1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月六日(火曜日)
午後一時四十一分開会
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委員の異動
三月二日委員石坂豊一君、瀧井治三郎
君及び小西英雄君辞任につき、その補
欠として中川幸平君、木村守江君及び
森田豊壽君を議長において指名した。
三月三日委員永岡光治君辞任につき、
その補欠として安部キミ子君を議長に
おいて指名した。
三月五日委員森田豊壽君辞任につき、
その補欠として深川タマヱ君を議長に
おいて指名した。
本日委員木村守江君、深川タマヱ君及
び久保等君辞任につき、その補欠とし
て寺本広作君、横山フク君及び矢嶋三
義君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 飯島連次郎君
理事
有馬 英二君
川口爲之助君
湯山 勇君
委員
剱木 亨弘君
寺本 広作君
松原 一彦君
三木與吉郎君
横山 フク君
吉田 萬次君
秋山 長造君
安部キミ子君
村尾 重雄君
矢嶋 三義君
高橋 道男君
竹下 豐次君
政府委員
日本学術会議事
務局長 本田 弘人君
文部政務次官 竹尾 弌君
文部省大学学術
局長 稲田 清助君
文部省社会教育
局長 内藤誉三郎君
事務局側
常任委員会専門
員 工樂 英司君
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本日の会議に付した案件
○義務教育費国庫負担法の一部を改正
する法律案(内閣送付、予備審査)
○国立学校設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本学士院法案(内閣提出、衆議院
送付)
○日本学術会議法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○万国著作権条約の実施に伴う著作権
法の特例に関する法律案(内閣提
出)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/0
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001・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) これより文教委員会を開きます。
委員の変更について御報告いたします。三月二日小西英雄君、石坂豊一君、瀧井治三郎君が、三月三日永岡光治君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として森田豊壽君、中川幸平君、木村守江君、安部キミ子君が選任されました。次いで三月五日森田豊壽君が、三月六日久保等君が、また木村守江君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として深川タマヱ君、矢嶋三義君、寺本広作君が選任されました。また六日深川タマヱ君が委員を辞任され、その補欠として横山フク君が選任されました。以上であります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/1
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002・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) まず義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府から提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/2
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003・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) 今回政府から提出いたしました義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
現在、公立の義務教育諸学校の教職員の大部分は、国の恩給法の準用を受けており、これら教職員が退職または死亡した場合に支給される恩給は、国の恩給法の準用に基き、都道府県知事が裁定支給し、これに要する経費は、都道府県が負担する建前になっております。もちろん、これに対しまして国は、地方交付税の交付を通じ、所要の財源措置を講じているのでありますが、との恩給費は、相当な額に上り、さらに年々増加する傾向にあるため、都道府県としては相当過重な負担となっている実情であります。
一方、国は、義務教育費国庫負担法に基き、公立の義務教育諸学校の教職員の給与費の半額を負担しておりますが、これは国と地方が義務教育に要する経費を折半して負担することにより、義務教育の機会均等とその水準の維持向上とをはかろうとするにほかなりません。
以上の諸点にかんがみまして政府は、今回、この国庫負担制度を拡充して、昭和三十一年七月一日以後において、退職し、または在職中死亡した義務教育諸学校の職員にかかわる恩給費についても、国がその半額を負担することとし、これに伴い義務教育費国庫負担法に所要の改正を加えることとしたのであります。
以上この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概略を御説明申し上げました。なにとぞ十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/3
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004・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 本件に対する質疑は後日に譲ります。
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005・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 次に国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/5
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006・矢嶋三義
○矢嶋三義君 本案件については始終委員会で質疑応答がなされたことと思いますが、若干伺いたいと思いますが、もし重複しておる場合にはしかるべく御答弁願いたいと思います。
この京都大学にウイルス研究所を今度設置されるわけでございますが、この方面の各国の現段階における研究の水準とわが国のそれとはいかようになっているか、その大略を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/6
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007・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 学術的の問題でございますので、しろうとであります私がお答え申し上げますには非常にむずかしい御質疑でございまするけれども、一昨年ヨーロッパにウイルスに関しまする国際学会がございまして、日本から学会代表が参りまして、いろいろ日本の業績等を発表いたしております。それらのいろいろなお話等を伺いましたところ、日本といたしましては戦時中十年余りの間隙はあるにはあるのでございまするけれども、他の基礎医学あるいは臨床医学の各方面と同様、日本のこの方面の研究というものは各国で相当注目すべき段階に達しておりますようなお話を承わったことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/7
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008・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この計画は年次計画になっておりますが、このたびこの研究所を設置するに当っては将来他の大学にも設置するというようなお考えですか、それともこの年次計画のもとに京都大学に付置されるこの研究所一本で充実していくというような御計画でございますか、その点伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/8
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009・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) この点は御答え申し上げたのでございますが、京都大学のウイルス研究所は全部で五部門の計画でありまして、後年度に充実を期しておる次第でございます。ウイルス関係の研究といたしましては、今御審議いただいておりまする予算におきましても、大阪大学の微生物病研究所に麻疹部門を新設いたしております。さしあたりは他の大学におきましてはこの阪大の麻疹部門だけでございますが、ものは学術研究のことでございますから、われわれといたしましてはさしあたりは京都大学のウイルス研究所の拡充に没頭いたすつもりでございまするけれども、将来かけて他の大学にこの種の研究施設を置かないというような考えは今のところ持っていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/9
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010・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に一般論として伺いますが、東京大学あるいは京都大学等においては研究所が非常にたくさん付置されているわけでございますが、大学の管理運営という立場から現在このそれぞれ付置されている大学研究所相互間の連絡等はうまくいっておりますかどうか。それと関連して伺いますが、大学管理法は、かつて提案されたのみでいまだ成立していないわけですが、その大学の管理機関の中にこの研究所の職員代表と申しますか、所長等はおおむねどういう形で関与をされておられるか、その点伺いたいと思います。付置される研究所が多くなればなるほどよほどうまくやっていかないと、その大学全体のこの有機的な運営というものがむずかしくなるのではないかと想像される面もありますので、一般論として伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/10
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011・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 第一点の研究所の相互連絡であります。御質疑のようにわれわれも非常に重要な問題であると考えております。これは学問領野によってもいろいろやり方が異なりますけれども、まあウィルスに近い医学関係において例を引いて申しますれば、たとえば結核を取り扱います研究所が六カ所あるわけでございます。特に結核というような問題につきまして、この六カ所の研究所長、あるいは関係の所員が時折会議を開きまして研究の重複を避けたり、あるいは協力を緊密ならしめるというような措置を講じております。一般的には学術会議におきまする研究連絡委員会、あるいはまた文部省の科学研究費の総合研究費を中心といたします研究の面、あるいはまた文部省の情報室を中心といたします情報事業、まあそういうようなあらゆる関連におきまして研究の重複を避け、協力を緊密にするというようなことを心がけておる次第でございます。
それから研究所の管理機関でございますが、たいていの研究所は学部と相並びまして、学部教授会と同様な組織を持ちまする研究所の教授会をもって管理機関といたしております。また多くの研究所は大学の評議会に研究所長あるいは研究所員の代表を評議員として送って管理機関を構成しておるのが常例でございます。お話の大学管理法というような点につきましては、目下のところ文部省としては成案を得ていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/11
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012・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと質問がここで横にはずれますが、この機会であるから念のために承わっておきます。それはただいま管理法は成案を得ていないという御答弁でありますが、伝えられるところによりますというと、教育公務員特例法は、大学から小学校の教職員を法の適用対象としておるわけですけれども、この中の地方公務員である教職員につきましては、今度の教育委員会法の改正等々と関連をして、教育公務員特例法から、はずされるのじゃないかというふうにも予想されるわけです。そうなりますと私は、文部省においては大学管理法を初めこの大学の教職員を対象としたものを別途考えられているのじゃないかというように考えておりますけれども、それらについてはどういう見通しを持っておられるわけですか、概括承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/12
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013・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 教育公務員特例法の改正に関連いたしまして、大学を対象とする条章の改正は何ら意図いたしておりません。従いましてお話のように、そのために別途立法を必要とするというようなことはないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/13
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014・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に承わりたい点は、この大学の研究所のみならず、この大学の各研究機関における定員並びにこの施設、設備の問題でありますが、まず承わりたい点は、私昨年欧米の大学の一部並びに研究所の一部を視察した場合に、たとえばある機械のメーカーがその機械を大学あるいは研究所に寄贈し、しかもその製作会社の職員をその機械につけて大学にまあ寄贈しているというような形が一、二見受けられたのですが、日本の場合はそういうケースがあるのかないのか、またそういうのは好ましいとお考えになって奨励する考えか、それとも別の考えを持っていらっしゃるのか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/14
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015・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) わが国におきましても、新しい研究に関連いたしましてはずいぶん大型の複雑な機械が必要であり、従ってこれを操作する人員が必要となってくるわけであります。まあそういう点からいたしまして、この年々御審議いただきます予算におきましては、大型の機械に関連いたしまする技官あるいは常勤労務者を多少なりともふやしていきたいということで認めていただいておるような次第でございます。お話のように外部から寄附を受けて、寄附に関連いたしましてそこに外部から人手を供給する、これは確かに研究の便宜というような点から見ればけっこうだとは思いますけれども、国立研究所一般の管理、監督というような点から見まして、一面公私の混淆ということは相当警戒してかからなければならないと考えております。研究所が研究として自発的に計画いたしまする研究を第一として、外部からの委託研究あるいはまた外部からの援助というようなことを従と考えまする場合に、よほどその運営が研究問題だと思います。すべてこれは具体的の問題であります。一がいに排斥すべきではないと思いまするけれども、お言葉のように、もらうものなら何でもいいというふうに奨励すべきものでもないように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/15
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016・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまの局長の答弁を了といたします。
そこで私は若干具体的のことを承わりたいと思うのですが、昨年の春でしたか、私東京大学を見せていただいたときに、まあこれも一つの例ですが、たとえば電子計質権の部屋を見せていただいたのですが、そういう研究の講座というものは文部省でお認め願うと、ところがそこに入っている機械は国のものでなかったのです。それからまたそこでプロフェッサーのアシスタントがおったわけですが、こういう人の身分はどうかと言ったところが、これは大学の正式の人間は一人もいないのだ、これは全部この機械製作会社から御援助を願っているので、大学としての職員は一人もいないのだ、こういうのを見せていただいて、私ははあ、東京大学にしてこれかと、まあ官庁でも定員が不足冷々言うが、日本で最高水準にある、しかも電子計算機というような非常に近代的な研究をなすっているところですがね、そういうところに国費によって定員が一人も配当されていないということを見て私はびっくりしたのですがね。こういう例は私はあるいは京都、大阪にもあるのじゃないかと思うのですが、政務次官、こういう点どういうふうにお考えになりますか。私は今の大挙局長の答弁された基本的な考えというものは正しいと思うのですが、少くとも最小限の研究員は確保するようにしなければ、そういう研究講座だけは設けたが、国費で一人もあの人員を配当できぬというようなことは、どうも私は納得できないのですが、御所見と対策をこの際承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/16
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017・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) こうしたケースは国立大学に絶無であるというように断言はあるいはできてないかもしれませんが、今大学局長の答弁のように、そうした外部からいろいろ入り込んでくるというようなことにつきましては、これは大学教育の建前からも正しくない、こう思っておりまするので、できるだけ局長の答弁に副い得るような施策を講じたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/17
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018・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで現在の、現実の問題に引き戻して、このウイルス研究所の教授、助教授、助手、技官、合計十名というのは、これは何ですか、京都大学当局と大体一致した員数でございますか。われわれ研究の内容を十分承知していませんが、私たちがみた範囲内の研究所の例からいうと、やはり手不足の感があり、十分の成果をあげ得ないのじゃないかということを懸念いたしますので、ただいまの一般論とあわせここで承わるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/18
