1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十二年三月十五日(金曜日)
午前十一時九分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君
理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 川崎末五郎君
櫻内 義雄君 徳田與吉郎君
丹羽 兵助君 渡邊 良夫君
大矢 省三君 加賀田 進君
北山 愛郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
自治政務次官 加藤 精三君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四六号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第六八号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/0
-
001・門司亮
○門司委員長 これより会議を開きます。
昨十四日本委員会に付託になりました地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、まず政府当局より趣旨の説明を求めます。田中国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/1
-
002・田中伊三次
○田中国務大臣 地方交付税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。
御承知のように、昭和三十一年度においては、地方行財政制度について各般の改正が行われ地方財政再建の方途が開かれたのでありますが、政府は、これに引き続き昭和三十二年度におきましても、さらに地方財政を健全化するために各種の方策を講ずることにいたしたのであります。
その方策の一環として、地方交付税の率を現行の百分の二十五から百分の二十六に引き上げ、その総額の増加をはかるとともに、これに伴い、単位費用について、給与改訂等に伴う改訂、投資的経費の算定の適正化等をはかり、また、測定単位の新設、補正方法の合理化など、基準財政需要額及び基準財政収入額の算定の方法についてその合理化と明確化をはかり、地方交付税の適正な算定方法を通じ増加された財源を、合理的かつ適正に配分する必要があるのであります。これが、この法律案を提出する理由でございます。
改正の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一は、地方交付税の総額に関する事項でございます。地方財政の状況にかんがみ、国税所得税の減税に伴い地方交付税に生ずる減収を可及的に回避するため、現在、所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の二十五となっております地方交付税の率を百分の二十六に引き上げることとしたのであります。これにより昭和三十二年度において交付すべき地方交付税の総額は、昭和三十年度分の精算額六億円余を控除して、千八百六十七億余円となるのであります。
第二は、基準財政需要額の算定方法に関する事項でございます。
その一は、単位費用の改訂であります。すなわち、地方財源の増強、歳入構成の是正ともにらみ合せ、投資的経費算定の適正化をはかることを中心とし、職員配置及び職員構成の適正化、給与単価の是正、給与改訂、期末手当の増額等に伴う所要の修正を行うこと、各種委員の報酬、旅費、庁費、単価の合理化をはかること、建築物及び機械類の償却期間の合理化、その他投資的、建設的事業費の充実をはかること、地方道路譲与税、軽油引取税等特定財源の算入額を適正化することなどをあわせ考えて、単位費用の全般にわたり改訂を加え、その合理化をはかったのであります。
その二は、基準財政市要額の算定方法の明確化及び合理化であります。すなわち、投資的経費を充実する方法の一つとして、道路費及び橋梁費について、新たにその延長を測定単位に加え、道府県の、その他の教育費、及び市町村の産業経済費については、種別補正を廃止し、それぞれ独立の測定単位を設けて、その算定の合理化と明確化を期するとともに、道府県の土木費等にかかる態容補正の方法、及び道府県の投資的経費にかかる態容補正係数の連乗方法を改めるなど、補正方法の合理化をはかることとしたのであります。
第三は、基準財政収入額の算定方法に関する事項でございます。今般改正を予定しております地方税制度の改正において、特別とん譲与税が創設せられ、また、入場税を目的税とすることなどが予定せられておりますので、これに伴い、特別とん譲与税の収入額はこれを基準財政収入額に算入し、入場税の収入額はこれを除外することとしたほか、地方税法の改正に伴い必要な修正を加えたのであります。
第四は、目下別途御審議をお願い申し上げております。昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案の規定により、昭和三十一年度分の地方交付税の一部が昭和三十二年度分の交付税の総額に加算されることとなった場合の特例に関する事項でございます。すなわち、右の特例法が成立し、昭和三十一年度分の地方交付税の一部が昭和三十二年度分の地方交付税として交付せられることとなった場合においては、その額は、同法の立法趣旨に基き、昭和三十二年度における地方債の元利償還費の一部に充てるように配分することとなるのでありまして、これがため、昭和三十二年度の特例として、特別の措置として発行を許可された地方債にかかる元利償還金と、公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債にかかる利子の二つを基準財政需要額の測定単位として新たに設け、これに必要な単位費用を定めることとしたのであります。
以上のほか、なお、地方交付税の交付時期及び普通交付税の算定に関する錯誤の取扱い等について、規定の整備を行うことといたしております。
以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/2
-
003・門司亮
○門司委員長 本案に対します質疑は、後日に譲ることといたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/3
-
004・門司亮
○門司委員長 次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたしたいと思います。質疑の通告がございますので、これを許します。川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/4
-
005・川村継義
○川村(継)委員 地方税法の改正案につきまして、一、二問題として考えておることを、大臣及び税務部長あたりからお聞きいたしたいと思います。
今度の地方税法の一部改正で、自治庁の説明によりますと、地方税収全部からいたしますと、現行法では七百十億八千万の増が考えられてくるわけでありますが、改正案によりますと、六百二十八億二千九百万というものが、三十一年度に比べて増収になってくるわけであります。ところが、政府の国税の減税政策によって、この税収のうちの住民税が相当大きく減収になるので、それを埋めるために、そのような急激な変化を避けるために、いわゆる住民税率を引き上げて埋めていこうというような考え方が、一つの大きな基本になっておるようであります。住民税における所得割の一点をとってみますと、政府の説明にもありますように、国税の減に伴って自動的に住民税が減税されるその減収額は、初年度百六十五億、平年度二百二十八億と考えておるようであります。ところが、われわれは、政府があれだけ大きな声で、国の税金を安くする、こういうことでありますから、地方税においても相当大きな減税の恩典があるんじゃないか、こう考えておりましたけれども、その期待があまりにも大き過ぎたものであったと言わざるを得ないのであります。この前の奥野税務部長の説明にもよりまして、また、いただいております説明資料等を見て参りますと、なるほど住民税において考えてみた場合に、初年度の住民税の課税額あるいは平年度の税額が、どのように軽減されておるかというようなことは、この資料に出ておりますけれども、実は計数の上ではそのように確かに税率は変えても、従来に比べて増税にはなっていない。従来よりもよけいに税金を納める必要はないという数字が出てきておるようでありますけれども、入際に税金を納めておりますものの立場からいたしますと、この数字がそのまま受け取れないのです。と申し上げますのは、二十四国会においても、この国税の減税に伴う見合い分として、地方の住民税の税率が改正になったと思うのですが、われわれ住民は、市町村の住民税も安くなるだろうと期待しておりましたけれども、実際はなかなか安くなっていない。かえって税金は年々上っておるというのが実態でございます。
それらの問題はまたいずれかの機会に譲るといたしまして、私がお尋ねいたしたいと思いますことは、せっかく国税の減税に伴って、地方の住民税等においても減税の措置がとられるであろうと考えておるけれども、今回その期待にはずれて大きな税率が課せられるようになったが、一体地方の税収という面から考えて、これだけしかいい方法がなかったものであるか、地方の税の上から考えて、今まで滞納されておるようなものの徴収ということについて、自治庁としては、一体どういうふうに地方団体に対する行政指導の手を打ってきたのであるか、それから地方の自治団体は、滞納の徴収ということについて、一体どういう計画をもって、どういう、成績を上げつつあるのか、こういう点をお聞きしたいのであります。と申し上げますのは、私の考えでは、滞納整理ということに、もうちょっと力を入れたならば、百六十五億の住民税の減収分とか、あるいは平年度の二百二十八億の減収分というのは、何の問題もなく出てくるのじゃないかと考えるからお尋ねいたしているわけです。そういう点についてどういう施策が取られておるか、まずお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/5
-
006・田中伊三次
○田中国務大臣 大体の御質問に対する私の答えを申し上げまして詳しい点は税務部長からお答えをいたすことにいたします。
今のお言葉は、減収をカバーする方法として、税率の引き上げ以外に何か方法はないのかというお言葉でございます。この点についてはお言葉の御趣旨と同様のことを深刻に考えてみたわけでございます。これは過年度分における税の滞納に力を入れて徴収をして、徴収の成績を上げるということも一つの方法でございます。お言葉の通りでございます。そういう点について特に力を入れて徴収に策を講じて、徴収の成績を上げ得て、それによる予想以上の成績を上げ得たことによってカバーができるかと申しますと、今日においてはほとんどその余地がないわけでございます。
