1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十日(火曜日)午
後二時十九分開会
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委員の異動
三月十六日委員堀末治君及び吉田萬次
君辞任につき、その補欠として木村守
江君及び西田隆男君を議長において指
名した。
三月十七日委員西田隆男君辞任につ
き、その補欠として吉田萬次君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 飯島連次郎君
理事
有馬 英二君
湯山 勇君
委員
剱木 亨弘君
中川 幸平君
松原 一彦君
吉田 萬次君
秋山 長造君
安部キミ子君
矢嶋 三義君
高橋 道男君
竹下 豐次君
政府委員
文部政務次官 竹尾 弌君
文部省大学学術
局長 稻田 清助君
文部省社会教育
局長 内藤誉三郎君
文化財保護委員
会事務局長 岡田 孝平君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した案件
○本委員会の運営に関する件
○万国著作権条約の実施に伴う著作権
法の特例に関する法律案(内閣提
出)
○教育、文化及び学術に関する調査の
件
(世界ペンクラブ大会に関する件)
(国立大学の授業料値上げに関する
件)
(特別天然記念物かもしかに関する
件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/0
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001・有馬英二
○理事(有馬英二君) それでは本日はこれから文教委員会を開会いたします。
委員長は所用で外出をされましたので、その間私が指名によりまして委員長の職務を行います。
なお委員の異動について御報告いたします。三月十六日に堀末治君、吉田萬次君が委員を辞任され、その補欠として木村守江君、西田隆男君が選任されました。また三月十七日に西田隆男君が委員を辞任され、その補欠として吉田萬次君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/1
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002・有馬英二
○理事(有馬英二君) 次に、三月十六日の委員長及び理事打ち合せ会の経過について御報告いたします。
まず定例日開会の時間変更について打ち合せをいたしましたが、木曜日は午前十時から開会をして午前と午後とに行うということにいたしたいということで、それから次期定例委員会の議題といたしましては、第一が万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律案、文部当局に質疑を行なった後に、修正するとすれば修正点について協議を行い、その協議がまとまってから採決をするということにきまりました。
第二は就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律案、これについて質疑を行います。付則2及び3の削除について協議を行います。
それから第三が義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案、これの質疑を行い、それから第四が学校給食法の一部を改正する法律案。
第五は教育、文化及び学術に関する調査といたしまして、その第一が国立大学授業料値上げに関する件、これは要望書案を検討した上で決議をするということになっております。それから第二は特別天然記念物かもしか密猟事件について報告を受けるという話になったのであります。
なお内閣と文教委員会の連合審査会を、臨時教育制度審議会設置法案について、これは三月の二十三日金曜日でありますが、午後一時から開会したいというようなことで、以上ただいま御報告申し上げました通り取り計らうことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/2
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003・有馬英二
○理事(有馬英二君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/3
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004・有馬英二
○理事(有馬英二君) 次に万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律案を議題といたします。本件に関し質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/4
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005・湯山勇
○湯山勇君 前回の委員会でいろいろ懇談会の形において関係者の意見を聞いたわけですが、調査室の方で資料としてその意見の要約したものが出されております。これに対して文部当局の御見解を一応伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/5
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006・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 専門調査室の方でお調べになった、お手元にプリントが参っておると思いますが、その理由の一つとして、第一発行年月日の登録に関する条項を削除されたいという理由の第一に掲げてありますのは、Cと第一発行の年と著作名を記せば必要にして十分だ、こういうことになっておりますが、これは著作権発生の要件でありまして、著作権は御承知の通り今度の万国条約ではC記号と発行の年と著作名を記せば発生するというふうになっておりますが、この訴訟の場合には納本登録を依然としてしなくちゃならん、アメリカの国では著作権が発生する場合にも納本登録をしております。この条約によって訴訟の場合には納本登録をしなくちゃならん、こうなっておりますので、この納本登録をする場合に訴訟があった後でございますからやはり第三者の証明が必要になる、かように考えておるのでございます。ですから、記号だけ、年号を付しただけでは十分でございませんので、発行の年月日を提示することが必要な条件になってくるわけでございます。
それから第二点は、国会図書館の納本で十分ではないか、こういうことでございますが、国会図書館の納本制度というものは統計とか資料を蒐集する目的でございまして、別個な目的による、従って第一発行年月日の登録ということは何らこれに屋上屋を架するものではない。特に国会図書館で受付けておりますのは出版物でございますので、この場合には多少範囲が広くなりまして写真とか映画とか絵画の複製物、市販されない個人の著作物、プリント等も含まれますので、国会図書館の納本だけでは十分でないという点でございます。
それから第三番目にベルヌ条約国で登録制度をしくのは逆行ではないかという御意見が上っているのですが、これは先ほども申し上げましたように著作権発効の条件ではないのであって、登録というのは訴訟の場合に必要な規定でありますので、全然これとは無関係でございます。ベルヌ条約方式ということは問題にならないわけでございまして、すでにベルヌ条約国においてもこういう意味の登録制度をとっておるところがほかにもあるわけでございます。
それから四番目の点は非常に少ないからということですけれども、法律というのはあらゆる場合を想定して制定されるものであって、そこで件数が少いからといってこの制度が不必要だという理由にはならない。現実問題として訴訟というものがある以上は当然考えなければならない。
それから第五番目の点は登録制度の影響の問題で、たまにこういう登録ということを悪用するということがありますが、これはいかなる場合にも悪用しようと思えばする場合があり得るのであって、こういうことはあまり私どもは聞いていなのであります。それから現に私どもが著作年月日の登録をいたしておりますが、これもそんなに悪用された例はほとんどない。それからあとは登録が一年以内に行うとなっておりますのは、一年を限って登録することができる、無期限にされては困るという意味で、むしろ事実の明らかなときに登録をしておくという意味でございまして、これによって著作権の保護期間を延長するなんということは到底考えられないと思う。今度の登録の場合の添付書類の中には国会図書館の受領書または現物を呈示する、こういうふうに省令で規定いたしたいと、かように考えておりますから、こういう事例は国際的にも国内的にも起り得ない。
それから六番目ですが、六番目はこの法律に推定としてある、推定だからこれは裁判上効力があまりないんじゃないかというような、しろうとの考え方だと思うのですが、これはどの場合でも、民法にもすベて、たとえば共有財産の場合に明らかにどうこうというような推定規定がございます。ですから推定をくつがえすということは反証をあげなければできないことでございますので、むしろ私どもは推定規定は非常に有力な規定だと逆に考えておるのでございます。大審院の判例等もございますからそこに掲げてあります。
それから二番に出ておりますのは登録以外の点でございます。二番の1に書いてありますのは、特に必要な部分いうことが抜けているんじゃないかという意見ですが、法律常識からいって当然でございまして、黙っておれば著作権法が規定されるのでありまして、特に必要な事項が特例法のゆえんでありますから、これは別にそんなことを書かなくても明らかであります。
それから第二番目には同時発行というのを定義してほしいと書いてあるが、同時発行という言葉は本文中一度も使っておりません。そういう定義を設ける必要はないと思います。それから短いほうはどうするかということでございます。これは保護期間の問題で、日本よりもアメリカのほうが短い、日本の場合は生存間及び死後三十年、アメリカの場合は発行後二十八年、この場合はアメリカの著作物は発行後二十八年で切ってしまう、保護を認めない、こういう規定でございますが、逆の場合はどうするかということですが、五十六年に延びたというような場合、この場合は当然国内法が規定されるのであって、国内法よりも長く保護することは内国民待遇の原則に反するわけですから、こういう規定をおく必要はさらにないという考えでございます。
