1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十三日(金曜日)
午後二時四分開会
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委員の異動
本日委員雨森常夫君及び横川信夫君辞
任につき、その補欠として高橋進太郎
君及び植竹春彦君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 棚橋 小虎君
理事
青山 正一君
重政 庸徳君
鈴木 強平君
戸叶 武君
三浦 辰雄君
委員
秋山俊一郎君
佐藤清一郎君
関根 久藏君
宮本 邦彦君
河合 義一君
溝口 三郎君
千田 正君
政府委員
農林省畜産局長 渡部 伍良君
林野庁長官 石谷 憲男君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○飼料の品質改善に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○森林開発公団法案(内閣提出、衆議
院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/0
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001・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
まず委員の変更について御報告いたします。雨森常夫君及び横川信夫君が辞任され、高橋進太郎君及び植竹春彦君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/1
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002・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 飼料の品質改善に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
本法律案は去る三月二十七日衆議院において全会一致をもって原案通り可決され、当院に送付、同日委員会に付託されました。本法律案につきましては、去る三月九日提案理由の説明を聞いたのでありまして、本日はまず現行法の施行状況その他参考事項、並びに法律案の内容等について補足説明を聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/2
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003・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) それではただいま議題になっております飼料の品質改善に関する法律の一部を改正する法律案につきまして前回提案理由の説明をいたした、これに補足説明をさしていただきたいと思います。
前回御説明いたしましたように、改正の要点は二点ありまして、一つは公定規格を設けてこれに適用するものだけを登録するということと、一つは飼料を配合した場合に、飼料的価値の少いものを貝がらとか炭カルとか、そういうものをまぜる、そういうものをはっきりさせるために成分の表示をさせる、こういうのが二点でございます。
第一の登録の問題は、第三条の二から四までに規定をしておるのでありますが、従来はいわゆる任意登録でありまして、どういうものでも登録の申請があればこれを登録するということになっておったのであります。従いまして、必ずしも品質上推奨すべきでない飼料でも、害さえなければ登録をするということになっておったのであります。これは飼料の重要性がだんだん増して行く現在からみますれば、必ずしもよくないというので、まず公定規格を定めて、公定規格を定めたものについて登録する。登録しますれば、それにつきまして成分量の最小量、すなわち粗蛋白、粗脂肪の量小量、あるいは粗繊維、粗灰分の最大量、あるいは使用材料の制限というふうなことをきめていこうというのであります。お手元に配付いたしております資料でちょっと申し上げますが、登録飼料一覧というのが一つあります。それから飼料の品質改善に関する法律の一部改正法案参考資料というのがあります。その中でまずこの登録飼料一覧というものが現行法に基いて登録しておる飼料の一覧表であります。六百八十九号まであります。その内容は種々雑多であります。これは別のガリ版刷りの資料の方の二ページを見ていただきますと、その内容の分類をしております。件数六百八十九件のうち、穀類糟糠類を主材料とする配合飼料、幼雛用、中雛用、大雛用、成鶏用と若鶏用と、それから仔牛用、乳牛用等といろいろな種類ができております。そのほか、油かす類、あるいは植物油かす類、動物油かす類、それらの混合飼料、あるいは下の方に、二種混合飼料、三種混合飼料、四種混合飼料というように上の方ほど目的がはっきりしておらないで、飼料の配給の都合上、たとえばトウモロコシを配給する場合に、それが横流れせぬように魚肥をまぜるとか、そういうふうな簡単な混合飼料というものもあって、それらを含めて六百八十九あるわけです。それを今度の法律に基きまして、ページ一にありますように、飼料の公定規格案に大体の標準をきめまして、幼雛用完全配合飼料でありましたらば、粗蛋白一八%、粗脂肪二%、粗繊維七%、粗灰分一〇%、あるいは大雛用ではどう、豚ではどう、牛ではどう、それから原料的に見て、動物性油かす、あるいは植物性の油かすの混合ならばどの程度がいいか、そういう公定規格をきめることにしておるのであります。この公定規格をきめる際には、一つは政府がきめるのと、民間の牧場とか養鶏家等で、こういう飼料がいいという申し出がありますれば、公聴会にかけまして、そういうものも公定登録飼料として指定する、そういう政府が自発的にきめる場合、あるいは民間から経験によっていいものを登録飼料規格として要望があれば、それも入れる、こういうふうになっているのが第三条の二の2から4までであります。
第二点は、飼料の何と言いますか、貝がらをまぜるとか、あるいは骨粉とか、いろいろなものをまぜておるので、これはあまりまぜすぎると、ただいたずらに重量が増すだけで、飼料的価値がないとか、あるいは弊害を伴うというものにつきましては、成分の表示をさそうというのであります。これは第十五条の二であります。資料の飼料の品質改善に関する法律新旧条文対照表を見ていただきますと、十五条の二に表がありまして、「石灰石粉末、貝がら粉末、骨粉その他カルシウム又は燐酸の含有量が多く、家畜の栄養上これらの物質の補給の用に供される物で省令で定めるものを混入した飼料」あるいは「わら粉末、乾草粉末その他粗繊維の含有量が多く、家畜の栄養にも供される物で省令で定めるものを混入した飼料」あるいは「尿素を混入した飼料」、それらの飼料については、それぞれその下の欄に書いてありますように、「粗灰分の成分量とかあるいは粗繊維の成分量を書かそうというのであります。それからそれに伴いまして、たとえば登録飼料保証票の呈示とか、あるは手続の規定を変えるということがあります。もう一点、第二十二条を見ていただきますと、二十二条では、従来いわゆる旧法は登録飼料の製造業者または輸入業者のみが、法律違反をやった場合に飼料の譲渡または引渡し制限禁止の処分の対象になったのでありますけれども、今回におきましては、登録飼料以外の製造業者もしくは輸入業者または販売業者に対しましても、そういった制限の規定を適用するというふうに直したのであります。
それからもう一点は、二十五条であります。これは、従来は都道府県が条例で法律の補足的な措置をすることができるということになっておったのでありますが、だんだん法律を施行して参りますと、どうしても全国的に統一のある施策を講じていかなければならないということで、この飼料品質改善に関する法律は国の事務ということを明確にしまして、省令で定めるところによりまして必要な事務を都道府県に委任して行わせるということを明確にしようとしておるのであります。すなわち、従来は知事の考えで条例を作って適当の措置を講じておったのであります。今度は過去の経験に基きまして、こういうことはどうしても知事さんでやってもらわなければならないというふうなことを省令できめようということであります。しかし、当分の間は大体現在と同様に、販売業者等に対する報告徴収権、あるいは店舖の立ち入り検査権等をやろう、こういうふうに考えております。
大体以上が法律の内容でありますが、なおこの資料について御説明申し上げますと、三ページを見ていただきますと、法律施行以来の登録の件数、すなわち昭和二十九年一月から施行されましたが、二十九年では百二十九件の登録がある、準備ができませんので、収去数は十二件、三十年度では三百七十二件の登録があり、五百六十九件の収去数、三十一年二月まででは百八十八件の登録、七百九十二件の収去数、それぞれ検査の結果の成分量の過不足の成績が出ておるのであります。
その次には四ページでありますが、不正飼料の出回り状況について書いております。これは要するにいろいろ書いておりますが、配合飼料あるいは混合飼料についてどうしても営利主義から看板に偽わりがある、こういうふうなことがあるということ、それからことに五ページの異物の混入とか、あるいは誇大宣伝というものがいろいろありまして、これらについて今度の改正で相当防止ができる、こういうふうに考えております。
それから六ページは、これは新しい種類のいわゆる科学飼料と称せられるものがいろいろできてきておるのであります。酵素飼料でありますとか、あるいはいわゆる新飼料であります。現在ではいいものができましても、まだ製造工程に相当金がかかって割高である。あるいは必ずしも十分な結果が出ていないものも非常に効果があるというふうな宣伝がある。そういう点からみますると、これらも今後の法律の施行上注意すべき点になっている、こういうふうに考えます。
あとは七、八、九ページから十ページは、七が米国の飼料の規格の例、八では外国の飼料の取締りの、あるいは品質改善上施策をしている状況の要点を書いておるわけであります。大体肥料と違いまして、成分の分析とかあるいは効果等について非常に何と言いますか、相手が動物でありますので、取締りなりあるいは効果の判定がむずかしいので、販売者と購買者が相互に何と言いますか、あるいは分析をする、あるいはこれを持って行って試験してもらって、その結果によって取引を円滑にしていく、こういうふうな内容になっております。肥料の取締りに比べますればむずかしいところがある。それから工夫の仕方が違うところがあるのであります。この前の法律を二十八年に出したときに、もっと強制的な検査をしたらいいじゃないかというお話等が相当出ておりますけれども、三カ年の経験の結果、まず第一段のステップとしてはこの程度で満足しなければならない、こういうのがわれわれの結論であります。
以上簡単でありますか、ご説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/3
