵器の性格をきめる場合には、相対的な観点からきめなければいかぬと思います。場合によっては、ピストルでも攻撃的な武器となることがあり得るし、といって、そうでない場合もあり得るわけですから、決して絶対的なものとしてこれをきめるわけにはいかないということはお説の通りだと思います。しかし、誘導弾であるとか、あるいはオネスト・ジョンの問題も出ましたが、原子弾頭を持たないオネスト・ジョンの性格については別に御発言もなかったように記憶している。攻撃的武器なのか、それともそうではなくて、防御的な武器なのか、そういう点を一つ一つの武器について全部あげることは困難でありましょう。私も何もそれを一々あなたから聞こうとは思っておらない。しかし、オネスト・ジョンであるとか、あるいは誘導弾といったようなものは、これはやはり憲法で言うところの戦力の範疇に入るんではないだろうかと常識的に考えられるわけです。私は何も軍事の専門家じゃなし、従って専門的の知識も何も持っているわけじゃないですけれども、しかし、一般的に見て、そういうものがとにかく最近の進んだ兵器の一種であることは間違いありません。従って、またそういう観点からすれば、一応戦力としてこれを見ることが正しいのではないかと思いますが、そういう一般的な見解の上からいって、やはり憲法で言うところの戦力の範疇には入らない、戦力のカテゴリーにはないのだ、こういう御見解でありましょうか、もう一度お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/282
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283・船田中
○国務大臣(船田中君) オネスト・ジョンにつきましては、これはわが自衛隊が持っておるのではないのでございまして、御承知の通り、アメリカ軍が、アメリカ駐留軍が持っておるというのでございます。そうして、しかも米軍としましても、原子兵器を持ち込む、原水爆を持ち込むということについては、事前に日本の承認がなければこれは絶対に持ち込まないというアリソン・重光会談による協定がございます。従って、現在において、米軍は、たとえ米軍のためのものでありましても、原子兵器は持ち込んできておらない。ただオネスト・ジョンそのものの性能が原子弾頭をつけ得るということにつきましては、防衛局長が御説明申し上げました通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/283
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284・堀眞琴
○堀眞琴君 兵器について、攻撃的な兵器か、防御的な兵器かということは相対的なものであるから、的確には答えられないという前の御答弁だったのです。で、私はここで、自衛というのはどういうことなのか、それをここで、非常に幼稚な質問でありますけれども、一応聞いておいて、その問題に関連して一、二御質問を申し上げたいと思いますから、自衛とか防衛とかいうのはどういうことをあなたは考えていられるのか、それを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/284
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285・船田中
○国務大臣(船田中君) 日本の領土に対しまして攻撃を加えられたときに、この国土を防衛する、防ぐ、これがすなわちわれわれの言っておりまする自衛でございまして、他国に脅威を与えることのない、そして国力及び国情に相応する自衛の体制を整備するということを方針としておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/285
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286・堀眞琴
○堀眞琴君 他国の侵略があった場合に、これに対して防衛するのが自衛であり、防衛の観念もそういうものであるという御説明、ところで、攻撃と防御との区別ですね、それをどのように考えていられるか、次に御質問したいと思います。攻撃と防御というものをどういう工合に概念上区別していられるか、それをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/286
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287・船田中
○国務大臣(船田中君) 私がしばしば繰り返して自衛と申しておりますのは、現実に日本の区域に攻撃が加わったときに、これを防衛するということでございまして、いわゆる先制攻撃とか、あるいは予防戦争とかいうことは全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/287
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288・堀眞琴
○堀眞琴君 最近の軍事学といいますか、そういう方面での考え方では、攻撃と防衛というものを統一的に考えようというのが、私は少くとも十九世紀半ば過ぎ、ことに第一次大戦以後の、戦闘形式の上においてはそういう考え方が一般的にとられていると思うのです。これは、われわれ軍事専門家でない者でも、大体防御という場合には、その中に攻撃の要素を含む、両者は統一して戦闘形式を作り上げるものだということになってくると思うのです。で、私は、たまたまある軍事専門家の著書を一昨日ちょっと見たのですが、やはりそういう言葉が出てきた。防衛というか、防御というか、しかし防御の中には、攻撃を含まなければ防御作戦というものはやれるものじゃない。それから攻撃作戦についても同じように、防御ということを考えない攻撃作戦ということはあり得ない。防御と攻撃とは統一的にこれをみるべきものである、ということが、大体まあ、常識的に考えても納得し得るところだと思うんですが、そういう点に関しては、長官はどういう工合にお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/288
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289・船田中
○国務大臣(船田中君) これは、ヨーロッパにおける事情とわが国の場合とは非常に違うと思います。ヨーロッパにおいては、御承知の通りああいう地続きでございますから、防御と攻撃というものの区別においては非常にむずかしいと思います。しかしわが国のように、四面海をめぐらしておる地域におきましては、その点は割合にはっきりすると存じます。わが国といたしましては、日本の区域に攻撃が加えられたというときに限って国土の防衛をするということでありまして、これはヨーロッパその他の大陸における場合とは違いまして、はっきりしておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/289
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290・堀眞琴
○堀眞琴君 おっしゃる通り、ヨーロッパの場合には国境がすぐ近くにありまして、おっしゃる通りだと思うのです。しかしその軍事上のそういういろいろな概念規定なり、あるいは戦闘形式に関する規定などについては、私は何も日本独得の意味が出てくるのだとは思わない。これは軍事学の場合ばかりでなく、その他の場合についてもすべて同様だと思うのです。少くとも科学としての、学問としての立場から言えば、私は何も、日本の場合には地理的な特殊性があるから、従って特別に軍事的な、あるいは軍事学的なカテゴリイーが成立するのだということには、私はならないと思う。十九世紀の半ば過ぎ以後に確立された、少くともその軍事学の専門家の間では、そういう考え方でおったし、また日本のたとえば陸軍にしても海軍にしても、軍事専門家の間では、そういう考え方が、一般的にとられてきたと思うのです。鳩山さんが、時に敵基地をたたくこともあり得るのだ、こう言ったことは、そういう軍事的な考え方からいけば、私は当然だと思う。防衛の中には、当然攻撃的な要素を含まなければ、完全な防衛はできない。従って急迫不正の侵略が行われ、誘導弾をもって日本を攻撃する、その場合には敵基地をたたくということは当然考えられることだと思います。従って鳩山さんのあの発言は、不用意な発言ではないと思うのです。少くとも軍事的に少しでもインテレッセを持つ人なら、ああいう考え方に私はなっていくのだろうと思う。あなたはあれを否定されておる。あくまでも防衛である、日本の区域に侵略があった場合、あるいは間接侵略の場合、いずれも防衛の立場においてこれに対処する自衛隊の体制を作って行く、こういうお話なんですが、しかしそれは少しでも軍事的なインテレッセを持つ人からみると非常におかしい議論じゃないか、私はそれで、この前もちょっとお尋ねしたのですが、時間がなかったので進んでお尋ねができなかったのですが、きょうはその点について防衛庁長官の忌憚のない御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/290
