1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年五月十五日(火曜日)
午後二時十七分開会
—————————————
委員の異動
五月十日委員一松政二君及び奥むめお
君辞任につき、その補欠として石川榮
一君及び上林忠次君を議長において指
名した。
五月十二日委員上林忠次君辞任につ
き、その補欠として奥むめお君を議長
において指名した。
本日委員石川榮一君、秋山俊一郎君、
池田宇右衞門君、小西英雄君、長谷山
行毅君、長島銀藏君及び奥むめお君辞
任につき、その補欠として一松政二
君、藤野繁雄君、紅露みつ君、伊能芳
雄君、榊原亨君、小沢久太郎君及び杉
山昌作君を議長において指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
理事
青山 正一君
重政 庸徳君
戸叶 武君
三浦 辰雄君
委員
伊能 芳雄君
小沢久太郎君
紅露 みつ君
榊原 亨君
藤野 繁雄君
東 隆君
河合 義一君
清澤 俊英君
溝口 三郎君
政府委員
農林政務次官 大石 武一君
農林省農地局長 小倉 武一君
農林省畜産局長 渡部 伍良君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
農林省農地局参
事官 戸嶋 芳雄君
—————————————
本日の会議に付した案件
○委員長の報告
○農地開発機械公団法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/0
-
001・戸叶武
○理事(戸叶武君) ただいまから農林水産委員会を開催いたします。
まず、委員の変更について御報告いたします。五月七日一松政二君が辞任され、石川榮一君が選任され、五月十日奥むめお君が辞任され、上林忠次君が選任され、五月十二日上林忠次君が辞任され、奥むめお君が選任され、本日奥むめお君、石川榮一君、秋山俊一郎君及び池田宇右衞門君が辞任され、杉山昌作君、一松政二君、藤野繁雄君及び紅露みつ君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/1
-
002・戸叶武
○理事(戸叶武君) この際、御報告申し上げて御了解を得たいと存じます。それは去る五月十日の委員会において、凍霜害に関する現地調査のため五月十二日から十四日あるいは十五日までの間に、二班を組織して、福島、群馬、栃木、埼玉、山梨、長野、愛知、岐阜及び静岡の各県に委員派遣を行うことに決議され、せっかく準備に取りかかったのでありますが、その当時の当院の議事の都合によって、予定通りの実施が困難になりましたので、緊急委員長及び理事の打ち合せを行なって委員派遣をとりやめ、出張予定県知事に対して、「今回の凍霜害まことに遺憾にたえません。衷心お見舞申します。さっそくお見舞かたがた現地調査のため議員派遣を計画せるも本院議事の都合により取りやめなけれならないことになりました。あしからず御了承をお願いします。善後措置についてはできるだけ善処したいと考えています。参議院農林水産委員会」という文案の電文を打っておきましたから、御了承をお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/2
-
003・戸叶武
○理事(戸叶武君) 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
本法律案は今日十日、衆議院において全会一致をもって可決され、当院に送付、当委員会に付託されました。本法律案の取扱いについては、先日の委員会における取りきめによって、本日の委員会におき、残余の質疑を終り、直ちに討論、採決を行うことにいたしますから、御了承をお願いいたします。御質疑の向きは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/3
-
004・溝口三郎
○溝口三郎君 農地開発機械公団法の一部を改正する法律の衆議院の採決の除の付帯決議のうちで、「政府はこの際、公団の運営については全面的に再検討し、公団設置の所期の目的を実現するにいかんなからしむべきである。」という前文がついておりますが、機械公団が昨年の十月発足しまして以来、いろいろの準備をしていられるとは考えますが、今もって機械公団本来の事業着手には至っていないのでございますが、今回その上になお乳牛の導入の業務を機械公団で取り扱うことになったということについて、衆議院でこの法律の改正案が難航していたようでありますが、付帯決議にただいま私が朗読いたしたような文句があるということについて、まだ明確になっていない点があると思いますが、政府はどういうふうに再検討することについて解釈いたしておるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/4
-
005・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 衆議院の付帯決議におきまして、公団の運営につきまして全面的に再検討し、もって公団設置の本来の目的実現に遺憾のないようにというのが趣旨でございます。ただいまその点に関するお尋ねでございますが、実は衆議院におきまして、この点について具体的に所期の目的を実現するために必要な措置が何であるかということについては、必ずしも深く審議がございませんでしたので、衆議院の農林委員会におきますところの具体的なお考えについては、十分私どもも承知しかねるのでございますが、まあお話のように、公団が設立になりまして今日に至るまで、公団本来の機械開墾ということについての仕事が、まだ実施の運びに至っていないではないか、それに新しく、機械開墾とは直接に関係がなくと申しますか、あるいは当然に公団の仕事であるというふうには必ずしも考えられない乳牛の導入という仕事を公団にさせるということについて、若干の危惧があるのではないか、そういうことをするのは、何か公団に運営上うまくないところがあって、それを補強するという意味があるのかないのかといったようなことが中心になりまして、御質疑がございました。そういう点から公団のあり方についてはやはり再検討する必要があるのではないか、こういうお示しではなかったかと思うのであります。私どもも衆議院農林水産委員会のお示しを待つまでもなく、公団発足してから今日に至るまで、まだ借款も成立しないし、従いまして本格的な仕事に着手できないのがはなはだ遺憾でございますが、経過を申しますと、借款につきましては、ほぼ世銀関係等は大体のところの了承を見ておりまして、具体的な借款の契約草案が近く世界銀行の方から日本に送付されることになっております。それを検討の上、よろしければ調印するというところまでは至っておるのであります。なお、開墾の時期のこともございますので、借款を待ってから開墾機械を輸入するということでは時期を失しますので、便宜的な措置といたしまして、借款が成立するという条件付でもって、便宜的な手段といたしまして、乳牛の方の手配もいたしております。そういう段取りになっておりまして、時期的にはおくれないようにできるつもりでおりますけれども、全体の仕事は今申しましたようなことになっております。そういったようなことで、必ずしもスムーズにいっていないのではないかということでございますが、私どもといたしましても、今後公団のやり方につきまして、なおよい方法がございますれば、全面的に再考いたしまして、法律施行の上に遺憾のないようにいたしたいと思っております。