それから四番目に、この法定許諾には反対であるという御意見でございますが、これは今のベルヌ条約では十年経てば契約しない場合には著作権が消滅する、翻訳権が、だれでも自由に翻訳できるという考え方なんです。これに対しまして、これに今度の万国条約では日本でもこの点を非常に主張したわけであります。十年経てば無料にするということを主張したけれども、ついにその主張が破れまして、そのかわりにこの七年経てば一定の料金を払ってだれでも翻訳できるという翻訳自由の原則が承認されたわけでございます。ですからこれの制度をとらないということは非常に私どもとしては片手落ちになる。ベルヌ条約の関係の国については十年でただになってしまう。米州諸国の関係では無制限に認めるのだから非常に不均衡になる。むしろこの場合米州諸国に対しては七年の法定許諾をとるというのが均衡のとれた措置であると、かように考えるのであります。まだ日本としては現在の段階では輸入国であり、特に欧米の著作物を翻訳して文化の交流をはかる必要があると思います。それからその中で実益がない、どうせアメリカ人は、ベルヌ条約の国で、たとえばイギリスとかカナダで同時発行をする。だからその場合には十年留保がされるから十年経てば翻訳権が消滅する、だから実効がないとおっしゃるけれども、これはやってみなければわからん。もしそういうことなら何もアメリカが万国条約を推進する必要はなかったのであります。今後のことはやはり同時発行をだんだんやめてゆくだろうと思う。そのやめた場合に今申しましたような不均衡の措置が起ると思いますので、この法定許諾制を将来の問題としても私どもは片手落ちにならんようにする必要がある、こういう考え方でございます。
それから第三の質疑の際のおもなるもののうち、この法律が通過しても反対運動はしない、これはいいんですが、二番目のこの法案が審議未了になってもよいということなんで、これは著作権法第二十八条に、条約に別段の定めがあればそれによるという規定があるわけですけれども、この保護期間を制限する場合、これは締約国はこれは義務を負わないといっているだけであって、アメリカの著作物を発行後二十八年以上に保護する必要がないということを規定しただけであって、これを一般国民に対して制限する場合には現行著作権法の特例をなすと私どもは考える。ですからこの法律が通らなければ依然としてアメリカの著作物は生存間及び死後三十年保護しなければならんという結果になると思います。
それからいま一つ法定許諾制についても同様でございまして、法定許諾制をとることができる、採用することができるといっているだけであって、採用する場合には国内法の制定を待たなければならんということを条約が規定しておりますので、この二点につきまして私どもはこの法案が流れては困るので、すでに万国条約は臨時国会において批准の承認を得て、一月二十八日に批准書が寄託されておりますので、四月の二十七日までに本法案が成立しないと非常に困るということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/6
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007・湯山勇
○湯山勇君 ちょっと速記をとめていただいて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/7
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008・有馬英二
○理事(有馬英二君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/8
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009・有馬英二
○理事(有馬英二君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/9
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010・湯山勇
○湯山勇君 この法律の十二条に政令への委任事項がありますが、これは大体どういうことを予定しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/10
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011・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 法定許諾の場合の手続その他でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/11
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012・湯山勇
○湯山勇君 もう少しそれを具体的に御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/12
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013・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 法定許諾の申請手続、それから法定許諾を受けた著作物に記載すべき事項、法定許諾を受けた著作物を輸出し得る国の指定に関する手続等でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/13
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014・湯山勇
○湯山勇君 それで大体文部省の方の御見解はわかったのですけれども、やはり最後になって若干割り切れないものは、やはりこの登録がどれだけアメリカの裁判において効果があるかという点がやはり残ると思います。絶対的な効果があるとすれば、それは今局長のおっしゃったような点は肯定できると思いますけれども、しかし先般の江川さんの御意見を聞きましても、そういうことについては、ただ単に政府が証明したということだけであって、第三者の証明と何ら変るものではないと、こういうお話で、そういうことから考えますと、結局、それじゃアメリカで訴訟が起った場合に、この登録をしていないものは一体どうなるのか、こういうことが逆に問題になると思うのです。それで登録をしていなくても訴訟には応じられるし、そしてまた訴訟してこれは必ずしも負けるとは限りません。勝つ場合もあり、負ける場合もある。また登録をしておるものも同じように勝つ場合もあり、負ける場合もあるというものであれば、その登録の必要性というものが、いろいろ前にお話を聞きましたけれども、やはり私どもには釈然としないものがある。もしほんとうに登録制というものをやろうとすれば、登録そのものの信憑性もそうですけれども、相手国がこの登録を認める、認めないというようなことに対する、何といいますか、了解事項とか、話し合いとか、そういうものが先行しなければ、考え方によっては、これはよけいなおせっかいをしているのではないかというような感じもなきにしもあらずですけれども、この点についてはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/14
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015・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 万国条約が制定されて間もないのでございまして、国際的な政府間会議が五月か六月ごろにございますので、その政府間会議には、各国とも自国の法令を持ってきていろいろと解釈の点、あるいは調整すべき点等について打ち合せ会があることになっております。その場合に日本としてはこういう手続をとっておる、だからこの方式に従ってやってほしい、またアメリカが具体的に裁判する場合には、日本の国内法令を全部調べますので、その場合に、この登録というものは政府が証明しておるのだということになりますれば、私は非常に反証の上げ得ない限りは十分効果があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/15
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016・湯山勇
○湯山勇君 私は反証というのを具体的な事実ということであれば、それには異議があります。というのは、第一発行年月日がその登録で正しいかどうか、絶対間違いないという保証は、たとえば国会図書館の受領証を持ってきてもわからないし、それですから現物による証拠じゃなく、理論的にはこれに対する反証はできると思うのです。つまり政府のお出しになった登録というものが、全部だめだとは申しませんけれども、必ずしも百パーセントの信頼をおけるものでないという証明はできると思います。これはこの法律の建前から言って。そうすると、もし最初そういう理論的な反駁を受けたときには、そうして理論的な反駁によってこの証明というものは無効であるということになった場合には、あと全部全く無効であるということになって、何の役にも立たないということになる心配があるのですけれども、そういうことは絶対ないという確信はあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/16
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017・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) そういうことは絶対ないという保証も、これは裁判をやってみなければわかりませんから、今申せませんけれども、ただ日本の国内法令で認めておる登録制度というものを、しかもこの登録をもって第一発行年月日を推定するという推定規定も置いてございますから、逆に向うが逆証をあげて十分論駁できれば別ですけれども、おそらく訴訟が起きて十年、二十年先に行った場合に、これは反証をあげたくもあげられないと思う。その場合私どもとしては、この登録に十分信憑性を持ち得る、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/17
