1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十二年二月二十八日(木曜日)
午前十一時十七分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君
青木 正君 川崎末五郎君
木崎 茂男君 纐纈 彌三君
櫻内 義雄君 渡海元三郎君
徳田與吉郎君 丹羽 兵助君
古井 喜實君 渡邊 良夫君
井岡 大治君 伊藤卯四郎君
今村 等君 大矢 省三君
加賀田 進君 北山 愛郎君
三宅 正一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
自治政務次官 加藤 精三君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
―――――――――――――
二月二十六日
委員森清君辞任につき、その補欠として渡邊良
夫君が議長の指名で委員に選任された。
―――――――――――――
二月二十一日
昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税
に関する特例に関する法律案(内閣提出第三三
号)
特例とん譲与税法案(内閣提出第三四号)
同月二十二日
地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四六号)
同月二十一日
大口市営火葬場新築費起債承認に関する請願(
池田清志君紹介)(第一〇九七号)
大口市伝染病舎新築費起債承認に関する請願(
池田清志君紹介)(第一〇九八号)
遊興飲食税減免に関する請願(池田清志君紹
介)(第一〇九九号)
地方鉄道及び軌道業に対する事業税の課税方法
改正に関する請願(石山權作君紹介)(第一一
六七号)
同(五島虎雄君紹介)(第一一六八号)
同(門司亮君紹介)(第一一六九号)
同(山口丈太郎君紹介)(第一一七〇号)
地方鉄道及び軌道業に対する固定資産税減免に
関する請願(石山權作君紹介)(第一一七一
号)
同(五島虎雄君紹介)(第一一七二号)
同(門司亮君紹介)(第一一七三号)
同(山口丈太郎君紹介)(第一一七四号)
軽油引取税引上げ反対に関する請願(石山權作
君紹介)(第一一七六号)
同(門司亮君紹介)(第一一七七号)
同(五島虎雄君紹介)(第一一七八号)
同(山口丈太郎君紹介)(第一一七九号)
同月二十三日
地方鉄道及び軌道業に対する事業税の課税方法
改正に関する請願(井岡大治君紹介)(第一二
〇七号)
同(北山愛郎君紹介)(第一二〇八号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第一二〇九号)
地方鉄道及び軌道業に対する固定資産税減免に
関する請願(井岡大治君紹介)(第一二一〇
号)
同(北山愛郎君紹介)(第一二一一号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第一二一二号)
軽油引取税引上げ反対に関する請願(井岡大治
君紹介)(第一二一八号)
同(北山愛郎君紹介)(第一二一九号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第一二二〇号)
同月二十六日
地方鉄道及び軌道業に対する固定資産税減免に
関する請願(中井徳次郎君紹介)(第一四〇七
号)
同(川村継義君紹介)(第一四〇八号)
地方鉄道及び軌道業に対する事業税の課税方法
改正に関する請願(中井徳次郎君紹介)(第一
四〇九号)
同(川村継義君紹介)(第一四一〇号)
遊興飲食税減免に関する請願(中馬辰猪君紹
介)(第一四一一号)
軽油引取税引上げ反対に関する請願(川村継義
君紹介)(第一四一二号)
同(中井徳次郎君紹介)(第一四一三号)
新市町村公報機関としての有線放送電話の建設
等に関する法律制定の請願(鈴木直人君紹介)
(第一五二〇号)
の審査を本委員会に付託された。
二月二十二日
災害復旧費関係地方債増額に関する陳情書
(第二二二号)
予防警察の強化に関する陳情書
(
第二二三号)
地方交付税率引上げ等に関する陳情書
(第二二四号)
地方公共事業費建築資材の値上り対策に関する
陳情書
(第二三七号)
地方財政再建に関する陳情書
(第二
五二号)
新町村建設促進等に関する陳情書
(第二五三
号)
薪炭手当支給に伴う財源措置に関する陳情書
(第二八五号)
地方税及び地方交付税の減収補てんに関する陳
情書(第二八八
号)
新市町村建設予算確保に関する陳情書
(第二八九号)
地方税制度改革等に関する陳情書
(
第二九〇号)
地方財政法に基く市の負担区分に関する陳情書
(第二九一号)
地方財政確立に関する陳情書
(第二
九二号)
市町村行政の強化に関する陳情書
(
第二九三号)
新都市育成強化に関する陳情書
(第
二九四号)
地方債対策に関する陳情書
(第二九
五号)
基準財政需要額に再建債元利償還金算
入に関する陳情書
(第二九六号)
同月二十五日町
村合併に伴う勤務地手当支給地域区分是正に関
する陳情書(第三
三二号)
地方交付税率引上げ等に関する陳情書
(第三四〇号)
遊興飲食税減免に関する陳情書
(第三四三号)
旅館業関係遊興飲食税撤廃等に関する陳情書
(第三四四号)
新町村建設促進に関する陳情書
(第三四五号)
常設消防施設拡充に関する陳情書
(
第三四七号)
国有資産等所在市町村交付金制度等に関する陳
情書
(第三四九号)
スポンサー広告税課税に関する陳情書
(第三六四号)
農業事業税創設反対に関する陳情書外一件
(第三九五
号)
公共事業費の国庫負担率引上げに関する陳情書
(第四二九号)
を本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税
に関する特例に関する法律案(内閣提出第三三
号)
特別とん譲与税法案(内閣提出第三四号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四六号)
昭和三十二年度地方財政計画に関する件
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する
法律の一部改正に関する請願(平田ヒデ君紹介)
(第八〇〇号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/0
-
001・門司亮
○門司委員長 これより会議を開きます。
