1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十七日(金曜日)
午後七時三分開議
出席委員
委員長 藤本 捨助君
理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君
理事 大橋 武夫君 理事 亀山 孝一君
理事 中川 俊思君 理事 野澤 清人君
理事 八田 貞義君 理事 八木 一男君
加藤鐐五郎君 草野一郎平君
小島 徹三君 田中 正巳君
高瀬 傳君 中村三之丞君
中山 マサ君 古川 丈吉君
亘 四郎君 有馬 輝武君
井堀 繁雄君 岡本 隆一君
五島 虎雄君 滝井 義高君
出席政府委員
厚生政務次官 中垣 國男君
厚生事務官
(大臣官房会計
課長) 堀岡 吉次君
厚生事務官
(大臣官房国立
公園部長) 川嶋 三郎君
厚 生 技 官
(公衆衛生局
長) 山口 正義君
委員外の出席者
厚生事務官
(大臣官房国立
公園部管理課
長) 甲賀 春一君
厚生事務官
(公衆衛生局環
境衛生部環境衛
生課長) 坂元貞一郎君
厚 生 技 官
(公衆衛生局環
境衛生部食品衛
生課長) 小谷新太郎君
厚 生 技 官
(医務局次長) 河野 鎮雄君
厚 生 技 官
(医務局国立療
養所課長) 尾崎 嘉篤君
専 門 員 川井 章知君
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五月十七日
理事大橋武夫君及び亀山孝一君辞任につき、そ
の補欠として植村武一君及び八田貞義君が理事
に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
旅館業法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一三五号)(参議院送付)
食品衛生法の一部を改正する法律案(第二十四
回国会閣法第一二三号、参議院継続審査)
自然公園法案(内閣提出第一四一号)(参議院
送付)
社会保障制度、医療、公衆衛生及び婦人・児童
福祉に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/0
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001・藤本捨助
○藤本委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。理事大橋武夫君及び亀山孝一君より理事辞任の申し出があります。これを許可し、その補欠選任につきましては、委員長より指名するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/1
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002・藤本捨助
○藤本委員長 御異議なしと認め、値村武一君及び八田貞義君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/2
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003・藤本捨助
○藤本委員長 社会保障制度、医療、公衆衛生及び婦人・児童福祉に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、これを許します。有馬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/3
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004・有馬輝武
○有馬(輝)委員 時間の制約があるようでありますから、私もなるたけ簡単にお伺いいたしますので、次官並びに事務当局の方々も簡明に御答弁をいただきたいと存じます。
冒頭に、この厚生当局の御努力に対して敬意を表しておきたいと存じます。私が今から質問しようといたしておりますライの問題につきましても、苦しい予算の中で皆さん方は非常な努力をされておられます。私も全生園なりあるいは私の地元である敬愛園にしょっちゅう参っておりますが、医局の方々もその他の職員の方々も、一般にある偏見なりなんなりというものの中で献身的な真摯な努力をしておられますので、この点については、皆さん方の指導で非常に誠意が行き渡っているんじゃないかと日ごろから感謝いたしておる次第であります。さらに、不自由者援護金の問題にいたしましても、百円から現在の二百円に引き上げていただいた努力についても感謝いたしております。
それで私は次の諸点についてお伺いしたいのであります。
まず第一に、昨年の四月にマルタ騎士協会の主催によりまして、ローマで五十一ヵ国二百五十名の代表者を集めてこの問題に対する会議が開かれ、大島の青松園長の野島泰治氏外が出席されたと聞いておりますが、これに政府としてはどのような方を派遣されたのか。それからそこでどのようなことが決議されたのか。第三点として、その決議をいかなる機会に、いかなる方法でわれわれに通知し、あるいはまた療養所に入っておる諸君にその趣旨を徹底せしめたのか。
〔委員長退席、八田委員長代理着席〕
またその決議事項についてどのような努力を政府としてはしておられるのか。この点について簡明にお話をいただきたいと存じます。問題は、療養所に入っておる患者の諸君は、政府が意識的にこのローマ会議の模様を報告しないで、これをサボっておるというような受け取り方をいたしておる向きもありますが、このようなことであっては、冒頭で申し上げましたせっかくのあなた方の努力というものが何にもならないことになる。万が一こういった点についてほおかぶりをしておるようであったならば、私は政府の責任は重大だと思うのであります。この点について、最初の問題については政務次官の方から御答弁をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/4
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005・中垣國男
○中垣政府委員 お答えいたします。ただいま御質問になりました国際ライ会議に政府はいかなる人を出し、どういうことをやったかというお尋ねであったと思うのでありますが、これは厚生省といたしましては別に政府代表といったような形では出していないと思います。なお、この問題につきましては、正確を期しますために所管局長から答弁をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/5
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006・山口正義
○山口(正)政府委員 ただいま有馬先生の質問に対して政務次官がお答えになりましたように、昨年の四月十六日から十八日までローマで開かれましたイタリア国のマルタ騎士団主催のライ会議に対する政府の態度でございますが、主催者が民間団体でございますので、ただいま政務次官からお答えになりましたように、政府代表という形ではなしに、日本の民間団体でございます藤楓協会の常務理事の浜野さん、それからライ学会の代表という意味で多磨全集園の園長の林さん、それから別に個人的と申しますか、ライ学会等も関係がございましたが、大島青松園長の野島先生、その三人の方が出席されたわけであります。決して政府代表という資格でおいでになったわけではございません。それを御了承願いだいと存じます。
それから会議の決議の内容でございますが、これは一つ一つ申し上げますと非常に長くなりますので、差し控えたいと思いますけれども、一口に申し上げますと、らいは伝染病ではありますけれども、他の伝染病の患者と特別な区別をしないで同様に取り扱うようにということが主でございます。そうしてらい患者についても社会復帰、早期発見、早期治療は当然やらなければなりませんが、社会復帰ということを十分考えるようにというような決議があったのでございます。しかしながらその前に決議の案として、医学的な立場からはやはりらいが伝染病であり、また特殊な疾患でございますので、国のとるべき対策としては、その国の患者の数とそれから国の持っておる施設、それによっておのおの違ってくる。従って患者の割合に施設の整備しておるようなところではできるだけ施設に収容した方がいい。しかしながら患者の数に比較して、たとえばインドのように非常に患者の数が多くて施設が十分でないというようなところでは、やはり在宅治療というようなことも必要ではないかということが、医学的に決議案の中に出ておったのでございますが、その後医学者だけでなしに宗教家の方々などが参加されて、最終的な決議案が作られましたときには、できるだけ差別待遇をしないようにというような決議案ができ上ったわけでございます。それでその決議の内容を三人の方々が日本に帰られてから故意に隠しておられる、あるいは厚生省といたしましてもそういうものを発表してもらっては困るというような態度は絶対にとっておらないのでございまして、藤楓協会の常務理事の浜野さんは帰られるとすぐ、これは全部の療養所を回られましたかどうか、そこははっきりいたしませんが、療養所を回られて患者を集めてこういう話があったというようなことを話をされました。また林園長は多磨全集園の機関雑誌でございます「多磨」という雑誌の昨年の九月から十一月号にかけて三回に分けて、特に十月号にはその決議の内容等も全文を掲げて発表しておられました。これが患者の方面には配られておるわけでございまして、決して行かれた方も帰ってきて故意にその内容を隠すとか、あるいは政府もそれを発表しては困るというような態度はとっていないのでございます。
その決議に対する政府のその後の態度と申しましょうか、努力と申しましょうか、それにつきましては先ほど申し上げました決議の前段にございました医学的な見地からローマの会議でもいろいろ議論がございまして、患者の数と施設というような点から考えまして、現在の日本におきましては一万数千人と推定されます患者に対しまして、国立の療養所並びに私立の療養所をまぜましても、一万以上の収容施設がございますので、患者本人のためを考え、また家族のことも考え、また公衆衛生の立場からも、施設に入ってもらって治療を加えるということが正しいのではないかということで、そういう態度は従来もとっておったわけでございますが、その線をさらに踏襲してやっているわけでございます。