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018・湯山勇
○湯山勇君 二十年なり三十年なり先で反証をあげないという前提に立てばそうですけれども、むしろ訴訟を提起する側からいえば、そういう資料を整えなければ訴訟をしないと思います。向うが提起する場合には。そういうことも考えますと、反証をあげることがむずかしいというけれども、私はそのことは大して理由にはならないと思う。この登録によって確実にどれだけかは保護できるということがなければ、今のように裁判のことだからやってみなければわからない、それも何年向うになるかわからないのを、しかもまあこれだけ問題のあることをやろうとしておって、どうも今までの御答弁ではやはりわれわれもその点納得しかねるのですけれども、もう少しその点について確実な見通しとか、そういうことはできないものでしょうか。あるいは条約なり覚え書の交換なり、そういったものによって、このものはこちらの法律できめたものですから、向うも公けに認めるというような手続はできないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/18
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019・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私どもとしてはできるだけ政府間会議においてこういう制度を日本がとっておるから、裁判の場合にはこれを利用してほしいということは希望を述べるつもりです。ただアメリカの裁判所がどういう決定をするかということは私ども今申しかねますけれども、従来も日本の著作権法における著作年月日の登録というものは訴訟の場合には役立った例もございますから、私どもはこの登録制が必ず十分な効果を上げ得ることを深く期待しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/19
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020・湯山勇
○湯山勇君 役立った例もあるということは、役立たなかった例もあるということになるので、今局長のおっしゃったこと、そのままとれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/20
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021・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) そうではないのです。役立ったということなんです。つまり七千件も登録しておりますけれども、訴訟になればやっぱりそれがものを言ってくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/21
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022・湯山勇
○湯山勇君 そこでこういうことをやるとすれば、そしてまた近くそういう会議も開かれるとすれば、そのときまでこの分だけ留保して、その登録の分だけ留保して、そのときの話し合いの結果いかんによって、この分だけ新たにやっても、私はこれは一年、二年を争う問題じゃないと思いますから、待つという方法もあるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。それならばみんな納得して賛成なら賛成するという道も開けると思うのですが、局長のお考えいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/22
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023・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これはぜひ私どもとしては一緒にやっていただきたい。私どもとしては先ほどから御議論のあった登録の問題について理論的に私ども納得しかねますので、ぜひ、従来の著作権法にも著作年月日の登録等もございますし、今度は第一発行の年月日が問題になって、そこから起算点が起きてくるので、発行年月日の登録は保護期間の制限の場合にもどうしても必要になってくると思います。これをそのままペンディングにしていただくことは困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/23
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024・湯山勇
○湯山勇君 ですからこれを削除してしまうというのじゃなくて、もう少し文部省の方で確信を持ってから出す、それは訴訟してみなければわからないから訴訟まで待つかというと、それはできないから、近く会議も開かれることだから、それまで待って、この登録の分だけはそのときの話し合いで、向うもそんなことをやってもだめだ、どうせ訴訟のときには納本登録しなければならないわけだから、今そんなのをやってもだめだということならやらないし、それは確かに尊重しようということが公式的に話し合いがつけばやってもいいわけで、今急にそういう不安定な状態で、しかも法律にするということについては、やはり躊躇せざるを得ないのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/24
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025・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私どもはちっとも不安定ではないと思っております。非常に明々白々だと私どもは考えておるのです。それでこれがむしろ削除するという御意見について納得できないのです。ですからこの法律が保護期間を、発行年月日から保護期間が発生するわけで、しかもアメリカのような方式国に対抗するためにはやはり発行年月日の登録が必要だということを考えておりまして、この削除の理由については納得できないのです。この法案全部を一緒に御審議願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/25
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026・湯山勇
○湯山勇君 私どもも削除するとは言っていないのです。削除するかしないかわからない、つまり必ず置かなければならないという根拠も、局長言われたように、局長の今までのお話から見ればやはり不確実の要素を多分に持っております。このことはこれは否めないと思うのです。裁判して見なければわからないし、向うの裁判のことだからどうかわからない、こういうことですから。そうすると、このことについて局長もまた削除には納得できないけれども、われわれの方から言えば必ず置かなくてはならないということの納得がわれわれにはいかない。そこでそういう状態だからどちらかへウエイトがかかるまで待って、そこで、そう遠いととではない、三年も五年も待てというのではなくて、この部分だけしばらく待ったらどうか、こういうことなんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/26
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027・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 登録というものは、これは本質的にそういうものなんです。いかなる場合でも推定規定を置いておる登録なり推定を持っておる事柄は全部そうだと思う。それならたとえば財産の共有の問題でも、夫婦の財産の相続の問題でも全部置いている。それは裁判してみなければわからない、これはわからないから不必要かというと、そうじゃなくて必要なんです。どうしても必要なんです。ですからその推定があるからいかんとおっしゃるけれども、これは今までの民法、私法の関係にはずいぶんたくさんあるのです。国際私法にしても民法にしても全部置いている必要規定なんです。ただそれがその反証を上げ得る場合というものはあり得るので、それまで百パーセント確実だということは言えないけれども、それで大体私どもは目的が達成されるというふうに確信を持っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/27
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028・湯山勇
○湯山勇君 どうしても必要なものなら任意規定にしないで、きちっと全部やればいい。任意規定にするということは必ずしも、登録していなくても裁判できるわけですから、今局長の言われるようなそれほど必要なものなら何にも任意規定にする必要はないわけです。そういう点からどうしても必要だとおっしゃるけれども、そのことにもやっぱり割り切れないものがある、こう思うので、私の言うことにもっと率直に答えていただきたいのは、それがどうしても必要だということであれば、今度の会議のときに要請したりしなくても、これはちゃんと効果あるものだ、こういうことになると思いますし、そういう局長のようなどうしても必要だという前提に立てば、今までおっしゃったことの中には、だいぶんこう、ちぐはぐになってくるものがあると思うのです。で、これがなければ裁判できないか、裁判に勝つことができないかということもまたこの際吟味する必要があると思うので、これらの点、一つ一緒に、別に私どもも今直ちに削除するとかしないとか言っているのじゃなくて、今宙ぶらりんになって、どうしようかと迷っておるんですから、そういう迷っておる者が判断できるような一つ答弁を……、今のようにどうしても必要だというようなことではなくて納得のいくように説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/28
