1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十日(水曜日)
午前十一時十五分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君
青木 正君 川崎末五郎君
木崎 茂男君 櫻内 義雄君
徳田與吉郎君 丹羽 兵助君
福井 順一君 古井 喜實君
今村 等君 大矢 省三君
加賀田 進君 北山 愛郎君
三宅 正一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 岩武 照彦君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政部
財政課長) 柴田 譲君
建設事務官
(河川局次長) 美馬 郁夫君
専 門 員 円地与四松君
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三月十九日
委員三宅正一君辞任につき、その補欠として小
松幹君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小松幹君辞任につき、その補欠として三宅
正一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員渡海元三郎君辞任につき、その補欠として
福井順一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四六号)
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の
一部を改正する法律案(内閣提出第一〇七号)
市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出、第二十五回国会閣法第七号)
地方財政に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/0
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001・門司亮
○門司委員長 それではこれより会議を開きます。
まず最初に地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、政府当局より趣旨の説明を求めます。田中国務大臣。きらいがないでもないこと等にかんがみまして、財政運営、ことに、契約の締結等につきましては、長期にわたる健全財政の堅持について十分な考慮を要すべきことを明らかにしたことであります。
その二は、地方団体の事業にかかる経理の健全化をはかるため、地方団体が行う事業のうちたとえば屠場等のように、主としてその経費を当該事業の経営に伴う収入をもって充てるもので政令で定めるものについては、特別会計を設けて経理を行うべきことといたしまして、その経理の明確化をはかることといたしたことであります。
その三は、国費、地方費の負担区分に関するものでありまして、国土調査法の改正に伴い地方財政法の経費の負担区分に関する規定を整備する必要が生じて参りましたこと等に伴いまして、国庫補助負担金に関する規定の整備をはかったことであります。
次に、地方財政再建促進特別措置法に関する部分でありますが、財政再建団体のうち財政再建債を起している財政再建団体が、財政再建計画の承認を受ける日以前に許可を受け、承認を受けた日以後において借り入れを行なった退職手当債は、現行法では財政再建債としての取扱いができないために利子補給の対象とならないため不合理が生じておりますので、同法の一部に所要の改正を加えまして、これを利子補給の対象とすることといたした次第であります。
以上がこの法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/1
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002・門司亮
○門司委員長 本案に対する質疑は、他日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/2
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003・門司亮
○門司委員長 次に、地方税法の一部を改正する法律案、さらにこれに関連をいたしておることがあると思いますので、あわせて地方財政計画等に対することを議題といたしまして、質疑を続行いたしたいと思います。
質疑の通告がありますので、これを許すことにいたします。中井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/3
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004・中井徳次郎
○中井委員 本日お尋ねいたしまするのは、先般来議題になっておりまする地方税法の一部改正法案でございますが、それにつきましては社会党といたしましても、まだ最後的な態度を決定するに至っておりません。本委員会にも小委員会が作られまして、今鋭意検討中でありますが、その経緯の中にありまして、二、三大臣にお伺いをいたしておきたいと思います。
その第一点でありますが、今回の改正案によりますると、ここ二、三年の間懸案になっておりました住民税の問題につきまして、第二方式、第三方式とそのただし書き、この四つの方法は第一に比べて相当な隔たりがある、このことはいけないから、どこかで線を引けというふうなことでございましてこの点について政府が今度の改正実を出されたということについては、私どももけっこうなことだと考えておるのでございまするが、ただその場合にどれくらいの減収になるかということが先般来非常に問題になりました。問題はこの減収部分をどうしてカバーするかというふうなことでございます。そういうことになって参りますると、大体政府の説明では四十九億であるといわれておりまするが、私どもがやかましく言いましたのは、こういう第二、第三あるいはただし書き、こういう高い税金をどこの市町村とも何も好んで取っておるところはございません。地方財政の困難によりまして、もうやむにやまれぬ事情によってこれは取ってきたのであります。従ってこれを全国的に見ましてあまり差がひどいから調整をするというのであるならば、これに対する財源の措置というものがなされなければならぬ、こういうことになってくると思うのであります。
そこで先般来、その問題についていろいろと質疑もあったようでございますが、大体政府の御意向では、特別交付金でもってカバーをするのであるというふうな御回答もあったのでございまするが、この点についてどの程度の財源の措置を考えておるか、これを一つお尋ねをいたしたい。そうでありませんことには、これは地方財政計画に実は隠されておりました数字であります。隠されておった数字であるからそのままでいいということになれば、これはもう大へんな問題が全国の各市町村に起ると思います。今の市町村の八割までは第二、第三あるいはただし書きを使っておるのであります。この点について一つ政府の率直な意見を、この際この委員会を通じて私は表明をしてもらいたい。そういたしまして、私が今聞きましたらごくわずかなものを考えておるようでありますので、それではとうていわれわれは承服するわけにはいかない、かように考えまするが、大臣の意見を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/4
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005・田中伊三次
○田中国務大臣 住民税課税の方式の選択に伴う不均衡是正のための改正を、お願い申し上げておるわけでございまするが、この場合に国全体としての計画を、財政計画にあげておりますのは、御承知の通り、詳細な数字は忘れましたが、ほぼ五十億内外の減収を見込んでおるわけでございます。しかしこれは全体の地方財政計画として五十億ということを見込んでおるのでありまして、個々の団体についてどうか、見通し違いというものもないとは言えませんので、そういう場合は特別交付税の配分において十分見ていきたい、これが大体の大ざっぱな方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/5
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006・中井徳次郎
○中井委員 今大臣のお言葉ではあったが、国の計画の中にはそういうものは書いてない。ただ説明に、どのくらい減収になるかといえば四十九億であります。とこういうことであります。これは四十九億まるまるカバーをしないことには、非常な問題が起ると思うのでありますが、一体特別交付金はどの程度出す考え方でありますか。大体ことしの予算書を見ますると、交付税の総額千八百六十七億でありまするか、これの八%というと相当な金額になって、特別交付税は百五十億ばかりあるだろうと思います。従ってそのうち五十億ばかりは出しても、例年の特別交付金の金額と比べますると、あまりほかには影響を及ぼさない。従って事務当局の今の返事では、その四十九億の半分程度なんと言っておりまするが、そういうものを簡単に事務当局が判断して、まあ半分でいこうやというようなことでは、私はだいぶ問題があると思う。一例を申し上げると、松山市におきましては、この方式の改正によって、人口二十万であるが、実に六千七百万円の減収になる、こういうことでございます。これは非常な減収である。これはあなたの方から出してもらった資料にちゃんと書いてある。その点についてどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/6
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007・田中伊三次
○田中国務大臣 この特別交付税の幅がどれくらいあるかという問題でございますが、三十二年度は御承知の通りに、三十一年度と比較をいたしますと三百十五億円の増で、交付税全体としては千九百四十三億余りとなっておる、千九百億でございます。そこでこれらの百分の八ということになりますから、相当金額のゆとりは出てくるわけでございます。しかし今お言葉のございました減収が生じた場合に、この交付税の中でどれだけの部分をこれに充当する考えであるかという問題は、大へん技術的にもむずかしい問題でございますので、正確を期するために部長からお答えを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/7
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008・小林與三次
○小林(與)政府委員 来年度の特別交付税の額は、今中井委員おっしゃいますように、大ざっぱに言って百五十億くらいだろうと考えております。今の住民税の税制改正に伴う補てんについて、どれだけ充てるかという問題につきましては、まだわれわれも具体的な数字を当っておりません。個々の団体によって実情も違いますし、団体全般として税の伸びるところもこれは相当あるわけでございまして、そういう一般的な税収の伸びによって全部がカバーできるとは私申しませんが、できるところもあり得るし、とうていでき得ない市町村もあるわけでありまして、そこらの状況をにらみ合せて遺憾のないようにせんけりゃいかぬじゃないか、こういう考えでございます。しかしながら、いつまでも特別交付税でさばきをすべき問題でもこれはないと思うのでありますが、しかし一度にできませんから、経過的にそういう措置はとらなくちゃいけない。そこで特別交付税の総額は去年よりも相当ありまして、それからその他多少の金がありますから、それにつきましては、実際の団体においては法律の改正の趣旨が十分に達せられてしかも財政の運営に支障のないようにということは配慮せぬといかぬという考えではおりますが、具体的の数字はもう少し検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/8
