1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十二日(金曜日)
午後一時五十二分開議
出席委員
委員長 藤本 捨助君
理事 大坪 保雄君 理事 大橋 武夫君
理事 亀山 孝一君 理事 中川 俊思君
理事 野澤 清人君 理事 八木 一男君
理事 吉川 兼光君
植村 武一君 越智 茂君
大石 武一君 小林 郁君
田子 一民君 田中 正巳君
山下 春江君 亘 四郎君
赤松 勇君 井堀 繁雄君
岡本 隆一君 五島 虎雄君
多賀谷真稔君 滝井 義高君
堂森 芳夫君
出席国務大臣
労 働 大 臣 松浦周太郎君
出席政府委員
厚生政務次官 中垣 國男君
厚生事務官
(大臣官房総務
課長) 牛丸 義留君
厚生技官
(公衆衛生局
長) 山口 正義君
厚生事務官
(児童局長) 高田 浩運君
労働政務次官 伊能 芳雄君
労働事務官
(労働基準局
長) 百田 正弘君
労働事務官
(職業安定局
長) 江下 孝君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
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三月二十二日
委員岡良一君辞任につき、その補欠として多賀
谷真稔君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十日
広島市の失業対策事業労力費補助基本日額改訂
に関する請願(佐竹新市君紹介)(第二三一〇
号)
養老年金制度制定に関する請願(濱野清吾君紹
介)(第二三一一号)
健康保険法等の一部を改正する法律案に関する
請願(眞鍋儀十君外二十七名紹介)(第二三一
二号)
戦争犠牲者の処遇改善等に関する請願(加藤精
三君紹介)(第二三一三号)
同(黒金泰美君紹介)(第二三一四号)
大工、左官及びこれに準ずる労働者の社会保障
に関する請願(塚田十一郎君紹介)(第二三一
五号)
環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律
制定の請願(田口長治郎君紹介)(第二三一六
号)
同(中嶋太郎君紹介)(第二三一七号)
同(岡崎英城君紹介)(第二三七六号)
同(高橋等君紹介)(第二四〇二号)
衛生検査技師の身分法制定に関する請願外一件
(伊東隆治君紹介)(第二三一八号)
同(菅野和太郎君紹介)(第二三一九号)
同(中村三之丞君紹介)(第二三二〇号)
同(小川半次君紹介)(第二三七四号)
同(荻野豊平君紹介)(第二三七五号)
同(堂森芳夫君紹介)(第二四〇三号)
同(吉川兼光君紹介)(第二四〇四号)
健康保険法等の一部を改正する法律案反対に関
する請願(菅太郎君紹介)(第二三二一号)
同(江崎真澄君紹介)(第二三二二号)
同(原健三郎君紹介)(第二三二三号)
同(一萬田尚登君紹介)(第二三七二号)
同(稲葉修君紹介)(第二三七三号)
同(成田知巳君紹介)(第二四〇五号)
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案に傷病
手当金追加に関する請願外一件(佐竹新市君紹
介)(第二三二四号)
同(田中武夫君紹介)(第二三二五号)
同(山下榮二君紹介)(第二三二六号)
同(五島虎雄君紹介)(第二四〇六号)
健康保険法の一部改正反対等に関す
る請願(猪俣浩三君紹介)(第二三二七号)
奄美大島地区戦没者遺族に死亡時給与金支給に
関する請願(伊東隆治君紹介)(第二三二八
号)
戦傷病再発医療費全額国庫負担に関する請願(
花村四郎君紹介)(第二三二九号)
健康保険法の一部改正反対に関する請願(吉川
兼光君紹介)(第二三三〇号)
同(横錢重吉君紹介)(第二三七七号)
日雇労働者の賃金値上げ等に関する請願(永山
忠則君紹介)(第二三七八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公衆衛生修学資金貸与法案(内閣提出第三九
号)
結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出
第四〇号)
母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第五一号)
失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第三一号)
最低賃金法案(和田博雄君外十六名提出、衆法
第三号)
家内労働法案(和田博雄君外十六名提出、衆法
第四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/0
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001・藤本捨助
○藤本委員長 これより会議を開きます。
失業保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。これについての質疑を続行いたします。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/1
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002・滝井義高
○滝井委員 先般失業保険法の一部を改正する法律案の質問をいたしましたときに、失対の賃金というものが一応一般職種別賃金を基礎にして大体それより一割ないし二割下回るものできめられる、こういうことになっておるわけです。そういたしますと、そのもとになる一般職種別賃金というものは一体据え置いたものでいくのか、それとも四月からこれが引き上げになるのか、こういう点をこの前質問したところ、ちょうど担当の局長さんであります百田さんがおいでになっていなかったので、安定局長さんから、その点はどうも私たちの所管でないからということで御答弁の保留がございました。従ってきょうは百田さんがおいでになっておりますので、百田さんの方から一般職種別賃金というものは、約七%程度失対の方の賃金が上った結果、どういうことになるのか、それを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/2
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003・百田正弘
○百田政府委員 一般職種別賃金につきましては、現行の告示が昨年の九月の職種別賃金調査によると、民間賃金の調査と比較いたしまして、職種あるいは地域によって相当の差はございますけれども、全般約に見て低位にあるというふうに考えますので、これを増額改訂するように現在作業を続けておりまして、目標としては四月一日から実施いたしたい、かように考えております。作業の都合で四月一日までに間に合わない場合でも、四月一日から実施に支障ないようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/3
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004・滝井義高
○滝井委員 そういたしますと、四月一日から実施するということになれば、昭和三十二年度の公共事業その他の関係というものは、当然予算作成の場合に幾分三十一年度より上るということを見越して前もって予算単価というものをきめられておると思うのですが、そういうように解して差しつかえないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/4
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005・百田正弘
○百田政府委員 三十二年度の予算単価等につきましては、これは大蔵省がきめることでございますが、すでに昨年の調査によって現行PWは改訂しなければならぬ、引き上げなければならぬということは大蔵省の方で承知いたしております。従って公共事業の予算の単価等につきましては、これはやはり大蔵省当局の説明によりますと、昨年の九月ごろの物品の単価あるいは地方別の賃金、それをもとにいたしまして予算を査定してあるというふうに伺っております。従いまして、予算の執行上にはPWが上りましても支障がない、こういうふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/5
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006・滝井義高
○滝井委員 少し具体的に聞いてみたいと思います。身近かなところの方が具体的にわかりますので、身近かなところで例をとってちょっとお聞きしたいのです。それは私の住んでおる福岡県の田川郡あるいは市ですが、こういうところにおける一般失業対策賃金の基礎づけになっているPWというものに対する失対の賃金というものは大体九〇%になっているわけなんです。そうすると、土工の平均賃金が三百三十五円になっている。それに雑役の平均賃金が二百三十五円になっている。この三百三十五円と二百三十五円を足して二で割ると二百八十五円になる。その九〇%、すなわち二百五十六円五十銭というのが現在の失業対策賃金になっている。それから今度は甲地区ということになると福岡あたりになる。これを見ますと、土工の平均賃金が三百八十五円、それから雑役の平均賃金が二百六十円、この三百八十五円と二百六十円を足して二で割りますと、三百二十二円五十銭になる、この九割は二百九十円、これが現在の一応失対の賃金はなる。こういうことを考えると、私ちょっと疑問に思うのは、われわれの地区や福岡は一応九〇%になっておるわけですが、法律を見ると、通常支払われる職種別賃金の八割ないし九割以下になる、こうなっておる。その八割ないし九割というものはそこに一割の開きがあるのですが、八割をとったり九割をとったりするのは、一体どういうことを基準にしているのか。これによっては地域によってずいぶん差ができてくることになる。われわれのところは一応九割をとってもらっておるけれども、八割のところは、お前のところは八割をとるんだという理論的な納得をさせないと、局長さんの方も大へんだと思うが、われわれの方も大へんなんです。実は君のところは八割になっておるのはこういう理由で八割になっているというそこに何か納得のいく説明脅してやらぬと、たまたま九割のところはいいが、八割のところは大へんなわけですが、そういう点で納得のいく御説明をいただけるか。この点大臣もよく聞いておいてもらわなければならぬところです。御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/6
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007・江下孝
○江下政府委員 基本的には九割ということに実は考えておりますけれども、御承知の通り、安定所の窓口に出て参ります一般民間の求人の賃金がございます。これは私どもとしましては、その地方々々の失対賃金をきめる場合に有力な参考に資するわけでございます。従ってPWの八割から九割ということではございますが、一般の安定所の窓口で大体普通行われておる賃金というものの実際を調べて、その上で失対賃金をきめるわけでございます。従って八割から九割の間に若干の差ができてくるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/7