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029・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 今お話のなぜ任意規定にしたかというお話ですけれども、これはアメリカの方まで、対外的に保護される著作物というのは非常に少いと思う。日本に出ておる何十が何百万という著作物が全部登録しなければならぬということは私とても考えていない。そのうち外国に保護されるような著作物についてはおのずから限度があると思う。そういう意味で全部にそういう義務規定を課したわけではない。今お話のように裁判の場合には、裁判というのは大体数年たって、ことに保護期間の問題ですから、アメリカでは発行後二十八年ですから保護期間がいつ切れるかというときが一番やはり問題になると思う。そういう先々のことでございますから、そのうち著作権が発生したうち裁判になるものはまたおのずから限度があると思う。そういう意味でこれを任意規定にしたわけでございます。しかも手数料は従来の著作年月日の登録と同じ金額である百二十円でございます。そこで百二十円払って保護が確実にできるなら私どもは非常にけっこうではなかろうか、で、あなたのおっしゃるように、裁判にいった場合に、すべての証拠書類で、これだけで確実だというのは、それはいかなる裁判でもこれは言い切れないと思うのです。しかしこの日本の国内法が認めた登録というものを一応アメリカの裁判所も信用すると思うのです。ですから私どもは保護に欠くることがあってはならないと思う。もしこれを欠くとすれば行政府の怠慢だと私どもは思うのです。そういう意味でこれだけやって、手を尽して努力してみるということが義務ではなかろうかと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/29
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030・湯山勇
○湯山勇君 やはり堂々めぐりしておるようですから一応質問はこれで終ることにいたします。
この際理事会の申し合せもありますから一つ懇談会にしていただいて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/30
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031・高橋道男
○高橋道男君 関連するのですが、第一発行年月日の登録の期限を一年とするとありますね。それが過ぎればその同じ登録はできない、こういう意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/31
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032・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/32
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033・高橋道男
○高橋道男君 そうすると、登録したものとしないものとの区別が非常にはっきり出てくるわけですね。そうすると今湯山委員の質問と少し問題が合ってくるのですけれども、登録したものは保護をはっきりと受けるが、登録しないものは受けにくい、そういう区別ができてくるように思うのですけれども、そういうふうに考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/33
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034・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/34
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035・竹下豐次
○竹下豐次君 今の高橋さんの質問に関連してお尋ねいたしますが、登録しないものは受けにくくなるということは、登録制度がない場合よりも受けにくくなるということではないと、登録制度があるために登録制度があるにもかかわらず登録しなかったものは、その制度がない場合に比べて不利益な状態に陥るという意味のお答えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/35
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036・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) そういう意味ではないのです。そうではなくて、登録しなければ、一年以内に登録をしなければ保護は受けにくくなる、これは当然のことじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/36
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037・竹下豐次
○竹下豐次君 そうすると、登録した方はプラスになる可能性は大いにあるけれども、登録しないからといって、登録制度があるがために不利益になるというお考えではないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/37
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038・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/38
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039・有馬英二
○理事(有馬英二君) ちょっと速記をとめて。
午後三時四分速記中止
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午後三時四十三分速記開始
〔理事有馬英二君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/39
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040・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 速記をつけて。
他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/40
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041・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/41
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042・湯山勇
○湯山勇君 私は次の要望を付して賛成をいたします。
本案の附則第三項、第四項の実施につきましては、いろいろ問題点があると思います。これの実施に当りましては、政府において十分留意されることを切に要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/42
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043・高橋道男
○高橋道男君 私はこの法律案に賛成をいたします。
質疑の段階におきましても、この法律案中第一発行年月日の登録の問題については、民間の一部において相当反対的な御意見があったように承わるのでありますけれども、この問題は登録という点を除外すれば全部賛成を得られるわけでございますが、その場合に、登録ということを考慮するのはすベてアメリカに対するものであって、その方面に著作権の主張をする必要のないものまで登録する必要はないという任意規定であって、万一の場合に対する私は親心の上からの措置だと、こういうふうに感じ取っております上から、この登録制度があることは少しもじゃまにならない、万一の場合に対する特殊のものの著作に対する保護対策であるというような点から賛成できると思うのであります。さらにまたこの法定許諾というものが、国際関係におきましては、今回の万国著作権条約に伴って国内法として制定される最初のものでございまして、文化交流という上からいたしますれば、私は適当な方策ではないか、こういうように考える次第であります。論議をすれば、著作権そのものが非常に複雑でございまして、一朝にして尽くされない点が多いかと思うのでありますけれども、当面の万国条約に伴う特例に関する法律といたしましては、一応これでいいのじゃないかと思うのであります。さらに私は国内法の全般につきましても、先般内藤局長から言われたように、全般についてもなお早急に改正案を得られて上程されんことを希望いたしまして、私は賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/43
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044・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/44
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045・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/45
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046・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/46
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047・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
安部キミ子 矢嶋 三義
秋山 長造 湯山 勇
剱木 亨弘 中川 幸平
有馬 英二 吉田 萬次
高橋 道男 竹下 豐次
松原 一彦
