1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十三日(金曜日)
午後一時四十二分開会
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委員の異動
本日委員川村松助君、木島虎藏君、植
竹春彦君、苫米地義三君及び菊川孝夫
君辞任につき、その補欠として白井勇
君、井村徳二君、横川信夫君、堀末治
君及び永岡光治君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 小柳 牧衞君
理事
野本 品吉君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
井上 知治君
井村 徳二君
木村篤太郎君
白井 勇君
中山 壽彦君
堀 末治君
横川 信夫君
亀田 得治君
木下 源吾君
田畑 金光君
永岡 光治君
吉田 法晴君
廣瀬 久忠君
堀 眞琴君
国務大臣
国 務 大 臣 船田 中君
政府委員
防衛政務次官 永山 忠則君
防衛庁次長 増原 恵吉君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁教育局長
事務取扱 都村新次郎君
防衛庁人事局長 加藤 陽三君
防衛庁経理局長 北島 武雄君
防衛庁装備局長 久保 龜夫君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○公共企業体職員等共済組合法案の撤
回に関する件
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/0
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001・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから開会いたします。
委員の変更について御通知申し上げます。四月十三日菊川孝夫君、川村松助君、木島虎藏君が辞任せられまして、その補欠に永岡光治君、白井勇君、井村徳三君が選任せられました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/1
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002・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 公共企業体職員等共済組合法案の撤回に関する件を議題にいたします。
昨四月十二日、右案の発案者植竹春彦君外二十七名の方から撤回要求が提出されましたが、これに許可を与えることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/2
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003・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/3
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004・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて。
なお本日委員の変更について通知がありましたから御報告申し上げます。植竹春彦君、苫米地義三君が辞任せられまして、横川信夫君、堀末治君が補欠として選任せられました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/4
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005・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案並びに自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
両案に対する質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/5
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006・木下源吾
○木下源吾君 ただいま皆さんの話を承わっておりますと、やはり総理大臣が見えぬということは、これは相当質問の満足な答弁が得られるかどうか疑問に思うのですが、大体防衛庁の長官でこの点は責任を負ってすべてをおやりになるか、御答弁になるかどうか、まずそれから一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/6
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007・船田中
○国務大臣(船田中君) 国務大臣として、また防衛庁長官として、政府を代表して答弁申し上げるのでございますから、総理大臣が出席しておりませんでも、防衛関係につきまして御質問がありました点は全部責任を持って私は答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/7
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008・木下源吾
○木下源吾君 この防衛に関する整備、そういうものがどうも自主性が乏しいように思う。たとえばアメリカから有力な人が来て、そんなにあまり進めないでもいいというようなことが新聞に見えるのです。そういうようなことを見ると、さっぱり自主性がないのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、こういうことについて、アメリカの防衛と、そうしてその一環をになっている日本の防御に関するいろいろな計画といいますか、実施ということと、これがバランスがうまくとれておりますか、その点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/8
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009・船田中
○国務大臣(船田中君) わが国の防衛につきましては、御承知の通り日米安保条約によりまして、日本とアメリカとが共同してこの国土の防衛に当るということになっております。それが同時にアメリカの防衛ということにもなるだろうと存じます。しかしながらわが方からいえば、わが国土の防衛ということでございまして、従って自衛隊の整備につきましては、もちろん日本の自主性をもって計画を立て、アメリカと緊密な連絡をとりまして、アメリカからの供与を受けなければならぬ、また供与をされました兵器、艦船、飛行機等についてアメリカの指導を受けるということはもちろんでございます。しかしどこまでも日本は日本の防衛のために自衛隊の整備をすることに努めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/9
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010・木下源吾
○木下源吾君 まずその防衛の対象とでもいいますか、アメリカが防衛をするというものは何を防衛するか、アメリカの対象は。日本の場合は何を一体防衛するか、こういうやはり明確な一つ対象があると思うのです。こういう点について一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/10
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011・船田中
○国務大臣(船田中君) これは自衛隊法にもはっきり書いてありますように、わが国の独立と平和を維持し、直接または間接の侵略に対して国土を防衛するということが、わが自衛隊の任務でありまして、その対象となっておりますものは、もちろんわが国の国土の防衛ということがこれが防御する目的、対象ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/11
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012・木下源吾
○木下源吾君 元の軍隊と今の自衛隊とはいろいろな面で違っておると思うのです。そういう点を一つ大ざっぱなところを説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/12
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013・船田中
○国務大臣(船田中君) これは現行憲法の九条に御承知の通り戦争を放棄するというような規定がございます。国策遂行の手段としての戦争は放棄する。そうして、その前項の目的を速成するために陸海空軍その他の戦力を持つことができない、交戦権はこれを認めないと、こういうような規定がございますから、その憲法のもとにおいて最小限度の自衛態勢を整備するということでございまして、戦前のわが国軍のように、その点は目的においても、また規模、装備、あらゆる面において相当な大きな違いはあると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/13
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014・木下源吾
○木下源吾君 まあ一口に言えばそんなものだろうと思いますが、兵隊の給与がずいぶん違っておりますね。私どもが兵隊に入ったときは五銭二厘、一日に、上等兵になって六銭五厘、一日に、こういうのが、その後幾らかずつ高くなったにしても、これはあんパンを昼に食えばほとんどなくなるくらいで、今日は一般公務員の給与ですね、こういうふうに変っておるのです。従ってそればかりではなく、根本的にはいわゆる目的ですね。防衛隊、自衛隊の目的、今申しておった国土の防衛も、それは一般的に話をしております。元と今とではそういうふうに変っておるのじゃないか、これは時間がありませんからそのことは端的に言いますが、その当時は天皇の軍隊です。元の軍隊は御承知の通り。そうしてこれの性格というものは、封建的な権力、大地主的な権力とでも申しましょうか、そういうものを守るというところに重点があったのではないかと思う。これはいずれにしても今日と違っておらなければならないと思う。今日はそういう意味での相違はどういうように変っておるかということを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/14
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015・船田中
○国務大臣(船田中君) これは現行憲法において天皇主権というものはなくなっておりまして、民主政治が行われておるということでございますから、終戦前の国軍とは著しい違いがあると思います。
それからただいま御指摘もありましたが、戦前の軍隊であれば徴兵制度でございますから、その給与等も非常に安くなっておった。今日においては全部志願兵、志願制度によっておりますから、従って一般公務員と同じような、公務員としての給与、待遇を受けておるというようなことでございまして、今日の自衛隊は、従って補充というような点におきましては戦前と著しく違っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/15
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016・木下源吾
○木下源吾君 今の自衛隊は徴兵ではない、いわゆる義務制でもない、その当時と給与の面などでも著しい相違がある。同時にアメリカとともに防衛する。で、アメリカは御承知の通り世界の資本主義の大国であります。いろいろ見ておりますというと、今の自衛隊、アメリカの軍隊、これはその自由主義国といいますか、もっと端的に言うならば資本主義国、資本主義を擁護する、それを防衛する、こういうような格好で設けられておるように見受けられますが、その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/16
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017・船田中
○国務大臣(船田中君) わが自衛隊は、自衛隊法に明記されておりますように、わが国の独立と平和を維持し、直接または間接の侵略に対して国土を防衛する、こういうことが任務でございまして、資本主義の擁護であるとかあるいは社会主義の排斥だとか、そういうようなことは考えておらないのでありまして、どこまでも国土の防衛ということが任務でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/17
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018・木下源吾
○木下源吾君 独立のために軍隊を作る、こう言われますが、これはしばしば言われておるように、ある意味においてはこれだけの基地があり、そうして日本の主権が及ばないところがたくさんある。そうしてそのための司法権も制約を受けておるというようなことは、これは一つ独立を侵されておる状態と言い得るのではないかと私どもは思うのであります。で、このために自衛隊があるというならば、独立のためにというならば、そうして私が今申し上げたようなことが、独立は侵されておるということであるならば、そのために自衛隊が用いられるのじゃないかというようにも考えられるのですが、ただ独立と平和といいましても、そう一般的な表現で、なるほどといって今納得するわけにはいかないという実情にあるのじゃないか、こう思うのですが、その点についてはどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/18
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019・船田中
○国務大臣(船田中君) わが国が今独立国であるかどうかというようなことのお話でございましたが、わが国は今日独立国であると私は確信しております。アメリカの軍隊が駐留をし、あるいはアメリカ軍のために日本がある程度の基地を提供しておるということは、これは何も独立の侵害ということにはならぬと存じます。日米安保条約というものは、両主権国が協定をいたしまして、御承知の通りお互いに話し合って約束をいたし、わが国土の防衛を共同でやるという約束のもとにあるのでありますから、これについては私は独立国なればこそ日米安保条約というものが締結されたのであると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/19
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020・木下源吾
○木下源吾君 しかし、そういう御答弁であれば、これはいわゆるしばしば首相が言われる完全独立というようなことになりますと、またその他においても有力な政府の人々がわが国の完全独立のためにということを始終言われておるのでありまして、あなたの言われるところの独立国だということと非常に趣きが違うと思うのですが、そういう点は食い違いがありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/20
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021・船田中
○国務大臣(船田中君) 総理が完全独立ということを言われたのは、一つの形容としてはそれはわれわれも普通に使うことでございまして、ただいま私が申し上げたのは国際法あるいは国内法の法律的のわが国の地位といたしましては独立国である。しかし同じ独立国でありましても、経済の自立あるいは防衛態勢が自立しておるかどうか、いわゆる形容詞として完全な独立国になりたい。裏を返せばある程度相当強力な国になりたい、経済の自立も達成したい、こういうような趣旨において完全独立あるいは独立の完成というような言葉を使われると思いますが、法律的には、私は日本は国際法においても国内法においても完全な独立国である、こう申して差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/21
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022・木下源吾
