1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月五日(火曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 淵上房太郎君
理事 今松 治郎君 理事 山本 友一君
理事 井岡 大治君 理事 松尾トシ子君
伊藤 郷一君 生田 宏一君
佐伯 宗義君 關谷 勝利君
永山 忠則君 堀内 一雄君
早稻田柳右エ門君 河野 正君
小山 亮君 下平 正一君
中居英太郎君 正木 清君
松原喜之次君 森本 靖君
山口丈太郎君
出席政府委員
運輸政務次官 福永 一臣君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 細田 吉藏君
運輸事務官
(自動車局長) 山内 公猷君
委員外の出席者
運輸事務官
(鉄道監督局民
営鉄道部長) 岡本 悟君
日本国有鉄道総
裁 十河 信二君
日本国有鉄道常
務理事 小林 重国君
専 門 員 志鎌 一之君
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三月四日
委員小山亮君辞任につき、その補欠として田原
春次君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員田原春次君及び池田禎治君辞任につき、そ
の補欠として小山亮君及び河野正君が議長の指
名で委員に選任された。
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三月二日
港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
七号)
二月二十三日
瀬の上、槻木間の鉄道敷設に関する請願(愛知
揆一君紹介)(第一三四五号)
国鉄運賃値上げ反対に関する請願(西村彰一君
紹介)(第一三四六号)
鍛冶屋駅より加美村、青垣町を経て梁瀬駅に至
る鉄道敷設の請願(堀川恭平君紹介)(第一三
四七号)
同月二十六日
名瀬海上保安部に巡視船追加配給の請願(原捨
思君紹介)(第一五一六号)
船津、片掛間国鉄新線誘致に関する請願(松岡
松平君紹介)(第一五一七号)
津谷、前谷地間に鉄道敷設の請願(佐々木更三
君紹介)(第一五一八号)
国鉄運賃値上げ反対に関する請願(山花秀雄君
紹介)(第一五一九号)
三月一日
福知山、河守間の私鉄を国有に編入等に関する
請願(山口丈太郎君紹介)(第一五九五号)
国鉄運賃値上げ反対に関する請願(帆足計君紹
介)(第一五九六号)
名瀬海上保安部に巡視船追加配給の請願(床次
徳二君紹介)(第一五九八号)
宮之城線及び山野線にデイゼルカー運転の請願
外十七件(池田清志君紹介)(第一六六五号)
の審査を本委員会に付託された。
二月二十二日
三浦市まで国鉄延長促進に関する陳情書
(第二七八号)
国鉄運賃改訂に関する陳情書
(第二七九号)
国鉄運賃値上げ反対に関する陳情書外三件
(第二八
〇号)
同外五件
(第三二四号)
豊肥線のデイーゼル化促進に関する陳情書
(第二八一号)
東北地方鉄道輸送力強化に関する陳情書
(第三二二号)
国鉄運賃値上反対等に関する陳情書
(第三二三号)
同日二十五日
水難救護法の一部改正に関する陳情書
(第四〇六号)
国鉄運賃値上反対に関する陳情書外三件
(第四一六号)
南海電鉄運賃値上反対に関する陳情書
(第四一七
号)
四国循環鉄道早期完成に関する陳情書
(第四一八号)
左沢、荒砥間鉄道敷設工事促進に関する陳情書
(
第四一九号)
航路標識整備に関する陳情書
(第四二〇号)
船揚場増設に関する陳情書
(第四二三号)
久慈商港建設費国庫補助に関する陳情書
(第四二四号)
高知、小松島間に準急行列車新設に関する陳情
書(第四二五号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
七号)
陸運に関する件
国鉄の経営等に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/0
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001・淵上房太郎
○淵上委員長 これより運輸委員会を開会いたします。
最初に、去る二日当委員会に付託になりました港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)を議題として、政府より提案理由の説明を聴取いたします。福永政務次官。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/1
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002・福永一臣
○福永政府委員 ただいま議題となりました港湾法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要について御説明申し上げます。
最近の産業の発展に伴って船腹が増大するとともに、船型が大型化してきましたことは世界的な傾向でありますが、これに即応して港湾施設を整備する必要のあることは言うまでもないところであります。わが国の港湾についても、従来その整備に極力努めてきましたが、財政上の理由もありまして、産業の飛躍的な発展には遺憾ながら追随できないような実情であります。船舶の大型化は、石油、石炭、鉱石等の大量貨物にかかる船舶について特に著しいのでありますが、右のような大量貨物を原材料とする産業については、その企業を合理化するため、たとい若干の費用を負担しましても、関係を有する港湾施設の急速な整備を熱望する者も多い次第であります。港湾法は、一般公衆の利用に供する施設に限って、国の助成のもとに港湾管理者が整備に当る趣旨を規定しておりますけれども、企業合理化促進法は特定の事業者の申請があった場合には、港湾法のワクを逸脱しない範囲で、その申請にかかる施設の整備を港湾法によって行うことを定めているのであります。以上のような諸産業は、国民経済の発達に重要な関連を持っているのでありまして、今回政府といたしましては、関係事業者の資金をも一部活用する新しい構想のもとで、右のような産業関連港湾施設を、企業合理化促進法により急速に整備しようと考えるに至った次第であります。計画の内容につきましては、昭和三十二年度において横浜港外十港に対し事業費約十四億円、うち国費約六億円の工事を実施せんとするものであります。今回の措置は、受益事業者が事業費の相当部分を負担する場合においては、国と港湾管理者の費用の負担割合について適当な例外を設ける方が公平の観念に合致するものと認められますので、費用の負担割合についての港湾法の一般原則に対し例外的な措置をとり得るようにする必要があるのであります。これが本案を提案する理由であります。
次に本案の概要について説明します。現行の港湾法は、重要港湾の水域、外郭及び係留の港湾施設については、国と港湾管理者がそれぞれ五割ずつ費用を負担しなければならないことを定めておりますが、改正案による費用の負担については、恒久制度としては国二・五、港湾管理者二・五、受益事業者五という比率となりますが、一方地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律が効力を有する間は、暫定的に国三、港湾管理者二、受益事業者五という比率によることとしておるのであります。さらに受益事業者の負担金が事業費の十分の五をこえる場合については現在考えておりませんが、その必要が起りました場合には特に法律をもって定めることとしております。
以上が本案に対する概要並びに提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決せられるようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/2
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003・淵上房太郎
○淵上委員長 本案に対する質疑は次会に行うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/3
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004・淵上房太郎
○淵上委員長 陸運に関する調査を進めます。この際質疑の通告がありますので、これを許します。山口丈太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/4
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005・山口丈太郎
○山口(丈)委員 それでは私はまず簡単に路線免許の基準についてお尋ねいたしたいと思います。バスまたは定期貨物の路線免許につきましては、従来からその基本は、繁華な路線におきましては原則として複数免許制度というものがふさわしいということで、複数免許をしてこられたのでありますけれども、その後の情勢の変化によって、複数制必ずしも公益性を守るために合致した措置とも考えられない。たとい繁華なところでありましても、その路線が一営業者によってやられておるというだけをもって、そこを複数制にしていくということは、それはとりもなおさずその業者に対して大きな影響を与える。しかもその既存業者はそのような路線だけを営業しておるのではなくて、公益性のゆえに山間僻地の犠牲路線をも公益性擁護のため、あるいは地方産業を開発するためにそれを運営、維持せしめる、こういうのが交通運輸業の本旨でなければならぬし、また従来からそういう措置がとられて参っておると思うのであります。従って当初申しましたように必ずしも複数制というものは合理性があり、かつ妥当なものであるとは考えられない、こういうふうに私どもも考え、当局においてもそういう方針のもとに再検討せられ、その結果は国鉄バスとの競合等におきましても配慮せられて参ったものと思うのであります。その後最近に至りましてまたまた当初のそういう基本があるいはくずれる傾向にある。各所において免許を申請しておりますが、その申請が必ずしも事情の変更によって従来再検討せられていた趣旨に反するようなことが外部、いわば従来からあまり交通の内容を知らない、交通機関の特殊性を知らない人々が、単なる企業意欲をもってそういう競合の申請を行うというような結果が生じて、非常に陸運行政に支障を来たすおそれがあるのではないかと思いますが、これらについてよほど確たる基本方針をもって臨まなければ、非常な混乱を生ずるおそれなしとはしないと思います。これらについて一つ最近の事情とそれから持っておられます基本方針について、この際さらに明確に一つお答えをいただきたい、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/5
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006・山内公猷
○山内政府委員 御指摘の通り運輸省といたしましては、道路運送法の第一条によりまして適正な運営と公正な競争を確保するために、第六条の免許基準を各条総合的に適用いたしまして免許をやっておるわけでございます。この法律は必ず複数制にしなければならないということではなくて、要は現行の事業者が十分地方の交通需要を満足しておるかどうか、満足しておるならばさらにそこに輸送力を投入して不公正な競争を惹起するような措置をする必要はないのでございますし、またその事業者が十分公衆を満足していないという状態になりましたときには、その事業者に改善させてさらにその事業者の満足すべき運営意欲を認めるか、あるいは新しい事業者をそこに導入して、その交通需要を満たさせるかという問題は生ずるわけでありますが、必ずしもわれわれといたしましては複数性をとらなければならないということではなくて、要はこの法律の趣旨に沿いまして、十分地方民の交通を満足させるかどうかということを基準に考えておるわけでございます。それらの具体的な事例につきましては、第六条の第三項の画一的に流れないように、実際実情を把握してやるように努めておるのが、現在やっておる、またわれわれが努力をいたしております免許事案に対する基本線でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/6
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007・山口丈太郎
○山口(丈)委員 非常な努力を払われておることは私もよく承知しておるのでありますし、今の御答弁によりままて一そう明確になったことについては感謝するわけですが、さらにこういうことについてもどういうお考えをお持ちか伺いたいのですが、それはいわゆる一業者が他の業者、もしくは他の公営事業者との関係において、あらゆる協定をして拘束を受ける。たとえば甲の地点から乙の地点までの区間は、これはある業者が行う。そのかわりそのところで同じ終点を持つ業者が入っていても、その業者は甲の業者からその路線の侵蝕は受けない。そのかわり乙の業者は他の路線からその同一終点にバスを到着させておるその回数は、協定によって制限をする、こういうようなことで制限を受けておる。それを知らないものですから、従って主従の人人は、今申し上げたようにただ回数が多くて便利でさえあれば利用大衆というものは承知をする。従ってこういうようなことはサービス上非常に悪い、なぜふやさないか、こういうことでは困るからという理由をつけて自動車の競願を行う。こういう事例が現にたくさんあるのです。私は率直に申して、都市交通は都市交通として交通の持つ使命がある。郊外に路線を延ばすものは延ばすものとしておのおのその使命を持っておる。その使命をお互いに自主的に生かすことなしに、業者と業者とが協定をして、民衆に大迷惑をこうむらせておる。しこうしてそれを知らないものであるから、沿線の地方民は不便を理由として競願をする。こういうふうにいたしますれば、一方においては勝手気ままに業者が大衆の便不便もかまわないで、その本旨もわきまえないで協定をする。それを当局が容認をせられる。それにつけ込んで今度は一方から競願をしてくる。そして業者が乱立をする。これは単なる交通の便というだけではなくて、いわゆる交通網、交通機関というものに対しましての、あまりにも勝手気ままな制限を業者間がしておることであり、公益の便というものを全く無視した行為に出るために、また新しい路線免許の口実をそこに与える。しこうして交通網、交通企業の安定性というものに対して大きな混乱を生ぜしめる結果になる。これは非常に運輸行政の指導上適切を欠くのではないか。むろんその本旨に従って十分その能力を自主的に発揮せしめ、おのおのその交通の持つ企業の責任制において、その限度というものを守らしめることが私は必要ではないかと思うのですけれども、これらの指導について現にどういう指導をなされているか、あるいは今後どういう指導をなしていかれるか、単なる便宜主義ではないか、これらの点につきましては、運輸行政上、陸運行政上基本的な問題であろうかと思いまするから、一つ明確にお答えをいただきたいと思います。政務次官もおいででございますから、この問題につきましては、私は運輸行政上の根本問題であろうと思いまするし、また政治問題としてきわめて重要であると思いますが、これについて政務次官の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/7
