1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年三月一日(木曜日)
午後三時十五分開会
—————————————
委員の異動
二月二十九日委員岡三郎君辞任につ
き、その補欠として安部キミ子君を議
長において指名した。
本日委員中川幸平君、大村守江君、矢
嶋三義君及び安部キミ子君辞任につ
き、その補欠として石坂豊一君、瀧井
治三郎君、久保等君及び永岡光治君を
議長において指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 飯島連次郎君
理 事
有馬 英二君
川口爲之助君
湯山 勇君
委 員
石坂 豊一君
剱木 亨弘君
瀧井治三郎君
三木與吉郎君
吉田 萬次君
久保 等君
永岡 光治君
竹下 豐次君
国務大臣
文 部 大 臣 清瀬 一郎君
政府委員
日本学術会議事
務局長 本田 弘人君
文部省大学学術
局長 稲田 清助君
文部省社会教育
局長 内藤誉三郎君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
—————————————
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国立学校設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本学士院法案(内閣提出、衆議院
送付)
○日本学術会議法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/0
-
001・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) これより文教委員会を開会いたします。
まず委員の異動について報告いたします。二月二十九日岡三郎君が辞任されその補欠として安部キミ子君が選任せられました。本日中川幸平君、木村守江君、矢嶋三義君、安部キミ子君が辞任をされ石坂豊一君、瀧井治三郎君、久保等君、永岡光治君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/1
-
002・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 前回の委員会において参考人の人選が委員長及び理事に一任されましたので協議の上次のように決定いたしました。
僻地教育関係参考人、僻地教育振興促進期成会副会長砂子由次郎君、日本教職員組合中央執行委員長谷秀一君、岐阜県大野郡丹生川村国見中学校教諭住昂君、全国へき地教育研究連盟副委員長小沢清信君、以上であります。
高等学校定時制教育及び通信教育関係参考人、日本教職員組合中央執行委員的場正宏君、全国高等学校定時制主事協会長勝村満君、労働科学研究所所長桐原葆見君、栃木県宇都宮栃木県定時制教育振興会事務長斎藤一郎君、以上の諸君であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/2
-
003・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。御質疑もなければ討論採決は次に譲りまして、続いて日本学士院法案及び日本学術会議法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/3
-
004・湯山勇
○湯山勇君 学士院法についてお尋ねしたいのですが、この第七条に国際学士院連合への加入の規定、これがございます。この規定を挿入した理由はどういうところにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/4
-
005・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 御承知のように、日本学士院は一九一九年から今日の国際学士院連合の加入国として年々代表者を学士院連合の総会に送っております。このことは戦時中中断はいたしましたけれども、別に脱退ということなく今日に至っております。一方年々御審議をいただきます予算におきましても国際学士院連合分担金という項目が掲載せられておりまして御審議いただいております。こういうような事実を、今日ここで学士院に関しまする法規を整備いたしましたときに、これは学士院の一つの大きな仕事でもありまするし、国際的にこのことを明らかにする必要があるということで、ここで明らかに掲載することにいたしたわけであります。また一面これは別途御審議いただいておりまする日本学術会議法改正法案におきましては、新たに日本学術会議が国際会議に加入するという趣旨の条文が挿入せられております。その一つの特例でございます。この学士院連合に限ってはこれは日本学士院のほうが加入するものである、その他の国際会議につきましてはこれは日本学術会議のほうが関与をするのだということを明らかにする必要がございますので、ここにこの条文をおいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/5
-
006・湯山勇
○湯山勇君 そこでお尋ねいたしたいのは、国際学士院連合というものの性格ですけれども、これはどういう性格をもったものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/6
-
007・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 国際学士院連合は、第一次世界大戦後に一九一九年に各国の学士院的な学者団体を中心として連合体が組織せられたわけでございまして、現在加入国は二十三カ国、団体の数にして三十六団体でございます。その組織といたしましては、総会と理事局及び日常の事務を扱う事務局から成立いたしておりまして、その本部はベルギーのブラッセルにおかれております。目的は人文科学、社会科学系の学問の発達をはかることを主たる目的といたしまして、そのために各国の関係学者団体の研究活動を連絡、調整するというようなことをいたしておる団体でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/7
-
008・湯山勇
○湯山勇君 この法的な性格ですね、これはどういうことになっておりますか。たとえば条約とかで各国とも承認しておるとか、あるいはこれのまあ何といいますか、主体はどことか、そういったものについてはどういうことになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/8
-
009・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 各国は別に加入に際しまして条約を締結はいたしておりません。先ほども申し上げましたように、長い歴史的経過におきまして各国が加入してこれを維持しておる、国際学士院連合のそれ自身の定款によりますれば、法規は事務所所在地のベルギーの法規を適用するという趣旨の規定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/9
-
010・湯山勇
○湯山勇君 なおよくわからないのですが、それじゃベルギーの国で持っておるものですか。あるいは国際機関として何らか別な方法で維持されておるものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/10
-
011・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) これは国際機関でございます。国際機関としては別に今日のIKUSUであるとかあるいはCIPSHUであるとか、あるいはISSCとか、それぞれ各学者団体の連合機関等がございますけれども、それと同様に、またそれよりも長い歴史と沿革をもちまして各国のこの学士院的な団体が加入して盛り立てていくという約束の下にでき上っている、これは事実上の存在としての国際学術連合機関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/11
-
012・湯山勇
○湯山勇君 それじゃ法人か何かになっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/12
-
013・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 法人という点につきましては、各国の法制いろいろ違いますけれども、われわれ調べましたところは、この団体についてはベルギー国の法律を適用する、それは日本の財団法人その他の私法人に該当するかどうかという点については私どもつまびらかにいたしておりませんが、ともかく現実のこういう国際団体であって、もし法規の適用を必要とすれば、それは所在国の法規の適用をするということであります。ただこの国際の学術団体というものはおそらく同様な性格であって、別にどの国の法人、それからどの国にのみ所属するというような性格のものでない、要するに学界の連合体ということでその性格を明らかにしておるものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/13
-
014・湯山勇
○湯山勇君 それから今の御説明では人文、社会科学が中心だ、これを主としたものという御説明があったのですけれども、なおまたあとの御説明では、別段これに対する条約とか何とかいうむずかしいものはなくて、ベルギーの国の法律によって拘束されておる、そういう連合のようなものだというお話ですが、私がちょっと見て感じますのは、学士院はこれでみますと他の団体に加入するときには法律改正をしなければならないということになるのではないかと思いますのでお尋ねしておるわけですが、もし同じような性格のもので人文、社会科学に限らない、それじゃ自然科学の方を主としたものができれば、それへは加入してもいいんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/14
-