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009・中井徳次郎
○中井委員 どうも今の答弁は、はなはだ私は気に入らぬと言ってはなにだが、認識不足じゃないかと思います。ほかの財源でカバーするのだと言いまするが、あなたの方からお出しになった地方財政計画をごらんになれば一目瞭然である。不交付団体の方が自然増収がうんと多い。交付団体は非常に少い。これはこの間も北山委員から御質問があった通りであります。そういう面から見まして、自然増収の少いものが、特にまた政府の法律によって泣きの涙でやらなければいかぬ。そうなりますると、いわゆる富裕団体との差が非常に多くなる。今小林君の話ではよく検討してというようなことであるが、大体税務関係のこの間からの話では二分の一だと言っております。私は二分の一ではいかぬ、もっとうんとふやさなければいかぬ、こういう意味においてお尋ねをしておるのです。そうなりますと、これはあなたの方の関係になってくる。政府の法律によって特に大きな減収になる、それをもう一ぺん念を押しておきたいことと、さらにこの税法を使っておりますのは、個々の場合に当ってみますると、不交付団体でもこれをやっておるところがあります。そういう面については、今度の特別交付金の場合にはそこにも回るような計画にすることができるだろうと思うのでありまするが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/9
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010・小林與三次
○小林(與)政府委員 特別交付税でございまするから、不交付団体でももちろんいき得ると思います。今お話しの通り、税務部の方では大体半額くらいはみたい、こういう気持でございまして、われわれといたしましてももちろんよくその制度の改正の趣旨を達成するようにはせんけりゃいけませんし、またそれによって個々の市町村が動きがつかぬようなことをしちゃいけませんから、その部分は特別交付税で見ざるを得ない。それで今何かいい標準でもないかといって、案を両者の間で検討中でございます。今お話の通り、どうせ自然増は不交付団体に多いことも明瞭でございますが、交付団体の間でも、やっぱり多少のちぐはぐがあろうと思います。そういうもの全体を通じて、公平な補てんの方法を考える必要があるわけでありますので、検討をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/10
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011・中井徳次郎
○中井委員 この点は、全国の市町村におきましては非常な関心事でございます。従いまして、きょうはっきりとした返事が無理であるならば、今国会中にはぜひ一つ結論を出してもらいたいと思いますが、大臣にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/11
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012・田中伊三次
○田中国務大臣 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/12
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013・鈴木直人
○鈴木(直)委員 それに関連して。ただいまの問題については、特別交付税をもって対処するというお話でありますが、これは交付団体、不交付団体を問わず、とにかく四十九億程度の財源不足を来たしまして、財政に欠陥を来たすことは明らかな点でありますから、今度の地方税の改正に対する跡始末といいますか、地ならしとして万遺憾ないように処置していただきたいということを、私からもお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/13
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014・中井徳次郎
○中井委員 次に問題となりまするのは、軽油引取税でございます。これにつきましては、大体今度の計画で、さらに三千円の増徴ということを計画しておるようであります。これはおそらく、ガソリン税との相関関係があろうかと思うのでありますが、ガソリン税がもし国会において修正をされるということになりますと、政府は自動的にこの案を修正する意思があるのかどうか、その点を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/14
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015・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話のように、揮発油税の増額に対応いたしまして、軽油の税率の改正を考えておるわけでございます。政府が案を提出いたします場合におきましても、自由民主党の中でいろいろ御論議がございました。従いまして、揮発油税を修正するようなことになる場合においては、善処すべきだというふうな意見が政府に寄せられておるわけでございますので、そういう場合には慎重に考慮いたさなければならないというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/15
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016・中井徳次郎
○中井委員 聞いておるのは、そういうガソリン税の修正をされたら、政府自体において原案の修正をするかどうか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/16
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017・奥野誠亮
○奥野政府委員 その通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/17
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018・中井徳次郎
○中井委員 もう一点、遊興飲食税のことでございます。先般来審議を進めておるわけでありまするが、政府の調書を拝見いたしますと、遊興飲食税だけはちっとも説明がなされておらぬ。ただ三割を一割五分にするとか、下の方の免税点を上げるということだけでありまして、ちっとも材料がはっきりしておりません。私どもがすなおにすっと見まして、今回の地方税法の改正の中で、逆に税率が倍になっているというのは、遊興飲食税の、そば屋だとか、うどん屋だとか、すし屋だとか、そういった階級の三百円から五百円までの商、あるいは一般の旅館の宿泊料の八百円と千円の間、この点だけが非常に乱暴に、事務に藉口して倍になっている。計算がしやすいとか何とかつまらぬことを言う。そんなことは問題にならぬと思いまするが、これは一体どうなんですか。五分と一割との間でどれくらいの差があるか、この間から資料を出してくれと言っておきましたが、あるいはきているかもしれませんが、どんなふうになっているか、ちょっとお尋ねしたい。そうしてまた基本的に、これは遊興飲食税の内部においては大きな変革でありますが、それについて一向資料がないというようなことでは、私ども審議のしようがないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/18
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019・奥野誠亮
○奥野政府委員 遊興飲食税の資料につきましていろいろ御意見を承わっておったのでございますが、さらに追加しまして数日前に資料を提出しておりますので御了承願いたいと思います。
御指摘になりましたように、租税負担の均衡化という問題と、税率を単一化することによって、わかりやすい、また徴収しやすい税率に持っていって摩擦を少くしたいという考え方から、税率につきましても一番上の段階と一番下の段階ははずす、そのわかり大衆に対する苛酷な負担になってはならないのであって、思い切って課税しない範囲を拡張していく、こういう方向を選んでおるわけでございます。おっしゃいました問題は、税率五%を据え貫くが据え置かないかによってどれだけの金額が違うのか、こういう御趣旨であろうかと思います。もし据え置きます場合には、旅館におきまして二億二千三百万円、飲食店におきまして六億四千三百万円、金額が違って参るということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/19
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020・中井徳次郎
○中井委員 どうもこの程度のことは、遊興飲食税の総額から見ましたら大した金額ではありませんが、どうしてこういうものを倍にいたしましたのですか。その辺の考え方がわれわれはどうしても、納得できません。この点について大臣はどういうふうな考えを持っておられるのか、一つ率直なお気持を伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/20
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021・田中伊三次
○田中国務大臣 率直な意見を言えということでございますが、複雑な遊飲関係の税率をなるべくわかりやすく簡素なものにしたい、こういう努力の現われが、くどく御説明を申し上げておりますような理由なんでございますが、仰せの通り旅館につきましては、千円以下のものについて八百円を免税としておりますから、この八百円から千円までのものについては増税という結果を来たしておるわけであります。飲食関係においても同様に、両方合せまして九億内外の増収を見ておるという事情でございます。その簡素化したということの以外の理由といたしますものは、旅館の関係については従来は五百円まで、これは免税点でなく、基礎控除であった、それを八百円の免税点を新たに作ったという意味において、ここは非常に負担の軽減に苦心をしたところでございます。しかしながら税率を簡素化いたしました結果、八百円から千円までの部分につきましては、その間の負担の増が出てくる。旅館に対する課税の全体から見て、この税率の扱い方がよかろうということで、審議をわずらわしておるような事情でございます。特別にこれという深い事情があるわけじゃないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/21
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022・中井徳次郎
○中井委員 深い事情がなしに、簡単にそうやられては、取られる方ははなはだ迷惑だと思います。いろいろとお述べになりましたけれども、八百円と千円との間は、何としても基礎控除は据え置きでありますから、税率は倍額。三百円と五百円の間も倍額になることにはちっとも変りはありません。こういうことは五分を一割にして簡単になるとはわれわれは考えられない。三・五六とかこまかい数字を整理するのならとにかく、五分を一割にするということくらいでは、私は実質上はちっとも簡素化にも何にもなりはせんと思う。計算のときにちょっと都合がいいというだけで、それも三・八とか四・六とか、今申しましたようにむずかしい数字ならば一つ整理をしようということにもなろうが、この点は了承ができません。どうも政府の方では簡単にそれでいこうかいというふうなことでやった。ところが結果は非常な大きなことになったというのが実情じゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/22