人員の点、あるいは機構の点、その他についても検討をすべきではないかという議論もあったのでございます。ジャージー種導入に伴ってそういうことが今後どういうふうに運ぶか、なお十分の予測はできませんけれども、今のところのことを申しますと、具体的に今後衆議院の御決議によりまして、こうするのだ、ここはこう直すのだというところまで実は考えが及んでいないのでありますが、今後私どもは付帯決議の趣旨に準じて措置をしていきたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/5
-
006・溝口三郎
○溝口三郎君 小倉さんの御説明でまだはっきりしないのですが、公団の運営については全面的に再検討をするということは、公団が現在まで事業が進捗しないでいるから、それの内容についていろいろな問題があって、不健全だから健全化するようにという問題もあったように承知しているのでございますが、この付帯決議に書きましたことについては、これは根本の目的が、機械公団が乳牛を輸入するということを本来の目的にするのか、何ゆえに機械公団が乳牛の導入をしなければいかぬかということについて、はっきりしていない点があると考えるのでございます。政務次官は、衆議院の速記録で読みますと、森林公団でもどこでも、世界銀行からの借款をするにはどこでもいいのだけれども、酪農の関係もあるから、便宜上機械を買うについて世界銀行の借款をしている機械公団があるから、便宜上やらせるのだというようなふうなお考えでいるのではないか。畜産局長の御答弁は、この提案理由にもあるように、機械開墾地区を含んでいる集約酪農地帯に導入するのだ、だからことしは機械開墾地区には入れないけれども、その周辺に入れて、将来生まれた子供を機械開墾地区に入れるのだ、だから機械開墾地区の間接の農業の継続を考えるために機械公団に入れるのが至当だ、なおその周辺の集約酪農地区に導入する、そうして十三年間に十万頭の計画を持っているのだが、さしあたり五千頭を三年計画で世界銀行から借款をして、根釧地区、上北地区周辺の酪農地帯に入れるというふうな御説明を聞いているのでございますが、この十三年計画で十万頭のジャージーを導入することは、畜産行政としてこれは農林省でやられることを、さしあたり五千頭の世界銀行の借款を、機械公団が機械等を買うことになっているから便宜上入れる、一体十万頭計画については、これは将来できれば世界銀行から借款してやるのか、それは何地区ぐらいになるか、この提案理由では、機械公団地区に導入するためにその周辺に入れるようになっておりますが、将来とも酪農地帯には、中心点に機械開墾地区というものを拡大していく計画を持っていられるのかどうか、その点はっきりしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/6
-
007・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 少し順序が変るかもしれませんが、お手元にお配りいたしております資料の中の十ページ、十一ページをちょっとごらん願いますと、ジャージーの年次別増殖計画というのが十ページから十一ページにかけてあります。これによりまして、二十八年からジャージーを輸入してきておるのであります。二十九年千八百頭、三十年千八百頭、三十一年二千五百頭、それから三十六年までおのおの二千五百頭を入れまして、一万九千二百頭を入れて、これに大体二百頭に一頭の割の種牡のジャージーを入れまして、昭和四十年までに増殖によりまして十万頭余にしたい、こういう計画にしているのであります。現在までのところは、岩手山ろく、八ケ岳、日高、十和田、静山県の富士、それから岡山、浅間山ろく、それから宮崎県の霧島、この八地区に導入しておるのでありまして、大体私どもの考えでは、それぞれの地域の集約度を一地域五千頭見当まで持っていきたい、こういう考えでおるのでありまして、この計画は大体農林省で今持っております乳牛の計画としましては、百万頭、一千万石の乳という計画の一環としてこれを入れたい、こういうふうに考えておるのであります。
今の地域のほかに、これに似た、いわゆる市乳としてよりも原料乳として、濃厚飼料を使わないで、豊富な草資源を使ってやる地域というものをさらに数カ所考えておるのであります。具体的の地域につきましては、たとえば阿蘇山ろく地帯でありますとか、那須の山ろく地帯でありますとか、あるいは北海道の東の方、そういうような所を順々に考えてきております。さしあたり三十一、三十二、三十三年度にかけまして、おのおの二千五百頭ずつを入れるという計画にしておるのでありますが、残りも可能ならば、あるいは世界銀行の融資を受けて輸入することにしたい、こういうふうに考えております。先ほど申し上げましたように、現在の機械開墾の地区では面積がまだ小さいのであります。最初の計画の完了を待って、引き続きその周辺に機械開墾の地区を広げていき、そこにジャージーを入れるのがいいのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/7
-
008・溝口三郎
○溝口三郎君 畜産局長の説明ではっきりしないところがありますが、現在は二地区あるんでしょう、機械開墾地区は。本年度の乳牛を買い入れたものはその周辺の地区に入れるんだ、それはただいままでの八地区あるもののほかにそういう地区ができたのか。それからただいまお話しのように、将来は阿蘇山ろくや、那須山ろく、この集約酪農地帯へジャージーを導入する、それはその地帯には将来も機械開墾地区を中心に置くのかどうか、そこは考えていられるのか。私の伺いたいのは、ただいままできまったのは機械開墾地区と称するのは二地区だけです。それに乳牛を導入するのが目的なような御説明があるが、将来はそういう機械開墾地区でなくても、酪農地帯に乳牛を入れるために農地開発機械公団が乳牛を入れる業務をやるのかどうか、その点をはっきりしておきたい。機械開墾地区に関連があるから入れるというのか、なくても入れるのか、一方畜産行政の取り扱うことになるのかどうか、そこが明確でなかった。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/8
-
009・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 現在のところは、今申し上げましたように、さしあたり五千頭のものを機械開墾地区との関連において入れることにしております。将来の問題につきましては、われわれの希望としては、世界銀行から引き続いて融資を受けて導入したい、こういう希望を持っております。もしそれが許されるならば、やはり機械公団を通じて、引き続いて業務としてそのほかの地域、すなわち先ほど申し上げましたような既存の地域ももっと増さなければいかぬわけでありますが、そういうもの、それから新しく選定される地域、それの分も昭和三十六年までに入れる。先ほど申し上げました計画の分は、やはり世銀の融資が得られるならば、機械公団を通じてやりたい、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/9
-
010・溝口三郎