まず国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部改正に関する請願、文書表番号第八〇〇号を議題といたします。
本請願は、二月二十二日付をもって、紹介議員平田ヒデ君より取り下げ願が提出されております。これを許可するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/1
-
002・門司亮
○門司委員長 異議のないものと認めます。本請願は取り下げることを許可するに決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/2
-
003・門司亮
○門司委員長 次に、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案、特別とん譲与税法案及び地方税法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題とし、まず政府より提案理由の説明を求めます。田中国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/3
-
004・田中伊三次
○田中国務大臣 ただいま議題となりました三つの法律案についてその趣旨を御説明申し上げます。
まず昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案について、その趣旨を簡単に御説明申し上げます。
最近の経済界の好況によって、ことしは租税収入の相当の自然増収が見込まれますし、また別途所得税及び法人税の増収を財源として一般会計の予算の補正が行われまして、地方交付税が百億円増額されることになります。これが関係予算の御審議をただいまお願いしておるわけでございますが、地方交付税の増額に伴い今年度内において緊急措置を必要とする要措置額といたしましては、交付税の増額に伴い法律に当然に交付すべきこととなる音通交付税の調整減額復活分と、昨年末の期末手当の増額支給に伴い必要を生じました財源所要額との合計約二十四億円でございまして、これが御承知のごとく、地方財政における公債費の重圧が累年著しく、明年度はさらにその重圧が加わり、これを緩和する対策を急速に講ずる必要が痛感せられておるところでございますので、右に述べました額を差し引きました範囲内において、今回の交付税の増額分を今年は交付しないで、明年度の地方債の元利償還費の一部に充当することができるようにすることが、地方財政運営上の諸事情を総合いたしますと、差し当っての措置としては最も適当であると考えられるのであります。
よって、特に法律によりまして昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例を設けまして、今回増額される地方交付税については、普通交付税の調整減額復活分及び期末手当増額所要分を除きました額を限度として、その限度内の額を本年度内に交付しないで、これを法定の昭和三十二年度分の交付税の総額に加算して、明年度において交付することができるようにいたしたいのであります。
以上が、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案の趣旨でございます。
続いて、特別とん譲与税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
すでに本国会に提案されております特別とん税法の制定に伴いまして、特別とん税の収入額に相当する額を開港所在市町村に譲与するために、特別とん譲与税の制度を創設し、その譲与の基準、時期及び譲与時期ごとの譲与額その他、譲与について所要の規定を設ける必要がございます。これがこの法律案を提案する理由でございます。
次に、この法律案の具体的内容を簡単に御説明申し上げます。
第一に、特別とん譲与税の額でありますが、すでに御説明いたしましたように、これを特別とん税の収入額の全額とし、開港にかかる港湾施設が設置されている市町村で自治庁長官が指定するもの、すなわち、開港所在市町村に対して譲与するものといたしております。その額は、昭和三一十二年度におきまして、五億八千六百万円の見込でございます。
第二は、譲与の基準でございますが、さきにも述べましたように、開港への入港にかかる特別とん税の収入額に相当する額を譲与するものといたしておりますが、この場合におきまして、一の開港にかかる開港所在市町村が二以上ありますときは、次によるものとしております。すなわち、当該二以上の開港所在市町村のそれぞれの区域を個別の税関が個別に管轄しているときは、税関ごとの特別とん税の収入額に相当する額をそれぞれの市町村に譲与するものとし、また、これらの市町村の区域が一の税関の管轄区域に属するときは、港湾施設の利用状況その他の事情を参酌し、総理府令の定めるところによって、当該税関にかかる特別とん税の収入相当額を按分して譲与するものといたしているのであります。
第三は、譲与時期でありますが、毎年度九月及び三月の二回といたしまして、それぞれ前六月間に収納いたしました特別とん税の収入額に相当する額を譲与することといたしております。
なお、昭和三十二年度におきましては、初年度でありますため、必要な若干の経過規定を設けております。
第四は、特別とん譲与税の使途についてでありまして、国は、特別とん譲与税の譲与に当りましては、その使途について条件をつけ、または制限してはならないことといたしております。
なお、別途地方税法の一部を改正いたしまして、外航船舶に対する固定資産税を軽減することとしておりまして、それによって港湾所在の市町村の税収入が減少することとなるのでありますが、この特別とん譲与税の譲与によっておおむねその全額が補てんされるものと考えております。
以上が、特別とん譲与税法案の趣旨でございます。
最後に、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
地方税においても明年度は相当の自然増収を期待することができるものでありますが、ようやく再建への第一歩を踏み出した地方財政の現状をもってしては、これを財源として積極的に減税を行う余地は乏しいのであります。しかしながら、地方税制にはなお負担の均衡化、合理化をはかるべき点もありますし、また税務行政の適正化を期さなければならない点もありますので、若干の減収の生ずることではございますが、昨年末提出されました地方制度調査会、臨時税制調査会などの答申の趣旨をも尊重いたしまして、あえてこの際若干の改正を加えることといたしたいと思うのであります。