ありのままに申し上げますと、昭和三十年度の決算をながめますと、地方税において六百九十三億円という大きな滞納がございます。滞納はございますが、二十五年度以降地方財政が順次安定をしていくに伴いまして、この徴収率の成績というものは向上をしてきております。ちょっとその計数を申し上げてみますと、二十五年度においては、府県税の分で七四%、市町村分で七九・八%であったものが、一年おきまして二十七年度には、府県の徴収成績は八三%に向上をしております。市町村の方は八二%に向上をいたしております。そして二十九年度には、府県は八五・四%に向上をし、市町村は八三%に向上をいたしております。最も新しい統計であります三十年度分につきましての最近出て参りました統計では、府県分の徴収成績は八五・六%、市町村分は八四・八四%というように徴収成績が漸次上ってきておる次第でありまして、なおかつ、それにもかかわらず、六百九十三億円に及ぶところの滞納があるという事情でございますが、ここまで成績が上ってきております現状から見ますと、いかに特段の措置を講じましても、よりよき成績を上げることによって住民税の穴を埋める、減収分をカバーするという方法が、具体的に自信を持ってやりかねるというところから、住民税の穴を埋める方法は、現行の住民税の負担を重くしない、こういう負担の増にならない範囲内において、住民税自体の税率を調整するよりほかに道がなかろうということがやむを得ざる結論となりまして、こういう措置を講じてお手数をわずらわしておるという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/6
-
007・川村継義
○川村(継)委員 大へんこまかな御説明をいただきましたが、今の大臣の御説明を聞いておりますと、事は非常に重大なことがあると私は思います。と申し上げますのは、今大臣の御説明によりますと、二十五年、二十七年、二十九年、三十年と滞納の徴収が非常に成績がよくなった。たとえば二十五年に府県関係で七四%の徴収成績を持っておったのが、三十年は八五・六%に上っておるとこういうことであります。ところが、自治庁の方はその滞納の徴収を見て、地方税の収入見込みにしてありますのは、その半分も見てないのではないか。そうなると、地方の財政計画分にも地方税収の面から大きな狂いがきておるのではないか。たとえば、このいただいております地方税の資料の中に、滞納の問題をどういうふうに見ておるかと申しますと、前年度の徴収率を四〇%、前年度以前のものは三〇%見る。こうしてずっと徴収の額を地方税の収入額として見てある。これは同じようなことが今年度の地方税収の中にも見てある。三十一年度の地方税収の中にも同様に前年度の徴収率を四〇%と見る、前々年度のものは三〇%とこう見てある、その前の年にもそう見てある、二十九年度にも三十年度分にも、同じような三〇%ないし四〇%の徴収率として見て、そうしてその徴収の金額を地方税収の中に見ておる。そこでさっと合計をしてみると、県税ではわずかに九十九億しか見てない。これは市町村税でもそういうことが言えますね。こうなると、今大臣のお話のようなその成績というものは、一体この計画の中には現われておらないのではないか、こう思うのです。そうなると問題は、滞納というやつは、実際はこれだけの成績が上っているけれども、税収見込みの中には非常に過小に見ておる。だからこれだけ税収が少いから、結局あるいは交付税も、いろいろこれまで論じられましたように、たくさん出せないから地方の金が足らない。足らないから住民税等の税金を引き上げていかなければならぬのじゃないか、そういう結論づけるためにやっておられると見てもこれは言い過ぎではない。こういう考えが出てくるのですが、その点は、大臣どういうふうに見ていったらいいのでしょうか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/7
-
008・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話のように、地方税におきましても相当な滞納税金がございます。先ほど大臣のお話になりましたのは、三十年度から三十一年度へ繰り越された金額でございます。しかし幸いにいたしまして、この金額が漸次少くなってきているわけでございまして、改善されてきていることを私たちは喜んで参っているわけでございます。少くとも課税されたものにつきましては、全額完全に徴収される、これがまた負担の均衡を保持する上からいいまして、理想であるわけでございます。しかし実際問題としましては、破産をしてしまいましたとかいうようなことがありましてあるいはまた減免せざるを得ないような事態に追い込まれる人がございまして、課税したものは百パーセント徴収してしまうのだというわけには参らない面が出て参るわけでございます。そういう意味におきまして、税によりまして、多少滞納分につきまして徴収される分量の見方が違うわけでございますけれども、四〇%見込みましたり、あるいは五五%見込みましたりいたして参っておるわけでございます。ただ、今申し上げましたのは、時効にかかっていない限りは全部からめておるわけでございます。従いまして実際問題としては、執行停止処分をしているものもこの六百九十三億円の中には入っておるわけでございます。もう一つは、徴収猶余しておるわけでございますので、実際的にはずれていくというような性質のもの、真実の滞納ではない、徴収猶余にかかっているというようなものもありますので、その辺の事情は御了承願っておきたいと思います。もとより滞納税金というものは、全額徴収されるように、将来とも努力はしていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/8
-
009・川村継義
○川村(継)委員 今部長からお話になりましたが、百パーセント滞納額が取れようなんて、私どももそうは思いません。ただ私が申し上げているのが、あるいは御了解願えないのではないかと思うのですがさきに大臣がお話の中には、いわゆる二十七年の分にいたしましても、大体八〇%以上は府県市町村あわせて取れておる。二十九年度においても八五%、あるいは市町村に八三%という徴収ができておる。三十年においても、滞納額は八五%、市町村において八四%というような徴収ができておる、こういうことでございます。ところが三十一年度の地方財政計画の中に出てくる地方税収見込みの中にあります滞納の徴収率というのは三〇%、四〇%、それだけしか見てない。三十二年度の、この財政計画の中に出てくる歳入の地方税収の見込みの中にある滞納の徴収率は、三〇%あるいは四〇%しか見てない。そうなると、実際取れておる滞納額よりも非常に過小に見ているのではないか、たとえば滞納額の三〇%だけ見てあるわけです。たとえば三十一年度分を見てみますと、事業税の滞納額が五十二億二千万円余りある、こう説明しておる。その中に、この事業税だけは五五%取れることにして、二十八億七千万円取る。これは三十一年度の説明に載っておる。そういうふうに考えて参りますと、大体ほかのやつはみな三〇%ないし四〇%の徴収で見てあるわけなんです。そうなりますと、三十一年度分は百三億七千万円の県税関係の滞納の徴収額に見込みがなっている。市町村関係で三十一年度は百六十一億円という金が滞納の中から三〇%、四〇%徴収として見込んである。三十二年度のやつには同じように三〇%ないし四〇%の徴収として、県税において合計九十九億は取れる、こういう見込みがしてある。市町村民税において同じ三〇%、四〇%としながら、百五十三億は取れるとこう見込んである。ところが実際は、今大臣からお話しがありましたように、八五・六%の徴収率でいけば、この見込みは三〇%といわなくても、もっと六〇%とか、七〇%とか見込んでも、これは過大じゃないのじゃないですか、こういうことなんです。そういうふうに見込んで参る、その考え方は間違いじゃないでしょう。なぜ、そういうふうに徴収率がよくあるならば、もう少し税収見込みの中の滞納の取れる率を多く見ないのか。さっき税務部長が話しているようなことはよくわかるわけです。実際はあまりにも少く税収の中に見過ぎているのじゃないか、それが財政計画の上に、税収計画の上に出てくるのじゃないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/9
-
010・奥野誠亮
○奥野政府委員 ちょっとお互いの理解の間に食い違いがあったようでございますので、もう一ぺん御説明さしていただきます。収入見込み説明の中にあげております前年度からの滞納徴収見込みのうち、四〇%を三十二年度のうちにとれるのだ、こうしてありますのは、三十一年度の徴収見込みを算出します場合に、三十一年度で新たに課税いたします部分のうちで、三十一年度で徴収できるものはかりに八五%だと見込んだといたします。そうしますと、一五%分が三十二年度へ送られてきているのだ、その一五%分の四割分だけは三十二年度で取れるのだ、こういう見込みを立てておるわけであります。同時に三十年度以前に課税した部分は、三十一年度分にどれだけ送られてきているか、こういう数字は、これは今も申し上げました六百九十三億という数字がございますが、このうちの三十一年度中には少くとも前年度に新たに課税された部分の四割は入っているものとしております。残りの部分については、三割は入っておるものとしております。従いましてそれを差し引きましたならば、ずっとその数字は少くなるわけであります。その部分の三割は三十二年度になお入るのだこういうことで徴収見込みはずっと立てて参ってきておるわけであります。なお徴収いたしました結果、平均いたしまして八五%くらい収入が入っている。こう仮定をいたしますと、一五%が滞納になって翌年度へ送られる分になるわけでございます。地方税総額がかりに四千億円としますと、残ります一五%分というものが大体六百億円くらいこういうことになるわけでありますが、しかし初年度の分、前年度の分、前々年度の分というふうにございますので、三十年度から三十一年度へ送る滞納繰り越しというものは六百九十三億円、これは徴収されたものじゃございませんので、帳簿ずらで送って参りまして、三十一年度において徴収しなければならないというふうに、府県市町村で、いろいろと努力をして参ります対象にしておる金額のことでございます。現実に入った金額ではございません。徴収見込みの方の四〇%とか三〇%とかいう式の立て方は、今申し上げましたように前年度徴収見込みに用いました徴収率を基礎として、前年から三十二年に送られて参ります滞納繰り越し額を見る、それからそれ以前の分は、今私が六百九十三億という数字を申し上げましたが、そういう現実の繰り越された金額を基礎にいたしまして徴収見込みを立てて参っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/10
-