なお社会復帰につきましては、これはあとで医務局の方からお答えがあるかと存じますが、療養所の中で職業補導その他のことを現に実施しているわけでございます。決議の内容、非常に端折って申し上げましたので簡単に過ぎたかと思いますが、一応お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/6
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007・有馬輝武
○有馬(輝)委員 そういった経緯であったという点については了承いたします。問題はその決議の内容をどのように具体化するかという点にあろうと存じます。偏見の是正というような点につきましては、これは何も皆さん方の努力の足りなさということだけを責めようとは思いません。私自体が敬愛園なり何なりに参りまして家に帰ると、家の者がやはりそれなりのことを言う。社会一般にある偏見なり何なりというものはなかなか抜きがたいものであることもよく承知いたしておりますので、鋭意今後もその努力を続けていただきたいと思うわけであります。お隣の韓国がかつて一万五千名あった患者が現在では四万五千名にふえているのに対して、日本では実数はここ半世紀くらいの間に半分に減り比率も四分の一くらいになっている。これは皆さん方の努力の結果だというふうに感謝いたしているわけでありますが、それにいたしましてもこの会議で取り上げられましたコロニーの問題等についてどのような結論を出しておられるのか、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/7
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008・山口正義
○山口(正)政府委員 ただいま御指摘の点は、先般の昭和二十八年のらい予防法の改正の際にも、らい療養所から退所いたしました者に対する特別のコロニーを考えてはどうかというような意見も出ておったのでございます。それは今後医学の進歩に従いまして、らい患者の治療効果というものがもっともっと進みました暁において、そういう点を考えなければならないと存ずるのであります。できれば一般の社会に溶け込ませて社会復帰をさせるということが一番いいと思うのでございますが、それができないようなときにはやはり特別な施設を作るというようなことが必要ではないかというように考えるわけでございますが、現段階しおきましてはまだ特別なコロニーを作るというところまではいっておりません。
それから決議の中にございました児童を感染から守るという点の保育所の問題であります。これが一つ大きなテーマとして決議の中に取り上げられているわけでございますが、その点につきましては未感染児童の保育所ということにつきまして国立療養所に数カ所施設してございます。またその保育所で一定の年令を経た者をどういうふうにして社会に溶け込ませていくかということにつきましては、わが国のらい関係の民間団体でございます藤楓協会において、現在国の委託事業として社会復帰と申しますか、これは患者ではございませんので、そういう特別な児童を一般の社会に溶け込ませるという措置について特殊な対策を講じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/8
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009・有馬輝武
○有馬(輝)委員 次に伺います。今局長の答弁の中にも出て参りました昭和二十八年の改正の際に附帯決議といたしまして、退所者に対する厚生福祉制度を確立し更生資金支給の道を講ずることというのがあったことは御承知の通りであります。問題はその具体化に対する政府の態度でありますが、私は率直に申し上げまして、この院の決議を尊重しておられるという工合には受け取れないのであります。たとえばことしに入りましてからも、二月の二十七日に、御承知だろうと思いますが、高校生が退所してしかも生きていくすべを、希望を失って自殺した事実があります。なぜこの附帯決議の趣旨が実行できないのか、簡単でよろしゅうございますから、御答弁をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/9
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010・山口正義
○山口(正)政府委員 御指摘のように、昭和二十八年のらい予防法の改正の際に九項目にわたります附帯決議が付せられておるわけでございます。政府はその決議の線に沿いまして、特にそのときに重要視されましたらい研究所の問題、あるいは患者家族の生活援護の問題ということを昭和二十九年から予算的な措置を講じて実施をしているわけでございますが、しかしながらただいま御指摘の点につきましては、現在のところまだ更生資金を出してそれを更生させるというようなところまでいっておりませんことはまことに遺憾なことだと存じます。
なおそのほかに決議のありました点につきましても、たとえば通名の問題などはまた学問的にもいろいろ議論されておりますので、必ずしも決議されました通りに現在いっておりません。その点まことに申しわけないと思うのでございますが、御指摘の退所者の更生というようなことにつきましては、先ほど申し上げました未感染児童の保育所を終えた者に対する更生というようなことと結び合せて、今後実現に努力して参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/10
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011・有馬輝武
○有馬(輝)委員 中垣さんに今後の決意と申しますか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
今も局長からお話がありますように、社会復帰者の問題につきましては、先ほど私が申し上げました社会一般における偏見があります。また学歴ある者、経験ある者でも、御承知のように、非常に就職しがたい状況にある、しかも入園者は、私の存じておりますところでは、平均大体十二年くらい、長い人では二十年も三十年もおって社会に復帰するということであれば、その間の社会的なブランク、年令的な問題、住居や結婚の問題もありますでしょうが、あらゆる問題から障害が一身に集まっておるという状況の中で社会にほっぽり出される、これに対しては当然国のあたたかい援護の手が差し伸べられない限り、せっかく全快しても社会へ帰ることをいとうという状況になるわけであります。療養所においでになるとおわかりだろうと思いますが、めくらやその他早急な回復の見込みのない人の方がむしろ明るい顔をしておる。これはなぜか。私がここで申し上げるまでもないと存じます。これに対して今おっしゃったような形で、ほかの問題と同じように将来努力したいと思います。そういった抽象的なことでは問題は解決しないと思いますので、この点に対して次官として、本日は大臣のかわりにおいでになっておりますので、意のあるところをお聞かせ言いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/11
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012・中垣國男
○中垣政府委員 有馬さんにお答えいたします。らい収容所に収容されておられた方々が回復されまして退所されるような場合に、就職の問題であるとか、あるいは住居、結婚等の問題で非常に因られる、そういうことのためにむしろ回復される人の方が非常に不幸な感じを持っておられるという点、この点はほんとうにそうであろうと私どもも考えます。そこで政府といたしましてはそういう回復をなさって退所なさる方に対しまして特別に厚生福祉制度をば設けまして、そうして更生資金の支給の道をばあらためて設ける。こういうふうにいたしまして、回復なさって退所される方の更生の道に少しでも援護の手を差し伸べなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/12
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013・有馬輝武
○有馬(輝)委員 それはやらなければならないわけですが、私当然そういった角度から答弁があるだろうと思いまして尋ねませんでしたけれども、現在まで次官がおっしゃったようなことは厚生当局がいつでもやろうと思っていたことなんです。問題はそれをどのようにして実現するのか、こういうことをお尋ねいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/13
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014・中垣國男
○中垣政府委員 有馬さんから御質問のありました点は、そのやり方についてどういうふうに考えておるかということだと思うのでありますが、これはやはり藤楓協会などにも連絡をとりまして、できることから一つずつやっていきたい、こういうふうにするほかないだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/14
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015・有馬輝武
○有馬(輝)委員 問題は、ざっくばらんに申し上げまして、岸内閣は一千億減税、一千億施策というものと同時に、社会保障制度というものについて努力するということをうたわれておるわけです。やはりその内閣の施策を打ち出すからには、それを裏づけるところの予算的な努力があって初めて国民のその内閣に対する信頼度を深めるのでありますが、一方ではそういうことを喧伝これ努めながら、今局長が私に答弁しておりますような嘆きを訴えておる。これは嘆きに違いない。そのような状況をどう解決するかということであります。昭和三十二年度の予算編成については忽忙の間であってそういったところまで目が届かなかったといえばそれっきりのことでありましょうけれども、私はそういった点を大臣、次官が努力しなければ問題は解決しない。そういった点について来年度からほんとうにやり抜く決意があるのかどうか、こういった決意をお伺いいたしておるのであります。
〔八田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/15
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016・中垣國男