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/47
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048・秋山長造
○秋山長造君 これはちょっと問題が違いまするが、先般来、日本ペンクラブで来年度の世界ペンクラブの大会を東京でやりたいという話が出ております。ところがその経費が二千百万円相当かかるので、その経費の点でちょっと難関に突き当っておるような状況なんですが、このペンクラブの日本での大会ということについて文部省の方で何か御相談を受けられたことがあるのか、またその点について文部当局としてどういうお考えを持っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/48
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049・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) お答え申し上げます。
これは公式の申し入れではないと思いますが、先般ペンクラブの、あの方は書記長さんでございましょうか、ちょっとその点ははっきりいたしませんが、立野信之さんという作家の方が参られまして今お話のようなことになるから、文部省といたしましても応分の補助ができるかどうか、こういうようなお尋ねでございました。そのときに数字は私ははっきりいたしませんが、全体で三千万円ばかりかかると承わっておりました。そのうちのせめて三分の一でも文部省の方で補助できないか、こういうお話でございました。それは正式の話ではないと承わっておりましたが、なおよく御相談はいたしましょうというような程度のお答えを申し上げておったのでございます。その後はまだ何ともお話がございません。いずれ主管の方は社会局になりますか、あるいはほかの局になりますかはいろいろ一つお話し合いをいたしまして、大臣にも、とにかくこういう申し出があったという点をお伝えいたしまして善処をしたいと思っております。ただ何分にも一千万円という金でございますから相当補助にあるいは難色があるかもわかりませんが、そういうお話でございましたから、よく考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/49
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050・秋山長造
○秋山長造君 非公式な申し入れで公式の申し入れということでもない、これはいずれペンクラブの人から公式に文部省に対して援助方の申し入れがあると、かように聞いておりますが、やっぱり問題は問題だし、こういうものはぜひ文部省として大いに力を入れてしかるべき事業であると思います。先ほど別な委員会で官房長官から聞きますと、三十一年度は国際的ないろいろな会合なんかをできるだけ積極的にもっていきたい、そういうことの経費として内閣官房でも相当な予算を増額して組んでいる。たとえば報償費だとか交際費なんかも前年度からみれば交際費を倍近く組んでいる、内閣官房で。報償費なんか前年度の四倍も組んでいる。その目的はいろいろな国際的な会合なんかに極力力を入れて日本の国際的な立場を向上していきたいというような御説明があったのですが、やっぱりペンクラブなんかの開催も同じようなワクに入る問題だと思うのです。だから主管は文部省でしょうけれども、内閣官房から引っぱってくるなり、あるいは外務省なんかのいろいろなそういう種類の種目がたくさんあるのですが、文部省も一つこれくらいなことには、もう少し力を入れて、積極的に一つこれを何とか四月の末にロンドンでいろいろきまるそうですが、積極的な態度で推進していただきたいと私は考えるのです。その点重ねて文部当局の御決意を促しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/50
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051・竹尾弌
○政府委員(竹尾弌君) 正式にそういう申し出がございましたら、なお積極的にいろいろ考慮させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/51
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052・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/52
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053・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 速記をつけて。
次に国立大学授業料値上げに関する件を議題といたします。本件に関しましては、問題の重要性にかんがみ、文部当局に質疑を行なってその検討を行なっていたのでありますが、その間の経緯にかんがみ、政府に次のような要望を行なってはいかがかと存じます。
ちょっと速記をとめて下さい。
午後三時五十九分速記中止
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午後四時十五分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/53
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054・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 稻田局長に伺いますが、ここに国立大学の授業料等の引き上げに関する要望書案なるものがあるわけですが、そこでこの「授業料等」というこの「等」があるとないとによって、どういうふうに違いますか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/55
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056・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) ただいま拝見いたしましたが、「等」がなければ授業料だけであろうと思います。「等」があればそれ以外のものが何が入るかわかりませんけれども、何かお入れになっているだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/56
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057・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そんな答弁あるかね、君。そんなことはわかっているのだが、その何かがあるといえばあなたは大学局長として十分御承知のはずだ、どういうものが入って参りますか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/57
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058・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) これはお書きになった方の御意見だろうと思いますけれども、政府が歳入の単価を引き上げましたのは、私はすべてどういうものがあるか存じ尽しておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/58
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059・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたの知っている範囲内で承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/59
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060・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) ここにお入れになるかどうかはわかりませんけれども、国立大学関係の歳入に関しまして単価を引き上げましたのは、授業料、入学料、検定料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 「国立大学の授業料等」とあるのですが、この「等」があれば授業料以外にあなたは今あなたの直接所管にかかわるもの二つありましたが、それ以外に文部省の局長として関知しておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/61
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062・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 私正確でないのでございますけれども、社会教育局あたりの、たとえば映画の検定料なんというものも、これは引き上げじゃない、新設かもしれませんけれども、まあ「等」というようなばく然たる意味におきましては、まあ文部省関係のいろいろ歳入の増加といったような問題は入るのかもしれません。それは私ではわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 局長の答弁の態度、僕はおかしいと思うんだ。少くとも本委員会が今審議しておる対象は授業料等の引き上げを企図しておることについて協議をしておる。そこで「等」が入るか入らないのでどういう相違があるかという質問に対して、最初答えたようなああいう答弁の態度というものは不謹慎きわまる。さらにこれは書いた人の云々だといっても、今国会で審議をされておる予算、その予算というものは文部省、政府側から提案されたのは政府は十分承知しておるはずです。そういうものを対象として書かれておるのだから、書いた人の気持を聞かなければわからないというようなことでなくて、この文章を見たら直ちにどういうものを対象にしておるであろうということは、僕が書いたんじゃないけれども、少くとも文部省の大学局長ともあろう人が大体推察できるはずです。従って少くとも第一回の私の質問に対して、入学検定料と入学料、このくらいの答弁は当然出てこなくちゃならない。私は反省を促します。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/63
