1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月十五日(金曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 藤本 捨助君
理事 大坪 保雄君 理事 大橋 武夫君
理事 亀山 孝一君 理事 中川 俊思君
理事 野澤 清人君 理事 八木 一男君
理事 吉川 兼光君
植村 武一君 加藤鐐五郎君
田中 正巳君 中村三之丞君
八田 貞義君 山下 春江君
亘 四郎君 井堀 繁雄君
赤松 勇君 岡本 隆一君
五島 虎雄君 滝井 義高君
山花 秀雄君 中原 健次君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
労 働 大 臣 松浦周太郎君
出席政府委員
厚 生 技 官
(公衆衛生局
長) 山口 正義君
厚生事務官
(児童局長) 高田 浩運君
労働政務次官 伊能 芳雄君
労働事務官
(労政局長) 中西 實君
委員外の出席者
労働事務官
(労政局労働法
規課長) 石黒 拓爾君
専 門 員 川井 章知君
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三月十五日
委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
鈴木義男君が議長の指名で委員に選任された。
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社会事業施設従事者の期末、超勤手当予算確保
に関する請願(西村榮一君外一名紹介)(第二
〇七六号)
同(滝井義高君外一名紹介)(第二〇七七号)
戦傷病者雇用法制定に関する請願(薩摩雄次君
紹介)(第二〇七八号)
同(滝井義高君紹介)(第二〇七九号)
同(吉川兼光君紹介)(第二〇八〇号)
健康保険法等の一部を改正する法律案反対に関
する請願(中馬辰猪君紹介)(第二〇八一号)
同(薩摩雄次君紹介)(第二一二五号)
同(内藤友明君紹介)(第二一二六号)
同(阿部五郎君紹介)(第二一五一号)
同(赤城宗徳君紹介)(第二一五二号)
同(大久保留次郎君紹介)(第二一五三号)
同(大高康君紹介)(第二一五四号)
同(北澤直吉君紹介)(第二一五五号)
同(塚原俊郎君紹介)(第二一五六号)
同(橋本登美三郎君紹介)(第二一五七号)
同(山本粂吉君紹介)(第二一五八号)
大工、左官及びこれに準ずる労働者の社会保障
に関する請願(岡良一君紹介)(第二〇八二
号)
同(淺沼稻次郎君紹介)(第二〇八三号)
同(堂森芳夫君紹介)(第二〇八四号)
同(三宅正一君紹介)(第二〇八五号)
同(渡邊良夫君紹介)(第二一二四号)
同(石田宥全君紹介)(第二一五九号)
同(大野市郎君紹介)(第二一六〇号)
環境衛生関係常業の通常の適正化に関する法律
制定の請願外一件(鹿野彦吉君紹介)(第二〇
八六号)
同(三宅正一君紹介)(第二〇八七号)
同(越智茂君紹介)(第二一二二号)
同(高橋禎一君紹介)(第二一二三号)
同(田中稔男君紹介)(第二一六一号)
同外一件(古川丈吉君紹介)(第二一六二号)
健康保険法の一部改正反対等に関する請願(吉
川兼光君紹介)(第二〇八八号)
同(臼井莊一君紹介)(第二一二一号)
衛生検査技師の身分法制定に関する請願(小西
寅松君紹介)(第二〇八九号)
同(八田貞義君紹介)(第二一六五号)
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案に傷病
手当金追加に関する請願外一件(木原津與志君
紹介)(第二一一五号)
保育所の国庫負担額引下げ等反対に関する請願
(西村彰一君紹介)(第二一一六号)
日雇労働者の賃金値上げ等に関する請願(山花
秀雄君紹介)(第二一一七号)
国立療養所の賄費増額等に関する請願(岡本隆
一君紹介)(第二一一八号)
国立療養所における長期欠勤看護婦の予備定員
確保に関する請願(岡本隆一君紹介)(第二一
一九号)
生活保護予算増額に関する請願(岡本隆一君紹
介)(第二一二〇号)
健康保険法の一部改正反対に関する請願(椎名
悦三郎君紹介)(第二一六三号)
国立療養所等の賄費増額に関する請願(椎名悦
三郎君紹介)(第二一六四号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第五一号)
児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五八号)
食品衛生法の一部を改正する法律案(第二十四
回国会閣法第一二三号、参議院継続審査)
労使関係、労働基準及び失業対策に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/0
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001・藤本捨助
○藤本委員長 これより会議を開きます。
母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案、児童福祉法の一部を改正する法律案及び参議院におきまして継続審査し、送付されました食品衛生法の一部を改正する法律案の三法案を一括して議題とし、審査を進めます。まず趣旨の説明を聴取いたします。厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/1
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002・神田博
○神田国務大臣 ただいま議題となりました母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由を御説明申し上げます。
母子福祉資金の貸付は、都道府県がこれを行なっておりますが、国は、現在都道府県が貸付金の財源として計上する金額と同額の金額を都道府県に貸し付け、都道府県は、この合算額を財源として生業資金、支度資金、修学資金等八種類の貸付金を母子家庭や父母のない児童に貸し付けているのであります。
その財源の総額は、昭和二十八年この法律の施行以来昭和三十二年一月末現在におきまして約三十三億円に達しており、わが国の母子福祉対策に多大の寄与をしておるわけでありますが、現在までの貸付状況によりますと貸付金の財源が十分でないために母子家庭等からの借入申込に対し十分応ずることができない実情にあるのであります。
これは地方財政事情の窮乏とも関連する問題と考えられるのでありますが、現行の国の都道府県に対する貸付率をもってしては、貸付金の財源を十分に確保してこの法律の所期の目的を達成することが困難でありますので、今回この貸付率を従来の二分の一から三分の二に引上げることとし、国は都道府県が貸付金の財源として計上する金額の倍額に相当する金額を貸し付けることにより母子家庭の福祉を一そう増進しようとするものであります。
以上が改正案の大要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願い申し上げます。
次は、ただいま議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
改正のおもな点について申し上げますと、第一点は、児童福祉施設の一種として新たに精神薄弱児通園施設を設け、これに必要な事項につき規定したことであります。精神薄弱の児童は、従来厚生省といたしましては、もっぱら、児童福祉施設の一つであります精神薄弱児施設に入所させ、これをいわゆる二十四時間収容いたしましてその保護指導につとめて参ったのでありますが、今回、さらに精神薄弱児対策の完備をはかるために、精神薄弱児中、通園が可能な児童を日々保護者のもとから通わせて、これを保護指導するため新たに精神薄弱児通園施設の制度を設け、その入所の措置は都道府県知事、指定都市の市長にとらせることといたした次第であります。
第二は、国の設置する精神薄弱児施設における在所期限の延長を規定したことであります。国の設置する精神薄弱児施設におきましては、別に厚生省設置法に定めるところによりまして、もっぱら精神薄弱の程度が著しい児童または盲もしくはろうである精神薄弱児を入所させることとなっているのでありますが、これらの者はその性状等からみて一般の精神薄弱児より以上に長期にわたり保護指導を加える必要がありますので、この国立の施設に入所した児童につきましては、その者が社会生活に順応することができるようになるまで在所させることができるようにいたした次第であります。
以上が、この法律案を提案する主な理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
次は、ただいま議題となりました食品衛生法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由を御説明申し上げます。
まず、改正の第一点は、添加物の概念を明確にしようとしたことであります。御承知の通り、近時食品工業が飛躍的に発展したことに伴い、食品の製造の過程において添加使用されるものが年とともに増加して参っておりますが、かかるものについて食品衛生法の適用上添加物として取締りの徹底を期することができないことは危険なことでございます。先般の森永ドライミルク事件にもかんがみまして、食品の製造の過程において添加、混和、浸潤その他の方法によって使用される物質を、添加物として取り扱うよう添加物の概念を明確にいたしまして、添加物による食品の危害を未然に防ぎたいものと考えております。
改正の第二点は、食品衛生管理者を設けようとしたことでございます。御承知の通り、乳製品、化学的合成品たる添加物等の食品及び添加物は、その製造または加工についてきわめて高度の技術を必要といたしますとともに、その製造または加工の過程における取り扱いを誤まりますれば、製造されまたは加工された食品に及ぼす危険性が大きく、かつ、その被害が広範囲に及ぶことが予想されます。従いまして、これらのもののうち、このような危険性の特に大きいものとして政令で定めるものの製造または加工を行なっている営業者は、その製造または加工を衛生的に管理させるため、その施設ごとに、専任の食品衛生管理者を設置しなければならないこととしたのであります。この食品衛生管理者が職務を怠ったことにより、右の違反が起きた場合には罰則が適用せられることとすること等により、右の食品衛生管理者がその職務を十分に全うすることを期待するものであります。
第三に改正いたしたい声は、食品、添加物、器具または容器包装に関する標示についてであります。食品、添加物等はそのものが何時どこで製造されたか不明でありましたり、また、添加、混和、浸潤等の方法によって食品に使用することを目的として製造、加工されたかどうかが判明いたしませんでは、使用者にとりましてきわめて不安であります。かかることを明確にいたしますために、食品、添加物等につき公衆衛生の見地から必要な標示についての基準を定めまして、この基準が定められた食品、添加物等であって、その基準に合う標示がないものはこれを販売したり、販売の用に供するために陳列したり、または業務上使用してはならないことといたしたい、さように考えるのでございます。
第四の改正点は、化学的合成品について、その定義を法律上明確に規定しようとすることでございます。
最後に改正いたしたい点は、罰則の整備についてであります。食品衛生法に規定してある罰則には従来から不均衡な点がありましたので、今回の改正を機としてこれが整備を行い、均衡を失することのないようにしようとするものでございます。
以上が政府が提案いたしましたおもな理由でありますが、参議院におきまして、若干の点につきまして修正がございました。その修正の内容を要約いたしますと、第一に、厚生大臣が基準規格を定めた添加物を収載した食品添加物公定書を作成し、添加物の適正な使用を周知させることとすること、第二に、販売の用に供し、または営業上使用する食品、添加物、器具または容器包装を国外から輸入する者は、その都度厚生大臣に届け出なければならないこととすること、第三に、歯科医師または大学等におきまして歯学の課程を修めて卒業した者も食品衛生管理者になることができることとすること、第四に、食品衛生に関する費用の国庫負担に関する規定を削除しないこととしたこと等でございます。
以上がこの法律案を提案いたしました理由でございます。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/2
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003・藤本捨助
○藤本委員長 以上で説明は終りました。なお、ただいまの各案の質疑応答は後日に譲ることといたします。
午後一時まで休憩いたします。
午前十一時三十一分休憩
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午後一時五十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/3
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004・藤本捨助
○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。
労使関係、労働基準及び失業対策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、これを許します。赤松委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/4
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005・赤松勇
○赤松委員 労働大臣に数点お尋ねしたいと思います。御承知のように調停案が出まして以来、公社側の態度がきまっておりませんでしたが、本日午前十一時に公社側の仲裁委員会に対する仲裁裁定の申請があった、こういうことなのです。そこでお尋ねしたいのは、遠からず裁定が出ると思いますが、労働大臣の見通しとしてはいつごろ裁定が出されるか。むろん仲裁委員会に関与しておられませんから、あなた自身には責任はないのでありますけれども、春闘の第四波、第五波等と非常に深い関係がありますので、その希望なり見通しなりを述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/5
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006・松浦周太郎
○松浦国務大臣 赤松委員のお問いでありますが、法律の施行令には、申請してから三十日以内に裁定することになっておるようでありますが、私の下にある局ではありますけれども、ちょうど法務省の中に裁判所があるのと同じように、一つの裁判権のような独立機関でありますから、私には命令あるいは促進等をなす正式の権能を持っておりませんが、現実の事態は座視することが忍びませんから、なるたけ早く出ることを祈るだけであります。何日いっかにどうということは私から申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/6
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007・赤松勇
○赤松委員 公労法ができましたのは、争議権を規制する、しかし一方においては調停委員会の調停案あるいは仲裁委員会の裁定等を尊重し実施するというのが建前になっていると思います。残念ながら今日まで完全実施をされた例が非常に少いのですけれども、本年の春季闘争は今までに例のない大きな規模のものでもあるし、これは言うまでもなく民間給与との著しいアンバランスから起きて参りました労働者の当然の要求であると思っておるわけですけれども、こういう中で裁定が出た場合、これを完全実施するということは当然政府の義務であると思います。この際労働大臣から完全実施をするということをはっきり一つこの委員会で言明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/7
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008・松浦周太郎