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023・田中伊三次
○田中国務大臣 いや、これはほんとうに深いものはないのです。深いものはないのですが、ちょっと一言お聞きを願いたいと存じますが、現在までは旅館について、具体的に申し上げますと、五百円が基礎控除でそのまま放任をしておくよりは免税点を八百円に引き上げる、ほんとうは基礎控除そのものを八百円にしたいわけでございますが、財源に響くものでございますからそうは参りませんので免税点を八百円にする。そうして八百円をこえるものについては一割に変えるということの方が、現行法の場合よりははるかによい。それは八百円から千円までの局部だけをおとりになって、これは負担の増になるがどうするのかというお言葉をいただきますと、これは頭を下げなければならぬのですが、現行法と比べると、五百円で押えていくより免税点を八百円にして一割にした方が、局部的には重くなる面はございますけれども、改正しないよりははるかにいい、こういう考え方なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/23
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024・中井徳次郎
○中井委員 どうもそういうことを言われると、五百円と八百円の間はたしかにいいでしょう。ですが八百円と千円の間は同じじゃありませんか。基礎控除は五百円据え置きでしょう、ちっとも変らぬじゃありませんか。従って八百円と千円の間は依然として前の倍になる。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/24
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025・田中伊三次
○田中国務大臣 全国旅館の状況というものを眺めると、八百円までの宿賃で経営しておるという旅館の数が全国的に見て非常に多いわけなんです。しかし大都会のまん中に参りますと、八百円、千円では泊れないのです。大都会を除く一般の地方に参りますと、八百円までを免税にすると、ほとんど無税の経営ができるということで、私の観測から言うと、八百円の免税ということには大へん人気がいいわけであります。ところが大都会のまん中はけしからぬ、八百円の宿なんというものがあるかというおしかりがあるわけです。それから国の趨勢全体としてみますると、八百円までを免税にするということは非常な喜びである。ということは事実上事務当局では十五、六億円これ自体で減収があるというのですが、私はもう少し減収になるのではないかと見ておるわけでございます。全体としてみると、事実減収にはなっておる。これは減税の結果であるのです。しかし局部だけは今までの五分が一割になるのですから倍になる。その倍になる金額だって、どういうことかというと、そんなに倍になる倍になると大きく言いますほどの大きな増税にはならぬので、具体的に千円までのものを考えてみると、五百円の基礎控除を引いてあとの五分というのですから、現行法によれば二十五円です。ところが今度は五百円を引く。かりに千円のものと考えます場合においては、それが五十円になる。二十五円の負担増ということになるわけでございます。だから二十五円違うということはその局部だけなんです。(中井委員「局部が問題だ」と呼ぶ。)しかし全体計画としましては十五億円をこえる減税になっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/25
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026・中井徳次郎
○中井委員 私は何も八百円を免税点にしたことが悪いということを言っておるのではないのです。けっこうなことです。だからそんなことを聞いておるのではなくて、八百円と千円の間はないかというと、それは全国にはたくさんありますよ。なぜそんなところだけを逆に上げたか、筋が通らんではありませんか、だれが考えても。それからあなたは率でも金額は大したことはないしと、そういうことをおっしゃるなら一千億国税の減税はどうですか、二十七万から三十万の人は五割一厘減税になるというけれども、金額にすると一年千二、三百円、大したことはない。そういうのと同じ議論ではありませんか。従ってそれを逆に返して考えていただけばわかると思うのです。私は政治をとる者は、そういうことはあなたからお考えになると小さいことかもしれませんが、やはりその点は筋を通してやっていただきたい。そう思いますのでお尋ねしておるわけであります。まあ、この点は私どもそう考えておりますから、本委員会としても今後十分検討させてもらいたいと考えております。
その次に、この間からいろいろ問題になっております例の軍港の基地関係の交付金、納付金の配分方法であります。これは自治庁とされましても大いに御尽力をいただいて、そうしてできれば法律的な措置をしたいというので、関係方面と折衝されておるということを伺いましたが、その後の経過はどんなものでございましょうか、どういう見通しでございますか、この際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/26
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027・田中伊三次
○田中国務大臣 これは大へん御心配をいただいておりまして、政府内部の方針の決定が長引いておりますことは恐縮に存じております。これもありのままの御報告を申し上げますと、かねてより皆さんの御要望でもあり、また私自身の信念でもありまして新しい制度をとることでありますから、これは閣議決定で配分をしようという態度をやめて、あくまでも法律に根拠を持たしたものとしていくべきである。さて法律に根拠を持たすということになると、当然というわけではございませんが、最も無理のない方法としては二つの方法がございますが、一つは単行法でこれをやるということ、もう一つは国有資産等所在市町村交付金法という法律の附則を改正してこれにはめ込むという方法、こういう二つの方法があるわけで、そのいずれでもいいが、ぜひ法律を作って法律に基く配分をしなければならない。率をきめて坪数を掛ければ出てくるという安定をした計算において配分のできる交付金でなければ相ならないということを、私は閣議以来、熱心というより、強引に貫いておる次第であります。この法律に基くべきであるという問題につきましては、しからば三十二年度は閣議決定のつまみでいこう、三十三年度からは法律を作ろうではないかという意見も相当にありますが、それもまかりならぬ、三十二年度より断じて法律を作れ、こういう主張をいたしておりまして、この法律に基くものとして、単行法を作るという方針は、大体において動かないところとなっております。問題となりますのは、御心配をいただいております飛行場、それから演習場の問題でございますが、飛行場も演習場も対象からははずさない、これが一つの方針でございます。それからもう一つは駐留軍でない自衛隊の関係のもので、対象となるべきものはどういうものかということが問題になっておりますが、自衛隊の飛行場、演習場等のことについてもこれを扱っていく、扱い方はやや変っていくかわかりませんが、これは扱っていく、こういうように大体の方針は進んでおりまして、皆さんの御心配をいただいております事項は、時間は長引いておりますけれども、ことごとく御期待に沿い得る結果に今明日においてなろうかと考えます。おそらく本日の夕方か明日一ぱいには——もう実は法文の案も大体立案をいたしております。直ちに出せるようになっておりますが、最終的に政府の意向が決定いたしますれば、直ちに国会に提出して御審議を仰ぎたい、こういういわばよい方向に大体において進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/27
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028・永田亮一
○永田委員 ちょっと今の軍港の問題で関連してお尋ねしておきますが、国連軍がずっと今までおって、もう国連軍は日本にはおらぬようでありますが、具体的に申しますと呉市の問題であります。呉市には終戦以来ずっと国連軍が駐留しておりまして、そのために呉市としては非常に迷惑を受けておったようであります。ところが昨年の十一月に国連軍が撤退をいたしまして、今度の法律によりますと、期日が昭和三十二年の三月末日現在ということに、もしなりますと、今までずっと被害を受けておった呉市の方は、何ら特典を受けることができないという状態になるわけでありまして、これはちょっと気の毒でもあり、また不公平でもあるように思うのであります。それで基地交付金の問題で、今の関係ですと一年前の三月三十一日、三十二年は三十一年の三月三十一日、三十一年の分が三十年の三月三十一日という期日になっておりますが、呉市の方は今申しましたように、国連軍が去年十一月に撤退いたしておりますので、今度の法律が三十二年の三月末という期日になりますと、何ら特典を得られないということになります。この点を何とかお考え願えないものか、一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/28
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029・田中伊三次
○田中国務大臣 呉の場合はお説のような状況になっておりますが、まだ少し施設があとに残る様子であります。全部撤去されてしまってゼロになってしまいますと御心配があるのでありますが、あとに残る部分についてはやはり交付金の対象となりますので、そこで一部分でもあとに残れば、その残りましたものを扱う扱い方において十分調整をいたして、一部分残っておるが、全体あるがごとく、これに準ずるごとく調整をするゆとりは、今度の法律で多少作っておるわけでありますので、その調整の努力によって不利益をこうむらないように、極力努力をすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/29
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030・中井徳次郎
○中井委員 軍港の問題は、そういうことでありましたならば、法案が出ましてから、あとでとくとまた審議をさせてもらいたいと思います。
次に、問題はかわりますが、財政再建法のやり方につきまして、ちょっとお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、全国で五百ばかりの再建整備団体がありまして、それについては非常に窮屈な再建法の内容でありますから、運用に困っておる。ところが昨年からことしにかけまして、自然増収その他の関係から多少収入がふえたというので、再建計画の変更その他相当申し出があるように伺っております。そういう問題についての扱い方ですね。自治庁はどういうふうな扱い方をされておるか、その手続を一応伺ってみたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/30
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031・小林與三次
○小林(與)政府委員 再建計画の変更につきましては、再建法で自治庁長官の承認が要ることになっておりますので、その手続をとらしております。これにつきましては、府県の問題と市町村の問題とありまして、市町村の問題は一々中央へ行って言う必要もなかろうと思うので、建前は県の方にまかそう。ただ現行法ではまだそうなっておりますから、これは現在準備中でございまして、知事にまかせることにして政令を変えたい。そして中央へ持ってくるのは府県の中心とそれから大府県、特別に問題のあることがあれば別問題でございますが、そういう建前で行きたいと思っております。