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291・船田中
○国務大臣(船田中君) これは重ねて申し上げますが、日本の区域に攻撃が加えられたという場合においては、現行制度、ことに日米安全保障条約及び行政協定の規定から申しまして、直ちに日米両国政府の間において、いかなる共同措置をとるかということを協議をすることになっております。おそらくその場合においては、国連提訴というようなこともあると存じます。そうして日米共同で、いかなる措置をとるかということについて協議をいたしますときにおいて、わが自衛隊といたしましては、現行憲法及び国法の範囲内において、最善の防衛努力をするということになると存じます。それがすなわちわが国土の防衛でありまして、先制攻撃でも加えておけばよかろうというような場合に、先制攻撃を加えるというようなことを考えているのではございません。どこまでも日本の区域において攻撃が加えられたときに、国土の防衛をする、そうしてしかも、それが憲法及び自衛隊法、その他の国内法規に従って、わが自衛隊は行動する、こういうことになるのであります。で、鳩山総理大臣が、誘導弾等によって攻撃を加えられたときに、敵基地をたたくことも自衛権の範囲であると申し上げましたのは、これは理論的に、そういう点についての御質問がありましたので、そういう場合において、他に何ら手段がないというときに、ただ漫然として自滅を待つのが憲法の精神だというふうには解釈できない、従って誘導弾等の攻撃があって、これを防衛するのに、全く他に手段がないという場合においては、敵の基地をたたくことも、これは自衛権の範囲内であると解釈すべきである。こういう理論的の質疑応答をいたしたのでありまして、現実問題として、敵基地をたたくというようなことを、政府としては考えておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/291
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292・堀眞琴
○堀眞琴君 私は何も先制攻撃の場合がどうということを、ここで問題にしているわけではないのであります。純粋の防衛戦を行う場合でも、敵をとにかく排除する、日本の国土に上陸して来た敵の兵隊さんを排除するというためには、ただ防ぎ守るというだけでなくて、やはりその防御の中に攻撃を一つの要素として持っている。そういう意味の一つの防御戦だろうと思う。防御と攻撃というものを区別するということは、最近の軍事的な専門家はおそらく一緒にするだろうと思う。どの軍事専門家でも両者は統一してこれを考えなければならぬという工合にみていると思うのです。鳩山さんの場合ですね、あなたは万一の場合、日本が自滅を待つのみだ、そういう情勢のもとではやむを得ない、こういう御説明なんですが、しかしそういう場合でなくとも、いよいよ戦端が開かれるということになれば、敵の基地をたたくということは、これは当然行われることだろうと思う。それからアメリカとの共同防衛戦を展開するわけですね。アメリカとしては日本の憲法にこういう規定がある、日本の自衛隊法あるいは防衛庁設置法にこういう規定がある。自分も日本と同じように、日本と同じ立場に立って防衛戦をやるのだということには、私はアメリカの場合にはならないと思うのです。極東の安定のためにとか、あるいは侵略者の排撃のためにという形で、たとえば朝鮮戦争のような形のものをアメリカとしては当然考えてくるのじゃないだろうか。そうなると、あなたが幾ら防衛の立場だけ、外国の基地をたたくのはごくまれな場合だけ、しかもそれは特別の場合ということの御説明で、実際の戦闘ということになれば、そんな工合には私はいかないと思う。ですから、鳩山さんの発言は決して間違っているとは思わないのです。日本が自衛隊を持つ、アメリカと共同防衛体制を作り上げる、そういう場合ですね、いざ戦争となれば、当然鳩山さんの発言の通りのことにならなければいかぬし、ならなかったら日本は戦争に負けてしまう。攻撃の場合でも、防衛の場合でも、やはり同じように、防衛と攻撃というものが統一をしてそこで考えられていかないというと、必ず戦争には負ける。こういうことにならざるを得ないと思う。あなたは何か防衛ということに非常にこだわっておられると思うのです。日本は自衛体制を作り上げたが、先制攻撃をかけるのじゃない、向うから侵略してきた場合だけに発動する、こういうお話です。まあたしかに自衛隊法の規定をみれば、そういう規定になっておりますが、いざ戦争ということになれば、そういうことだけにこだわっておったんじゃどうにもならぬのじゃないかという工合に考えますがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/292
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293・船田中
○国務大臣(船田中君) アメリカ側は、よく、日本の憲法も、日本の自衛隊の性格も知っております。もし日本の区域に攻撃が加えられたときに、日本政府とアメリカ政府との間においていかなる共同措置をとるかということについて協議をする場合においても、もちろんアメリカ側は、日本の憲法なり、あるいは自衛隊の実体というものを承知の上で協議をするということになります。わが方といたしましては、どこまでも、憲法、国内法の規定に従って、自衛隊が敵の侵略を防ぐのに最善の努力をするということでございまして、どこまでも防衛をするということが自衛隊の任務であり、また政府としてはそれ以上のことを自衛隊においてやらすというような考えは毛頭持っておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/293
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294・堀眞琴
○堀眞琴君 それではその防衛庁の教育を担当される力にお尋ねいたしますが、その攻撃と防衛という二つの概念をやはり別々に教えていられるのですか、それともそうではなくて、これは統一された軍事上の概念として教育をされておるのですか、それを防衛庁の教育担当の方からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/294
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295・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) 自衛隊におきましては、国土を防衛するということのために、自衛隊の任務を自覚せしめるということを根本目標に教育をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/295
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296・堀眞琴
○堀眞琴君 そうしますと、その自衛隊の任務を根本として教えていられる。もちろんそれに伴って、いろいろ戦争に関する学問上の知識も与えていると思いますが、そこでは攻撃と防御というものは全く別個の概念として教えていられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/296