011・川村継義
○川村(継)委員 三十二年度のこの見込み額の中で、いわゆる滞納徴収額、この中で県税関係は、集めますと全部で九十九億あります。その九十九億というものとにかく三十二年度に滞納分の中からとれるという額でしょう。そのとれるというのは滞納の中の三〇%なり四〇%なりに見てあるわけですね。そうするとこの九十九億というものはもうとれる。三〇%見込んであるものを、たとえば五〇%、六〇%とれる。また実際それをとるというんとをやっていけば、その倍額は見込めるわけですね。滞納の中の三〇%とって九十億、こうするならば、六〇%とればその倍はとれる、こういうことになると思う。そこでこれを滞納という問題について十分な整理ができるようにやっていけば、また自治庁の地方団体に対する行政指導というものがうまくいけば、これは非常に成績を向上させていくのではないか、そうすると、百億や二百億の税収見込みというもは、この中から出てくる、こう私は考えます。この中から出てくれば、非常に税率引き上げ等に苦心をしておられるようなことは、そう大きな問題にはならぬのじゃないか。たとえば今度税率を二一%の現行が、二六%に引き上っていく、その一%は大体二二億だ、五%引き上ったなら百十億、百億ちょっとあればこの二六%に引き上げなくても、現行で間に合うということにも、大体大ざっぱな計算の上で出てくるのではないか、こういうことであります。だから私が聞いておりますは、この滞納の整理ということにつてまだ問題が、いわゆる手がつけられるのに十分手がつけられぬで残っておるのではないか、こういうことをお聞きしているわけです。
それからもう一点は、われわれ地方におりまして考えることなのですが、これは自治庁や大臣あたりはお知りにならないかもしれませんが、住民税あるいは市町村税、県税、こういうような地方税を滞納しているのは、一体だれかということです。今日市町村の税金等では、同じ村のうちのもの差し押えまでしてとる必要はない。それはちょっとやれないですよと、こういうことで、とにかく納得づくで、よく今までは税金を納めてもらった。ところが今日は差し押え等の手段で役場からどんどん村の人たちの税金をとっておるわけです。それでも相当大きな滞納額がある。その滞納しているものはだれか、こう考えますとこれは善良なる一般の住民ではない。これは御想像がつくと思う。そういうことを考えて参りますと、滞納という問題の処理についてはもっともっとわれわれは、行政当局は大きな関心をもってやらなければならぬ、こういうことまでうまく行われると、何も額に汗して青筋立てて、税率引き上げ等でこの減税の恩恵を奪い取る必要もないのではないか、そういうことを考えるのですか、以上、その二点について大臣のお考えを一つとくとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/11
-
012・田中伊三次
○田中国務大臣 税率の引き上げをやるかわりに当然徴収すべきものであるから、滞納繰り越し分の徴収に力を入れて、財源をこしらえたらどうかという御質問の趣旨でございますが、一個の御見識のある考え方であると存じます。ただ実際問題といたしまして三十一年度より三十二年度に繰り越された滞納分の徴収率を四〇%といたしておりますのは、その根拠は前年度にやかましく指導をいたしまして滞納徴収をやらした、その実績を基礎にいたしまして四〇%程度が適当であろうということで四〇%と押えておるという実情でございますので、これをかりに六〇%とか六五%というふうな押え方をして、財政計画の上にこれを乗っけて参りましても実際はなかなか成績をそれほどに上げることは困難ではなかろうかということが、常識的な考え方になって四〇%と押えたという事情でございます。しかし先生のただいまの御説を承わって私も思うわけでございますが、滞納者の中に善良な人々が比較的に少くて、妙な生活態度をとる人々の方にその滞納が多いのではないかということは事実私は、ことに昨今においては多くあろうかと思います。そういう点につきましてはまだ政府においてよく調査を遂げておりませんが、滞納々々と申しますが、その滞納の実体がどういうところにあるか、滞納を分析いたしまして滞納の実体というものを、一つ踏み込んで十分に調査をいたしまして滞納分の、ことに過年度分の徴収というものに対しては、特に力こぶを入れなければ、払った人と払わない人との間の均衡も破れる、こういうことになって参りますので、これは貴重な反省の資料いたしまして、この点については心して今後滞納分の徴収問題というものを地方に対して指導して参りたいと存じます。ただここでお答えをいたしますお答えの結論といたしましては、現状の調査によりますと四〇%以上の徴収をやらすという見通しのもとに滞納の徴収律を引き上げることが、どうもむずかしいのではないか、こういうことが政府の見ております結論でございます。残念でありますが、先ほども申し上げましたように住民税の税率そのものに調整を加える以外に道はないということとなった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/12
-
013・川村継義
○川村(継)委員 滞納等の徴収率をそう甘く見て計画してはいけない、なるほどこれはよくわかります。ところが大臣から今いろいろお話がありましたが、実績に基いて四〇%とか三〇%とかに踏んだ基礎的な計算等は、いろいろあるというようなお考えのようでございますが、自治庁としてはこういう問題についてはずいぶん指導の手を抜いておる、それなら三十一年度に同じ三〇%としたならば三十二年度の滞納整理の徴収率を三五%あるいは四〇%にする、こういう率ぐらいは出てきてもいいじゃないか、こう思うのです。ところがことしも、三十二年度の場合も、三十一年度の場合も、三十年度の場合も実際見込みとして現われてくる率は、前年度の分については四〇%、前々年度以上の繰り越しについては三〇%、同じようなことで計算して毎年々々見てきておられるわけです。そうなるとさっき大臣のおっしゃったような考え方は、実際の徴収見込みの上には現われてきていない。ところが実際再建団体等におきましては、これは自治庁の指導等におきましても当然再建計画の中でも、できるだけ滞納の整理いうことやら、あるいは――増税などはなかなか地方団体でやっておりませんが、そういうことで地方の税収の増徴をはかるということは、これは再建団体として最も意を砕いていることだと思う。再建団体は府県にいたしましても市町村にいたしましても、非常にたくさんの団体が再建団体となって鋭意努力をしておりますから、そういう団体では予想以上の滞納の徴収成績が上っていると思うのです。またそういう点については当然自治庁が指導をしておられるはずであります。そうなると、そういうことをいろいろ実際面で考えて参りますと、去年もおととしもさきおととしもというようなことでなくて、同じような徴収率をちゃんと当てはめて一律に定木式に計算をするのではなくして三十二年度の場合には、たとえば五〇%あるいは四五%というような徴収率を税収の中に見ていっても差しつかえないのではないか。それを大きく七〇%、八〇%見ろとは実際問題として申しかねますが、もう少し率を上げた金額を滞納の整理の額として見込んで、地方税収の中に見てもいいのではないか、私はこう思う。そうすると相当金はいわゆる税収として上ってくる。上ってくると、計画の上からいってこれだけ足らぬ、交付税はこれだけしか出さない、だからこれだけ足らないから、住民税の率をこれだけ上げなければ埋まらないではないか、こういう率を高く引き上げる理屈になってはいかぬ。五%上げたいところを三%上げたって間に合っていくのではないか、こういうことなんです。一つその点についてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/13
-
014・奥野誠亮
○奥野政府委員 おっしゃっていることはまことにごもっともなことだと思っております。今度の地方税の収入を見積るに当りましても、最近の経済状況なり、あるいは現実の徴収実績等からいたしまして、ある程度徴収率を上げてもいいのではないかというふうに思われるものは上げて見込んでおるのでございます。また従来そういうふうに徴収率を上げて見込んでおることが、架空の財源を地方財政計画上に計上しているだけではないかというふうなおしかりを受けたこともあるわけでございますが、今度そういう意味で引き上げましたのは、不動産取得税と市町村民税の法人税割と固定資産税の土地と償却資産に対するもの、それら全部を会せまして徴収率を引き上げた結果、そういう面で増収になっておりますものが二十一億二千九百万円ございます。なお滞納繰り越しの分につきましても、税目によっては実は若干差をつけておるわけでございまして、また私たちが見込みました滞納繰り越し分につきましての計画上の徴収率というものと、現実の徴収率の開きも毎年実は検討はいたしておるわけでございます。やはりこういうものにつきましては私たちの見込みとかなり食い違いがありまして、ものによりましては四〇%よりも上回っております。道府県民税のようなものは上回っております。ところが交付税とか遊興飲食税とか娯楽施設利用税とかいうようなものになって参りますと、私たちの見込んでおるものよりも下回っております総体的にはそう大きな違いはないのではないかという結果が出ております。しかし御指摘のようにこの部分につきましては私たちとしましても将来とも一そう努力をしたいし、地方に対しても指導に当って参りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/14
-
015・川村継義
○川村(継)委員 それでは税収の中に見込まれている滞納額の問題については、一応それくらいお聞きしておきたいと思いますが、もう一つ本日とりあえずお聞きしておきたいと思いますことは自動車税の問題でございます。自動車の登録台数見込みは昭和三十一年九月末現在となっておる。ところが市町村民税に関係があるものですか、自転車荷車税というものの見込み台数は昭和三十二年四月一日――まだ来ませんよ。昭和三十二年四月一日として見込んである。これは一体どういうような根拠によってこういうふうに三十二年四月一日の見込みなんということで出てくるわけですか、この点を一つお聞きかせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/15
-
016・奥野誠亮
○奥野政府委員 自動車税の賦課期日も自転車荷車税の賦課期日も、どちらも三十二年度分の税につきましては三十二年四月一日でございます。従いまして自動車の台数も三十二年四月一日現在の見込み数を基礎にして税収入を算定いたしております。ただ四月一日というものはまだ来ておりませんので、そこで三十一年九月現在の登録台数を基礎にいたしまして、その後にふえてくるものは足し、減るものは減らしまして、そうして四月一日現在の数や推定いたしておるわけでございます。どちらも同じ考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/16