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008・滝井義高
○滝井委員 失対のいろいろの実情を調べてやるということでございますが、失対の賃金をPWを基礎にしてきめるときに八割ないし九割ということで、一割の開きがあるわけです。そうしますと、その問題はもう一つ前の段階のPWをきめるときに、ここにも各地の状態によって弾力があると思う。そのPWをきめるときのきめ方を簡単に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/8
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009・百田正弘
○百田政府委員 PWにつきましては、各県の調査の結果に基く数字を基準にいたしまして、各県別にきめてありますが、県内においても地域によってその調査の対象になった労働者の賃金差がございますので、そういう場合には、甲地、乙地、極端なところは甲乙丙と三つの地区がございますが、この三本ないし二本立でございます。従って、それ以上の弾力性はございません。標準賃金としてはそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/9
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010・滝井義高
○滝井委員 いや、具体的にそのPWをきめる場合に、各地の賃金を一応把握して、そしてそれによってきめていかれるでしょうが、賃金というものは、もちろん、その地域の物価とか生活状態等を反映してできておるものだと思うのです。ところが、今失対の諸君の意見をいろいろ聞いてみると、そもそもPWをきめる計算方式がインチキだ、だからわれわれの方も非常に間違ったことになるのだ、こう言っておるのですね。そこらあたりを、やはりもっと納得のいくように説明してやる必要があるのじゃないかと思うのです。そうしないと、さいぜん言ったように、一割の弾力で、PWを基礎にしたものがきめられていく。そうすると、八割をとるか、九割をとるかということについて、原則が九割だからみんな九割にしてもらいたいという意向が強くなってくる。ところが、その前のPW自体が物価やその地帯の賃金差を基礎にしてきめられる。こうなると、結局、低くきめられたところは、今度はそれが失対の賃金に現われるとまた低くきめられるという、二重のハンディキャップがつくわけです。そういう点、PWを決定する上において、どういうところがインチキだと言われるか、その理由は、実は私自身があまり詳しくないので、ちょっとわかりかねますが、そう言っておる。ここに書いてきておる文章なんかを見ても、PWがインチキ計算方式をしているために、二割安いどころか、実際はそれ以下になっておる、こう書いてきておるわけです。理由は書いていないのですがね。だから、こういうことを言うからには、何かそこに、そうではないという納得をする説明を、やはりしてやる必要がある、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/10
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011・百田正弘
○百田政府委員 PWの地区別のものは、調査の結果に基いて出すわけでございます。同じ方式で出します関係上、それがインチキということはあり得ません。逆に、かえってその数字をいじくりますと、それ自体がインチキということになるかもしれません。問題は、おそらく、甲地、乙地があるところで、わずかの地域差で片方は甲地になり、片方が乙地になるといったようなことで、実情にそぐわないというような点があるのじゃないかと思います。そういう点につきましては、各地方基準局等におきまして、地方の実態を把握しまして、それをわれわれの方に申請する、それによって地区の改訂をする、そういうことで是正をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/11
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012・滝井義高
○滝井委員 これでやめます。いずれこまかいことは個人的に聞かしていただくことにして、大臣急用だそうですから、井堀さんの方に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/12
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013・藤本捨助
○藤本委員長 恐縮ですが、大臣は二時から内閣委員会に出席を要請されておるので、それをお含みの上お願いいたします。井堀委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/13
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014・井堀繁雄
○井堀委員 お急ぎのようでありますから、なるべく端折って要点だけお尋ねいたしたい。
前会局長に一、二お尋ねをいたしまして、なお責任ある立場でお答えを願いたいと思っておりますので、その点にしぼってお尋ねをいたしたい。それは今度の失業保険の改正で、具体的な点をあげてお尋ねをいたした方がわかりよいと思いますが、保険料率を従来の五円、六円のものを六円、十円に上げられて、従来の九十円、百四十円のものを百四十円、二百円に引き上げられたというところに、今度の改正の非常に大きな意義があると思う。この点に対してわれわれ敬意を表したいと思うのでありますが、そこで事務的なそれぞれの御説については局長からのお答えである程度了解をいたした。ただこういう失業保険の中でも日雇い労働者の場合においては、従来の失業保険に多少こういう点に深い考慮を払うべき最もよき機会ではないかと思います。これは政策面とも重大な関係を持つので、あなたの御所見を伺っておきたいと思います。従来六円で百四十円の保険金というふうに換算していきますと、二十三・三倍、あと三、三とずっと続くわけであります。それを十円で二百円ということになると、二十倍という比率になるわけであります。前回は五円に対して九十円でありますから十八倍という比率で、ここに非常なアンバランスがあったわけです。そういう点からいくと、非常に改善をされたということにはなると思うのでありますが、いっそこういう改善をきれる場合には、もっと本質的なものに考えを深く用いられることが望ましいと思っておるわけであります。そういうことから申しますと、技術的にも問題はあるでありましょうけれども、実際支払われております日雇い労働者の支払い実績というものは、かなりこまかく刻んで支払っておるようであります。ここには問題があって、たびたび私どもは事務当局にお尋ねをし、よい機会を見て改善をすべきであると主張しておるわけであります。失業保険の場合においては二本立にすることが望ましいという考えを私は持っておる。できるならば一本の方がいいと思うくらいであります。そういうことは結局失対事業の本質に沿う賃金の支払い方であり、あるいは生活の保障を保険で行うという場合にはそういった行き方の方が正しいと思うのです。でありますから、そういう考え方からすれば、比率はやはり同率のものにすべきだ。二十三・三倍になるならば一級の方も二十三・三倍にしていくべきではないか。保険財政の上で計算をするといろいろな数字が出てくるというお話は、この前局長の御答弁でありましたが、私がいろいろ当ってみますと、これは一つは失対事業の対象になるそれぞれの条件の把握の仕方によって変ってくると思うのです。一般の政策の上から、あるいはまた政府の見通しの上からいきますと、かなり明るい見通しを立てておいでのようであります。ここだけで暗い見通しを立てることはあり得ないと思いますので、こういう点からすると同率に変えるということは当然なことであり、今そうすべきでなかろうか。でありますから、一本でいけませんから段階的に行うということでありますので、六円で百四十円にするならば、十円で少くとも二百三十円ないし二百三十五円くらいに引き上げていくことによって、あなたが提案理由で述べられましたように、日雇い労働者の生活の保障を、一方では就労日数を増加するというやり方と、他方においては保険の改善によってその欠陥を埋めていくということに一致してくると思うのです。これは政策に関連したことでありますかな、大臣のお答えをいただきたいとして、今日まで保留しておったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/14
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015・松浦周太郎
○松浦国務大臣 御質問の点は、この保険改正に対する重要な点でありますが、料金の決定に対しましては、技術的な事務的な問題が多いのでありますから、一応局長から御答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/15
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016・江下孝
○江下政府委員 十円の計算でございますが、先回申し上げましたように、被保険者のうちの、十円を払わなければならぬ割合、それから安定所に出頭いたします比率、現実に保険金をもらいます割合、こういったものを計算をしまして、保険料十円ということをきめたわけであります。そこで今先生のお話のように、六円と百四十円、十円と二百円の割合が合わない。その通りでございます。そこでこの点は、実は六円につきましては、従来から百六十円以上の人は六円という保険料がきまっておるわけでございます。もし保険料、すなわち二百円に対する十円というものを基礎にして計算いたしますと、むしろこの六円が七円くらいになるのじゃないかと考えておりますのが一つ、もう一つは、これも前会御説明いたしましたように、十円、正確に計算しますと九円五十銭でございますが、しかし切り下げて赤字を出すということを当初から予定するわけには参りませんし、金額も零細でございますので十円ということにいたしたのでございます。すなわち六円のところは従来通りということで保険料については手を加えなかったということが実は偽わらざるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/16
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017・井堀繁雄
