1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十七日(水曜日)
午後一時五十二分開議
出席委員
委員長 薩摩 雄次君
理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君
理事 荻野 豊平君 理事 瀬戸山三男君
理事 二階堂 進君 理事 前田榮之助君
理事 三鍋 義三君
大高 康君 久野 忠治君
徳安 實藏君 堀川 恭平君
松澤 雄藏君 山口 好一君
足鹿 覺君 井谷 正吉君
田中幾三郎君 中島 巖君
出席国務大臣
建 設 大 臣 南條 徳男君
出席政府委員
建設政務次官 小澤久太郎君
建 設 技 官
(河川局長) 山本 三郎君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
委員外の出席者
建設事務官
(河川局次官) 美馬 郁夫君
建設事務官
(河川局水政課
長) 国宗 正義君
建 設 技 官
(河川局開発課
長) 小林 泰君
専 門 員 山口 乾治君
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三月二十七日
委員小川豊明君辞任につき、その補欠として日
野吉夫君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十六日
高速自動車国道法案(内閣提出第八一号)
建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一二二号)(予)
防火建築帯造成促進のため住宅金融公庫法の改
正に関する請願(徳田與吉郎君紹介)(第二四
三七号)
高井橋架替えに関する請願(倉石忠雄君紹介)
(第二四五〇号)
地方主要道高田、松之山、六日町線の貫通促進
に関する請願(田中彰治君紹介)(第二四五一
号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
特定多目的ダム法案について農林水産委員会と
連合審査会開会に関する件
特定多目的ダム法案(内閣提出第九〇号)
高速自動車国道法案(内閣提出第八一号)
道路整備特別措置法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/0
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001・薩摩雄次
○薩摩委員長 これより会議を開きます。
この際御報告申し上げます。皆さんすでに御存じのことと思いますが、去る三月四日内閣から提出されました高速自動車国道法案は昨日附則第五項及び第八項について内閣より修正され、同日本委員会に付託になりましたから念のため御報告いたしておきます。
去る三月四日付託になりました内閣提出、道路整備特別措置法の一部を改正する法律案及び昨日付託になりました内閣提出、高速自動車国道法案の両案を一括して議題とし、両案の趣旨につきまして政府より説明を聴取いたします。南條建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/1
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002・南條徳男
○南條国務大臣 ただいま議題になりました高速自動車国道法案につきまして提案の理由及びその要旨を御説明いたします。
わが国の経済は、ここ数年来、急速にその規模を拡大して参りましたが、特に自動車交通の発達は、近年まことにめざましいものがあります。
政府といたしましては、このような情勢に対処するため、道路整備計画の樹立、道路財源の確保、有料制による道路整備の促進等諸般の施策を講じて、鋭意道路の整備のため努力して参ったのでありますが、従来の道路整備のみによりましては、自動車の高速性、機動性等そのすぐれた特徴を十分に生かすことができず、自動車交通も局地的に限定されざるを得ない現状であります。
このような現状を打開し、自動車輸送力の画期的な増強をはかりますためには、自動車専用の高速道路をすみやかに整備し、高速かつ長距離の交通を確保する必要があるのでありまして、高速自動車道路の建設は、当面する輸送問題の解決の一助となるばかりでなく、産業経済活動の活発化をもたらし、さらには国土の総合開発にも寄与するところきわめて大なるものがあると考えます。
以上申し述べました観点から目下国会において、審議されております国土開発縦貫自動車道建設法案による国土開発縦貫自動車道を含む高速自動車道路を国が建設管理する体制を確立し、もって高速自動車国道の整備をはかり、自動車交通の発達に寄与するため、ここに高速自動車国道法案を提出した次第であります。
次に、この法律案の要旨について申し上げます。
第一に、高速自動車国道の意義を明らかにしたことであります。
すなわち、高速自動車国道とは、自動車の高速交通を目的とした道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治、経済、文化上特に重要な地域を連絡するもの、その他国の利害に特に重大な関係を有するもので、国土開発縦貫自動車道の予定路線及びそれ以外の高速自動車国道の予定路線のうちから政令で路線を指定したものをいうことにいたしております。
なお、後ほど申し述べますが、この高速自動車国道は附則において道路法の一部を改正して、道路法上の道路とすることといたしております。
第二に、国土開発縦貫自動車道以外の高速自動車国道について、予定路線を定めることとしたことであります。
予定路線は、運輸大臣及び建設大臣が内閣及び国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経て定めることといたしております。
第三に、高速自動車国道の新設及び改築に関して整備計画を定めることとしたことであります。
整備計画は、運輸大臣及び建設大臣が審議会の議を経てこれを定めることとするとともに国土開発縦貫自動車道にかかるものについては、国土開発縦貫自動車道建設法による基本計画に基いて定めることといたしております。
第四に、高速自動車国道の管理及び保全について所要の規定を設けたことであります。
まず、高速自動車国道の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理は建設大臣が行うことといたしました。
次に、高速自動車国道の特殊性にかんがみ、高速自動車国道と道路、鉄道、軌道等との交差の方式は立体交差としなければならないものとし、また、高速自動車国道に連結させることができる交通施設も道路、一般自動車道その他政令で定める施設に限定することにいたしております。
次に、高速自動車国道の効用の保持と交通の安全をはかるため、高速自動車国道には、みだりに立ち入り、または自動車による以外の方法により通行してはならない旨を規定いたしております。
次に、高速自動車国道を通行する自動車の危険を防止するため、高速自動車国道に接する区域について特別沿道区域を指定することができることとし、この区域内においては、高速交通の支障となるような建築物等について、その建築等を制限することができるようにいたしました。
第五に、これらに関連して、この法律案の附則におきまして、道路法その他の関係法律の改正を行なったことであります。
そのおもなものをあげますと、まず、道路法を改正して高速自動車国道を道路法上の道路としたことであります。すなわち、自動車のみの一般交通の用に供する道を道路法上の道路に含むこととするとともに道路の種類に高速自動車国道を加えることといたしました。
次に、道路交通取締法の一部を改正して高速自動車国道で運転する自動車の最高速度及び最低速度に関する規定を設けたことであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決されるようお願いたします。
次に、道路整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由及びその要旨を御説明いたします。
このたび、政府は、高速自動車国道法案を提出いたしましたが、同法律案におきましては、高速自動車国道の建設管理は建設大臣が行うことといたしております。しかしながら、その建設にはきわめて巨額の費用を要しますので、早急にその整備をはかりますためには、特別の措置として、その建設費等を償還するため有料制を採用できることとし、その建設管理を日本道路公団に行わせることといたしたいと存じます。このような措置を行うため、ここに道路整備特別措置法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の要旨を申し上げます。
第一に、建設大臣は高速自動車国道の整備計画に基き、日本道路公団に高速自動車国道の新設または改築を行わせて料金を徴収させることができるようにしたことであります。
第二に、日本道路公団が高速自動車国道の新設または改築を行おうとするときは、建設大臣に工事実施計画書を提出してその認可を受けることとしたことであります。
第三に、日本道路公団が料金の徴収を行おうとするときは、料金及び料金の徴収期間について、運輸大臣及び建設大臣の認可を受けることとしたことであります。
第四に、高速自動車国道の料金の額は、建設管理に要する費用を償い、かつ、公正妥当なものとし、その徴収期間は、政令でその基準を定めることとしたことであります。
第五、日本道路公団が高速自動車国道の建設管理に必要な管理の権限を建設大臣にかわって行うこと、その他、以上の改正に伴う所要の改正を行うこととしたことであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決されるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/2
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003・薩摩雄次
○薩摩委員長 続いて補足説明を聴取いたします。富樫道路局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/3
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004・富樫凱一
○富樫政府委員 高速自動車国道法案の要綱について御説明申し上げます。
高速自動車国道法案の趣旨は、国土開発縦貫自動車道建設法による国土開発縦貫自動車道を含む高速自動車国道を道路法上の道路として建設管理するため、新たに高速自動車国道法を制定し、高速自動車国道の路線の指定、整備計画、管理、構造、保全等に関する事項を定めることにより、高速自動車国道の整備をはかろうとするものであります。
この法案の要領を申し上げますと、第一は、道路の一部を改正しまして、道路の定義を改め、道路の種類として新たに高速自動車国道を加えるものとしたことでございます。
第二は、高速自動車国道とは、自動車の高速交通の用に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治、経済、文化上特に重要な地域を連絡するもの、その他国の利害に特に重大な関係を有するもので次に掲げるものをいうことといたしております。一は、国土開発縦貫自動車道の予定路線のうちから政令でその路線を指定したものであります。二は、次に申し上げます自動車国道の予定路線のうちから政令でその路線を指定したものでございます。
三は、運輸大臣及び建設大臣は、内閣及び国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経て、国土開発縦貫自動車道以外の高速自動車国道について予定路線を定めなければならないものといたしております。
四は、この前申し上げました二の路線を指定する政令を制定しまたは改廃しようとするときは、あらかじめ国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経なければならないものとすることになっております。
五は、運輸大臣及び建設大臣は、国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経て、政令で定めるところにより、高速自動車国道の新設または改築に関する整備計画を定めなければならないものといたしております。
六は、高速自動車国道の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理は、建設大臣が行うものといたしております。