それから府県のものにつきましては、一応正式の承認申請は議会の議決を経て持ってくることになっておりますけれども、その前に内協議という形で相談をさせまして、それで私どもの考えと現地の考えと一致した線に従って県で手続を進めてもらえば、あとはもう形式上の手続で事を処理するという扱いにいたしております。もっとも、緊急で間に合わぬというような場合は、問題のない問題につきましては、その手続を事実上の連絡程度で済ますという扱いにもいたしております。扱いは大体そういう格好でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/31
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032・中井徳次郎
○中井委員 その場合に、何か審議会か協議会のようなものがあって、それの議を経ておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/32
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033・小林與三次
○小林(與)政府委員 再建計画の問題は、各課に関係が相当あるものですから、一応再建のことを調査するために調査官という制度がありまして、関係課長がその調査官をみな兼ねておりまして、専門の調査官も何人かおります。それで、その調査官で一ぺん相談をしてきめよう、こういう扱いにいたしております。それで、普通調査官会議といっておりますが、特別の審議会ではありません。内部の連絡組織でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/33
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034・中井徳次郎
○中井委員 そこで、内審議といいますか、正式に議会の承認を経ずに執行機関の方で大体こういうふうにやりたいというふうなことについての、今言いました委員会ですか、その決定なんかについては一々大臣の指示を仰いでいるのでしょうか。大臣の判が要るのでしょうか。どういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/34
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035・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは内部の協議の問題でございますから、正式の承認のときはもちろん大臣の決裁を正式にもらいますが、内部の協議の問題は事務的に事を進めております。事柄によってはもちろん報告を申し上げることはありますけれども、全部事務的に進めておりまして、大臣に一々御相談をすることはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/35
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036・中井徳次郎
○中井委員 実はこれは長野県の問題でありますが、長野県は去年一年まじめにやりました結果、また自然増収もあろうというので、大体十億円くらい再建計画を上回るような予算を組みたいというので自治庁の方に相談があったように伺うのであります。そういたしまして、その間の事情については自治庁においてとくと相談をする。そこで議会においてもいろいろ問題はあろうけれども、一応自治庁の指示に従うが、長野県の県会に出されました原案は一応これを認めてもらって、そうして自治庁の方の御意向によって、その後適当な機会に修正をするというふうな問題が、この間からあったように伺うのでありまするが、しかし、その間の自治庁の扱いにつきまして、どうも少し手抜かりがあった。皆様の方においては、執行機関の方にはかたく口どめをしておきながら、一方においては逆に政党方面にその事情が筒抜けになって、県会において大問題になったというふうなことがあるのであります。今あなたの説明を聞きますと、大臣はきわめて事務的に判を押されているようであるが、それも、判も押すか押さぬかきわめて事務的な問題であるということと、長野県で大問題になりましたこととは、だいぶどうも実情は違うのでありますが、これはどういうことでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/36
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037・小林與三次
○小林(與)政府委員 長野の方でどういうふうになっておりますか、私も詳しいことは存じませんが、長野県の再建計画の承認の内協議の問題は、私も関係しておりまして、よく承知いたしております。これは三十一年度の計画変更と三十二年度の計画変更の両方につきまして内協議があったのでございます。それでその中身につきまして、大部分はもっともだと思いましたけれども、一部われわれの方の見解といたしましては、いかがかと思われる問題もございまして、その問題につきまして多少資料を要求をして説明を補完してもらったりしたようなことがございます。内協議の問題はほんとうに内部の問題で、まだ県会で正確な案が出ておるわけでも何でもない、県会でも外部に出しておるわけでもございませんので、これはお互いの問題としていつも始末をする、そうして県はその意見に基いて正式の案を作って県会なり市会へ出す、こういう手続を普通とっておるわけでございます。今度の場合につきましてもそういう相談がありまして、こっちといたしまして、いろいろ事務的に検討した結果の意見を県の方に申し伝えただけでございましてそれ以上のことはこっちとしては別段どうこうはいたしておりません。これにおきましては、先ほど大臣の判をとるとかとらぬとかいうお話がありましたが、内協議の場合は全然そういう判をとるという扱いはしませんで、報告だけにとどまる、こういう程度にいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/37
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038・中井徳次郎
○中井委員 今の御答弁と事実がだいぶ違いますよ。あなたの談話もちゃんとここに発表されておる。これは今月の十六日の読売新聞と朝日新聞でありますが、どうもだいぶ事情が違うようです。この辺のところどうなんですかね。私はこの新聞を見ただけで、これはけしからぬことだと思ったのですが、自民党の県議団が今月の十三日に同党本部から、三十二年度県予算案をめぐる自治庁と県との折衝内容を明らかにする書簡を受け取った、こういうようにあります。このことは長野県の執行部が知らない間に、自民党の県議団の方に通知がなされた、従いまして自民党の長野県の議員団は、こういうことがあるならば県の予算を修正すべしという修正の決議案を出しまして、それが通っちゃった。内容はこまかくあります。十項目に分れておる。あなた方は事務的に簡単にやったと、こう言うが、これは県にとりましては大問題です。こういうことは自治庁の地方自治に対する大へんな侵害ではなかろうか、どうして筋を通してやらないか。特に長野県の某県会議員の話によりますと、何でも十日ごろにきまることになっておったんだが、もう一両日大臣に話をせにゃならぬから待ってくれということであった。われわれとしては故意に引き延ばされたような考え方をしておる。そうしたところが突如こういうことになってきた、こういうことであります。こんなことは、私、長年地方行政委員会におりまするが、実は初めてのことであります。こんなことをやられますと、これはもう私は極端にいえば一党独裁になる。自治庁の意向を、県当局も知らずに政党を通じて流す、そうして政党から盛り上ってくるということになれば、これは全国の知事や市町村長はほとんど無所属でありますが、中には自民党の人もたくさんおる、中には社会党の人もおります。これは自治庁の文書の流れたことによってごちゃごちゃになって、県の議会も何もあったものではないということになってくるのではないかと思う。
十項目新聞に出ておりますよ。その書簡の内容によると、特にこっけいなのは、一般職員及び警察職員について休職を理由に四人ふやしてはいかぬ、警察官三人、事務職員一人、こんなことまで自治庁が指示をしておる。これは再建計画の内訳でありましょうから事務当局としてはいいかもしれません。しかしこういうことまで政治的に流れてくるということになれば知事は何もできません。四名人をふやすかふやさぬかというようなことで、そのうち警察官三名で休職中の者ですが、それを復職さすかいなか——新規採用ではありません、こういうことまでやられたならば県政の運用はできないと思うが、大臣、どうですか。あなたの口からでもお漏れになったのですか。私に入った情報によりますと、自民党の何の誰兵衛という代議士であるということで、代議士の名前まで伺っております。きょうはここでは発表を差し控えますけれども、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/38
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039・田中伊三次
○田中国務大臣 その長野県の三十一年度及び三十二年度の財政画定計画の変更の申請でございます。この変更の申請前に行う内協議というものがありまして、その内協議は、先ほども部長から説明をいたしましたように本来一々私がそれにタッチするわけではないわけです。ただし非常に重要な事項と申しますか、大事な事項と申しますか、そういう事項については私に報告があることが慣例となっております。
そこで、その長野県の両年度にわたる再建計画の変更ということについての内協議については、その内協議がありまして、それで自治庁の事務当局においてその内協議を受けて協議をいたしたようでございます。その協議の結果、これはどうしてもこのままのむことができぬ、あまりにひどいものだということの報告が私にあったことは事実であります。日は明確でございませんが、報告がございました。せっかく当局は持ってきておるけれども、ずいぶんずさんなものなんだ——そのときの私の記憶は、三十一年度分については、せっかく立てた具体的な再建計画に基いて県当局は執行していない、よって三十一年度というものは、決算をとってみなければわからぬけれども、かりに決算をしてみるというと、その決算と計画と合わない部分が三億円は出てくるのではないか、それは一体長野県はそんなことをしておるのか、詳しい内容を持ってこいということで、私が詳細の書類を取り寄せて、十分か十五分くらいこの書類をながめたという事実があります。
何でもかんでも言えということでありますから、何でもかんでも言わないと参考にならぬ。三億円を越えるようなそこにちぐはぐなことが生ずるようなずさんな執行をやっている、財政計画を無視しているということになりましたので、これは慎重厳重に処置をしろ、こういうことでは財政計画というものは法律の精神に合わぬじゃないか、これは私でありますから言葉を強く部長に指示をしたように記憶しております。
それで、何項目にわたるものかは存じませんが、そういう内示をこちらの方からいたしました趣旨は——私はそのとき言葉で言ったわけでありますが、何分長野県は社会党さん系統の知事であるように自分は記憶しておる、それはそうなのかと言ったら、その色合いのところはよくわからぬが、そういう傾向だと言う人があるから、その社会党さんの知事であるという場合に、こちらが指示を与えるという場合には、よいかげんなことはいかぬぞ、お前のところで立てておる財政計画というものがあるんだから、財政計画と合わぬところ以外は指示してはならぬ、自治の侵害だ。財政計画とマッチしないところは、財政計画に基いてしっかり実施をしておかないと、三十一年度の計画の結果は三十二年度に影響するから、これは慎重にやれ、こういうふうに意識をいたしまして、私がものを言うたことは事実であります。それを持って参りましたが、十分か十五分で書類を繰ってみたが、何分その計数というものはむずかしいものばかりで、大臣が忙しいさなかに五分や十分で書類を繰ったってなかなかわかるものではない。それで具体的な計画と合わぬところだけをチェックせいということを、事前に私が指示を与えましたことは事実であります。それで間もなく、二、三日経過してからと思いますが、あれは大臣のお言葉の通り、三十一年度の既定の計画と合わない部分だけ、ここで強く下相談の際に指示を与えました。非常に快く、これは変更して参ります。申しわけないということで、引き取りましたということの報告も、二回目の報告に、廊下かどこかで部長に会いましたときに、私に報告がございました。そういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/39
