1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年十二月五日(水曜日)
午後二時十三分開議
出席委員
委員長 佐々木秀世君
理事 大坪 保雄君 理事 野澤 清人君
理事 藤本 捨助君 理事 岡 良一君
理事 滝井 義高君
臼井 莊一君 植村 武一君
越智 茂君 加藤鐐五郎君
草野一郎平君 小林 郁君
園田 直君 田子 一民君
田中 正巳君 仲川房次郎君
中村三之丞君 中山 マサ君
長谷川四郎君 八田 貞義君
濱野 清吾君 古川 丈吉君
井堀 繁雄君 岡本 隆一君
多賀谷真稔君 長谷川 保君
中原 健次君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 小林 英三君
出席政府委員
厚生事務官
(保険局長) 高田 正巳君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
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十二月五日
委員小川半次君、高橋等君、中島茂喜君及び阿
部五郎君辞任につき、その補欠として長谷川四
郎君、園田直君、臼井莊一君及び多賀谷真稔君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員臼井莊一君、園田直君及び長谷川四郎君辞
任につき、その補欠として中島茂喜君、高橋等
君及び小川半次君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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十二月四日
健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第四号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五号)
厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六号)
同日
日雇労働者の越年手当等に関する請願(井堀繁
雄君紹介)(第五〇九号)
生活保護法の最低生活基準額引上げの請願(神
近市子君紹介)(第五一〇号)
健康保険法の一部改正反対に関する請願(神近
市子君紹介)(第五一一号)
国立病院等に准看護婦の進学コース設置に関す
る請願外一件(多賀谷真稔君紹介)(第五一二
号)
同(櫻内義雄君紹介)(第六四八号)
同(眞崎勝次君紹介)(第六四九号)
同(永田亮一君紹介)(第六五〇号)
国立病院等における看護婦の産休のための定員
確保に関する請願外一件(多賀谷真稔君紹介)
(第五一三号)
同(永田亮一君紹介)(第六五一号)
同外一件(櫻内義雄君紹介)(第六五二号)
原爆被災者援護に関する請願(塚田十一郎君紹
介)(第六二九号)
原水爆被災者救援に関する請願外四件(高津正
道君紹介)(第六三〇号)
同外四件(中川俊思君紹介)(第六三一号)
環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律
制定の請願(井手以誠君紹介)(第六五三号)
同(山口丈太郎君紹介)(第六五四号)
同外一件(有馬英治君紹介)(第六五五号)
衛生検査技師の身分法制定に関する請願(江崎
真澄君紹介)(第六五六号)
元満州開拓民等の処遇改善に関する請願(井手
以誠君紹介)(第六五七号)
特殊漁船乗組員の戦没者遺族援護に関する請願
(瀬戸山三男君紹介)(第六五八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第四号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五号)
厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六号)
国又は地方公共団体が失業対策事業のため雇用
した職員に対する期末手当に関する法律案(井
堀繁雄君外十二名提出、衆法第六号)
請願審査小委員長より報告聴取請願(別紙)
一 下水道事業の促進に関する請願(徳田與吉
郎君紹介)(第一七号)
二 美容師法案の一部反対に関する請願(内藤
友明君紹介)(第一八号)
三 水道金融公庫設置の請願(原茂君紹介)(
第四四号)
四 最低賃金法の早期制定等に関する請願(原
茂君紹介)(第五四号)
五 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の
