1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月二十六日(金曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 五十嵐吉藏君
理事 川村善八郎君 理事 志賀健次郎君
理事 鈴木周次郎君 理事 薄田 美朝君
理事 松澤 雄藏君 理事 竹谷源太郎君
愛知 揆一君 内海 安吉君
本名 武君 三浦 一雄君
北山 愛郎君 日野 吉夫君
出席国務大臣
国 務 大 臣 宇田 耕一君
出席政府委員
総理府事務官
(経済企画庁
開発部長) 植田 俊雄君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 岩武 照彦君
建設事務官
(計画局長) 町田 稔君
委員外の出席者
通商産業事務官
(軽工業局窯業
建材課長) 川田 博通君
建設事務官
(計画局東北興
業株式会社監理
官) 沢田 一精君
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本日の会議に付した案件
東北興業株式会社法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九七号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/0
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001・五十嵐吉藏
○五十嵐委員長 これより会議を開きます。
東北興業株式会社法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。竹谷源太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/1
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002・竹谷源太郎
○竹谷委員 東北興業株式法に関する工総合開発一質問をする前に、これは重要な問題で、国土総合開発全般に関する問題でありますから、宇田企画庁長官に一言お尋ねいたしおきたいのは、昭和三十一年度におきまして、国土総合開発事業の推進をはかるために、経済企画庁に、この国土総合開発事業の調整費を五億円計上いたしましたはずでありますが、この五億円をどのように使い、そしてその調整の効果といいますか、それによってどのように国土開発事業が促進されたか、その概況を一言お答えを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/2
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003・宇田耕一
○宇田国務大臣 政府委員からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/3
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004・植田俊雄
○植田政府委員 昭和三十一年度に驚きまして、五億円の調整費の計上を見たわけであります。三十二年度におきましても、同様五億円の計上に相なっております。総合開発の要点は、御承知の通り、企画の総合性と、施行の関連性という二つの点に尽きるかと存ずるわけでございまして、この二つの点を中心にいたしまして、三十一年度の調整費の執行に当ったわけでございます。五億円の金を、四億七千万円は事業の調整に使い、三千万円は調査の調整に使ったのでございます。事業の調整に使いました個所は二十カ地点でございます。
その内容につきまして要点を申し上げますと、一つは工業用水の水利権の問題を解決いたしました。これは事例といたしましては、三重県の四日市の工業用水でございますが、町屋川から工業用水をとる水利権を確保しなければならなかったわけでございますが、工業用水の取水点より下に農業用の井せきがたくさんございまして、農林省といたしましては、上流に井せきを統合することになっておったわけでございます。しかしながら、この統合井せきは完成いたしておりませんので、そうしますと、上流の井せきが解決しない前に、その下流で工業用水を作りますと、農業用水としては不安でたまらない、どうしても工業用水の水を取る前に、農業用水が上流の統合井せきから取れるようにしてもらたい、こういうような要望がございましたので、調整費を持って参りまして、この問題を解決し、町屋川の工業水の問題がスムーズにいくようにいたした例がございます。そのほか林道ができました場合に、それに接続をします道路が予算がついてない、そのために、せっかくのやりました効果が上らない、こういう場合にも使っております。また、これは千葉県にございます両総用水の例でございますが、水の取り入れ部分と排水の幹線の部分は農林省の工事をやっておりますけれども、中間は栗山川という川を使っております。農林省の工事は進んでおりますけれども、中間の河川工事がおくれておりました関係で、十分効果が上らない。そこで、この栗山川の方に、中小河川の予算では見切れなかった予算を思い切ってつけて、この問題を解決いたしております。それから、ダムの水没者の移転先の造成という仕事は農林省の所管でございますが、農林省の予算のワクではどうにも解決つかないという場合におきましては、その予算を調整でもっていっております。またこれは木曽川の例でございますが、木曽川を建設省直轄で浚渫いたしましております。その浚渫いたしました土砂を土地改良に使いますと、非常に効果が高いわけでございます。ところが、農林省の土地改良計画に見合うような浚渫計画が建設省にはない。従って、建設省の浚渫予算を若干ふやしますれば、それで両方の効果がぴったり上る。こういうような例でありまして、一々申し上げる時間もありませんが、まあ大体こういう線に沿って解決いたしました。この予算を執行するという点ばかりでなく、こういう調整費というものの計上になりました関係で、公共事業を実施いたします官庁におきましては、施行の関連性ということを非常に注意するようになりまして、その後だんだん各省間で話し合いをする傾向が出て参っておりますので、その点は非常に喜ばしい傾向かと存じております。
次に調査の調整でございますが、これは九地点、予算を持って参ったのでございます。調査の調整は、調査することに伴って直ちに工事に着手するというふうな印象を与えるようなことなしに、調査は調査として、成果を十分見定めてやるというような工合に持って参りたいと考えます。また各省連合で調査しなければ、効果が確認できない、こういうふうなものを選ぶといたしますと、どうしても大きな地点ということになるわけでございまして、三十一年度におきましては琵琶湖、宍道湖、有明海、こういった大きな、国土総合開発からいいますと、若干夢――夢という言葉は誤解を招くかと存じますが、長期的にものを考えて計画を立てる、こういうふうな性格のものにして参ったのであります。なおこのほかに利根川の下流におきまして、これまた木曽川と同様の例でございますが、将来の建設省の浚渫計画、将来の農林省の土地改良計画、こういうものとマッチさすような計画を調査させたわけでございまして、これも割合にうまく参りまして、その後両省間の話し合いが進んでおるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/4
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005・竹谷源太郎
○竹谷委員 国土総合開発法によりまして、経済企画庁は開発事業に関して各省庁間の調整をはかる、こういうことになっておりますが、具体的になりますると、何らそこに強制的な権限もないということで、今までなかなか国土総合開発の事業が総合的に進まなかったうらみがありましたけれども、わずか五億円でありましたが、それらによりまして、国土総合開発が歩調をそろえて進むことによって、開発効果をすみやかに達成するという意味では、相当の効果があったように私も思う。これに引き続いて、企画庁はもっと強力に各省間の調整をはかりまして、一そうの国土開発の進展をはかるように、大臣においてもお心がけを願いたいと思います。
次に、東北開発に入りまするが、これを進めていく上におきまして、現在調査地域となっておりまする仙台・塩竈調査地域、それから北奥羽の調査地域並びに十和田・岩木川調査地域というような、相当開発を要する、まだ未開発地の多い地帯がございましてこれをすみやかに特定地域に指定をいたしまして、総合的な開発を進めることが、東北開発促進上非常に貢献するところが大きいと私は考えるのであります。そこで、去る四月九日の国土総合開発審議会の非公式の会合において、これら三地域を特定地域に指定した方が妥当であるということに、審議会の委員の意見の一致も見ておる次第でございます。従いまして、経済企画庁長官としましては、建設大臣とも相談をし、また関係府県の同意あるいは協力を得まして、そして正式に国土総合開発審議会に諮問の上、内閣から指定になるという運びになるであろうということを期待するものでございまするが、そのようなお考えがあるかどうか。またお考えがあるとすれば、この仙塩地区、北奥羽地区並びに十和田・岩木川地区、これらを特定地域に正式に指定をするようになるのはいつごろになるお見込みであるか、それをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/5
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006・宇田耕一
○宇田国務大臣 特定地域に指定することが妥当である、こう考えておりまして、それぞれの各省庁、団体と交渉を始めたいと思っております。地区別の御質問の点につきましては、政府委員からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/6
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007・植田俊雄
○植田政府委員 ただいまお話のありましたような経過によりまして、この地区を特定地域にいたしたいと考えまして、ただいま中央官庁間で話し合いを進め、そのある程度の話し合いが進みますれば、建設大臣から県の方の意向を確かめていただくことにしたいと思っております。ただ御承知の通り、これは県議会の議決も要するわけでございまして、関係三県の県議会の議決を見る時期を見計らいまして、国土総合開発審議会を開いて決定いたしたい、かように考えておりますので、ただいまのところは五月中にはあるいは無理ではなかろうか、その見計らった様子によりまして、六月の、できれば早い機会に、国土総合開発審議会で決定願いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/7
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008・竹谷源太郎
○竹谷委員 すみやかにその手続を進められまして、それら三地域が特定地域に早く指定になるように御努力を希望するものであります。
そこで、その指定があれば、それら特定地域に関しまして、総合開発計画を作成するということになるわけでございますが、この国土総合開発法第十条の特定地域というものに指定されますものは、その地域の種別と、その目的が二つあるように書いております。すなわち、この国土総合開発法第十条第一項に「資源の開発が充分に行われて居ない地域、特に災害の防除を必要とする地域」これが一つ、これは未開発地域が主となり、大体河川の流域に沿って特定地域総合開発計画が行われる。今指定になっております十九地域についても、そう言えるのであります。次に「又は都市及びこれに隣接する地域で特別の建設若しくは整備を必要とするもの等について、」と二つに分けてございますが、今問題にしております三つの地域のうち、仙塩地域は第十条のあとの方の「都市及びこれに隣接する地域で特別の建設若しくは整備を必要とするもの」これに該当する、どっちかというと、特定地域としては新しいケースではないかと思う。そうなりますと、今までは河川の流域の治山治水をやる、あるいは堤防を作るとか、それに伴って灌漑、土地改良事業をやる、発電をやる、工業用水をそれから引っぱっていくとかいうことが非常に重要な仕事になりますけれども、この第十条の後段の方の都市及びこれに接続する地域の産業立地条件の整備を主とするようなもの、これに仙塩地区が該当するように思います。そうしますと、これは新たな構想が必要である。ことに工業地域というようなもので開発しようという考えが多いと思うのであります。つきましては、この仙塩総合開発地域につきまして、これからその開発計画を作成するのではございますが、企画庁といたしまして、これはどういう方向に持っていったらいいか、大体の構想があれば、お話おきを願いたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/8
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009・植田俊雄