015・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) そういうことがございますので、今別に御審議いただいております日本学術会議法の方では、そうした他のもろもろの国際学術団体の加入は、これは日本学術会議の方が加入体になる。ただ唯一の特例としてこの国際学士院連合だけが日本学士院の加入するところである。これは申すまでもなく歴史、沿革によるものでありまして、国際学士院連合というものは、そもそも世界各国の学士院的な学術団体が加入参加することによって長く継続してきたものであって、これにはその他の性格の学術団体は加入しないで今日まで参っております。今後もそうであろうと思います。また逆にその各国の学士院的な団体は、これ以外の学術団体には入らないのが通例であります。日本におきましても学術会議傘下の人文、社会、自然の諸学会団体がございますけれども、それは日本学術会議が入りまするところのIKUSUであるとか、CIPSHUであるとか、ないしはISSCであるとか、そういうような系統の団体に入っていく、つまり一般にはこれは学術会議が国際団体に加入しておる。特にここに掲記いたしました国際学士院連合に限って、これは日本学士院がそのところであるということを明らかにしたわけであります。お話のようにこれ以外に加入するとなれば法律改正をする必要があるのでございますけれども、過去の沿革に徴し、また将来を予見いたしましても、日本学士院が学術会議を排して他の国際学術団体に入っていくというようなことは想像せられないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/15
-
016・湯山勇
○湯山勇君 まあ学術団体という意味ならばおっしゃることもよくわかるのですが、たとえば他の一般の学術団体じゃなくて、今の学士院というような名前のついた団体、たとえばこの国際学士院連合に対応して、アジア学士院連合というようなものができないとも限らないと思うのですが、そういう場合にはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/16
-
017・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 現実の問題でありまするので予見できないのでありまするけれども、沿革、歴史に徴して考えまするときには、新しい団体が各界においてできて参りますれば、これは日本学術会議の方がそのところであろうと私どもは考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/17
-
018・湯山勇
○湯山勇君 それからこの国際学士院の連合というのが戦時中中断しておったというのは日本の方の都会でしょうか、向うの方の都合でしょうか。そうして勝手に中断するというようなことが許されるのでしょうか。その辺の事情はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/18
-
019・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 先ほどは加入は継続しておるけれども、総会に参加は中断しておった、これは海外との交通が途絶しておりました関係上、事実上中断しておったのであって、そのために別に脱退したわけでもなく、除名されたわけでもないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/19
-
020・湯山勇
○湯山勇君 その間も会費は納めておったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/20
-
021・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 戦時中海外払いができませんでしたので納めておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/21
-
022・湯山勇
○湯山勇君 これの加入、脱退とか除名とかいう規定がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/22
-
023・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 国際学士院連合自体の定款には参加あるいは脱退の約款がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/23
-
024・湯山勇
○湯山勇君 除名というようなのはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/24
-
025・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 発見いたしませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/25
-
026・湯山勇
○湯山勇君 どうもお聞きしますと歴史的にはかなり長い間あるけれども、この会そのものはそうしっかりしたものじゃないような感じを持つのですが、もし万一この国際学士院連合が他の団体に入ると、さらに上部団体に加盟するというような場合にはどういうことになるでしょうか。学士院はやはり国際学士院連合にも入っておるし、国際学士院連合が入っておるその団体にも入っておるということになるわけですが、そういう場合は予見できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/26
-
027・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 私どもは非常に長い年間にわたって毎年国会が予算として御審議、御議決になりましたうちに、国際学士院連合分担金というものがありますことから見ましても、これは今までわが国として公けに相当重要視して認めて参った沿革のあるしっかりした国際学術団体だと考えておるわけでございます。従いまして予見し得る将来におきましてもこの基礎はゆるぎなきものだと考えております。
第二の御質疑であるこの国際学士院連合が他の連合体と関係を持ったときにそれはどうなるか、それは直接の関係は国際学士院連合に学術会議は関係を持つだけであります。現実の問題として国際学士院連合は先ほど申し上げましたCIPSHUとは関係を持っております。CIPSHUはまたユネスコと関係を持っております。そういうふうに今日の国際学界というものはいろいろ複合的に相関関係を持っております。しかし日本学士院が直接の関係を持ちますのは国際学士院連合でありまして、日本学士院が直接にSIPSHUと関係を持つ、あるいは直接にユネスコと関係を持つということではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/27
-
028・湯山勇
○湯山勇君 私も今局長の言われたようなことをお聞きしたいわけなんで、こういうふうに一つの学界なら学界というものが独立して、その成果をあげるということは、今日では困難だ、いろいろなつながりを持たなければならないということは全くその通りでございまして、そういう建前からいけば、なおのこと学術会議というのはありますけれども、少くともここで一つだけ認めて他は認めないという規定は今の趣旨からいって少し工合悪いのではないかということを考えますがゆえに、先ほどからの質問をしておるわけです。
今一点は、やはり先ほどのお話にもありましたように、条約に基いておるものでもない、いわば私法人のような性格のもの、こういうものに入るという規定を日本の法律で規定する、つまり対象に明確な歴史的なものは別としても、明確な法的な根拠を持ってないものを日本の法律で規定するということは、法の権威と申しますか、そういう点からいっていかがかと思われる点がありますので、その二点を一つ明確にしていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/28
-
029・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 第一は直接の参加関係が一番重要であり中心でありますので、ここに規定いたしたわけであって、これは毎々申しますように歴史的にまた沿革的に歴然たる事実でありますのでそれを書いたわけであります。今日世界上のあらゆる団体、あらゆる存在は多角多面に他のいろいろな団体その他と関連を持ちましょう、持たないものはないと思うのでありまするけれども、その関連のまたその先をということまで予見し、あるいはまた関連づけて規定するという必要も私どもはなかろうかと考えたわけであります。直接の関連でありまする国際学士院連合との直接関係さえ法上で明確にいたせば加入、分担金の根拠その他もはっきりいたしましてよろしいのではないかと思ったわけであります。
それから次のお問いは、国際学士院連合という固有名詞を法律に掲げていいかどうかという問題のように伺いました。法律にある固有名詞を掲げていいかどうかということは、それを挿入することによって法の適用があいまいになり、対象が不明確になるということであってはいけないと思いますが、明確でありますれば固有名詞を法に引用いたしますことは私は許されることだと考えております。たとえば例をあげますと、単に法律あるいは条約に直接根拠を持たない固有名詞がわが国の法律に引用せられます例は間々あると思います。たとえばある株式会社の名前を引いた法律もあります。ある財団法人の名前を掲げた法律もございます。またポツダム政令等におきまして法律にかわるべき政令、法律の効力を持つ政令におきましてはずいぶん多くの外国の商社、あるいは外国の私法人を引用いたしております。それらの例もございまするし、国際学士院連合と申しますれば、先ほど申しましたように年々予算において御審議いただきましたように、わが国の国会においても公認された明らかな団体であり、また国際間におきましてもU・A・E、つまりユニオン・アカデミック・アンテルナショナルといえば、それ自身だけを指して決して混同されない程度に認識された世界のはっきりした存在でありますので、国際学士院連合という字をここに挿入いたしますことは、なんら立法上差しつかえないことだと私は考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/29
-
030・湯山勇
○湯山勇君 次にお尋ねしたいのは第九条ですが、「会員には、予算の範囲内で、文部大臣の定めるところにより、年金を支給することができる。」こうなっておりますが、そうすると、予算というものは予算年度が単位になりますから、この年金も年単位によって支給額が変わる、こういう心配があるのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/30
-