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064・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 今拝見いたしまして、今読み下しましたので、私正確にお答えすることを期したために先ほどのように申し上げたわけでございます。いろいろ前提がありまして、これを読みますればお話のようなお感じもごもっともであろうと思います。倉卒に読みまして直ちにお答えいたしましたためにやむを得ないとは存じまするけれども、ただいまのようなお感じを与えたといたしましたら私の本意でもなく、残念に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは次に伺いますが、この案には最後の方に、「国立大学の学生のために必要な諸経費の増額に還元充当すべきである。」かように書れているわけでありますが、文部省の予算書を見るというと、ちょうど今持ってきていませんが、学校経費という項目で、国立大学関係の予算を一括して予算書に載せてあります。従って全国七十二の国立大学に、いかようにこの予算を配分するかというのは、国会の審議以外のことで、文部省で自由自在に配分ができるようになっております。従って国立大学の学生のために必要な経費の増額として還元する場合に、先般来の説明によりますというと、結局一部の大学に講座研究費として還元され、教官研究費の方面には還元されて参らないので、還元するに当って大学に差等がある。で、この授業料の値上げが決定した場合に、文部大臣は、学生の代表にも、この値上げ分は君たちの必要な経費として還元するのであるからというようなことで納得させようと努力されたことも新聞に報じられた通りです。ところが実際還元されることになるというと、一部の大学だけに還元されて、すべての大学に還元されないということに相なっているとすれば、これはかなり重大な問題だと思うのです。従って授業料の値上げ分を還元する場合に、全国七十二国立大学に凹凸がないように、まあその凹凸がないという内容は、学生の数の多い所と少い所、そういう所は計算によって差がついてくるというのはこれはいたし方がないと思いますが、私は絶対額を一律に還元せよということを言うわけじゃないのですが、要するに、この七十二の国立大学にアンバランスがないように私は還元さるべきだと思う。どういうふうにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/65
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066・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) この点前回にもお答え申し上げたことで、繰返して大へん恐縮でございます。それからもう一点は、今ここにお書きになりました文章を批判するようにおとりいただくとこれは大へん恐縮なんでございますけれども、私どもは還元という考え方を持たないのでございます。一般の歳入をもって歳入とし、そうしてその歳入全体に見合うべき歳出を組みますのが予算一体の原則であり、財政法及び予算、決算及び会計令の示すところだと考えております。従って歳入のこの部分が歳出のこの部分に当るというような考え方は、私どもとしてはいたさないのでございます。とにかく、一方において歳入がある積算においてふえる、他方において歳出がある積算においてふえる、それぞれ別々に計算はしております。一方において授業料が増額せられるのにという事実がございますが、これとは全く別に一方において歳出において学生経費が増額していく、こういうことは常に申しておりますけれども、ただいまお話のように、この分をこの歳出に結びつけて戻さなければならんとか、あるいは正確に勘定しなければならんというようなことで、もともと予算は編成されたものとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/66
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067・吉田萬次
○吉田萬次君 ただいま局長の御答弁は実に上手に答弁せられたと私は感服しました。しかしながらこの授業料というものの値上げというものはこれは相当考慮せんならんものであって、これが還元ということについては私も当然なことだと思います。しかしながら文部省はこれを使用せられるについての考え方というものは、これはまたおのずからわれわれの想像しているものと違うかもしれません。少くとも私はこういう値上げというものがあった以上は、公平にこれを適当に使途に対して考慮していただきたいという希望だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/67
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068・矢嶋三義
○矢嶋三義君 質問終ります。進めていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/68
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069・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 他に御質問ございませんか。では御質疑もないようでありますから要望書案を朗読いたさせます。
〔専門員朗読〕
国立大学の授業料の引上げに関する要望書(案)
政府は昭和三十一年度予算において、国立大学の授業料の引上げを企図しているが、このことは教育的並びに経済的見地から、適切な措置とは考えられない。
しかしながら、右の措置が真に已むを得ないとするならば、昭和三十一年度の引上げに伴う増収分については、これを国立大学の学生のために必要な諸経費の増額に還元充当すべきである。
右要望する発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/69
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070・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 以上朗読の通り本委員会の決議をもって政府に要望することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/70
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071・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。よって本要望書(案)は可決せられました。要望書は委員長から文部大臣及び関係大臣に送付することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/71
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072・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先ほど懇談のときに湯山委員から発言のありました口頭をもって委員長が要望する点念のために速記に残しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/72
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073・湯山勇
○湯山勇君 この実施に当りましては各大学間に差別的な取扱いの起らないように措置すべきである、こういう点について委員長から十分伝達方をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/73
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074・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) ただいまの御発言に関しましては委員長からも善意をもってそれぞれの関係当局に伝達をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/74
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075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 念のために稻田局長に伺いますが、本件に関する政府に対する要望決議の経過並びに結果はお聞きの通りでございます。政府委員としては当然本委員会の意思決定を尊重されてお取扱いいただけるものと、かように考えますが、念のために局長の御所見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/75
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076・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 結果におきまして歳出として学生に関しまする費用が増額いたしておりまするので、一方歳入負担が授業料増加という点で学生に付加せられますけれども、教育内容が充実するということが期せられまするので、御要望の結果が実現いたすことだと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/76
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077・矢嶋三義