七は、高速自動車国道が道路、鉄道、軌道等と交差する場合においては、その交差の方式は、立体交差としなければならないものといたしております。
八は、高速自動車国道に連結させることができる交通施設は、道路、一般自動車道その他政令で定める施設に限るものといたしております。
九は、建設大臣は、高速自動車国道を通行する自動車の危険を防止するため、高速自動車国道に接続する二十メートル以内の区域について、政令で定める基準に従い、特別沿道区域を指定することができるものとし、この区域内においては、高速交通の支障となるような建築物等についてその建築等を制限することができるものといたしております。この場合においては、通常生ずべき損失を補償するほか、損失の程度により国は買取請求に応ずるものといたしております。
十は、高速自動車国道は、みだりに立ち入りまたは自動車による以外の方法により通行してはならないものといたしております。
十一は、高速自動車国道の管理に要する費用は、この法律及び他の法律に特別の規定がある場合のほか、国の負担とし、国は、高速自動車国道の存する都道府県が著しく利益を受ける場合においては、別に法律で定めるところにより、その費用の一部を当該都道府県に負担させるものといたしております。
十二は、運輸大臣は、この法律に規定する権限を行うため特に必要があると認めるときは、その職員をして車両を停止させて道路の交通量の調査を行わせることができるものといたしております。
十三は、高速自動車国道の新設、改築、推持、修繕その他の管理については、この法律に定めるもののほか、道路法の一般規定の適用があるものといたしております。
以上が高速自動車国道法案の要綱でございます。
次に、道路整備特別措置法の一部を改正する法律案の要綱について申し上げます。
高速自動車国道法の規定により建設大臣が行う高速自動車国道の建設管理に対する特別措置として、日本道路公団に有料の高速自動車国道の建設、管理を行わせることができるよう次の事項について道路整備特別措置法の改正を行おうとするものでございます。
その一は、建設大臣は、日本道路公団に高速自動車国道の建設管理を行なって料金を徴収させることができるものといたしております。
二は、公団は、料金の徴収を開始しようとするときは、あらかじめ、料金及び料金の徴収期間について運輸大臣及び建設大臣の認可を受けなければならないものといたしております。
三は、高速自動車国道の料金の額の基準は、高速自動車国道の建設管理の費用を償い、かつ、公正妥当なものでなければならないものとし、料金の徴収期間の基準は、政令で定めるものといたしております。
四は、公団は、建設大臣にかわって有料の高速自動車国道の建設に伴って必要とされる管理権限を行使することができるものとし、このうち区域の決定、占用の許可等の権限の行使に当っては、あらかじめ建設大臣の承認を受けなければならないものといたしております。
五は、公団は、高速自動車国道の占用について占用料を徴収することができるものとし、占用料は公団の収入とすることにいたしております。
六は、高速自動車国道の料金については、運輸大臣及び建設大臣が公団に対し必要な監督及び勧告、助言または援助を行うことができるものといたしております。
七は、その他公団の行う高速自動車国道の建設管理について所要の規定を整備するものといたしております。
以上が道路整備特別措置法の一部を改正する法律案の要綱でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/4
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005・薩摩雄次
○薩摩委員長 両案に対する質疑は次会より行うことといたします。
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006・薩摩雄次
○薩摩委員長 特定多目的ダム法案を議題とし、審議を進めます。前会に引き続き質疑を続行いたします。足鹿覚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/6
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007・足鹿覺
○足鹿委員 若干の質疑を行いたいと思います。聞くところによりますと、この法案の審議を非常にお急ぎになっているようでありまして、その御趣旨はよくわかるのでありますが、これは同様趣旨の法案について他の委員会においても審議が進められておるのでありますが、それらの関係はどういうふうになっておりますか、委員長にちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/7
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008・薩摩雄次
○薩摩委員長 先般大蔵委員会、商工委員会から連合審査会を開いてもらいたい、こういう申し出がありまして、先週の金曜日連合審査会を開くようにいたしまして、わが方の委員も全部準備してそろっておったのですが、商工委員会及び大蔵委員会から一人の委員の御出席もなかったものですから、それで昨日はその質疑をいたしたいと言っておられます委員の方に建設委員にかわっていただいて、いわゆる差しかえをしていただきまして、そしてここでその質疑をやっていただいたのでございます。ところが質疑の全部まだ終らないという方が佐々木委員でございまして、その質疑を残しておくから、こういうお話でございました。それできょうの午前十時半から理事会を開きましてこの法案の取扱いについて協議をし、十一時から委員会を開く予定に公報に発表したのでございますが、社会党の方ではこの法案の取扱いについて種々御協議をなすったものと見えまして、理事の方が御出席になりましたが、午後一時までに態度を決定するからそれまで待ってもらいたい、こういうことで午前の理事会も委員会もいわゆる流れたような状態になっております。先ほど社会党の理事の方が来られまして、この法案の重要性にかんがみてわが党としての態度を決定するにはまだいろいろ問題もあるし、他の委員の方からも質疑をしたいという者があるから、きょうじゅうに質疑を打ち切るということのないようにして明日続行してもらいたい、こういう申し出がありました。それで理事会を開きまして、予算がついている法案なものですから、何とかきょうじゅうに質疑を続行して、明日特に委員会を開いて劈頭に討論採決をして、明日の午後の本会議に上程するようにしていただきたい、こういうことを私たちの方から申し上げたのでございます。ところが社会党さんと協議いたしました結果、きょう質疑は打ち切らないで続行することにして、そして明日の午前中にこれが討論採決ができ得るように尽力はしてみるというようなことで理事会は終ったのですが、われわれの方としましてはぜひとも明日の午後の本会議に上程いたしたいから、どうかそのように社会党の方の態度をきめていただきたいということを理事の方に強くお願いをいたしまして、そしてただいま委員会を開いているような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/8
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009・足鹿覺
○足鹿委員 経過をお聞きいたしましてその御趣旨はよくわかるわけでありますが、政府に同様の点でちょっとお伺いいたします。予算を伴う法案について非常にお急ぎになる御趣旨はわかるのでありますが、私先国会まで農林や予算をやっておりまして当委員会は初めてでございますので、委員会にもいろいろと慣例もあり、また省が違えばいろいろ事情も異にした面もあろうかと思うのでありますが、同僚議員に聞いてみますと、現在農林水産委員会に土地改良法の一部改正案が出ております。それにあわせて特定土地改良工事特別会計法が関連法案として大蔵委員会に付託になっておる。これはやはり本特定多目的ダム法とその特別会計法と軌を一にしたものでありまして、その内容は違いますけれども趣旨においては同じものなんです。聞いてみますと、大蔵、農林方面の土地改良法の一部改正法並びに特定土地改良工事特別会計法の取扱いは、でき得るならば今月一ぱいにこれを上げて参議院に送る。参議院の方では四月九日ごろまでにやれば、要するに常勤労務者の人夫賃を払うということなのでありますから、これは多目的ダム法においても私は趣旨は同じだろうと思う。何ら支払いに差しつかえない、こういう考え方で審議を進めておる。ところが農水委員会にかかっておる法案は、土地改良法の一部改正という法案でありまして、土地改良法そのものを改正しようというわけであります。ところが本委員会に付託になっておる特定多目的ダム法案は、これは新しく法律を起していく、きわめて重要な議案だと私は思う。そういった意味からいいますと、農水委員会にかかっておる土地改良法の一部改正法、それに伴う特別会計法と軌を一にはしておりますものの、こっちは単独法でありまして、新しく一つの法律を起していく、きわめて重要な意義を持つものである。ここに付託になってから関係委員会もそれぞれ議案に忙殺されておる。気がついてはおるけれども、土地改良法の一部改正で、農水委員会としても全力を注いで、きょうからいよいよ審議に入り、おそくとも今月一ぱい審議して、続いてこのダム法との関連等も研究しようというようなことを言っておりました。そうしてみますと、私は同じ政府の行政機関が、一つの省は大体四月九日ごろで事足りるという、当委員会は予算を伴うがゆえに、数日間の審議をもってこれを上げなければならないという当局の要請に、委員長がいろいろ御心配になっておるお気持はわかりますけれども、私は取扱いがあまりまちまちではないか、もっと十分な時間をかけても、あなた方の行政執行に何ら差しつかえないのではないかという印象を強く受けるのでありますが、その間何か根本的な変った事情があるのでありますか。あるならば、どういう点がありますか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/9
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010・山本三郎
○山本政府委員 ただいまのお話にお答えいたします。私どもの提案いたしております特定多目的ダム法案は大蔵省から提案しております特別会計の根拠法規に立っております。それからその特別会計で計上しておりますダムは継続事業のものが含まれております。従いまして、その間に年度をまたがりまして契約しておるような事業が含まれております。従いましてその間にこの法律が成り立たないと空白ができるという点において非常に困った事態になるので、私どもといたしましてはぜひ年度一ぱいに上げていただきたい、こういうことをお願いしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/10
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011・足鹿覺
○足鹿委員 私の聞いておるのは——そういう点については、先ほど委員長のお話で、私は委員長の取扱いについては無理もないことだと思っておるのです。委員長なり他の理事諸君がそういうふうに非常にお急ぎになってこの法案を上げよう、われわれも本質的にこれを阻止しようとか審議を引き延ばそうという考えではないのです。ですからその点はよく御了解になって御答弁願いたいのですが。
大体継続事業とおっしゃいますが、農水にかかっておる土地改良法の一部改正にしましてもみな継続関係があります。これは何年度計画の大きな工事があります。むしろ建設省のダムなんかよりもっと分量の多い工事もあるのです。ですからそれは、継続事業であっても理由にならないと思うのです。大体土地改良法の一部改正法案、特定土地改良工事特別会計法案が衆議院を通過するのが三月末ごろで、参議院でこれが大体どういう取扱いになるかわかりませんが、期待するところは四月九日ごろまでに上げれば年度をまたがっておろうと予算がついておろうとおるまいと行政執行上何ら差しつかえはないんだ、そういう解釈のもとに一部改正法案のごときものでも慎重を期しておるにもかかわらず、そういうふうにやいやい言われる御趣旨というものは少し間違ってはおりませんか、よく御検討になる必要がありはしませんかということを言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/11