031・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 他にも例があると思いますが、行政官庁におきまして、監督庁が監督庁の規定をもってこうしたものをきめる場合に、予算が変更いたしますればそれに照応した規定を改正しなければならないのであります。結局予算と規定は常に同一効力を生じて矛盾のないように維持しなければならないと考えております。ただこういう変革があり得るかどうかという問題につきましては、長い歴史あり沿革のある団体でございますので、将来の維持経営に困るような変革というものは当事者においてこれは慎しまなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/31
-
032・湯山勇
○湯山勇君 これは会員には、何か「文部大臣の定めるところにより、」というと、そのつどのようにこの条文からは受け取れますが、そういう規定のようなものはございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/32
-
033・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 新しく法律を制定いたしまするのでありまするから、この法律の委任に基きましてその実施に伴って文部大臣が定めるわけであります。定めるに当りましてはおそらくこの予算に照応いたしました金額を掲記すると思います。毎年々々規定を出すのでなくて、今まで年々続けて参りました年金単価を規定の中に掲記することになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/33
-
034・湯山勇
○湯山勇君 それで現在の年金ですけれども、これは三十一年度を見ますといろいろな通りがあって、院長、幹事、部長、会員と非常に差が大きいように思うのですが、これはどういう理由でこういうふうに差がついておるのでしょうか。また同じような性格を持った芸術院の方を見ますと、これはまた同じ院長の手当にしても学士院とはうんと違っておりますが、それらの関係はどういうことに一体なっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/34
-
035・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) まあこれは非常に長い沿革がありまして、沿革のもとを尋ねて正確にどうであったかということは、なかなか知りにくいのでありますけれども、この年金はもちろんこれは優遇の意味で給与をいたします。それが第一義的な意味であると考えます。ただ第二義的な意味におきましては、別に手当を支給いたしませんので、従ってこの優遇に加えていろいろお仕事の分量、あるいは難易といったようなことも考慮に入れながら、それぞれの年金の金額が定められたことだと思っております。優遇という意味からいたしますれば、学士院院長といえば、学士院が碩学を集めた名誉的な会でありまするし、そのまた代表者でありまするので、これはもう歴史的にも沿革的にもわが国の学界を代表するというような意味合いにおきまして優遇を厚くした点で、この年金の金額が相当他の方よりも多く上っているとも考えられます。それからまた幹事は院長に代理せられる地位であり、部長二人もそれぞれ人文、自然を代表するような立場にあられ、また平素この会長と幹事、両部長が非常にお仕事の量も多いというようなことで、その他の会員とは差等があるのだろうと思います。また別にこれと芸術院との比較でありますが、よく芸術院と学士院とを比較されまするけれども、かなり似ている点も多いのであります。また似て非なる点も多いのであります。それは歴史、沿革からも違いまするし、また法律上のその職能も違います。従いまして、芸術院と学士院とが同じでなくてはならぬとは私ども考えないのであります。たとえば芸術院院長、これはまありっぱな方でありますけれども、これは沿革的に別に芸術界から代表として出ている方ではないと思うのであります。芸術について非常に識見は持っておられますけれども、学士院の院長が碩学中のまた代表的碩学という意味とは多少違うのではないか。また芸術院の年間のお仕事と学士院の年間のお仕事とはそれぞれ違います。そういう点で沿革的に異なっているのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/35
-
036・湯山勇
○湯山勇君 今の御説明わかったようなわからないような点があるのですけれども、一体そういう考え方がいいかどうか。沿革的なものはそういうことがあるにしても、これは当然互選によってきまる会長のようですし、互選によってきまる幹事であるというように法律の上からは見受けられます。そういう場合に、こういう大きな差をつけることが、はたしていいかどうかという問題が一つあると思うのですが、それと関連して会長なり、それからその他の役員ですが、これは任期がありませんが、終身ということになるのでしょうか。本人が辞任を申し出なくても何かかわるような、そういう規定があるのでしょうか。その辺との関連もこの年金とはつながりを持ってくると思いますので、あわしてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/36
-
037・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 前段のお問いでありますが、先ほど申しましたように、この両院の職能が違うのでございます。学士院は常に学術会議と対応してその任務を考えなければなりません。芸術院というのはそれ自身一面優遇機関でありますけれども、文部省設置法が示しますように、いろいろ芸術の振興の問題を審議して文部大臣に建議するというような行政上の職能も持っております。従いまして、この院議を取りまとめる場合にも、単にその院長たるべき方が芸術界の中から芸術家の代表という人が適当なのか、あるいはそうした多少行政的な手腕を持っておられる識見のある方がいいのか、そういう点で自然その院長の性格も違うことであろうと思うのであります。従いまして、学士院がこうだから芸術院が必ずこうでなければならぬということはあらゆる場合に言い得ないと思います。
それから第二の問題でありますが、院長その他役員につきましては、この法律第十一条の規定のもとに「内部組織その他その運営について必要な事項は、院長が、総会の議を経て、定める。」自主的にいろいろなことを定めておりますうちに、役員の任期及びその選任方法というようなことが掲記せられることだと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/37
-
038・湯山勇
○湯山勇君 そういう学士院と芸術院との違うところだとおっしゃれば、なるほど違うところはわかりますが、そうかといって学士院も芸術院も普通の会員には二十三万一千六百円、同額です。どちらも二十三万一千六百円、こうなっております。しかもこれによれば、この会員の方はどなたでも院長になる可能性をお持ちになった方ばかりである。ところが部長の段階へゆくと、今度は学士院のほうが三十一万円で、芸術院の方は部長が二十九万五千二百円、こういう一万四千八百円の差ができております。こういう点が少し私は奇異な感じがするので、お尋ねしておるわけですが、これでいいのだとおっしゃればそれでいいのですけれども、何かこんなだったなら部長が三十一万円なら両方とも三十一万円にする、それから院長は性格が違えば、違えてもけっこうだと思うのですけれども、平会員、平会員は失礼ですけれども、会員は二十三万一千六百円、同額であって部長のところだけは一万幾ら違えるというような、そういうことが少し奇異な感じを抱かせるものがあるのでお尋ねしているわけですから、こういうのは、もし文部大臣のお考えで直せるものならば、せめて部長のあたりまで同じ額になさったらいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/38
-
039・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 相当長い間の経験を積んでこの通りになっておりまするが、時代の進運とともに変更が必要ならば考えなければなりませんが、今はこの通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/39
-
040・湯山勇
○湯山勇君 これは一ぺんお願いしたいのですが、この手当につきましては、一つ学士院内の各役職のバランス、それからそれと芸術院とのバランス、そういうものにつきましては、これは法律も出た機会にぜひ再検討をお願いいたしたいと思います。三十一年度予算でどうしてくれ、こうしてくれという意味ではありませんから、一つ文部大臣そういうことを御了承いただきたいと思います。
それから最後にお尋ねいたしたいのは、第十条ですが、「事務長その他所要の職員を置く。」、そこでその最後の方に事務長は、院長の指揮を受けて庶務を整理する、その次に「その他の職員は、上司の指揮を受け、庶務に従事する。」、こういう表現がしてございます。この場合の上司というのは何をさすか、たとえば院長をさすのか、それから事務長をさすのか、あるいは幹事、部長、こういうものまでさすのか、会員は一体この人たちの上司になるのかならないのか、こういうことがはっきりしないと、会員の人が命令、指揮することもできないと思うし、部長の人が命令指揮することができるかできないか、こういった問題が出てくると思いますので、この上司というのはどれだけをさすのか、その点を一つ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/40
-
041・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) この点は御承知のように普通の法文の用例、事例に従って書いたわけでありまして、直接には平職員は事務長、またものによりましては院長直接というようなことに想像せられるのでありますが、すべては第十一条の規定に基きまして学士院の内部組織についてこまかい庶務規程は制定せられることだと考えております。今までの例その他から考えますれば、結局会員は事務職員を指揮命令して働かせることにはなっていないのであります。その必要がありますれば院長なり、事務長を通じていたします。これは事務系統と審議機関との常のあり方であると私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/41
-
042・湯山勇