○植田政府委員 十条の規定によりますと、ただいま竹谷委員のお話のようなことに相なろうかと存じます。この地域は比較的面積が狭いのでございまして、工業立地条件の整備を中心とした事業になろうかと存じますけれども、やはりこの地域にも、それ以外に農産開発の面も若干ございます。また今年度から着工になりますところの大倉ダムは、工業用水の普及を中心にいたしておりますけれども、これも農業的に大いに役立つものと心得ておりまして、計画といたしましては、他の特定地域と同様に、公共事業の各般の分野にわたるものと存じております。しかしながら、何と申しましても仙塩地域の中心になりますものは、工業立地条件の整備であります。東北地方の中心であるという仙台市の特殊な立地条件、この恵まれた立地条件を生かして、また近くにある塩竈港というものを十分に活用いたしまして、この地域の工業を開発すべきではないかと考えるわけでございます。たびたび本委員会でも御質問もございますように、仙塩地域には旧工廠の跡地で、まだ利用されていない土地もあるわけでございます。こういうものの利用も大いに研究すべきものかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/9
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010・竹谷源太郎
○竹谷委員 仙塩総合開発計画の立案は今後の問題でございまするが、商工業を中心とした、また輸送の中心ともなるような、そういう東北全体の産業の発達の心臓を形成するという役割が非常に大きいと思うので、この点については、新しい卓越した構想をもって、りっぱな計画を実施せられんことを希望いたします。
次に、一昨日の本委員会において、私は東北興業の蓮池総裁に対して、東北興業の昭和三十年度決算における雑収入と雑損失の内訳について質問をし、なおその資料の提出を求めましたところ、きのう同社から資料の提供がございました。その資料を見ると、これは雑収入、雑損失のうち、雑損失の金額九百七十三万八千八百八円でございまするが、四つの内訳からなっておる。そのうち三つは、岩手開発鉄道株式会社が半額減資をしたので、二十五万円の損失、それから帝国金属株式会社債権の切り捨て、これによると損失が百五十一万二千六百八十四円、三番目に、過年度の利子税等の税金三十三万二千三百八十四円でございますが、もう一つは北上川水系発電及び利電事業、この調査費として、昭和二十四年、二十五年、二十六年、この三カ年度間に二千百九十三万二千円使った。この発電並びは利電事業は、その後東北興業において行わないことになりましたので、この勘定は別途にしておったから、それは全品損失として昭和三十年度から三カ年間に――これは建設大臣と大蔵大臣からの注意もあって、と付記しておりますが、昭和三十年度以降三カ年間に、一カ年七百六十四万三千七百四十円ずつ償却をする、それで損失に入れて計上をいたした、こういう資料の提供があったわけでございます。この北上水系の発電、利電事業というのは、北上総合開発計画によって取り上げられて、東北興業はこれで発電をする、また電気を使って工業を興すという多目的ダムを作って、大いに東興の発展をはかり、東北開発に貢献をしようという計画であったようであります。ところが、水利権の問題及び発電の権利といいますか、これらはそれぞれの官庁へ申請をしておったのでございますが、結局、全部不許可ということになった。その後その事業は――阿賀野川とか、あるいは猿ケ石とか胆沢とが、その他五つか六つの相当大きな何万キロワットかの発電をする事業でございましたが、それらはあげて電源開発の事業ということになり、その一部は完成をし、一部は建設中かと思いますけれども、これらの電気関係の事業のために、三カ年間東北興業は社運を傾倒してこの事業をやろうというので、研究調査に当った。その費用が二千百万何がしになったのでございます。これは水利権の許可でも得ておけば、電源開発会社へ有償で売るなり、あるいは何らかの施設があれば、その施設を有償で売るということができたのであろうと思うのでございますが、そういう現物として残っておるものは一つもない。調査研究の結果だけであるということのために、賠償、補償してもらうこともできなかったかとも思いますが、しかし、この東北興業株式会社は、その大部分が国と地方公共団体の投資しているいわば国策会社であり、公けの所有の会社でございまして、一般の営利会社とは全然違う、公共的な公社みたいな性格を持つものでございます。これが建設の研究のために莫大な費用を使い、それを別の国家関係の機関である電源開発会社が引き継いだのでありますが、そのために二千何百万円という金を貧乏な東北興業が背負わなければならなくなったということは、アンバランスがひどいと思う。この問題の処理を当時建設省としてどうお考えになったか。これはむしろ電源開発会社における建設のための費用であり、発起の費用というか、準備の金であったわけであります。物理的には利益は残存しておらないが、無形の利益があったことだと思うのであります。これを全部東北興業に背負わすということは、どうも公平を欠くと思う。法律上、東北興業が何らかの請求権、あるいは不当利益の返還請求か、あるいは事務管理の費用の請求とか、そういう権利があるかないか。これはあるいは……。むずかしい道義上の問題になるかと思いますが、これに対して建設省はどのように考えて、これを全部東北興業に脳負わそうというふうにお考えになったか、また、これに対して通産省の公益事業局としては、このへんぱな処置に対して是正する御意向はないかどうか、建設省と通産省の両方にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/10
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011・町田稔
○町田政府委員 ただいま御質問のございました東北興業の北上川水系の発電及び利電事業の調査費の問題でございますが、東北興業は昭和二十四年度中に、岩手県の胆沢川並びに猿ケ石両水系の水利を調査しまして、それに対して二千百九十三万二千円の調査費を使ったのであります。この調査の目的は、これらの水系において発電をするとともに、なお、その電力を利用して、各種の重化学工業を起すことを企画いたしておったのでございます。それがその後、ただいまお話の、ございましたように、水利権等につきまして許可を得ることができませず、電源開発会社が許可を得まして、電源の開発をすることとなったのでございますが、ただいまお話のございましたように、会社といたしましては、水利権をすでに得ておったわけではございませんので、特に電源会社等から何らかの補償を請求する法律上の権利を得ておらなかったわけでございます。そのため、会社としましては、最初の計画と実施とが伴わず、この金が損失ということになったわけでございます。この損失の処理の問題でございますが、建設省といたしましては、大蔵省とも協議をいたしまして三年間に損失として処理をいたすことに方針をきめまして、三十年度の決算におきましても、その三分の一の七百六十四万円を雑損失として計上いたしたのであります。この東北興業が調査いたしました各種の資料を、電源会社におきまして、その後の開発に当りましてどのように利用をいたしましたか、その間の事情につきましては、現在私といたしましては、つまびらかにいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/11
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012・竹谷源太郎
○竹谷委員 とにかく電源開発会社も、開発上並びに水力発電の計画をする上において、そういうような調査研究資料をある程度利用したであろうと思う。その場合、それを東興だけにその経費を全部負担さすということは妥当でないと私は思う。これに対して建設省として、電源開発会社にいかようの負担をさせようとしたのか、上なかったのか、その間の折衝の事情、またはここに計上せられておりまする二千百万円のほかに、もっとかかったのか、その分を電源開発会社に負担さしたのか、全然させなかったのか、その点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/12
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013・町田稔
○町田政府委員 当時建設省といたしまして、電源開発会社に対しまして、東興にどの程度の補償をすべきであるというような指示をいたしたことは、承知いたしておりません。おそらくこの点につきましては、そういう交渉はなかったものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/13
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014・竹谷源太郎
○竹谷委員 沢田監理官も聞いておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/14
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015・沢田一精
○沢田説明員 ただいま局長からお答え申し上げました通りと私も存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/15
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016・竹谷源太郎
○竹谷委員 通産省はいないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/16
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017・五十嵐吉藏
○五十嵐委員長 通産省はまだ見えておりません。今出席の要求をしておりますから、間もなく見えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/17
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018・竹谷源太郎
○竹谷委員 通産省が来てないそうですから、今の問題は留保さしていただきまして、私は、局長、長官に対しまして、東北興業会社の経営の指導なり監督に関する政府の所見を承わりたい、こう思うのでございます。実は私もこの法案の審議に当りまして、いろいろと具体的にも少し最近調べてみたのでございます。実は私自身も、この東北興業会社というものは、東北振興りために作られて、いろいろよい仕事を始めたが、その経営者に人を得なっかたり、あるいは戦争に突入したたのに、軍需産業に転換を強制されたり、そうして戦後は占領軍の指令もあって、非常な冷遇をされてきたというようなことのために、今日の非常な経営不振に陥ったとばかり思っておりました。ところが、だんだん調べていきますと、あながちそうばかりは言えない面もある。財閥解体によって、この大きな東北興業株式会社という会社が、の事業の分散を命ぜられたのでございますが、その事業の分散を命ぜられたもののうち、たとえば東北パルプ――命ぜられたというわけではありませんが、いろいろな事情から、東北一一業から分家して全然別個といいますか、分れてしまった東北振興パルプ株式会社、あるいは北日本電線、あるいは東北ゴム、その他の割合に独立のできる採算の合う事業が独立をしてしまう、そうして、むしろ解散をして清算をしなければならないようなものが、多く東北興業の手元に残ったというような面も多々あることを私は発見をいたしておる。
それからまたここにわれわれに提供されておる東北興業株式会社の現況という印刷物を見ますると、そこに、投資会社のおもなるものは次の通りであると、十ばかり書いてあります。この中には、東北船渠等、今休業しておる会社もございますが、その他の会社はそれぞれどうにかやっておる、あるいは、それ相当の黒字を出しておる会社も多いのであります。そこで、それらの内容を具体的に見ていきますると、まだこれに載っていないもの、あるいは分れてしまった事業、そういうものの今までの経営のアウトラインを見ますると、中には、投資会社の有利なものは、これがどういう事情かで経営不振になり、これじゃしょうがないからというので、東北興業会社から分れて、そうして投資関係のない会社になってしまう、今度は非常によくなって、もうけておるというふうに、この東北興業という、ほとんど公けの所有の、個人の株主のほとんどないいわば国家管理のような会社の事業を、その経営に当られた担当者等が故意に経営を不振に陥らしめて、そうして安い値で東興から株を取得して、そうして東興と関係のない会社にして、それを自分らの会社にして経営してきておるというのも見受けられる。これは内容を調べれば、いろんな不当なこともあるいは出てくるかもしれないと思われるような即のものもある。こういうふうに、これは東興の経営者の落度でもあった面もありましょうし、また、この投資会社の経営を委任せられた者が適当にやって、そうして事業を失敗させて、競売にでも出して、それを買って、それをもとにして事業を始める、こういうようなこともあったやにうかがわれる節がある。こういうふうな点を見ますると、この東北興業という特殊な利害関係を持つ、個人じゃない会社、その大部分を国家並びに公共団体が持っている会社は、とかく食いものにされる危険がある。今度二十五億も新たに金をつぎ込んで、東北開発のために、この東北興業株式会社を東北開発会社として新たな発足を見ようというときに、今までのようなそういうやり方があったのでは、これはまた食いものになる危険があることを痛感をいたすのであります。
