1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月五日(火曜日)
午前十一時十二分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君
理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
青木 正君 川崎末五郎君
木崎 茂男君 纐纈 彌三君
櫻内 義雄君 渡海元三郎君
徳田與吉郎君 丹羽 兵助君
古井 喜實君 今村 等君
大矢 省三君 加賀田 進君
出席国務大臣
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
自治政務次官 加藤 精三君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 小林與三次君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政部
財政課長) 柴田 護君
専 門 員 円地与四松君
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三月五日
委員伊藤卯四郎君及び北山愛郎君辞任につき、
その補欠として田中武夫君及び矢尾喜三郎君が
議長の指名で委員に選任された。
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三月四日
公営企業金融公庫法案(内閣提出第六九号)
同月一日
遊興飲食税減免に関する請願(上林山榮吉君紹
介)(第一五三〇号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公営企業金融公庫法案(内閣提出第六九号)
昭和三十二年度地方財政計画に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/0
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001・門司亮
○門司委員長 これより会議を開きます。
昨四日、本委員会に付託になりました公営企業金融公庫法案を議題といたしまして、政府当局より趣旨の説明を求めます。田中国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/1
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002・田中伊三次
○田中国務大臣 公営企業金融公庫法案について、その趣旨を御説明申し上げたいと存じます。
地方公共団体が経営しております公営企業は、水道、交通を始め多岐にわたっておりますが、これが整備拡充は、民生を安定するためにも地方産業を振興するためにも、きわめて緊要と存ぜられ、政府といたしましても、一段とその積極的な推進をはかりたいと存ずるのであります。すなわち、地方債につきまして、一般会計分は公債費対策の一環としてこれを漸減し、必要な限度にとどめる一方、公営企業債は、可能な限り増額することといたしましたのもこのためでございます。しかして、これら地方債につきましては、できるだけ政府資金で処置することが望ましいのでありますが、政府資金の原資の関係もあり、ある程度はいわゆる公募資金に依存せざるを得ないのであります。
しかしながら、公募地方債の消化につきましては、一部の地方公共団体を除き、必ずしも容易でなく、また、その条件も必ずしも低利かっ安定したものとは申せないのでございます。従いまして、公営企業の推進のためには、これがため必要な資金のワクを拡大するとともに、その調達を容易にし、その資金を低利かつ安定した条件で供給することがぜひとも必要であります。このような要請に基いて、公営企業のうち、特に低利かつ安定した資金を必要とする地方公共団体の公営企業の地方債につき、当該地方公共団体に対し、その資金を融通する公営企業金融公庫を設け、公営企業の健全な運営に資し、住民の福祉の増進に寄与したいと存じます。これが、この法律案を提出する理由でございます。
次に、この法律案の内容の概要を御説明します。第一章は、総則でございまして、公庫の目的のほか、事務所、資本金その他必要な規定を設けております。すなわち公営企業金融公庫の資本金は五億円とし、政府が産業投資特別会計からその全額を出資することといたしております。なお、公庫の対象とする公営企業は、地方公共団体が行う事業のうち、主としてその経費を当該事業の経営に伴う収入をもって充てるもので政令で定めることといたしております。
第二章は、役員及び職員に関する規定でございまして、役員の数、職務、権限、任命及び任期など必要規定を設けております。いずれも既存の他の公庫と同様な規定を設けているのでありますが、その機構は、できるだけ簡素なものといたしました。
第三章は、業務に関する規定でございます。公庫の業務は、申すまでもなく、その目的に即応し、公営企業の地方債につき資金の貸付を行うとともに、必要な限度においていわゆる起債の前貸し資金を貸し付けることといたしております。公庫は、地方の機関を設けることを避け、その業務の一部は、地方公共団体及び金融機関に委託できる方途を講じております。このほか、業務方法書、資金計画及び事業計画は、他の公庫と同様、主務大臣の認可事項といたしております。
第四章は、公営企業債券に関する規定でございます。公庫の発行する公営企業債券については、政府がその元利の支払いを保証するものとし、昭和三十三年度におきましては、七十億円の発行を予定しております。
第五章は、会計でございまして、この公庫には公庫の予算及び決算に関する法律の適用がございますほか、利益金の国庫納付、余裕金の運用、資金の交付などについて必要な規定を設けております。短期借入金は、公営企業債券の前借りとして必要な場合に限り金融機関から借り入れできるものとしております。
第六章は、監督の規定でございまして、一般的な監督、役員の解任、報告及び検査が内容でございます。
第七章は、補則でございます。公庫の主務大臣は内閣総理大臣及び大蔵大臣とし、公庫の職員につきましては、最短恩給年限に達しない者について恩給通算の道を開くことといたしております。
第八章は、罰則でございまして、この公庫は、地方公共団体を対象といたします関係上、必要最小限度の規定にとどめております。
以上のほか、附則におきまして、設立の手続を規定するとともに、各種の税法、設置法など関係法律の改正を行うことといたしております。
以上が公営企業金融公庫法案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/2
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003・門司亮
○門司委員長 本法案に対する質疑はあとに譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/3
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004・門司亮
○門司委員長 次に、昭和三十二年度地方財政計画について前会に引き続きまして質疑を続行いたします。川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/4
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005・川村継義
○川村(継)委員 この前の委員会で少し関連してお尋ねいたしたのでありますが、きょうは公債費の問題、給与関係の問題、地方債の問題等々、とりあえず数点お尋ねをいたしたいと思います。これまでいろいろ問題になっておりましたが、この委員会を通じて大臣の方から明らかにしていただきたいと存じます。
公債費の問題は、この前の委員会で大臣からいろいろ詳しく説明をいただいたのでございまして、大かた政府の考えをわれわれは了承することができたと思っております。ただし私が申し上げるまでもなく、昭和二十九年度から特にこの赤字の問題が地方財政の問題として大きく取り上げられて参って、政府も地方財政の確立にできるだけの努力を重ねてこられたのでありますけれども、今日まだまだそれの明るい見通しというものは、そうたやすく立ったとは申すことができない状態であるとわれわれは思っております。三十年度あるいは三十一年度、特に三十年度のごときにはいろいろ問題が多かった中に絶対赤字は出さないとして、自信を持って政府があるいは再建促進法であるとか、その他自治法改正であるとかいろいろ処置されましたけれども、やっぱり相当の赤字を地方の自治団体は背負い込んでしまったというような状況で、結局これらの地方財政をりっぱに立て直すには、どうしてもこの地方債の問題に抜本的に手をつけなければならないということは、これはこの委員会においてもあるいは他の識者の間においても論ぜられてきたことでありまして、私が申し上げるまでもございません。ところがこの三十二年度にこそ地方債の抜本的な解決策が打ち立てられるであろうと期待をいたしておったのでありますが、自治庁は百九十五億の元利補償の経費等を考えて、その実現に努力をしてきたようでありますけれども、実際出てきたところを見ると、そういうものは全然見受けられないという状況になってしまっております。その起債対策として大臣のお話をお聞きしたところを要約いたしますならば、私の聞き間違いがあったら御訂正を願わねばなりませんが、昭和二十六年度、工十七年度の給与費の不足分として、起債をもって充当しておる金額が百四十七億あった。それが三十二年度の現在九十七億余っておる。それらを元利償還するとなると二十億必要である。そこでこの二十億についてはこれを見たい。また一般の公共事業や失業対策事業、学校建築等の公債費が現在二千六百三十億ある。それの三十二年度の利子が百五十五億であるから、その半額を見たい。こういうことで、つまり第一次の予算補正において出てくるところの百億の中から昨年度の年末手当〇・一五分を処置する十六億と、三十一年度分の不足の補てん分八億とを取り去った七十六億、これによってその起債の給与関係の二十億と一般公共事業等の百五十五億との半額、それを特別の三十二年度の交付税配付の形で見ていこうというような説明があったわけでありますが、これらの金額は結局七十六億では相当不足を出しております。この前の大臣の言葉によりますと、何か第二次補正でこれを期待しているようなお言葉がありましたが、一体第二次補正というものは実際政府がやるのかやらないのか。やったらその中にこの起債対策としての不足分の金額をどれくらい用意をしておるのか、考えておるのか。われわれといたしましては、そのほかに二十九年度揮発油譲与税でございましたか、あれの予算補正によるところの公債で減収分を始末した金額等が十七億か二十億あると思うのですが、そういうものもやはり当然この中に含めて考えていかねばならないと思うのですが、そういうような問題をどのようにあわせて始末していかれようと考えておられるのか、その辺のところを大臣の方からいま一度明らかにしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/5