方法の規制に関する法律存続反対の請願外
六件(八木昇君紹介)(第五五号)
六 同外六件(八木昇君紹介)(第九〇号)
七 全失対労働者の就労日数増加等に関する請
願(吉川兼光君紹介)(第五六号)
八 保育所措置費増額に関する請願(八木一郎
君紹介)(第六五号)
九 季節保育所開設費に対する国庫補助復活の
請願(八木一郎君紹介)(第六六号)
一〇 戦没動員学徒及び徴用工の処遇改善に関す
る請願(福田赳夫君紹介)(第六七号)
一一 国民健康保険療養給付費及び事務費の国庫
補助に関する請願(池田清志君紹介)(第
六八号)
一二 失業対策事業費全額国庫負担に関する請願
(八木一郎君紹介)(第九一号)
一三 美容師法案の一部反対に関する請願(菅野
和太郎君紹介)(第一三四号)
一四 同(亘四郎君紹介)(第一三五号)
一五 原爆被災者援護に関する請願(中村三之丞
君紹介)(第一三六号)
一六 水道金融公庫設置の請願(吉川久衛君紹
介)(第一三七号)
一七 同(山下榮二君紹介)(第一八二号)
一八 同(田中武夫君紹介)(第一八三号)
一九 同(田中利勝君紹介)(第一八四号)
二〇 傷い軍人の医療費免除に関する請願(中曽
根康弘君紹介)(第一四二号)
二一 東京湾内汚物不法投棄による被害防止に関
する請願(水田三喜男君紹介)(第一四三
号)
二二 札幌市の社会保険診療報酬地域区分を甲地
に指定の請願(正木清君紹介)(第一四四
号)
二三 北海道の社会保険診療報酬地域区分を甲地
に指定の請願(田中正巳君紹介)(第一四
五号)
二四 同(横路節雄君紹介)(第一八一号)
二五 環境衛生関係営業の運営の適正化に関
する法律制定の請願(田中利勝君紹介)(
第一四六号)
二六 同(床次徳二君紹介)(第一四七号)二七 同(伊瀬幸太郎君紹介)(第一四八号)
二八 同(五島虎雄君紹介)(第一八五号)
二九 同(田中武夫君紹介)(第一八六号)
三〇 同外一件(山下榮二君紹介)(第一八七
号)
三一 国立病院等に准看護婦の進学コース設置に
関する請願(神近市子君紹介)(第一四九
号)
三二 同(西村力弥君紹介)(第一五〇号)
三三 同(八木一男君紹介)(第一五一号)
三四 同(岡良一君紹介)(第一五二号)
三五 同外一件(小島徹三君紹介)(第一五三
号)
三六 同外一件(岡本隆一君紹介)(第一八八
号)
三七 同(古屋貞雄君紹介)(第一八九号)
三八 同(茜ケ久保重光君紹介)(第一九〇号)
三九 同(受田新吉君紹介)(第一九一号)
四〇 国立病院等における看護婦の産休のための
定員確保に関する請願(神近市子君紹介)
(第一五四号)
四一 同(古屋貞雄君紹介)(第一五五号)
四二 同外一件(阿部五郎君紹介)(第一五六
号)
四三 同(勝間田清一君紹介)(第一五七号)
四四 同(西村力弥君紹介)(第一五八号)
四五 同(八木一男君紹介)(第一五九号)
四六 同(岡良一君紹介)(第一六〇号)
四七 同外一件(小島徹三君紹介)(第一九二
号)
四八 同外一件(岡本隆一君紹介)(第一九三
号)
四九 同(滝井義高君紹介)(第一九四号)
五〇 同(今澄勇君紹介)(第一九五号)
五一 同(茜ケ久保重光君紹介)(第一九六号)
五二 同(加藤清二君紹介)(第一九七号)
五三 青森港を検疫港に指定の請願(三浦一雄君
紹介)(第一六二号)
五四 児童保護費国庫補助に関する請願(野田卯
一君紹介)(第二〇九号)
五五 水道金融公庫設置の請願(五島虎雄君紹
介)(第二一〇号)
五六 同(松平忠久君紹介)(第二三五号)
五七 同外十二件(山口丈太郎君紹介)(第二九
一号)
五八 美容師法案の一部反対に関する請願(田中
龍夫君紹介)(第二一二号)
五九 北海道の社会保険診療報酬地域区分を甲地
に指定の請願(南條徳男君紹介)(第二一
三号)
六〇 同(正木清君紹介)(第二三六号)
六一 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する
法律制定の請願(古島義英君紹介)(第二
一四号)
六二 同(保科善四郎君紹介)(第二一五号)
六三 同(石山權作君紹介)(第二三七号)
六四 同(山本猛夫君紹介)(第二五二号)
六五 同(山口丈太郎君紹介)(第二九二号)
六六 国立病院等に准看護婦の進学コース設置に
関する請願(茜ケ久保重光君紹介)(第二
一六号)
六七 同(平田ヒデ君紹介)(第二九九号)
六八 売春業者の転業規制に関する請願(畠山鶴
吉君紹介)(第二四六号)
六九 原爆被災者援護の請願(加藤常太郎君紹
介)(第二五一号)
七〇 健康保険法による被保険者負担反対等に関