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012・山本三郎
○山本政府委員 ただいまの説明で少し足りないところがございましたが、私どものダムにつきましては、継続費が設定されておる分がこの中に三本含まれております。年度にまたがる継続費を先般の国会で認めていただきまして継続事業としてやっておるものがございます。従いましてそれらのダムにつきましては工事の契約も年度をまたがった契約にしておるわけでございまして、そういう点がおそらく土地改良の面とは違うと私は考えておりまして、私どもといたしましては実質的に継続費でやっておりまして、契約が年度をまたがっておるものですから、その間に空白ができますと非常に困った問題になってくる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/12
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013・足鹿覺
○足鹿委員 継続で行なっておるものが三本というのはどこですか。この特別会計法は当委員会にはかかっておりませんが、大体八つですね。それは特定多目的ダム建設工事特別会計法附則第三項の分ですか、何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/13
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014・山本三郎
○山本政府委員 特別会計で要求しておりますダムが、工事費を計上いたしておりますものが九本ございます。それから実施計画調査を計上しておりますものが三本ございますが、この工事をやっております九本のうち愛媛県の肱川というところにダムを作っております。それから埼玉県の荒川の上流の二瀬というところにダムを作っております。それから長野県の天竜川の美和という地点にダムの築造をしておりますが、この三本は従来継続費でやっておったのでございまして、今回におきましても継続費でございますので、今までにおきまして来年度にまたがる契約をしておるわけでございます。その三本につきましては、今申し上げましたように実質的に申し上げまして年度をまたがった契約がしてありますので、その間に空白ができますと非常に困ったことになるわけでございまして、続かないということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/14
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015・足鹿覺
○足鹿委員 よく私理解がつかないのですが、二年度にまたがる継続契約というものは、建設省の今述べられた美和グム、二瀬ダム、鹿野川ダム、これ三つには限らないと思うのです。ほかにも間々あると思うのです。ただここに新しく法律を起されて、これに乗りかわらせようとするところに問題がある、こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/15
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016・山本三郎
○山本政府委員 ほかのダムにつきましてはいずれも年度だけの予算をお見込みいただいておるわけでございまして、それらのダムにつきましては年度内の契約しかやっておりません。今の三本につきましては、年度にまたがる継続費を、完成までの継続費を、お認めいただいておるわけでございまして、三十一年度におきまして、ほかのダムと違いまして年度をまたがった契約ができるのはこの三本でございます。そういう点が単年度事業と違っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/16
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017・足鹿覺
○足鹿委員 それなら別に差しつかえないじゃないですか。年度をまたがることがすでに国会において認められ、予算上においてもそういう取扱いになっておれば、別に急ぐという一つの理由にはならないように私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/17
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018・山本三郎
○山本政府委員 そういうことになっておりまして、今回の予算要求は特別会計で要求しております。従いまして、この特別会計のスタートができませんと、その間に空白ができるということでございます。(「乗り移るのだろう」と呼ぶ者あり)乗り移らなければならぬのでございますが、その間に空白ができますと乗り移れなくなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/18
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019・足鹿覺
○足鹿委員 いや、結局乗り移るといってみても、資材その他に対する支払いもあるでしょうし、それから労務費の支払い等もあるでしょう。要するに、継続費といってみたところで、資材費と労賃ですよ。ほかに何もありはしませんよ。そのうち資材は四月九日までに上っていけば、すでに継続支出になっておるわけでありますし、一時購入をちょっとずらすとか、そこを調整をとればいいことなんです。問題は労賃なんですな。人夫賃を支払われるときにその間が切れるという御心配なんでしょうけれども、ただ行政官庁の取扱いを見ても、大体四月九日ごろであれば常勤労務者の労賃は四月十日に支払われる。だから、九日までに成立すれば別に差しつかえはない、大体こういう取扱いになっておるようです。建設省だけがそのようにおあわてにならなくても、私はこの審議を延ばそうとかどうしようとかいう考えは少しもありません、ただ、ただすべき点はただし、ほんとうに特別立法をして将来の国土開発なりあるいは水利の上において、電源開発の上において重大な意義を持つ本法のごときものについては、他の関連産業との関係、いろいろな点をよく調整をし、検討を加えていく必要があるから、相当の審議期間を持つ必要がある、そのためにはあなた方の解釈をもってしては——委員長は与党の立場からこれはなるべく早く上げたい、こういうことになり、問題がこういうふうに発展してきたものだと思うのです。ですから私はそういう点は差しつかえないと思うのですよ、何か会計法上絶対にいかんということがあれば別ですが。そうすると、他の行政官庁との関係はどうなる、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/19
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020・山本三郎
○山本政府委員 審議を十分していただくことにおきましては私は御質問に対しまして十分お答えしなければならぬと考えておりますが、今お説のようにたとえば九日になりましてこの法律が通していただくということになった場合におきましては、八日までの間におきましても、特別会計が動き出しませんと、この特別会計で今の継続のダムに働いておりますものについては支出をしなければならぬことであります。それが動き出さないと、払う賃金も動かせない、こういうふうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/20
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021・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、大蔵省側との連絡なり、従って大蔵委員会に現在付議されておる特別会計法の審議との関係はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/21
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022・山本三郎
○山本政府委員 特別会計は、この特定多目的ダム法を根拠といたしまして特別会計法ができておりますので、大蔵省からもその方面の審議を促進していただくように大蔵委員会の方にもお願いいたしております。こちらと歩調を合せて御審議を進めていただくようにお願いしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/22
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023・足鹿覺
○足鹿委員 大体わかったようなわからぬようなことですがね。それで委員長、並行審議の状態というのはどういうふうになるのですか。本法案が一応通らなければ特別会計法というものの審議は進まない、こういうわけのものではないと思うのです。本法とこの特別会計法は唇歯輔車の関係にあるわけですから、並行審議でずっと行って、そして審議を尽していけば、私は事足りるんじゃないかと思うのです。そういう点については大蔵委員会とはどういうふうになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/23
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024・薩摩雄次
○薩摩委員長 その点につきまして、大蔵委員会と当委員会との話し合いはいまだしてありませんし、またそういう段階になっておりません。政府の方面でやっておられるということを了承して、この委員会は委員会としてこの法案の審議を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/24
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025・足鹿覺
○足鹿委員 政府にお尋ねしますが、大蔵委員会とはどういう関係になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/25
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026・山本三郎
○山本政府委員 大蔵委員会の方面におきましても、参議院におきましては合同審査がありまして、それに出席いたしまして、御説明は申し上げております。それでこの二つの関係があるというのは、特定多目的ダム建設工事特別会計法の一条に「特定多目的ダム法第二条第一項に規定する多目的ダムの建設工事」ということが規定してありまして、これが両方とも相関連する法律になっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/26
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027・足鹿覺
○足鹿委員 とにかく私の言わんとしておるところは、やはりそうお急ぎにならなくとも、今私が述べましたように、他の行政官庁にも同じケースのものもありますし、四月の八、九日ごろまでに参議院において審議が終れば、大体そう大きな支障はないものだ、私どもはそういうふうに解釈をいたしております。
なおこの特別会計法の附則の面におきましても、もしどうしてもこれが都合が悪い、規定の期日までに上らないという場合には、附則第一項の「この法律は、法施行の日から施行し、昭和三十二年度の予算から適用する。」ということをこの本法とは切り離して、この特別会計法を一応四月一日実施ということにしておけば、あと一条その他の関連条文を若干その趣旨に沿って手を加えておけば、何らあなた方が御心配になるような遅滞ということは私はないものだ、そういうふうに解釈しております。これは十分御検討になってしかるべきことと思います。要は、政府に非があるというよりも、聞くところによりますと、三月六日に本委員会に付託になっておって今日まで上っておらないという点で、他に何か重要法案があったために、この法案が今日まで審議が十分に尽されなかった、時間がこれに充当されなかったということに原因はあるようでありますが、そういう場合には政府みずからも、他の重要法案もさることながら、こういった特別法、単独法を起し、特別会計法を起して画期的な立法を行おうという場合には、むしろあなた方がお急ぎになれば、先になればこういう支障が出てくるから、法案の順序はこういうふうに変えて早くやってもらいたいということを委員長なり委員会に申し出れられて、調整をとっていかれることが、私はほんとうのやり方だと思う。この点は御注意申し上げておきたいと思います。