改正案の骨子は、次の通りでございます。
第一に、住民税につきまして、課税方式を異にすることによる市町村間の負担の不均衡を緩和することであります。
第二に、所得税の減税に伴い自動的に生ずる住民税の減収をできるだけ回避するとともに、住民税負担の軽減にも留意してその税率を調整いたしました。
第三に、中小企業者の事業税負担を軽減するため、法人、個人ともに低額所得部分に対する税率を軽減いたしました。
第四に、遊興飲食税について租税負担の合理化をはかるとともに、税金徴収事務の簡素化を徹底いたしました。
第五に、固定資産税について、大規模償却資産に対する所在市町村の課税限度額を拡張いたしました。
第六に、軽油引取税について、揮発油課税の増額に対応いたしまして道路整備促進に必要な財源を充実するため、税率を引き上げることでありまして、以下その内容の概略を御説明申し上げます。第一は、住民税に関する事項であります。
その一は、所得税の減税に伴って自動的に生ずる住民税所得割の減収をできるだけ避けるために、その税率を昭和三十三年度においては二六%、この場合道府県民税は七・五%となり、市町村民税は一八・五%となるわけでございます。昭和三十四年度以降においてはこれを二八%にしたい。その場合は、道府県民税は八%、市町村民税は二〇%になるのでございますが、かくのごとくに調整をして参りたいと思うのであります。
所得税につきまして大幅な減税が行われます結果、減税後の所得税額を課税標準とする昭和三十三年度以降の住民税所得割におきまして、その税率が現行の二一%のまま据え置かれますと、自動的に住民税もまた減税されることとなりまして、その減収額は初年度百六十五億円、平年度二百二十八億円に上ることとなるのであります。
もとより国税、地方税を通ずる個人所得に対する租税負担は重きに過ぎるのでございますが、住民税の減収がこのように多額に上りますことは、この税が地方税の基本をなすものでありますこと、及び地方財政がまだ再建への途上にありますことにかんがみまして、これが補てん措置を講ずることにせざるを得ないのであります。しかしながら、所得税の改正が過度の累進度の緩和をそのねらいの一つとしておりますので、減収の回避をするに当りましても、原則として個々の納税義務者の負担が現行制度による負担を越えることとならないように留意することはもちろん、進んでむしろ若干の所得割負担の軽減をも意図して税率を調整することといたしたのであります。その結果所得年千三百万円以下の納税者はすべて所得税のみならず住民税所得割においてもまた減税となるのでありまして、その減税の度合いは、初年度において七十九億円、平年度においては百十六億円の減税となるわけでございます。
その二は、課税総所得金額を課税標準として所得割を課しております第二課税方式、及び課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課税標準として所得割をきめております第三課税方式につきましても、その課税標準額に段階を区分いたしまして当該区分ごとの金額に応じまして順次に適用されるべき率を法定し、市町村はこれに準じてその税率をきめることとしております。
現に市町村においては、ただし書きによる第二課税方式を採用しているものが全市町村の中で七六%ございます。第一課税方式を採用しているものが一五%ございます。それから九%の市町村がその他の課税方式を採用しているという事情でございます。第二課税方式及び第三課税方式においては、市町村は、その条例で定める税率によって幅広く任意に課税することができるものとしているのでありますが、最近における所得税の減税等の影響もありまして、特にただし書きによる第二課税方式を採用する市町村におきましては、第一課税方式を採用する市町村の場合に比べて一般的にその負担がかなり重く、しかもその傾向は低額所得者に顕著になってきているのでございます。その結果課税方式を異にする市町村間において、同じ程度の所得者でありながら市町村民税所得割の額に二倍、三倍の差のあることも珍らしい例ではなくなっております。それぞれの課税方式の特性もさることながら、もはやこれをそのままに放置することができないような状況にまできておるものと思うのであります。そこで第二課税方式または第三課税方式の場合におきましても、その所得割の負担が第一課税方式の場合における負担とおおむねひとしくなることを目安にいたしまして課税標準額に段階を区分し、かつその区分ごとの金額に応じて順次適用されるべき率を法定いたしまして市町村は、この率に準じて条例で税率を定めることとするとともに、ただし書きによる第二課税方式または第三課税方式によって所得割を課税する場合においては、市町村の条例で定めるところより扶養親族の数に応ずる税額控除を行うこととしたのであります。なおこの場合におきましては、現行の通り、当該市町村の税率によって算定した所得制の額が課税標準額の、第二課税方式による場合は百分の七・五、第三課税方式による場合は百分の十五に相当する額をこえることとなるときは当該額に押えることとしております。
この措置によって生ずる所得割の減収額は四十九億円程度と見込んでおるのでありまして、関係市町村の財政に及ぼす影響は少からざるものがあると考えられますが、市町村税全般についてかなりの増収が期待されるときでもあり、かつ所得税の大幅減税に伴い第一課税方式による所得割の負担が将来一そう軽減され、課税方式相互の間における負担の不均衡がさらに拡大されていくことが予想されますので、この際住民負担の不均衡を緩和するため、あえてこのような措置を講ずることといたしたと存ずるのであります。
第二は事業税に関する事項でございます。
その一は、中小企業の租税負担を軽減しようとすることであります。すなわち、標準税率を法人につきましては、現在の所得年五十万円以下一〇%を八%に引き下げるほか、さらに軽減税率の適用範囲を広げまして、年五十万円をこえ年百万円までの部分に対しましては従来の一二%から一〇%に引き下げることとし、また個人の第一種事業につきましても新たに軽減税率を設けまして課税所得が年五十万円以下であり、基礎控除前で申しますと六十二万円までの部分につきましては、従来の八%から六%に引き下げることとしたのであります。ことに個人の第一種事業の中には、その事業の所得の大部分が事業主の勤労によって得られておるものがあります。これらの事業と第三種事業との区分は、具体的に区別は困難でございまして低額所得部分について税率を同じようにすることによって、その間の負担の均衡をはかろうとしたのでございます。これらによる減収額は初年度五十八億円、平年度七十七億円の見込みでございます。