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040・中井徳次郎
○中井委員 私の質問に対して答えておられない。これは三十二年度の予算の問題です。それから申し上げたいんだが、大体一つの県、長野県の人口は二百五、六十万あろうと思いますが、これの一年の予算は二百億はおそらくあろうと思います。一%動いたって二億なんです。それは二億や三億のことはありますよ。たとえば自然増収があれば、三億や五億は動きます。そんなことでもって、そう簡単にずさんだと言われると——予算通りやっていないということになれば問題はありましょうけれども、決算というものは、まだ見込みは出ておりませんが、おそらく税収入その他において、去年は非常な動きがあったろうと思うのでありますけれども、そう簡単に片づけてもらっては、決算の問題にしろ私は困ると思います。今度は三十二年度の予算なんです。しかも自治庁が指示をいたしましたのは、わずか六千万円です。百八十億かの中で六千万円でも、それはけっこうであります。それがどうしてわざわざ自民党の手を通じて流れていったか。この点を私は伺っておる。だれが流したか。今のお話であります。と、大臣は御存じない。御存じないということになれば、部下に非常にずぼらなやつがおって、そういうものを流しちゃった、こういうことになって、やはり私はあなたの責任だろうと思うのですが、この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/40
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041・田中伊三次
○田中国務大臣 先ほどのお言葉は、大へん全国に大きな影響があると思いますから、一口私からも意見を申し上げておきますが、数十億円の財政需要額のある中で、予算のワクの中で、二億や三億使ったからといって、きつい処置をすることは行き過ぎではないかと言わんばかりのお言葉でございますが、それは違うのです。この点は明確にしておきますが、いやしくも赤字再建の指定を受けた団体が、予算の執行を行う際に一億も三億も、何億という、億と名のつくものが、けた違いにちぐはぐになっておる。これは大へんなことなんです。二億であろうが、三億であろうが、一向平気であるなどという観測は、どうぞお考えをいただきたい。自治庁の方針といたしましては、申し上げにくいことでございますが、億と名のつくちぐはぐが出てきております場合は、具体的に自治庁の与えました再建計画と合わないことをやっておるということになるんですから、それはずさんという言葉が当てはまるのでございますから、その点はどうかお考え置きを願いたいと思います。全国にわたりまして厳格にやる考えでございます。
それから肝心のお尋ねの、どうして流れたかという問題でございます。それは私は流した覚えはない。流す流さぬといったって材料がない。三億というのは、私の頭の中に残っておる三十二年度の計画にみな影響しておる。これは容易ならざることだ。私はそのときに聞いたのですが、三十一年度が押し詰まって、三月三十一日をもって年度が終るのに、今ごろになって三十一年度の財政計画の変更を持ってくるのは、事務は何をしているか、私は怒った。今ごろ内相談にくるのはおそいんだが、今ごろきておる。そういうこと自体も誠実がないじゃないか、以後そういうことのないようにしっかりやっておかないと、再建計画をその通りやらすという再建計画法の趣旨に沿わぬからしっかりしろということを、私からも相当強く言うた記憶を持っております。大体相談の来方がおそいのです。内相談は先にきて相談の見通しをつけるために内相談をつけるんだから……(中井委員「質問に答えて……」と呼ぶ)質問に答えている。一口です。どこからどう流れていったか、それはあなたの方でお調べになることで、私の方はまことに迷惑しごくなんです。あなたの方で御遠慮なくおやり下さい。材料が出れば、こちらは十分調査します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/41
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042・中井徳次郎
○中井委員 私も先ほど、大臣からは流れておらぬと思いますと言ったじゃないですか。だから、あなたの部下が流しておるのだろう。ちゃんとここに新聞にあります。あとでお届けしますから、一ぺん調べて下さい。私が言うておるのは、三十二年度の予算のことです。決算のことは、金額だけでずさんだとかずさんでないとか言わせませんよ。自然増収というものがあるのですから。それじゃ収入があっても計上しないんですか。そんなことはいかぬです。決算では収入があったら、最初の計画と変ってくる。予算というものは生きものです。支出を乱暴にやったという事案があれば、おっしゃる通りです。それを私はとやかく申し上げておるのじゃありませんが、三億円だからずさんだというのでは、これはどうもいけない、こういうふうに思いましたから私は申し上げた。
そこで私の質問は、だれがこういうものを流したかということです。これは新聞にはっきり大きな活字で書いております。「自民党本部が県政に圧力」というのが一つの表題、一つは「林県政に痛打、新予算を組み替えさす」こういうことなんです。これは東京においてはわれわれもあまり知らないことでありまするが、現地においてはこれは大へんなことであろう。林さんは知事をやってもう十二年であります。この次やられるかどうか知りませんけれども、十二年やっておられて、こんなことはおそらく初めてだろうと思いますので、そういう意味で私は申し上げた。こういう先例がもしできて参りますというと、これは私は国家的に大問題だと思う。これは議会主義であって共通の広場を大いに求めなければいかぬというので、正常な運営をやらなければいかぬということを極力言われまして、私どもももちろん賛成で、野党として御協力を申し上げておるわけでありますから、特に私はこういう面については、大臣が自分で漏らしたものでないにいたしましても、あなたは自治庁の責任者として、大いに将来について自粛をしてもらわないことには困る、そう思ってお尋ねするのですが、それに対する御返事は一向ありません。わしは知らぬということだけでは、ちょっとどうも納得ができない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/42
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043・田中伊三次
○田中国務大臣 何分御質問はやぶから棒の、予告のない御質問であり——質問というものはそういうものでしょう。そこで詳細な資料をちょうだいをして、そうしてそのネタがどこから出たものかということを、一つ私が厳重に調べましょう。調べて御報告いたしましょう。なるべく詳細な資料をちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/43
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044・中井徳次郎
○中井委員 報告をするというのじゃなく、私は自治庁の考え方を聞いておる。こういうことが事実なんです。これは大新聞に出てるんですよ。ネタがどうだこうだ言われるが、朝日と読売です。これはやはり大臣としてそういうことが事実であれば、これは遺憾であるに違いないと思うが、それは調べなければ返事できないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/44
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045・田中伊三次
○田中国務大臣 今初めて聞くことでございますから、資料をちょうだいいたしましてこれを調べて、調べました上で事実ありとするならば、その内容をよく精査をいたしました上で処置をいたします。こういう処置をしたいということを御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/45
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046・中井徳次郎
○中井委員 それではここにあるこういうものを委員会終了後お渡ししますが、これは今長野県の県会においては大問題になっているようでありまするから、慎重に調べても県会の済んだあとでは何もなりません。これは私は来週早々にでも明確な回答を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/46
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047・門司亮
○門司委員長 この際ちょっと私から、今の大臣のお言葉の中で、ちょっと気にかかることがありますので問いておきますが、三十一年度の計画変更を今ごろ持ってくるのはけしからぬというお話がありましたが、これについて私は大臣に聞いておきたい。政府がそういうことを発表される限りにおきましては、三十一年度に交付すべき補助金の状態がどうなっておるか、起債は全額済んでおるか、さらに地方の自治体が提起しております公募債等の完了ができておるか、私はこれはできていないと思う。従ってその資料を出してもらいたい。その後で私は大臣に対決をいたします。地方の自治体は、政府が当然出すべき補助金であり、あるいは起債の認可であり、あるいは公募債というようなものが完全にまとまらなければ三十一年度の問題を、この場合変更せざるを得ない段階に追い込まれることは当然だと思う。ことに公募債のごときは、大体従来の例を見ますと三月三十一日までに消化された分は五〇%はございません。しかもそれが三十一年度に処置すべきものなのです。それが大体今までの慣例から見ますと、三月三十一日現在で五〇%消化されたためしはないのです。そうなって参りますと、地方自治体はどうしても計画変更をせざるを得なくなる。私は長野県の計画変更がいずれであったかということは存じませんからそれは申し上げません。大臣から今自治体に対しておしかりの言葉がありましたので、自治体側としては、大臣がそういうお考えをお持ちになっておるとするならば、政府の果すべき責任は政府の方で当然果してもらいたい。このことを、事務当局からでよろしゅうございますから、ぜひ一つ、補助金の現状がどうなっておるか、全部行き渡っているか、もう三月もあと十日ばかりしかありません。それから起債が全部消化されているか、公募債は全部消化されているか。これがされていなければ必然的に私はそういう問題が出てくると思う。だから大臣のお言葉がありましたので一つぜひ、あす、あさってくらいまでに、この消化状態を御報告願いたい。そういたしませんと地方の自治体は非常に迷惑すると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/47
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048・田中伊三次
