1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月十日(木曜日)
午前十時三十一分開会
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委員の異動
五月十日委員木下源吾君、永岡光治君
及び高瀬荘太郎君辞任につき、その補
欠として松浦清一君、菊川孝夫君及び
島村軍次君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 青木 一男君
理事
野本 品吉君
宮田 重文君
千葉 信君
島村 軍次君
委員
青柳 秀夫君
井上 清一君
木島 虎藏君
木村篤太郎君
西郷吉之助君
佐藤清一郎君
江田 三郎君
菊川 孝夫君
田畑 金光君
松浦 清一君
吉田 法晴君
梶原 茂嘉君
廣瀬 久忠君
衆議院議員
山崎 巖君
古井 喜實君
国務大臣
国 務 大 臣 吉野 信次君
政府委員
法制局長官 林 修三君
法制局次長 高辻 正巳君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○憲法調査会法案(衆議院提出)
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001・青木一男
○委員長(青木一男君) ただいまより委員会を開きます。
委員変更について御通知いたします。本日、高瀬荘太郎君、木下源吾君、永岡光治君が辞任されまして、その補欠に島村軍次君、松浦清一君、菊川孝夫君が選任されました。
理事の補欠互選に関してお諮りいたします。島村軍次君の委員辞任に伴って理事が一名欠員となっておりましたので、理事の補欠互選を行います。
この互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任瀬いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/1
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002・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。
それでは私から島村軍次君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/2
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003・青木一男
○委員長(青木一男君) 憲法調査会法案を議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/3
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004・吉田法晴
○吉田法晴君 ちょっと議事進行について委員長にお伺いをしたい。これは委員長が更迭されて直後、希望として申し述べておきましたが、基地問題に関連をいたしまして、政府の答弁があることになって、自来もう一カ月が過ぎました。それから政府の方の、五つの飛行場の拡張のために、土地の強制収用も辞さないと、こういう新聞記事が出ましてすでにきょうは二週間の猶予期間が切れようとしておるのであります。その間、穏やかにでありますが、委員長にもお願いし、あるいは理事を通じてお願いをして、それでは適当な機会にその機会を作ろうと、こういう話であったようでありますけれども、なお今日に至るも答弁あるいはこれについて質疑をする、委員会において質疑をする機会が与えられていない。どういう工合になっておりますのか、委員長に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/4
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005・青木一男
○委員長(青木一男君) お答えいたします。この問題は吉田君からお話があり、また千葉理事からも御要望がありました。委員長みずから、出席を要求されておる大臣にもその旨は直ちに伝えて、日取り等打合せ中でございます。従ってなるべく近い機会に御要望に沿う考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/5
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006・吉田法晴
○吉田法晴君 なるべく近い機会と申しましても、これはやっぱり多少時期があります。たとえば、それは二週間なら二週間の期間というものを切られたということもあります。それで答弁の責任を負ったのは不動産部長ですけれども、それは不動産部長じゃなくて、調達庁長官から答弁があるべきかと思いますけれども、大臣の出席の点もございましょうけれども、適当な機会にということでじんぜん日を送られますことは大へん迷惑であります。これは委員会なら委員会としても、委員会において答弁をすると言うても、一カ月も過ぎ、委員長が着任になって、更迭されてからその直後にも、直後と言いますか、まあ直後にもお願いをして、了承を得ていることですから、すみやかに一つ、時間等については私も十分考慮いたしますから、実現するようにお取り運びを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/6
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007・青木一男
○婆員長(青木一男君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/7
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008・松浦清一
○松浦清一君 今日は政府委員の方はどなたとどなたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/8
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009・青木一男
○委員長(青木一男君) 政府委員は、法制局次長が見えておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/9
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010・松浦清一
○松浦清一君 憲法調査会法案が国会に提案をされまして、衆議院、参議院の今までの質疑応答の経過、私は速記録その他についてずっと経過を調べて参りましたのですが、その審査のあとをたどって見ますると、憲法調査会を設置するということは、現行憲法の中に、改正する点があるかどうかということを調べるために調査会を設置するんだという、そういうふうな見解と、また憲法改正をするんだという目的を先にきめて、そうして調査会で改正すべき点についての案をもってきて、そしてそれを調べて行くんだというような、二つの見解が交錯して、質問した人、あるいは答弁した人の中から述べられてきているのですが、私、今日質問をするに当りまして、これは調査会を設置するという目的についての態度ですね、提案をされた側の態度というものを明確にお示しを願って、それから御質問をいたしたいと思いまするが、これはどういうことなんでしょうか。今の憲法を改正する必要があると、そういうことを考えて調査会を設置しようとするのか。それとも改正をする点があるかどうかと、こういうことを調べるために調査会を設置するのか。これはどういうことなんでしょうか。それがこの法案の審議に当っての基本的な問題になろうかと思うので、その点をまず承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/10
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011・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) ただいまの松浦さんの御質問に対しましてお答えを申し上げます。今度提案をいたしておりまする、内閣に憲法調査会を設置するというこの調査会の目的、使命でございまするが、これは当委員会でも、他の委員の方の御質問にお答えを申し上げましたように、現行憲法の改正の要否、すなわち改正する必要があるかどうかということから、もしも改正の必要ありとするならば、どういう点を検討を要するかというような使命を持っているものと考えているわけであります。ただ、わが自由民主党におきましては、松浦さんも御承知のように、自民党の新政策におきまして、憲法改正という問題を取り上げまして、政策として天下に公表いたしております。従いましてわが党といたしましては、改正をやりたいという政策を持っていることも、これまた、いなめない事実であります。しかしながら憲法の問題は申すまでもなく非常な重大な問題でありまして、慎重の上にも慎重を期すべき事柄であろうと思います。そういう点から考えまして、憲法の問題は、一党一派で決して結論を出して、これを押しつけると申しまするか、そういう問題とはこれは本質的に違いがあると思うのであります。そういう意味で今回内閣に調査会を設けていただきまして、その調査会において独自の、新たな観点から、新たな立場に立って、憲法改正の要否、並びに改正を必要とするならば、どういう点を改正するかという御検討をいただくと、こういうことでこの調査会法案を提出をいたしているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/11
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012・松浦清一
○松浦清一君 吉野国務大臣にお伺いしますが、ただいまの山崎さんの説明によりますと、自由民主党としては、憲法改正をすべきだという態度を決定をしておるが、憲法改正が一党の方針のもとに行われるべきでないので、内閣に調査会を設けて、そこで改正する必要があるかどうかということを調べるのだという、自由民主党の態度としてはこれでわかりました。自由民主党のその態度と、現在の内閣の考え方とは一致をしておるでしょうか、それとも全然別個の考えでおられるのでしょうか、その点をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/12
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013・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) どういうことになりますか、政府としては、具体的にどの条項をどう改正するかという考えは一つも持っていないのです。それですから、ただこの憲法というものの全体の条章にわたって再検討をいたしたいと、こういうことでございまして、その点については、一部党の方と考えが一致するわけであります。ただ改正点はどうかということが党の政策に掲げておるということでございますから、その具体的の条項をどうするかということは、政府としてはまだ白紙の状態であって、何らの意見もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/13
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014・松浦清一
○松浦清一君 ここに私の手元にあります、二月二十三日に提案説明が行われたその説明の内容を見てみますと、「現行憲法が昭和二十一年占領の初期において、連合国最高司令官の要請に基ききわめて短期間に立案制定せられたものであり、真に国民の自由意思によるものにあらざることは否定しがたき事実であります。」これは自由民主党の提案をされた側の態度ですね。それから「さらにまた過去約九カ年におけるこれが実施の経験にかんがみまして、わが国情に照し種々検討を要すべき点の存することも、これを認めなければならないことと存ずるのであります。」と、こういう説明がなされているわけなんです。こういう自由民主党の提案をされた側の説明の態度というものは、山崎さんから今説明がありましたように、改正をしなければならぬ、する必要があるという方針をまず決定してかかっておるわけです。そうしてこの委員会で審査するに当っては、政府側それから提案者側、両方御出席になって答弁をしておられるわけですね。そこで吉野国務大臣に伺いたいのは、こういう説明の要旨でこういう法案を出してきた、憲法を改正する必要があるという目的をきめた自由民主党の態度を、政府側としては肯定をされ、それはもっともだと、そういう観点に立っておられると思うのですが、それは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/14
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015・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) その点になりますと、もう少し何といいますか、精密に考えを述べた方がよろしいかと思いますが、今のお話の通り、提案者の方はこの二つの理由を掲げてあります。何か自由でないということですね、もう一つは、過去の九カ年の実施の経過に及んで改正をすべき点があると、こういうふうに書いてある、その二つの理由ですが、私どもの考えは、精密にいえば、その二つの方に、どちらに重きを置くかということについて、私は多少軽重があると思う。私どもの考えますのは、主として重きを置くのは第一点でございます。これを総理は、押しつけというような、あるいは占領下において、占領司令部の強力な指示ですか示唆ですか、そういったような言葉を使っておるようですが、これも何というか、まあ法律的ということでもございませんけれども、別な表現をすれば、完全な主権を回復していないということなんですね、完全な主権を回復していないときに、国家の基本たる憲法というものが日本では制定されたのでありますから、それがもう、これはできてしまったのでいたし方がないのですが、しかしそれが、内容がどうあろうとも、完全な主権を一体回復しないときに、国の基本法たる憲法というものを改正することがいいか悪いかということは、一つの議論になり得ると思います。国によっては、それでありますから、内容は近代の憲法に共通な原則を掲げておりましても、完全な主権を回復しないゆえをもって憲法等は制定しないという国柄は、御承知の通りあるわけであります。これは一つの私は見識だろうと思います。その見識についてのとかくの当否のことをここで論ずるわけではございませんけれども、とにかく完全な主権を回復していない、こういう成立の経過がございまして、それに加うるに、施行の九カ年の間において、いろいろ改正というものの問題点があるわけでございますから、その方は、私としては、政府としては、具体的にどうだこうだという改正の要点については、全く唐紙であって、検討はしていないのであります。しかしながら、それですから、前の方の、完全な主権を回復していない、こういうときに制定をせられたる憲法でありますから、今日そのことを振り返ってみて、全般にわたってもう一度再検討をする方がよろしかろう、こういう意見には政府は賛成をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/15
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016・松浦清一
○松浦清一君 私の尋ねておる焦点というのは、自由民主党の憲法改正を目的とした憲法調査会を設置しようという考えと、それから政府の態度とは、同じものであるか、別のものであるか、こういうことなんです、要約していうと。今あなたの御答弁によりますと、国の主権がわが国に属しておらない間にできた憲法であるから検討を加えなければならぬという点については、自由民主党の態度と一致した見解を持っておる、こういうお話です。それは今までしばしば鳩山総理大臣が、憲法改正の必要があるというようなことを、ある人は失言といい、ある人は失言でないというけれども、とにかくそういう意思を表明されたことがあるわけであります。それから清瀬文部大臣が、今の憲法はマッカーサーからもらった憲法だから改正する必要があるというようなことを表明されたこともあるわけですね。鳩山総理の、憲法改正の要があるという発言、それから清瀬文部大臣の、マッカーサーからもらった憲法だから改正する要があるという見解、その見解と、現在憲法担任になられたあなたの見解とは、全然変らない、だから日本に主権がなかったときの占領時代に制定をされた憲法だから改正をしなければならぬという、その考え方には変りがないわけですね、一貫して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/16
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017・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 言葉は、私は主権がないということは申し上げてない。完全な主権を回復していないということを申し上げた。主権があるかどうか、またそこに国際法上か何かしらぬが、議論が起りますから、そこは私は主権がないというようなことは申していないということだけは御了承願いたいと思います。それで、ただこれは私の表現ですが、通俗に、あるいはマッカーサーから押しつけられたとか何とかいうことを申しますが、これはどういう意味かということをせんじ詰めれば、私は結局完全な主権を回復していないということに帰するのだろうと思います。同じことだろうと思います。ただ通俗の、人によっての表現の仕方が違うだけでございますから、その意味において、そういうことでありますが、それだから、さかのぼってそれがいいとか悪いとかいう当否のことは、私は過ぎたことでございますから論じないのです。ただそういう成立の経過でございますから、完全に主権を回復した今日、これに対して再検討を加えるということはよろしいであろう。その意味においては提案者の方の意見と全然一致しておると申してよろしいと思います。ただこまかいことですけれども、加うるに過去九年間の実施の状況がどうかという具体的の問題になりますと、政府としてはそこは全く白紙でございまして、改正しなければならぬというか、あるいは改正する必要がないのか、そこは一に検討の結果によってきまるのでございますから、そこの点については若干精細に掘り下げますと、その重きを置く気持が違うといえば違うだろう。しかし大勢の大体の常識論としては、別にその間に大した食い違いはないものと御了承下すって差しつかえないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/17
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018・松浦清一
○松浦清一君 先ほど提案理由の説明にも読み上げましたその内容に二通りあって、その前段については吉野国務大臣は肯定をなさる。それからその次の九カ年の経験にかんがみて改正する必要があるということを自由民主党としては断定をしておるわけですね。その点については必ずしも一致しない、こうおっしゃる、そう了解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/18
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019・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 大体政府としてはそう御了解願ってもいいと思います。ただ私も途中からでございまして何でございますが、衆議院におきましても、総理としては、総理の御見解として、こういう点、ああいう点という、一つの具体的に改正を要するとはっきり言ったかどうかわかりませんが、そういう御見解も述べておられるようでありますが、私の承知しておるところでは、内閣としては別に憲法改正の問題について、(「分けているのはどうか」と呼ぶ者あり)具体的にどれを改正するとか、どれを改正してはならぬというようなことは承知しておりませんから、そういうように御了承願いたいと思います。(江田三郎君「総理とはそういう権威のないものになるのかな」と述ぶ、「これはおかしいな」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/19
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020・松浦清一
○松浦清一君 鳩山総理は憲法改正の要ありということを話をされたことは、何日のどの委員会で述べられたかということは調べればわかりますが、手間がかかるから調べませんが、そういうことを言ったことははっきりしております。間違いない。清瀬文部大臣も、マッカーサーからもらった憲法だからということは断定をしておりますから、マッカーサーからもらった憲法は改正しなければならぬという、後段の説明は十分されていなかったかもしれませんけれども、とにかく日本の、今あなたのおっしゃる、いわゆる主権を回復せざる間にできた憲法は改正しなければならぬという、そういう意味が含まれておった発言だということは間違いないわけです。今あなたのおっしゃることは、改正する要があるかないかということは、主権の回復しない前にできた憲法であるということは肯定せられるけれども、後段の方については別に決定をしておるわけではない、こうおっしゃるわけですね。そうすると、鳩山総理とそれから清瀬文部大臣との見解は、言葉の表現の仕方は違うけれども、その目的は一致しておると思う。あなたの今おっしゃられた見解は、ちょっとそれと違うのですが、その点はどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/20
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021・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 総理なり清瀬さんは有力なる自民党の党員でもあらせられますから、その党員として、党員としてといいますか、個人的の御意見として、(吉田法晴君「そんなことはないよ」と述ぶ」そういう発言はされたかと思います。ただ私の申し上げたのは、閣議として、私も閣僚の一人でございますけれども、閣議として正式に憲法を改正する要があるのだ、またどういう点がどうであるというようなことは別に承知してない、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/21
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022・松浦清一
○松浦清一君 それはちょっと違うのですよ。鳩山総理がどこかの汽車に乗って車中談を記者団とやったとか、清瀬文部大臣がどこか演説会でそういうことを言ったのとは違って、鳩山総理も清瀬大臣も、国会の中で正規に開かれておる委員会等でそういう意思が表明されているのですよ。もしもその鳩山総理と清瀬文部大臣の意見が一致しておって、あなたの意見が違う、こういうことになると、どういうことなんですか。内閣としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/22
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023・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私の申し上げたのは、たびたび申し上げました通り、内閣として、内閣として別に閣議でそういうことをきめたということは承知していない、こういうことを申し上げたのであります。(吉田法晴君「総理を呼べ」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/23
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024・松浦清一
○松浦清一君 閣議において政府の方針が一本に決定をしておらぬ。おそらく、憲法を改正する要があるかどうかということを閣議で審議されたかどうか、これはわかりません。しかし、重要な閣僚である総理や文部大臣や、それから憲法担任のあなたの三人の見解が違う、そういうことでは、清瀬文部大臣それから鳩山総理にもう一ぺんこの委員会に出席してもらって、そうして政府側の意見の統一をはかってもらって、それからでないと、ちょっと因るのですがね。(江田三郎君「そうだ、そんなむちゃなことはない」と述ぶ)そうして吉野さんとこんな質疑応答をやっておって、また鳩山総理に意見を聞いたら意見が違う、こういうようなことになったら、何のために会期が迫って日にちをかけて審議しているのかわからぬということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/24
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025・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私は率直に申し上げたのですが、再検討する要があるということについては私も承知しておりますけれども、閣議で憲法というものを改正する必要があるのだというふうにきめたことは承知していないのでございますから、その点について若干今お話の通り、私の了解と食い違いがあるというお話でございましたが、それはよく調べましてまた……。(江田三郎君「松浦君そこをはっきりやってくれ。そんなばかなことはないよ。何のために大臣として出ているのか」と述ぶ)つまりお話の点は、どういう点を具体的にどういう方向に改正をする要があるか、こういうことは、私は先ほど申し上げました通り、承知していないということを申し上げた。再検討をする必要があるということは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/25
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026・松浦清一
○松浦清一君 私の尋ねている目的というものがはっきり御了解願えないのかもしれぬが、私は政府として、山崎さんも聞いておって下さい、政府として憲法改正の要があるということを大体閣議で決定しないまでも、各閣僚の意見が一致しているのかいないのかということが今問題になっているわけですよ。くどいようですけれども、鳩山総理は改正の要ありと言った。清瀬文部大臣はマッカーサーからもらった憲法だから改正の要ありと言った。あなたは、検討をする必要があるとは思うけれども、改正の要があるかないかということは閣議において決定はしておらぬので、閣議において決定をしておらぬことは、私も外部に公表された限りにおいては、閣議で決定されたということは聞いていない。秘密閣僚会議できまったかどうか、それはわからぬですよ。しかし重要な憲法に関係のある閣僚の意見が一人々々別であってはならぬと思う。自由民主党は改正をする必要がありとして先ほどから山崎さんも言っておられる。そうして二十七日に改正案要綱というものを発表された。自由民主党としては、改正の要ありとして改正要綱まで発表しているのですよ。政府の態度としては、鳩山総理、清瀬文部大臣は改正の要ありと説く。あなたは改正する要があるかないかということを調べたい、こう言う。その食い違いが明確に一本にならないとちょっと困るのですよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/26