その二は、法人の行う地方鉄道事業及び軌道事業について課税標準を従来の収入金額から所得に改めたことであります。昭和二十九年バス事業に対する事業税の課税標準が収入金額から所得に改められまして以来問題となってきたのでありますが、近来はバス事業の発展がめざましくなりましてこれとの競争関係にある地方鉄道事業及び軌道事業も大へん多いことにかんがみまして、その間における負担の均衡をはかるために、あえて外形課税の理論を捨てまして所得課税に改めようとするものでございます。この結果は大多数の地方鉄道事業及び軌道事業にとりましては減税となるのでありましてその減収額は初年度三億円、平年度五億円の見込みでございます。
その三は、公衆浴場業を第一種事業から第三種事業に移そうとすることであります。公衆浴場が公衆の保健衛生向上のために特殊な公的規制を受けていることなどを考えたからでありまして、これによる減収額は、約一億円でございます。
第三は、娯楽施設の利用税に関する事項でございます。その一は、スケート場を法定の課税対象施設から除外することでありまして、スケートは娯楽としてよりも大衆化されたスポーツとしてみることが適当ではなかろうかと考えたからでございます。その二は、ゴルフ場の利用に対して外形課税の道を開くことでございまして、道府県の条例の定めるところにより、利用の日ごとに定額により課税することができるものとして、その標準税率を一人一日につき二百円としたのであります。
第四は、遊興飲食税に関する事項であります。現行の遊興飲食税は、一昨年の公給領収証制度の採用及び税率の合理化によってかなり適正化されてきたのでありますが、なお課税客体と消資金額の差によりまして、税率を四段階に区分しておりますために、勢い税金徴収事務も複雑になり、消費者にとっても理解しにくい姿となっているのであります。また課税客体の差による現行の税率区分も消費行為の実態に照らして適正といいがたいのでありまして、現に課税客体の相違による税率区分を廃止して、もっぱら消資金額の多少によって適用税率を区分すべきであるとの意見さえもたらされているのであります。このような事情にかんがみまして今回、芸者等の花代部分に対する税率を他の遊興行為に対するものと区分している従来の制度を改めまして、一律に一五%としたことであります。また旅館につきましては新たに一人一泊につき八百円の免税点を設け、免税点をこえる宿泊及びこれに伴う飲食の料金につきましては現行通り五百円の基礎控除を適用いたしまして税率はすべて一〇%ということにしたいのであります。また普通飲食店における一人一回の飲食についての免税点を従来の二百円から三百円に引き上げ、免税点をこえる飲食に対する税率は、すべて一〇%とすることといたしました。これに伴いチケット制の食堂等におけるあらかじめ提供品目ごとに料金を支払う飲食についての一品ごとの免税点を従来の百円から百五十円に引き上げ、免税点をこえる品目に対する税率も一〇パーセントといたしたのであります。なお、この機会に従来飲食店において二百円から五百円までのものについては、公給領収証の使用を要しないものとされていたのを今後は、免税点をこえるものについてはすべて領収証を発行する建前をとることといたしたのであります。
これらの改正によりまして大衆層の広く利用する旅館や飲食店における宿泊や飲食は、大幅に課税対象から除外されることとなり、他面、それに比して比較的高級な宿泊や飲食についてのみ、一律一〇%の課税が行われることとなって簡素にして確実な徴税が期待できるのであります。また、花代につきましても、他の類似の遊興との間の負担の均衡が保持されるとともに課税客体の捕捉は一段と広く、かつ適実を期し得るものと考えています。遊興飲食税の改正は、道府県における準備の関係もあって七月から施行いたすのでありますが、この改正によるさしあたりの減収額は初年度において約九億円、平年度において約十五億円と見込んでおります。
第五は固定資産税に関する事項であります。その一は国際競争を考慮し、外航船舶に対する固定資産税の課税標準を価格の三分の一の額から六分の一の額に引き下げることとし、これとの均衡上その他の船舶についての課税標準も三分の一を減じまして、価格の三分の二の額によることにいたしました。これらの措置のうち、外航船舶について五億円程度、その他の船舶について三億円程度の減収を生ずる見込みでありますが、関係市町村の減収を補てんするため別途創設される特別とん税の全額を徴収地開港所在の市町村に譲与する措置を講ずることとしているのでありまして、その総額は、約六億円の見込みであります。
その二は大規模償却資産に対して課する市町村の固定資産税の課税限度額を引き上げたことであります。大規模償却資産に対して課する市町村の固定資産税についてその課税限度額は、この制度の平年度化に伴い昭和三十一年度より若干引き下げられたのでありますが、市町村の財政実態から見まして、昭和三十年度の経過措置として緩和されていた額をそのまま恒久化することが適当と考えられるのであります。すなわち、大規模償却資産に対して所在の市町村が固定資産税を課し得る人口段階ごとの価格の限度は、それぞれこれを引き上げ、人口三万以上の市町村にあっては現行の四億円を六億五千万円とするとともに、これらの制度を適用した結果、当該市町村の基準財政収入見込額が基準財政需要額の一定割合に相当する額を下回ることとなるときは、その割合に相当する額となるまで課税限度額を引き上げるものとしているのでありますが、この財源保障の割合を現行の百分の百二十から百分の百三十に引き上げることといたしております。また、新たに建設された工場または発電所の用に供する大規模の償却資産につきましては、これらの施設の建設当初における市町村の財政需要の増高等を考慮いたしまして、右の財源保障率を最初の年度から五年度分の固定資産税に限り特に引き上げるものとし、最初の二年度にあっては百分の百八十、次の二年度にあっては百分の百六十、最終の年度にあっては百分の百四十とすることとしたのであります。以上の改正によって市町村の固定資産税収入は、約十億円増加するものと見込まれるのでありますが、反面、道府県税収入においては同額の減少を来たすこととなるわけであります。