山形市に、じゅうたんを作っている日本絨毯という投資会社があります。この会社の八七%は東北興業の持株でございますが、聞くところによると、これは今アメリカへどんどん輸出されておる。非常に優秀な技術であるそうであります。これは歴史を見ますと、昔からあったようでありまして、ここに東北興業が昭和十年一月に出しました「社業の現況」という本がございます。これの繊維の部分に「山形県山辺町の合名会社ニッポン絨毯製造所に於て経営し来れる絨毯製造所は、支那絨毯の製造技術を移植せるものにして既に新産業として製品の声価極めて良好なるものあり、今後における農村工業及家内工業的副業として好適の事業」であるから、東北地方に普及をしようというので、この山形県山辺にありますニポン絨毯製造所を買収、拡張をして、日本絨毯株式会社という子会社を作った。これは山辺に源があって、今山形市にもあるそうでありますが、二つあった。ところが、経営者がうまいことをやって、結局、山辺にある方の工場を分離して別会社を作り、東北興業は山形市にある会社だけを経営している。それだけでも非常にもうかっているそうでありますが、この二つの工場の生産高は、日本の全じゅうたん製造量の八〇%を占める圧倒的な生産量であり、しかも声価は日本随一である。そういう仕事を持っているわけです。ところが、その半分の工場はとられてしまっている。それはどんな手練手管でとられたか知らぬが、とられておる。
そういうふうに東北興業のいい工場や投資会社が、俗な言葉で言えば、ちょろまかされるようなことになるおそれもあったのである。こういう点を考えまして、今度は東北開発促進のために東北開発会社が大いに仕事をやろうというときに、こういう点を厳重に指導監督する。そうでなければ、せっかく東北開発のために作った会社あるいは事業が、一私人の営利目的に供せられたり、開発の趣旨を没却するように、会社は仕事をとられてしまったり、また進めたりするという危機がきわめて多い。これは直接利害関係のある個人の株主がいないだけに、政府が本気に指導監督に当らないと、非常に危険千万であります。戦争直後、進駐軍の命令によって、千何百という会社が閉鎖機関として追放を受けた。そして清算人の手元で清算せられて参った。これは会社法に禁ずるところの社長が自分と取引をする、いわゆる双方代理といいますか、そういう規定は民法上も商法上も禁止せられておるにかかわらず、閉鎖機関令によれば、閉鎖機関の清等人は、自分が清算をやっておりながら、自分個人と自分との取引を認めるというような規定がある。これに対しましては、大蔵省が監督するということになっておるが、これがどうも監督が不十分で、いろいろと疑惑の種になっておるのでございます。これは重役会の決議を経なければ、双方代理のことは、一般商法の適用を受けますから、できませんけれども、しかしそれは形式的なことであって、裏では同様なことが幾らでもやれる。なぜならば、利害関係を有する直接の株主がいない、それを株主総会のかわりに、あるいは個人の利害関係者として会社の仕事を注目しておる人がなくて、その監督指導は一にかかって政府の責任である。そういう面から言いまして、この点今後政府はしっかりした所信をもって、この経営の指導なり監督に当ってもらわなければならぬと思うのでありますが、長官は今度は建設大臣にかわって直接監督の衝に当るのでありますから、過去のそういういきさつ等も十分御研究を願いたい。ついては、将来、東北興業の改正によって、この東北開発会社の指導監督についてどういう考えを持っておられるか、承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/18
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019・宇田耕一
○宇田国務大臣 東北開発会社の今後の経営につきましては、ただいま御指摘になられたような事項が従来あったといたしますれば、当然これは今後注意していかなければならぬと考えます。ただ、この東北地方の特殊な資源あるいは特殊な産業構造から判断いたしますと、どうしても農林水産に関係のある事業でこれを育成していかなければならぬものが、かなり多いように思われます。従って、そういう面については、特に関発会社が新たな企画を必要とするものであろう、こういうふうに思っております。しかしこの東北開発促進法の第五条に、東北開発審議会は東北開発株式会社の事業の基準となるべき事項について調査審議して、総理大臣に報告し、または建議をするということになっております。審議会の構成は御承知のように委員が三十五名以内でありますけれども、衆議院議員及び参議院実員その他知事と、他方に関係の深い者がこれに参画することになっております。従って、この審議会の任務の中の、東北開発株式会社の事業の基準となるべき事項について、審議会の運営の万全を期するということもあわせて考えまして、この会社の今後の運営については、御指摘のようなことの起らないように特に注意をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/19
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020・竹谷源太郎
○竹谷委員 私のお尋ねしたいのは、東北開発審議会で、どんな事業がいいか、また、どういうものを作ったらいいかということについての御指導はもとよりでございますが、そうしてできたものに対する指導監督という点を特に厳正にやられんことを、私は希望するのでございます。これは戦争直後のことであり、東興が生きるか、死ぬるか、わからない時代のことでありましたが、今、私が例に申しました東北パルプとか、北日本電線とか、東北ゴムとかいうような、今はそれぞれよくやっている会社が、増資をするときに東興は金がない。そこで、今まで九〇%持っておったのが、倍に増資することによって四五%になり、また増資をすることによって二二・五%になるということで、財政不如意でその株を売ってしまって、東北パルプ等の株を持たないために、全然別個の会社になってしまった。これは東北興業の置かれた戦後の特殊の事情からきておるわけでございますが、もしこれを全部持っておれば、非常にいい株の投資工場であったわけでございます。これは今、日本の一流のパルプ工場として非常な繁盛を続けておる。これはそうした事情からきたのでございますが、その他の事業においても、今申し上げたようなことで、いい事業はどんどん持ち株が減っていって、それがとうとうなくなった。これに関しては、当時の経営のやり方についてむろん批判も起りますが、そういうようなことを民間と結託してやるような事業者であってはならない。その意味合いにおいて、人事の問題についても厳正公平に、正しくやる人はこれを守っていき、不当な人はこれを十分戒節するという態度が望ましい。そこで、今投資会社の直接経営に当っておるものは、子会社でありますので、取締役を会社から派遣してやらせるものもあり、また、その実権を民間に委託して、民間の社長等にやらしているものもあろうと思う。その民間にやらしておるもの等につきましては、今のような危険がときどき起ってくるようでありますから、東北興業の当局はよほどしっかりした態度をもってそういうものに臨まないと、私が申し上げましたように、いつの間にか投資会社の株がなくなってしまったり、あるいは売り払われてしまったり、中には税金をたくさん滞納している。それを今度は国税庁で滞納処分にする、ほったらかしておいたら、それがいつのまにか人のものになってしまって、将来有望な工場が人手に渡ってしまう、まんまと乗っ取られてしまう、というようなこともあり得るのです。そういう画策も過去においてあった。こういう点等も考えまするならば、よほどわれわれはこの点を注意しなければならない。よくいく会社もみんな食いつぶされる。何べんも言いますが、この東北開発会社に対しては、直接利害関係を有する個人の株はほとんどないくらい少い。こういう事情にある点から、政府の責任は非常に重大であります。
ところで、この東北興業株式会社法が改正になりまして、東北開発会社になる。名称が変り、目的に新たなものが加えられるということになりますが、これはこの法律改正によりまして別個の法人となるのであるか、同じ法人として議するのかどうか。その場合人事はどうなるのか。当然今までの役員はやめて、新たに選任せられるのか。それとも、従来の法人の継続であるから、その点は法理上当然に前の理事者が退職をするということにはならないのかどうか、その点確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/20
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021・宇田耕一
○宇田国務大臣 法律上は、開発会社は従来の法人格を全然別個な法人格に変えるということには、法律上の内容ではなっておらないのでありまして、従って、人事等につきましても、法律上は法人格は直ちに別個の法人格になるというわけではありません。ただし、特に理事の定員等につきましては、法律の建前が従来と変っておるから、当然そこに増員が行われる余地は、このままの法律でもあるはずであります。従って、この人事等につきましては、ただいま御指摘の点等も勘・案をして、この点がまず重要な今後の運営の基本の問題ということになってくると思いますから、十分慎重を期したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/21
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022・竹谷源太郎
○竹谷委員 そうしますと、法律上は同じ法人格が存続するのであるから、人事は、当然退職するというようなことはない、ただ増員等がありますので、その補充なり、あるいは入れかえなり等は、事実上の問題としてある、こういう御答弁と解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/22
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023・宇田耕一
○宇田国務大臣 その点について、法律上のことについては政府委員からお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/23
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024・植田俊雄
○植田政府委員 今回の東北開発会社の設立が、東北興業株式会社の一部改正法という形で出ておりますように、別個の法人ができるのではございませんで、従来の東北興業株式会社が、東北開発会社と名称を改めまして、事業内容におきましても若干の変更もございまして、また商法の規定に準じまして、若干の規定の改正もいたし、また人事の発令のやり方につきましても変っております。また従来総裁、副総裁は、役員会の構成には入っていなかったのでございますが、商法の規定に準じまして、そういうふうな法文に改めております。そういう意味におきまして、人事というものにつきましては、若干旧法よりは違ったところがあるわけでございます。従いまして、その人事をどうするかという問題につきましては、ただいま大臣の御説明があった通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/24
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025・竹谷源太郎
○竹谷委員 まだはっきりわからないのだが、従来の総裁、副総裁、理事は、当然にこの法律の改正によってやめることになるのか、一応存続することになるのか、その点もう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/25
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026・植田俊雄
○植田政府委員 ただいま申しましたように、役員の任命権者――一般の商事会社でございますと、役員会の一員といたしまして、取締役ということに総裁、副総裁もなるわけでございますから、その意味におきまして、性格が変って参るわけでございます。そういうふうな性格からいたしまして、現在の役員をそのまま存続するかしないかという問題は、これは政府の人事政策の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/26
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027・竹谷源太郎
○竹谷委員 私は政府の人事政策を聞いているのではなくて、法律上どうなるかということです。まだ明確な解釈はできていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/27
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028・植田俊雄