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027・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私の申し上げたのは、具体的にどういう方向にその改正をするかどうか、ということは、きまっていない。これは憲法調査会にかけた上で、改正の要否です、改正の要否ということもまたこの憲法調査会になにするわけです。こういうことを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/27
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028・千葉信
○千葉信君 関連して。どうも、ただいまの吉野さんの答弁は私としては了承しがたいのです。(「だれも了承していない。」と呼ぶ者あり)どうしてかというと、鳩山首相は、内閣を代表して、この委員会の席上で、特に具体的に、憲法第九条等についてはわれわれは現在の憲法でも自衛軍を持てるという……、ちゃんと聞いて下さい。吉野さん。(「聞いているじゃないか」と呼ぶ者あり)何を言ってるんだ。自衛軍を持てるという考えは持っているが、国内にはそれに対して異論があるので、従ってそういう異論の余地ながらしめるように憲法第九条は改正するつもりでありますと、ここで答弁した。あなたはそれと食い違った答弁を今されておる。改正するしないについては政府はまだ考えておらぬ、明らかに食い違っておる。しかもあなたは、いや閣議では決定していないのだ、ということを言っておられる。それではその釈明の理由にはならないと思うのです。どうしてかというと、内閣総理大臣は政府を代表しておる、内閣を代表して、憲法改正に対するこの調査会法案に関連して、はっきりと改正の意思ありということを表明されておる。あなたは運輸大臣ではあるけれども、一方では閣議の決定によって、憲法調査会法案を担当する国務大臣としてここに出席している。閣議できまった、きまらないは別としても、内閣を代表する総理大臣の答弁と、この憲法調査会法案を担当しているあなたと食い違った答弁をして、それで済むと思うのですか。閣議へかかってもかからないでも、あなたのおっしゃる通りかからなかったでしょう、かからなかったとしても、国会に対して、内閣総理大臣の政府を代表しての答弁と、これを担当しておるあなたの答弁と食い違っておる。それでは国会で審議できないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/28
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029・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それは私の承知しておるところを申し上げたのですが、具体的に、具体的にどういう方向で改正するということはきまったことはないと、(「全然違う」と呼ぶ者あり)しかし、その検討をしなければならぬということは私も承知しております。鳩山総理大臣が九条についてこれは改正する必要あり、こう言うたかどうかということの今お話でございますが、(「はっきりしているじゃないか」と呼ぶ者あり)それも総理大臣としてあるいはおっしゃったかもしれません。(「そんな連絡のないことじゃだめだよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/29
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030・千葉信
○千葉信君 そんな、委員会でですよ、内閣を代表して総理大臣がはっきりと改正するんだということを表明されているのに、それは総理はそういうことを言ったかもしれぬ、しかし、おれはおれで違う意見だ、ということで、直接この法案の担当者である国務大臣が、総理大臣の答弁と食い違う答弁をして相済むと思うか。それでは国会は、閣議できまった、きまらないにかかわらず、政府は一体どういう方針なのか、つかみどころがないじゃないですか。それでは審議は進まぬじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/30
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031・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私は別に違ったことを申し上げたつもりはないのであります。(「違っている」と呼ぶ者あり)ただ再検討を、言葉が、(「言葉じゃない」と呼ぶ者あり)再検討をする必要があるのですから、その再検討をした結果、それは改正ということも起り得るでしょう。起り得るでしょう。それですから、それは必ずですよ、こうするんだというふうには、きめてないということだけを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/31
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032・千葉信
○千葉信君 だからあなたの答弁は食い違っておる。あなたとしては、政府としては、憲法調査会を設置して、改正する必要ありやなしやということを検討するんだ、だからどこをどう改正するということについては自分としてはまだきまっていない、政府としてもきまっていない、あなたはそう言った。ところが、総理大臣の答弁は違うんですよ。特に具体的に第九条に関して、さっき私が申し上げたように、この条文にはこういう不備があるから、つまり国内に異論の存在する余地を残しているから、その異論の存在の余地なからしめるように第九条は改正する、はっきりそう答弁しているんですよ。総理大臣が。それじゃ、その条件に関する限り、第九条の首相の改正するという条件に関する限り、あなたの答弁は違うんじゃありませんか。政府で決定したとか、閣議で論議したとかしないとかいう問題、これはあなたの言う通り、私はその通りだろうと思う。その通りだろうと思う。その通りでも、問題を担当しているあなたと、内閣を代表している総理大臣との答弁が食い違うようじゃ、政府は一体何を考えているかわからないということになるじゃありませんか。はっきり食い違っている。もしあなたがそういう自説を固執されると、委員会として鳩山首相の出席を要求して、この問題についてはっきりしなければならぬ。速記録があるのですから。はっきりあなたも聞いておられるのだから。そこで、それじゃわれわれとしてはここで鳩山首相に来てもらって、もう一回その問題について聞かなくちゃ審議が進まないですよ。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/32
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033・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 別に、食い違う話、答弁はないのですが、ただ、総理はやはり改正の問題点として九条のことをおっしゃっただろう。ただそれを必ず改正するんだというふうに、(「言い切った」と呼ぶ者あり)あればそれは私があるいは言い違いかもしれません。(「だれの言い違い、どっちの」と呼ぶ者あり)私の方が。私の方がです。総理ははっきり九条を改正するんだと……(江田三郎君「それは一ぺん打ち合せなくちゃ、そんなに不統一なことを、言っちゃ困る」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/33
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034・千葉信
○千葉信君 そうすると、いいですか。あなたは、さっき松浦君の質問に対して、政府は憲法調査会……ようござんすか。そうしますと、ただいまのあなたの発言は、先ほど松浦君の質問に対して、政府は憲法調査会を設けて再検討をする必要がありという考えであるという御答弁は、鳩山首相も答弁されたように、政府としては少くとも、ほかのところは別として、はっきりとここで答弁された。第九条等に関しては改正をするんだというその答弁をあなたはそっくりお認めになって、先ほどの松浦君に対するあなたの答弁は取り消された、こう了承しなければならぬと思うのですが、それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/34
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035・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私はあまり技術的なことの答弁を、(「技術的じゃない」と呼ぶ者あり)技術的なと申すのは、どの条項をどういうふうに具体的に改正するかどうかということを閣議でもって正式に決定しなかったということだけを申し上げたので、それだけのことを申し上げたことから、いろいろ御議論が出たわけでございますが、ただ、仰せの通り、総理大臣としてそういうことをおっしゃっていることも、これは速記録にお示しの通りでございまするし、あるいはまた、ほかの方での御演説にも憲法を改正する必要があるというようなことも申し述べてあるようでありますから、私のさっき申し上げた方はここで取り消した方がよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/35
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036・千葉信
○千葉信君 まあ、くどいようですが重ねて……、さっきの御答弁を取り消された以上、政府としては、はっきりと、憲法調査会を設置して、具体的なその内容、つまり第九条の関係もですがね、こういう点について改正する意思ありという態度が鳩山内閣の態度だ、こう結論として確認することになると思うのですが、いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/36
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037・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それでよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/37
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038・野本品吉
○野本品吉君 ただいま千葉君から総理の答弁に対しまして非常にはっきりとしたものの言われようをしておりますが、私ども準備をしておらないので、大へん失礼ですが、やはりその論議を正確に理解するために、おそれ入りますが千葉君に、当日の速記録の前後を通じてこの際お読みいただくことがよろしいと、こう思います。さようお取り計らい願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/38
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039・青木一男
○委員長(青木一男君) 野本君から総理の言われた点の速記録の話がございましたが、手元にお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/39
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040・千葉信
○千葉信君 そこのところの速記録は今抜かして来ておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/40
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041・青木一男
○委員長(青木一男君) 一応その点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/41
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042・松浦清一
○松浦清一君 私が持っておるから読んで上げる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/42
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043・青木一男
○委員長(青木一男君) それでは松浦君の質疑の過程においてその点をはっきり説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/43
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044・松浦清一
○松浦清一君 昭和三十一年四月三十日、午前十一時十四分に開会された参議院の内閣委員会。鳩山総理大臣、清瀬文部大臣、吉野国務大臣、皆出席されたその席上で、亀田得治君の質問に対して答えた部分がございます。
二ページ四段目の、亀田得治君の質問、「憲法改正に具体的に着手していいかどうか、こういう世論の数字の状態のもとにおいて、それを聞いている、端的に答えて下さい。」そうすると、鳩山総理は、「私は改正の必要ありと感じますから、その具体案を作ってそうして世論に問うべきものと思います。」と答えている。それから、その次の亀田君の質問に対する総理大臣の答えのずっと末行の方から、「それですから政府がいいと思ったことは、やはり案をこしらえて、そうして国民に問うという責任を政府は持っておる、こういうように私は考えます。それですから政府としては憲法の案を作って、そうして国民の世論を——国民にこういう希望をもって、こういう意思をもって憲法を改正したいのだということを徹底せしめて、そうして国民の意思を問うて、そうして憲法改正に着手すべきものだ。案を作るということは、その前に政府としては責任があると思うのです、」と、こう言っておる。ですから、憲法改正の案をもって国民にはかるという責任を政府は持っておる。その案を作らなければならぬ、こういうことを答えているわけです。これは間違いないでしょう、速記の通りですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/44
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045・野本品吉
○野本品吉君 それではこれは違うじゃないですか。討論をするわけにいかぬですが、それはちょっと私どもと考え方が違う。(「違うというと」「衆議院の方から全部速記録持ってこようか」「こっちの記録ですから」「読みようが違うというの」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/45
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046・青木一男
○委員長(青木一男君) ちょっと私語をしないで下さい。ちょっと速記停止。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/46
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047・青木一男
○委員長(青木一男君) 速記開始、松浦君、質疑をどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/47
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048・松浦清一
○松浦清一君 それで吉野国務大臣に、政府としては憲法改正をしなければならぬという、そういう方針を決定をしておるのではなくて、調査会を作って、そこで検討するのだというような意味の答弁をされたが、鳩山総理や清瀬文部大臣の今までの発言との食い違いがあったので、その点に関する部分は取り消すとおっしゃられたから、それでいいわけですが、そうすると、ここに速記に載っておる、政府としては、やはり案をこしらえて、そうして国民に問うという責任を政府が持っておると、案を作って国民に問う責任を政府が持っておる、だから政府は憲法の案を作って国民にこれを尋ねたいのだ、こういう趣旨のその総理の答弁は、これは肯定を、あなたとしても肯定をせざるを得ぬと思うのですが、同じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/48
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049・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 総理のお言葉はその通りであると思います。しかし、さっきもお読みになった通り、総理も、個人としては、私としてはと、こうおっしゃっております。(「私としては。国会に出て来て総理大臣は個人ということはない」と呼ぶ者あり)ですから総理はその通り……総理がおっしゃったことだけは速記録の通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/49
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050・松浦清一
○松浦清一君 そうしますと、憲法改正をしたいのだ、しなければならぬという目的は、十分総理と政府は一致しているわけですね。そういう点は一致しているわけですね。私は、くどく、だめ押しをするが、やはり調査会を設置するということは、憲法を改正するということを目的として設置するのか、改正する必要があるかないかということを調べる必要があるために設置するのか。これが明確にならんというと話し合いが一本筋に帰ってこないのです。そこで私は念を押しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/50
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051・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) さっきも私が申し上げましたのは、私の話が技術的だというのは、私は正式の閣議というようなことにとらわれずに申し上げたのです。しかし総理大臣が、私としてはと、こう言うても、いわゆる総理大臣で、すっかり内閣を代表する人の言葉で(「当り前だ」と呼ぶ者あり)言うておられますから、大体御了承の通りでよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/51
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052・吉田法晴
○吉田法晴君 ちょっと関連して。吉野大臣にお尋ねいたしますが、あなたはここに何しに来ておられますか。政府を代表して来ておられるのではございませんか。(笑声)鳩山総理大臣も政府を代表してここに来られたと思うのですよ。で、鳩山総理の意見も国会に対しては鳩山内閣を代表した、憲法の問題であろうと何であろうと、たまたまこれは憲法の問題でありますけれども、これに御意見を述べられたと思うのです。あなたもこれは政府を代表して来ておらるべき立場だ。それに個人の意見とか何とかというものはあるはずがありません。もし食い違いがあるならば、それはどっちかが間違っておる。ここで間違っておるならば御訂正になるべきでしょう。あなたは総理がしゃべられたことに対して、私の先ほどの答弁が間違っている、食い違っておるならばそれは取り消しますと、こう言われた。ところがまだ少し残っている。これは許されることではありません。一つもっとはっきりと願いたい。あなたはここに来て個人的な意見を述べられた。あるいは鳩山総理は個人的な意見を述べられた。食い違いがあってもよろしいのかどうか。食い違いがあるならば、私は、帰って閣議でその問題について御検討願って出てもらわなければならぬと思う。その一般的な立場と、それから憲法の解釈問題については食い違いのあります点について先ほど一応取り消されたのですが、今の、改正すべきかどうかを検討するのか、あるいは改正すべしという案を、改正すべき案を憲法調査会にかけられるのか、その点を一つ明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/52
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053・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 改正する必要があるだろうという意味で検討するということは、これはさっき申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/53
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054・吉田法晴
○吉田法晴君 一般的なあなたのここに出ておられる立場と……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/54
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055・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) お話の通り、私も憲法調査会法案の審議に関する政府の立場を代表して来ているわけです。その点はお話の通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/55
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056・吉田法晴
○吉田法晴君 従って総理とあなたとの間に意見の食い違いはないはずですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/56
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057・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) だから意見の食い違いはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/57
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058・吉田法晴
○吉田法晴君 あるべきはずはないのですが、もしあるならば、それは一つにせなければならぬでしょう。先ほどの食い違っている点については、もう少し明確に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/58
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059・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それで先ほど食い違っている点については私の発言を取り消しておいたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/59
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060・吉田法晴
○吉田法晴君 そこで今の肝心の松浦君の質問の点ですが、憲法改正の要あり、九条の話が出ましたけれども、そういう鳩山内閣の御意見であるのか、あるいは改正すべきかどうか、それを検討をするというまだ段階なのか、それと憲法調査会法との関係、先ほど引用をそれぞれいたしましたように、総理とあなたとの間には発言の食い違いがございますが、その点を少し明確にしていただきたい。(「はっきりした方がいいよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/60
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061・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 政府としてはその再検討をした上で改正することが適当であろうかと思いますけれども、(「さっきとまた違うじゃないか」と呼ぶ者あり)とにかく憲法調査会というものを、案が出ておりますから憲法調査会というものですべて審議した上で、その結果、政府の最終的の態度をきめたい、こういうことなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/61
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062・吉田法晴
○吉田法晴君 これは松浦君の質問だか、松浦君から一つ御質問を願うべきだと思いますけれども、憲法を改正すべし、具体的には九条の点が出ましたけれども、鳩山総理は憲法改正すべし……それはあなたが言われるように個人の意見もありましょうが、あるいは自主憲法研究会ですかでの演説、それからあるいは自由党の憲法調査会での演説、あいさつ、こういうのじゃなくて、同じ思想をここで言われたのです。あるいは千葉君から質問をいたすときに話された、それは政府を代表しての国会での答弁です。憲法九条については自衛権の持てないような憲法は守れないと言いましたけれども、疑問があるからそこで改正しなければならぬ、こういう結論なんです。それから憲法全体について改正すべきだ、改正すべき点等について、こうこうこういう点がある、これもそう詳しくではございませんけれども、山崎さんが言われたように詳しくではありませんが、一応あげられた。従って憲法を改正すべしという意向は述べられた。今速記録を調べて出しませんけれども、そうすると、憲法改正すべし、その憲法を改正する具体的な条文個所、こういうのは憲法調査会で検討を願うのだけれども、しかし憲法改正すべしということは鳩山内閣の方針だ、こういう工合にわれわれは聞いて参りました。ところがあなたは、そうじゃなくて、憲法を改正すべきかどうかということもまだきまっておらんかのように言われる。そこでそれは違うのじゃないか……そしたら今の答弁の前のときに、憲法改正すべきであろうと思うけれども、ちょっと弱かったけれども、改正すべきであろう、こういう発言をされた。速記録を見なければなりませんけれども、そういう意味のことを言われた。改正すべきかどうか、そこをまず聞いたわけです。ですから、またそのあとの答弁は、すべきかどうかという答弁に逆戻りをしてしまった。はっきりとにかく改正すべきかどうか、この点についての鳩山内閣の態度を明確に御答弁願いたい。そしてその総理との答弁の食い違いは、はっきり一つ御調整を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/62
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063・千葉信