○田中国務大臣 私の申し上げた事柄に関連をしての委員長からのお言葉でございますから、誤解があってはならぬから申し上げますが、赤字再建団体に立てさしております再建計画、その再建計画を計画の通り実施することに意識的努力を払ってくれなければならぬということを言うのでありまして、その意識的努力を払った結果、二億も三億も、億という名のつくような大きな金額に、計画の実行の熱意が足らなかったようなことではまかりならぬということを申しておるわけでございます。自治体の責任にあらざる国の負担金、交付金等国庫支出金の動きにつきまして至らざるところがあるからといって、その責任を追及するとか計画の変更を許さない、そういう非常識なことは自治庁の方は言うたためしもない、今後において言う意思もございません。しかしこれに関連をして、そういう補助金、交付金等の国の支出金全体の支出の形態について、方向についてこれを書面でもって示せというお言葉でございますと妥当な御意見ですから、これは時間の許す限り計数をそろえまして、資料として提出をすることにいたします。私の申しておりますのは、国の責任でやりました事柄について、決算と合う見通しがないからけしからぬということを言っておるのではないのです。そんなことは一つも言っていない。どうぞその点は誤解のないようにお聞きおきをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/48
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049・門司亮
○門司委員長 大臣も誤解しておられるようでありますから、この際言っておきますが、計画変更というものは、国からそうしたものが出てくるときにおいて計画変更は当然せざるを得ないわけなのであります。それは再建団体であるからけしからぬ、しかもまだ三十一年度の決算は終っておりません。これは五月三十一日でなければ事実上の問題としてわかりません。また法もそれを認めております。三月三十一日ではわからぬ、五月の三十一日がこなければわからぬのである。従って今の大臣のお言葉がもしそのまま自治体に伝わって参りまして、中途で変更することができない、中途で変更したことがけしからぬ、あるいはむだづかいがあるかないかということ等も決算を見てみなければ、ほんとうのことはわからないのです。事実上の問題としても……。私はそういう明確なものをおそらく出していないと思う。また出せないはずです。私は自治体の計画変更というものは、そうした政府の資金その他の関連がありますので当然起るべき一つの問題、これは交付団体であろうとなかろうと、私は必ず出てくる問題だと思います。そのことのためにおそらく県会は予算更正の議会を開いているのでしょう。最初の予算通りにいけば間違いありませんが、そういうことが誤まり伝えられてこういうことになるという大臣のお言葉の通りであって、今ごろ出してくることがけしからぬということになれば、これは私は問題を起すと思う。従って今ごろ出したことについて——私は予算の内容が云々ではありません。今ごろ出したことがけしからぬというお言葉については、それではこういうものをお出しを願いたい。それと突き合してみなければ、予算の変更を出したことがいいか悪いかわからない。この点は一つ大臣に私の話を誤解のないように聞いておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/49
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050・田中伊三次
○田中国務大臣 それで大へんよく御事情はわかりました。それからもう一言、これは誤解がありますと大へん迷惑と思いますから申し上げますが、今委員長のお言葉のような収支の計画に変化があった場合においては、言うまでもなく全部その変更の下相談に対しましてはオーケーを言うておるわけであります。一つも例外なく言っております。予算を熱意をもって実行をしなかったことによって生ずるちぐはぐが起って参りましたときには、その変更は許さない、こういう方針をとっておるということをどうか御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/50
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051・中井徳次郎
○中井委員 もういいですけれども、どうも田中さん少し自治体の実情について——予算通り知事がやっておって、そうして三億円出たからといったところで、それはやはり収入との見合いにおいて、財政再建法の基本的な、たとえば利子の支払いであるとかあるいは赤字債の償還であるとか、そういうことさえほっておいて、ほかのことをやっている、これは大へんなことであります。しかしそういうものは国家に対する義務的なものは全部きれいにやっている。たまたま年度の途中で収入が非常にふえてきた、そういうような場合に予算の変更をしてやっていきたいというふうなことであるならば、私はあまり金額は問題でない、そういう意味においてお尋ねをしたのです。それから年度の終りのことは今委員長から言うた通りでありますが、それなら実情は一体どんなことだったのですか。これはあなたはこまかい数字のことはわからぬと今おっしゃったが、小林君からちょっと実情を話してもらえば私はわかる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/51
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052・田中伊三次
○田中国務大臣 いい御質問であると存じますから、私からちょっと申し上げます。これは今抽象的な議論を幾らしておりましても時間もかかることでありますから、ざっくばらんに長野県の三十一年度及び三十二年度は相談にきているわけですが——三十一年度及び三十二年度について内相談に参りました、その相談にきた内容はいかん、その内容に対してこれこれという指示を当局が与えました指示の内容いかん、その指示を与えたる根拠はいかん、これだけのことを一つ具体的に——これが委員会の外に出ることは迷惑と存じますから、委員会限りの秘の扱いをお願いをいたしまして、これを全部お手元に出してみることはどうだろうか、事務当局はきらうでしょう。しかしこれははっきり出さぬと誤解は解けぬ。全部出すことにいたしましょう。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/52
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053・中井徳次郎
○中井委員 どうぞお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/53
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054・鈴木直人
○鈴木(直)委員 実は府県税の法定外独立税としてこれを設定したいというので、全国六つの県でしたか、今申請中になっております発電税の問題でありますが、これについては昨年の十一月二十九日と三十日であったと思いますが、前内閣時代に二日間にわたって質疑応答があったのでありますが、その際に結論といたしましては、自治庁としては発電税という税を作るということは、現在の建前上是認しかねる方針であるから、それとかわるべきというわけではありませんが、従来据え置きになっておる水利使用料の料率を値上げして、そうして発電税で収入が得られる程度の水利使用料の収入を府県に与えるというような考え方で、自治庁と通産省と建設省の三省事務次官の間において文書を交換して、その処置をすることに決定しておる、そうして現在の段階においては、三省間においてその料率の改訂の方式について一致せざる点があるので、まだ結論には達していないが、自治庁としては大体百円程度の料率を引き上げるということが妥当であろうと考えておる。しかしながら建設省としましてはそれより以上の料率を主張しておられる、また通産省はそれよりずっと下の料率を考えておるというような段階で、その点について一致していない。これが一致するならば、この六府県の申請しておるところの発電税の認可申請書を自治庁が、自発的に取り下げてもらうような処置をしてみたいというのが、早川政務次官の答弁でありました。その後実は発電税を期待して各県が三十二年度の予算編成にとりかかりつつあるわけでありますが、四月はもう近くなっておる、その申請県としましては、現在のところ発電税の認可を得たいという考え方でおるようであります。しかしながら政府としては、そうではなくて、水利使用料を適当に決定するということで進んでおるということであります。聞くところによりますと、通産省と建設省との間において若干の開きがあるというように聞いておるのであります。
そこで私がここで質問をいたし、希望したいのは、なるたけ早くその三省間におけるところの決定をこの際していただきたい。昨年の十一月三十日に、すでにもう一週間くらいの間においてそれがきまるような政府の答弁でありましたけれども、まだそれが決定しておらないというようなことであります。そこで私の考え方によると、大体水利使用料の税率の決定並びに認可基準は建設大臣にあると思う。従って建設大臣の主張を中心に進めていただきたいということを希望するわけです。通産省におきましては、先ほど出てこられるということでありましたが、局長がけがをされて病院に行っておられて、かわりの課長がきょうは何か欠席しておって、まだ本省に出てこられないというので、待っておったのでありますが、まだ通産省は出てこられないということのようであります。通産省の立場というものは、何か電気料金を決定するという、その算定の資料になる関係で、これに参画しなければならぬというような答弁がありました。そういたしますと、やはり主管大臣は建設大臣であるから、一つ建設大臣の方式を採用して、それによる決定をしていただきたい。そうしてそれはそうすべきである、こういうのが私の主張なんでありますが、これについて御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/54
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055・奥野誠亮
○奥野政府委員 水利使用料の問題につきましては、御指摘のようなことになっているわけでありますが、三十二年度から水利使用料の料率を物価の値上りの倍率をもって換算したものまで引き上げる、こういう話し合いはついているわけであります。三十二年度から引き上げる問題でございますので、早急に解決をいたさなければならないのであります。最初関係省庁の間にかなり大きな隔たりがあったわけでありますが、現在ではもうほとんど歩み寄りができたような形になっているわけでありますので、早急に正式な決定をし得るようにはからって参りたいというふうに存じております。御指摘の河川工事費に関する物価の値上り倍率については、河川工事についての管轄省である建設省の意見を十分に尊重しなければならないということは、私どももさように考えているのでありまして、建設省、通産省の間の話し合いにつきまして調整をとりたい、そういう気持でやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/55
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056・美馬郁夫
○美馬説明員 ただいまの御質問でありますが、結論を申しますと、必ず四月一日から実施できるようにしたいと考えております。それから値上げの率でございますが、これは結果的に申しますと、去年の暮れ申し合せができまして、根本原則はきまったのでありますが、ただその原則に従いましても、ただいまの方針は河川工事費の値上りということを中心に考えております。この河川工事費を組み立てております各要素がございます。たとえば労賃であるとか資材とか機械とかいろいろありますが、こういう構成要素のウエートの取り方によりまして数字が相当開いてくるわけであります。こういう問題は通産省との間で主として検討いたしておりまして、私どもとしましてはまとめれば早くまとまらなかったことはないのでありますが、なるべく府県側の御満足のいくような数字も得たいというふうな見通しのもとに折衝を続けておったわけでございます。しかし現在の段階におきましてはほぼ意見がまとまりつつあるので、これは四月一日実施を目標にいたしまして必ずまとめたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/56