○植田政府委員 ただいま申しましたような趣旨から申しまして、趣旨といたしましては、人事政策上の見地から態度をはっきりいたさねばならぬことがあるといたしますならば、附則に、政令をもって規定できる規定がございますので、それによって明確化されることになろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/28
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029・竹谷源太郎
○竹谷委員 それじゃ大臣、その政令はどういうふうに規定するのですか、その政令案を一つお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/29
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030・宇田耕一
○宇田国務大臣 法理論としては、一部改正によって、会社の名称の変更、事業の一部の追加、並びに役員の任命権者及び職務権限等の変更等が行われます。この改正に伴いまして東北興業株式会社の現在の役員が、その地位を継続するか、失うことになるかについては法律論としては両論が考えられるというのが、法制局からの通達であります。しかし、ただいままでの法律の表現でいきますと、結局、従来の東北興業株式会社の場合には、政府が役員を任命するという表現を使っておりますが、今回は内閣総理大臣がこれを任命するという表現を使っております。従って任命権限が異なって参っておりますので、立法政策から申しますと、当然役員はかわるべきものであるという解釈になるはずと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/30
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031・竹谷源太郎
○竹谷委員 そうすると、旧法では「総裁及副総裁ハ政府之ヲ命ジ」とあったのを、今度は「総裁及副総裁ハ内閣総理大臣之ヲ命ジ」として任命権者が変る。政府だったのを内閣総理大臣にした。こういう点で、任命権者が違うから、改選をする、任命をし直すということが必要だ、こういう法律論であるとすれば、政府委員の答えた、政令でその点を明確化するというのと食い違うのですが、どちらが正しいのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/31
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032・宇田耕一
○宇田国務大臣 法律論といたしましては、ただいま申し上げましたように、東北興業から東北開発への移行に当って、人事政策をどういうふうにするかということは、総理大臣が任命するという場合と、政府が任命するという場合と、法理論上権限がどう違うかということにつきまして、法理論としては責任の帰属は同一であるという意見もあります。また内閣総理大臣という場合と政府という表現の場合とは、権限が異なるという理論もあります。従って、その法理論によって、どっちに決定するかということを表現するためには、ただいまの東北開発会社と東北興業との間に、理論的には二つの論が法理論として成り立ち得ると思うのですが、それでは明確を欠くから、それを明確にするために、政令でもって措置をしまして、立法上の理論的な意見の相違を政令で明確にする、そういう立法方式がよろしかろう、こういうように申されております。いずれにいたしましても、そういうふうに法の理論上の意見の対立を政令によって整理をいたしまして、そうして適当な人事を行い得るようにここに対策を講じておく必要がある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/32
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033・竹谷源太郎
○竹谷委員 その政令の根拠法律はどこにあるか、政府委員からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/33
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034・植田俊雄
○植田政府委員 これは附則にございまして、経過規定でございますので、政令できめ得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/34
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035・竹谷源太郎
○竹谷委員 第五項ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/35
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036・植田俊雄
○植田政府委員 第五項であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/36
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037・北山愛郎
○北山委員 関連。今の話で、政令できめると言うけれども、政令で今の人事上の問題を、どういうふうにでもきめるというのはおかしいじゃないかと思う。政令の中でもきめようがないじゃないですか。結局、政府と内閣総理大臣というのは解釈上の問題で、解釈上の問題を政令できめるというのはおかしいじゃないかと思うのです。ですから、ここで政府といっているのを今度内閣総理大臣に変えるということは、従来は政府といえば、やはり閣議の決定を経て内閣できめるという趣旨であったと思う。今度は、国務大臣の一人としての内閣総理大臣が自分できめ得る、こういうふうに従来の政府というのと、内閣総理大臣がきめるというのとでは、意味がおのずから違うんじゃないかと思う。従って、先ほど大臣からお話の通り、これは任命権者が違うんだというふうに考えていいのじゃないか。もちろん従来政府といっても、名前はあるいは内閣総理大臣の名前で辞令を出したかもしれませんけれども、それは内閣を代表するという意味で言っておるのであって、今度の場合は、ちょうど総理府の長官という趣旨の内閣総理大臣もあるわけですから、そういうふうな意味での内閣総理大臣ではないか、こういうことであって、先ほどの大臣のお話で明らかではないか。要するに前の法と今度の改正案では、任命権者が法理上違ってきているんじゃないかというふうに解されるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/37
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038・竹谷源太郎
○竹谷委員 今、北山委員から法理上の御見解がありました。私もこれはどっちに解釈すべきか疑問を持つものではありますが、政府と内閣総理大臣の意味は、私は北山さんとは見解が少し違う。やはり同じ日本の政府なんです。だから、建設大臣が任命しようが、内閣総理大臣が任命しようが、これは政府の任命に変りない。政府の機関としての建設大臣であり、内閣総理大臣であり、同じものであるから、任命権者が移動したとは考えるべきではないのじゃないか。これは純粋の法律問題としてそう思う。だから、この問題はやはり経過規定に当然規定すべきであって、だれも疑問が起る。本法施行に必要な事項は政令で定めるということは、これは執行規定であって、当然法律できまっている内容を執行するための細目規定にすぎない。こういう重要な問題は政令事項ではない。経過規定として法律に明定すべきである。それであるから、非常に重要な、この東北開発の中心となる人事の問題でさような論争を生ずるということは、立法技術上非常にまずかったと思う。この問題はよく政府において検討した上で御回答を願いたい。
そこで、この法律問題はそれといたしまして、政府が改選をしようと思う一たとえば、今までの役員がそのまま新しい名称の変った会社に継続してその地位にあるとかりにいたしましても、政府がかえようと思えば、いつでもかえられるわけである。また全部改選ということになれば、政府が新たに任命できる。その任命について私が政府に注意を喚起し、また警告しておきたいことは、従来の東北興業のあり方、またこうした政府関係の機関、公社、会社等に関する人事の任命に当りましては、この会社は、とかく一般は、会社という名前でありますから、日本国有鉄道とか、専売公社とか、開発銀行とか、あるいは電源開発会社とかいうような純然たる政府機関とは考えない、やはり普通の営利会社的なものではないかという考えを持っており、従って公共性が薄いと一般の人が考える関係から、これに対する公けの機関としての行動についての批判が少し鈍いと思う。こういうところに、この東北開発会社が食いものにされるような危険がある。そういうようなことが全然ないような人事を私は望みたい。東北にしかばねを埋めるような意気を持ってこの会社の経営に当る人を選ぶべきである。従来の官僚は、事業の経営能力がだめだとか、いろいろ批判があるわけでございます。それからむろん骨を埋める人、また事業経営の手腕のある人が必要でありますけれども、この会社を東北の土に埋めて、なくしてしまうような、そういう人を選んでは困る。その点私は、この東北興業会社の一部改正の法律案が通過するに当って、一番の問題点であろうと思う。いろいろの問題について警告をし、注意を促すべきことは多々ありますが、これが根本である。正しい人事の上でなければ、この会社はりっぱに育っていきませんし、東北開発の促進のためにはならない。これに対して、人事に関する政府並びに企画庁長官としての確固たる信念を私は承わりたい。この将来相当有望な会社が、民間の人に乗っ取られたりするようなことのないように、そういうりっぱな人材を選び、しかも、それに対して十分な指導監督をやりまして、東北開発の期待を裏切らないような決意でもっていく意思があるかどうか、その所信を重ねて承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/38
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039・宇田耕一
○宇田国務大臣 この点につきましては、総理大臣あるいは大蔵大臣、それぞれ関係の深い官庁の責任者からもこの席で申し上げておりますが、いずれにいたしましても、ただいま申されたように、単なる営利会社的性格ではなくて、東北開発を促進するための一つの推進力になる公社的性格を持った母体でありますから、それの人事は慎重に考えなければならぬ。ただいま御指摘がありましたように、これとともに骨を埋めるという、そういうふうなほんとうに東北のために公平無私な処置を講じ得るような人格者を求めていきたい。そうして従来の企業の運営等から見ますると、従来ありました企業の今後の育成ないし培養等についての考え方、また新しく着手すべき事業内容についての推進力、あるいは企画力、そういう責任の持てる人格者でなければならぬと考えておりますので、その点につきましては、これは全然新しく白紙で考えるべき人事である、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/39
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040・竹谷源太郎
○竹谷委員 今、企画庁長官から、公正なそして真に東北のためになるような、会社を育て発展さすような人事をやりたいという信念を承わりまして、安心をするものでございます。どうか政治的な圧力やその他の力によって、情実因縁等によってこの会社がどうなるというような人じゃない、そういう点を十分考えてやっていただきたい。そして人事をなすに当っては、東興の戦前並びに戦後における実績というものをよく検討して、ただ世人のためにする宣伝的な誹謗、あるいは私もそうでありましたが、十分内容を調べないで、ただ現状だけを見て誹謗するというようことだけに耳をかすことなく、その実態を調べる、実態を調べていけば世間では知らない悪いこともあろうかと思う。そういう点を十分検討せられまして、過去のあやまちを繰り返さないで、真に公正無私に、情実因縁を排して、りっぱにこの会社を育て上げるという人事をぜひやってもらたい。私は宇田さんの良心に十分訴えたい。りっぱな東北開発ができるように、それがためには、一部の力によって支配されたり、あるいは、与党の諸君によって強引に押しまくられたりしない、宇田さんの事業経営の信念によってやっていただきたい。そういう政治的な情実によって動かされますと、この会社はうまくいかない。そういううわさも乱れ飛んでおる。そういうことのないようにお願いしたい。(「あとの方は要らぬよ」と呼ぶ者あり)あとの方が大事だ。あとの方は絶対にないようにしていただきたい。そうでないと、宇田さんの人格を傷つけ、また東北開発の信念もだめになりまするし、事業家としての従来の輝かしい経歴に汚点を残すことになる。決して政治的な情実に左右されないようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/40