○千葉信君 同じことで堂々めぐりするばかりだからちょっと……ただいま吉田君から質問もありましたけれども、吉野さんとしても、政府を代表して、最初は、憲法調査会法案、この法案が通れば、結局憲法調査会でもって一体憲法を再検討を加えて、それによってまあ政府としての態度がきまる。つまり初めからもう改正するのだという方針で、政府は、この法案にも、それから憲法調査会にも臨むのじゃないのだ、こういう御答弁であったのが、鳩山首相の答弁と食い違いが明らかにされて、首相が政府を代表して、たとえどの条文についてもこれを改正するのだということを言われた以上、吉野さんの答弁は首相の答弁と食い違いを生ずるから、自分は、さっきの、単に調査し、検討を加えるのだというのじゃなくて、首相の答弁通りに自分の答弁を取り消す、こういう答弁をされたわけですから、従ってまあ今の吉田君の質問もありましたけれども、私は従来しばしば表明されてきた憲法調査会法案の審議に当って表明されてきた、調査会では単にその自主的に改正するとかしないという前提条件に立たないで検討を加えるのだという答弁をされてきました。調査会はまあその通りでいいと思うのです。調査会はその通りでいいけれども、政府としては少くともその調査会に臨むに当って、これを諮問するとか、この内容を検討してくれとか、こういう結論になってもらいたいなどというそういう注文は一切つけないで、政府としては白紙で臨むのだと、ただしかし、もう一度はっきり言いますが、政府としては第九条等については改正をするという意思をもって臨んでいく、こう私は確認していいと思うのですが、それで吉田君に対する答弁にもなると思うのですが、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/63
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064・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 大体、(千葉信君「大体じゃなくて」と述ぶ)お話しの通りであります。(「はっきり言えよ」「大体なんという言葉じゃいけないと呼ぶ者あり)これはしかし人が違うのですから、同じことを言うのでも言葉の何もございますから、それでいいと思います。(「内閣は一つですよ、はっきりして下さい」「それでよろしいと思いますと言ったじゃないか」「千葉君の言ったのでいいということだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/64
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065・吉田法晴
○吉田法晴君 これは千葉君の質問を肯定されたということですがねな点ですから、吉野国務大臣から自分の言葉で一つここではっきり御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/65
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066・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それでは申し上げますが、憲法調査会が、この法案が幸いに成立しましてできましたならば、憲法調査会の審議というものには一切注文がましいことはつけない、これは自由であるということです。(「それはわかっている」と呼ぶ者あり)しかし今お引きになりました、あるいは総理大臣がいろいろな機会において述べられました、これはこういうふうに改正した方がよろしいだろう、こういうことは政府もその意図を持っておる、こういうことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/66
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067・吉田法晴
○吉田法晴君 その点は了承いたしました。憲法を改正すべしという政府の方針であるかどうかという点は御明答がございません。御答弁を願います。(「それをはっきり、それが大事なんだから」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/67
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068・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 大体それでいいと思います。(「大体じゃない、はっきりあなたの答弁を」と呼ぶ者あり)そう仰せられますけれども、私はこれは代人ですから、(「代人なんて、そんなばかな」と呼ぶ者あり、笑声)代人じゃなくて……、政府を代表はしておりますが、総理大臣ほど有力ではないものですから……。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/68
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069・吉田法晴
○吉田法晴君 代人、それは総理大臣の代人かもしれませんけれども……、国会に出てきて政府を代表するあなたが代人ということはないんです。ここでははっきりとにかく政府を代表してこう答弁いたしますということでなきゃならぬと思うのですが、重ねて、はっきりした答弁がありませんから、速記録を引いてお尋ねをいたしますけれども、国務大臣鳩山一郎君は、「私は改正の必要ありと感じますから、その具体案を作ってそうして世論に問うべきものと思います。」はっきり「改正の必要ありと感じます」と、こう言っておられる。ですから、政府としては改正をするんだ、こういう方針をお認めになりますかどうか。それからもう一つは、これには続いて、「政府としては憲法の案を作って、」云々、あるいは案を作るということは、」「政府としては責任がある」、こういうことですが、これを憲法調査会を通じて案を作るんだ、まあ調査会の関係を抜きにして、政府として案を作るんだと、こういうふうにここに述べられております政府の方針については、これは政府としてお認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/69
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070・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) どうも総理大臣が、今お引きになったように「私は」と、こうおっしゃっていますね。ですから総理大臣は私であって、その私というものがイコールすなわち政府だと、こういう御解釈なら、それでよろしいと思います。(「そう解釈する以外にどんな解釈があるんですか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/70
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071・吉田法晴
○吉田法晴君 「私は」というのは、これは個人ですか、そうじゃないでしょう。(「日本語だよ」と呼ぶ者あり、笑声)これは鳩山内閣を代表して鳩山総理大臣が「私は」と言うた意見は、私は鳩山内閣のこれは方針だと思う。そうでしょう、違いますか。あなたは「私は」というのは何か個人のように言われます。それで、「私は」というのは鳩山個人であって、ここに出ておられる吉野さんという「私は」吉野個人のようなことを言われる。そうじゃなくて政府の方針を聞いてるんですよ、政府の……。鳩山総理がここに言われたことは、鳩山内閣の方針を言われたのでしょう。それに違うような答弁はあなたとしてはできんでしょう。だから憲法を改正すべきだ、改正の必要がある、改正をする方針だ、こういう点はお認めになりますかということをお尋ねしている。(「私はというのは即鳩山内閣だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/71
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072・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それは認めますということを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/72
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073・千葉信
○千葉信君 関連して。そこにちょっと問題があるので関連して。ただいまの質疑応答で、政府としては憲法を改正するという方針であることが明確になりました。(「そうそう」と呼ぶ者あり)そこで、それと直接、実際問題として関連して、今までの答弁と少し食い違ってきている事実がある。それは憲法調査会法に対しては政府としては従来白紙で臨むという、全く調査会独自で問題を審議、検討するということになっているんです。これはそれでようございます。ただしかし、この法案によって調査会の委員を五十人の任命が、まあ国会議員の場合には一応私はこれはあまり問題にならぬと思う。まあしかしこれはあとで問題にしますが、ここではあまり問題にならない。そのほかの学識経験者二十人を内閣が任命する、内閣が任命する。その内閣は憲法を改正するという方針をきめている。その憲法を改正する方針をきめている政府が、一体委員の任命に当って、政府の方針と食い違うような結論の出る委員の任命の仕方をされるでしょうか。おそらくそのことは常識上起らぬと思うんです。その点については政府はどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/73
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074・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) その点についてはこれは公正にやるんですから……。もしお話のように、政府の自由になる者をみな選ぶということであれば、これは調査会に対して押しつけないと言いながら押しつけた結果と同じことになるんです。そういうことはやらないんですから、御安心を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/74
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075・千葉信
○千葉信君 その点についてはそれは私の時間のときにいたしますから、保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/75
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076・松浦清一
○松浦清一君 両方から関連質問がたくさん出てきて、なかなか戻るのが大へんですが、(「済みません」と呼ぶ者あり)そこで先ほどの、私はこだわるわけじゃないけれども、吉野さんが私は代人ですから代人ですからというようなことを言って、まあみんな笑ったんですが、これは非常に重大な私は問題だと思う。(「そうそう」と呼ぶ者あり)私はあなたが政府の代表だと、そう考えて質問もしょうと考えているし、今までまたそのつもりでいるわけなんです。もしあなたが代人というなら、総理大臣の代人なのか、だれの代人か私は知りませんが、代人というそういうあいまい模糊としての形でそこにすわっているなら、私は質問してもしようがないと思うが、その点どういうふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/76
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077・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それは大へん私の失言でございまして、そういうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/77
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078・松浦清一
○松浦清一君 そうすると政府を代表してそこにおられるわけですね。代人でなしに、代表してそこにおってくれるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/78
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079・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) つまり私の言葉の使い方が少し慎重を欠いたのです。(「鳩山さんに似てきたな」と呼ぶ者あり)政府の代人じゃなく、政府の代表という言葉がいいでしょう。代人という民法上の言葉を使ったのはよくないです。代表です。(「了承」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/79
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080・松浦清一
○松浦清一君 わかりました。そこで質問をもとの軌道に返しますけれども、今までの私の質問、それから関連査問等に対する答弁で、政府としても憲法の改正要ありと、こう認めていることは肯定をなさいますか。それから自由民主党は改正する案まで作っておられる。そこで違ったところは、改正の要ありと考えていることは自由民主党も政府も一致している。ただ現在政府は改正の具体的な案は持っておらぬ、自由民主党は持っておる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/80
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081・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) ちょっとその点はっきり申し上げておきたいと思いますが、お手元に差し上げておりますのは、自由民主党の憲法調査会のいろいろ研究しました問題点でございまして、もとよりまだ結論ではございませんので、憲法改正に対する結論は何らまだ出ておりません。その点を一つ誤解のないようにお願いを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/81
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082・松浦清一
○松浦清一君 そこで山崎さんにお伺いをしますが、四月二十三日のこの内閣委員会で島村委員の質問に答えて山崎さんが、「ただいま自由民主党におきましては、本年の一月から憲法調査会を党内に設けまして、すでに検討を進めております。今四つの分科会に分かちまして毎週相当研究を進めておるような段階でございますが、もとよりまだ結論的に申し上げるまでには至っておりません。」、こういう答弁を二十三日の委員会にされて、そして二十七日に自由民主党憲法調査会の基本態度、憲法改正の問題点、こういうことで新聞にも出ておりまするし、資料が配付されております。憲法調査会が、ただいま明確になりましたように、与党たる自由民主党は、もう調査会が設置されるまでには改正案が確定されると思うのです。政府としても改正をしなければならぬ、こういう目的のために調査会が設置される。そういうことになりますと、今までどちらかとわれわれ半信半疑でおりました、改正する点があるかどうかということを調べるのではなくて、改正をしなければならぬという目的を前提として、先に考えて、そして調査会を設置されるのでありますから、調査会ができたときには、政府が一つの改正案を作るか、自由民主党が一つの改正案というものを持ってこの調査会に臨むかということになる。今まで確定されておりませんが、そうなりますと、この調査会を設置するということについての審議をする前に、まずわれわれは心がまえとして、自由民主党が、今まで山崎さんが会長になってやっておられる調査会の審議されてきた改正の要点というものを一ぺん御説明を承わって参考にしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/82
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083・山崎巖
○梁議院議員(山崎巖君) 自由民主党におきまして憲法調査会を設けて目下着々と調査を進めておりますことは事実であります。ただいま御指摘のように四分科に分ちまして、それぞれ条章を四つに分って検討を進めております。ただ問題は、先ほども申しましたようにきわめて重大であります。従いまして自由民主党の調査会におきましても軽々に結論は私は出ないと思っております。この法案が通過しまして、内閣に憲法調査会が設置せられましても、それまでに自由民主党の結論を出すまでには私はおそらく至らないと思う。昨日も当委員会におきまして、松浦さんはおいでにならなかったかと思いますが、田畑さんから天皇の章についていろいろ御質問が出ました。昨日は幸い委員会が早く済みまして、ちょうど天皇の章についての分科会をやっておりましたので、田畑さんから出ました、たとえば皇室典範、こういう問題の検討もぜひ願いたい。それから国事行為についての田畑さんの御意見等につきましても、私は将来、分科会におきまして報告しまして、そしてその検討の資料を提供しておいたような次第であります。そういうわけでございまして、一章を検討しますのにもこれは容易じゃないと思います。いわんや結論を出すという段階は、私はまだ相当時間を要すると思っております。従いまして本調査会がかりに法案が通過しまして内閣に設置せられましても、わが党の調査会は並行して審議を進めていく、こういうことになることは当然だろうと思っております。従いましてただいま私どもの各条章についての改正の意見を——確定した改正の意見をここで申し上げるようなまだ段階にはもとより至っておりません。その点を御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/83
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084・松浦清一
○松浦清一君 自由民主党の中ではだいぶ前から調査を進められておるはずですが、もちろん今どういう結論が出ておるかということを御質問申し上げることは、あなたにも御答弁できないと思います。それはできないことは了承しております。ところが、今までに公表されているところでは、全部で十一ですか、十一項目にわたって大体に要綱的な構想だけはまとまっておる。この十一項目についての具体的な内容については検討中だ、このように私は了承しているわけです。その内容の経過ですか、構想ですか、あなたは会長ですから、大体構想をお漏らしを願っておきますと、この調査会の審議に非常に私は参考になると思いますので、これはあなたが提案者の代表という立場でなくて、自由民主党の憲法調査会ですから、調査会の責任者としての立場から、これは私はという立場でよろしゅうございますから、ちょっと御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/84
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085・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) ただいま自由民主党の憲法調査会におきまして研究しました現在の段階の程度は、お手元に差し上げておりまする問題点並びに基本的態度でありますが、これが現在の段階であります。これ以上はまだ今後の問題だと思います。ただいまも申し上げましたように、この問題点の中にもずいぶん抜けておる点がまだあると思います。昨日田畑さんからいろいろ天皇の章について御指摘がございました。こういう問題はわれわれの検討はまだそこまで入っていない、そういう段階でございます。従いまして、今日直ちに方向とかあるいは結論とかというようなことをこの席で申し上げることはとうてい困難だと思うわけであります。
ただこの資料をお配りしましたのは、これは当委員会でいろいろ内容についてどういう点を検討しておるかというよく御質問がございますので、それまでにぜひわが党の問題点をはっきりさせておきたい。それが審議を願う上において有力な資料になるのじゃないか。そういうことでこれは取り急いでまとめた資料でございまして、まだ実は率直に申し上げまして、これは憲法調査会の会員と十分論議をしましてこれまでまとめましたけれども、実は党の正式の機関にも諮っておりません。総務会あるいは党幹部、総裁、そういう方面に全然諮ってない段階でありますけれども、何と申しましても、この審議は非常にお急ぎになっております段階でございますので、早く資料として差し上げておいたほうが便宜じゃないか、こういうことで実は取りまとめたわけであります。これ以上には全然進んでおりませんので、その点は御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/85
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086・松浦清一
○松浦清一君 それでは自由民主党さんの党の内部的な関係に属することでありますから、これ以上追及して深く掘り下げて聞きません。そうしますといよいよ憲法調査会が設置をされますと、この調査会の議事規則ですか、そういうようなものがきまっておりませんから、この法律だけでははっきりつかみかねるのですが、原案を、政府も憲法を改正しなければならぬと考えておる、おそらく改正案を作られることと思います。自由民主党も作られることと思います。どこからどういう形で原案というものは出される予定でございますか。やはり今度この調査会ができたからといって、案なしで調査会が憲法改正に関して調べをするというようなことはできない。どこからか案が出てくるに違いないと思うのですね。あなたのお考えでは政府から出すんですか、自由民主党から出すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/86
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087・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 内閣にこの法案によりまして設置せられまする調査会は、当委員会でもたびたび申し上げましたように、きわめて自主的に民主的の運営をはかっていただく考えであります。従いまして、内閣から憲法改正についての諮問を出しますとか、あるいは案を出しますとか、こういうことは全然予想いたしておりません。この委員会独自にこの審議を進めていただく。ただその場合に、たとえば自由民主党の方から委員が、かりに国会議員が三十名のうち何人か入るといたしますと、そういたしますれば自由民主党の委員が、おそらく私どもの憲法調査会におきまして現在いろいろ調査をいたしております資料なり、あるいは論議なり、そういうものは本調査会にも提出いたしまして、そうしてこの調査会の、内閣におきまする調査会の御審議の資料に供するということは当然あり得ることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/87
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088・松浦清一
○松浦清一君 吉野国務大臣に伺いますが、調査会が設置されれば、おそらく今山崎さんの御答弁のように、自由民主党の中から出た国会議員が、これがわれわれの案だといって持ち込むことはあり得るかもしれぬし、またそういうことになるだろうと想定されるわけなんです。そうすると政府としては、改正の目的をもって設置される調査会に対して案をお出しになるつもりですか、ならぬつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/88
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089・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 案を出す考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/89
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090・松浦清一
○松浦清一君 そうすると大体本筋に入ってきましたが、結局憲法改正をするのには、今まで問題になって論議をされてきた第九条をどのように改正するかという点、それから天皇制や家族制度に関連をしてどのように民主主義を堅持していくかという点、大体大まかにいってこの二点に集約されると思うのです、私はですね。あなたの御見解が山崎さんの御見解に一致するかどうかしりませんが、大体この点に尽きると思うのです。今までの、昭和二十五年に警察予備隊ができましてから今日に至るまでの吉田内閣、鳩山内閣を通じて国会でわれわれに答えてきたことは、第九条で戦争放棄をきめておるけれども、外国から日本国が侵略をされた場合に、これを守るという自衛権を持つということは否定されていないんだと、従って前の警察予備隊、保安隊、自衛隊に至る一連のわれわれのいうところの軍隊は、軍隊ではなくして、自衛の措置としての何ですか、戦力にあらざる自衛力だと、こういうような表現をもって今日まで終始してきたわけですね。そうしてかつて私はこの委員会で防衛長官や外務大臣列席の際に、しばしば政府は防衛六カ年計画を策定しておるということを報道されておる、しかし政府が公式の機関においてこれを表明したことはない。防衛六カ年計画というものはほんとうにあるのかないのか、こういうことを質問をしたのに対して、防衛六カ年計画などというものを閣議で決定したことはございません。こういうことを言っておられたわけです。ですから今の憲法のままでもし自衛力を持つとすれば、どの限界まで憲法改正なしに許されると判断しておるのか、もうここまでくれば、憲法改正しなければこれ以上増強することはできない、そういう判断の結果この第九条を改正しようというふうに出てこられたんではないかと、こう思うのですが、その辺のところはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/90
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091・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 憲法第九条第二項をめぐりまする問題でございまするが、この問題につきましては、いろいろ国会を通じましても議論が従来から行われておりますることは、松浦さんの御承知の通りであります。すなわち現在の自衛隊、あるいはその前身の保安隊、警察予備隊、それぞれの設置の時代に憲法違反ということは相当議論をされたことは事案であります。従いまして私どもも、また政府の憲法九条二項についての解釈は、ただいま松浦さんの御指摘の通りに、これは独立国として自衛権があり、また自衛権に伴う自衛力の行使ということができるという解釈はとっておりますけれども、しかし今まで何を申しましても、そういうふうないろいろな憲法九条の二項をめぐりまして議論がございますので、その点を改正の場合にははっきりさせたい。この問題を検討する一つの重要な課題として考えておるわけであります。決して限界の点をいうことにこだわってこの憲法再検討の問題を取り上げておるわけではございません。従来解釈をめぐりましていろいろ論議がありまするので、その点をはっきりさせたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/91
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092・松浦清一
