1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月九日(火曜日)
午前十時二十九分開議
出席委員
委員長 菅野和太郎君
理事 赤澤 正道君 理事 有田 喜一君
理事 齋藤 憲三君 理事 志村 茂治君
須磨彌吉郎君 保科善四郎君
山口 好一君 石野 久男君
岡本 隆一君 田中 武夫君
滝井 義高君 松前 重義君
出席政府委員
科学技術政務次
官 秋田 大助君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 原田 久君
総理府事務官
(科学技術庁原
子力局長) 佐々木義武君
厚生事務官
(医務局長) 小澤 龍君
通商産業事務官
(大臣官房長) 松尾 金藏君
委員外の出席者
総理府技官
(科学技術庁原
子力局アイソト
ープ課長) 鈴木 嘉一君
文部事務官 広瀬 英三君
労働基準監督官
(労働基準局労
働衛生課長) 加藤 光徳君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関
する法律案(内閣提出第一二八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/0
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001・菅野和太郎
○菅野委員長 これより会議を開きます。
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案を議題といたします。
通告に従いまして、質疑を許します。齋藤憲三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/1
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002・齋藤憲三
○齋藤委員 第一にお伺いいたしますのは、この前私が御質問申し上げました点に対する御回答によって、大体この放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律案の内容は、現在われわれの考えられる放射線の中からエックス線を除外するという建前でこの法律案が作られておるように存ずるのでありますが、この法律案の名称であります放射性同位元素等というその「等」はなぜ一体つけたのか、これを一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/2
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003・佐々木義武
○佐々木政府委員 放射性同位元素等の「等」は、第二条の3並びに4にあります装備機器あるいは放射線発生装置等もこの規制の対象になっておりますので、「等」というふうに入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/3
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004・齋藤憲三
○齋藤委員 そうしますと、この放射性同位元素等というのは、放射性同位元素とそれからその放射性同位元素を用いるところの装備機器、あるいは放射線発生装置というものを含めるために、その「等」という字をつけたんでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/4
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005・佐々木義武
○佐々木政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/5
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006・齋藤憲三
○齋藤委員 そういたしますと、今度お伺いいたしますのは、もう一ぺんお確かめを申し上げておきたいのでありますが、この第一条に、「この法律は、原子力基本法の精神にのっとり、」と書いてありますが、その原子力基本法の精神ということはどういうふうにここで解釈をしたらよろしいか、一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/6
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007・佐々木義武
○佐々木政府委員 「原子力基本法の精神にのっとり、」といいますのは、先ほど問題になりましたように、「等」ということがございまして、必ずしも基本法で定めました範囲のみじゃございませんので、「基き」ということになりますと非常に局限されますから、「精神にのっとり、」ということで、その精神をくみまして、基本法に関連のある事項も含めてこの法律の範囲内にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/7
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008・齋藤憲三
○齋藤委員 特に、「この法律は、原子力基本法の精神にのっとり、」というふうに書かれておりますが、私は放射線障害というものは、要するに放射線全部を含んだ一貫した態勢を整えるという精神のように考えておるのであります。それでありますから、この放射線というものの中から特にエックス線障害を除去して、この放射線障害を取り扱うということになりますと、将来非常に紛淆を来たすおそれがあるのではないかと思う。なぜかと申しますると、そのエックス線と、ガンマ線というものは、性質上ほとんど同じなんです。その発生せしめるところの装置というものは、あるいは違うかもしれない。しかし、ガンマ線という性質に至りまするとほとんど同じであって、ただ波長がわずかに長いとか短かいということで、今、区別しておるのであります。たとえて申しますと、私の非常に乏しい知識でございますが、このエックス線というのは、波長にすると一から〇・〇〇一オングストローム、ガンマ線というのは大体一から〇・〇〇五オングストロームで、ほとんど同じなんです。それでございますから、従来のいろいろな御配付を受けました参考資料を見ましても、みんなエックス線またはガンマ線と書いてある。エックス線とガンマ線は同じくその障害の対象として今日まで取り扱ってきた。それを麗々しく「原子力基本法の精神にのっとり、」と書いてあるこの法案が、どうしてこんな同列に扱うべきガンマ線とエックス線とを別にして障害防止法の体系を作っていくのか、私らはどうしてもわからぬ。そんな器用なことはできないのです。だから発生装置という部面においては違うかもしれないけれども、ガンマ線の障害ということからくれば、これはエックス線の障害と同じなんです。それをどうしてその障害を区別して取り扱うのか、私ははなはだ了解のしにくい点であると思うのであります。この了解点に達しませんと、私は絶対にこの法案に対して心から賛意を表するという心境に達し得ないのであります。きょうは特に関係官庁の担当者に御出席を願って御説明を願いますから、何時になってもよろしいから、得心のいくまで一つこの点を御解明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/8
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009・佐々木義武
○佐々木政府委員 「精神にのっとり、」というのは、先ほど御説明いたしましたように、原子力基本法の二十条を見ますと、「放射性物質及び放射線発生装置」という二つに限定されておりまして、放射性同位元素装備機器、ガンの治療のための照射装置とかいったようなものは、これに含まれておるかどうか不分明でございますので、「精神にのっとり、」ということで、精神を生かしてそういうものまで付加するというように解釈しておるのでございます。
それから、この前、齋藤先生からお話のありましたエックス線を、この法案からなぜ除外したかという説明でございますが、こういうふうに私ども理解しております。放射線の発生過程には二つの分類がございます。一つはどういうことかと申しますと、放射性同位元素から一次的または二次的に発生するエックス線がございます。もう一つは、エックス線の発生装置に電流を通すことによって、人工的に発生するエックス線がございます。同じエックス線でございましても、発生の過程に二つの違うものがございます。そこで、原子力基本法、第三条第五号に規定しておりますこの放射線は政令で定めるということで、まだ政令はこの前お話申し上げましたようにきめておりませんが、この法律がきまりますれば、それに基いて直ちに政令を出そうというふうに考えております。そこで、ただいま考えております政令の中に、二つあるエックス線を全部ひっくるめるか、あるいは一部をひっくるめるかという問題になってくるわけでございますが、私どもは、この政令には、二つあります種類の中で、前者のエックス線のみを含めるというふうに解釈いたしたわけでございます。なぜかと申しますと、放射性同位元素から発生するエックス線に関しましては、これは原子核変換の過程において、百原子核から直接には放射されませんが、従いまして基本法にあります「「原子力」とは、原子核変換の過程において原子核から放出されるすべての種類のエネルギーをいう。」というその範疇には、必ずしも入らないのであります。それから、その規定から出て参りますいわゆる放射性同位元素から間接的にこの放射線が出る場合もございますので、これは原子力の利用というものに密接不可分であるということで、前者の方はエックス線という名前でございますけれども、この中で、核分裂物質から間接的に同位元素という形態をとって出て参りますのは、この中に含めるというふうに解釈したのでございます。後者の方のいゆわる通常使っておりますエックス線発生装置に電流を通じてやりますのは、核分裂を起して、その結果出て参りますエネルギーではないのでありまして、直接的にも間接的にも、原子核変換の過程とは全然関係のないものでございます。従いまして、後者の方はこの規定から落すというふうに、政令を書く際には定めたいというふうに考えております。従いまして、本法の第三条第一項におきます「原子力基本法第三条第五号に規定する放射線をいう。」というのは、ただいま申しましたように、放射性同位元素から発生するエックス線というふうに御理解願いたいと思うのであります。従いまして第二条第四項にあります「放射線発生装置」というのは、普通のいわゆるエックス線発生装置から出ますエックス線は、核分裂とは何らの関係がないものでございますから、同様除外するというふうに一貫して御解釈いただきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/9