○矢嶋三義君 念のためもう一回伺っておきますが、先ほど私若干触れまた湯山委員から委員長に要望があり、また委員長これを了承して後日大臣にその意を伝えるとの発言がございました。各大学に不公平のないように配分していただきたい、この点については、吉田委員からも先刻御発言のあった通りでございます。その点についても本委員会の意のあるところに沿って処置されるものと私は信じますが、念のために伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/77
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078・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 繰り返しになりますが、学生の教育に関しまする経費は、予算の性質上各学校の教育の状況に応じて公平に積算せられておると考えまするので、御要望の結果が実現することだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/78
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079・湯山勇
○湯山勇君 局長の御答弁が非常にこだわりすぎていると思います。もう少し虚心たんかいに御答弁願いたいと思います。それはあなたがおっしゃったように、入ったものがひもをつけて出るのではないことはよく知っております。しかし、学生からたくさんとるということは事実です。それからまたそれがどこへどうたまるにしても、たまったものが出ていくことも事実です。そのたまった中の操作はあなた方の権限内にあることは先ほど来みんな認めておるのですから、そこでよく検討すれば、現在そうなっているというのじゃなくて、予算が今かりに出ておる通りきまったとしても、その中における操作はあなた方においてなされるはずである。そこでさらに趣旨に沿うように努力するというのがあなた方の立場じゃないですか。今のように予算に出ておるから、これでもってちゃんとできておると思うというようなことでは、私は本院の決議に対してあなたが誠心誠意やろうという気持になっておるかどうか疑います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/79
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080・吉田萬次
○吉田萬次君 私も先ほど御答弁が上手だと言ったのはそういう点でありまして、この使途に対して一局部に限るとか、あるいは何課というふうに限るとかいうようなふうのことがありますと、公平を欠くによって、それで十分御留意が願いたいということを申し上げた次第であります。この点は十分に御留意の上、あとでそれと間違っておったというようなことのないように、納得のいくような御考慮が願いたいと、重ねて希望を述べておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/80
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081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/81
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082・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/82
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083・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/83
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084・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 各委員からさらに御教示のありました諸点につきましては、とくと了解いたした次第でございます。前にお答え申し上げましたような点、御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/84
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085・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 他に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/85
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086・有馬英二
○有馬英二君 議事進行。次に移っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/86
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087・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 今の国立大学の授業料引き上げ問題に関しましては、各委員からるる誠意のある要望がありましたが、委員長からもこの点については誠意と最善の努力をもって善処されることを重ねて要望いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/87
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088・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 次に、天然記念物かもしかに関する件を議題といたします。当局の報告を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/88
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089・岡田孝平
○政府委員(岡田孝平君) 天然記念物カモシカに関しまする記事が去る八日の新聞紙に出ております。この際そのことにつきまして御説明申し上げたいと思います。
カモシカは牛科に属しまする本邦特有の動物でありまして、本州及び四国、九州の急峻な山岳地帯に生息しております。主な生息地は、たくさんございますが、秋田、山形、山梨、長野、新潟、富山、奈良、三重等十五県にわたりまして、その数は推計いたしまして三千頭以上に上ると思われます。戦後はやや増加の傾向にあるもののようでございます。このカモシカは、昭和九年に天然記念物に指定されまして、なお昭和三十年に特別天然記念物に指定されました。で、さきほど申し上げました新聞に出ました記事につきまして、直ちに関係官庁と協議をいたし、調査いたしたのでありますが、ただいままでに判明いたしましたのは、大体次のようでございます。それを読みますと、三重県の度会郡に住んでおりまする谷村菊蔵という人、これは食肉販売業を営む人でありますが、この人から東京都の墨田区両国にありまする料理屋「ももんじゃ」こと吉田実という人に昨年十二月から本年の二月まで四回にわたりましてカモシカ四頭を売ったのであります。そうしてこのカモシカがこの料理店で一般のお客に供せられたのであります。店頭にありました一頭と、それから毛皮、なめししてあったのでございますが、この毛皮一枚、これだけが店にありましたので、直ちにこれは警察署に任意提出させまして、そうして本月の十日に上野動物園で、鑑定人といたしまして林野庁の猟政調査課長の葛精一、それから立会人といたしまして上野の動物園長の古賀忠道、この方が立ち会いまして、葛氏の執刀のもとに解剖いたしたのであります。その結果、カモシカであることが明らかに判明いたしましたのであります。この事件につきましては、文化財保護委員会は、林野庁それから東京都の林務官、都の教育委員会、所轄の警察署等と連絡をとっておりますが、この問題の料理店主の吉田実は狩猟法違反として所轄の警察署が事件を処理しております。それからこれを送って参りました三重県の谷村菊蔵という人は、事件が東京の警察から三重県の警察署に移されまして、三重県のほうで狩猟法違反及び文化財保護法違反としてただいま調査中でございます。なお、文化財保護委員会は、事件発生後三重県にも連絡いたしました結果、三重県側の状況は、大体は次のようでございます。これは昨年の十二月二十四日に三重県の度会郡の農業を営んでおりまする本田勤という人がその隣村の山内におきまして重量約五貫目のカモシカ一頭を猟銃で射殺いたしました。これを先ほど申し上げました居住地の牛肉商の谷村菊蔵方へ千五百円で売ったのであります。さらに本年二月の二十日に同じく本田勤なる者がカモシカ二頭を射殺しましてこれも同じく先ほどの谷村菊蔵に売っております。さらに同じく二月の二十四日同人がもう一頭を射殺いたして同じく売っております。そして谷村氏はこれを四回にわたりまして先ほどの東京の吉田氏にこれを売ったのであります。大体ただいままでの調べは以上のようなことでございますが、このようなことは文化財保護上はなはだ遺憾でありまして、文化財保護委員会といたしましては、今後このような違反行為の防止に努めることはもちろんでございますが、さらに一般に対しまして文化財保護の認識を徹底いたしますように指導いたし、一そう強力な啓蒙をいたしたいと考えております。すでに警察庁には取締りを一そう厳重にするように依頼いたし、また関係都道府県には右の趣旨を徹底いたしますように通牒を出しまして同趣旨をさらに徹底いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/89
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090・湯山勇
○湯山勇君 三重県の「ももんじゃ」へ売ったというのは今の御報告でわかったのですが、そのほかに最近どっかで営林署の人かなんかがやはりカモシカを売ってどうとかしたという記事があったように思いますし、そのほか青森県あたりにも同じような例があるように聞いておりますが、そういうことはまだお調べになっておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/90