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004・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 以上説明を聞いたのでありますが、ただいまから質疑に入ります。御質疑の向きは順次御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/4
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005・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 この飼料の検査といいますか検定といいますか、そういうものはどういう機関で現在やっておりますか。またこれがために機関を増強するというような考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/5
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006・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 現在は農林省の飼料課の分室というのがありまして、これは東京に事務所を置いております。そうしまして先ほど説明申し上げましたように、飼料の製造あるいは販売の店舗に行きまして、サンプルを収去いたしまして、それを分析して額面通りの成分があるかどうかということをやっておるわけであります。これは御承知のようにだんだん酪農が振興し、乳牛の数も五十万頭になんなんとし、牛の数も戦前に比べて百万頭、普通の牛ですね、ふえている。そういうような状況で飼料の量がだんだんふえて来ております。これはどうしても一方において草あるいはその他の粗飼料の利用が当然でありますけれども、一定量濃厚飼料が必要でありますので、量は頭数がふえるにつれてふえてくることになります。従いまして現在の東京だけに事務所を置いて、全国のものを取り締るということでは不十分であると思いますけれども、これは漸次飼料の供給がふえるに従って肥料の検査所と同じように相当程度増して行かなければならないと思います。しかしすぐの問題といたしましては、そう大きく増す必要はないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/6
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007・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 今そうすると東京だけでございますか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/7
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008・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/8
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009・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 そうしますと、東京だけだと輸入業者あるいは製造業者としては、一々東京の検査所にサンプルを送って分析をしてもらって、分析票をもらって、それを飼料の包装の表面につけるとか何とかする、そういうことをするのじゃないかと思いますが、これはいわゆる看板に偽わりありで、一片のそういうような分析票だけをもって果して需要者が、農家が、あるいは飼育者が安心して買えるかどうか、地方においても必要に応じてこれの検査をするとか、分析をして見るとかいう所がなければ、これは非常にいいかげんなものじゃないかと思いますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/9
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010・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) ただいままでの法律の建前は先ほど御説明申し上げましたように、いわゆる任意登録で手数料を払って、こういう規格の飼料を作りたい、登録してくれ、こういうことであります。今度の場合は登録規格、公定規格というものをきめまして、それに合っている飼料を作った人は、わしはこれこれの公定規格の飼料を作るという登録の申請がある、そうするとその飼料が作れるわけです。その公定規格によるいわゆる登録保証票をつけておるわけです。その登録保証票と現物の内容が合っておるかどうかということを調べるわけであります。従いまして、そのことについては従来とやり方が違っておるけれども、何と言いますか、登録飼料の数に減ってくるわけですね、今まで六百八十九現在のところ登録しておるのが、もっと規格の範囲が狭まるから減ってくるだろう、しかし量は減らないと思うのです。だから合っておるか合っていないかということを収去して検査するということは従来とあまり変らないのじゃないかと思います。
その次に今度は十五条の二でいわゆるこの飼料的価値の少いものをよけい持っているかどうかということをやることなんですが、この分量がふえてくるわけなんです。それだけはどうしても仕事はふえてくるのでありますから、どうしてもある程度の施設なり人員をふやす必要がある、こういうことになるのであります。さらに二十五条の改正によりまして、地方庁においても登録飼料が末端に流れてきた場合に、それをある程度収去して保証票に合っているかどうかということを調べる必要があるのであります。これらの施設は今後府県においてもある程度増していただかなければならない、こういうことになると思います。これはことしの予算では予算的措置ができておりませんが、三十二年度以降はそれらに対して予算的措置も考えていかなければ、この法律の十分な運用はできないと思います。先ほど説明を省略しておりますが、そういったいろいろな準備期間がありますので、この法律の施行も秋からやりたいと、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/10
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011・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 先日審議しましたこの肥料の問題、これについてはほとんど全国にわたって各県が非常に検査所を持つ。植物に与えるところの肥料についてはそれほどの周到さをもっている。片一方生き物に対する飼料についてははなはだ手薄じゃないかという気がするのです。従って私まだこの内容をよく読んでいませんが、飼料では今の成分というものを表示する、そこにいつも混入の割合等も表示するが、その規格に合わないものを販売する場合には登録しないでもいいのか、そうして勝手に作って売っていいのかということですが、もし勝手に作って売っていいということになればいかがわしいものがずいぶん出回ってくる。それを注意するために今の登録制によって適当な飼料を使用させようということであるならば、もう少し検査の機構を増強しなければ、これは作っても何にもならないのじゃないかという感じがします。しかも東京において一ぺんの、一ぺんじゃないかもしれませんが、検査をし分析をして、その分析表をつけたもので一年も二年もずっとやっていく、あるいは三年も五年もやっていくということで果してそれで正確を期せられるか、こういうことなんです。たまたま見つかればいろいろ取り消しを受けるかもしれませんけれども、ここにも書いてあるようになかなか肉眼や何かで判定ができないような場合が非常に多いということになりますと、地方においてそれを使用する者はわからずに当分の間やっている場合が多かろうと思います。それがために家畜の飼養に影響することも多いんじゃないか。そうするとどうしても、かりに秋からやるにしましても、肥料までいかないにしても相当の検査機関と言いますか、そういったものを設置していかなければ、ただ神様のように販売業者や製造業者を扱うということはいかがと思うのですが、全然本年度の予算にはないから、本年度は野放しでいくのだと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/11
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012・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) お話もっともなんであります。ちょっと肥料、肥やしの方と違う点は、肥やしは窒素、燐酸カリ、まあその他カリ、いろいろありますが、主として窒素、燐酸カリだけで効果の判定をしているわけです。ところが飼料でちょっとむずかしいのは、蛋白、脂肪、灰分、繊維がありましても、これの消化の可能性という点で一つむずかしい問題があるわけです。それから極端に申し上げますと、いわゆる厨芥、残飯、飼料にいく段階が肥料より非常に複雑なんです。そこで私の方としましては、たとえば分析あるいは肉眼鑑定、もっとよければ器械鑑定、そういうふうなものが確立するまでは、ただいまお話がありましたように公定規格を定めて、登録証を作ってこれはいい飼料だ、だから買うときはまず優先的にそれを買え、それのついていないやつは買うときに気をつけろ、何が入っているかよくわからんぞ、だから十分気をつけて買うということが改善の骨子になっているのでありますが、それ以上に肥料のように全部網にかけましてやかましく言うところまでは、えさではまだいき得ない技術上の何と言いますか、進歩の段階がそこまで行っていない。そこでお話のようになまぬるい制度にならざるを得ないのであります。しかしいいときめて公定規格の登録飼料保証票をつけてあるやつが中身と違うということがあっては困りますので、どうしても少くともそれだけは確保できるような施設、人員、これはどうしてもできるだけ早い機会に充実したいと思っております。ただ三十一年度の予算はその点がついておりません。従いまして、本格的にこの法律の効果を発揮できるのは、予算的措置ができます三十二年度以降でなければ十分な効果を期待することはできない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/12