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041・宇田耕一
○宇田国務大臣 御趣旨に沿うように、できるだけ努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/41
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042・北山愛郎
○北山委員 前回セメントの宇部興産の実績をお伺いしておったのですが、通産省の方お見えになっておりますか。――それでは通産省の担当者にお伺いしますが、今度東北興業がやろうとしておるセメント工場、これは昨年問題になったように、日本でも珍しいシャフト・キルンの方式でやろうとしておる。これと同様な方式は宇部興産がやりかけておるわけなんです。従って、宇部興産の方の実績がどういうふうな工合であるか、これが非常に参考になると思うのですが、宇部興産の方でこのシャフト・キルンの方式によって実際に製品を作って、これを市中に販売をしておるか、その品質の状況はどうか、コストはどうであるか、その宇部の方の成績をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/42
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043・川田博通
○川田説明員 ただいま御質問の点でございますが、シャフト・キルンを宇部興産が計画いたしましたのは二十九年、ころでございまして、実際に機械の発注等を行いましたのは、二十九年の六月でございます。それから約一年たちまして、三十年の七月に一応竣工いたしまして、たしか七月の中ごろに火入れをやっております。二基作ったのでございますが、一基だけについて火入れをやっております。これは業界のみならず、各方面から非常に期待と関心を持って見られていたわけでございますが、三十年の七月から十二月ぐらいにかけまして、あまり成績が思わしくないらしく――会社側に言わせますと、その間を試運転及び研究に当てたと称しておりますが、やっと十二月になりまして会社側も自信を得て、三十一年の一月ごろから順調な運転を始めて、製品を出し始めるようになったようでございます。
現在宇部興産で一基、宇部の近く約二十キロ離れましたところの伊佐というところでございますが、その伊佐というところに二基シャフト・キルンを置いております。キルンでもってクリンカーだけを作りまして、クリンカーを二十キロ離れた宇部へ持ってきまして、そこで粉砕してセメントにする。セメントといたしましては、最近聞きますと、ロータリー・キルンのセメントと比較して、ほとんど遜色がないということを申しております。特に三十年の七月に一応工事が完成いたしまして、完成まではドイツの抜師もずっとついていたわけでありまして、もうこれでいいだろうということで、向うは一応手を放したという形になったらしいのですが、セメントの品質、特に強度あたりは、ドイツあたりで要求され、あるいは一般に使われておりますのと日本とは、だいぶレベルも違いますので、ドイツ人がいいだろうと言った程度では、日本では商品にならない、そういうふうな判断から、会社はいろいろと苦労を重ねたらしくて、七月から十二月まで、いろいろ試験なり作業方法を変えたということでございます。三十一年一月から運転いたしまして、この二、三カ月生産実績をとりましたが、現在大体月に九千トン前後、ほとんど能力一ぱいに近い操業をやっております。このセメントはクリンカーで持っていきまして、宇部で粉砕して、一部はドライ・アッシュと申しますか、それをまぜまして、ホゾラン・セメントという名称でやっております。それから他の一般のロータリー・キルンから出ますクリンカーとあまり区別をしないで、一般に粉砕してやっておる。ただ品質の点から申しますと、強度が一センチメートル平方当り三百五十キロ、これは最低と称しておりますが、その程度のものを出しておるということでございます。今国内で市販されておりますセメントは、大体三百八十から四百ぐらいが多いのじゃないかと思います。その意味におきまして、強度においてこれは試験の結果は若干劣るということでございますが、しかし工業標準規格、いわゆるJISで規定しております強度は二百キログラムでありまして、二百キログラムをはるかにオーバーしておりますので、実際上使用は差しつかえない。最近聞きましても、宇部興産も十分満足してやっておるということでございます。
それから蛇足にはなると思いますが、三十年七月から十二月までにかけまして、試運転とか、研究とか称して、なかなか製品が出なかった。その間第三者からいろいろな批判が出たようでございますが、なぜ製品が出なかったかという点につきましては、宇部興産の話によりますと、二点ございますようで、一つは付近の粘土山の粘土を使っておりましたところが、その粘土に何かはじくような性質のものがあって、どうしてもその粘土と一緒に石灰石をまぜてやると、はじけて詰まってしまうということがあった。ほかの石灰石山の焼土を使ったら順調にいったということが一つ。それからシャフト・キルンに入れます前に、一応粉をこういう粒状に造粒するのでございますが、その運転がうまくいかなかったために、どうも入ってから熱の回りが悪かった。それを、その造粒しましたのをさらにロールにかけまして、扁平なこういう形にいたしまして、それを炉に入れると、うまくいくようになった。そんな二点を解決して、今のところ生産には何ら不安はないということを申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/43
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044・五十嵐吉藏
○五十嵐委員長 北山君に申し上げますが、宇田国務大臣に対する質疑がありましたら、それを先に願いたいと思うのです。午後は大臣ちょっと出席がむずかしいようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/44
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045・北山愛郎
○北山委員 それでは大臣にお伺い申し上げます。セメントの方はもうちょっとありますけれども、あと回しにいたします。
実はこの前、東北興業の福島肥料工場についてお伺いしたのです。それに関連して、東北電力の電気料金値上げ問題をちょっとお伺いしたいのですが、従来東北においては東北電力の電気料金が安かったために――特に大口電力が非常に安い。そこで電力を原料にするような肥料あるいは金属、こういうふうな企業が発達をしたわけなんです。それが東北の電気需用というものの激増の大きな原因になっているわけです。もしも今度電気料金が二割ぐらい値上げになるということになれば、その東北における電気料金上の利益という点がなくなってしまうのではないか。そういうことになれば、肥料なりあるいは金属というような、そういう安い電力を原料とするような工業が東北に発展をしないのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんですが、一体大臣は、今度政府において決定をするこの東北電力の料金の値上げについて、どういう御方針でお臨みになるか、これをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/45
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046・宇田耕一
○宇田国務大臣 電力料金の値上げについては、東北地方の事業の育成の上からいって、特に東北地方の資源関係から見まして、肥料関係ないしその他の特別な国の経済に非常に重要な関連をする資源の加工、それに必要な電力という条件を持っておりますが、そういう点につきましては、通産省とただいま話をいたしておりますけれども、必ずしも無条件でそういうものをわれわれは承認することはできないというふうに考えております。従って、それぞれの事業について、あるいは事業計画の内容について、東北開発関係のものと見合っているようなときに、通産省がこれにどういうふうに育成政策をとるのか、これはむしろ通産大臣の所管内の産業計画の中にも当然入っていくものでありますから、そういう面につきましては、経済計画ないし東北開発会社、あるいは東北開発促進等の基本方針と、向うの通産省の企業計画というものと、なお話し合い、検討いたさなければならぬと考えておりまして、これを無条件に受入れて賛成するというところには至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/46
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047・北山愛郎
○北山委員 そういたしますと、大臣は、東北開発という見地から、たただいま問題になっておる東北電力の料金値上げについては、まあ反対というまではいかないけれども、無条件に賛成しない、開発上不利になるような結果をできるだけ避けるように努力する、こういうふうに了解いたしますが、同時に東北開発の見地から考えた場合に、電力の量そのものが不足しているという問題が出てきている。ところが、東北は御承知のように非常に電源地帯である。特に福島県を中心として大きな電源を持っておる。ところが、それが近時逐次開発されて参りますと、その電力が東京の方へ持ってこられてしまって、そして東北が不足をしてしまう。その不足電力をまた東京の方からもらわなければならぬ。それに高い料金を払って、そのために電気料金を上げなければならぬ。こういうふうな悪循環をやっておるわけなんです。最近伝えられるところによりますと、電源開発株式会社は、奥只見の新しい大きな開発電力というものを東京に送るために、いゆわる超高圧の送電線を計画しておる、予定しておるというように聞いておるですが、一体こういうふうに、東北の電力資源というものをどんどん東京の方へ持ってくるということと、それから東北の開発ということと、やはりもうすでにいろいろ矛盾した様相が現われておるのじゃないか、こう思うのですけれども、大臣はこの東北の電力を東京の方へ持ってきてしまう、この政策については、一体どういうふうにお考えになっておいでになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/47
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048・宇田耕一
○宇田国務大臣 奥只見の電力を東京に送電するための新しい送電計画があるということは承わっております。東北地方の弱点は、水力に見合うところの火力の設備が少いので、その関係で、負荷の悪い条件、工業条件としては非常に条件の悪いものが多いようにわれわれは見ております。従って、これを調整していくために、八戸とかそのほかに火力設備を考えておるのであります。それは原料炭の値上り等から見て、当然電力料金に影響してくる条件と思っております。しかし、そういうふうな新しい設備をすることによって、当然基本の料金を是正しなければならぬという場合には、これはコスト計算から参りますと、当然値上げの条件にはなろうと思いますけれども、ただ地区が別である、東京と東北が違うということによって、非常な不利な状況に陥ることのないようにいたすために、全国的な電力政策というものは、これは考えなければならぬと思っております。しかし東北の持っておる電源は、水力関係ではかなりな有利な地点がありますわけです。それも福島県を中心とする地区には非常に有利ではありますが、青森その他の北奥羽の方へ参りますと、送電関係その他の関係で、必ずしも送電効率がいいものとは思えない点も起って参っております。従って、こういうふうな意味では、複雑な条件のもとで東北の開発をどういうふうに進めていくかという場合には、電力料金等は必ず政策的な配慮を必要とすることになろう、こういうように思われます。従って、そういう点につきましては、東北開発の見地からいたしますると、なお通産省その他と交渉をして、そうしてそれぞれの事業計画について、政府の方針を、明確に、長期にわたってきめていかなかったならば、開発は非常に困難に遭遇するというふうに考えております。従って、東京に送電をすることによって、東北の非常な後進性の事業が伸び得ないということのないように、これは重要な基本問題になりますから、そういう点につきましても、関係省庁の間で十分な打ち合せをしなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/48
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049・竹谷源太郎