○松浦国務大臣 この間参議院の社労委員会でもこの問題について二時間半もいろいろ応答いたしましたが、私は国会運営の正常化とともに友党との間における信義は重んずべきであるということを考えております。過日あなたの方の首脳部と私どもの首脳部が会いましていろいろこの問題について突っ込んだ話があったのでありますが、速記録に残すようなことは申されませんけれども、両者間にはとにかく相当話し合いが進んだのでございます。しかしその表現として完全実施をするとかあるいは受諾するとかいう言葉は使い得ないのでございます。何となれば公労法の十六条に述べておりますように、政府は移用、転用その他の措置によって、また政府の財政経済の関係から、いろいろ政府の権限があります。同時にまたそうなった場合には、国会に諮問しなければならない、国会の審議によらなければならないということになっておりますから、国会を無視したり政府の権限を縮めたりすることを、少数の幹部間だけできめてよいものであるかどうかということが、この間非常に問題になりまして、その結果両者間においてこの問題を処理するために使う言葉は、誠意をもって尊重するという言葉を使うことに両者に話をいたしましたので、この間じゅう各委員会において、誠意をもって尊重するという意味を発表いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/8
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009・赤松勇
○赤松委員 これは労働大臣に少しあれしてもらわぬと困ると思うのですが、私はけさも党の局長会議に出まして、往来のいきさつを十分開いておりますが、両者の間で、裁定が出たならばこれを尊重するという取りきめなどは全然ありません。ですからただいま官房長官とわが党の方で、この点についての交渉が行われておる。この交渉がうまくいきませんと、岸・鈴木会談というものも実現しない。岸・鈴木会談は交渉の会談でなくて、いわば調印式であるというふうに私ども考えておるわけでございます。労組の諸君も非常に今追い詰められた気持でおりますので、そういうことが公けになると困りますから、そういう取りきめはないということだけは明白にしておきたいと思います。
そこでお尋ねしたいのは、国会にかかる場合は、十六条の資金上、予算上実施不可能な場合でかかってくるわけです。もし企業内で実施可能ならば、かける必要はないわけです。そこでまず最初に、予算上、資金上とありますが、資金上可能であるかどうか、また資金上あの調停案——千二百円、四月一日実施でもって、年度内でどのくらいな予算が必要なのか、つまり資金上可能であるか不可能であるか、なおそれに要する四月一日実施、千二百円アップということで、どの程度の予算が要るか、これを一つお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/9
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010・松浦周太郎
○松浦国務大臣 私の方では、三公社五現業全体をはっきりと千二百円で試算いたしてはおりません。けれども公社側から聞いておる数字は、大体国鉄が八十一億、その他合せまして百五十五、六億になるのではないかという程度のことしか今わかっておりませんが、はっきりした数字を出せということになれば、三公社五現業に聞きまして、後に書類を出してもいいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/10
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011・赤松勇
○赤松委員 これは私は政府の非常な怠慢だと思うのです。むろん調停案を実施する場合には、公社それ自身に責任があるわけですけれども、当然これは国家財政との間に、たとえば補正予算を組まなければならないという事態も起り得るのです。従って調停案が出れば労働省としては、これらの予算措置を講するか講じないかは別としても、少くとも予算上どの程度の金額が必要であるか、あるいはまた大蔵省との折衝等もあると思うのですが、今労働大臣のお話によると、労働省はまだ研究していない、必要ならば公社に聞いてみる、概算で百五十五億くらいじゃないか、と言われたのでは、私はこの問題を真剣に処理する熱意というものを疑わざるを得ないのです。こういう点について非常に私は——労働大臣いい人なんですけれども、春闘に対する考え方というものが、どうもまるでわれわれと違うのではないかという気がするのです。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/11
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012・松浦周太郎
○松浦国務大臣 これは真剣でないと言われればそれまでなんですが、私は真剣に取り組んでいるつもりなんです。千二百円が一律一体になっているというところに、千二百円というものがほんとうに正確な値上げであるかどうかということなんですよ。それが調停を早くのめなかった理由であると思うのです。三公社五現業ともその業態は全然違うのです。特に専売のごときは、女の人が非常に多いのです。けれども全部が千二百円、しかも、さっきも参議院の本会議で答えたのですが、判決は、ただ千二百円にしろと二行ぐらいしか書いてないので、理由が全然ないのです。今までこの種のものは相当なデータを添付いたしまして、こういう結果だからこうしなければならぬとしてあるけれども、今度の分は全部それがしてないのですよ。そこで三公社五現業とも、これは理由をはっきり現わすのでなければのめないというので、その理由の検討をいたしております。そうしてその理由は大体わかりまして、今御指摘になったように、きょうの午前十一時過ぎには、国鉄から仲裁裁定をやる、その他の二公社四現業とも今日中には仲裁裁定を要請するということになったのであります。これはもう全部きょうじゅうにやるということになったのであります。でありますから、一応のそろばんをはじいた報告は聞いておりますが、いよいよ払い出しという数字じゃないものですから、はっきりした数字ができておらぬのです。この点は怠慢であると御指摘を受ければ怠慢であるかもしれません。御必要であるならば、それぞれの省から取ってよろしいと思いますが、運輸の方だけは八十一億と聞いております。
そこで、この運輸の方では移用、流用でできぬことはないのですけれども、私はこれはやはり国会の御承認を得なければならないのじゃないか。国会の御承認を得て、それで国会の方で補正をしなければならぬという御指摘があるならば、これは補正しなければならぬじゃないかと思うのです。というのは、今度の国会に国鉄は一三%の運賃値上げを要求しているのです。その一三%の運賃値上げは、鉄道の改良工事をやって、輸送力を増強しようという考え方なんです。そういうことを国民に約束をして一三%を上げようとする、その約三%に該当いたしますものを、黙って移用、流用で工事費に使うものを払い出しするということは、内輪でできても、私はやはり国会に提案して、国会の承認を得てやるべきである、こういうふうな考え方の上に私は立っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/12
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013・赤松勇
○赤松委員 私の質問と、御答弁とはちょっと食い違っているのです。私は、調停案に示された額、そうして四月一日から起算すれば、概算どれだけ資金上必要なんだ、そういう調査をば十分していないということは怠慢じゃないか、こう言ったのですけれども、これ以上労働大臣を追及しません。
そこで今度は、岸総理大臣も本会議でおっしゃっておったし、今また労働大臣からお話がありましたが、それは、調停案に示された千二百円一律というアップについては疑問がある、こういう点なんです。私ども、国鉄などが独立採算制をしいてからずっと強調して参りましたのは、やはり労働の量と質に応じて労働賃金というものはきめられなければならぬということです。ところがそれをやらないのはすなわち政府なんです。今まで失行しなかったのが政府なんです。御承知のように、国家公務員も現業関係も、あるいは国鉄の工磯部等でまっ黒になって働いているあの重労働の諸君でも、全部賃金は一律です。そうして国家公務員のそれと一律にして、現場の重労働に対するところの十分な給与が行われていない。こういう点は国会がやったことでも何でもなくて、政府がベースという線を引いて今までやってきたのである。私は企業の内容によって労働賃金というものがきまるのではなくて、労働賃金はその労働の量と質に応じてきめられていかなければならぬ、こういう考え方を持っておりまするから、一律何々、そして国家公務員を基準としてすべての企業のそれが割り出されるということにつきましては、私自身も大いに批判的な考えを持っておるわけですけれども、それは意見を申し上げるだけにとどめておきましょう。
次に今重大な発言があったのですが、移流用でもってやることは望ましくない、これを国会にかけなければならないということなんです。そういたしますと今補正予算と言われましたが、補正予算を組みたいという点については、再度確認しておきますが間違いはございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/13
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014・松浦周太郎
○松浦国務大臣 この問題では、この間参議院の社労の委員会において今赤松さんのお問いになったような意味のことがありまして、できるだけ勤労者の方々に安心をしていただこうと思って、結論だけ、補正予算を組まなければならぬだろう、組むべきであるということを答えました。その後いろいろ検討いたしますと、今申しました国会云々の過程が抜けておりますから、その過程を今度機会を得ましたら参議院の社労の委員会において加えたいと思っております。それはこういう意味であります。仲裁裁定が出されたときに誠意をもって尊重することはしばしば申し上げた通りであります。今日ではいまだ仲裁裁定の段階ではなく、いわんやその内容がいかになるかは全くわからないのでありますから、今からこれに対する補正措置云々と申すのはいまだ早いと言えるのでのりますが、しかし常識的に申して、仲裁を実行するのに予算上の定める給与総額では不足であるという事態になる予想がされるところであります。そういう場合になれば、裁定を実行するために給与総の金額の変更をしなければなりません。そういう意味で先日補正予算云々と申したので、言葉が足りなかったと思いますが、この変更のためには政府としてはまず企業経営の支障のない限りできる限り予算流用、移用等によって給与の総額を増額して実施に努め、それでなおかつ不可能である場合には公労法による手続をとって国会の議決を経なければならないわけであります。その際政府といたしましては、裁定を尊重する建前から、国会の御意思のいかんによって補正予算を必要とすることが予想されるのであります。先日の発言はこういう意味の予算上の措置を全部含めての趣旨でありますから、この際補足いたします。ただいずれにいたしましても冒頭申し上げました通りまだ仲裁の段階ではなく、内容もわかりませんので、政府の処置は、仲裁裁定が行われました後に誠意をもって慎重に検討いたし、善処いたしたいと存じます。御了承願いたいと存じます。これはまだあれから機会がありませんから述べておりませんが、機会がありましたらこういうふうに言い足したいと思っております。私が先ほど申し上げましたように、移流用はできる限りすべきだ、しかしながらそれだけでは八十一億というような多額のものを出すことができませんから、国会の議を経て補正をすべきである、こういう意味のことを申し上げたのでありますから御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/14
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015・赤松勇
○赤松委員 労働大臣はほんとうのことをおっしゃっているので、従って私もそういう良心的な御答弁に対して深く追及しようとは思っておりません。
ここでさらにお聞きしておきたいことがあります。それはいわゆる一律賃金が政府でいつもきめられるのです、あるいはこれが慣行になっておるのですけれども、私は先ほど労働大臣がおっしゃったあるいは岸総理がおっしゃっておるように、仕事の量と質に応じて賃金をきめていくべきであるという考え方からいきますならば、当然私は予算総額というもののワク、こういう規制ははずされていいのじゃないか、こう思うのですが、あなたは現在及び将来にわたってこの給与総額というものを財政法の中できめておくことは適当ではないというふうにお考えでございましょうかどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/15
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016・松浦周太郎
○松浦国務大臣 公業企業体は独立採算制の上に立っておりますから、でき得る限り一般会計から補正などをしないように、その範囲内でやっていただきたいという前提の上に立って、千二百円増給すればそれだけ感激して仕事の成績を上げて、それでお互いに働き出すという建前に立って独立採算制の成果を上げてもらいたいということを、私は自分ではそう思っております。できるだけ一般会計から補正するのではなく、その範囲内においてまかなうようにしたらいいのじゃないか。万一やらなければならぬような場合には借入金をもって充当しておいて、それであと働き出して、いわゆる民間の言葉で言うならばもうけ出して払っていくということが望ましい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/16
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017・赤松勇
○赤松委員 いや、そういうことを聞いておるのじゃないのです。今たとえば国鉄なら国鉄の労働の量と質が専売と比較して云々、こういうことは私は言いませんけれども、たとえばそういうものが出て、それぞれの企業の労働の量と質に応じた賃金というものがきめられなければならぬということになってきても、今給与総額というものはきめられておるのです。従って仲裁裁定が出るならば、大蔵大臣がとても予算上だめです、こう言ってしまったら、労働大臣がどんなに努力したってこれは実施できないのです。そうすると実施できませんということを国会に報告をし、国会の承認を求めなければならぬということになるわけです。そこでそういう給与総額というものがあなたのおっしゃる賃金体系の一つの規制物になっておるから、そういうものを取り除くことについてあなたは賛成であるか、反対であるか、どういうお考えかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/17
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018・松浦周太郎
○松浦国務大臣 さっきのとんちんかんだった答弁は逆に考えました。この間そういう説も一部あったのです。けれども私は労働大臣を拝命いたしておりますから、労使間のアンパイアであって、また半面勤労者に対しては、至らぬ者ではありますが、父のような気持で尽さなければならぬと思っております。事態が起った原因については私はあまり賛成をしない、けれども事態がここに来た以上はやはり解決するように努力しなければいかぬということで、現在の三公社五現業とも特別会計でありますから、現員現給で、多少の余裕はありましょうけれども、千二百円なんて増すだけの余裕はない、だから移用も流用もできないといって、国会にできませんよといってぶっつければ、国会においてそれなら仕方がないといってしまえば、もう増さぬでもいいことになるのです。しかしそれは今僕は許されないと思うのです。それは炭鉱の方を見ても私鉄を見ても一般官吏の状況を見ても、国家公務員が上ったのは国鉄よりも安い、民間よりも安いので上ったことは事実だけれども、しかし事態がここに来たら、お前は少し高かったのだから今度はやめておけと言ったって、事態がここに来た以上私はおさまらぬと思うのです。この点は、私は労働大臣といたしまして極力総理大臣並びに大蔵大臣を説いてこれを実施させたい。しかしその金額はここで申し上げることはできません。今おっしゃるように全然だめではないかというようなことはさせたくないということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/18
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019・赤松勇
