1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十二年三月二十七日(水曜日)
午後三時四分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君
理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君
植木庚子郎君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 纐纈 彌三君
櫻内 義雄君 徳田與吉郎君
丹羽 兵助君 福井 順一君
古井 喜實君 渡邊 良夫君
今村 等君 大矢 省三君
加賀田 進君 北山 愛郎君
五島 虎雄君 三宅 正一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
自治政務次官 加藤 精三君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
—————————————
三月二十七日
委員早川崇君、福井順一君及び井岡大治君辞任
につき、その補欠として植木庚子郎君、渡海元
三郎君及び五島虎雄君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員植木庚子郎君及び五島虎雄君辞任につき、
その補欠として早川崇君及び井岡大治君が議長
の指名で委員に選任された。
—————————————
三月二十六日
地方公務員法等の一部を改正する法律案反対に
関する請願外二件(平田ヒデ君介)(第二四三
四号)
同(床次徳二君紹介)(第二四六八号)
所得税減税に伴う地方財源の減収補てんに関す
る請願(山口丈太郎君紹介)(第二四三五号)
地方財政再建促進等に関する請願(徳田與吉郎
君紹介)(第二四三六号)
遊興飲食税減免に関する請願(池田清志君紹
介)(第二四六七号)
軽油引取税引上げ反対に関する請願(有馬輝武
君紹介)(第二五〇六号)
地方交付税率改正に関する請願(坂田道太君紹
介)(第二五〇七号)
公債費合理化等に関する特別措置法制定に関す
る請願(坂田道太君紹介)(第二五〇八号)
新市町村建地促進の財源措置に関する請願(
坂田道太君紹介)(第二五〇九号)
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す
る法律の一部改正に関する請願(坂田道太君紹
介)(第二五一〇号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四六号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/0
-
001・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が所川のため暫時私が委員長の職務を代行いたします。
地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/1
-
002・北山愛郎
○北山委員 簡単に質問いたします。
まず第一点は、今度の改正では、住民税の改正が非常に重要なポイントです。第一課税方式の場合においては税率を引き上げる。それから第二、第三課税方式については基準税率を作って引き下げるというようなことで、全体としてみれば調整になるようであります。ただしこの第一課税方式をとっておるような団体は、いわゆる富裕団体が多いので、今度の三十二年度の財政計画によっても相当の税収の自然増が見込まれる。そこで私はその団体のそういうふうな情勢から考えるならば、必ずしも第一課税方式をとっておる団体についてわざわざ税率を引き上げる必要はないんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。所得税については別としましても、それ以外の法人税だとか、あるいは固定資産税等について、かりに今東京都の場合においても、これは相当の増収になると思うのです。そういう全体の自然増がある団体において、今度はさらに住民税の第一課税方式の税率を引き上げるということは、どうも住民としては納得しかねるんじゃないか、こういうふうに思うので、どうしてわざわざ上げるのか。上げなくてもいいようになれば、その団体も選択によってやれるということになればそれはけっこうですが、それがなかなかできないわけです。その点についてさらに説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/2
-
003・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話のように富裕団体におきましては、経済好況の影響を受ける度合いも多いと思うのでありますが、しかしながら何分所得税の減税か一千億減税というふうな大幅なものでありますので、地方財政の現状におきましては富裕な団体といえども同じ割合の減税による影響をそのままにしておくわけには参らないのでございます。そういうような事情がございますので、やむを得ず第一方式につきまして税率調整を行なったわけであります。税率調整を行いましてもなお住民税全体にいたしまして百十六億円の減税になっておるわけでございます。従前の税を取りました税率よりも住民税につきましても税率はなるほど調整いたして引き上げておるわけでございます。しかしながら、全体におきましては百十六億円の減税をあえてしているということも御了承願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/3
-
004・北山愛郎
○北山委員 こういうふうな第二、第三課税方式との均衡とかいうような理屈で、第一課税方式の税率を上げるのですが、どうもシーソー・ゲームのように結局は増税の方向に向っているのではないか、私どもは昭和二十九年でありましたか初めて道府県民税というものを創設をした場合に、結局こういうような新しい税をつければ、必ず増税の原因を作るというようなことで反対したのであります。そんなふうにはならないというふうに言われましたが、道府県民税というものが創設後逐次税率が上ってきている、当初から見れば、あの当時は市町村民税と道府県民税とを加えてみると、標準税率はたしか所得割が一八%だったと思います。ところがそれが二一%になり、今度は二八%になるというふうに、逐次住民税の標準税率というものが、そのつどいろいろな理屈をつけて、シーソー・ゲームのように税率を上げ、結局増税の一途をたどっておるということについては、どうもわれわれが当初言っておったことが、そのままどんどん進んでいくというような状況でありまして、賛成いたしかねるわけです。こういうふうに増税になってきておるということについて、田中長官はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/4
-
005・奥野誠亮
○奥野政府委員 一応私からお答えさせていただきたいと思います。税率は、課税標準を国税に置いておりまして、国税が変って参りますと、地方税におきます、従来の額を維持しようとしますと、当然変更を加えて参らなければならないのじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。どちらかといいますと、地方税として所得課税部分をどの程度にするか、これは大へん重要な問題だと思うのであります。戦後国の財政におきましては、価格統制その他の関係から、国民の租税負担を、地方財政においてよりもより多く国家財政に向けられておった、地方財政のウエートが低かったと思うのであります。しかしながら、平常状態になるにつけまして、だんだん国民租税負担のウエートが地方財政の方に移って参ってきておるというふうに思うのでございます。そういう意味において、国の収入においては租税もだんだん減らしていくことができるわけでございますけれども、地方財政の方は逆に引き上げていかなければならないというような事情もあるわけでございます。そういたしますと、本税の方で減ってくる、付加税制度みたいな格好にいたしまておりますと、絶対額を減らさないためには、率を若干上げざるを得ない、そういうところから、御指摘のような結果になっておると思うのであります。府県民税と市町村民税とに分けたから、そうなったと言われる点につきましては、若干私たち異論を持っておるわけでございますけれども、御指摘になりましたように、所得課税につきまして、国と地方との割合が地方の方にだんだんのウエートを移してきておる、これは事実その通りだと考えております。ただ、所得に対しまする税率ということから見て参りますと、国税につきまして相次いで減税が行われておりますので、国民負担としてはやはり軽減されてきているのではなかろうかというふうに存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/5
-
006・北山愛郎
○北山委員 奥野さんはなかなか理論家だから、そのつどにおける理屈は一応傾聴すべきものがある。しかし、これを数年米の全体を通じてみると、必ずしもそうはいかないので、やはり当初は第一課税方式というものが標準であり、第二、第三課税方式というものは例外であるというようなお考えであった。ところが、それがだんだん第二課税方式の方がむしろ好ましいというように移行されて、今度はそれを手直しをする、その土台の上に、第一課税方式の税率の方はまた引き上げるということで、やはり何か一貫しないものを持っておるのです。たとえば今度の改正案の中でも長官が触れておるのですが、合理化であるとか負担の均衡であるとか、そういうような原則についても、必ずしも一貫しておらない。たとえば所得税について、配当所得の場合日に、五人家族で百四十九万までの配当所得の場合には、国税がかかからない。地方税もやはり均等割しかかからない。この百五十万くらいの所得の人が、所得税はもとより、地方税もやはりかからないということは、どうしても負担の均衡とは言いがたいんじゃないかと思うのですが、この点について大臣はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/6