○松浦清一君 吉野運輸大臣に伺いますが、そうしますと今まで吉田内閣以来鳩山内閣を通して国会に対して答弁をしてこられた政府の態度、自衛権を持つということは九条違反ではないということを表明されておったということは間違いであったという工合にお気づきになったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/92
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093・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 間違いとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/93
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094・松浦清一
○松浦清一君 間違いがなければ、どうして第九条を改正しなければならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/94
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095・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 間違いでないのですけれども、しかしそのことについて世間にいろいろな論議がございますから、それで改正した方がいいだろうということを総理は述べられたんだろうと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/95
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096・松浦清一
○松浦清一君 そうすると政府の自信がゆらいできたというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/96
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097・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) つまり自衛権があるかないかということは、憲法九条の規定によって生ずるのではないのです、御承知の通り。これは独立国家として当然あるのですから、自衛権というものがあるかないかということは、あの規定から出てくるわけではないのですから、それですから一つも自信がゆらぐとか、ゆるがんとかいうことは一つもないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/97
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098・松浦清一
○松浦清一君 ところがこの憲法ができてから今日に至るまでの内閣総理大臣は、吉田茂という人から鳩山一郎いう人に変ってきておりますけれども、前の自由党内閣、今の自由民主党内閣は、やっぱり同じ線の上に立っている内閣だと思うのです。そうするとこの憲法ができたときに、いろいろな人が質問をしておりますけれども、その中で共産党の野坂参三君が、自衛力としての軍隊などは持つことは当然ではないかと、この第九条はそういう意味の自衛力を持つということは差しつかえないと考えるがどうかと、こういうようなことを質問したのに対して、これはほかの人が質問したのなら別にどうこうではないのですが、共産党の野坂君であるから特に私は強調しておるのです。その間に対して、時の内閣総理大臣は、いやそういう意味における自衛力としての軍隊を持つこともできないのだと、それはやらないのだということを明確に答えておることがそのときの記録に残っておるわけです。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)そうでしょう。そこからこの憲法は出発してきておるのですよ。そして終始吉田内閣総理大臣は、警察予備隊が保安隊に変り、自衛隊に変ったと、数が十一万から十三万になり十六万になり、十九万になり、今度は二十一万にふえる。毎年々々自衛力が増強されてくる。これは憲法違反にならぬかというわれわれの質問に対しては、依然として終始、特に吉田さんは、憲法違反ではない、当然自衛力を持つことは許されておる、こういうことを答えてきておる。それが自由党内閣時代の政府の態度であろうと私は判断をしておったところが、今の鳩山さんは昭和二十七年に追放が解除されて、一番最初の選挙戦に立候補されたときに、日にちも私は八月の十二日だったと記憶しておりますが、日比谷の公会堂で鳩山さんが第一声をあげたそのときに、鳩山さんはこういうことを言っておられます。今の自衛隊は明らかに軍隊である。この軍隊を軍隊と言わない吉田君の態度はおかしい、すみやかに憲法を改正して、そして国民の前に自衛隊が軍隊であるということを表明すべきだということを演説している。そこから戦後における鳩山総理大臣の政治化活が出発しているわけであります。それから一たび総理大臣になると、今度は吉田内閣時代の態度を踏襲して、そして自衛力を持つということは憲法違反ではないと言われた。このごろになってから第九条の改正をしなければならぬ、憲法の改正の要ありと、こういうことを鳩山さんが言われ出した。そこで私が今あなたに伺ったのは、この憲法ができて以来、吉田、鳩山と続いてきた。自由党、自由民主党内閣の一つの信念に大きな動揺がきたのか、こういうことを尋ねているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/98
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099・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 吉田さん、鳩山総理の信念にどういう動揺があったかということは、ちょっと私もわかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/99
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100・松浦清一
○松浦清一君 あなたは今度初めて大臣になられたのだから、今までの政府の態度というものは御存じないかもしれぬけれども、これは私が今言ったこと間違いないのですよ。憲法ができたときの野坂さんに対する当時の吉田総理大臣の答弁、それから鳩山さんの政界復帰第一声のときの日比谷公会堂における演説、それから第一次鳩山内閣、第二次鳩山内閣を通してやっぱり憲法違反ではないと言ってこられたのに、最近どうも疑わしいところがあるから改正をしなければならぬということを言い出した。あなたが松浦の尋ねていることはそれはうそだろうと思えば、それはしようがないけれども、それを信ずるならば、政府の方針が変ったのか、こういうことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/100
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101・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) いや、決してうそだということは申し上げないのです。お話の通りであれば、その解釈が変っているのですね、憲法九条の解釈が。私の申し上げたのは、憲法九条というものは、あれによって自衛権というものができたのじゃない、独立国家である以上は自衛権があることはこれは当然なんですから、それですからその原則というものは音も今も変りがないと思うのであります。ただそれに関連して九条の解釈を、今お話の通り承わっておりますが、吉田さんにしても同じ吉田さんが時を異にして違ったような解釈をしておる、こういうことであります。それですから率直に私から申し上げれば、そういうような一体疑いを生ずること自体がおもしろくないのであって、もう少し憲法をはっきりした方がいいのじゃないかというような意見がそういうところから出てくるのだろうと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/101
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102・松浦清一
○松浦清一君 あなたも憲法担任の大臣になられたから、いろいろな資料を集めておられると思いますけれども、私も、この憲法成立当時の特別委員会のあの速記だけは入りませんけれども、あとは大体資料を持っているのです。これは一番古い、古本屋で買ってきたのですが、佐藤功君の書いた……占領されておるときに書いたのだから、遠慮がちに報告しているのであります。この中に、そのときの芦田小委員長、それから金森国務大臣等が憲法改正の最終段階において、そしてその憲法の精神について意思を表明したところがあるのです。ここに、二ページくらいありますが、長いから読み上げませんけれども、ところがそれが、やはり今問題にされておる、つまり現行憲法で自衛力たる軍隊を持つことが可能であるか不可能であるか、またいいのであるか、悪いのであるかと、こういうことが憲法ができたときも判断に非常に苦しんだ、その悩みの表現がここにあるわけです。結論づけられていることは、やはり何といってもこの憲法では軍隊を持つことはできないのだということなんです。警察予備隊ができたということも、当時のマッカーサー総司令官から吉田総理に対するあの書簡がなかったらあの警察予備隊というものは私はできていなかったのじゃないかと思うのですよ。マッカーサーからああいうものを作れと、こういう書簡が当時の吉田総理に手交されて、そして七万五千の警察予備隊は出発したのですよ。今度も憲法改正すべしという意見がどっからか出ているわけだ。独立国家だとか、それから自主的にということを今のあなた方はよくおっしゃるけれども、どっかからの指図があって、そして憲法改正の要が閣内、政府の中に起ってきたと判断される資料がたくさんにあるわけだ。ですから政府自身も憲法を改正して、常々と軍隊を持てるようにしたいという心境の変化が起ったことも間違いではないであろうけれども、どっかの、やはり上からの一つの示唆が与えられて、そして憲法改正をしなければならぬということになったと、こういうふうに判断されるのですが、私はあなたに求める答弁は、今までのその政府の態度は間違っておったのだ、あいまいなこの憲法は改正して、軍隊をやはり作っていかなければいかぬのだと、そういうことを考えておるだろうと思われるのに、それを明確になさらぬから、それを明確にしてもらってからあとの質問をしたいと思います。筋は一本筋に返していきませんと、やはりあっちこっち枝葉が咲いているというとなかなか審議がはかどりませんから、筋の線に持っていきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/102
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103・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 従来、私はそのいきさつは存じませんが、吉田さんにしても鳩山総理にしても、その解釈というものを二様にいたしたということはお話の通りだと思います。現に総理は、自分は解釈を変えたというようなことをどこかの機会におっしゃっておる通りでございます。しかし私みたいな者からあの憲法の記事を読みますというと、自衛権があるということは当然なんで、あの規定によってくるわけじゃないのでございますから、それですから自衛のための兵力と申しますか、戦力と、戦力というと、またそこの戦力の言葉にいろいろ議論がございますから、なるべくそういう言葉を避けて、自衛のための力ですね、力というものを持つということは一向差しつかえないのですから、それを持つために憲法を改正する必要は私はなかろうと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/103
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104・松浦清一
○松浦清一君 それはおかしいでしょう、それならどうして改正をしたいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/104
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105・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それですが、今おっしゃった通りいろいろそこに疑義があって、世間には自衛力の行使のための力も持てないのだと、この憲法の規定から。こういう疑いもありますから、さつき提案者もるる述べたようでございますが、その疑いというものを明らかにするためにおいて条文を改正した方がよかろうと、こういうふうにおっしゃっておるのです。私もそうだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/105
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106・松浦清一
○松浦清一君 そうするというと、やはり今の憲法では自衛力としての軍隊持つということは無理があると、それを無理がないように改正をして、そして憲法で定められた方針に基いて軍隊を増強していくのだと、こういう考え方が明確にきまってきたわけですな、ざっくばらんに言うと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/106
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107・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) お言葉ですが、その無理ということですね。それもどういうことですか。つまり無理といって不合理だというのじゃないのですね。無理というお話が、違法であるとか、あるいは不当であるという意味であれば、私はそうは考えません。ただ疑いがある、この疑義を明らかにするのだと私は考えておる、世間にはそういう疑いを持っておる人がございますから、それを明らかにする、こういう必要があろうと、こういう意味で私は申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/107
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108・松浦清一
○松浦清一君 そうするとこれは第九条を改正しなければ戦力というものは持てない、——打てないことはない、自衛力としての戦力を変えぬでも持てないことはない、しかし世間にはそういう疑いがあるから人に疑われないようにすっきりした条文に直したい、こういうわけですな。そうするともしも世間に疑いがなければ、このままの憲法で、いわゆる自衛力というものは幾らくらい持ったら、日本の国というものは守れると思っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/108
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109・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それは抽象的に自衛に必要の限度と申し上げる以外にどうも具体的な数学的の数字でお示しすることは私は困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/109
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110・松浦清一
○松浦清一君 あなたに質問するのは無理かもしれませんが、先ほども申し上げましたように防衛六カ年計画ですか、陸上自衛隊制服十八万にする、それから艦艇は十二万六千トンですか、それから、飛行機は千三百機、何かその辺のところの六カ年計画をきめたということですな、これはどういうことですか。憲法第九条に非常に関連の深い問題なので、あなた答弁ができなければ次の機会に防衛庁長官にでも出てもらって、そして答えることにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/110
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111・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 今お示しになりました具体的な数字のことはちょっと私も承知いたしておりませんが、私からお答えするのは適当でないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/111
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112・松浦清一
○松浦清一君 防衛六カ年計画というのはあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/112
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113・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私の承知している限りでは政府としてそういうものをきめたことはないと思います。(「あなた知らぬのです。」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/113
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114・松浦清一
○松浦清一君 そうすると新聞等でかなり詳しくこまかい数字まで公表されているのです、あれはでたらめですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/114
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115・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) その新聞にどういう記事が出たか、私も不案内でございますが、(「総理が認めているよ。」と呼ぶ者あり)不案内でございますが、おそらく防衛庁という主管官庁では一つの試案と申しますか、一つの考えは持っておるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/115
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116・松浦清一
○松浦清一君 この防衛関係を憲法調査会審議の際に、今までの速記を見てももちろん出ておりますし、これを論議するということは何かよけいのことのように思うかもしらぬけれども、憲法改正の要点というものはやっぱり第九条に集中されておるのですな、衆目の一致するところが第九条に。第九条を改正するということは、軍隊をどれだけ持つのだ、どんな軍隊を持つのだろう、こういう疑問が起ってくるわけですね。実際問題としてそういう問題が提起されておる、そこをやっぱり解明をしていかないと、一番先に前提として私が伺った、改正する必要があるかないかということを調べるための設置ならまあまあというところ、ところが改正をしなければならぬという目的を先にきめておいて、そうして調査会を設置するのだという方向が明確になってきたのだから、その中の最も重大な点である第九条を改正するのならば、政府としても、自民党の提案者としても、一体どれくらいの軍隊を持ったらいいのかということを考えているのかということが聞きたくなりますがね、これは当然の話の経過からいってやっぱりそこにいかざるを得ぬと思う。大体その辺どう考えていられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/116
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117・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私は先ほど申し上げました通り、その限度は自衛に必要なる限度ということを抽象的に申し上げるほか仕方ない。私の考えからいえば、その自衛権の行使ということはあの九条によって——たびたび申し上げておる通り、できてくるんじゃないんですから、その点を明らかにするということによって、急に自衛力の限度が増したり減ったりするということは私は考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/117
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118・松浦清一
○松浦清一君 閣議の懇談会でだいぶその辺のところを相談したらしいですな。(笑声)そういうところで答弁するときには、自衛力を持つということは、今の憲法違反ではないということに思想統一をしてかからなければいかぬのだという打ち合せができておるらしいですね、それはまあそれでよろしいでしょう。(「いやもっとはっきり聞け」と呼ぶ者あり)よろしいけれども、真実の動きの方向というものは、やはり九条を改正して、簡単に軍隊を持てるようにしたいというこの厳然たる事実が言葉の表現の裏に隠されているということは、これは私は否定はできぬと思うんです、その事実を否定することはできないと思う。そうするとそれなら一体どれだけの軍隊を持とうとしているのかということを聞きたくなるわけです。これが私が最初にだめ押しをしたように、憲法改正の必要があるかないかということを調べるために調査会を設置するのだという、こういう態度ならば私はそこまで聞かない。ところが憲法改正の要ありという目的を決定して、そうして調査会を設置するというその憲法改正の要点は策九条だ、こういうことになってくると、簡単に法の定めによって軍隊が増強のできるような第九条の条章の改正がもくろつまれているということを考えざるを得ないので、一体その目標はどの辺かと、こういうことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/118
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119・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) だんだんと伺っておりますると、何か改正の裏に何と申しますか、一つの意図ですね、特別な意図があるということを御断定になっての上のお話のようでございますが、そんなことはございません、そういうことは全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/119
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120・松浦清一
○松浦清一君 いや、そうじゃない、そうじゃない、そんなに根性が悪い人間とは違う、わしは。とにかく九条を改正するということが、憲法改正の全体に非常に問題がありますけれども、非常に重要なウエートがこの点に置かれておることは間違いでしょう、それは肯定なさるでしょう。それを肯定なさるとすれば、一体どういう軍隊を持とうとしているのか、自衛力——自衛するにふさわしい力を持ちたいのだという、言葉ですが、そのふさわしい力とはどれくらいのものか、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/120
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121・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それはだんだんに僕は明らかになってゆくだろうと思います。この間申し上げましたけれども、最終的には予算なりあるいは法律なりの関係でこれは国会がきめるだろう、こういうことになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/121
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122・松浦清一
○松浦清一君 国会は国会で意思をきめますよ、私は政府の考えを聞いている、政府の考えを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/122
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123・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) だから政府は、さっき申し上げました通り、自衛に必要なるという限度において事をきめる、こう申し上げる以外に今申し上げようがない、こうお答えしておるんです。憲法の改正とそのこととは私は理論上の関係は少しもない、こういう見解に立っておるんでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/123
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124・松浦清一
○松浦清一君 それは吉野さん違うんだ、それは違うんですよ。だから私は一番最初に政府の態度としては、何べんも繰り返して言いますけれども、政府の態度としては、憲法調査会を設置する目的は何かとね、調査会で調査する目的は何か、現行憲法の中に改正する点があるかないかということを調べるために置くのか、それとも改正するために置くのか、こういうことをだめ押しをしたときに、あなたは最終的に改正する必要のために置くのだと言われた、そしてその改正する目的の要点というものは第九条である。第九条を改正すればどのような改正になるか、これは知りませんけれども、このままでは軍隊を持つということに無理がある、こういういろいろの世評があるので、その誤解を解くためにすっきりした条文に変えたいというのが、あなたも政府の趣旨だということを述べられた。すっきりするということは、今の自衛隊が三十万になろうと四十万になろうと差しつかえないような条文に改正されることを目的としているわけなんです。そんならその辺の度合いというのはどれくらいですかと言ったら、自衛に必要なる力とあなたはおっしゃる。日本国たるものが自衛に必要なる力というところまでいけば、その力は一体どれほどと判定されるかという質問をされれば、それはこれくらいのところがあれば日本の国は自衛できる。私も日本の国は守らなければならぬと思います。日本の国は守らなければならぬと思う。だから今の政権を担当しておるあなた方が、日本の国を守るのにどれくらいの戦力、いわゆる力を持てば守れると判断されておるかということは聞かざるを得んことだ。自衛に必要な力だけでは、それはどうも合点がいかんのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/124