○中垣政府委員 有馬さんにお答えいたします。未感染児童につきましては三十一年からこれらに対して保護をしておりますが、三十二年度は御承知のような予算がすでに成立いたしましたので、岸内閣が社会福祉国家建設のための努力がこういう点に足りないという御指摘の点は、全く私どももそれを認めざるを得ない。そこでこの問題については三十三年度に退所者に対する厚生福祉制度の確立、いわゆる更生資金の支給が実現できますように、予算化できますように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/16
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017・有馬輝武
○有馬(輝)委員 中垣次官の意のある決意をお伺いいたしましたので、非常にうれしく存じます。期待いたしておりますから、ぜひ実現していただきたいと存じます。
次に、お伺いいたしますが、これは局長でけっこうでございます。患者の諸君がランダム・サンプリングの方法でありますけれども、生活費の実態調査をいたしております。それによりますと、月平均二百八十円くらいの赤字を出しておるようでありますが、これについては、先ほどちょっと触れました援度金の問題その他の問題もあるだろうと思いますが、たとえば作業賃の問題にしましても、能率の高いものに対しても一律にとにかく医学的な立場からも日給を払う、そういった趣旨はよろしゅうございますがしかし、ここにもありますが、女子の調髪部で日給十九円、畳の修理部で日給二十三円、男子の調髪部で日給十九円、洗たく集配部で日給十八円、裁縫部で日給十九円、木工部で二十三円、出版部で日給十九円、こういった形で作業賃というものを支給しておっては、この赤字は当りまえ過ぎるほど当りまえのことになってくると思います。この点は局長もお認めでございましょう。問題は、これをどのように解決しようとしておられるのか、本年度の予算ではどのような額を要求したのか、来年度はどうしようとしておるのか、簡明に御答弁をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/17
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018・河野鎮雄
○河野説明員 ただいま具体的な数字をお示しの上で御質問を受けたわけでありますが、私どもはそういった数字を実は存じておりませんので、実際に患者に支給しておりますのは、一般の慰安金が大体平均五百円、そのほか不自由者に対しましては、ちょっと御意見がございましたが、昨年百円であったものをことし二百円に増額をいたしてもらっておるわけであります。そのほか作業をいたしました場合に、ただいまお示しの数字よりはもうちょっと上回った数字を実は差し上げておりますがた、だそういった作業に対します何と申しますか給与につきましても、実はこれは賃金というような考え方でございませんので、らい療養所という一つの共同体と申しますか、一つの社会を形成しておるわけでありますから、そこで衣食住を国でごめんどうを見て療養していただくという建前をとっておるわけであります。ただその中において働いていただける者には、お互いに助け合うという意味で療養所の運営にも御協力をいただいておるわけであります。そういった方々に対しで若干お小づかいというふうな意味で差し上げておるわけであります。額は仰せのように必ずしも十分というふうにも申せないかと思いますが、そういったような趣旨で差し上げておるわけであります。大体そんなような実情になっておりますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/18
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019・有馬輝武
○有馬(輝)委員 名称はどうでもいいのです。問題は先ほどあげました、私が指摘した赤字の状態にある。これはたばこを吸うな、お菓子も一カ月一回くらいしか食べるなと言ったって、それは人間として無理なんですよ。ですから私は世間並みの——世間並みといっては語弊がありますけれども、余裕のある生活を療養所の人たちにやってくれという無理な注文はいたしておりません。問題は赤字のない、少くとも嗜好品その他についてはある程度のものが買える、そしてそういう状況の中に置かれてむしろ全快を早めるということでなければ、せっかくの努力が努力にならない。こういった点について現在のやり方というものは、名称のいかんにかかわらず、常識をはずれておるのではないか、この点をお尋ねいたしております。この点についていま一度御答弁をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/19
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020・河野鎮雄
○河野説明員 御指摘のように、必ずしも十分のお金を差し上げているというふうには言えないかとも思うわけでございますが、ただいま申し上げましたようなことをいろいろあわせまして、できるだけのお世話をしているつもりでおるわけでございます。たとえば不自由者の慰安金の点につきましても、本年度予算で従来の倍額に引き上げていただいたようなことになっておるわけでございます。なお今後御指摘の点につきましては十分検討して参りたいと、かように存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/20
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021・有馬輝武
○有馬(輝)委員 百円を二百円にしたのにお礼を言ったりすると、あなたはその気になって、しょっちゅうそれを出して答弁されるけれども、今申し上げたような点はよほど考えてもらわないと困ると思うんです。大蔵大臣等にも来ていただいて、一緒に聞いていただければ、来年度の予算編成に対して、あなた方の努力の際にもいいのじゃないかとさえ私は思っておるのですが、その点先ほど中垣次官の御答弁がありましたから、中垣次官を信頼いたしまして、そういった面についても十分解決されるだろうし、その努力をあなた方がされるであろうということを期待しまして、委員長から急がれておりますので、あと一、二の問題だけに限ってお尋ねをいたしたいと存じます。
次は施設の問題でありますが、たとえば冒頭で私が質問しましたローマ会議におきましても、ジョホールのゼネラル・ホスピタルの院長さんから、行かれた野島さんが質問されて、参ったと言っておるのですが、それは何かといいますと、向うでは精神病なり重患者はそれぞれの専門の病院に入院できるような態勢にある。ところが日本の療養所はどこでも重患者も軽患者と一緒に押し込められておるようなところさえあるくらいでありまして、そういった点について今後どのように改善されようとしておるのか。具体的な数字でお願いしたいと思いますが、本年度はいかほどの予算を要求してこの改善に努力しようとしたのか、大蔵省はそれをいかほどに減額したのか、この際明瞭にお答えいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/21
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022・河野鎮雄
○河野説明員 本年度予算でお願いしております整備費は一億四千四百七十万円余り、要求額はちょっと資料を持っておりませんので申し上げかねるのでございますが、これで十分な金額だとは私どもも思っておりません。今後ますます整備していくためにはなおこれ以上の金が要るんじゃないかと思います。財政事情等でこういった金額に組まれておるわけでございます。この運営につきましては十分実情に合ったような、たとえば危険に瀕しているような建物があればそういったところを先に修理するとかいうふうなことで、効率的に使っていって収容されている方々の医療に支障のないようにして参りたい、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/22
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023・有馬輝武
○有馬(輝)委員 今効率的にというような御答弁をされたけれども、あなた方は率直に言ってもらいたいのです。私は何も厚生省をいじめようというような質問は一つもしていないはずです。ところが今みたいな答弁をされる。私のところの敬愛園なんかに行きますと、講堂、礼拝堂というのですか、あそこへ患者の諸君に集まってもらうとみんな入口のところにすわっちゃう。なぜかというと白アリが食っているからいつこわれるかわからない、そういう状態である。大島からも私のところへいろいろ来ておりますが、ただ単に講堂や礼拝堂の問題じゃなくして、重病棟にしてもふろ場にしてもとにかく常識はずれの状態に置かれておるのでありますから、そこら辺についてはやはり先ほど申し上げました患者の作業賃なり援護金の問題、これは二百円になったといっていばっておられますが、少くとも三百五十円ぐらいにしなければやっていけない。そういったことについて私が質問する前にあなたの方がよく御承知のはずなんですよ。私たちに言いわけする前にその意欲を予算の実現化という点に注いでもらいたい。私たちが質問しなければならないような雰囲気に置いてもらいたくないということが本日私が申し上げたかったことであります。先ほどの次官の御答弁を私は信頼しておりますから、来年度また同じような質問を繰り返さないようにお願いしまして私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/23
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024・藤本捨助
○藤本委員長 滝井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/24
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025・滝井義高