-
007・奥野誠亮
○奥野政府委員 恐縮ですが、一応事務的な点をお答えさしていただきたいと思います。昭和二十五年に市町村民税ができました際に、御指摘のような点私たちも非常に問題としておったわけであります。当時総司令部との間で、この点につきまして折衝を重ねたわけであります。しかしながらどうしても総司令部のいれるところとなりませんで、さらにお互いに検討していくということになり、第二回目にシャウプ・ミッションが参りましたときに、さらに重ねてこの点を追及いたしました。その結果、第一方式の場合には、やはり配当所得の場合には配当所得の一定割合を税から控除したものを課税標準に使っていく、そのかわり別途法人税割を設けるということになったわけであります。二十六年からは、所得割は個人分だけでありましたのが、さらに法人につきましても、法人税割として徴収するようになって参ったわけであります。個人につきまして、第一方式の場合には、完全に国の所得税の結果に乗っかっておる。国の所得税の場合においては、資本の蓄積であるとか、いろいろな政策を考えて税負担をきめて参りました。国の政策にそのまま乗っかっていくことが市町村民税の場合には適当でもござまいせんので、第二、第三方式のような課税方式も肯定いたしておるわけであります。第一課税方式の場合には、国の政策にそのまま乗っかるという大きな原則を持っておるわけでありますから、御指摘のような点だけを見て参りますと、いかにも不都合、だという結果が出て参るわけでございます。その点につきましては、今申し上げましたように、制度上は、法人税割を設けることによって救済する。さらになお足りない場合には、市町村の実情に応じて第二課税方式、第三課税方式をとることによって問題を解決していく、こういう建前にしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/7
-
008・北山愛郎
○北山委員 それは法人税割を設けるからいいのだというような理屈ですが、やはり法人と個人は別個だと思うのです。もしも法人に税をかけるから、その配当については課税しなくともよいというなら、労働者だって同じなんです。その工場で働いておる労働者の所得についても、税金はかけない方がほんとうなんです。企業にだけかけて、その配当あるいは労働賃金に対しても税金をかけないのがほんとうなんです。ところが配当については、法人の方にかけるのだから、その個人配当所得にはかけない。労働賃金の力はやはり所得としてかける、そういうところに不公平があるというのです。ですから、この点について長官はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/8
-
009・奥野誠亮
○奥野政府委員 それについて一応事務的なお答えをさしていただきたいと思います。御承知のように、法人税の税率をどういうふうに見るかということについては、いろいろ議論のあるところでございます。しかし、法人税と所得税の関係におきましては、法人擬制説的な考え方を持っておるわけでありまして、その結果法人が利益を上げる、その上げた利益につきましては、法人税が課されるわけであります。上げた法人の利益が分配されて、株主に対しましては配当所得として回ってくるわけであります。すでに課税済みの所得でありますから、配当所得に対しましては、一定部分を算定された所得程額から控除する、こういう方式をとっておるわけであります。勤労者に支払われまする給料は、法人のもうけを計算いたします場合には損金として控除するわけでございますから、法人税の課税標準には入らないわけでございます。従いまして、勤労者が受けました給与につきましては、全額所得税の課税の対象にする、こういう建前になっているというふうに私たち考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/9
-
010・北山愛郎
○北山委員 ここで法人擬制説というような議論をする余裕はないと思います。しかし、これはだれが考えても、今の資本主義の税制として都合のいいような理論構成です。やはり大ざっぱに考えれば、だれが考えても法人そのものと、配当を受ける個人そのものは違うのですよ。一体をなしておるものではないのです。だから、法人にかけたから配当にはかけなくてもいいというなら、やはりそこに働いている労働賃金に対してもかけなくてもいいという理屈になるわけです。それが片ちんばになっているという点は、やはり私は不合理だといわざるを得ない。
それからほかの点についても、電気ガス税については前にも問題になりましたが、例の電気ガス税を非課税にして、電気税をかけないという企業が二十五種類ある。これは前の統制時代の遺物であるという御説明であった。ところが、その遺物に対してさらに今度はプラスしているんですね。製氷冷凍用の電気、あるいは石綿とか、焼成燐肥等の化成肥料というようなものの製造に要する電気については非課税にするというふうに、範囲を拡大している。こういう点はどうも筋が通らぬと思うのです。おそらくそういう関係の業者の陳情があってつけ加えられたものと思うのですが、そういうふうにその都度陳情なり運動なりが功を奏せば、そういう特例を加えていくということでは、これは奥野さんがいかに何と言おうとも、税制として筋が通らないのじゃないかと思うのです。行き当りばったりなんです。その点についてどうお考えですか。
それから製氷、冷凍についてちょっとわからない点があるので、お伺いしておくのですが、一定規模以下の製氷の施設、それについて、いわゆる小規模のものに限定して非課税にするというように、政令で定めることになっていますが、その基準はどの程度になるのか。
それからもう一つは、そういうような解氷施設としては小さい施設を持っておるものでも、冷凍施設の方は、この法案を見るとこれは無制限じゃないか。冷凍施設の方はどんなに大きくてもやはり電気税を免除するようになっておるのじゃないか。その点はどうなんですか。しかもそれは漁業協同組合ばかりでなく、その他の法人、会社等についても、そういうふうに適用されるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/10
-
011・奥野誠亮
○奥野政府委員 電気ガス税の問題につきまして、若干非課税の範囲を広げておるわけでございます。電気ガス税をどのような形に進めていくかという点につきましては、議論のあるところだと考えております。一応現在の電気ガス税につきましては、個人用の電気、ガスの消費を中心にして課税していくという建前をとっておると考えておるのでありまして、そういう意味におきまして、基礎資材で特に多量に電気を消費するものにつきましては、市町村の財政状況ともにらみ合せながら課税からはずしていく、こういうことになっておるわけでございます。そのような点から考えて参りまして、従来製氷につきましても非常に問題があったわけでありますが、しかしながら製氷につきましてはどちらかといいますと、消費資材的な面が強いものでありますから、あえて非課税の範囲に入れて参らなかったのでございます。しかしながら氷を多量に消費いたしますものに漁民があるわけでありまして、漁民の生活を考えて参りますと、なるたけそういう負担を軽減すべきだ、こういうことももっともなことでございますので、そういう意味合いにおいて漁民保護の見地にしぼって、従来から絶えず問題を提起されておりました製氷用の電気につきましても、非課税の範囲を広げることにいたしたわけでございます。なおまた肥料などにつきまして、その後製法が進歩して新しいものができるようになりましたり、あるいは外国からの輸入にたよっておりましたものが、新規に国内において産業が興って参ったりいたしましたものにつきましても、均衡上若干非課税の範囲を広げることにいたしたわけでございます。
第二に製氷能力の基準の問題でございますが、三十トンないし五十トンにいたしたいということで、現在農林省との間で話し合いをいたしておるわけでございます。
それから第三に冷蔵施設の問題になりますが、冷凍施設でありましても、もっぱら水産関係に使用されているものでなければならないとやはり法律にうたわれておるわけでございますし、しかも氷につきましては、やはりもっぱら漁民のために用いられている工場でなければなりませんので、これに付随している冷凍施設であり、しかもその八割以上というものか水産関係に用いられているなら、やはり漁民保護の見地に立ってこれを非課税にできるのじゃないだろうかという考えを持ったわけであります。製氷工場に付設しておりません冷蔵施設ははずしておりますので、それは厳格に運用ができるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/11
-
012・北山愛郎
○北山委員 そうすると、漁業協同組合とかそういうものか先に書いてありますが、その他の法人あるいは個人ということになっておりますから、営利会社等についてもこれは適用がある。ただ製氷能力については今お話のあった三十トンという制限があるけれども、別に併置する冷蔵施設の方は、それがどんな大規模のものでもかまわない、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/12
-
013・奥野誠亮