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006・田中伊三次
○田中国務大臣 ただいま御意見をいただきましたように、地方公債費の中で給与費関係の本年末現在分九十七億円の来年度分の償還分二十億、それから公共事業関係の百五十五億、これの二分の一というものを交付税の形で補給をしていくという、そのやり方をするためには七十六億では足らぬではないかというお話でございますが、その通りでございます。大体どれくらい足るまいかという事柄でございますが、大体二十億、百五十五億の二分の一という金額は、いずれも交付団体及び不交付団体を含んでいるものでございます。従ってこの中にどの程度の不交付団体分があるかと申しますと、二十億の関係におきましては大体三億内外、それから面五十五億の利子の半額の問題に関連いたしましては不交付団体分が二十一億ぐらい、従って合計二十四億内外の不交付団体分には、来年度に限り金をやる必要がなくなるわけでございます。こういうように計算を見て参りますと、大体不足するところは数億円、ぼんやりした言い方で恐縮でございますが、七、八億円の不足ではなかろうかと考えるのでございますが、この不足は前回の委員会においても答弁の際に申し上げましたように、政府は第二次補正予算を組む見通しでございます。第二次補正予算をいつごろ出すかという問題でございますが、今月中に具体的な計数整理ができ次第、その補正が出せる見込みでございます。その見通しは大体国税三税の所得税、法人税及び酒税、そのうち所得税及び法人税を中心として財源を捻出する見込みでございますので、これから特別会計に練り入れます交付税の総額は、ちょうどこちらが不足と考えております七、八億程度のものが収入となる見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/6
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007・川村継義
○川村(継)委員 一応見通しといたしましては今大臣のお話のような構想というのがあるかもしれませんが、どうもこの委員会に、こういう地方財政計画として、あるいは今日の地方財政の重大な問題を処置していこうというこのときに、最も重要課題となっている地方債の問題をそのような形で考えておられる、何かしら固まっていないという問題が出てきておるということについて、われわれといたしましては大へん不安な気持になってこの委員会の審議に臨んでおるわけでして、大へん遺憾に思っておるわけであります。大臣予算委員会の方においでになるそうですが、これはどちらが大事かわかりませんけれども、大臣のお立場もありましょうから、問題が飛ぶかもしれませんが、大臣に対してあと一、二点お尋ねをいたしておきます。
今のお話しの八十億余りの関係の公債費を処理するため今度の第一次補正で百億組まれた、こういうことなんでありますが、これは私がもう申し上げるまでもなく、この巨億というものはこのままほおっておいても、三十三年度には交付税の特別会計に繰り入れられてくる性格のものであって、どうもこの重要な公債費対策として政府が、自治庁が、大臣がほんとうに地方の財政を確立していこうというその熱意のもとに、地方のために国が余分に支出したところのありがたい、処置された金額ではない、こういうふうにわれわれは受け取らざるを得ないのであります。この辺について、あるいはそれだけでもそれを三十三年度に処置するようにしたらいいのじゃないかという御意見もあるかもしれませんが、われわれは当然このままほおっておけば三十三年度に入ってくるやつを、何かしらん大へん変てこな法律を作って、三十二年度の対策として持ってこられたということ、それ自体にも奇異な感じを持つわけでありますけれども、決して国が責任を持って地方の公債費対策に余分のものを出した、いわゆるこれまで論ぜられて参りましたように、この公債費の累増ということについては、国としては相当の責任があるわけであります、その責任を果しておるとは脅えない、こういうふうに受け取っておりますが、この辺に対する大臣のお考えそれから三十二年度は、そういうような大へん変てこな形で処置されましても、三十三年度以降についてどういうような考え方が、その対策、施策が政府にあるかどうか、この点を一つ明らかにしておいていただきたいと存じまけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/7
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008・田中伊三次
○田中国務大臣 お前のやったことは先食いの財源を使っておるではないかというお言葉でございますが、その通りの実情となっております。そこで三十二年度はそれで許してやるとしても、三十三年度の根本的の対策はどうするのかという第二段のお言葉でございますが、三十三年度以降はこの公債費対策というものを本格的な姿に持っていきたい。具体的に本格的な姿とはどんなことを考えておるのかといいますと、そもそもこの公債費対策というものを本格的なものとしてやっていきますためには、やはり交付税などという形で実行するのでなしに、先ほどもお言葉をいただきましたように予算の別建ての、独立の柱を予算の上に立てまして、公債費対策費とでも称すべきものを立てまして、そうしてその公債費の別な柱の立った予算の実行としての、新たなる独立の法律を設けまして、その新法律に基いて予算の実行をする、こういう形において国の一般財源がこれを見ていくという、その形で地方の各自治体にこの金を渡していくというここが筋となるわけでございます。そういう本格的なものを本年もやりたかったわけでございますが、何分永年要望されてきたことが、毎年々々御要望のみにとどまりまして、その実現ができなかったことの現状にもかんがみまして、今年はどうでもこうでも私の気持としましては無理押しをいたします。何としても今年は公債費対策の国の行う行為として第一歩を一つ踏み出したい、こういう悲願に近い念願とでもいうべきものであったわけでございますが、そういう悲願を胸に抱きまして議論を重ねました結果、大蔵当局とも相談をいたしましてこの先食いをしよう、こういうことになったわけでございます。問題は先食いをした七十六億円という金、第二次補正が来ますと第二次補正の数億円というものもさらに先食いをするということになりますが、この一次、二次の繰り入れの先食いを一体どうするかということでございますが、この点についても閣議を通じまして数時間論議を重ねて、そして結局結論が出ませんので、この先食いをして穴のあいた交付税額の穴を埋めるという言明をここで得て、そして自治庁、大蔵省両者との間に意見の一致を見る段階までにはまだ至っておりませんけれども、大蔵省は、これはお前の食っていくものだから、先食いは先食いで穴は埋めないんだ、そういう態度では絶対にないわけであります。埋めるとも埋めないとも言わない。そしてその理由はどういうことかというと、大へん不まじめなように聞えますが、そうではないのでありまして、税収にも一大変化を来たす見通しのある昨今でありますので、来年度の税収の工合も十分に見て、その上で地方財政の現状に照して、埋めるべき必要があれば埋めよう、こういう趣旨をもちまして、埋めるとも埋めないともきめないままで先食いをするという結果になったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/8
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009・川村継義
○川村(継)委員 大臣の大へん御苦心なさったことはよくわかるのでありますが、結局問題はやり方そのものにもいろいろ疑問が残るわけです。三十三年度の今の穴、先食いをした残りをどうするかという問題が、また一つ残っておると思うのです。これが今大臣のお話しのように、大蔵省としてはどうするというここを全然言明していないと言われますので、問題はまた次の年に残ってくるわけです。こういうような形でとにかくやられるということは、地方の財政計画の上から考えても、実際の地方財政の運用の上から考えても、大きな問題を残しておると考えないわけにいかないのでありまして、今田中長官は御自身の責任で一生懸命努力されておりますけれども、しかしいつ大臣をおやめになるかもしれませんし、この穴を埋めるときになると、また違った方が出てきて、おれはそんなことは知らなかったと言われると大へんなことになるという問題を残しておるのであります。そういう点についてわれわれはこの点を明らかにせずに、この問題が出てきたということを非常に遺憾に思うわけです。長官の在任中に一つ何とか明らかにしていただきたい、そういう気持で一ぱいなのです。
もう一つの問題は、あとでまた次官あるいは財政部長に聞きたいと思いますが、給与の問題であります。今度国家公務員に対して給与改訂が行われるので、地方公務員に対しても同じように給与改訂をやる。そうなりますと実際大臣も御承知と思いますけれども、ここ二、三年来地方の自治団体が特に地方公務員の給与に対しては、昇給のストップあるいは延伸というように非常に大きな犠牲をしいながら実施してきて、地方財政の建て直しに懸命な努力を続けてきているわけです。今度給与改訂というものが実施されますと、実は財源的に果してこれがどの地方団体も円満にうまく実施できるか、人事院勧告の線であるとか、あるいは中央の団体が要求いたしております二千円関係であるということは一応論外にしまして、これが実施できるものであるかという疑問が非常に出てくるわけです。と申し上げますのは、これは私どもの見解でございますけれども、いろいろの資料に上りましても、今度の三十一年、三十二年というのは、たとえば東京、大阪、兵庫とか——これは税収が非常に多く伸びておる、こういうところは実施するに問題はないと思いますけれども、九州における佐賀であるとか、あるいは鹿児島であるとか、熊本であるとか、こういう多くの県は、特に再建団体の適用を受けておるような県では、自然増収というものはそう大きな伸びの率を示していない、こう見ておるわけです。今度の地方税の改正で、七百億とかいう自然増収があるのだ、こういうように長官も言われたようですけれども、それは全国の地方団体が平均をしてそういうような税の伸びをしているのではないだろう、大きく伸びているところと、ほとんど伸びていないところがあるだろう、こう考えられますので、自然増収等の税源が少い、いわゆる財政的にどうも豊かになってこないようなところは、一体給与改訂がうまくいくかという疑問がございます。給与改訂をやるとなると、これはどこでもみな一律にやらなければならない。ところが、税収というものがそういうように平均して出てきていないということになりますと、ずいぶん問題が残ってくる。こういう場合に、長官とされまして、地方公務員の給与改訂について、どのようなお考えをお持ちであるか、あるいはこれらの実際の切りかえに当って、とのような行政指導をお考えになっておるかということなど、長官の御責任の立場でお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/9