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057・鈴木直人
○鈴木(直)委員 四月一日に実施できるようにまとめられるということでその点は了承しましたが、その料率の決定につきましては、私たちとしましてはやはり主管大臣の建設大臣の主張されるものが権威あるものである、こういうふうに考えているわけであります。自治庁が中に入って、通産大臣との間のいろいろ折衝されることもけっこうかもしれぬが、それはやはり建設大臣の主張されるものの方に決定されるようなごあっせんを願うことが、主管大臣を重んずるゆえんであるというふうに考えますから、どっちが多い少いは別として、当然認可権のある建設大臣の主張を認めていただくというようにお願いしたい、六県側も建設大臣の現在主張されていることであればそれには承服して、あるいは発電税の認可申請を取り下げるかもしれぬが、そうでない場合には取り下げることは困難になるというような情勢であるようでありますから、通産大臣としましてはそれは電気料金には関係はないと主張しておられますし、計算の方法はあるかもしれませんが、水利使用料の決定権のある建設大臣の主張を重んずるということを希望しまして、なるべく早く決定を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/57
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058・北山愛郎
○北山委員 一点だけお伺いしておきたいのです。それは地方税の遊興飲食税の例の公給領収証の制度です。これは、政府原案としては従来のままということになってきておる。ところが最近、昨年の国会と同じように、この部分を修正して、そして公給領収証制度を廃止するか、あるいは任意制にしようというふうな動きがあるようでございます。従って自治庁の長官としての信念というか、大黒柱がぐらぐらされては困るので、一つこの公給領収証制度について長官の御見解を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/58
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059・田中伊三次
○田中国務大臣 お答えを申し上げます。個人の意見につきましては申し上げる限りではございませんので、ここの答弁はあくまでも政府の立場で答弁を申し上げるわけでございますが、せっかくただいま御審議をいただいております。法案の内容の通り、こういうことでお聞き取り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/59
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060・北山愛郎
○北山委員 大臣もある場合には個人的見解もお述べになるようでありますが、実は昨年あたり長官は公給領収証制度の撤廃といいますか、そういうような見解を持っておられたようでございます。そこでまたお伺いするのですが、ただいまのお言葉で安心をいたしましたけれども、特に自治庁としてはやはり一昨年公給領収証制度が行われてからその実績が非常に上っておる、いろいろその長所をあげて、そしてこの制度によって今までのいろいろな悪い点が除かれたというふうに十分の理由を付して、その実績を検討した上でこの制度がいいというふうに——もちろん領収証を出すということはめんどうくさいことでありますから、マイナスの面もあります。ありますが、それを補って余りあるようなたくさんの長所があるということを資料をもってお示しになっておられる。従って従来のこのような自治庁の方針、こういうことをお認めの上で、今やられておる公給領収証制度を守るという立場で大臣は今後おやりになる、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/60
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061・田中伊三次
○田中国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/61
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062・北山愛郎
○北山委員 それでは次に、例の問題の国民健康保険税のことで資料をいただきました。これを拝見しましたが、実は現在の市町村がやっておる国民健康保険の財政赤字の実態が、どうもこの資料では現われておらない。これだけしか資料が出ないのかどうか。というのは、決算だけを見ますと、ただその年度の収支だけで締めますから、赤字が出てこないわけです。問題になっておるのは、国民健康保険の特別会計を締める際に、医者あるいは病院に対する未払い分をそのまま翌年度に繰り越してしまって、その年度の赤字としては決算しておらないのです。たとえば宮城県の例を見ますと、宮城県の市町村の国保の未払い額というものは一億二千万円に及んでおるということをある新聞で見ましたが、おそらくどの府県も同じような情勢ではないかと思うのであります。だからほんとうの国民健康保険の財政赤字というものを見るためには、医者等に対する未払い分というものを捕捉されなければだめなわけです。これは、そういうふうな資料はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/62
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063・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話の通り、国民健康保険事業の運営につきまして、市町村としては非常な困難を感ずるわけであります。そのことがまた、先般提出いたしました資料にもありますように、市町村の一般会計から国民健康保険事業特別会計に対しまして三十六億円の繰り入れを行なっているわけであります。なおまた国民健康保険税につきましても、貧弱な町村におきましては、住民の所得から見た場合その負担が特に重くなるというようなことで、徴税の成績もあまり芳ばしくないというような事情もあるようでございまして、市町村について一律に言えないと思いますが、そういうこともあわせまして、先般申しましたようにさらに考えて適当な案を工夫したいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/63
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064・北山愛郎
○北山委員 私の伺っているのは、今申し上げたような国保財政の実態を示すような資料ができないものかどうか。厚生省あたりでわかっているかどうか。これが出てこないと、現状のままで、今のようなやり方でいったならば、おそらく国民健康保険税というものを五割ぐらい値上げをしなければならぬわけです。それでなければやっていけない。だからやはり自治体の赤字が、もしも一つの府県で一億以上の赤字が出るということになれば、全国でこれは大したものです。少くとも五十億以上は出ると思う。ですからそういう実態を見た上で、しかもそれは実際上保険税の引き上げということに結果はなってきているのでありますが、その資料は出ないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/64
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065・柴田譲
○柴田説明員 国民健康保険関係の提出いたしております資料は、収支状況の調べは私の方で三十年度の決算につきまして急いで集計したものであります。当時厚生省にお尋ねの資料をとろうとして聞いたのでありますが、厚生省でも調べておる最中で、当時資料はなかったのであります。従ってここでは収支状況だけにつきまして資料を集めましてまとめました表を提出しておるような次第であります。なおお尋ねのような点は、厚生省にもう一ぺん聞いてみますが、厚生省でも調査中ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/65
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066・北山愛郎
○北山委員 これはまことに驚いたことであって、国民皆保険をやろうという政府が、現在の国民健康保険をやっておるところの財政実態がわかっておらない。これはその地方の実情を知っている人ならば——地方の国保財政の苦しいところはそこにしわ寄せになっておる、結局医者に対する払いが五ヵ月も半年もたまっておる。それが赤字なんです。それをそのまま翌年度に繰り越して、翌年度の歳出予算の中から払おうと、だんだん繰り越していっておる。ですからほんとうの意味ではこれは赤字なんです。これをどうするかということは、一つには国民健康保険というものを全国民に広めるということにも関係がある。また地方税にも関係があるわけなんです。そこでなお一点お伺いしておきたいのは、ことしの三十二年度の予算編成方針というものについて、地方に通達を出しておるわけです。その中を見るとこう書いてある。「とくに国民健康保険会計については明年度予算では負担金の算定方法についても幾多の改善が行われているのであるから、国民健康保険税の徴収方法の改善と相まって既往の不足はともかく今後は単年度において一般会計からの繰入れを必要とするような運営は根本的に改めること。」、従って現在相当額の一般会計からの繰り入れでもって、今の赤字とかあるいはその単年度の不足というものを補って、カバーしてやっておったのですが、こういう方針であると、やはりこの前もお伺いしたように、一般会計の繰り入れをやめろということなんですか。これでは保険税をどんどん上げなければならぬ、一体自治庁は、ほかの税は別として国民健康保険税はどんどん上げても差しつかえない、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/66
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067・小林與三次