○湯山勇君 ちょっと伺いますが、それじゃ上司は、だれだれが上司かということは細則できめられるということでございますか。それからもう一つは、第四条によれば役員の中には幹事がありまして、幹事は院長の職務を代理するというようになっておるし、部長は部務を処理する、こういうことになっておりますから、これらは当然それらの部務を処理する、あるいは会長の職務を代行するとか、そういったような点においてはこれらの職員に対する上司ということに解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/42
-
043・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 大体お話の通りに解釈いたします。院長はすべての意味におきましてあらゆる事務職員の上司であります。また事務長は所属事務職員の上司であります。また庶務細則の書き様によりましては院長を補佐いたしまして幹事、部長が院務を処理いたしますから、その限りにおきましては幹事、部長が事務職員を指揮することはできると思います。平会員は通常事務職員を指揮監督しないことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/43
-
044・湯山勇
○湯山勇君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/44
-
045・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) ほかに御質疑ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/45
-
046・竹下豐次
○竹下豐次君 もと学士院というのがあったのを学術会議ができましたときに統合されて学術会議になったというわけですか、そのときの経緯を少しお話していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/46
-
047・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) その経緯はちょうどここに学術会議の方の事務局長が当時そのことに従事せられておりましたので、学術会議の事務局長の方からお話しいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/47
-
048・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 御承知の通り、学士院は明治十二年に創立されました。それからさっきの稲田局長の説明に少し補足いたしますと、明治三十九年から国際学士院連合に加入いたしまして、一九二〇年、すなわち大正九年に学術研究会議ができました際に新たに学士院が生れ変ってその機能の研究連絡の部門、特に自然科学の部門をそちらに譲りまして、それで長く両方の独立の官制をもって並立していたものであります。学士院自体は明治の初年におきましては非常に広い意味を持って、また機能を持っていたのでありますが、各国の学士院の歴史にも示します通りに、それぞれの機能が分化して参りまして、そこでそのほか昭和六年に、これは財団法人でありますけれども、日本学術振興会というのができまして、研究の連絡に当っておった学術研究会議というものはだんだん膨脹いたしまして、日本の全科学者の研究連絡あるいは内外の連絡というようなことをやって参りました。戦後いろいろな機能の混乱を防いで一本の強力な学術体制をこしらえますために、全国から民主的に代表者を選びまして、そうして百八人の代表者が約一年近く戦後の学術体制いかにあるべきかということを熱心に討議いたしました。そうしてその答申に基いて日本学術会議法というものが生れました。そこで学士院は碩学の府としてその性格をはっきりさせまして、そうしてただ学士院はこの碩学の府として碩学の府にふさわしい授賞等の事業に当る。ただ国際的に明治三十九年以来あるいは正確に法的に言えば、大正九年以来学士院連合に加入してきていたものであります。なぜ学術会議法の中に学士院が規定されておるかと、申しますと碩学の府として特殊な性格をはっきりさせたのでありますが、しかしその会員は学界の代表機関である学術会議から推薦する、学術会議の総会でこれを選ぶ、こういうことになっていたのであります。ところがそういう意味で学術会議法の中にあったのでありますが、先ほど申しますように、学士院は古い伝統を持った存在でありますので、その会員を選ぶのにやはり学士院みずから選びたい、こういう希望が強く出まして、これもまたごもっともなことでありますので、いろいろ御審議の結果、それでは学士院従来の選び方について、学界の意見が反映するような方法で選んでもらいたいという希望を添えまして、そうして学士院みずから選ばれることになりました。そうしますと学術会議法の中に性格の違ったものがあるのでありますが、これが分離して学士院というものが単行法に基いた一つのものとなり、それから性格の違った内外の研究科学者を代表し、研究の連絡等をはかる学術会議というものとが分離した、こういうのが大体の経過であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/48
-
049・竹下豐次
○竹下豐次君 一度独立しておった学士院というのが必要によって学術会議に統合された、それが多少もととは違いますけれども、まず大体もとあったような日本学士院に婦っていかなければならぬということになりますと、帰っていかなければならない理由が那辺にあるかということなのです。国際会議に加入するという問題につきまして考えてみますと、先ほど局長のお話を承わっておりますると、戦争中もずっと加入はしておったのだ、しかし交通の関係などで事実出席していなかった、会費も未納になっておるということでありますが、会員であることには差しつかえないわけなのであります。学術会議の一部分として存在しておっても、そういうことになりますと国際的な関係からいうと、必ずしも独立しなくてもいいのだということになるのじゃないかと思うのですけれども、その辺は私先ほど御説明の聞き落しがあるかもしれませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/49
-
050・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 先ほど言葉が足りなかったかと思います。今本田局長から申されましたように、学術新体制の答申によって、当時政府が決定いたしましたこと、それは異議があるのでございますけれども、そこに無理があったと見れば見れる点もあるのでございます。当時は新しく作る日本学術会議というものを非常に中心に考えましたので、なるべくこれにあらゆる関係を従属せしめようという気持が働いたものとも見えるのであります。従ってその際に学士院を学術会議に従属せしめ、ことに学士院の会員の選定を学術会議で選定する、実際問題は両方から半数の委員が出て選定いたしまするけれど、法それ自身の性格としては学術会議が選ぶ、学術会議の総会で半数ずつ出て選んだものを承認することによって初めて学士院会員になる。これは日本の沿革とも違いまするし、世界各国の学士院的のものがみなそれ自身で会員を選んでいるというような状態とも非常に違う。いわばゆがめられたような形になったわけであって、その点を学士院の方は不満に思っている。もとの通り返すことが国際的にもまた沿革的にも自然だという意見をお持ちになっている、また一方日本学術会議もそれほど学士院がお考えになるならば自分の方も異議がないという議決をして、両者がこういう格好にしたわけであります。われわれ考えまするところ、やはりこれは碩学の府でありますので、碩学が大所高所から会員をお選びになるのが一番正しいと思います。学術会議は新進気鋭な学者が集まられて、そうして学術の振興なりいろいろ諸般の問題を活発に審議せられる、そのところであろうと思うのであります。必ずしも学士院を学術会議に従属せしめたことが賢明であったとは思わないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/50
-
051・竹下豐次
○竹下豐次君 私の気持といたしましては、学士院の会員の人に対しては年金等の特別の関係もある。同じ学術会議の会員であって別々に待遇されるようなことも起ってくることになります。一緒にしておかない方がまあ自然のことじゃないかというような気持は実は持っておるわけであります。ただかって統合された際の理由が正しいものだとすれば、この際引き離すのもどうかと思いまして、疑問をもちましてお尋ねしたのでありますが、今の御答弁によりますと、そこにやっぱり戦争中に無理があったのだという御答弁のように承わりますので、その点は了承いたしました。
もう一つお尋ねいたしますが、この学士院の方は科学者を優遇するための機関とするということと、それから必要な事業を行うことを目的とする、こういうことになっておりますね。必要な事業というのがこの八条だと思っております。「日本学士院は、次の事業を行う。」その三に「その他学術の研究を奨励するため必要な事業で、日本学士院が行うことを適当とするもの」こうありますですね、これと学術会議の件と重複してそのけじめがわからないようなことが起りはしないかというふうにもちょっと疑ったのであります。ところが現在の日本学術会議法を見まするというと、二十四条の2に「日本学士院は、学術の研究を奨励するため、特にすぐれた論文、著書その他特定の研究業績に対して授賞することができる。」こう書いてありまして、これだけを引き抜いて学術会議の方にはこの権限を与えないという意味なのか、どうもそこのところがこの条文の書き方では、はっきりしないような気がするのであります。そのけじめはどういうことになっているのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/51
-