第六は、電気ガス税に関する事項であります。その一は、漁民保護の見地から、漁業協同組合などが、その設置する製氷工場において製造する氷をもっぱら漁船などにおける水産物保存の用に供している場合においては、当該工場で直接氷の製造に使用する電気に対しまして、及びこれらの工場に併置する冷蔵倉庫でもっぱら水産物の冷凍の用に供するものにおいて直接水産物の冷凍に使用する電気に対しましては、電気ガス税を課さないこととしたのであります。
その二は、基礎資材製造などについて原材料課税となるようなことを避ける意図のもとに、マグネシウム地金、石綿、可燃性天然ガス、水銀鉱及び焼成燐肥の製造または掘採のために直接使用する電気に対しても同じく電気ガス税を課さないことといたしたのであります。これらによって生ずる減収額は約一億円と見込まれております。
第七は、木材引取税に関する事項であります。木材引取税の税率を現行の百分の五から百分の四に引き下げ、反面市町村ごとの課税の適正化を一段と推進しようとしているのであります。
第八は、入湯税に関する事項であります。鉱泉浴場所在の市町村においては、環境衛生施設その他観光施設の整備をはかることは特に必要なことでもありますので、従来市町村の法定普通税とされていた入湯税を、これらに要する費用に充てるための目的税とすることとしたのであります。
第九は、軽油引取税に関する事項であります。道路整備事業を充実させることの緊要なることは申すまでもないところでありまして、その財源を受益者に求める趣旨から別途揮発油に対する課税額を引き上げることとされておりますので、これに対応いたしまして軽油引取税におきましてもその税率を来たる四月から一キロリットルにつき従来の六千円を九千円に引き上げようとするものであります。この改正による増収額は初年度十七億円、平年度十九億円の見込みであります。
以上説明いたしましたもののほか、各税目を通じて規定の整備を若干はかっております。現行地方税制による昭和三十二年度収入見込額は、地方譲与税をも含めて四千九百三十三億円でありまして、昭和三十一年度当初の見込みに比し七百十九億円の増加であります。ここに提案いたしました地方税法の一部を改正する法律案、別途提案いたします特別とん譲与税法案などを通じまして、普通地方税では昭和三十二年度七十九億円、平年度は二百十八億円の減税となりますが、地方譲与税及び目的税を通計いたしますと、昭和三十二年度は三十一億円、平年度は百三十億円の減収にとどまる見込みでございます。
これが地方税の一部を改正する法律案についての大体の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/4
-
005・門司亮
○門司委員長 ただいまの大臣の三法案の説明の質疑は後日に譲ります。
なお地方財政計画の大臣よりの説明は、本会議終了後聞くことといたしまして、暫時休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
————◇—————
午後二時四十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/5
-
006・門司亮
○門司委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
昭和三十二年度地方財政計画について、政府当局より説明を求めます。田中国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/6
-
007・田中伊三次
○田中国務大臣 財政計画の樹立が内閣の更迭その他いろいろな事情でおくれまして、まことに恐縮に存じております。
ただいまお手元に配布いたしました昭和三十二年度地方財政計画につきまして、その概要を簡単に御説明申し上げます。
昭和三十二年度地方財政計画の策定に当りましては、わが国経済及び地方財政の現状にかんがみ、地方制度調査会等の答申の趣旨をも尊重の上、昭和三十一年度に引き続き今後赤字の発生を見ないように地方財政計画の一そうの合理化をはかり、さらに進んで歳入構成を是正し、及び行政水準の確保をはかることにより、地方財政の健全化を一段と推進することを基本方針といたしました。この方針に基き、計画策定の具体的指針といたしましたのは、次の五項目であります。一、国税の減税に伴う地方財源の減収を極力補填するとともに、自主財源の増強をはかること。二、地方税負担の合理化をはかること。三、一般財源の充実と相待って一般会計における地方債総額をさらに減少し、地方歳入構成の是正をはかること。四、地方行政の水準を確保するためできる限りの財源を確保するとともに、新市町村に対する国の援助を強化する等その建設を一そう促進すること。五、公営企業金融公庫を設置して、公募債消化の円滑化をはかり、公営事業の拡充を期すること。
また、本計画策定の前提といたしました地方税財政制度に関する改正事項中の主要なものは、第一に、地方税負担の不均衡の是正を中心として地方税制度の改正を行うこと。第二に、地方道路税及び軽油引取税の税率を引き上げ、地方における道路財源の充実をはかること。第三に、地方交付税法を改正して地方交付税の繰入率を引き上げるとともに、算定方法の合理化をはかること。第四に、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案の規定により昭和三十一年度分の地方交付税の一部を繰り越し使用できるものとして、地方債の元利償還金の一部について財源措置をすること。第五に、基地所在市町村に財源を付与するための制度を創設すること。第六に、公営企業金融公庫を創設すること。第七に、特別とん税の創設に伴い、特別とん譲与税制度を設けること。等の諸点であります。右のほか一般財源の増強に伴い一般会計における地方債を縮減し、他面において、公営事業会計の地方債を増額し、公営事業の拡充を期することとし、なお、少額補助金を整理して一般財源に振りかえることといたしております。
以上のような前提のもとに、昭和三十三年度の地方財政計画を策定いたしました結果、その歳出規模は、一兆一千四百六十一億一千五百万円となり、昭和三十一年度地方財政計画に比して、形式上は一千四億四千五百万円を増加することとなりました。
次に歳出及び歳入のおもなる内容について簡単に御説明申し上げます。まず第一に、歳出について申し上げます。その一は、給与費であります。給与費につきましては、給与改訂、昇給、期末手当、薪炭手当の増額等を見込んだ結果、前年度に比し、四百六億六千五百万円を増加し、四千四百三十五億六千六百万円となっております。
