1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月三十一日(土曜日)
午前十一時八分開議
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議事日程 第二十九号
昭和三十一年三月三十一日
午前十時開議
第一 夫帰還者留守家族等援護法の
一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
(委員長報告)
第二 引揚同胞対策審議会設置法の
一部を改正する法律案(衆議院提
出) (委員長報告)
第三 厚生省設置法等の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院
送付) (委員長報告)
第四 行政機関職員定員法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付) (委員長報告)
第五 輸出保険法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
(委員長報告)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/0
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001・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/1
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002・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、夫帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
日程第二、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/2
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003・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長重盛壽治君。
〔重盛壽治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/3
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004・重盛壽治
○重盛壽治君 ただいま議題となりました未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案ほか一案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
まず、夫帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案について申し上げます。
未帰還者留守家族等援護法におきましては、未帰還者の留守家族に対しまして、留守家族手当を支給することと相なっておるのでありますが、本法施行後三年を経過した日、すなわち、本年八月一日以後におきましては、過去七年以内に生存していたと認めるに足りる資料がない未帰還者の留守家族には、留守家族手当の支給を打ち切ることと相なっておるのであります。
しかしながら、未帰還問題はいまだ十分に解決されていない現状でありますので、この留守家族手当の支給打ち切りの期日を、おおよそ調査の最終段階に達するであろうと予想される昭和三十四年八月一日まで三年間延長いたそうとするものであります。これがこの改正法案の要点であります。
委員会は、三回にわたり開会いたしまして、本案を審議いたしましたのでありますが、その間に、特に日本赤十字社の葛西副社長及び井上外事部長を参考人として招致いたし、北鮮側との引揚交渉のいきさつにつき説明を聴取した上、質疑を行い、本案審議上の参考に資したのであります。
なお、田邊引揚援護局長より引揚問題に関する日ソ交渉の経過について説明を聴取したのでありますが、その説明によりますと、「いわゆるマリク名簿に記載されていない者で、現在なおソ連地域内で生存していると推定される者一万一千百七十七名のカード及び名簿をソ連側に手交して、その調査を依頼したところ、ソ連側はこれを了承した。右調査には別に期限を定めなかったが、先方は誠意をもって調査してくれるものと期待している」云々とのことでありました。
委員会におきましては、種々熱心な質疑が行われたのでありますが、そのおもなるものにつきまして申し上げますと、まず、「この未帰還者留守家族等援護法により援護を受けている者は、現在どのくらいいるか」との間に対して、「本年一月現在において留守家族手当を受けているもの五万四千八百六十六件、特別手当を受けているもの四千三十八件、合わせて五万八千九百四件である」との答弁がありました。そのほかハバロフスク収容所における問題、在日朝鮮人の送還問題、留守家族に対する補償の問題等について質疑が行われ、これに対し、厚生大臣及び外務政務次官よりそれぞれ答弁がありましたが、その詳細は会議録によりまして御了承願いたいのであります。
かくて質疑を打ち切り、討論を省略して採決いたした結果、全会一致をもって原案通り可決することに決定をいたした次第であります。
次に、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法案は、衆議院提出の法案でありまして、その要旨は、引揚同胞対策審議会の存立期間を三カ年延長し、あわせて条文の整理を行おうとするもりであります。
御承知の通り、引揚同胞対策審議会は、昭和二十三年総理府に設置された機関でありまして、引揚促進並びに遺家族及び留守家族の援護等に関する諸問題につき、民間の陳情を審議し、かつ実情を調査して引揚同胞対策を考究し、その結果を内閣総理大臣に報告することを目的としており、設置以来今日まで重要な役割を果してきたのでありますが、その存立期間は昭和三十一年八月三十一日をもって終了することになっておるのであります。しかるに未帰還問題はいまだ十分に解決されていない現状であり、これら未帰還者の帰還促進、状況不明者の調査究明、遺家族及び留守家族の援護の問題の解決をはかるためには、この審議会の活動にまつべきところきわめて多く、なおこの審議会を存続する必要がありますので、今回未帰還者留守家族等援護法の一部改正に対応して、この改正法案が提出されたのであります。