○滝井委員 少しとっぴな質問をするようでございますけれども、先に会計課長さんの方にお尋ねしたいのです。第一にお尋ねをしたい点は、多分曽田さんが医務局長の時代に国立病院や国立療養所にどの程度の未納があるかという御質問をしたことがあるのです。そのときに曽田さんの御答弁は、当時の速記をちょっと調べてみましたけれども、時間的な余裕がなくてどうもはっきりしたことが出てこないのですが、私の記憶をおぼろげながらたどってみますと、多分六%ぐらいではなかったかと記憶をしておるのですが、国病院と国立療養所を合せて年間どの程度の未納があるのか、これをちょっとお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/25
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026・堀岡吉次
○堀岡政府委員 パーセンテージはちょっと割り算してございませんから申し上げかねますが、なま数事だけ申し上げますと、国立療養所だけでありますが累計二十二億四千四十八万円、それから国立病院でありますが、これはいずれも三月の末に締め切っておりまして、病院の方は十億五千六百二十八万、概数であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/26
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027・滝井義高
○滝井委員 そうしますとこれは累計でございますから、ずっと前から積み重なって昭和三十二年三月三十一日までに未納になっておるものが国立病院と国立療養所を合せて三十二億、こういうことなんですか。——さようだそうでございます。そうしますとおよそ六%ぐらいになるのじゃないかという気がします。というのは、多分国立病院と国立療養所の医療費は一年百五、六十億程度だったと思います。六%にして九億ですから、おそらく過年度の未納というものはだんだん少くなってきておるだろうと思いますし、やはり三十年度とか三十一年度というところの方が多いだろうと思います。そこでこれは医務局の次長さんにお尋ねしたいのですが、今回健康保険法の改正で御存じの通り初診については百円までを限度として一部負担が課されることになりました。入院については一日三十円の負担が課されることになったのです。そうしますとあなた方の推計では未納がどういう状態で増加をしていくかということです。五、六%の未納は一年に今まででもあった、それが過去のこの三十二億の累積した未納の状態から見てどの程度上昇するかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/27
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028・河野鎮雄
○河野説明員 実は大へんむずかしい御質問でどういうふうにお答えしていいか、ちょっと戸或思うわけでございますが、一部負担がふえることによって若干の未納があるいは多くなるのではないかということは抽象的には考えられないこともないのでありますが、まだ実績が出ておりませんのでここでどのくらいということをはっきりお答えいたしかねるのであります。この点は一つ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/28
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029・滝井義高
○滝井委員 いや、実は政府は三年がかりで健康保険法をお通しになった、大体日本の経済も相当安定してきたし未納は大して起らないんだ、こういう認定のもとに実は健康保険法をお通しになった。これは与党の諸君もよくお聞きになってもらわなければならぬ点なんです。すでに一部負担のないときに入院料その他合してとにかく三十二億の未納があるということなんです。これはやはり私は相当問題だと思うのです。こういう点をどういう工合に考えておるかということをまず保険当局の意見も、この際健康保険も通ったし気持も楽になっておるだろうと思いますのでこれは聞いてみる必要があるのじゃないかと思うのですが、保険当局が来るまで一応それは留保しておきましょう。
三十一年度の未納は幾らなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/29
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030・堀岡吉次
○堀岡政府委員 ちょっと私からお答え申し上げますが、先ほど三月三十一日現在と申し上げましたのは暦年の三月三十一日でございまして、会計年度はその後締め切りますので、決算としてはこれよりずっと未納額は減るわけであります。そこで三十一年度は三月三十一日現在で、これは決算じゃありませんが、療養所は十三億四千六百六十三万円、これは三月三十一日で締め切って、その後の支払いが翌月の四月に回りますので決算期までに入りますからずっと減ります。それから国立病院におきましては九億三千七百九十六万円、これも同様の暦年の三月三十一日であります。それから四月、五月に入るわけでありますが、これはただいま決算中でありますので、決算の確定数字は目下わかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/30
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031・滝井義高
○滝井委員 それを聞いてどうもますます驚くことになるのです。そうしますと、六%程度の未納が決算期になってもあるということについては、大体、記憶が間違っていないという感じがいたします。そこでお尋ねをいたしたいのですが、御存じのように二十四国会で、国の債権の管理等に関する法律というのが通っております。この法律を見てみますと、これは金銭の給付を目的とする国の権利、いわゆる金銭債権を対象としておるようでございます。罰金等にかかわる債権、租税債権、国が保有する資金の運用により生ずる債権等については、その性質上、原則としてこの法律を適用しないことになっておるわけなんです。そうしますと、この国立病院や国立療養所の累計、約三十二億余に当るものは、この法律の対象になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/31
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032・堀岡吉次
○堀岡政府委員 この法律の対象になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/32
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033・滝井義高
○滝井委員 これは非常に大きな問題だと思うのです。今まで医療費の未納というものは、私たちも債権だとは心得ておりました。しかし、こういう法律まで作って医療費の取り立てをやるという例が、何か民間に適用する関係の法律でありますか。たとえば民間の開業医について、健康保険なり自由診療なりの未納が出てきた場合、この未納を、国の債権の管理等に関する法律のように、れっきとした形で取り立てる法律が何かありますか。私ども、法律のしろうとでございますので、事務当局にお尋ねしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/33
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034・堀岡吉次
○堀岡政府委員 民間の診療費についての特別法は、私、記憶いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/34
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035・滝井義高
○滝井委員 では政務次官にお尋ねしたいのです。今、会計課長さんからの御説明をお聞きのように、国立病院なり国立療養所の未納の債権については取り立ての法律ができたわけです。そうすると、今度の健康保険法の改正に当って、ずいぶん未納の問題が論議をせられたと思うのです。日本の、政府管掌健康保険の大衆は非常に貧乏だ、だから一部負担というものは払えないんだ、その払えない人から取り立てると言うんだから、その責任は保険者がお持ちなさい、すなわち政府管掌であれば国がお持ちなさいと言ったけれども、保険局当局は、がんとして聞かなかったのです。それではその救済は一体どうするんだと言ったら、最終の責任は療養担当者がおとりになるのが当りまえであって、私たちは知りません、端的に言えばこういう御答弁だったのです。そこで私たちは、これは人間の命にかかわるような問題だから、債権として法律まで作って取り立てるということはお互いの常識として考えるべきことではない、だから何とか一つ最終的に国が責任をお持ちなさいという主張をしてきたわけです。ところが国は、自分の病院の医療費については、もう二十四国会でちゃんと取り立ての法律を作っちゃったんです。こういうことが許されるかどうかということです。自分たちの国立病院や療養所の患者の未納については堂々と法律を作って取り立てをするけれども、民間の医療機関の債権については、お前たちがやりなさい。それでは民間に法律か何かありますかというと、そういうものはないという。そうすると、これは明らかに片手落ちの措置といわなければならぬ。これは片手落ちというよりか、こういう冷酷無情なことをやる法律が、民間にさえ許されないものを国に許してよいかどうかということです。この点どうも私は健康保険法審議の全過程を通じて考えてみて納得がいかない。普通の問題ならこの忙しいときに取り上げたくない。しかし、とにかく問題は重大です。しかもこの法律は今年の一月十日から効力を発して動き始めている。この点について次官はどういう御認識を持っておられるのか。こういうことは初耳ということならば初耳でけっこうですが、何かお聞きになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/35
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036・中垣國男