○溝口三郎君 世銀とさしあたり五千頭、八十八万ドルだけの契約をしたんだ、それ以後は全然話はしていないんじゃないかと考えます。それから現在の機械開墾地区二地区は、本年度から今後順調にいけば、二カ年ぐらいで済んでしまう、機械は導入したんだが、その後世界銀行からできれば借款をしていくが、新しく今まで導入した機械で、機械公団が機械開墾地区というものを拡充していく計画は、農地局は持っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/10
-
011・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) ただいま着手いたします二地区のほか、それが完成するに引き続きまして、他の地区に当然仕事が及んでいくというふうに私ども考えておるのでありまして、その地区はまだ正式には決定したというわけではございませんけれども、岩手の二戸平原でございますとか、あるいは北海道の床丹第一地区という、そういったところが今の二地区に続く地区、こういうふうに予定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/11
-
012・溝口三郎
○溝口三郎君 現在の決定になっておる二地区は、二、三年前から世界銀行がきて交渉をして、予定になっておるのだが、今もって私は明確な事業費とか、委託に要する手続ということができてないから、事業が進捗してないのじゃないか、これが順調にすべり出していけば、一年くらいであのくらいの地区は済んでしまう。そのあと機械が遊んでしまうようじゃ困るのだ。計画的に乳牛を導入して、機械公団地区の周辺に酪農地帯を拡充していくような計画を畜産局で持っておるのなら、この際急速に北海道の開発地区なり、岩手県の開発地区に具体的に調査費を計上して、すみやかに調査に着手していって、この地区が将来の第一次の候補地区だというようなことをできるだけ早く農林省は決定して、基本的な方向に進んでいかれるようにしていただきたい。こういうものを決定するのは農林省が決定するので、そしてそれで建設工事費の予算を取り、そしてその中に入植者を県がきめて、その以後機械公団は入植者の委託を受けて事業をやっていくということになると、機械を持って借金をしているのは公団なんだ、そして決定するのは、農林省が第一に地区を決定しなければいかん。畜産局の方は、十年計画で十万頭、二千五百頭づつ入れていくのだが、その地区は機械開墾地区と全然離れた地区をやっていくことになると、この法律改正の目的がどうもはっきりしてないのじゃないかというふうに考えるが、営農と建設工事と、それから乳牛のようなものと三位一体だという説明をしておる。その説明だけでは結びつくことができないと私は考える。こういう点について、やはり根本的に運営等を再検討するというようなことがあったのですか、農地法等にとらわれずに、機械開墾地区というようなものは国でやろうと、公団でやろうと、県でやろうと、どこでやってもいいのですが、ほんとうに一つになって、ほんとうにすみやかに事業をすべり出してやっていくようになると、みんな横を向いたやり方でやっているように考えられるが、おそらく私は衆議院の付帯決議の前文もそういう点を明確にするという点が入っているのじゃないかと考えるが、すみやかに機械開墾地区の第二次の開墾地区というものについて、具体的に乳牛導入と同時にきめていただくように、お願いをしておきたいと思います。
それからこの乳牛を導入する事業が機械公団の業務になってきた、世界銀行から借款をして乳牛を購入して、そうして横浜へ来て検疫が済んだならば、一応公共団体に売り渡すのだ、そうして機械公団は借金をしてくるのだと、購買は理事長の名義でやるかもしらんが、一体その業務は理事長はそれに関連しているのかどうか、全然この有名無実なことなんです。で、その二千五百頭ぐらい毎年導入して十万頭にするというのは、畜産局の計画なんで、畜産局がほんとうにやっていればいい、借金だけ公団がやっていて、あと全部手続は全然公団はそれに関係してない。どこかで統一して畜産局でやったらいい、必要があればその機械公団とか、この法律を改正したならば、業務を有名無実でなしに、将来十年にわたってやっていくとか、そういうように規制していくことは今考えておられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/12
-
013・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 乳牛の輸入の業務のやり方でありますが、公団は豪州、ニュージーランドから現地で買ってくる。これを導入地の管轄府県に売り渡して、府県から飼育者に売り渡すと、こういうことになるのであります。実際のやり方は、公団は代金を輸入先に、購入先に払う仕事と、販売先から代金を取り立てる。その購入の際には輸入国の通貨を世界銀行から借りる、その借りたものは公団があとで取り立てた中から返していく、こういうことをその責任を持つのであります。しかし何様遠方でありますし、従来農林省の専門家を輸入先の牧場に派遣して、これは輸入牛の資質の問題、あるいは疾病が日本に入らないようにそれを防止する問題等、重要な問題がありますので、農林省の技術官が選定したものを、そうしてそこで農林省の技術官が何といいますか、太鼓判を押したものを買う、その輸送等は商社に入札で請け負わす、こういうことにしているのであります。このやり方も私はいろいろ疑問があると思うのでありますが、さしあたりとにかく二カ年でもって五千頭だけの問題が世界銀行との間で話が出ているのであります。ただいま申し上げたような方法でやることにしているのであります。将来私どもの方の十年後に十万頭にするという計画を、引き続いてはっきり世銀の方が、今回実施することを契機として、あともやってくれるのでありますならば、お話のようなあるいは公団に専門家を雇って、その人を現地に派遣するというようなことも考えなければいかないかと思いますが、さしあたりの問題といたしましては、ちょうど切りかえの時期でもありますから、実際の乳牛の選定等は農林省の技術官を派遣してやらす、あとの代金の決済、輸送、そういう責任を公団でやらしてもらう、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/13
-
014・溝口三郎
○溝口三郎君 乳牛の選定は農林省の購買官が選定をして、そうしてそのときに、選定をすると同時に、多分その乳牛を買ってくる価格も決定されると考えるのであります。いまの政府で買ったものを商社が輸送するのだ、たれが買うかということは私はどうもはっきりしてない。購買官が公団の委託を受けて買うのか、公入札でやるのか、公団は全然手を出していないから、こういう法律をこしらえてもおかしい。だれが、どういう人の名義で、どういう手続で買うのか、公務員が公団の理事長から委託を受けて買うのか、公入札でやるのか。そして、この乳牛の価格を引き下げることを努力せよというのは、これは具体的にどういう努力をすることを言うておられるのか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/14
-