052・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 学術会議の方は学術会議法の二条から三条ないし四条、五条、この辺が学術会議の目的であり、事業として掲記せられておると思います。これは本田局長からお話いただいたほうがいいんでございますけれども、主としてこの学会の連絡に当り、政府から諮問せられたことを審議し、また政府に対して建議をし、また新たに挿入せられた改正法文によって国際的な学会に参加をして国際的な活動をする。そうした大所高所に立って現在の研究活動を推進しようというのが学術会議の方の御任務であろうと思います。で、学士院がこの三に掲げておりますことは、これは非常に限局された意味合いのことしかできないのでありまして、これは学術会議の特例的な法規と私どもは解釈いたしますので、この一、二で例示せられておりまするように、この碩学の府にふさわしい仕事に限られることだと思っております。従いまして、この三の研究奨励の必要な事業といいましても、非常に現実的な、行政的に科学研究を推進するというような、大きな規模のことについて、いろいろ献策したり諮問に応ずるというような意味ではないのでありまして、これは従来ございまするけれども、学士院に対しまして特別に委任経理のもとに研究助成金等が寄託せられます。それをこの碩学がいろいろごらんになって適当とせられるような学術研究に対して奨励の意味で補助をする、あるいは顕彰する、この一、二に掲げる以外にそういう付随的な事業としていたしますものであって、学術会議の広範な事業と比べますれば、ごく限局せられた特定の事業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/52
-
053・竹下豐次
○竹下豐次君 日本学士院が行うことを適当とするものという認定は、学士院、自分でおやりになることになりますか、それとも文部省の方でもお考えになるということになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/53
-
054・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 国の機関でありまして、予算で成り立ちまする以上は、学士院自身もいろいろ御企画がございましょうけれども、空極の決定は文部省その他政府諸機関と相談ずくでなければできないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/54
-
055・湯山勇
○湯山勇君 学術会議の方についてお尋ねいたしたいと思います。これはこの改正案とは少しはずれておりますけれども、学術会議の目的である「科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させること」が目的だとなっております。そこで今日までの経過を見てみますと、たとえばこの学術会議は濃縮ウラニウム受け入れにつきましても、あの協定とは幾らか違った意見をお述べになっておりましたが、結局政府の方はその通りの学術会議の意見をそのまま受け入れてはいないようでした。それから学術会議は、この原子力の研究につきましても三原則ということをおっしゃっておられましたけれども、これも政府としてはお取り上げにならないで、結局われわれ議員提案の形でやらざるを得ない状態になりました。これらのことを考えてみますと、この学術会議の目的としておる科学を、行政あるいは産業、国民生活に反映させるというその中で、政府が果してこの学術会議のいろんな意見というものを正当に評価し重視しておるかどうか、この点について局長はどういう御判断をしていらっしゃるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/55
-
056・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。先にお手元にお配りいたしました法律案に、改正の参考資料の中に、学術会議から従来申し入れました勧告申入れ諮問答申一覧表というのがございます。これにかなりたくさんのものがありますが、それを一々点検いたしますと、これはほとんど大部分政府で取り入れられております。ただ研究費をもっとふやしてもらいたいなどという問題につきましては希望通りいっておりませんけれども、大体相当広範に、大多数は取り入れられ、実現せられておるか、あるいは実現の過程にあるものが多いと思います。今特に御指摘の原子力関係のものにつきまして学術会議の中の委員会から申し入れましたことがいろいろな筋を通しまして、そうして実質的に取り入れられておりますし、これは国会議員のお方の御尽力に待つところ非常に多いわけですけれども、実質的に基本法の中にも取り入れられておりますし、またいろいろその運営の面においても、その方面を代表した人たちが入っておりまして、大筋においては大体尊重されておる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/56
-
057・湯山勇
○湯山勇君 今の大筋といいますか、これは見方によると思うのですが、私どもが逆に大筋においては認められていないで、枝葉末節的のものはたくさん取り入れられておるというような感じを持ちます。それは特に今のお話の原子力基本法の問題ですけれども、これは政府は少しも取り上げておりません、三原則につきましては。政府の方で取り上げないから、仕方なく議員の方で取り上げてあの法律を作ったわけでして、そういうことを見ますと、ああいう重大な問題を取り上げないというような行き方については、私は学術会議としてもいろいろ御批判があるんじゃないかと思うのですが、これは御答弁を要求するのが無理かもしれませんけれども、そういう声は学術会議の内部にはございませんでしょうか、それならお答えいただけると思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/57
-
058・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。学術会議は審議機関であります。いろいろな学者の意見が出ます。従ってその中にいろいろ批判的な者がおったりすることはこれは当然でございまして、また全面的に承服しないというような方もあり得ることは当然だと思うのです。原子力の問題、くどいようですけれども政府の作りました原子力利用準備調査委員会、副総理がこの会長になりまして、政府の機関として作られたものの中にも、先ほどの三原則の趣旨は大体取り入れられておりました。学術会議の総会でもそのことは了承いたしております。
それから念のために、はなはだ恐縮でございますけれども申し上げておきますことは、学術会議、今お話の学術会議の活動をどうごらんになっておるか、これも資料にお配りいたしました組織図というのがございますが、それをごらんになりますれば、学術会議の活動がかなり広範で、広い面に国の国際的、国内的にわたっておるので、そういうのは学術の性質上非常にじみなこの研究の連絡等のこと、内外の連絡等のこと、学術上多くの事柄は非常にじみな事柄でありまして、たまたま新聞等の記事に出ますのは非常に特殊な面でございまして、学術会議の活動と申しますのは国内的にも国際的にもかなり広範なものであるし、それがまた重要な活動をしておることは資料についてどうかよくごらんを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/58
-
059・湯山勇
○湯山勇君 よくわかりました。それだけに私は学術会議が今後こそもっと今のような点を強力に反映さしていただきたいと、こう思うわけです。
それでその問題との関連において、今度新たに改正されました第六条の二項です。これによりますと「国際団体に加入する場合において、政府があらたに義務を負担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。」こうなっておりますが、この中の「政府があらたに義務を負担する」という内容は、私ども簡単に考えて、これは予算的のものだとのみ解釈しておりますが、そのほかに何か要素がございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/59
-
060・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。これは今御指摘の通り分担金の問題であります。ただ特に国際学会を日本で開くというような場合、国際的な学術団体の要請によって日本でも開くというような場合には、政府の承認を経て、そのことを閣議の決定を経てそれをやっております。この規定はこれは戦前にもありましたので、文部大臣の承認を経て国際団体に加入することができる、これは古い学士院の規定の中にも、あるいは学術研究会議の中にもあったのでありまして、これは何も新しいことではないので、ただこれが法律が制定されました当時、先ほど稻田局長もちょっと触れられたように、国際交通が途絶しておりましたために、附則の第三十一条で処理しておったものをここで明文にうたおうというだけのことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/60
-
061・湯山勇
○湯山勇君 そういたしますと、この予算を伴わない場合、それは総理大臣の承認を受けなくてもいいということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/61
-
062・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。国際団体に加入するのにいろいろな度合いと申しますか、方法があります。で、いろいろな国際団体に国が何らの義務を伴わないで加入している場合もあります。社会科学国際連合のごとき、現実に何も伴っておりません。しかしインター・ナショナル・ユニオンの中には分担金を負担しなければならない、そういう場合には国庫の負担になりますから、そういう場合には所轄大臣の承認を経て、そうして国会の承認を得てそれを予算に計上して国会に出しておるわけであります。そこでそういう義務を伴わないものまでも、一々承認を得る必要はないであろう、だから特に国が新たな義務を負担するような場合に、特に所轄大臣の承認を要する、こういう表現になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/62
-
063・湯山勇
○湯山勇君 ただいまのは予算上の義務を負う場合だけと私は解釈しておりますから、もし間違っておりましたら、あとで御訂正願うことにして、従来文部大臣でできておったものが今度総理大臣になっておりますが、これは特別な理由がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/63
-
064・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。先ほど申しました学術体制刷新委員会でこの研究科学者を内外に代表し、そうして科学の振興と同時に行政、産業、日常生活に反映浸透させる、こういうことを目的とすれば、研究が各省にまたがっておりますために、文部省から総理大臣の直轄のもとに移した方がいいだろうという当時の学術体制刷新委員会の結論に基いてこの学術会議法ができたのでありまして、そういう意味で総理府の所轄になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/64