○中垣政府委員 滝井さんにお答えします。国立病院や国立療養所の医療費の未納金につきましては、これを国の債権の管理等に関する法律によって取り立てができるようになりましたことは実は聞いております。先ほど、民間にはそういう医療費の取り立ての法律は別にないというようなことでございましたが、なるほど医療費の取り立てのために特別の単行法があるわけではございません。しかし、民間でございますと、やはり民間の債権債務に対しましては、民法上債権者の債権の擁護というものが行われることになっておるのであります。国の場合にこの法律が非常に過酷に運営されるようなことがございますと、滝井先生が御心配になっておられるような悪法になると思うのであります。しかし、それではこういうものがなくてよいものかどうか、こういうことだろうと思います。ところがやはり国立病院や国立療養所といえども特別会計で運営されている以上、医療費の債権というものに対しては国自体に責任があるのでございますから、この取り立てに必要な制度として、国の債権の管理等に関する法律の運営が行われるだろうと思います。この法律が過酷であるとかないとかいう問題につきましては、この法律が、いかに運営されるか、いかに適用されるかという実際上の個々の問題についてでなければ、全般的にこういう法律はよくないということは言えないのではなかろうか。そこで未納医療費というものは、先ほど来おっしゃったように、病気をなさって非常に困られた方が払えずにおるのでありますから、そういうものの取り立てについてはこの法律というものは、非常に運営につきまして、実情をよく考えて過酷ならざるような運営でありますならば、あった方がいい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/36
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037・堀岡吉次
○堀岡政府委員 政務次官がお話になったのでありますが、補足して申し上げておきます。この法律の以前は、言うまでもなく、会計法の一般原則によりまして、当然国の債権として診療費も取り扱い、それからそれにつきましての遅延の場合の延滞利子もとるという建前で進んでおったわけであります。この法律は、債権の管理等について、実際に場合によりましては、省によっていろいろ取扱いが異なっておる、あるいは法律の規定に基くことが十分に行われていない、そういう主として手続的なものを直したのでありまして、たとえば診療費につきましてもこの法律の三十四条によりまして、今の法律の療養所でありますと、いわゆる健康保険にきめた金額をかける〇・八という金額を料金にいたしております。それがこれらの対象になるということは在来と同様でありまするし、延滞金につきましても、三十三条に基く政令によって、国で設置する学校の授業料あるいは病院、診療所等の医療費それらについての延滞金については、在来と何も変らない取扱いを受けておるということで、突如としてこの法律が出たわけでなく、会計法によって在来執行しておりましたことを主として手続的にここにきめたというふうに、われわれ経理担当の職員として考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/37
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038・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、今まで三十二億の過去の未納に対して、どういう工合に会計法上の何条を適用して、どれだけの利率を課して、どれだけの延滞利息をとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/38
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039・河野鎮雄
○河野説明員 延滞利息、延滞金、これは従来別にとってないと考えております。今度の改正によりましても、払えない者は納期を延期する、そういった特約ができることになっております。そういった場合にも延滞利息をつけないでも差しつかえないというふうな規定ができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/39
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040・滝井義高
○滝井委員 いやこれは法律ですから、もう少ししっかり答えてもらわなければいかぬですよ。今までは会計法の一般原則として延滞利子をとっておった。ところが今度はこの法律ができた。ただそれは各省間の手続その他が不統一であったので統一をしただけで、今までと変らないのだ、こういう答弁が堀岡さんからありました。ところが今医務局の方は利息はとっていないのだ、今後もとるようなとらぬような御答弁があったのですが、まず問題を整理する上で、従来はとっていなかったと言う、これは確実でしょうね。その確認をしておきたい。間違いないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/40
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041・堀岡吉次
○堀岡政府委員 私の言葉があるいは間違っておりましたら御訂正願いますが、これは会計法の三条に基きまして、その他いろいろな規則が出てきますが、在来はそれによって国の債権として取り扱っておったということであります。それから延滞金の方は今まではとっておりません。それからそれ以上の問題は一般の民法の原則による遅延利率、それによるということであります。なお今回の法律につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが法律の三十三条の第三項に基く政令の第三十四条によりまして、これの延滞利息、延滞金は計算はいたしますが、元金相当額が納まります場合には、延滞金は免除するということで取り扱っております。従って全部納まるならば延滞金はとらない方針でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/41
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042・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、まず会計法の三条に基いて国の債権として取り扱っておったということがはっきりした、それから延滞利子は今までとっていないということがはっきりしてきました。そうしますと、今度国の債権の管理等に関する法律ができた場合には、元金が納まれば延滞利子はとらないこともあるわけですね。これは法律はその前でもとることはとれることなっておるのでございますが、そうしますと、まず厚生省当局のこの法律に対する基本的な方針というものをお聞きしたいんです。
今までの例では延滞利子はとらなかった、ただ債権としてあった、こういうことなんですが、今後この法律ができたために、今まで全然とっていなかった延滞利子まで場合によってはどんどんとっていくことになるのか、それとも今まで通りとらないかどうかということです。これについてだれでもいいですから御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/42
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043・中垣國男
○中垣政府委員 滝井さんにお答えいたします。従来の法律におきましても実はとることができたんです。できたんですが、とらなかった。今度の場合の国の債権の管理等に関する法律によりましても、やはり払う能力があるにかかわらず払わないといったような、まあ悪質と申しますか、そういう者に対しましては、今度の法律ももちろんとることができるのであります。しかし大蔵省と厚生省と話し合いをいたしまして、そういうような俗に言う悪質でない者につきましては、やはり元金の徴収以外には全部免除して、利子はとらないようにしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/43
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044・滝井義高
○滝井委員 この点大事でございますので、確認をいたしておきますが、払う能力があって払わない、すなわち悪質な者については延滞利子もつけることがあるが、一般の貧しい善意の者については、滞納があっても大体延滞利子はとらずにいくんだ、こう確認して差しつかえありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/44
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045・中垣國男
○中垣政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/45
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046・滝井義高
○滝井委員 大体それで結論が出たのでございますが、いま一つ、滞納している金額が多分千円未満くらいの少額であれば、これはやらなくともいい、それから延滞利子の額が百円未満であったら多分それは払わなくてもいいというようなことがこの法律にはあったように記憶しておりますが、資力その他の状態を考えて、さいぜん医務局の次長さんから御説明のあった債権の履行期間を延期する、こういう場合があり得るわけなんです。これはちょっと提案理由の説明を読んでみますと、「五年または十年以内の期間において債権の履行期限を延期することができる道を開き、」ということが書いてあります。これは法律のどこかにもそういうことがあったと私記憶しておりますが、こういう取扱いをする場合は、一体どういう場合なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/46
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047・堀岡吉次
○堀岡政府委員 今お話のは法二十四条にそれぞれこういう場合にはできるということを列挙しております。具体的判断は債権の管理者がこれを行うわけで、第一号、二号、三号、四号、五号、六号とそれぞれの場合を列挙してあります。それに基きまして具体的な状況判断をするわけであります。たとえば「債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。」という「近い状態」という判断は具体的にその場合においてやるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/47