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019・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) この点はお答えいたしましたが、これは自然科学系の研究所の部門の構成が、教授、助教授、助手、一、一、二という単位になっております。それに即応いたしまして二部門の構成をいたしたわけでございます。ただ事務官、技官等いかにも少いのでございますが、これは今まで他の場合におきましても、いわゆる学年進行的な計画を持って進む場合に、途中常にわれわれ痛感いたしまする不自由さでございまして、完成年度までにはこうした事務機構は一つの事務機構としてまとまりますように作りたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/19
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020・矢嶋三義
○矢嶋三義君 さらにもう一回この点について伺いますが、たとえばある研究所の技官一という、このシングルの場合ですね、人間であれば家庭の事情で休む場合もあるし、また病気する場合もあると思うのですが、そういう場合はどういう工合に実際研究所はやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/20
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021・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 実際の場合は、学内の付置研究所でございまするから、いろいろ本部等と相談いたしまして他の応援を求める、形成途上でございますので、多少医学部にも協力してその間しのいでゆくというような、正しい形ではございませんけれども、経過的な便法は講じなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/21
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022・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ある学部に幾つかの講座等があった場合は割にそういうことはできるかと思いますが、一つの大学において研究所というものはちょっと独立した機関みたいになっておりますし、今局長が申されたような、大学内で融通して云々というようなことは、研究所の場合は実際の運用上できがたいのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/22
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023・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) これがたとえば東大の原子核研究所のように、東大から発議したことでなくて、学術会議の勧告に基いて政府から東大につけるというような研究所のでき方もございます。あるいはまたこの研究所とか、東北の抗酸菌病研究所は熊谷内科から発達したように、この研究所というものは京都大学の医学部から派生、発達して参る性質のものでございますから、その現実の点を考えますれば、医学部がこの研究所創設の途上頭から他人扱いにはしないであろう、そこは京都大学という一つの機構のうちの一部局でございまするから、自然お互いが相助けるということば現実の問題として私可能だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/23
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024・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点についてはここで締めくくって伺っておきますが、要望とお伺いですが、最近行政機構改革、行政整理の線から、中央地方を通じてあらゆる階層に定員減の風が吹いておるわけでございますが、私政務次官に伺いないのです。それぞれ事情があることとは思いますが、そういう場合に従来の例から申しますというと、こういう研究部門等にも画一的によく減員の基準というものが適用されて参るわけですが、私は今の世界の科学技術の水準の状況から申しましても、研究陣容というものは国力の充実という立場から考えても、よほど私は今後充実するように努力していただきたい、かように要望申し上げるわけでございますけれども、念のために御所見を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/24
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025・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) ただいまお話の通りのようなケースが幾つか起ってくると思っておりますけれども、これもお話の通り、研究機関でございますから、何と申しましても基礎的な研究をやってゆかなければなりませんので、その点につきましては定員減という大ワクの中で研究所だけ絶対に減らさないというようなこともあるいは不可能かと存じておりますけれども、研究所の方は率を下げまして、できるだけ減じないように、そういう措置を現在講じておるような実情でございまして、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/25
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026・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後に伺います。
本国会においては国立学校設置法の一部を改正する法律案はこれだけで、他には出てもいないし、今後も出ないものと了承しますが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/26
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027・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 政府といたしまして予算に照応いたしましてこの改正をいたすのでありまして、これだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/27
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028・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは念のために政務次官に伺っておきますが、従来毎年国立学校設置法の一部を改正する法律案が二本、三本と国会に提出されまして、日本全国至るところの公立を国立に移管とか、あるいは学部の増設とかいうような内容のものが従来出ておったわけですが、そういうものの出てこなかったのは、私国会に出て本年が初めてかと思います。ということは、今後公立大学の国立移管とかあるいは学部の増設というものはできるだけ抑制して、現在の大学の充実に専念する、こういうような大学対策に一つの方向転換されたのか、偶然かような結果になったのか、その点大学の文教政策の一端になるかと思いますが、念のために承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/28
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029・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) これは私としてはまことに痛いお尋ねなんで、何ですけれども、大学をできるだけ将来設置しないようにして内容の充実にもっぱら力を注ぐということは、松村前文相さんのときにそういう線を出されましたし、ここでこういうことを申し上げては大へん集札かと思いますけれども、前寺本政務次官さんがおられまして、そういう線が出されたと私承知をいたしております。しかしこれは絶対にそういう数をふやしちゃいかぬということではないと私は思いまするので、現実に文教関係では少しふやしてゆかなくちゃならぬと思われるような点も二、三はございまするので、私といたしましては絶対にふやさないという線は少し緩和していただいて、必要やむを得ないものは将来とも設置してもよろしいのじゃないか、こう私は考えておりまして、せっかく大臣とも御相談をいたしまして、そういう線を打ち出してゆきたいと、こう考えておりますが、しかし予算の関係、それから内容の充実という点にはこれは全力を注がなくちゃなりませんので、そういう関係を見ながらやむを得ないところは漸次緩和して参りたい、こういうように考えておりますが、なお詳しい点は大学局長から説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/29
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030・矢嶋三義
○矢嶋三義君 念を押しておきますが、原則的には松村・非本コンビの行政を踏襲されておるのでしょうね、また踏襲されるお考えなんでございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/30
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031・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) 別に松村・寺本ラインというようなものができたとも私は存じてはおりませんが、当時私は野党の立場でずいぶん寺本次官にも食い下って参りましたので、やはり必要なものは絶対に作らなくちゃいかぬじゃないか、こういう考えを私は今でも持っております。でありまするから、そういう線が不動、固定的に、もうでき上っておるという工合には私はとりたくもありませんし、またとらなくて年いいのじゃないかと思いますけれども、その点大学に関することなんで、局長から一つ補足説明をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/31
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032・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 先ほど矢嶋委員のお話が、この国会に法律の用意があるかという御質疑でございますが、法律の用意は現在ないのでございます。それを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/33
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034・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 他に御発言はございませんか。他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/34
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035・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/35
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036・湯山勇
○湯山勇君 私は本案に賛成をいたします。
なお賛成に当りまして特に政府に要望いたしたい点が数点ありますから、この点を申し添えたいと思います。
第一点は、本委員会の質問において明らかにされましたように、定員の不足でございます。ウイルス研究所におきましても教授、助教授、助手も現在示されただけでは十分その目的を達せられないことはもちろんでございますし、ことに雇用員、事務職員、技官等におきましてはこれを実施すれば当然学部にしわ寄せされるということは必至でございます。それでは目的達成に重大な支障があると思いますので、この点は政府においてそのようなことにならないように善処願いたいと思います。
それから次に設備費でございますが、五部門に対して三千七百万円の経費を要するにもかかわらず、本年は二部門に対して五百万円しか措置されておりません。この点も全体のバランスから見てやや少な過ぎると思われますので、来年度五部門完成の際におきましては、全額措置されるように努力を願いたいと思います。
それから第三点は施設でございますが、施設については現在計画に入っていないようでございますけれども、学部の施設を研究所に充当するということは、それだけ学部に不便を与えることになるわけでございまして、これにつきましても政府として適当な機会に処置すべきものと考えますので、これについても善処を願いたいと思います。
最後に研究所の設置につきましては計画的にこれを行なって、一つの大学等に片寄ることのないように、特に地方大学育成の立場からも今後十分御配慮を願いたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/36
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037・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) ほかに御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/37
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038・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。国立学校設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/38
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039・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/39
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040・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
有馬 英二 川口爲之助
湯山 勇 剱木 亨弘
寺本 広作 松原 一彦
三木與吉郎 横山 フク
吉田 萬次 秋山 長造
安部キミ子 村尾 重雄
矢嶋 三義 高橋 道男
竹下 豐次
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/40
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041・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 次に、日本学士院法案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/41
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042・矢嶋三義
○矢嶋三義君 おそらく他の委員から質疑があったことかと思いますが、しかしあえて念のため承わっておきたいと思います。
それは提案理由にもありますように、明治十二年に日本学士院が創設されて、そうして運営されて参りまして、昭和二十三年に日本学術会議法の中に吸収された。そのときはどういうお考えのもとにその中に一本にされたのか、そのときの主なる論点ですね、と、それが本日になって日本学術会議から切り離して再び文部省の所管下に置くような法案を出さなければならなくなったその理由、主なる論議、それをわかりやすく明確に一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/42
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043・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) この点もお答え申し上げたのでございますが、戦後、これは占領下でございますが、学術体制刷新委員会という委員会ができまして、政府に対して日本の学術関係の体制がいかにあるべきかという諮問に応じて答申いたしたのであります。そのときまで戦時下においては学術研究会議というものが非常に活溌に複雑な動きを示しておりました。また長い歴史をもっておる帝国学士院以来の日本学士院がございました。また財団法人でありまする学術振興会という団体がございました。これらをどうあんばいし、どう位置づけるかということで非常に慎重審議いたしましたが、中心的な考えといたしまして、日本学術会議という選挙によりまする会議を置いて政府に対する諮問建議の中心機関とされたわけであります。その当時の考え方は、すべてこの学士院というものを中心に置いて、それを盛り上げるという点に非常に考えが働いたわけであります。従いまして歴史ある学士院は学術会議の中に包含せられる付属機関になり、また学術振興会は学術会議と表裏一体となってこれを応援するというような立場の団体に位置づけられたのであります。しかるところ、この学士院は長い日本の歴史におきましても、また各国の学士院的なこの学術団体のあり方と比べてみましても、やはりこれは独立した一個の存在でゆくべき本来の性格を持っておるのであって、日本学術会議に従属して日本学術会議において会員を選定するということが、いわゆる学士院という内外において観念せられますもののあり方からいいますと多少不自然であるというような考え方でこの学士院においてもその議が起りましたし、学術会議においてもやはりもと通り分離し、学士院自身において会員を選任することが碩学優遇機関としてあるべき形である、両者で議決いたしまして政府に建議要望して参りましたので、政府においてこの法案の提出、こういう次第になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/43
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044・矢嶋三義
○矢嶋三義君 学術会議を文部省に移さなかった理由としてはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/44