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008・福永一臣
○福永政府委員 自動車局長からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/8
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009・山内公猷
○山内政府委員 今御質問のありましたのは、運輸協定付の免許であろうと思っております。この場合に、一方が他の路線に入りますときに、運輸協定がついておる場合もありますし、双方の乗り入れの場合に運輸協定のついておるという場合もございます。その場合の運輸協定につきましては、これは業者間が勝手に路線をきめておるというわけではないのでありまして、その協定はそのつど役所で認可をいたしておるわけでございます。われわれの方から考えまして、御承知の通り今のバス業界は非常に競争が激しいのでございまして、その業者間に円満な意思の疎通があり、その結果が地元の交通を確保するにふさわしいという場合には、自主的に話し合いができて、いわゆる公正な競争を確保するという状態で運営がなされることが好ましいのでございまして、その場合には業者間の協定が妥当であれば認可をするという立場をとっております。またその協定ができないという場合には、免許の条件といたしまして、どこそこ、どこそこ間は何往復するという免許の付帯条件を役所からつけておるというのが実情でございます。そういたしますと、その協定書あるいは免許の条項といいまするのは、そのときにおける交通情勢でこれが適当であると考えられました条件でございまして、交通事情が変ればそれはやはり変えなければならないものでございまして、交通企業は何と申しましてもその地元の交通を十全に確保するということが最大の目的でございますので、その協定では、地元の交通需要が十分満たされないという場合には、その協定の改訂をなされるということになろうと思いますし、役所の方が一方的にそういう条件をつけましたときには、その経営者の申請によりまして、役所の方がまたその免許の条項をあるいは削除し、あるいは改訂するというような行政措置によりまして、地方の交通に支障のないようにやっていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/9
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010・山口丈太郎
○山口(丈)委員 今お答えがありましたが、協定によって一方はその回数の量を規制される、それは免許路線を許可するときに、当事者間で協定したものを行政指導として官庁が一認められる。ところがその協定のために回数が制限される、その制限された路線の中では、これではとうていその交通量の充足をするわけには参らないというので、それが一つの口実となって競願あるいは新設路線等の免許申請が出る、それで非常に恐慌を来たす、それで従業員までが動揺したり、あるいはまた要らざる摩擦を生じておる例があるのでありまして、これはそういう回数制限の一方的な協定なるものが、あるいは協定をしなければそういう免許が与えられないというような、裏を返せば策動もしくはそういうような条件が付せられましたために、いわばそのような結果を招来してくる。従ってそういうような不当な免許の協定なるものを将来改正するように指導して、少くともその回数制限があるために、そのような不法の申請が出ないように措置をしておることも、私は交通機関の企業の安定性から考えましても、当然とらるべき措置だと思いますが、こういうような改訂について、今局長の御答弁は実情に即した協定の改訂を行わしめる、こういうことでございますが、協定がある場合に、その協定のために内部においてさらにその交通緩和のためという口実による申請に対する免許につきましては、私は協定をなさしめたところに大きな責任が存在するものと考えますから、従ってそれらに対しては不要な摩擦を生ぜしめないように、免許の際には適当の措置を講ぜられるよう私はお願いいたしたいと思います。
さらにもう一点希望しておきたいのは、おのおの独立性があるわけでありまして、たとえば国鉄あるいは市営等等におきましても、その持ちまするおのおのの企業体の性格に応じた使命というものは、私は存在しておるというふうに考えるわけです。それを無限に拡張して伸張していくということになりますと、そこで無用な競争、摩擦が生ずると思うのでありまして、共倒れの結果を生じかねないということになるわけでありますから、従ってそういう点について格段の配慮をわずらわしておきたいというふうに考えるわけです。
それから次に、このようにして免許の申請というものはどんどん激化してくる、路線の競合というものが激化する。でありますから勢い企業の利益率というものは低下して参るわけであります。それに反比例をいたしまして今度出されておりまする目的税たるガソリン税及び軽油引取税、こういうものがどんどん増徴されてくる、こうなりますると、交通機関の旅客サービスというものは、単に電車の数をふやすあるいは自動車の回数をふやす、そのことだけが私は旅客に対する万全のサービスとは言い得ないと思うのであります。もちろんその便宜をはかるということも必要でありますけれども、それと同時に、私はその輸送機関が旅客の生命、財産に対して絶対の安全性を確保するということが、まず交通機関の最大重要なる使命である。この使命の上に立ってその地方におきまする交通需要を満たしていく。何を申しましてもこの絶対安全性というものが確保されるということを第一の要件として、その上に回数の増加、あるいは従業員の奉仕観念の向上によります、あるいは技術の向上によります旅客サービスの改善、こういうように運ばなければ交通機関たるの使命を全うすることはできないと思います。しかるに今回はその最も企業安定性の基本をなすガソリン税あるいは軽油税なるものが年々歳々引き上げの一途をたどる、しかもスエズ運河の問題を契機といたしまして、ガソリンあるいは軽油等の値上りもまた膨大なものに上っている。こうなりますと、運輸行政上からもゆゆしい問題になると思いますけれども、これについてどういう経過をたどられたのであるか、また大臣等は政治的にこの問題はどのように大蔵省に折衝されているか。他の省では、大蔵省との間に意見の一致を見ない場合には、大臣もしくは政務次官が乗り出して、政治的にその問題の折衝をして解決するというようにまで強硬な態度を持しているようであります。しかるに運輸省におきましては、そういうような最高首脳部会談による折衝というところまでにはいかない。いわば大蔵省の原案通り、あるいは大蔵省の主張通りに屈服しているかのように見える。これは私ははなはだ遺憾に思うのでありますが、これらの経過を一体どういうふうになさったのか、その衝に当られました大臣がお見えになりませんが、政務次官もおいででございますから、この点について十分われわれの納得のいくようにその経過を御説明願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/10
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011・福永一臣
○福永政府委員 私は当時政務次官に就任しておりませんので経過がわかりませんから、局長から説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/11
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012・山内公猷
○山内政府委員 この揮発油税につきましては、前の臨時国会中もいろいろ当委員会あるいは参議院の運輸委員会でこの問題について御指示をいただいたのでありますが、われわれ事務当局といたしましてはその線に沿いまして、大蔵省にいろいろの事例をあげまして反対の主張をなしたわけでございます。財政上われわれの力からいたしまして、政府原案として一キロリットル当り六千五百円の法案の提出になりましたことは非常に遺憾に存じている次第であります。予算の折衝中におきましても、大臣が数次にわたりましてこの問題についてお話しいただきまして、一応現在では八千円の案が六千五百円に大蔵省が折れたわけでございます。その後も大臣におきましてもさらにいろいろ政治的に御努力をされているという話もわれわれは拝聴しているわけでございまして、この点私たち事務当局からとやかく御説明するのもなんでございますので、あらためて大臣御出席のときに大臣から直接申し上げていただいた方が適当ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/12
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013・山口丈太郎
○山口(丈)委員 この前大臣が御出席のときにも質問いたしますと、とにかく私はしろうとだからさっぱり交通のことについてはわからない、今政務次官に聞きますと、当時在任していないからわからない、こういうことで大臣や次官というものが勤まるならけっこうな話です。ただ下僚から出た書類に判こをついてさえいればそれでいいというなら別でありますけれども、今の答弁はあまりにも不親切ですからそう言わざるを得ない。それで国民の信頼している大臣、国民の信頼している政務次官と言えるでしょうか。あなたは責任の衝に当られていて、今の答弁であなたの政治的良心に従って満足だ、天下に恥じるものではない、こういうふうにお考えですか。当時在任しておられなくても、このような重要問題についてはそうそり返ってはいられないと思う。少くとも就任をしたら首脳部を集めて——あなたは在任中に折衝した覚えがないのは当りまえでしょう。政務次官でもない者が折衝しようとしても、それはできない。しかし就任をすれば、それだけのやはり責任を持って衝に当らなければならぬのでありますから、従って運輸省等において事務当局の最高首脳部を集めて省議を開いて、その経過について説明を求め、しこうして国民の前にあなたはその省議に従って所信を明確にせられる責任があると思う。しかるにあなたの今の答弁はばかにしておる話です。そんなことで政務次官というものは勤まらないと思いますが、あなたはそれでいいと思っていますか、一つあなたの信念をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/13
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014・福永一臣
○福永政府委員 御説ごもっともでございまして、さっそくよく調べまして、運輸省としての態度も明確にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/14
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015・山口丈太郎
○山口(丈)委員 まだあとに質問者がありますし、私は本日は十数項目にわたって事務的に質問いたそうとしましたけれども、こういう答弁をいただくようでは、質問をいたしましても実際にはこの質問を通じて運輸行政を明確にするわけに参りません。ですから私は残余の質問は全部保留をして、この次大臣も政務次官も見えたときに、根本的にこの行政について質問いたしますから、それまでに今の答弁のようなことのないように、しっかり省議を開いて基本方針を持ち合せてもらって、委員会を通じて明らかにしていただくように希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/15
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016・淵上房太郎
○淵上委員長 永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/16
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017・永山忠則
○永山委員 炭労の争議は非常に激化しようとしておるわけでございますが、国鉄の方では輸送面において貯炭関係がどういうようになっておるのでございますか。これに対する対策がどういうようにできておるかを聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/17
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018・細田吉藏
○細田政府委員 お答えいたします。三月三日現在で国有鉄道の貯炭は、坑所、機関区合せまして、平均といたしましては約十六日分持っております。これは全国の平均でございますので、場所別に見ますと、相当なアンバランスがあります。