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048・滝井義高
○滝井委員 この法律があっても厚生省の国立病院や国立療養所関係の滞納金についてはとらないことが一応原則だ、こういう形がさいぜんのお答えで明白になってきたわけです。従って履行延期の特約等を、悪質でない限りは大体みんな認めるということになるわけなんですね。この条件はいろいろ書いてあります。二十四条を見ると「債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。」とか一部履行することが困難であるとか盗難や災害の事故が生じたとかいろいろ書いてあります。結局これは書いてあっても今までこういうものがあろうとなかろうととっていなかったわけなんです。ただ問題は悪質である、こういう形で資力あるくせに納めなかったというものについては延滞利子をつけてどんどんとっていくことになるんです。ところが悪質であってもこれはやはり払わなければどうにもならぬのじゃないかと思うのです。そういう場合は差し押えでもするのですか。それとも担保でも提供させるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/48
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049・河野鎮雄
○河野説明員 観念的には強制執行もできるわけでございますけれども、従来もそこまでやった例はございません。裁判上の和解等の手続によって処理した場合はあったかと思うのです。そういった基本的な線につきましては今後とも従来の扱いを基本的に変える考えはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/49
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050・滝井義高
○滝井委員 差し押えや担保の提供はきせないということです。そうするとさいぜん民法の話が出たのですが、従来民法上の問題等でそういう取り立てもできるのだという意味の御説明があったのですが、民法を調べてみると、何かこういうものの利息は年五分だというようなことを書いておるのですが、やはりこの法律でももしその悪質な者に利息をとるような場合は年五分でとっていくのですか。民法の多分四百四条だったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/50
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051・河野鎮雄
○河野説明員 政令二十九条で延納利息の率を大蔵大臣がきめることになっておりますが、現在日歩二銭四厘と定められておるそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/51
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052・滝井義高
○滝井委員 日歩二銭四厘というとどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/52
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053・河野鎮雄
○河野説明員 九分ぐらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/53
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054・滝井義高
○滝井委員 一割くらいになりますね。民法の五分よりもちょっと高いことになるのですね。そういう点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/54
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055・河野鎮雄
○河野説明員 民法では特別の定めのない場合に、法定利息を五分というふうにきめておるわけでございますから、それでなければならないという意味ではないので、きめてない場合にそうだという趣旨でございますので、若干事情が違うのではないか。現実の問題といたしまして延納の特約をするような場合、おそらく利子をつけることはないのではなかろうか、かような考えであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/55
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056・滝井義高
○滝井委員 大体厚生省の腹の中がわかりました。これをほんとうに厚生省がやる腹があるならば、もう質問は一一そこでずばりずばりお答えができると思います。質問してみると、そこでお調べになってお答えになっておるところを見ると、厚生省も必ずしもこの法律を真正面から適用してやっていく御意思がないようでありますので、私安心いたしました。ただ現状は調べてみると国立病院や国立療養所に入院しておる者の六割近くが、大体入院費と治療費を滞納しておるようであります。従って健康保険法が実施をせられて、一日三十円の入院料が加わり、そこへ初診の場合に百円を払うということになると、このカーブは急激に上昇していくと思うのです。これは同時にわれわれが改悪だといっておったことが、具体的に健康保険を推進せられた政府自身の機関の手によって現われてくることを、私は今から予言をしておきたいと思うのです。そのときには政府自身が健康保険の改正をまたやらなければならぬときだと思います。現実に六割ぐらいの滞納がある。それはすでに今年においても国立療養所が十三億をこえ、国立病院は九億をこえているという現状がやはり具体的に示しておると思うのです。そのときそのとき現金を払えないということを示しておるのです。しかしすぐ差し押えをしたり、滞納金に対して延滞利子をつけるということはやらないということをお聞きしましたので安心しました。一つ豊かな愛情をもって未納の治療費の取り立てをやってもらいたいと思います。それから次官から保険局当局にやはりこの実情を一つ御説明になって、国の機関への未納を取り立てるためには具体的に動く動かないにかかわらずこういう法律を作っておる、しかし民間の機関には民法の条項以外には何にもそういうものがないという、こういう片手落ちな立法というものは、やはり今後やるべきでない。少くとも日本の医療が公的医療機関と私的な医療機関の二本建てでいこうとするならば、ますますそういう感じがするのです。私個人の立場からいえば、こういうものを医療費の未納の問題に適用することは、どうも社会保障を推進せられる政府の立場からいうと少し過酷な立法だという感じがするのです。外国で社会保障と銘打ってやっておる国で、医療費の取り立てに、国の債権と銘打って延滞利子をつけるようなことまで立法しておる国はないと私は思う。あるいはどこかあるのかもしれませんが、私は寡聞にして知りません。まあ温情ある政治をやられるならば、こういうことはむしろこの次に改正をして、学校の授業料や医療費には延滞利子をつけないような方向に持っていくことがいいだろう。授業料のことは時間がありませんから言いませんが、そういうことを御希望申し上げまして、国の債権の管理等に関する法律に関連した質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/56
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057・藤本捨助
○藤本委員長 これにて社会保障制度、医療、公衆衛生及び婦人・児童福祉に関する権についての質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/57
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058・藤本捨助
○藤本委員長 次に旅館業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/58
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059・滝井義高
○滝井委員 昨日旅館業法の立法上の問題点について御質問申し上げたのですが、きょうはこの旅館業法と、来年早々具体的に業者にその効力を持つようになる売春法との関係というものをどういう工合に政府は考えておるか、それを簡単に要約して御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/59
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060・山口正義
○山口(正)政府委員 端的に申し上げますと、直接関係はないというふうに申し上げなければならないと思うのでございます。売春の防止は、売春防止法によって行われるのは当然だと思います。旅館業法の今回の改正は、やはり提案理由の説明にもございましたように家庭の延長としての利用者の静穏な宿泊をはかる、そして快適な生活環境を醸成するということが目的でございますので、売春の防止とは直接の関連はない、そういうふうに申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/60
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061・滝井義高
○滝井委員 旅館業法と売春防止法との関係は直接の関係がない、こういう御説明がございました。そうしますと、今まで旅館業法というのは公衆衛生上の見地だけで長年やってきたわけです。それを今回突如として風俗の取締りまで入れなければならなかったというのは、その入れなければならなかった原因がなくちゃならぬと思うのですが、これは昨日立法上の問題で申し上げました学校だけの問題で、風俗取締りの関係を入れたのか。決して私はそうじゃないと思うのですが、学校のほかにどういう原因があって、風俗の取締りをやらなければならぬことになったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/61
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062・山口正義