-
065・湯山勇
○湯山勇君 これは文部省の方へお尋ねいたしますが、従来文部大臣がこのことを所管しておって何か不都合な点、不便な点がございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/65
-
066・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) これはただいま木田局長が申されましたように、まあ学術といっても、かなり応用的な面は各省にまたがっておるということで、学術体制刷新審議会は総理府が一番各省との関係においていいだろうということでおやりになったものだと伺っております。別に文部省が所管した関係において著しい不便不都合があったということではないのじゃないか、その性格から見て総理府に置くのが適当だというふうに改められたことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/66
-
067・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、まあこれは大へん俗な言い方ですけれども、アクセサリーとして文部大臣よりも総理大臣の方がいいと、まあこれくらいの程度でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/67
-
068・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 同時に御承知のように科学行政審議会というものが政府に設置せられまして、政府が学術会議に諮問するときは科学行政審議会を通じる、また学術会議が政府に建議するときは科学行政審議会で受けると、こういう体制になりまして、科学行政審議会が総理府にある。いろいろなこととにらみ合せて、やはり運用の円滑を考えれば総理府の方がいいと考えられたことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/68
-
069・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) ほかに御質疑ございませんか。
では私から一、二点お伺いいたします。まず日本学士院法案に関しまして、第三条のところで会員の選定は学士院において行う、こうございますが、これは選定規則といったようなものはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/69
-
070・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 新しくこの法律が制定せられますれば、法律の十一号の委任におきまして各種の規定が設けられることと考えております。その場合に日本学士院がそれ自身日本学士院会議選定規則というものを定めるはずになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/70
-
071・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 従来応用化学、工学、農学並びに史学、そういう系統が比較的会員の中に少かったということでありますし、それが日本学術会議で選考されるに至って、そういう系統の人たちが比較的ふえてきた、こういう事実があるようでございますが、今度再び日本学士院ということに独立をいたしまして、その選定はあげて学士院にまかすということになった場合に旧来のような弊に陥る危険はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/71
-
072・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 学士院が先般来申し上げておりまするように非常に長い歴史、沿革をもちまして、わが国における明治以降の学術の興隆に伴って充実し発達して参りました関係上、ある領野の学術関係につきましてはやはり比較的優遇すべき碩学の方が少かった領野も自然あったことだと考えております。今日及び今後、各領野の学術が振興するに伴いまして優遇すべき、また学士院の組織としてお招きすべき学者は各部門から漏れなく満ちてくることだと考えております。われわれといたしましても新しく法律が制定せられまして、そのもとで規定せられまする選考規定、選考の基準もあるいは選考の方法もそういうような意味において学術のある領野に偏しましたり、あるいは野に遺賢あらしめるような欠陥のないようないき方を希望する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/72
-
073・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 従来この選定の衝に当ってこられた日本学術会議は、ただいまの問題についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/73
-
074・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。
学術会議で選定いたします際には学士院側の委員と学術会議の各部門から選んだ委員と半数ずつ出まして、そうして広く学界から公募いたしまして、選考委員を作って、そうして総会にかけて送っていたことは先ほど申した通りでありますが、先ほどの通りでありますが、今度学士院みずから選ばれるにつきましては、どうか広く今稻田局長の言われたような方法で選ばれるようにという希望をつけまして学士院側もそれを了承されたのであります。
なお念のために申しますと、学士院内部に学術会議の七部に対立しまして七分科にそれぞれ定員が定められておりますから、以前のような各部門の不均衡は起ってこないだろう、こう考える所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/74
-
075・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 次に、第七条についてでありますが、国際学士院連合への加入の問題については他の委員から御質疑がありましたので、私は重複を避けますが、特に法律で規定をして国際学士院連合へ加入している他の国の例がありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/75
-
076・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) その点申しわけございませんが、つまびらかにいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/76
-
077・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それでは次回でもけっこうですから、あるなし、もしありとすればどこの国がどういう法律規定をして参加をしているか、資料を一つ提供していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/77
-
078・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) その点は従来とも学術会議とも相談をして探したのでありまするけれども、資料が手に入らないのでございます。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/78
-
079・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。
先ほども御質問があったのでありますが、国際団体は国と国との約束になっている形は非常に少なくて、ごくまれなので、たとえば冷凍協会のような特殊な場合を除きましては、いわば国と国との直接のつながりでなく、従って条約によったものではございません。従って私も各国の法律をたんねんに調べておりませんけれども、おそらく各国の分は法律によって規定されたものはあまりないかと思われますが、日本の場合について申しますと、先ほども申しましたように学士院規程というのは昔の勅令であります。それから学術研究会議の官制、これも勅令であります。これは今の法律に当るものでありますが、それには明瞭にその加入のことがうたってありまして、そうしてそれが同時に分担金等に関連しまして国の負担になるから承認を経なければならぬということもうたってあります。最近学術上の国の機関が非常にふえて参りまして、あるいは法律にうたってあるところがあるかもしれませんが、沿革的に申しますと、条約によるとかあるいは法律によるという形、国際的な団体はそういうものはないものが多く、それから日本は伝統的に国の負担、国の機関として国の負担を伴いますから、昔の勅令、今で言えば当然法律に規定される、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/79
-
080・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それではこの点もう一度念を押したいと思いますが、経過はわかりました。しかし、他の国の例がないのを日本だけが過去がそうであったからというだけの関連で、特にこういった法律の中に明記しなければ一体国の予算なり国際学士院連合へ加入するための負担金というのは七万四千円ですか、が予定されておるようですが、そういう支出はできないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/80
-