それで今後の見通しでございますが、実は一日大体一万七千五百トン程度入荷をいたす計画にいたしておるわけでございます。使用量も大体一万七千トン程度でございます。これに対しまして、炭労の関係で六日までが超勤拒否ということで、この影響が大体六千トン程度ではなかろうかというふうに国有鉄道といたしましては見ておるわけでございます。それから七日、八日と四十八時間ストライキが計画されておるようでございますが、これがそのまま実行され、また十一日から十三日まで七十二時間のストライキが計画されておるようでありますが、この両者合せまして大体約五万トン程度入荷が減るのじゃなかろうか。合せまして大体五万六千トン程度のものが現在の平均の十六日分の貯炭に食い込んでくるのじゃなかろうか、大体こういう見通しでございます。将来無期限ストというようなことになりますと、今申し上げましたような集炭の計画でございますので、これは非常に大きな問題になってくることは申し上げるまでもございません。それまでの間におきまして国有鉄道としましては、前に申し上げました港あるいは機関区の貯炭量のアンバランスなもの、たとえばどこかの機関区で貯炭がなくなりましてもこれは大へんでございます。そういうものを最小限度必要なものを持たせる必要がございます。そういう点は慎重に、計画的に貯炭が切れないようにならしていく必要がある。これにつきましては日々貯炭の状況を、支社はもちろんでございますが、本社でキャッチいたしておりまして、それに対応するような措置を講ずるようにいたしております。従いまして現在十六日分持っておりますのが、五万六千トンの減を受けますと、全体としては三日分ちょっとという程度が落ちるわけでございますから、平均としましてはこれで直ちに支障がくるということにはならぬわけでございます。地域的にならし方がうまくいかないと問題が起るという可能性がございますが、その点は十分注意いたしておるわけでございます。対策の重点は、何と申しましても集炭の確保ということでございます。ストライキがあって出ないということになりますと、これは国鉄の力でどうするというわけに参りません。与えられました方法は、そういう緊急的な貯炭の最小限度のものを確保していくという方向しかございません。無期限ストになりましたような場合がかりにございますとしますと、これは別途に各般の対策を立てなければならぬ、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/18
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019・永山忠則
○永山委員 外炭の輸入を政府は計画いたしておるのでありますが、これは国鉄関係とどのように関連性を持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/19
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020・細田吉藏
○細田政府委員 ただいまのところ外炭につきましては、私どもとしては何も聞いておりませんですから……。たしか二十八年だったかと思いますが、炭鉱のストライキがございました際に、外炭を一部入れるというようなことをいたした記憶がございます。今後これをどういうふうにいたすかということにつきましては、研究させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/20
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021・永山忠則
○永山委員 一般にいわれているのは、国鉄の貯炭量は、九州方面が六日分で、さらに北海道方面が八日分であるという点で、しかもアンバランスが非常に強いのでありますから、これがアンバランス是正等にも非常に困難性があるのではないか。さらに炭労のストが大手十四社にわたっておりますので、一日十万トンの減産と見れば、実に通算にして一日二十時間で、五日間でございまして、五十万トンの減産となる。これが貯炭関係は、業者の貯炭においても、あるいは大口工場の貯炭関係においても、また緊急輸入も今のところ三月末までに十万トンしか入らぬのでありますから、これらの点から見て、非常に石炭事情は悪化しておる情勢でございますので、これが対策は万全を期せられなくてはならぬというように考えるのでございますが、これと並行してまた国鉄労組のストの問題がございますので、これに対して、果してアンバランス是正その他の貯炭整備が、国鉄ストとの関連性を持つかどうかをお聞きしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/21
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022・細田吉藏
○細田政府委員 国鉄労働組合の今回のいわゆる闘争でございますが、さしあたっては十一日、十二日、全国の駅におきまして約半数と予定されておるようでございますが、半日職場大会ということが計画されておるように聞いております。完全に半日半分の駅が職場大会をして職場を離れるということになりますと、列車にもかなり大きな影響を持つのではなかろうか、かように考えておりまして、私ども実はさようなことが起りませんように、強く政府として希望いたしておるわけでございますが、先ごろ内閣からも声明がございましたように、職場大会というものを持って、列車が現実にとまるということにつきましては、私どもといたしましては、合法的であるかどうかということについて非常に問題にいたしておるわけでございます。こういう点につきましては、もしこのような事態が起るというようなことになりますと、私どもといたしましてもいろいろな角度から十分の対策を立てておく必要があろうかと考えております。この石炭の問題との関係と申されます御趣旨はよくのみ込めないのでございますが、列車に重大な影響を及ぼせば、石炭の問題より以上の、現実的な汽車が動かないという問題になりますので、単に石炭をならすとかなんとかいうきわめて一部分の問題よりは、もっと広範な、大きな問題になろうかと考えておる次第でございます。いろいろ関係はあると思いますが、もっとより大きな問題だと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/22
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023・永山忠則
○永山委員 国鉄労組のストに対する対策について、当局の御方針を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/23
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024・細田吉藏
○細田政府委員 この点に関しましては、実は私ども事務的にもいろいろいたしておるのでございますが、現在御承知と思いますけれども賃金の問題を中心としまして、労働委員会の調停にかかっておるのでございまして、調停も数日中に出るやに聞いておるのでございます。この調停なり、あるいは引続いて仲裁になるかどうですかわかりませんが、これは労使間の紛争を平和的に解決するための公労法上の制度でございまして、これが実は進行いたしておる途中にございますので、あくまでもこの公労法に定められておる平和的手段で解決をしていただくということが、法律の建前であり、また私どもとしても望んでおるところでございまして、私どもはできますならばこの調停、仲裁の線で何とか第三波というものが避けられるように持っていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/24
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025・永山忠則
○永山委員 調停、仲裁の線を非常に期待をするものでありますけれども、これが必ずしも十分の成果を得られぬ場合における争議の激化も予想されておるのでありますが、そういう場合において国鉄の輸送関係に支障を来たさないようにする考え方をお持ちであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/25
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026・細田吉藏
○細田政府委員 もとよりこの問題に対します対策というものはいろいろなものがございまして、列車が相当程度とまるというような事態は非常に国民に迷惑をかけるということにもなりますし、この点に関しましてはもし不幸にしてそういう事態が起りましても最小限度の影響にとどめますように、できるならば列車が全部動きますように、極力いろいろな対策を国有鉄道としまして立てさせておる次第でございます。これの具体的な内容につきましては、私から御説明申し上げることが適当であるとも考えませんので、国有鉄道の方から詳細にお聞き取りを願えればと思いますが、なお問題はこういった労使間の紛争の問題でありますので、国有鉄道としましてもこれに対してはこういうふうに考えておるという具体的なものは、あるいは申し上げにくいかとも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/26
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027・永山忠則
○永山委員 先刻列車がとまるような問題になる場合においては、これが合法的なものであるやいなやについて非常に疑義があるというようなお考えでございますが、これは疑義があるということなのでございますか、合法的でないとお考えになっておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/27
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028・細田吉藏
○細田政府委員 私の先ほどの表現が少しあいまいでございましたので、これは直さしていただきたいと思いますが、職場大会によって列車をとめるというようなものについては、合法的でないという官房長官からの声明も出ておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/28
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029・永山忠則
○永山委員 そういう場合において当局はどういうような処分方法をお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/29
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030・細田吉藏
○細田政府委員 この当局は国有鉄道当局でございまして、私の方としましては、第一段にこういった事態が起らないようにあらゆる方法をもって労使双方に勧告その他の方法をとるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/30
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031・永山忠則
○永山委員 この場合、前にもそういうような事態がございましたのですが、それに対して当局が処分されましたその処分内容等をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/31
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032・細田吉藏
○細田政府委員 前と申しましてもここ二、三年あるわけでございまして、非常にたくさんないろいろないわゆる行政処分と申しますか、国鉄の当局者側が処分したものがございますが、これは資料をもって御返事を申し上げさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/32
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033・永山忠則
○永山委員 それでは資料をいただくことにいたします。ただ処分後においても絶えずこういうような事態が何ら反省せずして行われておるということに対して、当局はどういうような考え方であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/33
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034・細田吉藏
○細田政府委員 公労法なりあるいは日本国有鉄道法なりに基きまして処分をいたしておるわけでございまして、この処分がありましてもなおそういったことをする人が出るということにつきましては、これは非常に残念なことでございまして、われわれといたしましてはそういうことは絶対にやめてもらいたい、かように考えておるわけでございます。それ以上出てきましたものに対しましてどう考えるかと仰せられましても、われわれとしましては非常に遺憾なことでございますし、いろいろな根本的な点も考えてみなければならぬのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/34
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035・永山忠則
○永山委員 そういうことが絶えず行われるということに対して、反省の色がきわめて薄い状態であるということに対しては、国鉄当局もあるいは労組当局においても、一つ抜本的な考え方と施策を持たれる必要があると考えるのであります。これらの根本問題については運輸大臣に御質疑することにいたしたいと考えておるのでございますが、この場合、政府は国鉄運賃の値上げをすることに決定をしておるようでございますが、その法案提出並びにその時期はどういうようになっておるのか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/35
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036・細田吉藏
○細田政府委員 国有鉄道運賃法の改正につきましては、承わりますところによると、本日午後衆議院の本会議で正式に提案を見るというふうに承わっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/36
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037・永山忠則
○永山委員 国鉄運賃を値上げしようという際、さらにこういうような争議が行われる、また外郭団体を中心にする経理の関係の不始末等は、国民に対してきわめて不快なる感を与えるものであるのでございます。私はこの場合において、今度の予算編成におきまして政府の方は神武天皇以来の景気だということを言われておりますが、本年度二千億円の増収見込みがある、来年度三千億円の増収の見込みがあるというようなときにおきまして、政府の資金を国鉄の運営に行使し、もしくは利子補給するという方途をとるべきであると思うのでありますが、これらの点に対して国鉄は運賃値上げに並行してどういうようなお考えを持っておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/37
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038・福永一臣
○福永政府委員 一方において運賃を値上げしながらストライキを起すということは、まことにどうもおもしろくないことでございますが、できるだけそういう不祥事の起らぬように、国民の公器であるという国鉄の立場から運営を円滑にやりたい、こういう考えでございますが、なお詳細にわたっては国有鉄道部長より御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/38