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125・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 私のお答えしたいことは、先ほどお答えしたことを繰り返す以外には方法がないと思います。どうも具体的に今どれだけの一体何があったらどうかということは、これは今お話しすることはできないと思います。ただ私の申し上げたことは、憲法の九条の改正ですね。まあこれは憲法九条の改正ばかりではございますまい。必ずしも今度の調査会がここに集約するという意味ではございませんでしょう。しかし重要なる一つの問題点であることだけは私も同じように考えております。しかしそれとこの自衛力というものを増すか増さぬかということとは、私は理論的には何ら関係はないことだと、こういう見解に立っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/125
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126・松浦清一
○松浦清一君 あなたが見解をお述べにならなければ、はなはだ失礼ながら、私の見解を一つ述べさせてもらいます。
戦力というものは相対的なもので、日本が日本の国を守るために戦力を持つということが、果して国を守る戦力になるかどうかということについては非常に大きな疑問があると思うのです、私の経験を通して判断すれば……。第二次大戦の始まる、シナ事変の始まるすぐ前に日本は無敵帝国海軍と称して八八艦隊の計画をしましたですね。そうしてそのときは仮想敵国をアメリカだと言われた。アメリカを仮想敵国として日本が八八艦隊の建艦計画を立てて、非常に全体予算の大きな部分を建艦費のためにさいてそうして戦闘艦を作り始めた。三万トンの戦闘艦を作り、四万トンの航空母艦を作ってやりだした。そのときに私どもは、もしもアメリカを仮想敵国として日本が八八艦隊を計画をするのならば、こんな愚かな考え方はない。日本が一隻の三万トンの戦闘艦を作る間に、当時われわれの判断をされたアメリカの資材、建艦能力、三倍の軍艦を作り得る能力を持っておる。日本がアメリカを仮想敵国として考えてその八八艦隊の計画を遂行するということがおそらくアメリカにわからんはずはないのである。そうアメリカが判断をすれば、日本の戦闘艦一艘作る間にアメリカは三隻の戦闘艦を作り得る能力を持っておるから、いつまでたっても日本とアメリカの海軍力の差というものはだんだん隔差が大きくなるばかりで、国費を使うばかりで、わが国の対アメリカの海軍における戦闘力が増加をするというわけではない。戦力がふえるわけではない。こう私どもは判断をした。しかしその判断が時の政府のいれられるところとならずに、八八艦隊の計画がほとんど八割まで完成に近づいたときにあの戦争が勃発して、そうして御承知の通りの結果になった。吉野運輸大臣は船のこと御承知でしょうけれども、戦争が始まります前に日本には六百二十万トンの船を持っておりました。これだけあれば輸送力は十分だと考えた。補給の力は十分だと考えた。太平洋戦争が始まってからまた六百万トンの船を作りました。千二百万トンの船がほとんどアメリカの海軍兵力のために打ち沈められて、海軍はもちろんのことである、戦争が済んでふたをあけてみたらボロ船百八十万トンしか残っていなかった。
今、日本に軍隊を持たなければならぬ、戦力を持たなければならぬと考えている人たちは、これは街頭における演説で言っていることだから、ここで議論の焦点にはならぬかもしれないけれども、もしも日本に中共やソ連が侵略をしてきたら、何の力をもって日本を防衛するのだと、こう言っている。そういう演説を自由民主党の諸君がやっているのを私は聞いた。おそらく政府の立場から、日本の自衛力を増強するという人は、中共、ソ連を考慮の中にいれて、日本の戦力を増強する必要があるのだ、こういうことを、言葉を表明することはできないでしょう、できないと思います。それはもとよりです。しかしながら、やはりそういう当時アメリカを仮想敵国としての太平洋の争覇戦のために日本の海軍力を増強しようと考えたように、もしもソ連や中共がそんな手出しをしたらどうするかということが、戦力増強の判断の基礎になっていることは私は間違いないと思う。日本の戦力増強の必要を説く人たちの頭の中はそれがあると思う。ところがちょうどそのときに日本の建艦能力とアメリカの建艦能力とを比べてみて、日本国は三分の一の力もないとわれわれが判断したと同じように、もしも中共やソ連を対象として、たとえ一つの想定であったとしても、対象として日本の軍隊増強を考えているとするならば、非常に大きな間違いだと思う。私は一昨年の暮に各会派の代表の方々と一緒に中共に参りまして、そして中共の、中華人民共和国建国五周年の国慶節を見せてもらって、中国の兵隊の、軍隊の観兵式を見せてもらいました。われわれ、五十過ぎた日本人の頭の中には、日清戦争の当時に編笠をかぶって、鉄砲をかかえて走っている当時のシナの兵隊がまだ頭の中にこびりついている。ところが今の中国全体の軍隊の総兵力というものはどれだけあるかということは、これはわかりません。どれだけの機械化部隊を持っているかということは、これはわかりませんけれども、チェッコやソ連から優秀な武器がやはり中共に入ってきて、そして非常に科学的にも進歩をして、訓練も行き届いた軍隊になり上っておりますことは、これは間違いございません。六億の人間がおって、日本が三十万や四十万の軍隊を作って、それでその辺からの侵略防備ができるということを考えていると、日本が十万の自衛隊をふやすよりも、中国が五十万の兵隊を作ることの方が、人的資源からいっても、装備関係、いろいろの点からいってもたやすいのです。ソ連もしかりです。演説になりますからそれ以上いいませんけれども……。だからそういうことを考えて日本のその再軍備、戦力増強を考えているならば、(「よく聞いときなさいよ」と呼ぶ者あり)非常に大きなあやまちを犯していると思うのです。どこの国のだれが日本にやってきて、それを自衛するために軍隊が必要なんですか、それをおっしゃって下さい。(「そこが大切だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/126
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127・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) だんだんお話がございましたが、そういう意味のことは考えておりません。それはある国の軍備に対してこちらでも対抗して軍備を持つ、こういうお話であります。それだから私もさっきも戦力という言葉を使うのがいいかどうかということを申し上げたのはそこなんです。いわゆる第九条の自衛力というものは、ただ自分の頭の上に降りかかる火の粉を払うところの最小限度のものを持つ、こういうことだけなんでございます。それが今お話のように、仮想敵国と申しますか、相手の軍備を対象としてやるのだというようなことは毛頭私どもは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/127
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128・松浦清一
○松浦清一君 最後に一つだけ。あなたの言葉じりをつかまえるわけじゃございませんけれども、どうしてもあなた方は戦力と言いたがらないのだね。これはやはり閣僚懇談会の打ち合せ事項になっていると思うのだけれども、オネスト・ジョンだとか、F86ジェット戦闘機は、あれは戦力と違うのですか。これは答弁しないでもよろしい。あとでまた……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/128
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129・千葉信
○千葉信君 十二時半ですから、一つここいらで休憩してもらって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/129
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130・青木一男
○委員長(青木一男君) 暫時休憩して、一時半より再開いたします。
午後零時三十一分休憩
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午後二時四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/130
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131・青木一男
○委員長(青木一男君) 休憩前に引き続き委員会を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/131
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132・吉田法晴
○吉田法晴君 憲法関係の資料のことについて重ねてお願いをいたしますが、帝国議会の憲法を審議せられました議事録は、一部、帝国憲法改正審議録戦争放棄篇として参議院事務局において出版さられておりますが、同じく国会篇が原稿のみならずゲラ刷りになってあるわけでありますけれども、印刷するに至っておりません。至急印刷製本の上配付せられるように要望をいたします。
それからこれも希望を申し上げますけれども、憲法改正案について一九四九年東京大学の憲法研究会から案が、これはまあ雑誌でありますが出ておる。それから公法研究会から出ております法学協会雑誌、法律時報等にそれぞれ掲載されておるということでありますが、あわせてこれはタイプ程度でいいと思います。できれば御提出を願えれば幸いと存じます。希望をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/132
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133・松浦清一
○松浦清一君 午前中に私の質問に対する御答弁をいただいて、その過程を通して憲法調査会を設置するということについての自民党と政府の態度が、これを改正する必要があるから調査会を設置するという点については、自民党と政府の態度が一致しておる。それから政府の方では改正するという態度はきめておるけれども、具体的な案は持っていない、自民党の方では具体的に案を検討中である、こういうところまで来て、そうして第九条の現行規定の中でも必要限度の自衛力は持てるんだという、そういう御所見を吉野国務大臣がお述べになったので、その自衛権の限度というのはどの辺かという、こういう私の質問に対しては、具体的には御答弁にならなかった。これはまあ吉野大臣にこれ以上御質問申し上げても今の政府としてこれこれの軍隊を持つことが自衛力の必要限度であるというような答弁は得られないと思いますし、またそういうことはとうていなさらぬと思いますので、政府に対するその点についてのその部分に関する限り質問いたしません。
そこで提案者である山崎さんにお伺いをしたいんですが、まだ未定稿だとおっしゃられる、四月二十七日付で発表せられた自民党としての憲法改正についての基本的態度の中で、第九条に関連をして、自衛のため最小限度の軍備はこれを保持し得ることとする、こういうところまでの方針は御決定になった模様なんです。これは書いてある通りに理解してよろしうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/133
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134・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 先ほども申し上げましたように、わが党の憲法調査会におきまして問題点として九条を取り上げておることは事実であります。しこうしてここに掲げておりますように自衛のための最小限度の軍備を保持し得るような規定を検討する必要がある、こういう意味で問題点として掲げておるわけであります。しかし何ゆえにこれを掲げたかと申しますると、その理由は、午前にも申し上げましたように、九条二項をめぐりまして従来から国会におきましても、また学界におきましても、種々疑問がございます。非常に疑問とする方々があるわけであります。そういう点を明確にする意味において、こういうこの自衛のために最小限度の軍備を保持し得るような問題を検討したい、こういう意味でここに掲げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/134
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135・松浦清一
○松浦清一君 午前中の吉野大臣の御答弁で、必要限度の自衛力、こういう表現を使われたのですが、自民党の党としての自衛のための最小限度の軍備というのは一体どれくらいのところをお考えになっておりますか。五里霧中でございますか。それとも大体最小限度とはこれくらいの兵力だとか、これくらいのその他の装備だというような、そういう点についてはお考えがきまっておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/135
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136・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) その点は私どもの方として具体的にどういう兵力、軍の力というようなものを今検討いたしておりません。これは抽象的な表現にすぎないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/136
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137・松浦清一
○松浦清一君 そうしますと、政府においても自民党においても、憲法の中で自衛のための戦力を持ち得るという、そういうふうに第九条を改正したいということはきまっておるが、その限度については政府としても党としてもまだ考えておらん、こういうことですね。これは私は言葉を繰り返してあなた方にその質問を重ねてみても、その兵力量ということについては御答弁がないものと判断をしますからこれは聞きません。
そこで問題になるのは、今憲法の中でいろいろの議論がありまするように、軍隊というものを持つことができないではないかという強い意見があるために、今の自衛隊の諸君が一般の自衛隊以外の国民に対して遠慮がちにやっておる、こういうことですな。ところが昔の明治憲法時代の軍隊というのは一般の国民に対して、一般人とか普通人とかいうような言葉を使って、少しその軍人であることが一般人よりも優位な立場に置かれているんだという、非常に強い観念が軍の中に浸透しておったことは、これはまぎれのない事実なんです。今までの、現行の憲法の中で第九条違反だという大きな批判といいますか、世論があるがゆえに、自衛隊が一般人に対して遠慮をしておるが、憲法の中でいわゆる自衛力たる軍隊を持つことは可能である、こういうようなことを明記することによって、観念的にまた自衛隊の諸君がいわゆる一般人より優位な立場に置かれているというような観念になるおそれがある。こういうように思うのですが、もしそういうことになった場合に、それを抑制していくといいますか、そういう思い上った感情、考え方を押えていくというその手はどこで使っていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/137
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138・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 御指摘のように、憲法を改正いたしまして、自衛隊を疑問のないような、憲法上疑問のないような軍隊というふうにいたしまする場合に、それが明治憲法の時代のように、あるいは、大東亜戦争以前のように、軍隊が国民の一部でありながら一般国民よりも優位にあるといういわゆる優越感を持つといいますか、そういうことになることは厳にこれは慎まなければならぬと思います。そのどういう方法があるかという問題になりますれば、これは現在の日本が民主化された今日におきまして、そういうことはあり得ないことではあると思いますが、また一面そういうことがあってもいかんわけでありまするから、これは自衛隊の教育でありますとか、その他あらゆる方法を用いまして、そういう傾向の生じないことを厳に私どもとしては考えていかなければならぬと思います。私どもが考えておりますことは、この調査資料にも示して、掲げておりまするように、従来の軍閥の復活というようなことは、これは厳に慎しんでいくべきものであろうと確信をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/138
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139・松浦清一
○松浦清一君 言葉としてはそういう表現を使われるでしょうし、またこういう案を提案をしたあなた方の立場としては、そうおっしゃるのがあなた方の立場から言えば当然であろうと思う。ところが今から六年前に、先ほども言ったように警察予備隊ができたときに、それが今日のように二十一万の勢力になるとか、それからオネスト・ジョンがやってきたりするというような、そういうことまで想定しなかったわけですね。おそらくその時分の国会審議の議事録を調べて、私は調べておりませんから、これを明確に申し上げるわけにはいきませんけれども、その瞬間には、それができたときには、自衛力は漸増する方針であるという答弁は私はなかったように記憶をしておる。それが日がたつにつれて漸増方針をとるのであるということが明確になってきたわけです。それと同じように、今たとえば自衛力である軍隊を持つことが憲法の中で許される、肯定をする、こういうことになって、いわゆる軍人が昔のように一般人より優位にあるというような考えは持たないであろう。また持たせないようにあらゆる努力を払わなければならぬ、これは今言い得る言葉ではあるけれども、現実に今までの推移から考えて、そうなっていくであろうという公算がきわめて大きいわけです。きわめて大きいと思う。おそらくそれができてくれば今できている機密保護法なんというものはもう少し内容的に拡大強化されて、そしていわゆる自衛隊の内容というものが国民に対して秘密にされていくという傾向も強化されていくということも非常に憂慮すべき——想定なんです。一つのそうなるであろうという想定に立って議論をすることは、これは間違いであるかもしれないけれども、自衛隊に限定して今までの経過を考えてみるというと、七万五千で出発したものが二十一万になると、いうようなことは、おそらくだれもそのときは予想しなかったのである。国内におけるいろいろの事情や日本と関連のある国、諸外国ではなしに、ある国との関係等において、そして自然にそういうことが要請せられ、そしてまたそれが増強のもとになって、そしてあんなに大きくなってきた。それは今まででも大へんなことであるが、これから先も六カ年計画で、もし人員が二十七万とかなんとか言っているけれども、二十七万が三十かになったり三十五万になったり四十万になったりすることもあり得る。そうしてアメリカからMSA協定によって貸与せらるべき武器も、まだまだ進化したものがおそらく入ってくるのではないかと想像されるのです。そうすると、だんだん昔のような軍隊の態様が完備してくるに従って、自衛隊が一般人より優位な立場に置かれているという、自然にそういう心理的な推移というものが、今から考えておかないと必ずあると私は思います。ただあなたはそういうことのないようにするということをおっしゃるけれども、何かの方法で、これは具体的にどうしたらいいかということは私も思いつきませんけれども、それを考えませんと大へんなことになる。どうですか、ほかに具体的な考えありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/139
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140・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 先ほども申し述べましたように、かりに自衛隊が憲法上はっきり認められたということになりましても、明治憲法時代のような統帥権の独立というようなことも全然考えておりませんし、その自衛隊の最高指揮権は内閣総理大臣及び国会の統制下に置かれることは、私は当然だろうと思うのです。従いまして自衛隊の予算にいたしましても、編成にいたしましても、それに対して国会が最終の関与をきれることはもちろんでありますし、また自衛隊に対する監督といいますか、そういうことにつきましても国会は相当あらゆる方面で権限を持っておられることと思うわけであります。もとより自衛隊におきましても文官優位の原則が堅持されましょうし、あらゆるそういう方面の手段を講じ、また自衛隊の教育の指導方針といいますか、そういうことも明確にいたしまするならば、御心配のようなことが相当私は除去されるのじゃないかというふうに考えるわけであります。御心配のごもっともと思いまするが、あらゆる今申し上げましたような手段を講じまして、そういう御心配が実現しませんように最善の努力をすべきことは当然だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/140
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141・松浦清一
○松浦清一君 さらに山崎さんに伺いますが、今の自衛隊のあり方というものは、このままこれはりっぱなものだとお考えになっておりますか。あなたの言葉が少なければ私は具体的にこれから質問をするわけです。自衛隊のやっていることですね、今の自衛隊がやっていることは非常にりっぱなことをやっていると、こうお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/141
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142・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) まあいろいろ見方もございましょうし、御批判もあろうかと思いますが、私は現在の自衛隊法の精神にのっとって現在の自衛隊は使命を果しておるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/142
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143・松浦清一
○松浦清一君 国費の乱費の問題、汚職の問題等はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/143
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144・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私どもも詳細の具体的の問題は十分承知いたしておりませんが、そういう問題が起りますることは、まことに遺憾に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/144
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145・松浦清一
○松浦清一君 自衛隊というものの存在が憲法で認められて、その力が強大になるに従って、そういう傾向はさらに強くなると私は思いますが、あなたはそういう心配はしておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/145
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146・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私は先ほども申し上げましたように、予算の面におきましてもあるいは編成の面におきましても、国会が十分のこれに対して統制を加えられますし、また監督もできるわけでございまするから、憲法改正をしたからと申しまして、それがいろいろの問題を起すというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/146
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147・松浦清一
○松浦清一君 いやそうじゃないのですよ。憲法を改正して、自衛隊が存在するということが憲法で肯定されるということになってくれば、自衛隊の力というものは強くなるわけですね、法的根拠を持ったりっぱな戦力になっていくわけですから。権力が強くなればなるほど、そのいろいろの予算の乱費の問題、あるいは汚職の問題等が拡大されていくという心配があるが、あなたはそういう心配はなさらぬかと、こういうのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/147
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148・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私は今も申し上げますように、国会がいろいろ監督もされましょうし、各方面から監視、監督もされましょうし、これが憲法の上ではっきり認められたがゆえに、このいろいろの問題を起こすというようなことは想像ができないことじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/148
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149・松浦清一
○松浦清一君 これも国会で承認をしてきたんだから、それはやむを得ないじやないかとおっしゃられれば、それまでのことですが、御承知の通り二十九年度の防衛関係の予算は千百二十七億円、三十年度も千三百二十七億円、三十一年度は千四百七億円になってきておりますね。そうして二十九年度の千三百二十七億円が使い切れなくて二百三十四億円三十年度に持ち越されてきたこともあなた御承知の通りなんです。一般の民生安定に関する費用あるいは災害復旧に関する費用あるいは社会保障に関する費用等が削減をきれて、防衛関係費用が漸次増大しつつあるという傾向にあるのが今日の実情です。そして相当使いっぱなしに使っても、二十九年度から三十年度には二百三十四億円の金を使い残して持ち越してきておる。これはあなたも御存じの通り。あらゆる内政費の関係が相当抑制を加えられて、そして防衛関係費用が好きなだけ予算の中から天引きをされて、そしていろいろの事件を起して、そしてまた残して送り込まれる。国会が監視をしているからいいではないかと言われるけれども、今、軍備が増強されていくということを肯定し、そして憲法を改正してまで自衛隊の存在を法的に認めていこうとするあなた方の政党が過半数以上の力を持っておるわけですね。だからわれわれの党がこれは選挙で負けたんだから仕方がないじやないかと言われれば、それまでのことかもしれぬ。われわれの自衛隊対する監督権というものはなかなか行き届いていないわけです。自衛隊の監督をする主力はあなた方の党にある。自衛隊が金を使い過ぎたり、今問題になっておる中古エンジンの問題を起したり、汚職を起したりするという、その強力な監督の力というものは実質的にはあなた方の党が持っておるわけです。一体のものであると私は申し上げておりません。一体のものであるとは申しませんが、このような状態の中においてそういう予算の乱費、汚職を起きぬように国会は監視していく、そう言っても今までの経験に徴してそれができていないわけですね。何か具体的に方針を変えてこれを監督せんことには、ますます権力を強くしていくということは危険しごくだと思う。言葉の上だけでなしに、具体的にそういう予算の乱費事件等を起きないようにする方法、私は自衛隊の権力が強くなればなるほど、そういうことを起す公算が大きくなると思うのですよ。あなたはそう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/149