その二は、恩給費であります。恩給費につきましては、昭和三十年度決算を基礎とし、所定の増加率を考慮して算定し、これに恩給の不均衡是正の平年度化に要する増加経費を加算いたしました。その結果は、二百十三億八千五百万円でありますが、これは、前年に比し、十四億九千三百万円の増加となっております。
その三は、その他の消費的経費であります。このうち、国庫補助負担金を伴う経費については、それぞれの国の予算額を基礎として積算を行い、国庫補助負担金を伴わない経費については、昭和三十一年度の地方財政計画の額を基礎としてこれに増減経費を加減いたしました。その結果、国庫補助負担金を伴う経費は、一千九十一億八千七百万円となり、前年度に比し、七十億七千六百万円を増し、国庫補助負担金を伴わない経費は、一千五百四十五億四千八百万円となり、前年度に比し、四十八億四百万円を増しております。なお、国庫補助負担金を伴わない経費の増額のうちには、人口等の増加に伴う経費の増額、二十五億一千三百万円、旅費法改正及び運賃値上げに伴う旅費の増額十六億四千九百万円等が含まれております。
その四は、公債費であります。公債費は七百六十七億三千百万円であり、前年度に比し、百四十三億三千九百万円の増となっております。公債費の累増については、それが地方財政窮乏の重要な原因となっていることにかんがみ、その重圧を緩和する必要があることは申すまでもないところでありまして、とりあえず明年度において、これが対策として地方交付税の配分を通じて重圧の原因となっている特定の地方債の元利償還金の一部について財源措置を行うこととして旧債にかかる公債費負担の軽減に資することとするほか、一般財源の増強に伴いさらに一般会計における地方債の発行額を減少せしめあわせて起債条件の合理化を考え、将来における公債費の重圧緩和の措置をとったのであります。
その五は、道路、橋梁等の維持補修費であります。この経費は、二百五十七億五千五百万円で前年度に比し八十億九千五百万円の増となっておりますが、これは道路、橋梁が極度に荒廃している状況にかんがみ、その補修費の必要額の一部を見込んで算定いたしたものであります。
その六は、公共事業費であります。公共事業費については国の予算額に基き積算いたしたのでありますが、前年度に比して百五十六億八千四百万円を増し、一千八百九十一億九千三百万円となっております。
その七は、失業対策事業費であります。失業対策事業費につきましても公共事業費と同様の方法によって積算をいたしましたが、前年度に比し三億一千四百万円を減じ三百二億四千万円となっております。
その八は、国庫補助負担金を伴わない建設事業費であります。これは昭和三十一年度地方財政計画の額を基礎として下水等環境衛生施設等の整備に要する増六十億六千四百万円、日本住宅公団に対する地方団体の出資金の減四億円、災害復旧事業費の減一億二百万円等を見込んで算定いたしました結果、前年度に比し五十四億三千四百万円を増し、七百八十七億八千九百万円となっております。
第二は歳入であります。その一は地方税収入であります。税収入のうち普通税につきましては、前年度行われました税制改正の平年度化、経済界の好況等に伴って六百七十五億五千九百万円の自然増収が予定されるのでありますが、地方税負担の均衡をはかるため税制改正を行うこととする結果百二億七千三百万円減収となりますので差引五百七十二億八千六百万円の増収となり、総額四千四百九十二億二千百万円となっております。
目的税につきましては、前年度行われました税制改正の平年度化等によって三十五億二千百万円の自然増収が見込まれ、入湯税が普通税から目的税に改められたこと及び軽油引取税の税率引き上げによる制度改正の増二十億二千二百万円と合算すると、総額において前年度に比し五十五億四千三百万円増の百十二億九千二百万円となっております。以上の結果地方税総額は、四千六百五億一千三百万円と見込まれているのでありましてこれを前年度に比しますると六百二十八億二千九百万円の増加となります。
その二は地方譲与税であります。譲与税収入については、六十億二千五百万円の増を見込んで、二百九十六億六千六百万円と算定いたしました。これは、入場譲与税については自然増収十四億八千六百万円を見込み、百七十七億七百万円、地方道路譲与税については自然増収及び税率引上げによる増三十九億五千三百万円を見込み百十三億七千三百万円と算定し、これに新たに設けられる特別とん譲与税五億八千六百万円を加算いたしたものであります。
その三は地方交付税であります。地方交付税の総額は千九百四十三億七千二百万円を見込みましたが、これは法定の繰入率を一%引上げることとし、減税後の国税三税の収入見込額七千二百六億八千七百万円の二六%の額から昭和三十年度の精算分六億六百万円を減じた額のほかに昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案の規定により昭和三十一年度から七十六億円を限度として繰越し使用される分がございますので、これをその限度まで繰り越すものとして加算いたしたものでありまして、これにより実質的に前年度に比し三百十五億七千四百万円の増となるわけであります。
その四は国庫補助負担金であります。国庫補助負担金は、義務教育費負担金において七十七億五千万円の増、その他の普通補助負担金において二十二億四千二百万円の増、公共事業費補助負担金において八十一億九千五百万円の増、失業対策事業費負担金において四億一千七百万円の減でありまして、総計において前年度に比べて百七十七億七千万円の増加となり、二千九百五十六億円となっております。
その五は地方債であります。地方債につきましては、地方団体の歳入構成をできるだけ健全化するため、一般財源の増強に伴い、一般会計における地方債を減少せしめることを基本方針といたしまして、地方財政計画に計上する地方債は、前年度に比し百九十五億円に減じ、五百二十億円といたしたのであります。
なお明年度における地方債としては、右のほかに、公営企業債四百七十億円と、明年度より財政計画外の取扱いをいたします収益的建設事業債五十億円及び退職手当債三十億円を準備いたしており、その総額は一千七十億円であります。その資金別の内訳は、政府資金八百四十億円、公募二百三十億円であります。
その六は雑収入であります。雑収入につきましては、昭和三十一年度地方財政計画額を基礎とし、これに所要の増減を行った結果千百三十四億六千四百万円となり、前年度に比べて十二億四千七百万円の増となっております。おもな増加内容は、高等学校の生徒増に伴う授業料の増加と、給与費の増に伴う恩給納付金の増加であります。