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039・細田吉藏
○細田政府委員 運賃の法案の提出並びにこれと表裏をなします三十二年度の予算の編成に当りまして、私どもといたしましては極力外部資金の増額につきましては努力いたしたつもりでございますが、遺憾ながらいろいろな財政投融資全体の関連から、三百二十五億という程度でとどめざるを得なかったような次第でございます。なお利子補給というお話がございましたが、利子補給につきましては、在来主として新船建設費に対する借入金の利子補給の問題がいろいろ問題として取り上げられておる。この点につきましても、私どもといたしまして事務的には相当程度まで検討を進めておるのでございますが、遺憾ながら、今回の三十二年度の予算に計上いたし、あるいは法律案として提出する運びまで至りませんでした。この点につきましては、今後ともさらに十分できるだけ早く検討いたしまして、政府部内の意見をおまとめ願うようにお願いをいたしたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/39
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040・永山忠則
○永山委員 政府の出資並びに利子補給等の対策が十分立てられていないことを非常に残念に思うものでございますが、国鉄当局は運賃を値上げするという案を一割八分というように申請しておったのでございますけれども、これを一割三分というところで妥協されたといいますか、これによって輸送の隘路は十分打開できるというお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/40
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041・細田吉藏
○細田政府委員 お答え申し上げます。国有鉄道が一割八分を申請いたしまして、政府としましては、御承知のように一割三分の値上げにこれを削ったわけでございます。数字的には今手元に持っておりませんが、大体の考え方としましては、一割八分を国鉄が原案として出しました際の三十一年度、つまり本年度の収入の見込みというものが、その後情勢が進んで参りまして、もっと増収があるということが明らかになった次第でございます。国有鉄道が当初七、八月ごろに原案を作りますと遂に考えておりました収入よりも、かなり大幅に、すでに三十一年度で増収が考えられる、こういうことに相なりましたことが一点。それから三十二年度の見通しでございますが、これにつきまして、当初国有鉄道が考えましたのは、昨年政府で立てました経済自立五カ年計画のうちの輸送計画の線に沿っておりました関係で、三十二年度の輸送量の見通しが、その計画によっておりますために、過少ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。その点につきまして、三十一年度自体が大きくなりましたことと、さらに三十二年度の三十一年度に対する増加率も、国有鉄道の最初の原案よりも、私どもとしては大きく見たわけでございます。これは最近の経済事情、輸送事情その他から考えて、そういうふうにいたしたわけでございます。一方経費の点につきましては、ただいまも国会でいろいろ問題になっております点がございますが、そういった点を予算的に頭から合理化を強制するというような形で、かなり思い切って、切っております。この両面からいたしまして、数字が一・八から一・三になったような次第でございます。ただ一・八を一・三にいたしましても、輸送力の増強、あるいは施設の近代化、そういったような、現在輸送の隘路がとやかくいわれておりますが、こういう点を克服していくというための経費につきましては、もとの案を削るというようなことではございません。むしろ部分的にはさらに電化などは促進するというようなことで進めておるのでございまして、一・八が一・三に削られたからと申しまして、そういう点には御心配はない、こういうような予算を作成いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/41
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042・永山忠則
○永山委員 この一割三分の値上げによりまして、輸送力増強といいますか、輸送の隘路打開ということは、これで大体十分だとお考えになるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/42
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043・細田吉藏
○細田政府委員 ただいまの十分という意味はどういう程度に了解いたしますか、その点問題はございます。昭和十一年程度にまでなるかどうかということになりますと、これは遺憾ながら今回の値上げによる五カ年計画でもそこまでは実は参りません。ただ最も問題になっております貨物について申しますと、貨物については貨車の配給率が、八〇%程度から、うまくいけば九〇%程度までもいけるのじゃないか。従いまして、一〇〇%というのは実はむしろ輸送力が余っておる状況でございますが、九〇%程度までいけば、そう輸送が非常に混乱するといいますか、非常なネックになっているというような感じではございませんので、その程度までは今回の計画でこぎつけ得る。従いまして今日言われておるようなひどい輸送難につきましては、もちろん解消することができる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/43
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044・永山忠則
○永山委員 一割三分値上げいたしても、なお三百万トンないし八百万トンの滞貨輸送が困難だというようなことを言われておるのでございますけれども、これらの輸送対策はどういうようにお持ちになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/44
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045・細田吉藏
○細田政府委員 二百五十万トンとか三百万トンとかいう滞貨は起らない考えでございます。ただすぐに来年度から輸送力増強がどれだけできるかというような点につきましては、これはこまかく年次別の計画をいたしております。たとえば復線化とかあるいは操車場を作るといいましても、一年やそこらでできないというわけでございます。さしあたっては私ども車両の増備ということに重点を置きますので、すぐ全然跡形もなく解消していくということは、かなり困難であろうかと思います。五カ年計画をいたしております。その五カ年間の計画について、私今申し上げた次第でございます。今日のような輸送難は解消いたし得ると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/45
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046・永山忠則
○永山委員 この問題については法案が今日提案されますので、また機会を得まして十分検討を要することにしたいと思うのでございますが、それに関連して輸送力増強の、ことに貨物の中心はトラック輸送に待つものであるということを、当局は言われておるのでございますが、このトラック輸送の増強によって輸送力を強化するという、その対策をお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/46
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047・山内公猷
○山内政府委員 トラックにつきましては、十二月に大体フルの輸送力を発揮したものとしまして、その数字を見ますと、大体国鉄からの転移貨物四十三万トンというものを、国鉄で運ぶべきものをトラックで運んだという数字が出ております。それで十二月に行いましたのは、緊急輸送の体系が、将来も国鉄の輸送力がもしも貨物の方にマッチしないでいけば、そういう方法をとるだろうと思うわけであります。大体とりました方策といたしましては、十二月に貨物が激増いたしますので、暫定的に、路線トラックの回数を臨時的に五割ないし十割、北陸線、東海道線、山陽線というようなところにふやしまして、輸送をやったわけでございます。その結果十一月に比べましてトラックの点におきましても、非常に輸送の隘路が現われるのじゃないかという予想をしておったわけでございますが、大体十一月程度の輸送のつけ方は、十一月・十二月とやったわけでありますが、そうトラック輸送量が底をついた、トラックでは運べないという情勢にはなっておりません。それとともに、この委員会でも御説明いたしたと思うわけでございますが、非常に営業用トラックの増車が伸びました。数字ははっきり覚えておりませんけれども、大体一千両以上のトラックが伸びました。この一千両程度のトラックの伸びといいますのは、大体昭和三十年度一年間に営業車の伸びた数字に匹敵するわけであります。それが直ちに十二月の輸送力として回って参りましたので、トラックについてはまだ輸送力があるのであります。また一方メーカー関係の三十二年度の増車計画というものを聞きましても相当大量を考えておりまして、大体十一月ぐらいから二割ぐらい居残り残業をして作っておられるようであります。現在はなかなかトラックを希望いたしましても昨年のように直ちに手に入るという状態ではないわけでございまして、大体二ヵ月ぐらいの余裕がないとトラックが入らないということでございますので、メーカー関係は非常にその点トラックの増車に励んでおるわけでございますので、車両の面におきます隘路というものはそうないのではないか。将来も、十二月の四十三万トンというものは相当大きな数字でございますので、これだけあれば徐々に——徐々にと申しますか、相当のスピードでトラックの生産が行われておると思いますので、トラックの輸送力はついていくのではないかというふうな予想をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/47
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048・永山忠則
○永山委員 トラックの輸送に待たねばならぬという考え方でございますが、この問題についての大きな問題は、絶えず論議されておりますガソリン税の値上りと引き上げ等によりまして、運輸省の出されておりますところの統計でも、政府の案である六千五百円のガソリンが上り、さらに軽油三千円上るということになれば、トラック業者は赤字であるという政府自身の運輸省の統計が出ておるわけでありますから、これらの対策、すなわちガソリンの値上り、さらにトラックの赤字経営に対する問題の対策はどういうようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/48
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049・山内公猷
○山内政府委員 トラック界は昨年の前期におきましての収益率は九七%でありまして、非常に利益率の悪いものであったのでありますが、九月ぐらいから非常に輸送力が伸びて参りまして、その点ではある程度現状では、荷物のないころから見ますと好転しておるという状態にわれわれ見ております。と申しましても今度のガソリン税の値上げの影響というものも非常に大きいので、われわれといたしましてはできるだけ原価が安く行われ、運賃が変らず行われるということが理想でございますので、低いに越したことはないし、あるいは全然上らないということはわれわれの理想でございますが、別途道路の改良ということも非常に焦眉の急を告げておりますし、また道路の改良におきまして、この委員会でも申し上げましたように、大蔵省は一〇〇%それが利益になるというふうにも考えておりませんが、少くとも鮎川調査団の報告によりましても三四%程度の道路の改良によりまして、事業の利益が出るということも数学的には言えると思います。しかしその際もわれわれこの委員会で申し上げましたように、全部の道路がよくなるわけではないのでありまして、たとえば十キロのうちの一キロよくなった場合に、それがそのまま科学的な数字のようにいくかどうかということは、実際やっておらないものでございますから、調査ははっきりしないということも申し上げたわけでございまして、われわれといたしまして事務当局としてはできるだけ安くしてもらいたいということで、お願い申し上げておったわけでございます。トラックの将来につきましては、これがそれではどの程度経営に響くかということにつきましては、今後トラックの荷物のふえた収益率と支出の面というものを再検討しなければなりません。われわれとしましてはまだ税金が具体的にふえたということでないので手を触れておりませんが、具体的に業界から数字を出してもらいまして検討いたしませんと、われわれの方の今までの数字では何月何日現在という物価、これはガソリン税だけでなく、御承知の通り三十七年以来いじっておらないものでございますから、その時点をとりまして計算いたしませんと——二十七年から物価も上っておりますし、人件費も相当上っておるという偏向を年々調べていくわけでございます。その中においてトラック業界がその、原価の構成でやっていけるかどうかという点を再検討しなければならないわけでございますが、まだその詳細な検討には手を染めていないという実情を正直に申し上げるより以外にないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/49
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050・永山忠則
○永山委員 それではその問題はまた別の機会にいたしまして、総裁がお見えでございますから、ただ一点だけこの場合お尋ねいたしたいのでございますが、国鉄労組の争議に対しまする総裁の所信を承わる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/50
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051・十河信二