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150・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私は憲法改正の場合に自衛隊が認められたと申しまして、ただいまの起っておりますような弊害が非常に助長されると、この憲法改正の問題と直ちに結びつけて考える必要はないと考えるわけであります。ただ自衛隊の現在の予算の使い方でありますとか、あるいはいろいろの不正事件が何ゆえに起ったかというような問題につきましては、私——憲法調査会法案を提出しました自民党の私としまして、研究も不足でありますし、そういう点についての何らかの方策はどうだと御質問がございましても、十分の御答弁ができないこともまことに遺憾でございます。こういう問題につきましてはむしろ政府のその方面の責任者からお聞き取りになれば、明確な御答弁が得られるかもしれないが、私から詳細なことを申し上げることは非常に困難である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/150
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151・松浦清一
○松浦清一君 山崎さんにこれを聞いておるのは、自民党の憲法改正の、あなた責任を持っておられる、党内のね、その点から改正案要綱という、決定版ではないけれども、中間報告が出ておるわけです。その中で九条の第二、項を改正しようという趣旨が盛られておるわけです。そこで私は憲法で認められて、自衛隊の権力が強くなればなるほど、汚職の問題や予算乱費問題が拡大されてくるであろうと憂慮されるが、あなたはそういう心配はなさらぬかと聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/151
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152・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私はたびたび申し上げますように、憲法の改正の問題と自衛隊のこのいろいろの行き方の問題とは直接結びつけてお考えを願う必要はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/152
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153・松浦清一
○松浦清一君 言葉はくどくなりますけれども、端的にいうというと、汚職だとか予算の乱費だとかというのは権力のあるところから起るのです。権力のないところで汚職をやったり、あるいは国の予算の乱費をするというようなことはないのですよ。今のように憲法で認められておらないと判断される向きのあるその自衛隊の中においてすら、ひんぴんとしてそういう事件が起ってくるのだから、法的にこの存在を認めて、どこからもあれは憲法違反ではないかというようなことを言われないように憲法を変えて、そして自衛隊を増強していくということは、権力を強めていくことになりますね。精神的権力を強めていくことになる。そうすると、汚職や予算乱費の問題が拡大されてくるという心配を私は持つ。あなたはそんな心配をお持ちにならぬかと、こういうことです。これはこの調査会法と関係のないことはないのです。憲法と関係のないことはないのです。そういうことなのですよ。あなただけそういうことは心配ないとおっしゃられれば、それで速記に残しておいて、もしもそのようなことが起ったときに、この次にまたあなたに質問するから、好きなように御答弁をしておいて、記録に残しておいてもらえばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/153
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154・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私は今申し上げましたように、憲法を改正いたしまして、自衛隊というものが議論の余地のないような制度になったということによって、自衛隊の権力が直ちに増大するというふうには考えません。今起っておりますようないろいろの、あるいは汚職の問題でありますとか、予算の不正使用の問題でありますとか、こういうものは監督の制度を厳重にするということによって防止する以外に方法はないと思う。ただ具体的にそれでは監督を厳粛にする方法はどうかという御質問でありますれば、私としてはまだそういう成案を持っておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/154
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155・松浦清一
○松浦清一君 それでは第九条のいわゆる自衛力の問題についての質問はそこでおきますが、あとこの要綱に従いますというと、自民党の基本的態度によりますというと、国民の権利及び義務だとか、家族制度の問題だとか、いろいろここに上げておりますこれを通覧してみて、今のあなた方の党の憲法改正に関する態度として、人権と自由の上に立っておる民主主義というものが現行憲法より非常に後退を示しておるということが感ぜられるわけですが、総括的な問題としてそういうことは断じてないということをあなたはおっしゃることができるでしょうか、この今の態度の中で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/155
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156・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) お尋ねは主として国民の権利義務の問題ではないかと拝察をするわけでありますが、私どもの基本的の考え方としましては、現行憲法の基本的人権に制限を加えます、あるいは制限を加えるというような趣旨は毛頭ございません。むしろ基本的人権をますます伸ばしていきたい、こういう基本的態度をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/156
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157・松浦清一
○松浦清一君 家族制度の関係について現行憲法の規定は協同体としての家族の存在意義を否定するがごとき誤解を与えているというのは、一体どういうわけなんですか、現行憲法と比べてみてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/157
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158・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 現行憲法の二十四条でありますが、これは社会協同体としての家庭生活についての問題に触れておらぬように思います。そこで、私どもとしては、もとより旧戸主権の復活というような戸主権中心の家族制度というようなものは毛頭考えておりません。ただ外国の憲法等を見ましても、家庭生活に関する規定は実例がたくさんあるわけであります。そういう点から考えまして、この二十四条が家庭生活ということに触れていないために、家庭生活についてはこれを保護する必要はないのではないかというような考え方すら往々にしてあるように私どもは思いますので、この家庭生活を保護するというような意味の規定について検討を加えたい、むろんそういう規定を入れるか入れないか、これは非常に考究を要する問題だと思いますが、研究の問題として私どもがここに上げておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/158
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159・松浦清一
○松浦清一君 現行憲法の第二十四条に、「婚姻は、両件の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」、これが家庭協同体の基本になると私は考えるのですが、これをどうして改正する必要があるのですか。家庭協同体を作る、そういう言葉では表現されておりますけれども、やはり昔の家長制度を復活させようということがこの中にひそんでおるように思われるのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/159
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160・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私どもは今申し上げるように従来の戸主権、往時の戸主権中心の次族制度の復活ということは毛頭考えておりません。二十四条をごらんになりますると、夫婦の関係ははっきり書いてございまするけれども、その他の家族の問題については触れておらぬように私ども思います。そういう意味で家庭生活というものをもう少し検討してみて、これが保護について必要があるならば規定を設けるのがよろしいのではないか。それが結論ではもとよりございませんけれども、そういう意味でこの条文について検討を加えておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/160
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161・松浦清一
○松浦清一君 必要があればということですが、あなたの立場——憲法改正に関する党内におけるあなたの立場、あなた個人としてはどういうお考えでございましょうか。これは非常に重要な点なのです。それで答弁としては今あなたのおっしゃるような答弁をされれば非常に無難ですけれども、答弁としてはですね。しかし、ものの真相を究明していくのには、そのときに上手に言い回してするすると逃げたらいいということではないわけです。これは家族制度と民主主義の根本的な非常に原則問題ですから、それが究明されてきて、そうしてどうせあなたの方では調査会ができれば改正案というものを結論をつけて調査会に持ち込まれるに違いないんだ。先ほどからおっしゃっておられるように、あなたが持ち込まれるか、自民党側から出られる、国会議員から選ばれた三十名のどなたが持っていかれるか知りませんけれども、とにかくあなたがたの方から改正案を持ち込まれるということは、これは想像ではなくてほとんど確定的な問題として考えているわけです。そこで調査会設置に賛成するか反対するかという私どもの態度をきめる前に、その辺のところが筋を立てて明確になることを私は要望するから、非常に上手な答弁でけっこうですが、それでするすると逃げて歩いたらおしまいだというのでは、これは問題の本質を掘り下げた究明にはならぬのです。そこで私はあなたに、自民党として憲法改正の責任を持っておられるあなたの気持はどの辺にあるのかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/161
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162・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 事憲法に関する問題でございますから、私もきわめて真剣に御答弁を申し上げておるつもりであります。ただいまの家族制度の問題につきましても、現在の段階におきましては、わが自由民主党の調査会におきましては、この参考資料に差し上げてございますように、家族制度の「要否」について検討を加えておる段階でございます。自由党時代の結論が往々にして旧家族制度の復活ではないかという誤解を受けた点は、表現の点において多少私はなきにしもあらずと思うのです。私どもは自由党のあの結論については別にこだわっておりません。むしろ新たな観点に立って、家庭生活の保護ということが、必要があるかどうかということを検討したのが、現在の段階でございます。この調査会におきましても、いろいろ誤解も生ずるから、そういう規定は要らんじゃないか、こういう説もございます。しかし結論として、それじゃ家族制度という問題には触れないかということにもなっておりません。現在の段階は、ほんとうにその家庭生活の保護という規定を設けるか設けんかという要否を検討しておるのが実際でございます。決して私はこの場限りの答弁を申し上げておるつもりではございません。実際のところを申し上げているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/162
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163・松浦清一
○松浦清一君 吉野国務大臣に伺いますが、今までのこれは時間の関係もありますから、全面的に自民党の基本的態度について、私は究明するということは許されませんが、とにもかくにも今まで審議をしてきておる自民党の憲法改正に関する態度の、今までに大体きまっておる態度ですね、それを政府の憲法担任の吉野国務大臣としては、おそらくごらんになって研究をしておられると思いますけれども、まず自民党を離れて、あなたの態度としてはどうですか。こういうことで調べていくのが、これは当りまえだと思っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/163
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164・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それは私個人の意見をお尋ねでございましょうか、それとも政府を代表しての私に対するお尋ねでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/164
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165・松浦清一
○松浦清一君 あなたは先ほども言っておられるが、そこに出、そこにすわっておられるのは、速記でもとめて、非公式に話をするならば別であるが、記録に残しながら質疑応答を続ける過程ですから、あなたは憲法担任の国務大臣たる以外のあなたはないのです。政府の立場から御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/165
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166・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 政府といたしましては、午前中にも申し上げました通り、具体的の憲法改正というものの点については、何らのまだ結論を持っておりませんから、全然白紙でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/166
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167・松浦清一
○松浦清一君 それは午前中に聞いてわかっておるのです。政府としての憲法改正の具体案を持ってないということは、それは持ってなければ仕方がないと私は思っておるのです。ですから今聞いているのは、自民党の憲法調査会で、その山崎さんが主任になってやっておられるこの経過は、あなたも聞いておられるだろうと思う。だから政府としては、自民党が勝手にやっておるのだから、どういう方向にこの改正の焦点が向いていこうと勝手だと思っておられるのか、支持する立場をとっておられるかということなんです。全然知らん顔をしておられるのか、知ってて大体この方向にいくのならよかろうと考えておられるのかと、こういうことです。そこでそういうことを閣議で相談をしてきめたことがないからと、あなたはおっしゃるかもしらんが、閣議できめたこと以外は、大臣としては答えられないことはないのですから、憲法担任の大臣としてのお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/167
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168・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それですから午前中にも、閣議できめた云々のことは取り消しておりますから、ただ政府としてただいまお話のありましたことは、これは自民党の問題点であるということは承知しておりますけれども、これに対して、これでいいとか悪いとか、あるいはこれにどういう指示を与えるということは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/168
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169・松浦清一
○松浦清一君 これはおそらく考えまするのに、自由民主党と政府とはこれは別だけれども、自由民主党という政党が現在の政権を担当しているわけだ。そうして各大臣は自由民主党の人なんだ。それだから機関としては別であるけれども、内容的には一体のものであると解さざるを得んのです。そこで自由民主党の中でこれは研究している最中の態度であろうけれども、これがまとまり、憲法調査会が発足すれば、その中に持ち込まれることは、これはもう明らかな事実である。予測でなくて、そういう経路をたどるであろうことは間違いがない。ですから自由民主党としてのこういう考えで憲法を改正するのだという態度が、憲法調査会の中に持ち込まれるとするならば、非常にわれわれの立場としては、まだまだ研究をしなければならん点があるから、くどくどと山崎さんに時間をわずらわしてお尋ねをしているわけです。
で、最後に私は吉野さんに聞いておきたいのですが、今は案を持っておらないとおっしゃるが、調査会が設置されれば、政府は先ほど速記録を読まれたように、政府として案を持つのだと、鳩山総理は言っておられるのでありまして、政府として案を作るつもりですか、それとも自由民主党の中でできた案を調査会で審議すればいいとおっしゃるお考えでありますか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/169
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170・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 先ほどの総理のお話も、要するに憲法調査会が答申があってから上の、その答申に基いて案作るのだろうと、こういう意味だろうと、こういうふうにまあ私は考えております。(「違いますね」と呼ぶ者あり)私は了承いたしております。とにかく政府といたしましては、調査会ができましても、調査会と離れて独自な案を作るというような考え方は持っておりません。全部が調査会というもので、御検討願って、その結論を得た上に、これをどうするかということは、そのときの政府がこれは考えなければならん、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/170
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171・松浦清一
○松浦清一君 それはあれですね、水かけ論みたいでございますけれども、先ほど速記録を私が読み上げましたように、あなた方の方ではですよ、鳩山総理が政府として原案をもって臨むのだということを表明しているのは、それは調査会から答申をされた案をもって国民に臨むのだというふうに、あなたの方は解釈したいだろうと思う。しかし速記録に残っている文字の上からだけ解釈すれば、調査会に持ち込む原案を政府は持つべきだというふうに理解されるように、速記録に残っているわけです。速記が残っているわけです。それで憲法調査会で賛成するかしないかという判断の基礎になるのは、その調査会に政府が案を持ちこむのか持ち込まんのかということも判断の一つの基礎になる。自由民主党の中から持ち込まれるだろうということは、これは確定的です。ですから先ほどから自由民主党の中で研究しつつある改正要点、その要点に対して政府はどう考えておられるかということを、私が聞いているのもそれなんです。自由民主党の中にできた改正案を、これを政府の案と言わずに、自由民主党の中から持ち込まれた案だとして、黙ってそれを肯定しながら、調査会に対する原案としてこれが提出されるというようなことになれば、調査会ができれば自由民主党の改正案が私は原案になって審議される、しかも国会議員から選ばれる三十名の中に、どういう各会派の割当でお選びになるつもりかそれは知りませんが、とにかく二十名の委員を選ぶということは、これは内閣総理大臣の御都合によって選ぶことができるわけですね。そうすると与党的な、政府的な調査会になることもこれは明らかです。そうすれば、たとえば政府が原案を持たないとしても、自由民主党から持ち込まれた案がその調査会の答申案となって、大体それを骨子としたものが出てくるであろうということは想像にかたくないわけです。そこで自由民主党の改正に対する基本的態度についてくどくどと私ども質問しているのは、この調査会に最後に賛成するか反対するかの態度をきめる上に非常に重要な要素になるからくどく私は聞いておるわけです。そこで、今まであなた方の答弁から総合して結論づけられるものは、政府としては原案を出さぬ、政府としては原案を出さぬ、自由民主党は、自由民主党の中から選ばれる国会議員の中から選ばれる委員を通して、これを原案として調査会に出す、こう判断してよろしゅうございますか。先ほど山崎さんの午前中の答弁の中で、自由民主党としては出さぬかもしれぬけれども、自由民主党から出ていく調査会の委員たる国会議員の人が出す公算はある、出すかもしれない、こうおっしゃった。ですから、あなたの方できめられた改正案が、あなたのほうから出た委員によって調査会に持ち込まれる、こういうふうに判断をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/171
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172・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 先ほども申し上げましたように、憲法調査会が内閣にできました際に、わが党で研究しました研究の意見を参考の資料としてこの調査会に出すことは私は当然あり得ると思うのです。ただ、それは参考意見でありまして、それを取るか取らぬかということは調査会自体の自主的の研究の結果に待つことは、これまた当然であろうと思います。私どもの意見が直ちに原案になる、こういうものではないことは、これまた私はきわめて明瞭であろうと思います。十分の御検討を独自の見解においてなされる場合の一種の参考資料である、こういうふうに申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/172
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173・松浦清一
○松浦清一君 それはその通りです、あなたが今まで言ってきたのは。それはそういう出し方をされるでしょう。それは間違いない。前言と少しも変った答弁ではない。その通りです。あなたが先ほどから言っておりまする通りに、民間から選ばれる二十名の委員は内閣総理大臣がお選びになる。国会議員から出る三十名のその大きな部分の勢力はやはり与党的立場をとる人から選ばれるものと、今の議席数から判断をして考えなければならぬ。そうすると、自由民主党からだれかが持って出られたあなた方の改正案が大きなウエートを持って原案的価値として俎上に上ってくる。審議の俎上に上ってくるのだ、こういう工合に判断をしてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/173
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174・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私どもの党でやっておりますのは、先ほども申し上げましたように、党の政策として憲法改正ということを出しております。従いまして、その線に向って検討を進めておるわけでございます。しかしながら、内閣の調査会は、先ほどからだんだん御議論がございましたように、憲法改正の要否、並びに改正の必要ありとするならばどういう部分を改正するかということを御検討を願うわけであります。しかも、その調査会には、わが党の調査会と違いまして、おそらく私は現在の憲法に改正を加えることに反対の方も御参加を願えるものと思っております。そういう御意見も十分この調査会で御検討を願いまして、そうして適当な、この重大な憲法の問題でございますから、妥当にしてかつ適当な結論を得られることがこの調査会の使命であろうと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/174
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175・松浦清一
○松浦清一君 言葉じりをつかまえてどうこうと言うわけではないのですけれども、今までその確認をされてきたのとちょっと違うようなことを今あなたおっしゃられたのですが、憲法調査会を設置するということは、自由民主党も政府も憲法改正の要ありと認めて設置するのだということは先ほどの質疑応答で明確になったのですよ。ご前中明確になったのですよ。今あなたは、憲法改正の必要があるかないかということを調査会は独自の立場において調べるのだというような表現をされたが、その辺のことは非常に大事なことなのですから、前言をひっくり返さないようにしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/175