○赤松委員 久しぶりでほんとうに労働大臣らしい御答弁をいただきました。今までの労働大臣ならば、いいかげんな答弁でごまかそうとしておりますけれども、松浦さんの御答弁は非常にりっぱだと思います。そういう気持で大蔵省とも折衝し、大蔵大臣をも説得して、でき得る限り裁定が出たならばそれを実施するように努力してもらわなければならぬ。これは労働大臣として当然のことです。ただ私がここで聞きたいことは、調停案に示された千二百円という額につきましては、労働組合の方は非常に不満です。私どもも適当な金額ではないと考えておりますが、この金額についてあなたはどういうようなお考えを持っておりますか。調停案に示された額が妥当なものであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/19
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020・松浦周太郎
○松浦国務大臣 それは腹を割って言うとこうなんですよ。大蔵省もいろいろ言うけれども、正確な資料はわれわれのところにきておらぬ。けさの中山さんの御発表になりました議論、これは前もって聞いておりました。中山さんの議論をもってしてもふに落ちぬところも詳細に検討してみると出てくるのです。出てくるが、官吏の方が約九百円、それで大蔵省の方の意見を聞きますと千八百九十円くらい国鉄が官吏より高いというのです。そこで九百円戻した、半分戻したのだ。やれやれと思っていたところへ今度また千二百円にはね返りを入れると約千六百円になるそうです。そうすると、もとより差が強くなる。するとまた人事院の方で官吏の方を直していかなければならぬという説が起きてきやしないかという心配をしておられるようでありますが、そこの辺のはね返りの問題もあるし、国鉄には特に業績手当ですか、今まで三十五億出しておるそうです。さらに三十五億出さなければならぬということが交渉の中にも含まれておるようでございます。「なお」という文章の以下のところにそれが規定してあるわけであります。そこらの問題はどれが公平かということは実は私は言いかねるのです。今仕事によって違うということを御指摘になりましたけれども、やはり比べるものは官吏の俸給だと思うのです。なお相当隔たっておるものですから……。しかし私はこういうことを申し上げたい。乗務員のような、非常に危険ではないけれども、ああいう過激な労働に従事する技術的な者は、ペンを持ってうちで仕事をしておる人より一割や一割五分高いことは、これは一般われわれの商売でもそうやるのです。国鉄の方にはそういう方の人が多いから平均給与が高くなるのではないかと思うのです。そういう点は、私はどれが公平かということは言いかねるけれども、昔は現業官吏といいまして一般の官吏よりも給与がよかったのです。ところが終戦後その給与が引き直されてしまったから非常に国鉄の人は憤慨していると十河さんは常に言います。そういう点十河さんの言う通り私は承認はできないけれども、技術的な、非常な危険な仕事に加わっている人は考えなければいけないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/20
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021・赤松勇
○赤松委員 今労働大臣は給与法をお出しになって——そこで職階級の問題が非常に問題になっておることなんで、ペンを持っている者よりハンマーを持っておる者の方が賃金が高いのは当りまえだというお話が出まして、まるで給与法を否定するような御発言があった。そういうことはあなたの人柄ですから追及しません。そこであらためて給与法の中で追及していきたいと思いますが、あなたの今の考え方でいきますと、大蔵省が、国家公務員よりも公社側の方の給与が高いという根拠は希薄だというお話だと思います。私も大蔵省がどういう資料を基礎にその数字を出しておるかよく知りませんけれども、何といっても国家公務員の場合は人事院、一般勤労統計等の資料は労働省が一番完備しておる。不完全であっても、少くとも大蔵省よりはしっかりした資料を持っておる。そこで国家公務員に比較して公社側が一割高いといわれておる根拠及びそれに対する労働省の見解を一つ数字をあげて御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/21
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022・中西實
○中西政府委員 給与統計は労働省においてやっておりますが、労働省でやっておるのは民間の企業でございまして、公務員の給与関係は労働省では実はとっておらないのでございます。人事院は毎年内閣に勧告あるいは報告を出す義務がございますので、その必要上検討しておる。その結果をわれわれの方でいただいておるという関係でございます。そこで昨年の人事院勧告の理由の中に、三公社関係が公務員よりは一割程度高いように思われるということがございました。その基礎についてわれわれも知りたいのでございますけれども、一割ほど高いという結論を聞かされておるだけで、どうして高いかということの基礎はまだ承知しておらないのでございます。そこで公共企業体等労働委員会の事務の方に聞きましても、その点はまだ承知していない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/22
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023・赤松勇
○赤松委員 国家公務員よりも公社職員の方が一割給与が高いという大蔵省の主張がかなり大きな政治力になっておると思うのです。これを粉砕するには、池田さんとあなたが議論してみたって、これは議論倒れに終ってしまう。やはり的確な数字なり何なりをもって説得しなければならぬ。私も実はこれがわからないのです。だから私どもから正式に政府の方へ資料の提出を要求します。それは人事院から取り寄せればよいでしょう。
そこでお尋ねをしたいのは、よしんば国家公務員よりも公社側の方がかりに一割高くても、それを低める必要はちっともないのであって、ただ大蔵省は予算を組む関係上、イタチごっこになることが困る。片方を上げれば片方を上げなければならぬということは政治的に因る。こういうことなのであって、これは賃金理論としては少しおかしい。そういう点は労働大臣大いに努力してもらって、ただ財政的な立場からだけ人間の給与をきめていくというのでなくて、もっともっと近代的な賃金理論をちゃんと政府は持って、近代的な給与体系の上に新しい賃金ベースを出してもらいたいと思う。これは強く希望しておきます。そこで明らかになりましたことは、裁定が出る、裁定が出た場合移流用は好ましくない、当然予算を補正するということを言明されました。政府の方はこの補正予算を組むという考え方は、少くとも労働大臣に関する限りはこれを完全実施していきたいというお考え方であると思うのです。今私は仲裁裁定の内容について、あなたに質問しようとは思わないし、また質問することは筋違いであって、これは仲裁委員会は公正妥当なものを出してくれるとわれわれは期待しておりますが、ぜひ一つ、出た場合、これを完全実施するように、今労働大臣が補正予算を組むとおっしゃったその線に沿うてやってもらいたい。労働大臣は、完全実施をするのだという前提の上に立って、補正予算を組まなければならぬ段階がくるだろう、こういうふうに御答弁になったものと解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/23
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024・松浦周太郎
○松浦国務大臣 これはこの間参議院で今読み上げました補足をいたしたのでありますが、参議院でずいぶん話し合ったのでありますが、三十二年度の予算を審議しておる間に、補正予算を組むのだということを国務大臣が言うことは、これは予算の組みかえを意味するものであって、それは非常におもしろくないのです。そこでこういう補足をやるのです。それは移流用をやって、足りないものは国会にかけて、国会が足らないからこれは補正すべきだという決議をされたときにおいて補正されるのだということを今つけ加えたのでありますが、さっきも言ったように、これは参議院の社労に、まだ機会が与えられませんから、与えられましたら、このことを申し上げて補足いたしておこうと思っておりますが、そういう意味において、八十一億というものを全部私は移流用ではできないと思うのです。だからそれはやはり国会の議決を経て、補正すべき段階がくるであろうということも、今予算の審議中にこういうことを言うのは不謹慎かもしれないけれども、これはやはりそういうふうに考えなければならぬと思うのです。しかし今御指摘になりましたように、それならば今の言葉は全額完全のむのだろうと、こう言われると、これは私一人がやっている内閣じゃない、私はほとんど三等大臣ですよ。一番ビリですよ。だから私は主張するけれども、内閣で相談した上において、それは五分引きになるか三分引きになるか、あるいはもっと上へ上げてやるというか——上げてやるということはしないだろうけれども、今私は金額をはっきり、あなたの言われるように言ったと言われたのでは、また男が立たなくなるから、その辺は一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/24
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025・赤松勇
○赤松委員 ぼくはこの際労働大臣を擁護しておきたい。この間参議院の御答弁の段階においては、それはやはり若干問題はあったと思うのです。しかし今日の段階では、そういう御答弁をいただいてもこれは当りまえだと思うのです。何となれば、あの当時は調停の段階なんです。今は仲裁の段階でしょう。しかも公社側は仲裁の申請をしておる。これはいつ出るかということはわかっていない。たとえば、これが一週間なら一週間後には出るということが明確になっておれば、今予算審議中であるから、これは困るということになるでしょう。私は早いことを望んでおるのですよ。早いことを望んでおるけれども、法律からいえば、何もおそく出したって法律違反にはならない。従ってあなたがここで補正予算を組まなければならぬだろうとおっしゃっても、そんなことを問題にするやつがばかだ。あなたの方の党内でもしそんなことを問題にする者があるというなら、あなたができなければ僕が説得してあげますよ。そんなことは大いばりで議論していいと思うのです。段階が違うから、そういう点は自信をもって、補正予算を組むというみえを切っていただいてけっこうだ。あなた、三等じゃありません。一等も一等、ばりばりの一等大臣ですから、自信を持ってもらいたい。そこで、今申し上げたことを、誤解されるといけませんから、もう一度言っておきますが、私は仲裁裁定が一日も早く出るのが望ましい、また出さなければならぬ。そうでなければ四波、五波というものがうしろにずっと続いているのですから、だから早く出るように何も仲裁委員会にどうこうしろというわけでないけれども、政府としてはそういう心がまえでおってもらいたいということなんです。
もう一つお聞きしたいのは、公社側が仲裁委員会に申請した理由、及び労働組合がそれに賛成していない理由、それからもし労組側で仲裁委員会へ申請することに賛成しなかった場合、法律上どういうことになるか。つまり当事者双方の中で一方だけが申請する、一方は申請に反対するという場合、これは一体どうなるか。さっき中西さんのいろいろな解釈を聞きましたけれども、これはそういう私ごとでなくて、こういう機会に一つ明確にしておいてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/25
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026・中西實
○中西政府委員 最初に、両方の調停案を断わって、それからまた仲裁申請を出した理由でございますが、それは組合からいいますと、これは全部すでに調停委員会あてに回答を出しております。その回答は若干文章の違いはありますけれども、言おうとしております趣旨は、額は非常に要求から比べて不満である、不満であるけれども、もしも政府なり当局が予算措置その他で実行しようとする意思があるなら、話し合って妥結したい、こういうことであります。それから公社側あるいは現業側は、これからなんですからわかりませんが、今国鉄が出しました拒否並びに申請の理由を見ますと、大体こういうふうに言っております。一つは示された額の算定が明らかでないということが一点、それから二は、特に国有鉄道法第二十八条に規定されている給与の原則との関係が具体的に示されてないということ、解説いたしますと、二十八条というのは、給与準則をきめる場合には生計費、民間給与、国家公務員の給与、これあたりを勘案してきめるとあるのです。それの関係が具体的に示されていないということです。それから第三には、内容についても問題を将来に残すものと思われるということ、これは言わんとする趣旨は、今度の調停案が基準内賃金の予算額を千二百円ふやせということ、それなら実際の額をどれくらいふやしたらいいのかということがわからないというので話し合いが残るということをさしているのではないかと思いますが、第三点としましての表現は、問題を将来に残すものと思われますので、遺憾ながら了承いたしかねます、こういうことになっております。なお仲裁申請を行うときの場合、これについては法規課長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/26
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027・石黒拓爾
○石黒説明員 仲裁申請につきましては、国鉄の場合は、仲裁申請の理由は、御承知のように公労法三十三条——国鉄の場合は二カ月を経過しておりますから三十三条第三号によりまして申請することができるわけでございますが、ただいま手に入りました仲裁申請書を見ますと、三十三条第二号、すなわち協約に基く申請——この協約は、私の記憶しておりますところでは、三号と同じような文句で、調停後二カ月たって片づかないときは申請できる、こういうような協約が国鉄の労使間にございます。これに基いて申請したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/27
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028・赤松勇
○赤松委員 よくわかったのでありますが、そういう労働協約が結ばれている場合には、一方が申請をしても結局それは効力があるのだという御説明ですが、その通りだと思うのです。私ばかりはなはだ時間をとって悪いのですけれども、調停案に対しまして、新聞の報道ですからよくわかりませんが、しかし新聞の報道によれば、調停案に対して閣議でこれを受諾しないとか、あるいは関係大臣の中でこれには応じられないとか、そういうような言明なり決定なりがあったかどうか、これを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/28
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029・松浦周太郎
○松浦国務大臣 閣議の内容はあまり外へ漏らさないことになっております。けれどもおっしゃるような、全部のむとかあるいは削るとかいう話までいっておりません。とにかく裁定が出てからにしよう、しかしそれは総理大臣が言明されまして、あなたの党の書記長との間に、誠意をもって尊重するということを約束したから、そのように一つ心得てくれというお話しがございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/29
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030・赤松勇
○赤松委員 その通りだと思うのです。いやしくも調停委員会の調停案に対して、政府当局が、いかぬとかいいとか、そういうことを言うことはこれは明らかに間違いだと思うので、今大臣のおっしゃる通りであってしかるべきだと思うのです。従って調停案に対する政府の態度は公式にはきまっていない、これでよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/30
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031・松浦周太郎