そこでまず第一に私のお尋ねを申し上げますが、第二条の点であります。第二条によりますと、定義の項でありますが、「この法律において「多目的ダム」とは、建設大臣が河川法第八条第一項の規定により自ら新築するダムで、これによる流水の貯留を利用して流水が発電、水道又は工業用水道の用に供されるものをいい、」と規定されておりますが、これのみに限定された根拠は何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/27
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028・山本三郎
○山本政府委員 今のお話は、建設大臣が河川法第八条第一項の規定により建設するものでありまして、それによってためられる水を発電、水道または工業用水道の用に供せられるものだというふうにしてあるけれども、これ以外についてやらなかった理由はどうかということでございまして、これ以外に考えられるものといたしましては、建設省が補助をいたしまして府県でやっておるダムがございます。それからそのほかにも各省の関係のものはございますが、主として補助ダムを入れなかったという点について御説明申し上げますと、建設大臣が直轄で工事をいたしまする多目的ダムは、公共の利益に関係するところがきわめて大きい、しかもその規模は大きく、かつ非常に多くの費用を要するものでありますので、建設大臣が単独で建設いたしまして、一元的に管理を行うことが必要であるということで、こういうふうに規定したわけでございます。御意見にもありますように、この制度を都道府県が建設する多目的ダムにも適用することの必要性も考えられるのでございますけれども、都道府県の行いまするダムは、ここに建設大臣が直轄で施工するダムほど公共の利益も大きくありませんので、今回はこの法律を適用しないことにいたしたのでございますけれども、政府といたしましては、今後十分それらにつきましても調査研究いたしまして、その準備を進めたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/28
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029・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、第二条と第十条との関係はどういうことになるのですか。第十条によりますと、「専用の施設を新設し、又は拡張して、新築される多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水をかんがいの用に供する者は、多目的ダムの建設に要する費用につき」云々とあるわけです。この十条の場合においては、ここに初めて「かんがい」という言葉が出て参りますし、この定義の上においては、「流水の貯留を利用して流水が発電、水道又は工業用水道」と三つに限定し、農業関係を全くその外に置いた表現になっておるということはどういう意味になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/29
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030・山本三郎
○山本政府委員 多目的ダムを作りまして、それを灌漑に使うという点でございますが、従来河川法第四条第二項の規定によって公利を増進するという目的がございまして、建設大臣が自分で河川工事として工事を施行し、大臣または河川管理者たる知事がその操作をいたすわけでありますが、その河川管理者の責任において渇水補給のための流量調整を行う。その他の目的として発電、水道または工業用水というのがございますけれども、それらは特定の用途者がありましてダムを使うのでございますが、灌漑をこれらの特定用途よりも下に見たというのではございませんで、河川管理者の本来の任務であり責任であると考えておるわけでございます。
それから第十条には「専用の施設を新設し、又は拡張して、」という項目がございますが、ただ単にダムを作って低水の量をふやすという場合には受益者の負担金は特に取らない。しかし専用の施設を作ったりまたは拡張して新しく農業の水利権を得ようという場合については、その利益の程度に応じまして、わずかではありますけれども農民の方々から負担金をとるという規定を挿入したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/30
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031・足鹿覺
○足鹿委員 第十条によると、専用施設権を持つことになるわけです。たとえば「流水をかんがいの用に供する者」等……。定義の場合にはこれを除いてあるが、第十条において一応農業用灌漑用水を取り上げておる、こういうことになるんですね。それで工事費の十分の一と建設利息をその専用施設権を持つ者にかけるし、発電や水道のときは一〇〇%、こういうことは少し不公平ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/31
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032・山本三郎
○山本政府委員 従来は、この多目的ダムによって灌漑水を補給いたしましてその効果が上る場合には、その効果に相当する負担、工事費の三分の一あるいは四分の一を県が持っておりました。しかし、他方土地改良におきましては、県以外に地元の土地改良区なりが負担金を持っておりました。それとの調整を考慮いたしまして、新しく農業のために水を取り入れるというような場合には一割以内の負担金をとるのが土地改良との調整上も必要であるという点から、この項を新しく挿入したわけでございます。発電等においては利益がはっきりわかって参りますし、また従来の経過からいいましても農民の方々に全部持たせるのは非常に過酷であり、農家の経営が非常に苦しくなるという点から、こういう措置をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/32
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033・足鹿覺
○足鹿委員 どうも今の局長の答弁では私納得いきません。この点は非常に重要であると思うのです。私は先年農業関係の目的を持って美和ダムを見てきました。美和ダムの下流に対して灌漑用水を供給しようということがあのダムの目的の一つになっておる。多目的ダムとしてまことにふさわしい御計画のようで、私もその成功を祈っているわけですが、そうした場合に、開田、開畑等に対して若干の利益者負担ということも一応理屈としては考えられましょう。しかし、元来水そのものは自然に流下することにおいて灌漑用水の用を弁じて今日まで来ておるわけです。そこに一つの特定の施設を加えていくということにおいて初めて意義があるわけでしょう。ならば、電力にしてみても同じことではありませんか。ほうっておけば全くその用に供しないものに一つの施設を行うことによって人間社会に大きな貢献をする、このことに対しては負担金を取らない。特に国家が明治政府以来非常な援護政策をとってきた一般の後進産業から一〇%程度の負担金を取るわ、利息を取るわということは妥当を欠いておる。少くともこういう問題については十分にお考えになる必要があると思うのです。これはただ単に事務当局の御判断のみならず、一つの国の農業施策、あるいは他の大事な電力資源を確保し供給の道を開いていくという点において電力開発の必要性は私どもよく認めておるものであります。そういったものについて、私一昨年愛知用水公団法を通す場合に、延々十日間の日程を費して王滝ダムも見て参りましたが、その補償の問題が漏れておるわけです。被害者に対しては一応やはりそういう対策をとっている。その被害者の対策をとるということは、その施設によって非常な利益が一面にもたらされる、そういう点において一応やられておるのでありますが、電力会社自体は何ら負担をしておりません。ですから、後進産業の農業からわずかの利益者負担金を徴収されるということはもっとよく御研究になる必要がある。政府自体として国土の総合開発ということを目的として行われる多目的ダムとするならば、もっと農林当局と十分な連絡をおとりになる必要があると思うのです。建設大臣としての御所見はどうでありますか。農林大臣等とはどういうふうにこの点を御調整になったのでありますか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/33
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034・南條徳男
○南條国務大臣 詳細は政府委員からも先ほど答弁がありましたように、従来この問題については、農民の負担とはせず府県が負担をしておったようでありますが、このたび農林省におきましても土地改良その他に改正案を出し、これらに関連いたしまして均衡をとる意味において府県の負担していたものをごくわずかでありますが農民の方で負担をしてもらおうというのでありまして、別段あらためて農民に特別な負担をさせようという趣旨ではないのであります。できるだけその点は公平な形において実施したいという意味でありますから、御了承願いたいと用います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/34
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035・山本三郎
○山本政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げました点につきまして補足して御説明申し上げます。ただいまのお話ももっともなことでございまして、農民の方々から負担願うということはできるだけ避けたいのでございます。ただ、単に用水の取入口というような専用の施設を新築したりあるいは拡張したりしただけのものについて負担金を取ろうというわけじゃございませんで、上流に金をかけましてダムを作って、水が非常に少いときに今度はそのダムから放流しまして灌漑用水を補給してあげるわけでございまして決して取り入れ口だけを改造したりするものに対して負担金を取るわけではございません。天然の水が足りない、非常に少いというときに、ダムの水を放流いたしまして補給する場合に、その受益のほんのわずかな部分を負担金としていただくわけでございます。
それからこの点はお尋ねになっているかどうかわかりませんが、美和ダムにつきましてすでに継続でやっておりますものにつきましては、そういう新しい負担金は取らないつもりでございます。今後建設せんとするものにつきましてそういうふうな土地改良の関係とよく相談いたしまして計画をきめ、それに応じましてほんのわずかの負担金を取る、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/35
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036・足鹿覺
○足鹿委員 美和ダム等の事情を引用されましたが、しからば今後この法律の対象となって新しく事業を起されようというものの計画の概要はどういうものですか。資料として御配付願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/36
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037・山本三郎
○山本政府委員 ずっと将来のことは概括的にだけしか申し上げられませんが、三十二年度におきましてこの法律に基きまして特別会計で施行するダムが、先ほども御説明申し上げましたように実際に工事をやるものが九ヵ地点ございます。そのほかに計画調査をやる地点が三ヵ地点ございます。それから間もなく実際に工事に着手しようという考えで、実施調査費でない調査費をもって調査しておるものが五ヵ地点ございます。それらの地点につきましては、近い将来におきましてこのダム法を適用いたし、しかも特別会計で実施したいというふうに考えておるわけでございまして、またその他の個所につきましても、調査を進めまして計画をしっかりきめました上でこの法律を適用し、さらに特別会計で事業を実施していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/37