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091・岡田孝平
○政府委員(岡田孝平君) お話の点は新聞で見ましたので、直ちに警察庁の方に連絡いたしましてその真偽を照会いたしておりますが、まだ詳細なる回答は参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/91
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092・湯山勇
○湯山勇君 今の青森県あたりの方でも密猟があるということですが、それはまだお聞きになっていらっしゃいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/92
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093・岡田孝平
○政府委員(岡田孝平君) 青森県の様子はただいま青森県に照会いたしておりますが、まだ返事は参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/93
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094・湯山勇
○湯山勇君 こういうものに対してよほど保護を加えなければならないということは申し上げるまでもないことですけれども、周知徹底とか一般人に対する啓蒙とか、そういうことについては遺憾なきを期しておられるかどうか、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/94
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095・岡田孝平
○政府委員(岡田孝平君) これはなかなかこの天然記念物にしてあります動物も数の多いことでありまして、また全国にわたっておりますので、私ども趣旨の徹底はできる限りのことをいたしておりますけれども、実際におきましては、ややもすれば猟師などがこれを射殺するというふうなことがあるようでございます。これは一面狩猟法の問題でございまして、狩猟法で定めております狩猟鳥獣以外のものはとっていけないことになっております。この関係の官庁は林野庁でございますから、林野庁には地方に営林署もございまして、そういう方面で狩猟法関係の問題としても相当取締っておられると思いますけれども、私ども林野庁とも連絡いたしまして、さようなことのないようにできるだけ努めて参りたい。結局これは根本におきましては文化財尊重の観念といいますか、そういう一般に文化財尊重思想が普及しなければなかなか急には徹底しない。この点につきましてはいろいろたとえば学校の教科書に文化財に関しまする教材、文化財の歴史というようなものも詳細にとり入れてもらう。また社会教育面におきましてもあらゆる機会をつかまえまして普及するようにしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/95
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096・湯山勇
○湯山勇君 時間がないですから私簡単に意見を述べて御善処願いたいと思うのですが、それは動物の、ことに高等な動物の天然記念物というのは日本では非常に少いと思います。こういうものがこういう状態で減らされていくということは非常に残念なことで、これにつきましてはそう種類もたくさんないわけですから、十分保護の措置を講じていただきたい。こういうふうに表面に出たのがこれだけあるとすれば、おそらく表面に出ないのも相当あるのじゃないかと思います。で、もうなくなってからどんなにばたばたしても追っつかないことですから、今のうちに万全の措置を講じていただきたい。それと関連して北海道のマリモあたりがどんどんこれは逆に有名なために持ち去られたのですけれども、持ち去られて各地に行っておるのをまた回収しなくちゃならないというようなことが報ぜられておりましたが、こういうことも非常に残念なことで、これはまあ誤まった宣伝がそういうふうにさせたということも考えられますので、そういう宣伝の場合にもそういうことにならないような注意が望ましい。
それから第三点としては、天然記念物の保存につきましての経費が非常に少額のように思います。これは昨年度もそうでしたが本年度あるいは来年度においても非常に少額で、大体天然記念物になっておる動物というのは非常に少くなった動物、植物の場合には非常に珍しいものとか老齢の木とか、そういったものが多いわけですから、そうなってくれば、自然に放置すれば、ともすれば損傷しあるいはそれらの分布が消滅する、こういう要素を持っておりますので、十分御注意いただかないと、これらは自然になくなってしまうということになると思います。そこでこの際これらについて損傷があったあとでやったのでは手おくれですから、事前によく御調査になって、まあ木が折れるとかあるいは分布が消えてしまうとか、そういったようなことのないように、十分私はこの際こういうカモシカの事件のようなものがあった機会に、一つ御注意を願い、御善処を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/96
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097・岡田孝平
○政府委員(岡田孝平君) その件につきましては先ほど申しました以外に、たとえば天然記念物に関しまする標識を立てまして、そこに天然記念物の説明をいたします等のこともいたし、またその施設に対しまして国庫補助を出すようなこともいたしております。またこれは例はわずかでございますけれども、動物に対する飼料、その飼料の支給に対する国庫補助もわずかでございますが、そういうふうなこともいたしております。また技術指導といたしまして、できる限りただいま御指摘のように事前に何らか学者の意見等を十分徴しまして、それに対しまして天然記念物が十分保存できるようにいたしたいということも考えておる次第であります。何分にも予算は御承知の通り十分ではございません。今後予算等のことにつきましてもなお検討したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/97
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098・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) じゃ私も一点これは要望申し上げておきたいと思います。それは、カモシカの問題については新聞紙上に現われていない密猟、密殺が他にも行われておると思いますので、私もそういう事実を知っております。そこで今回のことを契機にしてばく然とした通牒をお出しになることよりも、私はカモシカの生息地帯というのは何県何郡何村というところまでわかっておるはずですから、そういった限られた地域に徹底するような集中的な指導をお願いしたい。その指導の方法としてはさっきの標識もけっこうですが、つまり禁札を立てられる必要があろうかと思います。地元ではうすうすは悪いということは知っておりますけれども、それほど大事でそれほど悪いものかということは十二分に心になく、やはり密猟しておられるのだと思うので、特別記念物等に関してはやはりそこまで指導の手を伸べないと今後こういうことが跡を断たないのではないかと思われますから、そういうことをぜひおやりを願いたい。しかしその所管はあなた方の文化財保護委員会の直接の所管であるか存じませんが、予算等の関係もありましょうから、直接所管の農林省をしてそれをやらせるなり、私どもの承知しない点もありますから、それらについて、もしぬかりなくおやりだったら具体的にどういうふうにしておるということを承わりたいし、なおそこまでいっていないとすれば今後関係者に御連絡の上で、こういうふうにさせましたということを当委員会に御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/98
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099・岡田孝平
○政府委員(岡田孝平君) ただいまの御説まことにごもっともでございますが、カモシカにつきましては、非常にこれは生息している県が多うございます。先ほど申し上げましたのはおもなる生息地でございまして、従ってこのカモシカの指定は地域を定めず指定いたしております。そうしておもな生息地としまして先ほど十五県例をあげまして、そのほかにもございますが、そういう指定をいたしております。そんな関係でなかなか多くの県につきまして漏れなく全部一挙に徹底するということも困難でございますが、やはり取りますのは主として狩猟法違反としてこれを捕獲する者がほとんど大部分でございます。一般の人がそういうものを取ることはまずまずないと思いますが、農林省の林野庁と十分今後連絡をとりまして、できるだけ万全の措置をとりたいと考えております。禁札は天然記念物として標識を立てまして、これを無断で取ったりするものは文化財保護法違反になり、罰則をかけられるということは明瞭にいたしているはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/99
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100・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/100
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101・飯島連次郎
○委員長(飯島連次郎君) 速記をつけて。
では天然記念物の保護に関しては一般の社会教育を普及拡充すると同時に、それぞれの所在地等に関しては十分警告あるいは禁止についての具体的措置を講ぜられるように要望いたしまして、本日はこれで散会いたします。
午後五時一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415077X01119560320/101
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