○木下源吾君 私は、今政治的な意味をお尋ねしておるのであって、法律の解釈とか何とかいう問題をこまかく今刻んでいるのではないのです。あなたが日本は独立国であるということを今あらためて私に言明されたから、総理は今までしばしばそういうこととは違った、完全独立のためにということを始終言われておると、そういうことでお尋ねしておるのですが、法律的には云々なんということを私は今聞いておるのではない。そういうことを論議すれば長くなる。私の今お聞きしようとするところは、日本は自由主義諸国と一緒になって進んでおるということは間違いない。そうして、かつて日本が軍隊を持って、その経過は御承知の通りであります。そうして経済と密接な結びつきの上において戦争が行われたのであり、昨日来いろいろお聞きしておりますと、戦力であるとか、第九条による戦力ではないと、いろいろなことを言っておるが、これは何もそういうことをこまかく詮議立てるまでもなく、攻撃とは最大の防禦だという言葉が昔からあるのであります。兵器がどうであろうと何であろうということの問題よりも、大体その国の政治の本質が、やっておることが侵略的である本質を持っておるか、防衛的な本質であるかというところに問題点があると思うから今お尋ねしておるのであります。私は、今あなたのおっしゃるような法律的にどうだということを、そういうことを……。ですから私は総理大臣のようなことをお聞きすることができるかということを冒頭に言っておるのはそこなんです。少くも軍隊を持つ、その軍隊というものは、その国の利益のために何らかになっておるかということが問題だと思うの、であります。かつては日本が軍隊を持って、あのくらいの陸海軍を持って、そうして外交の線においてそれがバック・ボーンになった。それが国のつまり利益になった政策を進めていった。取引をやる上においても力があるから、こちらは自分のものを有利に植民地でもあるいはそのほかの国に売ることができた。これはみずからを守るということであるけれども、やはり一方においては他の国を力をもって威嚇しながら、そうして一方に経済的利益をとっておった。そういう力と力のバランスが破れて、根底にはやり経済、貿易、そういうものがあって、そのバランスが破れて戦争になった。一切のものが皆戦力になって、そうしてそこにはもはや防衛だとか侵略だとか、そういう問題を超越してしまって戦ったわけであります。今の防衛隊がそういう危険を持つのではないかと、こういうように国民が考えておるわけなんです。そこで問題ができておるわけなんですから、私はあなた方が通り一ぺんな抽象的な御答弁をなさっても、国民がこれを納得しないから私は今お聞きしておるのであります。私はそれをお聞きしておる。日本が今みずから守らんとするものは何であるか。それは具体的にはあなたF国土だといいますけれどもが、実際には国土を守るというそのような表現は、それは封建的な権力、大地主の土地を守るという、それにつながっておるだけであります。実際はアメリカの今日の状況は、資本を守る、資本の利益を守る立場にアメリカがあるということは、これは疑う余地がありません。それと共同的に日本がやるのであるからして、やはり日本も資本擁護のためにやっているのだ。日本が、昔一日五銭二厘の給料の兵隊が今日公務員並みに普通の給料を払って兵隊を使っている。それが資本の利益を守る推移を物語っているのだ、こういうように私は考えておるのだが、あなたはどうですか。
私はもう持ち時間があまりありませんから、一人でしゃべって要点だけをお聞きしようと思うのですが、そういう点を、何を守るために日本が、ただ国土なんというそういう漠然としたものではなく、それはある意味においてはごまかしですからね、そんなことは。はっきりしてもらいたいと思うのです。それによって給料も安ければ高くしなければならぬ。資本家を守るための給料だから安ければ高くしなければならぬ。そういうことをお聞きしておるので、一つ御親切に御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/22
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023・船田中
○国務大臣(船田中君) これは先ほども申し上げましたように、わが国の独立と平和を維持し、直接または間接の侵略に対してわが国土の防衛に当るということが自衛隊の任務であり、すなわち防衛の本旨がそこにあると存じます。あえて資本主義を守るとか、あるいは資本を擁護するとかいうことを自衛隊の任務としておるものではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/23
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024・亀田得治
○亀田得治君 ちょっと委員長、今のに関連して。まあ時間がないからはなはだ何ですが、ちょっとお聞きしますがね。あえて資本主義などを守るつもりはない、こうおっしゃるのですが、それならば社会党が政権を取って社会主義の政策を実行する。そういう場合であっても自衛隊というものはその社会主義体制を守っていく、とにかくそのときの政治体制を守っていくのである、こういうことが断言できますか。そういう建前をとっているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/24
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025・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛隊の任務は、先ほど来申し上げておるように、わが国の独立と平和を維持し、直接または間接の侵略に対してわが国土の防衛をすると、これが任務でありまして、その点においては社会党政権ができてもこれは異なることはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/25
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026・木下源吾
○木下源吾君 だけれども、今まで言われたのは戸締り論といいますかね、そこにやはり内容は、ものをとられる、こういう意味を含んでいます。どろぼうが入ってきてとられるというような、まあ非常にくだらない言い方、比喩でありますけれどもね。やはりこの目的は、私は具体的に聞くならば、昔はやはり軍隊の精神的なよりどころ、内務班とかあるいは五箇条の御誓文とか、いろいろあったのです。そういうものは一体今何を、どういうものを使っておるかということを具体的にお聞きしたいのだけれども、これも時間が制約されているから何ですが、おそらくそういう昔のようなものはないと思うんです、今は……。だから今はただ一口に言えば、悪口を言うならば雇い兵と言われているわけなんですね。だから金を出さなければ来ない。それで今入っている人たちは、悪口を言う人は、食えないから食うために志願していくんだ、こういうような表現を使われている。そういうことで一体あなた方は満足しているのかどうか。満足しておられるというならば……そうではない、はっきりと国土防衛、進んでは戸締り、ものをとられないように、ものというのは、今一般的にいうところの資本、そういうものをとられないように、こういうようにあなた方ははっきり言われたらいいんだけれども、あまりぼやぼやしているんじゃとてもこの十何万の兵隊さんたちは、よりどころがなくて何もやれないのじゃないか、こういうように考えられるんですが、どうですか、何か内務班みたいなもので……どういう精神教育をやっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/26
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027・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛隊の教育につきましては、自衛隊法にあげてありますような自衛隊の任務を自覚せしめまして、そうして国土の防衛のために挺身する。一面においては犠牲的精神をもって、一致団結して国土の防衛に当る。いわゆる愛国、愛民族という精神で国土の防衛に当るということを主眼として教育をいたしているのでありまして、今、自衛隊に、それは二十万近いものがいるんですから、そのうちに絶対に一人も間違った者がおらぬということをここで断言することははばかりますけれども、大部分の自衛隊員というものは、自衛隊の任務を自覚いたしまして、りっぱな自衛隊員として育成されつつあるのであります。私もわずかでありましたが部隊を視察いたしまして、従来三年半内閣委員をして外から視察をしておりましたときよりも、内部に入りまして、自分が責任者として自衛隊員を見ました場合において、かなり私が外から予想しておったよりもいい状態にある、なりつつある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/27
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028・吉田法晴
○吉田法晴君 時間がございませんから、簡単に質問をいたしますが、答弁も一つ要領よくお願いいたします。たくさん問題がございますが、その中で具体的に、自衛隊のために演習場を持ちたい、これも個所は相当たくさんございますが、その中で神之池というところがあります。あるいは長官御存じであろうかと思いますが、ここは前の霞ケ浦神之池航空隊というのですか、開放いたしまして、開拓をして参りまして、現在では鹿南総合開発というのですか、北浦の水をとって導水路を作って水田にし、あるいは畑灌漑用水をやって、りっぱな収穫をあげていこう、こういう計画が行われている。これは政府としても金をつぎ込んで参っておる。農林省としても金をつぎ込んできたし、また金をつぎ込みつつあるわけなんです。開拓をして参りました開拓民あるいは住民も、増反をいたしまして、そこから相当の収益があり、将来総合開発によって生活が改善されるという見通しがございますから、反対をしておりますが、こういう状態の中で、私どもに言わせれば、これは憲法に違反した軍隊ですが、それが基地を設定することを強行することはできないと考えるのでございますが、自衛隊、あるいは防衛庁長官としてどういうふうに考えておりますか。今までの方針が、農林省を通じてそういうことであったから、あるいは地元の反対があるならばこれはやめたい、やめるべきだ、こういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/28
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029・船田中
○国務大臣(船田中君) 神之池の演習地につきましては、自衛隊としてはこれをぜひ獲得いたしたい、しかしそのために無理をし、あるいは関係住民の迷惑も顧みずやるということではございません。十分に納得ずくでこの神之池の演習場が自衛隊用として使えるようにしたいと思って従来努力して参りましたし、だんだん地元の方々も了解をしてくれておりますので、これは近く円満に解決ができるものと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/29
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030・吉田法晴
○吉田法晴君 円満にこれは話がつく見込みはございません。衆議院では調達――武器その他の調進業務であろうと思うのですが、接待を受けることと芸者をはべらせることと、その限界をどこに引くか、必要と認められるものと認められないものと、どこに限界を引くかということで、大へんお困りになったということですが、神之池の場合に、ことしの一月の十八、九日ごろですが、防衛庁に町議会の諸君が、それでは防衛庁の意見を聞きにいこう、こういうことで、それは実は聞きにいったのだろうと思うのでありますが、いわば口実のようになって、二次会、三次会が行われました。最後は潮来の翠雲荘というところで、料理が出る、それから芸者も出た、芸者も出ただけでなくて、そのあともあるんですが、(笑声)これは建設業者から金が出ていると考えられます。自衛隊も四億もむだ使いをする金があるものだから、鹿島の町に入り込んで二次会か何かやっておられますが、金をたくさん使っておられますが、私はこれは自衛隊から直接金が出たとは思いません。思いませんけれども、前の演習場を作りました建設業者、そうしておそらく今後あそこに航空隊ができるならば、飛行場ができるならば、その建設工事を請け負いたいと考えておる建設業者だろうと思いますが、そこから金が出て、潮来でとにかく夜を徹するというか、沈没するだけのあれが行われた。その二、三日後に町議会がひっくり返された。傍聴者を締め出して暁を徹してひっくり返されたというのですが、そういうことまでして、酒を飲ませ、芸者を抱かしてまでして町議会をひっくり返して演習場を作らなければならぬのか。これはまあ事実はあまり御存じあるまいと思いますけれども、そういうことが許されるかどうか、方針を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/30
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031・船田中
○国務大臣(船田中君) 今、吉田委員がおあげになったような事実を私は承知いたしておりません。もしそういうような事実があるとすれば、まことに不都合なことでございますが、防衛庁といたしましては、神之池演習場を獲得するのにさような卑劣な手段をもって獲得しようなどと考えておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/31
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032・吉田法晴
○吉田法晴君 たとえばそういう場合に、これは継続して調遠業務をやるかどうか、あるいは一つの建物を年々随意契約で同じ人間にやらせるかどうか、これは二、三議論があるかもしれませんが、将来その工事を請け負いたいということでそういう暗躍をする者に工事を請け負わせる、こういうことはこれは好ましいこととお考えになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/32
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033・船田中
○国務大臣(船田中君) 演習場の獲得が終了した後に、これをいかに演習場として建設をするかということは別個に考えますので、そうしてしかもその請負をさせるということについては、最も厳正公平にやっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/33
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034・吉田法晴
○吉田法晴君 時間がございませんから、また他日に譲りまして、総括質問に移りますが、先ほど長官が言われましたように、民主主義が今の憲法の基本原則である。あるいは自衛隊も民主主義の原則に従うべきだというのであるならば、私は国民環視の中で自衛隊ができ、あるいは大きくなるも小さくなるも、これは国民環視、あるいは国民の意思によってなされなければならぬと思う。ところが、その民主主義につきものであります公開主義というものが、自衛隊、防衛庁では行われておらぬのではないか。たとえば六カ年計画にいたしましても、計画の案というものの説明を求めますと、予算委員会に提示した以上のものはない。ところが、民間に出されました防衛調達情報ですかを見ますと、ちゃんと書いてある。それからこの間読み上げましたけれども、ダレス・重光共同声明には、ちゃんと提示したと書いてある。アメリカには提示できる、それから業者、民間の経済界には提示できる、国会には提示できない、そういう秘密主義が自衛隊にはあるのでしょうか。一体民主主義的に国民の監視のもとにおいてできるというのであるならば、私はそういう秘密主義はあるべきではなかろうかと考えるが、長官どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/34
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035・船田中