○十河説明員 まだ争議はありませんですから……。私は輸送力増強、従ってまた輸送の安全確保、そういうことに今全力をあげておるわけでございまして、そのために国民から多少の反対を受けておりますが、ぜひ運賃の値上げをしてもらいたい、こういうことを国民の皆さんにお願いいたしておる。従って私は国鉄部内におきましても、かねて皆さんからも御要望のありましたように、血のにじむような合理化、節約をやって、それで輸送力の増強を一刻も早く皆さんの御満足のいくようになし遂げたい、こういうことを考えております。従って国鉄労組に対しましても、国民にもこうやって無理をお願いしておるのだから、諸君も一つがまんしてやってくれ、お互いにがまんして国家経済が発展していったならば、お互いの生活もまた従って向上するのだ、どうかそれを楽しみにがまんしてもらいたいということを常々頼んでおるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/51
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052・下平正一
○下平委員 永山さんの質問に関連をして二、三点お伺いをしたいのでありますが、国鉄の労使の間に最近しばしば賃金の問題とかあるいは待遇の問題で紛争が起きてきておるわけであります。ことしもまた三十一年度の賃金調停をめぐって、やや険しい情勢がかもし出されようとしておるわけでありますが、これらの問題は、当面起きておりますところの、たとえば職場大会とかあるいは超勤拒否だとか、そういう現象だけをとらえて、それだけをどう解決しようとか、あるいは先ほど永山さんの質問にあった国鉄法に照して処分をするのだとかいうような、処分の点に焦点を結んでも、これらの問題の解決はとうていできないと思うのです。国鉄の労使の間にしばしば起きる紛争の原因が一体どこにあるかという根本をえぐり出してきて、その根本原因を解決をしなければとうていできないと思うのです。先ほど鉄道部長が御答弁に当っておられましたが、一体鉄道部長は国鉄の上部の監督機関でありますが、この紛争の原因というものは一体どこにあって、どういうところに問題点があるかということを、あなた方はどんなふうに認識をされているか、根本的な問題点についての認識を一つ聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/52
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053・細田吉藏
○細田政府委員 紛争が毎年起っておる、毎年一回ないし二回、もっと起っておるかもしれませんが、これは私はそのつどやはり事情は違っておると思います。昨年あるいは一昨年起ったものと今年とは、それぞれ違っておると思うのです。その個々の問題について考えていかなければならぬのでございまして、何と申しますか、根本的な原因と申しますことは、敗戦後の日本の状況が賃金に対して非常に強い要望があるということ、こういうことが原因だろうと思います。それ以上私考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/53
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054・下平正一
○下平委員 鉄道部長の御説明では満足しないわけでありますが、なるほどそのときどきの紛争によって賃金の要求の額とか、要求の形とか、そういうものは違っておりますけれども、そもそも要求の解決をする方法というものは、一体どういう方法で解決をされているか。労使間の紛争・特に国鉄労働組合と国鉄の経営者、総裁との間の紛争というものを、鉄道部長としては、それではどういうルールで、どういう方式で解決していこうと考えておられるのか。あるいはまた従来どういうルールで解決してきたか、その解決の方法を、それでは一つお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/54
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055・細田吉藏
○細田政府委員 この点は私の個人的な意見と申しますよりは、法律が定めておるところでございまして、公共企業体等労働関係法の定める手続によって平和裏に解決をせらるべきであると思いますし、またそういうふうにこれまでも解決いたしておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/55
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056・下平正一
○下平委員 公労法の定めるところによって解決をする、これはもちろんそうでありますが、私は国鉄労働組合と当局の間の紛争の一番の根本原因というものは、要求された金額が満たされるか、満たされないかという経済上の問題ではないと思うのです。金銭のわずかの違いの問題でこんな大きな紛争が起きているわけではないと思うのです。その根本原因というものは、公労法に示された手続、公労法に盛られた精神というものが、いつの場合にも一方的に政府当局によって踏みにじられてきているというところに、国鉄労働者なり、あるいは一般の労働者の不満というものがあると思うのです。今鉄道部長は、従来も公労法によってこれらの問題の処理をしてきたと言われましたけれども、それでは国鉄労働組合の紛争が、公労法上の手続によって処理され、調停あるいは仲裁、こういう機関決定というものがなされたのでありますが、一体この公労法上出された調停——調停はまだ疑義があるといたしましても、仲裁、これらの手続上の結論が過去何回も出ておりますが、果してこれらの仲裁の結論というものが着実に実施をされてきたかどうか。こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/56
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057・細田吉藏
○細田政府委員 これは私が申し上げるまでもございませんが、仲裁裁定が出ました場合に、予算上、資金上不可能という場合には国会の議決を求めることになっており、予算上、資金上不可能な場合には国会の議決が行われておりまして、この議決に従って、賃金のベース・アップその他いろいろなことがなされておるのでありまして、これは公労法とそれに基く国会の議決によって解決いたしておると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/57
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058・下平正一
○下平委員 今の鉄道部長の御説明は、大へん間違っているのです。たとえば公労法によって仲裁なんか出たということになれば、それでは国会の議決を要するということも公労法上の手続でありますので、当然これは出さなければならぬと思いますが、その場合国会に提案をする政府当局の態度というものは、公労法によって当然出された仲裁案を政府に認めてほしいという態度でなければ、公労法上の正しい精神とはいえない。ところが従来の政府の態度は、公労法上出た仲裁案の結論を勝手気ままに解釈して、私もこれを認めたくないから、そのように国会で承認してくれという態度で出されている。こういう政府の態度というものは、決して公労法上の精神をほんとうに順奉している態度でないと思う。国会の議決の手続ということは私も認めます。しかしその場合には、当然仲裁裁定が出るならば、政府もその仲裁裁定に従って処理をしたいから、この処理を国会で認めてほしいという提案の形がなされて、初めて公労法を順奉する正しい政府の態度といえるのですが、従来はそういう態度がとられていなかったのですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/58
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059・細田吉藏
○細田政府委員 ずっと以前のことは私よく存じませんが、最近のここ四、五年のことを考えてみますと、政府といたしましては、認めていただきたいとか、認めていただきたくないということでなくて、国会の議決をお願いいたしておる、こういうことになっているものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/59
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060・下平正一
○下平委員 この論争をいつまでやっても仕方がないと思いますが、鉄道部長は運輸省の監督官庁の立場で、それでは公労法上の裁定が出た場合に、どういう態度で処理されるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/60
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061・細田吉藏
○細田政府委員 もとより公労法は国の法律でございまして、この法律が定めました方法の最終的な一つの方法として仲裁制度があるわけでございますから、政府といたしましてはできるだけ仲裁裁定を尊重いたす。これは公労法にも、昨年の改正でございましたか、さらに明らかにされたことと考えるのであります。十分尊重いたさなければならぬと、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/61
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062・下平正一
○下平委員 政府の方では法律を尊重する——もちろん尊重しないなんということは言えないわけでありますが、私どもの立場、国会の立場からいたしましても、単に口先で尊重するというだけでは、これはだめであります。そこで具体的に、細田さん、伺いたいのですよ。それでは今度第一段階の調停が出ますが、調停が出た場合にあなた方の態度は基本的にどうなりますか、これをまず一点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/62
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063・細田吉藏
○細田政府委員 調停が出ました際に政府といたしまして、これはとやかく介入する段階でないものと考えておりまして、調停が出ました際には、その調停の線に従いまして、国有鉄道について申しますれば、国有鉄道当局と国有鉄道の労働組合側がさらに交渉されて、その調停に従うかどうかを協議される、こういうことであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/63
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064・下平正一
○下平委員 そうすると原則としては労使間の交渉にまかせるという御精神だと思います。これは公労法といわず、一般労働組合関係の根本精神で、第三者とかあるいは権力というものがこれに介入せずに、労使間の交渉で解決するという精神であると思いますので、その精神を尊重して、調停の段階においては、労使双方の話し合いで出た結論を文字通り尊重すると解釈して差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/64
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065・細田吉藏
○細田政府委員 どうもその最後の文字通り尊重する云々という言葉がよくわからないのですが、調停の段階におきまして労使間で協議をなさるということでございまして、これに政府は関与すべきであるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/65
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066・下平正一
○下平委員 そこで機械的なことでなくして、実際問題から鉄道部長に話を聞きたいのでありますが、ともかく今国鉄労働組合がストライキをやって、汽車をとめるとか、あるいは汽車をおくらせるということは、両方とも本意ではないと思います。従って国鉄の労働者もでき得ることなら一つ国民に影響を与えないように問題を解決したいという気持を多分に持っているのです。そこで実際の手段に訴える前に調停という機関に出して、もしその調停の結論が出れば、自分らの要求にかなりほど遠いものであっても、国民の経済に与える影響等を十分考慮をして、そこで自分たちの要求を、納得する線を下げて了解をするという形が出てくるわけであります。これは要求をしている労働者としては、相当に国民経済の全体的な立場を考えての行動だと私は思います。そこで当然それが労使の交渉におろされて、労使の間で結論が出る、こういう形になると思うのですが、その場合には労働者も大へんな不満を抱いてこれを了承するわけでありますし、経営者の方としましても、許される最大限の予算措置なり、財政的措置をして、これで労使間の結論が出ると思うわけです。従ってその調停に従って出てきた結論が労使間で妥結されたということは、もっと言いかえれば、国鉄労働組合の労使間その他を含めて、一般的な客観的な判断に基いて妥当な線が出てくる、私はこういうふうに考えているのです。これに対しては、やはりそれ以外の機関あるいは第三者というものが、その結論をあまりにも踏みにじるような態度というものは、かえって労使間の紛争を激化させる、ないしは国民経済に余分な影響を与えるということになろうと思うのです。そこで近々に調停案が出る可能性が出ておりますので、この調停案が出て、労使双方の間において妥結を見たという場合には、できるならその労使間の妥結の線というものを文字通り尊重——ということは、その出た結論というものを実施をしていただくように、政府もあるいは監督官庁も全部それに向って実施をするということを確実にする、それが尊重だと思うのですが、そういうふうなお考えを持っておられるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/66
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067・細田吉藏