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010・齋藤憲三
○齋藤委員 ただいまお話の中に、放射性同位元素から出る放射線というものは、核分裂の作用によって出てくるのだというようなお話がありましたけれども、これは核分裂によらずして放射線が出るのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/10
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011・佐々木義武
○佐々木政府委員 核分裂そのものからはガンマ線が出るわけでございまして、同じエックス線のような性質のものでございます。そうじゃなくて、直接はエックス線は核分裂からは出ないのでありますが、その核分裂をするものから生じます放射性同位元素が、エネルギーを出す際に、その周辺にあります電子を振動し、その他によってエックス線が生ずるわけでございます。従いまして、間接的に生ずるというふうに先ほどお話ししたつもりでございます。間接的に放射性同位元素からエックス線というものは生じてくる。従って、そのエックス線は当然その中に含ますべきものじゃなかろうかということでその中に含ませておりますが、後者の方の人工的に出す方は、核分裂と何らの関係がございませんので、これは除外するというふうに規定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/11
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012・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまの齋藤委員の御質問に関連してお伺いいたします。これは齋藤委員がお尋ねしたのかと思いますが、本法案の最初の審議会の答申ですかの場合には、今、問題になっておりますエックス線、放射線を含む、こういうことになっておったのが、今、除かれておる。それが今の御説明では核分裂によらないから、人工的に出すものだから含まないのだ、こういうような御答弁のようなんですが、しかし人工的であろうがあるいは自然的であろうが、出てくる放射線の障害というものは同じじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/12
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013・佐々木義武
○佐々木政府委員 エックス線の中に二種類ありまして、前者のみはこの法律の中に含まれる。人工的に放射いたしますのは核分裂の変換そのものに何ら関連がありませんので、この法案の適用範囲外にいたしましたのが一つの理由でございます。もう一つは、エックス線に関しましては、少くとも非常に多く使っております医療方面に関しましては、医療法がございまして、医療法の施行規則等でこれの取締りができておりますので、その方にゆだねたい、こういうふうに考えておるわけでございます。なお、工業用あるいは大学等で用いておりますものに関しましては、ただいま取締り法規がないのでありますけれども、しかし、労働基準法そのものでもって、取締り法規のできますまでは、一応その方面を取り締るというふうに御解釈いただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/13
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014・田中武夫
○田中(武)委員 この法律の目的が、放射性同位元素等による云々となっておりますので、もちろんエックス線が人工的に出されるものは、この法律の目的の放射線じゃないと思うのです。しかしながら、出てくるところの放射線による被害というものは同じじゃないかと思うのです。
それからもう一つ、厚生省関係の医療法関係で取締りができる、こういうことですが、何かこれによると記録するとかなんとかいういろんな措置がありますね。ところが厚生省の関係のものでは、そういう措置がないと思うのです。そうすると、やはり取締りというか、管理がおろそかになると思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/14
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015・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 医療法の対象になっております診療エックス線装置に関するお尋ねでございますので、私からお答え申し上げます。今回、この法律で、診療用レントゲン線を別にしたという理論の源は、先ほど佐々木局長からもお話し申し上げた通りでございます。病院、診療所で用いておりますエックス線につきましては、すでに古く昭和十二年に内務省令をもちまして、診療用エックス線取締規則が出たのでございます。その結果、従来相当多数発生しておりましたエックス線による障害あるいは直接電気に触れるところのショック死というようなものは非常に少くなったのでございます。しかしながら、その後なおエックス線障害のきわめて軽い者、すなわち白血球の減少というようなものがなお見られまするので、一昨年日本医学放射線学会に諮問いたしまして、御検討を願いまして診療従事者、患者並びにその他の者に対する障害をできるだけ防いで、なおかつ適正な医療目的を達成できるような基準の作成をお願いいたしたのでございます。その結果、昨年の二月に新たに医療法施行規則を改正いたしまして、ただいまその基準によって監督、指導、取締りをすることになっておるのであります。私どもといたしましては、この新しい改正によりまして、診療用レントゲン線によるところの障害は相当に防ぎ得るものだ、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/15
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016・田中武夫
○田中(武)委員 新しく改正せられた医療関係の規則と、この法律によって実際上の取扱いの点において違う点を、一つはっきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/16
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017・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 この点に関しまして、科学技術庁の方ともだんだん相談をいたしたのでございますけれども、御指摘のごとくに、発生装置は質的にも違うものでございますが、出て参りますとこのエネルギーというものは、かなり似たものでございますので、今後ともに私どもといたしましては、この新しい法律の精神にのっとって、これを運用していかなければならない。従いまして、絶えず科学技術庁と連絡をとりまして、われわれの方の取扱いにおいてはなお改正する必要があるものは時を移さず改正いたしまして、この法律制定の趣旨に私どもの方も合せていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/17
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018・田中武夫
○田中(武)委員 この新しい法律ができましたら、この趣旨にのっとってと言われるなら、同じようにしたらいいじゃないかと思うのですが、なぜ一緒にできないのですか。ということは、この法律の名称なり目的が同位元素の云々というのであるから、これと違う、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/18
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019・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 先ほど申し上げましたように、理論的にも違う。つまり発生の装置が質的に違うということが一つ。それからもう一つは、同位元素によるものは常時エネルギーを発散して、ガンマ線を出しておるわけでございますけれども、診療用のレントゲンは、使用するその都度発生するだけのものでございます。なお、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、レントゲンの取締り、監督については、相当多年の経験を積んでおりまして、障害の防護に万全を期しておる次第であります。それでありますので、従いまして、同位元素の取扱い方とレントゲン装置の取扱い方は、完全に同じでなければならぬということはないと思うのであります。ただ、同位元素の取扱いが科学の進歩とともに変れば、それに順応した変り方をしなければならぬと存じますけれども、同じような取扱い方をしなければならぬ、さようには存じていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/19