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010・田中伊三次
○田中国務大臣 今お尋ねの第一の問題の、公債費対策の先食いの財源をどうするかという問題について、いつまでもお前がおるわけじゃなかろうというお言葉がございましたが、その通りでございますが、これは私はこういうふうに考えて間違いはないと見ております。本来公債費対策は、国の責任を明らかにするもので、国から出してやるべきものを借金の形で背負わしてきておるものが、地方公債費のうちに重大部分がある、それが問題の本年度末の給与費の九十七億円であり、利子補給分の百五十五億というものです。これを公債費対策を立てるという以上は、先食いの財源が出て立てるべき筋合いのものではない、何としても国が予算上の措置を講じて、国の一般会計がこれを見るべきものであるということで、私が在任しようがしまいが、事柄の性質がそういうものでございます。本来国の負担において、国の責任において出すべきものを、三十二年度は国に財源のゆとりがないから、先食いをしてくれということになっておるわけでございますから、地方財政上ゆとりのない状況が本年のごとく起きました場合には、当然これは埋められなければならない、こういう一般原則から、事柄の性質にかんがみてみるときにおいては、どの大臣があとに参りましても、私はこの方針は貫き得るもの、こういうふうに考えて、やや安心をして見ておるわけでございます。ただ、荷来年の場合をことしの予算折衝で折衝をいたしますことは、事がめんどうかつ複雑になりますから、ことしはとにかく踏み切りをつけることに了承をし、大蔵当局も了解をして、この臨時の一年限りの公債対策についての新たなる法律の改正についても同意を与えておる、こういう事情でございます。自治庁限りで勝手にやっておることではございませんから、これは必ず三十三年度からは実現のできるものと期待をしておるわけでございます。
それから第二の給与の問題でございますが、これはまことに重要なことと存じますので、私の考え方を申し上げてみますと、給与費に関しましても、この間の地方財政計画でごらんをいただきます通り、四千四百三十五億円の給与費が地方財政計画中の第一項目に計上してございます。これは表はそういうことでございますが、その内容を見ますると、昨年と比べますと四百六億円ばかりの増が見込んであるわけでございます。四百百六億の増を見込みまして、四千四百三十五億というものが、支出の給与費関係の金額として計上をしておるわけでございます。その必要なる内容は、何分にも地方公務員のベース・アップにつきましては、二十九年一月一日にベース・アップをいたしましたきりでアップができておらぬ、そして今回は六・二%の国家公務員の給与のベース・アップを行うわけでございますから、この給与改訂に伴いまして、地方公務員においても給与の改訂をやらそう。それからもう一つは、定期昇給についても延伸、ストップをしておるうらみが所々にごさいますので、一つ定期昇給を行わしめよう、こういう定期昇給及びベース・アップということを勘案いたしました結果、昨年と比べまして四百六億円の増を見込んだ地方財政計画を立てておるわけでございます。そういう事情でございますから、いやしくも国家公務員に具体的なベース・アップが行われます以上は、これに応じまして給与改訂を行うべきもの、こういふうな信念を持ってこれを実施、指導をする考えでございます。ただ問題となりますのは、一体地方公務員のうち、特に大都市関係の公務員の給与単価は高いではないか、高いものまでこの際上げる必要はないではないかという意見は所々にたくさんあるわけでございますが、給与の単価の高いものを適当に引き下げていくということは、あるいは人員淘汰——淘汰という言葉は語弊がありますが、人員の新陳代謝、古い、高い人をやめさして、新しい、安い人を入れさせる、こういうことによって平均のベースを下げていくという努力でございますが、そういう新陳代謝の努力も、全国を通じて熱心に各都道府県市町村ともに行なっておるという現状になっておりますから、地方公務員、特に大都市の給与単価が国家公務員に比べて高いという問題の解決は、そういう別個の線において解決をすることに努力すべきもの、二十九年一月以来ベース改訂を行なってない現状にかんがみまして、これに強く重点を置きまして、この際はベース・アップは右へならえをする、そうしてまた延伸をしております昇給関係におきましても、昇給をしていく、こういう明るい気分でこれを指導していくように持って参り、御心配をかけないようにしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/10
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011・川村継義
○川村(継)委員 大臣にお尋ねしておくことが大へん飛び飛びで申しおけありませんが、次に地方債計画について、ちょっとお考えをお聞きしておきたいと思います。今年度の地方債計画が一般会計分が五百二十億、公営企業会計が四百七十億、その他合計一千七十億となって出ておるわけでありますが、きょう御提案いただきました公営企業金融公庫法案に対する大臣の御説明の初めの方をちょっと見てみましても、一般会計分はこれをだんだん減らして必要な限度にとどめる、公営企業債は可能な限り増額することといたしました、という言葉がありましたが、この四百七十億という公営企業会計については、大臣としては、いわゆるこれが最大限度であるというようなお考えであるか、あるいはもっともっとこれを拡大する必要があるとお考えになっておりますか。なお政府資金と公募債の割合を見ても、政府資金は二面八十億、公募債が百九十億となっております。一体政府資金というのはこれくらいの金額でいいのか。われわれといたしましては、政府資金をもっともっと出すべきである、こう考えるわけです。どうもほかの民間関係にはたくさんの金を出しておいて、こういう地方債においては政府資金を非常に出し惜しみをしているというような問題について、幾多の論点を持っておるわけですが、こういう点について大臣のお考えをお開かせ置き願いたいと思います。大臣は大へんお急ぎのようでございますが、一つ率直にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/11
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012・田中伊三次
○田中国務大臣 御質問のございました一般会計分については減となり、公営企業関係の起債については増となるということでございますが、具体的に申し上げますと、一般会計分は来年度は百九十五億減少せしめたわけでございます。それから公営企業関係においては百五億円増といたしまして、四百七十億といたした次第でございます。そういうふうにいたしたわけでございますが、その理由は、一体一般会計の起債というものの扱いでございますが、これは地方の税収自体に増収が見込まれるというときにおきましては、その増収の生じます見通しのある限度において、やはり地方起債というものは漸次縮減をいたしていくことが常識であり、これが地方健全財政の建前ではなかろうかという考え方を持っておるわけでございます。同時に今度は反対のことを考えるわけでございますが、公営企業関係、こういう関係におきましては収益もそれぞれあることでございますので、それとは全く別に、でき得る限り、これは国の財源の許す限り増額をしていこう、一般会計分においては縮小をしていくが、返す見込みのある公共企業関係、ことに収益を得て参ります収益的事業につきましては、これは極力拡張していくべきものである、こういう考え方に立って、今年はこの私の考えております第一年度の大原則というものを打ち立てる意味において、逆に百五億の増額をしたというような事となっております。将来におきましても、本年は七百億の増収があるわけでございますが、来年はさらに大きな増収がある場合を考えてみますと、一般会計分はもっと下げる。そして同時に公営企業関係におきましてはこれをうんとふやしていく、こういうふやす方法につきましては、国の財政の許します限り、この方面に産投会計から金を注ぎ込んでいくように、再来年以降におきましても努力をしていきたい、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/12
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013・川村継義
○川村(継)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/13
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014・門司亮
○門司委員長 大矢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/14
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015・大矢省三
○大矢委員 非常に急を要しますから、また大臣も急いでおられるようでございますから、簡潔に一つお尋ねしたいと思います。