する請願(岡崎英城君紹介)(第二七七
号)
七一 生活保護法による医療扶助に関する請願(
岡崎英城君紹介)(第二七八号)
七二 同外一件(島上善五郎君紹介)(第二九六
号)
七三 同(栗原俊夫君紹介)(第二九七号)
七四 衛生検査技師の身分法制定に関する請願(
福田昌子君紹介)(第二八八号)
七五 理容師美容師法の一部改正反対の請願(神
近市子君紹介)(第二八九号)
七六 水道金融公庫設置等に関する請願(山口丈
太郎君紹介)(第二九〇号)
七七 生活保護法等の一部改正に関する請願(神
近市子君紹介)(第二九三号)
七八 健康保険法の一部改正反対に関する請願(
島上善五郎君紹介)(第二九四号)
七九 健康保険法の一部改正反対等に関する請願
(島上善五郎君紹介)(第二九五号)
八〇 健康保険法等の一部改正反対に関する請願
(栗原俊夫君紹介)(第二九八号)
八一 国立病院等における看護婦の産休のための
定員確保に関する請願(平田ヒデ君紹介)
(第三〇〇号)
八二 日雇労働者の越年特別措置に関する請願(
井堀繁雄君紹介)(第三〇一号)
八三 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の
方法の規制に関する法律存続反対の請願外
一件(有馬輝武君紹介)(第三〇二号)
八四 同(木原津與志君外一名紹介)(第三〇三
号)
八五 同(坂本泰良君外一名紹介)(第三〇四
号)
八六 同(赤路友藏君外二名紹介)(第三〇五
号)
八七 同(山口丈太郎君紹介)(第三〇六号)
八八 同(小松幹君外一名紹介)(第三〇七号)
八九 同外七十八件(八大昇君紹介)(第三〇八
号)
九〇 零細企業者等に国民健康保険適用の請願(
森三樹二君紹介)(第三二七号)
九一 生活保護法の最低生活基準額引上げの請願
(横山利秋君紹介)(第三二八号)
九二 同外一件(山花秀雄君紹介)(第三九四
号)
九三 国立病院等の賄費増額の請願外一件(岡本
隆一君紹介)(第三二九号)
九四 同外三件(山花秀雄君紹介)(第三九五
号)
九五 健康保険の赤字全額国庫負担に関する請願
(岡本隆一君紹介)(第三三〇号)
九六 結核回復者の職業保障に関する請願(岡本
隆一君紹介)(第三三一号)
九七 同(帆足計君紹介)(第三三二号)
九八 同(山花秀雄君紹介)(第三九六号)
九九 アフター・ケア法制定に関する請願(岡本
隆一君紹介)(第三三三号)
一〇〇 同(帆足計君紹介)(第三三四号)
一〇一 同外一件(山花秀雄君紹介)(第三九七
号)一〇二 戦没動員学徒及び徴用工の処遇改善に関
する請願(中曽根康弘君紹介)(第三三五
号)
一〇三 環境衛生関係営業の運営の適正化に関す
る法律制定の請願外一件(田中利勝君紹
介)(第三三六号)
一〇四 同外一件(保科善四郎君紹介)(第三三
七号)
一〇五 同(山本猛夫君紹介)(第三三八号)
一〇六 同(江崎真澄君紹介)(第三三九号)
一〇七 同(森島守人君紹介)(第三八三号)
一〇八 同(世耕弘一君紹介)(第三八四号)
一〇九 同(田中利勝君紹介)(第三八五号)
一一〇 同(平田ヒデ君紹介)(第三八六号)
一一一 生活保護法による医療扶助に関する請願
外一件(岡本隆一君紹介)(第三四〇号)
一一二 同外一件(帆足計君紹介)(第三四一
号)
一一三 同外二件(山花秀雄君紹介)(第三八九
号)
一一四 生活保護法等の一部改正に関する請願外
一件(帆足計君紹介)(第三四二号)
一一五 同外四件(岡本隆一君紹介)(第三四三
号)
一一六 同(山花秀雄君紹介)(第三四四号)
一一七 同(山花秀雄君紹介)(第三九〇号)
一一八 健康保険法の一部改正反対に関する請願
外五件(岡本隆一君紹介)(第三四五号)
一一九 同外二件(帆足計君紹介)(第三四六
号)
一二〇 同(山花秀雄君紹介)(第三四七号)
一二一 同外一件(山花秀雄君紹介)(第三九一
号)
一二二 同(中原健次君紹介)(第三九二号)
一二三 健康保険法の一部改正反対等に関する請
願(岡本隆一君紹介)(第三四八号)
一二四 健康保険法等の一部改正反対に関する請
願(帆足計君紹介)(第三四九号)
一二五 同(島上善五郎君紹介)(第三九三号)
一二六 電気事業及び石炭鉱業における争議行為
の方法の規制に関する法律存続反対の請願
(井手以誠君外一名紹介)(第三五〇号)
一二七 無名戦没者の墓建設に関する請願(橋本
龍伍君紹介)(第三七八号)
一二八 特殊漁船乗組員の戦没者遺族援護に関す
る請願(世耕弘一君紹介)(第三七九号)
一二九 国民健康保険法の改正に関する請願(田
中武夫君紹介)(第三八〇号)
一三〇 国立療養所患者慰安費に関する請願(山