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020・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど来、理論が違う、だから別だ。これは発生の原因というか、それが違うのだから、同じようにしなくてもいい。それはその面においてはそう言えると思うのです。しかしながら、この法律自体は放射線から出てくる災害をいかに防止するかということじゃないですか。そうするならば、出される放射線が同じような性質のものであるならば、一方で間接的に出てくるエックス線には適用がある、しかし人工的なものには適用がないということは、受ける方から言うならば同じじゃないでしょうか。たとえば、刀で傷つける場合と出刃ぼうちょうで傷つける場合と、これはもとは違うと思うのですが、受けた傷は同じじゃないですか。治療の方法は同じじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/20
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021・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 たとえばでございますけれども、レントゲン発生装置から出るところの散乱レントゲン線につきましては、医療法におきましては、すべてについて検査をすることなくして、ある一定規格以上のものにつきましてはこれを検査しなければならない規定になっております。さように、レントゲン発生装置のものによって取扱いを変えておるるような事情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/21
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022・田中武夫
○田中(武)委員 どうも齋藤さん済みませんでした。関連質問でございますので、私はこれでおきたいと思います。しかし、あらためてこの問題について、本法案審議中に、もう一度質問をさしていただく機会を保留いたしたいと思います。ただ私申し上げたいことは、実は私もエックス線球を製造しておる工場に前におったのです。今お話があったように、工業川についても、いろいろと障害があるわけなのです。従って、入社のときにその人の白血球の検査をして、そして定期的に目血球検査をやりまして、うんと差が出たときには、直ちに職場を転換させるとか、あるいは休養させるとかいう措置をとっておるのです。先ほどの御答弁に、労働基準法に云々とありますけれども、われわれもそういう点については十分気をつけてきたと思うのです。なお、そういう点が、はっきりいうと災害を防止するに至っていないという実情なのです。従ってそういう点については、せっかくこういう法律ができるのだから、同じように取り扱ってもらいたい、こういうふうに考えておるのですが、関連質問でございますから、またあらためてゆっくりと御質問をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/22
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023・齋藤憲三
○齋藤委員 大体同じ方向に対する関連の御質問がございましたので、御当局のお考えもだいぶわかって参ったのでありますが、このエックス線はガンマ線と同じ電磁波なのです。それですから、放射線障害というものから分類しますと、この電磁波というものは、一番浸透性が強いのです。アルファ線とかべータ線というものは浸透性がなくて、そして曲線を描いていくような性質を持っている。むしろ放射線の障害を防止するという分類方法から言いますと、ガンマ線を対象にしていくというのが従来からの考え方なのです。アルファ線とかべータ線の障害なんというのは、将来はどうか知りませんが、過去においてはあまり考えられなかった。ただ、そのガンマ線というものに対する障害については、今日厚生省ではいろいろな施策を施しておられますけれども、エックス線の障害というものは非常にたくさんあるということはおおうべからざる事実なんです。幾らも事例がある。それをガンマ線というものを二分して、ほとんどガンマ線に近いところのエックス線と、ガンマ線というものを分離してそしておのおのこれに対して別個の行政的立場から防止の方法を講ずるなんということは、現実の問題としてまことに不合理であると同時に、私は法体系として、なっておらぬと思う。このただいま拝借いたしました衛生六法の医療法施行細則においても、やはりガンマ線を取り扱っておる、放射線の防護というものをやっておるのです。それでありますから、われわれの考えておりますところの法体系といたしましては、原子力をひっくるめた一切の放射線障害というものを一つの法の中におさめておいて、特にそれから必要なものは、厚生省において、厚生省独自の施行細則によって別個のもっと万全の措置を講ずるとか、あるいは工場におけるエックス線に対しても処置を講ずるとか、あるいは文部省関係の学校におけるエックス線の障害に対しては、文部省におけるところの別個の処置を講ずるとか、そういうふうにして障害の防止に対するところの法律及び体系というものを形作っていってこそ、放射線障害というものに万全を期し得られるのであるけれども、科学技術庁は、エックス線をはずしてしまって、第一次のエックス線だけはやらないで、第二次のエックス線はやる、それから厚生省は厚生省独自でやる、文部省は文部省独自でやる、通産省は通産省独自でやる、そういうことで一体どうして、ガンマ線に類似するところのエックス線の、強烈な浸透力を持つところの、細胞破壊の機能を持つところのエックス線障害に対して、国民に安全感を与えるところの法的措置ができるのですか。これらの関係官庁が全部相談して、基本法というものをきめて、基本法の施行細則において、厚生省とか文部省とか通産省とかが、おのおの行政の立場において、これをさらに万全を期するということであったならば、それはいいですけれども、どうしてこういうふうな法体系をお作りになったのか、それが僕はわからぬというのです。それで一体やれますか。やれると考えておられるなら、一つ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/23
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024・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 従来医療法では、レソト、ゲン発生の装置のみを目標として取締り法規ができておったのでありますが、過般の改正に際しましては、放射性物打をも合せて取締り法規の改正をいたしたのでございます。今回科学技術庁の方から御相談がありましたので、放射性物質、に関する部門は当然科学技術庁において一元的にお取扱いになるのが適当と認めまして、これは科学技術庁におまかせするということに相なったのでございます。レントゲンにつきましては、先ほど来るる申し上げました通りに、相当長い年月、私どもにおいて経験を持ち、さらにまた学会等に諮問いたしまして、最近規則の改正等もいたした事情もございまして私どもは自信を持って、この規則の完全な運用を期し得られる、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/24
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025・齋藤憲三
○齋藤委員 通産省はどうですか。通産省は工業——いわゆる職場におけるエックス線の障害に対しては、一体どういう措置を講ぜられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/25
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026・松尾金藏
○松尾(金)政府委員 先ほど原子力局長からの答弁の中にございましたように、工業用のエックス線につきましては、現在完備した取締り法というものはございません。その意味では、先ほど来厚生省関係の話にございましたようなものはございませんし、現状では、先ほど答弁の中にありましたように、労働基準法の関係で、事実上の指導なり取締りをやっておるという限度にとどまっております。そういう意味から申しますれば、われわれも現状でこのままに放置しておくわけにはいかないと思っておりまして、実はそういう意味で、科学技術庁なり関係のところと相談しまして、その意味の何らかの措置を講じなければならないという意味で、検討中でございますが、現状では、その意味では不十分な状態にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/26
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027・齋藤憲三
○齋藤委員 文部省は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/27
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028・広瀬英三
○広瀬説明員 私、文部省の大学学術局の広瀬でございます。文部省からお答え申し上げます。エックス線装置につきましては、文部省には病院の診療用と治療用、それから学生の健康診断用、こういったような装置かございます。数におきましては大体五百程度でございます。この方の防護上の問題は、厚生省の医療法の施行規則でございますか、その方の規制を受けております。その関係で、現在まで文部省関係の装置は、防護関係法律の適用を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/28
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029・齋藤憲三