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297・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) お答え申し上げます。ただいま私が申し上げましたように、どこまでも防衛するということを第一主眼におきまして、諸般の教育訓練をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/297
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298・堀眞琴
○堀眞琴君 防衛を第一の主眼にするということですが、いよいよ戦闘が始まった場合に、その攻撃と防御ということをどういう工合にお考えになっておるか。教育上あなた方が軍事学を教えていられると思うのです。その軍事学の教科書には、攻撃と防御というものを完全に区別して、そうしてその上に立っての知識を教えていられるのですか、もう一度お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/298
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299・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) お答えいたします。いわゆるその概念といたしましての防衛と攻撃ということの差別はございます。しかしながら、訓練、教育の面におきましては、自衛隊はどこまでも国土を防衛するのであるという観点で諸般の教育訓練を実施しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/299
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300・堀眞琴
○堀眞琴君 それでは重ねてお尋ねしますが、その攻撃と防御の概念が違うのだということですが、どのように違うのですか、それを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/300
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301・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/301
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302・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) お答えいたします。私どもの解釈におきまして攻撃と申します場合には、個々の戦闘におきまして特定の軍事目標を攻撃する、あるいはそれを奪取するというようなことを攻撃というふうに解釈いたしております。また特定の場所を守り抜く、これが防衛でございまして、そして全般といたしましては、どこまでも国土の防衛ということを中心に教育訓練が行われておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/302
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303・堀眞琴
○堀眞琴君 今の御説明ですと、全く攻撃と防御というものを概念上区別して講義していられるのだろうと思うのです。私は、最近の軍事学の上においては、それは非常に遅れた間違った考え方だと思いますが、いかがですか。私はきょう参考書を持ってきていないので、参考書を持ってきていれば、それを開いてお目にかけるのですが、残念ながら持ってきていない。で、あなた方は概念上区別されるというのだが、最近の軍事学ではそれを統一して理解するというふうに、最近どころか一世紀前からそういう方向に向いていると思いますが、非常に遅れた軍事学の知識ではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/303
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304・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) お答えいたします。私もたまたま参考書を持っておりませんので……。(笑声)ただ私が先ほど申し上げましたように、攻撃とそれから防御と、これは概念的に申し上げれば、そういうふうに説明ができるということを申し上げておるのであります。そして自衛隊といたしましては、どこまでも防御、国土の防衛ということが主眼であるという全般的な目標のもとに教育訓練が行われておるということが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/304
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305・堀眞琴
○堀眞琴君 それでは全然攻撃と防御というものは統一的には講義していないと、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/305
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306・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) 概念的にただいま御質問のありました点につきまして、攻撃と防御とをどういうふうにみておるかという御質問につきましては、私、御答弁申し上げましたように見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/306
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307・亀田得治
○亀田得治君 先ほど二回繰り返されたのだから間違いないと思うのですが、全般的には防衛だが、その防衛の中に攻撃も跡御も含まれておると、ただし、全般的には防衛だと、こういうふうな考えになっているようですね、だから、個々にいうと攻撃の血も含まれておる、こう理解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/307
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308・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) 大体さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/308
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309・堀眞琴
○堀眞琴君 私は今の御答弁は、私のようなしろうとからみても非常に単間土の最近の傾向に反するのではないか。おそらく実際はそうではなくて、私が、言ったように、防御、攻撃、それぞれ統一的なものとして教えていられるのだろうと思う。ただ、防衛、自衛ということの概念にこだわって、あくまでも防御だ、防衛だということで御答弁になっていると思うのです。ところで、先ほど私が申しましたように、そういう考え方からいけば、当然鳩山さんの見解は、私は軍事上は正しいのだと思うのです。長官は、非常に特別の場合であり、決してそれをそういうふうな場合を想定しているのじゃない、むしろ、あくまでも防衛の立場に立って、敵から攻撃を受けた場合にこれから守るのだということだけを主張されるわけですが、今の教育局長の答弁、きわめて不十分なんですが、しかし、私と教育局長との質疑応答の中で一応感得されたと思うのですが、やはり、戦争が起れば、当然防御もするが、しかし、攻撃もやるということになるのは、これは避けられないのではないかという工合に思うのですが、長官としてはどのようにお感じになりますか。率直に、あまり防衛とか自衛とかいうことにこだわらずに、近代戦争を遂行するための必要な防御、攻撃ということについて御見解をお漏らし願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/309