花秀雄君紹介)(第三八一号)
一三一 国立療養所の給食費増額の請願(花村四
郎君紹介)(第三八二号)
一三二 国立病院等における看護婦の産休のため
の定員確保に関する請願(長谷川保君紹
介)(第三八七号)
一三三 国立病院等に准看護婦の進学コース設置
に関する請願(長谷川保君紹介)(第三八
八号)
一三四 助産婦教育過程の低下防止に関する請願
(井手以誠君紹介)(第四一五号)
一三五 環境衛生関係営業の運営の適正化に関す
る法律制定の請願(五島虎雄君紹介)(第
四一六号)
一三六 同(山本猛夫君紹介)(第四四七号)
一三七 同(大坪保雄君紹介)(第四六八号)
一三八 医師国家試験予備試験の受験資格の特例
に関する法律延長の請願(中村三之丞君紹
介)(第四四一号)
一三九 札幌市の社会保険診療報酬地域区分を甲
地に指定の請願(芳賀貢君紹介)(第四四
五号)
一四〇 同(薄田美朝君紹介)(第四四六号)
一四一 国立病院等に准看護婦の進学コース設置
に関する請願(古井喜實君紹介)(第四六
九号)
一四二 国立病院等における看護婦の産休のため
の定員確保に関する請願(古井喜實君紹
介)(第四七〇号)
一四三 薬事法の一部改正に関する請願(野澤清
人君紹介)(第四七一号)
一四四 宮古港を検疫港に指定の請願(鈴木善幸
君紹介)(第四七二号)
一四五 日雇労働者の越年手当等に関する請願(
井堀繁雄君紹介)(第五〇九号)
一四六 生活保護法の最低生活基準額引上げの請
願(神近市子君紹介)(第五一〇号)
一四七 健康保険法の一部改正反対に関する請願
(神近市子君紹介)(第五一一号)
一四八 国立病院等に准看護婦の進学コース設置
に関する請願外一件(多賀谷真稔君紹介)
(第五一二号)
一四九 同(櫻内義雄君紹介)(第六四八号)
一五〇 同(眞崎勝次君紹介)(第六四九号)
一五一 同(永田亮一君紹介)(第六五〇号)
一五二 国立病院等における看護婦の産休のため
の定員確保に関する請願外一件(多賀谷真
稔君紹介)(第五一三号)
一五三 同(永田亮一君紹介)(第六五一号)
一五四 同外一件(櫻内義雄君紹介)(第六五二
号)
一五五 原爆被災者援護に関する請願(塚田十一
郎君紹介)(第六二九号)
一五六 原水爆被災者援護に関する請願外四件(
高津正道君紹介)(第六三〇号)
一五七 同外四件(中川俊思君紹介)(第六三一
号)
一五八 環境衛生関係営業の運営の適正化に関す
る法律制定の請願(井手以誠君紹介)(第
六五三号)
一五九 同(山口丈太郎君紹介)(第六五四号)
一六〇 同外一件(有馬英治君紹介)(第六五五
号)
一六一 衛生検査技師の身分法制定に関する請願
(江崎真澄君紹介)(第六五六号)
一六二 元満州開拓民等の処遇改善に関する請願
(井手以誠君紹介)(第六五七号)
一六三 特殊漁船乗組員の戦没者遺族援護に関す
る請願(瀬戸山三男君紹介)(第六五八
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/0
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001・佐々木秀世
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/1
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002・滝井義高
○滝井委員 議事進行に関して。健康保険法等の一部を改正する法律案外二案に対する審査に今入ろうとしておりますが、私たちはその審査に入るについては、本会議において趣旨説明を聴取した後、本委員会において趣旨説明をなすべきものであるとの動議を提出いたしたいと思います。
その理由は、現在健康保険法というものは、きわめて重要な法案の一つとして数えられておるのであります。そして重要法案は国会運営の慣例上、当然これは本会議で趣旨説明をした後に、委員会の審査に入るのがならわしでございますから、当然そうすべきだと思います。
いま一つは、今回出されておる健康保険法等の一部を改正する法律案外二案は、これは健康保険法の第二十四条の二にあるように、「厚生大臣ハ政府ノ管掌スル健康保険事業ノ運営二関スル事項ニシテ、企画、立法又ハ実施ノ大綱二関スルモノハ予メ社会保険審議会二諮問スルモノトス」、こういうことによって諮問機関に諮問しなければならぬのでございますが、今回これをもやっていないという法律違反の疑いのある提案でございます。従ってこういう重要法案でありますから、慣例上からこの際どうしても本会議でまず趣旨説明をしていただくことを動議として提出する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/2