○井堀委員 保険経済が赤字になるか、去年のようにまたさらに黒字として伸びていくかということは、全体の政策と雇用に対する見通しの問題で変ってくる。政府の今までなされたいろいろな政策に対する説明を一貫して流れておるものは、雇用は増大きせるという点で、ある程度安定期に入ったという考え方に立っておるようであります。そうするとこういう時期にこそこういう不合理な点を改善する最もいい機会だと思う。日雇い健康保険の持つ一つの困難性というものをこういう時期に改善していくことが望ましい。それはどういうことかといいますと、これは日雇い労働者を一般の失業保険と同じように扱うことが悪いかという問題に戻ってくる。私は多少無理があるという考え方をとっております。なぜかということは、さっき滝井さんがPWの点で質疑を行われたことによって明らかです。これは正当な労働力に対する対価として賃金をきめておるのではない。社会政策的なものを加味してのものであることは明らかである。でありますから、日雇い労働者の場合は、就労日数をできるだけ増加して予算単価を引き上げて生活の最小限度をまかなっていけるようにしてやることが望ましい。しかし就労日のでこぼこが非常に多い。それを失業保険でカバーしていこうというところに失業保険の意義があるわけです。ですからこういう本質的なものからいうならば失業保険というようなものは一本がいい。しかし実際の支払い方法がああいうことをいっておることは私はいいとは思いません。法律の精神からいえば、労働の正当な価値判断の上に立って賃金を支払わなければならないという法律を作っておいて、実際支払うときには差別をつけるというような矛盾は最も近い機会に解決しなければいけない。しかしどちらにも意味があるわけであります。失対中業法の精神を一貫しておるものは、むしろ失業保険よりはこういう形で生活を保護した方がいいのです。仕事を与えて生活の費をかせがせんとする形は健全な考え方だと思う。失業保険とからませたところに非常な矛盾がある。こういう問題を労働行政の中である程度割り切るなりその矛盾を改善していく方向に失業保険の改正はしていくべきだ。こういう点を実はお尋ねしたいので具体的なものを引き合いに出したわけだ。局長の言うように保険金と保険料率とのそろばんを合わせるというようなことについては私はあまり興味を持たない。それはそろばんの置き方ですから、私に置かせれば二百円にしなくても二百五十円にしてもやっていける。江下さんと議論をするなら何ぼでも議論ができる材料を持っておる。それはどこにくるかといえば、失業者がふえる、就労日数が減るかふえるかということで議論されてくるわけでありまして、これは仮定の事柄でありますから議論にならないと思う。しかし議論になりますことは片方では二二、二三・三という保険料金と保険金とを出しておいて、他方にはそれが一八になったり二〇になったりするということは、何か根拠がなければこれは変えてはいけない。こういう点の矛盾が今まで起きてきておるわけです。その矛盾はどこかにやはり十分つり合いがとれる議論がなければならぬ。それを保険経済で割り出すというなら、さっきの議論になるわけです。こういう点に問題があると思うので、これはやはり労働行政の非常に重要な部分になってくる。こういう点に対する考え方はこういう具体的な政策には現われてくるわけであります。そういう具体的な事実をもってこの内閣の労働政策のよしあしをわれわれは批判をし、またわれわれの主張もそれぞれ勇敢に述べて、政策の点でお互いに相争うところは争うし、共通の一致点を見出すならば改善をしていく。それには格好な問題だと存じまして、あなたの出席を求めて御答弁を願っておるわけであります。こういう問題については多少いろいろな準備が要るであろうかと思いましたので局長にお尋ねをし、そしてその機会をお待ちしたわけであります。そういう意味であなたにお尋ねしておるので、あなたの見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/17
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018・松浦周太郎
○松浦国務大臣 失業保険の問題について重要なお尋ねでありますが、わが党の雇用量の増大に対する基本的な考え方は、石橋内閣、岸内閣ともに同一の歩調で進んでおりますから、今年直ちに解決をつけるということはできませんけれども、この積極政策を継続的、計画的にやって参りますならば、雇用量は必ず増大せられるということを確信いたしております。従って失業保険の方面においても漸次緩和されていくものであると思います。また就労日数の問題は今二十一日になっておるようでありますけれども、これは漸次実際に合うようにふやしていきたいという考え方を持っております。
もう一点最後のお尋ねの二本立の料金設定ですが、これをこの機会に一本化したらどうだ、これは私は非常によい御意見だと思うのです。けれども、今出ておるこの法律を直すことはできませんので、次の機会に十分研究して善処いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/18
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019・井堀繁雄
○井堀委員 その点お気づきなされて善処なさるということであれば、次の機会をお待ちする以外にないと思いますが、私は今が一番いい時期だと思って政府に改善法を警告したわけであります。
そこでもう一つ、政策と深い関係を持つのでありますが、今度のものは、保険料金と保険料率について、スライド制を採用しようとしておられる。それは、さつきの問題とやはり関連をしてくるのでありますが、予算単価を三百幾らに押えたその根拠については、PWの八〇%、九〇%というやや低目のものをきめろと法律は書いてあるわけです。ということはその労働力の実態に見合うような賃金でない。この場合は女子労働や老人といったような一般の求人側の要求に沿いかねるような低い質の労働力をこういうもので救済していこうというところのねらいがあることはあまりにも明白なのです。ですからこの点を生かす失業保険の運営の仕方が法律の中に生きてこなければならない。そういう点がやはり改善されなければ改善にならぬのじゃないか。こういう点で首尾一貫しないように私には考えられる。いかにもこう、思いつきと言っては少し失礼かもしれませんが、行き当りばったりに改善をするというやり方ではないかという懸念がしてならないのであります。何かこれに対して一体日雇い労働者の失業保険という特質をこの中にどう発見されておるかを、もしおわかりであればお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/19
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020・松浦周太郎
○松浦国務大臣 スライド制の問題に対しましては、この立案の際にもいろいろな意見がありまして、経済政策はインフレ阻止の方向へ行っておるからその必要はないというような議論もあったのでありますが、労働者保護の上に立ってどういう場合になっても労働者が非常な激変する経済の中に生きていかれるようにするために特にスライド制を認めたのでありますから、御了承願いたいと思います。こまかい点に対しましては局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/20
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021・江下孝
○江下政府委員 スライド制は御承知の通り、一般の失業保険につきまして従来ございましたのを今回合理化したわけでございます。そこで日雇いの失業保険についてのスライド制は、法律の適用はございませんが、これは先生も御承知の通り、日雇いの場合には定額制でございますので、この場合は定額を改訂するという方法をとればスライド制を設けておく必要がない、こういう考え方から今度はスライド制を日雇いの場合にはとらなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/21
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022・井堀繁雄
○井堀委員 純然たるスライドではございませんが、今度の改善の中にはこれを折衷したような考え方が盛り込まれておる。こういうところにあいまいなものが出ておるじゃありませんかということをお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/22
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023・江下孝
○江下政府委員 従来のスライド制が非常に社会経済の実態に沿わない規定でございましたので、それを今回合理化するという考え方だけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/23
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024・井堀繁雄
○井堀委員 多少これは専門的なものですから、まだ十分そういうものに対して係の方はお聞きになってないかもしれません。しかしこれは単なる事務的な問題でなくて、やはり基本政策と深いつながりを持つ問題でありますので、御検討を願って、できるならこの機会に与野党の間で話し合いをして改善をいたしたい点でありますけれども、今までまだ与党の方の同意を得られないという報告しか受けておりませんので、原案自身のそういう点の矛盾を私は指摘しておきたかったのであります。
時間の関係でもう一つだけお尋ねします。それは今度の保険の改善の中で、この前事務当局にもお尋ねしたのですが、待機期間の問題が保険の恩典を受ける者にとっては重大な関係があるのです。待機期間は継続四日間断続六日間ということでありますが、これは先ほどの問題とやはり関連をしてきまして、日雇い労働二十一日の就労日数で政府は一切の計画の基本的な数字としておるわけでありますが、そうすると二十一日間三百二円で大体日雇い労働者の生活はこの程度でやってもらわなければいけないということになるわけでありますから、この通りでやっていけるとかやっていけないとかいうことではなくて、一応まあこの程度だという考え方が前提になるわけであります。そうすると三百二円で二十一日平均ですから上と下が出てくるわけですが、その上と下はあまり開き過ぎるということは改善しなければいけません。ああいうことをむやみやたらと——今十階級くらいありましょう。あまりこまかく刻み過ぎてはいけないのです。健康保険みたいに二つくらいに刻んでおけばいいのですが、そういうことがあるのです。それは別として二十一日で見込んでおるのですから、二十一日以下に下るようなことは、これはもうこの基本的な考え方からずれてくるわけです。ところが実際今は、だいぶ少くなってきましたけれども、京都あたりはアプレが非常に多い。これは中央財政からくる国の政策全体に歩調が合わぬわけでありますから、こういうことは私はよほど適切な手を打たなければならぬ政策上の盲点だと思うのです。そういう実際問題が起っておる。それから広島県のように、特に呉のようなああいう特別地域が出てきておるわけなのです。法律はああいう問題を解決することを命じておるわけなのですけれども、実際的になかなか解決できていない。こういう問題とあわせてお考えいただくと待機期間の問題はもっと考え方が変ってくるのじゃないかと思う。だからこっちの方には別なものさしをもって、こっちの方にはまたほかのものをもってくるというばらばらな考え方でこの改正案が作られておるのじゃないか、一つの矛盾じゃないかと思うのですが、こういう点に対しては、やはり一貫した政策の上に立って事務当局にそれぞれ仕事を命ぜられた大臣としては、あなたはお気づきにならなければ仕方がありませんが、事務当局はどう御答弁になりますか。あなたのお考えと事務当局のお考えはどう違うか伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/24
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025・松浦周太郎