○国務大臣(船田中君) 国会は申すまでもなく、国政運営の意思決定の最高の機関でございますから、国会にはわれわれは何ら秘密にして隠しておる事項はございません。ただいまおあげになりましたようなことは、これはいろいろ情報としてはそういうことを誤まり伝えたものがあるかと存じますけれども、アメリカ政府に示し、あるいは業者に内示するというようなもので、この国会にことさらに隠しておるというようなものは何一つございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/35
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036・吉田法晴
○吉田法晴君 ございますよ。それは資料を見てごらんなさい。しかもとにかくあれをだれが出したかということは申しませんけれども、あなたの方の内部から数字等については出ていることは間違いない。
なお、同じような自主性のない点が随所に現われておりますが、今度の自衛隊法案あるいは防衛庁設置法の一部改正法案の中に、あるいは米軍その他の外国の飛行機が、日本の自衛隊の飛行場に着陸をした場合には燃料を給するとか、あるいは隣接基地に給水をするとかいうこともございますが、防衛庁設置法の中には、不動産、備品、需品及び役務を、労務を除いて調達、提供、管理をする、こういうことですが、これらは言われておるような傭兵再軍備というか、従属的な軍隊であると言われるゆえんだと思うのでありますが、どういう工合に御説明になりますか。あるいは防衛庁で不動産等の取得をやろうというのは、そして提供をしようというのは、調達庁では困難だから、防衛庁が引き受けて、アメリカ軍の下請をやろう、こういうことなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/36
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037・船田中
○国務大臣(船田中君) 自衛隊の飛行場に、自衛隊以外の飛行機が不時着をしたときに、もし油の供給がぜひ必要であるという場合におきましては、これを供給することができるということにいたしましたのは、これは実際問題としてさようなことがたびたび起るものじゃございませんけれども、しかし米軍の飛行機も、あるいは日航機にいたしましても、不時着をしなければならぬという場合も起ります。そのときに、全く自衛隊の飛行場においては給油も何もできないんだということでは不便でございますから、そういうことの給与のできるような便宜規定を設けたのでありまして、これは何も米軍にそのために従属するという趣旨にはならぬと存じます。また自衛隊の訓練をいたしまする場合において、米軍の顧問団が一緒におるというような場合もあります。そういう場合に、便宜その米軍の顧問団に対して、給水その他の施設の提供をするということも、これは便宜の規定でございまして、これをこういうような規定があるから、直ちに自衛隊は米軍の従属兵であるというようなことにはならぬと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/37
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038・吉田法晴
○吉田法晴君 今の自衛隊の増強について限度があるのかどうか。これは十八万、十四万四千トン、千三百云々といわれますけれども、しかし前に指摘を一いたしましたように、第二次防衛計画を検討しておられるという事実があるようでございますから、限度があるのかないのか、明確なとにかく御答弁を願いたいと思います。あとでもお尋ねいたしますが、鳩山内閣になってから、あけすけではあるが、ズロースがない、限度がない。自衛力問題については、あとで質問があると思いますけれども、こういう意についても、多少かつて考えられたような限度というものも全然ないかのように考えられますので、明確に答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/38
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039・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛庁としては、しばしば御説明申し上げましたように、昭和三十五年度を最終年度として六カ年に、すなわち昭和三十年度から昭和三十五年度に至る六カ年、それを長期計画の目標といたしまして、その目標はただいまおあげになりましたように、三十五年度末におきまして、陸上自衛官十八万、海上艦艇十二万四千トン、対潜飛行機百八十機、それから航空自衛隊において約千三百機、こういう目標を立てております。これは国防会議が設置せられましたならば、これにも諮問をいたしまして、政府案としてぜひ提出をしてもらいたいという希望を持ち、その努力をいたしておるわけで、ありまして、第三次の計画につきましては、現在のところ何も持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/39
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040・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは今言われた以上はふやさない、それが限度だと、こういうふうに明言せられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/40
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041・船田中
○国務大臣(船田中君) 昭和三十六年度以降のことにつきましては計画を持っておりませんから、今日何とも申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/41
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042・吉田法晴
○吉田法晴君 何とも申し上げかねます、この間の答弁は、今のところこう、それからその先ふやすかふやさぬかはわかりません、こういうことですから、それでは別にふやすという話があれば、それに押されていくかこういう点を聞いている。はっきりとにかく政府として、これは鳩山さんはきょう出ておられぬから、政府を代表して答弁されるということですが、その辺についてはっきりした、これより以上の増強はいたしません、こういうことを言われるのかどうか、はっきり一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/42
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043・船田中
○国務大臣(船田中君) 昭和三十五年度においては、先ほど申し上げましたような目標はぜひ達成したいと思って、今後努力をいたします。昭和三十六年度以降のことについては計画を持っておりませんので、ここに申し上げかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/43
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044・吉田法晴
○吉田法晴君 それではとにかく三十六年度以降についてはやはりはっきりせぬ。それから、それではたとえばあなたの方の陸幕あるいは統幕その他でそのあとのことを考えておられる。そうして作戦要求上からあくまで増強する場合には、徴兵制度もこれは論議の対象になることが予想される云々。徴兵制度ということを考えられる、あるいは研究され、論議される。前から二十万以上については、これは徴兵制度でなければならない、こういうお話でありますが、そういうことは、そういう可能性と申しまするか、それについて船田長官としてもやはりなお考えておられるかどうか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/44
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045・船田中
○国務大臣(船田中君) 徴兵制度のことについては、私は現在考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/45
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046・吉田法晴
○吉田法晴君 時間がありませんから次の質問に移りますが、この間ダレス国務長官が参りましたのも、韓国との調整等もありましょう。しかしSEATOへの参加というものを日本に要請して参るということは外交方面で考えられる点であります。SEATOに参加をするかどうか、あるいはSEATOに参加して、SEATOの大演習に参加をしたということでありますが、それは米国の武器あるいは兵隊、で、日本の自衛隊も参加が要請されて参るということは、これは客観情勢から考えて想像し得る点でありますが、SEATOへの参加あるいはSEATOの中での海外派兵と申しますか、日本から外に出ていくということについて、そういうことは絶対にしない、日本の政府として、鳩山内閣として、あるいは防衛庁長官としてそういうことはしないと言明をせられますか、それとも今のように、それはそのときの話、そのときになってみなければわからぬ、こういうことなんでしょうか、はっきり御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/46
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047・船田中
○国務大臣(船田中君) SEATO参加のことについてアメリカのダレス長官から要請されたというような事実は何ら聞いておりません。それからまた海外派兵というようなことは政府としては考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/47
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048・吉田法晴
○吉田法晴君 ところがどうも声がちっと弱い、はっきりせぬ。(笑声)もう一つ伺いますが、きのう質問をいたしましたように、富士研究所では最近、あるいは原子戦争-原子力が使われましたあとに突っ込んで参るといいますか、対放射能被服を着て訓練研究をやっておるという点も、それは明らかになりました。それから陸幕その他で戦闘単位についても、対原爆戦に備えるならば大体単位を分散をして、装備と機動力を与えるべきではないか、こういうことが検討をせられておるということ、明らかに原子戦争というものに対して態勢を研究し、あるいは態勢を一部においては考えられておるようでありますが、しかし原子兵器の輸入はこれは認めない、あるいは原子兵器は持たぬと、こういうことも言ってこられましたが、自衛隊としてあるいは防衛庁として、原子兵器を持つことは絶対にいたしません。あるいは原子戦争に参加するというようなことは絶対にない、こういうことは言明できますか。それとも、それは客観情勢の変化その他で、あとはさっきの小さいような声で、どうかわかりませんというようなことでございましょうか、一つ明確に答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/48
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049・船田中
○国務大臣(船田中君) 今、日本が原子戦争に参加するなどということを考えてはおりません。原子兵器を持つという意思も持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/49
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050・吉田法晴
○吉田法晴君 今のことだけじゃありませんよ。(「将来々々」と呼ぶ者あり)現にとにかく富士研究所で放射能に対するナイロンかビニールか知りませんが、あの服を着て、そうして訓練をしておられる。それから原子戦争に対して、この原子戦争を自分からやるということじゃないかもしれませんけれども、原子爆弾が破裂したあとに突っ込んでいくということを考えなければならぬのじゃないか。それには戦闘単位を小さくする、あるいは装備、機動力を変えなければならぬのじゃないか、こういうことを言われておる。これは日本を抜きにすれば世界的には考えられる。そこでネヴァダやタイのSEATO演習を考えても原水爆の爆発のあとに演習として兵を突っ込ませるという訓練をやっておる。そういう要請に応じて今後日本の自衛隊もそういう演習と申しますか、あるいは戦闘を予想して訓練をやってやくかあるいはどうかという問題は、これは将来の問題でなくて現在の問題です。それに対してそういう要請なり意見に対して、原子兵器は絶対持たぬ、あるいは原子戦争に日本の自衛隊を使うことは絶対にしないことを言明せられるか、それともうやむやに返答をせられるか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/50
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051・船田中
○国務大臣(船田中君) 科学兵器に対する防衛ということを研究はいたして参らなければなりませんし、またその訓練もいたして参りたいと考えます。しかし、だからといって原子兵器を持つという考えを持っておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/51
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052・吉田法晴
○吉田法晴君 あとで自衛権の問題は同僚から質問があると思いますが、それにしましても、今までしてきました質問というものは、私は日本の憲法のもとにおいては許されぬのじゃないか、自衛論にしても、日本国憲法の制約がはっきりある。あるいは憲法九条の精神からいうならば、敵を想定する、仮想敵国を考えるということそれ自身が、私は日本国憲法の禁止するところであって、そういう国際的な問題は話し合いで解決をする。従って自衛権はとにかくとして自衛力を持つということは今日許されない。これは前のことでありますけれども、横田喜三郎氏の「自衛権」の中にもはっきり書いてありますが、政府を代表して来られたというのでありますから言いますけれども、日本国憲法九条の精神は仮想敵国を想定するあるいは戦闘行為をやる、あるいは自衛を何して戦争をやるということは許されないのじゃないかと、こう考えておりますが、防衛庁長官、政府を代表してどのように考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/52
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053・船田中
○国務大臣(船田中君) 現在の自衛隊は憲法違反ではないと信じます。また今後におきましても国情に相応する最小限度の自衛態勢を整備するということは、何ら憲法九条の規定に違反するものではないと信じます。これはたとえて申せば、船が航海をするときに、やはりあらゆる災害に対して防衛の準備をして船は進んでいくのでありまして、特定の国を仮想敵国として持つということはいたしておりませんけれども、しかし今日の国際情勢から見まして、ちょうど船が航海をするときに、あらゆる災害に対して防衛をし、その準備をしつつ進んでいくのと同じように、(「それは違うな」と呼ぶ者あり)独立国としてわが国が最小限度の自衛態勢を整備するということは、私は当然であると信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/53
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054・堀眞琴