○松浦国務大臣 調停案については労使直接の相互間の問題ですから、それは政府においては何とも言っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/31
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032・赤松勇
○赤松委員 これはそうあってほしいし、今後もそういうふうに扱っていただきたいと思うわけです。一般国民はその法規のことをよく知りませんから、何か政府の方はのんだりのまなかったり自由にできる。ただ仲裁裁定に入ってから、予算上、資金上実施不可能な場合は、政府が国会に承認の議決を求めるという手続は当然とらるべきだと思うのですけれども、調停案や仲裁に対して、いいとか悪いとか、そういう批判がましいことはすべきでない。なお仲裁委員会に対しまして、これもわかり切ったことですけれども、念を押しておきたいと思うのですが、私は仲裁委員会の諸君の公正妥当な結論を期待しております。
そこで、政府当局も仲裁委員会に対して直接にしろ、間接にしろ何らかの影響を与えるような動きを絶対すべきでないし、されることは明らかに法律の違反だと思いますが、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/32
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033・松浦周太郎
○松浦国務大臣 御指摘の通りに裁判権のような意味でございますから、私は仲裁裁定については全然タッチする考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/33
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034・赤松勇
○赤松委員 きょう、この問題について大蔵大臣などと話し合われる機会はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/34
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035・松浦周太郎
○松浦国務大臣 夕方の時間に一応全部これが出そろいましたから、一応話し合うような機会があろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/35
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036・赤松勇
○赤松委員 繰り返して申しておきますが、尊重するという総理大臣の言明やあなたの言明だけでは、これは私が納得していないのではなくて、組合が納得しません。それは従来もしばしば苦汁を味わってきた、つまり政府の尊重するという言明が裏切られてきた、従って政府に対する信頼度というものは非常に薄いのです。事の重大性はあなたも十分御承知だと思うのですけれども、私はきょう政府の方で五時か六時ぐらいまでに尊重するというような抽象的な態度ではなくて、裁定が出れば完全実施をいたしますという言明がないと、あすの第四波は避けられない、しかもそれは夜半などにきまったんではとてもそれはあすに間に合いません。第一、指令を出したって下部には達しません。そこで、ほんとうに政府の方で事態を収拾し、その裁定をば完全実施するというならば、面子も何もないではないですか。この際仲裁裁定は尊重するんだ、尊重するという意味は、少し前進して、実施するんだ、こういうことの言明がなぜできないか、その場合予算はどうするとか、こうするとかということは言う必要はちっともないと思う。十六条なんかに触れることはちっともありません。問題は責任をもって実施する、だから諸君たちは一つ闘争については考えてもらいたい、こういうふうな言明をしてもらわないと労働者の方はおさまりません。というのは今まで何度も何度も裏切って参りましたから、従って信頼がございませんから、あの程度のことではちょっとあすの闘争をストップさせるというわけにはいかない、何か政府の方では、公社は仲裁申請をやった、この上なおストライキをやるというのはけしからぬじゃないかというような意味の声明を出すということを私は聞いておるのでありますが、そういう声明がもう出たのですか。また出されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/36
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037・松浦周太郎
○松浦国務大臣 一応官房長官の談として出しました。
それから今のお話ですけれども、あなたのおっしゃる通りに私も考えるのですけれども、今まで政府が尊重するといっておっても、半分も実行しないということで……(赤松委員「半分もなんて言いませんよ」と呼ぶ)実行しないなんというようなお話があるのですが、こういうことなんです。仲裁裁定の出ないうちから、このことは淺沼さんに会っていろいろ話し合ってからのことになると思うのですけれども、十日の昼ですか、ああいう相談をしまして、仲裁裁定に持ち込まない、つまり調停の時代ですね。その調停の時代に仲裁が出たならば誠意を持って実行する、尊重するということを総理大臣みずからあなたの方の書記長に申されたくらいですから、その点は従来のとは違いますから、それによって御安心願えると思うのです。それでもう出したのだからすぐやってもいいじゃないかと言われるが、出たならば、そういうことは言えるけれども、これからどういうふうな判定が下されるか仲裁の人たちの意向にあるものですから、それはやはり出てからでないとはっきりしたことは申し上げられないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/37
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038・赤松勇
○赤松委員 これは重大な声明です。全くでたらめですよ、今労働大臣が答弁されたこととまるで違うじゃありませんか。第一の理由として、三公社五現業の職員の賃金に関する紛争については、調停案が提示されたけれども、これは簡単に諾否を決することができない、こういうことを言っておる。これは政府は諾否を決定したようなことはないというあなたの答弁です。官房長官談は、明らかに諾否を決することができないと言って、まるで政府の方でもってイエスかノーかがきまるようなことが書いてある。これは非常な間違いですよ。公労法に示された調停委員会の権限、あるいは仲裁委員会の権限、あるいは独立採算制をモットーとする各企業の独立性というものを無視しておる。おかしいでしょう労政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/38
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039・中西實
○中西政府委員 一番初めの項でございますが、これは主語が三公社五現業の職員で、各企業において慎重に検討を行なっている、各企業が決することができない、こういう趣旨に書いたように聞いておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/39
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040・赤松勇
○赤松委員 いや、この文章からいくとそうじゃない。一ぺん最後まで読んでみます。「三公社五現業の職員の賃金に関する紛争については、先日来公労委から逐次調停案が提示されていたが、これが実施のためには百数十億円の巨費を要し、簡単に諾否を決することができないので、」これは明らかに政府の態度です。そこで「各企業において慎重に検討を行なってきた。」こう書いてある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/40
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041・松浦周太郎
○松浦国務大臣 これはやはり三公社五現業が簡単にできないという意味であると私は解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/41
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042・赤松勇
○赤松委員 あなたの解釈はそれこそおかしい。ほんとうにこんなものは三等的な解釈だ、一等的な解釈ではないですよ。そこでこれは石田君にも言わなければならぬ、あなたにも責任があると思う、官房長官の談話ですから。そこで私が今質問したようなことはここで言っている。「このように、公労委が仲裁を行い、合理的な解決のため努力しようとしており、政府としてもその裁定については、誠意をもってこれを尊重しようといっている際に、これを無視し、敢て第四波闘争と称して来る三月十九日、二十日の両日にわたり、実力行使を行おうとし、あまつさえ伝えられるが如く、十六日にも実力行使を行うとすれば、このことは、国民生活の安定も」云々「暴挙といわざるをえない。」こういうことを言っているわけです。公社で仲裁申請をするのは当りまえじゃないですか。私がさっき言ったように、なぜこういう問題が仲裁委員会に提示されても、なお闘争がやまらぬかといえば、政府の方がしばしば今まで約束を裏切ってきた、尊重するなんということではがまんできぬというのが労働者側のほんとうの気持だと思うんです。そうすると、ここで出た裁定は実施する——尊重するということをさらに進めて実施する、こう言い切ったら初めて公労協の諸君も納得します。そういうように政府の方が労働者の期待や信頼にぴたっとこたえ得るような態度をとってもらって、なおその上でいろいろなことが起れば、われわれといたしましても労働組合の諸君を説得してそういうことのないようにしなければならぬと思う。あなたも御承知のようにこの裁定を案施するというのが原則なんですよ。十六条は例外規定なんです。実施するのが原則なんです。マッカーサーの手によって当時争議権を持っておりましたこれら現業の諸君が、その争議権にかわる代償としてこの裁定というものをば与えられたのですから、これを実施するというのが政府の義務であり、当然のことなんです。ただ例外規定として十六条で予算上資金上云々という問題が出てくるのである。これをまるで本法の精神のように解釈してもらうということは大へん困ると思う。明らかにこの政府声明は公労法の精神をばじゅうりんしている、こういうように考えるのでございますけれども、あなたの御見解はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/42
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043・松浦周太郎
○松浦国務大臣 私は公労法の精神をじゅうりんしておらないと思います。公労法の精神によって今の資金上予算上の問題もあるし、また国会に提示しなければならぬという問題もありますから、これらの条項があるのに、それを政府だけの考えで云々することはかえって国会を無視し、あるいは政府の権限をみずから放棄しているということになるのであって、これはやはりそれらのものは総合的に考えて尊重していかなければならぬ、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/43
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044・赤松勇
○赤松委員 これは大変間違いです。この問題は国会とは何も関係がないのです。どこに関係があるのですか。国会で関係があるとすれば、補正予算を組んだ場合、あるいは十六条の資金上予算上実施不可能な場合、こういう場合にだけ国会に関係してくる。それ以外には関係はありませんよ。そこで法の建前としては、まず国鉄なら国鉄の裁定が出れば、国鉄はそれを実施するために懸命の努力を払う。企業内でもってその予算の操作ができない場合は、これを一般会計から回すかどうかというようなことを政府に相談して、政府はそれをきめて、それから今度は予算措置を講ずるのですから、この仲裁にかかっておる——今までこれを尊重してこなかった。もし裁定が出ても、これは十六条を発動して、予算上資金上実施不可能なんていって、また国会にかける、そういうおそれもあるので、尊重するというだけじゃがまんできぬ。この際明確に実施する、裁定を尊重するんだということを政府が言ってくれ、言ってくれればわれわれは闘争をやめると言っておる。何も無理はないじゃありませんか。どうして政府はそれを言い切れないのですか。それを言ってもらえばすっとやめると言っておるのですよ。何でもないことです。当然裁定を実施するのが義務じゃありませんか。当然のことなんです。何も無理な要求をしておるのじゃありません。労働組合こそ法の精神を守って、公労法によって保護されておるところの自分たちの権利を正しく行使しておるのです。政府の方は尊重するなんてあいまいな言葉を使って、そうして結果においては尊重されないかもしれぬ。そうなれば労働者はどうなりますか。調停委員会にもたよれない。仲裁委員会にもたよれない。それから政府にも国会にもたよれないなんていうことになったら、ストライキをやる以外にないじゃありませんか。ですから私は街頭じゃないから、そういうことはあまり言いたくないけれども、責任の一切は政府にあるのです。そういうことを言うと、あなたは飛躍しておるように誤解するかもしれぬが、決して飛躍でも何でもありません。出る裁定については実施する義務が政府にあります。だからこれを実施いたします、当然のことじゃありませんか。それを言ってくれればさっとやめるというのです。それを閣議で決定して政府声明で言ってくれれば闘争をやめると言っておる。どうしてそれができないのですか。全くその責任の一切はあげて政府にある。公労法の精神というものは三十五条にあるのですよ。十六条じゃありませんよ。そうでしょう。従って三十五条でどうしてもいかぬ場合は、これは政府は補正予算を組んで、これを実施する——先ほどあなたは補正予算を組むということを言われた。そこで百尺竿頭一歩——一歩じゃない、半歩だ。ほんとうに一寸か二寸をぐっと進めて、この際その裁定がいかなる裁定であろうとも、政府はこれを完全実施する用意あり、この声明をきょう閣議で決定してぽんと出す。そうしたらあしたから汽車は一斉に動いてしまう。どうですか、ここがあなたの腕の見せどころですよ。一等であるか、三等であるか、あるいは五等であるかということは、ここであなたの評価がきまるんだから、池田君あたりに負けておらず、しっかりやってもらいたいと思うのですが、あなたの御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/44
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045・松浦周太郎
○松浦国務大臣 いろいろ御所見を承わったのでありますが、これはやはり閣僚懇談会に諮って、御意思のあるところは熱意を持ってお伝えいたしたいと思います。しかし私個人としては、全面にこれを実施するという言葉をこの場合使うことはできません。
それからもう一つは、三十五条と十六条のかね合いでありますけれども、説明の必要はありませんけれども、やはり国会に問うようになると思うのですよ。なぜならば三公社五現業とも現員現給で昇給額が少し認めてあるだけで、予算はないのですよ。全部移流用はできないと思うのです。だから今度の場合はいつもの場合と違って、年初において行わなければならぬ問題です。これが九月とか十月ならば、成績を上げて剰余金を作っておりますからできますけれども、これはどうしてもそうなると思うのです。けれどもそのことは仲裁裁定が下ってみて、移流用をできるだけやってみてから後の問題でありますから、私はそれを先ほど読み上げたのでありますが、そういう良心的な考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/45
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046・赤松勇
○赤松委員 手続について、今大臣の言われたことでいいのですか。十六条と補正予算の関係を中西さん一つ説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/46
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047・中西實