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045・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 学術と申しますれば基礎的な面もあり、また応用的な面もあり、そうなりますると相当各省関係に関連いたします。ことに学術会議の建議あるいは諮問答申の点はずいぶん現実行政と密接な関係にありまするので、それを文部省ばかりに依存せしめるということは不適当であるという点が一点。それからまた同時に日本学術会議法制定とともにいわゆるスタック、科学行政審議会というものができたわけであります。科学行政審議会が内閣に置かれて政府が学術会議に諮問すべきものはとれを通じ、学術会議が政府に建議すべきものはこれを通ずる。従ってやはりその関係におきましても学術会議が一省に従属するよりは総理府に直属することが便利だ、こういうふうに考えたのが二点であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/45
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046・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今の答弁了承いたします。しかし昨年ごろまで日本学術会議を総理府から切り離して文部省に持っていくという意向が表面的には当時文部省であったかと思うのですが、その経緯はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/46
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047・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) それは当時の与党でありました自由党内部の行政組織改善に関しまする何か委員会か何かの考えがそうあったように承わっておりました。政府部内においてはそうした案は当時なかったように記憶いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/47
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048・矢嶋三義
○矢嶋三義君 政務次官に伺いますが、ただいまの局長の答弁は私非常に明快だと思うのでございます。従って現在の自由党が発展解消して大自由民主党となられておるわけでありますが、現在の与党側においても学術会議を文部省に持っていくというようなお考えはないものだと、またそうすべきものでもないということを私は稲田局長の答弁からあらためて認識したわけでございますが、その点について与党出身の竹尾政務次官に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/48
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049・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) 学術会議を文部省に持っていったらどうかというようなことはちょっと配慮がはっきりいたしませんが、多分増田幹事長の時代に橋本龍伍氏あたりが熱心であったのじゃないかというような記憶がちょっとあるのですが、これも党のはっきりした政策というようなことにはならずに終って現状に及んでおりまするし、また文部省といたしましても、さしあたりこの学術会議を文部省につけるというような考えは現在は持っておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/49
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050・矢嶋三義
○矢嶋三義君 科学技術庁設置法の中には先ほど局長からお話がありました科学行政審議会が吸収されるということを承わっておりますが、私その法案ちょっと見ていないのですが、さようかどうか。もしそうなった場合に日本学術会議と従来の科学行政審議会との関連からいって、科学技術庁とこの日本学術会議との関係は支障なく運営ができるのかどうか。その点どういうようにお考えになっておるか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/50
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051・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 今国会において御審議願っております科学技術庁設置法案におきましては科学技術審議会というものが設けられまして、科学技術審議会において科学技術に関する重要事項を審議するとともに学術会議との連絡、関連事項を取り扱われることになっております。従いまして従来スタックが扱いましたようなことをこの科学技術審議会が扱うことになると存じます。この科学技術庁設置法案の第七条第一項の第五号に「日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申又は勧告に関すること。」というのがあって、これは科学技術庁の企画調整局においてその事務をつかさどる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/51
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052・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それをもう一歩突っ込んで私は伺っておきたいと思いますが、科学行政関係の予算についての発言権というものは、今度できる科学技術庁と日本学術会議とはどういう関係になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/52
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053・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 一般に政府予算について学術会議が別に何も発議することはない、学術会議は政府に諮問に応じたことを答申するし、また何か建議することはございましょうけれども、一般の科学技術予算が学術会議の議を経るということもございません。また新しくできる科学技術審議会はいろいろ総合連絡調整ということに当りますけれども、各省は各省で予算を組むわけでございます。そのうち総合連絡調整というようなことでこの審議会を中心としていろいろ調節いたすというようなことはあるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/53
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054・矢嶋三義
○矢嶋三義君 学術会議のことはこの学士院法案とは関連事項があるから深く論ずるわけにいかないから、その点もうちょっと伺いたい点がありますけれども、他のときに譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/54
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055・高橋道男
○高橋道男君 この学士院を学術会議から取り出して、ずっと以前の形に返すということにつきまして、この機関は、学士院というものは科学者の優遇機関ということでありますが、これは憲法の十四条に栄典に関する定めがございますが、それとの関連において考えられておるのか、それとも全然関係なしに、ただ優遇ということだけで考えておるのか、その点を明快にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/55
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056・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 憲法に申します栄典あるいは褒章というよな意味とは関係なしに、優遇期間としてまた優遇と同時に学術の発達に寄与する審議機関というような意味で考えております。そういう関連からいたしまして年金を支給いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/56
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057・高橋道男
○高橋道男君 この法案には罰則がないのですが、学術上貢献顕著な科学者の優遇機関でありますから、そういうことを考える方がいけないということも思われるのですけれども、非常に卓越した学者でありましても、中には犯罪をかもすような行為をした方もあると思います。学士院の会員にはそういう方はなかったと思いますが、そういう場合に罰則とかあるいは除名とか、そんなことは、もう全然お考えにならないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/57
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058・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) ただいまの御質疑のお言葉にもありまするように、事の性質上そうしたことを予想しませんでしたし、また今までの長い歴史におききしても必要を感じませんので考えなかったのでありますが、法体系として、もし考えまする場合には、これは学士院会員は特別職でありますけれども国家公務員でございますから、国家公務員法の系列においてそれを考えるべき性質のものであろうと存じます。ただ罰則というお言葉には当りませんけれども、内部におけるいろいろな取りきめ等につきまして、もし何か制約を設ける必要がございますれば、十一条の委任の下に日本学士院の運営について必要なことは院長が定めることになっておりまするので、何かいろいろ規律的なことをきめる必要があればこれによって規則が定められることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/58
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059・高橋道男
○高橋道男君 もう一点お尋ねいたしたいのは、現在の学術会議の所在が前の学士院ですか、あの建物にあるわけですが、今度これが分れますと、やはり同じ場所で総理府に直属する学術会議と文部省に属する学士院と両方が事務所を置くということになるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/59
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060・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 現在日本学術会議の建物において日本学士院が総会を開いております。また会議場は昔から学士院の総会を開くことを考慮して設計し、構想されたようで、学士院の会議に最も好適な会議場でございまして、今後といえども学術会議の建物を使って学士院の会議を開くつもりでございます。直接の事務局はやはり従前通りその会議を開くべき学術会議のうちに置いてもらいたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/60
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061・高橋道男
○高橋道男君 この学術会議関係で提出された資料を見ますと、学士院が分離するに至った一つの理由として、学士院の会員を自分の手で選べない、つまり学術会議が選ぶというところに一つの不満があったということがはっきりと書いてあるのでございますが、ただその点だけの不満であれば、二つに分れてしまえば問題が解消すると思うのでありますが、その他に、もし感情的な問題でもあるといたしますれば、同居して運営していくという点に難点が起りはしまいかということを恐れるのでありますが、そういう懸念は全然ないと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/61
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062・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) われわれ学士院側と接触し、また学術会議側と接触いたしました場合に、何ら感情のわだかまりによって分れるのでもなく、また分れた先々におきましても十分緊密な関係は維持できると私どもは信じて疑わないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/62
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063・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 他に御発言ございませんか。では他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めてご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/63
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064・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。ご意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御意見もないようでありますからこれより採決に入ります。日本学士院法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/64
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065・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本院規則第百四条により本会議における口頭報告の内容、第七十二条による議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/65
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066・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名願います。
多数意見者署名
有馬 英二 川口爲之助
湯山 勇 剱木 亨弘
寺本 広作 松原 一彦
三木與吉郎 横山 フク
吉田 萬次 秋山 長造
安部キミ子 村尾 重雄
矢嶋 三義 高橋 道男
竹下 豊次
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/66
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067・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 次に、日本学術会議法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/67
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068・竹下豐次
○竹下豐次君 学術会議の選挙の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、現行の制度によりまするというと、日本学術会議法の第十七条から二十一条であったかと思っておりますが、第四章に五カ条だけ規定がありまして、それを受けて選挙規則というものができておるわけであります。この選挙は全国にわたる広い選挙であります。ただ有権者が少いという点がほかの選挙と比べて特に違った点でありまするが、非常に地域は広く行われておる。しかも非常に重大な問題に関係して論議される国家的の大会であるということになっておるのでありまするが、この選挙規則をみましても、まあ罰則というものもありませんし、ほとんど……、非常に楽にできておるように思うのであります。なぜこういうようになったかということを考えてみまするというと、何分全国のりっぱな学者ぞろいの会議である。その会員を選ぶべきその有権者も制限されておるわけであるからして、正しい選挙が行われるであろう、理想的な選挙が行われるであろうから、最初から罰則などつける必要もないということで、国民が信頼してこういうふうの簡易な選挙規則ができておるだろうと思っております。ところがこの選挙が行われて、何回行われておるか、二回ですか、三回ですか、その模様を私など耳にするところによりまするというと、必ずしもわれわれが尊敬しておる学者たちの選挙にふさわしい選挙が行われないで、どうも聞くにたえないというような醜態まで所々であるかのようなうわさを聞かされておるのであります。これは私など一々その証拠を持っておるわけでありませんから、一がいに悪口を言ったりするわけではないのでありますが、よくそういううわさを聞かされるのであります。せっかく信頼されておる人たちの選挙が、かような状態でかりにあるとすれば、それは一般の広い選挙にも非常に悪い影響を及ぼすという、実に考えようによっては重大な問題であると思うのであります。この問題につきましては本委員会におきましても、もう一昨年になりますか、話題に上ったことがあると記憶しております。それから本委員会から学術会議に出張いたしまして、茅さんが委員長たったと思うのでありますが、ほかの先生たちもおそろいの席で座談的に出たような記憶も、何でも本田さん御記憶かと思っておりますがあったのであります。そういう点私もあったように記憶しております。今度の改正案によりますると、幾らかそういうことも考慮されて選挙に関する改正の条項も加えられたのではないかと察しておるのであります。ところが今まで私らの聞いておるのはほんとうの証拠を見てから、聞いておるのでありませんから、もうちっと厳重にやらなければだめじゃないかというところまで言い切るだけの勇気も持ち合わせないのであります。何となしにそういう気持がやはり残っておるのであります。幾らかこの案で今までよりもよくなるということにはなるのでありましょうけれども、どうもこれだけでいいのかどうかという疑問がまだ残っておるのであります。ここに第十七条の二、「同規則の定めるところにより、選挙権及び被選挙権を停止され、その者が当選人であるときは、その当選を無効とされる。」というような規定を加えられる。おそらく「同規則の定めるところにより、」と書いてありますから、これからまた規則に手を入れまして、何かの条項をお加えになる御予定であるかと思っておるのであります。私お伺いしたいのは、まず第一回、何回ありましたのですかね、最後はおととしの暮じゃなかったかと思っております。漸次この選挙がいい方向に向いつつあると、弊害がだんだん薄くなっていく傾向にある、あるいは一昨年の最後の選挙がまあ理想的ではなかったけれどもそう非難するようなことがなかったというような実情であるならば、そうやかましい規定を設ける必要はないだろうと思いますけれども、もしこれが逆に不幸にして第一回よりも第二回、順次悪い傾向が増しつつあるというような実情であるならば、罰則の問題につきましても、相当に深く検討しなければならないのじゃないかと、かように私考えるわけであります。それで今日までのその経過、ことに最後の選挙の実情につきまして、これを検察当局とかというようなわけでなしに、当局においてもこまかい点まで御説明を願うというわけにはいかないだろうと思っておりますけれども、大体の空気というのは御存じのことであると思いますので、その経過がどうなっているか、実情がどうなっているかということをまず御説明を願います。