-
017・川村継義
○川村(継)委員 そうですか。ちょっとはっきりしないのですがね。たとえば自動車荷車税は、今税務部長が説明されたような――何かはっきりわからないのですが、昭和三十二年四月一日現在課税自転車荷車を台数とする、こう書いてある。ところが自動車の方は三十一年九月末現在の登録台数を基礎として見込んでおる。これならわかるわけです。三十一年九月末現在、三十一年十二月末現在、こういうことならわかるわけですが、昭和三十二年四月一日現在課税の自転車及び荷車を見て、いろいろ計算をしておるというところに、まあ大問題ではないかもしれませんが、どうもその基礎的な計算をなされるときの考え方に誤まりがあるのではないか、こういうふうに思うのですが、もう一応その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/17
-
018・奥野誠亮
○奥野政府委員 配付いたしております資料が四月一日現在の見込み数の基礎を省いてしまっているので、そういう誤解を受けたのだろうと思います。四月一日現在の見込み数を出します場合に当りましては、三十一年四月一日現在の台数、これは市町村の実績によって府県別にわかっておりますので、これを基礎にいたしまして三十一年度中の減少分を減らし、三十一年度中の増加見込み分を加えて、ことしの四月一日現在の数字をはじいておるわけでございます。たとえば普通自転車で申しますと、昨年の四月一日現在の台数が千三百七十六万六千台でございます。そのうち三十一年中に減少します見込み数が百十四万七千台、さらに増加いたします見込み数が百三十一万千台、これを増減いたしまして千三百九十三万台という数字をあげておるわけでございます。資料の基礎を省いているものですから、誤解を招いたようでございますので恐縮に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/18
-
019・川村継義
○川村(継)委員 これはあとの審議あるいはお尋ねすることに関係があると思いますから、ちょっとここで数字をお尋ねしておきますが、自動車の新しく作られる車と輸入される車、こういうのは一体どれくらい年々ふえているのですか。というのは、ここに現われておる数字は、見積りがこの分については非常に少いのじゃないだろうか、こう私は思うからお尋ねするわけです。新造分、輸入する車の台数の問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/19
-
020・奥野誠亮
○奥野政府委員 ここに計上しております数字は、外貨割当との関係もございますので、通産省の計画数字を用いております。われわれ通産省から聞いておりますところによりますと、乗用車につきましては原則として外車を輸入しない、国産車で充てていくのだ、こういう強い方針を近来とって参っておられるのであります。そういう点におきまして減ってきておりますことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/20
-
021・川村継義
○川村(継)委員 それはたぶんそういう指導ではあると思うのです。私は今たくさん増加していないと申しましたけれども、新造、輸入の分を見てみるとかえって減っておりますね。三十一年度のこの見込みに現われた数字は、新造、輸入の分が十二万三千八百六十五台、そうしてその場合の調定見込み額を七億五千七百万円と見てある。ところが三十二年度はこれがぐっと減りまして十一万二千六百六十七台になってしまっておる。新造車、輸入車分は三十一年九月現在とするならば、三十年九月現在に比べてこんなにたくさん三十一年は減ったのか、この疑問が出ておるわけです。三十年よりも三十一年は新造、輸入分がこんなにたくさん減ったのか。こういうことになりますと、今日の自動車の状況から見て、ちょっと疑問になってくるわけですが、その辺のところは運輸省の資料とかというので間違いないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/21
-
022・奥野誠亮
○奥野政府委員 一つは当初計画されておりました外車の輸入が、その後において国産車に切りかえる方針が強くとられて参りました結果減って参ってきております。従いまして私たちが当初新造と予定しておりました外車分が、実績においては減って参ったというような事情もございまして、実績による数字に置きかえまして、三十一年における計画増を加えておりますので、そのような差が生じて参っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/22
-
023・川村継義
○川村(継)委員 それではもう一つ数字のことですが、行政協定に伴う特例による問題でありますが、大体昨年よりも少しずつは各車の台数は増加しておるようですが、トラックというのはぐっと減っておりますが、これはどういう事情で減ったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/23
-
024・奥野誠亮
○奥野政府委員 行政協定によります見込みのものも実績密使っておる関係で、そういう数字の違いが出て参ってきておるわけであります。多少最近減って参ってきているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/24
-
025・川村継義
○川村(継)委員 それではいま一つ、いわゆる自転車、荷車のあなたの数字に対する疑問でございますが、これは先ほど申し上げましたように三十二年四月一日現在の課税自転車ということで非常に驚いたわけですが、説明で大体納得できましたがその台数の分で非常に自転車等の台数が多くなっている。それは今日いろいろ原動機がついておるのがずいぶん使われるから、それはわかります。ところが荷車等が昨年に比べて相当大幅に見てある。たとえばことしは三百六十七万二千台というのが、荷積みの小さい車いわゆるリヤカー、こういうのが見てある。ところ、が去年は二百五十八万九千台である。昨年二百五十八万九千台あったのが今度は三百六十七万二千台見てある。実際世の中の人の動きを見てリヤカーなどがこんなにたくさん増加したのだろうか、こういうことは実際地方の町村の人たちの生活状況を見ておるわれわれは非常に疑問になってくるわけです。そういうのがはじき出された考え方を、ちょっとお聞かせおき願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/25
-
026・奥野誠亮
○奥野政府委員 自転車及び荷車の台数につきましては、先ほど申し上げましたように、昨年四月一日現在におきます府県別の実数を基礎にいたしまして、それに増減要素を考慮して、ことしの四月一日現在の数を算定いたしております。その場合に荷積み牛馬車、荷積み大車、荷積み小車及びリヤカーにつきましては増減なしということで、一応昨年の四月一日現在の数字を、三十二年四月一日現在の数字といたしております。その場合に荷積み小車の方は全国で百十三万三千七百十八台でございました。リヤカーの方は二百五十八万八千三百八十八台でございました。三十一年見込みにおいて多少あるいは間違いがあったのじゃないかとも思いますが、今申し上げましたのは昨年の四月一日現在におきます府県別の実績数でございます。あるいはリヤカーの面でふえてきているのじゃないかとも想像されるのでございますが、実はただいま昨年の基礎数字をここに持ち合せておりませんので、食い違いの原因がわかりませんが、いずれにしましても昨年の四月一日現在の実数を、そのまま来年度の収入見込みの数に用いております点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/26
-
027・川村継義
○川村(継)委員 それでは大臣に一言お伺いしますが、自転車それから農村あたりで使っておりますリヤカー、こういうものをことしはだいぶ大きく税収を見込んであるのであります。こういう自転車とかリヤカーについての税金は、私はとってしまった方がいいのじゃないか、こういうふうに思うのです。これは実際税金をかける対象としては時代があまりに進んでいる、こう思うのですが、大臣、おはずしになるようなお考えはございませんか。一つ率直にお聞かせおき願いたい。私の質問はこれで終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/27
-
028・田中伊三次
○田中国務大臣 自転車荷車税が四十七億一千三百万という全国的に見まして、きわめて少額の税額であり、しかも窮屈に見込んである、こういう事情にある。そこで政府の考え方は確定した考え方にはなっておりませんが、三十二年度の自然増収の現状はしばしば御報告を申し上げましたように、どんなに少く見ても七百億に近い増収がある。それは百五億に及ぶ減収があるという前提に立ってなおかつ差し引きまして七百億に近い増収があるという計算になっているわけであります。そういう程度の増収があります際に考えなければなりませんことは、まずこの増収分は一体何に充てるべきものであるかという問題である。ほんとうを申し上げますと、これが普通の行財政の事情にあります場合は、お言葉のごとく、第一には減税に振り向けるべきものである、こういう状況になるのでありまして、減税とはどのような種類の税に振り向けられるべきものであるか、こういうことになりますと、ぜいたくでない、実用に適しているものから先に、減税もしくは免税の措置を講じていくということが、税についての常識を持っているのでありますれば、そう考えていくべきものでございます。そういうような観点から、実は本年度におきましても、私就任早々で時間的ゆとりもなかったわけでございますけれども、自転車荷車のようなものに対しましては、いつかの委員会においてもお説がございましたが、本日は二度目の御質問でございますが、こういうものに対しましては減税を行うということよりは、思い切って一つ免税にする道はなかろうか、こういうことを考えたわけであります。同時にこのことを考えましたときには、国税が減税になるのだから、減収を回避する努力をしないで、一つ住民税も税率を引き上げないで減収のままでいく道はないだろうかということを考えましたときに考えたわけでございますが、同時にこまかい実用に適する必需品については、免税をやろうではないかということを考えて、いろいろやったのでございますが、何さま三十二年度は初めての増収があると見込まれる年でありますし、反面考えました事情は、行政水準があまりにも低過ぎる、橋はかかっておっても通れない、道路はあれども通行には不十分であるというような実態がございまして、行政水準の確保のために全力をあげていこうではないか、これを三十二年度の方針にするよりほかに道がなかろう、実はそれほどに行政水準は非常に低下しておるということにウエートを置いて着眼をいたしました結果、本年は住民税についても税率の調整を行わざるを得ない、それからまた、必需品について、ことに自転車荷車税などというものについても、免税措置を行うことは一つがまんをして、そうして自然増収を傾けて、行政水準のアップの方向にこれを向けていこうではないかということに議が一決をいたしまして、お手数をわずらわすような内容の案を立案申したという事情になっております。よって、将来の方針といたしましては、行政水準の引き上げが来年から手始めとなって参りますが、さらに再来年度の増収は、本年想定をいたしております以上の増収があるものと予想されますので、こういう際においては、自転車荷車税のごとき、ただいまお言葉をいただきましたこの種の税につきましては、減税と申しますよりは、思い切って免税の措置を講ずるように努力をして参る決意持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/28