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038・足鹿覺
○足鹿委員 建設利息の点ですが、建設期間中の利息を全部取られるということになるようです。先ほど私が引例をいたしました土地改良法に基く土地改良特別会計法によりますと、純工事費の半分を国で半分を農民でということになっておるように私は承知しておるのです。このたびの本法で言う建設利息とは、全額受益者から取るということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/38
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039・山本三郎
○山本政府委員 その点は非常にむずかしい説明になりますが、ダムを作る総費用がございまして、それを各目的別で持つべき費用に分けるわけでございます。その分け方につきましては政令で定めるのでございますが、従来も電源開発促進法の規定によりまして政令が出ておりまして、その方法でやっておったのでございます。それと同じような方法でやりたいと考えております。そうしますと灌漑で持つべき金が出て参るわけでありまして、それのうちの十分の一以内を農民の受益者の方に持っていただく、それに対しまして建設中の利息を含めまして持っていただく、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/39
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040・足鹿覺
○足鹿委員 そうすると、建設中の利息とそれからその施設に費やされるものの一〇%、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/40
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041・山本三郎
○山本政府委員 ダム全体の費用の一〇%ではございません。ダムの費用を灌漑、治水、発電等に分けます。その分けた灌漑で持つべき費用の一〇%を農民の方に持っていただきますが、その一〇%だけでなくて、それに建設中の利息を加味いたしまして、それだけを持っていただく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/41
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042・足鹿覺
○足鹿委員 建設中の利息を加味するというお話でありますが、そうするとどういうことになるのですか。もう少しその率とか方法とかいったことをはっきり資料的に、一つの工事なら工事を引例して、工業用水、水道、発電、農用灌漑、こういう企画中のものがある、その内容についてはどうだという御説明をしていただかないと、観念的にここで割り切っておりましても、実際問題になるとこれはなかなか問題がはっきりしないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/42
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043・山本三郎
○山本政府委員 その点もう少しこまかく説明申し上げますために、担当の開発課長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/43
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044・小林泰
○小林説明員 かりにダム全体の費用を治水の方で五〇%、それから灌漑の関係で三〇%、電気の関係で二〇%を持つという費用割り振りの計算の結果が出たと仮定いたしまして、灌漑の三〇%のうち、この十条に該当いたします専用施設のある関係のものは、三〇%のうちの二〇%だけがこの該当であるといたしますと、この二〇%のうちの受益者負担は一割でございますから二%、つまり全体のダムの建設の一%を受益者が負担するという格好になるわけであります。それから二%の部分に対応する建設期間中の利子が元本の中に加算されて、それが受益者の償還すべき元金になって参るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/44
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045・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと土地改良の特別会計法によりますと、受益者負担は大体三年の据え置きで十七ヵ年年賦ということになっておりますが、あなた方の計算ではどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/45
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046・国宗正義
○国宗説明員 償還につきましては、政令で各最終的にきめられることになるわけでございますが、十年間の償還期限、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/46
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047・足鹿覺
○足鹿委員 政令々々と言われますが、これは大臣においてもお考え願いたいと思うのです。何でも政令依存、肝心かなめな点になりますと政令へ持っていくという傾向はいい傾向とは言えないと思います。この条文を特別会計法とあわせて見ますと、政令に依存しておる点は実に多いのです。その政令の内容はどういうものですか。もうすでに四月一日から実施しなければ困るというくらい切実な問題になっておる以上、政令の準備もあろうと思うのです。当然重要な政令の内容等は、その構想等について委員会に資料として要求されるまでもなく、当局があらかじめ御提出になるのが私は責任ある態度だと思う。何でも政令に依存する、とにかく法案は急ぐ、これではわれわれは審議権を半ば政令によって奪われたと同じ結果になる。肝心かなめな政令案を資料として出していただきましょう。今の課長のお話、その程度では私は納得いきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/47
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048・山本三郎
○山本政府委員 重要な点の政令につきましては案ができておりますので、それらをごらんに入れることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/48
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049・足鹿覺
○足鹿委員 それはいついただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/49
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050・山本三郎
○山本政府委員 きょうお届けいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/50
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051・足鹿覺
○足鹿委員 それはどの項とどの項の政令の問題についていただけますか。私がいただけるのは、この際いただくわけになるのでしょうか。私どもは抽象論でわからぬというのは、たとえば美和ダムの建設工費が何ぼであって、そのうちの今課長がおっしゃったような率で電源に幾ら、灌漑に幾ら、工業用水に幾ら、こういうふうにそれを計算してみて、反当にどの程度になっていき——先ほど言ったように近代的な重工業の起源となる動力を取り扱うものと、後進農業との場合はなかなか当初の立て方をされるにも、私は相当慎重でなければならぬと思うのです。ダム・ブームとか、補償ブームとか現地へ行きますといわれますが、これでは現在の土地を奪われ、家、屋敷を立ちのくものでありますから、私はブームでも何でもないと思う。逆に用水が潤沢に配給されることによって開田、開畑等で利益は受けるけれども、実際においては負担に耐えられないというような事例が従来農業面においては間々あるのです。そういうことはないと思いますが、具体的なものを一つお示しをいただかないと、抽象的な議論ばかりここでやっておったのでは、私は納得がいかぬように思う。なるべくそういうふうなものは早くお示しをいただけば、私どもも審議に協力できると思うのです。たとえばどういう政令の内容の資料がいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/51
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052・国宗正義
○国宗説明員 ただいま用意いたしております政令は、多目的ダムを施行いたしますのに必要なる政令全部、なお登録関係に必要といたします登録に関する政令全部、それから河川法関係の法律を施行いたしますために必要な監督令の政令、その三種類の政令は用意いたしておりますから、全部御提出できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/52
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053・足鹿覺
○足鹿委員 それではその政令案は次の質疑に必要でありますので、それを拝見いたしまして、また関連をして御質疑を申し上げることを委員長においても御了解願いたいと思います。抽象論を繰り返しませんから、政令を見た上でいたします。
第三点の私の質問の重点は、農民側が本法に規定される多目的ダムの使用をめぐって、被害を受けた場合の救済規定の問題についてです。その点について、その概要をわかりやすくお話しを願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/53
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054・美馬郁夫
○美馬説明員 ただいまの質問でございますが、この法律はここにありますように河川法に対する特別法ということになっておりまして、今仰せのような補償の問題等につきましては、この法律には規定いたしておりません。これは河川法一般の理論によりまして、事態が起りましたときに河川法でやるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/54
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055・足鹿覺
○足鹿委員 たとえば第四条の第三項あるいは第三十一条の第三項あるいは第三十四条の第二項、附則の第五項等、すべて河川法との関係はございますが、その基本計画であるとか、あるいはダム・ゲートの操作規則であるとか、あるいは造築物等の許可の取り消し処分であるとか、河川法中の流水の処分等については、本法に基けばほとんど建設大臣オンリーということになってしまうようでありますが、その点で遺憾はないのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/55
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056・山本三郎
○山本政府委員 これは建設大臣が直接やる場合と、河川管理者でありまする知事がやる場合とがあります。従来の河川法におきましては、水利権の処分等におきましては知事が許可いたすのでございますが、その際に、重要なものにつきましては建設大臣の認可を得て、それを許可することになっておりました。今回におきましては、特にダムの問題につきましては灌漑であるとか、あるいは発電等の問題で実際に工事を建設大臣がやるものでございますから基本計画、操作規則、それから水利権の処分等につきまして関係の行政機関の長に十分協議をする規定を新しく河川法の特例といたしまして挿入し、また河川法の一部を改正いたしまして特に協議をするように、今までよりももっと密接にやろうというふうに改正をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/56