それから次に、第十七条の二にございます先ほど読み上げました「同規則の定めるところにより、」というのは一体どういう規則をお作りになるるもりであるのか、その点をお伺いしたいと思うのであります。それで現行の規則に定めてある事項のうちで、この条項に該当する場合はやはり停止するのだとか、無効にするのだとかいうようなお見込みの条項が現在の規定にあるならばそれを御説明を願いたい、かように考えます。それだけ一つ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/68
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069・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。
学術会議の会員は御承知の通り選挙によって選ばれるのであります。念のために申しますと、学術会議は七部に分れておりまして、各部三十名、そうしてこの学術会議法の十七条に定むるところの有権者によりまして、その資格を持った者が各部ごとに互選をするものであります。現在その有権者はこの前の選挙のときは約八万、部によって違いますが、まあ第二部の法律関係のごときは千二百人くらいです。医学や法学関係では二万六千をこえるくらいですが、それが互選によりまして、そうしてそれぞれの会員を選ぶことになります。しかもその会員の選び方はかなり複雑な選挙でありまして、各部それぞれ専門別の定員を定めて、また全国を七地区に分けて地域別の定員を定めております。部ごとに専門にかかわらない定員を定めてあります。と申しますのは、あまり専門に片寄らないで、また地域にもひどく片寄らないように、かなり複雑な選挙の仕組みになっております。そこでただいま御指摘になりましたように、初めは学術会議の選挙につきましては、ことにその選挙の運動につきましては、何ら制限もなかったのであります。これは学術会議の会員が別に特別な特権を持っておるとかいうのではなくて、むしろ学界の世話役として非常に御苦労願うわけで、非常に激しい運動もあるということも、その立案当時には考えられなかったそうであります。ところが選挙をやってみますと、むしろみずから立候補する人は少くて、推薦される方が多い。推薦する側から申しますれば、推薦した以上は当選させようということになりまして、熱心な余りかなり競争が激しくなりました。競争が激しくなりますというと、いろいろ文書その他いろいろな運動が行われてくるわけであります。そこで今お話のような非常にひどい悪質な選挙運動があったということは私には考えられません。ただ熱心な余りかなりこの運動が激しかった。運動と申しますか、かなり熱心に推薦される余りいろいろな形において運動があったということは承知いたしております。そこでいろいろそれにつきまして先ほどもお話がありましたように、学術会議の内部からも、あるいは世間からもいろいろな批評がございましたので、学術会議といたしましても、謙虚にすぐ反省いたしまして、四一委員会という臨時の委員会を作って十分検討をいたしまして、そこで互選による選挙で、公職選挙法によるのでありませんから、みずから警察その他の手足を持っておるわけでございません。そこで適当に制限を加えるということもなかなか事実上困難であります。そこでともかく科学者の選挙に幾らかでも金がかかる、金がかかるといってもそう大したことはなかったかと思いますが、二万六千人の有権者に、はがき一本のあいさつを出しましても乏しい研究者にとってはかなりの負担になりますから、そういう費用は、もうかけないように、また一方では内外のいろいろな疑惑等にこたえまして、このたびは四一委員会で慎重審議いたしました結果、選挙運動というものは原則的に制限する。ただ原則的にと申しましたのは、あまり一挙に全部をやめてしまうのもどうかというので、ごく少数のはがき、これも二万六千人を与える有権者がある場合に、最高一千五百枚、たとえば一万人の有権者のある場合には、六百枚程度ですか、そういう程度のはがきにとどめまして、選挙運動を一切制限する、そのかわり推薦あるいは立候補者の名前を各有権者に知らせる速報なり、あるいは選挙公報というものを出すことにいたしまして、その選挙規則につきましては、前にお手元にお配りしました資料十に選挙規則改正案、これは案と書いてありますが、もう確定いたしましたので、この通り選挙規則ができまして、そうして今度の来たるべき選挙からそれを行うことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/69
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070・竹下豐次
○竹下豐次君 そうすると、今日までいろいろなうわさが立っておりますけれども、よくほかの選挙で行われる、やれ戸別訪問がどうだとか、買収とか供応とか、そういうようなことなどはほとんど今日までもなかったというふうに了解していいんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/70
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071・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 今まで選挙運動について何ら制限がなかったものですから、それがいいとか悪いとか、つまり悪いということでもなかったわけです。だびらして熱心のもまりほかの研究室を訪ねるとか、個人々々を訪ねるというようなことはあったと思うのであります。しかしそれは別に制限したのをくぐったのではなくて、制限がないのでありますから、そういうことは、行われていた事実は私も承知いたしております。しかし制限がなかったので、それを悪いとは言えなかったわけなんです。今度はその制限をしまして、制限をします結果、そういうことは学術会議の選挙にはそういうことはしてはいけませんぞということを、はっきり規則の上で示しました。そこで、従ってそれに違反した場合に制裁の必要がある。つまり選挙権、被選挙権をとめるとか、当選者のある場合には当選を無効にするという必要が起るのであります。そうするとその制限は、やはり法定犯の制限でありますからして、法律の根拠に基くことが必要であるということで、学術会議法の一部改正をお願いした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/71
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072・竹下豐次
○竹下豐次君 この第十一条、この案のあたりにいろいろ戸別訪問とか書いてありますね、これですね。まあ今のお話で、議論するわけでもありませんけれども、規則にないからやってもいいんだというふうに学者先生たちがお考えになるのはどうも、普通の選挙でも悪いことにきまっているんですから、日本国中だれも悪いことだと思わない人はない。規則にあるから悪いことだということでなくして、しては悪いということは常識的に考えられる、だれでも考えるんです。まあ選挙規則によって、必ずしも規則はそう考えられない条項があるかもしれませんけれども、買収やら供応やら、というようなことなどがよくないんだというようなことは、はっきりしていることで、規則にないからやるんだと、それも責められないというような考え方では、これは途方もないことで、もし学者の中でそういうことを考えておる学者が相当にあるものだとすれば、罰則などもうんとしっかり規定しないというと、知恵のある人たちですからね、またくぐる方も上手だろうというようなことも一応考えられる、悪く申しますると。まあそれは今のちょっとあなたの言葉じりをつかまえたようなことではありますけれども、ということは、やっぱり今日までの選挙がいろんな非難を受ける私は大きな原因になっているんじゃないかと思う、そういうふうの考え方がですね、という気持がいたすのであります。これはこれだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/72
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073・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 念のために申し上げますが、私先ほど申しましたのは、非常に悪質の運動があったろうとは思わないと、ただ何ら制限がないために、せっかく推薦したんだから、あの人を一つぜひ推薦し当選させようと、そういう話し合いにいろいろ人を訪ねたとか、そういうことはあったと思います。いわゆるその全く良識にまかしたのでありますから、今お話のように買収、供応その他悪質のだれでも常識的に考えて悪いことを、規則にないからやっていいんだ、またそれをやるのだという意味でなくして、私の先ほど申しましたのは、たとえば人を当選させるために協力を依頼するとか何とかいう、そういうことがあったことは認めますし、そのことは必ずしもその当事者が悪いとも思わなかったでありましょうし、それをしいてとがめることもどうかというので、今度はそういうことを一切なくするためにかなり徹底した制限を加えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/73
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074・吉田萬次
○吉田萬次君 ただいまの御説明がありましたように、私も供応だとか買収だとかいうことはないと思います。しかしながら戸別訪問やそれから文書は私ども聞いておりました。が、私はさらに一歩を進めてそうして記名投票だったと思いますが、あの記名投票ということをやめて、そうして文部省の方でああいう官製のはがきのようなものでも作って、そうして送ってもらって無記名で投票するようにしたらどうかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/74
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075・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。
学術会議の選挙は郵便投票であります。そうして無記名であります。そうしてただ有権者が投票されたことを確認しますために受付のときに外封筒には有権者の名前を書くことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/75
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076・吉田萬次
○吉田萬次君 やはり私も考え違いをしておりまして、なるほど内面は無記名で外に記名した覚えがあります。が、かようなことは、もう少し厳格にするために、そうして運動のできないようにする方法はないでしょうか。お互いに学者ですから金を使わないように、ほんとうにわれわれが希望する人が出るように。ほとんど推薦ばかりであります。推薦ばかりでありまするけれども、さらに厳格な意味において公正に選挙ができるような方法は考えられんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/76
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077・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。その点につきまして、先ほど申しました四一委員会でもかなり長くいろいろ講義されました。一時は直接投票の案も出たのであります。それも具体的にいろいろ考慮たしましたが、何しろ全国にまたがっておるし、数は割に少い。そこで直接投票ということは実施上かなりの困難を伴いますので、やはり郵便投票によることにやむを得ずしたのであります。そこで投票用紙をお配りするのを以前のようにあまり早い期間にしないで、できるだけ選挙の近い期間にするとかあるいは郵便投票の際、前の二回までの選挙のときは一々有権者が投票したことをチェックいたしませんでしたが、そういうこともはっきりさせまして、そうしてことに先ほども申しましたように、選挙規則にはかなり制限を加えた規則を設け、各有権者にその説明書を投票用紙と、有権者の登録のときに一緒にそれをお配りしまして、そうしてその選挙の公正を期したい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/77
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078・吉田萬次
○吉田萬次君 先ほども御説明があり、私も考え違いをしておりましたが、外の封筒に名前をたしかに書きます。そうするとだれがだれを入れたということがはっきりするようなことになって、どうも工合が悪いように思うが、その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/78
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079・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 外封筒はただその有権者名簿に照らしまして、それをチェックするだけであります。中をあけまして、そうして立会人のもとに投票箱に中だけを入れますから、従って今の御心配のようなことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/79
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080・竹下豐次
○竹下豐次君 この選挙規則の改正案ですね、これは文部省と学術会議と、すでにお打合せずみの案でございましょうか、文部省だけの案でございましょうか、学術会議の案でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/80
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081・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。学術会議は総理大臣の直轄になっておりまして、それで独立の機関として学術会議にこういう規則を作ることを委任されておりますので、そこで学術会議で特別の委員会を作りまして、また学術会議の選挙管理委員会の議を経、さらに総会の議を経てできたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/81
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082・竹下豐次
○竹下豐次君 文部省はタッチしておられないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/82
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083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大へん申しわけないが、今大事なところをちょっと聞き落したのですがね、この法案が出てくる過程で起案者はどなたですか、もう一回お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/83
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084・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) これは立案の経過を申しますと、学術会議の中に学術会議のあり方運営の方法等について内外の批判にこたえて、また従来の経験に徴してそれを検討する四一委員会という臨時の委員会ができておりまして、そこでいろいろ審議を重ねて、そうして、それから今度は法規委員会というのがございまして、法規委員会に移し、一方選挙管理会の方にも移しましてそこで審議いたしまして、それを四一委員会にさらに返して、この法規委員会でこれを立案いたしまして、総会の議を経てこの選挙規則の改正ができたのであります。かなりの時日とそれから審議の回数を重ねております。選挙管理会の委員長は東京大学の法学部の団藤教授でありまして、法規委員会の委員長は同じく東京大学の法学部鈴木教授が委員長になって、かなり慎重にこの案を練られて、そうしてこれが所管大臣である総理大臣の方から国会へ提案された、こういう経過になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/84
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085・矢嶋三義
○矢嶋三義君 わかりました。そこで伺いますが、その総会を経ているということですが、総会でこれが可決されたときの状況はどうでしたか承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/85
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086・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) これも念のために資料の中にその速記録がとじ込んでありますが、別にこの点につきまして大した論議がなく、よく了承されまして、そうしてただ細かな点について最終的な決定を運営審議会という総会にかわる理事機関にまかされまして、そこで理事機関で最後の決定をしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/86
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087・吉田萬次
○吉田萬次君 この選挙でありまするが、すべて選挙権と被選挙権を持っておりましても、候補者となる方は大学の教授がほとんどだと思います。がしかしながらそれでもわれわれが予想しておる人が出すに、そうでない人が出ることがありますが、これは委員会のようなものでも作って推薦の形式にした方が、よりりっぱな人が出やしないかということを思いますが、そういう点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/87
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088・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) この点につきましても先ほど申しましたいろいろな委員会等でずい分検討を重ねられたのでありますが、先ほどちょっとふれましたように、学術会議の選挙が同じ部のしかも同じ専門の人の互選によるもの、それからその同じ部だけのもの、そうしてまた各地方から各部に一人ずつ、こういうことになっておりまして、