○細田政府委員 私どもとしましては、労働委員会の調停にかかる前に両者で話し合いがつくことが一番望ましいことは申し上げるまでもございません。それから調停の段階は公労法で認めた通りございます。調停案が出まして、その線で両者が協議してまとまって、そして汽車がとまるというようなことが避けられることは非常に望ましいことでございまして、この点につきましては何らの異議はないどころか、むしろわれわれといたしましては、一日も早く話し合いがついて、汽車がとまるとかいったような国民に重大な迷惑を及ぼすようなことがないことを念願いたしておるわけでございます。この点、話し合いができるものをわれわれがこわすとかなんとかいうことは、とるべきでないことは申し上げるまでもないことかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/67
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068・下平正一
○下平委員 お答えがちょっと抽象的だと思いますが、労使間の結論が出たものをあなた方の方でも忠実に実施をする、そのことが公労法の精神を尊重するというあなたのお答えだというふうに解釈して間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/68
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069・細田吉藏
○細田政府委員 調停が出まして、その結果、これは釈迦に説法でございますが、両者の協定ができる、こういうことになるわけなんです。その協定の内容がどういうものが出てくるか、実は私どもにはわかりませんので、私が今ここでこれを必ず実施すると申し上げる性格のものではないと思うのでございます。私が今申し上げましたのは、両者の協定が出まして、そういった紛争が一日も早く解決することが望ましい、こういうことを申し上げた次第であります。実施する、しないという問題は、これは内容によるわけでございます。もちろん実施可能な協定が結ばれると思うのでございますが、実施ができないということになりますれば、これは予算上、資金上不可能だというような問題につきましては、公労法の第十六条に返ってくる、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/69
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070・下平正一
○下平委員 なぜ私がしつこくそういうことを言うかというと、御承知のように二十九年度の紛争の際に調停案が出ました。これは労使双方のんでおるわけであります。三十年度の調停案も出ました。これも労使双方のんでおるわけであります。労使双方がのむ、特に経営者である国鉄総裁が代表してこの案をのむということは——国鉄総裁は国鉄経営をまかされた責任者であります。あなた方は総裁の立場をどう見ておられるか知りませんが、あなたの下僚で国鉄部長の下役だというふうに考えたら、大きな間違いだと思うのです。国鉄という大きな、国民の経済動脈を背負って、国会から指名をされて責任を持ってお預かりしておる人であります。この人がよもや要求をのんだからといって、国鉄の財政が破綻をしてしまう、そのことによって国家経済に大きな破綻を来たすとか、国鉄の動脈としての使命を果せないような、そんな条件下で総裁としてその要求をのむはずがない。もしそんな信用のおけない総裁であったら、あなた方総裁をかえればいい。総裁に国鉄の経営を全責任を持たせて一任してあるのですから、その総裁があらゆる観点からこれを判断をしてみて、労働者の要求を押えて、この程度ならのめるという判断の上に妥結をした問題については、私はやはりその結論を尊重すべきだと思います。今あなた方は、国会の答弁では公労法の精神を尊重しますというようなことを盛んに言われますけれども、すでに過去において、二十九年度、三十年度の実績というものは全然尊重されていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/70
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071・細田吉藏
○細田政府委員 おかしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/71
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072・下平正一
○下平委員 おかしいことはない。全然尊重されていない。そこで私はただ単にあなたが尊重するというような言葉だけでは、あなた方のほんとうの態度がわからない。実際に出た結論は、実施をして差しつかえないというように考えるがどうかというふうにお伺いをしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/72
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073・細田吉藏
○細田政府委員 国鉄総裁のお立場についてのお話がございましたが、全く同感でございまして、私ども下僚とか、そんなことはてんで問題にならないと思います。そういうようなことは毛頭考えておりませんので、はっきり申し上げておきます。
なお二十九、三十年度というお話でありましたが、調停によって協定ができ上りました点は、実施に移されておると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/73
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074・下平正一
○下平委員 そうすると、国鉄部長から今重大な御発言を伺いましたが、あの二十九年度、三十年度の調停案というものは、実際に実施されておる、もし実施されていなかったとするならば、これは当然実施されるものというふうに解釈していいですか。その点について国鉄部長、これは大へんな発言でありますので、もう一ぺん確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/74
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075・細田吉藏
○細田政府委員 国鉄当局と労働組合との間に協定ができ上りました点については、実施されておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/75
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076・下平正一
○下平委員 今国鉄部長から大へんありがたい御説明を承わりましたので、国鉄部長の御説明としてそのまま聞いておきます。
それでは時間がないそうでありますから、この問題はどのみち運賃法の改正案が本日上程されると思いますので、詳細の点にわたってまた御質問を申し上げるといたしまして、もう一点だけお伺いしておきたいことは、先ほどの御答弁の中で今日行われようとしておる職場大会は、公労法上違法であるという断定を下したような御意見を伺いましたが、どのような観点から違法であるか、また今日持たれようとしている職場大会がどのような規模、どのような企画で行われるかということについて、断定の根拠を一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/76
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077・細田吉藏
○細田政府委員 私は先ほど申し上げました法律的な点はあまり詳しくわかりませんが、列車がとまるような事態にまで至る、しかもそれが予見できるというふうなことをあえてするということであれば、これは公労法に違反しておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/77
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078・下平正一
○下平委員 汽車がとまることはいろいろの理由があると思います。また結果的には汽車がとまることもあると思うのですが、汽車がとまったという結論が直ちに公労法違反である、こういう断定はどこであなたはつけられますか。線路に石がころがっていても汽車はとまりますし、雪が降ってポイントがかえられなくても汽車はとまりますよ。汽車がとまったという結論がなぜ公労法違反だといってあなたは断定ができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/78
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079・細田吉藏
○細田政府委員 石がころがしてあったり雪が降ったりして、そのために汽車がとまるということとは事情が異なると思っております。私の見解が間違っておるというお考えもあるいはあるかもしれませんが、私はさように考えておるということを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/79
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080・下平正一
○下平委員 これでやめますが、それでは今日の職場大会というものが、どうして汽車をとめるような状況になるのですか。職場大会をあなたはどのような規模で、どういう形で持たれるというようにお考えですか、それからまた職場大会がなぜ違法だという法律的な根拠があったらお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/80
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081・細田吉藏
○細田政府委員 私は職場大会がどのような規模で持たれるかということは、これは組合でいろいろ御計画になっているので、よくわかりません。ただその結果汽車がとまるぞということを言っておられるという話を聞いていることでございまして、職場大会を開くことによって列車に支障を及ぼすということは、明瞭に公労法違反だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/81
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082・下平正一
○下平委員 こういう労使の緊張した段階の中において、あなたが仮定の想像をされて——職場大会といいましても、御承知のように基準法があります。日鉄法があります。それらの範囲内に基いて、たとえば現場長の承認をとって職場大会をするとか、いろいろ職場大会の形があると思うのです。必ずしも労働力の提供を停止するストライキの形で行われる職場大会のみが職場大会とは考えられないのです。今日国鉄労働組合がやろうとしているのは、実は私もつまびらかのことを知っておりませんけれども、汽車をとめようという形、いわゆるストライキを行使しよう、労働力の提供を停止しようという考え方で職場大会が持たれるとは考えられないのですが、それらの仮定の問題について、今度の国鉄労働組合の争議は汽車がとまるようなことになるからこれは違法だ、こういう断定をあなたが下すことはやや私は早計だと思うのです。もっと慎重にそれらの問題点、あるいは計画等々を調査して、その上で結論を下すならよろしいのですが、軽々に想定の上に汽車がとまるのでは公労法違反だというような断定を公けの席上で下すということは、いささか国鉄部長、早計ではないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/82
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083・細田吉藏
○細田政府委員 速記録をお調べ願いましてもけっこうでありますが、職場大会即違法であるというようには私は申し上げておらないつもりでございますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/83
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084・淵上房太郎
○淵上委員長 河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/84
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085・河野正
○河野(正)委員 きょう総裁もお見えでございますから、総裁並びに当局に対しまして一、二所見を明確にさせていただきたいと思うのであります。今日国会審議が次々と行われておりますが、この国会審議を見て参りましても、きわめて大きな特色は、決算委員会におきましても、あるいはまた予算委員会におきましても、国鉄の汚職、疑獄、あるいはまた国鉄経営の粛正というようなことが、きわめて強く論議されているということでございます。こういった事態をながめて参りますと、これは今日まで国鉄当局が一部の特権階級あるいはまた業者等の御意思はよく尊重されますけれども、国民の意思、住民の意思はきわめて軽視されている、そういったところにこのような国鉄の疑獄、汚職の根源があるというふうに私ども考えて参っているわけでございますが、国民の批判と申しますか、国民の粛正をやってもらいたいという声といいますか、こういった民意に対しまして総裁はどのような御所見をもって臨んでおられますのか、まずその点を明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/85
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086・十河信二
○十河説明員 国鉄関係の汚職が世間でかれこれと批判せられていることにつきまして、私は衷心ざんきにたえないのであります。深く遺憾に思っております。国会でいろいろ論議せられることはもちろんのこと、私は国鉄を国民の国鉄として恥かしからぬものにしたい、こう考えまして、就任以来国民の声は努めて熱心にこれを聞いて、経営の上に反映させるように渾身の努力を傾けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/86
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087・河野正
○河野(正)委員 なかなか答弁は明確でございましたけれども、問題はそういったお考えをいかに実践していただくか、いかに具体的にこの問題を実行していただくかに私はかかっていると考えております。ただいま仰せのごとく、総裁が今日まで国民の世論、住民の意思というものを十分尊重してきたのだというふうにお考えでございますけれども、事志と違いまして、次々と汚職、疑獄が起って、国民の間にいろいろな峻厳なる批判の声がありますことは、総裁も御承知の通りでございます。