○齋藤委員 労働省、見えていますか。労働省の労働基準局長が、昭和二十九年八月七日に、都道府県労働基準局長へあてて、「有害放射線による障害の予防について」という通牒を出しているのですが、それには、エックス線またはガンマ線等の有害放射線を、エックス線とガンマ線と同じに取り扱っておる。先ほども関連質問にございました通りに、この放射線の照射に従事いたしておりまする人々に対しましては、放射線障害というものは非常に大きな問題でありますので、労働省の労働基準局からごらんになりまして、厚生省は厚生省でもってエックス線の障害に対する措置を講ずる、通産省は通産省でもって措置を講ずる、それから文部省の研究用は文部省でもってエックス線の障害に対して対策を講ずる、科学技術庁は科学技術庁でもってこれに対する措置をする。そういうふうに、ガンマ線に匹敵するところのエックス線、非常に今障害が多いと考えられておるところのこのエックス線障害に対して、そういうばらばらな行政取締り体系で、労働省の労働基準局としては、これで万全だとお考えになるのか。そうでなく、科学技術庁は科学技術庁の立場において放射線というものを総括的に規律をして、あらゆる放射線の障害というものを考えて万全の措置を講ずる基準を定めて、その基準に従って、さらに各省庁がその担当行政事務において、省令等において万全を期する、こういう体系の方が、労働省としては御安心ができるのかどうか、そういう問題で責任ある御答弁は一どうかと思いますけれども、一つお考えを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/29
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030・加藤光徳
○加藤説明員 レントゲンの障害につきましては、先ほどお話がありましたように、基準局といたしましては、レントゲンの障害に対しまする調査を指導いたすように流しておりまして、各局で現在調査をいたしておるわけであります。その多くのものは医療用のものでございまして、現在事業場等に使っておりますものは、その比率からいたしますと比較的少いという結果になっております。しかし、御指摘になっておりますように、その障害は、その結果からいたしましても、相当程度出ておるということは認めていかなければならぬと思います。しかし、工場の金属等の非破壊検査等に用いられておりますものについては非常な注意をいたしておりますので、その率はやや少いものというふうな結果になっておると思います。ただ、労働省の立場からいたしましてレントゲン障害を見まする場合におきましては、労働条件全体と見比べて取り扱って参るようにいたしております。すなわち、レントゲンの障害に対しまする予防の措置、並びに労働時間とか就業の制限とか、そのほか患者の発生いたしました後におきまする補償の面というようなものの一貫した形で取り扱って参るというような方法で取り扱っておりますので、現在のところ、その方法は基準法で考えております全体の線を貫いてレントゲン障害を見ていくというふうな態度で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/30
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031・齋藤憲三
○齋藤委員 私のお伺いいたしておりますのは、そういう各省間ばらばらのエックス線障害対策を講じておる方がいいのか、科学技術庁が今その放射性同位元素を含めて、エックス線もこの中に包含して同じガンマ線に類するものであるから、そういうものに対する基本的な障害防止法をはっきりとここできめて、それによっておのおのの職場において万全を期するという体系の方が、現在は問題があるといたしましても、将来そういうふうな体系で日本の放射線障害の防止を完全に行う方がいいのか、そういう点に対して、労働省としてはどうお考えになるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/31
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032・加藤光徳
○加藤説明員 私どもの考えといたしましては、ただいま申し上げましたような基準の立場におきましては、一貫した措置を講ずるというためには、やはり離れた、エックス線というものを考えて取り扱っていくのがよろしいのではないかというような考えで私はおりますが、まだ省全体としての意見を申し上げることはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/32
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033・齋藤憲三
○齋藤委員 あまりくどくなると何ですから、またこの次に譲りますが、私はまだ資料をたくさん調べておりませんけれども、このちょうだいいたしました「放射性物質による障害予防勧告」というものを見ましても、これは定義の中にも、「第二条、放射性物質とは放射性元素、放射性同位元素および、それらの化合物または加工品をいう。」「第三条、本勧告でいう放射線とはエックス線、ガンマ線および、べータ線ならびにガンマ線は3MeV以下の量子エネルギーのものを対象とする。」とあります。この「放射性物質とは放射性元素、放射性同位元素および、それらの化合物または加工品をいう。」というと、放射性物質というのはエックス線も入ってしまうというのが常識なんだ。そういうところに私たちは非常に問題があると考えているのです。また「放射性同位元素の安全取扱法」というアメリカのものを見ましても、大体その取扱いというものは「電子、ガンマ線及二〇〇万ボルト以上のX線」これは第五分科委員会、委員長がマリネリー氏、それから「放射性同位元素及核分裂生成物」、「二〇〇万ボルト迄のX線」、こういうものが全部放射性同位元素の取扱いに関するところの分科会の中には入って参りまして、そうしてガンマ線とエックス線というものは、同じような方向の放射線の障害取締りの対象になっている。そういうことから考えますと、一つの事例を想定してみましても、エックス線の照射の室の中で放射性同位元素をやっているところは、一体どういうふうにして取り締るのですか。それは二つ行って取り締るのですか。将来のお医者さんというものは、エックス線も使うだろうし、放射性同位元素も使うだろう、そういう場合の取締りというものは、一体どういうふうにしてこれを行うことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/33
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034・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 ただいまレントゲンの取締りは、各都道府県に医療監視員というものを置いております。これは主として医師でございますが、医療監視員がそれぞれ助手を用いまして、病院、診療所の管理運営を指導しております。あわせてエックス線の監督取締りをやっておるのでございます。ただいま御指摘のアメリカの法律だそうでございますが、日本におきましては、レントゲンの発達が諸外国に比べておくれておりまして二百万ボルト以上というふうな高電圧のレントゲンは現在ないのであります。そこで大体医療監視員に講習等を行いまして必要な知識を授けまして、レントゲンの監督取締りをやっておるのでございます。先ほど申し上げましたように、今回施行規則を改正するに当りまして、同位元素もこれに含めましたので、建前は、放射性物質によるところの治療用装置につきましても、同じく監督取締りを始めたのでございますけれども、この法律制定以降におきましては、放射性物質につきましては科学技術庁の方に一元化されるということに相なりましたので、できるだけ二重監督の弊を避けるように科学技術庁と話し合いまして、それでこれを二重監督にならないように一元的に引き続き監督指導の任に当りたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/34
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035・齋藤憲三
○齋藤委員 私のお伺いいたしておりますのは、この放射線の障害を防止する法案を今作らんといたしております際に、放射線の障害防止をやるのに特にエックス線をはずして放射性同位元素等による放射線障害の防止の法律を作るのがいいか、エックス線を含めた放射線障害の防止法案を作るのがいいかということを考えているのです。厚生省としては、今はエックス線とその他、ガンマ線の障害に対する処置も省令をもって講じられておる。これは当然おやりにならなければならぬからおやりになっておる。しかし、これでもまだ万全は期しておらないという実情にある。ただ、今、二百万ボルトのエックス線というものは医療対象には使っておらぬというけれども、エックス線は何も医療だけに限ったものではなくて、将来あらゆる工場その他においてもどんどん使われる。そうすると、今、通産省ではこれに対する適切な法令的な取締りがない。文部省においても、大学の研究室あたりにはこれを規制するところの的確なものがあるかどうか、非常に疑わしいのじゃないか。労働省から見ると、エックス線全体としてそれに伴う障害というものを考えなければならない。そういうような立場になりますと、何百万、ボルトというような大きなエックス線の照射というものがこの世の中に出てくるかもしれない。そういうときに、障害防止を対象として放射性同位元素等による放射線障害の防止、こうやっておって障害の一番対象となるべきところの、ガンマ線に類似するエックス線の障害を、科学技術庁がこの法案を作られるときになぜ除いたか、一体どこに除く必要があったかというのです。そんな必要はないでしょう。特に放射性同位元素等による放射線障害の防止というようなことを書かなくたって、放射線障害の防止に関する法律ということでエックス線を入れれば、それで全部入るのでしょう。しかも特に苦しまぎれに、第一次的なエックス線と第二次的なエックス線に分離して、第一次は障害の防止の対象にしないで、核分裂のときに二次的に出てくるところのエックス線は取締りの対象にするのだ。そんな必要はどこにあるかというのです。なぜ放射線障害防止法というすっきりした形でもってやれないか、私はそれを聞いているのです。この法案をすっきりした形で作れなかった原因がどこにあるか、それをはっきりして法案を提出してもらわないと、いやしくも国家最高の立法府ではそんなあいまいもこたる法案の審議はできぬということになる。各省間のいろいろなやりとりはあっただろう。しかし、そんなものはわれわれは歯牙にもかける必要はない。障害防止法なら障害防止法として、放射線全部を含めて、特に今、国民の間に一番大きい障害を与えておるところのエックス線もガンマ線と一緒に取締りの対象に置いて、法案を作成していくということにならなければ、障害防止も万全を期し得られない。そういうことをあなたは隠しておるかおらぬか知らぬけれども、各省間のやりとりか何かでもって、放射性同位元素等による放射線障害防止というような法案が出てくるということは、私ははなはだ意に満たないのであります。どうしてこういうような問題になったのか。放射線の中には当然エックス線が入るということはわかっているのです。その点をもっと明確にしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/35