以上が昭和三十二年度地方財政計画の概要であります。これを要約いたしますと、経済界の好況によりまして地方税法の改正により普通税において百億円余の減収が考えられるにもかかわらずなお七百億円に近い増収を見込むことができましてこれに三百億円をこえる地方交付税の増を加えまして、一般財源はかなり充実することとなり、これによって、義務的経費の増その他昭和三十二年度における国の諸施策に伴う必要経費をまかなうほか、二百億円に近い地方債を減額して、歳入構成の是正をはかり、さらに、従来果さんとして果し得なかった行政水準確保のために約百数十億円の経費を計上することができたのであります。このように地方財政計画は、従前に比べてかなり改善され、地方財政は、実質的意味においても健全性の回復に一歩を進めることができるものと考えるのでありますが、地方行財政の実態にかんがみまするときは、この程度では、もとより、なお十分とはいうことができず、政府としては、さらに地方財政計画の合理化に一そうの努力を重ねて参りたいと存じております。それとともに、この地方財政計画の実施を通じまして各地方団体の健全な財政運営に深く期待し、地方財政の健全性の回復、維持ないしは財政構造の合理化を極力はかって参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/7
-
008・門司亮
○門司委員長 この際小林財政部長より補足説明を求められておりますが、これを許すことにしてよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/8
-
009・門司亮
○門司委員長 それでは小林政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/9
-
010・小林與三次
○小林(與)政府委員 お手元にお配りしてございます資料に基きまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。
資料といたしましては、三十二年度の地方財政計画と、それから三十一年度と三十二年度との財政規模の比較に関する調がございますので、説明は、むしろこの比較表によって申し上げた方がおわかりやすいかと思います。それによって御説明申し上げたいと思います。
逐次歳出から申し上げますと、歳出のうちの一は、消費的経費でございまして、給与費四百六億円の増になっておりますが、その中心は、定期昇給の昇給分が総体で約百三十億ぐらいと、それからベース・アップに伴う分が二百二十四億ほどでございます。これが各職員別にそれぞれ計上されております。その他の経費は、薪炭手当とか、その他児童生徒数の増減に伴う教職員の増減関係の経費、あるいは合併によりましてその特別職が従来減りましたものの平年度化の分とか、そういう経費が若干ありまして、総体として四百六億の増になったのでございます。
大体この財政計画のこまかい根拠の資料は、実はちょっとおくれましたが、今至急製作中でございますので、二、三日中にはお手元にお配りいたしますので、それによってまた御了承願いたいと存ずるのであります。
大体給与費はそういう問題が中心でございまして、その次の恩給費及び退隠料は、これは実際の恩給の伸びを基礎にして計上いたしておりますのと、それから不均衡是正による増が九億ほどございまして、それを合せたものでございます。これも特別に御説明申し上げるほどの問題でないと思います。
その次の公債費は百四十三億の増になっております。この内訳は、元本が三百九十九億、利子が三百六十八億、計七百六十七億でございまして、前年度より百四十三億ふえております。今までは大体元本と利子と半々でございましたが、そろそろ元本の方が数字が多くなる、こういう傾向が今後現われてくるように見受けられるのでございます。
それから三番目の維持補修費、これは従来こういう形で財政計画にはのせておりませんで、消費的経費の中にぶち込んでおいたのでございますが、中心は道路の維持補修費、その他、河川、海岸、砂防等の経費でございますが、これは単なる消費的経費というのもいかがか、こういうので、特別の費目を立てることにいたしました。この経費が、従来財政計画上、一番ウイークと申しますか、見足りない経費、地方団体におきましてもこの手当が十分でなかったので、河川や道路の維持もごらんの通りの格好でございましてぜひこの関係の経費を充実させたい、こういうのがわれわれの念願だったのでございます。八十億の増では、われわれの気持からいえば遠いのでございまして、せめて百数十億この経費をもらいたかったのでございますが、今年度の財政収支の関係上やむを得ずこれでがまんをすることにいたしました。いずれにいたしましても、従来よりこの経費八十億だけ増を見ることができましたことは、非常に喜んでおるところでございます。
それから次は投資的経費でございまして、公共事業費百五十六億ふえております。これはもっぱら国の施策に伴う、国の予算にタイアップして経費を計上してあるのでございまして、地方自治体側としては全く受け入れ態勢の数字でございます。この百五十六億のうち、災害は、最近災害が幸いございませんので、数字が減りまして、普通建設事業で二百十二億ふえております。その主要なものは道路でございまして、道路が百五十八億、それから一般公共が四十三億八千万、その他文教六億ちょっと、食糧増産の四億七千万、こういうような内訳になるのでございます。それに見合いの財源を地方財政計画で組んだわけでございます。そのうちで、もう一つ御説明申し上げたいのは、このうちでいわゆる収益的建設事業、簡易水道等の経費を見ておったのでございますが、そのうち四十億は財政計画の外に出すことにいたしまして、ここから削っております。これはあとからまたあらためて御説明申し上げたいと思います。
それから失業対策費は、全体で三十一億の減になっております。その内訳は、特別失対で三十五億ふえて、普通失対において六十七億の減、これも国の予算に関連するものでございます。