○中西政府委員 まだ実は具体的な段階になっておりませんので、詳細なことはわかりません。しかし抽象的に申しますと、昨年の公労法の改正に伴って、各公社法を改正いたしました。それによって、給与総額のワクはありますが、仲裁裁定が出た場合、その実施上必要があれば流用できるということで、非常に楽になったわけでございます。従ってその方法でもしまかなえれば、別に国会までの問題は起らない。今までは給与総額をこえれば必ず国会へ来たわけですけれども、その必要はなくなった。しかし大臣もおっしゃっておりますが、全部それでまかなえないという場合、あるいは法律的にはまかなえても、やはり政治的その他の理由で不適当だという場合には、予算の補正ということになるわけであります。しかし給与総額のワク内で払われておれば、現実の補正その他はおくれましても実行はできるわけでございます。
〔藤本委員長退席、亀山委員長代理着席〕
従って補正の時期は、特に仲裁をどうするかというときに、同時にする必要もなかろうかというふうには考えております。しかしこれは具体的に出ましたときに、さらに大蔵省とよく相談しなければならないことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/47
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048・赤松勇
○赤松委員 その通りだと思うのです。やはり補正予算が成立するまでは、移流用でやっていくということになっていくのじゃないかと思うのだが、たとえば裁定が——たとえばという仮定論には答えられぬなんて、そんなやぼなことは言わないで下さい。たとえば調停案と同じように、仲裁裁定が千二百円、四月一日より実施とこういうのが出た場合、現在の各企業の財政その他とにらみ合して政府はどういう手続をとるのか、またとらざるを得ないか、その見通しについて答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/48
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049・中西實
○中西政府委員 全く仮定の問題ですが、その場合には私どもは、もちろん予算的に年間通じての予算はない。これは当然でございます。しかしながら当初はとにかく給与総額として相当な金額があるわけです。それを使っておって、何カ月使えばそれが足りなくなるかはわかりませんが、使える限りは、まあ給与総額の範囲内なら支出ができるわけです。従って先ほど言いましたように、もし補正が行われるとしましても、直ちにやらなくとも実際上はやり繰りができやせぬか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/49
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050・赤松勇
○赤松委員 予算と十六条の関係はどうなっているのですか。十六条は必要ないのでしょう。足りない部分は補正予算だけ組めばいいのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/50
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051・中西實
○中西政府委員 ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/51
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052・赤松勇
○赤松委員 つまりあなたのおっしゃるように、給与総額はきまっておる。その予算だけあるわけだ。従って一カ月分か二カ月分かわからぬけれども、それを先に食っていってもいいわけだ。補正予算が成立するまでは……。しかしそんなことは別として裁定が出ますね。裁定が出て考えられることは、裁定がそう極端に調停内容より下回るということは常識上考えられぬ。あるいは上回って出るかもわかりません。しかし一応の基準というものが調停案でできているのだ。千二百円という基準は……。その千二百円のアップで積算して、それでその場合補正予算だけ組めばいいのかどうか。十六条に基いて国会の議決を求めるという手続と同時に、補正予算を組むという手続をとらなければならぬのかどうか。それとも補正予算だけでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/52
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053・石黒拓爾
○石黒説明員 予算の問題その他については、いろいろな政治的配慮、政治的措置もございますから、現実にどうなるかは私どもわかりませんけれども、純粋の法律解釈として申しますならば、一年分十二カ月と勤勉手当等でございますが、十二カ月の予算を十カ月で食えばまかなえるから十月までは可能であるという、こういう解釈はつきません。十月になって、十一月以降は月給は一文も払わないような状態になる支払いを四月からしなければならぬということになれば、これは一応予算上不可能の場合に当るわけです。純法律的にはそういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/53
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054・赤松勇
○赤松委員 そうすると、十六条にのっとって国会の議決を求める法律上の手続をとるということと、もう一つは、その足らぬ部分だけ補正予算を組んで出す、こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/54
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055・石黒拓爾
○石黒説明員 十六条の手続は必要でございます。それから補正につきましての時期については、いろいろな道があろうということは、先ほど大臣も労政局長からも申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/55
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056・赤松勇
○赤松委員 わかりました。これで私はやめますが、ただ速記録の中で誤解される面があると思いますから、誤解のないように明らかにしておきます。それは、私は一つの例として、労働の質と量に応じて賃金はきめられなければならぬということを言った。そしてその場合国鉄と専売の例を引きましたけれども、これは例としては適切じゃありません。何か国鉄の方が賃金が高くていいのだ、それから専売の方は安くていいのだ、そういうふうにとられるおそれがありますが、そんな意味じゃ全然ないのですから、一つ速記録の上で私の前言については、訂正じゃなくて、その点を明らかにしておきたいと思うわけであります。
なお、先ほど要求しました人事院の資料を、一つ至急に出していただきたい。まだうんと質問したいことがありますが、僕ばかり独占してはいけませんから、この程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/56
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057・松浦周太郎
○松浦国務大臣 今前のお言葉をお直しになったのですが、私も一つ直さしていただきたい点があります。それは、今内閣委員会に提示いたしております給与制度の改訂のことを考えますと、先ほど私が言ったことは矛盾があります。それは、技術関係、お医者さんやあるいは研究員というものと事務員との給料は、同じにしております。それを私は現業員及び技術者というものは少し上回った方がいいだろうと言ったことは、あれと矛盾いたしますから、そこのところを訂正いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/57
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058・亀山孝一
○亀山委員長代理 井堀君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/58
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059・井堀繁雄
○井堀委員 きょうの新聞記事で、政府の立場を石田官房長官から次のように述べております。「政府としては調停は拒否することにしたが、仲裁裁定は誠意をもって尊重するつもりだ。調停を拒否するのは、調停案を提示するにいたった積算基準を納得しないからだ。調停案は三公社、四現業の企業の実体を全く無視したものだ。企業の経理内容について監督官庁や財政当局の意見を一向に聞いていないばかりか、企業の構成人員や、基礎になっている現行賃金ベースに対しても考慮が払われていない。男女別の構成や、財政状態にお構いなく一律に千二百円の賃金増額をやれというのもおかしい話ではないか。それに賃金の開きの問題もある。こんどの賃上げをやれば、公務員と三公社、五現業職員の賃金の格差は大きくなる一方だ。」こういうふうに述べられております。労働大臣は共同の立場をとられる閣僚でありますから、この記事については、この内容をそのまま御承認になりましょうか、違う点があればその点を述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/59
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060・松浦周太郎
○松浦国務大臣 けさ閣議で話し合いましたのは、私が手元に持っているのですが、新聞記事は少し違うのではないでしょうか。これがほんとうでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/60
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061・井堀繁雄
○井堀委員 この新聞記事の内容については責任をお持ちにならない——三月十五日付の官房長官談話の刷りものを今拝見いたしました。この点は赤松君も言及されておったようでございますが、私はこれについていろんな疑問を持っておるわけであります。というのは、ひとり今回に限ったわけではないと思うのでありますが、官公庁、三公社、五現業のごときは、言うまでもなく、企業といたしましても非常に大規模なものでありますし、それが国民生活に直接及ぼす影響もきわめて甚大であるわけであります。そこに公企労法の存在の高く評価されるゆえんがあろうと思うわけであります。私は、こういう事態が今日のような状態で繰り返されることは、日本の国民のすべてとして一日も早く善処すべきであると思うのであります。それには私どもも一半の責任を負うべきであると思うのでありますが、そういう意味で今の政府声明についてお尋ねいたしたかったのであります。私どもは何回かこの議論を繰り返してきておるのでありますけれども、一向前進の姿が認められない。今度の内閣はいろんな意味において大きな公約をいたしております。その公約を、抽象的ではありますが具体化してくればこういう問題の中に出てくるであろうと思うのであります。たとえば政治の正常化、民主化という点からいっても問題になると思うのでありますが、仲裁裁定を待つ前に、調停を両者が受諾できるような状態が望ましい。さらに、公企労法の一条に規定してありまするように、団体交渉のよい慣行の上に問題が処理できるということが最も望ましい姿だと思う。こういうことが行われなければ、労使関係の正常化を主張しても、あるいは日本の民主化を推進するといっても、単なる作文に終ると思うのです。ことに三公社五現業は政府直轄の事業であるためになおさらであります。同じ時期に起りましたストライキで、炭鉱の場合は団体交渉の段階で問題が処理できた。まことに慶賀にたえぬところであります。政府は、調停が出てもそれをのめるとかのめないとか言っている段階である。この点を政府は反省すべきではないか。政府に限らず当事者でありましょうけれども……。こういう点で、なぜ調停がのめなかったかということが了解できない。はっきり官房長官の談話の中で言っておりますように、百十億の巨費が必要だ——これは十六条の規定とからましておるのではないかと思うのであります。大体公務員並びに三公社五現業職員の給与問題については、政府自身としてあらかじめ準備があるべきものだ、ここに根本問題があると思うのであります。一体労働大臣は、今日の三公社五現業の給与をもって労働者が満足するとお考えでありましょうか、非常な不満を持っておるとお考えでありましょうか。非常な不満を持っておると言うならば、雇い主の立場をとる政府当局としては、労働組合の要求前にしかるべき処置を講じて臨むべきではないか、これは労働行政の上から当然だと思いますので、労働大臣の所見を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/61
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062・松浦周太郎
○松浦国務大臣 お説ごもっともなところもありますが、政府といたしましては大蔵省の統計——先ほども赤松君といろいろ話しております間に申し上げたのですが、大体国鉄と官公労との間には千八百九十円の差がある。そこで、約半分に該当する九百円ぐらい国家公務員の方を増したのだ、それが六・二になるのだ、こういう説明を今まで大蔵大臣から受けて参りました。だから、官公労は上げたけれども、三公社五現業は、予算編成に当りまして、自然昇給額は上げましたが、大体現員現給の行き方において予算を組んだのであります。適当な賃金であるかどうかという今御指摘になりましたことについては、エンゲル係数もあるしいろいろ研究してみなければわかりませんけれども、国家公務員との差は今申し上げたふうだと大蔵大臣の説明で聞いておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/62
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063・井堀繁雄
○井堀委員 国家公務員との均衡の問題は、あなたは給与担当の大臣も兼務されており、人ごとでない、あなた自身がお考えにならなければならぬことだと思います。今日の公務員の給与は一体満足すべきものでありましょうか、あるいは改善を要すべきものとするならばやはりどういう目標でいかなければならぬというふうにお考えでありましょうか、給与担当大臣としての所見を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/63
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064・松浦周太郎
○松浦国務大臣 先ほど申しましたように、三公社五現業よりも多少安い、あるいは民間給与よりも少し安いというので——一一%民間給与の方が高い。しかしながら、官吏の中には民間よりも上回る高給者もあることで、大体六・二くらいを上げたならばよかろうということが人事院勧告にあったものでございますから、給与担当の責任者といたしましては、大体その方向に向ってこれが適当だと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/64
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065・井堀繁雄
○井堀委員 今日の場合人事院の勧告を尊重されることは申すまでもないと思うのであります。ところが給与制度の改訂問題が政府から提案されてきておるわけであります。そういう給与体系の問題も重要でありましょうが、もっと日本の給与の本質的な問題について研究する時期ではないか。人事院勧告を待つという消極的な態度より——もうすでに今度のような大きな労使関係の紛糾を巻き起しておるときでもあり、それが給与問題をめぐっているということは明らかである。ですから、人事院の勧告だけで公務員の給与問題を処理しようとする消極的態度に私はいかがかと思う。もう一つは、すぐそれが転じて公企労関係の給与の均衡という意味でまた問題があります。人事院勧告の前提条件なるものは民間給与との均衡、こういうことである。こういうふうにあちらこちらに責任を転嫁するという事実の上に立って労使関係を合理的なものに推し進めていくことは木によつて魚を求めるような困難なことではないかと思う。ことに日本の給与問題というものは、サラリーマンや労働者にとって死活の問題でありますだけに、労働問題としては非常に深刻な対象になると思う。そういう事態をそのままにしておいて、それが原因で派生してくる問題だけ円満に解決しようとするのはほんとうの労働問題に対処する態度ではないと考える。労働大臣としてのこの点に対する考えを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/65