そこで私はさらに総裁にお尋ね申し上げたいと思うのでございますが、総裁はただいま仰せのごとく、今日までいろいろと国民の声をあらゆる角度から尊重するということに留意してきたということでございまするけれども、私ども最近いろいろ情報によりまして知り得たところによりますと、もうすでに総裁といたしましても個人的な見解も表明されておるようでございますが、今日経営合理化の陰に隠れて、幾多の現地の従業員が不安におののいておるという事態がございます。具体的に申し上げますならば、先日も当委員会において取り上げました志免鉱業所の売山等の問題でございますが、こういった問題は現地の皆様方が、非常に大きな不安を持って見守っておられることは当然のことでございます。またそういった立場からいろいろと現地の従業員、あるいはまた現地の従業員と関係のございます地方自治体の皆様方が、この問題に対しまして非常に大きな関心を持っておられますことは、総裁自身十分御承知のことだろうと考えておるのでございます。先ほど冒頭に私が指摘いたしましたように国民の世論と申しますか、住民の意思に対する態度をお尋ね申し上げたのでございますが、これに対して、総裁は明確にしかも声を大にして、そういった住民の声なりあるいはまた国民の声というものは十分尊重するように努力してきたということでございまするけれども、こういった具体的に申し上げますならば、志免鉱業所の売山問題等につきましては、何ら住民の意思なりあるいは現地の従業員諸君の意思が尊重されておるというように、私ども了解して参るわけには参らぬのでございますが、その点に対しまする総裁の御所感を明確に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/87
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088・十河信二
○十河説明員 私は国民の声は聞きますが、その声が正しくない、これは誤解である、間違っておると思うときには、十分遠慮会釈なしにこれを正すことを旨としております。昨日も予算委員会で御質問がありましたので、簡単にお答えをしておきましたが、国鉄は今日何が一番困っておるかというと、輸送が十分にできない、従っていろいろな事故が起って、死傷者を出すような悲惨な事故が起って、輸送の安全が十分に保たれないというような点にあると思うのでございます。私の部下が約四十五万人でございますが、そのことごとくが神様のように間違いを起さないということは、これはできないことでございます。そこで国会でもたたび御批判がありますように、私はもち屋はもち屋で輸送業に専念したい。輸送業だけですら十分国民の御満足をかち得ることができないのであるから、たびたび御批判のある外郭団体であるとか、あるいは外郭事業であるとか、そういうものはでき得るだけ整理していきたい、これが国のためである、これをすることが国民の声に従うことである、私はさように解しております。また私は四十五万のおやじとして、四十五万の職員は自分の子供だ、こう考えております。子供は時としてだだをこねます。私も自分の家庭でしばしば経験しております。そのだだをこねる子供のだだをそのまま聞いては、これは親の務めでないと思います。輸送の専門のことなれば、私も多少の知識を持っております。また国鉄にはそれぞれ専門家が多数おります。技術者もりっぱな技術者がおります。ところが事炭鉱になりますと、これは国鉄にたった一つ志免炭鉱を経営しているだけでありますから、炭鉱の専門家はほとんどいない、技術者もいない。ところが御案内の通り志免炭鉱というものは特殊の炭鉱でありまして、非常に悪水が多い、ガスが多い、危険なんです。私は輸送で事故を起してひどく心を痛めました。この上さらに炭鉱で爆発でも起されようものなら大へんだ、私はその点を絶えず非常に苦慮いたしております。できるならばこういう炭鉱は、子供を安全に守る上からいっても、りっぱな技術を持っておるような専門家があってこれを経営してくれるならば、そういう方にお願いしたいという考えをかねてから持っております。ところがすでにたびたび国会でも論議の対象になりましたように、行政管理庁からもまた政府でお作りになりました委員会からも、志免炭鉱は、いろいろな困難はあるであろうが、すみやかにこれを適当な事業会社に移譲すべである、こういう勧告なり、決議なり、答申なりが出ております。そうして政府も国会も、この答申に従って処置しろという御趣旨のように私は承知いたしておるのであります。それゆえに私はできるだけ早くその趣旨に沿うような処置をとりたい、こう考えておりますが、何さま事はただ物の売買、山の売買ということでなく、ここに三千五百人という従業員が生活をしておるのでありますから、これは慎重に考えなければならぬ、それらの職員の生活の安定するように、何ら不ら安のないようにすることが私の任務である、こう考えております。昨日も申し上げましたが、国鉄は電化、ディーゼル化ということを方針として、すでに国会の御承認を得て、本年度の予算において着々実施いたしております。従って国鉄の消費する石炭の分量は年々歳々減って参ります。また志免炭鉱の鉱量というものも、今日の規模で採掘するならば、おそらく五、六年後あるいは四、五年後には非常に規模を縮小するか、あるいは何らかの方法を講じてやらなければ、従業員にずっとこのまま続いて志免炭鉱で働いてもらうことは困難な状況になりはしないか、そういうことを考えますと、この三千五百人の従業員が日々やや不安の情にかられはしないか、これはまことに相済まぬ、気の毒だ、だから適当な炭鉱業者にこれを譲り渡して、そうしてこの従業員を引き取ってめんどうを見てくれるところがあれば、従業員もさだめし安心をするであろう、私はかように考えまして志免炭鉱を譲渡したいということを慎重に考慮いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/88
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089・河野正
○河野(正)委員 ただいま総裁の御答弁を承わりましたが、私ども全く満足するわけに参りません。ことに正しい意見は尊重するけれども、正しくない意見は尊重しがたいというお言葉がございましたが、この点につきましてはことに私は不服でございます。と申し上げますのは、今日地元民あるいは現地の従業員が、真剣にこの問題を論議して参りまして、あらゆる角度から、交渉の段階においてこの売山問題が不適当であるというふな結論を出して参りましたにもかかわらず、そういった血の出るようなまじめな意見というものを、あたかもだだっ子が言うだだであるというふうにおとり願いましたことにつきましては、私ども全く承服して参るわけにいきません。総裁がいろいろ具体的な問題を取り上げて論議され、そしてみずからの発言の正当性を強調されておるのでございますけれども、しかしながらその陰には非常に大きな矛盾がたくさんございます。たとえば志免鉱業所におきましてはりっぱな技術者がおられぬので、この人たちに対しても自分はいつどのような不幸な事態が起るであろうかということで、日夜深慮しておるというようなお言葉もありました。それならば私ここで反問いたしますが、今日志免鉱業所の業務の実態を見て参りますと、昭和二十四年当時を一〇〇といたしますならば、今日はその約二倍の能率を上げておりまするし、また志免鉱業所だけの問題では不適当でございますならば、九州大手の出炭量、能率等々と比較いたして参りましても、決して遜色はないというのが今日の志免鉱業所の実態でございます。総裁は、専門家がおらぬので自分は非常に心配しておるとおっしゃっておりますけれども、しかし業務成績から見て参りますと、私が今いろいろ申し上げますように、非常に大きな成果を上げておる。これは明らかに適当な技術者なり専門家がおるから、かようなりっぱな成績を上げておる。言葉をかえて申しますならば、本年度におきましては一億円の黒字を出すであろうというふうな予測もされておりまするし、またこの点につきましては、国鉄当局の小林常務も、最悪に見積っても三千万円の黒字であるということを当委員会において明らかにされております。そうして参りますと、先ほど総裁がおっしゃいましたいろいろな事項というものにつきましては、私は非常に大きな矛盾があるというふうに思うのでございますが、この点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/89
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090・十河信二
○十河説明員 もちろん現地におりまする技術者はりっぱな技術者であります。また従業員もすべて善良なりっぱな従業員であることは私も認めております。今お話のありましたように、今年は相当成績を上げておるということも私は承知して、せんだっても現地の労働組合員が出て参りましたときに、冒頭に私はそのことを感謝して、心から礼を述べた次第であります。しかし本社におきましては、炭鉱の技術者は一人もいないのであります。三井にしても三菱にしてもどこにしても、現地にりっぱな技術者がおるだけでなく、本社にそれぞれ専門家がいて、それが絶えず交流をして、新しいいろいろな科学技術を応用して成績を上げると同時に、また安全な採掘のできるようにやっております。そういうことが国鉄では遺憾ながらできないのであります。私にはそういう能力がないということを申し上げたのであります。もちはもち屋で、自分の力が及ばぬようなことはなるべく切り離して、自分の専門のことだけを国民の皆さんに御迷惑をかけないようにしたい、また従業員に間違いの起らないように、けがのないように念願しておるということを申し上げた次第であります。成績を上げておることはひとり炭鉱だけでなく、鉄道の面におきましても、漸次従業員諸君の努力によって、非常な無理をしておるにかかわらず、りっぱな成績を上げております。私は常々これを感謝いたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/90
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091・河野正
○河野(正)委員 ただいま総裁の御答弁を承わって参りますと、自分にその能力がないので、この志免鉱業所の払い下げをやりたいというような御答弁でございますけれども、個人の能力には限界があると私は思います。それで自分は鉄道専門家とおっしゃいますけれども、総裁が鉄道の一から百まで御存じかと申しますると、私は必ずしもそうではなかろうと思います。私も医者で医者のことは専門でありますけれども、もちろん私は婦人科でも小児科でもわかるというわけではございません。さようなふうに個人の能力には限界があるわけでありますから、自分がその方面に欠けておる、そこでこの企業は国鉄企業から切り離すべきだというような断定はあまりにも私は犠牲が大き過ぎる、かように考えるわけでございます。しかも本社の方に専門技術者がおらぬということでございますけれども、しかしその人員というものは、現地の従業員に比べますれば、微々たる人員で私は済むと思います。そういった配慮を何らみずから実行することなくして、そしてことごとくその犠牲を現地の従業員に背負わせてしまうということは、先ほど総裁は、自分は四十五万国鉄の従業員の父である、こうおっしゃっておりますけれども、こういう実情から見て参りますと、ほんとうに慈父のような態度で臨んでおられる父と申し上げますよりも、ままおやじと申し上げた方が、私は適当ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかもいろいろ考えて参りますと、今日国鉄当局が汚職、疑獄で非常に大きな国民の批判と厳粛なる指摘とを受けて参っておるのでございます。ところが先ほどから総裁は、何あ根拠におっしゃっておるのかわかりませんけれども、この志免鉱業所の生命は五年か六年しかないというようなことを、おくめんもなくこの公開の席上でおっしゃっておりまするが、私はその根拠が知りたいと思うのでございます。と申しますのは、もう五年か六年しか生命がないのに、いわゆる住友、三井、三菱というふうな大手が、譲ってもらいたいといってわんさわんさと押しかけて参っておるということは、常識ではとうてい考えることができないのであります。企業でございます以上、利潤を追うということは当然の理でございますが、そういった企業の皆さんが、ぜひとも何とかおれの方に譲ってもらいたい、こういう考え方の底には、やはりこの企業は採算が立つという見込みに立ってのことであるのは、これは常識上の判断でございます。ところが総裁は、何の根拠で言っておられるかわかりませんけれども、志免鉱業所の事業生命は五年か六年だ。これを私翻して申し上げますと、これは総裁が何らか企業の諸君と腹を通じて、志免鉱業所をどうせ譲ってもらうならば、なるたけたたいて安い値段で譲ってもらおうというようなことが、第一のねらいであると思う。きのうも予算委員会で、志免鉱業所の売山問題については、汚職、疑獄があるのではないかという質疑も行われたということを拝聴いたしておるのであります。そういうことが許されるといたしますならば、私どもこれは考え過ぎかもしれませんけれども、やはり考えたくなるのでございます。それと第二のねらいといたしましては、やはり従業員に納得せしめるためには、もう志免鉱業所の生命は五年か六年しかないのだ。そこでもうそろそろこの辺で手放した方がいいのじゃないかというふうに、従業員に納得せしめるということが、第二の手段として使われておると思う。ところが現地を見て参りましても、少くとも五年、六年ということでなくて、大体五十万トン出炭をいたしましても、約三十年は保てるというふうに、現地の専門家は言を強くして公表いたしております。にもかかわりませず総裁が、このような公開の席におきまして、五年か六年しかないと言う言葉の裏には、私はさっき申し上げますように二つの大きなねらいがある、かように指摘せざるを得ないのでございまするが、この点に対しまする総裁の明確なる御答弁をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/91
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092・十河信二