これは政府の重大政策としての減税並びに公営住宅の増設、これは昨年の委員会において、また特に参議院の委員会で、前長官の太田長官から約束があった。従ってその公約が守れるかどうか。私は重大な変化がない限り守れるものという前提に立ってお尋ねする。それは公営住宅について、昨年国の三公社、それから都道府県の持つところの公営住宅に対しては、御承知の固定資産税をかける。その結果として、最近四千円内外の公営住宅に対して約六百円の値上げを通告している。これは二、三日前大阪では大会を開いて、また京阪神三都の大会が、二、三日うちに開かれる。これは全国にまたがった大きな問題である。さらに今後の住宅政策に影響がある。いま一つは、国がそういうことをやるから、右へならえで、民間の家賃にも大きな影響があるので、これは重大な関心を持っておるのです。当時これが当然借家人に転嫁されて上るであろうということを心配して、執拗にこれをただした。その結果として、第三種の家貸は絶対値上げしない、こういう約束であったが、それでも一般にはまだ値上げのおそれがあるから、上げないということを一つ言明してくれということで、それじゃ上げないようにしようということを言いましたが、その方法としてそれじゃどうするかということに対しては、地方債の償還年限を延長する、そうして家賃に転嫁されないような方法をとる、その次には、特別交付税をもってやる。しからば特別交付税のいかない不交付団体に対してどうするか。交付税によってあんばいするなら、不交付団体に対しては何らかの対策がなければ、結局はこれは家賃に転嫁されるおそれがあるから、どうするかということに対して、それは今言いました金利の値下げ、それから公債の償還年限の引き延べ等によって絶対値上げさせません、こういう約束をしてようやくあれは通った。ところが今度そういうことで自治庁に尋ねていっても、むしろ上げたらよかろうくらいなことを言っておるというようなことを聞く。平気で六百円からの値上げ、——家賃の一五%から、ときには二〇%くらいの率になる、そういう値上げをやるということになると、これは約束違反である。この間非常な変化があれば別ですけれども、変化もないのに、大臣がかわったら、上げる、平気でそのことを通告するということは、今言いましたように、今後政府の公営住宅の施策の上に、さらにまた民間の家賃に、ひいては国民生活に非常に大きな影響を持っておりますから、この際、もちろん約束したことは守りますという大臣の言明があればけっこうです。いかなければいかぬ理由を、簡単でけっこうですから、それだけを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/15
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016・田中伊三次
○田中国務大臣 前任の大臣がどんなお約束を申し上げたかは、私は明確に記憶をいたしておりませんが、ただいま御心配のことはございませんように、私が責任を持って全国に指示を与えます。どうぞ御安心下さい。
なお一言、大事なことでございますから申し上げますが、公営住宅、公営住宅と申しましても、これは課税の立場から申しますと大体三種類ございまして、一つは国家の経営しております公営住宅、一つは府県分の住宅でございます。一つは市町村の持っておる多少の住宅がございます。そこで市町村は、自分のところに固定資産税に相当する税金をもらうのですから、自分の税金は自分でかけてないわけです。ところが税金を出しておりますのは、国の分は交付金によって交付しております。それから都道府県分は、これはその所在の市に交付金をやっているわけです。そういう関係上、どうもこの間にバランスがとれないということが一つございますが、いずれにしても、都道府県分も国の分も、いずれも固定資産税に相当する交付金というものは払っておるのですが、これをえてして財源の都合上、住宅を借りております居住者の家賃にこれを付加しようという傾向がございます。付加することはよくないことだという指示を実は自治庁長官から達しをしているわけです。しかしながらもう本年はこれをやめてはどうか、やはり家賃に加算するなら加算をさせてもいいじゃないか、こういうふうな意向が一方において強くもあり、そういうふうに全国的に傾向が動こうとしているような気配があることも事実でございますから、そういう御心配の起る余地のありませんように——、いずれにいたしましても、この公営住宅関係は安い安いと申しますが、本来収入の多額にある人が入っているものではないのでありまして、一般民間の住宅と比べると家賃は安い、しかしそこに入っております方の立場は、給与の低い、薄給の人が入っておられるわけでありますから、当分の間そういう固定資産税相当額を家賃に加算をして負担を重くするということは断じて許さない、こういう方向で厳格な達しをすることにいたしますから、どうかこの点は御安心をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/16
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017・大矢省三
○大矢委員 今の御言町があれば安心するわけですけれども、一方都道府県の方は財政の関係でどうして下そうしたいということでやるかもしれない。だから今大臣は安心しろと言われたが、具体的な府県に対する対策として、前大臣が申されたような具体的な方向によってカバーする御意思があるかどうか。今申しましたように、利子の値下げ、さらに償還期間の繰り延べ等によって、そうしなくても都道府県に固定資産税の負担がかからずして済むような具体的な、前大臣の言った通りになされれば、それならばしいて心配はしない。ところが強引にやるような都道府県があった場合には、それに対して何かの具体策を持っていなければ——具体策を持ってすれば、地方といえどもそういうことを強行することはないと思いますから、その点をいま一度、安心しろと言うけれどもそういう具体的な内容を含んでおるかどうかお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/17
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018・田中伊三次
○田中国務大臣 そういう具体的な内容も含んでおります。全国どの地におきましてもそういう例外的な勝手な措置が行えないように指示を徹底し、具体的にこれをカバーする道を責任をもって講ずることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/18
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019・大矢省三
○大矢委員 今度の財政計画を見ますと、地方税が非常に増税になっておる。これは自然増収だから増税ではないということの答弁があると思いますが、いずれにしても相当な増税を見ておる。そこで政府がしばしば言うように一般に減税をやるのだ、それから公平に行う、むしろ零細な一般大衆に向ってできるだけ税の軽減をやるのだということを声明しておる。またそうあるべきだと思う。ところが今度は国税の減税のはね返りがあるから地方税の税率を力える、増税ではないが税率をかえて、従来通りしようと言うのだが、これを静かに考えてみますと、結局はこの税率の改正その他によって国税に関係のない人が上ることになるから、これは地方の住民が増税になるということはいえるのじゃないか。それからもし国税が値下ったために地方の人がこれにかわるということなら、これは大きな問題が残る。そこで地方税というものをもっと検討して、この税率というものを考慮する必要があるのじゃないかと思うが、その点についての経過を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/19
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020・田中伊三次
○田中国務大臣 主として住民税についてまず申し上げますと、税率を現行の二一%のままで据え置いて計算をいたしますと、二百億円をこえる減収になるわけでございます。そこで何とかこの減収を避けようとする努力の結果が、この二百億円余りの減収が起らないように税灘を上げる以外に道はない、しかしその結果負担の増になるような改正はやるべきでないということで努力をいたしました結果、これを平年度におきましては二八%、来年度におきましては特に二六%の税率に調整をしようという、調整などという大へん上手な言葉を使って説明をしておるわけでございます。しかしながらその結果やはり百億円前後の減税がある、二百億余りの減が百億程度の減にとどまるということでございまして、全国的に見ますると、現行負担の程度と比較をいたしまするとやはり減税となる、これはうそでも何でもない、表裏ともにほんとうの話でございます。
そこで、今先生のお言葉の通り、本年度の地方財政計画にも六百八十八億という七百億に近い増収が見込まれておるわけでございますが、こういうときにどうしてそんな無理をして、百億くらいの金をとるためにパーセンテージを二一から二六とか二八とかいうところに引き上げるのかというおしかりのことと存じますが、本年は六百八十八億相当の増収があるとは申しますものの、今日までの地方財政の悪戦苦闘の血の出るような貧乏ぶりというものはごらんの通りであります。そこで私の考え方は、七百億内外の増収ではあるけれども、何とか来年は二百億程度のはね返りを百億程度にとどめて、せめて百億でもかせいでいきたいというような苦しい考え方が、この調整という言葉になって表向きの税率を上げた、こういうことになっておるのであります。そこで根本対策はどうする気かということになりますが、再来年は、来年の七百億に対して手数百億の税収のある状態に——神武以来の景気がにせものであるといたしましても、三十三年度以降においては相当な増収が見込まれるものと考えますので、こういう時期を迎えました暁は、ちょうど来年の今ごろ、予算折衝が終って法案の御審議をいただきますような時期が参りましたならば、見通しのつくことでございますから、再来年以降においては増収に応じまして、高い商いと言われる地方税を漸次軽減する方向に、国税の減税とは別個の立場で、地方税自体の減税をしていく方向に向って努力をしていきたい。一方においてその増収を用いて行政水準を引き上げていく、また他方においては地方税それ自体、国税の減税とは無関係に、独立して軽減していく方向に向って努力をしていきたい、こういう気持でやっていきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/20
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021・大矢省三
○大矢委員 大臣は多分御存じだと思いますが、最近学校の校舎の増築その他消防、警察の協力費、いろいろな名目で強制的に寄付行為というか割当というものが非常に多くなってきておる。このことを考慮なくして地方税を考えるわけにいかない。特に最近消防本部の建設費とかいろいろ地方で問題が起きておるようですが、今後こういうものについては、必要なものはある程度国がこれに対して当然見るべきものは見て、負担を間接的にも軽減するようにするとか何らかの方法をとらなければ——税率を変えてまでももと通りとろうとする、そのほか寄付行為は強制的にどんどんやられるということであれば——ほかのことでは断われますが、地元の顔役の顔色を見ていると断われないし、第一言葉も出ないで、陰で泣いておるというのが実態ですが、このことについてどの程度考慮されており、また総額がどの程度になっているか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/21