081・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 国の支出ができないという意味合いからここに掲記したのではないのでございます。今まででも予算に計上してきていただいておりましたものは、それは先ほど本田局長からお話がありましたように、これはまあ勅令の根拠がありますので、その点は今までありましたように今後とも明瞭にする方が日本の取扱いとしてはいいように考えます。しかし法理なりいろいろな理論から見て、絶対に困るかといえば性質として私困るほどではないと思いますけれども、あった方がいいか悪いかといえば、今までも掲記しておりましたから、法律が勅令にかわりますればここに載せた方がいいと思います。そればかりでなく、なぜ法律に、ここに掲げなければならないかという点につきましては、先ほど湯山委員にもお答え申し上げましたように、一方において御審議いただきます学術会議の改正法律におきましては、大よそ国際的な学術団体は学術会議が加入するんだという趣旨がはっきりいたします。そういたしますと、反対解釈によりまして学士院は今後国際学士院連合に加入できないのじゃないかという解釈のおそれがあります。その点から見ましても、この際これは明らかに国際学士院連合に限っては学士院が加入するんだということを法律で明記する必要があると私どもは考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/81
-
082・湯山勇
○湯山勇君 ちょっと関連して。今の御説明を聞きましてちょっと疑問が起ったのは、それじゃあ学術会議は国際学士院会に入れないという規定を設けなければ、今の裏として学術会議も国際学士院連合に入るということは可能でしょう、この法文から言えば。そうすると、両方が入るというような事態は起りませんか。一方を法律でやれば、一方も何とかそれを保護するために規定するという必要があって初めて今の話が符合するので、一方だけきめて一方野放しじゃ私はちょっとこれは変じゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/82
-
083・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) これはまあ大よそ立法の場合にも、解釈の場合にも、まあ一般法、特例法という原則がございますから、特に掲記しております場合はその特例による、掲記してなければ一般則による、だまってれば全部学術会議、ここに掲げております限りにおきましては学士院、こういうふうに解釈いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/83
-
084・湯山勇
○湯山勇君 学術会議が国際学士院連合に入れないということは何で規定ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/84
-
085・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) それは法律の一般法、特例法の解釈であると思います。こればかりでなく、大よそ特例法があります場合に一般法は特例法を除くとは一々書いてないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/85
-
086・湯山勇
○湯山勇君 その点が変なので、学士院と学術会議とは別なものでしょう。今度別になったわけですね。そして学士院はこれに入ることができるということを一つきめております。学術会議はどれでも入っていいわけです、総理大臣の承認さえ受ければ。だからこの法律の通りいけば、学術会議が総理大臣の承認さえ受ければ学士院連合に入れるということになることは、これは当りまえなので、そういうことができるんじゃないかと、こう言っておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/86
-
087・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 例は当らぬかもしれませんけれども、たとえば市町村という団体の行政機関に市町村長がある。ただ教育行政につきましては、別に教育委員会法というものがあって、これは教育長がつかさどる。これは教育委員会法で書きますれば、別に市町村関係の地方自治法において市町村長の権限からは教育長の権限を除くと書かないでも、自然まあ除かれてくると私は同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/87
-
088・湯山勇
○湯山勇君 えらいくどいようですが、これは事務局長の方にお尋ねいたします。そういう関係にありますか。学士院と学術会議は今度の法律でそういう関係がなくなったんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/88
-
089・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。今稻田局長の言われたような関係に……、全般的に学術会議がこの日本の科学者を外国にも代表することになるわけでございますが、学士院連合に限っては日本学士院法が成立すれば日本学士院がそれに加入する、こういう建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/89
-
090・湯山勇
○湯山勇君 建前のことをお聞きしているのでなくて、法律だけのことを言っとるんです。法律で言えば学術会議は学術会議で別でしょう。学士院は学士院で別でしょう。だからこの二つの間のつながりを持たせる法律というものは今ないんですね。そうすると、こちらはこれに入ってよろしいと、一方の方はどれに入ってもよろしいというと、こちらはほかのへ入ることはできませんけれども、学術会議の方はどれにでも入れると、こういうことになっておるから、今の国際学士院連合というものが必ずしも学士院だけと結びついておるということにはこの法律の上からはならないのではないかということをお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/90
-
091・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 一般法、特別法という関係というものは、別にその法律が一本であろうと別であろうと、それは問わないと思います。同じ法律で書かれていようと、他の法律で書かれていましょうとも、事の解釈といたしまして一般的解釈に従うか特別解釈に従うかの問題だろうと思います。今国際学術団体というものを中心として考えました場合に、そのうちの国際学士院連合というものを取り出して考えます。取り出した場合に、それは日本の法律で学士院が入るのだと、これは特別法の解釈になろうと思います。それ以外の国際の学術団体というものは、これは学術会議法で学術会議が入ると書いてありますれば、これは一切がっさい学術会議が入ると、一般法、特別法というのは、何も学士院と学術会議が付属団体であろうと、あるいは同種団体であろうと、そっちの方から言わないでも、国際学術団体という側において一般、特別の関係があれば事は明瞭だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/91
-
092・湯山勇
○湯山勇君 ちょっと疑義がございますけれども、よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/92
-
093・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それでは私から今の問題について、これは大臣にお尋ねいたします。ブラッセルにある国際学士院連合は、先ほどの御説明でも明かなように、私的の法人のようでありますが、それに対して特に日本だけが一国の法律で規定をして加入をするということを国会で議決をすることは、法の体裁として、一国の品位といいますか、権威といいますか、そういう点から考えていかがかと私は思うのですが、これについては大臣のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/93
-
094・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) 本田局長より外国の立法のことについてはつまびらかにせぬとおっしゃいましたが、学術会議、すなわちアカデミーというものは、外国では日本のように必ずしも一種の政府機関ともいたしておらぬ国もございます。それでおのずからそういう規定がいわゆる政府の法律に現われぬ場合が多いのであろうと思います。わが国の新憲法の組織においては、政府の傘下のある団体が外国の、または国際の団体に加入することは、やはり法律に明記するがよかろうと思うのであります。そうして、今稻田局長の説明の通り、外国の学術団体に一般に加入するのは学術会議ということをきめました以上、そのうちの学士院連合というものだけはこれを除いて、日本の学士院に加入せしめると、こういうことを同時に考えて一つの改正案と一つの立法を願った次第でございます。これがためにわが国の国威を失墜するといったようなことにはなるまいと私は存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/94
-
095・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それではもう一度これは一つ局長に念を押しておきたいと思いますが、先ほどの御説明では、これは特別規定であり、国内的には保護規定であると、こういう御説明でしたが、しかし必ずしもこれを法文の中に明記しなくても国からの保護はできる、助成はできると、こういう御説明であった。従って、もしこの第二の理由である保護規定を一部ネグレクトして考えれば、そういう特別規定をしなければ日本の学士院会員と申しますか、日本の学術のことに従事しておいでになる方々というものは、非常に不安をお感じになるか、もしくは安心ができないということなんでしょうが、その点について、これは本田局長の御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/95
-
096・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) ちょっと訂正してよろしゅうございますか。私が保護規定であると申し、あるいは助成という言葉を使ったようにお聞きでありますれば、それは私の意思ではないのです。これは国家機関でございますから、国の予算で動く機関でございます。そういう意味合いにおいて、予算を計上すれば、分担金というものはこの学士院において使用できる。こういう意味で申したわけであります。ただ従来の沿革が長く、かつては法律にかわるべき勅令において、このことを掲記いたしましたから、新しく法律で制定する場合には掲記いたすのが適当であろう、こういう意味で後段のことを申した次第でございます。で、大体今日ここで御審議いただきます学士院法は、学士院のあらゆる重要ないろいろな内外の関係、組織、活動等を一通り網羅的に掲記いたしました。その点から考えますれば、ああして年々予算に計上していただきます国際学士院連合に加入ということは、学士院の他の条項に掲げておりまするいろいろの事業等と比べますれば、非常に重要な、最も重要な事業でありますので、この法文に掲記いたしますことは、これは国内的……、この法自身の態勢といたしましても、国の内外に学士院がいかなるものであり、いかなることをやるかということを、この機会に明らかにいたしますことが適当だと考えたわけでありまして、その点お許しを得て補足いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/96