○堀眞琴君 関連して。先ほど実は関連質問で質問すればよかったと思いますが、質問者の意思を尊重しまして関連質問をしなかったのです。アメリカとの関連で、長官は日本は共同防衛態勢にあるが、日本の自衛態勢は自主的にこれをきめるものである、このように答弁されておる。これに対しまして、これは木下委員だったと思いますが、いろいろ例をあげて答弁を求められたんですが、結局自主的に日本の自衛態勢を作るんだということでおしまいになったと思うのです。確かに形式的には自主的に見えるわけです。しかし自衛隊の前身である警察予備隊がどういう形で作られたか。これは申し上げるまでもなく、朝鮮戦争が始って間もなく、マッカーサー元帥からの要請に従って、警察予備隊七万五千が作られた。そしてそれがその後のアメリカの要請に基いて今日まできたものだと見て差しつかえないと思います。現にペンタゴンの方では極東防衛態勢の一環として日本を考えている。アメリカの防衛のための極東防衛、こういう見解のもとに立って日本の再軍備を要請してきたと思うのです。そのことはちっとも今も変ってないと思います。そしてまた日本の自衛態勢、特に自衛力の限界については、向う側としてはある一定の線を日本に常に出し続けてきたわけです。新聞などにも出ております。三十三万とか三十五万とか線が出て参っております。池田・ロバートソンの会談でも、ちょうどMSA協定の問題が中心になって話し合われたのだと思いますが、あのときにもその問題が出ております。昨年のダレス・重光の会談でもこの問題が出ておると思います。つまり自衛力増強の限界をどうするかという問題になっていると思うのです。三十五年度の年度末におっしゃったところの陸上十八万、あるいは海上、航空、それに伴うそれぞれの増強目標というものはそれは日本側で一応立てたものだが、しかしそれに対してはアメリカからの共同防衛態勢という建前からの一応の承認があるものだと思う。しかしそれは一応の承認であって、やがては向う側の要請する、ことに日本の軍事基地からアメリカの陸上部隊が撤退するということになりますれば、当然向う側の要求する数字がこちらの方に出て参るんじゃないかと思う。その点から見ますというと、自主的であるということがきわめて限られた意味での自主的、むしろ従属的な分子を非常に多く含んでいるのじゃないかということが考えられると思う。
なお続いてみんな質問いたしますが、時間を取りますから質問いたしますが、それに関連して、自主的というならば、あの安保条約の性質をやはりもう一度検討する必要があると思う。安保条約は片務的な条約であって、双務的な条約ではない。相互援助条約ではないわけです。イギリスにもフランスにもアメリカの飛行場はあります。軍隊も駐留しております。イギリスなんぞは十七か八かの飛行場を持っている。フランスには八つある。それから西ドイツには十二の飛行場をアメリカでは使っております。スペインには五つとかという工合に、これは昨年のニューヨーク・タイムスに地図も入れてアメリカ側で出している数字であります。しかしイギリスやフランスの場合は、御承知のNATOによって飛行場なりあるいは軍隊が駐留することが認められているのである。しかもそれは双務的な条約に基いている。日本の場合は双務的な条約ではない。片務的な条約、そのために重光さんの方から、将来安保条約を双務的にしたいという希望がダレスに向って申し入れられた。つまり片務的な条約であり、きわめて従属的な条約であるということが大体において認められるのではないか。その点から申しましても、日本の自衛隊は自主的な立場においてのものではない、こう結論しなければならぬと思いますが、その点について長官の御見解をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/54
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055・船田中
○国務大臣(船田中君) わが自衛隊の整備いたしておりますことが自主的でないというような御意見でございますが、これは私どもといたしましては、わが国の防衛につきましては、わが方において自主的に立案をいたし、そうしてその方針に従って整備をいたしつつあるのでございます。もちろん米側から兵器、弾薬あるいはその他の装備、艦船、飛行機等の供与を受けるものもございますから、従って米側と常に緊密な連絡をとりまして、わが国の防衛について話し合っておることはこれまた事実でございます。しかしそれによってわが方の自主性を失うということはございません。また御指摘の安保条約につきましては、これは御承知の通り、わが国に自衛態勢がなかったから、そこでアメリカ側が主としてこの日本の防衛の責任を負うという、いわゆる今御指摘のような片務的な規定になっております。しかしわが自衛態勢が漸次整備されて参りますれば、その点におきましては、共同でわが国土の防衛に当る、こういうことになるのでありまして、そのわが国の自衛態勢が整備されました後においては、安保条約の改訂ということも考えられるでございましょうが、しかし現状におきましては、この問題は今直ちに安保条約の改訂というようなことを日本側として申し出るべき時期ではないというふうに私は考えておるのでございます。で、先ほど英、仏、スペイン、ドイツ等の例をおあげになりましたが、それらの独立国における米駐留軍との関係というものと、わが国における日本と米国との関係というものにおいて本質的の違いはないと存じます。わが国の方が自主性を失っておるというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/55
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056・千葉信
○千葉信君 今日は一つ大臣と穏やかに質疑応答をやりたいと思う。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/56
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057・船田中
○国務大臣(船田中君) どうぞお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/57
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058・千葉信
○千葉信君 時間もありませんから、単刀直入に問題に入っていきたいと思います。問題というのは、今度のこの防衛二法案の審議に当って、最も中心的な問題となってしまった敵基地の飛行機による爆撃というもの、自衛権の限界についての質問です。この問題につきましては、三月の十五日の日にあなたと総理大臣の出席を願って総括質問をしましたときに、結論として、現在の憲法がある限り海外出動は行わない。その海外出動の中には、敵の領地に行くことも、領海を侵すことも、同時に領室を侵犯することも、この点は全く同一問題であって、従ってそういう含みの上に立って海外出動は行わない。こういう答弁を従来からもいただき、同時にまた国会の決議の趣旨においてもこの点が明白に盛られておるのです。その国会の決議の趣旨に対しても鳩山さんは、これを鞠躬如として尊重されるかどうか。これに対して鳩山さんは、国会の決議はむろん尊重いたします、その通りであります。そこで重ねて、日本の自衛隊、航空自衛隊による海外出動というものは起らないということを、鳩山首相はそんなことは考えておらぬという確認を得て差しつかえないですねと、私はさらに重ねて言いました。鳩山首相はそれに対して、海外出動ということは考えたことはございません。そこで私は、その総括質問でこの問題になった点がはっきりしたので、それで質問を打ち切った。ところがですね、三月十五日以後におけるこの内閣委員会等の審議の経過におきましても、またこの問題が明確さを欠いてくる論議が、質疑応答が行われた。どうして一体そういう格好に、せっかくはっきりして、そういう海外出動は、航審機の場合においても行わないという答弁が得られた後に、何かその問題が若干帳消しされたかのような印象を与える論議が行われたり、答弁が得られたり、行われたりした。その原因はどこにあったかというと、やっぱりこれは基地爆撃の政府解釈の統一、つまり衆議院の内閣委員会等で政府が明らかにされました統一解釈のこの内容が、そういう問題の解明に対して不明確な要素をあくまでも容認するということになった一つの大きな要素だと思うのであります。この点は長官もおわかりだろうと思います。そこで、その総括質問のときにもいろいろ問題になりましたが、この政府の見解の一致した解釈というのは、これは実際の場合において日本には起り得ない事態なのだが、たまたまそういう答弁をしなければならないような条件を並べ立てて質疑が行われた結果、それに対して政府がそういう場合にはどうするかという追及に対して、そういう場合には理屈で言えばこうだという格好で答弁をしたのだ。従って実際上はその解釈は、政府としてはそういう行動をその場合とるなんということは考えていないのだ、この点まではっきりしたのです。ところが、それでもなおかつその問題が残ったのは、やっぱりこの統一解釈の中に出てくる結論、この結論はどういう点が最も私は了承できないかというと、なるほど政府の方では誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのは憲法の趣旨とするところではないということはどうしても考えられないと思う。つまり急迫不正の侵害、まあそういう事態が起る起らないは別として、そういう場合、黙って自滅をするわけにはいかぬから、だからそういう場合には敵の墓地をたたいてもいいはずだ、そういうことまで憲法は禁止してないという解釈がここに出てくるわけです。(「憲法無視の一例なんだ」と呼ぶ者あり)そうすると、実際上鳩山首相も確認されたように、海外出動は行わないと言っておりながら、それがまた憲法の趣旨でもあり、国会の決議の趣旨を尊重するゆえんであると言いながら、この場合には航空機による海外出動をしてもいいという、そのいいということが、憲法はその場合黙って自滅することを待っているのではなくして、そういう場合には憲法はこれを防ぐための行動をとってもよろしいという、そういう解釈を憲法に対してしている。つまり憲法の解釈についてここで結びついてきた。そういうことになりますと、せっかく確認された事項も、憲法の解釈でこういう解釈を政府がとっておるということになると、やはり私は問題が残ると思う。この食い違いに対して長官はどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/58
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059・船田中
○国務大臣(船田中君) 今、千葉委員がお述べになりました経過は、大体その通りでございまして、政府といたしましては海外出動ということは全く考えておらないというのが、これが結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/59
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060・千葉信
○千葉信君 そういたしますと、その海外出動を行わないという条件の中には、陸軍があります、海軍があります、それから空軍があります。問題になりますその空軍による敵の領空に侵入するということは、海外出動ということになるわけですから、これもやらないということになる。こう了解して差しつかえないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/60
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061・船田中
○国務大臣(船田中君) 航空機によって敵基地をたたくということは、従来も鳩山首相及び私からそういう趣旨で答弁しておることはないのでございまして海外出動はやらないということを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/61
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062・千葉信
○千葉信君 ですから、時間もないのですから端的にお答え願いたいと思うのですが……。その海外出動はやらないということは、敵の領空に侵入することも海外出動と考えて、それも含んで、政府としてはそんなことははやらないのだと、こう確認していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/62
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063・船田中
○国務大臣(船田中君) 敵の領空に侵攻するというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/63
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064・千葉信
○千葉信君 まあそういうことにならなければならぬと思うのです。ところが因ることには、ここにある統一解釈の中には、憲法の趣旨は、日本が座して自滅を待つことができないから、その場合には行ってもいいんだ、こういう解釈です。そうして、これは実際上はあなたもたびたび答弁をしておられるんですが、日本の場合には起らぬ事態ですが、日本の場合はかりにそういう状態が起ったとしても、現在の状態では、安保条約に基く行政協定の第二十四条に基いて日本の自衛隊が行う行動の限界というものは、日本の憲法のワク内で行動して、それ以外の部分については、これは安保条約に基く行政協定に基いて、アメリカの駐留軍がその行動をするんだ、日本軍の行動し得ない部分についてはこれは駐留軍が行うという答弁をあなたはされておる。私もその通りだと思う。ですから実際の、現在の状態においては、こういう座して自滅を待つなんということは起らないんだけれども、そういうことが起ったら、そういうことがもしも起ったら一体、今の日本の憲法は、その場合には黙って自滅をしろという意味はないんだから、その場合には憲法は、たとえば誘導弾などによる攻撃を防御するのには、ほかに手段がないと思われる限り、誘導弾のその基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ可能であるべきものと思う。憲法の解釈をこう広げてしまった。そういうことになりますと、せっかく今明確な答弁を船田さんが行われれたにもかかわらず、こういうものが尾を引いている限り、私はこの防衛二法案に関して、この問題は重要な問題だとし、なお問題が残ってしまう。残るばかりでなく、今回の国会の論議を通じて国民が非常にこの問題に対して不安動揺を感じている。国民の大多数が憲法の拡大解釈がまた行われたんじゃないか、また行われようとしているんじゃないか……。ですからそういう国民の不安や動揺を救うためにも、やはり政府として、こういう問題の残るようなものはこの際片づけるだけの余裕がなければならぬと思う。憲法の解釈を広げたような印象を与えるこんなものをやっぱりまあ生かしておいてはいかぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/64
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065・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま千葉委員のおあげになりましたのはごくまれな場合と思いますが、敵基地云々の解釈は、これは理論上の問題として、しばしば総理大臣も申し上げておりますように、理論上の問題としてお答えをしたということでございまして、現実の問題といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、これまた鳩山総理大臣が当席からも明瞭にお答え申し上げておりますように、海外出動というようなことは考えておりません。これが政府の見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/65
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066・千葉信