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022・田中伊三次
○田中国務大臣 地方自治体の寄付、これに類する支出でございますが、その総額は御心配をいただきまするように非常に大きなものでございまして、詳しい数字はわかりませんが、大体全国を通じまして四百億ちょっと出るのではないか。大体四百億内外と踏んでおります。それで今まではどんな対策を講じておるかというお言葉でございますが、自治体々々の財政事情によって情勢は違いますが、それぞれ一定の基準を設けまして寄付については制限を加え、その金額以上寄付金の支出をいたします場合は自治庁長官のオーケーが要る、こういう方向でやってきておるわけでございますが、何にいたしましても、何だかんだと項目の流用等をいたしまして、個々に寄付金を出しておるという金額でございます。表に出ておりますのは総額としては四百億内外と見ておるわけでありますが、私は五、六百億もの大きな支出が出ておるのではないか。これはかりにそう踏んで参りますと、まことに地方財政にとっての重大事でございます。そこでお言葉のございましたこの機会に、将来の大方針というものを申し上げてみたいのでありますが、私の考え方は、本年直ちにこれをやりたかったわけでございますけれども、何しろ組閣をいたしました瞬間から国会が始まったというような事態で、その準備をする時間的余裕がなかったわけでございますので、来年度はこれでやっていくわけでございますが、再来年度以降におきましては、一切地方自治体の寄付というものは、事大小にかかわらず、これを厳禁——小さいものはやらす、大きいものは許可を得る、一定限度はやってよろしいなどということにしておりますから、出さなければならぬことになるわけでございまして、地方自治体はすベてこれを禁ずる、すベて事大小にかかわらず自治庁長官の許可が要るもの、こういう厳格な方向に寄付金というものを規制していきたいと存じます。民間のことは言うをまたぬことでございますが、民間にも迷惑をする寄付があり、これは事実上の税金以上のきゅうくつな寄付でございます。そういうことでございますので、あるいは全国的協議会を温泉で開くとか、どこそこの地域においてこういう協議会があるとか、審議会があるとかいうことで、会議費と称して出しております金額のごときものを総計いたしますと、相当膨大なる金額に上るものと考えますので、こういうものはすべて厳禁をする、そうして書類をもって整うところはことごとく書類をもって養わしめる、こういう考え方で、地方財政というものの赤字の主要部分となっておりますものを補っていくことに努力をいたしまして、これがためには単なる行政措置だけでなしに、独立したにぎやかな声を上げた新法を作りまして、これを一般に住民の皆さんにも、ああいう法律ができたから、とても金をくれるものではないということを周知徹底せしめる努力をいたしまして、将来はこれを厳禁する方向で、地方の赤字対策の一環として努力をしていきたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/22
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023・大矢省三
○大矢委員 それではいま一点お尋ねしたいのですが、地方の財政的負担に学校の持つウエートがきわめて大きいと思う。そこで今度の公債その他教育面における財政計画の中で、学校児童数の自然増に対しての対策はあると思う。ところが先ほど申し上げました国の施策の住宅政策の上で、大都市その他いろいろな産業の事情で特別に膨張したところ、言いかえれば集団住宅が建ったところには特別の学校校舎の増築についての配慮があるかどうか、これが一つ、それからいま一つは、当然自然増加の児童に対しての校舎の不足分は見てある、こういうことを言われておりますが、その自然増の中にも、いわゆる経済上、社会上の情勢によって特別にふえたところがある。たとえば造船ブームとかあるいは大きな工場を誘致したとか、いろいろな地方で非常な経済上の事情で特にふえたところがあるのですが、それは特別に考慮をされておるか、総花的に大体何%だからこれで割り当てたのか。それではそういう特別な事情にあるところは非常な困難がある。この学校のことについてはしばしばPTAを初め地方自治体においても非常な関心を持っている。そこでこの機会にどうしても二部教授その他の危険な校舎の改築をやりたいと思っていろいろ申請するけれども、なかなか思うようにいかぬ。それは国の財政事情もありましょう、他方ともにらみ合せなければならぬでしょう、考慮されていると思いますが、この問題は五ヵ年計画なら五ヵ年で解消するということで何とか方針を立てないと、毎年同じようなことになる。それから時勢に合わない単価の結果、特に地方は地方税に大きな負担が課せられておるということの大きな隘路になっておる。いずれにしても終戦後十年を経過して、ちょうど食糧事情が安定した二十三、四年ごろに生まれた子供が初めて入るのですから、非常な増です。特に大都市なんか集団住宅の増築あるいは社会経済上の情勢によった不均衡な増という、これもあわせていろいろなものが加わって、こういう結果になって非常に因っておりますから、こういうことも考慮されて、公債の中にこれらの自然増あるいはその他の増に対する教室の増加の対策を置いておられるか、この点を各方面で心配されておるので、一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/23
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024・田中伊三次
○田中国務大臣 お説のような事情が各地に起っておることは事実でございます。そこでそういう場合の教員数の増あるいは学校の建築、ことに大串なのは義務教育関係の学校の建築施設費でございますが、そういう問題につきましてはお言葉のごとく事情を十分に勘案をいたしまして、地方起債その他の際にこれを取り入れて措置をすることに努力をしていきたいと存じまして、現にそういう資料はどんどん上ってきているわけでございます。なおしかし自治庁の場合から申しますと——政府全体としてお答えしていいのでありますけれども、自治庁の立場を考えますと、やはりこの問題は文部当局においても十分これを理解いたしまして事柄をきめていただきませんと、起債の与えようがございませんので、近く私のところの役所と文部当局の役所と、同時に建設関係も深い関係がございますので建設関係のお役所と、担当第一線の者が深く協議を遂げまして、人口の自然増に対するところの対策、それから自然増ではございませんが、特殊事情の産業、景気に伴いまして生ずるところの変化というものに措置をするように、一つ狭い範囲の起債でございますが、万遺漏なきを期していけるように努力していきたいと存じます。なおこの問題は、最近の傾向は突如として変化の起るようなことも相当年度内においてあるものでございますから、一応そういう方針を立てた場合においても、全く突然のでき事、急激な変化によりますような場合もなしとしないのであります。あるいは港湾関係あるいは大工場の誘致関係などというものもございますので、そういう場合においては一般の交付税の単位費用に見られるものにつきましては交付税において見る、またそれを見ることのできないものにおいては特別のワクとしての、御承知の特別交付税もございますことでございますから、そういう運用を通じましてさらにその足らざるところを補っていくような方針を取っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/24
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025・大矢省三
○大矢委員 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/25
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026・加賀田進
○加賀田委員 今川村君から質問のあった給与関係のことで質問いたします。先般の説明では給与関係の財源として、定期昇給として百三十億、それからベース・アップで二百二十四億見込んでおるというお話であります。その中で定期昇給の平均金額はどれくらいになるかということと、それから定期昇給に見込んでいる内容の中で、現在の俸給表に基いて定期昇給を計画されているのか、あるいは国家公務員と同じような、御存じのように五本建が八本建になり、職階級が強くなって、公務員等が相当反対しておりまするが、そういう新たなる国家公務員並みの給与表等の変更に基く定期昇給という形で、この二百二十四億というものが計算されておるのか、この点一つ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/26
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027・小林與三次
○小林(與)政府委員 この実施計画における給与費は、これは従来からの例によりまして国家公務員に準ずるという建前をとって、そうして総額を見ておるわけでありまして、個々の団体のそれぞれの給与を積み上げてこれに上げているわけではございません。今度のベース・アップは、要するに基本給の六・二%というふうに見ております。この中身は、今法律が国会に出されようとしておるところでございますから、われわれといたしましてその中身はどういうふうになろうとも、財源といたしましては基本給の六・二%の分はともかく確保しておく、そのワク内において具体的の法律の制定を待って条例の制定を見よう、これが本俸の六・二%でございます。それでありますから、個々の団体の実額給を積み上げてそこで見た、こういうわけではございません。これは従来の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/27
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028・加賀田進
○加賀田委員 平均はどれくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/28
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029・柴田護
○柴田説明員 給与改訂前と給与改訂後の昇給財源を見込んでおりまして、それは一般職員、高等学校、小中学校みな違うのですが、一般職員で申し上げますと、交付団体では八百七十円、不交付団体では九百二十一円の本俸での増、付加給の勤務地手当、扶養手当まで入れて参りますと、一般職員の場合で申し上げますと、これは府県の一般職員でありますが、交付団体で九百四十円、不交付団体で千百円、それだけ財政計画上の給与単価が上ってくることになっております。