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013・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 今のお答えでわかりましたが、とにかく農林省がこういう公定規格を定めて、そしてこれはいいものでおるから、こういう認定をした以上は政府に責任がある。従ってこの責任と言うか、政府がそういうふうに認めているから消費者は安心してそれを使うわけなんです。ところがそれをしょっちゅう検査をする機関がなかった場合には、私はずいぶんいかがわしいことになりはせんかと思うのです。これはそう言っちゃ悪いけれども、多くの例でそういうことが多いのですよ。肥料が成分が非常に少いからということであれば、この方はまだこれよりも調べる方法が簡単じゃないか、しかるにあれだけの機構を持ってやっている。これほどの複雑であり、しかも責任を持たなければならぬものが野放し的なことでは、もし悪いものが入って、ただ益にも何にもならぬものならまだいいのですけれども、もしそれが悪いものでも混入しておって、家畜に害を及ぼしたというときに、それはそれを売った人に賠償責任があるかもしれませんけれども、一半は政府にも責任をしょわなければならぬようなことにまりはしないか。買う人はその検定表と言いますか成分表によって買うので、その成分表というものは農林省が保証しているのだということになりますと、どうしても直接の責任は農林省にくるのではないか。そういう場合に農林省が補償するような制度もないのに、いたずらに公定規格をきめてこれはいいのだと言って全国にふれ回すことも、検査機関か機構ができていなければ私はあやしいものだと思う。従ってこれは何らかの処置を講じて、これをはっきりこの公定規格というものを打ち出した以上は、それに見合うような施設はどうしてもなければいかぬと思うのですが、本年度はどうしてもやれないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/13
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014・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 本年度は法律の準備がおくれまして、お話のありますように肥料と同じまでいけないかという議論も、ずいぶん事務的にやっておったわけであります。しかしそれは先ほど御説明申し上げましたように、技術上そこまで一足飛びに飛ぶことは今お話がありますように、もっと何と言うか、使用者に信頼度を保つことができないから、まあこの程度で行こうと、こういうことになったのであります。これを実施するまでにもやはり公定規格をきめるとか、収去の方法、先ほどちょっと申し上げた、たとえば収去だけは府県知事にやって、分析は東京まで送ってやるとか、いろいろな手続が要るだろうと思いますので、ことしは準備で相当の期間を費さざるを得ないということになってくるのであります。ことしの予算は、従いまして全然拡大するようにはなっておりません。これはどうしても残念でありますけれども、三十二年度からたっていきたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/14
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015・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 どうも私はそうすると、この法律はそんなに急がんでもいいんじゃないかという感じがしますが、法律はこさえたけれども、これを守っていくところの設備は何にもないということになると、非常に私は使用者に対して不親切なものになるんじゃないか。従ってもしある程度肥料検査所等においてあわせてこういうものを取り扱い得るものであるかどうか。もし取り扱い得るとするならば、何らかの費用をさいてでも、私は各県にとは言わないまでも、全国に十カ所とか十五カ所というものをブロック別にでもこさえて、そういうところで見張りをするという必要がありはせんか、大した経費でもないと思う。それがないのに法律ばかりこさえて、これはいいんだこれはいいんだと言って、農林省が太鼓をたたいて見ても、どうも私はかえってそれが不安な感じがするのです。そういうこともできないのですか。各県に幾らかでも費用を分けて、肥料検査所等において監視させるとか、あるいは検査させるということはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/15
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016・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 先ほどちょっと説明申し上げましたように、この法律を施行することによって現在あります登録飼料の数よりは登録の数が減るわけであります。そうしてまあ規格というものは簡単になりますから、この部分だけにつきましては量が少々従来よりもふえても、現在あります施設でやっていけると思うのであります。先ほど説明いたしましたように、今度は飼料的価値の少いものを混ぜるのを成分表を張らして取り締ると、こういうことにもなっておりますので、どうしてもお話しのように今年度は十分の効果を発揮することはできないと思います。しからば、お話しがありますように肥料検査所にそういうものを委託したらどうかと、こういうお話しでありますが、肥料検査所の方もまだまだ手が足りない、施設も足りないのが実情じゃないかと思いますので、そこにすぐ臨時に手伝ってもらうということもできないと思います。ただこの法律の先ほど申し上げました二十五条によって、こういうことを、あるいはああいうことを府県知事にやれと、こう言うことができますから、公定規格ができた飼料についてこういうのが現われる、これの収去についてもこういう方法で県の係官が収去して木所にサンプルを送ると、そしてこちらで分析して成分を判定してやると、こういうことまではできると思います。それ以上飼料検査所の拡充ということは、ことしは残念でありますけれども、間に合わないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/16
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017・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 もう一つ。その収去というのは、何か疑いがあった場合に収去して送るのですか。随時勝手にやれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/17
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018・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは随時勝手にこちらの思うところへ行ってやるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/18
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019・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) ほかに御質問ありませんか。
それではちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/19
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020・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 速記をつけて。
本法律案につきましては、以上をもって質疑を終り、なければ次回の委員会において直ちに討論採決を行うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/20
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021・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) それではそのように取り計らいますから、御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/21
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022・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 森林開発公団法案(内閣提出、衆議院送付)を議題にいたします。
本法律案は四月十日衆議院において全会一致をもって政府原案の通り可決され、本院に送付、即日当委員会に付託されました。本法律案につきましては、去る三月二十六日提案理由の説明を聞いたのでありまして、続いて本法律案審査の前提である本法律案による事業計画、資金計画及び事業効果並びに法律案の内容等について林野庁当局から補足説明を、また資金源に関連して本年度米国余剰農産物協定、その受け入れ計画及びこれが見返り円の使用計画等について、それぞれの当局から内容説明を聞くわけでありますが、本日はまず林野庁当局から、本法律案による事業計画、資金計画及び事業効果並びに法律案の内容等について補足説明を聞くことにいたします。
なお米国余剰農産物見返り円の問題についてはきたる四月十七日、火曜日の委員会において説明を聞く予定にいたしておりますから、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/22
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023・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 補足説明を申し上げます。先に説明いたしました提案理由に補足いたしまして、法案の趣旨及び内容につきまして御説明を申し上げます。
まずこの法律案に盛っております構想の生れて参りました背景でありますが、先の提案理由の説明にもありましたように、わが国の既開発森林の現状は、その立木蓄積が約二十四億石でありまして、全森林立木蓄積の四割に当るのでありますが、その年間の生長量はわずか八千二百万石余りでありまして、これだけがこれらの森林地域に無理な負担をかけないで切り出せる数量の全体と相なるわけであります。しかるに、一方木材の需要は毎年増加の一途をたどり、現在年間二億石をこすような現状でありまして、これらの需要のすべてが先に申し上げました既開発林の負担となっているのが実情であります。いわゆる過伐度は二十九年度末におきまして、実に二七五%にも達しているのであります。従いまして、この際里山の森林に休養を与え、林力を涵養いたしますことは、わが国当面の資源政策並びに治山治水対策の上からいたしまして、まことに喫緊のことと存ずるのであります。そのためには先の提案理由の説明で申し上げましたように、林道網を整備することによりまして、積極的に奥地未利用林の開発を行う等の事業を進めて参ることが絶対必要と相なるわけであります。従いまして林野庁におきましても、そのための具体計画を策定いたしまして、これによって施策いたしているような次第でございます。