-
029・川村継義
○川村(継)委員 大臣の御所見を承わりまして大へん明るい見通しに立つわけでありますが、先ほどもお尋ねいたしましたように、滞納の問題とか、いろいろわれわれが考えなければならぬ問題が多うございます。そういうもに手をつけるということになりますと、自転車とかリヤカーとかいうものの税金などはものの数ではございませんから、簡単に処置できると思うのです。申し上げるまでもなく、われわれが乗って踏んでおります自転車やリヤカーというのは、普通の家庭における必需品でございます。原動機をつけてかけ回ることによって、収益を上げているというような問題ではございません。どうぞ一つ大臣のお考え通り、一日も早く実現するように御努力をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/29
-
030・門司亮
○門司委員長 北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/30
-
031・北山愛郎
○北山委員 地方税の全体について二、三お伺いしたいと思います。
今度の地方税改正の重要な点は、住民税の問題が中心で、あとはいろいろ懸案事項を整理したという程度だろうと思うのです。しかし今度の改正のうしろに控えておりますのは、何としても税収の自然増が相当ある、それを背景にして、その土台の上に今度の税制改正というものをやられたと思うのですが、まず最初に、三十一年度の地方税の自然増はどの程度あるのか、それからその内訳はどうなっているか、同時にまた、その三十一年度の地方税の自然増を、地方団体としてはどのように使ったらいいか、そういうような御指導をなさっておるなら、その点を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/31
-
032・田中伊三次
○田中国務大臣 三十一年度の自然増は、大体三百億前後と見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/32
-
033・北山愛郎
○北山委員 その御答弁は実は前にもいただいておるわけです。大体三百億くらいだ、これは見込みでございましょうが、税がどの程度に伸びておるかという内容ですね、従ってどういう団体に自然増が多いか少いかというような傾向があると思うのです。そうしますと、自治庁としては、三十一年度の自然増収を地方団体にどのように使わせようとするのか、そういう指導をしておるかどうか、その点をお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/33
-
034・田中伊三次
○田中国務大臣 三百億内外と踏んでおります三十一年度の自然増収の使い方でございますが、これは大へん抽象的な言葉で恐縮でございますが、各自治体における行政水準の維持という経費までは至りませんが、行政水準の維持のためにこれを使っておる。その内容につきましては、ただいま税務部長から御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/34
-
035・奥野誠亮
○奥野政府委員 大体府県税で百七、八十億円くらいの増収が予定され、市町村税で百億から百二、三十億の増収が予定されるというふうに思っておるわけであります。府県税収入の増加の主体をなすものは法人事業税でございます。市町村税関係でふえて参りますのは、固定資産税の中の償却資産に対する分、それと所得の増加に伴います個人所得割、これが中心でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/35
-
036・北山愛郎
○北山委員 大体そのように想像されますが、自治庁としては三十一年度の自然増を、どういうふうに使えというふうな指導をいたしておりますか。これは一般的にいえば、行政水準の向上というようなことでいえば、いいわけですけれども、実際にはこの自然増は赤字の補てんに使えというようなことも考えられるわけです。自治庁としてはどういう指導をしておるか、おらないか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/36
-
037・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話しのように、自然増収をどう使うかということは、将来地方財政を運営するに当りまして、非常に大きな影響を持つ問題だと考えております。財政部の問題でございますが、自治庁からは漫然と歳出増を来たすようなことはやらないということで厳に戒めますと同時に、赤字団体が再建計画を変更するに当りましても、そのような考え方で将来の歳出増を伴うような場合には、これをできるだけ抑制して参ることにいたしておるわけであります。それと同時に年度間にわたる財源調整の資金に、原則としてこれを充てていきたいというような考え方を示しておるわけでございまして、地方財政法の改正等にも、その趣旨が現われてくるというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/37
-
038・門司亮
○門司委員長 私からちょっと……。今の問題は非常に重大な問題でありまして、自治庁のこれから先の審議に対する方針に、非常に大きな関係を持っておると思いますので、大臣からここで一つはっきり答弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/38
-
039・中井徳次郎
○中井委員 同じような趣旨でありますが、私が聞きますに、行政水準の向上に向けるとか、あるいはそういうことをおっしゃるけれども、具体的には年度の途中で増収があった分は、あなたの県はそれだけ増収があったのだからといって、交付金の算定の基準を変えておるように思う。そうなると、各個の府県、市町村については実質的に増収になっておらぬ、使いようが何もありません、そのようなところをはっきり言って下さい。三十二年度にもそういうことをやるのかどうか、途中で自然増収があったら充てべかりし交付金をやめて、他の貧弱団体にできるだけ持っていく、こういうことについては、私はいいとか悪いとか言っておるのではないのです。そういう事実があるのならあると、またことしもやるおつもりであるかどうか、その点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/39
-
040・門司亮
○門司委員長 これは基本の方針ですよ、自治庁は答弁される場合には、質問の内容をよくお聞きになって答弁して下さい。きょうは大臣も政府委員も参っておりますから、責任のある人から責任のある答弁をして下さい。事務的なことを聞いておるのではない。これは私からお願いするのだが、大臣から一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/40
-
041・田中伊三次
○田中国務大臣 まず三十一年度の三百億と踏んでおります増収の使い道について、自治庁が地方自治体にどういう指示を与えたかという具体的な問題でございます。これは御承知の通り税収が増になるということになります。と、従ってただいまお説の出ましたように、交付税の計算が変ってくるというわけでございます。従いまして交付税に影響をしてくるということ以外に、この増収分はこのような方面に使えということを具体的に指導し、指示をするということは事実三十一年度においてはないと存じます。そこで三十二年度においてはどういうことをする考えかということになりますが、三十二年度におきましても、やはり交付税に影響せしめて計算をする以外に道はなかろう、こういうふうに考えるわけでございます。しかしながら普通交付税を計算いたしまして、確定をいたしました後における事情が、増減について明白になりましたような場合においては、これはやむを得ず特別交付税の計算において、やはりこれも算定に加えていく、こういう方針をとるよりいたし方がないと存じます。ただ私が先ほど行政水準の施策の方面にこれを使うという抽象的なことを申し上げましたのは、そういう交付税及び特別交付税を通じまして計算をいたしまして交付をいたします。その結果として行政水準の維持に、その金が使われていくということになる。これをこの方面に金を使えということの指示は、自治庁からは具体的にはいたさないわけでございます。従って三十二年度においても、そういう指示はいたす決心はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/41
-
042・北山愛郎
○北山委員 そういたしますと一般的には、その三十一年度の増収の使い方については方針を指示しない、そういう大臣の御答弁ですが、しかし実際問題として再建団体については、これは当然再建法の建前から個々の団体に指示が行くわけなんです。自然増収の結果、計画変更をしなければならぬという一場合に、実際上やっておるのです。ただ私、これは三十二年度にも関係をいたしますが、この前にお伺いした通りで、相当自然増収は出ておる。また三十三年度においても出るというんだが、再建計画上は家畜税であるとか住民税であるとか、何かほかの税を一割上げるとか、二割上げるとか、増税の計画をしておる。しかしもう状況が変って、一般のその他の税でもって相当な自然増が出て、増税の必要がない。ないにもかかわらず既定方針というか、計画の中にあるんだから、その増税は増税でやるというような指導をされると困る、こういうお話をこの前にしたのですが、その点もし自然増でもって増税の必要が実際上ないというような場合について、再建計画にあるんだから増税をさせるというような指導はなさるかなさらないか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/42
-
043・田中伊三次