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003・佐々木秀世
○佐々木委員長 ただいま滝井義高君より、本案の趣旨説明を本会議で聴取した後、委員会において聴取すべきであるとの動議が提出されました。
採決いたします。ただいまの滝井委員の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/3
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004・佐々木秀世
○佐々木委員長 起立少数。よって本動議は否決せられました。
それでは、健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案、以上三法案について厚生大臣より趣旨の説明を聴取することにいたします。小林厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/4
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005・小林郁
○小林国務大臣 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び本法律案の概要について御説明申し上げます。
健康保険制度は、わが国の社会保障制度の一大支柱をなす制度として労働者の生活になくてはならぬ重要な意義を有しておりますが、近年その医療費は年を追うて増高し、特に賃金水準の低い中小企業を対象とした政府管掌健康保険においては、昭和二十八年末以来今日まで収支不均衡を続け、保険経済はきわめて困難な事態に立ち至っております。この情勢に対処して、政府は各種行政措置を講じ財政の健全化に努力する一方、昭和三十年度予算の編成に際しましては、前年度四十億円、当年度六十億円の収入不足見込みに対し国庫より十億円を繰り入れるとともに、六十億円の政府資金の長期借り入れをはかり、向後六年間毎年十億円あて一般会計の負担において返済するものとしたほか、保険料率を千分の五引き上げて二十五億円の増収を行い、収支の均衡をはかって参ったのでありますが、引き続く医療費の増高の結果は、昭和三十一年度におきましては、再び六十六億円余の収入不足を生ずる見込みとなったのであります。そこで、健康保険財政を早急に立て直し、合理化をはかりまして、将来ともこの制度の健全な発展を期したいとの念願から、御承知のごとく前第二十四国会で健康保険法等の一部改正案を提出いたし、御審議をわずらわしたのでありますが、不幸審議未了と相なったのであります。その後財政は、関係者の協力の結果相当改善を見つつありますが、なお年度末においては巨額の収支不足を見込まざるを得ない状況であり、一方制度の健全化を必要とする理由は今日においても、今年度当初と何ら変らない実情でありますので、前国会における御審議の経過を参考といたしまして、今日この臨時国会で再び改正案を提案いたし、御審議をわずらわしたいと考えた次第であります。今回の改正案の内容といたしましては、国庫より財政補助を行うことを法律上明文化し、三十一年度には三十億円を一般会計から受け入れることといたし、標準報酬等級の区分を改訂いたしますとともに、保険機構の整備をはかるため、保険医、保険薬剤師制度を改め、我が国の医療の実態に応じ機関指定方式を採用すること、社会保険診療報酬請求明細書審査機構の整備をはかることといたし、また、療養の給付を受ける者に対する一部負担金につきましては、前回の案より若干負担を軽減することといたしましたが、なおそのほか改正を機会に従来から問題のありました点について制度の不備を是正し、その他制度の合理化をはかるために若干の改正をあわせ行おうといたしております。
次に改正案の内容を要約いたしますと、
第一に、国庫は予算の範囲内において政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の一部を補助するものとすること。
第二に、標準報酬等級区分を最低四千円から最高五万二千円の二十四等級とすること。
第三に、療養の給付を受ける者の負担すべき一部負担金の範囲を拡張すること。
第四に、保険医療制度について個人指定方式の長所を取り入れた機関指定方式を採用すること。
第五に、継続給付を受けるための資格期間を一年に延長すること。
第六に、不正受給者に対して損失を補てんさせる措置を講ずること。