○小林(與)政府委員 ちょっとその通牒を出しました趣旨だけを私から御説明申し上げたいと存じます。国民健康保険は国民健康保険会計でこれは建前上独立採算をやっていくべきが当然の話であろうと思います。ただ従来健康保険が財政上非常に窮屈であるということも事実だし、そのために市町村が相当多額の繰り入れをやっておるのも事実で、逆に言えばそれがまた市町村の赤字の原因にもなる、これも事実だろうと思うのであります。そこで国民健康保険の会計財政の基礎を確立するということは何としたって根本的な問題でございまして、そこの筋だけははっきり立てる必要があろうと思うのであります。ものによりましては一般会計で見ていいものもあろうと思います。それが従来の直営診療所の問題とかあるいは保健婦の問題とか、こういうようなものは全部健保の会計でやっておりましたが、これは何も国民健康保険の加入者だけが利用すべきものでもなく、そうさせるべきことでもございませんので、これはむしろ一般会計で問題を考えることにしてやったらどうか。そのかわりにほんとうの給付を主体とするものは国保会計で筋を立てて経理をやっていく、そのためには一つは国の補助金の問題が十分でない、これが一つの原因だと思います。そこで今度今年度の予算でもこれは十分か不十分かいろいろ議論があろうと思いますが、国の方で国保に対する相当な手当を、新しくすることにこれはなっております。診療費に対する補助の支給の時期の問題がまたありまして、時期がおくれおくれになっていることは、今北山委員のおっしゃる通りで、これはわれわれといたしましても不都合だと考えております。今度の第二次補正でその点の一部補正も行われるし、またそういうことにならぬようにという前提で、来年度の予算もある程度組まれておると承知いたしておるわけであります。それと事務費の問題がありまして、事務費の補助が相当にある、そのあとは現行法の建前におきましても国民健康保険税でやっぱりまかなう建前になっておりましたのが一つと、それからもう一つは事務の運営につきまして、事務費なども組合によってはずいぶん高いところもあれば、ずいぶん低いところもありまして経理の内容を合理化するという面も相当にあるのであります。国民健康保険税につきましてもそれは団体によっていろいろでこぼこがございます。取れておるところもあるし取れておらぬところもある。おそらくは現在の法律が要求しておる程度も取っておらぬところがむしろ多いのでございまして、そこの基礎はやはりはっきりさせることを考えなければいかぬ、そういう意味で国保の運営——これは国保の問題ばかりでなしに、実際に独立採算を建前とする特別会計の運営につきましては、やはり特別会計を作った趣旨に従いまして、経理の明確と厳正を期すべきだという基本的な考え方で、あの通牒が出ておるわけでありますから、そういう方向で健康保険会計の基礎はぜひ確立してもらいたい、そうしなければ今の健康保険を、それこそ全国に伸ばすということは、基礎が確立せずしてはとうていやれるはずはないのでありまして、そういう運営をわれわれとしては期待いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/67
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068・北山愛郎
○北山委員 国保というものを特別会計にするのは、これは独立採算でやれということなんですか。特別会計にする場合にはいろいろ事情があると思うのです。それは国の特別会計にしても、これは特別会計にしたからすべて独立採算だ、こういうわけのものではないと思うのです。いろいろ趣旨があろうと思う。しかも国保についてはすでに二割の国庫補助をしておるのですから、繰り入れについてもやはり原則として繰り入ればだめだということは筋が通らないと思う。これはたとえば今保険税の問題で聞いたのですが、この資料を見ますと、国民健康保険税は一世帯当り二千六百五十七円、住民税の方は住民税個人所得割で一世帯当りどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/68
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069・奥野誠亮
○奥野政府委員 そこへ一枚紙でお配りしたと思いますが、三千九百六十円ということになっておるわけでございます。それは道府県民税、市町村民税の所得割額を合せまして、それに均等割として道府県民税の分が百円、市町村民税の分が四百円としまして、円を加えた形にしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/69
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070・北山愛郎
○北山委員 住民税の方は府県税と両方合せて、しかも均等割を合せて三千九百円ですよ。ところが国保税というものは二千六百円、これは住民税に匹敵するような相当な負担なんですよ。しかもこの国保税というものは御承知のように下の方に重いのです。人頭割、家族数割というようなものがあって、それが五〇%も見ますから、そこで力のない者に重い税金となっておる。これは健康保険税の性格によるのだろうと思うのだが、事実はそのようになっておる。そういうような保険税というものをどんどんふやしていくということは、これはやはり実際担当しておる市町村としては忍びがたいのですよ。住民税のほかにさらにこのような高い保険税というものをプラスして、そうして納めさせる。それがだんだん保険税がふえるに従って下層の者の、しかも所得のあまりない者の負担がふえるのですから、それは忍びがたいから一般会計から繰り入れしてその調整をしようとしておる。これが一般会計繰り入れの趣旨なんです。動機なんです。しかももう一点は、国民健康保険ぐらいむずかしいものはない、というのは、ほかの事業であれば予算の範囲内で仕事がストップできる。道路にしても学校にしても何か需要が起ってきても、ことしの予算はこれだけしかないのだといって予算の範囲内で執行ができる。ところが健康保険というものは病人が出てくれば当然行わなければならぬ。予算が足りなくてもやらなければならぬ。当然もっとはみ出してくるのですよ。そういうような会計なんですから、元来が独立採算で、きちんとやれるような会計ではない。要するにクッションを置かなければやっていけない会計なんです。しかも国民健康保険の診療費というものは年々ふえていくのです。自然に一割ぐらいずつ診療費が高くなっていく、そういうようないろいろな悪条件のもとで運営をしておる国保事業ですから、それを特別会計なら独立採算だというようなことで片づけられてはこれは困るし、困るばかりではなく、そういうような考え方でいくならば、国民皆保険というようなことはできない相談なんです。私は、小林さんにもう一ぺん伺いますが、国保の会計は独立採算だというようなことは、それでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/70
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071・小林與三次
○小林(與)政府委員 特別会計だから独立採算だという必要は、これは必ずしもないと思います。特別会計の性質にもよって繰り入れ、繰り出しということは当然あり得ると思うのでございます。しかし国民健康保険は、結局これは国民健康保険加入者に対する社会保険の問題でございまして、やはりその加入者が中心になって経費を負担する。共済組合だって、みなそうで、共済組合は共済組合員でやっておる。健保は健保の関係者でやっておるわけでございますから、そういう建前でやるのが私は当然だろうと思うのでございます。そこでただその場合に、あまり資産のよくない人がおって、とても医療費が負担できぬじゃないか、これは当然にあろうと思います。それでございますから、その国民健康保険税を取る場合には、これはある程度その点を緩和する必要がある。それはつまり国民健康保険税の取り方の問題であろうと思います。そのとり方は当然法律的にもいろいろ検討してやっております。さりとてそれを全部金持ちが負担すべきかと言えば、国民健康保険に関係のないものが無制限に負担するのもおかしい、それでございますから、一人当りの最高限も制限をしておるわけでございます。やはり建前といたしましては、国民健康保険は国民健康保険関係者が中心になって経営をしていく、それでどうしても足らない分は国が補いをつけていく、これが国の国庫負担の制度だろうと思います。それで国庫の負担がまだ足らぬのだということになれば、むしろその負担を多くすることによって関係者の負担軽減をはかることが建前であるべきでありまして、それは当然に市町村の一般住民がカバーすべきだということは、考え方としてはどうか、そこの筋をはっきり立てていかなければ、市町村の財政も運転ができない、しかしながら町村として見るべきものは当然に一般的に見ていいのではないか、大体基本的な考え方は、そういうことに私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/71
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072・北山愛郎
○北山委員 時間がありませんから、あとでまた……。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/72
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073・門司亮
○門司委員長 それではこの際市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題として、政府より提案理由の説明を求めます。田中国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/73
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074・田中伊三次
○田中国務大臣 ただいま議題に供されました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びに内容の概略を御説明申し上げます。
市町村職員共済組合法は、市町村職員に対しても、国家公務員及び都道府県の職員並みの共済給付を保障することを目的として一昨昨年制定されたものでありますが、今回、健康保険法及び国家公務員共済組合法の改正が行われるに伴い、これに照応して必要な改正を行い、その他組合運営の実情にかんがみ、若干の改正を行う必要があると認めましたので、本法律案を提案した次第であります。
次に、本法律案の内容の概略を申し上げます。
第一は、健康保険法の改正に伴う改正でありまして、療養の給付について、健康保険の例にならい、組合員にその費用の一部を負担させるものとし、組合は、当分の間、これにより生じた余裕財源の範囲内で、一部負担金の払い戻しその他の措置で規約で定めるものを行うことができることとし、その他必要な改正を行おうとしております。
第二は、国家公務員共済組合法の改正に伴い、必要な改正を行おうとするものでありまして、そのおもなものをあげますと、その一は、退職一時金を受けた者が再び組合員となり再退職した場合において、組合員であった前後の期間を合算すれば年金を受けることができる年数に達することとなるときは、恩給法におけると同様に、期間の合算を行い年金を支給しようとするものであります。その二は、退職年金を受ける権利を有する者の再就職による年金の改定額は、従前の年金額に再就職期間に係る部分についての加算を行った額を下回らないものとしようとするものであります。その三は、廃疾一時金を受けた者の廃疾の程度が退職のときから五年以内に増進し、廃疾年金を受けることができる程度となったときは、廃疾年金を支給しようとするものであります。その四は、船員保険の被保険者である組合員に対しては、原則として共済組合法による給付を行い、本人が選択した場合にのみ船員保険法による給付を行うようにしようとするものであります。
第三は、その他組合運営の実情にかんがみ必要な改正を行おうとするものでありまして、その一は、組合の規約の変更のうちで軽易な事項については、自治庁長官の認可を要しないものとし、その二は、組合が福祉事業を行うに当っては、町村職員恩給組合と共同して行う等市町村職員の福祉を増進するための事業が総合的に行われるように努めなければならないものとし、その三は、組合を組織している市町村とその他の市町村とが合併した場合における組合と健康保険組合との関係の調整に関する規定を整備しようとするものであり、その四は、組合を組織しない市町村が経費を負担している団体から受ける長期給付に相当する給付についても、組合から受ける給付と同様に非課税の措置を行おうとするものであります。
以上がその内容の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/74
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075・門司亮
○門司委員長 本案に対する質疑は次会にいたすことといたしまして次会は明後二十二日午前十時三十分より開会することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01319570320/75
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