〔委員長退席、理事有馬英二君委員長席に着く〕
おもな研究機関の代表者、あるいは学界の代表者、そういう人たちが推されてなるのでありまして、学界からだけできめるのも少し行き過ぎがあるし、研究機関だけでもきめられない。そこでいろいろな形で推薦が出て参るのであります。選挙の結果を申しますと、個々の点についていろいろ何と申しますか、新聞等に出ておりますが、大体選挙の結果を考えてみますと二百十人の定員の中で国立、公立、私立の大学に籍をおいている教授が百七十名くらいでありまして、官公署の研究機関の方が約十五名くらい、それから民間の研究機関なり、会社の研究機関等の人が約十五名、そのほか、中には名誉教授あるいは民間の弁護士、その他の方がありまして、大学の場合でも、必ずしもそう一カ所に集中いたしませんで、四十数校の大学、そのうち東京大学が約二十七、八名だったかと思いますが、京都が二十名くらい、古い規模の大きなところで十名くらい、新制大学で相当多数一名ずつ出ておるというくらい、かなり分布はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいま選挙のことが出ているわけですから、それに関連して、もう一つ承わります。この選挙規則を見ますと、世間の人はわれわれの選挙を泥沼と言いますが、われわれの方をまねた選挙規則を作って、ちょっとさびしい感じがするのですが、これはよほど目に余る事態があったことと思いますが、どういう例がありましたか、一、二ちょっと聞かせていただきたい。よほど目に余る事態が何かなければ、学術会議の選挙に、われわれの選挙規則をまねたこんなことはしないのじゃないかと思うのですけれども、新聞でちらほら承わっておりましたが、どういう理由がございましたか、ちょっと聞かせて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/89
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090・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。先ほど申しましたように、従来選挙運動に全然制限がなかった。制限がなかったために、
〔理事有馬英二君退席、委員長着席〕
たとえば協力を求めて訪問するとか何とかということが、必ずしも悪いことだと思われてなかった。あるいはあいさつ状を本人なりあるいは推薦者の方から出したりすることも、これも別に制限がなかった。また、必ずしもそれが悪いことだとも言われなかった。そういうようなことが激しくなって来ますというと、金もかかる。さなきだに豊かでない研究者に費用の負担がかかる。あるいはまた推薦者の熱心なあまりに、いろいろ教室やその他にまでも協力を求めるようなことが非常に激しくなってくる。それで、もう一切選挙運動をなくしようということでこういう制限をしたのでありまして、一々違反があったから、あるいは悪質の運動が行われたからということでなくして、どうもわれわれのところのように、手足を持たないところでも、中途半端な制限ができません。従って原則として選挙運動は禁止、ただ先ほど申しましたように、ごく少数のはがき、これば選挙管理会で検印をしたはがきだけごく少数認める。それ以外は一切選挙運動を廃止する。そのかわりに速報なり公報なりを出す、こういうことで定めましたために、一切の選挙運動を禁止する。ただ抽象的に申しましてもそれだけではわかりませんので、公職選挙法その他がいろいろ参照されまして、それよりもきびしく選挙運動を、演説会も、座談会も、電話等のことまでも一切なくする、こういうことになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは最近の過去の実績からは、この学術会議選挙のために、一時的にでも講義あるいは研究がストップするような事態もかなりあった、かように了承してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/91
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092・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 研究がストップしたということがあったということは、私これまで承知しておりませんけれども、研究している人が熱心なあまりに、ある時間がさかれたとか何とかということは十分想像されることであります。それもなくしたいために、こういう制限を作ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/92
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093・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと無理なお尋ねかも知れませんが、また大ざっぱなお尋ねかも知れませんが、あえて伺いますが、学術会議の選挙等を通じて、学界に対立がかもし出された場合は、私は二つの場台があるのではないかと思っておりますが、その一つはイデオロギー的な立場に立ったものと、一つは学界に根強く巣食っているところの学閥、主従関係ですね、これからのものと、僕は大きくわけて二つあるのではないかと思いますが、それ以外に何かあるかどうか。またその二つだとすると、そのどちらが弊害が大きいように局長のめがねには映っておられるか、参考に承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/93
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094・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 選挙でありますから、いろいろな対立が起ってくることはこれはやむを得ないかと思います。ことに、たとえば一方では私立大学の代表者をよけいに送ろう、それがためには一つの学校の票だけではどうも十分でないためにいろいろ連合をする。そうすれば今度は国立の大学の方の候補者が出たい場合には、一方そういう何が起って、そういう競争が激しいというようなことは、ままあることでありますが、しかしそれはあとに少しも残らないものであります。今のイデオロギー云々のことは、これはやはりそれぞれの機関なり、学界なり、あるいはそういうたとえば民主主義科学者協会というようなところから推されておるところもありますし、あるいはまたそうでないところもあります。そうしてそういう万が当選されたからといって、明にそれが内部で非常に対立抗争しているというようなことは認められません。ただ学術会議は性質上学術の審議機関でありますために、従ってそこでは学者の立場からかなり自由な論議が行われます。それがこの全体の決議にまとめられるわけでありますが、論議そのものはきわめて自由な立場において行われておるわけでありますから、ただその論議だけを聞かれるというと、何か非常に対立でもあるかのようにとられますが、学術会議全体としてはやはり全体のインテグリティーを保っていると私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/94
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095・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に伺いますが、この法案審議に当って、非常に広範にして詳細な資料を本院に出された当局に対しては敬意と感謝の意を表しますが、その中に「勧告・申入、諮問答申一覧表」というものがございます。これは一九五五年十一月十日現在となされておりますが、その後今日までこれに追加する案件は何件ぐらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/95
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096・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 大体政府に、総理府の科学技術行政審議会を通して政府に勧告するわけでありますが、それは原則として総会を通しますので、総会が昨年の十一月にありましたから、総会以後のものは割に少いわけであります。それで総会の間には運営審議会というのがございまして、総会に代る理事機関がありまして、そこでいろいろ委員会等で審議されたものを運営審議会にかけて、運営審議会がそれを適当だと認めれば、それを総理府の科学技術行政審議会に提出する、そういうことでありますために、十一月以降のものは今はっきり記憶しておりませんが、そうたくさんはないはずであります。三件ぐらいのものだそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/96
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097・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そういう勧告、申入、諮問答申等を決定された場合に、文書をもっと科学行政審議会に出されると同時に、新聞発表されるでしょうが、それ以外に一般国民への公示、公表というようなものは別にされておりませんか。ということは、私なんか比較的関心を持っておる方でありながら、これを見ると、ああこういうのがあったかなと思うようなのが遺憾ながらあるわけですがね。ましてや一般の国民には、この学術会議の重要性から考えた場合に、いろいろ一つの結論を出して、政府に答申したとか、あるいは申し入れしたとかいうようなのを国民に周知できないでいるような面が非常に多いのじゃないかと思うのですが、そういう広報宣伝と申しますかね、そういう点はどういうふうにされておりますか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/97
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098・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 前に湯山委員からその点についてお話がありまして、お答えいたしたのでありますが、いわゆる広報宣伝的な努力に非常に欠けておりまして、まことに申しわけないと思うのでありまして、今後その面について一そう力を尽したいと思うのでありますが、ただこの学術会議の中にはかなりたくさんの、約八十くらいの委員会や分科会がありまして、日常非常な地味な活動を国際的にも国内的にもいたしております。で、そういうのがいろいろな形に現われてきますけれども、これは必ずしも普通の新聞にはそれが現われないのでありまして、何か特別なときにそれが強く現われる。そういう意味で学術会議の全貌がときどき誤まり伝えられたり、あるいは誤解を招いたりすることがあるのでありまして、学術会議の少くとも年報のようなものをこしらえて各方面にお配りし、あるいはまた適当な方法でもって連絡をはかることをいろいろ考えてはおりますけれども、この前にも申しましたように、年報を一度作りましたけれども、一度作って、たしか国会にも御配付したような記憶がありますが、その学術報告類があまりに多く、費用の点もやや窮屈なために、なかなかそういう点に廻りかねていたのでありますが、いろいろ御注意もありますので、この点については将来一そう努力いたしまして、できるだけ、少くとも国会等の方面につきまして、できるだけ連絡を密にしていきたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/98
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099・矢嶋三義
○矢嶋三義君 参考のために伺いますがね。あるいは国会方面とか、あるいは国会図書館、都道府県公立図書館とか、あるいは政治問題研究団体とか、たとえて言えばです。まあその程度くらいにそういう結論を頒布するとすれば、大ざっぱなところ、どのくらい予算が要りますか。考えたことございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/99
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100・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 現在この学術会議は、まあ本質としては審議会なんでありまして、そこでそこから出しておりますのはきわめて専門的な週報とか、報告とかいうものでありまして、そういうものは国際的にも国内でも主な研究機関と連絡いたしております。そこで何か非常に特別な……一般的な問題につきましては、そういうことをできるだけお知らせしたいわけでありますが、まあ普通の場合にはあまりに専門的なことが多いものですから、研究機関等への配付に、ほとんどそれに追われておるわけであります。現在やはり二十種くらいのものを刊行物を出しておりますが、出版費としては三百万円くらいの予算でそれをやっておりまして、しかもその出版費は学術上の出版費が年々足りなくて、いろいろ専門の方から要求されておるような状態であります。まあこういう方面も今後努力しなくちゃならない重要な方面だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/100
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101・矢嶋三義
○矢嶋三義君 政務次官がおられぬから、この質問はちょっと切りましょう。
で、次に移りますが、あなたのところで出された勧告、申し入れとか諮問がどういうふうに生きておるかということについては、おそらく質疑があったと思いますから、ちょっと私角度を変えて承わりますが、最近勧告、申し入れ、あるいは諮問答申をして、これは実現してほしかった、まことに残念だったという例を二つほどと、それからまた反対に、受け入れられて実現して、これは学術会議として非常に存在価値があって面子が立ったというような例を二つほど一つあげて下さいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/101
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102・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。この表で御覧になっていただきたいのですけれども、この表にありますのは、ときどきの、その折にふれての問題をいろいろ政府に申したので、比較的具体的な当面の問題が非常に多いのであります。そこでこの諮問一覧表のほとんど大部分は政府にいれられております。そしてそれだけ研究者に役に立っておると信じております。それからいろいろの研究所の設立等につきましても学会から強く要望いたしまして、文部省でそれを実現されたものもかなりあります。学術会議で勧告をいたしまして、いれられなくて非常に今でも残念に思っておると申しますのは、その一、二をあげよというお話でありますが、これはこの前にも申し上げましたが、日本の基礎研究と、それからその実用の面のつながりが非常に学術体制の上で悪い。そこで研究成果実用化のために特別な委員会を作って産業技術開発金庫案というものを出しました。そして政府も一旦は受け入れたのでありますが、当時占領中で、どういう事情かしれませんが、まだ実現を見ないというのは非常に遺憾に思っておる点であります。それからまたもう一つは、公衆衛生の立場から、たとえば公衆衛生の問題から屎尿処理の問題のごとき、相当大きな問題であります。これも勧告されておりますが、いまだ見るべき実現の段階に入ってないのは遺憾であります。また災害の問題につきましても、特別な委員会を作りまして、そうしていろいろ検討いたして勧告したのでありますが、それも十分その成果を見ていない、こういう点は非常に残念に思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/102
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103・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ここで政務次官に伺いますが、私はこの学術会議の第一条、第三条等から申しまして、非常に私は重要なものだと考えますし、ことに日本の科学行政などというのは先ほど申しましたような経過をたどって選出されて参りました学術会議委員諸君が慎重審議された結果でございますから、その線に沿って日本の科学行政というものが動くくらいになってよろしいと、そういう私は見解を常々持っておるものですが、これは発足当時と比べますと、何となく影が薄くなっていくような感じがしないわけでもございません。で、いろいろとここに勧告、申し入れ、諮問、答申一覧が出ておりますが、これらが実際に生きてくるためには、私は現在の日本では国民全般的な立場から輿論化されるくらいにならなければ私はなかなか実現できぬじゃないか、かように考えます。そういう意味において広報宣伝というものは私は重要だと思うのです。これが十分いかないところは、やはり予算の関係があるわけですが、文部省は文部広報を、あの広報宣伝はこの一年ほど非常に充実して無料で全国の学校に配付されておりますが、ああいう精神を生かされて、学術会議の広報宣伝について一段と努力されてはいかがかと思いますが、予算的に私ささやかなものだと思います。竹尾政務次官の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/103
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104・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) 先ほど事務局長さんが御答弁されたと思いますが、学術会議につきましては、これは御承知のように文部省の直接の関係は実はございませんので、そういう点につきましては御趣旨は御もっともと思いますが、事務局長さんの方から一つお答えになった方がよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/104
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105・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 私先ほどの発言一つ訂正いたしておきたいと思いますのは、広報に関しまして湯山委員からもお話があったと思いますが、特に委員長からその点お話がありましたので、その点をまあ訂正と申しますか、追加いたしたいと思います。
今の広報と申しますか、徹底の点につきましては、文部省の外局になっております学術振興会で学術月報というものを出しております。その学術月報には学術会議の活動を載せておりまして、そうして毎月それを載せておりまして、それが学会や研究機関等に相当そういう方面には行っていると私承知いたしております。
今御希望のような点につきまして、実はしばしばそういうことを企画しながら、予算と人手の不足のために実現をみるに至らないのは非常に遺憾でありました。先ほど申しましたように、一層その点について努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/105