さて、現在未開発のまま残されております森林の現状はいかんということでありますが、利用がほとんどできないと思われますものは別といたしまして、今後利用の可能と考えられますものは、面積におきまして約八百二十一万町歩、立木の蓄積におきまして、約三十二億石と推定されるのであります。お手元に差し上げております参考資料の三ページにこの間の状況を掲記しております。そうしてこれらの未開発林は地理的条件が劣ること、資金の導入の困難なことなどの事情からいたしまして、大小の規模のものが全国に残存いたしておるようなわけでありまして、これが開発に当りましては、できるならば相当な規模をもつ地域をとらえまして集中的に資金を投じ、なし得る限り短時日に開発目標を達成いたしますことが政策的にも最も合理的であると考えるのであります。このような観点からいたす場合におきましても、その地域の樹種、さらには気候、地勢、地質及び地利等の要件が開発に伴う効果をできる限り大ならしめようとする要請にこたえるものでなければならないことも当然かとも存じますので、これらの点からいたしますれば、未開発地域の中におきましても、熊野川水系の流域及び剣山周辺の地域は、その諸条件を最も多く具備いたしておるということが言い得るのでありまして、大規模開発を行うような場合には、まず第一に取り上げらるべき所と考えるのであります。従いまして、この法案におきましても、公団の事業対象地域といたしまして、この二つの地域を取り上げたような次第でございます。
以下簡単にこの両地域の森林の現況を御説明申し上げます。お手元に差し上げております参考資料の中で、十七ページ以下にこれらの地区の概況を述べておりますので、ごらんいただきたいと思います。これらの地区は、ともに温暖多雨の気象に恵まれておりまして、杉及びヒノキの成育がきわめて容易かつその生長はすこぶる旺盛であります。従いまして、伐採跡地における針葉樹の植えかえが容易に期待できるのでありますが、地理的な条件が悪く、交通の利便を奪われ、豊富な立木資源がほとんど利用されることなくそのままになっておる状態であります。この森林資源の状況につきましては、熊野地区の関係は二十四ページ、剣山地区の関係は二十七ページに掲記いたしております。従来は、素材のままいかだによる流送によりまして相当量程度のものが搬送されておったのでありますが、近来河川が荒廃し、あるいは電源開発事業の実施によるダムの建設工事等のために、逐次陸送に切りかえなければならないような状態になっておるのでありまして、この際、林道を開設いたしますことは、特にこの意味におきましても大きな意義を持つものである、かように考える次第でございます。
次に、事業計画の概要を御説明申し上げます。事業の種類といたしましては、奥地幹線林道の開設、改良、災害復旧等の事業及び林道の開設の結果経済的並びに技術的に経営し得るようになります森林の造成についての受託事業がそのおもなものであります。計画上の総事業量は林道二百五十五キロ、造林におきまして三千六百町歩でありまして、そのうち、三十一年度の事業量は林道につきましては熊野地区七十二キロ、剣山地区十七キロ合計八十九キロであります。造林は主として公団の余裕金をもって受託施行いたします関係上、契約手続等のことが先行いたさねばなりませんので、初年度におきましては、この事業を見込んでおらないのであります。林道の残余の事業及び造林事業は三十二年度以降の事業としてこれを施行いたして参る予定でございます。
次に、事業に要する資金でありますが、これは総額三十億円でありまして、そのうち初年度分は十億円、二年度以降の分といたしまして二十億円を見込んでおるような次第でございます。初年度分の資金十億円につきましては、余剰農産物資金融通特別会計からの借入金でこれをまかない、二年度以降の分につきましても、同様の資金を期待いたしておるような次第であります。なお、この資金の償還の条件は年利四分、期限は三年の据置期間を含めまして十五年であります。また、資金の回収方法について申し上げますと、事業費は国と県及び地元の受益者が負担することといたしまして、その割合は林道につきましては国が五割二分、県が一割、地元受益者が三割八分とすることにいたしたいと存じております。この負担の方法でありますが、国の場合におきましては、これを補助金として事業終了の翌年度から四カ年間に元本のみを均等に公団に繰り入れ、県におきましては、その負担する費用分として地方債の起債の条件にならいまして、年利六分五厘、三年の据置期間を含めまして十二年間で均等に公団に繰り入れることといたしており、さらに地元関係につきましては、賦課金として農林水産金融公庫の融資条件にならいまして、金利七分五厘二カ年間の据置期間を含めまして十五年間に均等に公団に納入するように取り計らっておるのであります。また、造林につきましては、森林所有者の委託によって行うのでありますが、国及び県の補助分を除きます自己負担分につきましては、新植の年度から十六カ年以内に金利四分五厘をもって公団に年賦で納入する取扱いにいたしたいのであります。以上のような考え方に基きまして収支の見通しをつけたのでございまするが、資金の回収及び余剰農産物融通資金特別会計に対する償還の完了いたします十七年目におきまして、公団は二億数千万円の余剰金を有する、かような見込みに相なるわけであります。
事業実施の効果といたしましては、林道開設事業の完了によりまして、開設後十五カ年間の毎年平均におきまして木材百十三万石、木炭約百十三万俵の増産が期待できるのであります。
次に、法案の内容について概略御説明を申し上げます。まず事業主体でありますが、このような大規模な森林開発事業を最も合理的にやって参りますには、責任ある機構を設けまして、その機構に対して一定の必要資金量を確保していくということが最も効率的に事業を実施し得るゆえんでありますし、さらに事業の効果をも大きく期待できることと考えられますので、森林開発公団といったような機構を設けたような次第でございます。
次に第一条に規定いたしておりまする目的でありまするが、これはしばしばの機会にも申し上げましたように、豊富な森林資源に恵まれながら、立地条件か悪く開発のおくれております地域の森林を急速かつ計画的に開発いたしまして、林産物の増産、林業経営の改善を期するために森林開発公団を設立いたしまして、林道の開発、造林等の事業を行わせ、そのための資金といたしまして、余剰農産物見返資金等を供給するということをうたっているのであります。
次に役員についてでございまするが、理事長一人、理事二人以内、監事一人といたしまして、極力簡素に、かつ強力なものといたし、運営をいたして参りたいと考えております。理事長と監事は農林大臣がこれを任命し、理事は理事長が農林大臣の認可を受けて任命するということにいたしておるのであります。その任期はいずれも三年であります。
次に公団の業務でありまするが、これは先ほど申し上げましたように、二つの地区におきまして奥地幹線林道の事業と造林事業とを行いますことがそのおもなものであります。それから事業の実施の仕方についてでありまするが、林道の開設、改良事業につきましては、その基本的事項を定めるいわゆる基本計画を農林大臣が定めまして、公団はこれによりまして実行することにいたしておるのであります。その場合公団は利害関係人の意見を聞いた上で関係の県知事とも協議いたしまして、路線ごとに実施計画を定め、農林大臣の認可を受けるということにいたしておるのであります。
造林事業につきましては、土地所有者の委託によるものでありますので、これにつきましては、公団が農林大臣の認可を受けて受託を準則を定めて行うようにいたし、林道管理事業につきましては、関係県知事と協議の上、林道管理規程を定めまして、これに基いて実施するということにいたしておるわけであります。
なお林道の開設または災害復旧事業に要しまする費用につきましては、先に申し上げました地元受益者、県の費用負担、国の補助につきまして、所要の規定を設けているのであります。
なお、三十一年度の事業費十億円に対する国の補助金につきましては、政府は三十二年度以降四カ年度以内に公団に交付すべき債務を負担することができる旨を付則に規定いたしているのでありまするが、これは本来ならば予算案における債務負担行為として国会の議決をお願いすべきものでありますが、本年度の予算案の編成に間に合いませんような関係で特に法律をもって議決をお願したような次第でありまして、従って来年度以降の事業費に対する補助金につきましては、各年度の予算案によりまして、その債務負担行為に関する議決をお願いすることに相なるものと考えております。そのほか予算の認可あるいは決算等につきまして、おおむね他の公団の場合と同じような規定をとり入れているのであります。
なおこの公団は事業資金を余剰農産物資金融通特別会計からの借入金に待つ予定でありますので、政府の貸付の規定を置いているようなわけであります。
最後に、この公団の仕事をやって参りますには、これらの事業につきまして技術と経験の豊富なものを公団にとり入れまして、実施する必要があると考えられますので、ある一定数のものにつきましては、現在国の公務員または地方の公務員である者を特にこの公団に出向させる必要を認めまして、そのような職員についての恩給の継続の規定を設けているようなわけでございます。
以上で補足説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/23
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024・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 以上説明を聞いたのでありますが、御質疑の向きは順次御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/24
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025・溝口三郎
○溝口三郎君 ただいま説明を伺ったのでございますが、熊野川及び剣山地域については、先ごろ国土総合開発の審議会において特別地域としての計画ができまして、その主要な計画は森林の開発で相当大規模なものであったように記憶しているのですが、両地域の森林開発約十年計画だと思いましたが、そのうちの一部分として三カ年計画で今回森林開発公団が設立されて、事業に着手するようになったのでございますが、特定地域の計画は相当大規模なものだと思いますが、それは十年間でどのくらいになっているのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/25
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026・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 熊野川流域並びに剣山の周辺の地域の総合開発の特定地域の計画につきましては、この参考資料にそのまま掲記いたしてございますが、剣山地域のものにつきましては、四十四ページにございます。路線といたしまして二十九本ございまして、三十一年度以降の事業費の概算が十七億二千四百万円を要するというのが総合開発計画の中の林道事業の関係でございます。しかもこの計画の中で、六本かあるいは七本のものは、私どものこのたびやろうとしております森林開発の計画の対象外になっております。熊野の関係につきましては、昨年の十月に経済企画庁の方にその案が提出されておりますが、いまだ検討中でありまして、まだ成案を得ておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/26