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036・佐々木義武
○佐々木政府委員 私どもといたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、基本法の精神と申しますか、第三条第五項の放射線とは何ぞやという御説明を申しまして、その定義の中には、その趣旨から考えて、人工的に発生する放射線としては、核分裂とは何ら関連がないものであるから、それに関しては法律から省きたい。ただし、省きはしますけれども、おっしゃるようにエックス線の障害ということに関しては市大でございますので、これはただいま厚生省でやっております法律あるいは施行令が、この法に照らして取締り等がなお薄弱でありますれば、さらにこれに準じて改正していただく、あるいは通産省等でもこれに準じた工業用のエックス線の取締り法令を作り、それてやっていけば、全部として完全なものになるのではなかろうかというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/36
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037・齋藤憲三
○齋藤委員 幾ら質問してもよくわかりませんが、もう一ぺんこの法律の根本に対して、賛成を表すべきかどうかということを考えてみたいと思います。ただ気がつきましたところは、第十五条だけに「総理府で定める技術上の基準に従って」とございますが、これはやはり総理府令で定めるのですか。これだけが「総理府」となっているのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/37
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038・佐々木義武
○佐々木政府委員 これはミス・プリントでありまして、「総理府令」であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/38
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039・齋藤憲三
○齋藤委員 それから放射線審議会の審議対象は、やはりエックス線をはずすのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/39
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040・佐々木義武
○佐々木政府委員 この法案の対象範囲といたしましては、人工的に発生するエックス線は、法の趣旨からいいまして省くのが当然だと思いますが、先ほど申しましたように、この法が一つの契機となって、取締りに対する障害の防止のあり方等をどうすべきかという点に関しますと、厚生省並びに通産省等でそれぞれこれに準じたものをお作りにならなければならぬと思いますので、そういう点は当然審議会で取り上げて、今後の取締り方法の統一を期したいということで進むのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/40
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041・齋藤憲三
○齋藤委員 それから放射線医学総合研究所では、やはり放射線の研究をやるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/41
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042・佐々木義武
○佐々木政府委員 やります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/42
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043・齋藤憲三
○齋藤委員 残余の質問は、次会に保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/43
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044・菅野和太郎
○菅野委員長 岡本君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/44
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045・岡本隆一
○岡本委員 レントゲンのためにいろいろな障害が出て参ったので、それを取り締る法規があとから出て参りましたが、今度はラジオ・アイソトープについてはそういう障害があまり出ない前に、こういう法規を作られたということは、非常にけっこうだと思います。しかしながら、この法規のために学問の発達あるいは研究の障害になるようなことがあっては困る、学問の研究を萎靡させるようなことがあっては困るという観点から、二、三の問題をお尋ねいたしたいと思います。
まず第一に、第六条でございます。申請があった場合には、いろいろな観点から、その施設の位置、構造等が不十分なれば、許可してはならないというふうなことになっております。しかしながら、この場合にそれが「政令で定める技術上の基準」という言葉で書いてございます。従って、この法の運営によって、そういうふうな研究の障害というふうなものが、基準のきめ方によって出てくる場合もあるし、出ない場合もある。ことに私がお尋ねしたいのは、使用施設それから廃棄施設、それについての基準というものをどのように今考えておられるかということをまずお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/45
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046・佐々木義武
○佐々木政府委員 第六条に定めました基準は、もっぱら物的基準、条件が主でありまして、たとえば位置、構造、設備等に分れてございますが、その位置という中には、あるいは排水とかあるいは隣接居住の家屋がどうだとか、周辺の状況を勘案いたしましてそうしてその周辺に障害がないようにいたしたいというのが第一でございます。構造に関しましては、放射線の遮蔽のための壁であるとか、天井の構造であるとか、あるいは空気を出す際のフィルターの構造であるとか、あるいは流しの構造といったようなものが主たる内容になろうと思うのです。それから設備に関しましては、換気設備あるいは排水設備、安全装置、防火装置といったような設備が主たる設備になるだろうと思いますが、さてその例に含まれておる対象はそういう対象でございますが、それを放射線の強さによってどうあんばいしていくかという点が、いろいろ問題によって多岐に分れると思います。そこで、お話のように、主として利用する場合の各省の立場としては、文部省といわずあるいは通産省といわず、取締りの厳なるあまり、研究が阻害され、不自由になるというようなことがなるべくないようにという希望が非常に強かったのでありますが、私どもの考えといたしましては、そういう研究の自由をこの法規で縛るという考えは毛頭ないのであります。逆に申しますと、研究を急ぐあまり、障害が多くて、工場等でも、これを使うと危険なもので、とても使えないということで、逆に発展を阻害するというような逆効果を及ぼすおそれもあるので、初期の段階では、なるべくこの法規の趣旨に従って、障害のないという建前で問題を進めていくことが、逆の言い方でありますけれども、かえって将来の利用の発展に備えるのじゃないかというようにただいまのところ考えております。ただ、その間の調整の問題はいろいろあろうと思いますので、この点は審議会におきまして各省並びに省外の方を主として厳重に見る面と、あるいは利用者の側の方たちとか大家の方たちに集まっていただきまして、そうして具体的な細目をきめたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/46
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047・岡本隆一
○岡本委員 御承知のように、ラジオ・アイソトープには、物理学的な半減期といいますか、それから生理学的な半減期によって、非常に障害の強さというものによって極端な開きがあるわけですね。非常に危険なものから、あるいは全然その障害を顧慮する必要のないラジオ・アイソトープもたくさんあるわけです。ところで、このラジオ・アイソトープを使うについては、許可を得なければならない。どのような危険度も皆無と考えて差しつかえないようなラジオ・アイソトープを使用する場合、あるいはそれを貯蔵する場合にも、厳重な規格を要求されるというようなことになって参りますと、これはラジオ・アイソトープの研究及びその他実用の面におけるところの非常な障害になってくる。従って、そのような施設を設け使用する場所、貯蔵する場所、そういうふうな場合にあっては、やはり使用するところのラジオ・アイソトープのその障害の程度の強弱によって、段階的に施設の程度というものについて差異をつけなければならぬと私は思うのであります。そういう点についてどういうお考えをお持ちになっていらっしゃるのか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/47