○千葉信君 大体わかってきましたが、これは船田さんがおっしゃるように鳩山首相もここではっきり理論的な質問に対して理論的な答えをしただけです。日本の場合はそういう事態が起らぬということを鳩山首相もはっきり答弁している。ですからその限りではかなり問題が明確になってきておるんです。ただ私がさっきからお尋ねしていることは、そういうことで出た答弁で、あるけれども、そういう質疑応答の結果、答弁としては全く理論的な立場から行なった答弁であるけれども一、しかしその解釈の中には、現行の日本の憲法に対する解釈まで含めてあります、この中に。それが不安なんです、それが。そういうことになりますと、理論的な答弁であるといいながら、その理論的な答弁の中に現行の日本の憲法に対して、現行の憲法は敵の領空に侵入してもいいんだという解釈が出てきています。座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだということはどうしても考えられないと思う。だからそういう場合には誘導弾で敵の基地をたたくことができるんだ、たたくことができるという憲法の解釈である、これが不安なんです、これが。そうすると、少くともここに出てきている結論は、今のあなたの御答弁、鳩山さんの御答弁、それと食い違っておる限りには、この場合には憲法の解釈上敵の領空に侵入することも憲法は認めてるんだ、これが困るのです。ですから今あなたがなすった答弁、それから鳩山さんがこの前三月の十五日になすった答弁、あの答弁からすれば、この統一解釈するようなものは死んでしまわなきゃならない。ところが国会における、たとえば衆参両院の一方の内閣委員会、一方の予算委員会、それからそれを報道した新聞記事、官報、みんなこれがそのまんま生きている。私はこれはもしもこういう問題について、政府がはっきり今答弁されたんですから、政府の答弁は今の答弁の通りと了解しても、私は楽観できない、という意味は、そういういろんな報道機関等を通じて国民に与えている動揺、与えている不安、これはやつはり政府は国民大衆の安寧を預かっているという立場から、これは単に生活上の問題ばかりでなく、精神的な問題もそうです。そういう政府の責任の立場から、あなたの今おっしゃっていられるように海外出動はやらないんだ、憲法の解釈上海外の出動はできないんだということをはっきり言われるならば、そういう不安を与えている、これを政府の責任において抹殺するという態度をとられるのが、私はとられてしかるべきだと思う。それをとらなければ国民大衆の不安と動揺はぬぐい去ることはできない。これはやっぱりその防衛を担当し、一切の防衛に対して総理大臣に次ぐ責任者として行動しておられる、今日は総理大臣のかわりにここで総括質問に対してお答えになっておられる、あなたの責任の立場からいって、そういう質問に対して与えた不安と動揺というものは、その責任においてぬぐい去るという手段を講じ、その御用意がなくてはならぬだろうと思う。この点一つどういうふうにお取り計らいになっていただけるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/66
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067・船田中
○国務大臣(船田中君) 今千葉委員の御指摘になりました理論的な解釈の問題につきましては、ここに取り消すことはいたしませんが、しかし先ほど来申し上げておりますように、海外出動ということは政府は考えてもおらぬし、将来もやらないと、こういうことをはっきり申し上げておるのですから、それによって御了承を願えるものと思い、またもし国民の間にそういうことについて不安を持つということでありますれば、われわれは最善の努力をして、そういう不安を一掃したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/67
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068・千葉信
○千葉信君 ただいまの御答弁で大体了承しましたが、最後にその国民の不安や動揺を救うために、政府のおとりになる措置がきわめて近い機会に、きわめて明快に政府として措置をおとりになるように私は最後に希望を申し上げて、海外出動は政府としては絶対に行わないという今の御答弁をそれを了承して、今後の措置に私は期待して私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/68
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069・亀田得治
○亀田得治君 私は自衛権の問題にしぼって若干お尋ねしたいと思うのです。で、昨日来船田長官の答弁を聞いておりますと、自衛隊が動き出すのは具体的な日本に対する攻撃、こういうものがあって動き出すと、こういうふうなこともおっしゃっておるのですが、その点はどういうふうになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/69
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070・船田中
○国務大臣(船田中君) ただいま御質問の御趣旨は防衛出動についての第七十六条の規定の解釈の問題でございましょうか。念のために伺っておきますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/70
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071・亀田得治
○亀田得治君 そういう法規も含めてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/71
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072・船田中
○国務大臣(船田中君) 日本の区域に侵略が行われたという場合には、行政協定三十四条の発動によりまして、日米両国政府間においていかなる共同動作をするかということについて協議をすることになっておるわけであります。その協議をいたしました結果は、また協議をするにつきましても、自衛隊といたしましては、現行憲法及び自衛隊法その他の国内法規に従って最善の防衛をするということで行動することになるわけでございまして、その結果、わが方において自衛隊の防衛出勤をしなければならんという必要が認められまするならば、自衛隊法第七十六条の規定に従って所定の手続を経て防衛出動を命令するということになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/72
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073・亀田得治
○亀田得治君 まあ自衛権の問題で一番問題になっておるのは、日本が不必要な先制攻撃を再びやるのではないかと、こういう点がやは問題の焦点だと私は思うのです。そういう立場から以下聞いてゆくわけですが、ただいまの御説明の中で一つ抜けておりますことは、外部からの武力攻撃はまだ始まっておらんけれども、「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」、こういう場合も防衛出動が可能なように自衛隊法第七十六条ではなっておるわけです。この点はどういうふうにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/73
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074・船田中
○国務大臣(船田中君) 防衛出動は「武力攻撃のおそれのある場合」に命ずることはできることになっております。その「おそれのある場合」というのはどういうのかと言いますれば、急迫した危険があるということが、これはもう客観的にも明白な場合を指しておるものと存じます。単に漠然とそういうことが予想される心配があるからという程度では足らないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/74
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075・亀田得治
○亀田得治君 そういう急迫した状態につきましては、このただし書の規定があるわけです。「但し」となっているが、それ以外の場合において広く防衛出動というものが可能なようにこの法律ではなっておるわけです。あなたのおっしゃったのはただし書ですよ、それは。だから外部からの武力攻撃がなければ、そういう防衛出動はあり得ないというふうに考えておるというのであれば、このただし書というものははなはだ誤解を与えるから削除すべきだと思うのですね。で、こういうものがあるから、せんだってのような敵基地爆撃というような政府側の解釈が出ますと、日本の自衛隊の動くのは、現実に攻撃してきたときだけではないのだ、法律にはちゃんとおそれのある場合にも動けるじゃないかと、その二つがこう一緒になりますと、先制攻撃の可能性というものはきわめて強く出てくる、そういうふうに結びつくじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/75
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076・船田中
○国務大臣(船田中君) もちろん防衛出動は武力攻撃のおそれのある場合においても命ずることができます。しかしそれはただいま申し上げましたように、ただ何となく心配だからというようなことではなくして、現実に急迫した危険が客観的に明白な場合を予想しおるので、そういう事態にならなければ、ここにいう武力攻撃のおそれのある場合という範疇には入らぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/76
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077・亀田得治
○亀田得治君 そういう解釈はちょっと無理ですね、明らかに外部からの武力攻撃のおそれがある場合、そうして武力攻撃と同じだけの急迫した状態にある場合、こういうふうに書いてあるのであれば、そういう御説明は納得がいきますが、私どもはできた条文はやはりこれは文字通り解釈していかなければならない、だからそういうおそれのある場合でも、これはこういう法律がある以上は、防衛出動の条件として自衛隊の方でいろいろ検討されておると思うのです。今長官がおっしゃったようなふうにはちょっとこれは解釈できませんね。もしそういう意味であればこの自衛隊法の一つ一部改正に当り、今やっておるのですから、これは訂正しておいた方がいいですよ、この法案を。これはこういうふうに解釈できませんがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/77
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078・船田中
○国務大臣(船田中君) これは第七十六条に外部からの武力攻撃ということがあげてありまして、そのカッコの中に「外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む」、そのおそれのある場合とはどういうことかといえば、ただいま申し上げたように、客観的に危険が迫っておるという事態がなければならないと、こういうことでございますから、勝手に情勢が悪いようだから出動命令を出すというようなことではないのであります。そしてなお出動命令が出ましても、現実の武力行使ということは、現実の武力攻撃に対して行うものでありますから、今御指摘のような改正の必要はなかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/78
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079・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、結局外部からの武力攻撃があって初めて自衛隊が動くのだということは正確にはこれは間違いない、現行法上そうでない場合でも、相手がまだやってこないうちにでも動き得る場合があるのだと、このことは明白でしょう、この法律の建前からいって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/79
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080・船田中
○国務大臣(船田中君) 武力攻撃のおそれのある場合において防衛出動命令を出すことは、この法文からいえばできるのであります。しかしそれは自衛隊が武力を行使し得る状態に置くというだけでありまして、それによって直ちに現実に武力を行使するというのではありません。現実の攻撃が加えられたときに、現実の武力行使をすると、こういうことになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/80
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081・亀田得治
○亀田得治君 それは詭弁ですよ、たとえば海外派兵をしたって朝から晩まで、また一年中、三百六十五日力を振っておるわけではないのですよ、現実に力と力がぶつかった場合に初めて動くのですね、実際の場合。だが出動が始まれば、これはすでに武力行使に入った、これはこんなことは当りまえじゃないですか、だから私は政府側で統一解釈として出された敵基地爆撃に関する解釈、これが非常に誤解を与えますのは、先制攻撃のようなことは考えていないのだ、こういうことを最後にあの解釈の中ではおっしゃっておるのだけれども、しかし日本の自衛隊そのものがあちらの攻撃がなくても出動をする場合があり得るわけなんです、法律上。だからその二つが結びつく一と、あのああいう統一解釈をそのままにしておいたのでは、これは非常な誤解を与えるのは私は当りまえだと思う。私はこれは理論的な問題を申し上げておるのですよ。理論的にはどうしてもそうなるじゃないですか。あちら、が攻撃せんでも、こちらが動く場合があり得るのですから、法律上も自衛隊にその権利が確保されておる、そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/81
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082・船田中
○国務大臣(船田中君) この防衛出動というのは、何も海外に出ていくという意味の出動を言っておるのじゃございません。(亀田得治君「それはよくわかっている」と述ぶ)法律家のあなたはよく御存じだと思いますが、従って今御心配のような点は私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/82
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083・亀田得治
○亀田得治君 つまりあの統一解釈は特殊な場合における海外に出ていくことをおっしゃたわけなんです。統一解釈の初めの方はそうなっているわけです。あとの方は、ただし先制攻撃のごときことは考えておりませんと、こういうのです。ところがあとの方は考えておりませんといいますけれども、その点については特殊な場合には自衛隊法七十六条カッコの中にちゃんと動き得る権利が確保されているじゃないか、法律に書いてなくても、やってしまおうといわぬばかりの感じを与えておる政府ですからね。法律に書いてあれば、これはあのときは国会であんなことを言ったって、当然これはおれの方から先にやれるのだし、あと先はこれはうまく結びつくじゃありませんか、だからほんとうにそんなことを考えておらないのだということであれば、私はあの統一解釈を千葉委員がおっしゃっているように、これをあっさり取り消すべきだと思うのです。それを取り消されぬということは、結局あのただし書とこの解釈を結びつけて、適当な時期がきたらばやれるようにしておくのだ、こういうふうに誤解されてもこれは仕方がないじゃないですか、(「誤解じゃない、正解だ」と呼ぶ者あり)正解ですよ、実際。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/83
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084・船田中
○国務大臣(船田中君) 政府は先ほど来申し上げておるように、海外出動というようなことは全然考えておりません。ですから今御心配のような点は私は毛頭ないと存じます。(「じゃ取り消すか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/84
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085・亀田得治
○亀田得治君 それならばお取り消しになったらどうですかな、あの解釈をそういうことはもうあり得ないということなら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/85
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086・船田中