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027・溝口三郎
○溝口三郎君 何か熊野の地域については、特定地域計画が審議会で可決になって総理大臣に勧告が出ているはずだと思いますが、その内容は決定されていると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/27
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028・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 剣山は決定されておるというふうに私どもは承知をしておるわけでございますが、たしか剣山は三月二十三日の閣議で決定をしたように聞いておりますが、熊野地域については昨年の十月に提出はされておるようでございますが、まだ閣議決定はされておるというように聞いておらないのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/28
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029・溝口三郎
○溝口三郎君 およその見込みはどんな工合になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/29
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030・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 五十二ページをごらんいただきます。それ以降が一応これが総合開発計画の案を掲記いたしているわけでございますが、六十八ページをごらんいただきますと、これが路線ごとに一応建設計画がここに掲記されております。奈良県分、和歌山県分、三重県分とございまして、奈良県分におきまして二十二路線、和歌山が二十五路線、それから三重県分が八路線、経費の総合計は約三十億円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/30
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031・溝口三郎
○溝口三郎君 両地域で約四十七億円になっておりますが、今回森林開発公団で三十一年度以降三カ年で三十億にした根拠については、これは先ほどの説明で余剰農産物を使いますという御説明でございましたが、それ以後はどういうやり方でやっていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/31
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032・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 一応これは両流域をとらえまして、必要な幹線林道の開発を全体にわたって計画的に実施して参る、そういう場合は、一体路線の数、その延長をどこまで考えたらよろしいかということに相関連してくると思うのでありますが、私どもといたしましては、この雨流域を開発いたしまする場合に、ぜひともある短かい期間中に一挙にやってしまいたい、総路線のこの延長は約四百三十キロぐらいの見当をつけたわけでございますが、そういった場合におきましては、大体これを開発するために必要な資金は約五十億ばかり必要だ、こういうことに相なるわけでございます。ところがこの流域の中におきましては、今後の電源開発との関係におきまして、当然必要な路線ということに相なるものであるにもかかわりませず、この開発着手の時期が未決定であります等の関係で、どのような時期に着工の予定をしていいかということの計画の立たないといったようなことも実は含まれておるわけであります。それからまた開設をして参ります予定路線の基幹となるような県道があるわけでございますが、そのような改修の予定につきましても、いまだこの地点においては明らかになっていない、従いましてその県道を改修することによって、初めて幹線林道の開設が意味をもってくるといったようなものにつきましては、早急にこれを計画の問題として取り上げるわけにいかないといったような事情もあるものもございますし、さらにまた大きな流域に基幹線を入れまして、それから支線を出して参る、その支線の利用地域というふうなものが従来公共事業でやっておりまするような場合の一千町歩以上、大体一千町歩前後といったような規模に上る、そういうものにつきましては現在やっております。この公共事業による林道開設の場合等との均衡を考えまして、ひとまずそのところでもってこの事業による第一段階を区切る、こういうようなことをいろいろと取捨選択して参りますというと、ただいま申し上げましたようなことに相なる、さらにそれに必要な資金量といたしまして、まあ三十億あれば大体やっていける、こういうことで実はいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/32
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033・溝口三郎
○溝口三郎君 余剰農産物は、本年度来年度で余剰農産物の処理法は年限が切れる、それでそれ以後におきましては、贈与の分については先般交換公文が出まして、今後三カ年間分の贈与額が協定になっておるのでございますが、この森林開発公団の財源で三カ年間今後予定してあるのですか。それは予算を要求なさる計画でやっておられるのですか。余剰農産物処理法の済んだあとはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/33
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034・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) そこで私どもといたしましては、いわゆる昭和三十二年度までにつきましては、一応余剰農産物の資金というものが期待できるということで、三十一年度分といたしまして十億円、それから三十二年度以降という考え方でございますが、かりに三十二年度で余剰農産物の資金の借り入れということが困難になるという場合には、三十二年度分として二十億円を確保いたしまして、三十一年度分と合せて三十億円の資金確保をはかって参りたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/34
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035・溝口三郎
○溝口三郎君 今の御説明では、三十二年度の予算に余剰農産物の借款を二十億一応要求なさるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/35
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036・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) そういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/36
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037・溝口三郎
○溝口三郎君 それは林野庁長官のただいまの一応の計画であるのですか、農林省としてこの説明を伺いたいのですが、余剰農産物の取り扱いは、将来外資導入によるこういう事業については三十二年度以降は不確実だから、三カ年の事業の分を来年度で全部借款の申し込みをするのだというような取扱い方針はきめておられるように承知してもいいのですか。私の伺いたいのは、そのほかに各種の事業がある。御承知のように外資導入の事業で計画を始めたものは愛知用水、それから農地開発機械公団等それぞれ五カ年計画、六カ年計画で相当多額の資金を要するものがあるが、そういうふうなものについて、どうも私は愛知用水、それから農地開発機械公団の設立の当時にも大蔵省に伺ったが、今後の借入の見込みについては明答がない。そのときの国際情勢等によってどうなるかわからぬというようなことではなはだあいまいなのだ。そこで贈与につきましては、先般二月の十日にはっきり将来三カ年は毎年度四分の一ずつ減していくが、今のうちに受け取るという取扱いをやっておられるのですが、こういう計画がはっきりして三十億はさしあたり余剰農産物でやるということなら、そういうような交換公文を取りかわしてやるということをきめておられるのかどうか、そこを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/37
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038・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これは一つの何といいますか、見通しの問題にも関連してくるかと思うのでございますが、一応部内的にさらに大蔵事務当局あたりとのこの事業を実施していく上の前提的な話し合いの中におきまして、とにもかくにも三十一年度十億を確保するということと、それから三十二年度以降の問題でございまするが、かりに余剰農産物の資金が三十二年度で打ち切られるといったような場合のことを考えた場合には、三十二年度中に残りの二十億というものを確保する、それから引き続いて三十三年度以降も継続するといったような場合におきましては、予定通り三十二年度、三十三年度十億ずつということでこの資金確保に当って参らうということは林野庁当局だけの一方的な考え方でなくして、その辺の打ち合せの中で一応話し合っている一つの方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/38
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039・溝口三郎
○溝口三郎君 私まだ納得いかぬ点がありますが、それは今後別にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/39
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040・重政庸徳