015・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 購買の責任は全部公団で負うのであります。そこで、現地の乳牛の価格は、農林省から派遣いたします購買の選定官に決定させようと思っております。あとの牛の何と言いますか、現地の価格がきまりまして、それからあと船積み、あるいは飼葉をやり、こちらへ持ってくる、そういう費用は、従来と同じように、公団がそれぞれの商社に入札で請け負わせる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/15
-
016・溝口三郎
○溝口三郎君 私は、購買の手続についても、まだ今の説明では納得がいかないのですが、会計経理等について将来とも間違いのないように、十分に研究の上に適正な方法をとってやっていただきたいと考えるのであります。
それから、今公団が五千頭とにかく買い入れる。そして、それは世界銀行から五分で十五カ年の借款で借りる。衆議院の付帯決議によりまするとです、農林省の計画は、五分で償還十年で県から償還するようになっておりますが、これを大体見合うように、もっと具体的に言えば、やはり県から取るのも五分で十五カ年で取る、そうすると全然公団は手数料もないことになる。そこで、もし、この乳牛を酪農地帯や開墾地帯に入れた場合に、不測の障害があって償還が十分農家にできない場合に、この損害は公団が負うのか、どうなるのか。公団が赤字になったらその赤字はどういうふうにするのか。そして、手数料等が要るが、それは公団はどういう経理で出していくのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/16
-
017・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 公団が都道府県に売り渡して、都道府県から農家に売り渡す、こういう格好になっております。従いまして、かりに農家の償還がおくれた場合には、第一次的には都道府県が責任を持ち、第二次的には公団が持つ。そうして、そのいずれでも処理できないものは、結局公団に対して政府が責任を持つということになると思います。普通の状態でありますれば、須調に償還ができるものという計算でやっておりますが、ただ災害もありますでしょうし、牛の病気もありますでしょうし、いろいろな事由がありますので、そういうものは、公団との売り渡し契約の中に、そういう事由を掲げまして、条件の緩和の規程を置くことにいたしたいと思っております。なお、公団は、何と申しましょうか、一種の政府の代行機関の性格を持っておりまするので、公団のやむを得ざる損失というものは、当然政府がこれを補填しなければならない、こういうふうに考えております。
それから付帯決議の二の借入条件と償還条件の期限の相違は、これは少し私の方の説明が不十分なのであります。国際復興開発銀行には十五年で貸してくれと、こういう要求をしておるので、まだ最終的にきまっていないのであります。そうして向うはあるいは十年という説も出ておりますので、ひょっとすると十年になるかもしれない。しかしこちらの償還計画としてまだきまらないものを有利に計算してはあとの計画が狂いますので、十年であれば間違いありませんから、十年という償還期限で営農の見通しを立てておるのであります。従いまして、公団が世界銀行に対して要求しておる十五年が通りますれば、農家からの償還期限もそれに見合った期間にして、なお農家の負担が少いようにできるのであります。もしわれわれの要求が通らなくて十年になりますれば、やはり償還期限も十年になる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/17
-
018・溝口三郎
○溝口三郎君 ただいまの畜産局長の説明で了解いたしたのでございますが、今度の乳牛の導入について、機械公団は政府の代行機関の性質を持っておるのだ、だからその損害等があった場合は、当然政府がこれを負うべきだということではっきりした。これは、公団の理事者は衆議院の参考人としての答弁等で積極的に喜んで言っておるが、どうもはっきりしない点がある。私は十年十万頭計画を農林省で持っていられて、その便宜上公団に代行させるんだ、だからそれについて将来の不測の障害等があれば、これは当然政府が負うべきで、公団は手続をやる程度にすぎないというふうにはっきりしておく必要があると思いまして、お伺いしたのであります。
なお、それに関連しまして、機械公団法の第二十七条でございますが、世界銀行に対して当初三十一億七千万円の政府保証をした。その当時におきましては、篠津地区に十億、機械開墾地区が三億七千万円、十三億七千万円に対して償還の保証が三十一億七千万円、そうすると、今度八十八万何千ドルの乳牛を買い入れるのですが、その保証はどういうことになる。この関連を伺いたいのと、政府保証をした場合に、今のような農家から償還回収できないような場合は、この中から公団は世界銀行に返していけるということになるのか、そういう具体的の取扱いが当然将来出てくると思いますが、それはどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/18
-
019・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 政府保証の限度等に関するお尋ねでございますが、法律には今お尋ねのように三十一億七千万円ということに相なっておりますが、これはこの立法当時の想定といたしまして、六カ年据置二十年均等償還ということで相当長期の借款予定をいたしておったのでございますが、現在は先ほど衆議院の付帯決議に関連してお尋ねございましたように、十五年ということでまあ考えておりまするので、その関係をもちまして、当初考えておりましたような三十一億七千万円の保証の限度を必要としなくなったのであります。従いまして、今回、乳牛の導入がこれに加わりましても、保証の限度は現行法を修正をお願いしなくても十分やっていける、こういうことでございます。それから乳牛の導入に伴います借款につきましても、同じようにこの公団法の二十七条の保証の、政府保証の対象になることは申すまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/19
-
020・溝口三郎
○溝口三郎君 そうすると、当初に予定しました篠津の約十億の機械、そして、機械開墾地区の三億五、六千万円の機械、それは予定通り世界銀行の借款で買うことになるのですか。そして、それはもうすでに契約をして、いつごろ入ってくるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/20
-
021・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 機械開墾の三億六千万円、それから篠津につきましては当初十億あまりでございましたが、ただいまの計画では少し金額も減っておりますが、約九億近くになっておるのでございます。そういう計画になっておりますが、機械の購入計画につきましては、当面要る、本年度要るような機械を主といたしまして、すでに発注をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/21
-
022・溝口三郎
○溝口三郎君 発注をして、それはいつごろ入ってくるのか、それをお伺いしたいのです。