○国務大臣(船田中君) 憲法の解釈について、自衛権の解釈について、今まで政府が御説明申し上げていることを取り消す意思はございません。しかし現実の問題として、海外出動のようなことは全然考えておりません。従いまして、多数の国民がこれによって非常な心配、動揺をするというようなことは私はなかろうと存じます。(「矛盾している」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/86
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087・亀田得治
○亀田得治君 それはありますよ。それは長官わかっておって、そういうことを言っているのだろうけれども、そこまで確信されておるのなら、あの解釈は若干こう誤解を与えたようだから、政府の真意に反するところだからということをあっさりここでお取り消しを私は願ったら、あとの疑問はもう解消してくると思う。それをされぬから政府の自衛権ということに対する幾ら説明があっても、私どもはやはり釈然としない点ができてくる。これはやはりそういうことになると、これは鳩山総理が最後にきちっとされて答弁されたことですから、やはり総理大臣に聞かなければならぬということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/87
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088・船田中
○国務大臣(船田中君) 先ほど自衛権の解釈についての、政府の従来とって参りました解釈と、この第七十六条の問題とは、何も今御指摘のような関係はないと思います。(「あるぞ」と呼ぶ者あり)重ねて申し上げますが、政府は海外出動ということば全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/88
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089・亀田得治
○亀田得治君 それではその点若干またあとから聞きますが、問題をちょっとかえまして、今度は現実の問題についてお聞きしたいと思う。それは大東亜戦争に対するあなたの見解です。今まで私ども自衛の論争をいろいろやりましても、すぐ抽象的な議論で終ってしまう。あるいは理論的にはそういうことが考えられても、実際はそういうことはありませんとか、いろいろなふうに最後はなってしまう。そこで私はほんとうのお互いの見解というものを明らかにするには、実際に起きた事案に対する批判、これが一番確かだと思うのであります。普通の判決であれば判例に対するわれわれの批判、これは具体的ですから……。このことはあなたも専門家ですからそういう私の気持は納得できると思う。そういう意味で大東亜戦争の性格ですね、あれが侵略戦争であるのか、自衛戦争とあなたはごらんになるのか、こういう点を一つ明快にお答えを願いたいと思うのです。そうすれば、世間の人は、大東亜戦争といえば、どんな戦争かということをみんな考えております。ああ、あの戦争に対して船田長官はこういうふうに言うのだから、それじゃ安心してもいいとか、ところがああいうものに対してこう言うのだから、これはちっとも、いろいろ抽象的にはうまいことは言っておるが、どうも危険だぞとか、私は事態がはなはだはっきりしてくると思う。そういうふうにやった方がいい。そういう意味で大東亜戦争に対するあなたの一つ、性格批判といいますか、そういう点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/89
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090・船田中
○国務大臣(船田中君) 大東亜戦争が自衛戦であったかどうかというようなこと、またこれに対してよかったか悪かったかというようなことは、私はこの間にいろいろ日本のやり方の悪かった点は多々あったと思います。しかしながら全体を通じてみてあれが、われわれの先輩のやったことが全部悪いのだというふうには、私はどうもここで申し上げかねます。その問題につきましては、これはどうしたって将来の史家の公正な批判に待つという以外に私は言いようはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/90
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091・亀田得治
○亀田得治君 それで、たとえば憲法調査会の与党のこの代表説明者になっておられる山崎さん、この方は質問に答えて、はっきりその点をおっしゃっておるわけなんです。それはあなたもお聞きでしょうが、初めは自衛戦争、途中からどうも侵略的に変って行ったと思う、こういうことをおっしゃっておる。あるいは清瀬一郎さん、この人も理由は若干違いますが、あれは自衛戦争だった、こういうふうにおっしゃっておる。ところがこれは内閣は違いますが、吉田総理はあれは自衛の名において行われた侵略戦争であった、こういう意味のことを大東亜戦争直後におっしゃっておる。これに対してはいろいろ責任者が発言をしておるわけです。で、その点について予算委員会で一番大事だと思われる鳩山総理、それから重光外務大臣にお聞きしたのです。そうするとお答えがない。今あなたのおっしゃったように、やらなかった方がいいというふうな点はおっしゃるが、私はそれが妥当であったかどうか、そういうことを聞いているのじゃなしに、自衛権という問題は結局はこれは法律的な問題ですから、それが合法的であるかどうか、国際社会においてどこまでそういう自衛権の行使というものが評されるのか、これはあくまでも法律的な問題なんですから、妥当であるかどうかということじゃなしに、これが合法的なものと見れるのかどうか、私はこれは大東亜戦争に賛成した、反対した、そういうことは抜きにして、やはり非常に論議になっておるわけですから、しかもあなたが直接そこの担当の責任者なんですから、さっきおっしゃったような、そういうあいまいな態度じゃなしに、その法律面についての見解をもっと明快にしてほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/91
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092・船田中
○国務大臣(船田中君) 太平洋戦争が果して自衛戦争であり、正当なものであったか、あるいは侵略戦争であって、悪いものであったかということにつきましては、これはアメリカの市民の中にもいろいろ批評があるのであります。従いまして私どもといたしましては、この戦争の公正な判断は後世の史家に待つ以外にない、そういう意味において私は決してあいまいに言ったわけではありませんので、そういう意味において答弁申し上げたのであります。しかしこの自衛権の範囲をどこにおくかという現実の法律問題といたしましては、従来申し上げておることで十分おわかり下さることと信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/92
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093・亀田得治
○亀田得治君 その従来おっしゃっておるのはまあ一種の定義みたいなものです。しかしそれが実際の行動になって表われた場合にはどういうことになるのか、これがみんなわれわれとしても、また国民としても知りたいところだし、また大事なところなんです。それでこの問題をお聞きしているので、それではたとえば山崎さんや清瀬さんがそういう見解を出しておられ、最近としては政府並びに与党の関係のそういう責任者の、相当責任の地位にある人としてはあれを侵略戦争であった、こういうふうにおっしゃる方はだれもないわけなんです。そういう点を見ると、これは想像としては結局大体鳩山首相以下太平洋戦争を合法的な自衛戦争であった、こういうふうにお考えになっておる、この率が多いのじゃないですか、ざっくばらんなところ、大体そういう考え方というふうに……。おっしゃらないのですから断定はできませんけれども、そういうふうに推測して大体間違いがないのじゃないでしょうか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/93
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094・船田中
○国務大臣(船田中君) これは先ほども申し上げましたように、太平洋戦争というものがどういうものであったか、侵略戦争であったか、あるいは非常な悪の戦争であったか、それらについてはこれは後世の史家の公平な、厳正な判断にまかすという以外に言いようはございません。しかし現実の現行憲法の下において、政府としては先ほど来御説明申し上げておりますように、いわゆる自衛戦争とか、海外派兵とか、海外出動ということはやりませんということを申し上げておるのでありますから、それによって自衛権の範囲というものもおわかり下さることと私は信ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/94
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095・亀田得治
○亀田得治君 もう戦争終了後十年にもなりますし、これ以上経過するとだんだんまた史実がぼけて来る、むしろ逆に。だから今が一番いいころ合いなんで、桜で言えば大体見どころなんです、実際のところ。まだその当時のいろいろな責任の方もおられるわけだし、実際は……。だから後世の史家とか、そういう段階では私は現在はなかろうと思う。それから船田長官が今も重ねて、いやともかく大東亜戦争はともかくとして、自分らとしてはそういう海外派兵とかあるいは侵略戦争的なことは考えておらぬというふうなことをおっしゃるのだが、それはもう何回も聞くのです。そうではなしに、ほんとうにそれを考えているのならば大東亜戦争に対する批判が私はおのずから出て来ると思う。私どもの見解から言えば、これはもう明らかな侵略戦争ですよ。私もまあ日本人の一人としてはなはだこれは悲しむべき一つの運命をたどったわけであります。しかしそれは別です、そんなことはお互いに……。ただわれわれがほんとうに自衛権というものをまじめに考えて行こうということであれば、あれほど世界的に非難されているこの大きな戦争に対して、それを、その歴史を直視して行くということができないようでは、これはアジア諸国に対しても、どこに対してもほんとに納得はされませんよ。で、これはもういかなる理由があるにしろ、太平洋戦争が侵略戦争であったということの断定は、これは二つからきますよ。その一つはですね、これはあなたも当然御存じの不戦条約、これは日本も参加した条約です。問題になった条約でしょう。これは明らかに政策の手段としての戦争、これを禁止しておる。それからもう一つは、開戦の条約というものを世界の相当多数の国が、日本も入ってできておる。戦争を始める前に、不意討ちはいけない、それに調印しておるわけです。これは国際間では大きな二つの法律ですわね。私はあいまいなことを言っているのじゃなしに、たとえば、その当時のいろいろな、経済封鎖の問題とかね、いろいろな事情、そういったようなことを言っているんじゃなしに、われわれが参加した二つの条約がある。これは明らかに無視されて起された戦争であること、だけは、これは間違いない。これは非合法ですがな、こうなれば……。ほかにどんな事情があるということは、これはまた政治的な立場で、日本にまたよく同情される国は見てくれるでしょう、そういう点は……。しかし、犯罪の場合もそうじゃないですか。だれかが悪いことをした。これは法律に該当する。しかし事情がこうだからということなら、これは別なことです。だから私は、この自衛権論争を真剣にやる場合には、こんな戦争ということはそうめったにあるわけじゃないのですから、具体的に起された、その当時の軍閥によって指導されたこの二つの条約を無視した戦争、これが合法であるか、非合法であるかはっきり言えない-私は政府の中でも、たとえば山崎さんや清瀬さんは割合に思ったことを言う方だからああいうふうにおっしゃったと思うのです。開き直って、予算委員会等で聞きましたところが、かたつむりのようになったのですがね。こういうことでは疑惑が深まるばかりですよ。あなた自身までもそういうことをおっしゃったことは、あなたが幾ら抽象的に、自衛の範囲を無視するような行動はとらぬと言っても、国民はこれは非常に疑いを持ちます。持たぬ方がこれはおかしい。私の論理は一体間違っているでしょうか。君はそんなことを言うけれども、そんなことはないと、私の言うことは間違っているなら、私の、今度は間違いを指摘して下さい。そうすればこんな質問はしませんがね、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/95
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096・船田中
○国務大臣(船田中君) 私は、先ほど申し上げたことを繰り返す以上に、ここにあらためて申し上げることはございません。現行憲法のもとにおきましては、先ほど来申し上げておるように、先制攻撃を加えたり、あるいは海外出動をするというようなことはいたしません。自衛という名を借りて海外出動をするというようなことをやらない。政府が、総理大臣初め統一してその意見をはっきり申し上げておる以上は、大体多数の国民諸君には納得していただけるものと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/96
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097・亀田得治
○亀田得治君 これは一つお願いもかねるわけですが、やはり問題になっておる、一つの大きな性格についての批判ですから、こういう点はですね、政府の中で十分検討をして、統一的に一つ見解を出してもらうということが、私非常に必要だろうと思うのですがね。ある大臣がしゃべった、ある大臣はしゃべらない、これでは非常にまずいと思うのですね。ほんとうに、あなたのような考えを全部の政府の首脳が持っておるかというなら、みんながどうもあれはまだわからないんだと、こういうことならまた別ですが、ちょいちょいしゃべられるわけですね。だから、そうなった以上は、私はどういうふうにこういう大東亜戦争を政府がみておられるのか、法律的に……、こういう点に対する見解をやはり明らかにしてほしいと思う。私が総理大臣に、きょうはぜひ一つ聞いてみたいと思ったのは、その点が非常に中途半端になっておりましたので、その点なんです。これは一つ、長官の善処をお願いしておきます。
それからもう一点つけ加えてお聞きしますが、日本が外国から武力による攻撃を受けた場合、その場合における、この行政協定二十四条による日米間の協議がありますね、で、そういう協議があって、どういうふうに動くかということが、そこで出てくるわけでしょうが、その場合に防衛庁長官は、アメリカも日本の憲法は知っているのだから、日本の自衛隊に対して軍法を無視したような行動は要求しないでしょう、こうまあ、たびたびおっしゃっている。これもまあ、理論的にはそういうことは言えるかもしれません。そこで私のお聞きしたいのは、その面ではなく、それじゃアメリカ軍自身、ここにいるアメリカ軍自身、これは日本の憲法には制約されない、当りまえのことですがね、この点一つ確かめておきたい。そうなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/97
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098・船田中
○国務大臣(船田中君) アメリカ軍は、もちろん日本の憲法、あるいは国内法によって制肘を受けるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/98
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099・亀田得治
○亀田得治君 そうなりますと、アメリカ軍は、どんどん、この極東の全体の戦略態勢からみて、これはどうも一歩先んじてあそこを攻撃しなければならぬとかといったような考えを持てば、これはやり得るわけなんでしょう。そうですね、理屈から言って……。やる、やらぬは別にして、やり得るでしょう。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)日本の憲法の制約は受けない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/99