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066・松浦周太郎
○松浦国務大臣 井堀さんのいろいろな御注意の点はよくわかりますが、日本の政府の現段階としては、今申し上げましたような方向と公務員制度審議会その他によっていくよりほかに道はないのであります。もう一つほかに考えろということであるならば、いろいろな考え方があるのです。その方向に向ってこれからやらなければならぬと思っておりますが、先年ソビエトに参りましたときに、ソビエトは役人も工員も農民も商人もいずれも能率給、いわゆるノルマと報奨制によってやっております。それで基本給というものは非常に安い。そのかわりに自分の働きによって多くの報酬を得られるという考え方です。けれども戦争後今まで日本は十二年ばかり過ぎましたが、そういうことを考えずに、とにかく日本民族が生活できるようなふうに考えなければならぬというところに基礎を置いて考えられて参りましたものを、今回の改正において多少能率給ということを加味した生活給にいたしたのでございます。私は自分の企業を経営しておりまして、生活給本位から能率給の方向に向って改善されていくのが今後日本の給与体系でなければならぬ、かように私は考えております。しかし今の制度は人事院の勧告によってやる以外に道はない状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/66
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067・井堀繁雄
○井堀委員 これは人事院の総裁に対する質疑として残されることになると思いますが、今申し上げたように、事実はきわめて明白なんです。あなたもお認めになっているように、日本の給与なり賃金は、決してノーマルなものではない。生活給、家族給が幅をきかせるような現段階は、決して労働の対価としての賃金などとは申せない。こういう状態に現実は左右されておるわけです。当然ここに賃金問題をめぐっていろいろなトラブルが起ってくることは否定できない。今回の三公社四現業の政府に対する激しい要求はその一つの現われにしかすぎぬのだ。起るべきものが起ってきたにすぎないのだ。その原因を断たないでこういう声明をお出しになったところに問題があると思う。ここには一つもそういう政府のとるべき措置が明らかにされていない。責任を他に転嫁するような主張であっては決して国民は納得しないのみならず、正常な労使関係がここから生まれてくるはずがないと思う。私はこの一一についてお尋ねしようとは思いません。特に一番私が残念に思いますことは、違法行為があったら、違法行為に対しては厳重に処分をする方針であるなどと書き足さなければならぬということは、実にいまわしいことだと思う。それは一つは労働者を全く信用できない、他面には政府の無能を権力に肩がわりしようとするおそれるべき労働行政の失態がここに暴露していると思う。違法呼ばわりしますけれども、政府は一番先に労調法の精神に基いて考え、枝葉末節の違法行為よりは本質的なものを論議されなければならぬと思う。労調法の精神は、団体交渉によって労使関係の処理をすることを第一に命じておる。それをやらぬじゃないか。政府の責任において、労働組合の責任において解決しなければならぬ。それが行われていない。これは先ほど前提いたしましたアブノーマルな賃金給与の実態からくるわけです。日本の客観的な条件からきておるわけです。私はこういう矛盾した声明はないと思う。民主的な労働組合運動の行き方を一方では要求し、こういう声明を出すことは、そういう運動を阻害するだけではなく、そういう成長を芽ばえのうちにじゅうりんしてしまう結果になる。労働運動は大ぜいでやるのでありますから、すべての人が民主的であるとは言いません。しかし大半の労働者自身をこういうものにきめつけてしまう結果になることを、あなたはどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/67
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068・松浦周太郎
○松浦国務大臣 さっきから一時間半も皆さんの深刻なお話をいろいろ聞かされたのですが、一言だけ言わせてもらいたいと思うのです。それは政府の責任政府の責任と仰せになりますけれども、今度の総評のゼネスト的なスケジュール闘争というものは、去年の六月から仕組まれておるのです。それで労働組合と企業体との間に賃金について話し合いがつけばよろしいけれども、総評という労働団体が旗を振って全労働者をそれに動員していくというこの考え方、しかもその総評が階級闘争を念としてやっておるといういき方は、私は納得できない。何でも政府の責任だ政府の責任だというけれども、この政府が今の闘争を起したものではないのですよ。しかし、半面言えば、政府のやり方が悪いからそうやったのだろう、こういうことになるのでございますが、私がここにおいて言いたいことは、私はあなたと同じような考えを持っておるのですが、階級闘争的ないき方では日本の産業経済というものは成り立たないと思うのです。共産党のイデオロギーの中の闘争の中に真理があるというパンフレットをずいぶん読みました。読んでも私は闘争の中に真理があるという問題は納得できないのです。私はやはり相互の信頼の中に生産が上り、真理があると思っておるのです。それは現にエァハルトのやっておるドイツの産業、アデナウアーのやっておるドイツの行政というものを見ても、これは相互信頼の上に立っておる。そこでそういう面からどうしても給与体系を改めて、日本のこういう争いをなくそうとするならば——これは私個人の考えです。けれども大臣としてそんなことを言ったらおかしいということになるので、個人の考えだが、やはり相互信頼の上に立って、産業平和あるいは生産の報奨、利潤の分配というところまでいけば企業の公開になる。そこまでいくのでなければ経営者の方はいかない。同時に勤労者の方は、国家民族の発展のためには額に汗して働くことが民族発展のとうとい行事であるという気持になってもらう。そうして両者が一体になるというところまで両方が歩み寄ってくるのであれば、私はこういう闘争はなくなるし、今御指摘になりましたような勤労者の生活も国の貿易も国の経済も豊かになると思うのです。そこで、それは民間の上に行われませんから、まず三公社五現業の上に生産の報奨制あるいは利潤の分配制まで、これは企業を公開しておるのですから、公開すべき性質のものなんだから、三公社五現業の従業員は基準給をある程度にきめて、それ以上のものは能率給に直すべきだ。それが生産を上げ、それが生活を安定するゆえんであると思うのです。そういう方向に向うべきであると思っておりますが、これは閣議で決定したわけでも何でもありません。いろいろお話があるものですから、現在の制度以上にどう考えるかとおっしゃるから、私はそれを申し上げるのでありますが、官吏の給与に対しては、これは三公社五現業とやはり違うと思うのです。三公社五現業は一つの営業をやっておる。片方は全く国家の公僕として行政にタッチしておりますから、同列には考えられない。けれどもソビエトはやはりノルマを官吏の性格の上にもあげております。しかしこれはなかなかむずかしい問題であると思う。けれどもそこまではいかないが、少くとも三公社、五現業は一つの報奨的なあるいは利潤の分配的なことはできると思いますから、その方からまず改善していったらどうか、日本の現在の給与を直すならそれが一番いい方法である、こういうふうに思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/68
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069・井堀繁雄
○井堀委員 あなたは理想が一番達しやすいポストにおつきになっていると思う。私もできることなら労働大臣になってみたいと思う。そうして自分の政見等の政策というものを実行に移したいと思っております。あなたはその実行の一番よき立場に置かれているわけであります。今単なる理想をあなたから聞こうとは思いません。そういうことを言っておるのではありません。今当面しておる問題についてお尋ねをいたしたわけでございます。あなたも御指摘になりましたように、民間に率先してノーマルな給与なり賃金なりの姿を実行に移すべきときであると思う。こういう意味であなたの今のお説はまことにわれわれ傾聴すべきことだと思うのでありますが、私ども野にある者なら政府を通じて実行を迫るという間接的な要求になるわけです。あなたの場合はすぐ行動になり得ると思いますので、そういう立場で一つ次のことについてお答えをいただきたい。
これは何回も繰り返すことになるわけでありますが、端的に一つお答えをいただこうと思うのは、今の御説明で明らかになりました公務員、これは地方公務員も含めてでありますが、それと今の八つの現業庁の給与の問題を均衡せしめるという考え方は破らなければいけない。というのは、それは必ず均衡されてくるということは当然だと思います。それは政府の施策のもとに雇用されているのでありますから、そういう点で均衡しようとする傾向はあると思いますが、あなたもお認めになっておりますように、今一番切実な問題は何かと言えば、それは現業庁の問題を即刻解決していくべきだと思う。経理内容については多少私も勉強しているつもりであります。また委員会にも何回か現業庁の責任者をお招きして意見を徴したこともあるし、資料を求めたこともあるわけであります。大体現業庁の人々の意見というものは、団体交渉の段階において相当労働組合に対して言質をとられるような誠意を示しておる、こういう点にも私は問題があると思うのでありますが、あなたとしては現業庁が自主的にそれぞれの所管責任者が労働組合と団体交渉においてしかるべき結論を出したら、それをあなたは労働大臣の立場から閣議において弁護し、あるいはその成功を期待するような措置をおとりになるべきだと思う。そういう措置をおとりになる決意があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/69
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070・松浦周太郎
○松浦国務大臣 均衡の問題の度合いによると思うのです。それは先ほど申しましたように、現在千八百九十円ばかり違っておって、今度千二百円増しますと、それにはね返りが四百円ぐらいついてきて千六百円ぐらいになるのです。そうすると千八百円と千六百円で三千四百円ですから、三千四百円から九百円引いた二千五百円の差になることになるのです。今までの差が大きくなるのです。だからその限度はそのくらいの差を国家公務員と現業庁の間につけることが適当であるかどうかという差の度合いですね。これは私は問題だと思うのです。そうすると、一方で国家公務員は黙っていないのです。また直してくれということになって、どこまでもイタチごっこになっていきますから、その度合いは一つ限度をきめるべきである、特に電電公社は今二千三百円違っているのです。二千三百円違っているものが今のようなことにいきますと、もっとずっと違ってしまうのです。ということで、つまり電電公社は俗に民間の言葉で言うならば、もうかるものだから自然に給与をよけいやる、また電気の事業には高級技術者が多いというようなことから、そういうふうに建ってきておるだろうと思うのですが、あまりに違い過ぎているものですから、現業官庁というものは営業をやっておる、苦労をしておるものに対する報酬としての違う度合いというものを、やはり定める必要があると思う。それは私はこれから研究したいと思っております。けれども現在のものをそのまま認めることが適当であるかどうかということにつきましては、相当議論があるようでありますけれども、善処はいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/70
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071・井堀繁雄
○井堀委員 私のお尋ねしたいのは、あなたのさっき御主張なさいましたように、企業を目途とする現業庁の場合の給与は公務員並みだと思う。それは全体がノーマルなものになったときにはあなたの今のような説は成り立つと思う。ですからどこかにやはり先鞭をつけなければならないと思っております。全体の国民生活を一挙に上げるほどの日本の状態かどうかという点については意見の分れるところでありましょうけれども、そのことをここで論議したらきりがありませんが、それぞれの現業庁において利潤を上げることができる、その賃金を上げることによってさらに能率を向上し、あるいは創意工夫を刺激して、よりよい生産の状態が発生するということになれば、私はこれは公務員のことにこだわらないで、どんどん上げていくということでなければ、さっきのあなたの説は成り立たぬと思うのでありますが、この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/71
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072・松浦周太郎
○松浦国務大臣 今の問題の千二百円をどうするかということは、直ちに影響していく問題でありますが、今の石炭及び私鉄の方の状況を見ましても、あれだけ上っておるし、公務員の方は現在九百円上ったということになっておりますが、それぞれの判定が下されるのではないかと思っております。その判定の下った時分には、誠意をもってこれを尊重するというのが今の政府の態度でございますから、それは金額を明示しなければだめじゃないかと御指摘になってもまだ判定の下らない前のことでございますから、この程度で一つごかんべんを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/72
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073・井堀繁雄
○井堀委員 何もあなたを苦しい立場に追いやるために質問しているのではありません。ただあなたの理想を少しでも政策の面で実行してもらいたいと思うから申し上げておるのであります。これは根本的な問題だと思うのです。できた事柄についてとやかく言わないで、原因をついていくということでなければ、私は労使対策にならぬと思う。それをあなたにお尋ねしたのですけれども、そこまでいきますと、のらりくらり逃げられてしまいますから、これは中心がぼけてしまいます。ですから公務員との均衡を全然無視するようなことは、これは起り得ることではないと思う。しかし多少の跛行的なものがあってもよいじゃないか。それは千二百円か、二千円か、五千円かという議論はあるかもしれません。そういうことは私は調停委員会のやる事柄になると思う。そこでお尋ねいたしたいと思いますが、調停委員会の提示されました案というものを政府はここでは否定的な態度を声明されておる。労働大臣としては、そういう政府の態度では、今のおっしゃられることとは全く逆だと思う。言うことはりっぱであっても、することはまるで逆だということになるわけです。さっきも申し上げておるように、一番よいことは団体交渉でしょう。団体交渉で結論が出たら、少々公務員との均衡が破れても、その当事者がこれで十分利益が上るし、さらに一段と高い生産が望めるという結論が団体交渉で出たら、これる認めるのが私は公労法の精神じゃないかと思う。あなたの公労法の精神に対するお考えはごうも狂いがないと思う。そうすれば団体交渉でしょう。その次は調停でしょう。仲裁裁定なんというのはまことにだらしのないものです。こういう声明をすることとこれとはまるで違うのじゃないか。労働大臣としてはかなえの軽重を問われる問題ではないか。こういう声明に対して労働大臣が同調するようなことでは、この内閣の労働政策を疑われる。この機会にこの問題に対する所信をはっきりお述べになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/73
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074・松浦周太郎