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106・矢嶋三義
○矢嶋三義君 政務次官に伺いますが、私の偏見なら幸いでありますが、私はこの二、三年政府においては学術会議をけむたがっているような感じを受けるのですが、あくまで学術会議の立場を尊重し、これを活用していくというような積極的なお気持に変っていただきたいというような念願を持っているのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/106
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107・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) お尋ねでございますけれども、別段文部省として毛ぎらいしているというようなことは全然ないと私思っておりますし、それから日本学術会議のもろもろの御要求に対しては、文部省としても大いにその御意見も尊重いたしまして具体的に取り入れております。たとえば、こんどの例の南極探検に関する事項であるとか、あるいはその他たくさんございますが、そういうのはまあ全部といってもいいくらいに学術会議の御要望をいれているような現状でございまして、今後も矢嶋委員さんの御懸念のないように、一つ将来も努力をして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/107
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108・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一点伺います。
他の委員から質疑があっておりましたら簡単にお答え願いたいと思いますが、それは、この第十六条、職員の任免手続をかように変えた理由は、何か現行では差しつかえがあったのでございますか、どういう理由に基くものか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/108
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109・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) お答えいたします。
これは別に実質的には何にも変っておりません。ただこの法律が制定されました当時は一級官、二級官というような別があったのでありますが、今日にはそういうのがありません。今度法律を改正します機会に級規定の今日適用しないものを今の形に改めただけでありまして、内容的には、実質的には何ら変っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/109
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110・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今何級職というのがありますね、あれは関係ないわけなんですね。と言うことは、何かこの十六条からいうと、従来は幹部級だけは総理大臣が扱って、それから下級クラスの方々のは局長が取り扱っておったというふうにとれるわけですね。今度の改正では、もうすべてのもの全部局長の権限からはずして総理大臣が取り扱うというようになったような印象を受けるわけなんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/110
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111・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 従来も人事院の規則によりまして、それでその前の法律によりましても実際の施行におきましては総理大臣の承認を得るとか何とかいろいろの手続が実際ありました。新しいこの十六条の改正された形におきましても、総理大臣が一々下級の任免をするわけではありませんから、委任があって、その委任に基いてやるわけでありまして、実際の取扱いにおいては変りないはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/111
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112・竹下豐次
○竹下豐次君 文教政務次官にお尋ねいたしたいと思います。
先ほど本田局長さんのお話を承わっておりまするというと、この選挙規則ですね、立案は内閣に所属しておる機関の学術会議で立案して、文部省とは御相談なかったように、私の聞き落しじゃなかったろうと思いますが、そう聞きとれたのであります。そうしますると、ちょっと私などの今までの予想と違ったことを聞いたわけであります。まあ学術会議は内閣所属の機関になっておりますが、あそこで審議されることは、ほとんど全部といっていいくらい文部省と関係があるわけなんでありまして、それがあまり縁遠い存在になっては実際お困りではないか、両方ともお困りではないか、またこの選挙の問題にいたしましても、文部省でも従来のこの選挙の状態についていろいろお聞き込みがあっているはずだと思うのですが、それを聞き込みながら、注文があっても相談の相手にもされない、また意見を積極的にお述べにもならないというようなことではどうも困るのじゃないか、もう少し密接な連繋をとっていただくことが必要じゃないか。表て向きどういうことになっておりますか、最後の決定はもとより内閣できめるので、文部大臣の意見と総理大臣の意見と違った場合はこれはまあやむを得ないことでありましょうけれども、途中があんまり抜けてしまうというような、そういう意味じゃなかったんじゃなかろうかと察しますけれども、さっきのお言葉だけをとりますと、ちょっとそういうふうに聞いたのでありますから、その点を、もう一ぺん御説明を伺いまして、次官のお考えも承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/112
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113・本田弘人
○政府委員(本田弘人君) 私からまず……。先ほど申しましたのは形式的に総理大臣の直轄になっております。しかし内容的に申しますと、学術のことでありますから文部省と非常に密接な関係を持っております。現にこの国会の審議も内閣委員会でなくて文教委員会で審議されているというような状態であります。従ってふだんの関係も文部省とは、各省それぞれこの研究面については緊密に連絡をとっておりますが、文部省とは特に緊密に連絡をとっておりまして、大学学術局の庶務課長は特に学術会議の連絡に当ることが職制によって定められておりまして、先ほど申しましたような総会にかわるべき理事機関の運営審議会等には毎回出席をいたしております。われわれもまたこの文部省と絶えず関係いたしておりますのみならず、会員も先ほど申しましたように大体二百十名のうち百七十名は大学の教授でありまして、そのうち百四十名くらいは国立大学の教授であります。そういう意味で実質的と申しますか、形式的にもふだんにかなり緊密な連絡をとっておる状態でありますことを特に申したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/113
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114・竹下豐次
○竹下豐次君 まあ私さっきのお尋ねで、文部省とも御相談になったんでしょうかというお尋ねをしたのでありましたが、お答えがそれとは関係なしにというように聞えましたので今お尋ねをしたわけであります。今の御説明でよくわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/114
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115・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) ただいま事務局長さんからお話の通りでございまして、緊密な連絡は種々とっておりまするし、それからその研究の成果につきましては、ただいま申し上げました通りこれを直ちに実践に移しますように努力をしておりまして、南極探検であるとか、地球の観測年であるとか、全部あれは学術会議からの成果を現実に実践にこれを移したいと、こういうような考えで、まあ一例を申し上げればやっておりますので、今後とも十分一つ御説に副うようにやっていきたいと思いますから御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/115
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116・竹下豐次
○竹下豐次君 私の質問はこれで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/116
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117・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) ちょっと速記をとめて。
午後三時三十八分速記中止
―――――・―――――
午後三時五十三分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/117
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118・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それじゃ速記を始めて下さい。
日本学術会議法の一部を改正する法律案に関する質疑は次回に保留をすることにいたしまして、次に万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/118
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119・高橋道男
○高橋道男君 この法案はいわゆる米州関係の著作権、それに対する法案というように解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/119
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120・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 主として米州関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/120
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121・高橋道男
○高橋道男君 私はこの法案が提出されるまでは現在の著作権法を全面的に改正されるものと実は思っておったのでありますが、今のお話のように主として米州圏に対するものであるというように了解しておるのでありますけれども、この全面改正の必要はお感じになっていないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/121
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122・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん全面的な改正の必要を感じておるわけでございますけれども、このベルヌ条約に基きました現在の著作権法にはさらにローマ規定のほかにブラッセル規定もございますし、その他の諸般の情勢を考えなければなりませんので、必要は感じておりますが、著作権制度審議会に諮った上で十分慎重に検討をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/122
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123・高橋道男
○高橋道男君 十分慎重に検討したいとおっしゃることはわかりますけれども、第一著作権の内容は、現在のこのわが国の著作権法とそれから万国著作権条約あるいはベルヌ条約、そういうものを比べてみますと、著作権の内容に幾らかずつの食い違いがあるのではないかということを私は感じるのですが、そういう点は局長さんのお考えはいかがでしょうか、御見解は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/123
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124・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) お説の通りわが国の著作権法はベルヌ条約に基いて規定されておりますので、今回提案いたしました著作権の特例に関するものは、これは万国条約の系統でございますので、その中に若干の二つの系統にずれがございますので、そのずれを調整するために特例法を出した、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/124
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125・高橋道男
○高橋道男君 ことに現在の法律はときどき改正はしておられますけれども、もとは明治三十二年に作られたものでありまするし、とびとびに中を見ましても「帝国」というような文字がまだ残っているんですね。一番文化国家としては、著作物なんというのは進歩をしている姿であると思うのですが、そういう著作権を扱う法律にそういう古い時代の文字が残っているということなども、これはいかがかと思うんです。そこでこの著作権審議会に諮られて、全面改正を予定される時期というものはいつごろにお考えになっているか、念のため構想を伺っておきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/125
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126・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この万国条約の実施に伴う著作権法の特例が済みましたらばこの問題に取組みたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/126
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127・高橋道男
○高橋道男君 ついでにこまかなことを一点伺いますが、第二条に「万国著作権条約」というその文字を略して「万国条約」というとしるしてあるのですが、こういう「万国著作権条約」という短い題目を縮めることの、ぜひともという必要があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/127
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128・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ぜひともという必要はございませんですけれども、ただこの三条以下を御覧いただきますと、この著作物、著作物というのが出てきまして非常に読みにくくなりますので「万国条約」というふうにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/128
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129・高橋道男
○高橋道男君 第九条にたまたま「万国著作権条約」という文字が出てくるんですね、これはもちろん詳しく調べれば別のそういう条約だということはわかるのですけれども、軽く読んでいると、何かミス・プリントじゃないかというようなふうにさえ感じられるのです。こういうような短い言葉までもさらに省略して提示しなければならぬだろうかということを思うんですが、これは何か法制局か何かでそういうきめがあるのですか。それともきわめて便宜的にこういうふうにしたほうがいいというようなことからの省略なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/129
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130・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) きめというほどのものではございませんけれども、非常に著作権、著作物という言葉がたくさんしばしば出てきますので、「万国条約」という簡単にいたしたわけでございますが、他意があったわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/130
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131・高橋道男
○高橋道男君 先ほど米州圏に対する法律案だということを伺いましたが、平和条約の場合にアメリカはなるべく早い機会に日米二国間の著作権関係の協定を結びたいというような意思表示をしておるのでありますが、それをいたさずに直ちに今度の条約でこれを解決しようとしたということにはどういう事情があったのか、それはお調べになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/131
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132・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 今お話のようになるべく早い機会に日米双方の合意による二国間条約の制定ということを私どもも念願し、また米国もそう考えておったのですが、途中におきまして万国条約が米国の肝入りでできたわけでございまして、ベルヌの条約の体制と米州関係の体制とをこの万国条約によって橋渡しをしようということでこの条約が生れまして、そうして米国はこれによってすべてを今後は規制していくという一つの方針をきめましたので、そこで著作権協定に関する一大方向転換をいたしまして、すべてこの条約を基礎にやるという建前をとって参りましたので、日本といたしましても現在の暫定協定がこの四月の二十七日に切れますので、この条約に加入せざるを得なかった、こういう事情でございますので、そういう意味で当初の意図が米国側にも変更があったと、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/132
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133・高橋道男
○高橋道男君 あるいはこの委員会でも問題になりましたかしれませんが、そういうアメリカの方で協定を結ぶ意思が変ったというようなことについては事前に日本の方への連絡はあったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/133