○竹谷委員 通産省の岩武政府委員が見えましたので、局長、長官は午後にお差しつかえがあるそうですから、お二人おられるところで質問したいのでありますが、先ほど留保しておきました北上川水系発電利電事業に関する東北興業株式会社の調査費、これの処理問題についてお尋ねしたい。これはもう公益事業局長はよく御承知だろうと思う。東北興業が昭和二十四年から二十六年まで三カ年にわたって、二千百九十三万二千円を使って、岩手県の胆沢川並びに猿ケ石川の両水系の調査をやった、それが水利権も発電権も認可許可にならずに、その事業を電源開発会社がやった、そしてこれに要した二千百九十三万二千円のお金を、貧乏な東北興業が自分で償却をしなければならぬという事態になってきている。これについては、その利益は当然電源開発会社に帰しておるのであるから、全部とはいわなくても、相当これに対して補償というか、あるいは調査費を協力して出してやるというようなことをするか、こういうふうにするのが妥当ではないかという質問を私はした。これに対して、当時また現在、通産省としてはどのような考えを持っておるかお伺いいたしたい、こういうわけです。政府委員の方から一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/49
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050・岩武照彦
○岩武政府委員 だいぶん前のことでありまするし、また突然のお尋ねでございますから、あるいはお答えいたします点が若干事実と相違するところがあるかもしれませんが、さっそく調べてみましたところ、事情は以下のようになっておるのでございます。水利権は当時岩手県と東北興業との競願に近い形になっておったようであります。それで、それを審査されまして、岩手県の方に水利権がおりておるわけであります。それを電源開発会社が引き継いで開発し、施設を完成した、こういう経過になっております。それで岩手県が出願いたしますについては、いろいろ現地の調査、あるいはいろいろな水門資料等も整えておったと思いますから、その資料等の引き継ぎにつきましては、電発の方で適正な対価を払ったようでございます。金額等はまだ調べてありませんが、大体そういうのが通常の水利権に関する慣行でありますから、そういうふう処理したようであります。
それで、問題は不許可になった東北興業の関係でございますが、その資料を、水利権を得た岩手県が引き継いでおれば、普通の慣行等に従いまして、ある程度の補償をしたはずでありましようし、またすべきだと思っておりますけれども、その点はちょっとまだ調査ができておりません。問題は、そういうふうに調査を現実にされたかと存じまするけれども、その東北興業がされた結果が、どういうふうに、だれに利用さすようにしたかという点の事実の問題かと思っております。それで、実はまだ、岩手県と東北興業との関係、あるいは岩手県が電発に渡しました資料等の中に、東北興業が調査したものが入っているかどうかという点がわかっておりません。一般の慣行といたしましては、先ほど申し上げましたようなことでありまして、直接電発と東北興業との関係が出てきますかどうか、ちょっと問題になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/50
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051・竹谷源太郎
○竹谷委員 今、公益事業局長の御答辯では、その内容をまだしっかりつかんでおられないようである。そこで、公益事業局長に希望しておきたいのは、法律上の権利義務関係は別といたしまして、東北興業株式会社にとりまして重要なる財政問題でございます。まあ東北興業は一応会社ではございますが、公社的性格を多分に持っておる会社であり、一方また電源開発会社も、国家関係の公共的な会社でございまして、この間公平を期し、しかも財政的に困難でありまする東北興業に対しまして公平な処置をするように、関係各省と十分にお打ち合せをお願いしたい。
もう一つお尋ねしたいのは、今関係の都道府県、市町村等が電気の復元問題ということを議論をしておる。東北興業株式会社は、東北振興電力会社とともにタイアップしつつ、東北開発の仕事を推し進めたわけなのですが、重要なる動力供給の会社が全然別になりまして、そういう関係が、この東北興業が事業不如意になりました一つの重要な原因であると思う。これらは、今いろいろ政府部内、あるいは与党の諸君も研究しておるようでございますが、電気復元という問題が起きたときに、東北振興電力というのと東興との関係、東北電力の関係は一体どうなるのでありまするか、その事情を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/51
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052・岩武照彦
○岩武政府委員 事務当局といたしましては、いわゆる電気事業の復元というものには実は賛成しがたいというように申し上げた次第でございます。理由はここで申し上げる必要もないと思います。それで、今のお話でございまするが、東北振興電力は、これも突然のお尋ねでございますから的確ではございませんかと思いまするけれども、昭和十六年か十七年に発電所並びに送電施設を日本発送電に出資しているのではないか――あるいは譲渡かもしれません、あるいは小さい水力施設等は、東北配電の方に出資あるいは譲渡しているかとも思いますが、いずれにしましても、当時のそういうふうな出資あるいは譲渡の関係は、発送電または東北配電と東北振興電力との間に行われたことかと思っております。東北興業と東北振興電力との関係でありますが、どの程度の親会社子会社――あるいは一種のコンツェルン形態にあったか、詳しく存じおりませんけれども、かりに復元ということが政策上必要だ、しかも当時東北振興電力が持っておった発電所をその承継者に返すことが望ましいという結論になりました暁でも、それのすぐ承継者を東北興業にいたしますかどうか、これはなかなか問題があると思っております。実はそういうふうにだれが承継者であるかということが、いろいろの場合におきまして相当問題がありまして、その資格認定には、かなりの日時と基準が要るのではないかと思っております。ほかにもいろんなそういう例があるようであります。いずれにしましても、われわれの方としましては、復元というのはあまり望ましくないと考えておりますので、あまりその辺のことは検討いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/52
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053・北山愛郎
○北山委員 今、企画庁長官が、東北電力の料金値上げについては、東北開発上の障害にならないように政府部内において努力をされるということでありますが、東北というところは、とかく資源を収奪されてきたわけです。電気に限らず、いろんな山林あるいは地下資源にしても、中央の大会社が行って、とってきては利益を上げるというふうに、資源と労働力を収奪されて、地元の産業はさっぱり興らないというのが、今までの東北の姿である。従って、今の電力につきましても、東北の電力の流れというものは、東北の豊富な電力が東京に集中するという姿でやってきておる。また実際の傾向も、そういう方向に向っておる。ところが、御承知のように、工業が限られた工業地帯に過度の集中をしているのじゃないか。いわゆる四大工業地帯に集中している。これを分散させるというのが、一つの経済上の大きな政策、方針でなければならぬと思うのです。これは企画庁の問題だろうと思うのです。そういたしますならば、やはり東北に、適当な産業立地条件を備えておる地帯を工業地帯に設定して、計画的に進めていく、あるいはまた、工業をむしろ中央から分散さしていくという政策をとることが正しいのではないか、こういうふうに考えるわけでありまして、そういうことをやらない限りにおいては、やはり東北の電力も従来と同じように大きなパイプによって東北の方に流れてしまうのじゃないか。そこで今度の東北開発会社を作ったのも、東北の工業を興そうというのですから、やはり東北の工業というものを全国的な視野から、工業地帯を東北に求めるという大きな方針がなければならぬ。おそらく企画庁長官は、そういう大きな構想を持っておいでになると私は思うのです。やはりイギリスがやっておりますような工業再配置といいますか、そういうことをあわせてお進めになるお考えがあるかどうか。そうでないと、今のように電力は中央に流れる。しかも東北は料金の上においても、今まであったような低料金でなくて、どんどん上ってしまって、結局肥料や金属の工業においても発展が阻止されるということになってしまう。工業分散上、東北の地位といいますか、それは東北の各県どこもそういう適地があるとは限っておりませんけれども、やはり適当な地区を選んで工業地帯を設定して、そこに集中的、総合的に産業立地の整備をやる、こういうお考えがあるかどうかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/53
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054・宇田耕一
○宇田国務大臣 東北地方は、産業構成を全国に比較してみますと、第一次産業が各県ともに比率が非常に高いのであって、青森県あたりは約四五%くらいが第一次産業ということになっております。従って第二次産業の工業関係は、青森県においては一〇%そこそこ、こういうような産業構造比率になっております。また労働力の産業別の調査を見てみましても、第一次産業、すなわち農林水産関係が、青森県を見てみると、労働力の六五%は第一次産業であって、第二次産業の製造部門がわずかに八・六%という、日本全体のバランスから見てみると、想像のつかぬようなアンバランスになっておりまして、それが明治時代の比率と全然変っておらぬというよう数字が出ております。従って、東北地方にどういうふうな開発方針をとるかという場合に、おそらくこの産業構造あるいは労働力の地区別の就業状況を見てみましても、まず農林水産について、これの加工度の高い産業をどういうふうに導入していくべきかということが、重点的に取り上げざるを得ない環境にあって、これが前提であろうというふうに思われます。従って、こまかい話かもしれませんけれども、乾田地帯におけるビートの栽培、あるいはそれの加工事業、その他立体的な有畜農業に関するそれの加工の地区別の事業の育成、そういうふうなものは、どうしてもこの事業の中に取り入れられてこなければならない環境にあるというふうに思われますけれども、そういう点につきましては、従来会社の営業内容の中にほとんど見るべきものがない。東北振興のよってもって立っておるところの農林水産関係の加工業の近代的な企業化という面におきましては、この会社はほとんど手を打ってないと申しても差しつかえないのじゃないかと思います。こういう面について、積極的に近代工業化をはかるということでなかったなれば、東北の人口配分、労働力の配分状況から見ますと、足が地につかないものになるおそれがあって、開発の促進にならない条件が本質的にあるのじゃないかと思われます。そのほか鉱工業あるいはその他の関係の事業を見てみますと、東北でなくてはならないような、たとえば石油関係の事業、これは全国の九七%が東北の特殊の産業であります。また亜炭は全国の六五%が東北にあるという報告がある。銅は六〇%あるという報告があります。また硫黄は全国の九二%を東北が持っておるという報告が参っております。砂鉄にいたしましても、東北の独特な資源であります。
そういうわけで、東北独特の資源を持っておって、他の追随を許さぬものであって、しかも国がどうしてもこれを解決して開発しなければならぬというものがあります。そういうものにつきましては、むしろ優先的に、ただいまの労働力配分の質的変更を計画的に取り上げまして、会社の営業目的の中で、重点的にこれを推進する必要がある、そういうことをやり得る性格の会社でなければならぬというふうに考えております。従って、公社的性格の持つ内容というものは、東北開発という名前をつける限りは、そういうふうな性格の会社としてこれは育て上げていくべきものでなかろうかと思われます。しかし、既存の事業にいたしましても、それぞれ独特の経営方針、また労働条件が付随しておることですから、軽々しくここでどうこう言うわけにいきませんが、既存のものを育てるということは、それぞれの事業企画に応じて適正規模を考えればよろしいと思っております。
ただ積極的にどういうふうに開発を考えるか、この会社を将来どういう任務を持つ方向に指導すべきかと申しますと、どうしても東北の人口構造から見まして、また都会集中化をいかに防ぐかという日本の経済計画の基本方針から申しまして、その線をはずしてもらっては困る。われわれ経済企画庁で新しい五カ年計画を立てますけれども、立てる基本方針は、都会集中化になっておる人口の再配分計画と産業立地条件を勘案しながら、どういうふうに五カ年計画の中に織り込むか、その織り込む場合に、東北は最も重点的に取り上げなければならないような、全国的見地から見ると、比例の合わない労働構造になっておりますから、その点については特に配慮をいたしたい、またそうしなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/54
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055・北山愛郎