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100・船田中
○国務大臣(船田中君) 今のは御質問でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/100
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101・亀田得治
○亀田得治君 いや、私のお聞きしているのは、アメリカ軍は日本の憲法の制約は受けないのだから、たとえば先制攻撃をやる必要がある、戦略上、そういうふうなことになってくれば、アメリカ軍が独自にどんどん行動をとっていく、これはできるでしょう、こういうことは。どうです。(「その通り」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/101
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102・船田中
○国務大臣(船田中君) これはもう法律専門家のあなたに申し上げることはありませんが、行政協定二十四条には「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には」云々、こういうことになっているのでありまして、日米安保条約によって、日本とアメリカとが共同して日本の防衛に当っているのでありまして、もし日本の区域に今申すような脅威が加わったというときに、この二十四条の発動をみるわけで、そのときに初めて日本政府とアメリカ政府とにおいて、いかなる共同動作をとるかということを協議をすることになるわけでありまして、今御指摘のような、アメリカ軍が日本の憲法の制約を受けないからといって、勝手気ままにどこへでも行って爆撃するということはあり得ないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/102
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103・亀田得治
○亀田得治君 これはまたあり得ない問題になってきたがね、これはあり得ますよ。これは長官幾らそういうことを言ってもだめですよ。それはもちろん行政協定二十四条は、日本区域にそういう問題が起きたときにですね、しかし何も日本区域だけがぽかんと切り離されて、ここに何かが起きているのじゃないです。そうでしょう。どこからか何かくるからこういう問題が起きているのです。だから先制攻撃が問題になるのは、それで問題になるわけです。そうでしょう。だから私は端的に聞きましょう。聞いている、それを。あり得ない――これだけはあり得ないというのはおかしいですよ。あり得ますよ、きわめて。日本が攻撃される、日本が憲法の制約を受けて海外出動をやらぬとおっしゃる、そこまではいい。しかしアメリカ軍のは別な観点に立って、いやそんなことをしていてはだめだ。しかしお前の方は憲法があるからここにおれ、おれば先へあっちへ行ってもとをたたいてやる、これはできるじゃありませんか。当然出てくる疑問じゃありませんか。防衛庁長官ともあろうものが、そんなことくらい考えるのが当り前でしょう。そんなことを考えないでどうしてあなたは日本が守れるのですか。実際のところ。それじゃあなたは坐して自滅を待つ態度じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/103
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104・船田中
○国務大臣(船田中君) 今問題になっているのは、日本の防衛の問題でございます。日本の防衛について行政協定二十四条の規定が発効される場合においては、わが方としてはもちろん憲法及び国内法規に従ってやる、また米軍側としては日本防衛のために必要な行動をとる、そしていかなる場合においても国連憲章の規定に従って米軍も行動するものと思いますから、従いまして今亀田委員のおっしゃられるような無制限にどんどん爆撃をしていくというようなことはあり得ないだろうということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/104
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105・亀田得治
○亀田得治君 それは極端なことをあなたはうまく無制限にどんどんというようなことをおっしゃるが、私は何も無制限にどんどんというようなことを言っているのじゃない。どうしてもあそこの基地をやっつけなければいかぬ。これはおそらくそういう事態になれば、あなたの方から要請するのじゃないかと思うのだが、しかしおれの方はいかぬから一つこれは見て見ぬふりをしているから君たちやってくれということになるのは当り前じゃないですか。そんなことがどうしてあり得ないのです。アメリカ軍に絶対にそういうことをやらさぬということを言えますか。そこなのです。そこまで言えるのなら、これはアメリカ軍も日本憲法の下にあるということになって、これはまたちっと考え方を私ども変えますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/105
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106・船田中
○国務大臣(船田中君) 現実に第二十四条の発動がなされた場合において、いかなる共同動作をとるかということにつきましては、そのときに協議をして決定されることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/106
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107・亀田得治
○亀田得治君 それはそうにきまっていますよ。今さらそんなことはおかしなことです。それこそ何を仮想敵国でもなかったら言えぬじゃないですか、そんなことは当り前のことで、私が今質問していることは、これはきわめてあり得ることでしょう。その場合にアメリカ軍は日本憲法の制約がないとさっきあなたはおっしゃった。そうすれば日本軍の動きとちぐはぐになる場合が出てくるでしょうが、当然出てきますよ。そこでこれはそんなことは出てこないといっても、答弁してもらわぬでも、こんなことはわかり切っている。ちょっと進めますが、そこで私どもが心配しますのは、アメリカ軍と日本軍といっても、これは外から見たらやはり同じところに同居しているわけなんです。実際のところ、飛行場だって一緒のところもあるし、だからそこでその攻撃される方から見たら、これをどのように受け取るかということなのです。立ってくるのは日本の某地、その場合に攻撃される方はどういう感じを持つとあなたはにらみますか。その点をお聞きしたい。大事なところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/107
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108・船田中
○国務大臣(船田中君) 攻撃が日本の区域に起るか、それはわかりませんから、従って今亀田委員のおっしゃるようなことについて、こうだろうという想像を申し上げるということは私としては失礼だと思いますから申し上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/108
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109・亀田得治
○亀田得治君 それは失礼なことも何もない。こっちで聞いておるのだからお答え願わぬ方が失礼なのです。そういうことをおっしゃるのは失礼です。そこでこれもだれが考えたって常識的にはそれはもう日本がやってきてやった、こう考えるに違いないけれども、これはそうなれば必ずこっちはまた報復爆撃を受けますよ。そこまでのことをあなたは実際考えておられるのでしょうか。それがいろんな自衛隊の装備の問題になってくるわけである。吉田委員から昨日からも盛んにおっしゃっている。そういうことはあなたは全然想像できないことだとおっしゃいますか。アメリカ軍が日本の攻撃する外国の基地をたたく場合に、相手が日本も若干それに加担しておるという立場から、こちらをたたくということは考えられぬとおっしゃるわけですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/109
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110・船田中
○国務大臣(船田中君) そういう具体的の問題につきましては、今ここにただ想像を申し上げるということはできません。しかし日本の区域に攻撃が加えられ、あるいはその急迫したおそれがあるということで、行政協定二十四条が発動するという場合におきましては、日本政府はアメリカ政府との間において、いかなる共同動作をとるかということについて協議をすることになっておりますから、わが方といたしましては、たびたび申し上げておりますように、自衛隊は憲法及び国内法規に従って、最善の防衛努力をする、こういうことになるのであります。アメリカ軍がどういう行動をとるかということは、もちろんそのときに協議をしてきめられることと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/110
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111・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 亀田君、だいぶ予定の時間も過ぎておりますから簡潔明瞭に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/111
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112・亀田得治
○亀田得治君 当然答えなければならぬこともお答えを私は得ておらない。そこであと一、二問にしましょう。そこであなたの自衛隊のいろいろな装備とか、あるいは予算等について、私どもが質問した場合に、まあいろいろなことを、まあ戦争とか紛争ということはあまり考えられぬが、しかしいろいろなことを予想してやっておるのだ、こうおっしゃっておる、大臣は。そこで私は今申し上げたくらいのことは当然予想されておやりになっておると思って、これは聞いておるので、そんなその場限りのものものじゃないと思う。そこで昨日吉田委員がただされたときにお答えになった富士学校における放射能の汚染に対するいろいろ科学的な処理研究の問題、こういうことなど私非常に悪く考えれば、外にまで出て行って、そういう原爆、原子兵器を使うというふうにまで見られるかも知れませんが、そこまで考えなくてもよい。ただとにかく日本においても原子兵器が使われるかも知れぬ、あなたは外へ出ないというのですから、今度は内側においてそういうこともあなたはあり得ると予想して、ああいう研究所における研究をやらしておるわけですね。そういう研究をやらしておる以上は、然らば日本では、日本は原子兵器は持たぬというのでしょう、だから持たない。そういうものには一切タッチしない。外へも出ないというのに、放射能による汚染ということを考慮しなければならぬということは、これはアメリカ軍による、原子兵器による攻撃、その報復という、こういうことの事態を予想しておるというふうに想像するわけですが、この点はどういうふうに御説明願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/112
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113・船田中
○国務大臣(船田中君) 科学兵器に対していかに防衛するか、あるいはその損害をいかにして補償するかということにつきまして研究をし、その訓練をしておくということは、自衛隊整備の上に必要なりと考えてやっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/113
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114・亀田得治
○亀田得治君 それは抽象的にはそうでしょう。ところがそういう事態があり得るというのは、じゃいかなる事態を予想しておるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/114
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115・船田中
○国務大臣(船田中君) 今日の兵器は相当科学兵器もたくさんございますから、従ってそういう攻撃を受けた場合において、いかにこれを防御し、またその損害をいかに防除するかということの研究は、これは私はやるのが当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/115
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116・亀田得治
○亀田得治君 もう一つ、日本が海外にも出て行かぬ、また原子兵器も持ない、こういう点がはっきりしていれば、この世界の世論の批判を受けるような核兵器なんかを日本にどんどん打ち込むのじゃ、これは絶対にないのです。これは意見の違いだと言われれば、それまでかもしれませんが、こんなことは私は確信します。そうでない場合を予想しているということは、結局さっき言ったようなことを皆さんも考えておる、腹の中では。そう私は実はまあ心配しているわけなんです。何回言っても同じようなところを回りますから、この程度で私一応質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/116
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117・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 質疑はこれをもって尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/117
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118・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/118
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119・田畑金光
○田畑金光君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する、法律案に対し、反対の意思を表明するものであります。
本法律案によりまして明らかな通り、防衛庁職員の定員は二十二万五千名となり、三十年度定員に比べますと、一万九千百九十三人の増員であります。この一万九千百九十三人の増員のうち、自衛官の増員分は二万七千四百十三名、非自衛官の増員分は千七百八十名であります。かくして陸上自衛官の定員増は一万名として、一混成団と特科三個大隊の新設を行い、また海上自衛官は約三千六百名の増員を行なって、艦艇の増強に充て、航空自衛隊にあっては約四千八百名の増員をはかって、一航空団の新設を行い、防衛六カ年計画第二年度目の自衛力増強計画を推進しているわけであります。現行憲法が現存する限り、しかも憲法のもとに諸般の政策を遂行する憲法政治の建前をとる限り、かくのごとき再軍備体制は絶対に許さるべきはずはありません。憲法侵犯の最たるものであります。しかも本法律案審議の過程を通じ明らかにされましたことは、政府は現行憲法のもとにおいても、急迫不正の侵害があった場合は、他に手段がない限り敵基地を攻撃することができるという自衛権の限界をさらに拡大解釈し、憲法第九条の室文化を数歩前進せしめたのであります。憲法は何人も尊重しなければなりません。ことに為政者が法を守り、憲法の条章を忠実に履行することは法治国家の根本態度でなければなりません。目的のためには手段を選ばずとする権力政治が、今日自民党内閣の政治であります。公職選挙法の改正案を初め、教育二法案、憲法調査会法案、国防会議構成法案等、比々すべてそうであります。政府与党が憲法改正を目ざすことは、それ自体としては何らとがむべきことではありません。憲法改正の、手続をとり、国民の審判を経て現行憲法が現実に改正された暁には、堂々と軍備体制を進めることは非難さるべきことではないかもしれません。しかし今日はいまだ軍法調査会を設置するかどうかということで、議会が激しく論戦を展開しておる段階であります。本法律二法案はかくのごとき憲法違反の法律であるという点において、強く反対の意思を表則するものであります。