○奥野政府委員 製氷工場に付置しておるものでなければならないわけであります。同時にまたその冷蔵施設が八割以上漁業関係に使用されておる、こういうことで考えておるわけであります。従いましてそうしぼっているわけでありますから、漁民保護の見地にしぼられた結果になっておるのじゃなかろうか、こう私たちは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/13
-
014・北山愛郎
○北山委員 それはその企業あるいは組合事業から見れば、確かに税金が安くなるから、コストが安くなれば大へん得だろうと思います。しかしその結果が果して漁民の利益になるか、あるいは消費者の利益になるかということは、何らの保証がない。それが穴で、ざるで抜けておる。だからこの電気ガス税のほかの部分、すでにある非課税の部分についても同じことが言える。そういうコストが安いから安い商品が出てくるかというと、そっちの方は自由価格なんです。何ら統制がない。高く売ろうが安く売ろうが、電気ガス税がかからないための影響が直接にはない。だから結局はその会社企業の利益になってしまう。消費者なり生産漁民等の利益になるという保証はどこにもないじゃないですか。そこに私は問題があると思う。何のことはない。そういう組合なりあるいは企業の利益にしか直接にはならないのじゃないか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/14
-
015・奥野誠亮
○奥野政府委員 御指摘になりましたような問題が、実は政府案を作ります際に、自由民主党との相談の際にも起った問題でございます。厳格に考えて参りますならば、漁業協同組合の製氷工場であっても、価格その他について引き下げられるという保証がないじゃないか、こういうことになって参るわけであります。しかしながら漁業協同組合そのものは漁業者によって構成されているわけだから、協同組合の利潤というものは終局的には漁民の利益になっていくのだ、こういうことで、まず漁業協同組合関係のものは規模のいかんを問わず、もっぱら漁船関係に使用されている場合には、電ガス税を課さないということになったのでありますと、市町村によりましては、協同組合組織がいろいろな関係でとれない、しかし実態は全く同じだというような製氷工場がかなりあるようでございます。たまたま協同組合組織によらないで、株式組織であるとか、個人組織であるとかいうことにした結果、電気ガス税が免除にならないということでは、どうも不合理だというふうに考えられますので、そこでさらに協同組合以外のものにつきましても範囲を広げたわけであります。範囲を広げましたが、そのかわりただいまも申し上げましたように、その製氷能力の合計数が一定規模以下のものでなければならないということにいたしたわけでありまして、しかもそのものが八割以上を漁船その他の関係に使っているものでなければ、電気ガス税は免除にならないわけでございますので、いわば二重に縛っておるわけでございますので、漁民保護の見地にしぼった結果の免税になるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/15
-
016・北山愛郎
○北山委員 それでは次に固定資産税の問題をちょっとお伺いいたします。
これは農地の固定資産の評価基準というような問題が再々論議されましたが、農地の免税点がたしか一万円になっておるわけです。償却資産の方は十五万円です。私はもう少し農地の免税点を引き上げてもいいのじゃないかというふうに考えるのですが、この点についての御見解と、それからもう一つは、北海道なんかの人から聞きますと、北海道の固定資産税が——これは家屋についても農地についてもおそらく同じだと思うのですが、高い。ところがその固定資産税のいわば効率というようなものは、その寒冷度から見て非常に低いわけなんです。その割合にはどうも評価が高い。これは自治庁のいわゆる各府県に示された評価基準が高いのか、あるいはそれの方はいいのだが、北海道の市町村の方で高い評価をしているのかどっちですか、お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/16
-
017・奥野誠亮
○奥野政府委員 第一は免税点の問題でございます。御承知のように土地台帳、家屋台帳などに所有者として登録された人に課税をしていくわけでございます。従いまして必要によっては所有者名義を分散することも可能であるわけであります。しかしながらあまり零細なものまで課税していくということになりますと徴税倒れになる、そういうようなところから免税点を定めておるわけでございまして、特に所有者の負担能力がどうであるからそれ以下は課税しないだのという考え方には立っていないと思っておるのであります。ただ現在市町村に示しております平均価格は畑でありますと一反歩一万三千百十五円ということになっております。大体一万円という免税点が畑でありますと一反歩近い面積にもなっておるわけでございます。宅地でありますと町村と都市とでは非常に違って参るわけでありますが、町村でありますと坪当り数百円というようなことになりますので、どうしても数十坪にはなるわけでございます。そういう関係からあまり分散されることも好ましくありませんし、徴税倒れになることを防ぐのだという趣旨なら、一万円で税額にしますと百四十円でございますので、まあこの税度でがまんしてもらえないだろうかというふうな考え方でおるわけでございます。
第二点の北海道におきます固定資産の評価の問題でございますが、固定費産の評価に当りましては市町村ごとに、自治庁から平均価格を示しておるわけであります。その場合において田畑にいたしましても北海道におきます土地の生産力というものは若干低いわけでありますので、そういう意味においては低い平均価格を示しておるわけでございます。特に高い平均価格を示しておるのではなしに、むしろ低い平均価格を示しておるというた方が妥当ではなかろうかというふうに考えておるであります。大体市町村におきましては自治庁の示します平均価格に甲乙ないところで評価するように、なって参っておるわけでございますけれども、中には若干なおずれておるというところもあるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/17
-
018・北山愛郎
○北山委員 この北海道の固定資産の評価の問題は時間を取りますから、いずれまた機会をあらためてお伺いしますが、必要な資料等を一つ用意していただきたいと思います。それでなお農地について全般的なお伺いをしますが、田については今全国平均三万五千円くらいになっているわけです。その三万五千円に上げるときにいろいろ論議をしたというのは三万五千円で、換言しますと法定小作料よりも高いような固定資産税になってしまうのではないかということを問題にしまして、その後小作料の力が上ったものですから、いわば固定資産の評価を上げることによって、法定小作料を押し上げてしまったというような結果にもなる。問題になるのは今後のことなんです。こういうふうに農地、いわゆる生産用に使っておる土地ですね。そういうものの評価額を上げ、固定資産税を取りますと、それがやはり一つの何といいますか土地資本、資本費用として生産費の中に入ってくるわけなんです。その金額が非常に多くなってくる。農地改革以前の日本の農業というものを圧迫したのはやはり地代なんです。地代というものがその生産費の中に入って、そして結局は農業を圧迫をしたという結果になった、農地改革以後はその圧迫が除かれた、こういうことが一般的に言えるわけです。それを今農地の売買価格が高いのだというような理由で、今の三万五千円基準というものをさらに引き上げるということになりますと、これはまた昔に返ることになる。
そこでお伺いするのですが、田畑の評価基準というものをさらに引き上げるような考えがあるのか。私は上げてもらいたくないと思うのですが、どうなのか。特に固定資産税というものは農民にとっては非常に重圧なんです。ことに所得とはこれは関係なしに面積で取られる。五反歩の農家と二町歩の農家というものでは、固定資産税は四分の一になりますね。しかしその所得、現金収入から見れば、二町歩の農家と五反歩の農家では担税力において比較にならぬのです。そういうことをいわゆる面積比例でもって出されますから零細農家にとっては非常な負担なのです。従ってこういうような固定資産税みたいなものをどんどんふやしていくということは、そういう面から見ても不公平になってくる。いろいろ考えますと、三万五千円に上げちゃったのだから、今までの分は別としても今後引き上げてはならぬと思うのですが、この点についてお考えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/18
-
019・奥野誠亮
○奥野政府委員 事務的なお答えをさしていただきたいと思います。来年固定資産を評価し直します際に、どのような角度で評価をし直すかということにつきましては、まだ決定をいたしておりません。もう少し先になろうかと思います。ただ一般的に申し上げることのできますのは、現在価格が課税標準になりますものに相続税でありますとか、あるいは登録税でありますとか、固定資産税とかいうものがあるわけでございます。それぞれがばらばらにやっておるというのが実情ではなかろうかと思うのであります。市町村が全部固定資産について評価をしておるわけでございますので、これを基礎にして相続税も課税される、登録税も課税される、そういう方向にいくのが筋道ではなかろうかと存じます。しかしながら固定資産税の評価というものは、現実の売買価格等と比べて参りますると、土地におきましては特に著しく低いということがいえると思うのであります。従いましてこの低い市町村の評価を基礎にして発録税も相続税も課税をしろというわけには行きがたいのではないだろうか、こう考えております。そうしますとある程度評価全体を引き上げるべきじゃないか、こういう問題が起って参ります。しかしながら御指摘のように評価を引き上げまして税率をそのまま据え置きますと、零細な農民の負担がさらに加重されてくる、こういう問題も起るわけでございますので、評価について改訂をいたします場合には、当然税率につきましても再検討をすべきではなかろうか、こう存じておるわけでございます。究極的には固定資産有者の負担がどの程度であるか、こういうことを基礎にいたしまして評価と税率を一緒にして考えていきたい、こういうことで事務的な検討を続けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/19