○松浦国務大臣 待機期間の問題については御指摘のような点もございますけれども、先ほど申しましたように日本の産業経済が好調に進んで参りまして失業保険経済に余裕が生じて参りましたならば、現行法規の規定に基きましても待機日数を漸次減じていくことができるようになっておりますから、そのように善処したいと思うのでございますが、いろいろ御不満の点もあるようではございますが、現在出しておりますところのこの改正法律案は、政府としてはこれ以上もう今のところどうすることもできませんから、一つ政府原案を御承認願いたいことを特にお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/25
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026・江下孝
○江下政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げました通りでございますが、当局といたしましては待機の問題は結局継続四日、断続六日ということでございます。そこでこれが長いか短かいかという問題になると思うのでありますが、これは先生のおっしゃるように賃金とのある程度のにらみ合いということも大事だと私も思います。現在のところ実は失対事業が全国平均二十一日ということになっておりますが、お話の通り県によって相当日数に違いがございます。これらの点は今後もぜひ私どもも是正したいという考えでおります。さらに就労日数をできるだけ延ばしていくという方向で考えれば、待機の問題はまたそれとのかね合いでも解決できる面も相当あると思うのでありますので、実は来年度予算でも相当努力はしましたけれども、今年通り二十一日ということでやむなく承知をいたしましたが、さらにわれわれといたしましては今後その方向へ努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/26
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027・井堀繁雄
○井堀委員 これは日雇い労働者の失業保険で論議するよりはむしろ失対事業法の立場に立って議論する方が正しいと思うのであります。もうこの二十一日という考え方を改めなければならぬのじゃないか。私は、二十一日をふやせと言うのではなくて、二十一日でもいいが、そのかわり三百二円ではいけないと言うのです。だから三百二円を、さっき言うように九〇%ないし八〇%というPWに対する比率をやめて同率のものにするとか、あるいはそれ以上のものにして二十一日で押えていくなら意味がある。もう今日では、二十一日という根拠はくずれているのです。今までは理由があった。なぜならば、一般の日本の雇用というものが非常に不確定・不安定で、就労日というものが、平均しても非常に低かった。自然、日雇いもこれにならってくるということで、財政上の理由と予算単価が割合に低くて、就労日数が少なかったわけです。ところが今日の労働統計を見ていきますと、労働時間はだんだん延びていっているのです。就労日数もだんだんよくなってきている。PWがやはり予算に基準を求めてくるのですから、就労日数もそういうところへ持ってこなければらぬ。だから労働省が大蔵省と財政上の折衡をやる場合に、客観的な実態というものがこんなに大きく変化しているものを、財政当局がただ単に全体の財政上の理由で断わることはないと思う。今度の場合は自然増収も一千億以上出てきておる。二千五百億円。押え方によってはもっとふえる。だからそういう理由が一方ではなくなり、他方では——二十一日などという数字の持っていき方は、二年も三年も前の日本の経済の悪かった時代ならともかく、今日では二十四日ないし二十五日が妥当ではないか。この考えからいえば、できるだけ就労日をふやしてよけい働いてもらって、生活のかてを増加させるという行き方が、この法律の精神に沿う行き方だと思う。失業救済や社会保険のワクで計画を見るよりは、これで見た方がいろいろな意味で健全だという考え方がこの法律にはあるわけですから、それでいけば、就労日数をふやしていけばいい。どっちかにそういう点を割り切っていけばいいのでありまして、これは政策上の問題も加味されますけれども、その客観的な情勢が成長したのですから、事務当局はまずその成長に合わしたような原案をお作りにならなければならないのです。さっきから労働大臣の答弁を聞いておりますと、政党の意思というよりは、事務当局の原案に無批判で同調しているようにもとれますし、——そう言うと非常に無能な内閣だ、政党だということになるわけでありますから、そういう失礼なことは考えたくないのであります。しかしまことに残念ながら、今基本的な三つばかりの事例をあげて労働大臣の所見を伺ったところ、不見識な御答弁しか伺えなかった。これは理屈ではなくて、事実なんです。むしろ事務当局のやったことに対して、責任をとろうというような態度です。事務当局が現実にもう少し、はっきりした考え方を持ってこれなければならぬのじゃないか。どうも原案の問題がある、こう思いますから、一つ率直にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/27
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028・江下孝
○江下政府委員 大へん基本的な御質問でございまして、私から申し上げるのもいかがかと存じますが、大体今お話しになりました点につきましては、私どもは基本的な考え方につきましては同感の面が多いわけでございます。そこで失対事業の改善の問題でございますが、決して私どもも手をこまねいて、失対事業は従前通りという状態で実はほうっておくわけではございません。先生も御承知の通り、昨年度からは特別失対就労対策という賃金の高い建設的な事業を大幅に実施いたしまして、失業者の手取り賃金の増加も実ははかっております。今回の賃金のアップも当然といえば当然でございますけれども、これも実際の生活の実態という点からも考えて、私ども相当努力を実はしたつもりであるのです。来年度以降におきましても、これは今先生のお話しになったような趣旨で私どもも努力はするつもりでございますが、決してこの日雇いの失業保険法を事務当局だけで作ったということではございませんので、この点を大臣からも指示を受けて実はやっておりますので、この点は御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/28
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029・井堀繁雄
○井堀委員 この問題はいろいろ問題はあるようでありますが、今基本的な問題で責任者から明確な御答弁がありましたので、この機会に私どもは与党とできるなら話し合いをして、修正案を出したいという考え方を持っておるわけでありますが、これはまあ国会の考え方です。しかし可能であればそうしたい。しかしながらできなければ次の機会を待つということになるわけであります。そういうことになりますと事務当局の原案は非常に大きな影響を持っている、そういう意味で一言おただしをし、また考えを述べたいのであります。失対の問題についてはもう何回も言ってきているわけでありますが、これを私どもなぜしつこく言うかといえば、一つには、これは日本の労働政策の一番かすといいますか、下の方の問題に一つの基準を与えるというようなものにもなるし、それから今一般に問題になっている最低賃金法などとの関係も出てくると思うのです。こういうものに改善が出てこなければ、最賃法なんかを出して誠意を示したということにもならぬと思う。そういう点から、賃金というものに対する考え方がまだ不徹底だと思うのです。ある場合には労務の対価として賃金問題を論議しているかと思うと、ある場合には、単なる生活給として議論をするという、非常に大切な場面でしかも責任のある地位の者がそういう扱い方をしているということを——また私ども責任の一端を感ずるわけであります。こういうものは法律できちんときまっておりますから、そういう点の解決を、やはりあなた方のような明確な立場をとるところから、はっきりしてもらいたい。それできつき来申し上げておりますように、失対事業の場合には社会政策的なものを加味した法律であるならば、その線をやはりはっきりしておかなければならぬ。そこがこの間から言っておりますように、十段階と言ったらあなたはかぶりを振っておりましたが、指示はしてないかもしれぬ、ところが五段階にしてそれにBだ、Cだというのが出ておるのです。だからあなたの労働省から指示されたものにさらに出先でこまかく刻んでくるということは、その傾向はどういう傾向かといえば、労務対価としてですね。だから十分な労働力を発揮できる者と、もう労働者自身が老齢のために、病弱なために、そういう労務に耐えない者もありますし、それから十分労働能力を発揮できる実力を有しながら、適当な就職が得られないためにそういうところで一時しのぎをしている者とが一緒になっている。ですからその末端を預かる者としては、その矛盾をいろいろ苦心して消化していっておられると思うのです。私は善意に基くものだと思う。そういうものがだんだんほんとうの精神と相反するようなものになっていきつつある。こういう点は、労働行政でもこの世の中で一番荒れておる部分を処理していくポストでありましょうから、そういうものに対して、どんどん実際面はこうなってきておる、法律の精神はこうだ、この運用はこうしなければならぬといったようなものが、こういう改正案のときに頭を持ち上げてこなければならぬものを、頭をなでるように、後退させるような形にしておるのではないか。その点具体的の例として、この失業保険の問題を取り上げた。この答えは明らかに出たわけであります。この面に対しては局長は日本一の知識を持ち、経験を持ち、またそういう仕事を処理される責任の地位でもありますので、こういう点に対してはやはり明確な見解を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/29
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030・江下孝
○江下政府委員 失業対策事業の問題でございますが、現実に失対事業の就労者が老齢化し、また婦人が多くなってきておるという事実はその通りでございます。従ってこれに対してはむしろ社会政策的な面を考えていくべきじゃないか、これも同感される面が多いわけでございます。
そこで実は一例を申し上げますが、失業対策事業の賃金にいたしましても、なるほどお話のように、各県とも大体三段階あるいは五段階程度の応能制賃金を設けておりますが、御婦人方の賃金というものは、民間が非常に低いわけでございまして、もしこれを民間通り格づけをするということになると、ますますもってこれらの人の生活が困難になりますので、現実の格づけの実情を聞いてみますと、御婦人方に対する賃金は、同種の民間の賃金よりも上回っておるというものも相当実はあるように聞いております。現実にそういうことに、好むと好まざるとにかかわらず、方向は動いていかざるを得ないという点を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/30
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031・井堀繁雄