○田中国務大臣 先ほどの私のお答えでは一般的なことを申し上げて、まことに恐縮に存じましたが、一つ漏れておりますことは、今御指摘をいただきましたように、再建団体の場合は趣きがやや積極的に自治庁から意思表示が行くわけでございます。御承知の通りに再建団体は、大体の見通しのもとに税収を考え、それを計画の中に収入として織り込み財政需要をまかなうような内容となっております。それでかりに増税がある、自然増収があるという見通しが明白になりますと、その自然増収分はこれだけある、これを何に使うという計画変更をいたしまして、その計画変更を持ってくるわけでございます。またただいまお言葉のように新たなる税を増税の形において取り立てましたり、あるいは税率の変更をしようという予定が計画に組んであります場合に、自然増があるということが明白になりましたときは、これを自然増で補うことができるから、もうそういう方面の増税もしくは税率の変更ということはやらないという意味の計画変更が、自治庁の方に参るのでございます。その場合におきましては自治庁の方針といたしましては、今のあとの部分につきましては、これは自然増収をもって補い得るものであるならば、新たなる税を取ったり、法定外の税を取ってみたり、あるいは税率を最高限度にまで変更をしてみたりするような事柄は許さない方針を取っていきたいと存じます。できるだけこれを締めていく考えでございます。それから税の増収のありました場合に、その増収分というものを、この方面に使うということについて申請がありました場合には、今後において厳とした方針をとりたいと思っております。それは次の会計年度にまで影響するような膨張財政の方針はとらせない、こういう考え方で、この問題につきましては地方財政法の改正法案といたしまして、実は本日の閣議できめたのでございます。近く地方財政法をこの意味において厳格に解釈を明らかにいたしまして、改正をする法律案をお願いいたしたい。一両日のうちに国会に、お手元に提出する運びとなる見込みでございます。そういうこともございますので、増収の場合の変更は、次の年度に影響するような膨張主義の方針をとらせない、こういう考え方によりまして、自然増収の使い方について変更を申請して参りました際には、これに対して承認を与える、こういう方針でやって参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/43
-
044・北山愛郎
○北山委員 これは再建問題だけでなく、赤字再建団体になっておらぬような団体でも、県の方で指導しておりますが、自然増収が出たからといって、赤字分を一ぺんに償還をさせるというような指導を強くしておるんじゃないかと思うのです。これは御承知の通りに再建法で赤字の全部を肩がわりしたわけじゃないのです。やはり二十九年度末の実質赤字のうちの一部は残っておるのです。それは自主的にその団体が年次的に償還をしていくという建前だと思うのです。またそれ以外の自主再建団体でも、やはり再建計画を立てて年次的にこれを償還をしていくというふうに計画的にやっておるわけです。それを自然増収が出たからといって、一ぺんでやれとか、非常に急激に赤字補てんだけをやらせる。ほかのことはさておいても、まずもって赤字補てんだ、赤字をなくすることを優先的にやらなければならぬというような指導をなさらないというふうに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/44
-
045・田中伊三次
○田中国務大臣 大事な点でありますから申し上げますが、自然増収がありました場合に、自然増収を赤字の方に償還をさすか、一般行政水準の維持確保の面に使わすかという問題でございますが、それぞれの具体的な事柄が起りました場合の、それぞれの団体の財政事情によって、一がいには言えぬわけでございますが、大体の目安としてこれを申し上げますと、今お言葉のように自然増収分の全額を、赤字償還の方向に使わすようなことは断じてやらない考えでございます。大体のことで恐縮でございますが、大体三分の一程度は赤字の方にもお返しを願いたい。三分の二の方は橋をかけたり道路を直したり道を広げたり、こういう意味における行政水準の維持の方面にお使いを願いたいというふうに、これも一方的には申しませんで、計画の文書が出ましたならば、係のものと直接に懇談を遂げまして、納得の上でこれだけを返していく、これだけは使っていくという方針をとって、現実にやっておるわけでございます。最近の最も著しい例は、佐賀県の例でございますが、有名な赤字の県でございます。三億円ばかり収入が増になるという具体的な見通しが明らかとなって参りました。そこで、一億二千万円については赤字の償還をしてもらう、一億八千万については行政水準の維持の方向に使ってもらうという方向に指示を与えたようなことが一つの例でございます。こういう方針で、無理のないようにやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/45
-
046・渡邊良夫
○渡邊(良)委員 関連して。たとえば自然増収の問題につきまして、私も各省を回りますと、たとえば建設省にいたしましても農林省にいたしましても、再建法の適用を受けているから、自然増収があったとしても、これはなかなか認めるわけにいかない、こういうことを言っておるわけです。再建法の法律の趣旨からいたしましても、大蔵省当局なんかもそれについてはかなり強い反対を持っておる、こういうことでありまして、この指導が徹底していないのじゃないか。私の新潟県なんかにおきましても、非常に赤字県で御厄介になっておるわけですが、新しく橋をかけたい、土地改良をやりたい、ところが八年、九年、三十年度の七五%で押えられておるところを、ことしは八〇%くらいのワクをはめられてきておる。再三県当局が、自然増があるからこれを公益事業の中に織り込んで使わせてくれというけれども、なかなか各省が徹底していない。要するに、財政計画変更を各府県から持ってきた場合に、自治庁だけがお認めになれば、それで直ちにこれはできるものかどうか、その点もう一度再確認して、大臣の御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/46
-
047・田中伊三次
○田中国務大臣 自然増収分を特に公共事業関係に使おうという場合に、なかなかこれを使わさぬ――大蔵省は本来の役所の性格として、増があれば早く返せということをいう役所でございます。しかし、自治庁の立場といたしまして、これも抽象的になりますが、こういうことはかたく守っておるわけで、再建の期間は、再建を許可いたしましたときから七、八年でございます。自然増収があるからといって、七八年の再建期間を繰り上げてでも、赤字の解決を急ごうというような無理のあることはやらすべきものではない。しかし再建団体でございますから、そこに自然増収があればどんどん事業をやらせる、それがために七年ないし八年という再建期間が延伸せざるを得ないような、一口にいいますれば、せっかく再建法によって企てておりますその再建計画が破れるような方向に、この公共事業といえどもやらすべきものではなかろう。そこでものの押え方といたしましては、再建期間を押えましてその再建期間の範囲内において計画しておりますその計画が、滞りなくたな上げ赤字解消のために必要である、その程度なら無理なく行ける、こういうことをまず目安に置きまして、その再建計画に差しさわりがない限りは、公共事業も大いにやっていただく、ことに自然増収の分はその方面に使っていただくことは、喜んで承認をいたします。
最後に一つの問題は、自治庁の考え方はけっこうだが、かりに水道なら水道の起債の問題については厚生省関係があり、それが工業用の水道になれば通商産業省ではないか、下水処理の関係においてはまた厚生省ではないか、橋につきましても、河川につきましても、橋梁につきましても、そういうことを自治庁だけで許して、それができるものかどうかという問題でございますが、自治庁の行います起債の措置計画変更というものについて、これが他の省庁と関係をいたします場合には、現在も他の省庁と極力内面において連絡をとっております。しかし、今お言葉をいただきましたことから反省をしてみますと、この連絡が不十分なそしりもあるわけでございます。自治庁はよしと言ったが、建設省に行ってみたらぐずぐず言う。ことに大蔵省がなかなかうんと言わぬというようなこと、が現実にございますので、今後はただいまお言葉をいただきましたことを反省の資料といたしまして、各省庁との間に十分入念な、慎重な個々の打ち合せをいたしました上で、御希望に沿いますように、無理のない方針をしりまして、再建団体といえども再建計画をこわさざる限度においては、明るい活気のある事業を大いに行なっていただくようにしたい。話は別になりますが、これに対する起債の許可、こういう方法につきましても、自然増収で足らざるところは起債の許可となりますが、そういう面につきましても、その考え方で起債の許可について方針をとっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/47
-
048・北山愛郎
○北山委員 今財政再建団体になっておるのは五百五十ばかりあると思います。自治庁長官は非常に理解のある答弁をされておるわけでありますが、やはり実際問題として財政再建団体になったものは、予算を組むのにあらかじめ一々自治庁長官の承認を受けなければならぬ、そういう計画に基いてしか予算が組めない。これは一昨年再建促進法の審議の際に、私どもはその点を非常に心配して、過度の内政干渉をするのではないかとその点を非常に追及したわけです。ところが、当時の自治庁の意見は、再建計画なるものは非常に大ざっぱなものであって、給与費は幾らとか、公共事業費は幾らというように、大ざっぱな計画であって、そのような個々の事業や、こまかい点にまで立ち入りはしないのだ、こういう御説明であった。ところが、実際やってみると、そうではない。給与を一号上げるとか、あるいはどこに道路事業をやるとか、個々の事業にまで一々干渉を受けておる。そうでないと、心配でやっていけないだろうと思うのでありますが、事実はそうなんです。従って五百数十の再建団体は、やはり一日も早く解放してやるべきではないか。幸いにして、いろいろな周囲の条件がよくなったものだから、このごろでは赤字の少い団体ではそろそろ自前でもやっていけるものがあるようであります。この前の大臣のお言葉ではないけれども、やはり芸者もフリー・ランサーにして個別にしていこう、専業ではいかぬというようなお話がありました。これはやはり地方団体も同じで、現存の五百数十の再建団体は、もうまるがかえで自由を奪われたかごの鳥みたいなものであります。これを一日も早く解放して、かごから出してやる、これは大臣も当然同じお気持だと思うのですが、そういうふうなお考えはございませんか。再建法というものはある程度効果を現わした、ですから、自立できるものはどんどん再建団体からやめてもいいという道を開いてやる。いつまでも世話してめんどうを見てやらなければならぬというような考えでなくして、独立さしてやる、こういうふうなお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/48