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134・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは万国条約が成立しまして、その後日本側から二国間条約の申し出をいたしました。その都度アメリカ側ではそういう意思表示をしておりますので、別段二国間条約にするというような、あるいは万国条約にいくということではなくして、排律の過程にわいてアメリカ側の意思というものは十分に日本側には伝えられておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/134
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135・高橋道男
○高橋道男君 今度のこの法案で法定許諾制度が出てきておりますが、これはほかの国でもこういう制度をとっておるところはあるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/135
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136・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この法定許諾制につきましては今のところ十八カ国が万国条約に批准して加盟をしておりますが、今のところ日本以外にはないわけであります。と申しますのは、もともとこの規定は翻訳権十年の留保がベルヌにございましたが、そのベルヌ条約の場合には翻訳権十年で消失するという規定のものは、文化の後進国である日本とかあるいはギリシャ、トルコ、こういう数カ国しかやっておりませんので、この条項を現在採用しておるところはないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/136
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137・高橋道男
○高橋道男君 日本だけ特にそういう制度を取るということについて特別の理由があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/137
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138・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ベルヌ条約におきましてただいま申しましたように日本は十年留保をいたしておりますが、十年たてば翻訳権が消滅すると、こういうわけでございますが、今度の万国条約の場合は留保は認められない、そのかわり七年たてば法定許諾制で翻訳のある程度の自由を認めようということで、ベルヌ条約の翻訳権十年に対応するものがこの七年後の法定許諾制でございますが、これを日本が採用したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/138
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139・高橋道男
○高橋道男君 その場合の解釈を伺いたいのですが、文部大臣が著作権を持ったものに相当するということになるのですか。それとも著作権の所在はこれは別なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/139
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140・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 別に文部大臣が著作権を持っているわけではない、著作権の所在とは違っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/140
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141・高橋道男
○高橋道男君 著作権を文部大臣が持つわけじゃない、しかしながら翻訳権はその申請した人が取得するわけですね、そうするとその翻訳権を持つ人が今度はわが国においては著作権を持つということにはなるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/141
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142・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/142
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143・高橋道男
○高橋道男君 その五条の法文について伺いますが、六行目に「文部大臣の認可を受けた公正なかつ国際慣行に合致した補償額」という条文がありますが、この「文部大臣の認可を受けた」というその条文は「公正な」というところへつくのか、あるいは「補償額」の方へつくのか、はっきり受け取れないのです。その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/143
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144・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは文部大臣の認可を受けた補償額にかかるわけでございます。「公正なかつ国際慣行に合致した」というのでは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/144
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145・高橋道男
○高橋道男君 そうすると、公正なかつ国際慣行に合致した補償額を文部大臣が認可をしているという意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/145
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146・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/146
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147・高橋道男
○高橋道男君 それではその場合の公正なかつ国際慣行に合致するという、そういう国際慣行というものは存在するのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/147
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148・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体現在のところ慣行がございますのは、定価の五%ぐらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/148
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149・高橋道男
○高橋道男君 定価の五%とおっしゃいましたが、それは最初の著作物の定価ですね。翻訳の後の定価という意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/149
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150・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは最初の定価の五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/150
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151・高橋道男
○高橋道男君 そうするとそれが翻訳料ということになりますのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/151
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152・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/152
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153・高橋道男
○高橋道男君 そうするとその翻訳料というか、補償額というものは現在のわが国におきましてはそれが基準となって大体認められておるものでしょうか。非常に差があるというようなことは起っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/153
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154・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体その前後しておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/154
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155・高橋道男
○高橋道男君 もう一点お尋ねをしたいのは登録の問題でありますが、付則の三項に出てきておりまする「第一発行年月日ノ登録」ということが出ておりますが、これを設けられた理由なりその予想される実益というものについて御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/155
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156・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 現在の著作権法にも著作年月日の登録というものが認められておるわけでございます。今回これを設けましたのは、第一発行の年から起算されて保護期間が認められるわけでございますので、第一発行の年月日を登録いたしておきますれば、国内的に紛争が起きた場合にも訴訟の手数が省ける、外国の場合にこれが対外的にも、アメリカの国では納本登録というような厳重な手続をとっておりますが、この訴訟をする場合に、こちらが発行の年月日の登録を差し出しますならば立証する場合に非常に役立つのではないか、ことに二十年三十年後に論争が起きますので、第一発行のときがいつであったかということが議論になると思うのであります。この場合に、向うが反証をあげない限りはこれをもって著作権の起算点になると思いますので、そういう国内的にも国際的にも著作権の保護が完全にできると、かように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/156
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157・高橋道男
○高橋道男君 今局長が言われた点について、万国条約においてはCの方式によってその保障をしようというように条約のほうからは私は受け取れるのですが、従ってわざわざ第一発行年月日を登録する必要がないようにも感じられるけれども、そのCとの関係はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/157
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158・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) お話のようにCと一九五〇何年と氏名、この三つが要件でございまするので、これだけを書いておけば著作権が保護される、方式国のアメリカにおいて保護されるというわけでございます。ただここに登録制定をおきましたのは訴訟になった場合なんであります。訴訟になりますと、やはり納本登録の手続をそのときはとらなければならない、そのときに保護期間の問題で、いつが発行の年月日かということが当然論争になると思うのであります。そういう場合に、第一発行の年月日の登録署名を出しますならば訴訟の手続は非常に簡素化されるのではなかろうか、こういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/158
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159・高橋道男
○高橋道男君 そのCだけの場合ですね。訴訟などが起るときには納本などをしなければならないということですが、それじゃ第一発行年月日を登録をしておいた場合に、訴訟が起った場合にはこれが納本は全然要らないと、こういうことが言えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/159
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160・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) それはやはり米州関係、特にアメリカでは納本登録制度をとっておりますから、訴訟のときには納本登録をしなければならない。訴訟は非常に件数が少いと思うのです。全体のほんの一部だと思いますので、この場合には納本登録の手続をとり、第一発行の年月日の登録署名を出すのは、その場合に保護期間の起算点がいつになるかということになりますと、やはり発行年月日がアメリカでは現在問題になっておりますので、その場合には反証をあげ得ない限りはこれによって訴訟の手続は簡素化される、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/160
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161・高橋道男
○高橋道男君 そうしますと、この第一発行年月日を登録するというかわりに、CのところへCと年号を書くというところに、年号に加えて月日も表示しておくというようなことによって登録をせずに保障ができるということは考えられないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/161
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162・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 条約では発行の年としか書いておりませんし、これは各国の条例も違うと思うのですけれども、月日まで書いておる国はないわけでございます。かりにまあ年月日まで書いてみたところで、今度訴訟になりますと一体その本が第一発行でやった本なのやら、どうやらということで論争になった場合、これはこういうわけで登録があるからこの書物は第一発行の書物であるということを裏書きするものが何かほしいと思う。そういう場合にこの登録が意味を持ってくると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/162
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163・高橋道男
○高橋道男君 次に、登録に関してある新聞に憲法違反だというような説を、なしておるものを見たのでありますけれども、そういうことについてはどうお考えになるか。また憲法違反というような解釈が起るようなのはどういうところから起ってきておるのか、お考えを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/163
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164・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 実はこれはどういう意味でそういうふうに憲法違反とおっしゃるのか、私も実はよくわからないのですが、この「登録ヲ受クルコトヲ得」でございますから、任意規定なんで、保護を厚くしてもらおうという方が登録すればいいんで、必ずしも登録は必要条件じゃないのです。ですから義務づけておるわけでもないわけだし、ちょっと私自身も憲法違反の説がわからないのですが、あるいはこの言論出版の自由というような点からくるのかもしれませんが、別にこれによって納本の義務制をしくとか、あるいはその出版の自由を拘束するということでもないわけでございまして、むしろ著作権の保護を厚くしたいという気持からでございますので、その憲法違反とおっしゃる意味が私にはよくわかりかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/164
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165・高橋道男
○高橋道男君 私の見るところでは登録をするということが納本と連なり、さらにそれが進むと検閲というようなところまで結び付いてきはしないか。もしそれが含まれている場合には憲法違反になるというような見方をしておられる人があるじゃないかというように考えるのですが、そういう伏線的なお考えはおありなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/165
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166・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) そういう考えは毛頭ございませんです。これはすでに現在の著作権法の中にも登録制度はございますので、特例法の中においても同じ趣旨のものでございますので、出版の検閲とか納本等のようなことは私どもは毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/166
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167・高橋道男
○高橋道男君 この登録の方法でありますが、ただいま国会図書館の方へは納本制度がありますが、それと別に登録をなさるわけですね。そうするとその場合にいかなる方法をもって登録されるのか、登録の方法についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/167
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168・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 従来文部省の著作権課で著作年月日の登録は受け付けておったのであります。今後も文部省の著作権課で取り扱いたい。その場合にこれは申請者の申請にまつわけでございますから、その申請によって登録を受け付ける、今国会図書館のお話が出ましたが、そういうことも一つの便法かとも考えますが、その辺のことは今のところ私どもは文部省の著作権課で受け付ける、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/168