○山口(正)政府委員 単に学校などだけでなしに、善良な風俗を害するというような具体的な事例といたしまして、今回政令の中にも入れたいと存じております。その事態が、善良な風俗を害するような広告、利用方法についての広告などがいろいろけばけばしく行われて、それによって物議をかもすという点もございますので、それで今回こういう改正をしたいということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/62
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063・滝井義高
○滝井委員 どうも少し風俗を入れた論拠が薄弱のような感じがいたします。そこで時間がありませんから、現在旅館の従業員は、聞くところによりますと三十万人くらいは全国におるといわれております。その数を正確に私は知りません。当初旅館業法が新聞にちらほら出始めたころは、何か客引き禁止の条項がこの法律に入るやに聞いたことがあるのです。そういう関係は、どうしてどけることになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/63
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064・山口正義
○山口(正)政府委員 客引き関係の問題は、これはやはり議論になったところでございますが、しかしながら客引きという問題を取り上げます場合に、駅頭などで行なっております客引きには二通りあるだろうと思います。すなわち旅館の番頭が客を案内するという場合と、それからいわゆるポン引き的な営業の場合というふうに二通りあると思いますが、社会的に問題になりますのはやはり後者だろうと思います。それでこの問題をどういうふうに取り扱うかということについて、関係各省ともいろいろ議論をしたわけでございますが、それは現在そういう客引き関係の問題を取り扱っております法律といたしまして、旅館あつ旋業というのが運輸省所管にあるわけでございます。現在その旅館あつ旋業法、その法律の規定等について少し足りない部面がございまして、いろいろ問題を起しております。関係各省とも話し合いまして、この客引きの問題は旅館あつ旋業法に関する問題として運輸省でしかるべき改正をするということで、話し合いがついたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/64
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065・滝井義高
○滝井委員 今参議院で審議中のいわゆる環衛法というものが通れば、当然旅館業の適正な運営が行われることになります。問題は、その三十万になんなんとする旅館の仕事に従事しているその従業員の問題です。現在健康保険法を見てみると、多分健康保険が適用になっていないと思う。非常に低賃金なんですが、三十万もおるとすれば、相当大きな旅館には番頭さんの五人や十人はおるんですね。女中等も数えればそれ以上になる。そうしますと健康保険に今後これらの従業員を加入せしめるように勧奨する御意思があるかないか、それをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/65
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066・山口正義
○山口(正)政府委員 先ほどから滝井先生、約三十万というふうにおっしゃいました。私どもの方で調べました数字では二十一万何がしというような数字になっておりますが、御指摘の旅館の従業員の待遇問題と申しますか、それは本改正案が参議院で審議されました際にも種々御論議がございまして、私ども、労働基準法関係の問題としても取り上げられるというふうなことでごさいましたが、現在健康保険法を適用する意思ありやいなやというお尋ねにつきましては、五人以上のところもございますでしょうし、五人未満のところもたくさんあるだろうと思いますが、そういう問題につきまして別個の立場から現在調査が行われておりますので、直ちに今、この旅館の従業員をすぐ健康保険法の適用を受をさせるようにするかいなかということにつきましては、まだここで、はっきりお答え申し上げられるような段階になっていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/66
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067・滝井義高
○滝井委員 旅館の従業員に健康保険を適用して、五人未満はとにかくとして、五人以上の従業員を持つ旅館業に対して健康保険を適用して何か非常に重大な支障を来たすことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/67
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068・山口正義
○山口(正)政府委員 私、所管ではございませんけれども、特に健康保険を適用して重大な支障を来たすというようには、私自身としては考えられないのでございまして、ただいま滝井先生の御指摘のありました五人以上の比較的大きな旅館につきましての従業員につきましては、私どもも健康保険の適用を受けられるように一つ勧奨して参りたい、そういうふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/68
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069・滝井義高
○滝井委員 この法律の二条の五項と六項の関係ですが、下宿というのは寝具を提供するということになっておるのですね。普通われわれの概念の下宿というのは、寝具をわれわれが持ち込む場合もあるわけなんですが、その関係はどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/69
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070・山口正義
○山口(正)政府委員 御指摘の点は、参議院で御審議をいただきました際に問題になりました点でございまして、最初政府の原案は「寝具を提供して」ということでございましたが、そういたしますと、ただいま御指摘のように、下宿の大部分におきましては、寝具を持ち込むことになりますので、いわゆる従来の下宿というものがこの旅館業法の対象にならない、厳格に申しますと、そういうふうになります。しかしながら、やはり私ども法を適用して参りますのは、従来の慣習に従って、下宿を業として行なっている者に対しまして、この法律を適用したいということでございますので、参議院におきまして、「寝具を提供して」というのを「寝具を使用して」というふうに修正をされたわけでございまして、滝井先生の御指摘の寝具を持ち込む下宿も、この旅館業法の対象にいたしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/70
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071・滝井義高
○滝井委員 「寝具を使用して」ということの中には持ち込むということも入っておる、こういうことでございますので、わかりました。ところが、たとえば学生を下宿をさせる。これは恒久的に学生を下宿をさせて、下宿料をとっておれば、これは私は営業だと思うのですね。その場合に、この法律の立て方を見てみますと、たとえば一人貸間をして、寝具を持ち込まして下宿をさせている。下宿料をとっている。これは明らかに一種の営業の形になるわけなんですね。次々に、学生が卒業すればまた入れる、そういうものはこの法律には入らないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/71
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072・山口正義
○山口(正)政府委員 御指摘の点は問題だと思うのでございますが、私どもこの法を運用して参ります考えといたしましては、ただいま御指摘のように一人、二人を間貸しをして下宿をさせているというような形態のものは、この法の対象にいたさないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/72
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073・滝井義高
○滝井委員 私は問題はそこにあると思うのです。二条の五項の、「この法律で「下宿営業」とは、施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう。」と、こういうことになっておる。そうしますと、普通の下宿と、ここでいう下宿営業とどういう工合に区別するか、非常にむずかしくなるのです。そうすると、何かそこに区別をする基準というものを設けていないと、旅館業法の取締りに一つの大きな盲点ができてくると思うのです。従って、そこらあたりの盲点を防ぐためには、どういう工合に下宿営業というものと普通の下宿屋との区別をするかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/73
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074・山口正義
○山口(正)政府委員 御指摘の点ごもっともだと存じますが、一人二人では私ども営業とまで考えるのは無理じゃないかというわけでございまして、従来も五、六人程度以上のものを営業というふうに認めて取り扱ってきたわけでございますので、私ども今後も社会通念上営業と認められる少くとも五、六人以上を宿泊させるようなものを下宿営業として取り扱って参りたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/74
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075・滝井義高