-
020・北山愛郎
○北山委員 農地が交換価格、売買価格よりも低い評価額だということは、これは当然なことなんですよ。土地というものは移動性の商品じゃないのですからね。しかもこの農地というものはそういうふうに転換ができるものではない。しかもいわゆる資本費用というものをなるべく安くするということが新しい農業政策なのです。それはもうもとの戦前に戻ってしまうということなのです。そういう点から見ても、相続税の方の評価基準がたしか六万なんぼですか、そういうふうにつり合いがとれないから相続税の方に引き上げていくというようなことでなく、むしろ相続税の方の評価基準をこちらの方へ引き下げていくという方が私は当然だと思う。で、今の質疑だけを聞いたのでは大臣おわかりにならぬと思うのですけれども、この農業用の土地の——しかも生産に使っているんですよ。その使っているものの固定資産税というものを引き上げないという方針でいってもらいたいと思うのですが、これについて大臣の御所見をお聞きしたい。それと同時に、たとえばゴルフ場についての固定資産税はどうなっておるか。それから休閑地で遊んでいる、値上りを待っているような宅地の固定資産税はどうなんですか。私はそういう不生産的に使われているものこそ、固定資産税の評価をうんと高くすべきだ、あるいは税率をうんと高くすべきだと思うのです。黙っておって貸しもしない売りもしないで、しかも値上りを待って莫大なもうけを得る。自分は何ら手を下さないで、土地を何ら耕作するわけではなく、黙って周囲の状況によって値段が上ったらもうけるという者に対しては、安い固定資産税をかけ、土地を実際に生産的に使って経済の面でも大きな働きをしているような農民の農地に対しては、その値段が高くなっているからそれを引き上げるのだというようなことでは、これこそ片ちんばだと思う。そういうものと引き比べて、どういうふうなお考えを持っておられるかお聞きしたい。
〔吉田(重)委員長代理退席、委員
長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/20
-
021・田中伊三次
○田中国務大臣 農地につきましては、農民の負担を増すようなふうには取り扱わない、これは明白に申し上げてよいだろうと思います。その他の面につきましては、部長からお答えを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/21
-
022・奥野誠亮
○奥野政府委員 土地の中には田畑とか宅地とかございまして、そのうち宅地関係の部分と田畑関係の部分とが固定資産税の収入におきましては大体半々くらいになっておるわけでございます。宅地につきまして特に言えますことは、一般物価の値上がりよりもおくれて値上りして参っておるという実情でございます。その結果固定資産の評価におきまして土地と家屋をかりに比較いたしますと、家庭の方がきつい評価になっており、宅地の方がゆるい評価になっておる、こういうふうな問題もあるわけでございまして、そういう意味においては、総体的に評価し直す際に検討を加えるべき問題があるのではなかろうかと存じておる次第であります。しかしながら今大臣がお話しになりましたように、租税負担をどの程度にしていくかということとは別個に考えておるわけでございますので、御了承願っておきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/22
-
023・北山愛郎
○北山委員 土地というのはふえないものですし、特に農地はだんだんつぶれてむしろ減っていく、そういう面からの値段の騰貴はあるわけです。無制限にふやしていけるような商品とは違うわけです。だからかりに高くなったとしても、その土地の生産力が上ったから高くなったのではなくて、その希少性といいますか、少いものだから上るということなんで、それを見込んで生産者に対して負担をかけられたのでは、農業そのものか被害を受けることになる。その点は十分お考え願いたいと思います。
ほかにもありますが省きまして、最後にこのようないろいろな不合理、しかも住民に相当な負担をかけて集められた地方税なんですから、地方団体の理事者としてはその運営について十分細心の注意を払い、ほんとうに誠実にやらなければならぬ。ところが福岡県の副知事が大事な税金を第一相互に預けて、その裏日歩と申しますか、その利息を別に一千万円も取っておるというようなことが新聞に出ております。この問題は重大だと思う。そこでこの事件について大臣が知っておられるならばその内容を示してもらうと同事に、さらに調査をしてこの委員会に、その経緯状況等を御報告を願いたいと思う。あるいはこの問題についてどうお考えになるか、きょう見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/23
-
024・田中伊三次
○田中国務大臣 福岡県の問題のようでございますが、これは今朝の新聞を見まして、こういうことがあったことを初めて知ったようなわけでございます。従ってまだ何らの報告を受けておりませんので、これは後刻調査をいたしまして御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/24
-
025・北山愛郎
○北山委員 この問題は私もきょう新聞を見ただけでありますから、おそらく自治庁としてもまだ調査しておられないだろうと思いますので、即刻にお調べを願って、そうしてこの委員会にその事情の御説明をお願いしたいと思います。
それからもう一つ問題があるのですが、実は東北開発ということで東北七県が百万円ずつのお金を出して促進協議会というものを作って、東北開発のための法案成立のための調査費ですか運動費ですか出そうとしておる、あるいは出しておる。ところが東北の県というものは全部赤字県です。地方財政再建促進法の再建団体になっておるのが六県、青森県はなっておりませんが、それでも赤字県です。こういう赤字県が東北開発の法案の促進のために百万円ずつ大事な税金を出すということについては、一体大臣はどのようにお答えになっておりますか。こういう金は出させるべきではないと思うのですが、しかも再建団体であれば再建計画というものを自治庁は承認しておると思うのですが、一体そういう申請があったのかどうか、そんなものを認めていいものかどうか、これを一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/25
-
026・田中伊三次
○田中国務大臣 私よく存じませんので、政務次官からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/26
-
027・加藤精三
○加藤(精)政府委員 ただいまの東北振興のために各県が金を醵出して運動費にしたという話でございますが、事実を十分に承知いたしておりませんので、調査の上御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/27
-
028・北山愛郎
○北山委員 これは東北の各県から百万円ずつ、それから東北興業株式会社から百五十万円、それから東北電力から百五十万円、合せて一千万円というものを各政党に金を出して、そうして東北開発のための立法を推進しようというねらいで、この促進協議会がやっておるのです。たしかその金も県から出たのじゃないかと思う。これは私はとんでもない話だと思うのですよ。政党がそういうふうな開発なり何なり国のため地方のために必要な法律を作ることは当然のことであって、金をもらってやるべき筋合いのものではないし、また地方団体としても大事な税金なんですから、しかも赤字県なんですから、その中から寄付、負担金が制限されておる赤字団体において百万円も出すということはとんでもない話です。手ぶらでやってきていいんですよ。この点はよく御調査願って、はっきりとした自治庁の御見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/28
-
029・門司亮
○門司委員長 鈴木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/29
-
030・鈴木直人
○鈴木(直)委員 この際二つの点について御質問を申し上げまして大臣の御答弁をいただきたいと考えるわけであります。