○重政庸徳君 今溝口委員の御質問で、これは非常に不安定なもので、余剰農産物の金を当てにして、三十億当てにして事業を開始するというような非常に不安定な事業だと思うのです。従ってその後に、この前もちょっとお尋ねいたしたのですが、この事業がいつやめても事業を遂行した効果を減殺するようなことのない方法で一つやってもらいたいと思う。なおそれに関連しまして、これはいつ——もちろんこの法案が通れば今年度から始まるのだろうが、工事に着手するのはいつごろから着手できる御予定なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/40
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041・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 大体これは余剰農産物の資金を現実に借りることのできる時期との関連も出てくると思うのでありますが、公団が現実に発足いたしまして、そのような仕事に取り組めるのは早くて七月以降と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/41
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042・重政庸徳
○重政庸徳君 愛知用水公団は御承知のように昨年法案が通ったのだが、これはこのたびの森林開発公団とは性質が多少違うと思うのです。だが今に着工することができない。またその着工の目途も現在のところではそうはっきりいつから着工できるという目途もない。これは非常に仕事がむずかしいので、ダムとかあるいはまたダムの敷地の補償の問題とか、非常にいろいろむずかしい問題があるので、そういうように残念ながら結果になったのでありますが、森林公団は設計とか何とかという性質のものが比較的私は楽で時日を要しないように思うが、しかし負担の方面、地元の負担の方面になると、私の想像では均一的負担ということはおそらくできぬだろうと思う。その利用価値によって負担するというような問題が生ずるだろうと思うのです。ところがその負担の対象となるものはこれは個人ですか、あるいは森林組合というものか、あるいはまた県が代位をして責任を持つ、こういうことになるのか、この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/42
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043・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 要するにこの受益者の負担ということになるわけですが、やはりどこまでも負担をするものは受益者という考え方でありますので、これは法律の二十五条の第一項に規定をいたしておるわけでございまするが、これらの林道の開設、改良等によりまして、現実に利益を受けるものがやることで、多くの場合におきましては森林の所有者ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/43
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044・重政庸徳
○重政庸徳君 それは当然だろうと思う。いわゆる私が申し上げたのは、県が責任を持ってそういう負担というものを引き受ける、そうして県は受益者から徴集するのは当然だろうと思う。その点をお伺いいたしたのでありますが、なおその受益者はその負担の区分というようなものもすでに決定して了承しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/44
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045・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これはあくまでもやはり公団がこの負担金を徴集をするということにいたしておるわけでございます。それから今のお話のように現実に受益者からどのような負担区分によって負担金というものを徴集していくかということにつきましては、山の実態が複雑であり、従いまして受益の権限、その程度というものが非常にとらまえにくいものでありまするだけに、なかなかむずかしい問題だと思うわけでございまするが、私どもといたしましては、そのような場合の一案は得ておるのでありまして、これはすでに説明等もいたしまして、おおむねこれによってやっていけるような見通しは実は得ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/45
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046・重政庸徳
○重政庸徳君 そういうような受益者の負担というむずかしい問題がある。しかしまた愛知用水公団と比較すれば、受益者は資源を持っておるのだから、その点は比較的楽だろうと思うのです。三十一年度に要求いたされておる十一億ですか、十億……、そういう金が三十一年度に計画通りに私は処分できるか、遂行できるかということを疑う。その点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/46
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047・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これはもちろん先ほどの着工の時期いかんということにも非常に大きく関連して参るのでありまするが、やはり一部完工が三十二年度にわたるものも出てくるかと思いまするけれども、大よそのものは消化し得るという見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/47
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048・溝口三郎
○溝口三郎君 三カ年間の三十億の林道と造林との事業費はおのおの幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/48
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049・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 借入金は公団の所要経費等を差し引きますというと、全部林道の開設事業に当って参る、造林は先ほど申し上げましたように、いわゆる受託方式によりまして、大体二年度、三年度に出て参ります公団の余裕金の範囲内においてこれをやって参る、こういうことにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/49
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050・溝口三郎
○溝口三郎君 二月以降にいただいた要綱で、委託事業についてその当時は委託の造林事業を大体二割くらい、十億のうちの八億くらいが林道をやって、そうして二億くらいは委託の造林のように説明を承わっていたのですけれども、それは今度方針を変えたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/50
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051・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 地域におきましては、いわゆる森林所有者の状況が他地域と比べまして比較的資力のある大規模な所有者が持っておる森林が相当程度にあるということと、それから実際問題として急速に開発が進みまするということに合せて、跡地の造林事業ということを拡大して参るわけでございますが、従来の規模の伐採量に比べまして、伐採が六割程度増加するにかかわらず、造林事業の規模というものは大体三割程度しか拡大しないのじゃなかろうかというような、具体的な見通しもその後の調査によって得られましたので、最小限度ぜひとも公団で取り上げてやっていかなければならないし、やっていくことが適当であるというようなことに相なるものに限りまして、やはり委託事業をやって参ることにいたしました関係で、だいぶ面積が減ってきたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/51
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052・溝口三郎
○溝口三郎君 森林開発公団で林道の工事をやることになっておりますが、今度急速に大規模に開発をやるために森林開発公団を設立したということですが、従来は林道はどういう事業主体がやっておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/52
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053・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 多くのものは町村あるいは森林組合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/53
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054・溝口三郎
○溝口三郎君 そうすると、林道等については技術的に非常にむずかしいとか、機械が非常にたくさん要るとかいう問題はないので、ただ従来町村とか森林組合がやっておった事業というものが非常に弱いから、今度は森林開発公団でこれを実行して、その事業計画から一切を公団がやることになるわけですか。従来はそういうものの事業計画とか工事の監督とかいうものはどこでやっておったのですか。今度はこれだけの公団をこしらえて、その中に全部技術者などを入れて、そういう一切のこまかいような計画なり工事の監督を直接にやる予定になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/54
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055・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 従来はただいま申し上げますように、いわゆる事業の実施主体といたしましては、市町村あるいは森林組合ということでございまして、大体工事の設計、監督は多くの場合県がやっております。この両地域につきまして、この事業を推進していくわけでございますが、これはあくまでも奥地幹線林道という範疇のものでございまして、現在公共事業でやっておりますいわゆる一般民有林開発ということのための林道の実施につきましては、これは依然として従来通りの方式でやっております。それから関連的には、従来公共事業の中の奥地林道開発でやっておりますものも、その程度の低いものは従来の方式でこのまま両地域といえどもやって参ります。こういうことに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/55