なお伺いたいのは、根釧、上北地区のすでに入植者、本年度予定の人は選考ができて決定になっておるそうです。しかし、機械がまだ入っていない。いつ着手になるのか、そして、この人たちはことし入った機械を運転して営農に入るのかどうか。計画通りにやっていけるのかどうか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/22
-
023・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) ただいまのお尋ねでございますが、入植営農に間に合うように到着する手配になっておりますが、詳細は戸嶋参事官からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/23
-
024・戸嶋芳雄
○説明員(戸嶋芳雄君) お尋ねでございますが、大体開墾用の機械につきましては、六月の終りごろまでには大体世銀の借款分については入ることに入札でなっております。それまでに大体入植いたします計画は、上北の方が六月の中ごろに入植者が入る。それから根釧の方は少し早く、六月の上旬に入ることになっておりますので、その間ちょっとのズレはございますが、それは国産の方の機械である程度カバーできるというので、大体の見通しはついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/24
-
025・溝口三郎
○溝口三郎君 本年の予定は、上北地区は約百十何戸、それから北海道は七十戸くらいでしたか、そして、機械開墾は上北の千百町歩くらい、それから北海道は四百町歩くらい、世界銀行の機械と国産の機械を使って開墾することになっております。それは、これから六月の末時分に入って、予定通り入植者に支障なくできるのでしょうか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/25
-
026・戸嶋芳雄
○説明員(戸嶋芳雄君) 入植者の選考の方は、両地区とも四月の中ごろに終りまして、訓練期間大体一カ月の予定で訓練をいたしております。ただ、それに伴いまして、建築用の資材等の運搬等について目下のところ検討いたしておりますが、大体上北が百八戸、それから根釧七十戸は大体予定通りに入れる準備態勢はできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/26
-
027・溝口三郎
○溝口三郎君 ただいま戸嶋参事官の御説明ですが、六月の末から七月の末にかけて、上北地区に千百町歩の予定のうちで三分の一ぐらいは開墾して牧草の種をまける程度だということを、公団の理事が衆議院で説明したのですが、入植した人、増反者の方は、本年度はわずか三分の一くらいの牧草をまいた程度でおしまいになってしまうのかどうか。
それからそれと関連して、公団は本年は上北は千百町歩やって、一反歩約六千六百幾らですか、約六千万円か七千万円事業収入を見込んでいる。それの三分の一くらいでおしまいになってしまうのかどうか。
それから篠津の方は約十億発注したようなお話でしたが、これも機械がまだ七月の末でないと来ない。本年度篠津の方は約十億の機械を発注して、三十一年度には事業収入が一億四千万円くらい貸付料をとることになっている。それで機械公団は経理をやっていくのだが、そういう収入の見込みは予定通りいくのかどうか。それももし赤字になれば、それは政府が保証していくのかどうか、それを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/27
-
028・戸嶋芳雄
○説明員(戸嶋芳雄君) 篠津の方は、おっしゃるように相当重機械でございまして、製作に相当の期間が必要になりますので、最初の予定よりも少し時期が機械によってずれております。従って、当初本年度の公団の収支を計算いたします場合に、大体二千万円くらいの純収益がある、こういう計算でおりまして、従って公団の一般経費が、三十年度から三十一年度の経費は七千万円と見積っております。そこで五千万円の一般会計からの補助金という格好で公団の収支を償うことになっております。しかしながら、公団の初年度でもございますので、そういったズレ等によって公団の収支に、今いった予想通りいかない場合には、これは当然国が収支のバランスをとるためのめんどうをみなければなるまい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/28
-
029・溝口三郎
○溝口三郎君 今度の改正法律案で、公団の機械を農業用以外に利用する道を開いている。そうしてその収入をもって公団の経理の健全化をはかるというようなことを書いてある。ただいまでも機械開墾地区の開墾事業の委託費が非常に高いとかいう問題がある。まだそれもはっきり決定になっていないのか。それはこの機械を十四、五年間使って、そしてその償却を見込んで、一万時間近く使えば一反歩で幾らだというようなことから、それで収支計算は立っていた。そうしたら、今度は農業用以外に雪かきとか、木材運搬用とか、道路の修理に使っていく。そうしてその収入は公団の経理の穴埋めにしていくというような法律の改正になっております。私はそういう一万時間使う、そしてそれは農業用でという当初の資金計画ができていたんですが、それ以外に、別途にそういう利用をして、その収入の出たものは何に使うかというと、公団の経理の穴埋めにするようなことが書いてある。だから不健全化だなんというようなことになってきたんだと思います。そういうものの運用益が出たら、できるだけ開墾作業費や農業の入植者の負担を軽減するんだということを政府は明確にしておく考え方が必要じゃないか。どういう意味で農業用以外に雪かきや道路修理に利用するというようなことになってきたのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/29
-
030・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 今回改正点の一点になっておりまする公団の農業開発以外の機械の利用の点でございますが、これは全く公団の機械の効率的な利用ということから考えたのでございますが、と申しましても、公団本来の農業開発のために使うという目的を阻害しない範囲という制限範囲でございますが、そういたしまして、若干の機械の効率的な利用ができ、多少公団の経営について寄与ができますれば、これはお示しのように、本来の仕事の料金が安くなるように運営をする、こういうふうに私どももいたして参りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/30
-
031・溝口三郎
○溝口三郎君 ただいまの農地局長の説明のように、これでもし運用益が出ますれば、できるだけ開墾作業費の委託費等に充当するように御考慮をお願いしたいと思います。
それからこの機械を農業用以外に利用するわけですが、私はこの前の森林開発公団の場合にも、森林開発公団は、毎年十億円ぐらいの林道をやっていくんだが、だんだんお話を聞くと、それは全部人力でやるのだというような積算の基礎だということから、機械を使えば私は三割ぐらいほど安くなる。しかし半年以上、三分の二ぐらい一年のうちで機械公団の機械が余るなら、農林省部内のことだから、ぜひとも森林公団でこの機械を運用して、全体の経理を双方とも合理化するように、ぜひ考えていただきたいということをお願いしておいたわけですが、農地局におきましても、それは十分連絡をとっていただいて、この機械を道路の修理や雪かきなどに使うなら、森林公団へ持っていったらいい。しかし説明では北海道からあそこへ持っていくには運賃が非常にかかるというのは、それは抽象論で、ただいま十三億の機械を買って横浜から北海道に持っていっても、運賃は三%ぐらいしか入っていないから、そう大したことじゃない。百日ぐらいを使うだけで、あと二百何日余っている。だから森林公団の事業地区へ持っていくことは私は可能だと思う。