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048・佐々木義武
○佐々木政府委員 私ども全然お話のような趣旨で考えております。たとえますれば、一マイクロ・キューリー以下のものは適用を除外いたしまして、その一マイクロ・キューリーに該当する放射性同位元素は何々かということを政令で例示したいと思っております。それから十マイクロ・キューリーはどうか、あるいは百マイクロ・キューリーはどうか、あるいは千マイクロ・キューリー以上のものはどうか、そういうふうに大体四群くらいに分けまして、その群に該当する同位元素を全部羅列いたしまして、そしておのおのによって扱いを異にしていくというふうな政令を整備したいというふうにただいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/48
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049・岡本隆一
○岡本委員 そのようなお考えで出ていただきますと、非常にけっこうなのでありますが、そこでお聞きしたいことは、各大学で幾つもの研究室がある場合に、やはりそれに設備をつけなくてはならない。そうすると廃棄物の処理施設というふうなものを、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。各大学で教室ごとに廃棄施設を作っていくということになって参りますと、大学、研究室がとたんにぐっと大きなたががはめられてしまって、従来やっておるような形でもって研究が行いがたくなってくると思います。その点どう思っていられますか。もう少し具体的に申しますと、たとえばコバルトなんか、やはり各研究室で使っておるのです。工学部も使っておれば、理学部、医学部もみんなコバルトを使っておると思います。しかもまた医学部でも内科、外科、産婦人科、すべての教室でやはりコバルトをときどき使っております。そうしますと、それを今度使ったところの、ビーカーとか注射器だとか、そういうふうな洗った廃棄物の処理、それをどのようにこれから取り締っていかれるか、そういう点についての御見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/49
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050・佐々木義武
○佐々木政府委員 その点は、第三条をきめます際に、「政令で定めるところにより、」ということになっておりますが、非常に問題になったところでございとまして、まだはっきりしたこれという結論にはもちろん達しておりません。審議会等で審議の上、決定いたしたいと思いますけれども、ただいま考えております段階では、同じ農学部といっても、本部で使う場合あるいは試験場で使う場合と、場所が違ったりなどいたしまして、当然それは設備ごとに許可を受けていただきたいというふうに考えております。同じ設備内で使う場合はどうかという御質問でございますが、それに関しましては、使用方法等の基準がございまして、できますれば一カ所で、設備の完備したところで、いろいろ実験等をやっていただきたいというふうに考えるのが、当然かと思います。ただ、装置あるいは同位元素を装備した機器、あるいは放射線の発生装置等に関しましては、全部の人がお医者さんであれば使うわけでありますが、それに関しましては、放射性同位元素ではなくて、機器そのものとしてこれを取り締っていくという考え方が至当ではなかろうか、こういうふうな考え方に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/50
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051・岡本隆一
○岡本委員 そこで、使用の許可の申請をする人の問題でございますけれども、第四条を見ますと、氏名、名称、法人であればその代表者ということになっております。最初、許可を得る場合は、もちろんその名称でいいと思うのでありますが、学校あるいは研究室等は、第五条の欠格条項の五の法人と同様の取扱いを受けるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/51
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052・佐々木義武
○佐々木政府委員 学校等は、たとえば官立でありますれば問題ないと思いますが、私立大学等で公益法人となっておるようなものは、やはりその法人の代表者をもってこれに充つるのが順当かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/52
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053・岡本隆一
○岡本委員 大学の各教室ごとに申請して参った場合吉には、どうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/53
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054・佐々木義武
○佐々木政府委員 その点は非常にむずかしいのでありますけれども、やはり責任者で、あります代表者が主になりまして、実際の扱い者等の氏名をそれに添付して出すのが妥当な措置ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/54
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055・岡本隆一
○岡本委員 そういう場合に、その業務を行う役員というものの範囲をどうお考えになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/55
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056・佐々木義武
○佐々木政府委員 役員の範囲は、法人にありましては、法規的な責任関係から申しまして当然役員全部が責任を負うわけでございます。しかし、特にこういう性質のものでございますし、その場合、申請いたしました役員あるいはそれを扱う実際の扱い主任者というものが法律によってきまっておりますので、そういう主任者に内部で責任を移譲するというふうな事態も起ろうかと思います。その際には、あるいは主任者の処罰というような格好にもなろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/56
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057・岡本隆一
○岡本委員 次に、第二十一条、第二十二条でございますが、使用者はその予防規定を置いておかなくてはならないというふうなことが規定してございますが、予防規定としてどのようなものをお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/57
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058・佐々木義武
○佐々木政府委員 予防規定は、これにうたってありますように、いろいろ義務を課しておるわけでありますけれども、実際に使う使用者あるいは販売業者が、事前にその性質も十分わかり、かつそれを敷衍して、自分の方ではこうしたいというものがありませんと、確認が不明確になりますので、こういう規定ができておるわけでございます。その際は当然いろいろな基準事項がございますので、その基準を順守する、それから順守する際に、その事業あるいは販売業者によって特殊な事情がありますれば、たとえば詰めかえ装置等は自分のものではないけれども、契約によって借りているんだというふうな事情があれば、そういう事情までその中へ入れて届を出すというのがあるいは妥当かと思いますので、一般的な規定からさらに事業別に細部にわたって、特殊な事情があればそれも加味して、そうして官庁へ届け出てもらって、それを確認するという必要がありましたので、万全の手を講じたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/58
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059・岡本隆一
○岡本委員 そこで、第二十二条の、必要な教育、訓練を立ち入る者に施さなければならないというふうな規定がございますが、各使用施設ごとに絶えず入れかわり立ちかわり従業員がかわります。そうすると、そのたびごとにその一人々々について講習をやるというようなことであると、かなり不便な問題が出てくる。従って、そういう場合に、定期的に、使用者の集団とか協会、そういうふうなものでもって自主的に教育と訓練の機会を持たせるような機構をお考えになっておられるのか、あるいはこういう規制をしておくだけにとどめて、使用者の自主的な教育、訓練におまかせになるのか、その辺のところを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/59
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060・佐々木義武
○佐々木政府委員 国といたしましては、二つの手段を考えております。一つは、今年度九千万円の予算をとりまして、年に何回かアイソトープ学校を開議いたしまして広く技術者の訓練に当りたい。それからもう一つは、国家試験を至急整備いたしまして、取扱者主任というものに、試験を通して免許を与えたいと思っております。そうしてその国家試験を合格するほどの人でありますれば、アイソトープの扱い等に関しましては、技術的にもあるいはこの法律の精神、内容等も十分熟知するというふうにも考えられますので、その人がそれぞれ工場に帰ってその法律の趣旨を徹底させ、あるいは訓練させるというふうな扱いが望ましいと思っております。ただ、これは新しい問題でございますから、なかなかそこまで手が届かぬというときには、そういうアイソトープ学校等にどんどん派遣していただいて、主要な主任技術者のアシスタントになるような人々を教育したいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/60