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056・溝口三郎
○溝口三郎君 この条文の業務の範囲ですね、第十八条ですか、第一項は直接林道の開設、改良事業を行う、その次の第二項については、地方公共団体、森林組合等の委託によってこの林道の開設、改良の事業を行う、これには何か規模の標準があるのですか。そういうものはまた将来付帯事業でやっていく計画なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/56
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057・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 御承知のように従来林道の開設の事業は公共事業でやっておるわけでございますが、その場合に奥地幹線林道というものとそれから一般民有林開発林道と、この二つのものに分れております。それで奥地幹線林道と称しますものは、もよりの市場から大体二十キロ以上奥地にある森林でありまして、そしてその林道々利用する森林の地域が千町歩以上というものがこの奥地開発林道ということでやって参ったのであります。それ以下のものでございまして、もよりの市場から大体十キロ以上というものを一般林道と、こういうことで二建の方式でやって参ったのであります。それらの仕事はいずれも地方公共団体あるいは森林組合の事業として実施される、こういう格好で参ったのでありますが、そこで今回この公団によって取り上げようといたしております事業対象でございますが、これはいわゆる奥地幹線林道と、こういうふうに言われる性格のものだと思っております。そこで従来の取扱いでございますが、この種のものは公共事業でやって参ります場合におきましては、先ほど申し上げました奥地開発林道というものの全路線の中で、その約一割に相当するというものにつきましては、これを奥地幹線林道と称しまして別建てな扱いをいたしておったわけであります。普通の奥地開発林道の場合におきましては国の負担が五割、府県が一割、受益者が四割でありまするのに対しまして、奥地幹線林道と称しますものは国の負担が六割、府県が一割、受益者が三割、こういったような負担区分によりましてやっておったのが従来の公共事業による林道の開発の事業でございます。その中のいわゆる奥地幹線林道に相当いたしまするようなものがこの公団で取り上げようとする対象に相なるわけであります。従いまして、それ以下の規模のもの及び一般民有林開発林道と称されるものは、いずれも地方公共団体あるいは森林組合が実施する林道として残るという建前でございます。従いまして、そのような事業の委託を受けてこの公団が自分の本来やる林道開設のほかに自分ができるということをここで規定をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/57
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058・溝口三郎
○溝口三郎君 土地の所有者の委託によって造林事業を行うということが業務の範囲にありますが、先ほどのお話で、今年度は準備が間に合わぬからやらぬというお話でございますが、今後おやりになるにどういうような委託の条件でおやりになるか、考えを伺っておきたい。
それから私のお伺いしたいのは、先ほど重政委員からも質問がありましたように、農地開発機械公団は昨年発足しておるのでありますが、今もって委託事業というものは契約ができないのです、むずかしくて。土地の所有者と公団、県との間が事業費の分担というようなことになると、相当に困難があるのであります。どういう方法でやったら一番いいかということが今もって見当がついていない。この造林の委託についてはどういうような方法でおやりになるお考えなんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/58
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059・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これは実は造林の委託事業とこう申しておりますが、考え方といたしましては、いわゆる自力造林の一変形であります。自力造林と申しますのは、現在国が三割、それから府県が一割、それからいわゆる造林者が六割、こういったような持ち前によりまして本人が造林をする、これがまあ今造林事業をやっております一番ティピカルな方法であります。公共事業としてやっておるわけであります。そこで国が二割、府県が一割、合計いたしましていわゆる本人以外のものが四割の補助金を出すわけであります。これは要するに平均において四割ということでございまして、実際問題といたしまして運用の面におきましては、対象によってさまざまな区分をいたしております。補助金の率をいろいろ変えておりますが、大体一割八分ないし六割ということで大体平均の四割という姿でやっておるのであります。それでそういうことでやっていく造林方法でございまするけれども、ただいま申し上げまするように、非常に奥地の関係でもって、たとえば労務の確保の面についてなかなか具体的な見通しがつかないとか、あるいは天然生林を伐りました跡地の造林事業でございまするので、従来そういった場合の造林経験がないといったようなことで、自分の責任でやるものを一つ公団に委託してやってもらおうじゃないか、こういうふうなケースが今までしばしばあります。同時にそういう地域は開発の目的からいたしましても、できるだけすみやかに造林をする必要があるということで、一応その契約というものの締結の可能な対象があるに違いない。その場合のやり方でございますが、国はその地域につきましては、大体四割を負担することになっております。それから都道府県は同じように一割、従いまして、合計五割というものは補助金の形でその土地の造林事業に出るわけでございますので、そのいわゆる出る国及び都道府県の補助金というものを公団が代理受領をいたしまして、そうして公団に収納するわけでございます。そこで残余の本人の負担である五割の問題でございますが、これは年利四分五厘で一年据置きの十五カ年間の均等償還ということでもって、造林したときからずっと年賦償還で金を公団に納めさせる、こういうことにいたしたいのでございます。従いまして、普通それが自力でやります場合におきましては、補助金はそのまま自分のものになります。そうして残りのものを自分の経費で負担して造林をやってしまう、こういうことになりますので、自分のものとして受け取ります金は公団に納める、そうして公団がやって立てかえてくれるものにつきまして、ただいま申し上げますような四分五厘の一年据置き、十五年の年賦償還でもって自分の負担すべき部分のものを公団に償還していく、こういうことで造林をやって参ります。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/59
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060・溝口三郎
○溝口三郎君 それと同じ方式で一回公団に、これは東北、北海道でやり始めておるのだが、今もってそういう問題が解決つかない。それは非常に困難な問題だと私は思う。何か別途に考える余地があるかどうかと思って伺ったのですが、それは従来は四割なら四割の補助金をもらって、あとの六割は自分で農閑期にかけてやるとか、まあ年限をかまわずにやっていた。それが今度委託をすると、その六割の分を公庫等から借金をして、そして公団にそれを納めないといけない。それがどうしても話がつかないという問題が現実に行われておるので、そういう点について何か委託制度を別途に考えないと私は動かないのじゃないかと思う。
なおそれと関連してお伺いしたいのは、この林道を開設いたしまして、そして森林の伐採をやった、その跡地に造林をやるということになるのですが、林道を開設する場合にこういう条件でやったのだが、それで森林を伐採した場合にそれの造林をするというようなことについて何か条件をつける、どうしても造林をしなければいかぬというような条件を受益地区につけるようなことはできるかできないか。そうすれば自然に委託をすることにならざるを得ないようなことになるのじゃないかと思います。林道を開設するには無条件で適地があればやっていくのか、その点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/60
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061・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) この委託造林ということの範囲の問題でございますが、これは委託造林の形式のものは初めてでございます。ただ、今御説明申し上げましたように、いわゆる国及び都道府県から補助金をもらいまして、そうしてまあ残余のものは自己資金で自力造林をやっていくという場合におきまして、自己資金の調達ができない場合にはやはり公庫からの融資を受ける、そういう造林例は非常にたくさんございます。要するに自己負担分の八割に相当するものが融資されることになっておりますので、この融資を受けまして造林をやっておるという事例は実はあるわけであります。そこでそういう形のいわゆる造林の一変形がこの委託造林ではないかというふうに考えておるわけであります。それからもう少し安全な方法はということでございまするが、従来私どもの方といたしましては、いわゆる公有林野の百行造林、こういう事業をやっております。市町村の土地に地上権を設定いたしまして、国が全部造林をいたしまして、そうしてその収穫時に分収をするとあらかじめ契約の上にうたっております。歩合によりまして分収をすると、実はこういう方式による造林の経験は相当持っておるわけであります。ところが、そういう方式でやりますると、収穫したものを分収するということになりまするので、収穫時点まで少くとも三十年ないし四十年はかかる、非常に長く双方の間の関係というものが持続されるということになりますので、その点からどうも分収方式をとりにくいということで、実は今申し上げたような委託による造林という方式を取り上げたわけでありまするが、大体この林道開設によりまして新しく造林を必要とする地域が出て参ると、そのうちの一部分を取り上げてやるということであります。従いまして、要するに林道の開設によりまして伐採が行われる、要するに受益があるという前提に立っての問題でございまするし、先の説明にも申し上げましたように、この地域の森林所有者は比較的経済力を持っている者の森林というものが相当この面積を占めておりますので、いわゆるこの委託方式による造林も相当程度に私どもは期待し得るものと、かように私は見込みをつけているわけでございます。そういう間の問題につきましては、この段階の問題でございまするが、いわゆる従来の受益者になる者の間にいろいろな話し合い等もいたしまして、そういうことであればわれわれとしても喜んでやってもらえると、こういったような話も実はあるわけでございます。そういう声も取り入れまして、こういう方式にいたしたのであります。