第七に、被扶養者の範囲を明確化すること。
第八に、厚生大臣または都道府県知事の検査に関する規定を整備すること。
第九に、社会保険診療報酬支払基金における診療報酬請求書の審査機構を整備すること等であります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由並びに法律案の要旨であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次にただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明申し上げます。
船員保険制度は船員の疾病、老齢、死亡、失業等の各部門にわたる総合的社会保険として、海上労働者の福祉の向上のために重大な役割を果してきたものでありまして、この制度は、わが国海運業及び水産業の発展のためにも重要な基盤となっているものであります。
ところで最近数年来医療費等の支出増加のため、その医療給付部門におきまして収支の不均衡を生じましたので、これに対処するため標準報酬の適正把握、保険料収納率の向上、不正受給の排除等各種の行政措置を講じて参ったのでありますが、給付費の支出は増加の一途をたどり、財政の実情は依然として深刻なものがあったのであります。
このため、昭和三十年度におきましては、これらの行政措置をさらに強力に推進するほか、既往の赤字を補てんするため、一般会計から一億五千万円を六年間にわたって分割繰り入れする措置を講じ、極力収支の均衡をはかるべく努力して参ったのでありますが、昭和三十年度末においては、なお約三億九千万円の赤字を生ずるに至ったのであります。政府にこのような情勢を見越し、これに対処するため、早急に船員保険財政の健全化と船員保険制度の合理化をはかり、将来ともこの制度の健全な運営とその発展を期するため、前二十四国会に標準報酬の適正化、一部負担制度の創設、給付の適正化等を含む法律改正案を提案いたしたのでありますが、不幸にして審議未了となったのであります。その結果現状のまま推移すれば昭和三十一年度末においてはなお相当の財源不足を生じ、その保険財政に及ぼす影響はまことに深刻であると見込まれている次第でありまして、一時的弥縫的な対策をもってしては、この危機を克服することができない事態となっているのであります。
よって、政府といたしましては、前国会におけるさきの政府原案についての御審議の経過を十分参照いたしました結果、現行制度の不備を是正しその合理化を行うため本法の改正をあらためて今国会に提案することといたしたのであります。
次に改正案の内容の要点について説明しますと、
第一に、国庫は予算の範囲内において、船員法の災害補償に相当する給付に要する費用を除き、船員保険事業の執行に要する費用の一部を補助するものとする旨の規定を設けることでありまして、その結果昭和三十一年度においては一億円を一般会計から補助することといたしております。
第二に、将来にわたって船員保険の健全な発展を確保するため、新たに一部負担の制度を設けることであります。その実施内容につきましては、船員保険の特殊事情を十分考慮して初診の際に定額を被保険者が保険医療機関に支払うこととし、船員法に規定する災害補償に相当する療養の給付につきましては、船主が補てんの責めに任ずることといたしておるのであります。
第三に、保険料率につきましては、失業保険の適用を受けるものについては千分の五、失業保険の適用を受けないものについては千分の七を引き上げようとするものであります。
以上のほか、第四に標準報酬等級の区分を改め、最低を五千円とすること。
第五に、報酬が歩合によって支払われる場合の報酬月額の算定方法を改め、前年度における実績を基準として算定するものとすること。
第六に、職務外傷病に対する資格喪失後における療養の給付等につき原則として一年につき三月の資格期間を設けること。
第七に、独身入院者の職務外の事由による傷病手当金の支給額を百分の五十とすることのほか、健康保険法の改正に準じ被扶養者の範囲の明確化、保険医療制度の整備等各般の改正を行おうとするものであります。
以上が、この法律案を提案する理由並びに法律案の要旨であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次にただいま議題となりました厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案は、厚生年金保険の標準報酬の最低を引き上げるとともに、現行の厚生年金保険法の施行前に被保険者の資格を喪失した女子に対する脱退手当金の支給条件を緩和し、あわせて規定の整備を行いますことを内容としているものであります。