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310・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほど来、答弁申し上げておりますように、日本の区域に攻撃が加えられたときに、これを防衛するというのが自衛隊の任務であり、その方針に従って教育訓練をいたしておるわけであります。諸外国に脅威を与えるような攻撃をするというような訓練は絶対にいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/310
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311・吉田法晴
○吉田法晴君 時間が十分与えられておりませんので、初め六カ年計画について防衛調達弘報というのがございますが、その中で、総数については別にお示しをいただいた陸上十八万、あるいは海上十二万四千トン、航空千三百機というような数字が出ておりますが、その内数について書かれておりますものがございますが、それは防衛庁試案の中のものであるかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/311
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312・船田中
○国務大臣(船田中君) 昭和三十五年度の最終年度において達成すべき目標は、今お示しの通りでございます。しかし、三十二年度以降の年次計画及び最終目標の艦種、あるいは機種等につきましては、まだ具体的に何もきまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/312
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313・吉田法晴
○吉田法晴君 その中身については、例えば航空について、ジェット機が大半で七宮幾らという数字も出ました。それから艦艇の場合、外航船でいうならば、DDあるいはDEといったあれが出ましたけれども、たとえばDD二隻、千六百三十トンとか二千トン、あるいはD£千、五百トンが二隻、あるいは千六百トンが二隻というような数字についても、これは根拠がない数字ですか、それとも防衛庁試案の中の数字であるか、その点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/313
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314・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛庁の試案といたしましても、今おあげになりましたような数字は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/314
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315・吉田法晴
○吉田法晴君 国防会議は諮問機関で、国防会議じゃなくても、閣議できめてやっていけるのだ、こういう、先ほど防衛庁設置法、それから防衛庁設置法の説明がございましたが、そうすると、六カ年計画あるいはその防衛庁試案というものは、閣議の了解を得て出し得るものではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/315
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316・船田中
○国務大臣(船田中君) 今の御質問は、どういう御質問ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/316
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317・吉田法晴
○吉田法晴君 国防会議を経なければ国防計画も出せない、こういうお話ですね、今までは。しかし、先ほど来の菊川君等の質問に答えては、国防会議は諮問機関で、閣議できめればよろしいのだと、こういうお話です。そうすると、国防会議ができなくとも、あるいは国防会議にかけなくとも、計画というものは、あるいは国会等にも諮問し得るのではないか、出された六カ年計画も、おそらくそういう手続を踏んでお出しになったのじゃないかと思うが、その建前は、従来の言明と違うのじゃないか、こういうことをお尋ねしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/317
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318・船田中
○国務大臣(船田中君) 国防会議の構成等に関する法律案を、せっかく御審議願っておるのであります。そうしてこれの、国防というような大きなわが国の国策に関する重大な問題でございますから、大所局所から考え、また慎重審議をして、しかして万全を期していくという観点からいたしまして、せっかく今御審議を願っておるのでありますから、その国防会議が設置されましたときに、諸般の資料を整えて、国防会議に諮問をいたしまして、そうして長期防衛計画を確立するようにいたしたい、かように考えておるのでありまして、その考え方においては、現在何も今まで申し上げたことと違っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/318
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319・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ちょっと関連……。今の長期防衛計画の中には、私お尋ねしたいのは、国土防衛というのは、単に自衛官の諸君だけではこれは防衛できるものじゃないと思うのです。いろいろ国民の協力も求めなければならん。たとえば近代戦におきましても、航空戦が花形だから、退避訓練とか、あるいは防空壕、さらには燈火管制といったようなこと、それから情報、こういったような協力を求めなきゃならんと思うのですが、こういうことにつきましても、防衛庁としては、せめて企画ぐらいはしておられるのか、ただ単に自衛官だけで国土を守ろう、こういう計画を立てておられるのか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/319
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320・船田中
○国務大臣(船田中君) 郷土防衛隊とか、あるいは民防とかいうことの大切なことは今御指摘の通りでございます。従ってそういう問題については、検討は加えつつありますけれども、それらの問題をも含めて、国防会議が設置されましたときには、それにいろいろな資料を提供いたしまして、そして十分審議して、その上で政府の方針を確立することにいたしたいと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/320
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321・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、時に今原子爆弾ということはやはり一応世紀の課題だと思いますので、そういう攻撃、急迫不正の侵略に対しまして対処するためには、国民をそういう原子攻撃から守らなければならぬというようなことは、当然やはり考えなければならぬと思うのですが、あなた方の言われまする防衛計画の中には、先ほど私が申し上げましたような郷土防衛隊というようなことよりも、むしろ積極的にそういう郷土防衛隊をこしらえるよりも、問題は燈火管制であるとか退避というようなことに相当考えなければならぬ問題だと思うのですが、こういうようなものも計画の中にお入れに一なっているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/321
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322・船田中