○北山委員 大臣の言われる東北における農林水産加工を振興しなければならぬということは、私ども賛成なんですが、実際に農林水産加工をやろうとした場合に、やはり需要地との関連があって、東北は不利な条件があるわけです。従って、今お話があったような大都市における人口、産業の過度集中を緩和するということ、あるいはまた全国的な雇用問題を緩和するためには、相当思い切った工業地帯の分散化といいますか強力な政策がなければならぬ。これは自民党の方でも、東北における鉱工業の振興自立ということに相当力こぶを入れられているにもかかわらず、実際出てきた今度の三法案は、その点がはなはだぼけておるのです。やはり東北における立地条件のいいところに新工業地帯を設定するというような強力な姿がなければ、私は農林水産加工ですらも振興しないのじゃないかと思う。その点について企画庁長官は、東北開発における一つの桂と第二類第二号国土総合開発特別委員会議録第十九号昭和三十二年四月二十六日一〇して、新工業地帯の設定を進めていただきたい。そうすれば、それをてこにして、農林水産加工などもこれに関連して発展していくんじゃないか、特にその点についてもう少し明確なお答えを願いたい。それからもう一つは、電力料金の問題にしても、東北については大口電力が安かったのです。ですから、その結果として、電力を原料にするような化学工業なり、あるいは金属工業というものが発展した。しかし小口電力は、必ずしも東京などに比べても安くはないわけなのです。そこで、この機械工業なり軽工業なり、そういう中小企業というものが割に発展しないわけなのです。ですから、今度の電力料金のきめ方にしても、やはり小口電力というものについても十分な考慮を払って、これを安くするような政策をとらなければ、先ほどお話があったような農林水産加工の工業にしても、発展しないのじゃないか、こういうふうに思われます。これは、たとえば数字でいえば、大口電力については、昭和三十年度ですが、東北の場合には一円九十二銭ですよ。東北みたいに安いのはない。東京の場合は二円七十四銭、また比較的安い北陸でも二円一銭です。九州や中国は四円くらいです。こういうふうに大口電力は非常に安いのですが、小口電力については、東京では五円八十五銭、中部は六円五十五銭、これに対して東北は六円四十九銭、ですから、小口電力というものは、東北の場合、全国的には安い方ですが、東京などに比べては必ずしも安くはない、ですから、大口電力が非常に恵まれたわけです。そこで肥料などがふえたというようなことで、今度は電力が上れば、肥料の方も阻害されてくる、こういうことになれば、取り柄がなくなる。私は、東北の産業振興については、やはり電力というものが相当重要な位置を占めるとするならば、この小口電力料金の値上げについては相当考慮しなければならぬじゃないか、この小口電力というものを安くして、そうして機械工業なり軽工業なり、そういうものをやはり東北において、立地条件に合うようなものを振興さぜるような考慮を払わなければならぬと思うのですが、この点についての長官と通産省の方の御見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/55
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056・宇田耕一
○宇田国務大臣 東北地方の開発につきましては、昭和三十三年から昭和三十七年にわたる五カ年の年次計画の中に、当然、法律に期待するような推進方式を加味しながら、五カ年計画を立てていくはずでありますが、あわせて東北の開発促進に関する年次計画も立てることになるはずであります。その場合に、同じ計画を立てるにしても、事務的な計画を立てることにとどまらずに、全国計画を立てる責任者石川一郎氏を中心として、ただいま経済企画庁の五カ年計画の案を策定中でありますが、私は東北の五カ年計画を立てる場合に、当然石川さんもその中に入ってもらいまして、全国計画の中へ、東北計画を立てることを必ず取り上げなければならないように、人事の面からその配慮をしておく必要がある、こういうふうに思いますし、東北開発に関する審議会等も、当然五カ年計画の立案の責任の組織でありますから、その中にも石川さんに入ってもらう。そして全国的な計画を立てる場合に、これが両方ともに必ず配慮のできるようなことに、あらかじめ人事面からこれを処理していく方がよろしい、こういうように考えております。従って、東北の五カ年計画を促進法に基いて立てますが、それが全国計画と密接な関係を持って、東北の開発の五カ年計画が全国の計画の中において生きていきますように配慮してもらう、これを要求いたしたい、こういうふうに考えております。また電力料金につきましては、大口といわず、小口といわず、ただいま申された通りで、われわれは全然仰せの通りと考えます。ただ通産省の持っております全国的な電力計画の中で、実際のわれわれの期待がどういうふうに盛られていくかということにつきましては、現実の配電行政のことが伴いますから、その点につきましては、なおよく、先ほど来申し上げましたように、東北が非常なるしわ寄せの犠牲にならないように、十分実情に合せて交渉を進めていきたい、そうすべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/56
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057・岩武照彦
○岩武政府委員 今お話がありました資料は、実はどういう計算か、ちょっとよくわかりませんけれども、結論から言いますれば、お話のように東北の電力料金のうちで、電灯と小口動力は、東京地区に比べてやや安いわけでありますけれども、そう大口ほどその差が開いているわけではありません。大口電力は北陸に次いで東北が安いわけであります。その結果、電気を原料とします産業が、比較的急速に発展していることは御指摘の通りであります。今度料金値上げの申請書が東北電力から出ておりますが、その内容も、大体は、電灯並びに小口動力の値上げ率を比較的低くしまして、大口電力の値上げの幅を大きくするというふうになっております。御趣旨は、大体大口電力の方をうんと上げろという御意見だと思いますので、そういう御趣旨と了解いたしましてわれわれも作業したいと思っておりますが、ただ東北開発のうちで、東北に原料があります産業なんかで、電気を使用して加工いたします場合に、どの程度の運賃とか、あるいは原料上の条件が、電力の値上げと相殺できるかという点に、実はかかってくるだろうと思っております。東京とまるまる同じにいたしましても、運賃とか、あるいはその他の原料上の条件が恵まれておれば、依然として東北地方にも電気を多量に消費いたします産業が興るものと思います。その辺はわれわれとしましても、料金の決定上いろいろ考慮すべき点かと思っておりますが、大口をうんと上げろという御趣旨には沿い得る、大体そういう趣旨でものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/57
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058・北山愛郎
○北山委員 それは岩武政府委員の誤解でありまして、私ども大口電力をうんと上げろということは何にも申しておらない。ただ大口電力が安い、しかし、それは、安いから、東北のいろいろな肥料あるいは金属工業が盛んになった、これを上げるならば、その点がだめになってしまうというようなことで、おそらく大口電力などが一番問題の中心になってくる、その際に、小口電力などは問題にされないで、無視されるおそれがあるので、特に注意を喚起しただけの話なんです。だから、大口電力を上げて、小口電力は上げないでもらいたい、こういう意味ではないのでありまして、両方とも安いに越したことはないのであります。特に大口の方の発言力が非常に強いですから、大口の方で操作をして、この値上げの幅を少くするかわりに、小口の方をよけい値上げをするという結果になっては困るのではないかということを申し上げた。それから根本にさかのぼれば、電力行政として、東京の方に東北の電力資源を流してきた、そしてまた東北が足りないといって騒いで、買い戻す、そういう行き方、その結果として、値上げをしなければならぬということになるのでは、おかしいじゃないか、こういうことを根本論として申し上げているのであって、私は大口電力を上げても差しつかえない、小口は下げてもらいたいというのではない、両方とも下げていただきたい、こういうことなんですから、誤解のないようにしていただきたい。それから企画庁長官に日野委員から質問があるようでありますから、私はあと回しにしまして、これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/58
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059・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 長日野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/59
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060・日野吉夫
○日野委員 会社の名称変更と事業範囲の拡大、債券の発行、監督の強化、こういう点の改正のようでありまして、名称の変更については、単なる名称変更で、大して重要なあれがないということですが、会社の構成に非常に変更があるのではないか。従来は東北六県であったものを、七県に範囲を拡大しているのでありますが、株式構成の方を見ますと、東北六県だけで株式を所有しておるのですけれども、今度は新潟県にも株式を持たせる考えなのか。もしそういうことであれば、やはり重要な一つの要素の変更ですが、この話し合いはどの程度に進んでおるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/60
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061・植田俊雄
○植田政府委員 新潟県は、地理的にも、歴史的にも、東北と一体的な性格もございまして、また資源的にも、気候的にも、東北と同様でございます。また従来、東北地方開発計画というものを七県で作っておりますし、知事協議会というものも七県で作っております関係で、新潟県も入れるのが妥当だと考えたわけであります。株主の構成につきましては、東北興業発足当時は六県でありましたので、現在新潟県は株主になっておりません。しかし将来これが増資いたしまして、政府以外の株式がふえるという時期におきましては、当然新潟県にも株を持ってもらうことを考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/61
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062・日野吉夫
○日野委員 なおこまかいことで聞いてみたい点が二、三ありますが、長官お急ぎのようですから、大きい点だけちょっと聞いておきたい。この事業項目の中に、産業立地条件の整備という言葉が入っておりますが、どうも私は何回聞いてもわからない。一つの明確な目標を持って発足してさえも、計画通りいかないのが実情であるのに、発足のときに不明確な不確定要素をたくさん持って発足するということは、やはり重大なことじゃないかと思うのです。去年の予算で砂鉄の調査をやらしたとか、ガスの調査をやらしたというのは、まだその中間報告だけで、最終報告が届いていないというけれども、やはりこうしたものは、一年間の調査をし、この法案を審議する場合には、一つ資料を提出して、それに十分検討を加えた上でやってもらいたいと思います。これは今ここで長官に尋ねても無理だと思いますが、ただあなたのこれに対する確信だけを伺っておきたい。大丈夫かどうか、その自信のほどをまず伺っておかないと、なかなか賛成できないので、決議のほどを示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/62
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063・宇田耕一
○宇田国務大臣 産業の立地条件をいかに整備していくかということにつきましては、この開発株式会社の公共的な性格から考えまして、当然これを入れていかなければならないものというように考えております。そうして、それはどういうような事項について懸案を持っているかと申しますと、従来懸案中のものにもいろいろありまして、ただいま御指摘になった点等もあります。ただ、これがこの地方の実情に合うように、また乱雑に流れず、秩序よくこれを整備するためには、開発促進法の五条の中に審議会があります。東北開発株式会社の事業の基準となるべき事項を調査審議するとか、内閣総理大臣に報告し、または建議をするという事項がありまして、これには三十五名以内の委員、その委員のうちには、衆議院議員五名、参議院議員五名、関係知事七名、その他地方に関係の深い、また地方の政治に非常に発言権の強い諸君がその審議会の構成員になっております。その審議会の構成員が、東北開発株式会社の事業の基準となるべき事項について審議をしなければならぬことになっておりますから、その点、産業立地条件等の重要な案件については当然審議を重ねていただけるので、それを基準として、経済企画庁は実施計画を会社に示す、あるいは会社の株主総会に提出を求める、こういうことになると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/63
