1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月二十七日(土曜日)
午前十一時九分開議
出席委員
委員長 菅野和太郎君
理事 赤澤 正道君 理事 齋藤 憲三君
理事 志村 茂治君
臼井 莊一君 小笠 公韶君
大高 康君 岡崎 英城君
高瀬 傳君 保科善四郎君
山口 好一君 早稻田柳右エ門君
滝井 義高君
出席国務大臣
国 務 大 臣 宇田 耕一君
出席政府委員
科学技術政務次
官 秋田 大助君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 原田 久君
総理府事務官
(科学技術庁原
子力局長) 佐々木義武君
委員外の出席者
総理府事務官
(科学技術庁次
長) 篠原 登君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局アイソト
ープ課長) 鈴木 嘉一君
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四月二十七日
委員小平久雄君、塚原俊郎君、平野三郎君及び
南好雄君辞任につき、その補欠として臼井莊一
君、岡崎英城君、高瀬傳君及び早稻田柳右エ門
君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員臼井莊一君、岡崎英城君、高瀬傳君及び早
早稻田柳右エ門君辞任につき、その補欠として
小平久雄君、塚原俊郎君、平野三郎君及び南好
雄君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関
する法律案(内閣提出第一二八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/0
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001・菅野和太郎
○菅野委員長 これより会議を開きます。
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案を議題といたします。
この際、本案に対する質疑があればこれを許します。——別に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了することといたします。
これより討論採決を行います。討論の通告がありますので、これを許します。志村茂治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/1
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002・志村茂治
○志村委員 放射線の人体に及ぼす障害については、それがエックス線であろうとあるいはガンマ線であろうと、その間に何らの区別はないのであります。ところが、この法案におきましては、放射線障害のうち、特にアイソトープによる放射線の障害防止だけを対象にいたしておるのであります。これが本法案の最も大きな欠点であるということをいわなければなりません。特にエックス線による障害については、もう以前から十分な予防法律を作らなければならないということは、先日も参考人としてここに立たれました中泉博士なども強くそれを主張いたしておるのであります。しかしながら、同じ人体に及ぼす障害を予防する法律でありながら、特にアイソトープの放射線のみを取り扱い、エックス線その他のものを取り扱わないということは、同じ事項に対して違った法律によってこれを取り締る。特にエックス線については、医療法であるとか、あるいは工場の従業員の場合においては労働基準法によってこれの防止方策を講ずるというようなことで、一つの事項に対して、違った法律によって臨むということは、法律体系の上から見ても、われわれは好ましからざるものというふうに断ぜざるを得ないのであります。従って、この法案は、むしろこのままの姿では、われわれは承認できないのであります。そこで、もっと高い立場に立って——放射線障害に関する今までの質疑を通じ、今すぐに十分な防止法を請じろといっても、検査官の準備もいまだできておらないということを聞いておりますし、またこの法案作成の過程におきましては、いろいろ各省庁との門の事情もあるということを聞いておりますが、この事情を一応了とする立場とするならば、一貫する放射線障害の防止法を基準的なものにまで引き上げてこれを作って、これに準拠して各日面における検査を行うというような体系に狩っていったならば、われわれの期待するところに非常に近く、あるいはわれわれの期待することが満たされるというふうにわれわれは考える次第でありますから、そのようなことを将来考えていただくということを条件にして、われわれはこの法案に賛成したい、こういうふうに思っております。次に、もう一つのこととしましては、放射線障害は、たとえば欧米人、日本人というふうな社会的な条件であるとか、あるいは同じ日本人の間におきましても、個人の体質によって障害を受ける、曝射される量が違ってくるこういうことも、事実その方面の科学者によって認められるところであります。この法案によって作られる照射する放射線量というものの基準がどういうふうにきめられるかということは将来の問題でありますが、それがはっきりしない間は、われわれはなかなかこれは承認できません。従って、たとえば従業員の組合の方からは、もしわれわれが危険のぎりぎりの線まで働かされるというようなことになってくるとするならば、就業拒否権を認めろというようなところまで強く主張いたしておるのであります。これは要するに、ただ一方的に経営者あるいは政府のみり立場によってこの基準量をきめるということなく、これを作る場合には、関係する、最も面接にその影響のもとに直かれております従業員の意向をくみいれなければならない、こういうふうに考えておりますので、この基準を作成するり行には、放射線審議会の委員によって作成されるということを聞いておりますが、この委員の中に従業員の代表を入れていただきたいということ。それからもう一つは、各工場ありいはその他の現場におきまして、放射線障害予防規定を、一定の政府の基準のもとに、各現場が任意に作成するということになっておりますが、その際においては、従業員なりあるいはその労働組合なり所属する直接の関係ののる人々の同意を得るというような形に持っていって、この防止の精神を万遺漏なく遂行できるような形にしていただきたいということを希望いたしまして、私は賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/2