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061・岡本隆一
○岡本委員 アイソトープ学校の修業年限あるいは設置する場所、あるいは定期的に開催されるとすれば年何回くらいおやりになるのか。たとえば関東と関西、あるいは九州というふうに地方的にずっと平均しておやりになるのか、あるいは関東と関西一カ所ずつくらいで割合に開催の機会を少く予想しておられるのか、その辺を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/61
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062・鈴木嘉一
○鈴木説明員 お答え申し上げます。従来は、アイソトープ学校ができますまで、現存のところ社団法人、で日本放射性同位元素協会というのがございまして、事務所は科学研究所にございますが、ここが主催をいたしまして、一年に二回ないし三回東京大学を会場にしたり、あるいは農業技術研究所を会場にいたしましたり、あるいは地方に参りまして京都大学とか、ときには北海道大学などでやったことがございます。そういうところで講習会という形でこの方の技術者を養成して参りました。ところが、いつでも募集いたします人員の十倍あるいは二十倍というような多数の方が応募されますので、こういう一時的な講習会ではなかなかその要望を満たすわけにいきませんので、常設の訓練機関を設けたいということで、先ほど局長から御説明いたしましたように、原子力研究所の予算の中にアイソトープ学校というものの費用を九千万円計上いたしたのであります。原子力研究所は、御存じのように東海村が中心でございますけれども、この学校に関してだけは、必ずしもそう危ないものをいじくるのではない、アイソトープの基本的な技術を教える程度でございますので、取り扱うアイソトープもトレーサー程度のものが多く、そう東海村までわざわざ行くことはないであろうというようなことで、今のところその設置場所は科学研究所の中の空地のところに建てたらということになっております。ここではアメリカのオークリッジのアイソトープ学校、あるいはイギリスのハーウエルのアイソトープ学校等を参考にいたしまして、そういうところはいずれも一回のコースが約四週間でございますが、日本のアイソトープ学校もまだ確定はいたしておりませんが、大体そのくらいの期間で、一回に五十名程度の人を訓練いたしまして、年に七回なり八回行いたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/62
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063・岡本隆一
○岡本委員 全国で東京に一カ所ということであると、これは九州であるとか北海道あるいは関西でもそうでありますが、非常な不便を感じると思うのです。従って、これは出張の形式でやはり全国的に年に少くも北海道、九州、関西に一カ所ずつくらい、たとえばそれぞれの大学の研究室の休暇であいている期間を借りて、そういう催しをやるということをぜひやっていただかないことには、技術者の全国的な分布という点において非常に不均衡になってくると私は思うのであります。その辺、そういう御用意がございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/63
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064・佐々木義武
○佐々木政府委員 まことにごもっともな御意見で、漸次そういう方針で進めたいと思っておりますけれども、ただし、今年度の九千万円の予算で学校を作って、そうして東京で四週間の七回くらいやるのが精一ぱいでございますけれども、しかし、それのみに限っておっては、御指摘のように地方の方が不便でございましょうから、御趣旨に沿いましてできるだけ巡回と申しましょうか、夏季講習会、冬季講習会というようなことで、地方の方も御勉、強できるような措置を講じたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/64
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065・岡本隆一
○岡本委員 それでは、次に第二十三条の「放射線障害が発生しているかどうかを発見するために必要な措置を講じなければならない。」ということでございますが、その放射線障害が発生しているということの中に、どういうふうな基準をお考えになっておるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/65
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066・佐々木義武
○佐々木政府委員 ここの「必要な措置」と申しますのは、主として健康診断でございますけれども、なぜそれでは健康診断と書かないかと申しますと、実はこのアイソトープの問題は、健康診断だけではないのでありまして、やはり分析をしたり、いろいろ障害を発見するためのほかの手段もあわせて行きませんと完全になりませんので、「必要な措置」というふうに考えまして、その内容は政令で定めるということになっております。この政令の内容と申しますのは、何キューリー以上照射された者あるいは、外川では大がい一週間おきくらいに検査をしておるようでございますけれども、あるいは常時工場から出ます際に、測量器がございまして、それに両手を入れますと、被害と申しますか、かかったキューリーの量も出てくる、べータ線をどのくらい吸収したか出て参ります。それによりまして、出てもいいとかあるいは一番進歩したものは両手を入れますとOKというような字が出ましてそれで大丈夫だということで出しますけれども、毎日々々だけじゃ足らぬものでございますから、一週間なり二週間なりという期間を区切りまして、定期検査のようなものをやるとかいう基準を定めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/66
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067・岡本隆一
○岡本委員 第二十八条でございますけれども、この条文を読んでおりますと、何か不始末があって使用を取り消された者は、その持っておった放射性同位元素の処分、あるいはまたそれによるところの汚染の除去をちゃんと自分であと始末をしなければならないという義務規定をしておられると思うのです。しかしながら、私が考えるのに、そういう不始末をやる人は、いろいろな点で道義心において欠けるところのある人が間々あると思うのです。そういう人に対して取扱いを取り消されるわけですが、そういうような人に跡の始末まで責任を持ってやれといったところで、やらない場合が何ぼも私は出てくると思うのです。そういう規定では、何ぼ罰則を設けておいたとしても、いろいろな弊害が起ってくると思うのであります。その点、こういう一片の義務づけだけで跡始末が完全に行われるというふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/67
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068・佐々木義武
○佐々木政府委員 この点もいろいろ議論のあった点でございまして、まず跡始末を自分でやりなさい、もしそれをやった際には、事後報告を十分にしてもらいたい、そしてさらにその措置が適正でないと認めた際には、科学技術庁の長官は必要な措置を講じろという命令をすることができる、その命令にも服しない場合には、先ほど申しましたようないろいろな取り消し規定等もございますが、あとにあります罰則を相当重く見まして、罰則でやるなりあるいは営業停止あるいは使用の停止あるいは取り消し等を命ずるというふうなきつい法規を裏づけにいたしまして、そうしてただいま申しましたように、不行き届きな者が勝手にそういうことができないように仕組んでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/68
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069・岡本隆一
○岡本委員 わかりました。それではその次、第四章の三十四条、放射線取扱主任者の問題でございますけれども、これは医師は自動的に取扱主任者たる資格があるのでしょうか、ないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/69
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070・佐々木義武
○佐々木政府委員 この点ずいぶん異論のあったところでございますが、私どもといたしましては、医師なるがゆえに取扱主任者になり得るというふうな考えでなくて少くとも診療所で診療するために放射線を用いた場合には、その医師に限って取扱主任者にし得る、それから質問からちょっとそれますが、薬剤師に関しても同様でありまして、製造所において使用する場合に限って薬剤師はその取扱主任者にし得るというふうにしぼったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/70
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071・岡本隆一
○岡本委員 そういうことになりますと、取扱主任者になるためには、先ほどのアイソトープ学校に行って講習を受けて、そうでなければ国家試験を受けて取扱主任者としての免許を受けなければならないということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/71