○松浦国務大臣 まず声明の問題でありますが、私はその声明にやはり賛成いたしております。というのは先ほど申しましたように、やはり法を犯した者は厳罰に処すべきであると思います。これは民間の関係においては、おっしゃるように団体交渉が許されております。ところが公労法によるものは、それぞれの機関によってやるようになっておりますから、その機関を通じていくべきであると思っております。そこで調停の間にのんだらいいじゃないかというのですが、調停の間に企業体と勤労団体の間で話し合いがつけば、われわれは何も言わないのです。話し合いがつかないで、企業体が仲裁に持ち込んでおるのですから、それが出ました以上は、政府はこれを尊重するということになる。現在の制度の上に立って考えておるのであります。現在の制度を無視して、労働大臣の考えだけで、自分の思うようにやれとおっしゃっても、それはちょっとやれないのです。企業体と勤労者の話し合いがつけばもちろん認めるのです。企業者が調停というものに対して賛成でなかったものですから、仲裁に持ち込んだというのが今日の姿であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/74
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075・井堀繁雄
○井堀委員 最後の問題は形式の問題ですが、あなたが形式にこだわってどうこうするような立場でないと思ってお尋ねしたのですけれども、現業庁の間で仲裁を希望しておるのかあるいは団体交渉の間で解決したいのか、あるいは調停の段階でのんだ方がいいとお考えになるのか。これは立場上自由な発言ができがたい立場にあることを私どもは同情的に見ておる。しかしそういうかけ引きをここでやるようなことではいけないのです。政府の態度は仲裁裁定に持ち込むということが官房長官の談話の中に出ておる。こういうものは今回初めて出たものではなくて、何回も年中行事で繰り返しておるのですから、ここら辺で政府の態度を踏み切らなければならない。そこであなたの言葉をかりていうと、指導者が極端な思想を背景にしておる、またそういう運動だというふうに前提されておるようです。それはそれぞれ見方があると思う。しかし私はそうじゃないと思う。労働運動の中から過激な思想を駆逐するということは、外部からの力ではなし得ることではなくて、そこに労働組合の民主的な成長が期待される。これは労働組合の組織内の問題として処理していくべきである。たまたまそういう人がおったからということで、三公社五現業の労働者の大部分がそうだという断定の上に立って、こういう声明をなさったり、あるいは方針を立てるということは非常な誤まりである。この反省が行われない限り、私どもがすなおに政府に質問をしても、また警告しても、正しく映らないと思う。これは大事なところであります。この前五島委員かの質問に対して、あなたは赤だという言葉を使いました。共産主義という意味だろうと思います。それは日本に限ったものではないのです。世界的な傾向なのです。まさか今日の総評が共産党の代がわりをする労働組合とは考えていないだろうが、その影響を受けておるということは否定できぬかもしれない。その点は日本だけではない。各国の労働運動の歴史の中に繰り返されておることである。もしそういう見方でこういう労働政策を立てておるなら、そこから出てくる答えはろくなものでないことは言うまでもない。どうもこの声明なり今までのあなたの御答弁を伺っておりますと、あなた個人として説かれるところは首肯するに値するのでありますが、こういう公共企業体をあずかる立場の者としては、この際ふん切る時期ではないか。神武以来の景気がたびたび飛び出すのでありますけれども、割合経済界なり産業界なりが安定期に入ったと思われるときにこういうことは切りかえなければチャンスを失すると思う。ことに日本の国際的な地位は非常に微妙な関係に置かれているときであります。そういう意味で三公社五現業の問題処理は、この際抜本的な手段に訴えるべきではないか。ここで見送りますと、また来年の予算期になってこの問題が起らざるを得ない。十六条に籍口しようとしているということではいけません。責任を他に転嫁し国会に持ち込めば、労働者は国会に働きかけてくる以外に方法がないということになる。だからこの際が抜本的な三公社五現業問題の行き方を示すべき時期だと思う。今社会党に協力を求められたことはいいことだと思います。また社会党も積極的に協力することと思います。調停の精神を尊重するということでなければならぬ。仲裁裁定が出たらそれを尊重するという言い方は、労調法の一貫した精神に対して理解のない者が故意に責任を回避しようという態度であって、こういう問題の解決を正しい方向に導く態度ではないと考えるのでありますが、労働大臣のこの点に対する御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/75
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076・松浦周太郎
○松浦国務大臣 公労法の精神によってやらなければならぬのでありまして、調停が出たならば、企業者側と勤労者側とが話し合いをすべきであって、それができなかったならば仲裁裁定を申請するということになっておるのです。仲裁が出れば、企業者も勤労者もこれに従わなければならない。しかし政府はその外にあるものですから、これは政府として予算上資金上の問題において考慮することもあるし、移用流用で足りなかったならば国会に申請をする、国会がこれに対する補正をするかどうかというのは国会の権限にあるものである、こういうふうに先ほどから説明しておりますが、今の公労法に許された範囲内のものであります。それ以上国家の役人としては今の制度を無視してやるということは適当でないと思うのです。しかし先ほどからいろいろ話し合ったのですが、三公社五現業のような性格のものこそ、やはり私は先ほど言ったような利潤分配のところまで行って給与体系をならす方が、そういう一つのサンプルを日本の産業の上に、日本の経済の上に作ることは非常にいいことだと思うのです。それで個人の企業をそこまで持っていくということはなかなかできませんから、せめて国家企業でガラス張りの経営をしなければならぬというようなものをまずそこに持っていって、そして一つの模範にして、今までよりも一割も一割五分も能率が上り、給与体系も非常によくなったというような一つの範例を作ることは日本のために非常にいいことだと思うのです。それでまた今度三公社五現業の機構とか経営の内容についてもずいぶん閣議でも懇談会でも問題になっております。同時に調査会を設けてやらなければならぬということを言っておりますから、そういう新しい給与体系をまず三公社五現業の上に考えることとあわせて努力していきたいとその点は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/76
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077・井堀繁雄
○井堀委員 ぜひ努力をお願いしたいと思います。
そこでもう一問ちょっと伺っておきたいと思います。この問題は、さっきから論議したところで明らかなように、給与の問題が中心ですから、具体的に給与をどの水準に持ってくるかという目安を政府がお示しにならないと、現業庁をあずかる人としては、ただもうかったからといって、もうかっただけその利潤の配分を民間企業のように——民間企業ではそれぞれの組織がありましょうが、しかし国の場合においては国の意思というものが反映していくというものでないといけない。そういう意味でもし今あなたがおっしゃったことを具体化するとすれば、一応給与問題についてどこかめどを持たなければならぬ。そのめどは、あらゆる統計の資料の中で取扱いの対象にされます基準年度、昭和九年から十一年の日本のやや安定した時期の年度の給与なり賃金なり、国民の勤労所得なりというものと、統計学上勤労所得を換算する物価の比率などもありますので、そういうものを一つの基準とされて、そして大体ここら辺が妥当だという数字を、私は労働省としてはお示しになる時期に到達しておるのではないか。統計をお作りになることもそういう意味だと思うのであります。その統計の完全なものができるまでなんと言っても、いつになるかわかりませんが、今言った程度のことはお示しになることができると思う。この点に対してはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/77
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078・松浦周太郎
○松浦国務大臣 局長から答弁させますが、今仰せになりましたのは、労働省として一つの官公吏の基準になるべき給与というものの模範的なものを作れ、こういう意味でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/78
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079・井堀繁雄
○井堀委員 それほど理想的なものを言っておるのではないのです。だから前言いたしましたように、一応日本の経済界が安定していた昭和九年から十一年という基準年度があるわけです。その基準年度の給与なり賃金というものは把握されておるわけですから、動かぬ事実なんです。それを要するに足場にして国民所得を換算いたしますための統計上の比率があるわけです。そういうものに比例させてくれば、大体どのくらいが望ましい。それは公務員の場合も出るでしょうし、それから企業の場合にも出てくると思うのです。かつて賃金の実態の調査をされて、標準賃金を出すということで小坂労働大臣の時分にえらい意気込んでおられましたけれども、結果はそういうことにもならなかった。しかしあの資料は非常に有効に使われており、いいことだったと思うのであります。しかしやり方それ自身にはいろいろ議論がありましたけれども、もう一歩進めて、そして大体この辺が賃金のめどではないかということは、それは説明がついて出てくると思う。そういうものをお示しにならなければならぬと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/79
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080・中西實
○中西政府委員 実は給与問題につきましては、今まで政府といたしましては、体系その他具体的な問題につきまして指導しておったこともございますけれども、しかし根本的にこうあるべきだというふうに積極的に指導するという段階に至っていなかったわけでございます。しかしながらすでに相当経済界も落ちつきましたので、労働省といたしましても、賃金のあるべき姿というものについてやはり検討する必要がある、そしてまたこれを世間に発表して、それを資料にしてもらうという必要があろうと思います。今は組合側の方はどんどんそういったことについていろいろな意見を述べておる。また一方経営陣としましては、日経連あたりがいろんな資料を出しておる。しかしながらそれぞれ立場があっての主張でございますので、その主張の中にあってどれがほんとうに公正な意見かということ、これについては、結局政府がやらざるを得ない。こういうような観点から、実は昨年来御承知のように労働省の中にも給与調査室というものを設けまして、検討を始めております。今まだ検討の途中でございまして、労働省、政府といたしまして、こうあるべきだというようなところまで至っておりませんけれども、一応おっしゃいましたごとく戦前の賃金と物価との関連から見た比較というのも一つの目安でございます。数年前までは戦前の実質賃金水準を獲得するということをやはり組合あたりも一つの目標にしておったようでございます。さらにまたいわゆる国民全所得の中で勤労者所得のパーセンテージ、これあたりも一つの基準になろうかと思います。いろいろな点から検討いたしまして、今の日本の経済の実勢からすれば、この程度が賃金水準としてもいいのじゃないか、そういった大ざっぱな観点から、さらに各産業ごとあるいは職業ごとにどうあるべきかというようなこともだんだんと研究しなければならぬと思っておりますが、今は政府としまして、これが大体望ましいというような程度の意見もまだ申し上げる段階に至ってないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/80
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081・井堀繁雄
○井堀委員 これはやろうと思えば私は割合に容易にできることだと思うが、まだやってない。そこで今の問題に戻ってくるわけです。そういうものを持たないで調停案が適当であるとかないとかいうことは不見識な話です。これは私が意地悪くあなたを問いただせば、どういうふうに調停案がいけませんか、こう言えば答弁しなければならぬことは当然なんです。それにはものさしが必要なんです。ものさしがないのです。だから水かけ論になっちゃう。そこへもってきて政府がこういう声明を出すということは、権力をかさに着て、対等であるべき労使関係に水をさすという結果になっちゃうのです。こういう点私は労働行政として意を用いなければならぬ問題ではないかと思う。そうしませんと、あなたが心配するように赤の扇動に乗っているということ、あなたの言う通りにこれを認めたとするならば、何ということはない、政府は手伝っているようなことになる。今日の共産主義というのはそんな無暴な論議をしているのではなくて、やはり一つの思想体系の中に入って、世界の大きな思想的な背景を持っておりまするものであって、好ましくないというなら、それをどうしたらいいかということが出てこなければならぬ。労働組合の自主的な健全な発達を希望すると言う——抽象的にはそうだが、それをやるためには、当面戦っておる問題に対して政府のなすべきことがあると思う。私はただ政府の責任責任と抽象的に言っておるのではありません。こういうように、具体的に例をあげれば、すぐ政府の責任は次から次に積み重なって出てくると思う。調停案が出てきてからでなく、それを作るときに——労働委員会の中にはあなたの指揮される事務局長もおれば次長もおる。庶務課長も入っておる。何人かの調査官もちゃんと配属されて、その進行の状態は逐一報告さるべき仕組みになっておる。それができてきてからあわてて見るというのではなく、作る過程において情報をキャッチできる立場にあるわけです。こういうことはあまり一般に知られていないから、政府はほおかぶりしてごまかせば通せるかもしれない。きょうの新聞論調にも出ておりますように、専門家の間から政府が責任を追及されるわけなんです。民間の給与でありますならば、おのれから見て他を言うように、争いでありますから、相手を傷つけるということでいいかもしれない。私はそういう点に問題があると思うので、もっと真摯な態度で取り組んでほしい。具体的に今お尋ねして非常に悲観をしております。ぜひ一つあなたの理想を、やれる範囲内で——こういう工合にしなさいと言うのではありませんけれども、参考資料を提供するなら出しいいように、私から一つ資料提出要求の形にいたしておきましょう。昭和九年から十一年、俗にいう基準年度の、国家公務員、地方公務員、それから民間企業を業種別、産業別に——そうこまかいことは要りませんが、大きな代表的企業を産業別に、それを国民所得の換算に用いられる物価の比率にかけるとどういう数字になるかということを御提示願いたいと思います。はなはだ速急で恐縮でございますけれども、月曜日に予算委員会でこの問題についての政府の御所見をただしたいと思っております。それに使いたいと思いますので、そのときに間に合うように計算をして御提示願いたい。これができないようなことでは、政府の責任だと言われても返す言葉がないと思います。さっき公務員との比較かと言ったら、いやそうじゃない、民間かと言ったら、そうじゃないということでずるずるあっち、こっち行ってしまった。こういうことでは私は公共企業体を預かる諸官庁の人々は団体交渉で困るだろうと思う。まず政府自身が一つのものを持って内部で指導されるというのであれば自信があってよいと思う。こういう点一番簡単な注文ですから、月曜日までにぜひ出してもらたい。もう一つ出してもらいましょう。それは政府声明の中に言っておりますことと関係するのですが、政府が調停案を拒否した理由、これは抽象的であります。これは先ほど来あなたと議論したように、具体的でなければなりません。これこれの点についてという具体的な反対が当然行われなければならない。あなたの方は命ずればすぐあなたに報告しなければならない立場の富樫さんがおるわけですから、資料をおとりになって、こことこれとこれについていけないということを至急御明示願いたい。この二つの資料を要求しておきます。これに対する大臣の答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/81