○井堀委員 この問題はぜひ近いうちに何らかの改善を行うべきものだと信じております。また私どももどういう工合にしたらいいかということについて献策をしなければならぬ立場にあるので、鋭意努力したいと思います。労働省、特にそのポストを預かる局長あたり、しかるべき対案を用意されたいことをお願いいたしまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/31
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032・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一、二点御質問申し上げます。二百八十円以上の場合が一級になり、二百八十円未満の場合は二級、一級が二百円で二級が百四十円だということですが、この三百二円という予算単価がありますが、それから各市あるいは県においておのおのその地域差に応じて予算金額が配賦されますが、実際の支払われる労務費の平均額が、それから予算単価の基準になっておる三百二円、あるいは地域によってそれぞれ違いますが、その配賦される額が大体一致しておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/32
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033・江下孝
○江下政府委員 これは先生も御承知の通り失業対策事業というものは非常に最近各種各様になりまして、さらに構成内容も相当複雑に相なっております。従いまして若干平均賃金の上下を動くことはございますけれども、大体この基準賃金の前後になっておる。あるいはときによりまして若干動くことはございます。しかし年度平均にすれば当然三百二円、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は実情はかなり各市が安全率を見ておるのじゃなかろうかと思います。そうして今私は三百二円で計算したのは知りませんけれども、二百八十二円の場合、おのおのその地域差に応じて予算単価が違いますけれども、それでも、ざっと見て二十円から十五円くらい平均賃金が違っておる、こういうように私は考えるのです。これは私の住んでいる地域だけの市かと思いましたら、福岡の例をとりますと、福岡県全般の各市がやはりそういうような安全率を見ている。これは現地では非常に問題になっているのです。そうして予算単価通り配分しろという問題が起っている。市に言わせますと、安全率を見ておかなければ、あるいは構成内容が将来変ってくるのだという。しかし、そのことはわかるのですが、年度末にぴちっと合うかというと、必ずしもそうでない。ですから、この点得心のいくように説明してもらいたい。そういうことはあり得ないのだ、三百二円なら三百二円は全部労務費に使われるのだ、こういうことであるかどうか、お聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/34
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035・江下孝
○江下政府委員 お話に出ました構成内容によって賃金が若干動くということは、認めなければならぬと思います。しかしそういう場合には当然ワクの方が広がっていくということになるわけです。現在までにあなたお話のように構成内容が老齢化し婦人化しましたために、全国の平均賃金から見ますれば、やや下目にあることは事実でございます。しかしこれは当然将来はまた平均賃金に戻る、こう私どもは考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その老齢化したりあるいは婦人の方が多かった場合には、平均賃金が下るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/36
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037・江下孝
○江下政府委員 これは結局能率というものを賃金の中に考えるわけでございます。従って非能率の方ばかりがその集団にいるということになれば、その集団の平均賃金は若干下るということは当然でございます。そのかわりほかの地域で元気のいい人だけが集まれば、そこでは平均賃金が上っていく、差引同じになって、大体賃金水準で行く、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 地域というのが私は問題だと思うのです。たとえば事業主体、Aという市ならAという地区は、やはり平均賃金になっているのでしょう。たとえばAという市は平均賃金でないけれども、Bという市は平均賃金以上行っている、こういうことはあり得るのですか、この点お聞きしたいのです。地域差は別にしてです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/38
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039・江下孝
○江下政府委員 市という単位ではそういうことはあり得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/39
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040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、事業主体の市という単位では、Aという工事とBという工事についてはそういうこことはあり得るけれども、市全体としてはない、こう理解してよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/40
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041・江下孝
○江下政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/41
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042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実はこれは現地の日雇いの労働組合ではかなり問題にしておりまして、われわれも安定所並びに市当局に行っていろいろ聞くわけですけれども、なるほど年度の初めにおきましては、安全率を見るということはわかるのですけれども、では一年間を通じて安全率を見て、残った金をどうするんだという、実は危倶を持つわけです。それをあるいはほかの金へ回しているということなら、これは別ですけれども、そういうことはあり得ないと考えるのですけれども、かなり安全率を各市見ている。十四、五円見ている。これは一市だけでなくて、各市そうなんです。それで私は非常に危惧の念にかられているわけですが、局長さんの方から、そういうことはあり得ないのだということでありますれば、われわれもその通り、今後施行されているかどうかをいろいろ調査してみたい、かように考えます。そこで二百八十円以上のものは一級なんですけれども、二百八十円以上の場合は大体七割程度だ、こういうことを答弁されたそうですが、今度の失業保険金額の改正でどういう分布状態になっておるのか、人員が表によってみるとどの程度の分布状態になっておるのか、これをお聞かせ願いたい。できれば表があれば、提示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/42
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043・江下孝
○江下政府委員 二百八十円以上が七割といいますのは、全部の被保険者の計算でございます。従って失対有業だけでは六割見当になると思います。失対事業につきましては現在三百二円への賃金の引上げについて各県別の打ち合せをやっておりますので、私どもは一応従来の二百八十二円のときどうであったかということから計算いたしまして、三百二円に上った場合には約六割、こういう数字を申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 しかしあなたの方は保険金額も料金も上げておられるのですから、当然その分布状態がはっきりしなければ、保険経済として意義をなきないのですから、当然計算の基礎ができておると思うのです。実際と若干異なっても計画であるから私はけっこうであると思いますが、各失業保険額の分布状態——失業保険金額でなくてもけっこうですが、要するに賃金の日額がどういうような状態になって、その分布の階層別の人員がどうなっておるか、こういうことを一つお示し願いたい。これがなければいいとか悪いとかいうことはちょっと審議できないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/44
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045・江下孝
○江下政府委員 三百二円に平均賃金が上りますので、二百八十円が従来の線でございますから、大よその賃金分布というものを考えた上で六割という線を出しております。大よその人員分布につきましては後ほど計算しましたものを差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/45
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046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は今度の改正の最も大きな柱はこの三十八条の十一だと思うのです。ですからこの二百八十円以上の場合が一級だとか、二百八十円未満が二級だとかというその根拠をわれわれは知りたい。これなくしてはわれわれは二百八十円はいかぬから二百六十円にしなさいとか、いやこれでも大丈夫ですから三百円でどうですかということは言えない。それが保険経済にどれくらい影響があるのか、あるいはこれをいじることによって料金を改正しなければならない、さらに修正をしなければならないという問題も起るでしょうし、この計算の基礎の表を出して説明してもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/46
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047・江下孝
○江下政府委員 これは非常にこまかい表になりますので、ここで読み上げることは省略さしていただいて、あとで資料としてお届けさしていただいてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/47
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048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 もう質疑打ち切りの予定だそうですから私はあえて言いませんが、これは政府は非常に不親切だと思うのです。健康保険だってやはり標準報酬をかえられる場合には、一応、この通りではありませんけれども人員を出して計算されておる。あなたの方は保険料額を変更されるのですから、そのくらいの親切心があってしかるべきだと思う。条文の説明なんかは見ればわかるのですから、資料をいただいても大して役には立ちません。問題はそういうことが一体納得し得るものであるかどうかということだとわれわれは思う。ですから至急配付願いたい。ほんとうなら間に合わぬところです。