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003・菅野和太郎
○菅野委員長 以上をもちまして、討論は終局いたしました。直ちに本案の採決を行います。放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/3
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004・菅野和太郎
○菅野委員長 起立総員。よって、本木は原案の通り可決すべきものと決し心した。この際、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる附帯決議案が提案されておりますので、その趣旨説明を求めます。赤澤正道君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/4
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005・赤澤正道
○赤澤委員 ただいま可決になりました放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に、附帯決議を本委員会としてつけたいと思うのでございます。まず、案文を朗読いたします。
放射線による障害の防止は、国民の最も深い関心事であるにかんがみ、政府は関係各省庁の間に充分なる協議を遂げ、次期国会に放射線全般の障害防止に関する左記要領の法律案を提出すべきである。
記
一、法規の対象は、X線発生装置、放射性同位元素、放射能灰等より生ずる全放射線とすること。
二、法案は放射線障害防止の基準法的性格のものとすること。なお、関係各省庁は前記の法案に関連する所要の法規を整備すべきである。
右決議する。
以上であります。
その理由は、従来放射線に関しましては、医療法並びにその施行規則等に放射線の発生装置、ガンマ線の発生装置、その他放射能物質について若干の取締り規則があったにとどまったわけでございますが、この法律によって放射性同位元素の障害防止の取締りをすることになったわけでございます。しかしながら、次第にこういう装置やあるいは放射能を有する物質の取り扱わるる機会が多くなってくるにつれまして、単に科学技術庁あるいは厚生省関係ではなくして、文部だとかあるいは通産、各省にわたっていろいろな問題が出てくることが予想され、現にそういう事態が起っておるわけでございます。将来同じ電磁波に基きますこういう問題のために紛淆あるいは摩擦が起ることを避けますために、次の国会において、ぜひ統一的に基準法的な性格の法律を作りたい、こういう趣旨でございますので、どうか御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/5
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006・菅野和太郎
○菅野委員長 以上をもちまして、趣旨説明は終りました。
本附帯決議案につきまして、この際、発言があればこれを許します。——別に発言もないようでありますので、本附帯決議案につきましてお諮りいたします。本附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/6
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007・菅野和太郎
○菅野委員長 起立総員。よって本附帯決議は可決いたしました。
この際、宇田国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。宇田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/7
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008・宇田耕一
○宇田国務大臣 長期にわたりまして熱心に御審議をいただきまして、まことに感謝にたえません。厚くお礼を申し上げます。
ただいま可決になりました本法案の附帯決議につきまして、所信を申し述べたいと思いますが、エックス線の発生装置によるエックス線の障害防止の問題は、確かに政府といたしましても看過できない重要性を含んでおるものと考えております。また、自然放射能調査につきましても、今後の推移いかんによりましては、深い関心を払うべきものと考えておりますので、今後は附帯決議の御趣旨に十分沿うようこれを尊重いたしまして、関係者と緊密な連携を保ちつつ、調査その他の万全を期したい、こう考えておるわけであります。
なお、放射線審議会の委員の中に労働者代表を含めるというただいまの御趣旨に関しましては、放射線障害防止が労働者にとって非常に重要な事柄でありますので、放射線の取扱主任者の中から選ぶように努力いたしたいと考えております。
また、放射線障害予防規定の作成に関しましても、御趣旨に沿うように指導いたして参りたいと考えておりますから、この際にあらためて申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/8
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009・菅野和太郎
○菅野委員長 この際、お諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/9
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010・菅野和太郎
○菅野委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
本日の議事はこの程度にとどめます。次会は来たる三十日、午前十時より開会いたします。
これにて散会いたします。
午前十一時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102603913X03319570427/10
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