それからもう一点の問題でございますが、要するに伐採をいたしました跡に必ず造林をしなければならぬといったような義務づけをするということでございますが、ちょっとこの公団法の中でそれを取り上げることは非常にむずかしい問題じゃないか、かように考えております。ただ森林法におきまして、一応伐採後二年以内に造林しなければならぬということで、状況によりましては、代理執行もできるような規定も実は設けられておるわけであります。そういうものを発動しなくても、現在造林事業は思惑通りに進んでおりますので、私どもといたしましては、そう格別にそういうことをやらなくてもやっていけるのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/61
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062・溝口三郎
○溝口三郎君 森林開発公団は、一応の資金計画としては三十億で林道の開発をやると書いてある。なおその後もこれを続けてやっていかれるようですが、相当大規模に事業を行うについて、一応三十億について工事費、事務費、それから機械の調達費の程度、およその資金の区分はどういうことにしたのですか、伺いたい。私の申し上げるのは、工事費のうちに相当大規模に急速にやっていくために、機械器具等か相当に要るのじゃないかというように考えて、大規模の機械等によって急速に事業をやるのじゃないか。三年くらいでやめてししまうということなら機械を買う必要も私はないと思う。そういうので事業計画を立てるのに、工事費のうちに機械の調達費というようなものがどの程度に組まれているか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/62
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063・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) これは公団みずからが事業計画をいたしまして、各路線につきましての、いわゆる設計はいたすことになるわけであります。工事は全部請負でやらせる、こういうことにいたしたい考えでおります。そのいわゆる指導監督だけを十分にするということで、工事は全部請負に出す、こういうことでございますから、従いましていわゆる機械購入費のようなものは、この事業計画の中にもくろんでおらないわけであります。ただ資料の八十四ページに出ておるわけでございますが、全体計画の中で工事費、設計監督費ということに分かれておりまして、工事費が二十七億一千八百万円に対しまして、設計監督費を一億三千二百万円計上して、合計二十八億五千万円ということになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/63
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064・溝口三郎
○溝口三郎君 工事は原則として請負に出すというような話ですが、請負にしても、相当に私は機械が利用されれば早くもできるし、安くできると思います。開拓等については、直接事業所等で機械を設備して、それを請負に使用料をとって入札をさせる方式が建設省でも行われておるのです。だから森林開発公団で入札される場合にも、一応そういう考え方をする必要がある。そこで私の申し上げることは、これは農地開発機械公団が、本年度世界銀行から約十億の機械を買う、道路に関しての機械を。そうして国産の機械を十一億、まあそのうちには世界銀行から買う関税等も含まれておりますか、国産で余剰農産物から十一億機械費を三十一年度に使用する、そのほかに世界銀行から十億の機械を購入する、主として道路工事用の機械なんです。それで利用するのは東北、北海道で一年間を通じて百二十日よりかできない。どうしようもなくなって、それを今度法律改正をして農業用以外にそれを利用することを得るというように法律改正まで出しておる。何に使うかというと、道路に貸すとか、それから北海道では雪かきに貸すというような説明を聞いておる。同じ農林省の中で、さしあたり機械開発公団で本年度で二十億くらいの道路を主とした機械を買って、そうして利用の方法がないのです。そういうふうなものは融通すれば、これは経費等について非常に安くできるのじゃないかということを今考えておるものだから、工事費のうちにどの程度に機械を買われるか、もし買われるのだったらそういうふうなものに向くよう一部分を融通するような方法をぜひ考えていただきたいというので承わったのです。これは十分農地局等と御連絡になっていただきたい。これは御答弁は私は要らない。なお、もう一点伺っておきたいのは、吉野、熊野地域で約二十万町歩ある。そのうちで開拓の適地というのはどのぐらいおるのかということについては、これは森林の方の見方から、今まであまりそういうことについて考えていないようなお話しを国土総合開発審議会等においても承わっているのですか、私はそれだけの大規模な森林地域内ならば、そういう開拓の見方ですれば、相当数の開拓適地があるのじゃないか。そうして森林労働者等の山奥における食糧の自給というようなことも、ある程度林道の開発と関連して行われるのじゃないかというように考えるのでございますが、林道を開発して奥地に進むに従って、なお集団地で相当程度の集団の開拓適地は、これは吉野、熊野地域内にもあるように聞いておる。こういうものを一緒に総合開発をやって、機械公団の機械を利用して、そうして事業費を総合的に使用していけば、森林の開発と同時に、開拓等の総合開発ができる余地が非常に多いのじゃないかと私は考えておる。こういう点について従来農林省として総合開発のようなことをお考えになったことがあるかどうか、またなければ早急にこの事業に着手するについて一貫した総合開発のような計画を立てていくようなことを考究していただきたい、これについて林野庁長官の御意見をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/64
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065・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) 御説のように相当大規模な森林地域を包括しておる流域でございますからして、そういった対象地というものがかなり含まれておるのじゃないか、こういうことも考えるわけでありますが、私どもといたしましては、この吉野川の流域及び熊野川の流域につきましては、いわゆる特定地域の総合開発計画というものが相当進んでおりまするので、その内容につきましていろいろ研究をその面についてやってみたわけでございまするが、両者の計画からいたしますと、いわゆる開拓適地ということで掲記されております地域面積というものは非常に少いのでございます。私ども調べたところによりますと、奈良県関係の分で二百七十三町歩、三重県関係が五十四町歩、和歌山県が二百五十五町歩、合計五百八十二町歩というのがいわゆる熊野川の特定地域の総合開発計画の中に掲記されております開拓の可能な面積でございます。これにつきまして、いろいろ具体的に現場の調査もやってみたのでございますが、奈良県分につきましては、少くともこれは私どものこの計画の対象外の地域のものであるということがやや明らかになったようでございます。
それから剣山の関係につきましては、ほとんど部内の関係者とも話し合ってみておりまするけれども、開拓についての問題は出ておらぬようでございます。従いまして、この段階までの調査というものの範囲におきましては、今のお話のようなものが相当大きく取り上ってくることがあり得ないように考えるわけでございますが、何としても林道、道のないような奥地のところでございますからして、今後道がつき、調査がさらに詳細、具体的になりますというと、そういう問題が出て参るのじゃないかと、従いまして、十分関係当局の間で連絡をとって、いわゆるできるだけ総合的な開発ということで事柄が進みますようにやって参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/65
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066・溝口三郎
○溝口三郎君 ただいま長官から御説明があったんですが、私もこの問題について関係府県の方々と御懇談をしたことがあるのですが、やはり見方が全然林業の方々は開拓のことは考えたことがないのだ、あの奥地については、これはもう開拓の対象地域外だというようなことで、ほとんど開拓というようなことについては見のがされているのです。たれも考究する人が今までは私はなかったと思う。そこで、どこかが中心になって、せっかくこれだけの三十億の事業費をかけて林道の開発をするなら、その伐採跡地についても、私に森林労働者の食糧の自給程度の酪農地帯ぐらいは、その行く先々の所にできるのじゃないか、二十万町歩のうちにはその程度のものはできるのじゃないかというように考えるから、ぜひこれは総合的に関係各局が一緒になって計画を進めていただきたい。だれも関係外だというようなことで今までは私は考究していないのじゃないかという意味から、今御意見をお伺いしたのであります。ぜひその問題は総合的に計画を進めるように取り計らいをお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/66
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067・石谷憲男
○政府委員(石谷憲男君) ただいま申し上げましたのは、いわゆる総合開発計画の資料の中からの数字を申し上げたのでございまして、私ども一方的な調査というわけじゃないのでございまするが、ただいまお話しのような趣旨を体しまして、十分に研究をしていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/67
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068・棚橋小虎
○委員長(棚橋小虎君) 本日の質疑はこの程度とし、残余のものは次回に譲り、本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X02919560413/68
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