○国務大臣(船田中君) 現在のところ阯衛庁といたしましては、そこまではまだ考えておりませんが、今後十分検討して参らなければならないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/322
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323・吉田法晴
○吉田法晴君 先ほどお尋ねしたのは、防衛計画は国防会議に諮らなければきまらないと、こういうお話でしたから、菊川君の質問に答えて、国防会議の諮問機関で、閣議できめればそれでよろしいのだというお話でしたから、それでは、国防会議なしでも閣議了解で示せるのではないか、こういうことをお尋ねしたのですが、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/323
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324・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほどは法律の解釈についての御質問がありましたから、法律上の解釈といたしましては、国防会議法が通過しておりません今日、すなわち国防会議が設置せられない現在におきまして、もし万一防衛出動というような必要が起りましたときに、国防会議がないから防衛出動はできないということはないのでありまして、閣議によって決定することはできる。それは何ら法律違反ではない、こういうことを申し上げたのであります。しかし国防という重大な問題でございますから、この国防の基本方針あるいは防衛生産の問題、それらのことを大所高所から慎重に検計を加え、そしてわが国の国情に沿う、国力に相応する防衛体制を整備するという上におきましては、せっかくただいま御審議を願っておりまする国防会議に関する法案がありまするから、この国防会議ができたときに、その国防会議の諮問を経て長期防衛計画を立て、ただいまお話になっておりますような諸般の情勢も十分そこで御審議を願って、わが国の防衛体制を整備するようにしていきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/324
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325・吉田法晴
○吉田法晴君 その国隣会議にかけた防衛計画というものは、これは正規の案でしょうが、防衛六ヵ年計画というものが、防衛庁にあるならば、それをお出し願いたい、こう申しましたところが、今まで出したものがそうなんだ、ダレス氏に出したものをお出しなさいと言ったところが、それは外交機密で出せない、こういうお話である。それでは、中期情勢見積りというのが防衛庁にあるそうであるから、それをお出し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/325
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326・林一夫
○政府委員(林一夫君) 中期防衛見積りというようなものは、別にまとまったものはないわけであります。平素から情勢検討をやっておるのであります。お見せするようなまとまったものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/326
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327・船田中
○国務大臣(船田中君) ちょっと先ほどの吉田委員の質問のうちに、ダレス米国務長官が見えたときに何かわれわれの方から提出したものがあるようなお話でございましたが、さようなものは全然提出いたしておりませんから、その点は誤解のないように願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/327
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328・吉田法晴
○吉田法晴君 今度じゃない、この間お尋ねをしたダレス重光共同声明の中にある日本政府からアメリカに対して提示されたという防衛計画をお出しなさいと、こういったところが、これは外交機密文書云々と説明がありましたから、それを指したのです、今お出しするような中期情勢見積りはない云々ということでありますが、そうでなくて、現実にあるものをお出しなさい、こういうことを申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/328
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329・林一夫
○政府委員(林一夫君) 絶えず各種の情報を集めておるのでありまして、そういうものの集積したようなものは、まとまったものはございません。まだお見せするようにまとまったものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/329
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330・吉田法晴
○吉田法晴君 中期情勢見積りの中から全部をお出しなさいとは申しませんけれども、徳義上あるいは除かれるものがあっても差し支えございませんが、これは情報の何と申しますか集積だと思うのでありますが、委員長から一つ出させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/330
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331・林一夫
○政府委員(林一夫君) そういうまとまったものはございませんから提出することはできない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/331
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332・亀田得治
○亀田得治君 そんなに完全にまとまったものでなくて結構ですよ。ある程度まとまっておれば参考に、ともかくも正式なものは防衛庁長官がないという、だから若干でもいいからまとまったものがあれば、私ども見れば非常に参考になる。それで結構ですから出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/332
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333・林一夫
○政府委員(林一夫君) 先ほども申しましたように、各種の情勢、これは交換資料によっていろいろ資料を集めておる、そういうものは集めつつあるのです。中期情勢見積りというようなまとまったものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/333
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334・吉田法晴
○吉田法晴君 まとまっておるものだけでいいですから、言われるような完全にものでなくてもいいから、まとまったものをお出し願いたい、問題はお出し願えればいいのです、委員長から一つ提出を求めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/334
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335・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/335
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336・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) 情報資料の関係ですから便宜お答え申し上げたいと思いますが、 ただいま吉田委員のおっしゃっております中期情勢見積りでございますが、どういうものでございましょうか。私の方といたしましては、どういうことをおっしゃっておるか、ちょっと心当りがないのでございます。一ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/336