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057・足鹿覺
○足鹿委員 先ほどの河川局次長の御答弁のような、そういう木で鼻をくくったようなごあいさつではないと思う。河川法できめてあるから知らぬ、よく読めということです。今の局長の話ならわかります。河川法できまっているのは法律を読めばわかります、河川法できめてある、そういう御答弁はないと思う。あまりにも官僚的な答弁だと思う。もう少し話し合って、こういうふうに第何条においてはきめてあるが、しかしこれについては行政庁の長とよく建設大臣が協議をしてきめるのだ、こういうお話ならば一応わかります。ところが協議が整わなかった場合は一体どうなるのです。その点について何かここに、地方住民の利益やいろいろな点が、一方的に一つの権力の前に屈服するという民主主義の原理に反するような結果ができはしないか、こういう点を私どもは心配するわけなんです。その点については行政機関の長と協議をする、この協議の内容というものについて私どもは非常な疑義を感じておる。これは他の同僚議員からも御発言があったかと私は思います。昨日欠席して、おりませんからわかりませんが、たとえば一番問題になる建設関係は道路の敷地にしてみても、あるいは住宅の宅地にしてみても、あるいは都市を建設していく場合の市街地の造成についても、常に内陸面においては農業との相剋摩擦ということです。これをどういうふうに調整緩和をして国土の総合的開発を行い、あるいは都市と農村との調和をはかっていくかというところに建設行政の大きな課題があると私は思う。ただそれを河川法にきめてあるからこうだとかどうだとかいう話というものは、そういう官僚的な態度はないと思う。もっと真剣に農民や農業等の他の関係とよく調整をとっていく、そして総合的に日本の国土を建設し、美化し、これを発展せしめていく、こういう建設省の大きな——農林省の後進産業を指導する官庁と違って、大きな、一つの高い見地から他との調整緩和をはかり、総合していくというところに建設省の任務があると思う。それを一つの既存の法律をたてにして、これはこうだ、これはああだと言うような態度は、今後あってはならぬと思う。十分に御注意を願いたいと思います。私は大臣に伺いたいと思うが、どうしても建設大臣が、その関係大臣としてたとえば農林大臣との間に協議がととのわぬというような場合には、たとえば建設大臣は、国会の承認または同意を得て訂正ができるというふうな国会が国権の最高機関としての使命を果し、そうして、一方的に事がおさまらないように、民主的に問題を解決する、そういうような措置が私は必要じゃないかと思うのです。それはささたる問題ではなくして、従来のダム建設をめぐってどのくらい問題が起きておるか。たとえば現在農林省がやっておる愛知用水公団法に基く愛知用水の開発についてみても、王滝ダムとの問題がズレて、またアメリカ技術顧問団その他資金等の関係がうまくいかないために、おととし七月にやいやいといって、私ども野党もその重要性にかんがみて、これに賛意を表し、現地にみずから出張して調べた。それがいまだに事がなっていないじゃないですか。どこにその原因があるか。あまりにも国土の開発という美名に名をかりて、住民の福祉、住民の利益を軽々しく考えておるところに問題が大きな障害となって現われると思うのです。そういう点について、私はこのたび、従来いろいろな法律によって規定されておったものを、一つの総合立法である特定多目的ダム法として出ていくということは、国土開発の面における画期的な立法だと思うのです。そういう点において、何でもかんでも河川法に規定しておるのだ、他のこういう法律に規定しておるのだ、これでやっていけばいいのだ、そういう態度があなたの補佐役である次長からただいま不用意に言われておるのです。そういうことでは因る。私の言わんとするところは、そういうところに国土の建設という大きな目的を持ちながら、遅々として運ばない理由があり、同時に後進産業の中にあって、どれくらい関係農民が涙をのみながらこれに協力せざるを得ない立場に立っておるか、そのものに対するあたたかい人間的な気持を持たなければその仕事の成就はできない、こういうことを私は申し上げておるのです。私の意見が間違っておりますか。これに対する慎重な態度というものがあってしかるべきではないか。この点について建設大臣の御所見をさらに承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/57
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058・南條徳男
○南條国務大臣 ただいまの農民に対する多目的ダム設定の補償の問題から、いろいろ誤解があるようでございますが、先ほど次長の答弁に対して局長から補足いたしましたように、本来この多目的ダムを作るときに、私どもも今までのような河川法によって、建設大臣の認可に基く長官の許可ということで、各省の協議を待たないでできたような仕組みでありましたけれども、これを今回かような画期的な法案を作るについては、できるだけ農林省——各官庁そうでありますが、特別農林省ともこういう問題について協議をして、そうして善処することが、これらに対する最も親切な親心であると考えまして、このような改正をしたわけでありまして、あなたのおっしゃるような気持からこの改正をしておるようなわけであります。それで協議がととのわない場合にはどうするのだというお説でありますけれども、これはそのときにも字句についていろいろな話が出ましたけれども、一応法文の字句といたしましては、どの法文にも協議という字句になっておりますが、その精神はどこまでも協議をととのえて、そうして満足のいく方向に各官庁がいたしていきたいという気持でありますから、この点も御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/58
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059・足鹿覺
○足鹿委員 要するに、最後にはだれかがきめなければ事はおさまらぬわけですから、別に私はこれを持って回って言うわけではありません。ただ一方的に従来きめられてくる傾向が強かった、また今後もそうあってはならぬという点から私は申し上げておるのです。だれかが最後には納得をせしめて、そうして事をおさめなければおさまりませんから、そういうことについては私はとやかく言っておるわけではありません。いよいよこういうときには、基本的な人権なり、その人間の居住権なり、いろいろなものに大きな影響をもたらす事態になってきますので、行政庁の長と長との間において話のつかぬ場合には、内閣の責任において内閣総理大臣がおきめになるでしょう。だがしかし、新しく特定ダム法というものをお作りになるこの機会に、最後にどうしても調整がつかぬときには、国会においてその意見を求めて最終的にきめるとか、何らかの措置が講じられないものか。国会にその経過を報告して、国会が承認または同意した場合にはこれをきめるとか、何らかの措置を必要とするのではなかろうか。これはあとで申し上げますが、おそらく宅地の造成をめぐっても、あるいは今度の弾丸道路の建設をめぐっても、その趣旨たるや私どもとしては実は何も文句はないのでありますが、その建設の過程にあっては、地方住民が将来の福祉を得るかわりに大きな犠牲を払わなければならぬ。そのときに、協議が相ととのわぬという場合には、都道府県知事との間において、あるいはその他の関係機関との間において話がつかぬ、こういうことになると私は思う。それならそれは土地収用法あるいはその他の強制法規でやればいいのだ、こういうふうになるかもしれませんが、それで今までのような小さなスケールのものはある程度やれてきた。しかしこれは米軍が背後にあってあれだけの圧力をかけても、砂川のわずかの住民の意思は無視できなかったと同様に、今後建設省がなさんとしておる大きな国土の総合開発と関連するいろいろな仕事をやっていく場合においては、私はなかなか簡単にいかないと思う。それに対する一つの配慮と用意というものが必要でないかと私は思うのです。(笑声)同僚議員からお笑いを受ければいたし方はありませんが、私は真剣に考えておる。そういう点について、大臣としてはよくお考えになってよろしかろうと思う。私は出身が農村関係であるからあえて農村のことを例にするだけのことでありまして、これはただ単に農村の問題ではない。地方住民なり国民の利害を不当に圧制して一つの計画を達成しても、私はこれは事業の成果ということはできないと思う。一人の人権を無視してどのような美しいことをしてみても、それは結局においては私はほめるべきことではないと思う。そのためにどうすればいいかということが一つの問題となって、この多目的ダムの問題について私は申し上げておるのです。くどいようですから私はこれ以上申し上げませんが、特にこの点については建設大臣の御所見があればさらに承わります。そうして先ほど申し上げました資料を、今明日中にいただいて、いま一応私の質疑を若干その関係を見ていたしたいと思いますので、その機会を与えられんことを委員長にお願いいたします。
大臣の御所見があれば、あらためてもう一度承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/59
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060・南條徳男
○南條国務大臣 お答えいたしますが、先ほども申し上げましたように、利害関係者に対する補償あるいは納得ということについては、この法案では、建設大臣が一切をあげて管理者となり、責任者となるように書いてありますためにいろいろ誤解もあるようでありますけれども、今までの河川法を一歩譲りまして改正して、そうして各省間の協議をととのえるということにしただけでもよほど今までとは変った態度であるということに御了解を願いたいのでありまして、今後の実際の方向といたしましては、お説のように、十分利害関係者に納得のいく方法をいたしまして、そうして円満にやっていきたいと考えておるのであります。ただ御承知のように、建設省のいたしておりまする住宅にしても、あるいは道路にいたしましても、また多目的ダムにいたしましても、この利害関係者との補償問題になりますると、大部分の人が納得した場合でも、わずか一人か二人の人がこれに非常な抵抗をするために、りっぱな目的が達成せられないことがたびたびあることは御承知だと思うのです。そういうような事例がありますために、せっかくのよい目的が達せられない。そうして多数の公衆の利便が達せられないというような事例も数あるのでありまして、土地収用法等もありますから、それによってすればよろしいというような法の建前でありますけれども、今日の時世におきまして、それすらもなかなか容易でないということがあって、このことのために、しからば一々これを国会の承認を得なければ実施できないというようなことになりますと、一面においては一、二の利害関係者はそれで納得がつくかもしれませんが、国益と申しますか、政府の施策を実施する上においてはまた非常に不便な面もあるのであります。その調整というものはよほど勘案しなければならぬと思うのでありまして、今のお説のようなことが国会の全体の御意見としてそうした方がよいということならやむを得ませんけれども、今日の段階といたしましては、政府としては今の程度において各省の協議をととのえまして、十分親切心を持ってそれを実施したいということでいきたいということでありますから、どうぞその点をお含み下さって御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/60
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061・薩摩雄次
○薩摩委員長 足鹿さん、他の委員が質疑をやっております間に恐縮ですが資料をお調べ下さってあとでやって下さい。
前田榮之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/61