その他、詳細はあとで資料で御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/29
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030・加賀田進
○加賀田委員 やはり前の長官も、国家公務員に準じて地方公務員の給与の問題は考慮したいと言われておりますので、もちろん国家公務員の現在の政府の計画に準じて出すように思いますが、その点者業種別にずっと区分して資料を提出していただきたいと思います。なお今の説明では、本俸だけの六・二という財源を見込んでおりますが、しかし国家公務員は本俸だけではなくて、本俸だけでは約八百円程度になると思いますが、諸手当を含めると私の記憶では一ヵ月千二百十円ぐらいのベース・アップに国家公務員はなるのじゃないかというようなことが言われておりますから、その点もよく研究されて、それに準じた資料を出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/30
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031・柴田護
○柴田説明員 この計算は国家公務員の場合と同様の計算をいたしております。国家公務員でも本俸に対する率はやはり六・二%であります。ただ基本の平均ベースが国家公務員と地方公務員とそれぞれ違うのでございまして、そのために金額的には差が出て参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/31
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032・川村継義
○川村(継)委員 大臣お残りいただきましたので、お尋ねすることがまた逆戻りするようで大へん恐縮でございますが、公債費の問題について、もう一つお考えをお聞かせ願いたいと思います。公債費の問題で、さきに御説明いただきましたような分については、へんてこな方法であるけれども、補正予算で出てくる金の中から処置していくということになっていくようでありますが、これから将来の起債のこと、あるいは今背負い込んでおるような公債の処置についてもいろいろ論ぜられておるようであります。そこで第一に問題として考えなければならないと存じますことは、地方団体がやっております住宅であるとか、あるいは交通であるとか、今そこに出ておりますところの公営企業関係、これらに関する政府資金の優遇期間というものは、政府機関が同じような仕事に貸し付けている資金の償還期間よりも知かくなっているのではないか、こういうようなものの不均衡を是正してやる必要があるのではないかということも、一つの問題であると思います。なお利子にいたしましても、六分五厘というような利子はなるべく引き下げていくように、私たちは三分五厘などという線を財政再建計回のあの問題が出たときに論じたことがありますが、こういう利子を引き下げていく、あるいは償還期限を延ばしていくというような問題に手をつけていかなければ、地方債の圧迫というものは取り除かれていかない。そういうものを取り除いてやらなければ地方財政の健全化ということは望めないのじゃないかということが、これまでにも当委員会においてもずいぶん論ぜられてきたのでありますが、政府はこの際これらの問題についての対策をどのようにお考えになっておるか、また実際どのようにその施策をとろうとしておられるか、その点を一つ大臣から明らかにしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/32
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033・田中伊三次
○田中国務大臣 公債費対策の一環として、先ほどから論議をいたしましたことのほかに、国家資金の利子の引き下げ、償還期限の延長という二つの方向にどういうふうに努力をする考えかというお尋ねでございます。まずこの利子の引き下げでございますが、現在政府資金は一律に地方公共団体関係は六分三原となっておりますので、私の考えはこれを六分程度に引き下げを行いたい、そして大いに寄与したいと考えるわけでございます。しかしながらこれはまだ自治庁側の熱心な意見にとどまっておりまして、大蔵当局は引き下げることにはすでに賛意を表しており、そして公債費対策の重圧緩和のために努力しようという決意はしておるようでございますが、その下げる程度を何とか六分三厘と六分の中間で許してくれぬかという意味のことを、ごく非公式に最近において申しております。しかしあくまでも六分にまで下げるべきものという主張で、目下折衝を縦続しておるという事情でありますので、何にしましても六分に近い線までこれを引き下げまして、これに寄与したいと考えております。なおそれと同時に、今お言葉をいただきました中に、償還期限の延長ということにつきましてもすでに一、二度これはやっておることでございますが、さらに事情々々に応じまして、十分幅のある考え方のもとに償還期限の延長という方針も具体的に処置をしていきたい。この二りの方針によって御意向に沿うようにして参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/33
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034・川村継義
○川村(継)委員 一つ御努力をお願いしなければならぬと存じますが、おそらく大蔵当局といたしましては、地方財政をあずかって今日まで苦労をしてきましたものの立場から、なかなか要求そのものをいれてくれないであろうということを想像いたします。今大臣のお言葉の中にその利子を六分に引き下げていこう——私ここでいろいろ議論するようなことはやめたいと存じます。六分にしたいという大臣のお言葉がございましたが、六分という線をお考えになっております根拠を一つお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/34
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035・田中伊三次
○田中国務大臣 御承知の通りに、赤字再建団体として指定をいたしております団体のたな上げの金利でございますが、これは三分五厘をこえるものについて国家が補給するという立場をとっておるわけであります。これがその他の部分につきまして大体これと六分五厘の中間というようなところに行きますならば、非常に効果のあることと思うわけでありますが、国家財政の関係というものもございまして、なかなかそういうふうにうまく参りません。そこで六分五厘というものを民間の金利と比較いたしますと、六分五厘というものは相当安いものでございます。民間は八分五厘ないし高いものは、実質上の金利が一割をこえるようなものもままあるという状況でございますので、六分五厘自体は相当安いのではありますが、安い高いの比較でなしに、地方の赤字の公債の重圧を緩和するという特殊な国家の政策、立場というものから考えますと、国の財政事情ともにらみ合せまして、どうしても最小限度六分程度が最も適当なものではなかろうか。漸次先に行くに従いましてこれを下げていくという努力をしていくべきものではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/35
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036・川村継義
○川村(継)委員 大臣が六分程度にしたいというお考えをお持ちであるということを、お開きしておきたいと思います。
この際次官にちょっとお尋ねいたしたいのでございますが、次官は長い間地方行政のお仕事を重ねてこられましたし、大へん地方財政、地方自治には愛情を持って今日まで処してこられたとお聞きいたしておりますが、今大臣からるる御説明をいただきましたように、当然国家が処置しなければならぬと思われる給与関係の元利補給あるいは公共事業関係の利子補給、そういう問題につきまして、大へんおもしろい形で来年その公債対策がやられようとしておる。また累増しております公債の処置につきましても、大臣はいろいろお考えになって御苦心なさっておるようでございますけれども、こういうふうにしてやるんだという決定と計画がはっきり打ち出されておらない。こういうことが考えられるわけでありますが、ずいぶん今日まで長い間地方債の問題が論じられてきて、何とかして三十二年度はぜひこれをやらねばならぬという立場に、おそらく立っていると思う。こういう状態でございますが、先ほど申し上げますように、大へん地方行政に造詣が深く、また愛情をお持ちの次官として、公債費対策というものはこういう状態で一体いいのか。やるとなればどういう形でやらねばならないとお考えになっておるか、一つ次官の所信をこの際聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/36
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037・加藤精三
○加藤(精)政府委 ただいまの問題は大へん大きな問題でございまして、また大臣からも十分お答えいたしております。私就任いたしまして以来日が浅くて、まだ研究中でございますので、個人的な意見はなかなか申し上げかねるのでありますが、大体元利補給あるいは利子補給というお言葉がございましたけれども、これは国のそうした処置でなしに、地方財政計画の中でその財源を見出し得るように、将来の地方財政は地方財政計画というものを十分に権威あらしめまして、その中で財源補助をしていくという方向に行くベきものでないかと考えております。今回政府がとりました方向は、国の三十二年度の一般財政予算の規模を、ある程度に圧縮しようという一つの収支均衡その他のいろいろな要請がございまして、国の財政が、従来は歳出の伸びというものは地方財政の方が大きく伸びているような形でございますけれども、戦後の特殊事情で国の歳出の計画の伸びが、近ごろあるいは恩給とかあるいはその他諸種の戦後特有の事情、賠償とかそういうようなことから伸びている関係もございまして、国家財政の方にも相当な事情がございまして、一種あまり正常ならざる方法をとって、公債費の元利の支払いが地方財政に対する圧迫を緩和する措置を一つとったわけでございます。この点につきましては、大臣からしばしばお答えになられましたように、やむを得ない事情があったようでございますが、決してそれが最上の策だとは思っておらないのでございまして、こういう問題につきましては、国会の地方行政、地方財政に関心を持っておられる方々からも、大きな関心を持って十分御研究を願いまして、成案を得たいという存念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/37