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337・吉田法晴
○吉田法晴君 心当りがあるかないか、防衛局長は、まとまったものじゃないけれども、資料を集めておりますということであります。それは幕僚会議にそういうものがあったけれども、これは極秘になっておるのですが、新聞にも出ておるものはあるのです。それを全部お出し願いたいというのじゃないから、今御答弁の中にありましたようなまとまったものでなくても資料としてございますというお話ですから、それをお出し願いたいというのです。徳義上その中から除かれるものがあっても差し支えないから、委員長からも先ほど提示要求がございましたから、一つお出し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/337
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338・林一夫
○政府委員(林一夫君) 先ほど申しましたように、中期情勢見積りというようなものはないのです。各種資料をいろいろな資料によって集めておる、そういうものはある。そういう交換資科、いろいろの情報によって集めている材料なら、これは断片的なものはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/338
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339・吉田法晴
○吉田法晴君 委員長からも出すようにというお話がございましたから、私は出るのを期待をいたします。中期情勢見積りというのはある。この間質疑をいたしましたように、長期情勢見積りをすでに作り始めておられるわけでありますが、中期情勢見積りが現実にあるのですから、それを全部でなくてもいいから出して下さることを、これは委員長からも要請がございましたから、出して下さることを期待して、次に移ります。
六カ年計画の中で、現状は二方面、六管区、二混成団でございますが、三十二年度にも一混成団おふやしになるのかどうか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/339
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340・船田中
○国務大臣(船田中君) 三十二年度の計画については、まだ何も持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/340
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341・吉田法晴
○吉田法晴君 閣議にかけてきまったものはございませんでしょう。三十一年度にふやす分について……。それでは三十一年度の一万というのはどういう工合におふやしになるんですか。それから、そのあと十八万名になりますものは、一万ずつおふやしになるようでありますが、それはまだきまっておらぬと御答弁になりましょうけれども、どういう工合にどういうものとしておふやしになりますのか、それを一つ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/341
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342・林一夫
○政府委員(林一夫君) 三十一年度の陸上自衛隊一万の増員は、これは何べんも申し上げましたように、これで混成団を一つ、これは本部は青森、それに特科大隊三、東北地区に地区補給所、各府県に地方連絡部を二十六置く、こういう予定になっております。三十二年度以降のことにつきましては検討中でありまして、まだきまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/342
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343・吉田法晴
○吉田法晴君 十八万というのは出ているわけですね。そうすると、ことし十六万になりますと、あと差として二万が残るのですが、それはどういうふうにおふやしになるのか、管区をおふやしになるのか、あるいは混成団をおふやしになるのか、あるいは管区、混成団はふやさないで、今までに、三十一年度までにふえるものについて、何と申しますか、まんべんなくといっては何ですが、おふやしになるのか。あるいは後方あるいは機械化というような面でおふやしになるのか、そういう方針を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/343
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344・林一夫
○政府委員(林一夫君) 年次計画についてはただいま検討しているのでありまして、どういう部隊をどういうふうに作るかということについてはまだ確定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/344
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345・吉田法晴
○吉田法晴君 新聞紙あるいは防衛庁の中から中期情勢見積りその他を通じて伝わって参りますものは、二方面、六管区、三混成団の今後の増強方針でありまするか、あるいは後方の強化あるいは機甲化ということが言われているのでありますが、そういたしますと、新聞紙に報ぜられておりますような第二次防衛計画で、陸幕その他で考えられますような後方の強化あるいは機甲化等は、最近の演習で――これは外国ですが、外国の演習で行われておりますような原爆戦下においては、兵団の単位を小さくして、そうして機甲化あるいは後方を強化する必要があるといわれる教訓と通ずるものがあるように思うのでありますが、それらの点については、これはどういう方針でありまするのか、防衛庁長官からはっきり一つ方針を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/345
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346・船田中
○国務大臣(船田中君) 昭和三十二年度ないし昭和三十五年度に至りまする年次計画及び最終年度に達成する目標の詳細な内容につきましては、今後検討して参るものでございまして、現在きまっているものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/346
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347・吉田法晴
○吉田法晴君 きまっておるものはございませんがですね、この間からお尋ねするように、あなたの部下と申しますか、あるいは自衛隊の中には、そういう意図がこれは出てくる。それから現に、私どもはある、あなたはないとおっしゃるけれども、そこで今度の方向について、政府としてはこういう方針なんだ、あるいは十八万名塚上はふやさぬ、あるいは二方面隊、六管区、三混成団のほかにはもうふやさぬのだと、これならいいのですよ。しかし今後のとにかく十八万名に至る方向はどういう方向であるかということは、これは大へんな問題です。それについて意見がないということは言えないでしょう。防衛庁としてはっきりとした一つ御方針をお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/347
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348・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほど来申し上げておりますように、三十二年度以降の増勢計画については、検討をこれから始めるというところでありまして、まだきまったものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/348