地方税法の全般を見まして、大体において妥当だと考えるのでありますが、その中で気がかりな点は、第一点といたしまして、いわゆる住民税の課税方式が第一、第二、第三というふうに規定されて、そのうちどれをとるかその市町村の自由である、こういうことになっているわけでありますが、は自治庁の説明によりますと、第二課税方式を採用しているのは全市町村数の七六%に及んでおるということであります。今回の改正によりまして この第一方式を採用しているところと、第二ないし第三方式を採用しているものとの間に、相当住民の負担の不均衡がある。こういうことから住民の負担の不均衡をこの際直したい、こういう意図のもとに改正されまして、第一課税方式に準じて第二、第三の課税の方式が行われるように、詳細に改正法の中に列挙されておるわけであります。その結果自治庁の説明によりますと、四十九億の歳入減をこれらの市町村には来たすということになるわけであります。市町の住民の負担の均衡化という点をとることは非常にけっこうだと思いまして、この改正案におきましてもその点については妥当であると考えるのでありますが、その結果、オプション・ツー、オプション・スリーをとっおったところのて市町村は四十九億円歳の入欠陥を来たすという結果になるわけであります。しかも普通交付税は第一方式を基準としてやっておるわけでありますから、この第二、第三方式をとっているものは普通交付税でもってこれをカバーすることはできない、こういうことになるわけでございます。自治庁の説明によりますと特別交付税によってこれをカバーしたい、こういうような方針でありますけれども、特別交付税も交付税率二六%の範囲内において分けるにすぎないのじゃないか。結局特別交付税をその方面に向けたために、他の方面が四十九億の不足を来たすというようなことになるのであって、結局地方団体全体から見ますと四十九億というものを、何らかの形においてこれに加えていくというような措置を同時にとるのが、妥当な措置じゃないかというふうに考えられるわけであります。これにつきましては地方団体側からの要望書を見ますと、たばこ消費税の税率の引き上げによってこれをカバーすることが妥当である、こういうような主張をしておられるようでありますが、私もそれを見まして、この考え方が最も妥当な考え方であるというふうにも思うのであります。今回の税制改正におきましてはたばこ消費税の増率によってこれをカバーするという処置はとられておらないわけでございますが、将来それによってカバーするような考え方を持っておられるか、あるいは別個の何らかの考え方によって、この第二方式、第三方式をとっておるところの市町村に対する、赤字の歳入欠陥の穴埋めをされるのか。何らかの処置を今後講ずべきであるというふうに考えますので、この点に対する大臣の御所見を承わっておきたいというのが、その第一点であります。
第二点は、遊興飲食税の改正でございますが、今回の遊興飲食税の改正の方針は租税負担の合理化をはかるとともに、税金徴収事務の簡素化を徹底するという方針のもとに改正されておるようであります。この根本的な方針につきましては私も賛意を表するものでありますが、この方針を貫きました結果、非常にいい点もありますが、二、三の点について従来よりも税率が上るという部分が出て参っておるわけであります。旅館におきましては従来なかったところの八百円という免税点を設けたという点については最も妥当な点だと思いますが、ただ八百円を越して千円までに至るところの宿泊料につきましては、従来五%であったのが税率の単純化という方針のもとに一〇%になった、こういう結果を来たしておるわけであります。もちろんこれは幾らになるかということを計算しますと、あるいは小額な増税であるとは思いますけれども、しかしながら倍というような税率の改訂になるわけであります。また飲食店におきましては、従来二百円の免税点を三百円に上げたという点につきましても、家庭の延長として考えた場合に三百円程度は妥当とは思いますが、三百円を越して五百円までの分につきましては、今までは五〇%でもあったのを一割に引き上げたいというような結果になるわけであります。しからばこれを従来と同じように充分に引き下げるということになりますと、税率の単純化という点の方針にはずれることになるのでありまして、ここに私自身も矛盾を感じているような次第であります。この税率の単純化という方針を貫くための考え方から見るならば、将来この免税点を、旅館については八百円をさらに引き上げて、千円程度の免税点にするということによってこれは解決できると思いますし、また飲食店におきましても免税点の引き上げというようなことによって、あるいはこれも解決できるかもしれないということを考えるのでありまして、将来免税点の引き上げ、あるいは遊興飲食税を根本的に改正するというような御意図がありますれば、その機会にこれを何らかの形においてこの欠陥を補うことが妥当であるというふうに考えておるのでありまして、これに対する大臣の今後の方針をこの際承わっておきたい、こう考えるのであります。
この二点についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/30
-
031・田中伊三次
○田中国務大臣 第二方式、第三方式をとります場合にあるいは生ずるかと考えられる歳入欠陥を、具体的にはどんな方法で補うかという第一点でありますが、この点やはりかねてより申し上げております通り、特別交付税の配分において極力始末をしてみたい。しかしそれではとうてい及ばない点があるのではないか、こういうふうなお尋ねでございますが、あるいはそういうことが起ろうかと思います。この場合にはたばこ消費税率の調整ということによってこれをカバーする道を考えてみたい。しかしこれは私の一料簡でも参りませんので、関係各省とも、特別交付税によってこの種の歳入欠陥を補い得ないという事情を明白に実施面でよく抑えました上で、これを理由といたしましてたばこ消費税の税率調整ということに、一つ力こぶを入れて解決に当ってみたいと存じます。
それから第二の遊飲税の一部に負担の増となる部分をどうする考えかということであります。遊飲税全体としてみましてお許しを得たいと考えて改正案を出しておるわけでございますが、お言葉の通り仰せの二点について不合理がございますので、この不合理の点につきましては遊飲税の改正案を実施をしてみました上で、次の年度におきましてこの問題についてはさらに免税点の引き上げ、その他の方法によって、この負担増をすみやかに消す方法を考えて参りたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/31
-
032・門司亮
○門司委員長 他に御質問はございませんか——他に質問がごじいませんようでしたら、質疑はこれにて終了してよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/32
-
033・門司亮
○門司委員長 それではさようにいたします。
ただいま亀山孝一君から地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されておりますので、提出者の趣旨弁明を求めます。亀山孝一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/33
-
034・亀山孝一
○亀山委員 私は地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、修正の動議を提出いたしたいと思います。
案文を朗読いたします。
地方税法の一部を改正する法律案
を次のように修正する。
第七百条の七の改正規定中「九千
円」を「八千四百円」に改める。
附則第二十二条及び第二十四条中
「三千円」を「二千四百円」に改める。というのであります。
ただいま提案いたしました地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党の修正案の提案理由を申し上げます。
軽油引取税は、昨年揮発油に対する課税との均衡上、道路費に充てるための目的税として創設され、その税率は一キロリットルにつき六千円とされているのでありますが、今回政府より税率を一キロリットルにつき三千円を引き上げ九千円とする改正案が提出されたのであります。その改正の理由は、揮発油に対する課税額の引き上げに対応して引き上げるということにあるのであります。しかるところ、揮発油に対する揮発油税及び地方道路税の税率は、政府原案にありまする六千五百円の引き上げを、五千三百円の引き上げにとどめるよう別途修正されることとなるのであります。
軽油自動車の最近における増加にかんがみますれば、揮発油を燃料とする自動車と軽油を燃料とする自動車との間に負担の均衡をとるため、軽油課税の引き上げを揮発油課税に準じて行うことも必要でありますので、揮発油課税を、九千三百円引き上げることと同じ引き上げ割合といたしますれば、軽油引取税につきましては二千四百四十円の引き上げとなるのであります。よって、二千四百四十六円について端数を整理いたしまして、二千四百円引き上げることが適当と考えるのであります。従いまして、政府原案の一キロリットル九千円を八千四百円に修正いたしたいのであります。
以上が地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案の理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/34
-
035・門司亮
○門司委員長 本修正案に対しまして質疑の通告がございますので、これを許します。中井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/35
-
036・中井徳次郎