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038・川村継義
○川村(継)委員 先ほど大臣に地方債計画のことをちょっとお尋ねいたしましたが、もう一つ地方債計画のことについておただししておきたいと存じます。大臣からさっきいろいろお話しいただきましたが、私たちはもちろん一般会計の地方債の額を減らしていくというこのことについては、あえて反対するものではございませんけれども、われわれが地方の自治団体の実情を見ておりますと、こういうように起債が非常に圧縮されて参りますと、地方の住民の仕合せを増進するというような考え方に立ってみるならば、いろいろなやらねばならない仕事がどうもできないで非常に困ったものだというような問題点も残っておるということを、痛切に考えているわけです。こういう点は一つ十分御検討願いたいと思うのであります。
なお公営企業関係の起債額に対しましては、できる限りの限度だということでございますけれども、可能な限り増額をというような、お言葉も出ておるようでありますけれども、私たちはこういうものにはもっともっと出してもらいたい。特に公募債なんというものはやめて、これは政府資金で全部やられるように処置されるべきものだ、こういうふうに考えておるわけであります。というのは、これは数字があるいは完全でないかもしれませんが、昨年度の財政投融資総領二千五百九十二億のうちに、地方債としてもらったのは八百四十億だったと思うのです。だから民間関係には一千六百六十九億円、一千七百低くらい出ておる。つまり低利な政府資金が民間関係にたくさん流れて出て、大事な大事な地方団体の仕事をまかなっておる金額というのが少い。ことしも三千二百億かの財政投融資の政府資金が出る中に、わずかに八百四十億しか政府資金が出ておらない。この大事な一般国民から集めたところの郵便貯金であるとか、簡易保険であるとか、こういうような金がそのまま国民大衆の仕合せにつながる事業に結びつかないで、ややともすると、いわゆる独占資本のもとにこれが利用されていくこの状態というものは、よほどわれわれとしては考えなければならぬ、こういうような気持を持っておりますので、少くとも地方債計画の中においては公募分は取りやめて、政府資金で見ていくというように考えることが必要じゃないか、こういうふうに考えておるのでありますが、これに対する大臣のお考えをもう一度お聞かせいただきたいと同時に、いま一つは公営企業関係の中で、電気事業関係は昨年と同じ百五十億ずつになっております。これは水道事業においては、御説明にもあったと思いますけれども、大きく増額されて、七十五億昨年よりも増加になっておる。交通事業においても十八億増加になっておる。これはけっこうなことでありますが、電気事業関係は少しも増加を見てないというのは、どのようなお考えに立っておられるのか、大臣からお話いただいてもけっこうでございますし、立案いたしました財政部長等から御説明いただいてもいいと思うのです。とにかく電気事業というものは各地方団体、特に府県は大いに力を入れてやっていこうとしておるときに、こういうような水道事業に比して少しの増加も見ておらないということについては、ちょっと疑問が残ってくるのです。そこでその増加を見なかった考え方と、あるいは将来これを三十億でも二十億でも増加する意図があるのかないのか、その辺のところを明らかにしておいていただきたい。地方債計画について以上二つの点をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/38
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039・田中伊三次
○田中国務大臣 私の方からお答えを申し上げまして、足らざるところを部長からお答え申し上げます。非常に大事な公営企業関係については、将来は公募債をやめて政府資金を直接に貸すようにする考えはないかという御意向でございますが、まことにごもっともな御意見であると存じます。そこで将来の問題といたしましては、理論的にもなるほどそういうことであると考えますので、その実現のために努力をしていきたい、御意向に沿えるように努力をして真剣にやってみようと存じます。それから電気事業関係の起債分が増額されていない理由につきましては、部長よりお答えを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/39
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040・小林與三次
○小林(與)政府委員 電気事業の起債はお尋ねの通り前年度通りになっております。これはこの事業計画等を考えまして、大体三十年度がピークになっておりまして、そしておおむね前年度通りでよかろう、こういうことで関係各省との間に意見がまとまったのでございますが、しかしよく考えますと、その後いろいろと鋼材などの値上りが非常に激しくて、既定計画はこのワクだけではなかなかできぬのじゃないか、こういう問題が実は起ってきておるのでございます。それで一応こういう計画が、資金全体のワクの関係もありましてきまったのでありますから、これで最も合理的な運用を考えるより仕方がないと思いますけれども、今申しましたような事情もありますので、資金の余裕等があれば、もう少しこれをふやすことにわれわれの方といたしましても、できるだけ努力をいたしたい、十億前後くらいはふやした方がいいのじゃないか、こういうふうに考えておりまして、実情を見て、機会を見て、その増額のために努力をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/40
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041・川村継義
○川村(継)委員 給与関係の問題についていろいろお聞きしなければなりませんが、これはこの前関係資料をお願いしておきましたが、それがまだないようでありますから、その関係資料をいただいて、こまかにお聞きいたしたいと思います。
そこで最後でございますが、負担金、補助金の問題で、これはおそらく手落ちなく積算をして計画には載せてあると思いますが、昨年の問題にかんがみて、ちょっと疑問になりましたので、今ここでお聞きするわけです。それは農林省で計画いたしております新農村建設に対する費用、昨年も私ちょっとお尋ねいたしたのでありますが、それが今度の地方財政の計画に入っておるか、入っていないかという問題であります。御承知の通り昨年この問題をお尋ねしたときには、入っていない、これははっきり大臣も、当時の後藤財政部長も答弁されたと思うのです。ところがその後一年間の新農村建設のあの計画の大体大ざっぱなところでございますけれども、われわれの知る範囲内では、結局あの計画を受けてやってみた。ところが国からの補助でやれるものだと思っておったところが、そうでなくて、結局六割はその地方が負担しなければならぬということになりまして、一体だれが負担するのかということになると、それはそれを実施するところの農業団体等が負担するというようなことで、初めお茶を濁されておったようでありますけれども、実際はやはり市町村が非常に持ち出しておる、こういうのがだんだんわかってきて、市町村でもそんなにたくさん金がかかるのはいやだというようなことで、実際はこの事業が行き悩んでおるというようなことを聞いております。昨年の数字は一応別といたしまして、昨年はおそらく十九億五千万円かが地方負担分になっておったと思うのです。ことしはこれがずっと拡大されまして、計画実施地域が千五百カ所ということになっておる。そうして予算にもその助成金として二十九億六千万円だけ組んでおります。これが国から四割補助をするのでありますから、やはり地方負担分というものは相当大きな額になると思われるのですが、こういうのは、結局市町村の地方財政計画には迷惑をかけないのだと、やはり昨年同様に言い切られるものであるかどうか。実際ことしの農林省の助成金の配分は、昨年と違った考え方で配分しようとしておるようでありますが、そういうような具体的な問題はどうなっておるのか、あるいはことしも地方財政計画に、自治庁としてはこういうような問題は全然別個なものとして見送っておるのか、そういう点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/41
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042・小林與三次
○小林(與)政府委員 便宜私から御答弁申します。今お尋ねのいわゆる新農村建設計画は、正確に言いますと農山漁村建設総合施設費、こういう名前で農林省から補助が出ておるわけでございまして、これに関係する部分はもちろんこの財政計画に織り込んでございます。その費目は、この消費的経費の中の三、その他の経費、国庫補助負担金を伴うもの、これで全体で一千九十一億八千七百万、七十億余りの増になっております。この中にこの関係経費は全体で二十九億七千六百万、十五億ほどの増になっております。それに見合う部分はここにはっきり計上してございます。なおこの補助金の使い方の問題につきましては、私まだ十分承知いたしておりませんので、調べまして御報告を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/42
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043・川村継義
○川村(継)委員 私今気にかかるほんの一つの問題をお尋ねいたしましたが、この一問題については、実際計画を実施していこうという町村で、あるいはその地域でずいぶん問題を起しているようでございますから、本年度の計画をよくお調べいただいてお話し願いたい。それを一つお願いをいたしておきます。なおこういう負担補助金についての関係資料というものは、この前委員長からたしか御請求になっているようでございますから、できましたら一つお示しいただきたい。いろいろ財政計画についてまたお尋ねすることもあると思いますが、本日はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/43
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044・門司亮
○門司委員長 渡海君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/44