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169・高橋道男
○高橋道男君 そうすると、納本ということなしに登録をするということが何か手続の上であいまいになるようなふうにちょっと私は感じるのですが、現物なしにただ書類だけでもってその手続をするというようなことになれば、現物がわからんですから実証が立てられないというように思うのですが、それはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/169
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170・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは従来もやっておりますが、申請者の申請を認めておるわけでございまして、本を持って来ていただけば非常にけっこうですけれども、本をお持ちにならないからといって登録を拒否することはしないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/170
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171・高橋道男
○高橋道男君 そうすると、本を持って来ずに登録をするというところで、何か手落ちができるように思うのですが、それからむしろ方法としては国会図書館の納本の時期を利用するというか、それと結び付けるというような行き方ができるならば、登録ということについてのはっきりした方法が考えられるのじゃないかというように思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/171
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172・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 高橋先生のお話、非常にごもっともなんで、私どももそういうことも研究しております。ですから支障のない限りは、一緒にやればいいと思うのでございます。あるいはそうでない場合もございますので、文部省の方でもやらなければならん場合もある、そのやり方については、もう少し両者の方の、発行者、著作者の便宜のことを考えまして、なるべくそれに沿うようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/172
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173・高橋道男
○高橋道男君 それから登録について、もう一点伺いますが、これがベルヌ条約圏では無方式主義であり、米州圏では方式主義である、登録をするということがベルヌ条約圏の無方式主義を逸脱して方式主義の方へ近づけるというようなふうにもみえるのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/173
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174・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) それはもう全然私どもも予想しておりませんので、もともとベルヌ条約の体制下における日本の著作権法の中にも登録制度というものがありまして、これは著作年月日の登録を初め、実名登録とか、あるいは権利の譲渡の登録とか、いろいろな登録がございますので、そこで無方式主義の体制の中にもございますし、私どもとしてはこのことによって方式主義に近づけるというような考えは毛頭ございません。ただこれはあくまでも訴訟の場合の手続の簡素化と手続の便を図るという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/174
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175・高橋道男
○高橋道男君 無方式主義と方式主義で、わが国は無方式の方をとっておるわけでありますが、従って無方式主義の方がいいということは、われわれの立場としては言わねばならんことだと思うのですけれども、その両方の特質ですね。さらに申せばベルヌ条約と米州主義条約との一番大きな差異がそこにあるのじゃないかと思うのですが、その特質について御感想を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/175
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176・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) お話の通りベルヌ条約の体制では無方式で著作権が保護されるということが非常に有利なんです。米州圏では方式主義をとっておりますから、厳密な納本登録、もちろん手数料を払って詳細な規定に基いてやっておるわけです。そこで現実にアメリカで日本の著作物が保護されることは非常にまれなわけです。アメリカまで行って、あるいは郵送なりしてコッピライト・オフィスに登録をしなければならない。今度の条約ではそれがCという記号を付すだけでCと発行の年と氏名だけを規定すれば保護されると、こういうわけでございますから、簡単に保護されると思う。そういう意味では方式主義がむしろ法律で無方式に近ずいた。無方式にほとんどひとしい線にたった。こういう点では日本の著作物がアメリカにおいて保護される道が開けてきたという意味で、非常に私は右利じゃないか。ただ訴訟があった場合にのみ納本、登録ということがあり得るのですが、訴訟はおそらく百件のうち一件か二件だろうと思います。大部分の著作物はCの記号だけで保護される。こういう点が有利な点だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/176
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177・高橋道男
○高橋道男君 今のお言葉でですね、登録はするが、そのうちの一%くらいしか訴訟のとき問題になるまいという見解からいたしますと、きわめて少数のものを保護するために、非常に多数のものにもそれと同じ累をかけるというようなふうにも思えるんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/177
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178・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この点はですね、非常に用心な方がされるわけです。たとえば義務になってすべてに登録を課するというのなら、お話の通りに迷惑になると思うのですが、将来そういうような紛争も起きる場合も懸念する一種の保険金のようなもので、金額も百二十円でございますので、従前の場合著作年月日の登録と同じに非常に低いのでございますから、そういう意味で一種の保険料みたいなものだと考えていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/178
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179・高橋道男
○高橋道男君 その登録をするのに、話が前後しますが、第一発行の年月日から一年以内にすればよいということは、そういう保護を与えるという強い意思からいたしますと、少し緩慢なように思えるのですけれども、特に一年以内と期間を延ばされておるのはどういう意味なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/179
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180・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは私の方はむしろ制限したつもりなんで、一年以後になりますと記憶が明らかにならんし、事実の証明も困難になりますので、一年以内ということでしぼったつもりでおるんでございまして、これは従来の著作権法の登録にもそういう例がございますので、一年に限ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/180
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181・高橋道男
○高橋道男君 それからこのCだけの場合、登録をせずにCだけの場合に訴訟が起るというときにはあらためて登録をする必要があるかどうか、これはこの法律とは別でしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/181
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182・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは米国の国内法の問題ですから、この法律は別でございます。アメリカの国内法によれば訴訟などの場合には納本、登録をしなければならんのですから、これは条約では規定しておりませんのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/182
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183・高橋道男
○高橋道男君 もう一点、この法案と少し離れるかもしれませんが、いわゆるパイレート・エディションですね、外国の印刷物と著作物をそのまま翻訳ではなしに写真版等の方法によってわが国で刊行するというようなことに対しては、この法案では何ら規定はしていないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/183
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184・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 何ら規定しておりませんのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/184
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185・高橋道男
○高橋道男君 それは現在の著作権法の方で処置はしておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/185
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186・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/186
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187・高橋道男
○高橋道男君 それについて昨年でしたか相当大きな計画でそういうパイレート・エディションを計画しておるものがあり、またそれに対して文部省としても処置をとられたことを聞いておるのですが、現在そういう心配はございませんですか。これは見方によりますと国際信義の上からも非常に工合の悪い話だと思うのですが、そういうことについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/187
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188・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この前大きく問題になったのは、例の文献社でエンサイ・クロピーデア・オブ・ケミカル・テクノロジー、これが問題になりましたが、これは幸いに片づいたのですが、その後も東京、京都方面で若干問題が起きるのでございますけれども、なかなかこっそりやっている場合に住所をしょっちゅう変えますので、そのつど調査はいたしておりますけれどもつかみにくいわけでございます。できるだけこういうことのないように私ども努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/188
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189・高橋道男
○高橋道男君 そのためには罰則のようなものが現行のものでは非常に軽いのではないか、たとえば罰金をふやすとか、あるいは場合によっては体刑を考えるとか、そういうような点の処置がつかないので、今言われるようなやみの行為を続けている、処置がつかないというようなことになっているようにも思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/189
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190・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) まことにお話の通りでございまして、現在の著作権法は先ほどもお話がありましたように全面的改正を必要としておりますのはやはり罰則の点にもあると思います。今最高価格が二千円にしかなっておりませんので、この罰則の金額が少いということ、あるいはそのほかの刑罰規定が不十分な点もあると思うのでございます。こういう点はあらためて全面的改正をいたすときに十分考慮いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/190
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191・高橋道男
○高橋道男君 そのパイレート・エディション、去年一年間における被害について、被害高といえますかどうか、そういうものの算出は何かされておらないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/191
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192・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) どのくらいになっておるか、はっきりいたしかねますが、ともかく三十二年の二月までは在庫品を販売しても差しつかえないということになっております。そこで約束に違反した場合は五百万円を払うということになっておりますので、五百万円は少いと思うのですけれども、最低五百万円の被害はあると見ていいのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/192
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193・高橋道男
○高橋道男君 見方によりますと、これは写真版でやれば非常に安くも上るし、従って価格も非常に安いというので、目をつぶっておれば、収入の少い学者、その他の人が安く買えるというようなことで大目に見ておられるというようなことはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/193
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194・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 国際信義にももとることでございますから、大目に見ておるようなことは絶対にございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/194
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195・高橋道男
○高橋道男君 それでは今日は私はこの程度で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/195
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196・矢嶋三義
○矢嶋三義君 案件は違いますが、委員長を通じて文部当局に次の内容の資料を至急本委員会に提出するよう要求いたします。それは現在各都道府県は来年度の予算の編成期にあります。あるいは各都道府県の議会においては予算案の審議中でありますので、教育予算関係について、その内容は教職員の定員、給与単価、昇給財源、それからもし教職員をその意に反して整理する場合における退職金等についての優遇案の内容、さらにもう一件は、高等学校の全日制並びに定時制の来年度における授業料引き上げの状況。以上の教育予算関係の内容について文部省において至急各都道府県教育委員会に照会を発し、できるだけ早い機会にその資料を本委員会に提出するよう委員長を通じて要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/196
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197・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) ただいまの矢嶋委員の請求された資料は委員会において審議の参考に資したいと思いますから、なるべくすみやかに出していただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/197
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198・湯山勇
○湯山勇君 私も資料の要求をします。万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律案についてですが、一つは参考資料として国内の著作権の訴訟件数、これが最近どういう状況にあるか、その資料と、それから本件に伴う予算関係の資料があればそれを一つ御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/198
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199・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) それではただいまの湯山委員の要求資料も合せて当委員会になるべく早い機会に御提出願います。
それでは本日はこれで散会いたします。
午後四時三十八分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X00719560306/199
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