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176・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私はこの委員会でたびたび申し上げたことでございまして、決して前言を翻すつもりはございません。先ほどの御議論は、私はこういうふうに了解いたしております。私が申し上げることもまたその通りでございまして、わが党としましては、憲法改正の必要があるという観点から、党内の調査会で検討を進めております。しかしながら、また政府も憲法改正の必要ありということは先ほどだんだん御議論のありましたように、鳩山総理も何回かの機会に申されております。また吉野国務大臣もそれを認められております。しかしながら、今度できまする調査会は、政府がどう考えておろうと、あるいはまた自由民主党がどう考えておりましょうと、それは別でございまして、憲法改正の要否、並びに改正の要ありとするならば、いかなる点を検討するかということがこの調査会の使命だと考えておりまするし、また、そのことは私はたびたび繰り返し繰り返し当委員会でも申し上げたつもりであります。今日午前の御質問に対しましても、その点のことを申し上げたつもりでございます。もしも、私の申し上げ方が足りなかったために誤解がございますれば、ただいま申し上げますのが私のたびたび申し上げてきた言明でございますから、そういうふうに御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/176
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177・松浦清一
○松浦清一君 最後にちょっとだめを押しておきたい。それは、憲法調査会というものができれば、憲法調査会という一つの性格ができるんですよ、調査会そのものの。だから、その調査会そのものの性格を今からどうこうというのはまだ早い。今はできるかできぬかわからぬのだから早いですよ。だから、調査会を作ろうという自民党の目的、政府の目的というのは何であるかということが問題になった、午前中。調査会を作りたいという目的は一体何であるか、こういうことが問題になった。それを私何度もだめ押しをした。自民党としては、憲法改正の要ありと認めて調査会の設置の提案をしておるという態度をあなたは表明された。政府も憲法改正の要ありと考えて、前からの鳩山総理または清瀬文部大臣の発言を肯定をされた、吉野さんはですね。そういうことなんです。それは間違いないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/177
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178・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私は午前中もはっきり申し上げたつもりでありますが、憲法の問題はきわめて重要な問題であります。従いまして、わが党としましては、改正という方向に今検討を進めておりますけれども、これは一党一派でそういう結論を出して押しつけるべきものでない。従って、もう少し広く各界の代表的な学識経験者も加えまして、国会議員もまた加わって、そうして、反対意見、賛成風見を十分そこで戦わしまして、その上で結論を得たい。そういう場合には、もとよりこの内閣にできます調査会としましては、憲法改正の要否並びに改正の必要ありとするならばいかなる点を改正するか、こういうことを御検討願いたい。これは私午前中の言明と何ら食い違いはないと確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/178
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179・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 きわめて簡単に二、三点伺いたい。第一は、憲法調査会の性格の問題であります。今もいろいろ質疑応答があったわけであります。この調査会法案は、国家行政組織法に関連する法制である。従って、憲法調査会なるものは、純然たる行政機関、こういうふうに当然考えられるわけですけれども、そう考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/179
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180・林修三
○政府委員(林修三君) 提案の立場でない私の方からお答えするのはまあ筋違いかもわかりませんが、この法案を拝見いたしましたことから申せば、国家行政組織法は内閣のもとにおける総理府及び各省の行政組織について実は基本組織をきめた法律でございます、この法律は。この新しい憲法調査会は、この法案の中にもございます通りに内閣におくことになっておるわけでございます。いわゆる内閣そのものの一つの機関としておきたい、こういうことでございます。国家行政組織法の適用はその意味においてはないものとかように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/180
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181・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 もちろん国家行政組織法の適用をすぐ受けるわけじゃありませんけれども、行政機関としてこの法律によってでき上る、こういうふうに解釈せざるを得ない。従ってこの憲法調査会は総理大臣の管理のもとにおかれるわけです。総理大臣はこの調査会を監督するということは当然の責任であり当然の権能、こういうふうに理解されるのですけれども、それでいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/181
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182・林修三
○政府委員(林修三君) これが内閣のもとにおかれる一つの機関であることはおっしゃる通りだと思います。行政機関という言葉でございますが、行政機関といえるかどうか問題になりますが、いわゆる普通の行政官庁的な機関でないとはこれは明らかでありまして、この法案に書いてありますような使命を持ついわゆる独自の立場でこの憲法の改正の要否、あるいは改正する要ありとすればその問題点を独自の立場で審査する一種の審査的な機関だ、こういうものを行政府におかれる機関だといわれればあるいは行政機関かもしれませんが、普通の行政機関とは非常に性格が違うと思うのです。そういう性格から申しまして、内閣にございましても内閣総理大臣が普通の行政機関を監督し、管理するような立場でこれを管理し、監督するような制度のものではない。つまりそういう審査的な機関でございますから、独自の立場でこの機関は審査をし、審議をし、答申を出す、それに対して総理大臣が一々どうしろこうしろというようなことは言うべき筋合いのものでない機関である、このよりに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/182
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183・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 いわゆる普通の行政機関とその職能が違うことはこれはもう常識的にはっきりしておる。がしかしながら総理によって任命される委員はやはりこれは公務員なんです。この法律によってその身分というもの及び職分ですか、これが生れる、今お話のしかもこれは総理の管理下にあるということは条文にある。ところでこの会が独自にその機能を果し、総理はその機能に対して何ら関与しないのだということを説明されておるのでありますけれども、そういうことはどこにもないのであります。一体それはどこから出てくるかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/183
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184・林修三
○政府委員(林修三君) もちろんこの調査会の委員は特別職の公務員ということになっておりますけれども、こういう性質の調査会、これは調査会の所掌事務はこの法案の第二条にもあります通り、憲法についての検討を加え、これについて報告をするということになっておるわけであります。そういう職能から申しまして、そういう権限から申しまして、普通の意味の行政機関のように総理大臣が一々管理をし、監督をすべき性質のものでないことはこれは明らかだと思います。こういう機関でなくても、かりにいわゆる諮問機関と称せられるもの、かりに総理大臣から諮問を受けるものでございましても、ああいう諮問機関は御承知だと思いますが、普通の行政機関とは違いまして、あるいけ任命権はあるかもしれませんけれども、そういうことがありましょうけれども、一々の議事の運営について総理大臣なりその所管大臣が指揮すべきものではないと思います。これはそういう機関の性質上当然そういうことが出てくるものとわれわれは解釈しておるのであります。これはまたこういう諮問機関というような性質のものでもありませんし、諮問に応じて働くわけのものでもないわけでありまして、そういう意味から申しまして、ますます独立的な性質の強いものであります。この議事の運営について指揮し監督するというものではない、これは機関の性格から出てくるものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/184
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185・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 一般の行政機関の機能と違う点は当然であります。普通こういう種類の調査会はほかにも例はあると思います。しかしおおむね諮問機関であって、政府がそれに対して諮問をして答申を取る、その諮問を受ける機関はそれはその独自の考え方によって政府に対して答申をすればいい。ところがこの憲法調査会は諮問機関ではない、内閣における一つの行政機関として存在しておる、総理の管理下に置かれておるのであります。しかもこの職能といいますか、目的といいますか、機能が、この二条を見ますると、憲法の検討、関係諸問題と、きわめてこれは広範な問題であります。これをどういうふうにつかまえ、どういうふうに調査をしてゆくかというようなことは、これはやはりこの調査会を管理をしておる責任者である総理大臣がやはり当然の責任として指揮監督するというふうに考えることもこれは一つの考え方である。こういう調査会だから、当然こういう調査をする機関であるからそれは独自であるんだ、それは当然なんだというふうには簡単に割り切り得ないような実は私疑問を持つのであります。その点もう一度一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/185
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186・林修三
○政府委員(林修三君) これは行政府に置かれる機関でもいろいろの性格のものがございまして、普通の行政官庁的なものもございますれば、あるいは諮問機関的にある行政庁の諮問を受けてそれに培いてある事項を調査、審議し意見を出すという機関もございます。それからもう少し進んでこの調査会のように具体的な諮問を受けないでも、法律の規定に従ってある事項について調査、審議をいたしましてその結論を出して、意見を出す、こういう機関もあるわけでございまして、この憲法調査会は性格的に申せば、具体的な諮問はございませんけれども、つまり今梶原先生のおっしゃいました諮問機関の性格に似通ったものだと思うのであります。具体的な諮問はございませんけれども、いわゆる審議機関と申しますか、あるいは普通の行政官庁ではないわけでありますし、これは性格上当然それを所管する大臣の指揮監督を受けるべき性格のものではないと思うわけでありまして、これは昔の官制などで申せば、何々大臣の監督に属すとか、何々大臣の所轄に属すというような表現で置かれるものでありまして、つまり具体的な指揮監督はできない、審査的な機関であるという以上は当然に独立的な審査と答申をすべき機関である、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/186
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187・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 同種の例が他にあるというお話でございますが、どういうものがございましょうか、私ちょっと見当らないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/187
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188・林修三
○政府委員(林修三君) 具体的ないわゆる普通のやつは諮問機関といわれておりますが、ああいう諮問機関でももちろん具体的な諮問に応じて活動をするのみでなくて、みずから調査して建議をする権能を与えられておるものも多いわけでございます。この調査会は具体的な諮問を待たずして法律によってそういうような一定の事項を調査し審議する権限を与えられた、こういうものだと思うわけであります。性格からいえば審査的な、審議的な機関でありまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/188
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189・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 その例はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/189
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190・林修三
○政府委員(林修三君) こういうふうに諮問をしないで法律で直接与えたものは比較的少いと思いますが、社会保障制度調査会、あれはたしか具体的な諮問——私ここに今ちょっと条文を持っておりませんが、社会保障制度に関しての意見を出し得ることになっております。あるいはあれは第一回に包括的な諮問をやったかもしれませんけれども、実際は今の運営は独自の立場で、今年はこういうことについて調査をする、ことしはこういうことについて調査をするというふうにしてやっております。ほとんど独立的にやっていると考えております。(「それはほんとうか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/190
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191・千葉信
○千葉信君 関連して。どうも林さんの答弁ではすっきりしないんです。今の御答弁で了承したいが、この調査会が国家行政組織法に基く諮問的な委員会ではない、行政機関ではない、もちろんこれは第三条に基く委員会でないとすれば、一体第八条に基く諮問的な、もしくは調査的な委員会か、それでもない。もっともこの第八条によって設けられる調査会であるとすれば、政府の方から出ている今度の国家行政組織法一部改正法律案によると、この第八条のあとの方に、臨時的なものについては、これは法律によらないで政令で設けるということになっておりますから、それに該当するものだとすれば、ここで目の色を変えて審議をしてみても始まらない。もしもこの法律案が不成立に終っても、政府はその場合には新しい国家行政組織法の改正法によって設置することができるということになりますから、これは問題でない。しかしそれでもない、内閣に置かれる——内閣に置かれるその内閣法の根拠となるところは一体どこですか、十二条でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/191
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192・林修三
○政府委員(林修三君) これが国家行政組織法に基くものでないことは、これは御了解だと思うわけでありまして、総理府に置かれるものではありませんで、内閣に置かれるもので、ある意味において国家行政組織法の適用はないわけでございます。性格的に申せば、いわゆる調査的、審査的な機関でございまして、いわゆる普通の国家行政組織法の三条で規定するような今の行政機関でない、調査的な、審議的な機関である、こういうことはいえると思うわけであります。しからば内閣法のどの規定に従って置くのかというお話でありますが、これは実は法律対法律の関係でございまして、内閣に置く機関は、内閣法に根拠がなければ置けないというわけでも、それはないと思うわけでございまして、御承知のように内閣に現在置かれております機関は、内閣法に基いて内閣官房がございまして、そのほかに内閣の法制局がございます。それからただいま外国為替及び外国貿易管理法に基いて閣僚審議会というものが働かれているわけでございます。こういう官房以外の法制局あるいは閣僚審議会というものは、これはいわゆる十二条に基く機関かどうかということになるわけでございますが、これは、十二条は御承知のように「内閣の事務を助けしめることができる」、そのために機関を置けるというふうに書いてあるわけでございます。そういう意味から申しまして、これを十二条に基く機関だと言い切る必要はないんじゃないか。つまり独立の法律に基いて一つの機関を内閣に置くということは、その必要性があれば私は置けるものじゃないかと思うわけであります。内閣法十二条に必ずしも基いたものと、そう言い切る必要はないのじゃないかと私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/192
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193・千葉信
○千葉信君 ますますもっておかしいですね、いいですか、あなたは今十二条にも基くものではない、こう言われた。そうすると、内閣法のどこに一体こういう珍妙な機関を置くことができるという根拠があるんですか。ないことになるじゃありませんか。しいて求めれば、今あなたの引用された十二条です。そうしてその十二条というのは、内閣には内閣官房を置くことができる、これは閣議事項の整理とか、その他内閣の庶務をやる。「前項の外、内閣官房は、政令の定めるところにより、内閣の事務を助ける。内閣官房の外、内閣に、別に法律の定めるところにより、必要な機関を置き、内閣の事務を助けしめることができる」、あなた方もそうだ、われわれもそうだ、少くとも憲法の内容について論議をしたり、調査をしたりするということが、内閣の事務でないということははっきりしている。行政機関の事務でないことははっきりしておる、これによって設けたということになればますます不当だ。ところがこれにもない、これにも該当しない、どこに根拠があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/193
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194・林修三
○政府委員(林修三君) これは、内閣法が予想しておりますのは、今おっしゃいました通りに、内閣の事務を助けさせるために、法律の定めるところによって、官房以外の機関を置くことができると書いてあるわけでございまして、これは現在のわれわれのおります法制局がこれに当るかどうかについても、いろいろ議論のあるところでございますが、しかし内閣法は必ずしも特別の必要性に基きまして、内閣にある機関を置くことを私は否定したものとは考えられません。従いまして現在防衛庁設置法に書いてございますあるいは国防会議、あるいはこの憲法調査会等々の機関も置くことは、(「何で設けるか」と呼ぶ者あり)法律をもってすれば私は置けるものだ、かように考えておりまして、それが内閣に置くことが適当かどうかという問題はございますけれども、内閣に置くことは法律をもってすれば私は置けるものだ、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/194
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195・千葉信
○千葉信君 あなたは今国防会議を例に引かれました。国防会議は防衛庁設置法の四十三条ですか、あれに基いて内閣に置く、しかも内閣に置く場合は、これははっきり内閣法にも——防衛に関する事務、あれは行政事務です、そうでしょう。憲法の問題を調査審議するということが事務ですか、そんなことはない。そうすると、あれを例に引くということは私は当を得ないと思うのです。
そこで梶原君の質問に対してお答えになったように、これは国家行政組織法に基くものではない、一体それじゃ内閣法に基くものかというと、それにも関係の条文はない、根拠条章がない、しかしそんなものはなくとも内閣に置ける、——あなたは法制局の長官としてそんな暴論を吐いちゃいけませんよ。国の行政組織もちゃんと根拠法があって、それに基いてこういうふうに設けるのだという基準が規定されておる。国民もそれで了承しておる、われわれもそれで了承しておる。それに基くものでない、内閣に置く機関等について、内閣法のどこにもない珍妙なものを置く、そういうものを設置するということが許されるかどうか。結局あなた方は、内閣なんかに置くべきでないこういう機関を、しかも合法的にやるためには、内閣法のどこかを直さなければならぬ。直しもしないで、置こうと思えば置けるはずだ——そんな答弁がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/195
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196・林修三
○政府委員(林修三君) これは何回も実はお答えいたすわけでございますが、内閣法は、内閣官房以外に、内閣法十二条四項の機関しか置いてならないということはないわけでございます。内閣の事務を助けさせるために、内閣官房のほかに、法律の定めるところによって、機関を置くことができると書いてあるわけでありますが、そういう内閣の事務を助けさせる機関以外にある種の機関を設ける必要がある、そういう場合は、それを内閣に置くのが適当か、総理府あるいは各省に置くのが適当かという議論もございましょうけれども、事柄の性質上内閣に置くことが適当な機関を法律に基いて内閣に置くことができる、かように考えておるわけでございます。これはそういう機関を内閣に置くことが適当と認められる以上は、私は内閣に、法律をもってすれば置くことができる、かように考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/196
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197・千葉信
○千葉信君 答弁が少し変ってきた、十二条に該当するものじゃない、しかし置こうと思えば置くことができるとさっきはそう言って、問い詰められたら今度は、その条文をうまい工合にちょろまかして、必要な機関を置く、そのほかに内閣の事務を助けさせることができると、あなたはこういうふうにここで切り離している。あなたもそこに法律を持っているでしょう。よく読んでごらんなさい、「別に法律の定めるところにより」からあとは「必要な機関を置き、内閣の事務を助けしめることができる」というのがこの条文じゃありませんか。これを切り離して、必要な機関と別で、内閣を助けるという条件はこれまた別だ——あなたそんな答弁ありますか、あなたは法律の専門家じゃないか、われわれ常識で全然納得のできないようなそんな法律の解釈があるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/197
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198・林修三
○政府委員(林修三君) 先ほどから何回もお答えしておるわけでありますが、内閣法の十二条は結局この内閣官房のほかに、内閣の事務を助けさせるために法律の定めるところによって必要な機関を置けると書いてある。またそれにとどまるわけであります。必ずしもいわゆる内閣官房的な、あるいは内閣官房に準ずるような、内閣の事務を助ける、そういう性質を必ずしも強く持っておらない機関を内閣に設ける、これは法律をもってすれば私は設けられると思っております。十二条は必ずしもそういう機関を設けてはいけないということはどこにもない。また内閣法全体の精神から申しましても、どこからも出てこないと思います。法律をもってすれば内閣に適当な機関を貫ける、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/198
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199・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 ともかくもこの調査会が諮問機関ではなくて、行政機関であることは私は明からだと思う。従ってこの機関が独自で調査をし、独自でこういうものを出す。何ら管理大臣である総理大臣の指揮監督を受けないということも、これは内閣の方針としては総理大臣がそういう方針をとれば、それは私は可能であろうと思う。この制度自体から必然的に根拠があって、そういうものがあっても、それをはねつけるというふうな性格のものであれば、やはりその根拠がなくちゃならんと思う。独自にやらすか、適当な一つ指揮監督をしていくかということは、これは私は内閣なり総理大臣の方針によるんじゃなかろうか。こう思うのですけれども間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/199
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200・林修三
○政府委員(林修三君) 今梶原先生のお話でございまして、いわゆる諮問的な機関であれば、性格上当然これは独自で意見を作って答申をすべきである、こうおっしゃったわけであります。私は性格から申せば、普通の意味の行政事務をやる行政機関ではなくて、具体的な諮問はございませんけれども、むしろそういう今おっしゃいました諮問的機関に似通った方の性格だと私は思うわけであります。これはいわゆる、先ほどちょっと例に引きました社会保障制度審議会でございますか、これもこの法律から申せば、みずから実は社会保障制度に関して審議をして政府に意見を述べるということになっております。これもそういう意味においては諮問機関ではございませんけれども、ごく広い意味で申せば諮問的な機関でございます。いわゆる普通の意味の行政機関ではないという意味においては、具体的な諮問はございませんけれども、つまりある事項についてみずから行政事務をやるんじゃなくて意見を出す、意見を出して総理大臣なり内閣に出す。そういう性格においては諮問的と申しますか、そっちの方に近い性質を持っております。憲法調査会もそういう意味でございまして、具体的な諮問はございませんが、この第二条から申しましてこういう案件につきまして調査検討をした上内閣に報告をする、あるいは内閣を通じて国会に報告するということになります。みずから一定の行政責任をもって行政事務を運営するという性格のものじゃないと思います。これは二条から当然出てくると私は思うわけであります。そういう意味からそういう性格の機関はこれは性格上当然その所管大臣は一々のことについて指揮権を持ち、あるいは監督権を持つということは、これは私は性格上当然出てこないものだ、かように考えます。これは所轄のもとにとかということを書けば、あるいはそういうことがなおはっきりするかもしれませんけれども、所轄のもとにということを書かなくても、私は性格上当然そういうものだ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/200