○中井委員 軽油引取税の今度の三千円の増徴については、社会党は基本的に反対であります。一銭もこういうものを増徴してはいかぬ、こういう考え方であります。これはきょう午前中の大蔵、地方、運輸、建設の連合審査会におきまして、大蔵大臣の出席を求めていろいろ尋ねましたけれども、答弁はすべて三百代言的でありまして、ちっとも得心的ではない。自動車などが非常にふえたので道路がこわれた、こう言っておる。非常にふえた、予想以上にふえたというんなら税収入は予想以上にあるはずである。三千円や六千円上げなくても、実際はこの景気が続くと大蔵大臣が言う限りは大蔵省の石橋をたたいて、そして毎年あとで自然増収が一千億ありました五百億ありましたなどというような苛斂誅求はやめて、このままいっても予算通りの収入があるのではないかというふうなことで、いろいろ問答をいたしましたが、結局のところ私どもの考え方がどうやら正しいようでございます。従いましてこの修正案に対して実はかれこれお尋ねをする必要もない、しかしゼロがわれわれの主張でありまするから、下げるというならばそれは下げないよりいい、こういう意味において、三千円を二千四百円にされましたが、承わるとどうもこの点についてもまだ自由民主党の方においては、最後的な方針としてきまったようには伺っておらぬ、あるいはこれが参議院に回ると、参議院の自由民主党の皆様においてさらに修正をして、もっと下げたいという意向もあるやに伺っておるのでありますが、衆議院の自由民主党の諸君は参議院においてそういう修正が将来ありましたならば、これには喜んで応じられるつもりでこの修正案をお出しになったのかどうか、これがもう最後である、もし参議院において再修正を出しても断じてそれは受け付けないのである、こういうお気持であるかどうか。この点は非常にデリケートではあるが、実は重要な問題であろうと思うのであります。私どもは政府を審議いたしまする限りは、これが最悪のものなりとしてこれを審議しなければならぬ、そういう意味からいいまして、どうもそういう面において少し疑問を持っておりますので、率直に提案者の御見解を伺っておきたい、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/36
-
037・亀山孝一
○亀山委員 この案は自由民主党は党議をもって決定いたしたものでございます。ただお話のごとく参議院におきまして一部の方のうちにいろいろ御議論のあることは承知いたしております。けれども私どもはこの案で進みたい現在のつもりであることだけを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/37
-
038・中井徳次郎
○中井委員 将来につきましては、あるいは心境の変化があるかもしれぬというように承わってよろしいですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/38
-
039・亀山孝一
○亀山委員 それはその場合にならぬとわかりませんが、現在は今のような心境であることで御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/39
-
040・中井徳次郎
○中井委員 はなはだあいまいで、修正の金額につきましては私らは将来疑問があろうと思うのです。しかし社会党としましてはゼロを希望するのでありますから、もし将来そういうことがありまして下っても、現在よりはなおよろしい、こういう考え方であることを率直にこの際申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/40
-
041・門司亮
○門司委員長 他に質問がございませんですから、私から当局にちょっとお開きしたいのでありますが、この税率の引き下げによって減収はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/41
-
042・奥野誠亮
○奥野政府委員 三十二年度におきまして三億四千四百万円と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/42
-
043・門司亮
○門司委員長 もう一つ聞きたいと思いますが、先ほどの提案理由の説明の中にありましたように揮発油税が下った、こういうお話でありますが、揮発油税が下って参りますと当然地方道路税が下ってくることになると思います。いわゆる譲与税がそれだけ減ると思いますが、これはどれくらい減りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/43
-
044・奥野誠亮
○奥野政府委員 揮発油税の場合には製造段階で課税をいたしましてその場合に欠減量を三・七%と見ておるようであります。ところが実際問題としてそんなに欠減がないじゃないか、もっときつい課税を製造段階でやっていいのではないか。こういう考え方もあるわけでありまして、欠減のパーセンテージは政令できめておるようでございますが、その率を引き下げる、言いかえれば課税対象にいたします揮発油の分量を多くする、こういう方法を講じて参るという話を聞いておるのであります。そういうことによって減収の生じないようにできる。従って揮発油税収入及び地方道路税収入には減収が生じない、こういう話に承わっております。そういう観点からまた六千五百円引き上げる場合には、揮発油税の増税分が四千八百円であり、地方道路税の増税分が一千七百円であったわけでありまして、総額で五千三百円にそのまま引き下げていきます場合には、地方道路税の分は千四百円を割ることになるのであります。しかしながら全体として減収を生じないように、今申し上げましたような措置をとって参るわけでありまして、その場合にもとになります税金の割合が揮発油税の一万一千円に対して、地方道路税は二千円しかございませんので、従いまして地方道路税の引き上げの部分は千四百円にしませんで千五百円にする、こういう案になっておるように聞いております。従いまして揮発油税の税率修正の方がきつくなる、こういうふうに承わっておるのでございます。言いかえれば地方道路税のウエートは全体としてふやす、修正の結果はそういうふうになっておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/44
-
045・門司亮
○門司委員長 私が聞いておりますのは、ウエートかふえるということではなくて、ガソリン税の引き上げによって地方の譲与税として当然出てくるものが四十五億あるわけですね。国の増収が百二十八億で地方の増収は四十五億になっているはずです。ところが揮発税油が下って参りますと、この四十五億に狂いがないかということです。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/45
-
046・奥野誠亮
○奥野政府委員 先ほど申し上げましたように、欠減の割合を引き下げるというふうな措置を別途政令改正等によって講ずるというふうに聞いております。従いまして減収を生じさせない、かように承わっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/46
-
047・門司亮
○門司委員長 そうだとすると、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、揮発油税についてはそういう別途な方法で、ごく簡単に言いかえれば捕捉を非常に強くするということになります。ところが軽油税についてはこれは平年度だと思いますが、平年度で三億四千万円ばかり減る。これは今年度ですか平年度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/47
-
048・奥野誠亮
○奥野政府委員 今年度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/48
-
049・門司亮
○門司委員長 今年度で三億四千万円減るということになりますと、平年度ではもう少し減りはせぬかと思う。そうなりますると揮発油税の方は捕捉を強くして税収に差しつかえないようにするか、軽油税の方は捕捉を現行のままにしておくというように解釈しておいてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/49
-
050・奥野誠亮
○奥野政府委員 揮発油税の方は製造段階課税のものですから、欠減の割合を多く見ておるわけです。軽油の場合は特約店の関係で課税をしておりますから、そういう余地はないわけであります。税率引き下げ分がそのまま減収になるというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/50
-
051・門司亮
○門司委員長 他に御質疑はございませんか。——別に御質擬がございませんようですから、本修正案に対する質疑はこれで終了してよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/51
-
052・門司亮
○門司委員長 それでは一応政府当局におただしをしておきたいと思いますが、ただいまの修正案は増税というよりも、むしろ三億四千万円ばかり実際上の数字が減るということになりますが、内閣はこれに対して何か御意見がございましたら一つ大臣からお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/52
-
053・田中伊三次
○田中国務大臣 特別の見解はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/53
-
054・門司亮
○門司委員長 それでは地方税法の一部を改正する法律案及び亀山孝一君より提出されました本案に対する修正案を一括して討論に付したいと思います。討論の通告がございますのでこれを許します。徳田與吉郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/54
-
055・徳田與吉郎
○徳田委員 私は自由民主党を代表しまして、ただいま議題となっております地方税法の一部を改正する法律案について、自由民主党から提出せられました修正案並びに修正部分を除く政府原案に賛成の意見を述べたいと思います。