それから三番目といたしまして国庫補助負担金を伴わない建設事業費で五十四億の増、これが地方財政計画特有の問題でございますが、この経費は五十五億増になっております。簡単に内訳を申しますと、一つは下水道、環境衛生施設の整備六十億を増加いたしております。下水四十九億、塵芥焼却あるいは火葬場その他の経費でございまして、いわば都市的施設の経費でございます。この経費も、従来主体の自治体側から考えまして非常に少くて都市の衛生、保健その他の施設が非常に不十分だったのでございまして、財政計画上ぜひこの関係の経費を多くしたいというふうに考えておったのでございますが、ようやく六十億だけ認めることができたのでございます。この経費と、先ほど申しました道路、河川等の維持補修費の八十億、合せて百四十億が、われわれが行政水準を確保するためにどうしても要る経費だとして主張して参っておった中身でございまして、当初の要求からずいぶん離れておりますけれども、どうにか格好は、こういうことで多少はつけざるを得なかった、こういう状況でございます。普通建設事業はその程度にいたしておきまして、災害は、公共災害の減に伴いまして災害関係の経費が減ったわけでございます。
それから次に、地方交付税の不交付団体における平均水準を越える必要経費、これは従来財政計画外の歳出というような形で組んでおったものでございますが、どうも従来の表現もあまり適当でない、もっともこの表現も適当かどうか、あまりいい知恵もなかったのでこうしたのでございますが、要するに不交付団体における税収入と見合う経費ですが、これは不交付団体は当然に都市その他を中心にしておりまして、都市的な特殊な行政需要が当然あるのでございまして、この程度の経費では、私は十分だとは考えられませんが、要するに税収の増に見合う経費として、その部分をここに一応計上しておいたのでございます。
大体歳出が合計といたしまして一千億の増、こういうことになっておるのでございます。ただしこれにつきましては、あとからちょっと註釈を必要といたしますが、一応この表はそういうところで御了承をお願いいたしておきたいと思います。
それから歳入は、地方税で六百二十八億の増、それから譲与税で六十億の増、これは自然増収分と、それから多少制度改正による増減をみな集約した数字でございまして、自然増収が、普通税で六百七十五億、税制改正による減が百二億三千万円、目的税でも自然増収三十五億、税制改正の増が二十億、こういうことで差引こういう数字になったのでございます。
それから地方譲与税につきましては、これは特別に申し上げることもないと思います。
地方交付税が、ここに千九百四十三億計上してございまして、差引三百十五億の増になっておりますが、その内訳の一つは、先ほど大臣の説明にもありましたが、公定の交付税と申しますか、三十二年度で当然入ってくる交付税として、交付税の自然増収と、二六%に、率を上げましたのに伴う増が二百三十九億、それから三十一年度の補正予算で計上されまして、本年度内に使用しないで明年度公債費の財源に当てたいという経費が七十六億でございまして、これは繰り越しの措置を伴う結果出てくるであろうという数字を一応合せてここに計上しておいたのでございます。
それから国庫支出金の方は、国の予算そのままでございまして、百七十七億の増になっております。内訳は、大体歳出に見合うものでございますから、特別に申し上げるほどのこともなかろうと思います。
それから地方債が百九十五億減になっておりますが、この内訳は、従来借りかえ債八十億ございましたのと、退職債六十億計上してございました。この百四十億は、今年度退職債は三十億だけ予定いたしまして、借りかえ債はゼロにいたしてございます。その他収益的の起債が五十億ございましてこれは簡易水道とかあるいは港湾の埋立土壌等の経費でありますが、財政計画からはずすことにいたしましたので、その五十億を計上、その他五十億の減、合せて百九十五億を計画上減ずることにいたしたのでございます。地方債の計画の資料はまた別にございますから、あとで簡単に御説明を申し上げます。大体そういうことで、地方債は、計画の上から百九十五億減じまして、財政計画といたしましては、できるだけ地方債を財源に見るような改正をやめたい、一般財源が許す限りはやめて、財政構造を健全化したい、こういうわれわれの考え方に従いまして、今度財源の増強に見合って、どうにもがまんのならない地方債の歳入を削ることにいたしたのでございます。
それから雑収入の十二億の増というのは、特別に申し上げるほどのこともございません。高等学校の生徒増に伴う授業料の増とか、あるいは結核予防法の改正に伴う手数料の減等を差し引いたものでございます。
なお最後に、その他五億という歳入がございます。これは問題になっております基地関係の交付金の問題でございまして、まだこの扱いがどうなるか、財政計画を作るまでに、政府の方針がきまっておりませんでしたので、一応「その他」として五億を計上しておいたのでございます。
そこで、その次に注がついておりますので、それをごらん願いたいのでございますが、その注の3に「収益的建設事業債及び退職債を加算した場合の昭和三十一年度地方財政規模との比較は下記の通りである。」、これは収益的建設事業関係の経費五十億、それから退職債三十億、別に予定いたしておるのでございますが、一般会計を中心とする財政計画に載せるのは不適当である、こういう考え方で、今回財政計画からこれをはずすことにいたしたのでございます。去年のベースで計算すれば、こういうものも一応入っていたわけでございまして、そういう経費を合せてみると、全体として一千八十四億の増になるという注釈でございます。
大体財政計画の収支増減の主要な内容は、以上申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/10
-
011・中井徳次郎
○中井委員 交付団体と不交付団体の区別とか、府県市町村のものはいつ出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/11
-
012・小林與三次
○小林(與)政府委員 実はちょっと私もうっかりしておりまして、交付団体と不交付団体に分けた計画はお配りしてあったと思っておりましたが、これはできておりますので、明日お配りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/12
-
013・門司亮
○門司委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。
午後三時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00319570228/13
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。