反対の第二の理由は、今日の自衛隊にはアメリカの傭兵的性格濃厚にして、真に郷土を守り、国土防衛の任務遂行を期待できない存在であるということであります。政府は隊員の募集状況は非常に良好であるとして、あたかも国民の自衛意識が高まっているかのような錯覚を持っておりますが、全く事の真相をわきまえない、民心を知らない官僚的皮相な見解であると思います。貧乏政策がこのような結果をもたらしていると私は思うのであります。すなわち、政府の長いデフレ政策の結果、中小企業の倒産、農村の疲弊等、国民生活の破滅が、多くの国民をしてその職場と生活のよりどころとしてやむを得ず自衛隊応募に追いやっているに過ぎないのであります。一朝有事の場合を想定してみますると、このうちいくたりがほんとうに祖国防衛意識に徹し得るだろうかということを考えてます。ことに本委員会の審議を通じ明らかになりましたように、自衛隊の精神的支柱は何もない、教育の根本方針も何ら立てられていない、これが今日の実情であります。かりに極東に危険な事態が発生したと仮定すると、日米行政協定第二十四条により日米共同作戦の名のもとに、アメリカの最高戦略方針の一翼をただ便々として従うほかにない立場にあるのが今の自衛隊の実情であります。陸上兵力は日本自体で、空、海上兵力はアメリカの力で、そうしてアメリカの陸上兵力は撤退するけれども、海、航空部隊は永久に駐屯するというのが今の姿であります。いつの日に完全独立が達成できるか。このようなアメリカの政策に従うだけで政府の責任が果せると考えているのか。アメリカ一辺倒の政策で国民が政府を信頼すると考えているのか。まことに悲しむべき現象と思います。むしろ日米正常関係維持のため惜しむものであります。防衛庁費はすでに一千億の予算を突破いたしております。防衛六カ年計画が軌道に乗るに従いまして、さらに国家予算に占める軍事予算は増大し、必然に民生を圧迫し、社会保障政策に重圧となってくることは明らかであります。国民の血税は乱費され、不当不正の支出の典型的なものが今の防衛費予算であります。今日わが国政治の求めるものは文明国家、文化国家の名にふさわしい福祉国家建設でなければなりません。本法律案はこういう意味において時代の進運に逆行する法律であり、国民生活を破壊し、しかもでき上った軍隊はアメリカの傭兵的存在であるという意味において断固反対するものであります。これが反対の第二の理由であります。
第三の反対の理由は、わが国をめぐる内外の諸情勢は再軍備体制を強化する時期ではないということであります。共産党第二十回大会を通じてわれわれの看取し得ることは、ソ連が新しい外交路線を設定して、経済競争、国民福祉の増進という点に自信をもって共存競争という線を打ち出してきたということであります。昨年秋、西南アジア諸国へのソ連の二巨頭の親善の旅行、これら諸国への経済援助の申し入れ、経済提携の実現等は、それが具体的な証左でありまして、こういう新しい事態に対処しまして西欧陣営が無為無策であることはあり得べからざることであって、もしそうだとしますと、大きな敗北を喫する以外にないと考える次第であります。アメリカがいつまでも軍事優先、ひもつきの海外援助に終始する限り、世界政治、国際外交面において大きな後退を余儀なくされることは必至であると私は考えます。アメリカも大統領選挙を目前にして、国内情勢から急激な転換はできないかもしれないが、やがて具体的な反応があるものと私たちは観察しております。
去る四月十日のセイロンの選挙の結果は、従来の西欧色濃厚であった反共的色彩の強い与党の政府が惨敗し、中立主義の強化、共産樹との外交提携を積極化し、外国資本の国有化政策を掲げる野党の人民統一戦線が、圧倒的勝利を博したというのも、民族主義、反植民地主義、中立主義を掲げる西南アジア諸国の一角が、さらに強化されたことであり、それだけ、西欧勢力の後退を意味するものと考えます。日本の外交が電光外交の路線を続ける限り、日ソ国交調整無期延期に見られる通りの行き詰まりは、各面に現われてくることが明らかであります。まさにこの法律案というものは、このような背景の中から生まれた日本の政治的、経済的外交的矛盾撞着の具体的集中的表現にほかならないと私は考えるものであります。これが反対の第三の理由であります。
以上三点を理由といたしまして、私は本法律案に強く反対し、反対の討論を終る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/119
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120・千葉信
○千葉信君 ただいまのわが党代表の討論中、敵基地を爆撃できるという憲法第九条の拡大解釈をするに至ったというくだりは、拡大解釈をせんとしたけれども、わが党の追及にあって、この点については前言をくつがえした、こういうふうに速記録を御訂正願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/120
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121・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/121
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122・島村軍次
○島村軍次君 私は緑風会を代表いたしまして、ただいま上程になっております防衛二法案に関しまして、(「反対」と呼ぶ者あり)左の希望を付して賛成をいたすものでございます。
わが国が、独立国家としてここに整備の体制に入っておる際におきましては、自衛力を持つことは必要であるばかりでなく、またこれを現在の世界情勢、さらに国内情勢から考えますというと、国力並びに経済力に応じた、いわゆる防衛力を整備するの体制を備うべきであることは当然であると信ずる次第であります。いわんやわが国は、多年の希望でありまする国際連合に加入して、そうして集団安全保障体制に参加することは、国民のひとしく望むところであるのみならず、これによって世界平和に寄与するの協力体制を講ずべきであると信ずるがゆえに、ここに前段申し上げたような、独立国家としての自衛力を持つことの整備を認める次第でありまして、ただ、ここに左の希望を付しまして、われわれは将来の自衛力整備に関して、強く政府に要望いたしたいと存ずる次第であります。
第一は、終戦後わが国は、警察予備隊から保安隊となり、進んで今回の自衛隊組織になったのでありまするが、国民はこれらの経過にかんがみまして、この防衛の方途について多大の関心を持っておることは皆さんの御承知の通りであります。そこで国民にこの防衛体制に対して十分な理解と協力を求めることは当然と言わなければなりません。従いまして自衛隊の運営につきましても、わが国民全体に不安なからしめる措置が十分講ぜられなければならぬと思うのでありまして、この点に対しては、さらに防衛庁において、国民に対する、不安の一掃に対して、十分な措置をとられむことを希望いたす次第であります。
第二に、わが民主国家におきましては、現在の政治体制は、すなわち政治優先であり、主権在民の建前から考えましても、どこまでもこれを堅持しまして、いわゆる戦前におけるがごとき弊害を除去すること、さらに既往の情勢にかんがみまして、戦前における軍隊のあの弊害がさらに台頭するがごときことのないことを深く慎むべきであると信ずるものであります。さらに長官の説明にありまする通り、隊員は一つの公務員であり、従ってこの公務員たるの本旨に徹し、国民に奉仕するの観念を持って、よく綱紀の粛正と、さらにその任務の遂行に関して、万全の措置を講じ、遺憾なきを期することを特に要望いたしたいのであります。
以上の数点を希望といたしまして、本案に賛成をするものでります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/122
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123・堀眞琴
○堀眞琴君 私はただいま問題になっております防衛関係二法案に対しまして、反対を表明いたしたいと思います。
第一の理由は憲法上の理由からであります。憲法上の理由につきましては、これまでしばしば申し上げておりますから、私はごく簡単にその理由を申し上げたいと思います。ただいまも島村君から憲法上、自衛権は憲法の第九条においても否定されておらないという説明がありました。長官は常にその態度をもって臨んでおられたと思います。確かに独立国であるからには、私は自衛権はあるものと思います。しかし自衛権の内容なり、あるいは自衛権の行使なりについては、日本の現在の憲法においては、きびしい制限が行われております。(「その通り」と呼ぶ者あり)たとえば憲法第九条の第二項におけるがごとき、あるいはまた二項末段の規定のごとき、それであると申し上げなければなりません。ましてや自衛権の名前において、たとえば海外に対して攻撃を加える、よしんば急迫不正の侵略が行われたというだけの理由で、敵の基地に対して攻撃を加えるというがごときは、憲法の厳に戒めておるところと申さなければなりません。従って憲法上からも、ただいま上程になっておりまする防衛二法の改正法案、その元々の母法である二法は、全く憲法侵害であると申さなければならぬと思うのであります。
第二の理由は、今日日本の自衛体制は、アメリカとの関係において隷属的な関係にあるものといわなければなりません。先ほど私は長官に対して質問いたしたのでありますが、自主的である、こう申されておるのでありまするが、しかし自衛隊の前身である警察予備隊七万五千が作られたのは一九五〇年であります。ちょうど朝鮮戦争が始まって間もないことでありまして、当時のマッカーサー元帥の要請に基いて作られたものであります。その後の今日までに至る六年間の情勢を見まするというと、アメリカの要請に基いてその極東防衛政策の一環として、日米の自衛体制が増強されて参っております。そしてこの自衛体制の中で、アメリカ側、特にペンタゴンの日本側に対して要求しているのは何かというと、一昨年のアイゼンハワーのニュールック政策以後、陸上部隊は、日本軍がアメリカ側にかってこれを担当する。航空、海上についてはアメリカ側がその責任を行うのであるというのが、今日のペンタゴンのとっている政策と申さなければなりません。従って、日本が自主的に日本の自衛体制を作っているというようなことは、申すことができないと思います。しかも昨年の重光・ダレス会談におきまして、向う側で、御承知のように日本に対してより多数の陸上部隊の設置を要望しておりました。三十数万という数であります。これと六カ年計画の最終年度における陸上部隊十八万との調整は、おそらく近い将来に出て参るだろうと思います。それらの点から見ましても、日本の今日の自衛体制は、決して自主的ではないということを申し上げなければならぬと思うのであります。これが第二の理由であります。
第三の理由といたしましては、最近の国際情勢との関連からであります。御承知のように昨年ジュネーブにおきまして、四巨頭会談が行われました。その会談の内容等についてはここに申し上げるまでもなく、ヨーロッパの安全保障の問題、ドイツの問題、そして軍縮の問題が取り上げられております。これらの問題について、四巨頭の間にいわゆるジュネーブ精神と呼ばれるところの一つの国際的な大きな方向が打ち出されまして、それに塞ぎまして、昨年の八月下旬以来、国際連合の軍縮小委員会において軍縮問題が取り上げられ、また本年になりましてから、御承知のように英仏においても、アメリカにおいても、あるいはまたソビエト側においても、軍縮に対する具体案が提出されるという状況になって参っております。しかも国際間の紛争は、お互いに話し合いで解決するという、いわゆる平和共存への方向が打ち出されていることも申し上げるまでもないと思うのであります。こういう国際情勢のもとにおいて、日本がこれに逆行して自衛隊を増強するというがごときは、私は全くこれを承認することができないと思うのであります。その意味におきまして、私どもはこの防衛関係二法案に反対するのであります。
最後に、私は自衛隊の増強ということが民生を圧迫するということをあげなければならぬと思うのであります。すでに同僚の田畑君から申し上げましたように、防衛庁費は一千億を突破しております。これは防衛分担金その他の直接軍事費を加えまするというと、非常に膨大な額になります。いわんや間接軍事費ともいうべき、たとえば軍人恩給等の費目を加えるならば、おそらくその総額は二千二、三百億に上るのではないかと思います。一兆三百億の予算の中で非常に大きな割合を占めておるのでありまして、その結果は、社会保障費であるとか、あるいは教育費であるとか、そういう民生のための費目の削減ないしはそれの圧迫となって現われているのが現状ではないかと思います。従って私どもはこういうような民生安定を阻害するような法案には絶対反対をしなければならぬ。いわんやこれが六カ年計画が遂行され、そうして陸上十八万、海上十二万四千と、航空一千三百機というような膨大な軍備になりますると、その民生安定に対する影響はさらに増大するものと見なければならぬと思うのであります。従って私は以上の理由によりまして、この防衛関係二法案に対して反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/123
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124・野本品吉
○野本品吉君 私は自由民主党を代表いたしまして、防衛庁設置法の一部を改正する法律案、自衛隊法の一部を改正する法律案、右三法案に対して賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/124
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125・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、討論に終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/125
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126・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して問題に供します。両案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/126
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127・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 挙手多数でございます。よって右両案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願うことにいたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/127
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128・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
横川 信夫 井村 徳二
廣瀬 久忠 井上 知治
木村篤太郎 白井 勇
堀 末治 中山 壽彦
野本 品吉 島村 軍次発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/128
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129・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) ちょっと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/129
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130・小柳牧衞
○委員長(小柳牧衞君) 速記を始めて下さい。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X02719560413/130
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