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064・日野吉夫
○日野委員 ただいまの御答弁は以前から何べんも伺ったのですが、審議会が設けられ、これにはいろいろな人が入っておるので、多分この人たちは、間違いのない、りっぱな方針をきめてくれるだろうから、それに一切まかせるということでは、あなたまかせのような、いかにも自信がないような印象を受けるのです。あなたはこの審議会を間違いなく東北開発の役に立てるように、イニシアをとってやってみせるという自信はおありかどうか。何とかやっていくであろうからというところに、不安を持っております。法律を作ると、必ず一つ審議会ができて、その審議会というのは、もう試験済みですが、東北開発の審議会には、かかることのないように希望するので、あなたの決意を伺っているわけなのです。そういうありふれた審議会のようにお考えにならないで、重大な決意を持って当ってもらわなければ、政治力や何かそうしたものにゆがめられてしまう。私は東北振興運動については、昭和八、九年の冷害のあと、世論喚起から参加をいたしております。それで、あれほど熾烈な東北民の要求の上に、この会社が出発したのだが、発足してみると、直ちに地元民からボイコットされておる。地元民の支持を失っておる。支持を失って、宙に浮いた会社経営が、その会社不振の原因の一つとわれわれは考えなければならぬのです。これは監督が非常に大事なもので、監督の強化というのが、改正の重点になっておりますから、こういった前の関係もありますので、地元民と遊離しないように、監督上の責任がことにまだ明確になっていないが、一体この監督の強化のところで、人事を変えるのか、今のままでやるのか、この点は先ほど来ばく然とした答弁になっておるけれども、一つあなたの明確な答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/64
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065・宇田耕一
○宇田国務大臣 人事につきましては、ただいまここで、どういうようにするかということを申し上げるだけの腹案がまだできておりませんが、いずれにいたしましても、ただいま申されたような御趣意に沿って経営できる人事をここに実現しなければならぬということは、よく考えておりますから、いずれよく考慮いたしまして、お考えする時期をあらためて得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/65
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066・日野吉夫
○日野委員 なぜ私がこういうことを言うかと申しますと、この会社発足当時、第一回の東北興業総裁は吉野さん。これは宮城県出身だということで、大いに期待されて赴任はしたけれども、時の商工大臣のお座敷がかかると、直ちにおっ取り刀ではせ参じた。こういうことで地元民を失望させた。その次に八田さんがやってきた。八田総裁は、その当時十億くらいの資金を集めて、記録にも残っておるが、相当の事業をやつた。非常な敏腕家で、大いに期待を持たれたのであるが、これまた商工大臣のお座敷がかかると、直ちに飛び出した。こういうことで、地元民を失望させるようなことが次々とあった。そして第二回、第三回の株式の払い込みだけを請求されるということで、完全に地元民から支持を失って、会社は宙に浮いてしまった。そこに私は一つの大きな不振の原因があったろうと考えなければならぬ。先ほど竹谷君が言われたように、東北の土になるつもりで一つがんばろう、という人材を見つけることも大事な要素であろうし、あなたは、やっぱり地元民を率いて、この東北開発に参加するような構想でやってもらわなければ、とうていこの会社はうまくいかないと思うので、地元民をまず率いていって、一体になってやっていく一つの監督強化の構想等があれば、私はその点を承わって、なおかくあらんことを希望いたしまして、私の質問は終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/66
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067・宇田耕一
○宇田国務大臣 地元の要望に密接にこたえ得るような人事でなければ、これは何をいたしましても、問題にならないと思います。それはよく例に引かれますが、アメリカのTVA計画がどうして成功したかというと、理事者が全部そこで骨を埋める覚悟で、それが仕上るまでの長年月、責任を持って、つまり同一人事のもとで、積極的に努力を傾けていった、こういうことでありまして、それはあらゆるものの根本の条件であろうと考えます。従って、そういうふうな人的構成がここにうまく仕上りますようにできましたら、ほうっておいても自然に結果はよくなるのじゃなかろうかと思われます。また地元の皆さんの支持を得られるのには、そこに本格的に足の地についた、熱意のある、しかも土地のよくわかった人が一番好ましいものであろうというふうに思います。それはそういうふうに御趣意に沿いまして、できるだけの努力をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/67
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068・日野吉夫
○日野委員 大体そういうことで公社的性格の会社だ、こういうことでございます。そこで、TVAの例をとられましたが、ああいう一つの人事をわれわれが希望するから、人事のことについてやかましく言うのです。どうぞ地元民の支持の上に、じっくりと落ちついて東北振興の開発の運動がやれるような人事ということを念頭に入れて、この運営に当ってもらいたい、こういう希望を付してあとのこまかい点は別の機会に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/68
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069・五十嵐吉藏
○五十嵐委員長 北山君。先ほどの続きをやって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/69
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070・北山愛郎
○北山委員 先ほどセメントのことについて保留しておきましたから……。宇部興産のお話がありまして、大体宇部興産の方の成績もいいというお話でありますが、そういたしますと、通産省としては、このシャフト・キルンの方式と、今までの日本の大部分を占めておるロータリーの方式ということと、方針としてどういうふうにお考えになりますか。シャフト・キルンの方のいい点はどこにあるか。これはコストが安いということが一つの原因であるというように聞いておるのですが、果して宇部興産の場合にコストが安くなったのであるかどうか。それから原料の制約もあると思うのです。全面的にシャフト・キルンを採用し得るかどうかということは、コストのみならず、全国的な、原料がシャフト・キルンに適合するかどうかという問題もあると思います。それからセメントの値段も相当な浮動があるわけです。上ったり下ったり。ですから、昨年のようにセメントの値段が六千円台ということになってくれば、このシャフト・キルンで、コストが安いのだというようなコスト上の利益も、案外なくなってしまって、ロータリーの方と競争ができない、品質については、多少劣るのですから、競争ができないということにもなるわけです。そういうこともあわせて考えた場合に、一体シャフト・キルンという方式を今後奨励していっていいものかどうか、この点については通産省は一体どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/70
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071・川田博通
○川田説明員 シャフト・キルンの問題でございますが、実は最近いろいろのセメントの設備新設を方々で行なっておりまして、最近は新設即合理化になっておるわけでありますけれども、合理化の方向としましては、大体エコノミカル・ロング・キルンと申しまして、長いのは百七、八十メートルのキルンでやるのもある。それから、もっと短かく、レポール・キルンと申しまして、五十メートルくらいのキルンですが、短かくても、あとに余熱室を設けてあるために、それで熱効率を高くするもの、それからシャフト・キルンと、三通りが最近の合理化として考えられる手段なんでございますが、その中でシャフト・キルンがどの程度いいかということにつきましては、一長一短がございまして、おっしゃいますようにシャフト・キルンのコストは、熱効率の面からも、あるいは操業費の面からも、若干安くつかなければならないのであります。そのほかに、日本の今までのセメントは、非常に強度を偏重いたす傾きがございます。そのために、構造体なんかに使う場合はいいのですが、道路に敷きますとか、建築物の壁に塗るような場合には、かえって収縮が強くて、亀裂が生じやすいという面がございます。シャフト・キルンのセメントは、一般の建物のロング・キルンのセメントに比べましては、多少粒度が荒いわけでありまして、従って強度は若干劣るわけでございますが、そういう亀裂を生じたりすることがないという長所も持っております。まあいろいろな特徴を持った製品がある程度併存していく方が、日本のセメントにとってもいいのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、まだシャフト・キルンにおきましては、わずかに宇部興産に二基ありますだけで、東北興業の方も、これから五基ばかり置く予定でございますけれども、この程度の段階でございますと、まだシャフト・キルンももう少しあってもいいんじゃないか、こういうふうに、考えます。シャフト・キルンの発祥地のドイツあたりでは、約九十基ばかりございますそうで、これは単独で十分動いて、製品を供給しているというような状況でございます。シャフト・キルンにつきましても、技術者から申しましても一長一短がございまして、簡単には言えないのでございますけれども、大体そんな考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/71
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072・北山愛郎
○北山委員 シャフト・キルンの長所というのは、コストが安いのだということが最大の長所であるというふうに伺っておるわけであります。ところが、今のお話のように、ロータリーの方がいろいろ合理化等によってコストが下ってくるというふうなことになってきて、それから同時に、市況においても、値段が八千円だったものが、六千円に下り、また昨今は上っておるようでありますけれども、そういうふうに上り下りがあるということになって参りますと、コストの上においては、ロータリーの方よりもまさっているというような利点はなくなってしまうのではないか、こういうふうに思うのですが、その点の見通しはどうなんですか。あくまで将来もシャフト・キルンの方は、コストの上においてやはり長所が常に存在するのだというふうに言えるものかどうか、この点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/72
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073・川田博通
○川田説明員 これは従来ございました七、八十メートル程度の長さの普通のロータリー・キルンでございましたら、いかなる場合でもコストが安いということは言えると思います。ところが、最近の新しいいろいろな方式に比べましてどうかということになりますと、若干熱効率がいいというのと、それから設備費が大へんかからないという面の利点があるという程度で、絶対的にいかなる場合でもいいのだとまでは言えないと思いますが、一つの方式としては、見捨てたものではないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/73
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074・五十嵐吉藏
○五十嵐委員長 他に御質疑もないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/74
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075・五十嵐吉藏
○五十嵐委員長 御異議なしと認め、質疑は終局いたしました。
討論、採決は、明二十七日午前十時よりの委員会に譲ることといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604321X01919570426/75
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