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349・亀田得治
○亀田得治君 これは私は防衛庁長官はわざわざ隠されると思うんですがね。(吉田法晴君「逃げている」と述ぶ)で、こういうことは常識で考えられないと思うのです。やはり三十五年度の最終目標が出ておる、大まかに……。そうしてその一環として、ことしはこれだけをやるのだ、だれだってそう考えますよ。翌年度になったらそういう配置なりいろんな点がまた変るかもしれぬ、こういうことでは、この自衛隊法の一部改正なり、こういう増強ということはストップすべきですよ。私ども自衛隊に賛成、反対は別にして、どうしても国費を使っておやりになるのであれば、来年計画が変ってこれがむだになるのかもしれぬというような、そういう心配を与えるような、そんなことはおかしいですよ。だから、おかしいというのは、実際は持っておられるものをざっくばらんに発表されないから、おかしい感じを与えるのです。私どもに伝わってくるのは、全く部分的なものしか伝わらないのです。それで総合的に、実際は何か持っておられる、それをもっと明確に示してもらいたい、こういうことなので、ほんとうにないのだということであればこれは私、大へんなことであると思う。ほんとうにないんですか。もっとはっきりそこを明確にしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/349
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350・船田中
○国務大臣(船田中君) 三十二年度から三十五年度に至る年次計画及び最終目標としてお示しした機種、艦種等について、どういう整備をするかということについての具体的の案は、まだ持っておりませんから、お示しができないということを申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/350
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351・吉田法晴
○吉田法晴君 では伺いますが、無方針ということですか。十六万名と十八万名の差の二万というものについては、具体的に方向を、この自衛隊なら自衛隊の幕僚あたりで考えている規模と申しますか、あるいは伝わる方針に対して、あなたは無方針だというのですか。それならそれでもよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/351
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352・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛庁の試案として持っておりますものは、防衛庁の増勢計画の目標として持っておるのでありまして、無方針ではございません。方針は持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/352
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353・吉田法晴
○吉田法晴君 いや、その二万名をどういう工合にするかということ、もう二万名はやめて、十六万なら十六万でもう終るのだ、こういう話なら私はもう質問しませんよ。しかし、なお、あと二万名ふやすという方針があるんです。それをどういう工合に大きくふやしていくのかどうか、これは一つの方針でしょう。六ヵ年計画なら六カ年計画があるのなら、その方向が問題だから、私はお尋ねする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/353
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354・船田中
○国務大臣(船田中君) 方向と方針は、先ほど申し上げましたように昭和三十五年度において達成する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/354
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355・吉田法晴
○吉田法晴君 それは数字だけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/355
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356・船田中
○国務大臣(船田中君) 陸上自衛官十八万名、海上艦艇十二万四千トン、対潜飛行機百八十機、練習機を加えて航空自衛隊約千三百機、こういう目標を持っております。その目標を達成するということを防衛庁としては今増勢の方針として持っておるだけであります。ただしその年次計画又びその詳細な機種、艦種の決定は、まだいたしておりませんということを申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/356
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357・吉田法晴
○吉田法晴君 では私が聞いた方針については無方針だということの説明ですが、具体的に伺いましょう。富士学校で化学教育隊というものを設けて教育訓練をしておられるということでありますが、その富士学校のGBR研究と申しますかその訓練というのはどういうことをおやりになっておるか、一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/357
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358・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) お答えいたします。化学教育隊は富士駐屯地にございますが、汚染地物の識別、除去、応急手当、化学装備品の整備、これらいわゆる対化学保護に関する知識技能を修待させることを目標としておる部隊でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/358
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359・吉田法晴
○吉田法晴君 その汚染というのは何です。あるいは化学兵器というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/359
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360・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) なお具体的に申し上げますと、化学教育隊におきましては、発煙器だとか、放射器、それから除毒器、こういったものの指揮運用技術、それから気象その他の運用上の必要な事柄、それから化学器材資材などの整備、補給に関する技術、こういったものを教えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/360
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361・吉田法晴
○吉田法晴君 汚染というお話ですが、その汚染というのは黄塵で汚染したのではないでしょうし、何で汚染された、これは細菌で汚染された、あるいは核分裂兵器で汚染された云々ということだろうと思うのですが、もう少し具体的に率直に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/361
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362・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) このたとえば化学教育隊の中にはいろいろな課程がございますが、その課程の一つにおきましては、毒ガスのガスの種類及び性能、効力、ガスの負傷者の応急手当、ガスの検知法、除毒、こういったような事柄、それからまた生物学の一般を教えまして、病気の予防消毒など、また放射線の特性なども教えております。これによりまして、また放射能の応急除毒、こういつたような内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/362