では続いてもう一点質問したいのですが、今度の市町村合併によってあるいは遠距離であるとかあるいは交通費がかかるということで受給しない、権利はあっても放棄するという人があるということで改正になっておるようでありますが、一般の失業保険はそういう事実はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/48
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049・江下孝
○江下政府委員 一般の失業保険ではそういう例外措置はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/49
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050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 法的な措置はない、それはよく知っておるのですが、事実関係としてありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/50
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051・江下孝
○江下政府委員 法的にも事実的にも一般の保険ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/51
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052・多賀谷真稔
○多賀谷委員 事実的にはないというのは、どういう根拠でないと言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/52
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053・江下孝
○江下政府委員 事実上すべて強制被保険者になります。従って失業しましたときは保険金額がもらえるわけでございますから、それはあり得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/53
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054・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは強制適用ですが、権利を放棄する人がありはしないかということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/54
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055・江下孝
○江下政府委員 権利を放棄する人は私はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/55
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056・多賀谷真稔
○多賀谷委員 と申しますのは、保険金の日額が一般失業保険でも二十円という人がある。三十円、四十五円、六十円、七十五円、九十円、こういうふうな刻みになっておりますが、かなりの数保険金額が非常に少い人があるわけですね、そうしてこれは日雇いの場合と違いましてかなり遠方の人もおる。日雇いの場合は、一応日雇いに働くということを前提条件にしますから比較的その附近の人が仕事にくる。ところが一般の失業保険の場合は、遠距離だってどうしてもそこへもらいにいかなければならぬという事実があるわけです。ですから私は日雇い失業保険にそういう適用除外を設けられておるならば、やはり一般失業保険にもそういう事実があり得ると考えるわけです。私はこの法律そのものがいいと言うのじゃないのです。ただ事実関係としてあるんだということを感ずるわけです。日雇いの労働者の方は、仕事にいくけれども保険金はもらいにいかぬという人がある。ところが工場が遠距離にあるという場合には、金額が非常に少いという点からやはりあり得るんだということを考えるわけです。ですからこの点についてどういうように把握しておられるのか、その原因はどこにあるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/56
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057・江下孝
○江下政府委員 一般の失業保険の場合は、御承知の通りごく遠隔地でございますと二週間に一回程度の出頭でいい、日雇いの場合は毎日々々が勝負でございますから、毎日々々失業の認定その他をしなければなりません。従って先生のおっしゃるような例は私は非常に少いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/57
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058・多賀谷真稔
○多賀谷委員 少くてもやはりかなりあるように——われわれは事実調査をしてないですから十分言えないのですけれども考えられるのです。と申しますのは離職が決定いたしまして、そして失業保険の受給が決定した。ところがもらいにきてない。こういうところにやはり人員の差が出てきておると思う。ですから結局、あなたの方の関係ではないのですが、やはり低賃金というところに帰着してくると思うのです。ですから私は日雇いの失業保険にそういうことが起り得るならこれは一般にもかなりあるのだというふうに考えられるわけですが、そういう事実関係がはっきりしておらなければけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/58
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059・藤本捨助
○藤本委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/59
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060・藤本捨助
○藤本委員長 御異議もないようでございますから、本案についての質疑は終了したものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/60
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061・藤本捨助
○藤本委員長 次に最低賃金法案及び家内労働法案を一括して議題とし、審査に入ります。
まず提出者より趣旨の説明を聴取いたします。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/61
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062・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ただいま議題になりました最低賃金法案につきまして、その提案理由及び内容の概要について御説明申し上げます。
労働保護につきましては、すでに労働基準法の制定を見、労働時間の制限、女子年少者の保護、安全衛生の管理、災害補償等の法的措置がなされていることは御承知の通りであります。
労働基準法はその冒頭において、労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。とうたっております。しかして労働時間と賃金は労働条件における二つの柱となっており、天井と床の関係にありまして、いかに労働時間の規制が行われても、賃金について何らかの最低保障がなければ労働保護立法も、その意義の大半は失われ、労働者の生活の安定は期し得られないのであります。
ここに労働時間がそれ以上に上り得ないように天井を設けたと同様、賃金がそれ以下に低下しないように床板を設ける必要があると思うのであります。
労働基準法が実施されてすでに十年、この法律の眼目たる最低賃金制度が日の目を見ないことはまことに遺憾であり、本法案は労働基準法をして保護立法としての本来の使命を達成せしめるために、その補完的立法として提出いたした次第であります。
最低賃金制は前世紀の末、ニュージランドに実施されて以来、オーストラリア、イギリス、フランス、アメリカ、オランダ、カナダ等に行われ、第二次大戦後の今日においては、インド、ビルマ、フィリピンのアジアの後進国及び中南米諸国に至るまで、われわれの調査によると四十九カ国が法の制定を見、ILOにおいても一九二八年、第十一回総会において最低賃金制度の創設に関する条約並びに最低賃金決定制度の実施に関する条約が採択されているのであります。
わが国の労働者の賃金は諸外国に比べて、著しく低く、ことに中小企業の賃金は、まことに劣悪なのであります。日本の資本主義は農村の貧困と、中小企業労働者の低賃金を土台として発達し、現在においても独占資本は、中小企業を隷属下に置き、その基盤の上に確立しているのであり、独占資本は経営の危険をほとんど下請の中小資本に転嫁し、中小資本は、また、その労働者に低賃金と長時間労働を強制して、全く中小企業の労働者は、独占資本と中小資本との二重の圧迫を受けているのであります。しかも最近における神武以来の好景気もこれらの低賃金労働者には潤わず、企業別労働者の賃金較差はますます拡大し、このままでは看過できない状態を現出しております。また神武以来の好況は大企業においては、臨時工、社外工という形の労働者を大量に発生せしめ、本工員と同じ作業をさしながら、きわめて低い賃金で使用し、社会問題を惹起しつつあるのであります。
さらに、わが国の賃金構造の特質に男女別賃金較差の大きいことをあげることができるのであります。同一労働、同一賃金の原則は、賃金決定における大憲章であり、労働基準法の制定と同時に、その条章にもうたわれたところでありますが、婦人労働者は依然として低賃金に押えられ、工場に長年勤めている婦人労働者が、男子見習工よりも安い賃金をもらっている事実を、幾多も指摘することができるのであります。この事実の中に婦人に対する不平等的差別的考え方の封建性の残存を知ることができるのであり、これは全く非人道的非社会的考え方であると言わざるを得ません。男女平等を真に叫ぶならば、わが国のこの慣習的賃金構成を打破して、近代的賃金構成になし、婦人の経済的地位の向上をはかること、が肝要であります。貸金は労働力の再生産を可能にするものでなくてはなりません。しかるに現在の低賃金階層の人々には、労働力の再生産どころか自己の労働力を消耕し続けているような状態であります。このことはまず人道的問題であり、最低生活水準も維持できないような賃金で人を使用することは、社会正義上許されないものであると思うのであります。