すなわち、改正点の第一は、健康保険法の改正と歩調を合せ、標準報酬の最低を現行の月額三千円から月額四千円に引き上げることであります。
第二は、現行の厚生年金保険法の施行前に被保険者の資格を喪失した女子の一部に対しても脱退手金当を支給し得るような規定を設けようとするものであります。すなわち同様の事情にある男子に対しましては現行の厚生年金保険法により支給できるようになっておりますので、これと均衡をとりまして女子に対しても脱退手当金を支給し得る根拠規定を設けようとするものであります。
第三は、規定の整備を行うことであります。現行の厚生年金保険法は、その施行より二年六カ月になりますが、この間の経過を検討いたしますに、多少規定の明確を欠く面がありますので、これを明らかにし、解釈上の問題が起ることを避けるため、所要の規定の整備を行うものであります。
以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/5
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006・佐々木秀世
○佐々木委員長 以上で説明は終りました。
なお本案に関する質疑その他につきましては次会以降に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/6
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007・佐々木秀世
○佐々木委員長 次に国又は地方公共団体が失業対策事業のため雇用した職員に対する期末手当に関する法律案を議題とし、審査に入ります。提案者より趣旨の説明を聴取いたします。井堀繁雄君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/7
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008・井堀繁雄
○井堀委員 ただいま議題となりました国又は地方公共団体が失業対策事業のため雇用した職員に対する期末手当に関する法律案すなわち、いわゆる日雇労働者に対する期末手当に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
失業対策事業は本年度一般失業対策事業十九万八千人、外に川崎線建設二千人、簡易失業対策事業一万人、特別失業対策事業二万人、臨時就労対策事業二万人、合計二十五万人の予算規模を持ち、月間二十一日の就労日数を確保する計画となっておるのであります。一方、登録日雇労働者は現在四十六万人、このうち失業対策事業就労適格者は三十五万人に及ぶ状態であります。加うるに、事業着手が遅延したり、事業現場が就労者の居住する地域より遠く離れていたりして、必ずしも計画通り毎四・四半期、毎月の吸収人員、個人別就労日数が円滑に運用されていない状態であります。
また賃金については、一般失業対策事業全国平均二百八十二円でありまして、登録労働者中、労働省の基準による失業対策事業適格者であると認められる者が一カ月二十一日皆勤したとしても月額五千九百二十二円というきわめて低額なものであります。さらにこのうちから日雇い健康保険料の八円、失業保険料の三円を控除するのでありますから、残りは五千六百九十一円の僅少なものとなるのであります。これは生活保護法の適用を受ける者に比較しても非常に低収入であるといえるのであります。
この失業対策事業に就労する労働者に対する年末及び夏期手当につきましては、昭和二十七年十二月九日第十五国会本院労働委員会におきまして、その保障について次のごとき決議が行われておるのであります。
「失業対策事業に就労している失業者の越年措置に関する決議。失業対策事業に長期に亘り就労している失業者に対し、これが年末年始の生活実態に鑑み、政府は速かに之に対し賃金増額の具体的措置を講じ、これを年内に支給することを要望する。なお、昭和二十七年の年末には三日分、二十八年夏期に三日分、同年末には五日分に相当する金額がそれぞれ支給され、続いて二十九年からは、さらに予算にこれを見込み、同年の夏期に三日、年末に五日、三十年夏期に三日、年末には前年分に一日分を増額して六日分に相当する金額が支給されてきたのであります。また地方公共団体におきましても、それぞれ本旨に基いて手当を付加する措置がとられておりますことは周知の通りでございます。