-
049・田中伊三次
○田中国務大臣 なかなかむずかしい問題でございますが、現行の再建法の趣旨から申しますと、この再建期間の間において、無理のないように再建をやらすということ以外に、早くこの再建関係を切り上げて、自由なからだで本来の自治の本旨に従った運営をやってもらいたいというのは理想でございますが、なかなかこれが現行法の建前からは困難ではなかろうかと思うわけであります。しかしながら、先ほどからもお説をいただいておりますように、来年は自然増収がほんとうに――ほんとうにという話はおかしいのですが、ほんとうに七百億円内外ある。再来年はさらに自然増収を多く、過去三十一年三百億であったものが、三十二年は七百億、三十三年は確かに千億を越えるような自然増収になる見込みではございますが、そういう見通しになってくるものといたしますと、これは私の考え方でございますが、その見通しがほぼ将来において続くものであるということを見通し得る状況が来ましたときは、この再建法自体に対しても思い切った法の改正をしていただくような事態が来るのではないか。しかし今日からそういうふうにいたしますというふうな無責任なことは言えないわけでございますが、自然増収のあり方いかんによっては、赤字再建計画に適用される再建法の改正も思い切ってやらなければ、こんな窮屈なままではやっていけぬのではないかというふうに考えるわけでございます。そういう考え方の下地がありまして、ものを考えるときに、自然増収がかりに三億ありましても、一億は返すが二億は使ってもらいたいという言葉も、そこから出てくるわけでございまして、今の見通しとしましては困難なことではなかろうかと思うわけでございます。将来の場合は自然増収のあり方いかんによりましては、法改正をいたしまして早く自由に、本来の自治の姿で仕事をしていただくように持っていくことがよいのではないかと考えております。
それから非常に大事な点であると存じますので、一番最初にお述べになりました、大ワクをはめて、ワクの中で相談に行くと、大ワクを押えるということになっておるのに、こまかい内容に至るまで指示をしておるのではないかという御指摘がありましたが、これは自治の本来の姿にとりましては非常に大事なことと存じますから、一言申し上げておくのでございます。ワクを押えて、――たとえばベース・アップをやらない予定であったが、こういう理由でこういう財源があるから、べース・アップをやりたい、何号俸をこれだけの限度において修正をしたいという申し入れがあります。ありますと、それに対して幾ら幾らの金が要るのか、その必要財源というものを押えまして、そのベース・アップに使う財源は、これは一億でなしに七千五百万にしたまえというような意味の押え方をしてやっていきますことは理想でございます。理想でございますが、実際の話し合いをだんだん団体との間にいたします場合においては、何号俸はどれくらいにするかというような話は出るわけでございます。しかしそれは、自治庁の役人によく私の方から指図をいたしておりますことは、決してそういう交渉の言葉のやり取りの間においても、自治の自由を侵害するような中央集権的な押え方をするような制限的な言葉を使わないように、交渉にはあくまでも心して当らなければならぬということを、いつもしておるわけでございます。あるいは時にはそういうことはないともいえませんが、こういう点はさらに注意を与えまして、最善を尽して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/49
-
050・北山愛郎
○北山委員 私のお伺いしたのは、実は現在の上再建法でも、その団体が一たんは再建団体になったが、しかしそろそろ自分でやっていけそうだというような状態になった場合には、議会で議決をして、もう再建団体ではなくなりたい、こういう決定をすれば、自由の身になれるという道はあるのです。その道をふさいでおるわけじゃない。ただ問題は、そのときにどういう結果が出てくるかといえば、まず利子補給がストップになる。それくらいならばまだいいのですけれども、もう一つの問題がある。それは再建団体になったときに再建債を借りたわけです。それを一ぺんに返せ、こう言われはしないかと思って、実はやれない、だから再建のために役に立つ再建債で借りた借金を、自由の身になったからといって一ぺんに返せというようなことを言わなければ、現在現行法でもできるのです。そうでしょう。再建債は一定の年度償還の計画によって借りたわけですから、お前自由になるならば、それを一ぺんに返せというようなむごいことを言わないで、自由の門出を祝福してやる、利子補給だけはストップする、借金は計画的に必ず返せよという程度で、それでやっていくようなお考えがあるかどうか、ここが問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/50
-
051・田中伊三次
○田中国務大臣 大事な御質疑でございますが、地方議会が議決をいたしまして、再建団体から抜けようという申請をしてきた場合、そういう場合にはその内容を十分に検討をしてみまして、現在再建団体法によりまして利息は三分以上は国家が補給をしておる事情でございますが、そういうことがなくとも果してやれるかどうかということが一点、もう一つは、指定事業等の関係がございますが、指定事業に対して国家の補助金を二割増という特別の恩典を与えておりますが、そういうものがなくなってもなおかつこの団体は独立してやれるのかどうかというような観測をいたしますことも、大事な点でございます。さらに第三点は、そういうことができるといたしましても、再建計画期間の残部の期間に、安い利息で国家の恩典で借りておるそのたな上げの債務を、完全に返し得る見通しがあるかどうか、こういうことを考えまして、見通しがあります場合においては、抜けたいというせっかくの自主的な議決でございますから、これは尊重すべきでございますが、しかしそういう見通しがいかがかという場合におきましては、なかなかこれに対して承認を与えることは困難ではなかろうかということでございます。見通しがあります限りは、抜けて自由なからだにして自治的にやっていただくことが正しい、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/51
-
052・北山愛郎
○北山委員 いろいろあとのことを心配されることは当然だと思います。しかしともかくその自体が今度は一本立ちでやっていきたいと思うときには、これは原則としては政府の方で阻止して、その意思を尊重しないで、あまり先のことまで小じゅうとらしく心配するということでなく、これはやはり第一にその団体の意思を尊重すべきものではないか。その際に先ほど申し上げたように、繰り上げ償還を命ずるか命じないかが問題である。先々返せるかどうかという問題とは別個に、繰り上げ償還をしなければやっていける、繰り上げ償還するならば問題なしにこれはやれない、こういうことになるのですから、繰り上げ償還をそういう際に要求しないというお考えであるかどうか、これは大蔵省とも関係がありますから、長官だけではどうにもならぬかもしれませんが、繰り上げ償還を命じない、自由になっていくその団体の意思を尊重して、そういうふうな制裁というか、こういうことはしないのだという御意向で、大蔵省等の関係方面と折衝するかどうか、これを確かめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/52
-
053・田中伊三次
○田中国務大臣 再建団体を指定をいたしました法律の精神並びにその立前から申しますと、議決によって抜けたいという場合は、やはり残額については一時に償還を繰り上げていただくということが原則の建前であると存じますが、法律の規定は、その場合には全額を償還せねば許さないという積極的規定も御承知の通りないわけでございます。そこで今お説の通り、団体の意思を尊重して将来の見通しを親切に立ててみて、親切にものを考えてみて、行けそうだという場合においては、団体の意思を尊重するという行き方に行くことが、自治の本旨に早く帰ることになるわけでございますから、お説の通り行きたいものだと考えております。しかしこの点についてはまだ具体的にそういう例は一件もないわけでございます。五百六十八、九の中で、まだ一つもそういう例もないわけでございますが、将来に属する問題として重要なことでございますから、大蔵省とも懇談協議を遂げまして、そうして御意向に沿うように努力をして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/53
-
054・北山愛郎
○北山委員 お話の通りで、これは法律でそういう際には繰り上げ償還をしなければならぬと書いてありません。問題は、再建債の借金の証文の文句におそらくそういうことがあるのじゃないかと思います。ですからそれは方針として法律には制限していないのですから、方針としてこの際繰り上げ償還というような方針はとらないのだということで、一つ自由になれる道をそろそろ開いてもいいのじゃないか。これは早急にお願いをいたしたいと思います。
それでは税法のことで、いろいろありますが、一点だけ。今度は人格なき社団ということで、以後税金をかけることになったわけであります。これは法人税の関係もあるのですが、これと関連して法人税をかけるということになれば、法人税割とか法人事業税とかいうものがかかってくる。そういう規定が今度入ったわけです。ところが人格なき社団というのは、まことにばくとしておる。確かけさの新聞にも出ておりましたが、政党なんかも入るのですね。政党がレセプションなんかしょっちゅうやると、人格なき社団として法人税をかける、そういうことになるのか。あるいは婦人会などが継続して物品販売なんかをやれば、それも税金の対象になるというふうに新聞には書いてあるのです。これは、この前も笑ったのですが、白政会なんかでも、いわゆる人格なき社団で、もし収益事業をやれば税金の対象になる。いろいろ問題があるわけです。どういうふうに扱うかということを、ある程度具体的に明確にしておかなければ、そのときになってから、いやそういうことじゃ困る、そんなはずじゃなかったというようなことが起りますから人格なき社団の税金の対象になる範囲ですね。これをもっと明確にしておきたいと思います。この点についてはどういうふうな考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/54
-
055・田中伊三次