もう一つお願いしておきたいのは、雪かきや木材の運搬に使うことは農林大臣の許可を得てやるのかもしれませんが、たとえば上北地区でも、すぐ隣は牧場地帯であるが、畑の地帯もある。農林省は牧場については、牧野の改良センターなんというものをこしらえて、一反歩二千円ぐらいで委託を受けてやっておる。畑地改良についても、県にトラクターを二分の一の補助を出して、そして県は一反歩二千円程度で畑地の改良をやっておる。機械公団のは、一反歩六千円から七千円かかるものだから、農地の方では借り手がない、だから雪かきや何かに使うよりしようがないような非常な矛盾がある。隣の地区は二千円くらいで畜産局から委託を受けてやっておる。この機械を牧場へ持っていくと六千円か七千円かかる、畑地の使用についても同じなんです。私はこの機械公団のこの機械保有を農業用にできるだけ利用するために、何かこの補助規定の改訂のようなことをお考えになって、隣の地区にあるものが隣の地区では使えない、それで雪かきに使うなんという変な利用の方法でなくて、補助規定でも変えられて、できるだけ農業用優先に使えるように一つ考えていただきたい、それはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/31
-
032・大石武一
○政府委員(大石武一君) お答えいたします。なるたけお説の通りに、この機械は遊ばせないで有効に使うことが根本だと考えております。ただこの機械を雪かきや、あるいは道路を作ったり何かに使いますのは、これは雪が非常に積りまして、そうして牧野を作ったり畑を作ったりすることができない時期においてのみこの機械を使うということを考えておりますので、今お説のように、隣の牧野に持っていって隣の牧野を改良するということは、できないことはない次第でありますが、それができるくらいならば、当然機械開墾地区の能率を上げることが先決だと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/32
-
033・溝口三郎
○溝口三郎君 私さっき申し上げたように、東北では八百二十時間より使わぬということになっておる、一年でそれだけなんです。今説明を伺いましても、六月の終りから七月の終りまでかければ予定だけできるような御説明がある。だからほとんど一年中遊んでいる。雪かきや何かにばかり使わないで、運賃も、購入費の三%もあれば、関西へ持っていってもそんなに損にならない。事業費は三割も安くなる。だからそういうことにとらわれずに、一つぜひ機械の合理化、機械化ということについて、できるだけ利用するように、ぜひお考えをお願いしたいと思います。
それからもう一点お伺いしておきたいのは、今度機械公団で余剰農産物を利用して、新たに国産の機械を五億三千万円追加購入することになっておる。余剰農産物十一億借り入れのうちで五億三千万円ですが、国産の機械を買い入れる。これは二地区で使うことになっておる。これを買って、やはり八百時間くらい、これは一カ月くらい使ってあとは雪かきに使うのは、どういう意味でこんなに——その前に世界銀行から十三億借りるほかに五億円くらい国産の機械を買うようになったか。余剰農産物に余裕が出たからこういうものを買って、漸次機械を保有さしていくのかどうか、これは二地区よりほかに使えないか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/33
-
034・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 見返り円資金をもちまして機械を購入することにいたすことにいたしましたのは、建設工事等をやっていきます場合に、どうしても機械が要りますので、その支出——国庫の味方の一つとして借入金でやっていく、こういう方便でもって考えたのでございますが、主体はもちろんこの機械開墾地区、それから篠津地区でございますが、制度といたしまして篠津地区に限定するということではございません。全体の趣旨として効率的に使うということは、やはり考慮する必要がございますので、他の建設地区等につきまして利用して参るということは、当然考えていかなければならんというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/34
-
035・溝口三郎
○溝口三郎君 今の農地局長の御答弁は違っている。これは衆議院で言われたことと違っているのでありまして、この五億三千万円の国産の機械は、機械開墾地区の二地区で建設工事に利用するのだ。そのほかには使わないのだ。そのほかで方々で利用するなら、そのほかに機械の整備費というようなものが農林省の予算にあって、それが全部でやっているので、これは二地区の分だというように御答弁になっている。私は調べてみたのですが、たとえば上北地区が約十億の道路費用になっている。そのうちの四億くらいが機械費の購入費になっている。私は十億の建設工事費で四億の機械費というのは非常におかしいと思った。それを節約でもして、全般的にこういう機械を別途に買ってきて、この貸付料で建設工事をやっていくように変えてきましたのではないかというふうに考えるのですが、多分そうだと思う。
そこで問題は、篠津の場合にしましても、約十億の金を世界銀行から借款をして、借り入れるのですが、それで本年度篠津では約一億五千万円世界銀行に償還が必要だ。その一億五千万円というものを、篠津の工事費から確実に公団に繰り入れる保証があるのかどうか。そういう問題が非常に起ってくると思う。十億の機械を世界銀行から借款をしまして、そして十五年だとか二十年で払う場合は、約二十億になるのだ。二十億の償還をするには一年に一億五、六千万円程度の収入がないと困るのだ。そういうのは、政府が必ずこれは建設工事には使うのだということを計画に入れて貸し付けるようになっているのか。公団がそういうものをそこらじゅう探して、そしてどっかで機械を使うところはないか、そして余分な時間を使えばそれだけ利益になるのじゃ、そういう商売根性じゃ困るのだ。世界銀行から借り、それから今の五億何千万円というのを余剰農産物で借りて、機械を開墾地区で買うなら、これに対して毎年償還していかなければならぬ。その償還する金額というものは、政府がはっきり保証して、これだけは建設工事の中に組み入れてあるのだというようなことにならないと、機械ばかり買い込むが、利用できないような——すでに現在外国の重い機械は土木業者の間でも敬遠しているということで、これはあっても国内で利用ができないというような場合にきているのじゃないか。機械の保有会社をこしらえて、ストックしておくようなことが出てくるのに、こういうものを買い込んで、そしてみんな利用することができないのだ。やはりこれは政府で全国的に見て、そうして利用するような方法をやって、そして一地区ごとに——十億のうちで四億の機械の購入というようなことを計画するということが間違っている。私がそういうことを言うと、非常に誤解を招きますが、事業計画を見ましたときに、十億の建設予算というものをとって、このなかで四億という機械を買って、三年くらい工事をしたらあとはどう処分するかということは何にも考えていない。これは国の経理上、できるだけこういうものを機械公団ができたら機械公団で一手に買って、全国的に利用する。農業で利用できないから雪かきに利用するというならやめた方がいい。もっとやり方によれば、隣の地区の牧場のところに持っていって利用できる。畑地改良にも利用できる。この基本方針をこの際はっきり確立していただきたいと考えるのですが、政務次官からお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/35