-
097・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。大正九年以来、今日の法律に当る勅令をもって明記されておりますので、学士院が独立します際に、やはりそのことを法文ではっきりうたいたいということは、院長以下全会員の強く希望しておる点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/97
-
098・清瀬一郎
○国務大臣(清瀬一郎君) この関係の院長が御希望の、こういう内部的のことじゃないので、私が考えていることは、もう一つあるのです。それはわが国の学士院は政府の機関なんです。国家の機関であるのです。入会しますると、わずかでございますけれども債務を負担するのです、外国との間の。憲法七十三条による条約とか協定とかではございませんけれども、一国の機関はやはり一国の一部分なんです。それが外国に向って加入をして、加入の結果金銭上の債務も、またあるいは出張とか、入国とか、招待をする場合には、それらの義務を負担するような場合でありまするから、よその国はどうあろうと、わが国の戦後の憲法組織においては、やはり法律でこれを明確にする方が、われわれ国会議員の立場としてもいいのではないか、こういうことを私は一つ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/98
-
099・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 最後に私は日本学士院の法案の問題については、これは文部当局と日本学術会議にも関係が特におありですから、先ほどお尋ねをいたしました他の国の立法例があるかどうかということについて、はっきりいたさないようでありますが、もう一段の一つ御調査を願いまして、あるかないか。ないであろうということのようでしたけれども、そこを明確にして、もしあったら、あるいはあったということを、ないのならばないということを一つこの委員会に御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/99
-
100・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) これはかなり久しく探しましたが、ないのでございます。で、私は先ほどないであろうということは、もののない場合には多少遠慮して申しますけれども、私らの能力としては今までこれはないと判断する以外にはいたし方がないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/100
-
101・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) ないという意味は、つまり法律で規定をして参加をしておるという事実がないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/101
-
102・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/102
-
103・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それでは次に学術会議についてお尋ねをいたします。これも先ほどの委員の方の御質問の重複を避けますが、特に私は日本学術会議の法律を拝見いたしますと、日本学術会議の活動の実情が国会に反映しておることがどうも少いのではないかという感じがいたします。なお法律に従って、その政府に勧告した事例、並びに政府が日本学術会議に諮問をした事例の中で、日本の国の科学行政を大きく支配すると言いますか、きわめて重大な影響力を持つような事例があったか、なかったか。私の拝見する限りでは、実に細かな諮問、あるいは申し入れ等にいたしましても、非常に、もう極端に申しますと、零細と言いますか、非常に微細なことが多くて、日本の科学技術に関する大局的な見地に立っての諮問なり勧告なりというものが非常に少いように見受けられるのですが、この点に関して私は日本学術会議というものは、もう少し従来の活動の経緯から考えまして、国会への意見を具申なさるとか、もしくは一国の、この立法の府に対して、もう少しその科学者として建設的な御意見等の開陳があっていいのではないかというふうに私は考えます。ですからこの点については、必要があれば法律を改正するということも、これは妥当だと考えますので、必ずしも現法規にとらわれないでお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/103
-
104・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。この国会方面に学術会議との連絡が不十分であったという点につきましては、私たち関係者といたしましてまことにお恥かしい次第でありまして、十分その点かえりみて、その努力も足りなかったし、実績もなかったことをおわびしなければならないと思います。学術会議の活動状況を、年報の形で一度編さんいたしまして、そして国内的にも、国際的にもお送りしたことがありましたけれども、これは恥かしい話でありますけれども、学術会議のその純学術上の出版関係が非常に窮屈でありまして、それで貴重な論文をあと廻しにしてまでやるということができないものですから、それがあとになりましたのですが、これは今後十分努力して、御希望に副うように、国会方面とも、もっと緊密な連絡をとっていくようにしたいと考えております。
第二の点につきましては、これは一つは学術会議ができた早々、長い間いろいろ学界の不平不満、当面のことが勧告なり、申し入れによって現われておるので、お話のように第二次的なものがかなり多いと思います。しかしながら、また一面、日本の研究体制の上で最大の欠陥であると思われる基礎研究と、それから実用化との間等につきましても特に委員会を設けまして、その隘路を指摘いたしまして、そして研究成果を実用化するために産業技術開発金庫法案の提出方を政府に勧告いたしまして、政府でもそれを取り入れ、一旦閣議にかかったのでありますが、当時占領治下でありまして、どういう事情か、とうとう実現をみなかった。これはわれわれとしてもぜひ実現さしたいものである。基礎研究と実用化をつなぐについて重要な問題であると考えております。そういう点を取り上げたことを報告し、また現在だんだん学術会議の仕事も軌道に乗って参りまして、この学術会議の全能力をあけまして今後日本の研究体制、基本研究方策と申しますか、人口の推移あるいは経済の状況、技術、資源、エネルギー、いろいろな面を総合的に各分科会を作って長期研究計画の基本計画を、鋭意長期研究計画委員会で相当たくさんの分科会を設け、非常に熱心にその成果をあげつつあります。おそらく本年中には一応の基本計画ができると思います。そうしましたら、政府に勧告するか、あるいは国会等の御援助を仰ぐというようなことも起ってくるかと思います。そういうことでようやく軌道に乗り出しまして、会員が非常に熱心にやっておることを一例としてこの機会にお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/104
-
105・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それから、もう一つお尋ねをいたします。
日本学術会議と政府との連絡機関としての科学技術行政協議会、いわゆるスタックが今度なくなって参る、そうすると、さなきだに私が前段質問を申し上げましたような事柄が一そう希薄になって参るのではないかという心配をいたすものでありますが、学術会議としては今度提案されております科学技術庁設置法によって、この中に生れようとする企画調整局においてこの仕事をおやりになればそれで、もう言うところはない、十分であるとお考えになりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/105
-
106・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。新たにできる科学技術庁につきましては、学術会議として非常な関心を持っております。企画調整局で学術会議との連絡をとることに原案ではなっております。それと同時に、科学技術庁に科学審議会というのができて科学に関する重要な事項を審議することになっておりますが、科学審議会で学術会議との連絡をとることが法文ではっきりうたわれるように衆議院で満場一致そういうことに修正されたことを喜んでおりますし、またそうあるべきであると考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/106
-
107・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) ほかにございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/107
-
108・竹下豐次
○竹下豐次君 いろいろお尋ねしたいこともあるのですが、今日は時間が足りないと思いますから、あとでまたお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/108
-
109・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それでは本日はこれで散会をいたします。
午後四時五十六分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00619560301/109
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。