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072・佐々木義武
○佐々木政府委員 それが原則だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/72
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073・岡本隆一
○岡本委員 そういう取扱いの方法に医務局長も同意していられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/73
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074・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 同意しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/74
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075・岡本隆一
○岡本委員 それでは、その取扱主任者として、主任者でないところの医師ですね、そういう人は今度は、従来使っておりましたラジウム診、これはやはりラジオ・アイソトープであると思うのです。従って、医師は従来ラジオ・アイソトープを自由に使うことができたわけです。今度は、この法律ができますと、そのラジウムを自由に使えないということになってくると思うのでございますが、そうなってくると、今から国家試験を受けるなり、あるいはアイソトープ学校で四週間カン詰になってこなければならないということになると思うのでありますが、その辺についての御措置はどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/75
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076・佐々木義武
○佐々木政府委員 診療所で使う場合には、もちろんただいま申し上げましたように問題はありません。診療所以外で使う場合には、やはりこの法の適用を受けようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/76
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077・岡本隆一
○岡本委員 診療所で使う場合には、それではラジウムを使おうとコバルトを使おうと、それは取扱い主任者たる免状を取らなくてもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/77
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078・佐々木義武
○佐々木政府委員 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/78
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079・岡本隆一
○岡本委員 わかりました。それで了解できました。以上、お伺いしまして、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/79
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080・齋藤憲三
○齋藤委員 厚生省に一つ、もし資料がございましたら御提出を願いたいのですが、エックス線障害に対する積極的治療の何か資料ですね。今までエックス線障害に対して特に有効であるという治療方法、それは簡単な棒書きでけっこうですが、どういう処置が今まで講ぜられておるかという資料がありましたら御提出願いたい。たくさん療法があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/80
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081・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 エックス線障害に対しまして、特効的な治療法はまだないと思います。従いまして、それだけにいろいろな対症的な療法はいろいろ行われておりますが、それを書き出して御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/81
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082・齋藤憲三
○齋藤委員 決定的な治療方法がないということでありますと、エックス線障害というものは非常に厄介な問題だと思うのですが、エックス線障害防止に関しまする積極的な治療対策として、何か研究費の予算がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/82
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083・小澤龍
○小澤(龍)政府委員 厚生省にあります厚生科学研究費をもって従前より研究中であり、現在なお研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/83
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084・岡本隆一
○岡本委員 ちょっと一つ。この法律をずっと通読しまして診療所においてラジオ・アイソトープを用いる場合、特別の認許可を得る必要がない、あるいはまた取扱い主任者の免状を医師が持たなくてもいいというふうなことは、どこにも出ておらなかったように思うのですが、どこかにそういうことがはっきりされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/84
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085・鈴木嘉一
○鈴木説明員 お答えいたします。二十七ページの第三十四条の最後の行のところからあとでございますが、前のところで「取扱主任者を選任しなければならない。」といっておきまして、「この場合において、放射性同位元素、」云々を「診療のために用いるときは医師を」、あと、これこれのときは「薬剤師を、それぞれ放射線取扱主任者として選任することができる。」こう書いてございますので、よろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/85
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086・岡本隆一
○岡本委員 医師もしくは薬剤師を選任することができるとありましても、その選任をすることはできても、取扱主任者は免状が要るわけですね。だから、それについては、試験に合格したり、「政令で定めるところにより、放射線に関し前、刀に掲げる者と同等以上の学識及び経験を有すると認める者」という規定がございますね。従って、今のお言葉は、医師はラジオ・アイソトープを診療所で用いる限りにおいては、第三十五条第二号の「同等以上の学識及び経験を有すると認める者」というように規定されているわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/86
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087・鈴木嘉一
○鈴木説明員 お答えいたします。診療所でアイソトープを使う限りにおいては、医師そのものもすでに放射線取扱主任者として認めてそれを選任することができるということでございまして、特別な免状を要しないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/87
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088・岡本隆一
○岡本委員 了解しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/88
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089・菅野和太郎
○菅野委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/89
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090・菅野和太郎
○菅野委員長 この際、お諮りいたします。すなわち放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案につきまして、東京慈恵会医科大学教授樋口助弘君、慶応大学助教授山下久男君、株式会社科学研究所研究員山崎文男君、米国原爆障害調査委員会中泉正徳君、以上の方々を参考人と決定し、その意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/90
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091・菅野和太郎
○菅野委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
なお、ただいま決定いたしました参考人よりの意見聴取は、中泉参考人を除き、来たる十二日、金曜日、中泉参考人は来たる十六日、火曜日にそれぞれ行いたいと思いますから、さよう御了承を願います。
次会は十二日、午前十時より開会いたします。
これにて散会いたします。
午前十一時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X02619570409/91
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