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363・吉田法晴
○吉田法晴君 生物というのは何でしょうか。バクテリアや、それから放射線云々というのはあるいはそれに対する応急除毒というお話ですが、それは核分裂による放射線云々というのじゃないですか。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/363
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364・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) そういったものも入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/364
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365・吉田法晴
○吉田法晴君 CBRというのですから、ケミカル及びバクテリア、ラジオという、これは名前を見ただけでもはっきりしておりますが、しかもそれを科学学校として今年は前橋に移して拡充をやるというのです。そうすると、先ほどお尋ねをいたしましたけれども、今、富士学校で、あるいは今後拡充して前橋で自衛隊の訓練の中に、教育訓練の中に、そうした原子戦争あるいは毒ガス、あるいは細菌戦、そういうものに備えた研究をし、訓練をしておられるということは、これは間違いない事実でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/365
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366・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) 先ほど申し上げましたように、化学教育隊におきましては、防衛上の見地からいたしまして、こういった汚染地物などの識別除去、応急手当、こういうような防衛上の見地からする必要な知識、技能を修得させるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/366
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367・吉田法晴
○吉田法晴君 たとえばバクテリア問題について、逆に新華社電報で、日本が満州でやった細菌戦をもう一度やろうとして富士学校において研究怠りないのだ、こういうニュースが伝わっているのでありますが、細菌は培養しておられるのですか。それとも培養しておられないで、培養した細菌が降って来ることを防ぐ方法だけを御研究になっておるのですか。細菌が培養されておるか、されていないか、その点だけはっきり承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/367
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368・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) そのようなことはございません。御指摘のように、そういった場合があった場合どうするか、何といいますか、防衛の必要上、必要な知識技能を修得するということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/368
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369・吉田法晴
○吉田法晴君 訓練はそういう細菌戦に備えての訓練かもしれませんが、その教育隊でバクテリアの養殖は全然やっておらぬということですか。それとも研究としては培養しておられるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/369
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370・都村新次郎
○政府委員(都村新次郎君) 培養ということはやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/370
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371・吉田法晴
○吉田法晴君 長官にお尋ねいたしますが、化学教育隊ということで、そういう教育訓練が行われておる。さらにそれを三十一年度以降において拡充して教育訓練をしよう、そういうことですか。それはあるいはアメリカのネバタの演習、あるいはNATOでの演習、あるいはSEATOでの演習を通じて原子兵器が普及をした。あなたの言う攻撃的な武器だけでなくて、小さくなって、局部的に攻撃することができるということになって、今後考えられる戦闘には、原子兵器がつきものだ。従って演習の際にも、原水爆の破裂した後に、防御装置をして、あるいは服装をして入って行く訓練が行われている、これは御否定にならぬと思う。そうすると、そういうものが今後防衛庁の中にあるいは自衛隊の中に入るだろう。これはあるいは管区混成団の単位の問題にも関連をして参ります。先ほどお尋ねしたら、二方面、六管区、三混成団までは見通しが立っておる。そのあとの二万名をどういう工合にふやすのかという問題と、それから今の問題とは関連がございます。そこで、そういう方向との関連において、そういうことはやらぬのだ。あるいは細菌戦、あるいは原子戦争が行われた場合に、日本の自衛隊を持って行く、原子戦争が行われて、その戦術的にも使われた直下の戦闘の中に日本の自衛隊を持って行くのか、持って行かぬのか、これは、はっきりした方針として私はあるだろうと思うのです。今後の増強方向、それから言われておりますような陸幕その他で考えられておる今の防衛計画後に考えておられる、あるいは検討されているという方針との関連において、一つ明確に御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/371
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372・船田中
○国務大臣(船田中君) 化学教育隊を持っておりますことは、先ほど教育局長が御説明申し上げた通りでありまして、これは防衛のために備えておくということは、さような化学教育をしておくということはきわめて必要であると存じます。しかし、それが今の二万名の増強とどういう関係があるかということでございますが、この二万名の増強につきましては、先ほど来申し上げておりますように、今後十分検討して適当なる増勢計画を立てたいと思っておるのでありまして、三十二年度ないし三十五年度の年次計画及びその内容につきましては、現在お示しする段階にまだ達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/372
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373・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/373
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374・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて、本日はこの程度で質疑を終りまして、散会いたします。
午後五時五十五分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02619560412/374
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