-
036・大石武一
○政府委員(大石武一君) 全くお説の通りでございます。政府におきましても、その点多少準備が不十分であったと思います。おそらくこの公団の、今後ともこのような事業を継続いたしまして、この機械が遊ばないように、その二地区が終れば他の地区の計画を前に立てておきまして、ずっととだえることがないようにやって参りたい。またそうしなければならぬと念願いたします。そのように努力いたす所存でございます。また、もちろん遊んでいる機械がありましたならば、できるだけそれが効率を上げ得るように働かせることも十分に考えたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/36
-
037・戸叶武
○理事(戸叶武君) この際、議事の途中でありますが、委員の変更について御報告申し上げます。ただいま小西英雄君、長谷山行毅君、長島銀藏君が辞任され、それにかわって伊能芳雄君、榊原亨君、小沢久太郎君が選任いたされました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/37
-
038・清澤俊英
○清澤俊英君 この機会にちょっと渡部さんにお伺いしておきますが、この間朝日週報か何かと思いますが、八ケ岳の写真が出ていました。その際子牛をみんな政府に供出すると、こういう写真でしたが、あれと十万頭の増殖計画とはどんな機構になって行われておるのか、ちょっと説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/38
-
039・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 従来やっておるのは、通称仔返制度とこう言っておるのであります。そしてまず最初に入れました牛を受け取った農家は、政府から貸付を受けるのであります。その際に三万二千円を払うのであります。そうして今度は五カ年以内にその牛を貸付を受けた人は第一娘牛を国に返還するのであります。返還しますと、国はこれを一万五千円で第二の農家に貸すのであります。これをさらにそのできた子供を第三農家に貸し、第三農家はさらに第四農家に、第四番目の農家はこれをその当時の時価で買い取ると、こういう制度で現在の貸付制度が行われておるのであります。これには今の計算を現在のところで最初に頭金三万二千円を払い、第二の農家、第三の農家は一万五千円ずつ払い、さらに第四の農家はその当時の時価ということでやっておりますが、現在の計算では大体五、六万円程度という評価をしておるのであります。これはもう少したってみないと第四の農家まではまだ到達しないので、その当時の時価というのは評価できませんが、大体十一、二万円を全部で支払うこういう格好になっております。ところがこの制度は相当手続がめんどうでありますので、大体ジャージーにつきましての何といいますか、飼育方法、あるいはジャージーの乳の出る量、そういうものも二十八年からやりまして、八ケ岳と岩手山ろくで最初に入れた月でありますが、相当の成果が出まして、これならばジャージーの導入は引き続いてやっていいというので、ただいま来お話しがありますように、三十一年度からは世銀の金を借りてこれを農家に売却して年賦償還で取り立てる、こういうふうな制度に切りかえていこうと、こういうのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/39
-
040・清澤俊英
○清澤俊英君 ちょっとのみ込めないがね。そうすると、一番先入れましたのは、三万二千円だけ出せばいいのですね、それに牛一頭だけ出せば、初生牛を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/40
-
041・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 三万二千円と第一娘牛。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/41
-
042・清澤俊英
○清澤俊英君 二回目は一万五千円と初生牛を出す、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/42
-
043・東隆
○東隆君 先ほど溝口さんからいろいろ言われまして、私大へん卓説だと思うのですけれども、私は開拓というものは、今までの開拓のやり方がいろいろ歴史的な変遷があると思うのですが、最初は人間が中に入れるぐらいな程度の所へ入っていって開拓をする。その次には馬が入っていけるような所を開拓する、それから次は車が入っていけるような所、その次にはトラクターだの何だの、そういうようなものが入っていけるような地帯が開発をされていく。そういうような過程をたどっておるのじゃないかと思う、開発の歴史を見ますとですね。それで前は、人間をまるで放牧したような状態で、北海道の開発なんかはそういう形でもってやったんじゃないか、こう思うわけであります。従ってそういうような形でもって進められた時代に適応するような地帯はもうすでに開発されてしまっておる。それ以外の土地で条件を大きく整備しなければ開発することができないような地帯のみが今残っておる。こういうような場合に、開発機械公団ができて、そうしてそういう条件を整備する、こういうことは私は大へんいいことだと、こう思うわけであります。そういうような場合に、先ほど溝口さんは、雪かきをやるようなつまらぬことを一つやめて、そうしてそれをその方に一つ配置をしたらいいだろうと、こういうお話でありました。しかし私は急速に条件を整備するために、やはり道路であるとか、そういうようなものを急速にやらんければ、これは開発はできないと思う。ことに道路ができなければ大きな機械は入っていかない。これはもう上北を見ても、それから床丹を見ても、そういうようなことははっきりしておると思う。そこでそっちの方面の経費は、これは機械を買うという面はこれは別といたしまして、道路の建設その他の面はこれは国で早急に進めるべき問題だ。北海道のことしの例なんかを見ますと、もうすでに入植する農家がきまっておるにかかわらず、道路ができないために開発はかえって非常におくれておる。そんなような関係で非常に不平を起しておるものも出ておるようであります。これは私は世銀の関係が解決がつかないからというよりも、私は国の予算でもって道路だの何だの、そういうようなものを当然先に先行して計画をすべきであって、それからあとに入れる。しかもその過程に農家が開発をするというのじゃなくて、機械を中心にして開発をして、そうして開墾された所に農家を入れる、こういうような形をとらんければ、これはもうものすごい人間労力を使い過ぎてしまって、そうしてそこでもってどうせ食糧もとるわけにはいかないのですから、非常に困難な目にあわされると思います。そういうようなことをしないで、かえって機械を入れて、そうして開発をして、そうして耕地としてのある態勢を作り上げて、そうして入れるというようなことをやらなければ、私は人道問題が起きてくると思います。動物を入れる前に当然人間を入れなければならぬのですから、人間を放牧するような状態で私は入れるのは、これからの開発には間違いだろうと思います。そういうような意味で、私は開発機械公団が進められるときに、営農だの何だの、そういうような方面は当然必要だけれども、それ以外に、そこに住んだ人間の教育の問題であるとか、文化の問題であるとか、そういうような問題がある程度それにマッチをしなければ、これは成功するものではないと思います。こういうふうなことを私は申し上げるわけであります。