○十河説明員 ただいまのお言葉は、私はなはだ遺憾に存じます。私が初めに申し上げましたように、国鉄は電化、ディーゼル化をやって、国鉄の石炭の消費量は年々歳々減っていくのだ。年々歳々減っていくために、現在の規模で掘り得る期間は五、六年くらいじゃないかということを申し上げたので、志免炭鉱それ自体の埋蔵量はどれだけあるか、どれだけ採掘できるかということは、私はつまびらかに存じません。存じませんが、国鉄は電化、ディーゼル化を促進して参りますために、国鉄の消費炭はだんだん減って参りますから、現在の規模で掘り得る期間は五、六年で、あとは距離の関係その他で、志免炭鉱から遠くへ送るということは、輸送力の不足の際不経済でありますから、そういうふうな規模を縮小するとか何とかいうことになりはしないか。そういうことのために、従業員が減員をきれるのじゃないかというような不安を持ちはしないか。そういう不安があれば、そこにいろいろな動揺が起ってくるし、また誤解も起ってくるから、そういうことのないように、その不安を取って、安心して働いてもらうようにしたいということが、私の親心だと申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/92
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093・小山亮
○小山(亮)委員 関連して。私は十河総裁に御質問申し上げることは今初めてなんですが、先ほどの十河総裁のお話を伺っておりますと、志免炭鉱を売るということは、これはきわめて重大な問題ですし、今非常に大きな問題になっているのでありますが、総裁は、炭鉱の方には適任者がいる。きわめて善良な従業員が働いていてくれるし、すぐれた技術者もいるのだ。しかし本社の方にそれに対して監督する人間がないのだ。なかんずく自分は、炭鉱に対しては全くしろうとだ。だから炭鉱を売るのだというふうにさっきおっしゃった。一体そんな考え方で、国鉄の財産というものは始終手放されているのでございますか。もしかりにあなたがそういうお考えならば、あなたは船のことに対して御経験がおありですか。あの紫雲丸だとか洞爺丸だとかいう事件がたくさん起りましたが、あの場合にあなたは非常に悲痛なことをおっしゃった。それは国鉄の本社に、あの船なんかに対するところの知識を持った人がない、だからああいう事件が起ったということなんです。今多少機構の改革をなさいましたけれども、われわれから見ればみなしろうとですよ。そのしろうとでも、やろうと思えばできるのです。もともと生まれながら、船の中から生まれてきた人間はないのですから、やろうと思えばできるのです。それをやろうと思わないのですよ。あなただって炭鉱の一つくらい経営なさることは何でもない。過去において、あなたが満州その他において仕事をやっておいでになった事績を私は知っていますが、あなたは自分が何も経験がないことをどんどんやっておられた。しかるにこの問題だけを、あなたは自分が経験がないからできないと言っても、そんなことは通りませんよ。しかもまた今おっしゃるように志免炭鉱は、だんだん石炭が要らなくなるから、だから志免炭鉱を売るのだとおっしゃるが、要らなくなったら、よそから石炭を買うのをやめたらいい。よそから石炭を買わないで、自分の炭鉱で間に合せて、そうして一番最後に、ほんとうに石炭が一かけらも要らなくなったときに、志免炭鉱をお売りになったらいいじゃないか。私はおっしやることを聞いていれば聞いているほど不思議に思う。またあなたの御常識では当然だとお考えになることが、私どもの常識では全く通らないことをおっしゃる。そういうことを何べんも、何時間も繰り返しておっしゃっても、われわれは納得することはできませんよ。この志免炭鉱を買ったのは国民の金ですから、これは国民のものなんです。しかも国鉄が今日疑獄というようなことをいろいろ言われる原因はどこにあるかというと、国鉄が過去に持っておったところの財産を、あるいは外郭団体だとかなんとかいうものに、いともたやすく、想像もつかぬような安い値段で売って、その外郭団体にどんどんもうけさしている。そこに疑問が起きてくる。だから今持っているところの国鉄の財産は、これはあなたの方は要らないのだと思ってお売りになっても、その売り方によってはまた疑獄があって、疑獄の上にさらに疑獄を積み重ねるということになるから、それを心配してみんなが言っているのですから、その点については総裁ももう少し慎重にお考えになって、御答弁下さらんことをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/93
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094・十河信二
○十河説明員 私は、何も私の一存で志免炭鉱を売るというようなことは、絶対に考えておりません。(「今おっしゃった」と呼ぶ者あり)いや、私は売りたいと思っているという答弁をしたわけです。私が売る決意をするためには、国鉄部内では国鉄の理事会にかけ、監督官庁の承認を得、それぞれの手続を経てやらなければならぬのであります。私の一存でどうこうするということはもちろんできない。それから志免炭鉱の私の聞いておるところは、私は炭鉱のことは、もと満州で久義上炭鉱会社の社長をやったことがありますけれども、炭鉱のことはもう全く知らないのです。知らないのですが、私の承知しておる限りにおいては、志免炭鉱の炭質は国鉄で消費するには少しもったいない、日本のような資源の少い、今後化学工業方面に発展していかなければならぬ日本の国としては、資源局の局長からも内閣総理大臣に勧告のありましたように、またその他の委員会でもいろいろと検討をせられましたように、これは原料炭として使うべきであるというふうな御意見でありまして、私もそのように心得ておるのであります。それゆえに私は事をガラス張りの中でやりたい、こう思いますから、私の考えは率直にここで申し上げたのであります。きのうも予算委員会で、売るも売らぬも何もまだきまっていない、私自身はこういうふうにしたい、従業員はこういう不安を持っていはしないか、だからして自分はその不安を取り除いてやりたい、そういう親心からも自分がこういうふうに考えておるということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/94
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095・正木清
○正木委員 関連して。私は簡単に総裁に御質問を申し上げると同時に、一言御注意を喚起しておきたいと思うのですが、同時にそのことは常任委員長も政務次官もお聞きを願いたいと思います。総裁はもちろん鉄道出身でございまするから、事輸送に関してはわれわれの及ばざるところのりっぱな知識と経験をお持ちでございます。幸か不幸か、実は私は正直のところを言うと、小さいながらも炭鉱を経営した者のせがれでございまして、私は事炭鉱に関しては十分経験と知識を持っているつもりでございます。そこで私の質問は、なるほど行政管理庁、それからお宅が作りました経営調査会等で、外郭団体は努めて整理してはどうかという答申案がなされたことも承知しておりまするが、その行政管理庁及び調査会が答申いたしました骨子は、国鉄自身はこれだけの従業員を持ち、これだけの大規模な経営をやっておるのに、あまつさえこういう外郭団体を持っておるから、間違いがしょっちゅう起きておるのじゃないか。その起きておるのじゃないかという一つの例は、現に決算委員会でも取り上げられ、予算委員会でも取り上げられ、当委員会でも取り上げられておるガード下のああいう不祥事が起きておる。こういうことを指摘しておるのです。ですからあなたもその熱意を持ってこれを改革して、鉄道の運賃すら上げようというときですから、成績さえ上って、それが国鉄の収入に大きなお役に立つのであるならば、何もことさらにこれを進んで処理しなくてもいいというのが常識論ではございませんか。私はそう考える。そこで志免炭鉱の場合にも、非常に炭況が不況であって、御承知のように通産省から出てきた法律案はあなた御存じかもしれませんが、石炭の合理化法案が出まして、そしてわれわれ議論したけれども、当議会を通過して、さて中小炭鉱を買山を始めようとしたとたんに経済が好転して参りまして、今一体日本の経済を押えているのはどこかというと議会が法律でもってそういう小さい小山を政府の責任において買収し、そして石炭の生産を調整しようとして努力しようとする、この小さな小山の出炭量によって今の日本の経済というのは維持されておる。考えようによると、世の中は不思議といえば不思議です。皮肉といえば皮肉です。そこで志免炭鉱の一体現在の営業成績はどうかというと、あなたはよくお調べになっていただいたと思うのですが、残念ながらあなたは専門家でないとおっしゃるから自が信ないのだ、私はこういうように想像いたします。たとえば昭和二十四年に五千二百四十一人おった従業員が、三十一年度になりますと三千五百十六人に減っている。パーセンテージからいうと六割四分に減ってしまいました。ところが出炭はどうかというと、これは売ってくれるのであれば私も買いたいと思うくらいなんですが、驚くべき成績を上げておる。その出炭量はどうかというと、この五千二百四十一人おったときは、国鉄の志免炭鉱の従業員の一ヵ月の出炭量というものはわずか六トン五分八厘、九州の大手筋関係は六トン九分五厘掘った。ところがこれが三十一年度になりますと、大手筋の炭鉱の労務者の一ヵ月の出炭量をはるかに突破いたしてしまいまして、一八・二という数字が出ておる。ですからあなた方しろうとの諸君、国鉄本社にいる全然炭鉱に御経験のないしろうとの諸君ですらが、志免炭鉱はえらいもうかるのだ、黒字になるのだと、こう言い出してきた。そこで私どもの計算からいうと、少くとも今年度は一億以上の黒字は必至でございます。
それからもう一点あなたに注意を喚起しておきたいと思いますことは、なるほど国鉄が近代化をいたしますから、石炭の必要量というものは、あなたの言葉をかりれば年々歳々減って参りましょう。減って参りましょうが、現実にあなた五年や三年でそう減るものではありません。かりにあなたが商売的な企業的なほんとうの感覚を持っているのなら、考えてごらんなさい。現実に今の石炭の不足というものは、戦争中より以上に不足をしているのです。重油、ガソリンを議論いたしておりまするけれども、石炭の不足は深刻なものです。ですからこの志免炭鉱で出炭される石炭の価格に比べて、買い入れる石炭はトン百円近く高い。五十万トンで一体どういう価格の相違が出てきますか。
それからもう一つ、あなたに申し上げることはどうかと思うが、私が国鉄の経営の点でそこにお役人的な感覚がいやでもおうでも出てくるということは、九州で一つの山を持っておって、五十万トンの石炭を出すことによって——しかもこれは非常に優秀な炭質を持っておる。ちょっと日本で珍しい炭質を持っておる。これにカロリーの少い石炭を買って、これを混合して使うことによって、国鉄に一カ年間に与える利益というものを考えてごらんなさい。総裁、総裁、お聞きなさい。現実に志免炭鉱の炭量がもう五、六年でなくなってしまって、今まで投下した資本も回収できないで、そして大きな損失を年々歳々しておるのであるならば、私はかようなことを申し上げない。日本で特殊な優秀な炭質を持っている炭鉱で、現在の出炭量をもってしても、専門技術家は今後三十年は保証するという太鼓判のついた山、しかももうかっておるのですよ。あなたはよく、うちの従業員は他の産業と比較して非常に成績を上げているのだと言い、あなたはお父さんだと言うのですが、お父さんですから宣伝するように、この山の成績というものは記録破りですよ。ですからこういう事実をもう少しあなた御研究なさい。あなたはお知りになっておらないのです。ですから場合によっては、あなたのところへわんさわんさ押しかけてきている大手筋の専門家でもいいじゃありませんか、それから多少われわれのように炭鉱に自信を持っておる者も加えて調査会でも作って、政務次官あたりが先頭に立って現地に行って、専門家の意見をすなおに聞いたらいいじゃありませんか。一体この山の現在埋蔵しておる炭量は何百万トンあるか。そして現在掘っている一カ年間五十万の出炭は今後何十年続くか。そして大手筋の従業員の一ヵ月の出炭量とお宅の山で掘っている一ヵ月の出炭量とを比較すれば、ごまかしはきかぬのです。これは全然ききませんよ。驚くべき成績を上げておるのです。大臣はお忙しいでしょう。そしてあなたも知らない。あるいは失礼ですが政務次官も知らないかもしらぬ。あなたのところへ来ている大手筋の専門家でもいいですよ。それから日本には事炭鉱に関しては学界に世界でも有数な識者がおりますから、これも加えてほんとうに御調査下さい。その上で、この山を国鉄が持っておることによって、どうしても国民に大きな迷惑を与えているのだ、こういう結論が出たときに、売るとか売らないとかという議論をされてもおそくはないではないか。そしてまたこの山の将来は非常に有望で、決して国鉄の経営に迷惑をかけないのだ、こういう自信がついたらお売りになることはおやめなさい。売る必要はないのです。ガード下のあの利権とこの山をごっちゃにお考えになって、行政管理庁からの勧告だ、やれ経営調査会からの答申だということで取り扱われたのでは、国民ははなはだ迷惑すると思うのです。私はあなたにことさらに答弁を求めようとはいたしませんが、あなたも非常に慎重を期しておるようでございますが、さらに慎重を期する意味においても、十分なる権威者を網羅したあなたのもとにおける機関を作って、その機関の答申に基いて最終的な決意を固める、こういう処置をとることが望ましいのではないか。私の調査したところによると、この山を買った経営者は、どのような大きな金を出してもことしは大した利益になるのです。私から言うとあほらしくて話にならぬのです、議論にならぬのです。どうかこういう点について総裁は十分に慎重を期してもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/95
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096・十河信二
○十河説明員 いろいろ専門的な御注意を伺いまして、私は心からお礼を申し上げます。私はたびたび申し上げるように、自分はこう思うが、慎重に考えておるのだ、まだ国鉄としての意思決定も何もしていないのだ、こういうことを申し上げておる。ただどう思うかとおっしゃるから、私は今こう思っておると、私の腹の中まですっかりガラス張りで皆さんにお目にかけているだけの話です。もちろんこれを処置する場合には、十分慎重を期するということは当然であります。御注意を感謝いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/96
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097・淵上房太郎
○淵上委員長 この問題はさらに後日に譲ることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603830X00619570305/97
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