以上がこの法律案の要旨でありますが、委員会におきましては、まず、提案者の一人である木村衆議院議員より提案理由の説明を聴取した後、審議に入り、各委員と提案者との間に活発な質疑応答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録によりまして御了承を願いたいと思います。
かくて質疑を打ち切り、討論に移りましたところ、田村委員並びに竹中委員よりそれぞれ、「この審議会は単なる形式的の存在とせず、実質的にも大いに活動し、かつ引揚促進について善処してほしい」旨の希望を述べて本案に賛意を表されたのであります。討論を終局して採決いたしました結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/4
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005・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/5
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006・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 総員起員と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/6
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007・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 日程第三、厚生省設置法等の一部を改正する法律案
日程第四、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/7
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008・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長小柳牧衞君。
〔小柳牧衞君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/8
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009・小柳牧衞
○小柳牧衞君 ただいま議題となりました厚生省設置法等の一部を改正する法律案及び行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
ます、厚生省設置法等の一部を改正する法律案について申し上げますと、本法律案の改正の要旨の第一は、現在厚生省の付属機関である未帰還調査部を本省の内部部局に改組し、引揚援護局に未帰還調査部を置くこと、その第二は、現在引揚援護局に置かれている次長二人のうち一人を減じ、この減じた次長一人を保険局に置くこと、その第三は、本省の付属機関である国立予防衛生研究所及び国立衛生試験所の所掌事務について所要の改正を行うことでありまして、なお、これらの改正に伴いまして、国家行政組織法の一部に所要の改正をいたしておるのであります。
内閣委員会は、前後三回委員会を開き、その間、小林厚生大臣及び関係政府委員の出席を求めまして、本法律案の審議に当りましたが、その審議において、未帰還者の現状、特に未帰還者の引揚促進と未帰還者留守家族の援護に関する政府の対策及び昭和三十五年を目途とする国民皆保険の普及に関する政府の構想等につきまして質疑応答がありました。その詳細は委員会会議録に譲りたいと存じます。
昨日の委員会におきまして質疑を終り、討論に入りましたところ、野本委員は、「自由民主党を代表して原案に賛成」の旨の発言があり、次いで、本法律案について採決いたしました結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられました。
次に、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について申し上げますと、今回の定員の改正は、昭和三十一年度における各行政機関の事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務の増加に伴う所要の増員を行うとともに、業務の縮小に伴う余剰定員の縮減を行わんとするものでありまして、まず、今回の改正による各行政機関の職員の定員の増減を申し上げますと、増員は五千七百八十人であり、減員は千百四人でありまして、差引四千六百七十六人の定員増となり、結局定員の合計は六十四万千二十八人となるのであります。
今回の定員の改正のうち、増員のおもなるものは、北海道開発庁の篠津地域泥炭地開発事業遂行に伴うもの百人、科学技術庁の新設に伴うもの二百九十三人、文部省国立学校の学年進行、学部、学科の増設等に伴うものが七百八十三人、特許庁の特許の審査事務の増加に伴うもの六十一人、運輸省の航空交通管制業務の引継ぎに伴うものが六十人、南極調査船の運航に伴うもの七十六人、郵政省の郵便取扱い業務量の増加に伴うもの六百六十九人、保険料集金事務の増加に伴うもの二百人、電気通信施設の拡張に伴うもの千三百七十二人、特定郵便局における勤務時間に関する仲裁裁定の実施に伴うもの千六百二十二人等でありまして、おおむね現業的業務の増加に伴う必要やむを得ないものであります。また、減員のおもなるものは、大蔵省の旧軍用財産の転用に伴うもの六十二人、郵政省の電話業務の一部を日本電信電話公社に移管することに伴うもの三百六十人、建設省の営繕関係業務量の減少に伴うもの六十人、科学技術庁設置に伴う関係各省庁からの移しかえによる減員二百九十人等であります。
内閣委員会は、前後四回委員会を開き、この間、河野行政管理庁長官及び関係政府委員の出席を求めまして本法律案の審議に当りました。委員会の審議におきまして、内閣委員会が第二十二国会において、常勤労務者及び非常勤職員の処遇についてなした決議の趣旨が、今回の定員法改正に具現されていない点、政府の重要政策の一つである行政機構改革の問題の現状、この行政機構改革の一環として政府が実行せんとしておる各省庁の課の整理に関連する諸問題等につきまして質疑応答がなされました。特に千葉委員より、「定員法のワク外にある常勤労務者及び非常勤職員中、その職務の性質、勤務の条件等において、定員法上の職員と何ら異ならない者の処遇について、政府の今後の措置」をただしましたところ、河野行政管理庁長官より、「これらの職員の処遇について、すみやかに具体的措置を講ずる必要ありと考えておるので、今後熱意を持って実行する考えである」旨の答弁がありました。