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062・前田榮之助
○前田(榮)委員 本法案に対する質疑は相当進んで参りまして、同僚委員からも種々なる観点から御質疑がありましたので、私はできるだけ同僚委員から質疑をされた点を避けて御意見をお伺いしておきたいと思うのでありますが、中には多少重複するような点もある場合がありましても、その点は一つ御了承を願いたいと思うのであります。
まず第一に第二条の定義の問題でありますが、今まで同僚委員から質疑をされた中で問題をはっきりさせていないような感じがする点は、この多目的ダムはいわゆる特定なものであるからという点で、発電、水道、工業用水道と規定されておるのであります。この点は大体特定の多目的ダムであるから、しかも主として建設大臣が河川法に基く直轄河川に行われる点等もあるということからうなずけるのでありますが、日本のすべての河川において最も関連性の多いのは農民であります。今も足鹿君からも質疑がありましたように、この定義の中に——灌漑用に利用するというものが、いかなるダムを建設する場合においても関連のない河川はないと言っても差しつかえないのが日本の河川の実情であろうと思うのであります。従ってこの第二条の定義の中になぜ明確に灌漑用を入れなかったか、これはあるいは思い過ぎの推測かもしれませんけれども、農林省と建設省とのいろいろな関係上、農林省は建設省から見ますと、なかなかやっかいなところのように考えられておるので、この法律でうまくその点をそらしたような感じがするといわれておる点もあるのであります。そういうことであっては法律はいかないのでありまして、その点、この第二条の定義の点で、ほんとうに何か差しつかえがあるのかという点を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/62
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063・山本三郎
○山本政府委員 この点につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、灌漑を特定用途に入れなかったという点にはこういう点がございます。従来の建設大臣がみずから河川工事としてダムを作っておった場合も、あるいは河川管理者の知事が作っておった場合にも灌漑というものは多くのダムの目的に入っておりました。従いまして私どもの考えといたしましては、洪水を除却し、あるいは下流の灌漑用水の利用を増進するというのは、いずれも公けの害を除去し、公けの利益を増進するということでございまして、河川の管理者でありまする知事あるいは直接建設大臣が管理する場合には建設大臣の当然の任務としてやるべきものであるというふうに考えておりまして、特に特定用途というところに入れる必要がないものと考えて入れなかったのでございます。
それから従来もそうでございましたけれども、一番渇水いたしまして、貯水池の底に水が非常に少くなったというような場合には、発電はたとえば停止することがあっても、最小限度の灌漑用の水は確保しておくというような処置をとっておったのでございますが、今回の法案に規定いたしておりまする基本計画にいたしましてもあるいはダムを操作する操作規則の制定にいたしましても、いずれもそういう点に重点を置きまして、基本計画、操作規則を決定いたしまして、それによって操作していきたいと考えておるわけであります。決してここに特定用途に上げなかったからそれを軽んずるというようなことはないわけでございまして、公益と私益との公平を考えまして、公益をとにかく優先するように考えまして、灌漑は一つの公益であるというふうに考えて処置しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/63
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064・前田榮之助
○前田(榮)委員 どうもただいまの説明だけではきわめて不十分だと思うのですが、もちろんいずれの場合においても、河川の事業を行うときに、必ず影のように添うておるものは灌漑及び農業用利水の問題、これであるのでありまして、従って当然であるからこれに入れなかった、従来そういうように取り扱っておるから入れなかったということであるが、そうであるがために特に入れるべきではないかと私は思うのであります。ただ今日の日本の行政の上から、そうなりましたときに、一つの所管関係から申し上げますると、農林省所管というものが非常に大きく浮び上って参りまして、その点でまた農林省側の官僚の諸君から、いろいろな注文が出てくるおそれもあろうとは思いまするけれども、しかしこの特定多目的ダムというものの性格を明確にいたしまするならば、その点は何ら支障がないものだと思うのであります。ただそういうことに関連性を持っておるのが、いわゆる第四条の三項になろうと思うのであります。ここで局長に重ねてお尋ねを申し上げるのは、この三項には、「関係行政機関の長に協議するとともに、」云々と書いてあるのであります。そこでたびたび大臣も、協議をするという点について、運用の面に妙味を持たせて無理のないように行う意思を表明されておる。その点はわれわれも理解ができるのでありますが、しかしながらこの問題は、おそらくこの立法を行うときに、関係官庁で一番大きく問題にされた点ではないかと私は想像するのであります。これは想像でありますから、そうでないかもわかりません。すなわち協議とありまするが、前にも同僚諸君からお話があったように、協議するというのは相談することで、それに服従することではないのであります。協議が成り立たなかったときにはどうするかというときの問題は、この法律案では解決がつけてありません。そこでおそらく関係官庁といたしましては、協議では足らないから同意を求める、こう力強く主張いたして参るのが、今までこういう法律を作るときの各省の意見であったように私は記憶いたしておるのであります。そこでこの協議の部面は、今の灌漑等の問題については、やはり依然として協議だけでよろしいのか、灌漑等その河川の公共性を持った最も大切な問題については、単なる協議だけでなしに、進んで同意を得なければいけないというところまで考えておるのかどうか、この点これは一つ建設大臣から御答弁をいただければいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/64
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065・南條徳男
○南條国務大臣 先ほど来申し上げましたように、この協議の字句のことにつきましては、この法案作成の当時関係各省とも十分協議いたしたのでありまして、その各省との協議の場合には、別に覚書のようなものもいたしておりまして、この点については、十分ただいまの御趣旨に沿うような意味の関係各省との了解がついておるわけであります。文字は協議となっていることは、先ほど申しました通り、他の法文との関係上こうなっておりますが、その実体は、どこまでもお互いに同意した場合に、協議が整った場合にするというような方向で了解をして、この法案ができているようなわけでありますので、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/65
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066・前田榮之助
○前田(榮)委員 問題点をだんだんしぼって参りますと、協議と同意とでいかなる結果を来たすかということになると思うのであります。徹底的に相手方の意見も聞いて、そして協議が成立いたしまして、納得ずくで行うんだということが、誠意を持って実際に行われるならば、同意でよろしいはずであります。同意をするということになれば、協議はせぬでも同意さえすれば、それは実質的の協議が行われたのです。ただ同意としたらどうかというのに、同意とせずして協議になっている点は、いわゆる比較の関係もありましょうし、そこでいろいろな制肘を受けることの実際上の運営の問題等もございまして、結論としては協議で落ちついたのではないかと思うのであります。そこで具体的な問題といたしまして、通産省関係の電気あるいはまた厚生省関係の上水道、こういう工事の施行については、これは同じ工業用といいましても、今まで問題になった現実の点で、まず協議いたすことを徹底さす程度で大体よいのではないか、私はこう考えられるのであります。しかしながらこの河川の、最も国民生活そのものへ結び着く、直結するものは、たびたび論議されたように、農民の、いわゆる灌漑その他の利水の問題なのであります。従って同じ官庁でも農林省、農林大臣については、私はこの協議では、この法律全体として甲乙をつけることは非常に困難だと思いますけれども、適当でない点が実際に起るのではないかと思う。そこで建設大臣といたしましては、その点は十分お考えになって、農林省関係の、この河川の最も全体的に、普遍的に利用される、国民生活と直結するこの問題の行政機関の長については、同意を得なければやらないという決意があるのかどうか、この点を一つ明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/66
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067・南條徳男
○南條国務大臣 お説のことにつきましては、先ほど来申し上げましたように、この法案を作成するときに、特に農林省とこの点の折衝をいたしまして、十分建設省、農林省の間には、この点についての了解がついているのであります。従いまして、今のお説のような点については、今後の運営の上においては、両省間に決して摩擦、扞格の起るようなことはないものと確信いたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/67
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068・前田榮之助
○前田(榮)委員 これ以上は水かけ論になりますから、善処されるようにという希望にとどめておきます。ただ、この協議がスムーズに行われ、進んでそれが同意となって現われてくるということになれば大へん幸いでありまするが、今後いろんな問題が起らないように万全を期していただきたいと思うのであります。
それからその次にお尋ね申し上げたいのは、ダムの利用者の問題で、ありますが、率直に申し上げますると、最も問題になりやすいのは電気事業だと思うのです。そこで「ダム使用権の設定予定者の意見をきかなければならない。」となっておるのでありますが、この意見を聞くという程度は果してどの程度であるかという問題であります。こういうことがこの法律にあってもなくても意見を聞かずにやれるわけはないのであって、この点をもう少し具体的に明確にしていただかなければならぬと思うのでありますが、この点についてのお考えをもう一度——これは他の委員からもいろいろ質問された事項でありますが、明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/68
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069・山本三郎
○山本政府委員 第四条の第三項に、基本計画を作成、変更、廃止する場合にダム使用権の設定予定者の意見を聞かなければならないということが規定してあります。これは意見を聞くだけでよろしいのかという点でございますが、ダム使用権の設定予定者と申しましても、基本計画の作成のときに、その意見が自分の採算に合わぬものであるとか、あるいはもっとこういうふうにしたらいいという意見が通らないと使用権を設定しない、自分が気に入らなければ使用権を設定しないという点もありますので、十分自分の意見が入れられてこれならいいということにならないと、ダム使用権の設定もしないわけでございます。また途中までしておりましても、認可にならないうちに取り下げるということもできますので、意見を聞くとは書いてございますけれども、十分納得ずくの意見を聞かないならば、この基本計画なりができないし、また納付金を取ることもできないことになりますので、実際上は納得ずくでやることになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/69
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070・前田榮之助