現在生活保護法による保護を行なっているのでありますが、その被保護世帯の約四割程度が世帯主が就職して働いているのであります。就職しているものに生活保護法の保護をしなければならないという現実はわが国の賃金のいかに低いかを立証するものであり、かかる低賃金は排除すべきであると考えるのであります。
かような人格をも認めない低賃金の労働者に資質の向上も能率の増進も望み得ず、中小企業もいつまでも劣悪な労働条件に依存し、企業間で互いに価格の引下げ、コストの引下げ、賃金の引下げという形の過当競争を行なっていたのでは、ついにはかえって中小企業崩壊の結果を招来すると思うのであります。
本法案はいずれの企業にも賃金の最低線を画することによって、過度の不当競争をなくし、わが党がさきに提出した中小企業組織法案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案、商業調整法案及び今後提出することになっております中小企業官公需の確保に関する法律案、その他税制・金融等の改正案とともに中小企業の製品の高度化と量産の推進をはかり、わが国の後進的産業構造の近代化を行わんとするものであります。
他方、対外的見地よりしても、本法案は必要欠くべからざるものであります。戦前においては、わが国の輸出品、ことに繊維製品に対してはソーシャル・ダンピングの非難があり、戦後においても依然として、その復活の危倶が払拭されません。ガット加入に際しては、第三十五条を援用した国は、イギリスを初め十四カ国もあり、また最近アメリカにおいての綿製品輸入禁止の法的措置が問題になったことは、御承知の通りであります。
かかる国際情勢下において、政府は労働基準法に最低賃金条項があるにもかかわらず、何ら実現に努力せず、賃金審議会が四業種についての最低賃金制定の答申をしてすでに三年、全然放置されており、わが国の資本家が、かつての低賃金と労働強化にその輸出の源泉を求めた夢の再現を企図し、最低賃金制度の実施を遷延するならば、全く逆に日本は国際市場における信用を失墜し、貿易への道は遮断されることは火を見るよりも明らかであります。
政府は最近輸出産業について最低賃金の業者間の協定の締結を進める計画をもっておるようでありますが、かような糊塗的な対策で、この重大な目的が達せられるかどうか、きわめて疑問であります。
本法案は、わが国製品に対する諸外国のソーシャル・ダンピングのおそれを解消し、わが国の貿易の正常な発展に寄与せんとするものであります。
さらに本法案は完全雇用への道に通ずるものであります。わが国の雇用問題は完全失業者の問題ではなく、むしろ一千万と数えられている。見えざる失業、半失業、潜在失業という名で呼ばれている不完全就労者の問題であります。完全雇用とは単に量の問題だけでなく、質の問題であり、単に職につけばよいというのではなく、少くとも職についた以上は労働力を償う賃金が支払われなければならず、雇用の質的転換をはからなければならないのであります。また雇用の質の向上がなされるならば、家計補助のために労働市場に現われていた多くの者が姿を消し、労働力化率が低下し、応用事情が改善されると考えられるのであります。最低賃金の設定は労働時間の短縮、社会保障制度の確立とともに、わが国の非近代的雇用関係を解消し、完全雇用の達成に資するものであります。
以下内容の概要について述べます。
第一に本法案は附則において、労働基準法の最低賃金の条項を一部改正し、その改正した労働基準法の規定に基いて定めたものであります。そこで本法の適用労働者からは、雇用労働者でありましても、労働基準法の適用を受けない船員労働者、家事使用人、公企業体等関係労働法以外の国家公務員は除外いたしたのであります。
第二に、最低賃金の額は十八歳以上一カ月八千円といたしたのであります。十五歳以上十七歳までのものにつきましては別に政令により決定することといたしております。最低賃金額決定の基準は、各国において種々でありますが、われわれは主として厚生省社会局委託による労働科学研究所の最低生活費の研究の結果によったのであります。これによれば昭和二十七年八月から十月間の調査で、住生活及び公租公課、社会保険料を除いて、家族と共同生活をしている軽作業従事の成年男子の労働力の再生産に必要な最低限度の消費単位が七千円でありますので、これに独身者たるの条件を加え、さらにその後のCPIの上昇率、地域差等により修正し、八千円といたしたのであります。しかしながらこの画期的法律を実施するに当り、賃金の階層別分布、企業の支払い能力、その他諸般の社会的経済的情勢を勘案して本法案の円滑なる運営を期するため、施行後二カ年間は六千円を実施することといたしました。
第三に、右の金額に達しなくとも使用できるものとして、技能者養成者、精神または身体の障害により著しく労働能力の低位な者、労働者の都合により所定労働時間に満たない労働をした者、所定労働時間の特に短かい者、十五歳に満たない労働者の除外例を設けたのであります。
第四に、中央賃金審議会は物価の変動その他により、その金額を百分の五以上増減する必要があると認めた時は、労働大臣に報告しなければならないという規定を設け、労働大臣はその勧告に基き、その必要な処置を講じなければならないといたしたのであります。
以上が本法案の概要でありますが、なお本法案の円滑なる運用をはかるため、一カ年間の調査期間を設け、実態の把握に努め本法案施行に万遺憾なきを期する所存であります。次に、家内労働法案についてその提案理由及び内容の概要について御説明いたします。わが国の労働基準法は雇用関係にある労働者を対象とするものでありまして、商社工場または問屋等の業者から委託を受け、その物の製造等を自宅等で行う家内労働者に対しては法の適用がないのであります。
わが国の家内労働には陶磁器、漆器の製造業、西陣織を初めとする織物業の伝統的技術による手工業的の生産の専業的なものと竹製品、わら工品等の農家の余剰労働力を利用しての副業として発達した副業的なもの、さらに、主として、未亡人、半失業者、低賃金労働者の家族等によって行われている被服、手袋、造花、玩具等の製造に見られる家計補助としての内職的なものがあり、これらは資本制工場生産の時代になっても社会の最下層労働として沈殿しているのであります。
家内労働者は労働保護法はもちろん、社会保険立法の恩恵の外にあって、報酬は業者の懇意にまかされ、作業の繁閑、景気の変動の危険も全部負担せしめられているのであります。
その労働報酬の劣悪なることは中小企業の工場労働者のそれに比較しても、なお格段の相違があり、しかも、作業環境も衛生上きわめて不良にして、これら健康上必要な最低水準にもはるかに達しない劣悪な労働条件をこのまま放置することは、全く社会的問題であり、これが解決は緊要なりと考え、ここに本法案を提出した次第であります。
諸外国におきましても、このような事情にかんがみ、家内労働者を保護するために、最低賃金法の中で規定し、あるいは単独に家内労働法として制定し、あるいは若干の業種の家内労働の禁止をする等、その労働条件の改善に努めてきているのであります。
また、本法案の制定は最低賃金法案との関連において必要性を有するのであります。
最低賃金法のみを実施いたしますと、同法は前述したごとく雇用関係のある労働者を適用の対象とする関係上、一般中小企業の労働者と、家内労働者との労働条件の較差はますます拡大され、このことは、企業間の競争をきわめて不公正にし、かつ経営者は工場を解体し、機械器具を分散して労働者の自宅に持ち帰らせ、家内労働に逃避する危険なしとせず、最低賃金制度の実効を上げるためにも、企業間の公正競争を期する見地からも、本法案は必要なりと考えるのであります。
本法案は大企業労働者、中小企業労働者、零細企業労働者、家内労働者と並ぶわが国の低賃金構造の最底部にあるこれらの労働者の最低報酬を保障するものであって、最低賃金法と相待って、わが国労働者の生活水準を引き上げ、労働者の生活の安定と資質の向上をはかり、わが国経済秩序の確立をはからんとするものであります。
以下法案の概要について申し上げます。
第一に、家内労働者とは委託を受けて物品等の製造等に従事し、これに対し報酬を支払われるものをいうと規定いたしまして、その最低労働報酬額は都道府県労働基準局長が物品ごとに決定することにいたしました。
第二に最低報酬額決定の基準は最低賃金法に定める時間労働賃金に当該物等の製造等に要する標準所要時間を乗じて得た額とすることにいたしました。
第三に労働時間の制限その他作業環境の規制等の問題がありますが、労働の実態から規制することは事実上困難でありますので、これらは今後の研究に待つことにいたしました。
第四に機構といたしまして最低報酬額その他を審議するため、中央家内労働審議会、地方家内労働審議会を設け、監督組織といたしまして家内労働監督官を置くことにいたしたのであります。
本法の施行は最低賃金法と同じく一カ年後でありますが、調査の必要上家内労働審議会のみを公布と同時に発足いたしますことにいたしたのであります。
何とぞ、慎重審議の上、本法案に御賛同賜わらんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/62
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063・藤本捨助
○藤本委員長 以上で最低賃金法案及び家内労働法案についての説明は終了いたしました。
なお、両案についての質疑その他につきましては後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/63
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064・藤本捨助
○藤本委員長 次に、公衆衛生修学資金貸与法案、結核予防法の一部を改正する法律案及び母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。
本各案につきましては前会におきまして質疑を終了いたしておりますので、これより三案を一括して討論に付すのでありますが、通告もありませんので直ちに採決するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/64
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065・藤本捨助
○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
採決いたします。三案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/65
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066・藤本捨助
○藤本委員長 起立総員。よって本案はいずれも原案の通り可決すべきものと決しました。
次に、ただいま可決いたしました結果予防法の一部を改正する法律案に関して発言を求められておりますので、これを許可いたします。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/66
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067・滝井義高
○滝井委員 私はここに結核予防法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。
まず決議文を朗読いたします。
附帯決議案