○田中国務大臣 収益事業の範囲でございますが、どういうものをもって収益事業としてこれに法人税を課するかという問題が、根本の問題と存じますが、これは御承知の通り、政令によってその範囲を具体的にきめて列挙をする考えでございます。そういうわけで、まだ具体的に詳細なことをここでお答え申し上げかねることは遺憾でございますが、大体政令で範囲を列挙いたしまして、列挙をしたものについて該当するような収益事業があった場合において法人税を課する、こういう方針が大体の方針でございます。ただ遺憾ながら、その詳細なことは私はまだ存じておりませんので、残るところは今部長から説明をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/55
-
056・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話のような点が、立案に当りましても、与党の政調会におきまして議論になった点でございます。もともと法人税法の改正から始まっておる問題でございまして、大蔵当局としては収益事業の範囲を政令で厳格に規定をしたい。また収益事業という以上は、その事柄が業として継続的に行われていなければならないわけでございますので、お述べになりましたような点は、運営におきましても、あるいは制度の上におきましても、生じてこないように明らかにして参りたいというふうに説明もいたしておるわけでございます。われわれも同じように運営していかなければならないというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/56
-
057・北山愛郎
○北山委員 私も抽象的にはそれでいいと思うですけれども、ただ人格なき社団は、大体はっきりとした営利事業をやる団体でもなし、またはっきりした公益事業でもなしという中間的な団体だと思うんです。ですから非常に事に当ってあいまいな場合が出てくるので、この法案を通す場合には、やはり審議の期間中に政令の内容というものをお示し願いたい。たとえば先ほど申し上げたように、婦人会が物品を販売する――よく石けんを売ったり、日用品なんかを取り扱っておるものが相当ある。これが税金がかかるのかかからないのか、こういう点なんかも迷っておると思うんです。
もう一つお伺いいたしますが、国民健康保険税ですね。国民健康保険税というやつは目的税なんです。都市計画税みたいなものですが、これが財政計画なんかにはワク外になって特別扱いになっているわけです。特別会計になっておりますが、従って本国会でも保険税の内容については、従来十分検討されておらぬ。いろいろ不合理があるわけです。住民税と国民健康保険税と、両方納めるということになれば、納税者の非常な負担です。まず最初に一体住民税というものは、一世帯当り平均年額どのくらいになるか。国民健康保険税の方はどのくらいになるか。一世帯当りの平均負担というものがわかっておりましたら、お話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/57
-
058・奥野誠亮
○奥野政府委員 今計算しましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/58
-
059・北山愛郎
○北山委員 保険税を一体財政計画の中からのけているというのは、どういうわけでございますか。これは一緒にした方が――特別会計でも保険税は非常に一般会計に近いものなんです。水道とかああいうものとはちょっと違う。だから財政計画の中に入れてみた方が、また税法を考える場合においても、その中へ入れて考えていかないと、税負担についても間違ったことが起る。これは一緒に処理するようなことはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/59
-
060・奥野誠亮
○奥野政府委員 先ほども御指摘ございましたように、独立採算でやっていきます特別会計などは地方財政計画からはずしておりますので、それと同じ意味合いにおいて国民健康保険税の関係の分もはずしているわけであります。それともう一つは、現在なお保険料の形で徴収していくか、あるいは保険税の形で徴収していくか、これもその市町村の選択にゆだねられているという関係もあるのであります。しかしその結果、多少国民健康保険税の運営がなおざりにされやすいという点は、私たちも考えていかなければならないと思っております。また厚生省にもそういう考え方がございますので、積極的になお一そうの合理化をはかりたいという話もしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/60
-
061・中井徳次郎
○中井委員 今の健康保険のことで私はちょっと意見やなんか言いたいんだが、政府は五カ年計画で国民皆保険をやるというのは、この国民健康保険なんです。これについての今の御答弁なんかを伺うと、まことにあいまいなもので、資料も整っておらぬ。これは実際大都市などはほとんどやっておりません。あれだけ社会保障だ、社会保障だといいながら、やっておりません。熱心にやっている中小都市やあるいは町村におきましては、国民健康保険の赤字で大いに弱っている。五カ年計画を推進するというのに過去の非常に弱っているものについて、今のように簡単にお考えをいただいておっては、これは口頭禅で、実際はなかなかやりにくいのではないか。自治庁が中心になって大いにこれをやってもらわなければならぬ。今のような答弁では満足しません。ぜひもっと詳細な資料を出して、来年からはっきりとした対策を講じられるように――これは今までのままで行きましたら、一般会計からの繰り入れは相当な額であると思うが、そういうものもさっそく御調査をいただかぬことには、私は対策を講ぜられないと思うんだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/61
-
062・田中伊三次
○田中国務大臣 国民健康保険の地方自治体の財政に及ぼす影響というものが、赤字がだんだんと出るに伴ってその重圧が加わっていることはお説の通りでございます。そこでこれに対する地方財政の確立という立場から申しましても、健康保険の制度を拡充して、本年は五百万というような大きな拡充をしていくにつきましては、現状のままにおいてはさらに加速度的にその赤字からくる一般会計への重圧が加わるわけであります。そういう問題につきましては、自治庁の立場におきましても相当強力なる発言をしなければならぬと考えて、内部においてはこれをやっておる事情でございますが、この詳細な、どの程度の赤字が今日まで過去において出ておるか、将来の見通しは、これを五百万の拡張を行ういうことになりますと、新たなる加入の結果、さらにどれだけの重圧が加わるかというような問題は、詳細を文書にいたしまして、資料として次の機会までに御参考に供することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/62
-
063・亀山孝一
○亀山委員 ただいま同僚中井委員から非常に適切な御注意がありましたが、国民健康保険の整備、いわゆる国民皆保険の問題が、地方財政に及ぼす影響というものは、私は非常に重大であると思います。今大臣の御答弁にもありましたが、これに対しては特に自治庁におかれまして、詳細な、しかも慎重な調査とこれの御計画を一つお示し願いたいのです。特に今中井委員も言わましたが、私の方としても、これをぜひ拝見したいと思いますので、その点格別なお取り計らいを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/63
-
064・北山愛郎
○北山委員 これで終りますが、今のことは文書にして資料をいただいて、なお検討いたしたいと思いますが、さしむき自治庁としてやっていただかなければならぬのは、再建団体の場合です。再建団体の場合に、自治庁は国民健康保険の特別会計と一般会計とを区分しようとしている。一般会計から特別会計の繰入金というものをなくしようとしている。そういう指導を現実にやっておるんです。赤字団体でありますから、これは自治庁は特別会計に繰り入れたくはないんです。しかし国保という事業の特殊な性格からして、一般会計からある程度の繰り入れをしなければやっていけない。ある意味では一般会計と一体なんです。そういうふうなやむを得ざる事情で繰り入れておるのを、一般会計の方の支給をやめてしまえば、当然国保の保険税というものは、どんと二割なり三割なり上るのです。だから自治庁がそういう指導をすれば、直ちに、一般会計の普通の税金じゃないけれども、保険税の方が上っちゃう。すると、ますますやりにくくなる。ですから、さしむきやっていただかなければならぬのは、一般会計から国保会計に繰り入れをストップするような方針をやめてもらいたい。これは再建団体にとっては非常な問題です。この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/64
-
065・田中伊三次
○田中国務大臣 実情は各地方の一般会計から国保の特別会計に赤字分を繰り入なければやっていけないという現状にございますが、理想といたしましては、地方財政の立場を考えますと特別会計は独立採算でやっていくべきもの、一般会計に迷惑をかけるというようなことは誤まり、こういう純理に立って考えますというと、ただいまお話も出ましたように、繰り入れは許さぬという方針で、これを指導したいような心持になるわけであります。そこで一つの便法でございますが、ただいま自治庁から公式に各地方に申しております点は、本来は繰り入れを許すべきではないのだ、しかし事情やむを得ざる現状にあるものと考えるから、ここしばらくはこれをやることは、勧めてはおりませんが、しばらくはやることはやむを得ない、一般会計からの繰り入ればやむを得ない、こういう通達が確かに出してあるものと考えおります。それはしかし、いつのときにか、ここ一両年には、原則に返ってこれを禁ずるような指導方針になるわけでございますが、まだ繰り入れストップをいたしますときまでに、多少の期間があることでございますから、根本的な制度上の対策もよく勘案をいたしまして、御意向に沿いますような方向に指導をしていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/65
-
066・門司亮
○門司委員長 それでは本日は、まだ大臣に対します質問者が残っておりますが、時間の関係もございますので、これは後日に譲っていただくことといたしまして、午後一時から税法の小委員会を開くことになっておりますが、これも非常に時間的におくれておりますので、小委員長の御意向もございますから、午後二時から小委員会を開いていただくことにいたします。
本日はこれにて散会いたます。
午後一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01119570315/66
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。