昨日の委員会におきまして、質疑を終り、討論に入りましたところ、千葉委員より、「本改正案は諸般の問題を含んでおるが、特にその中でも現在定員法のワク外にある職員、すなわち常勤労務者が六万六百六十二人、常勤的非常勤職員が約十二万人、合わせて約十八万人の職員が存在することは、政府職員の定員を定めておる定員法に対する国民の判断を誤まらせるものであると思うが、この点については河野行政管理庁長官も率直にこれを認め、近い将来において善処方を言明しておるので、この問題の解決を将来に譲ることとし、本法律案に賛成する」旨の発言があり、次いで本法律案について採決いたしましたところ、本法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられました。
以上、報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/9
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010・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/10
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011・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/11
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012・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 日程第五、輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長三輪貞治君。
〔三輪貞治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/12
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013・三輪貞治
○三輪貞治君 ただいま議題となりました輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
まず政府の提案の理由を申し上げますと、現在では、普通輸出保険のほかに五種類の保険制度が実施されておりますが、最近におきましては、中南米、東南アジア等に対する本邦人の技術提供及び現物出資等による海外投資が盛んに行われておりまする実情からいたしまして、これらの対外取引において生ずる危険の一部をカバーいたしまして、本邦人の対外取引を促進しようとするものであります。従いまして、その内容のおもな点は、第一に、現行法の目的を改正いたしまして、物の輸出を振興することを中心としておりますのを、物の輸出とは必ずしも関連のない対外取引の発達をもはかるようにしたことであります。第二点は、海外投資保険制度の新設でございますが、この制度によりまして、海外投資を行なった者が、外国政府またはこれに準ずるものによりまして、海外投資によって取得した株式その他持分を奪われたり、海外投資を受け入れた外国法人が、戦争、内乱、革命等によって解散いたしましたり、または一定期間以上の事業の休止があった場合に、海外投資を行なった者が、その株式等を処分したことによって受けた損失の五〇%を限度として填補しようとするものであります。第三点は、現行の輸出代金保険の制度は、プラントの輸出代金またはこれに伴う技術提供の対価を対象としておりますが、これを拡大いたしまして、物の輸出に伴わない技術の提供の対価及びこれに伴う労務の提供も、この保険の対象とし得ることとしたことであります。
以上の三点が本改正案の主要な点でございますが、本委員会におきましては、各委員から熱心な質疑が行われるとともに、参考人の意見を聴取いたしまして、慎重に審議を行なったのでございますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
以下、そのおもなる質疑の点を申し上げますと、「本改正案における海外投資保険の填補率五〇%で本法案の目的を達成できるか、特に填補率五〇%に定めた理由いかん」との質問に対しましては、政府は、「初めての制度でもあり、財政上の不測の負担を招くおそれを防ぐことも必要だから、着実に進みたいと思って填補率を五〇%で出発することにした。しかし十分に自信を持ってこの目的を達成できる」という答弁があったのであります。
質疑を終りまして、討論に入りましたところ、上林委員から修正案が提出されました。「本改正案の海外投資保険制度においては、事故発生事由も、填補額の算出方法もきわめて厳格に規制されており、これで填補率を五〇%にしたのでは低きに過ぎ、保険の意味をなさない。せっかくの海外投資の機運を阻害することなく、あわせて不測の財政負担ということも考慮にいれた上、填補率を六〇%にした方が適当である。なお、施行日が四月一日になっておりますけれども、法案審議の都合上、四月一日が実施不可能でありますので、公布の日からと改める」との趣旨の修正意見が述べられ、海野委員、高橋委員からはそれぞれ、上林委員提出の修正案及び修正部分を除く原案に対して賛成の意見が述べられました。
次いで採決に入りましたところ、全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/13
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014・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/14
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015・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十一分散会
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一 未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案
一、日程第二 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案
一、日程第三 厚生省設置法等の一部を改正する法律案
一、日程第四 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案
一、日程第五 輸出保険法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102415254X02919560331/15
4. 会議録のPDFを表示
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