以上述べましたごとく、日雇労働者の期末手当は多年にわたる慣行となって実施されておりますが、この実施に関しては、根拠となる法制的措置を欠き、かつまた、明確なる予算上の手続きがとられていないのであります。従って、これが実施の現場である都道府県市町村でまちまちの取扱いが行われ、このため毎年毎期、数々の紛議を起す原因となっているのであります。本法案は、従来実施されている慣行に法律的根拠を与え、これに付随しておこる紛議を解決するとともに、日雇労働者の生活実態にかんがみまして、最小限度の額の年末及び夏期手当、すなわち年末十日分、夏期七日分の手当を支給せんとするものであります。法案の第一条は、国が直接雇用した者に対し、第二条は府・県・市等の地方公共団体が雇用した者に対するもので、国の補助を明らかにしたものであります。
なお本法案施行に要する経費としては、平年度は約八億円、本年度は年末手当のみで約四億円の見込みとなっております。
以上が本法案提出の理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに議決されんことを御願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/8
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009・佐々木秀世
○佐々木委員長 以上で説明は終りました。なお本案についての質疑その他につきましては後日に譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/9
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010・佐々木秀世
○佐々木委員長 次に本日の請願日程全部を一括議題といたします。本委員会に付託されました請願はすべて請願審査小委員会の審査に付しましたので、この際請願審査小委員長より報告を聴取いたします。野澤清人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/10
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011・野澤清人
○野澤委員 請願審査小委員会における審査の結果を御報告いたします。請願総件数は百六三件であります。小委員会は慎重に審査の上請願日程のうち、第一、第一二、第七より第一〇まで、第二及び第一二、第一五から第一九まで、第二、第三一から第五七まで、第六六及び第六七、第六九、第七六、第八一及び第八二、第九〇から第九四まで、第九六から第一〇二まで、第一二七から第一三四まで、第一四一から第一四六まで、第一四八から第一五七まで、第一六二及び第二八三、以上八十五件はその趣旨妥当なるものと認め、採択の上内閣に送付すべきものと決定いたしました。以上御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/11
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012・佐々木秀世
○佐々木委員長 以上で報告は終りました。
ただいまの報告について御発言はありませんか。——なければ採決いたします。ただいまの小委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/12
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013・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
次に、ただいま採択の上内閣に送付すべきものと決しました各請願に関する委員会の報告書の作成等につきましては、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/13
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014・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
なおただいまお手元に差し上げました陳情書が本委員会に参考送付されておりますので、一応お知らせ申し上げておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102504410X01019561205/14
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