政府は、社会保障制度審議会の医療保障制度に関する勧告を尊重し、急速、抜本的に結核撲滅対策を樹立すべきであり、その過渡的措置として、至急に結核予防法第三十四条及び第五十七条を改正し、結核医療費に対する公費負担の義務化とその負担率及び医療費並びに健康診断、予防接種に対する国庫補助率の引上げを図るべきである。
右決議する。
この趣旨といたしますところを簡単に御説明いたします。
すでに日本の結核というものは、人口十万に対する死亡というものは四万六千台に下って参りました。昭和二十年当時十四万台を上下しておりました結核死亡が昭和三十年においてその三分の一以下に下ったということは、日本の結核の状態というものが質的にも相当変ってきておるということを示すだろうと思います。また結核の国民死因順位の状態を見ても、かつては一位、二位の死因の順位を保持しておった結核が最近は五位に下って参っておるような状態でございます。こういう状態から見て、現在ある程度の財政的な措置を講じていくならば、日本の結核というものは抜本的に撲滅ができるのじゃないか、こういう感じがいたす次第でございます。従ってそういう考え方に立つならば、まず何よりも現在結核予防法における公費負担の問題を、開放性の結核患者あるいは療養を要する患者諸君、すなわち療養を要する二百九十二万あるいは開放性の患者であるという疑いをもって即時入院を要する百三十七万の諸君に重点を置いた施策というものがまず第一にとられなければならぬと思います。それには現在公費負担というものが国と県で合せて二分の一を負担することになっております。この二分の一の負担率をこの際思い切って、でき得べくんば全額公費負担、それが財政の状態によってできないとするならばやはり三分の二程度は国と県が持つというくらいの施策はこの際講ずる必要があるのじゃないかと思うのです。同時に現在この公費負担制度の大きな隘路になっておる点は、地方自治体である県の負担分が義務として規定ずけられてないところに問題がある。従って現在県の負担をする四分の一というものを少くともこの際義務費にするという措置がとらるべきだろうと思います。こういうように公費負担が県においては義務となり、国、県合せて負担率をある程度引き上げていくということになれば、日本の結核対策特に治療面においては飛躍的な進歩が見られるだろうし、結核も急速に終息をしていく姿がとれるのじゃないかと思うのです。と同時にそういう治療の面をやるばかりでなくして、その一歩前の段階である健康診断なりあるいはツベルクリンの反応なりあるいはBCGの接種、こういう予防接種面におけるところの国の負担の状態を見ると、今回の結核予防法の改正で法六十一条を削除することによって今まで地方住民が負担をしておったいわゆる実費だけは負担をしなくてもよいことになりました。これは結核対策の上において一歩の前進ではございますが、前述のごとく日本の結核が質的な大きな変化をしようとする現段階から考えるときには、単に実費の負担を削除するというだけではこれはなまぬるいと思います。この際さらに百尺竿頭一歩を進めて、健康診断なり予防接種に対する国の補助率というものを大幅に引き上げて、そして日本の結核の撲滅をはかることが適切であろうと考えます。
以上の理由からここに附帯決議案を出した次第であります。何とぞ御了承をして御賛成を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/67
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068・藤本捨助
○藤本委員長 ただいまの滝井君の発言により結核予防法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。本動議に関する御発言はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/68
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069・藤本捨助
○藤本委員長 御発言もないようでありますから採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/69
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070・藤本捨助
○藤本委員長 起立総員。よって本動議は可決され、結核予防法の一部を改正する法律案に対して附帯決議を付するに決しました。
次に、ただいま可決いたしました母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案に関して発言を求められておりますのでこれを許可いたします。山下春江君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/70
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071・山下春江
○山下(春)委員 私はここに母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。
まず決議文を朗読いたします。
附帯決議案
母子相談員に要する費用はその二分の一を国が負担する規定の存するにも拘らず現在その適用が停止されているため、母子相談員の手当の支給については事実上円滑を欠く場合が少くないので、政府は売春防止法における婦人相談員の場合におけると同様の予算措置を講ずることとして、母子相談員の活動の一層の充実を図るよう速かに善処されんことを要望する。
右決議する。
この趣旨といたしますところは、簡単に申し上げますれば、母子相談員というのは、未亡人に対する貸付法が制定されて以来、この円滑な運営と母子家庭の更生に努力すべく非常な努力を傾けておる人たちでありまして、その事業量は非常に広範囲にわたっておるのであります。この母子相談員というのは非常勤でありまして、福祉事務所にその席がございますけれども、非常勤なるがゆえに、地方で、今地方自治財政が非常に窮乏いたしておりますので、この相談員に対する手当がきわめて不円滑に運営されております。ところによりますと、三日間でいいとかあるいは五日間にしてくれというようなことを申しまして、この一生懸命働いておる人たちをほんとうに悲しませておるのであります。なぜそういうことになっておるかと申しますと、この手当は法律ではちゃんと二分の一を国が負担すると今申し上げました通りに規定してあるにもかかわらず、その費用が全額平衡交付金に入っておりますために、申し上げたような地方自治財政の関係上、弱い、声のないところに一番しわが寄せられておりまして、相談員がそういう苦境に陥っておるのであります。相談員に対しましてはどのくらいの手当がなされているかというと、この法が二十七年に制定されたときに七千五百円ときめられました。その後一つもこれが改正されておりませんので、多分三十一年からだと記憶しておりますが、厚生省が非常に努力されましてこの積算基礎を九千円として自治庁に報告されておるはずでございます。それが、九千円を支給しておるところが全国きわめてまれに多少ある程度であって、七千五百円がすえ置きでありますが、その七千五百円もだんだんと食い込まれております。母子相談員はこれだけの大事な仕事をしておるにもかかわらず、そのほかの手当は、法の上で旅費を二万五千円支給するということが規定してあるのですが、これもまた平衡交付金であるためにほとんど実施されていない現状でございます。そういうことでは、この大切な法律を運営する末端の最も大きな役目をもっておる婦人相談員の活動が十分に行われないことは申すまでもないことでありまして、現にこの母子福祉資金貸付等に関する法律の方の償還率が漸次下っております。施行された翌年の二十八年には八一・五%であったのが、三十年には七三・六%と下っております。こういうことも、この相談員に対する処遇があまりに過酷であるところから起ってきております。そこで、厚生省におかれましては必要な法改正等を行われまして、この相談員に対する手当を平衡交付金の中に繰り込むことをやめて、ぜひとも法律の規定している通りその支払うべき費用の二分の一を国庫が補助するということに至急にお改め願って、母子相談員の活動を円滑にしていただきたいと思うのであります。母子相談員というのは、おおむね母子家庭の方々でありますから自分たちの未亡人グループの仕事だものですから、ほとんど献身的にこれらの手当等は問題にしないでやっておりますけれども、ものには限度というものがございまして、母子家庭に対してこのことを措置するということは、現に売春法の婦人相談員に対する手当を国が半分持っているということと考え合せてみますならば、当然過ぎる措置でございますので、ぜひともすみやかにこの措置を講ぜられるようにお願いいたしたいというのがこの附帯決議を付した理由でございます。
何とぞ皆様方の全員御賛成を願って可決をさせていただきたいとお願いをするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/71
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072・藤本捨助
○藤本委員長 ただいまの山下委員の発言により、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。
本動議に関する御発言はありませんか。——御発言もないようですので、採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/72
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073・藤本捨助
○藤本委員長 起立総員。よって本動議は可決され、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案に対して、附帯決議を付すことに決しました。
この際中垣厚生政務次官より発言を求められております。これを許します。中垣政務次官発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/73
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074・中垣國男
○中垣政府委員 ただいま本委員会におきまして議決されました二つの附帯決議に関しましては、政府は特にこれを尊重いたしまして、この趣旨に基きまして努力をいたす考えでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/74
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075・藤本捨助
○藤本委員長 なお本日議決いたしました三法案についての委員会報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/75
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076・藤本捨助
○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
次会は来る二十五日午後一時理事会、午後一時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X02819570322/76
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