○前田(榮)委員 もちろん納得しない者に経費を出させることもできないだろうし、当然そうなると思いまするが、もしそうだとすれば、立法は、意見を聞き承諾を得て行うというようになるべきものではないかと思うのです。承諾ということを避けて、ただ意見を聞くということにした裏には、ときにはある意味では押しつけることもあるぞ——納得は承諾とは違うのであって、意見を聞き承諾を得なければならないという程度まで国民の権利を尊重することになれば、この法律に柔か味を与え、危惧の念を一掃し、非常に立法につやが出るのではないかと思いますが、何ゆえに承諾という文字を避けたのか、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/70
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071・山本三郎
○山本政府委員 確かにそういう点も考えるのでございますが、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、農業あるいは電力あるいは上水道等の主務官庁であります農林省、通産省、厚生省の各大臣と協議をいたしまして、そうしてその意見の一致を見た上でやるわけでございます。ダム使用権者等につきましても代表的所管をする各省が十分協議をするわけでございますから、そういう場合ダム使用権設定予定者の意見も十分入ってくるチャンスがございまして、そういう意味からもダム使用権設定予定者の意見が十分反映される。それから意見を聞くというふうに書いてありますけれども、先ほども申し上げましたように、納得ずくでやらないと納付金も取れないし、あるいはダム使用権設定を申請しない、あるいは取り下げてしまう、納付金を納める根拠がなくなってしまうというような点もございますので、これでダム使用権設定者の意見が十分反映される、こういうふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/71
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072・前田榮之助
○前田(榮)委員 そういうようにお考えになることはよろしいのでございますが、おそらくこのダム設定予定者になる可能性のある日本の企業者で、一方的に意見を聞くという程度でよいと回答した人はないではないかと思う。進んで企業の上で大きい責任を持つ仕事をやるのであるから、承諾という字句に変えてくれと要求されておるように聞いておるのですが、それはどうなったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/72
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073・山本三郎
○山本政府委員 意見を聞くというのを承諾にしてくれという意見もございました。しかし、ここでそういうふうな形にいたしますと責任の点が多少明確になるのではないかという点と、運用の点におきまして、こうしておきましても実際問題として設定予定者の意見が十分反映されるものと解釈いたしてこういうふうにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/73
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074・前田榮之助
○前田(榮)委員 この点も立場の相違、感覚の相違かもわかりませんけれども、どうもわれわれの納得のいかぬ重要なる点なのであります。ことに基本計画を立案される際における意見を求められる場合においては、まだ大きい弊害が出るともそこまで考えておるのではありません。従来どの河川はどこのところにダムができるくらいのことは全部電力事業家は知っておって、これは関東電力が予定しておるとか、心持に考えておるとか、あるいは東北電力がどうだとかというようなことはそれぞれ実績がものをいうわけでございますから、それらの人々に御相談になると思うのであります。従ってそういう場合においても、大体意見はまとまるものだと思っております。まとまったことにおいて基本計画はこの法律に基いて実施されるのでありますから、もしどうしてもまとまらないときには、おそらく電気事業家は、私の方ではこのダムについて出資する工事を行うことに協力できませんと不成立になると思うのであります。不成立になればそれはそれまでであって、建設省は何も一会社を相手にしなければならぬことはないのであって、国民の多くの中から適当な企業家と相談すればよろしい。その点はいいのでありますが、これもいいとはっきり言いかねるかもわかりませんが、まあ特別な高圧的な弊害にはならぬと思う。しかしだんだん工事を計画に基いてやっておると、この法律にも掲げてあるように、変更を必要とする場合が必ず出てくる。最近においてこの変更の結果話題に上った佐久間ダムは特に議会でも問題になり、新聞もにぎやかに書き立てた問題でありますが、最初の予定工事額から九十億円を要求されあるいは七十億円になり五十億円になりというような問題まで起ったように変更等が行われる。その変更等が行われた場合において、最初きめられた額にスライドするというわけにはもちろんいかないと思う。何によって変更するか。電力の関係で変更するのか、灌漑関係によって変更されるのか。もちろん工業用水等の関係で変更する場合等もありまするから、それぞれの変更に基いた量や質に基いてその経費の捻出等が計算されることだと思う。従って最初の計画通りそれを何パーセントかスライドするわけにはもちろんいかない。そうなりましたときに、その結果として、電力関係あるいは工業用水関係にそれぞれの変更の協議や意見を求めること等が行われてその始末を行わなければならないことになりますが、この点が多く問題になるおそれが多分にあると思う。そういうときに単なる意見を求める程度や協議を行う程度ではおそらく済まないことだと思う。そうかといって、これと重大な関係のある事業家が、それならやめますなんていうことも言えない段階に進んでおる。そうした場合においてこれはどこへ持っていったらよろしいか。裁判所へ持っていくわけにもいかないだろうし、仲裁裁判等の機関があるわけではないと思う。それはどうしたらよろしいのか。一つその点を明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/74
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075・山本三郎
○山本政府委員 ただいまの御心配に対しましては、私もごもっともなことだと思います。従来におきまして、ダムなり発電所の事業費が、当初予定したよりも相当大幅に、あるいは少いながらも上ったという例がたくさんあるわけでございますが、この工事費が変動する主なる理由といたしましては二つあるだろうと思います。一つは物価の値上りによって工事費がふえてきたり、あるいは減る場合もありましょうが、多くはふえて参ります。それから次の場合は、当初に予定していなかったような事業がふえて参ったために、事業量がふえるというふうな場合が考えられるわけでございます。初めの物価の変動による工事費の増に対しては、私どもの考えとしては、当初に配分した率によってダムの事業費を分担しても差しつかえないと考えておるわけでございます。それから一番問題になりますのは、物価の変動もないのに事業量が変動した場合で、この点については従来は調査が完全でなかったために工事量がふえたりして工事費が上ったという例があったのでございますが、今度の場合においては、特にその点には注意を払って、工事量の変動がないようにこの特別会計で要求をいたしておりますように、十分なる実施計画、調査をやって、工事量の変動がないようにしようという努力を払うことにいたしております。それにいたしましてもまだ変動があった場合については、やむを得ず物価の変動等がないのに工事費の増額を行わなければならぬような場合は、基本計画の変更に相なるわけでございまして、その配分の問題も基本計画の変更になるわけでございます。その基本計画については先ほどからお話上申し上げておりますように、関係行政機関に協議しますし、またダム使用権を持っているものの意見も聞いてやることにいたしておりますので、その間の調整は今の協議なり意見を聞く間において十分調整をとって参りたいと思いますし、またこれは必ず妥当なところにおさまるべきものであると私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/75
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076・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 今の質疑応答に関連しておりますが、工事施行の額があとで増額をされる場合に、たとえば電力会社、あるいは水道でも同じでありますけれども、当初の計画よりも建設費が非常に多くなった場合には、基本計画の変更で協議、意見を聞かれるのも当然でありますが、それにスライドしてやるということになれば、電気のコストが高くなって引き合わない、あるいは水道料金が高くなって引き合わない。こういう事態も常識的には考えられる。そういう場合に妥当な線にするというお考えですが、具体的には途中まで作ってきた発電あるいは水道、工業用水、そういうものをとりやめるというわけにもいかないでしょう。具体的にはどうなんですか。協議が成り立つというお気持なのですか。それではこういうたとえば今五十億の計画のものが全体であと十億ふえた、それを今までの配分率によって割るとこうなる、そうすると発電や水道がコストが上ってとても困る、こういうときに具体的には協議するといっても一応前の負担率はきまっておるのですからそれに従うということになると、当初の予定よりコストが非常に高くなる、こういう場合があるわけです。それは協議されるのは当然でありますけれども、具体的にはそういう場合にどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/76
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077・山本三郎
○山本政府委員 それは個々別々の具体的な問題について異なることになると思いますが、先ほどお答え申し上げましたように、物価の変動によりまするものは大体その元の比率でいきましても、たとえば電気にいたしましても水道にいたしましても物価の変動に応じて料金なりが上っていっても至当ではないかというふうに考えるわけでございます。ただ予想しないようなことが起りまして、そのために工事費が増大したというような場合に、特定用途者にそれを元の割合で持たせるというような場合は非常に無理が生ずるというようなことも生じて参りますので、そういう場合には特に国の費用でよけい持ってそれをカバーしてやるというような場合が生じてくると私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/77
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078・薩摩雄次
○薩摩委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/78
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079・薩摩雄次
○薩摩委員長 では速記を始めて……。この際お諮りいたします。本案に対し農林水産委員会より連合審査会開会の申し入れがありました。明二十八日午前九時より十時半まで農林水産委員会との連合審査会を開会するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/79
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080・薩摩雄次
○薩摩委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
なお十時半より残余の質疑を行います。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604149X01219570327/80
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