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045・渡海元三郎
○渡海委員 簡単に一点だけ財政部長さんにただしたいと思います。
定時制の問題についてでございますが、勤労青年の勉学の場として定時制教育の重視さるべきことは当然でございますが、政府におかれましても、この趣旨によりまして、本年度は三分の一の施設補助というものを計画し、予算に計上されておるのでございますが、このような政府の方針に従いまして、地方財政計画におきましても、従来全日制と比べまして相当虐待と申しますか、低い率にあった定時制の補助額の計上において改善されておると確信いたしておるのでございますが、いかような状態になっておりますか、財政部長より伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/45
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046・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは今お話しの通り、定時制高校を含む高等学校の経費につきましては、いろいろな問題がございまして、これは特に府県の負担が十分でないものですから、地元の市町村に負担を押しつけておるわけではないかもしれませんが、市町村も負担しておるのであります。これは負担区分を明確にする上から申しまして、私としては不本意であります。府県が出すべきものは府県が出す、市町村が出すべきものは市町村が出す、そういうけじめをつけて財政合理化をはかりたい、こういう心持を持っておるのでございます。ただ定時制の高等学校につきましては、府県によりまして非常にアンバランスでございまして、県によって非常にたくさん学校を作っているところもあれば、そうでないところもあり、そこはまちまちでございまして、その間におきまして財政計画で、これは総合的、統一的に扱いにくい面が実はあるのでございます。そういう点は、一面において合理的に扱ってもらう必要があるのでございますが、これは文部省の所管でございますので、われわれといたしましてはそういうことを期待いたしておるのでございます。いずれにいたしましても、府県の高等学校の経費等につきましては、従来不十分な面も確かにあったのでございまして、今度交付税法の改正で交付税を増額いたしました場合に、高等学校の単位費用の計上の仕方につきまして、できるだけ財源のゆとりのある限り、高等学校の分につきまして経費を相当額増高いたしまして、その運営が従来に比して改善されることになる、こういうふうなことを期待いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/46
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047・渡海元三郎
○渡海委員 単位費用を増加していただくことは、ただいまの御答弁によって明らかになったのでございますが、現実の問題といたしましては、やはり市町村から補助金が出されておるのが現実の姿でございまして、これが昨年度の寄付並びに負担金の制限という問題にぶつかりまして、非常に定時制の教育を脅威したのでございますが、このために昨年度、特に三十一年度限りの措置といたしまして特例の通牒が出された、かように聞いておるのでございますが、その通牒によりますと、このような措置は三十一年度限りということになっておりますが、本年度におきましても漸次改善はされておりますが、なおこの問題は残る問題じゃないか、かように思うのですが、時あたかも市町村の予算を組んでおります時期におきまして、各市町村におきましてはこの問題について相当予算の編成上苦慮しているんじゃないか、かように思うのですが、本年度も引き続いてこれらの特別指掛がお認め願えるような御方針でございますかどうか、もしそうでございましたならば、あらためて通牒を出していただくようなお考えであるかどうか、御確答を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/47
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048・小林與三次
○小林(與)政府委員 お尋ねごもっともでございまして、去年はとりあえず三十一年度の措置として、寄付、負担金の特例を考えざるを得まい、こういうことで通知をいたしたのでございます。それは一つには、三十二年度において一般財源の増強によって府県の負担が十二分に果し得ることを期待しておったわけでございますが、先ほど申しました通り、かなり単位費用を上げることはできましたけれども、これでもう直ちに府県で百パーセント背負いきれるということは私は習いにくい状態だろうと思います。でございますので、高等学校の運営に支障のないように、その点は従来の扱いをある程度緩和と申しますか、明年度におきましてもある程度の暫定措置を講ぜざるを得ないんじゃないか、こういうように考えておりまして、一つ実情に即するようにその扱いをきめて地方に通知をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/48
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049・門司亮
○門司委員長 この際私から大臣に一つ御注文があるのですが、それはさっき大臣から御答弁のございました、三十三年度分の当然地方に配付さるべき交付金額の一部は三十二年度に交付する、こういうことになっていると思いまして、これに対する川村委員の質問に答えて大臣は、まだそのあとの穴埋めの措置は大蔵大臣との間に話がついていない、こういう趣旨の御答弁があったのでございますが、このことは非常に重大な問題でございまして、地方財政を考えて参ります場合に、これらの措置が十分でない限りにおいては、たといこれに関する法律案が出て参りましても、これは委員会で審議するわけにいかぬと思う。従ってこれはぜひ今審議しております過程の中で、はっきり三十三年度にはこれはどういう処置をするという態度をきめていただきたいと思います。そうでございませんと、ここで税法あるいは計画その他を見て参りましても、先がまつ暗で、そうしてこれをその場限りの法律として通すということは、地方の自治体に対してはかなり不安を与えることであり、あまり親切なやり方でないと思います。ですから、この点は特にこのいろいろな議案を審議いたしております過程の中で、ぜひ議案審議に支障のないように大蔵大臣との話し合いによって態度をきめて御報告を願いたいと思います。
それからもう一つの問題は、今問題になっております財政計画と同時に、地方財政にきわめて大きな影響を持つ一つの部門であります例の自衛隊、駐留軍等の所在する市町村の固定資産に対する交付金をどうするかという問題であって、それは予算を見て参りますと、五億が計上されております。これがいまだに政府の方では、法律によって配付するのか、あるいは調達庁あるいは大蔵省あたりが何かつまみ金のようなことでこれを配付するようなことを考えているのか、その態度が明確になっていないようにわれわれは承わっております。これが地方財政に及ぼします影響はきわめて大きい。この額が多いとか少いということは一応論議の別といたしましても、この金の処置というものは地方の財政にとっては、やはりきわめて大きな影響を持っておりますので、これらの態度をすみやかにきめていただきたい。そういたしませんと、地方財政計画にいたしましても、税法にいたしましても、あるいは交付税のいろいるな議案は出ておりますが、これらの審議に大きな支障をきたすと思いますので、この点はぜひ大臣からすみやかに委員会に報告のできますように御配慮を願いたいと思います。
それからもう一つ、これは事務当局に注文しておきたいのですが、先ほどの川村君でありましたか、あるいは大矢君からの質問の中に、地方の自治体が国及び地方の都道府県に寄付金をいたしております額が、大体四百億から五、六百億くらいという数字の概算の説明がございましたが、これも私はある程度三十年度の決算を見て参りますと、この金は出てきていると思いますす。従って都道府県が国にどれくらいの分を出しておる、あるは市町村が国及び都道府県にどれくらいの額を一体出しているかということの数字を一つお示しを願えれば私は非常に幸いだと思います。
それからもう一つは、地方住民が都道府県あるいは前町村というようなところに税外負担をいたしておりまする額も非常にたくさんに上っておるということも、大臣も承認されておったようでありまするが、これらの総額が一体どのくらいになっておるかということを一つ明らかにしてもらいたい。そうして地方財政計画を行なっておりまするこの財政規模と、ほんとうに出しておりまする地方自治体の総額と、さらに地方住民の負担というもの、この三つを並行して審議することが私は正しい審議のあり方になりはしないかと思いますので、この点は審議をいたしておりまする間に、一つ資料としてぜひ出していただきたい、これだけを要求しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/49
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050・小林與三次
○小林(與)政府委員 ちょっと今のお話に関連しまして、先ほど大臣が四百億と申されましたのは、今の住民から公共団体がもらっている寄付の額の一応推定を申されたのでございます。それから公共団体相互及び公共団体と国との関係等につきましては、国に対してはもう今寄付はできぬことになっておりますから、ないと思いますが、なお決算の上におきましてわかり得る範囲のことは一つ調べて、御報告申し上げたいと思います。住民から集まっている寄付は、われわれのところにも正確な資料がございませんで、ほんとうの推定でございますので、その点はできるだけ資料を整えますが、御了承を得ておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/50
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051・門司亮
○門司委員長 それでは午前中の会議をこれで一応休憩いたしまして、午後二時から再開することにいたしたいと思います。
なお、午後二時は本会議の関係等もございますので、あるいは休憩のまま本日は会議を開かぬことがあるかもしれませんが、その点は含んでいただきまして、一応二時から午後の会議を再開いたしたいと思います。
午後一時二分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X00519570305/51
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