今回の改正案は地方税制の根本に触れるような大きな問題点を含んでおらないのありまして、前国会からの懸案事項あるいは臨時税制調査会、地方制度調査会等の答申に沿う所要の改正に加え、所得税の大幅の減税に伴う地方税への影響に対処することでありまして、おおむね必要かつ適切なものでありまして、私どもはこれに賛成の意を表したいと思うのであります。
そのおもなる内容は、第一に住民税について課税方式を異にする市町村間の負担の差異を是正して均衡をはかることであります。その第二番目は、所得税減税に伴う住民税の自動的減収へ回避するとともに、若干の減税をも行おうということであります。三番目は中小企業者の負担を軽減するために法人、個人を通じて低額所得部分について税率を引き下げようとすることであります。その第四番目は、遊興飲食税百について負担の合理化をはかると同時に、税金徴収事務の簡素化を期したいということであります。その第五番目は、固定資産税について大規模償却資産に対する所在市町村の課税限度額を拡張するということであります。第十番目は、軽油引取税について揮発油税の揮発油課税の増額に対応して、道路整備に必要な財源のために税率を引き上げたいということであります。以上六点でありますが、その内容の若干についてこれから意見を述べたいと思います。
その第一は、課税方式が遣った市町村民税の間の不均衡を是正する。第二及び第三課税方式に課税税率を設けたことであります。現在第一課税方式を採用しております市町村は全市町村の十五%であるのに対しまして、ただし書による第二課税方式で課税しております市町村は七五%に達しております。この両者の間の不均衡は特にはなはだしいものがありまして、同一程度の所得者でありながら、市町村を異にするがために、一方においては三倍、四倍の高い税金を払つておるということが珍しくないのであります。こういうことは決して見のがすことのできない事実であります。今回の改正に当りましては、第二及び第三課税方式に標準税率を新たに設計したことは当然なことであります。しかしながら市町村財政の上に百を転じたときには、そこに約四十九億の財政欠陥が明らかにされおるのであります。しかも地方財政は第二課税産方式で計算されておる関係から、市町村財政の上に及ぼす影響は決して少くないのであります。ことに第二、第三課税方式を採用しております市町村は、住民所得が少いからやむを得ず、これらの方式によって課税いたしておるのでありますから、自然増収に多く期待することができないころであります。こういう市町村をこのまま放置することは、第二十三国会以来の地方財政確立の効果を失うおそれがありますから、政府はたばこ消費税の税率の引き上げ、あるいは地方交付税の増額等で適切な処置によって補てんの方法を考慮さるべきものであろうと思います。この点政府の税処を要望する次第であります。
第二には、住民税の第二課税方式の標準従率の引き上げの問題であります。これにつきましてはこの際税率をそのままにして、所得税の減税に伴う住民税の自動的減税をはかるべきだという意見もありますけれども、住民負担の軽減をはかるということは、望ましいことでありますまれども、これも実現しますれば初年度百六十五億円、五年度二百二十八億円の減収となって、交付税の三%をこえる額に当ります。地方団体にとっては非常に大きな問題であります。第三十三国会以来の施策によって地方財政がようやく再建の緒についたばかりの今日、このような減税を実施することは、地方団体のためにとるべき方途ではないと思います。従いまして別に提出されております。地方交付税率の引き上げの処置とにらみ合せまして、地方財政の現状から見てある程度の税率の引き上げもまたやむを得ないものとして原案を支持するものであります。
第三に、遊興飲食税の税率改正の問題であります。現行の遊興飲食税の税率は四段階でありまして、その間消費行為の実態から、必ずしも適正とは思われず、しかも徴収義務者の手数も複雑で、犠牲も少くないのであります。ここで免税点引き上げ、税率を単純化したことは適当な処置であると私どもは考えております。ただここで問題が残っておりますのは、従来五%であった低額料金のところが一〇%に引き上げられる部分が生じてくるのでありまして、これは従来の税率に据え置くのが当然であるという意見があるのももっともであります。これに対して私どもは、大衆飲食店・旅館におきますこの率の適用範囲は、むしろ家庭の延長ともいうべきであって、こういうものに対して課税することそのものに疑問を持っておるものでありますから、低額料金については消極的な税率の据え置きではなくして、積極的にこうした部面に対しては税をかけないというふうに免税点を引き上げることが最も適切である、こういうふうに私どもは考えております。しかしながら府県の財政が非常に窮迫をいたしておりますので、低額料金の免税点を直ちに引き上げることは、貧弱な府県ほど大きい影響を受けるのでありますから、今直ちに実施するというようなことはなかなか困難と考えられますから、今後府県の財政とにらみ合せて、できるだけ近い将来に免税点の引き上げを行うよう、強く要望いたします。
第四番目には、固定資産税の大規模償却資産の問題であります。今回大規模償却資産に対する市町村の課税限度額の引き上げが提案せられましたに対し、現行通り据え置くべしとの意見もあります。これは昭和三十年度の経過措置の失効に伴って、現実に市町村財政の上に相当大きな変動があり、またこういう大規模償却資産の所在市町村は、そのために義務教育、交通、防火などの施設に特別の財政需要があるのでありますから、第二十四国会当時におきましても修正意見もあったのでありますが、結局附帯決議となったことは御承知の通りであります。従いまして今回の提案となったような次第でありまして、これは当然かくあるべきだと私どもは考えております。
次に、軽油引取税の問題でありますが、今日の道路の状態は、産業経済の進展に追従し得ないほど荒廃いたしておることは御承知の通りであります。この緊急な問題解決のために一般住民のほかに道路整備に伴う受益者が応分の負担をなすことは、これもまたやむを得ない事実であろうと思います。しかし軽油引取税の税率の引き上げについては私ども一応納得するのでありますけれども、その額については私どもにもやはり問題があったのであります。私どもは六千円を九千円に引き上げる、こういう大幅の引き上げに対しましては相当疑問を持っておりましたので、慎重審議をいたしました結果、揮発油に対する課税と密接不可分の関係等ともにらみ合せて、この両者の均衡を保つ上において、別項のような修正案を提出したようなわけであります。
以上のような理由によりまして、今回提案せられました地方税法の一部改正につきましては、自民党の修正案並びに修正部分を除く政府原案に対しましては私どもは賛成をしたいと考えておるものであります。
重ねてここに申し上げますが、第二及び第三課税方式の標準税率を設けることによって生ずる財政欠陥は、先ほども私どもの党の鈴木委員からいろいろ質問があり、これに対して大臣からも答弁がありました。同様にまた遊興飲食税のいわゆる免税点をすみやかに引き上げるという問題に対しても同様の質問があって、これに対しましても大臣の答弁があったわけでありますが、私ども大臣の答弁には必ずしも満足はいたしません。しかしながら極力努力するというその言葉に信頼をいたしまして、この際は附帯決議をつけるようなことはいたしませんけれども、ぜひともこれは次の国会等適当な時期において実現していただくように強く要望を申し上げまして、先ほど申し上げました通り、自民党提出の修正案並びに修正部分を除く政府原案に賛成いたすものであります。どうか地方行政団体の実態を御勘案の上、委員各位には職場一致御賛同腸わらんことをお願い申し上げまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/55
-
056・門司亮
○門司委員長 中井徳次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/56
-
057・中井徳次郎
○中井委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま審議中の地方税法の一部改正案について反対の意見を申し述べたいと存じます。
政府は昭和三十二年度の予算の審議に当りましては一千億の減税、一千億の施策といって大きく宣伝をいたしました。しかし私どもその当初から、これは国税を一千億減税すれば必ず地方税の方はまたどこかで増税をするよと言っておりました、ところが果してこれが出て参りました。これが住民税であります。住民税につきましては——私どもは今の改正案全部が悪いなどとは言いたくないのであります。いい面もありますから、この点は率直に認めたいと思いますが、この率を上げたということはどうしてもわれわれにはわまかりせん。ことしの政府の説明によりますと、地方税の自然増収は七百億に達しておる、しかもそのうちでいわゆる不交付団体に属しておる団体の自然増収の額が非常に多いのであります。従って今回その第一方式でやっておりますところは、ほとんど富裕団体といいますか、内容は必ずしもそうではありませんが、一応不交付団体に多いわけでありますから、そういう面から言いますと、これをさらに二十一を二十六に上げ、また三十四年度には二十八にするなどということは、何としても一千億減税の地方税に対する二百四十億のはね返りを、あと交付税その他で多少は見ましたけれども、カバーしたい、こういう面でありまして、特に大臣の説明を伺っておると、大蔵大臣は一千億減税の場合には率を下げれば減税であり金額はそれはもう所得がふえたのだからやむを得ない、こう言いますが、田中国務大臣は、今度は住民税、地方税の方にくると率が上ってもこれは増税ではない、これは調整である、こう言っておるのでありまして、これはどうもあくまで納得のできないところである。実質上は率が上れ増税であるならば、住民税は増税になる、こういうことになろうかと思いまして、われわれはこの点はどうしても納得できないのであります。