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201・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 私はその点は相当疑問に思うのであります。ことに私が疑問にする理由は、ここに国会議員が入るのだ。諮問機関であれば、確とした諮問機関であればこれは何ら問題はない。しかしながら一つの行政機関として総理の管理も、指揮監督も私は可能だと思われるのであります。そういう性格の機関に国会議員が参加するということ、これは立法、行政の間の混淆を招来する心配もないわけでもないのです。従ってできる限りこの調査会の性格は明確にすることが必要じゃないかと思ったからであります。
次に、この調査会がリポートを作る。そのリポートに対してはそれでは政府として、あるいは総理大臣としては、何らそのリポートには責任を持たない。それともこれはやはり政府の重要なる機関であって、そのリポートに対しては政府なり総理としては当然責任を持つのか、その点を一つお答えを願いたいと思います。どなたからでもけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/201
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202・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 政府としてはその提出されました報告を、これを尊重する私は政治的の責任はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/202
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203・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そうすると普通の諮問機関と同じような性格と、こう考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/203
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204・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) それでよろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/204
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205・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そうすると、きわめて重大なる事柄をこの調査会は審議をし、調査をし、リポートを出すのであります。しかしながらそれに対しては政府は尊重する政治上の責任は、これはもちろんありましょうけれども、何らこれに対して拘束を受けない。従って憲法に対する改正をどうするかとか、あるいは改正の具体案をどうこうするという、別途にまた政府として一つの案を立てる、こういうことになるわけかどうか、その点を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/205
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206・吉野信次
○国務大臣(吉野信次君) 法律的に言えば、そういうことにほかならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/206
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207・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 次に、私は憲法改正に関連して簡単に承わりたい。
憲法の制定なり改正で非常に重要な問題は、私は時期の問題であると思う。時の問題であると思う。単に理念的な検討なり、あるいは机上の検討で改正が必要だという結論が出ても、直ちにそれで憲法の改正なり制定が志向されるとは思われない。やはり憲法の改正というふうな重要な事柄が行われるためには、それをほんとうに必要とする条件の存在ですね。いろいろの条件の存在、あるいはその条件の成熟というふうなものが当然必要であり、前提をするであろうと思う。この時期の問題について提案者の山崎さんはどういうふうな考え方を持っておられるか、それを一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/207
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208・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 梶原さんの御指摘のように、憲法の問題はきわめて重大な問題でございます。従いましてかりに調査会におきまして、何らかの結論が出たとしましても、これを実行に移す時期につきましては、あらゆる方面から十分の検討を加えまして、先ほどだんだん御質問にもありましたように、国論が非常に二分して、憲法論をめぐって遺憾な状態になるというようなことは、私どもは絶対に避けなければならぬ。従いましてこの時期がいつになるかという問題につきましては、私どもとしまして率直に申し上げまして見通しは持っておりません。この調査会が熱心に研究されて、結果が出ましてもその時期につきましてはまたあらためて十分の検討を要することと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/208
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209・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 非常に重要な問題でありますけれども、今日この憲法調査会が、この法案がかりに通れば、実施される、どの程度この調査会が機能を果す上において時間がかかるか、これはわかりませんけれども、提案者としてはやはり憲法改正の実施を期待して提案されたのであろうと私は思うのであります。そうすれば、ここで結論が出れば、また政府自体が独自の案を出されるかどうか知りませんけれども、実施の段階に引き続いていくというふうに考えて——考えることはむしろ必然のように思われるのですが、調査は調査だ、あとはまたそのとき考えるということではちょっとふに落ちない実は感じがするのでありますが、その点もう一度一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/209
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210・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 私どもの党としましては、政策として憲法改正の問題を打ち出しておりますので、これは改正の方向に向うことを希望するわけであります。しかしながら今回できまする内閣の憲法調査会は、先ほどからだんだん御議論のございましたように、憲法改正の要否並びに改正の必要ありとするならば、どういう点を検討するかという使命を持っているわけであります。従いまして結論を出しますまでにも相当の私は時日を要するものと思います。かりに改正の必要ありとして結論が出ましても、これを実施に移す段階になりました場合に、あらゆる客観情勢というものを十分検討して、これが実施に移すべきものだと考えるわけであります。その点におきましても私どもは慎重の態度をもって臨みたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/210
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211・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 慎重な考え方及び山崎さんの態度はよく理解ができるのであります。しかしながら一般に与えておる印象は、憲法調査会ができて、これは憲法改正の必要の有無をそこで検討するのだとは一般には考えておらない、これはそれでいいのであります。それに引き続いて憲法改正の実施の方向に進むであろう、という印象を持っておるわけであります。ところが諸般の状況というものは、現在においてもなかなか熟しておらないような感じもするのであります。たとえは山崎さんは繰り返しこれまでも言っておられるのでありますけれども、憲法の制定なり改正には国民の盛り上る自由意思が要件だということを言っておられる、私もその通りであると思う。今後もこの憲法改正については国民の承認を得るのである、その点においてはなるほど疑いもなく自由意思の基盤に立つことになると思います。しかし繰り返して言われておる盛り上るということですね、果して今の情勢において盛り上るということが期待し得るのかどうか、少からず疑問だと思う。そういう点をどういうふうに考えておられるかということが一つと、それからこれも提案者としてしばしばお述べになっておる点でありますけれども、独立を失っておったときに、従ってまた主権それ自体にも大きな制約を受けておったときに制定され、あるいは改正された憲法というものが真実の権威というものを保持していくことに疑義があるという御見解は私もよく理解ができる。もう日本は独立したのだ、ここら辺で一つ検討して改正を考えようというわけでしょうけれども、独立ということについては、私も日本は完全なる独立国であるという確信は持っておりまするけれども、しかし世界の情勢から冷静に考えれば、まだソ連との関係は敗戦のままになっており、正常な国交というものは回復しておらない。中共との関係も御承知のような状況である。従って独立はしたものの、やはりある意味で占領当時の情勢というものが、ある意味では継続しておるとも言い得るのであります。言いかえれば、日本の独立というものはほんとうにまだ正常な姿になったとは言い得ないうらみがあるのであります。こういう際に果して独立したからということで、憲法改正という重要な事柄を考えるべき段階かどうか、ここに一つの疑念があるわけであります。いま一つは、もちろん日本の憲法でありますから、日本の実態に即して作り上げられるべきことは、これは当然であります。しかし言うまでもなく、やはり憲法には世界を通じて一つの理念というものがある。世界情勢との関連というものは、きわめて鋭敏にかつ微妙に国民の精神に反映し、またそれが憲法に鋭敏に関連をもってくるということは、これは無視できないであろう、今の世界情勢は漸次安定の方向にはいっているとはいうものの、相当やはり激動の段階にあるわけです。こういう段階が果して憲法改正というふうな重要な問題を取り上げるのに適当な時期かどうか、これも一つの疑問であります。こういう点についての提案者の一つ御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/211
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212・山崎巖
○衆議院議員(山崎巖君) 憲法改正の要否を検討いたしまして、かりに改正の必要がありという場合におきましては、おそらくだんだんとその方向もはっきりしてくると思います。そうなりますれば、その方向に向いまして国民一般各階層に向いまして、その憲法改正の必要あるゆえんをあらゆる機会に十分に普及徹底をする必要があることは申すまでもないと思います。そういう場合にあらゆる手段を尽しまして実行することが必要だと考えます。
第二段のお尋ねの、現在の日本は法律的には独立はしておるけれども、まだほんとうの実質的の独立態勢の整備はできていないじゃないか、こういう時代に憲法の改正を叫ぶことは時期としてどうかという御質問であると思います。私どももただいま梶原さんの御指摘のように、サンフランシスコの平和条約の締結によりまして、日本は法律上完全な独立国になっておるのでございます。しかしながら諸般の情勢を考えまして、独立態勢の整備がそれでは完全にできておるかという点になりますと、梶原さんと全く同感であります。まあ一つの例をとって申しましても、わが国土の防衛は日米安全保障条約並びに行政協定によってアメリカの駐留軍によって国土の防衛に当っておる、こういう点を一つ考えてみましても、私は独立態勢の整備の完成しておる時代ではないと思います。しかしながらこの独立態勢の整備を促進する意味におきましても、今日の段階において現行憲法に御検討をし、この調査を進めていくということは、私は時期としては決して不適当な時期ではなかろうと考えるわけであります。もう調査を進める時期はきているのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/212
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213・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 調査を進め検討を加える、これはおそらくだれしも異論はないと思います。いま一つ憲法改正について御見解を承わりたいのは、憲法は何としても国の政治のあり方なり、あるいは国家のあり方等の基本的な問題について国民全体に共通する一つの理念、これが私基盤をなすべきものだと思います。また国民全体を通じて、皆がひとしく何と申しますか、納得する一つの論理といいますか、批判というものが中核であろうと思います。現在の憲法九十六条においても、まあ国民の過半数が賛成すれば、それで改正はでき上るわけであります。これは法律的に言えば、それはそれでいいんだと思います。当然のことでありますけれども、しかし過半数が賛成し、半数に近いものが反対だというふうなことでに、やはり多数が、今度は比較的少数に対してこれは押しつけた憲法ということに実質的にはなろうと思うのです。どうしても大部分の国民が賛成するということで私は憲法というものはあるべきであろう、こう思うのであります。そう数で争ってやるべきものではなかろう、こう思うのであります。ところが不幸にして現在憲法の改正をめぐって、憲法改正促進と、憲法擁護というまあ二つの陣営に分かれて、相対峙してやっているわけです。憲法改正を真剣に考えまするというと、この姿というものは、国民の憲法であるという観点から言えば、まことに遺憾千万な姿であります。こういう姿のもとにおいて憲法改正というものが、私、実行すべきものかどうか、非常に疑問であります。(「そうそう」と呼ぶ者あり)先ほどのお話しの中にそういうことをなくするという努力は、これは当然憲法改正の前提であり、しかもそういうことが現実にできて、そうして私は憲法改正というものが行われるべきものであろう、こう思うのであります。これは先ほどの御答弁で、繰り返して御答弁をいただくつもりはありません。
それから最後に、一つは改正の手続の問題でありますが、九十六条によりますると、国民投票によって、過半数によってきまるわけです。手続としては、直接民意を反映するのでありますから、めんどうにしても、非常に立派な手続だと思います。ただ憲法の各条章はそれぞれ重要さがあって、その間どちらがより重要だという比較はこれは簡単にはできないと思います。国民の多くも、改正すべき事項について賛成のところもあれば、どうもこれは反対とか、これだけはどうも賛成できないというものも、これは当然あるだろうと思うのであります。従って国民の意思を問う場合に、改正すべき各条章をおけてそれぞれ問うのかどうか。もちろんその改正の案いかんによりましょうけれども、相当改正が広範囲に亘る場合には、一括をして国民の意思を問うのか。それぞれわけて間うのかの点であります。それは私技術的には相当重要な問題とも思うのであります。それについての一つお考えのほどを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/213
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214・林修三
○政府委員(林修三君) 結論的に申せば、これはどちらも可能じゃないかと実は思っているわけでございます。今、梶原先生がおっしゃいましたように、結局その憲法改正の議案が国会においていかに審議されるか。その議案の作り方の問題に期するんじやないかと、かように考えるわけでございまして、その国民に提案される議案を国会において、いかに審議され、いかなる形で審議され、いかなる形で国民に提案することをおきめになるか。こういうことによってきまってくるのじゃないかと思うわけでありまして、法律的には私はどちらも可能じゃないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/214
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215・井上清一
○井上清一君 本法案に関する質疑をこれにて打ち切り、直ちに討論採決を望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/215
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216・青木一男
○委員長(青木一男君) ただいまの井上君の動議に賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/216
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217・青木一男
○委員長(青木一男君) 挙手多数、よって動議は可決いたしました。決しました。(「冗談じゃないよ」と呼ぶ者あり)
質疑は終局いたしました。これより討論に入ります。(「そんなばかな」「そんなむちゃな話があるか」「委員長横暴」「ちゃんと手続をとってやればいいじゃないか」と呼ぶ者あり)お戻り下さい。委員長の職務を妨害しないで下さい。(「妨害じゃない」と呼ぶ者あり)田畑君、席にお戻り下さい。自席にお戻り下さい。委員長の職務を妨害しないで下さい。(「そんなばかなことがあるか」「早いじゃないか」と呼ぶ者あり)吉田君、田畑君、自席にお戻り下さい。委員長の職務に妨害がありますから、自席にお戻り下さい。お戻り下さい。自席にお戻り下さい。(「そんなことがあっていいのか」「そんなばかなことがあるか」と呼ぶ者あり)吉田君、自席にお戻り下さい。静粛に願います。(「そんな形でやってはいかんですよ」「そんなむちゃな話しはないよ」と呼ぶ者あり)江田君、どうぞ自席にお戻り下さい。(「討論々々」「そんなことはないよ」「話し合いをしてきめればどうなんだ」と呼ぶ者あり)席にお戻り下さい。委員長の職務に(「休憩をして」と呼ぶ者あり)支障がありますから、席にお戻り下さい。(「討論々々」「席に戻るから穏やかに話し合いをしなさいよ」と呼ぶ者あり)吉田君、田畑君、千葉君、席にお戻り下さい。(「むちゃはいかんよ」あんまりむちゃくちゃだ」「理事会にかけてもう少し話し合いをしないのか」「むちゃだよ」「質問がやってないじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)自席にお戻り下さい。委員長の職務に妨げがありますから、お戻り下さい。(「戻るから話だけは聞きなさい」「委員長だけで、とにかく委員会やってるんじゃないよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)どうぞお戻り下さい。委員長は動議が出た場合はそれを取り上げることになっております。僕の手に、からだにどうして手を触れるんですか。仕事を妨げるのは困りますよ。委員長を威嚇するのは困りますよ。(「威嚇はしていない」「暴力じゃないですよ」「青木さん、そんなことでいいのか」と呼ぶ者あり)どうぞお戻り下さい。(「戻るけれども、委員長ひど過ぎるじゃないか」「まさに陰謀じゃないか、質疑を打ち切るなら打ち切ると、前もって相談しなさい」と呼ぶ者あり)千葉君、戻りなさい。(「戻るけれども、あんまりむちゃ過ぎるじゃないか」と呼ぶ者あり)
これより討論に入ります。(「相談しなさい「討論々々」「ひど過ぎるじゃないか」「休憩にしなさい」「そういうことで、あんた議事ができますか」「多数の暴力ですよ」と呼ぶ者あり)討論に入ります。(「そんな勝手なことがあるか」「待ちなさい」と呼ぶ者あり)意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「ちょっと待ちなさい」と呼ぶ者あり)妨害しないで下さい。委員長の職務を妨害しないで下さい。私の机を動かさないで下さい。(「討論討論」「それじゃひど過ぎるじゃないか」と呼ぶ者あり)委員長は動議を採決する責任があります。(「卑怯なまねをするんじゃないよ。まだ質疑はあるじゃないか」「提案者はこれでいいのか、山崎さん」「こういう形でやるのが一番好ましいと思っているのか」と呼ぶ者あり)討論のある方はすみやかにお述べを願います。(「青木さん、やめなさい。それをやるとけんかになるじゃないですか」「討論々々」「何が討論だ、待ちなさい」と呼ぶ者あり)意見のある方はすみやかにお述べを願います。自席へお戻り下さい。(「相談をして委員会を運営しなさい。一人で委員会できやせんだろうが」と呼ぶ者あり)皆さんどうか委員長の職務を妨げないようにして下さい。(「あんた一人で委員会をやっているわけじゃなかろうが」と呼ぶ者あり)席にお戻り下さい。(「議長の職権、議長の職権といっているが……」と呼ぶ者あり)吉田君、田畑君、自席にお戻り下さい。どうして僕のからだに手を触れるのですか。どうしてそんなことをするのですか。(「そんなばかな話はないじゃないか」「卑怯だぞ、卑怯だぞ」「そんな卑怯なまねをするのじゃないよ」「一人で委員会をやっているわけじゃないでしょう」「相談をしてやったらどうです」「打合会でやったらいいじゃないか」「参議院においてはそんなばかなことは……」と呼ぶ者あり)席にお戻り下さい。(「討論討論」「そんなばかなことができるか」「あまり卑怯じゃないか」「相談をすればいいじゃないか」「休憩して理事会で相談しろ」と呼ぶ者あり)意見のおありの方はすみやかにお述べを願います。(「待ちなさい」と呼ぶ者あり)どうして私を威嚇するのです。(「威嚇じゃないじゃないですか」と呼ぶ者あり)威嚇じゃありませんか。(「あなたの方が暴力じゃないか」と呼ぶ者あり)私は委員長としての職務の執行をしているのです。(「理事に相談しなさい」「一人でやっているじゃないか」「あまり非常識だぞ」「相談をしなさいというのだ」「あなたの方が非常識なんだ」と呼ぶ者あり)田畑君、自席にお戻り下さい。(「非常識なんだ、あなたの方が」「委員長になってからあなたのやり方を見ると、委員長の職権、委員長の職権ということを……」「戻れというのならば、理事会を開いて相談をするならば……」と呼ぶ者あり)自席にお戻り下さい。(「理事会を開いたらどうです」と呼ぶ者あり)田畑君、吉田君、自席にお戻り下さい。(「一人でやらないで相談したらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)自席にお戻り下さい。(「そんたばかな話はないじゃないか」と呼ぶ者あり)意見のある方はすみやかにお述べを願います。(「理事会を開いたらどうです」「討論々々」「休憩しなさい」こんな委員会の運営が今まであったかね」と呼ぶ者あり)自席にお戻り下さい。(「与党と二人で委員会をやっていこうというのか「おかしいぞ、あなたのやり方は」と呼ぶ者あり)自席にお戻り下さい。(「戻るから休憩して相談しなさい」「質疑を打ち切って、そんなばかな話があるか」と呼ぶ者あり)意見のある方はすみやかにお述べを願います。(「待ちなさい」と呼ぶ者あり)吉田君、どうして僕を威嚇するのですかどうして威嚇するのですか。(「一人でやっているのじゃなかろうが」と呼ぶ者あり)どうして威嚇するのですか。(「あんたはむちゃじゃないか。むちゃしているじゃないか」「あんたととにかく与党の理事だけでやっているのか、運営を」と呼ぶ者あり)田畑君、委員長を威嚇することはやめて下さい。(「あんたが威嚇しているじゃないか」と呼ぶ者あり)私の机をひっくりかえしてどうするのですか。(「むちゃじゃないか」「規則に基いてやれよ」「だから相談をしてやりなさいと言うのだ」と呼ぶ者あり)自席へお戻り下さい。田畑君、自席にお戻り下さい。(「今まで相談をしてやってきて、きょうになってそういうことの相談もなかった。そんなむちゃなことないじゃないか」「何て卑怯なまねだ」「あんたと与党の理事だけで相談してやっていくのかね」「もう少し……、理事会というものがあるじゃないか」「あんたが委員長になってから理事会というものは全く無視しているぞ」「一人で委員会しているのじゃないぞ」「もう少し常識を持ってくれ。常識をもってやれ。われわれは議事引き延ばししているのじゃないじゃないか」「今まで内閣委員会というものはスムーズに運営してきているじゃないか」「こんなやり方というのは初めてですよ」と呼ぶ者あり)吉田君、委員長を威嚇することはおやめなさい。(「威嚇じゃない」「常識のないことをやるから。もう少し常識を持ってやれ、質疑の途中にとにかくいきなり、全然相談してないじゃないか」「理事会でやれ、理事会で「会期はしかも延びるというのに、そんなむちゃな話があるか」「あんた、むちゃ過ぎるよ」「そんなばかなことあるか」と呼ぶ者あり)討論の発言はございませんか。(「待ちなさい。討論ができるか。そんなむちゃなことがあるかね」「われわれは質問しようと思っているのじゃないか」「休憩して相談しなさい。そんなむちゃなことあるか」「そんなことは許さんぞ」と呼ぶ者あり)井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/217
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218・井上清一
○井上清一君 討論終局の動議を提出いたします。(「そんなばかな話あるか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/218
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219・青木一男
○委員長(青木一男君) 井上君の動議に賛成の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/219
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220・青木一男
○委員長(青木一男君) 井上君の討論終局の動議に賛成の諸君の挙手多数と認めます。よって討論は終局しました。(「そんなばかな話があるか」と呼ぶ者あり)
これより本案の採決をいたします。憲法調査会法案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/220
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221・青木一男
○委員長(青木一男君) 挙手多数。よって本案は原案通り可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十五分散会
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414889X04119560510/221
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