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082・中西實
○中西政府委員 先ほど私は給与の一般論として申し上げたのです。しかし現在公社関係の給与について一応こういう基準にしろということは法律にちゃんとあるのです。先ほどの赤松委員のどんな理由で拒否したかということは、政府が拒否したのではなく、公社が拒否したのです。公社の拒否した理由は三点ございます。言いますところは、出された金額の根拠がはっきりしないということが一点、二点は、日本国有鉄道法二十八条の二項で、「職員の給与は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の条件を考慮して定めなければならない。」とあります。この生計費とか国家公務員との関係、民間事業に従事している者との給与の関係がはっきりしていないということ。もう一点は、あの調停案が基準内予算単価の千二百円アップという言い方でございますので、従って、現実にどれだけ上げるのかということについてさらに労使の間で話し合いでもしなければきまらない、非常に問題をあとに残しておるというようなことを反対の理由としてこれを拒否する、そして仲裁を申請する、こういうようになっております。基準年次との比較におきましては、現在はすでにほとんど高くなっておる。これは製造業の数字でございますけれども、戦前、つまり九−十一年と比較いたしまして実質賃金は、月によって違いますけれども、大体一五%あるいは一六%上回っている、こういうことでございますので、従って、現在におきましては、結局一般社会に行われている給与水準というものがやはり一番問題になってくる。それは結局理論的基礎はなくて、諸般の事情からそういうものが出てきておる。従って、民間給与、公務員の給与、生計費というようなものから考えて給与をきめる、こういうふうに一応法律におきましても基準は明示されております。公務員の給与につきましては、これは非常に抽象的ですが、社会の一般の情勢に適応するように賃金の水準を考えてやれ、こういうように法律ではなっているわけであります。今仰せになりました初めの方の資料、これは戦前のものがおそらくあると思いますので、できるだけのものを考えてみましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/82
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083・松浦周太郎
○松浦国務大臣 ものさしがないのにどうして高いとか安いとか言うかというおしかりでございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、現実の給与額の平均で官吏と現業と差が非常にあるのです。どこにあるかというと、予算単価は四、五百円しか違っておらぬようです。ところが支払い単価は千八百円、二千円と違っている。なぜ違っているかというと、国鉄のごときは三千人くらいの欠員があるのです。その欠員のものを全体に分けているのです。それですから非常に高くなっているわけなんですけれども、それをお前は分けているのだから、今度は上る分の中からそれを引けよといったって、それは承知できないことになりますから、そうなったのです。お前は給与担当の大臣じゃないか、それはその通りなんだけれども、去年私がならない前から、人事院はそういうことを見て、それで三公社五現業というものは上げなくてもいい、国家公務員だけ、民間よりも一一%安いし、それからまた鉄道、電電よりも一二、三%安いからこれだけ上げろ、こう言ってきたものですから、私になってからは六・二%上げることにいたしましたのです。ところが、この春季闘争で千二百円上げることになってきたのが現実の姿なんで、ものさしはなかったと言われるけれども、そういう現実のでこぼこがものを言ったのだろう、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/83
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084・井堀繁雄
○井堀委員 やめようと思ったのですが、今事務当局なり大臣の御答弁でもう少しはっきりさせておきたいと思うので、もう一言だけ申し上げます。それは、今公企労法の精神を貫いておりますものの中で、給与、賃金の問題については、雇い主側の提示すべきものについては、これは団体交渉の中でも提示されて、労働組合側からもそれに対する反駁が行われておるわけなんです。私が今資料として要求いたしましたのは、先ほど中西労政局長は、それは三公社五現業のそれぞれの責任者がと、こうおっしゃられたので、そうではなくて、今私の聞いているのは、三月十五日付の官房長官談話は、これは政府の所見なんです。ですから私はこれは全体に言い過ぎだと思うのです。言い過ぎだと思うけれども、しかしこれは責任を持って出されたのですから、そうしたら当然政府はこれに対する国会の要求に答えなければいけません。逃げられるなら、われわれは三公社五現業のそれぞれの責任者をここへ呼んでただすより仕方がない。ただ、今私の聞いているのは、この声明の範囲内で伺ったのです。ですから、そういう資料をお使いになってもけっこうですけれども、一応政府としては私どもに資料を出してもらわなければならぬ。それはもう一ぺん念のために申し上げておきます。
そこで、拒否されました理由には、額の算定基礎を明らかにしていない、こう言っているわけです。これは私は重大だと思うのです。労働委員会があれだけのスタッフを置いている。これはあなたの責任にもなってくるわけです。局長、次長、課長でしょう、そこに調査官は何人ですか。たしか六人か七人くらいいるのじゃないですか。それが額の算定基礎を明らかにしないなんというばかげたことがあるはずはありません。あったとすれば、これは労働委員会の責任問題になるわけです。だから、こういう政府としてはノー・タッチのようなことを言いながら、まるで経営者を代弁するようなことを言っておられるわけなんです。しかし、私はここで黒白をつけようとはいたしません。もう少し先の段階でいたしたいと思いますが、ここで資料を提供していただきたいのは、算定基礎が明らかでないというのはどういう点か。私はただ千二百円を出しなさいなんて出し方をするわけがないと思う。三公社四現業をフラットにして千二百円にしたということについてじゃないだろうと思う。それにはそれぞれの理由をきっとつけていると思う。ついていなければ、それを問いただすだけの立場にあるわけなんです。その点を一つ明確に——これを使った以上、ここへ出したのだけれどもその数字はこういうわけで違う、こういうのだということを説明を聞く前に、時間を能率的にいたしますために、それを書類にして出していただきたい。
それから最初の私の質問を中西局長はごまかしちゃったけれども、ごまかしゃいけません。今日の経済企画庁の扱っております資料で、それで確固たる信念をもって答えられるというなら別ですよ。しかし、これは何回か予算委員会で明らかにされた通りで、信憑力がきわめて脆弱なんです。だから私が今言っているのはこういうことなんですよ。基準年度の給与、賃金というものがあるのです。それに国民所得換算上用いられるところの価格換算率というものがあるのです。それを労働省が使って、そうしてこういう工合になりますという数字を、月曜日までに出して下さい。こういうことなんです。一つそのお返事をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/84
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085・松浦周太郎
○松浦国務大臣 前段の方お答えいたしますが、まあおっしゃるように行政の妙を発揮いたしまして、調停の労働委員会にわれわれの意見を反映させることはしなければならぬ、こう仰せになりますが、ちょうど法務省の中の裁判所のようなものであって、われわれの方から意見をいろいろ言ったり、また向うの方がこっちから意見を聞いてそれに従ったりするような内容のものじゃないのです。しかしもとはうちにおった人なんです。うちからも人はいっているのです。けれどもやっぱり一つの裁判のような判定をするところですから、どうも、お前わかっているじゃないか、わかっているのを今ごろ出てきてからと言われるけれども、千二百円一律に全部出たときに実際僕は驚いたのです。あんなものじゃないと思ったのです。行事も全部違っておって、たばこの専売のごときは女の人も多いのに、国鉄の人と同じ千二百円ということはないと思うのですよ。けれどもそれらの内容をこまかく書いてこないものですから、企業体がいろいろ問題にしたわけなんです。ですから、今後、今御指摘になったような数字を出せ、こう仰せになりますなら、それは出します。出す順序としては、公共企業体等労働委員会の方で提出をさせて、それを皆さんにお上げいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/85
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086・中西實
○中西政府委員 あとの問題は実質賃金でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/86
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087・井堀繁雄
○井堀委員 だからそれを作って出して下さいよ。今言ったことだけでいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/87
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088・中西實
○中西政府委員 それは実質賃金のことですからわかっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/88
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089・井堀繁雄
○井堀委員 今大臣がつけ足したけれども、調停の過程について聞けと言ったのではないのです。これは何人も、行政官庁がああいうものに干渉してはいけません。けれども結果は発表されたのですから、それに対する資料の提出を求めることは当然です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/89
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090・松浦周太郎
○松浦国務大臣 それは今やっているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/90
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091・井堀繁雄
○井堀委員 それから今の点についてはごまかさないように、私の言った通りの資料を出して下さい。
もう一つ、この中の違法行為ですね、政府が再三警告しており、違法行為に対しては、とこう言っている、この違法行為というのは何ですか。公企労法をさすのですか。それともほかのものをさすのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/91
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092・中西實
○中西政府委員 公企労法もございます。これは十七条に、争議行為は一切してはいけないとなっておるのですから、これは違法行為、それから国鉄法その他の各公社法等にも懲戒の規定がございます。それからさらには刑法その他の刑罰法規に触れるようなことをすれば、これは違法行為であることは確かでございます。まあ、いろいろとあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/92
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093・井堀繁雄
○井堀委員 いろいろとあるものを、政府は一々、この文章によりますと、再三にわたって警告した通りと言っておるのですが、こういうことは、直接労働団体の代表者を呼んでお話しになればいいことであって、声明などに出すということはどういう影響があるということをお考えでしょうか、労働大臣の答弁を一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/93
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094・松浦周太郎
○松浦国務大臣 これは両方のことを考えなければなりません。純真な青年が指導者の指導によって職場を離れたり、職場大会をやったりしておる。しかしそれは自己の意思の発動ではない。もちろん今度は動員された人間の数というものは非常に多い。駅の数も約千に及んでおります。その職場大会に出席したものを全部縛り上げてしまうなんていうことは大へんなことになるのですから、私はやはりそこには情状酌量はあるだろうと思う。しかし誤まった方向に指導した人は、それは違法行為を指導した人でありますから、法の範囲内において処分すべきであるということです。その処分するそれ自体は、される人には非常にお気の毒です。けれども国民大衆が今度の争議において非常に迷惑しておる。感じからいっても、どうもああいうことをやって黙っておかれたのでは国の法律も何もないじゃないかということになるものでありますから、それは両者の考え方をやはり政府としては考えなければならぬ。法治国の政府としては法の命ずるところによって違法行為だけを処罰しなければいかぬ、こういう考え方の上に立っております。しかしこれはほとんど行政罰ですが、極端なものは司法罰になるであろう、その場合、いよいよ判決の場合に情状酌量される点は相当今度の場合はあるであろうと思う。それは職場を離れて大会をやった人全部が悪いということは言い切れないと思うのです。しかしそれを指導した責任者というものはある程度国民の前に責任を持つべきではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/94
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095・井堀繁雄
○井堀委員 私は二つの意味でこの点をお尋ねしたのです。一つはこの内閣は五つの誓いの中で信賞必罰を高く掲げて国民に公約しておる、それとこれと合せて国民は考えるだろう、私もそう思ったのですけれども、今のあなたの御答弁、それから中西労政局長の御答弁によりますと、労働法関係のものが主としてのようでございます。こういう問題をこういう時期に出すということについては、よほど考えるべきだというのはそれが一つである。それから一般的な場合は先ほど来私とあなたの間で質疑を取りかわした経過において明らかになりましたように、そのよって起るところの原因は労働者側にあるとか経営者側にあるとかなかなか限定しがたい。すなわち日本全体の、もっと具体的にいえば給与自身がノーマルなものになり得ないという客観的な諸条件の中に起ったストライキである。ストライキということが適当でないというならば、紛糾が起っておる。ですからその原因を断つことについて私はあなたにお尋ねをしたところが明確な御答弁は残念ながら得られなかった。どこにも解決をする方向すら明らかにされなかった。それほど問題は困難だ。厳正公平でなければならない、信賞必罰を厳にしようという政府が、こういう調停をのめないという申し訳をするいわばわび証文みたいなものを出すときに、いたけだかになって、違反があった、違反者を処分するのは当りまえだ、こういうことを書き出すところに問題があると思う。これはあなたの御答弁を伺わなくても、いずれ総理の出席を求めてこの点を明らかにしようと思っておりますから、よく御相談をなさって適当な御答弁を願いたいと思います。
私は以上をもって終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/95
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096・亀山孝一
○亀山委員長代理 次会は来たる十八日午後一時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02419570315/96
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