従って、今までの経過を見ますと、どういうものであるかと言いますと、道路もできない、そこに入る農家はもうきまった、そうしてその農家は機械を使うわけにいきませんから、従って最も原始的な形で開発をする、開墾をする、こういうような形で入っておって、そうして将来に向って非常に心配をして、不安な状態に置かれている、こういう状態に私は今年ぶっつかっているわけであります。それで私はやはりこういうぶざまなことをしないようにしなければならないのじゃないか、こう思うわけであります。この点はどういうふうにお考えになっているか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/43
-
044・大石武一
○政府委員(大石武一君) お答えいたします。前の方のお説はごもっともと思います。第一この開拓者と申しますか、ここに移住する開拓者が、一応機械公団と契約して土地を作ることになるわけでございますので、前もって入植者をきめておかないければ、この問題はすぐ開墾はできないと思う次第でございます。それから開墾は上北地区で申しますと、二年間の開墾を行うわけでございますが、まあ開墾が始まりますと、その間に開拓者も、入植者もうちを建てるとか、機械の及ばないところは人力でやるとか、手伝うとか、あるいはできた部分に牧草をまくとか、いろいろな仕事がありますので、開墾と同時に入植者も入ってしまって、そうして協力をしながら効率を上げるということが一番望ましい、そのような方針でやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/44
-
045・東隆
○東隆君 北海道の床丹の例を言いますと、最初砂利が非常に少くて、そうして道路をこしらえるのに非常に困難になってくる。そこで貨車でもって砂利を輸送してそうしてやるんだ、こういう当初計画を立てておったはずであります。ところがそれを変更して、そうしてトラック輸送をしている。かような関係で、昨年のおそらく十月ぐらいから始めようとした仕事が、これが頓挫を来たしてしまって、そうして一年おくれになってしまっているわけであります。従って予備的な仕事が一つもできなくて、ことしはすぐ農家を入れる、こんなような形になったので、道路も何もない所に、結局区画割りをした所に農家が入れられた、こういう形になっているのではないか、これは私は非常に残念なことで、そういうことでなくて、道路もきちっとできて、そして同時に区画割りその他のなにをやって、しかもそこに大きな機械でもって伐木をされて、そうして開墾をされて、そうしてそこに牧草の種でも何でも十分まけるような態勢までこしらえ上げていかなければならない。その仕事が一番困難な仕事なんで、従ってそういうような情勢になるのならば、これは共同住宅をこしらえるのもいいだろうし、それから一時の何をこしらえるのもいいだろうし、いろいろなことができると思います。そういうようなことも一つも進んでおりませんから、そこに入った農家は非常に不安を多くし、これは私どもの方に、新聞だの何だのにだいぶ大きく取上げられて、そうして出ておったわけであります。これは私はやはり先行すべきものを先行しないで、そうして昔のままの植民をやるような、そういう形がとられておるところに問題があると思うのです。そういう問題ですから、これは私はできるだけ夜を日に継いでも先行すべき条件を整備することに当っていただかなければならぬと、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/45
-
046・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) お尋ねの御趣旨ごもっともでございまして、ある程度の建設工事が先行するということは、事務の回転が円滑に進むということの条件でありますことはもうその通りであります。今回の機械公団につきましても、そういう趣旨で実は努力をいたしておったのでありますが、特に北海道についてはお示しのように、計画のように道路の建設ということが実は昨年着工に間に合いませんでしたので、はなはだ申しわけない事態になっておるのでございますが、おくればせでございまするけれども、御趣旨のようにできるだけ取り急いで進めたいとかように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/46
-
047・戸叶武
○理事(戸叶武君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/47
-
048・戸叶武
○理事(戸叶武君) 速記をつけて下さい。
他に発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/48
-
049・戸叶武
○理事(戸叶武君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/49
-
050・戸叶武
○理事(戸叶武君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/50
-
051・戸叶武
○理事(戸叶武君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/51
-
052・戸叶武
○理事(戸叶武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、本案を可とされた方は順次御署名願います。
多数意見者署名
青山 正一 重政 庸徳
三浦 辰雄 伊能 芳雄
小沢久太郎 紅露 みつ
榊原 亨 藤野 繁雄
東 隆 河合 義一
清澤 俊英 溝口 三郎
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/52
-
053・戸叶武
○理事(戸叶武君) 日ソ漁業交渉の件を議題にする予定でございましたが、外務省当局の出席を得られませんでしたので、この問題は後日に回し、本日はこれをもって散会いたします。
午後三時四十五分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415007X03519560515/53
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。