その次に住民税の第二方式、第三方式、あるいはただし書き等につきまして一定の基準を今度きめられた、この点は私はけっこうだ、前進だと思います。ところが残念なことには、先ほどからも自由民主党の代表の方、あるいは鈴木委員からの質問にもありましたが、これはけつが抜けておる。四十九億のこの赤字、これは実際血の出るような赤字であろうかと思います。地方財政計画にも入っておりません。やむにやまれずして各地方団体のとっておりましたあれが四十九億不足になるわれわれの見方によると、もっと多いであろうと思いますが、これに対する措置は何回もお尋ねいたしまして、事務当局からは、特別交付税の中で半額程度はというふうな返事もありましたけれども、鈴木さんの御質問にもありましたが、これはやはりほかの方を圧迫するということにもなろうし、大臣は極力やりましょうということでありますので、私どもはこの点においてだけでも満足ができない、こういうことに考えなければならぬと思うのであります。
その次、事業税でございます。事業税の率をお下げになりました。この面におきましては、長年の懸案でありますから、社会党はもう少し抜本的に考えてはおりますが、まあ税金というものは段階がある、こういう意味においては、お下げになったということについては私は敬意を表します。ただこの中で湯屋業を第一種を第三種に今度変更された。これもあるいは考えようによってはいいかもしれませんが、この点については昨年の委員会におきまして、たしか附帯決議をつけまして、大工、左官、板金、植木職、最後に湯屋業、こういうのであったと思うのでございます。順序といたしましては国会の意志は大工、左官、板金、植木職こういうものでありまして、お湯屋さんが一番最後であります。ところがこのお湯屋さんだけまっ先に出て参ったことについては、われわれは納得ができない。やはり全国のお湯屋さんの運動が、非常に零細でありまする大工職や左官職や板金、こういう人たちよりも強かったということだけであったということになれば、私は政府の今回の措置ははなはだ不公平であり、軽率であるといわねばならぬと考えております。
第三に、固定資産税であります。あるいは電気ガス税であります。これについてはしばしば論ぜられておりますのは、特別措置法の関係であります。こういうものをいいかげんに整理したらどうだ、こういうことです。私どもがやるならば、今回定資産税で一番困っておりますのは、全国の人口の四割を占める農民の固定資産税である。農民は、所得は国民所得の中で一七%に過ぎない。人口は四割。ところが固定資産税だけは全国の総額の三六%というのは農民からとられておる。これは少くとも農業資産につきましては、私は一万円程度の基礎控除ではいけない、五万円ないし十万円に大幅に上げないことには承知はできないと思うのであります。そうしてこの特別措置や、いろいろな議論の中でありましたが今や電気ガス税においては、百十七億円に達しておるということを、この間政府の説明で聞きました。さらに外航船舶については三分の一を今度は六分の一にする。船主協会から話があると、特別とん税というようなものまでわざわおざ作りになって、特にまた特別措置の範囲を広げておるというがごときは、われわれ断じて了解することはできないのであります。
第四は、軽油引取税であります。これについても先ほどからいろいろと議論がございました。私どもは自動車、バスあるいは大型トラック等がどんどんふえて参りますから、道路も悪くなりましょう。それについてはガソリン税、あるいは軽油引取税、そういうものをこれまでおとりになっておる。それ以外に一般財源からも、今や道路行政は日本内政の最も重要な問題になっておるのであるから、そう簡単に、道が悪ければ、まあ去年も上げたが今年はどうじゃ、もう一度上げようかというふうな簡単な考え方で、こう上げられては国民大衆は迷惑すると思います。けさも議論をいたしました。これはバス会社やそういうものの利益が減らぬかと言いましたら、そうではありません。ぼつぼつ全国のバスその他を筆頭にいたしまして、トラックの運貸その他も続々上る。バスについては運輸省にもう百数十社から値上げの申請が来ておるというふうなことでありまして、私は自動車がふえるのならば、現行の率にいたしておきましても、政府がここ一、二年しんぼうすれば必ずや絶対額としての軽油引取税の総額は、皆さんの予想以上にふえてくる。また政府が好景気だ、神武以来の景気だといって宣伝されておるのでありますから、その裏づけをするためには、こういう率を上げてはいけないと思うのであります。そういう意味において、社会党は今回三千円はおろか、一銭も上げることに反対であります。先ほどから自由民主党の方から修正案が出ました、二千四百円ということであります。下った面六百円については賛成でありますが、やはり二千四百円はこれは賛成するわけには参らない、こういうことになります。この点は、参議院においても、社会党としてさらに私どもは努力を続けたいと申し合せておるような次第でございます。
第五には自転車荷車税であります。あるいは木材引取税であります。木材引取税についてはいろいろと御論議がありましたが、われわれはもうやめる段階であろう、こういうふうに考えております。多少下りました点についてはけっこうだと思いまするが、将来は十分考えてもらいたい。自転車荷車税につきましては、これは社会党は年来の主張であります。ところが今年は逆に予算の見込みとして四十七億というふうに数をふやしていらっしゃいます。幸いこの点は、田中国務大臣は、来年はやめると、この委員会ではっきりおっしゃいましたので、私どもは来年まで一年しんぼうをしようかなと考えておりまするが、大臣が来年まで御在任になるかどうか、その辺のところまで心配をいたしておるような次第でございます。できまするならば、もうこの際この自転車荷車税を廃止ということにいたしたいと考えておるのであります。
第六に、最後は遊興飲食税であります。この点はもうたびたび申しましたので、申し上げるのも何でありまするが、最後の討論でありまするから、念を押しておきまするが、幾らお話がありましても、この三百円から五百円までの一般の飲食代あるいは八百円から千円までの旅館の宿泊代、これはどうしても納得はできません。
私は一昨日も列車の中で食堂に入りまして、昼食をとりました。食堂の定食の二丁旦二十円であります。ビールを一本飲みますと大方四百円になります。やはり五分とられました。三百五十円であったら十七円か十八円ということになりますが、今度はそれが四十五円になるのでありまして、これは業者が見ると、基礎控除が上ったから総額においては、といいまするが、実は払うのは飲食をするわれわれ国民大衆であります。その本質を忘れまして、まあまあいいかげんなところで妥協されたということ、この点ははなはだ遺憾に考えております。さらにこの点につきましては、自由民主党の内部におかれましても、われわれ聞きまするに、非常にどうも改正案があったようでございまするが、公給領収正の問題と相打ちでもってとうとう現状維持だということになったというようなことであります。公給領収証とこの率の問題とは別だと思います。どうもフットボールと野球と相打ちなんということはわれわれはあまり聞いておらぬ。公給領収証はあくまで事務的なものであろうと思います。これはしかし他党のことでございますから、われわれははなはだ残念であるということだけ申し上げまして、以上かいつまんで五、六点でございますが、どうもこの地方行政委員会におきましては、私どもは賛成すべきものは賛成をし、さらにまた修正などにつきましても、できるだけ、政府当局のためではなくして、地方自治体のために何とかいたしたいというので、いつも努力をいたすのでございまするが、今回はそういうふうに、さまざまな点において意見が合いませんので、残念ながらこれは賛成するわけには参りません。以上のことをはっきりと申し上げまして、反対の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/57
-
058・門司亮
○門司委員長 これにて本案並びに修正案に対する討論は終局いたしました。採決してよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/58
-
059・門司亮
○門司委員長 採決いたします。まず亀山孝一君より提出されました地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/59
-
060・門司亮
○門司委員長 起立多数。よって亀山孝一君提出の修正案は可決いたされました。
次に、ただいま可決いたされました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/60
-
061・門司亮
○門司委員長 起立多数。よって修正部分を除く原案は可決いたされました。よって原案は修正議決すべきものと決定いたした。次第であります。(拍手)
なお本案の議決に伴う委員会報告出の作成並びに提出手続等につきましては、先例もございますので、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/61
-
062・門司亮
○門司委員長 御異議ないものと認めてさよう取り計らいます。
次の委員会は公報によってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01619570327/62
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。