○滝井委員 二条の三項をお読みになると、「この法律で「旅館営業」とは、和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。」と、こうなっているわけです。今度は三条をごらんになると、「旅館業を経営しようとする者は、政令の定める手数料を納めて、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、ホテル営業、旅館営業又は簡易宿所営業の許可を受けた者が、当該施設において下宿営業を経営しようとする場合は、この限りでない。」こうなっているわけです。三条では下宿営業をやる場合には、これは許可が要らぬことになるわけですね。この関係はどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/75
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076・山口正義
○山口(正)政府委員 端的に申しますと、二度許可を受ける必要はないということでございまして、すでにホテル営業、旅館営業または簡易宿所営業の許可を受けた者が、その施設を利用して下宿営業を経営しようとするときには、許可を受けなくてもいい。そうでなしに、本来初めから下宿として、一応私どもの方で施設の基準を考えておりますが、その基準に合ったようにして旅館営業の許可を得ようという者は、やはり当然下宿営業の許可を受けなければならないということでございまして、第三条の、ただいま滝井先生の御指摘の点は重ねて二度受ける必要がないという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/76
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077・滝井義高
○滝井委員 これでやめますが、「清純な教育環境」という言葉が使われているわけですね。その清純な教育環境が著しく阻害されるおそれがないかどうかという判定は、それぞれ学校の校長やあるいは教育委員会がやることになるのでしょうが、清純な教育環境というものに対して、やはりそこに何か基準みたようなものを設けておかなければいけないのではないかと思うのです。これは昨日の立法論のところで申しましたように、風俗営業の関係もありますし、それから映画や演劇、芝居等の興行場法との関係もありますし、特に旅館だけが百メートル以内に作ってはいかぬ、こういうことになっている。きのう大橋さんが、旅館で百メートル以内に作っていいのと悪いのと二つあるのかという御質問も関連してされておりましたけれども、旅館業法だけに清純な教育環境と、こういうきわめて抽象的なものを持ってきて、ものさしにしているわけですね。こういう点、何かそこにあなた方はこういうことが清純な教育環境に反するのだというような目安でもお持ちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/77
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078・山口正義
○山口(正)政府委員 昨日もお答え申しましたように、許可をいたします場合には一応施設の面から許可しなければならないわけでございますが、一般的に清純な教育環境というものに該当するかどうかとい基準を設けますことは、非常にむずかしいのじゃないかと考えられるわけでございます。従いまして、ケース・バイ・ケースでこれを処理していかなければならないと思います。そういう意味から考えましても、ここに規定いたしましたように教育委員会の意見を聞いてきめたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/78
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079・滝井義高
○滝井委員 公衆衛生とともに風俗営業が加わってきたわけです。その風俗営業をどうして加えたかということについて、わいせつな絵画や広告等の関係も言っておられました。それに加えるに学校の関係があるでしょう。そうしますと、今まで旅館というものは保健所の所管なんですね。そうすると、今後風俗取締りの関係が加わることによって、保健所のほかに警察が旅館の臨検とかというようなことをやることになるのか。それとも旅館のいろいろの立ち入り検査というものは、保佐所の職員だけ、名前は何というか、環境衛生監視員と申しますか、そういう人がやるのですか、どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/79
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080・山口正義
○山口(正)政府委員 御指摘の点ごもっともだと存じますが、今回の改正におきましていろいろ舌長な風俗を維持するための措置が講ぜられ、いろいろな規制が加えられるわけでございますが、それは主として——主としてと申しますか、もっぱら施設の面あるいは利用方法の面で基準を一応政令で定めることになるわけでございます。その政令で定められた基準に合っているかどうかということは、ただいま御指摘のような保健所の環境衛生監視員が実施するということになります。警察官の介入はないということになるのでございます。警察当局は刑事訴訟法に基きまして、外回りからいろいろこれに協力するということになっておりまして、この点は警察当局と完全に話し合いがついておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/80
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081・滝井義高
○滝井委員 そうすると旅館の公衆衛生上の取締りと風俗取締りの関係は環境衛生監視員が旅館の中に入ってやる、旅館の外は弊一案がやっていく、こういうことになるわけですね。昔の臨検制度のようなものは環境衛生監視員によってやられる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/81
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082・山口正義
○山口(正)政府委員 昔の臨検に似通った行政行為は行わせないことになっております。と申しますのは、これで施設と利用方法というようなことで主として政令に内容がはっきりうたってございます。それから立ち入り検査につきましても、その調べますのは施設の状況と構造、設備、それからいろいろな帳簿類にいたしましても、衛生に関係いたします施設関係の書類を検査するということでございまして、人が宿泊しておる部屋の中に立ち入るというようなことはさせない方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/82
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083・滝井義高
○滝井委員 あとで問題が起るといけませんから、もう一度質問しておきたいのです。そうしますと健康保険のときにも問題になったような立ち入り検査というのは、夜人が泊っておるときは、昔のように夜間にいくということでなくて、施設や衛生の状態の検査ならば太陽が上って沈むまでの間だ、こういうことに一応考えておけばいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/83
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084・山口正義
○山口(正)政府委員 御指摘の通りでございます。昼間にいたしましても、人がおります部屋に立ち入るということはさせないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/84
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085・滝井義高
○滝井委員 これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/85
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086・藤本捨助
○藤本委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ本案についての質疑は終了したものと認めます。
次に討論に入りますが、通告がありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/86
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087・藤本捨助
○藤本委員長 御異議なしと認め、採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/87
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088・藤本捨助
○藤本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/88
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089・藤本捨助
○藤本委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/89
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090・藤本捨助
○藤本委員長 次に食品衛生法の一部を改正する法律案及び自然公園法案を一括して議題として審査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。八田君。
ちょっと速記をとめて——。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604410X05319570517/90
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091・藤本捨助
○藤本委員長 速記を始めて。
次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後八時四十八分散会
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